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特表2022-516364赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ
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  • 特表-赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ 図1
  • 特表-赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ 図2
  • 特表-赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ 図3
  • 特表-赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ 図4
  • 特表-赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ 図5
  • 特表-赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ 図6
  • 特表-赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】赤外線検出器の為の副天井層の視覚アクセサリ
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/02 20060101AFI20220217BHJP
   G01J 5/00 20220101ALI20220217BHJP
【FI】
G01J1/02 C
G01J5/00 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539463
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(85)【翻訳文提出日】2021-08-31
(86)【国際出願番号】 EP2020050312
(87)【国際公開番号】W WO2020144231
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】1900160
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521295413
【氏名又は名称】セントレ サイエンティフィーク エ テクニーク デュ バティマン(シーエスティービー)
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】マルティンソンス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ルプレトレ,ピエール
【テーマコード(参考)】
2G065
2G066
【Fターム(参考)】
2G065AA04
2G065AB02
2G065BA11
2G065BA13
2G065DA06
2G065DA20
2G066AC13
2G066AC14
2G066BA02
2G066BA08
(57)【要約】
本発明は、検出器の視野を調整する為に赤外線センサを備えられた該検出器において配置する為の光学デバイスであって、2つの円錐形の鏡を備えており、主鏡は該デバイスの周りの副天井層から入射する赤外線を収集して、それを副鏡に戻し、副鏡それ自体はそれを赤外線検出器のセンサに反射する、上記光学デバイスに関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイス(10)であって、検出器(1)の視野を調整する為に、赤外線センサを備えられた前記検出器上に配置されることを意図されており、
-中心に円形の開口(14)を備えている、円錐台形の全体形状の主鏡(11)と、
-円錐形の全体形状の副鏡(12)と、
-前記主鏡の反射面が前記副鏡の反射面に対向して配置されるように、前記主鏡と前記副鏡とを接続する為の少なくとも1つの接続手段(13)と
を備えており、
前記主鏡及び副鏡は赤外の放射を反射するように設計されており、
前記主鏡及び副鏡は、前記デバイスの視野を定義するように、アフォーカルシステムを形成するように、及び前記デバイスの周辺の連続的な画像を形成するように構成されており、ここで、前記画像の中心は前記副鏡によって隠されている、
前記光学デバイス。
【請求項2】
前記デバイスの前記視野の角度(α)は5°~10°に含まれている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
射出成形されたプラスチック、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリカーボネイト(PC)、の単片からなり、前記主鏡の及び前記副鏡の少なくとも表面がメタライズされている、請求項1又は2のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記主鏡の最大直径は100mm未満、好ましくは70mm未満、であり、及び、前記主鏡の前記反射面を定義する円錐の軸の方向における前記デバイスの高さは40mm未満、好ましくは30mm未満、である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記検出器の前記赤外線センサ上に前記画像を形成するように配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学デバイスを備えている赤外線検出器。
【請求項6】
部屋の天井の直下の層における熱の蓄積又はコールドスポットを検出する為の、請求項5に記載の赤外線検出器の使用方法。
【請求項7】
天井の直下の層における熱煙の蓄積又は前記天井の直下の前記層の領域における部屋の壁の温度の異常な変化を検出する為の、請求項5に記載の赤外線検出器の使用方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学デバイスと、前記光学デバイスを赤外線検出器に取り付ける為の機構とを備えている、前記赤外線検出器上に配置されることを意図された光学アクセサリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線放射を反射するように又はそのような放射を集束させる若しくは発散させるように設計された1つ以上の光学コンポーネントを備えている光学システムの分野に関する。
【0002】
本発明は、より特には、部屋内に天井に取り付けられる赤外線検出器の視野が該部屋内の天井の直下の層を観察する目的で調整されることを可能にする、単純で且つ安価な光学デバイスを提案することを追求する。
【0003】
本発明の観点の他において、本発明はまた、既存の赤外線検出器に取り付けられることができ又はそれから取り外されることができる光学アクセサリに関し、ここで、該光学アクセサリは本明細書において上記された光学デバイスを備えている。
【0004】
本発明によって目標とされる主な用途は、例えば64×64又は80×80の感知素子を備えている、中間解像度のセンサを備えている赤外線検出器の視野を調整するものである。このタイプの検出器は、撮像用途を可能にする為に十分な解像度を有する。
【0005】
上記の主な用途を参照して説明されているけれども、本発明は、単純で且つ安価な様式において検出器の視野を調整する必要性がある任意のタイプの赤外線検出器に適用される。
【0006】
「天井の直下の層」(layer just below the ceiling)又は「副天井層」(sub-ceiling layer)によって意味されるものは、部屋の天井のすぐ下に位置されている層であり、及びその厚さは該部屋の高さと比較して小さい。典型的には、該天井の直下の層は、該天井のすぐ下で、該部屋の高さの15%未満の厚さを有する。
【背景技術】
【0007】
赤外領域において動作するセンサを製造する為に用いられることのできる数多くの技術がある。従って、焦電型センサ(pyroelectric sensors)及びサーモパイル(thermopiles)が、ごく少数の感応性要素を慣用的に備えている非常に低解像度の検出器の為に広く用いられている。マイクロボロメータを組み込まれたセンサが、イメージャ(imagers)として用いられることのできる中解像度センサ及び高解像度センサにおいて採用されている。
【0008】
基本的な撮像機能、例えば赤外線源の場所を特定すること、を実現することのできる中間解像度のセンサへの関心が高まっている。
【0009】
そのようなセンサは、16×16ピクセル~80×80ピクセルに含まれる解像度を有し得、且つ上記された技術のうちの1つを用いて動作しうる。
【0010】
非常に低解像度の検出器の多くの機能の実行は、中間解像度のセンサの使用によって改良されることができる。加えて、このタイプのセンサは新しい用途を可能にする。
【0011】
焦電性タイプ(pyroelectric type)の、既存の赤外線センサの主な用途のうちの1つは、動き検出である。
【0012】
これは、例えば多数の建物において設置されている侵入防止検出器において採用されている原理である。侵入防止警報システムは典型的には、検出器の視野を定義する単純で且つ費用効果の高い光学デバイスに関連付けられた2又は4の感応性要素を備えている焦電型センサに依拠する。この光学デバイスは、とりわけ、ポリエチレンで作られたフレネルレンズアレイ(Fresnel lens array)又は、各々がプラスチック、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)若しくはポリカーボネイト(PC)、から作られ、少なくともその機能性表面においてメタライズされた基板から作られたミラーの集合(collection of mirrors)でありうる。
【0013】
このタイプの侵入防止検出器は何ら放射を放出しないので、該侵入防止検出器が受動型検出器として認定されている。
【0014】
侵入防止検器の動作は、センサの感応性要素の全てによって受けられる周囲の赤外フラックスの同時変動を観察することに依拠する。
【0015】
侵入防止検出器の為に、幾つかのありうる構成がある:天井取り付け型の場合には、視野は典型的には方位角で360°程度及び垂線の両側において仰角でおよそ45°であり、又は壁取り付け型の場合には、該検出器の視野は、それが設置されている部屋の壁の構成に従って決定されうる。
【0016】
照明の自動的なスイッチオンを通常は制御する占有検出器は、その動作において侵入防止検出器と同様である。
【0017】
火災予防警報の場合には、部屋の壁の温度における異常な上昇に感応する熱速度検出器と称される検出器がまたあり、それは、熱の放射源の存在を特徴付ける。
【0018】
これらの検出器は、信頼性は高いが、熱源の場所を特定することができないという限りにおいて限定的である。
【0019】
加えて、例えば保安上又はスペース管理上の理由で、人を計数する又は列を作って待っている人の列を管理するという用途について、拡大する恩恵が観察されうる。この文脈において、会社Irisysは、16×16ピクセルの解像度を有する焦電型センサを開発した。このセンサは、例えば店内で列を作って待っている人の列の上方に設置されることができ、50°~60°程度の限定的な角度の視野を得る為にゲルマニウム又はカルコゲナイドのガラスで作られたレンズに関連付けられている。該センサの解像度は、相対的に低いものの、それでも人の数及び待ち列内でのそれらの人の位置の良い近似を得る為には十分である。
【0020】
図1は、中間解像度のイメージャを備えており、且つ天井において配置されることを意図されている赤外線検出器1を概略的に図示する。赤外線放射は、光学システム2、入力レンズと赤外線センサとをとりわけ備えている光学システム2、を通って該検出器に入る。
【0021】
そのような検出器の視野の角度αは、慣用的に、70°~90°に含まれる。
【0022】
非常に多くの実用的な用途において、上記された様々な検出器タイプが部屋の天井に取り付けられる。
【0023】
ここで、本発明者等は、部屋における天井の直下の層を監視することに利益があると判断した。
【0024】
なぜならば、該天井の直下の層は生活空間の快適性において極めて重要であるからである。これはとりわけ、特に夏において、熱の蓄積が起こりうる、対流の境界層である。
【0025】
その上、例えば冬に窓が開いている場合に、コールドスポットがここには出現しうる。言い換えれば、天井の直下の層を監視することは、部屋の熱的快適性の管理の為に、重要な情報を提供する。
【0026】
その上、天井の直下の層を監視することは、火災の発生を防止又は検出するという文脈において安全性を向上させる。なぜならば、それは壁の熱速度測定、すなわち壁温度の変化の速度、の観察を可能にし、それ故に火災前の状況に特徴的な壁温度における異常な上昇が検出されることを許すからである。加えて、火災の場合における天井の直下の層での熱煙の蓄積がまた検出されることができる。
【0027】
視野が部屋の床に向けられている既存の火災防止検出器の解決策と比較すると、天井の直下の層を観察している火災防止検出器は、例えば部屋の人(occupants)から又はこれらの人が取り扱っているかもしれない熱い物体の発出する誤信号に基づいて警報をトリガすることができないという利点を有する。
【0028】
それ故に、天井の直下の層が赤外線を用いて監視される機能を有することには利益がある。
【0029】
現存する多数の赤外線検出器であって部屋内で既に天井に取り付けられているものがまたあるが、その視野は該部屋の床に向けられている。
【0030】
それ故に、既存の検出器の視野が天井の直下の層を監視するように調整されることを許す解決策の必要性がある。
【0031】
この必要性に少なくとも部分的に対処することが本発明の目的である。
【発明の概要】
【0032】
これを行う為に、本発明の1つの主題は、光学デバイスであって、検出器の視野を調整する為に赤外線センサを備えられた該検出器上に配置されることを意図されており、
-中心に円形の開口(circular opening)を備えている、円錐台形の全体形状の主鏡(primary mirror)と、
-円錐形の全体形状の副鏡(secondary mirror)と、
-該主鏡の反射面が該副鏡の反射面に対向して配置されるように、該主鏡と該副鏡とを接続する為の少なくとも1つの接続手段と
を備えており、
該主鏡及び副鏡は赤外の放射を反射するように設計されており、
該主鏡及び副鏡は、該デバイスの視野を定義するように、アフォーカルシステム(afocal system)を形成するように、及び該デバイスの周辺の連続的な画像(continuous image)を形成するように構成されており、ここで、該画像の中心は該副鏡によって隠されている。
【0033】
本発明の文脈において、「デバイスの周辺」(periphery of the device)によって意味されるものは、主鏡の円錐の対称軸に略垂直な方向の全てであり、パノラマ視界の境界を定める。
【0034】
従って、本発明は、本質的に、2つの円錐形のミラーの使用からなり、該主鏡はデバイスの周りの天井の直下の層から赤外線放射を集めて該副鏡へそれを渡し、該副鏡がそれを赤外線検出器のセンサへと反射する。
【0035】
これらの鏡の反射面は、この機能を実施するように構成される。
【0036】
有利なことには、本発明に従う光学デバイスによって得られる画像は、隠された中心を備えている。具体的には、主鏡の中央開口(central opening)に対向する副鏡の存在は、デバイスが部屋の天井において取り付けられた検出器上に配置される場合に、床から上がってくる赤外線放射を遮蔽する効果を有する。
【0037】
それ故に、該センサは、天井の直下の層から到来する信号のみを受け取る。床及び部屋にいるかもしれない人は完全に隠される。
【0038】
これらの鏡の使用は、一方では高価な赤外レンズの使用を回避することを可能にし、及び、他方ではアフォーカル反射光学部品を得ることを可能にし、従って最適化調整を回避する。
【0039】
その上、該画像の非球面補正が有利に得られうる。
【0040】
それ故に、本発明によって得られるのは、検出器の視野を調整すること、及び床が隠された状態で、該デバイスの周辺(天井の直下の層でありうる)の鮮明で且つ補正された画像を生成することを可能にする、単純で且つ安価な赤外光学デバイスである。
【0041】
好ましくは、該視野の角度は、5°~10°に含まれている。従って、視野は天井の直下の層に対して開く。該検出器に伝達されるのは天井の直下の層から到来する赤外線放射のみであり、これは該デバイスの全周にわたる、すなわち方位角で360°にわたる。
【0042】
1つの特定の実施態様に従うと、該デバイスは、射出成形されたプラスチック、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリカーボネイト(PC)、の単片からなり、該主鏡及び該副鏡の少なくとも表面がメタライズされている。
【0043】
好ましくは、該主鏡の最大直径は1010mm未満、好ましくは70mm未満、であり、及び、該主鏡の該反射面を定義する円錐の軸の方向における該デバイスの高さは40mm未満、好ましくは30mm未満、である。
【0044】
本発明はまた、本明細書において上記された光学デバイスを備えている赤外線検出器に関し、該デバイスは該検出器の該赤外線センサ上に該画像を形成するように配置されている。
【0045】
本発明は、部屋の天井の直下の層における熱の蓄積又はコールドスポットを検出する為のこの赤外線検出器の使用に関する。本発明はまた、天井の直下の層における熱煙の蓄積又は該天井の直下の該層の領域における部屋の壁の温度の異常な変化を検出する為のこの赤外線検出器の使用に関する。
【0046】
最後に、本発明は、本明細書において上記された光学デバイスと、該光学デバイスを赤外線検出器に取り付ける為の機構とを備えている、該赤外線検出器上に配置されることを意図された光学アクセサリに関する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、従来技術に従う赤外線検出器の概略側面図である。
図2図2は、本発明に従う光学デバイスの概略図である。
図3図3は、本発明に従う光学デバイスの長手方向断面の図を断面視で示す。
図4図4は、従来技術に従う赤外線検出器において配置された、本発明に従う光学デバイスの概略図である。
図5図5は、従来技術に従う赤外線検出器において配置された、本発明に従う光学デバイスの側面図である。
図6図6は、従来技術に従う赤外線検出器によって得られる画像である。
図7図7は、本発明に従う光学デバイスが配置された、従来技術に従う赤外線検出器によって得られた画像のシミュレーションである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本願の全体を通じて、「垂直」、「下方」、「上方」、「低」、「高」、「底」及び「頂」という用語は、天井に取り付けられ且つ地面の方を向いた動作の構成における赤外線検出器を参照して理解されるべきである。従って、或る動作構成において、該赤外線検出器のセンサは垂直方向で地面と向き合う。
【0049】
図1は前段部分において既に説明されており、それ故に、本明細書の下記ではコメントされない。
【0050】
本発明に従う光学デバイスが、図2から5を参照して今説明される。
【0051】
光学デバイス10は、主鏡11と、副鏡12と、該主鏡と該副鏡とを接続する為の接続手段13とを備えている。
【0052】
図示されている実施態様において、接続手段13は、等しい角度で分布された細長い形状の4つの支持部からなる剛性の接続手段であり、各接続手段は、その端部の一方によって該主鏡に取り付けられ且つその他方によって該副鏡に取り付けられる。
【0053】
該光学デバイスの高さ、すなわち垂直方向の寸法、は、典型的には25mm程度でありうる。
【0054】
該主鏡は、中央開口14と反射面15とを備えている。
【0055】
典型的には、該主鏡の直径は60mm程度でありうる。
【0056】
該副鏡は反射面16を有している。該副鏡の反射面16は、該主鏡の中央開口14に対向して配置されている。
【0057】
従って、該センサの視点からは副鏡12が床を隠し、及び該副鏡によって反射された放射のみが中央開口14に進入して、検出器1の光学システム2に到達する。
【0058】
天井の直下の層から到来する赤外線の光線を示す図3においてより明白である通り、該主鏡及び該副鏡の反射面15,16はそれぞれ円錐台形及び円錐形の形状であり、該検出器の光学システム2に、天井の直下の層から到来する光線を伝達するように構成されている。
【0059】
該主鏡の円錐台形のプロファイル(profile)は、天井の直下の層から到来する入射光線が、光線を検出器1の光学システム2に反射するように、該プロファイルが設計されている該副鏡に渡されるようになっている。
【0060】
該デバイスの視野は、垂直線を中心として360°にわたって連続的に広がり、及び図5においてより特に視認できるように、天井の直下の層で5°~10°の視野角αを有する。
【0061】
これらの鏡は、該センサにおいて形成される画像が鮮明で、非球面補正を有するように構成される。
【0062】
有利なことには、これら2枚の鏡はアフォーカルデバイス(afocal device)を形成する。
【0063】
光学デバイス10は、好ましくは、射出成形されたプラスチック、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリカーボネイト(PC)、の単片からなる。その場合に、コンポーネント全体、又は最低でもこれらの鏡の反射面は、入射赤外線の放射を反射することができるように、メタライズ(金属化)される。
【0064】
図4及び図5は、赤外線検出器1に配置された、本発明に従う光学デバイス10を概略的に図示する。
【0065】
有利なことには、該検出器の光学システム2は、検出器1に光学デバイス10を配置する為に調整を必要とせずに、且つ電気接続を必要としない。
【0066】
光学デバイス10を検出器1に固定する為に、取り付け機構が備えられうる。この機構は例えば、赤外線放射を効果的に伝導するように、典型的には0.5mmに近い小さな厚みを有するポリエチレン(PE)で作られた半透明の半球体のドームを備えている。該副鏡はドームの内面に固定されており、及びこのドームは検出器の基部に取り付けられており、従って該デバイスを覆う。
【0067】
図6は、従来技術に従う赤外線検出器によって取得される画像である。該検出器の視野は部屋の床に向けられ且つその角度αが90°を超えない。
【0068】
図7は、比較の為に、図6の画像を得る為に用いられている赤外線検出器に、本発明に従う光学デバイスを取り付けることによって得られる効果を再現したコンピュータシミュレーションの結果を示す。
【0069】
該検出器の視野が調整されて天井の直下の層の観察を可能にすることが判るであろう。副鏡が検出器の視野を地面の方向で遮蔽するので、画像の中心の床は完全に隠される。
【0070】
火災防止検出器の場合には、この隠された中心が、例えば部屋の人又はこの人が取り扱っている物体(例えば1杯のコーヒー)によってもたらされる誤信号による警報の不適切なトリガのリスクを回避することを可能にする。
【0071】
従って、本発明によれば、天井の直下の層を観察するように赤外線検出器の視野を調整する為に、レンズを含まない簡易で小型の光学デバイスが用いられることができる。
【0072】
これはとりわけ、既存の検出器に設置されるアクセサリでありうる。光学デバイスを既存の検出器に設置することは容易である。具体的には、該検出器の元々のレンズが依然として用いられることができ、電気接続が必要とされず、且つ該光学デバイスの位置決めは高い精度を必要としない。
【0073】
本発明は火災警報として作用するように用いられることができる。具体的には、天井の直下の層の赤外線監視は、熱煙の検出を許す。赤外線監視はまた、部屋の壁の熱速度測定、すなわち火災前の状況を示すことが多い壁温度の上昇速度、の観察を可能にする。
【0074】
本発明はまた、部屋内の熱的快適性を向上させる目的で実現されうる。すなわち、天井の直下の層の赤外線監視は、熱の蓄積を示しうるか、又は屋外の気象条件が寒い場合に開けっ放しになっている窓の検出を可能にする。
【0075】
本発明の他の変形及び利点は、本発明の範囲を逸脱することなく実現されうる。従って、本発明は、本明細書に記載された上記の例に限定されない。
【0076】
主な目標用途、すなわち部屋の天井に取り付けられる赤外線検出器の視野を調整するという用途、を参照して説明されたが、本発明は、周辺視性の視野を得る為に単純且つ安価な光学デバイスを用いて赤外視認装置の視野を調整することが有利である任意の分野にもまた当てはまる。
【0077】
従って、説明された光学デバイスはまた、自動車及び輸送の分野において用いられることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】