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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】赤外線加熱式エアロゾル発生要素
(51)【国際特許分類】
   A24F 1/30 20060101AFI20220217BHJP
   A24F 40/46 20200101ALN20220217BHJP
【FI】
A24F1/30
A24F40/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539537
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2020050656
(87)【国際公開番号】W WO2020148213
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】19151641.8
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】エメット ロベール
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス フローレス アナ イザベル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA02
4B162AA22
4B162AB11
4B162AC22
(57)【要約】
シーシャ装置でエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生要素であって、エアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体を受けるためのレセプタクルと、IR放射のビームを発生するように構成されたフォトニック装置とを備え、エアロゾル発生要素は、IR放射のビームをエアロゾル形成基体上に方向付けることによってエアロゾル形成基体を加熱するように配設される。本発明はさらに、エアロゾル発生要素を備えるシーシャ装置、シーシャ装置およびエアロゾル発生物品の両方を備えるエアロゾル発生システム、およびシーシャ装置でエアロゾルを形成するための方法を対象とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーシャ装置でエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生要素であって、前記エアロゾル発生要素が、
- エアロゾル形成基体を受けるためのレセプタクルと、
- IR放射のビームを発生するように構成されたフォトニック装置と、を備え、
前記エアロゾル発生要素は、前記IR放射のビームを前記エアロゾル形成基体上に方向付けることによって前記エアロゾル形成基体を加熱するように配設される、エアロゾル発生要素。
【請求項2】
前記IR放射のビームの波長が、前記エアロゾル形成基体の少なくとも構成要素がIR放射を吸収する波長に対応する、請求項1に記載のエアロゾル発生要素。
【請求項3】
前記IR放射のビームの波長の範囲が、800ナノメートル~2300ナノメートル、好ましくは1300ナノメートル~2000ナノメートルである、請求項1または2のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項4】
前記IR放射のビームの直径が、1ミリメートル~110ミリメートル、好ましくは2ミリメートル~100ミリメートル、より好ましくは5ミリメートル~80ミリメートルの範囲である、請求項1~3のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項5】
前記IR放射のビームの電力が、0.1ワット~30ワット、好ましくは0.5ワット~25ワット、より好ましくは1ワット~20ワット、より好ましくは1ワット~3ワットの範囲である、請求項1~4のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項6】
前記IR放射のビームのエネルギー密度が、0.010ワット/平方センチメートル~30ワット/平方センチメートル、好ましくは0.050ワット/平方センチメートル~6ワット/平方センチメートル、より好ましくは0.100ワット/平方センチメートル~3ワット/平方センチメートルの範囲であり得る、請求項1~5のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項7】
前記フォトニック装置がIRレーザーダイオードを含む、請求項1~6のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項8】
前記フォトニック装置と前記レセプタクルとの間に位置し、前記IR放射のビームを操作するように構成される光学素子をさらに備える、請求項1~7のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項9】
前記光学素子が、前記IR放射のビームを動的に操作するために移動可能な光学マウント上に配設される、請求項8に記載のエアロゾル発生要素。
【請求項10】
前記フォトニック装置と前記レセプタクルとの間に位置し、前記IR放射のビームに対して実質的に透明である窓をさらに備える、請求項8または請求項9に記載のエアロゾル発生要素。
【請求項11】
前記エアロゾル発生要素が光学素子を備え、前記窓が前記光学素子と前記レセプタクルとの間の位置に位置する、請求項10に記載のエアロゾル発生要素。
【請求項12】
前記IR放射のビームが、前記フォトニック装置から前記光学素子に向けて伝播する入射IR放射ビームおよび前記光学素子から前記レセプタクルに伝播する反射IR放射ビームを含み、前記入射IR放射ビームと前記反射IR放射ビームとの間には角度があり、好ましくは、前記角度は約90度であり、好ましくは、前記光学素子は、前記IR放射のビームを反射させるための湾曲ミラーを含み、好ましくは、前記湾曲ミラーは動的に操作され得る、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項13】
前記光学素子が、
前記IR放射のビームを前記レセプタクルに向けた方向に広げるための凹状レンズ、および、
前記IR放射のビームを前記レセプタクルに向けた方向に収束するための凸状レンズのうちの一つまたは両方を含む、請求項8~12のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項14】
前記レセプタクルに受けられた前記エアロゾル形成基体を加熱するために配設された電気加熱手段をさらに備え、好ましくは、前記電気加熱手段が、抵抗加熱手段および誘導加熱手段のうちの一つ以上である、請求項1~13のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項15】
前記レセプタクルの加熱される特定の部分をユーザーが選択するための制御ユニットをさらに備える、請求項1~14のいずれかに記載のエアロゾル発生要素。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項のエアロゾル発生要素を備える、シーシャ装置。
【請求項17】
請求項16のシーシャ装置と、エアロゾル形成基体とを備えたエアロゾル発生システムであって、
前記エアロゾル形成基体が、前記シーシャ装置の前記エアロゾル発生要素の前記レセプタクルに受けられるように配設され、
前記エアロゾル形成基体が、前記シーシャ装置の前記エアロゾル発生要素によって加熱されるように配設される、エアロゾル発生システム。
【請求項18】
前記エアロゾル形成基体を封入する外側シェルを含むカートリッジを備える、請求項17に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項19】
前記エアロゾル形成基体がシーシャ糖蜜を含む、請求項17または請求項18に記載のエアロゾル発生システム。
【請求項20】
シーシャ装置でエアロゾルを形成するための方法であって、前記方法が、
(a) フォトニック装置によってIR放射のビームを発生することと、
(b) 前記IR放射のビームを前記フォトニック装置から前記シーシャ装置のレセプタクルに受けられたエアロゾル形成基体に方向付けることと、
(c) 前記IR放射のビームによって、前記シーシャ装置の前記レセプタクルに受けられた前記エアロゾル形成基体を加熱することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーシャ装置でエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生要素に関する。より具体的には、本開示は、エアロゾル発生要素に関し、エアロゾルは、赤外線(IR)放射によってエアロゾル形成基体を加熱することを介して発生する。本発明はさらに、エアロゾル発生要素を備えるシーシャ装置、シーシャ装置およびエアロゾル発生物品の両方を備えるエアロゾル発生システム、およびシーシャ装置でエアロゾルを形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシーシャ装置は、たばこ基体を喫煙するために使用されていて、またユーザーによって吸入される前にベイパーおよび煙が水盤を通過するように構成されている。シーシャ装置は、一つの出口を含んでもよく、または二人以上のユーザーが同時に装置を使用することができるように二つ以上の出口を含んでもよい。シーシャ装置の使用は、多くの人によって娯楽活動および社交体験であると考えられている。
【0003】
従来のシーシャ装置は、たばこ基体を加熱または燃焼して、ユーザーによる吸入のためにエアロゾルを発生させるために木炭を用いる。高レベルの一酸化炭素および多環式芳香族炭化水素などの望ましくない燃焼副産物、ならびに他の有害および有害である可能性がある成分が、従来のシーシャ装置の使用中に生成される場合がある。一酸化炭素は、木炭だけでなくたばこ基体の燃焼によって発生し得る。
【0004】
一酸化炭素および燃焼副産物の生成を減少させる一つの方法は、基体を燃焼することなく基体からエアロゾルを生成するために十分な温度にたばこ基体を加熱する電気ヒーター、例えば、抵抗ヒーターを木炭の代わりに使用することである。
【0005】
しかしながら、従来の木炭で作動するシーシャ装置と比較して、電気加熱式装置は、総エアロゾル質量の低下、可視エアロゾルの低下、エアロゾル体積の低下、またはそれらの任意の組み合わせに悩まされる場合がある。これらのエアロゾル特性のうちの一つ以上の減少は、基体と加熱される表面との間の接触が不良であるために、最初の吸煙中に特に顕著であり得る。結果として、最初の吸煙が消費のために利用可能になるまで基体を加熱するのにかかる時間(TT1P)は、従来の木炭加熱式シーシャ装置と比較して比較的長くなり得る。
【0006】
同時に、従来のシーシャでは、木炭は、エアロゾル形成基体全体を同時かつ均等に加熱しないため、独特の加熱特性を提供する。木炭を所望のペースで異なる地点に移動させることは、従来のシーシャの慣例および喫煙体験の重要な部分である。
【0007】
従来の木炭シーシャ装置と比較して、一酸化炭素および望ましくない燃焼副産物の生成を減少させるシーシャ装置を提供することが望ましい。
【0008】
従来のシーシャの慣例および喫煙体験に一致する、似ている、またはこれらを模倣する加熱特性を有するシーシャ装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本発明の様々な態様において、シーシャ装置でエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生要素が提供されている。エアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体を受けるためのレセプタクルと、IR放射のビームを発生するように構成されたフォトニック装置とを備える。エアロゾル発生要素は、IR放射のビームをエアロゾル形成基体上に方向付けることによってエアロゾル形成基体を加熱するように配設される。
【0010】
したがって、フォトニック装置は、IRエミッタとして作用する。概して、本発明のエアロゾル発生要素は、IR放射を使用してエアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素を加熱する。一部の実施形態では、後で説明するように、エアロゾル形成基体はたばこを含み得る。
【0011】
したがって、本発明のエアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体がIR放射の吸収によって加熱される代替的な加熱システムを提供する。IR放射による加熱は、高速で、柔軟性のある効率的な加熱という利点をもたらす。
【0012】
伝導または対流とは対照的に、放射は、電磁波を介してエネルギーを伝達する。結果として、媒体または「熱担体」の有無に対する要件はない。これは、エアロゾル形成基体を所望の温度にするのに必要な時間の短縮に役立ち得る。これは、エアロゾル形成基体を予熱する期間中に特に有益であり得る。さらに、エアロゾル発生要素とエアロゾル形成基体との間の物理的接触は必要とされない。本発明のエアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体の非接触加熱を可能にする。
【0013】
エアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体と使用されてエアロゾルを生成し得る。具体的には、エアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体を受けて加熱してエアロゾルを発生させ得る。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生要素によって加熱されるが、燃焼されない場合がある。エアロゾル発生要素は発熱体を含んでもよい。発熱体は電気発熱体を含み得る。
【0014】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体を受けるためのレセプタクル、レセプタクルを覆うためのカバープレート、エアロゾル形成基体を含むカートリッジ、カートリッジを覆うための箔、およびエアロゾル形成基体を加熱するための少なくとも一つの木炭のペレットのうちのいずれかなど、従来のシーシャ装置の特徴を含み得る。
【0015】
異なる材料は、異なる周波数でIR放射を吸収する。波長を注意深く選択することにより、他の物質は実質的に低温のままとしながら、特定の物質を効率的に加熱することが促進され得る。したがって、本発明のエアロゾル発生要素は、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素の機能として標的加熱を可能にする。標的IR放射は、必ずしも周囲空気を加熱しない。これは、より効率的な加熱が達成され得ることを意味する。また、エアギャップは従来の電気加熱式シーシャシステムにおけるように大きな熱損失を引き起こさないため、より多くの設計の自由度が得られる。したがって、絶縁材料を必要とする可能性は低い。
【0016】
IRビームを操作して、エアロゾル形成基体の特定の部分のみを照射することができる。また、IR吸収が低い透過率を有することは公知である。IRビームは、エアロゾル形成基体の照射された部分のみを加熱することを可能にする。したがって、本発明のエアロゾル発生要素は、空間の関数としての標的加熱を可能にする。
【0017】
本発明のIR加熱手段の別の利点は、高速の熱応答である。エアロゾル形成基体は、実質的に照射時間の間だけ加熱され得る。
【0018】
また、IR加熱は、IRエミッタおよび基体の空間配設に対して高い柔軟性を提供する。これは、エアロゾル発生要素およびシーシャ装置の幾何学的設計に対して広範なオプションを提供する。
【0019】
一部の実施形態では、IRビームは、フォトニック装置とエアロゾル形成基体との間で操作を受け得る。一部の実施形態では、IRビームの操作は、光学素子によって促進されることが好ましい。
【0020】
一部の実施形態では、エアロゾル発生要素は、フォトニック装置とレセプタクルとの間に位置し、IR放射のビームを操作するように構成される光学素子をさらに備える。
【0021】
「IR放射のビームの操作」という用語は、IR放射のビームの光路の任意の変化を含み得る。例としては、IRビームを反射すること、IRビームを偏向すること、IRビームを収束すること、およびIRビームを広がることのうちのいずれかが挙げられる。
【0022】
「光学素子」という用語は、IR放射のビームを操作することができる任意の要素を含む。例としては、ミラー、湾曲ミラー、レンズ、凸状レンズ、および凹状レンズが挙げられる。凹状レンズは、IRビームを広げてIRビームのエネルギー密度を低下させ得る。こうした構成は、吸煙が行われない長い時間間隔の間、例えば、予熱段階または吸煙間において基体を所定の低温に維持するのに特に有用であり得る。凸状レンズは、IRビームを収束させてIRビームのエネルギー密度を増大させ得る。収束または集束ビームは、基体の特定の領域の急速な枯渇を可能にし得る。
【0023】
一つ以上の実施形態によれば、本発明のエアロゾル発生要素の光学素子は、光学マウント上に配設され得る。光学マウントは、移動可能であってもよい。光学マウントの移動は、機械的、電気的、または電気機械的に実行され得る。移動は、任意の適切な手段によって達成され得る。例としては、ステッパーモーター、偏心ねじ、またはステッパーモーターおよび偏心ねじの両方が挙げられる。移動は、ユーザーによって手動で実行されてもよい。移動は、電子的に制御される構成要素によって自動的に実行されることが好ましい。
【0024】
光学素子の位置は、使用中に光学マウントによって調節可能であってもよい。光学マウント上に配設された光学素子は、IR放射のビームを操作することを可能にする。光学マウント上に配設された光学素子は、IR放射のビームを動的に操作することを可能にする。
【0025】
用語「移動可能な光学マウント」は、光学素子を入射IRビームに対して異なる位置または方向に移動させることを可能にする、任意の種類の光学素子のマウントを含む。それによって、光学素子によって行われるIRビームの操作は、移動可能な光学マウントを介して光学素子を移動させることによって変更され得る。
【0026】
「IR放射のビームを動的に操作する」という用語は、IR放射のビームが、シーシャ装置におけるエアロゾル発生要素の使用中に操作され得ることを意味する。
【0027】
用語「使用中」は、ユーザーがシーシャ装置を動作させた任意の瞬間を指し得る。「使用中」は、シーシャ装置をスイッチオンした任意の瞬間を指し得る。「使用中」は、フォトニック装置に電力が供給された任意の瞬間を指し得る。「使用中」とは、吸煙中または吸煙間の瞬間を指し得る。
【0028】
IRビームの操作は、移動可能な光学マウントを介して実行されてもよい。機械的、電気的、または電気機械的な移動は、任意の適切な手段によって達成され得る。例としては、ステッパーモーター、偏心ねじ、圧電ねじ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。移動は、ユーザーによって手動で実行されてもよい。移動は、電子的に制御される構成要素によって自動的に実行されることが好ましい。
【0029】
概して、IRビームの動的操作の進行は、電子回路上で動作するコンピュータプログラムによって制御され得る。動的操作の一部または動的操作全体は、例えば、コンピュータプログラムに従って、自動的に制御されてもよい。コンピュータプログラムは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に格納され得る。動的操作の一つ以上の態様は、ユーザーによって部分的または完全に制御可能であり得る。例えば、ユーザーは、動的操作のペースを制御し得る。ユーザーは、IRビームが誘導される基体の場所を制御し得る。例えば、ユーザーがコマンドを入力し、それによってIRビームを自身の好みに従って動的に操作することを可能にする手段が含まれ得る。こうした手段は、当業者に対して公知の任意の適切な手段であり得る。例は、ユーザーインターフェースを含む制御ユニットである。一部の実施形態では、ユーザーインターフェースは、電子、機械、または電気機械ユーザーインターフェース手段を含み得る。
【0030】
IR放射のビームを動的に操作することは、ビームの軌道を動的に操作することを可能にし得る。それによって、IRビームの動的操作は、エアロゾル形成基体の異なる部分を照射することを可能にする。それによって、IRビームの動的操作は、エアロゾル形成基体の選択的な照射を可能にし、これにより選択的なエアロゾル発生を可能にし得る。IRビームの動的操作は、エアロゾル形成基体の逐次的な照射を可能にし得る。本発明のエアロゾル発生要素を用いて、エアロゾル形成基体の異なる部分が逐次的に加熱され得る。逐次的な加熱は、ユーザーによって部分的または完全に制御されてもよい。本発明のエアロゾル発生要素は、基体上の木炭の移動に似ていてもよく、喫煙経験の従来の慣例がさらに保持され得る。
【0031】
エアロゾル発生要素のフォトニック装置は、IRエミッタとして機能する。適切なIRエミッタを選択するためには、エアロゾル形成基体の組成を考慮するべきである。IRエミッタは、一つ以上のIRエミッタ特性を考慮して選択され得る。一つ以上のIRエミッタ特性は、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素に応じて選択され得る。例えば、前述の一つ以上の電磁エミッタ特性は、波長、周波数、スポットサイズ、スウェプトソース、パルス対連続波、エネルギーおよび電力のうちの任意の一つまたはそれらの組み合わせを含み得る。例えば、IRエミッタの波長は、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素によるIR光の吸収を考慮して選択され得る。IRエミッタの波長は、エアロゾル形成基体の一つ以上の構成要素によるIR光の透過を考慮して選択されてもよい。
【0032】
IRエミッタの波長は、エアロゾル形成基体の構成要素のIR吸収帯に対応し得る。IRエミッタの波長は、エアロゾル形成基体の二つ以上の構成要素のIR吸収帯に対応し得る。
【0033】
例えば、IRエミッタの波長は、後で説明するように、グリセロール、糖蜜、糖、転化糖、たばこ、たばこ誘導体、またはエアロゾル形成基体の任意の他の構成要素のうちの一つ以上のIR吸収帯に対応し得る。
【0034】
用語「波長」は、単一波長、複数の単一波長、波長の範囲、複数の波長の範囲、またはそれらの任意の組み合わせを指し得る。
【0035】
例えば、エアロゾル形成基体中に比較的大量のグリセロールが存在してもよく、波長要件がグリセロールの強い吸収帯に対して適合されてもよい。グリセロールの強いIR吸収帯は、1300ナノメートル~2000ナノメートルのIR光の波長で見い出される。したがって、IRエミッタは、800ナノメートル~2300ナノメートル、好ましくは1300ナノメートル~2000ナノメートルの範囲のIR光を放射し得る。
【0036】
一部の実施形態では、IRエミッタは、0.1ワット~30ワット、好ましくは、0.5ワット~25ワット、より好ましくは、1ワット~20ワット、より好ましくは1ワット~3ワットの範囲の電力でIR光を放射し得る。一部の実施形態では、比較的高い電力が、エアロゾル形成基体を予熱するために使用される。一部の実施形態では、比較的低い電力が、要求に応じた吸煙に対して使用される。
【0037】
「要求に応じた吸煙」動作では、IRエミッタは、一回の吸煙に対するエアロゾルを発生するのに必要な最小量のエアロゾル形成基体を、5秒以内、好ましくは2秒以内、好ましくは1秒以内に最大摂氏250度にすることができなければならない。一回の吸煙に対してエアロゾルを発生するのに必要な最小量のエアロゾル形成基体は、最大1.2立方センチメートルであり得る。
【0038】
一部の実施形態では、IR放射のビームのエネルギー密度は、0.010ワット/平方センチメートル~30ワット/平方センチメートル、好ましくは、0.050ワット/平方センチメートル~6ワット/平方センチメートル、より好ましくは、0.100ワット/平方センチメートル~3ワット/平方センチメートルの範囲であり得る。
【0039】
一部の実施形態では、IR放射のビームの直径は、1ミリメートル~110ミリメートル、好ましくは、2ミリメートル~100ミリメートル、より好ましくは、5ミリメートル~80ミリメートルの範囲であり得る。概して、比較的大きな直径が、エアロゾル形成基体を予熱するために使用される。一部の実施形態では、比較的小さな直径が、要求に応じた吸煙に使用される。
【0040】
「IRビームの直径」という用語は、IR放射のビームによって直接照射されるエアロゾル形成基体の領域の直径を指し得る。
【0041】
IRエミッタとエアロゾル形成基体との間の距離は、最大30センチメートル、好ましくは最大20センチメートル、より好ましくは最大10センチメートルであり得る。
【0042】
IRエミッタによるエアロゾル形成基体の加熱の強度に対する制御は、加熱の波長を既に選択したものからわずかに共振を外すよう動かすことによって達成され得る。これは有利なことに、エアロゾル形成基体の所望の化合物、例えばグリセロールの吸収を最大化し得る。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体の加熱の強度に対する制御は、IRエミッタに供給される電力を変更することによって達成され得る。
【0043】
一部の実施形態では、IRエミッタは、レーザーを含み得る。一部の実施形態では、IRエミッタは、レーザーダイオードを含み得る。本発明のエアロゾル発生要素のフォトニック装置は、IRレーザーダイオードを含み得る。
【0044】
本発明のフォトニック装置は、エアロゾル形成基体を加熱するための唯一の加熱手段として使用され得る。一部の実施形態では、本発明のフォトニック装置は、一つ以上の追加的な加熱手段と組み合わせて使用され得る。任意の加熱手段を、追加的な加熱手段として使用してもよい。例としては、抵抗加熱手段、誘導加熱手段、または抵抗加熱手段および誘導加熱手段の両方の組み合わせなどの、電気加熱手段が挙げられる。
【0045】
一つ以上の実施形態では、エアロゾル発生要素は、レセプタクル内に受けられたエアロゾル形成基体を加熱するように構成された、電気加熱手段などの追加的な加熱手段を追加的に備えてもよい。追加的な電気加熱手段は、レセプタクルと熱接触してもよい。一つ以上の実施形態では、レセプタクルの少なくとも一部は、追加的な電気加熱手段によって形成されてもよい。
【0046】
追加的な加熱手段は、抵抗加熱手段を含むことが好ましい。例えば、追加的な加熱手段は、一つ以上の抵抗性ワイヤーまたは他の抵抗性要素を含み得る。抵抗性ワイヤーは、熱伝導性材料と接触して、生成された熱をより広い区域にわたって分配してもよい。適切な導電性材料の例としては、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、およびこれらの組み合わせが挙げられる。本開示の目的のために、抵抗性ワイヤーが熱伝導性材料と接触する場合、抵抗性ワイヤーと熱伝導性材料の両方は、レセプタクルの表面の少なくとも一部分を形成する加熱手段の一部である。
【0047】
一部の実施例において、追加的な加熱手段は誘導加熱手段を含む。例えば、追加的な加熱手段は、レセプタクルの表面を形成するサセプタ材料を含み得る。本明細書で使用される「サセプタ」という用語は、電磁エネルギーを熱に変換する能力を有する材料を指す。交流電磁場中に位置する時、典型的にサセプタの中で渦電流が誘導され、かつヒステリシス損失が生じる場合があり、サセプタの加熱を生じさせる。サセプタがエアロゾル形成基体と熱的に接触して位置している、またはエアロゾル形成基体に熱的に近接近して位置していると、基体はサセプタによって加熱され、これによってエアロゾルが形成される。サセプタはエアロゾル形成基体またはエアロゾル形成基体を含有するカートリッジと少なくとも部分的に直接、物理的に接触して配設されていることが好ましい。
【0048】
サセプタは、誘導加熱され得る任意の材料から形成されてもよい。サセプタは、エアロゾル形成基体からエアロゾルを発生させるのに十分な温度に誘導加熱され得る任意の材料から形成され得ることが好ましい。好ましいサセプタは金属または炭素を含む。好ましいサセプタは、強磁性材料(例えばフェライト鉄)、強磁性合金(強磁性鋼またはステンレス鋼など)、およびフェライトを含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。適切なサセプタはアルミニウムであってもよく、またはアルミニウムを含んでもよい。
【0049】
好ましいサセプタは金属サセプタ(例えばステンレス鋼)である。しかしながら、サセプタ材料はまた、黒鉛、モリブデン、炭化ケイ素、アルミニウム、ニオブ、インコネル合金(オーステナイトニッケルクロム系超合金)、金属化フィルム、セラミック(例えば、ジルコニウムなど)、遷移金属(例えば、Fe、Co、Niなど)、または半金属構成要素(例えば、B、C、Si、P、Alなど)を含んでもよく、またはそれらで作製されてもよい。
【0050】
サセプタは、5%超の、好ましくは20%超の、好ましくは50%または90%超の強磁性材料もしくは常磁性材料を含むことが好ましい。好ましいサセプタは摂氏250度を超える温度に加熱されてもよい。適切なサセプタは、非金属コアの上に配置された金属層を有する非金属コア(例えば、セラミックコアの表面上に形成された金属のトラック)を備えてもよい。
【0051】
シーシャ装置はまた、サセプタ材料中に渦電流および/またはヒステリシス損失を誘発するように構成された一つ以上の誘導コイルも備えてもよく、これは結果としてサセプタ材料の加熱をもたらす。サセプタ材料はまた、エアロゾル発生基体を含有するカートリッジの中に位置付けられてもよい。サセプタ材料を含むサセプタ素子は、例えばPCT特許出願公開(国際特許公開公報)第2014/102092号および同第2015/177255号に記載のものなどの、任意の適切な材料を備えてもよい。
【0052】
追加的な加熱手段は、誘導加熱手段であろうとまたはサセプタであろうと、加熱ブロックと熱的に連結されてもよい。追加的な加熱手段は、加熱ブロックと直接接触してもよい。加熱ブロックは任意の適切な熱伝導性材料を含んでもよい。一部の実施形態において、加熱ブロックはアルミニウム、アルミナ、またはアルミナセラミックを含む。加熱ブロックは、追加的な加熱手段の外部表面を形成してもよい。
【0053】
エアロゾル発生要素は、上述の加熱手段によってエアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生し得る。一部の実施形態では、エアロゾル形成基体は、好ましくは、約150°C~約250°C、より好ましくは、約180°C~約230°C、または約200°C~約230°Cの範囲の温度に加熱される。
【0054】
一部の実施形態では、IRビームは、枯渇剤として考案されてもよく、これは、エアロゾル形成が、IRビームがエアロゾル形成基体を照射する場所でのみ実質的に行われることを意味する。電気加熱手段が追加的に提供される場合、一部の実施形態では、電気加熱手段は、基体をエアロゾル形成基体の揮発温度を下回る一定の温度に維持し得る。IR加熱手段は、化合物をエアロゾル形成基体の揮発温度を超えて加熱してエアロゾルを発生するために、追加的なエネルギーを提供し得る。
【0055】
一部の実施形態では、IRビームは、エアロゾル形成基体の一部分の高速な初期揮発を提供するのに役立ち得るが、追加的な電気加熱手段は、より長い期間にわたってエアロゾル形成基体の大部分を加熱することを意味する。一部の従来の電気加熱配設では、電気シーシャ装置をオンにして電気加熱手段にエネルギーを供給することと、ユーザーが最初の吸煙を行い得る時間との間に比較的大きな遅延があり得る。この期間は、当技術分野では、「最初の吸煙までの時間」(TT1P)として知られている。したがって、IRビームと追加的な電気加熱手段を組み合わせることは、IR加熱のみを介して最初の一回、二回、または数回の吸煙用のエアロゾルを、追加的な電気加熱手段が比較的より大きな容積のエアロゾル形成基体を揮発性温度にすることができるまで提供することによってTT1Pを低減するのに役立ち得る。
【0056】
一つ以上の実施形態では、エアロゾル発生要素は窓を備える。窓は、フォトニック装置とレセプタクルとの間に位置し得る。一つ以上の実施形態では、窓は、IR放射のビームに対して実質的に透明であってもよい。窓は、光学素子とレセプタクルとの間の位置に位置してもよい。これらの実施形態では、IR光は、窓を通してレセプタクル内に伝達され得る。したがって、窓は、IRエミッタまたは光学素子の表面上の残留物の蓄積を防止し得る。窓は、IRエミッタおよび光学素子が汚染されることを防止するよう機能する。そうでなければ、エアロゾル形成基体を加熱することによる汚れおよび破片のような残留物が光学素子またはIRエミッタ、またはその両方に蓄積する場合がある。窓は、このような汚染に対して感受性が少なく、清掃が容易であり得る。この目的のために、窓は、清掃のために装置から取り外すことができる取り外し可能な構成要素であってもよい。
【0057】
一つ以上の実施形態では、光学素子は、IR放射のビームを反射するためのミラーを含む。ミラーは、ミラー内のビームの反射によってIR放射のビームを操作する光学素子として作用し得る。エアロゾル形成基体の照射される部分の寸法は、IR放射のビームをミラー内で反射させることによって操作され得る。ミラーは、湾曲ミラーであってもよい。
【0058】
湾曲ミラーの半径または有効半径は固定されていないが、動的に操作することができることが好ましい。湾曲ミラーの半径を操作するための適切な手段には、水または気圧が含まれるが、これらに限定されない。適切な可変半径ミラーは市販されており、動作中にビーム特性を動的に変化させることを可能にする。この目的のために、ミラー表面は可撓性材料から形成される。加えられる水または気圧を変化させることによって、可撓性のミラー表面が変形する。この変形は、ミラーの湾曲を変化させてIR放射のビームを動的に操作することを可能にする。
【0059】
別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体上のIRビームの位置は、ミラーが配設され得る移動可能な光学マウントによって動的に操作されてもよい。例えば、ミラーの反射角は、ステッパーモーターのマイクロ構造アセンブリを使用して動的に操作されてもよい。
【0060】
一つ以上の実施形態では、IR放射のビームは、フォトニック装置から湾曲ミラーに向けて伝播する入射IR放射ビームおよび湾曲ミラーからレセプタクルに伝播する反射IR放射ビームを含み、入射IR放射ビームと反射IR放射ビームとの間には角度があり、好ましくは、角度は約90度である。したがって、ビームは、湾曲ミラーによって、ある角度で、好ましくは約90度の角度で偏向される。IR放射のビームを、フォトニック装置からレセプタクルへのその経路に沿って所定の角度で偏向させることにより、エアロゾル発生要素を異なる形状で設計することが可能になり得る。例えば、ビームが所定の角度で偏向される場合、フォトニック装置は必ずしもレセプタクル内に含まれるエアロゾル形成基体の照射された表面に対して直線的な関係で配置される必要はない。これは、シーシャ装置のよりコンパクトな設計を可能にし得る。
【0061】
一つ以上の実施形態では、光学素子はレンズを含み得る。光学素子は、IR放射のビームをレセプタクルに向けた方向に広げるための凹状レンズ、およびIR放射のビームをレセプタクルに向けた方向に収束するための凸状レンズのうちの一つ以上を含み得る。
【0062】
凹状レンズは、IRビームを広げてIRビームのエネルギー密度を低下させ得る。こうした構成は、吸煙が行われない長い時間間隔の間、例えば、予熱段階または吸煙間において基体を所定の低温に維持するのに特に有用であり得る。
【0063】
凸状レンズは、IRビームを収束させてIRビームのエネルギー密度を増大させ得る。収束または集束ビームは、基体の特定の領域の急速な枯渇を可能にし得る。
【0064】
一つ以上の実施形態では、光学素子は、凸状形状と凹状形状との間で切り替えることができる可変レンズを含み得る。上述の可変ミラーと同様、これらの可変レンズは、可撓性材料から作製されてもよく、加えられる水または気圧を変化させることによって切り替えられてもよい。ここでも、圧力により誘起される変形がレンズの湾曲を変化させ得る。
【0065】
湾曲ミラーの半径が固定されていないが、レンズと同様に動的に操作され得る実施形態では、湾曲ミラーは、IRビームを収束すること、または広げること、または集束することおよび広げることの両方を、選択的に行うための光学素子として使用され得る。湾曲ミラーの曲率半径を増大させることによって、ビームはレセプタクルに向けた方向に広がる。湾曲ミラーの曲率半径を減少させることによって、ビームはレセプタクルに向けた方向に収束する。
【0066】
一つ以上の実施形態では、光学素子は、制御ユニットに接続されてもよい。制御ユニットは、IR放射によって加熱される、レセプタクル内に受けられたエアロゾル形成基体の特定の部分をユーザーが選択するために配設され得る。制御ユニットは、ユーザーがコマンドを入力し、それによって、IRビームを自身の好みに従って操作することを可能にするユーザーインターフェースを含む。ユーザーインターフェースは、ユーザーが基体のどの領域を加熱すべきかを合図することができるタッチスクリーンを含み得る。例えば、ステッパーモーターによって移動可能であり得る光学マウントが次に起動されて、IRビームを基体内の合図された地点に方向付けてもよい。さらに、ディスプレイは、基体のどの部分がすでに消費されたか、または少なくとも照射されたかを示し得る。制御ユニットは、非木炭で作動するシーシャにおける慣例の保持を最大化するために含まれ得る。概して、任意の適切なエアロゾル形成基体が、本発明に従って使用され得る。エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成する場合がある揮発性化合物を放出する能力を有する基体であることが好ましい。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体でも液体でもよく、固体および液体の両方の成分を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、固体を含むことが好ましい。
【0067】
エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。ニコチン含有エアロゾル形成基体はニコチン塩マトリクスを含んでもよい。エアロゾル形成基体は植物由来材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体はたばこを含むことが好ましく、たばこ含有材料は、加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有することが好ましい。エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含んでもよい。均質化したたばこ材料は、粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。エアロゾル形成基体は別の方法として、または追加的に、非たばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は均質化した植物由来材料を含んでもよい。
【0068】
エアロゾル形成基体は、例えば薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の破片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうち一つ以上を含んでもよい。
【0069】
エアロゾル形成基体は少なくとも一つのエアロゾル形成体を含んでもよい。エアロゾル形成体は、使用時に、密度が高く安定したエアロゾルの形成を容易にし、そしてシーシャ装置の使用温度で実質的に熱劣化耐性のある任意の好適な公知の化合物または化合物の混合物であってもよい。適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、これには多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセロールなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸、またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。特に好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコールまたはこれらの混合物(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、最も好ましくはグリセロールなど)である。エアロゾル形成基体は、他の添加物および成分(風味剤など)を含んでもよい。エアロゾル形成基体はニコチンおよび少なくとも一つのエアロゾル形成体を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態において、エアロゾル形成体はグリセロールである。
【0070】
エアロゾル形成基体は、任意の適切な量のエアロゾル形成体を含みうる。例えば、エアロゾル形成体含有量は、乾燥重量基準で5%以上であってもよく、乾燥質量基準で30重量%より高いことが好ましい。エアロゾル形成体の含有量は、乾燥質量基準で約95%未満であってもよい。エアロゾル形成体の含有量は最大約55%であることが好ましい。
【0071】
エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、第一の主表面、第二の主外表面、または第一の主表面および第二の主表面の両方の上に基体が堆積された薄層を備えてもよい。担体は、例えば紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、または穿孔された金属箔またはその他の任意の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。別の方法として、担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートなどの形態を取ってもよい。担体は、たばこ成分が組み込まれた不織布繊維または繊維束としうる。不織布または繊維の束は、例えば炭素繊維、天然セルロース繊維、またはセルロース誘導体繊維を含んでもよい。
【0072】
一部の実施例において、エアロゾル形成基体は、任意の適切な量の一つ以上の糖を含む。エアロゾル形成基体は、スクロースを粉砕することによって得られたグルコースとフルクトースの混合物である転化糖を含むことが好ましい。エアロゾル形成基体は、約1重量%~約40重量%の糖(転化糖など)を含むことが好ましい。一部の実施例では、一つ以上の糖は、コーンスターチまたはマルトデキストリンなどの適切な担体と混合されうる。
【0073】
いくつかの実施例では、エアロゾル形成基体は一つ以上の感覚促進剤を含む。適切な感覚促進剤は風味剤および冷却剤などの感覚剤を含む。適切な風味剤には、天然または合成のメントール、ハッカ、スペアミント、コーヒー、お茶、スパイス(シナモン、クローブおよびショウガなど)、ココア、バニラ、果実風味、チョコレート、ユーカリ、ゼラニウム、オイゲノール、リュウゼツラン、ビャクシン、アネトール、リナロオールおよびそれらの任意の組み合わせを含む。
【0074】
一部の実施例において、エアロゾル形成基体は懸濁液の形態である。例えば、エアロゾル形成基体は、糖蜜の形態であってもよい。本明細書で使用される「糖蜜」とは、約25%以上の糖を含むエアロゾル形成基体組成物を意味する。例えば、糖蜜は、少なくとも約40重量%の糖など、少なくとも約30重量%の糖を含み得る。典型的に、糖蜜は、約50重量%未満の糖など、約60重量%未満の糖を含有する。
【0075】
「たばこ材料」という用語は、例えばたばこブレンドまたは風味付きたばこを含むたばこを含む材料または物質を意味する。
【0076】
本明細書で使用される場合、エアロゾルの流れを論じるときに使用される「エアロゾル」という用語は、エアロゾル、エアロゾルもしくはベイパーを含有する空気、またはエアロゾルが混入した空気を意味し得る。ベイパーを含有する空気は、例えば、冷却後または加速後の、エアロゾルを含有する空気に対する前駆体であり得る。
【0077】
IRエミッタは、エアロゾル形成基体の任意の構成要素のIR吸収帯に対して適合されてもよい。IRエミッタは、エアロゾル形成基体の任意の構成要素のIR透過に対して適合されてもよい。
【0078】
本発明の別の態様によると、上述のエアロゾル発生要素を備えるシーシャ装置が提供されている。一つ以上の実施形態では、シーシャ装置は、空気導管および液体ベッセルをさらに備え得る。
【0079】
使用時に、発生されたエアロゾルは、エアロゾル導管を通って流れ得る。エアロゾル導管はまた、本明細書ではステムパイプとも呼ばれ得る。エアロゾル導管は、エアロゾル発生要素から気流を受けるように位置付けられた近位開口部を画定する近位端部分を備える。導管は、ベッセルの内部に位置付けられた遠位開口部を画定する遠位端部分を含む。ベッセルは、その中に液体を、液体充填レベルまで受けるように構成されている。エアロゾル導管は、ベッセルと流体連通している。気流チャネルは、エアロゾル発生要素とベッセルの内部との間に画定され得る。特に、エアロゾル発生要素は、導管によって、ベッセルと流体連通している。ベッセルの内部は、液体を受けるための下部容積と、ヘッドスペースのための上部容積とを含む。ベッセルは、液体充填レベルの上方のベッセルの上部容積と流体連通するヘッドスペース出口を含む。一部の実施形態では、ホースは、ヘッドスペース出口に接続されてもよい。マウスピースは、シーシャ装置のユーザーが吸煙するために、ホースに連結されてもよい。
【0080】
ベッセルは、ベッセル内に収容された内容物を消費者が観察することを可能にする光学的に透明または不透明なハウジングを含んでもよい。ベッセルは、液体充填ラインなどの液体充填境界を含んでもよい。ベッセルハウジングは任意の好適な材料で形成されてもよい。例えば、ベッセルハウジングは、ガラスまたは好適な剛直なプラスチック材料を含んでもよい。ベッセルは、消費者がベッセルを充填または清掃することを可能にするために、エアロゾル発生要素を有するシーシャ装置の一部分から取り外し可能であることが好ましい。
【0081】
ベッセルは、液体充填レベルまで充填されてもよい。液体は水を備えることが好ましく、これには一つ以上の着色剤、風味剤、または着色剤および風味剤が随意に注入されてもよい。例えば、水には、植物または薬草の浸出液のうちの一方または両方が注入されてもよい。一部の実施形態では、エアロゾルは、液体を通して引き出されることよって変化し得る。
【0082】
空気を、エアロゾル発生要素を通して流して、エアロゾル発生要素からエアロゾル導管を通してエアロゾルを引き出すことができる。エアロゾル導管は、気流チャネルを画定し得る。気流は、ベッセルのヘッドスペース出口を通してシーシャ装置を出ることができる。空気は、ヘッドスペース出口に陰圧を加えることによってエアロゾル導管を通って流れ得る。陰圧の供給源は、ユーザーの吸込みまたは吸煙であり得る。応答して、エアロゾルが、ベッセルの内部に収容される液体を通して、エアロゾル導管を通って引き出され得る。ユーザーは、ヘッドスペース出口と流体連通するマウスピースを吸込んで、ヘッドスペース出口またはマウスピースに陰圧を発生させるか、または提供することができる。一部の実施形態では、気流は、シーシャ装置のエアロゾル形成基体レセプタクルに入り、エアロゾル形成基体に沿ってまたはこれを横切って流れてエアロゾルに混入し得る。次に、エアロゾルが混入された空気は、導管を通してレセプタクル内の出口からベッセルに流れてもよい。
【0083】
本明細書で使用される場合、「下流」という用語は、エアロゾル導管に沿って、エアロゾル発生要素からベッセルの内部に向かう方向を指す。「上流」という用語は、下流方向と反対の方向、またはエアロゾル導管に沿って、ベッセルの内部からエアロゾル発生要素に向かう方向を意味する。
【0084】
エアロゾル導管は、エアロゾル発生要素とベッセルの内部との間に位置付けられている。エアロゾル導管は、エアロゾル導管に沿って一つ以上の構成要素を備え得る。エアロゾル導管は、エアロゾル発生要素から気流を受けるように位置付けられた近位開口部を画定する近位端部分を備える。エアロゾル導管は、ベッセルの内部に位置付けられた遠位開口部を画定する遠位端部分を備える。エアロゾル導管の遠位端部分は、シーシャ装置の使用中に、ベッセルの内部内のある容積の液体の中へと延びてもよい。
【0085】
エアロゾル導管は、近位端部分および遠位端部分を通って延びる長手方向軸を画定するものとして記載され得る。横方向は、長手方向軸に直交するものとして画定され得る。例えば、エアロゾル導管の断面、外周、幅、または直径は、横方向に、または長手方向軸と直交する平面で画定され得る。
【0086】
本発明のさらに別の態様によると、本発明のシーシャ装置とエアロゾル発生物品とを備えるエアロゾル発生システムが提供される。概して、エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生要素のレセプタクルに取り外し可能に取り付けられる消耗品である。エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を含む。
【0087】
一つ以上の実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体からなる。例えば、エアロゾル発生物品は、ばらのシーシャ糖蜜であってもよい。一つ以上の実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を封入する外側シェルを含むカートリッジを備える。
【0088】
概して、レセプタクルは、エアロゾル形成基体またはエアロゾル発生物品を受けるように構成される。したがって、レセプタクルは、エアロゾル形成基体またはエアロゾル形成基体を含有するカートリッジを受けるように構成される。
【0089】
レセプタクルは、一つ以上の空気吸込み口チャネルと連通する任意の適切な数の開口部を含み得る。一部の実施形態では、レセプタクルは1~1000個の開口部(1~500個の開口部など)を含んでもよい。開口部は、均一なサイズであってもよく、不均一なサイズであってもよい。開口部は、均一な形状であっても、不均一な形状であってもよい。開口部は均一に分布されてもよく、または不均一に分布されてもよい。開口部は、レセプタクルの任意の適切な場所に形成されてもよい。例えば、開口部は、レセプタクルの上部または底部のうちの一方または両方に形成されてもよい。開口部はレセプタクルの底部に形成されていることが好ましい。
【0090】
レセプタクルは、基体またはカートリッジがレセプタクルによって受けられたときに、レセプタクルの一つ以上の壁または天井とエアロゾル形成基体を含むエアロゾル形成基体またはカートリッジとの間の接触を可能にするような形状およびサイズであることが好ましい。有利なことに、これは、発熱体によるエアロゾル形成基体の導電加熱を促進する。
【0091】
レセプタクルの内部およびエアロゾル形成基体を含むカートリッジの外部は、類似のサイズおよび寸法であることが好ましい。レセプタクルの内部は、約1.5対1よりも大きい高さ対基部幅(または直径)比を有することが好ましい。カートリッジの外部は、約1.5対1よりも大きい高さ対基部幅(または直径)比を有することが好ましい。こうした比は、発熱体からの熱がカートリッジの中心部へと貫通するのを可能にすることによって、使用中にカートリッジ内のエアロゾル形成基体のより効率的な枯渇を可能にする場合がある。例えば、レセプタクルおよびカートリッジは、高さに対して約1.5~約5倍、または高さの約1.5~約4倍、または高さに対して約1.5~約3倍の基部直径(または幅)を有してもよい。同様に、レセプタクルおよびカートリッジは、基部直径(または幅)の約1.5~約5倍、または基部直径(または幅)の約1.5~約4倍、または基部直径(または幅)の約1.5~約3倍の高さを有してもよい。レセプタクルおよびカートリッジは、約1.5対1~約2.5対1の高さ:基部直径の比または基部直径:高さの比を有することが好ましい。
【0092】
一部の実施形態では、レセプタクルの内部およびカートリッジの外部は、それぞれ約15ミリメートル~約30ミリメートルの範囲の基部直径、および約40ミリメートル~約60ミリメートルの範囲の高さを有する。
【0093】
レセプタクルは、一つ以上の部品から形成されてもよい。レセプタクルは二つ以上の部品によって形成されることが好ましい。レセプタクルの少なくとも一部は、カートリッジをレセプタクルの中へと挿入するためのレセプタクルの内部へのアクセスを可能にするために、別の部品に対して移動可能であることが好ましい。例えば、一つの部品は、部品が分離された時にエアロゾル形成基体またはエアロゾル形成基体を収容するカートリッジの挿入を可能にするために、別の部品に取り外し可能に取り付け可能であってもよい。部品は、ねじ係合、締まり嵌め、スナップ嵌め、またはこれに類するものによってなど、任意の適切な方法で取り付け可能であってもよい。一部の実施形態において、部品はヒンジを介して互いに取り付けられている。部品がヒンジを介して取り付けられている場合、部品はまた、レセプタクルが閉位置にある時に部品を互いに対して固定するための係止機構を含んでもよい。一部の実施形態では、レセプタクルは、エアロゾル形成基体またはカートリッジが引き出し内に配置されることを可能にするように摺動的に開けられてもよく、かつシーシャ装置が使用されることを可能にするように摺動的に閉めることのできる引き出しを含む。
【0094】
エアロゾル形成基体を少なくとも部分的に収容するための任意の適切なエアロゾル発生物品が、本明細書に記載するシーシャ装置で使用され得る。エアロゾル発生物品はカートリッジを備え得る。カートリッジ、カートリッジの内容物、またはカートリッジおよびカートリッジの内容物の両方が、発熱体によって加熱されるように配設されてもよい。別の方法として、カートリッジ内に提供されていないエアロゾル形成基体がレセプタクル内に配置されてもよい。
【0095】
カートリッジは、熱伝導性の本体を含むことが好ましい。例えば、本体は、アルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、銀、およびそれらの一つ以上の組み合わせのいずれか一つを含み得る。本体はアルミニウムを含むことが好ましい。一部の実施形態において、カートリッジは、アルミニウムよりも熱伝導性の低い一つ以上の材料を含む。例えば、本体は、任意の適切な熱的に安定な高分子材料を含み得る。材料が十分に薄い場合、特に相対的に熱伝導性ではない材料から本体が形成されていても、本体を通して十分な熱が内部に収容されているエアロゾル形成基体に伝達され得る。
【0096】
カートリッジは、一つ以上の開口部を含み得る。一部の実施形態では、一つ以上の開口部は、使用時にカートリッジを通した気流を可能にするために、本体の上部および底部に形成され得る。レセプタクルの上部が一つ以上の開口部を含む場合、カートリッジの上部にある少なくとも一部の開口部は、レセプタクルの上部にある開口部と整列してもよい。カートリッジは、カートリッジがレセプタクルの中に挿入されている時に、レセプタクルの相補的な整列特徴部と嵌合してカートリッジの開口部をレセプタクルの開口部と整列させるように構成された整列特徴部を備えてもよい。カートリッジの本体内の開口部は、カートリッジ内に貯蔵されたエアロゾル形成基体がカートリッジから漏れ出るのを防止するために、貯蔵中は覆われてもよい。追加的に、または別の方法として、カートリッジの本体の開口部は、エアロゾル形成基体がカートリッジから出るのを防止または抑止するのに十分に小さい寸法を有してもよい。開口部が覆われている場合、消費者はカートリッジをレセプタクルの中に挿入する前にカバーを取り外してもよい。一部の実施形態では、シーシャ装置はカートリッジを穿孔してカートリッジに開口部を形成するように構成されている。一部の実施形態において、シーシャ装置のレセプタクルはカートリッジを穿孔してカートリッジに開口部を形成するように構成されている。
【0097】
カートリッジは、任意の適切な形状であってもよい。カートリッジは、円錐台形または円筒形状を有することが好ましい。
【0098】
カートリッジはリッドを有してもよい。リッドは取り外し可能であり得る。取り外し可能なリッドは、エアロゾル発生要素を使用してカートリッジ内のエアロゾル形成基体を照射する前に取り外されてもよい。これは、インターフェース材料の吸収を通したエネルギー損失を最小化し、エアロゾル形成基体の直接照射を最大化し得る。カートリッジは、ユーザーが、予め調製されたシーシャカートリッジを購入する代わりに、基体を別個に購入して基体を手動で装填するように、再利用可能であってもよい。これは、従来のシーシャ慣例により似ているという利点を提供し得る。
【0099】
一つ以上の実施形態では、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体を封入する外側シェルを含むカートリッジを備え、エアロゾル発生要素は、カートリッジ内のエアロゾル形成基体を直接加熱する、またはカートリッジの外側シェルを直接加熱し、カートリッジの外側シェルを介してカートリッジ内のエアロゾル形成基体を間接的に加熱する、のいずれかを行うように構成されている。
【0100】
シーシャ装置は、抵抗発熱体、誘導コイル、フォトニック装置、光学素子および/または移動可能な光学マウントに動作可能に連結された制御電子機器を備えてもよい。制御電子機器は発熱体の加熱を制御するように構成されている。
【0101】
制御電子機器は、任意の適切な形態で提供され得る。制御電子機器は、コントローラを含み得る。制御電子機器は、メモリを含み得る。メモリは、シーシャ装置の一つ以上の構成要素に制御電子機器の機能または態様を実行させる命令を含み得る。本開示における制御電子機器に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアのうちの一つまたは複数として具現化され得る。メモリは、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0102】
具体的には、本明細書に記載のコントローラなどの一つ以上の構成要素は、中央処理装置(CPU)、コンピュータ、論理アレイ、または制御電子機器の中に入る、または制御電子機器から出るデータを方向付ける能力を有するその他の装置などのプロセッサを含み得る。コントローラは、メモリ、処理手段、および通信ハードウェアを有する一つ以上のコンピューティング装置を含み得る。コントローラは、コントローラの様々な構成要素をまとめて連結するために、またはコントローラに動作可能に連結された他の構成要素と連結するために使用される回路を含んでもよい。コントローラの機能は、ハードウェアによって実施されてもよい。コントローラの機能は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に格納されたコンピュータ命令によって実施されてもよい。コントローラの機能は、ハードウェアおよび非一時的コンピュータ可読記憶媒体に格納された命令の両方によって実施されてもよい。
【0103】
コントローラがプロセッサを含む場合、プロセッサは、一部の実施形態では、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および等価のディスクリート論理回路もしくは集積論理回路のうちの任意の一つ以上を含んでもよい。一部の実施形態では、プロセッサは、一つ以上のマイクロプロセッサ、一つ以上のコントローラ、一つ以上のDSP、一つ以上のASIC、および一つ以上のFPGA、ならびにその他のディスクリート論理回路または集積論理回路の任意の組み合わせなどの複数の構成要素を含んでもよい。本明細書のコントローラまたはプロセッサに帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはこれらの任意の組み合わせとして具現化され得る。本明細書にはプロセッサベースのシステムとして記載されているが、代替的なコントローラは、リレーおよびタイマーなどの他の構成要素を利用し、単独またはマイクロプロセッサベースのシステムと組み合わせて、望ましい結果を達成することができる。
【0104】
一つ以上の実施形態において、例示的なシステム、方法、およびインターフェースは、一つ以上のプロセッサ、メモリ、またはメモリおよび一つ以上のプロセッサの両方を含み得る、コンピューティング器具を使用して、一つ以上のコンピュータプログラムを使用して実装されてもよい。本明細書に記載のプログラムコード、論理、またはコードおよび論理の両方は、入力データまたは情報に適用されて、本明細書に記載の機能を実施し、かつ所望の出力データ/情報を生成してもよい。出力データまたは情報は、本明細書に記載の通りに、または周知の様式で適用されるように、一つ以上の他の装置または方法に、入力として適用されてもよい。上記を考慮すると、本明細書に記載の通りのコントローラ機能が、当業者に周知の任意の様態で実施されてもよいことは容易に明らかであろう。
【0105】
一部の実施形態では、制御電子機器はマイクロプロセッサを含み得るが、これはプログラム可能マイクロプロセッサでもよい。電子回路は電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター要素または誘導コイルに供給されてもよい。
【0106】
発熱体が抵抗発熱体を含む場合、一部の実施形態では、制御電子機器は発熱体の電気抵抗を測定または監視するように構成され得る。一部の実施形態では、制御電子機器は、発熱体の電気抵抗に応じて、発熱体への電力の供給を制御するように構成され得る。このように、制御電子機器は抵抗素子の温度を調節し得る。
【0107】
加熱構成要素が誘導コイルを含み、発熱体がサセプタ材料を含む場合、一部の実施形態では、制御電子機器は、誘導コイルの態様を監視するように構成され得る。一部の実施形態では、制御電子機器は、例えば、WO2015/177255号に記載されるようなコイルの態様に応じて、誘導コイルへの電力の供給を制御するように構成され得る。このようにして、制御電子機器はサセプタ材料の温度を調節してもよい。
【0108】
シーシャ装置は、温度センサーを備えてもよい。温度センサーは、熱電対を備えてもよい。温度センサーは、発熱体の温度を制御するために制御電子機器に動作可能に結合されてもよい。温度センサーは、任意の好適な場所に位置付けられ得る。例えば、温度センサーは、加熱されるエアロゾル形成基体の温度を監視するために、レセプタクル内に受けられたエアロゾル形成基体またはカートリッジの中へと挿入されるように構成されてもよい。加えて、または別の方法として、温度センサーは発熱体と接触してもよい。加えて、または別の方法として、温度センサーは、エアロゾル発生要素のエアロゾル出口など、シーシャ装置のエアロゾル出口での温度を検出するように位置付けられてもよい。加えて、または別の方法として、温度センサーは、ヒートポンプの加熱される側面などの、冷却要素と接触してもよい。センサーは、感知された温度に関する信号を制御電子機器に送信してもよく、これは発熱体の加熱を調整して、センサーでの好適な温度を達成し得る。
【0109】
K型熱電対などの、任意の好適な熱電対が使用され得る。熱電対は、カートリッジ内の温度が最も低い場所に配置され得る。例えば、熱電対は、カートリッジの中心または中央に配置され得る。一部のシーシャ装置では、熱電対は、例えば、基体のレセプタクルと発熱体(木炭など)との間に熱電対を配置した後に基体を上部に配置することによって、エアロゾル形成基体(糖蜜など)の下に配置され得る。
【0110】
シーシャ装置が温度センサーを含むかどうかにかかわらず、装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなくエアロゾルを発生するのに十分な程度までレセプタクル内に受けられたエアロゾル形成基体を加熱するように構成されることが好ましい。
【0111】
制御電子機器は、シーシャ装置の電源に動作可能に連結されてもよい。シーシャ装置は任意の適切な電源を備えてもよい。例えば、シーシャ装置の電源は、電池または電池の組(例えば、電池パック)であってもよい。一部の実施形態では、陰極要素および陽極要素などの電池の一つまたは二つ以上の構成要素、または電池全体さえもが、それらが配置されるシーシャ装置の一部の幾何学的形状に一致するよう適合され得る。一部の事例では、電池または電池構成要素は、幾何学的形状に一致するために転動または組立によって適合され得る。電源ユニットの電池は再充電可能であり得る。電源の電池は取り外し可能かつ交換可能であってもよい。任意の適切な電池が使用されてもよい。例えば、市販のヘビーデューティータイプの電池または標準的な電池(産業用のヘビーデューティー電動工具のために使用される電池など)である。別の方法として、電源ユニットは、スーパーコンデンサまたはハイパーコンデンサを含む任意のタイプの電力供給源であってもよい。一部の実施形態では、シーシャ装置は、外部電力供給源に接続可能であってもよく、またこうした目的のために電気的および電子的に設計されていてもよい。用いられる電源のタイプにかかわらず、電源は、再充電または外部電力供給源への接続を必要とする前に、少なくとも約30分、好ましくは、少なくとも約50分、より好ましくは、少なくとも約70分の装置の連続的な動作の間のシーシャ装置の正常な機能のために十分なエネルギーを提供することが好ましい。
【0112】
シーシャ装置は加速要素を備えてもよい。エアロゾルが混入した空気は、一つ以上の加速要素を通過すると減圧する場合がある。エアロゾルが混入した空気は、その後、ステムパイプを通ってベッセル内に入り、その後、ユーザーによって吸入され得る。加速要素は、エアロゾル導管の気流チャネルなどに沿って、エアロゾル導管に沿って位置付けられ得る。特に、加速要素は、エアロゾル導管に沿って位置付けられ得る。加速要素は、気流チャネルまたはエアロゾル導管の一部を一体的に形成してもよい。加速要素は、加速要素を通って流れるエアロゾルを加速させるように構成され得る。
【0113】
シーシャ装置は、冷却要素を備え得る。冷却要素は、気流チャネルまたはエアロゾル導管に沿って配置され得る。冷却要素は、気流チャネルまたはエアロゾル導管の一部を一体的に形成し得る。冷却要素は、気流チャネル内のエアロゾル、特に冷却要素を通って、または通過して流れる空気を冷却するように構成される。冷却要素は、気流チャネルに沿ってエアロゾル発生要素から下流に配置され得る。具体的には、冷却要素は、エアロゾル発生要素と気流チャネルの端との間に、または少なくともエアロゾル発生要素とベッセルとの間に配置されてもよい。さらに、冷却要素は、減速チャンバー、もしくはステムパイプの減速部分に隣接して、または可能な限り近接して位置付けられてもよく、これにより、エアロゾル生成のための急速な冷却を促進することができる。冷却要素は、受動的な冷却、能動的な冷却、またはその両方を利用し得る。冷却要素は、熱伝導性材料の導管を含み得る。
【0114】
本発明の別の態様によれば、シーシャ装置でエアロゾルを形成するための方法が提供されている。方法によれば、IR放射のビームは、フォトニック装置によって発生する。さらに、IR放射のビームは、フォトニック装置から、シーシャ装置のレセプタクル内に受けられたエアロゾル形成基体に方向付けられる。最終的に、レセプタクル内に受けられたエアロゾル形成基体は、IR放射のビームによって加熱される。結果として、エアロゾル形成基体の温度は、IR光の吸収に伴い上昇する。エアロゾル形成基体の温度は、エアロゾルが形成される気化温度に到達するまで、IR光の吸収に伴い上昇し得る。
【0115】
方法の一つ以上の実施形態では、IR放射のビームの波長は、エアロゾル形成基体の少なくとも構成要素がIR放射を吸収する波長に対応するように選択される。
【0116】
方法の一つ以上の実施形態では、方法は、IR放射のビームによってシーシャ装置のレセプタクル内に受けられたエアロゾル形成基体を加熱する前に、IR放射のビームを操作することを含む。方法のいくつかの実施形態では、IR放射のビームを操作することは、一つ以上の光学素子を使用して、放射のIRビームを操作することを含む。一部の実施形態では、一つ以上の光学素子は、移動可能なマウント上に提供されてもよい。したがって、エアロゾル形成基体の異なる部分は、選択的に、例えば逐次的に加熱され得る。
【0117】
本方法のいくつかの実施形態では、方法は、IR放射のビームを動的に操作することを含む。一部の実施形態では、前述の動的操作は、エアロゾル形成基体の異なる部分が選択的に、例えば逐次的に加熱されるように、光学素子の移動可能なマウントによって達成され得る。
【0118】
方法の一つ以上の実施形態では、方法は、追加的な電気加熱手段によってエアロゾル形成基体を加熱することを含む。こうして、エアロゾル形成基体は、IR放射のビームおよび追加的な電気加熱手段の両方によって同時に加熱され得る。
【0119】
例示の目的のために、本明細書に記載の通りのシーシャ装置を使用する一つの方法が下記に、時系列で提供されている。ベッセルは、シーシャ装置の他の構成要素から取り外され、水で充填されてもよい。天然の果実飲料、植物成分、および薬草の浸出液のうちの一つ以上が、風味付けのために水に添加されてもよい。添加される液体の量は、主導管の一部分を覆うべきであるが、ベッセル上に随意に存在する場合がある充填レベルマークを越えてはならない。次いで、ベッセルは、シーシャ装置へと再度組み付けられる。エアロゾル発生要素の一部分は、エアロゾル形成基体またはカートリッジをレセプタクルの中へと挿入できるように取り外され、または開かれてもよい。その後、エアロゾル発生要素は再組み立てされるかまたは閉じられる。その後、装置はオンにされてもよい。ユーザーは、所望の量のエアロゾルが生成されて、空気加速吸込み口を有するチャンバーを充填するまで、マウスピースから吸煙してもよい。ユーザーは、望む通りにマウスピースで吸煙してもよい。ユーザーは、チャンバー内にエアロゾルが見えなくなるまで、装置を使い続けてもよい。カートリッジまたは基体が使用可能なエアロゾル形成基体を消耗した時に、装置は自動的に停止することが好ましい。別の方法として、または加えて、消費者は、例えば、消耗品が枯渇した、またはほとんど枯渇したという合図を装置から受けた後、装置を未使用のエアロゾル形成基体または未使用のカートリッジで再充填してもよい。未使用基体またはカートリッジで再充填されると、装置を継続して使用することができる。シーシャ装置は、例えば装置のスイッチをオフにすることによって、消費者によっていつでもオフにできることが好ましい。
【0120】
一部の実施例において、ユーザーは、例えばマウスピース上の起動要素を使用することによって一つ以上の発熱体を起動してもよい。例えば、起動要素は、制御電子機器と無線通信してもよく、また制御電子機器に信号を送って、スタンバイモードから最大加熱まで発熱体を起動してもよい。こうした手動起動は、カートリッジ中のエアロゾル形成基体の過熱または不要な加熱を防止するために、ユーザーがマウスピースを吸煙する間のみ有効であることが好ましい。
【0121】
一部の実施例では、マウスピースは、制御電子機器と無線通信する吸煙センサーを含み、消費者によるマウスピースの吸煙は、スタンバイモードから最大の加熱までの発熱体の作動を生じさせる。
【0122】
本発明のシーシャ装置は、任意の好適な空気管理を有する場合がある。一実施例では、ユーザーからの吸煙動作は、装置の内側の低圧を生じさせる吸引効果を作り出すことになり、これによって外部の空気を装置の空気吸込み口を通して流し、空気吸込み口チャネル内、およびエアロゾル発生要素のレセプタクル内に流すことになる。次いで空気は、エアロゾル形成基体、またはレセプタクル内の基体を収容するカートリッジを通して流れ、レセプタクルのエアロゾル出口を通してエアロゾルを搬送する場合がある。その後、エアロゾルは、チャンバーの空気加速吸込み口の第一の開口部の中へと流れてもよい(エアロゾル発生要素の出口がチャンバーの空気加速吸込み口としても機能しない限り)。空気がチャンバーの吸込み口を通して流れると、空気は加速される。加速された空気は、第二の開口部を通して吸込み口を出て、チャンバーの主チャンバーに入り、ここで空気は減速される。主チャンバー内での減速は、チャンバー内の可視的なエアロゾルの強化をもたらす核形成を改善する場合がある。エアロゾル化された空気はその後、チャンバーを出て主導管を通して流れ(主導管がチャンバーの主チャンバーである場合を除き)、ベッセルの内側の液体へと流れてもよい。その後、エアロゾルは、泡になって液体から出て、そして液体のレベルの上方のベッセル内の上部スペースへと入り、そしてホースおよびマウスピースを通して消費者へと送達するために、上部スペース出口を出る。外部の空気の流れ、およびシーシャ装置内側のエアロゾルの流れは、ユーザーからの吸煙動作によって駆動される場合がある。
【0123】
本発明のシーシャ装置のすべての主要部品の組立品が、装置の密封機能を確実にすることが好ましい。密封機能は、適正な気流の管理が行われることを確実にするべきである。密封機能は、任意の適切な方法で達成されてもよい。例えば、シールリングおよびシールワッシャーなどのシールが、密封シールを確保するため使用されてもよい。
【0124】
シールリングおよびシールワッシャーまたはその他のシール要素は、任意の好適な材料で作製され得る。例えば、シールは、グラフェン化合物およびシリコン化合物のうちの一つ以上を含んでもよい。その材料は、米国食品医薬品局によって、ヒトにおける使用が認可されていることが好ましい。
【0125】
チャンバー、チャンバーからの主導管、レセプタクルのカバーハウジング、およびベッセルなどの主要部品は、任意の好適な材料で作製されてもよい。例えば、これらの部品は、ガラス、ガラス系化合物、ポリスルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PES)、またはポリフェニルスルホン(PPSU)から独立して作製されてもよい。それらの部品は、標準的な食器洗い機での使用に好適な材料で形成されることが好ましい。
【0126】
一部の実施例では、本発明のマウスピースは、ホースユニットに接続するためのクイックカップリングのオス/メスの特徴を組み込む。
【0127】
電子IR加熱式シーシャ装置は以下のように動作し得る。エアロゾル形成基体を充填されたカートリッジは、IR放射によって加熱され得る。この目的のために、エアロゾル発生要素は、IR放射をエアロゾル形成基体に方向付ける。エアロゾル発生要素は、提供される温度がエアロゾル形成基体を燃焼することなく、または焼却することなく、エアロゾルを発生させるのに十分なように構成され得る。ユーザーは、電子シーシャから空気を引き出してもよく、空気は、空気吸込み口チャネルを介して入り、冷却要素を通過してカートリッジに沿って進んだ後、カートリッジの底部に向かって進み、その後、レセプタクルの底部に進み得る。発生したエアロゾルは、加速要素を通過する間に加速され得る。加速前または加速中に、発生したエアロゾルは、冷却要素によって冷却されて、エアロゾルの濃縮を増大させ得る。エアロゾルは、チャンバーに入り、チャンバーの内側で膨張するのに伴い、圧力変化を経験し得るが、これにより、エアロゾルは、ベッセルの下部容積内の水中に部分的に浸漬される、主導管またはステムパイプを通過する前に減速し得る。発生したエアロゾルは水を通過し、ホースによって抽出される前にベッセルの上部容積内に広がる。
【0128】
方法の一つ以上の実施形態では、エアロゾル形成基体は、シーシャ糖蜜を含む。
【0129】
本発明の一態様によれば、上述の方法を実行するためのソフトウェアを含む、非一時的コンピュータ可読媒体が提供されている。
【0130】
本発明の一態様によれば、上述の方法を実装するように構成されたコントローラが提供されている。一部の実施形態では、前述のコントローラは、上述の方法を実行するためのソフトウェアを含む。一部の実施形態では、ソフトウェアは、上述の非一時的コンピュータ可読媒体においてコントローラの一部として提供されている。
【0131】
本明細書で使用される全ての科学的用語および技術的用語は、別途指定のない限り、当技術分野で一般的に使用される意味を有する。本明細書で提供されている定義は、本明細書で頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものである。
【0132】
一態様に関して説明された特徴は、本発明の他の態様にも等しく適用されうる。
【0133】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0134】
図1図1は、本発明のエアロゾル発生要素を含むシーシャ装置を示す。
図2図2は、一実施形態による本発明のエアロゾル発生要素を示す。
図3図3Aおよび3Bは、別の実施形態による本発明のエアロゾル発生要素を示す。
図4図4Aは、別の実施形態による本発明のエアロゾル発生要素を示す。図4Bは、別の実施形態による本発明によるエアロゾル発生要素を示す。
図5図5Aは、一実施形態による本発明のシーシャ装置を示し、シーシャ装置は、本発明のエアロゾル発生要素を備える。 図5Bは、本発明のエアロゾル発生要素と使用するための制御ユニットを示す。
図6図6は、グリセロールのIRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0135】
シーシャ装置100は、エアロゾル形成基体20(図示せず)を受けるように構成されたエアロゾル発生要素10を備える。エアロゾル発生要素10は、エアロゾル形成基体20を、例えば、図2に関して以下で論じるようにIR放射によって加熱して、エアロゾルを発生し得る。使用時に、発生されたエアロゾルは、エアロゾル導管を通って流れる。エアロゾル導管は、ステムパイプ34の一部として提供されてもよい。エアロゾル導管は、エアロゾル発生要素10からの気流を受けるように位置付けられた近位開口部42を画定する近位端部分と、ベッセル46の内部に位置付けられた遠位開口部44を画定する遠位端部分とを含む。
【0136】
ステムパイプ34は、ベッセル46と流体連通している。気流チャネルは、エアロゾル発生要素10とベッセル46の内部との間に画定されている。特に、エアロゾル発生要素10は、気流チャネルを少なくとも部分的に画定するステムパイプ34によって、ベッセル46と流体連通している。ベッセル46の内部は、ヘッドスペースのための上部容積48と、液体のための下部容積50とを含む。ホース52は、液体ラインより上の、ベッセル46の側面に形成されたヘッドスペース出口54を通して上部容積48と流体連通している。マウスピース56は、装置100のユーザーのためにホース52に連結されている。
【0137】
発生したエアロゾルは、エアロゾル発生要素10を通り、ステムパイプ34を介して気流チャネルを通って下部容積49の中へと流れ得る。エアロゾルは、下部容積49内の液体を通過して、上部容積48の中へと上昇する。ユーザーによるホース52のマウスピース56の吸煙により、上部容積48内のエアロゾルがヘッドスペース出口54を通して、吸入のためにホース20の中へと引き出され得る。特に、マウスピース56の陰圧がヘッドスペース出口54の陰圧へと変換されることにより、エアロゾル発生要素10およびステムパイプ34を通る気流を引き起こし得る。
【0138】
図2は、図1のシーシャ装置100の一部としての、エアロゾルを発生するための本発明のエアロゾル発生要素10の実施形態を示す。エアロゾル発生要素10は、IR放射のビーム16を発生および放射するように構成されたフォトニック装置14を含む。図2の実施形態では、IR放射のビーム16は、1ワット~20ワットの電力で1300ナノメートル~2000ナノメートルの波長を有する放射を放射するIRレーザーダイオードによって発生される。エアロゾル発生要素10は、エアロゾル形成基体20を受けるためのレセプタクル18をさらに備える。エアロゾル発生要素10は、IR放射のビーム16をフォトニック装置14からレセプタクル18に受けられたエアロゾル形成基体20に方向付けることによって、エアロゾル形成基体20を加熱するように配設される。光学素子22は、フォトニック装置14とレセプタクル18との間のIR放射のビーム16の経路に位置する。光学素子22は、IR放射のビーム16を操作するように構成される。図2の実施形態では、光学素子22は、ビーム16が方向を変えるようにビーム16を反射させることによって、IR放射のビーム16を操作するための湾曲ミラーを含む。湾曲ミラーの半径は、固定されるものではなく、むしろ例えば、水または気圧によって動的に操作され得ることが好ましい。
【0139】
光学素子22は、光学マウント24によってエアロゾル発生要素10内に取り付けられる。図2に示す実施形態では、IR放射のビーム16は、フォトニック装置14から湾曲ミラーに向けて伝播する入射IR放射ビームおよび湾曲ミラーからレセプタクル18に伝播する反射IR放射ビームを含む。湾曲ミラーは、IR放射のビーム16を反射し、ビームの方向を新たな方向に変えるが、この方向は、ビームの元の方向に対して約90度の角度にある。したがって、IR放射の入射ビームとIR放射の反射ビームとの間には約90度の角度がある。しかしながら、所望に応じて、他の反射角が調整されてもよい。
【0140】
光学マウント24は、異なる反射角を調整するために移動可能であってもよい。IR放射のビーム16が基体を照射するエアロゾル形成基体20上の位置は、移動可能な光学マウント24によって動的に操作され得る。例えば、入射IRビームに対する湾曲ミラーの回転角度は、移動可能な光学マウント24を使用して操作され得る。例えば、移動可能な光学マウント24は、ステッパーモーターのマイクロ構造のアセンブリを含み得る。こうして、エアロゾル形成基体20の個別の部分の選択的な加熱が達成され得る。したがって、選択的な加熱によって、エアロゾル形成基体20の異なる部分の逐次的な加熱を達成することが可能になり得る。
【0141】
図2の実施形態は、光学素子22とレセプタクル18との間の位置に位置し、IR放射のビーム16に対して実質的に透明な窓26をさらに備える。IR放射の反射ビーム16は、窓26を通ってレセプタクル18内に伝達される。窓26は、レーザーダイオードの表面上および湾曲ミラー上に残留物が蓄積するのを防止する。
【0142】
図2は、シーシャ装置12のエアロゾル発生要素10の実施例のいくつかの詳細をさらに示す。
【0143】
装置内への気流を可能にするために、レセプタクル18は、少なくとも一つの空気吸込み口28を含む。レセプタクル18内には、受けられたエアロゾル形成基体20が存在し得る。エアロゾル形成基体20は、カプセル30内に提供されたエアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。一部の実施形態では、カプセル30のリッドは、加熱前に開かれても、または取り外されてもよい。例えば、図示した実施形態などのいくつかの実施形態では、カプセル30は、IRレーザーダイオードから最大5センチメートルの距離に配置される。例えば、図示した実施形態などのいくつかの実施形態では、カプセル30はリッドを有していない。これは、インターフェース材料の吸収によるエネルギー損失を防止または少なくとも低減するのに役立ち得る。これはまた、エアロゾル形成基体20の直接照射を最大化するのに役立ち得る。
【0144】
IR放射のビーム16を吸収すると、エアロゾル形成基体20の温度は、ベイパーが発生してレセプタクル18内にエアロゾルが形成される温度に到達するまで上昇する。カプセル30の下側には、気流がカプセル30を通ることを可能にするための一つまたは複数の開口部32などの気流出口が提供される。
【0145】
概して、空気は、空気吸込み口28を通してレセプタクル18に入り、エアロゾル形成基体20を通過し、カプセル30の下側に配置された開口部32を通してカプセル30を出る。その後、発生したエアロゾルは、ステムパイプ34を通過して水中に入り、水盤(図2には図示せず)のヘッドスペース上に蓄積する。次いで、エアロゾルは、ヘッドスペース出口を通り、ホースを通ってマウスピース(図1には示されていない特徴)に入り、ここでエアロゾルがユーザーによって吸入され得る。
【0146】
図3Aおよび3Bは、本発明のエアロゾル発生要素10の部分の別の実施形態を示す。レセプタクルは、図3Aおよび3Bには示されていない。図2の実施形態とは対照的に、図3Aおよび3Bの光学素子22は、凸状レンズを含む。図3Aおよび3Bから分かるように、光学素子22の凸状レンズは、光学素子22を通過した後に収束するようIR放射のビーム16を操作する。IR放射のビーム16の収束およびそれ故に集束は、IR放射ビーム16のエネルギー密度を増大させる。集束ビームは、エアロゾル形成基体20の特定の領域の急速な枯渇を可能にする。
【0147】
さらに、光学素子22は、IR放射のビーム16の軌道を動的に操作するための移動可能な光学マウント24を含む。これは、図3Aおよび3Bの光学素子22の凸状レンズの軸の異なる配向によって視覚化されている。したがって、図3Aおよび3Bは、移動可能な光学マウント24を介して調整され得る、光学素子のいくつかの異なる構成のうちの二つを示す。移動可能な光学マウント24の移動は、ステッパーモーターによって実現され得る。図3Aおよび3Bから分かるように、光学マウント24の移動は、集束ビーム16の軌道を操作する。IR放射の集束ビーム16の軌道を操作することは、IR放射のビーム16がエアロゾル形成基体20上に入射する厳密な場所を操作する。結果として、エアロゾル形成基体20は、選択的に照射され得る。したがって、エアロゾル形成基体20は、逐次的に照射され得る。ビーム軌道が操作されるペースは、製造業者によって、またはユーザーによって、自身の好みに応じて設定されてもよい。こうした構成は、要求に応じたシーシャシステムの吸煙に対して特に有用であり得る。
【0148】
図4Aは、本発明のエアロゾル発生要素10の部分の別の実施形態を示す。図4Aでも、レセプタクルは示されていない。エアロゾル形成基体20は、開いたリッドカプセル30内に提供される。前述の実施形態以外に、図4Aの実施形態では、光学素子22は、凹状レンズを含む。図4Aから分かるように、光学素子22の凹状レンズは、光学素子22を通過した後にIR放射のビーム16を広げるようIR放射16のビームを操作する。こうした構成は、予熱時間または吸煙間など、吸煙が行われない長い時間間隔の間基体を適切な温度に維持するのに特に有用である。
【0149】
図4Aの実施形態のエアロゾル発生要素10は、追加的な電気加熱手段をさらに備える。追加的な電気加熱手段は、抵抗加熱手段36を含む。この実施形態では、IR放射のビーム16は、枯渇剤として考案されており、これは、エアロゾル形成が、IR放射のビーム16がエアロゾル形成基体20を照射する場所でのみ実質的に行われることを意味する。抵抗加熱手段36は、基体を、エアロゾル形成基体の気化温度を下回る一定の温度で維持する。IR加熱手段は、エアロゾル形成基体20の一つ以上の化合物を、気化温度またはそれを超える温度に上昇させてエアロゾルを発生するのに必要な追加的なエネルギーを提供する。
【0150】
図4Bは、本発明のエアロゾル発生要素10の部分の別の実施形態を示す。図3Bにも、レセプタクルは示されていない。図4Bの実施形態は、図4Aの実施形態と類似している。IR放射の集束されたビーム16は、枯渇剤として考案されており、エアロゾル形成は、IR放射の集束ビーム16がエアロゾル形成基体20を照射する、エアロゾル形成基体20の別個の部分でのみ実質的に行われる。
【0151】
図3Bの実施形態は、図4Bの光学素子22が凹状レンズの代わりに凸状レンズを含むという点で図4Aの実施形態とは異なる。
【0152】
図4Bの光学素子22は、IR放射のビーム16の軌道を動的に操作するための移動可能な光学マウント24を含む。この構成は、図3Aおよび3Bの実施形態の光学素子22および移動可能な光学マウント24の構成に類似している。
【0153】
したがって、エアロゾル形成基体20は、IR放射のビーム16によって逐次的に照射され得る。
【0154】
図5Aおよび5Bは、本発明のエアロゾル発生要素10と使用するための制御ユニット38を示す。制御ユニット38は、本発明の非木炭で作動するシーシャ装置12における慣例の保持を最大化し得る。
【0155】
図5Aは、エアロゾル発生要素10の上部に位置する制御ユニット38を側面図で示す。さらに、シーシャ装置12のステムパイプ34が示されている。図5Bは、ユーザーインターフェース40を含む制御ユニット38を上面図で示す。ユーザーインターフェース40は、ディスプレイを含む。ディスプレイは、輪郭マップによってエアロゾル形成基体の加熱される領域を可視化する。さらに、ディスプレイは、エアロゾル形成基体20のどの部分が既に消費されたかを示し得る。ディスプレイはさらに、タッチスクリーンの形態で、ユーザー入力手段の機能を有する。したがって、制御ユニット38が、例えば、エアロゾル発生要素10が、図3Aおよび3Bに示す実施形態などのように、IR放射のビーム16を操作するための手段を含む実施形態で使用される場合、ユーザーは、エアロゾル形成基体20のいずれの領域を加熱するべきかを入力し得る。例えば、ユーザーは、ディスプレイタッチスクリーン上の領域をタップまたはプレスアンドホールドして、IR放射ビーム16が方向付けられる位置を制御してもよい。この動作によって、移動可能な光学マウント24のステッパーモーターは、IR放射のビーム16をエアロゾル形成基体20の合図された地点に能動的に方向付ける。
【0156】
Al-Fakherのダブルアップル糖蜜などの、シーシャ装置で使用される典型的な基体は、例えば、15~30パーセントのたばこ、45~55パーセントのグリセロール、および15~30パーセントの糖の組成を有し得る。図6に図示されるグリセロールのIRスペクトルから分かるように(Xu,M.,Wang,X.,Jin,B.およびRen,H.Micromachines 2014,6(2),186-195から)、グリセロールは、1300~2000ナノメートルの範囲の強い吸収帯を有する。したがって、本発明のシーシャ装置で使用される適切なIRエミッタは、例えば、1300~2000ナノメートルの波長で光を放射することができるレーザーダイオードであってもよい。
【0157】
一部の実施形態では、シーシャ装置の適切な使用を可能にするために、IRレーザーダイオードは、曝露される基体の部分を、約4分以内に室温から摂氏約200度の標的温度まで予熱することができるべきである。この予熱段階の後、約40分の典型的な使用期間にわたる一定の蒸発が、IRエミッタの加熱電力によって促進されるべきである。
【0158】
基体の表面における材料である、総基体材料の約1/3が光に曝露されてIR放射を介して加熱されると仮定すると、IRレーザーダイオードは、7~20ワットの予熱電力を提供するべきであると結論付けられ得る。
【0159】
標的温度である摂氏200度に達した後、シーシャは典型的には約40分間使用され、この使用期間中、使用温度は標的温度で一定に維持する必要がある。この使用期間中、典型的には、合計2.8グラムの糖蜜基体が蒸発する。Al-Fakherのダブルアップル糖蜜の上記組成を考慮すると、このような蒸発のためには、1~3ワットの連続的な低減された放射電力が必要である。
【0160】
所与の実施例では、Al-Fakherのダブルアップル糖蜜を、4分以内に摂氏200度の標的温度に予熱するために必要な電力密度は、約1~1.5ワット/平方センチメートルである。シーシャ装置の使用中、IRレーザーダイオードの電力密度は、約0.3~0.7ワット/平方センチメートルに低減され得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-08-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0150
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0150】
図4Bは、本発明のエアロゾル発生要素10の部分の別の実施形態を示す。図4Bにも、レセプタクルは示されていない。図4Bの実施形態は、図4Aの実施形態と類似している。IR放射の集束されたビーム16は、枯渇剤として考案されており、エアロゾル形成は、IR放射の集束ビーム16がエアロゾル形成基体20を照射する、エアロゾル形成基体20の別個の部分でのみ実質的に行われる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0151
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0151】
図4Bの実施形態は、図4Bの光学素子22が凹状レンズの代わりに凸状レンズを含むという点で図4Aの実施形態とは異なる。
【国際調査報告】