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特表2022-516379人工知能によるエクスポージャ最小化応答
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(54)【発明の名称】人工知能によるエクスポージャ最小化応答
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/06 20120101AFI20220217BHJP
   G06Q 10/04 20120101ALI20220217BHJP
【FI】
G06Q40/06
G06Q10/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544793
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2020015920
(87)【国際公開番号】W WO2020160294
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】16/264,668
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】517336027
【氏名又は名称】モルガン スタンレー サービシーズ グループ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MORGAN STANLEY SERVICES GROUP,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムラリーダラ,ケサバナンド
(72)【発明者】
【氏名】ジェッダ,アフメド
(72)【発明者】
【氏名】ピント,パウロ
【テーマコード(参考)】
5L049
5L055
【Fターム(参考)】
5L049AA04
5L055BB55
(57)【要約】
混沌とした環境におけるエクスポージャによる害を最小限に抑えるためにリソースを操作するための人工知能システムは、自律エージェントデバイスと、リモート電子センサと、中央サーバとを備える。中央サーバは、第1のタイムウィンドウの間に、1つ以上のリモート電子センサから、混沌とした環境における1つ以上の変数の値を記録したセンサ読取値の第1のセットを受信し、混沌とした環境がリソースの1つ以上に影響を与える可能性のあるクリティカル時間区画と、クリティカル時間区画に対する最大許容リスクエクスポージャと、を受信し、クリティカル時間区画中に、混沌とした環境及び混沌とした環境内のリソースから、加重総リスクエクスポージャを決定し、加重総リスクエクスポージャが最大許容リスクエクスポージャを超えていると判定し、自律エージェントデバイスに1つ以上のリソースを操作させて、加重総リスクエクスポージャを減少させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
混沌とした環境におけるエクスポージャによる害を最小限に抑えるためにリソースを操作するための人工知能システムであって:
1つ又は複数の自律エージェントデバイスと;
プロセッサと、命令を格納する非一時的なメモリと、を備える中央サーバと;を備え、
前記命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサが:
第1のタイムウィンドウの間に、1つ又は複数のリモート電子センサから、前記混沌とした環境における1つ又は複数の変数の値を記録したセンサ読取値の第1のセットを受信し;
前記混沌とした環境が前記リソースの1つ又は複数に影響を与える可能性のあるクリティカル時間区画と、前記クリティカル時間区画に対する最大許容リスクエクスポージャと、を受信し;
前記センサ読取値の第1のセットに基づいて、前記クリティカル時間区画中に、前記混沌とした環境及び前記混沌とした環境内の前記リソースから、加重総リスクエクスポージャを決定し;
前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えていると判定し;
前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えているとの判定に応じて、前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスに前記1つ又は複数のリソースを操作させて、前記加重総リスクエクスポージャを減少させる;ようにする、
システム。
【請求項2】
前記非一時的なメモリは命令を格納し、当該命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサが更に:
前記1つ又は複数の変数の変化を記録する第2のタイムウィンドウの間に、前記1つ又は複数のリモート電子センサからセンサ読取値の第2のセットを受信し;
前記センサ読取値の第2のセットに少なくとも部分的に基づいて、クリティカル時間区画中の前記加重総リスクエクスポージャを更新する、ようにする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記非一時的なメモリは命令を格納し、当該命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサが更に:
前記1つ又は複数のリソースを操作して前記加重総リスクエクスポージャを減少させると共に前記加重総リスクエクスポージャを更新した後、前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えなくなるまで、前記1つ又は複数のリソースを繰り返し操作すると共に前記加重総リスクエクスポージャを繰り返し更新するようにする、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記加重総リスクエクスポージャを決定することは、現時点から前記クリティカル時間区画の終了までの時間に関するリスク関数の積分に、少なくとも部分的に基づく、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記リスク関数は、前記1つ又は複数の変数のランダムウォーク挙動の仮定に基づく、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記リスク関数は、相補誤差関数に少なくとも部分的に基づく、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスは、ネットワークメッセージがネットワークを介して送信されないようにすることによって、前記1つ又は複数のリソースを操作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスは、ネットワークメッセージをリモートコンピューティングデバイスへ送信することによって、前記1つ又は複数のリソースを操作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスは、ヒューマンユーザが受信するためのメッセージを生成することによって、前記1つ又は複数のリソースを操作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスは、ヒューマンユーザに可視又は可聴であるアラームのアクティブ化によって、前記1つ又は複数のリソースを操作する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
混沌とした環境におけるエクスポージャによる害を最小限に抑えるためにリソースを操作するための人工知能の方法であって:
第1のタイムウィンドウの間に、1つ又は複数のリモート電子センサから、前記混沌とした環境における1つ又は複数の変数の値を記録したセンサ読取値の第1のセットを受信するステップと;
前記混沌とした環境が前記リソースの1つ又は複数に影響を与える可能性のあるクリティカル時間区画と、前記クリティカル時間区画に対する最大許容リスクエクスポージャと、を受信するステップと;
前記センサ読取値の第1のセットに基づいて、前記クリティカル時間区画中に、前記混沌とした環境及び前記混沌とした環境内の前記リソースから、加重総リスクエクスポージャを決定するステップと;
前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えていると判定するステップと;
前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えているとの判定に応じて、前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスに前記1つ又は複数のリソースを操作させて、前記加重総リスクエクスポージャを減少させるステップと;を備える、
方法。
【請求項12】
非一時的なメモリは命令を格納し、当該命令は、プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサが更に:
前記1つ又は複数の変数の変化を記録する第2のタイムウィンドウの間に、前記1つ又は複数のリモート電子センサからセンサ読取値の第2のセットを受信し;
前記センサ読取値の第2のセットに少なくとも部分的に基づいて、クリティカル時間区画中の前記加重総リスクエクスポージャを更新する、ようにする、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
非一時的なメモリは命令を格納し、当該命令は、プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサが更に:
前記1つ又は複数のリソースを操作して前記加重総リスクエクスポージャを減少させると共に前記加重総リスクエクスポージャを更新した後、前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えなくなるまで、前記1つ又は複数のリソースを繰り返し操作すると共に前記加重総リスクエクスポージャを繰り返し更新するようにする、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記加重総リスクエクスポージャを決定することは、現時点から前記クリティカル時間区画の終了までの時間に関するリスク関数の積分に、少なくとも部分的に基づく、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記リスク関数は、前記1つ又は複数の変数のランダムウォーク挙動の仮定に基づく、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リスク関数は、相補誤差関数に少なくとも部分的に基づく、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスは、ネットワークメッセージがネットワークを介して送信されないようにすることによって、前記1つ又は複数のリソースを操作する、
請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスは、ネットワークメッセージをリモートコンピューティングデバイスへ送信することによって、前記1つ又は複数のリソースを操作する、
請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスは、ヒューマンユーザが受信するためのメッセージを生成することによって、前記1つ又は複数のリソースを操作する、
請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスは、ヒューマンユーザに可視又は可聴であるアラームのアクティブ化によって、前記1つ又は複数のリソースを操作する、
請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、人工知能の方法及びシステムに関し、より具体的には、混沌とした環境からのセンサデータを分析し、その環境の変化に応じて自律システムの挙動を変更する、人工知能のための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの工学応用(エンジニアリングアプリケーション)及び計算応用(コンピューティングアプリケーション)において、システムは一定のリスク許容度を念頭に設計されねばならない。建造物は、1日の典型的な平均レベルの風だけでなく、いわゆる「百年の嵐」という、どの日にでも発生する可能性があるが、統計的には100年に1回より頻繁には発生しそうもない嵐にも耐えるように設計されていることが多い。重要な商取引や情報共有のためのオンラインサービスは、利用可能な状況(アベイラビリティ)が「ファイブナイン」(つまり、99.999%の時間で機能し、年間での休止時間が6分間未満)であると言われており、接続の着信要求を取り下げ(ドロップ)せずに、完全には予測できないネットワークトラフィックの急増を処理できることが必要である。
【0003】
その結果、多くの計算応用(コンピューティングアプリケーション)及び他の分野において、システムの変更とリソースの再配分とをもっと適切に予想することにより、差し迫って起こるかもしれないし起こらないかもしれない極端な変化による害を減らす必要性はいまだにある。この予想は、以下のことによって高めることができる。それは、「モノのインターネット」(インターネットオブシングス)の一部としての分散センサシステムの使用を増やすこと、並びに、自律走行車両、「スマート」サーモスタット、及びその他の動作環境に対する認識が高くて対応する能力が高い「スマート」システム、家電製品、及びデバイスを作成するために従来の「ダム」デバイスへのソフトウェアの組み込みを増やすこと、による。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、混沌とした環境(カオス環境)におけるエクスポージャによる害を最小限に抑えるためにリソースを操作するための人工知能システムであり、1つ又は複数の自律エージェントデバイスと、中央サーバと、を備える。中央サーバは、プロセッサと、命令を格納する非一時的なメモリと、を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサが:第1のタイムウィンドウの間に、1つ又は複数のリモート電子センサからセンサ読取値の第1のセットを受信し、センサ読取値は前記混沌とした環境における1つ又は複数の変数の値を記録しており;前記混沌とした環境が前記リソースの1つ又は複数に影響を与える可能性のあるクリティカル時間区画と、前記クリティカル時間区画に対する最大許容リスクエクスポージャと、を受信し;前記センサ読取値の第1のセットに基づいて、前記クリティカル時間区画中に、前記混沌とした環境及び前記混沌とした環境内の前記リソースから、加重総リスクエクスポージャを決定し;前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えていると判定し;前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えているとの判定に応じて、前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスに前記1つ又は複数のリソースを操作させて、前記加重総リスクエクスポージャを減少させる;ようにする。
【0005】
更なる開示は、混沌とした環境におけるエクスポージャによる害を最小限に抑えるためにリソースを操作するための人工知能の方法であり:第1のタイムウィンドウの間に、1つ又は複数のリモート電子センサから、前記混沌とした環境における1つ又は複数の変数の値を記録したセンサ読取値の第1のセットを受信するステップと;前記混沌とした環境が前記リソースの1つ又は複数に影響を与える可能性のあるクリティカル時間区画と、前記クリティカル時間区画に対する最大許容リスクエクスポージャと、を受信するステップと;前記センサ読取値の第1のセットに基づいて、前記クリティカル時間区画中に、前記混沌とした環境及び前記混沌とした環境内の前記リソースから、加重総リスクエクスポージャを決定するステップと;前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えていると判定するステップと;前記加重総リスクエクスポージャが前記最大許容リスクエクスポージャを超えているとの判定に応じて、前記1つ又は複数の自律エージェントデバイスに前記1つ又は複数のリソースを操作させて、前記加重総リスクエクスポージャを減少させるステップと;を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】混沌とした環境からセンサ読取値を受信し、その混沌とした環境の変化に応じて自律エージェントを指示するためのコンピューティングシステムの図である。
【0007】
図2】一定の期間にわたる危険からのリスクエクスポージャを示す概念のグラフである。
【0008】
図3】人工知能システムが、着信センサデータを処理し、混沌とした環境においてエージェントを指示するための方法を示す図である。
【0009】
図4】上述のいくつかの特徴を実行するための概略のコンピューティングデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、混沌とした環境(カオス環境)からセンサ読取値を受信し、その混沌とした環境の変化に応じて自律エージェントを指示するためのコンピューティングシステムを示す。
【0011】
エンジニアリングシステム、コンピューティングシステム、及び社会のシステムの多くは、それらが動作する混沌とした環境の影響を受ける。建造物、橋梁、近隣住区、及びその他のエンジニアリングプロジェクトは、ハリケーン、山火事、又はその他の環境上の危険の影響を受ける可能性のある地域に建設される。ネットワーク化されたコンピューティングデバイスは、ネットワークトラフィックの予測できない急増、又はネットワークリンクの切断によるネットワークトラフィックの再ルーティング(経路再選択)を伴うネットワーク上で動作する。公益事業及び民間サービスは、いつでもサービスへのアクセスを要求する可能性のある、分散した消費者グループにサービスを提供しなければならない。資産価格が絶えず変化していてタイミングを外したオファーは経済的な浪費になってしまう可能性がある市場での取引のために、企業は貴重な資産をオファーする場合がある。
【0012】
混沌としたシステム(カオスシステム)による妨害のコストは、漸進的効果又は限界効果(例えば、山火事が広がるにつれて個々の家が危険にさらされる、トラフィックが増加するにつれてネットワーク機能がなだらかに低下する、若しくは、逼迫した電力系統からの電力アクセスが断続(フリッカ)するなど)、及び/又は、突然の壊滅的損害(例えば、ハリケーンの風による主要な橋の崩壊、サービス拒否攻撃(DoS攻撃)によってサーバが完全に無効になる、若しくは、電力系統が完全に切断されるなど)で具体的になるかもしれない。
【0013】
ここで、図1の各構成要素を見てみると、中央サーバ100は、ネットワーク110を介して、いくつかのリモート電子センサ105からセンサデータを受信する。リモート電子センサ105は、1つ又は複数の重要なリソース(資源、財産)が存在する混沌とした環境からのデータを観察又は中継する。中央サーバは、また、ネットワーク110を介して、いくつかの電子コンピューティングデバイスエージェント115に、命令を送信する。電子コンピューティングデバイスエージェント115は、混沌とした環境によって引き起こされる害から重要なリソースを保護するように直接的又は間接的に作用することができる。
【0014】
ネットワーク110は、例えば、インターネット一般、ローカル無線ネットワーク、イーサネット(登録商標)ネットワーク若しくは他の有線ネットワーク、衛星通信システム、又はデータ送信を可能にするためにセンサ105を中央サーバ100に接続すると共に中央サーバをエージェント115に接続する他の任意の手段であってもよい。さらに、ネットワーク110は、図のように、単一のネットワークでなくいくつかの別個のネットワークであってもよい。例えば、中央サーバ100は、有線接続で接続されるいくつかの近位置センサ105、Wi-Fiネットワークを介して接続するいくつかの近傍センサ105、及び/又は衛星経由で接続するいくつかの極めて遠隔にあるセンサ105を有することができる。接続は、ネットワークの使用を完全に回避し、直接的な有線又は無線送信を用いて、中央サーバ100との間でデータを送受信することとしてもよい。図1に示すように、矢印は、ネットワークとの間のデータフローの予想方向を示す。
【0015】
センサ105は、中央サーバ100の外部の混沌とした環境からのデータを登録する任意のタイプの電子センサであってもよい。特定の実施の形態のセンサタイプの例として、カメラ、サーモメータ、GPS追跡デバイス若しくは他の測位(地理的位置)デバイス、センサが取り付けられている対象物若しくはセンサによって観察される離れた対象物の動き/距離/加速度/向きの(検出を行う)センサ、又はソース(発信元)から電子データ通信を受信する通信モジュールを含むことができるが、これらに限定されない。
【0016】
エージェント115は、混沌とした環境とリソースとの相互作用による害を最小限に抑える方法で、リソースを、再配分、輸送、移動、創作、破壊、他の操作、を行える任意の形式のコンピューティングデバイス(又は、通常はコンピューティングデバイスとして用いられないデバイスに、そのデバイスを制御するために組み込まれたモジュール)であってもよい。例えば、エージェント115は、建造物内の自動システムを制御し、物理アラームをトリガ(起動)し、ドローン飛行体又は自律車両を操縦し、ネットワークトラフィックをルーティングし、ヒューマンユーザ(利用者個人)に関連付けられた物理デバイスに表示するメッセージを生成し、又は「スマート家電」若しくは他の自動システムに関連付けられた他のアクションを実行する、コンピューティングデバイスとすることができる。
【0017】
特定の目的を達成するためのセンサ105及びエージェント115のいくつかの可能な組み合わせを以下に述べる。
【0018】
実施の形態の一例では、発電プラントのリスニング装置(聴取装置)105は、発電プラントから電力を得ているいくつかの家庭及び企業のスマート電力計105から信号を受信できる。消費電力(電力使用量)が増加すると、不十分な発電による電圧低下又は突然の構成部品の障害による停電のリスクも同様に増加する可能性がある。プラントの自動化システム115は、追加のタービンを起動するか、特定の出力チャネルへの電力出力を優先するか、さもなければ、電圧低下又は停電のリスクを低減するために出力電力を供給する発電リソース及びネットワークを操作するか、を決定できる。
【0019】
別の例示の実施の形態では、ビデオストリーミングサービスは、特定のビデオファイルをストリーミングするためのいくつかの要求を受信及びルーティングするエッジネットワークデバイス105又はファイアウォールを有することができる。特定の各顧客は、30分以上の映画又はドラマの視聴を開始することがあり、これらの映画又はドラマは、たとえ追加の顧客がログオンして他のビデオデータを要求し始めた場合でも、一部の顧客は映画又はドラマが完全に終わる前にログオフすることもあるが、その視聴時間中はスムーズに提供され続けなければならない。コンテンツ配信ネットワーク(CDN)管理システム115は、ネットワークの現在の使用率をレビューし、映画ファイルのコピーを第2のCDNサーバに配布して、帯域幅が完全に使用されて追加の顧客がデータにアクセスできるか、元の顧客が視聴体験の中断を経験するか、というリスクを最小限に抑えることができる。
【0020】
別の例示の実施の形態では、カメラ、距離計、及び他のセンサ105を備えた自律車両は、いくつかの他の車両、歩行者、又は他の物体が近くにある道路に沿って走行することがある。サーバ100は、自律車両が回避できる前に、所定距離を隔てた自動車が自律車両の経路内へ急に曲がる可能性、又は道路に向かって歩いてきた歩行者が横に停まらずに歩き続けて道路に入ってしまう可能性などの重大事故の可能性のいくつかを継続的に評価し、事故のリスクを減らすために車両制御システム115にその経路又は速度を変更するように指示する必要があろう。
【0021】
別の例示の実施の形態では、気象衛星、風速計、又はドップラレーダーシステム105は、近隣住区、都市、又は他の居住地に接近する可能性のある、ハリケーン、山火事、又は竜巻などの気象系(配置、状況)又は危険を検出できる。危険が人間の居住地に到達しない可能性を必ず考慮に入れて、危険に対応する避難の総コストと、避難しないことの予想コストとに関して決定を下す必要があるだろう。同様に、車両、船、又は他の高価な品物(貴重なアイテム)は、接近する雹嵐、砂嵐、又は所定の場所に実際に影響する場合と影響しない場合とがある他の気象事象に応じて移動する必要があるだろう。警報システム又は通知システム115は、避難しなかった場合の潜在的な害が事前定義されたリスクの閾値を満たす場合にのみトリガ(起動)するように構成できる。又は、自律車両制御システム115は、車両の損傷又は破壊のリスクが現在の気象条件に基づいて許容できないほど高くなる場合に、所定の場所へ車両を操縦するように命令することができる。
【0022】
別の例示の実施の形態では、センサ105は、コンピュータネットワークのエッジにファイアウォール又はルータを含み、ネットワークパケットの着信数を報告できる一方、エージェント115は、サーバクラスタ内のサーバ、ルータ、又はファイアウォールを含むことができる。システムは、現在のネットワーク使用状況を監視すると共に、サービス拒否攻撃(DoS攻撃)が発生して現在の構成の下でシステムを停止できるリスクを計算することができる。それに応じて、攻撃を処理するためにより多くのサーバをアクティブ化する、又はネットワーク障害のリスクが十分に減少するまでネットワークトラフィックの流入を遅延させることができる。
【0023】
別の例示の実施の形態では、センサ105は、一群の動物に付けたGPSトラッカ(追跡装置)、又は自然保護区内の動物の位置を記録するカメラを含むことができる。ライオン又はゾウなど、保護区内の肉食動物又は縄張り行動をする草食動物は、現在保護区内にいる人間の近くをランダムに移動するかもしれない。中央サーバは、人間が保護区を離れる前に動物が人間に遭遇するリスクを継続的に評価し、通知システム、警報、又は人間のパーソナルモバイルコンピューティングデバイス115に、遭遇の可能性について人間に向けて警告させ、遭遇のリスクを最小限に抑える経路を提案できる。
【0024】
別の例示の実施の形態では、センサ105は、証券取引所又は他の市場にある、1つ又は複数の資産の現在の売買価格を報告するデバイス(装置)を含むことができる。エージェント115は、市場に対して、売買注文を送信する又は売買注文を取り消すことができるコンピューティングデバイス、又はそのようなコンピューティングデバイスが売買注文を市場へ首尾よく送信することを防ぐことができるファイアウォールデバイス、を含むことができる。許容できないレベルの資産ベースのリスク(固定価格で資産を売却する注文や、資産の価格が急速に上昇している市場で入手可能な任意の価格で資産を購入する注文など)へのエクスポージャ(リスクの程度)に応じて、トレーダの取引能力をコンピューティングデバイス自体が自動的に停止できる、又は、トレーダに異常を通知できるので、トレーダはより慎重に進めることができる。
【0025】
上記のすべてのシステムでは、システムがアクションを実行しない場合の総リスクエクスポージャを決定し、この決定を用いて、システムがさらされるリスクを最小化又は排除するためのアクションが必要かどうかを決定することに価値がある。
【0026】
図2A及び図2Bは、一定の期間にわたる危険からのリスクエクスポージャの概念グラフを示す。
【0027】
有害事象が発生するまでの予想時間が正規分布する単純な状況(図2A)では、事象が正確に時刻tに発生する確率のグラフ205が従来のベル曲線の形をとると予想できる。したがって、時刻t又はそれ以前に発生する事象の累積確率のグラフ210の形状は、時間内のそれより前に発生するグラフ205上のすべての点の合計を含むので、このようにシグモイド形状となろう。
【0028】
リソースに影響を与えることによる事象のコストが事象の発生するタイミングとは無関係であると仮定される場合、そのリソースに基づく累積リスクエクスポージャは、考慮されている任意のタイムウィンドウ(ある測定が行われている時間帯)の終了時の累積確率210に単純に比例する。
【0029】
対照的に、事象のタイミングがその事象の害を決定する上で重要である場合、そのリソースに基づく累積リスクエクスポージャは、確率関数を乗じた害関数の積分、つまり、考慮されるすべての瞬間について、その瞬間に害が発生する確率に、発生した場合に被る害の量を乗じた合計になる。
【0030】
例えば(図2Bに示すように)、ある地域(コミュニティ)が被る害は、避難中にハリケーンに襲われる場合はXであるが、居住中に襲われる場合は10Xであると考えられるかもしれない。避難を命じられた場合、人々が避難するにつれて、害関数215は時間とともに減少し、時刻tでの事象の確率の曲線205は変化しないが、所定の時間での害に、所定の時間での事象の確率を乗じたものは、確率曲線だけとは非常に異なって見える。したがって、加重累積エクスポージャリスク220のグラフは、より急激な初期増加と、より迅速な横ばいとの異なる挙動を示している。避難が命じられた場合の累積エクスポージャリスクと、避難が命じられなかった場合の個別に計算された累積エクスポージャリスクとの違いは、住民に警告するための、又は避難を開始するように安全担当者に命令するための、自動システムの決定の基礎となることがある。
【0031】
加重リスクエクスポージャは、様々な有害事象(例えば、複数のハリケーン)及び/又は様々なリソース(例えば、ハリケーンが襲う可能性のある各居住地)に対して計算され、合計されて、所定の混沌とした環境内でのアクション(活動)又は不アクション(何もしないこと)に対する総加重リスクエクスポージャを決定できる。
【0032】
図3は、人工知能システムが、着信センサデータを処理し、混沌とした環境においてエージェントを指示するための方法を示す。
【0033】
第1に、システムは、(外部サーバ、保存された構成ファイル、ヒューマンユーザによるエントリ、又は他のソースから)考慮すべきクリティカルタイムウィンドウ(重大なタイムウィンドウ)及び最大許容加重リスクエクスポージャを受信できる(ステップ300)。例えば、気象避難システムは、そのタイムウィンドウを超えるデータの不確実性のために、1週間だけ前もって監視するように構成してもよい。資産価格を監視するシステムは、所定の日の市場が閉じた後のどの期間も関心を示さなくてもよい。
【0034】
次に、システムは、環境及びリソースに関してセンサ105からセンサデータを受信する(ステップ305)。実施の形態によっては、システムは、環境の要素又はリソースの要素の予想される挙動に関する情報でもって事前設定されていてもよい。他の実施の形態では、システムは、一定の期間にわたってセンサデータを受信し、そのデータの要素及びリソースの挙動のモデルを構築してもよい。
【0035】
例えば、ランダムウォークのような挙動(保護区内の動物の動き、市場における資産の価値の変化など)を経験する混沌とした環境の要素の場合、システムは、システムの変化に対する変動率の標準偏差を決定して、要素が所定の時間区画中に所定の量だけ変化する確率の決定を支援できる。
【0036】
別の例では、混沌とした環境は、ストリーミングサービス又は公益電力の夕方における使用増加や、夜間における使用減少など、周期的な変動を経験する可能性がある。システムは、そのような周期の期間を決定し、それを予測しているシステム変更で将来の周期中に用いることができる。
【0037】
少なくとも初期量のセンサデータを受信して処理した後、中央サーバは、システムの総加重リスクエクスポージャを決定する(ステップ310)。
【0038】
上述のように、この決定は、クリティカルタイムウィンドウが終了する前のすべてのtについて、P(t又はそれ以前に発生する事象)に時刻tでの事象のコスト関数を乗じたものを積分することに基づいて、少なくとも部分的に行うことができる。
【0039】
システムは、所定の環境変数(所定の軸に沿った危険の位置又は特定のスケールでの資産の価値など)がランダムウォークのような挙動を経験すると仮定することができ、したがって、変数が所定の距離を時間の経過とともにカバーする確率は、距離に比例せず、むしろ線形比例よりも速い速度で減少する。好ましい実施の形態では、2つの環境値aとbとの間の「距離」は、|a-b|としてではなく、(a-b)として計算されるべきである。さらに、感知された値は、特定の実施の形態では、計算の前に、aとbとの間ではなく、ln(a)とln(b)との間の距離を決定するなど、修正できる。
【0040】
様々な実施の形態は、環境変数が感知されている基本システムにおける自然変動も考慮に入れることができる。一定の期間にわたって感知された変数値の標準偏差に比例する値など、変動率の測定値で距離を除算すると、ペースの速いシステム及びより混沌としたシステムでのランダムウォークは、ペースの遅いシステムでのランダムウォークよりも、所定の時間区画で距離をカバーする可能性が高くなる、という事実をより正確に表すだろう。標準偏差は、現在のリスクエクスポージャの計算の前に、数秒、数分、又は数日を単位として計算でき、或いは、読取値を構成する時間区画に関係なく、所定の数のセンサ読取値において計算することができる。データの量又は利用可能な以前のタイムウィンドウの簡潔さのいずれかにより、標準偏差がデータのノイズの影響を受けやすくなり、到来するタイムウィンドウにわたり変数の実際の将来の変化を反映する可能性が低くなる場合、標準偏差を所定のデフォルト値に設定できる。
【0041】
上記のような二乗距離項及び変動率の許容値を含む好ましい実施の形態では、ランダムウォークのような、挙動の標準偏差がσで、現在の平均値がzの場合、正確な時刻tで環境変数が特定の値zに達する累積確率は次のようになる。
【数1】

この仮定を考慮すると、合計の残り時間区画の長さTにわたるこの関数の積分(つまり、区画内のある時点で事象が発生する累積確率)は次のようになる。
【数2】

ここで、ERFCは相補誤差関数である。したがって、事象のコスト関数が時間に関して一定である場合、総加重リスクエクスポージャは次のようになる。
【数3】

ここで、kは各リソースを表し、Cは事象が発生した場合のそのリソースのコストを表す。
【0042】
他の確率関数を用いて、ランダムウォーク挙動を経験していないように見えるシステムにおける変化の確率を見積もることができる。これらの確率関数は、同様に時間に関して積分して、事象の累積確率と全体的な加重リスクエクスポージャの決定とのためのショートカット計算を決定できる。
【0043】
所定のリソースに関連付けられたコストは、例えば、物理的な品物(アイテム)を修理するコスト、痛み・苦しみ・又は人命喪失の抽象化コスト、消費者が消費者向けシステムの信用に依存している場合には、その信用喪失の抽象化コスト、又は、市場環境での軽率な取引への参加による純粋な経済的損失、の見積もりであってもよい。多くの場合、コストは、それ自体が広範囲の起こり得る実コストを有している可能性がある事象のクラスの予想コストであるかもしれない。
【0044】
総加重リスクエクスポージャを決定した後、システムは、総加重リスクエクスポージャが、格納された最大許容加重エクスポージャを超えるかどうかを判定する(ステップ315)。
【0045】
(最大許容加重エクスポージャを)超えたリスクエクスポージャが無い場合、システムは、新たな時間期間内でセンサデータを受信するステップに戻り(ステップ305)、センサ105からの更新されたデータに応じてリスクエクスポージャが変化したかどうかを再計算する。実施の形態によっては、総リスクエクスポージャの再計算に関連する計算の総数は面倒になることがあり、システムは、所定の環境変数が、総加重リスクエクスポージャが計算された前回から少なくとも特定の最小閾値量分が変化した場合にのみ、総加重リスクエクスポージャを再計算してもよい。さらに、実施の形態によっては、システムは、簡単に再計算するために又は再計算がまだ必要でないと判定するために、再計算の前に環境変数データを四捨五入する(丸める)、切り捨てる、さもなければ前処理することができる。
【0046】
他方、(最大許容加重エクスポージャを)超えたリスクエクスポージャがある場合、上記の複数の実施の形態で説明したように、移動するリソースを通じてリスクを最小化すること、リソースに対するリスクをヒューマンユーザに通知すること、さもなければ環境からのリスクを最小限に抑えるためにリソースを再構成すること、を開始するために、システムは、エージェント115にメッセージ又は命令を送信することができる(ステップ320)。メッセージの送信後、システムは、センサデータの観察に戻り(ステップ305以降)、(最大許容加重エクスポージャを)超えたリスクエクスポージャがまだ存在し、エージェントによるさらなるアクションが必要かどうかを決定する。
【0047】
株式市場環境でのエクスポージャ最小化に向けた特定の実施の形態では、エクスポージャ又はそれに対する応答を決定する際に、追加の考慮事項及びアクションをとることができる。
【0048】
例えば、注文が参照する資産価格の変更に加え、注文自体、例えば、オファー価格、オファー量、ステータス(オファー済み、承認済み、又は履行済み)などが変更されることがある。すべての未決済注文を含む「オーダーブック」は、注文がオファーされ、変更され、又は履行されるときに維持及び更新され、1つ又は複数の証券取引所各地でエンティティ(企業体)が有する可能性のある総エクスポージャに影響を与える。オーダーブックを維持するソフトウェアは、あるソースから部分的に、別のソースから部分的に、オファーされ、変更され、承認され、再度変更され、及び履行される注文など、報告されたステータスの更新と変更との複雑な連鎖にもかかわらず、オーダーブックを正確に保つ必要があるだろう。注文を変更する要求の通知の前に受信された注文変更の確認など、メッセージが順不同で受信されることにより、タスクは更に複雑になる可能性があり、着信メッセージを理解するために必要な前後情報も受信されるまで、着信メッセージを順番待ちにするようにする。
【0049】
会社の総オーダーブックを用いて、時間内の所定の時点での会社の総財務リスクを見積もることができる。例えば、会社が所定の価格で資産を購入するための未払いのオファーを有するが、市場価格はその所定の価格を下回るまで減少し、他のトレーダが裁定取引を行い、基本的に会社の費用でフリーマネーを受け取ることができた場合である。上記の数学的計算を用いると、未払いのオファーは、実際に履行される確率によって重み付けされることがある。これは、オファーの現在の価格と市場の現在の価格との距離に逆相関(反比例)する。市場価格が変動したり、オファー価格が変更されたりすると、企業の総リスクエクスポージャが再計算され、そのエクスポージャを減少させるためのアクションが必要かどうかが判定されるようにしてもよい。アクションの例には、1つ又は複数の未払いの注文の変更命令を自動的に生成し、それらの注文が行われた1つ又は複数の取引所に命令を送信すること、財務リスクのレベルが上昇したため、追加の注意を払う必要があるという通知をヒューマンユーザに自動的に生成すること、又は、(取引に用いられるコンピュータの通信インターフェースを制御することにより)総リスクエクスポージャが減少するか、ヒューマンユーザが取引の再開を承認するまで、取引所への追加注文の送信を防止すること、が含まれてもよい。
【0050】
図4は、本明細書に記載される様々な特徴及びプロセス、例えば、中央サーバ100、センサ105、又は自律エージェント115の機能、を実施するために利用され得る代表的なコンピューティングデバイスの概略ブロック図である。該コンピューティングデバイスは、コンピュータシステムによって実行される、プログラムモジュールといった、コンピュータシステムの実行可能な命令の一般的状況で記載されているかもしれない。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、又は特定の抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、ロジック、データ構造、及びその他を含み得る。
【0051】
図4に示すように、コンピューティングデバイスは、専用コンピュータシステムの形態で例示されている。コンピューティングデバイスの構成要素は、1つ又は複数のプロセッサ又は処理ユニット900、システムメモリ910、並びにメモリ910を含む様々なシステム構成要素をプロセッサ900に結合するバス915を含んでもよい(しかし、これらに限定されない)。
【0052】
バス915は、メモリバス又はメモリコントローラ、ペリフェラルバス、アクセラレイテッド・グラフィックス・ポート、及び様々なバスアーキテクチャのいずれかを使用するプロセッサバス又はローカルバスを含む、いくつかのタイプのバス構造の任意のうちの1つ又は複数を表す。例示として、限定ではなく、そのようなアーキテクチャには、業界標準アーキテクチャ(ISA)バス、マイクロ・チャネル・アーキテクチャ(MCA)バス、拡張ISA(EISA)バス、ベサ(VESA)ローカルバス、及びペリフェラル・コンポーネント・インターコネクト(PCI)バスを含む。
【0053】
処理ユニット900は、メモリ910に格納されたコンピュータプログラムを実行することができる。任意の適切なプログラミング言語を用いて、C、C++、Java(登録商標)、アセンブリ言語、等を含む特定の実施の形態のルーチンを実施することができる。手続き型又はオブジェクト指向といった異なるプログラミング技法を実施することができる。該ルーチンは、単一のコンピューティングデバイス又は複数のコンピューティングデバイス上で動作することができる。さらに、複数のプロセッサ900を使用してもよい。
【0054】
コンピューティングデバイスは、典型的には、様々なコンピュータシステム読み取り可能媒体を含む。そのような媒体は、コンピューティングデバイスによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよく、揮発性及び不揮発性の媒体の両方、取外し可能(リムーバブル)及び取外し不可能な(ノンリムーバブル)媒体の両方を含む。
【0055】
システムメモリ910は、ランダムアクセスメモリ(RAM)920及び/又はキャッシュメモリ930といった揮発性メモリの形態でのコンピュータシステム読み取り可能媒体を含むことができる。コンピューティングデバイスは、さらに、他の取り外し可能/取り外し不可能な、揮発性/不揮発性のコンピュータシステム記憶媒体を含み得る。ほんの一例として、記憶システム940を、取り外し不可能な不揮発性磁気媒体(図示せず、典型的には「ハードドライブ」と呼ばれる)からの読み取り及び該媒体への書き込みのために設けることができる。図示しないが、取り外し可能な不揮発性の磁気ディスク(例えば、「フロッピー(登録商標)ディスク」)からの読み取り及び該ディスクへの書き込みのための磁気ディスクドライブ、及びCD-ROM、DVD-ROM又は他の光学媒体といった取り外し可能な不揮発性の光ディスクからの読み取り又は該ディスクへの書き込みのための光ディスクドライブを設けることができる。このような場合、それぞれを、1つ又は複数のデータメディアインターフェースによってバス915に接することができる。以下でさらに図示し及び説明するように、メモリ910は、本開示において説明された実施の形態の機能を実行するように構成された一組(例えば、少なくとも1つ)のプログラムモジュールを有する少なくとも1つのプログラム製品を含むことができる。
【0056】
一組(少なくとも1つ)のプログラムモジュール955を有するプログラム/ユーティリティ950を、メモリ910に格納することができ、例示として、限定ではなく、オペレーティングシステム、1つ又は複数のアプリケーションソフトウェア、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータも同様である。オペレーティングシステム、1つ又は複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータの各々、又はこれらの組み合わせは、ネットワーク環境の実装を含むことができる。
【0057】
また、コンピューティングデバイスは、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ、等といった1つ又は複数の外部デバイス970、ユーザがコンピューティングデバイスとやりとりすることを可能にする1つ又は複数のデバイス、及び/又は、コンピューティングデバイスが1つ又は複数の他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする任意のデバイス(例えば、ネットワークカード、モデム、等)と通信することができる。このような通信は、入力/出力(I/O)インターフェース960を介して発生し得る。
【0058】
加えて、上述したように、コンピューティングデバイスは、ネットワークアダプタ980を介して、ローカルエリアネットワーク(LAN)、汎用のワイドエリアネットワーク(WAN)及び/又は公衆ネットワーク(例えば、インターネット)といった1つ又は複数のネットワークと通信することができる。図示のように、ネットワークアダプタ980は、バス915を介してコンピューティングデバイスの他の構成要素と通信する。図示はしないが、他のハードウェアコンポーネント及び/又はソフトウェアコンポーネントを用いて、該コンピューティングデバイスと接続できることが理解されるはずである。例は、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長処理ユニット、外部ディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライブ、及びデータアーカイブ記憶システム、等を含む(しかし、これらに限定されない)。
【0059】
本発明の様々な実施の形態の記述が、説明の目的で提示されてきたが、開示された実施の形態に網羅的で又は限定することを意図していない。多くの変更及び変形が、記載された実施の形態の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には明らかであろう。本明細書で使用される用語は、実施の形態の原理、実用的な用途、又は市場で見出される技術に対する技術的改善を最もよく説明するために、又は当該分野で通常の知識の他者が本明細書で開示される実施の形態を理解することを可能にするために、選択された。
【0060】
本発明は、任意の可能な技術的な1つ1つのレベルの統合における、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、コンピュータ読み取り可能な単一(又は複数)の記憶媒体を含むことができ、該記憶媒体は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を該記憶媒体に有する。
【0061】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持し記憶することができる有形のデバイスであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、又は前述の任意の適切な組合せ、であってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例の、完全に網羅しているわけではないリストは、次のものを含む。つまり、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ポータブルコンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、ディジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピー(登録商標)ディスク、パンチカード又は命令を記録させた溝を有する隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、及び上記の任意の適切な組み合わせである。本明細書で使用されるコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体は、電波又は他の自由に伝播する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体(例えば、光ファイバケーブルを通過する光パルス)を通って伝播する電磁波、又はワイヤを通って伝送される電気信号といった、それ自体が一時的な信号であると解釈されるべきではない。
【0062】
本明細書に記載されたコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体からそれぞれの演算/処理デバイスに、又はネットワークを介して外部コンピュータ又は外部記憶デバイスに、ダウンロードすることができ、ネットワークは、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク及び/又は無線ネットワークである。ネットワークは、銅線伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、及び/又はエッジサーバを備えることができる。各演算/処理デバイスにおけるネットワークアダプタカード又はネットワークインターフェースは、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令をネットワークから受信し、それぞれの演算/処理デバイス内におけるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納のために、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令を転送する。
【0063】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路類のためのコンフィギュレーションデータ、又は1つ又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれたソースコード若しくはオブジェクトコードのいずれかであってもよく、該1つ又は複数のプログラミング言語は、Smalltalk言語、C++、等といったオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は類似のプログラミング言語といった手続き型プログラミング言語を含む。コンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で全体的に実行してもよく、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行してもよく、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行してもよく、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行しつつリモートコンピュータ上で部分的に実行してもよく、又はリモートコンピュータ若しくはサーバ上で全体的に実行してもよい。後者の状況では、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)若しくは広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザのコンピュータに接続されていてもよく、又は該接続は、(例えば、インターネットサービスプロバイダを使用するインターネットを介して)外部コンピュータに接続されていてもよい。実施の形態によっては、例えば、プログラマブル論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又はプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路類は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令の状態情報を利用して該電子回路類を個々向けに変更する(パーソナル化する)ことによってコンピュータ読み取り可能なプログラム命令を実行することができる。
【0064】
本発明の態様は、本発明の実施の形態に係る方法、装置(システム)、及びコンピュータプログラム製品のフローチャート図及び/又はブロック図を参照して説明されている。フローチャート図及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャート図及び/又はブロック図におけるブロックの組合せは、コンピュータ読み取り可能なプログラム命令によって実施され得ることを理解されたい。
【0065】
これらのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、汎用コンピュータ、特定用途コンピュータ、又はマシンを作り出す他のプログラマブルデータ処理装置に提供することができ、それは、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実現するための手段を生成するものである。これらのコンピュータ読み取り可能なプログラム命令は、特定の様式で機能するように、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、及び/又は他のデバイスに指示することができるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納されていてもよく、それは、格納された命令を有するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作の態様を実施する命令を含む製造品を含む。
【0066】
コンピュータ読み取り可能な命令は、また、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、又は他のデバイス上にロードされ、コンピュータにより実施されるプロセスを生成するために、一連の動作ステップを、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又はコンピュータにより実施されるプロセスを生成する他のデバイス上で実行させることができ、この結果、コンピュータ、他のプログラマブル装置、又は他のデバイス上で実行する命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実現する。
【0067】
図中のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施の形態に従う、システム、方法、及びコンピュータプログラム製品の可能な実施のアーキテクチャ、機能、及び動作を図示する。この点に関して、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメント、又は命令の部分を表すことができ、これらは、指定された論理機能を実現するための1つ又は複数の実行可能な命令を備える。いくつかの代替の実施では、ブロックにおいて記された機能は、図面に記された順序から外れて生じてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてもよく、又は、ブロックは、伴われる機能によって、時には、逆順で実行されてもよい。また、ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図のブロックの組み合わせは、指定された機能又は動作を実行する、又は特定目的のハードウェア及びコンピュータ命令の組み合わせを実行する、特定目的ハードウェアベースのシステムによって実現され得ることにも留意されたい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】