(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】検出チップ及びその使用方法、反応システム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220218BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12N15/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021504490
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(85)【翻訳文提出日】2021-01-27
(86)【国際出願番号】 CN2019080625
(87)【国際公開番号】W WO2020147203
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/071803
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】519385216
【氏名又は名称】北京京▲東▼方技▲術▼▲開▼▲発▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 407,Building 1,No.9 Dize Road,BDA,Beijing,100176,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 志▲鴻▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 子健
(72)【発明者】
【氏名】殷 雨丹
(72)【発明者】
【氏名】侯 孟▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】彭 康
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029BB20
4B029DF01
4B029FA15
4B029GA08
4B029GB02
(57)【要約】
検出チップ及びその使用方法、反応システムであって、該検出チップ(100)は、第1基板(10)と、マイクロキャビティ画定層(11)と、加熱電極(12)とを備える。マイクロキャビティ画定層(11)は第1基板(10)上に位置し、複数のマイクロ反応チャンバー(110)を画定する。加熱電極(12)は第1基板(10)上に位置し、マイクロキャビティ画定層(11)よりも第1基板(10)に近く、複数のマイクロ反応チャンバー(110)を加熱するように構成される。第1基板(10)への複数のマイクロ反応チャンバー(110)の正投影は、第1基板(10)への加熱電極(12)の正投影内に位置する。該検出チップ(100)は、液滴を駆動する操作がなく、外部加熱機器を不要となっても温度サイクルを実現できるため、集積性が高く、操作が簡単で、生産コストが低い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出チップであって、
第1基板と、
前記第1基板上に位置し、複数のマイクロ反応チャンバーを画定するマイクロキャビティ画定層と、
前記第1基板上に位置し、前記マイクロキャビティ画定層よりも前記第1基板に近く、前記複数のマイクロ反応チャンバーを加熱するように構成される加熱電極と、を備え、
前記第1基板への前記複数のマイクロ反応チャンバーの正投影は、前記第1基板への前記加熱電極の正投影内に位置する、検出チップ。
【請求項2】
前記複数のマイクロ反応チャンバーのそれぞれは、側壁と底部とを含む反応ウェルを備える、請求項1に記載の検出チップ。
【請求項3】
前記複数のマイクロ反応チャンバーは、前記第1基板上にアレイ状に配列されている、請求項1又は2に記載の検出チップ。
【請求項4】
前記複数のマイクロ反応チャンバーのそれぞれの側壁及び底部を覆っている親水性層をさらに備える、請求項2に記載の検出チップ。
【請求項5】
前記親水性層はさらに、前記マイクロキャビティ画定層の前記第1基板から遠い表面を覆っている、請求項4に記載の検出チップ。
【請求項6】
前記第1基板に対向配置される第2基板と、
前記第2基板の前記第1基板に面する側に位置する疎水性層と、をさらに備え、
前記マイクロキャビティ画定層は、前記第1基板の前記第2基板に面する側に位置する、請求項4又は5に記載の検出チップ。
【請求項7】
前記第1基板上に位置し、前記加熱電極にビアを介して電気的に接続され、又は前記加熱電極に重ねられ、前記加熱電極に電気信号を印加するように構成される制御電極をさらに備える、請求項6に記載の検出チップ。
【請求項8】
第1絶縁層をさらに備え、
前記第1絶縁層は前記制御電極を覆い、前記加熱電極は前記第1絶縁層上に位置し、
前記第1絶縁層は、前記第1絶縁層を貫通する前記ビアを備え、前記加熱電極は、前記ビアを介して前記制御電極に電気的に接続される、請求項7に記載の検出チップ。
【請求項9】
前記加熱電極と前記マイクロキャビティ画定層との間に位置する第2絶縁層をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の検出チップ。
【請求項10】
前記第1基板は、反応領域と周辺領域とを備え、
前記周辺領域は前記反応領域を少なくとも部分的に取り囲み、
前記反応領域は機能領域を備え、
前記マイクロキャビティ画定層は前記機能領域内に位置し、前記制御電極及び前記ビアは前記周辺領域内に位置し、前記加熱電極は前記反応領域及び前記周辺領域に位置する、請求項8に記載の検出チップ。
【請求項11】
複数のスペーサーをさらに備え、
前記複数のスペーサーは、前記周辺領域内に位置するとともに、前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、
前記複数のスペーサーは、前記第1基板と前記第2基板との間の間隔を保つように構成される、請求項10に記載の検出チップ。
【請求項12】
前記第1基板に垂直な方向において、前記スペーサーの高さは、前記マイクロキャビティ画定層の高さよりも高くなる、請求項11に記載の検出チップ。
【請求項13】
試料入口及び試料出口をさらに備え、
前記反応領域は非機能領域をさらに備え、
前記試料入口及び前記試料出口はいずれも前記非機能領域内に位置し、且つ前記機能領域の異なる側に位置し、
前記試料入口及び前記試料出口は、いずれも前記第2基板及び前記疎水性層を貫通する、請求項10~12のいずれか1項に記載の検出チップ。
【請求項14】
前記第1基板及び前記第2基板はいずれもガラス基板である、請求項6~8及び10~13のいずれか1項に記載の検出チップ。
【請求項15】
前記親水性層の材料はシリコン酸化物を含み、前記疎水性層の材料は樹脂又はシリコン窒化物を含む、請求項6~8及び10~13のいずれか1項に記載の検出チップ。
【請求項16】
前記マイクロキャビティ画定層の材料はフォトレジストを含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の検出チップ。
【請求項17】
前記複数のマイクロ反応チャンバーのそれぞれの形状は、底面直径が1ミクロンから100ミクロンの範囲で、高さが5ミクロンから100ミクロンの範囲の円柱体である、請求項1~16のいずれか1項に記載の検出チップ。
【請求項18】
前記第1基板の前記マイクロキャビティ画定層から遠い側に設けられ、前記反応領域内に位置し、且つ前記反応領域の温度を検出するように構成される第1温度センサをさらに備える、請求項10~13のいずれか1項に記載の検出チップ。
【請求項19】
反応システムであって、制御装置と、請求項1~17のいずれか1項に記載の検出チップと、を備え、
前記制御装置は、前記検出チップに電気的に接続され、前記検出チップに電気信号を印加して前記検出チップの前記加熱電極を駆動するように構成される、反応システム。
【請求項20】
前記検出チップの前記第1基板の、前記マイクロキャビティ画定層から遠い側に設けられ、前記第1基板の反応領域内に位置し、前記検出チップの前記反応領域の温度を検出するように構成される第2温度センサをさらに備える、請求項19に記載の反応システム。
【請求項21】
反応システムであって、制御装置と、請求項18に記載の検出チップと、を備え、
前記制御装置は、前記検出チップに電気的に接続され、前記検出チップに電気信号を印加して前記検出チップの前記加熱電極を駆動するように構成される、反応システム。
【請求項22】
請求項1~18のいずれか1項に記載の検出チップの使用方法であって、
反応系溶液を前記検出チップの試料入口から前記検出チップの複数のマイクロ反応チャンバーに進入させるステップと、
前記検出チップの制御電極に電気信号を印加することで、前記制御電極によって前記加熱電極を駆動して前記複数のマイクロ反応チャンバーを加熱するステップと、を含む、使用方法。
【請求項23】
前記複数のマイクロ反応チャンバーを降温して、前記複数のマイクロ反応チャンバーの温度を変化させることで、前記複数のマイクロ反応チャンバー内の反応系溶液に対して変性段階、アニーリング段階及び伸長段階を含む温度サイクルを行うステップをさらに含む、請求項22に記載の使用方法。
【請求項24】
前記検出チップを光学的に検出して蛍光画像を取得するステップをさらに含む、請求項23に記載の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年1月15日に提出されたPCT国際出願第PCT/CN2019/071803号の優先権を主張し、該PCT国際出願の全内容が引用により一部として本願に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施例は、検出チップ及びその使用方法、反応システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)は、特定のDNA断片を増幅するための分子生物学的技術であり、微量のデオキシリボ核酸(DNA)を大量に複製して、その数を大幅に増やすことができる。デジタルポリメラーゼ連鎖反応(digital PCR、dPCR)チップ技術は、従来のPCR技術とは異なり、核酸試料を十分に希釈して、各反応ユニット内の標的分子(すなわち、DNA鋳型)の数を1以下にさせ、各反応ユニットで標的分子のPCR増幅をそれぞれ行い、増幅終了後、各反応ユニットの蛍光信号を統計的に分析することで、単一分子DNAの絶対定量検出を実現する。dPCRは、感度が高く、特異性が高く、検出スループットが高く、定量が正確であるなどの利点を有するため、臨床診断、遺伝子不安定性分析、単細胞の遺伝子発現、環境微生物検出及び出生前診断などの分野で広く適用されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の少なくともいくつかの実施例は検出チップを提供し、前記検出チップは、第1基板と、前記第1基板上に位置し、複数のマイクロ反応チャンバーを画定するマイクロキャビティ画定層と、前記第1基板上に位置し、前記マイクロキャビティ画定層よりも前記第1基板に近く、前記複数のマイクロ反応チャンバーを加熱するように構成される加熱電極と、を備え、前記第1基板への前記複数のマイクロ反応チャンバーの正投影は、前記第1基板への前記加熱電極の正投影内に位置する。
【0005】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記複数のマイクロ反応チャンバーのそれぞれは、側壁と底部とを含む反応ウェルを備える。
【0006】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記複数のマイクロ反応チャンバーは、前記第1基板上にアレイ状に配列されている。
【0007】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップは、前記複数のマイクロ反応チャンバーのそれぞれの側壁及び底部を覆っている親水性層をさらに備える。
【0008】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記親水性層はさらに、前記マイクロキャビティ画定層の前記第1基板から遠い表面を覆っている。
【0009】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップは、前記第1基板に対向配置される第2基板と、前記第2基板の前記第1基板に面する側に位置する疎水性層と、をさらに備え、前記マイクロキャビティ画定層は、前記第1基板の前記第2基板に対向する側に位置する。
【0010】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップは、前記第1基板上に位置し、前記加熱電極にビアを介して電気的に接続され又は前記加熱電極に重ねられる制御電極をさらに備え、前記制御電極は、前記加熱電極に電気信号を印加するように構成される。
【0011】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップは、第1絶縁層をさらに備え、前記第1絶縁層は前記制御電極を覆い、前記加熱電極は前記第1絶縁層上に位置し、前記第1絶縁層は、前記第1絶縁層を貫通する前記ビアを備え、前記加熱電極は、前記ビアを介して前記制御電極に電気的に接続される。
【0012】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップは、前記加熱電極と前記マイクロキャビティ画定層との間に位置する第2絶縁層をさらに備える。
【0013】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記第1基板は、反応領域と周辺領域とを備え、前記周辺領域は前記反応領域を少なくとも部分的に取り囲み、前記反応領域は機能領域を備え、前記マイクロキャビティ画定層は前記機能領域内に位置し、前記制御電極及び前記ビアは前記周辺領域内に位置し、前記加熱電極は前記反応領域及び前記周辺領域に位置する。
【0014】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップは、複数のスペーサーをさらに備え、前記複数のスペーサーは、前記周辺領域内に位置するとともに、前記第1基板と前記第2基板との間に位置し、前記複数のスペーサーは、前記第1基板と前記第2基板との間の間隔を保つように構成される。
【0015】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記第1基板に垂直な方向に、前記スペーサーの高さは、前記マイクロキャビティ画定層の高さよりも高くなる。
【0016】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップは、試料入口及び試料出口をさらに備え、前記反応領域は非機能領域をさらに備え、前記試料入口及び前記試料出口はいずれも前記非機能領域に位置し、且つ前記機能領域の異なる側に位置し、前記試料入口及び前記試料出口は、いずれも前記第2基板及び前記疎水性層を貫通する。
【0017】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記第1基板及び前記第2基板はいずれもガラス基板である。
【0018】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記親水性層の材料はシリコン酸化物を含み、前記疎水性層の材料は樹脂又はシリコン窒化物を含む。
【0019】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記マイクロキャビティ画定層の材料はフォトレジストを含む。
【0020】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップにおいて、前記複数のマイクロ反応チャンバーのそれぞれの形状は、底面直径が1ミクロンから100ミクロンの範囲で、高さが5ミクロンから100ミクロンの範囲の円柱体である。
【0021】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップは、前記第1基板の前記マイクロキャビティ画定層から遠い側に設けられる第1温度センサをさらに備え、前記第1温度センサは前記反応領域に位置し、前記反応領域の温度を検出するように構成される。
【0022】
本開示の少なくともいくつかの実施例は反応システムをさらに提供し、前記反応システムは、制御装置と、本開示のいずれかの実施例に記載の検出チップとを備え、前記制御装置は、前記検出チップに電気的に接続され、前記検出チップに電気信号を印加して前記検出チップの前記加熱電極を駆動するように構成される。
【0023】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る反応システムは、前記検出チップの前記第1基板の、前記マイクロキャビティ画定層から遠い側に設けられる第2温度センサをさらに備え、第2温度センサは、前記第1基板の反応領域に位置し、前記検出チップの前記反応領域の温度を検出するように構成される。
【0024】
本開示の少なくともいくつかの実施例は本開示のいずれかの実施例に記載の検出チップの使用方法をさらに提供し、前記使用方法は、反応系溶液を前記検出チップの試料入口から前記検出チップの複数のマイクロ反応チャンバーに進入させるステップと、前記検出チップの制御電極に電気信号を印加することで、前記制御電極によって前記加熱電極を駆動して前記複数のマイクロ反応チャンバーを加熱するステップと、を含む。
【0025】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る使用方法は、前記複数のマイクロ反応チャンバーを降温して、前記複数のマイクロ反応チャンバーの温度を変化させることで、前記複数のマイクロ反応チャンバー内の反応系溶液に対して変性段階、アニーリング段階及び伸長段階を含む温度サイクルを行うステップをさらに含む。
【0026】
例えば、本開示のいくつかの実施例に係る使用方法は、前記検出チップを光学的に検出して蛍光画像を取得するステップをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本開示を限定するものではなく、本開示のいくつかの実施例に関するものに過ぎない。
【0028】
【
図1】
図1は本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの概略ブロック図である。
【
図2】
図2は本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの平面模式図である。
【
図3】
図3は本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの部分断面構造の模式図である。
【
図4A】
図4Aは本開示のいくつかの実施例に係る表面改質前のマイクロ反応チャンバーに対して表面の親水性・疎水性試験を行う模式図である。
【
図4B】
図4Bは本開示のいくつかの実施例に係る表面改質後のマイクロ反応チャンバーに対して表面の親水性・疎水性試験を行う模式図である。
【
図5A】
図5Aは本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの第2基板に対して表面の親水性・疎水性試験を行う模式図である。
【
図5B】
図5Bは本開示の別のいくつかの実施例に係る検出チップの第2基板に対して表面の親水性・疎水性試験を行う模式図である。
【
図6A】
図6Aは本開示のいくつかの実施例に係る別の検出チップの平面模式図である。
【
図6B】
図6Bは本開示のいくつかの実施例に係る別の検出チップの部分断面構造の模式図である。
【
図6C】
図6Cは本開示のいくつかの実施例に係る別の検出チップのマイクロキャビティ画定層、親水性層及び疎水性層の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図7】
図7は本開示のいくつかの実施例に係る反応システムの概略ブロック図である。
【
図8A】
図8Aは本開示のいくつかの実施例に係る反応システムが熱サイクルを行うときの温度と時間の関係曲線である。
【
図8B】
図8Bは本開示のいくつかの実施例に係る反応システムが熱サイクルを行うときのプレ変性プロセスを含む場合の温度と時間の関係曲線である。
【
図8C】
図8Cは本開示のいくつかの実施例に係る反応システムの検出チップが液体の自己吸引による液体供給、オイルシールを用いた効果図である。
【
図8D】
図8Dは本開示のいくつかの実施例に係るエクソン19の上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子変異の陰性結果及び陽性結果の対照図である。
【
図9】
図9は本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの使用方法のフローチャートである。
【
図10A】
図10Aは本開示のいくつかの実施例に係る検出チップのマイクロキャビティ画定層の走査型電子顕微鏡写真である。
【
図10B】
図10Bは本開示のいくつかの実施例に係る検出チップのマイクロキャビティ画定層及び親水性層の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明確、かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本開示の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。説明される本開示の実施例に基づき、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに得る全ての他の実施例は、本開示の保護範囲に属する。
【0030】
特に画定されない限り、ここで使用される技術用語又は科学用語は、当業者が理解できる一般的な意味を有する。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似する用語は、何らかの順序、数又は重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するためのものに過ぎない。同様に、「備える」又は「含む」などの類似する用語は、該用語の前に記載された素子又は部材が、該用語の後に列挙される素子又は部材、及びそれらの同等物を含むことを指し、他の素子又は部材を排除しない。「接続」又は「繋がる」などの類似する用語は、物理的又は機械的接続に限定されず、直接接続されるか間接的に接続されるかに関わらず、電気的接続を含んでもよい。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対位置関係を示すことのみに用いられ、説明対象の絶対位置が変化すると、該相対位置関係もそれに応じて変化する可能性がある。
【0031】
PCR反応中に、DNA断片の二本鎖構造が高温で変性されて一本鎖構造が形成され、低温でプライマーと一本鎖が相補的塩基対合の原理に従って結合され、DNAポリメラーゼの最適な温度で塩基の結合伸長が実現される。上記プロセスは、変性-アニーリング-伸長の温度サイクルプロセスである。変性-アニーリング-伸長の温度サイクルプロセスを複数回行って、DNA断片が大量に複製され得る。
【0032】
上記温度サイクルプロセスを実現するために、通常、一連の外部機器で検出チップを加熱及び冷却する必要があり、その結果、機器の体積が大きく、操作が複雑で、コストが高くなる。また、検出チップを加熱及び冷却するプロセスにおいて、検出チップの全体的な温度はそれに伴って変化して、DNA断片を収容するマイクロキャビティ以外の、検出チップ内の他の構造及び部材の温度も変化してしまう。その結果、回路などの部材の損傷リスクが高まる。通常のdPCR製品は、主にシリコンベースの加工処理を用い又は液滴調製システムと組み合わせる必要があるため、検出チップのコストが高く且つその加工が複雑になってしまう。
【0033】
本開示の少なくとも一実施例は、検出チップ及びその使用方法、反応システムを提供する。検出チップに加熱電極を設けることで、検出チップのマイクロ反応チャンバーへの温度制御を効果的に実現できて、液滴を駆動する操作がなく、外部加熱機器も不要となっても温度サイクルを実現できる。それにより、集積性が高く、操作が簡単で、生産コストが低く、試料が効果的に供給できる。
【0034】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を詳細に説明する。なお、異なる図面の同じ符号は説明された同一の素子を指す。
【0035】
本開示の少なくとも一実施例は、第1基板と、マイクロキャビティ画定層と、加熱電極とを備える検出チップを提供する。マイクロキャビティ画定層は第1基板上に位置し、複数のマイクロ反応チャンバーを画定する。加熱電極は第1基板上に位置し、マイクロキャビティ画定層よりも第1基板に近く、複数のマイクロ反応チャンバーを加熱するように構成される。第1基板への複数のマイクロ反応チャンバーの正投影は、第1基板への加熱電極の正投影内に位置する。
【0036】
図1は本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの概略ブロック図であり、
図2は本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの平面模式図であり、
図3は本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの部分断面構造の模式図である。例えば、
図3は
図2の線P-P’に沿って切断された断面図である。
【0037】
例えば、
図1に示すように、検出チップ100は、第1基板10と、マイクロキャビティ画定層11と、加熱電極12とを備える。第1基板10は、保護、支持などの役割を果たす。マイクロキャビティ画定層11及び加熱電極12はいずれも第1基板10上に位置する。マイクロキャビティ画定層11は複数のマイクロ反応チャンバー110を画定する。加熱電極12はマイクロキャビティ画定層11よりも第1基板10に近く、複数のマイクロ反応チャンバー110を加熱するように構成される。第1基板10への複数のマイクロ反応チャンバー110の正投影は、第1基板10への加熱電極12の正投影内に位置する。例えば、該検出チップ100は、ポリメラーゼ連鎖反応(例えば、デジタルポリメラーゼ連鎖反応)に使用され、さらに反応後の検出プロセスに使用され得る。
【0038】
例えば、
図2及び
図3に示すように、加熱電極12は第1基板10上に位置し、電気信号(例えば、電圧信号)を受信でき、これにより、電流が加熱電極12を流れると熱が発生し、該熱は、ポリメラーゼ連鎖反応のために、少なくとも一部のマイクロ反応チャンバー110に伝導される。例えば、加熱電極12は、大きな抵抗率を有する導電性材料で製造されてもよい。これにより、該加熱電極12は小さな電気信号が提供されても多くの熱を発生させ、エネルギー変換率を向上させる。加熱電極12は、インジウムスズ酸化物(ITO)、スズ酸化物などの透明な導電性材料で製造されてもよく、金属などの他の適用可能な材料で製造されてもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。例えば、加熱電極12は、平面状電極であり、例えば、導電性材料を第1基板10上に均一に形成して、複数のマイクロ反応チャンバー110を均一に受熱させる。もちろん、本開示の実施例はこれに限定されず、加熱電極12は、折線形、円弧状などの特定の形状又はパターンを有してもよく、これは複数のマイクロ反応チャンバー110の分布方式に応じて決められる。
【0039】
マイクロキャビティ画定層11は第1基板10上に位置し、且つ加熱電極12上に位置し、すなわち、加熱電極12はマイクロキャビティ画定層11よりも第1基板10に近い。マイクロキャビティ画定層11は複数のマイクロ反応チャンバー110を画定し、隣接するマイクロ反応チャンバー110同士は(例えば、仕切り壁を介して)少なくとも部分的に仕切られる。例えば、複数のマイクロ反応チャンバー110のそれぞれは、側壁1101及び底部1102を備える反応ウェルを備える。反応ウェルは、反応系溶液を収容する空間として提供されて、マイクロキャビティ画定層11に入って反応ウェルに移動した反応系溶液の液滴が反応ウェル内に比較的安定に止まっている。例えば、該反応ウェルは、反応系溶液を収容可能な空間があれば、マイクロ反応凹溝、凹部などであってもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。
【0040】
例えば、複数のマイクロ反応チャンバー110の形状は同じであってもよく、各マイクロ反応チャンバー110の立体形状は、例えば略円柱体であり、すなわち、
図3及び
図2の一部拡大
図Aに示すように、第1基板10に垂直な方向による断面は略矩形であり、第1基板10に平行な平面による断面は略円形である。例えば、円柱体は、底面直径が1ミクロンから100ミクロンの範囲で、例えば、20ミクロンから50ミクロンである。円柱体は、高さが5ミクロンから100ミクロンの範囲で、例えば、30ミクロンから50ミクロンである。例えば、いくつかの例では、円柱体は、底面直径が8ミクロン、高さが9.8ミクロンである。なお、少なくとも一部のマイクロ反応チャンバー110の形状は異なってもよい。
【0041】
マイクロ反応チャンバー110の形状は実際の必要に応じて設計され、例えば、各マイクロ反応チャンバー110の形状は、円錐台、直方体形、多角柱、球体、楕円体などであってもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。例えば、マイクロ反応チャンバー110は、第1基板10に平行な平面による断面形状は、楕円形、三角形、多角形、不規則な形状などであってもよく、第1基板10に垂直な方向による断面は、正方形、円形、平行四角形、台形などの多角形などであってもよい。
【0042】
例えば、
図2に示すように、複数のマイクロ反応チャンバー110は、第1基板10上に均一に分布される。例えば、第1基板10上において、複数のマイクロ反応チャンバー110は第1方向X及び第2方向Yにアレイ状に配列される。このようにして、後続の段階で該検出チップ100を光学的に検出して得られる蛍光画像がより規則的かつ整然としたものになって、検出結果を迅速、正確に得ることができる。もちろん、本開示の実施例はこれに限定されず、複数のマイクロ反応チャンバー110は、第1基板10上に不均一に分布されてもよく、又は他の方式で配列されてもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。例えば、複数のマイクロ反応チャンバー110の数は2000~1000000であってもよい。例えば、いくつかの例では、複数のマイクロ反応チャンバー110の数は40000~100000である。これにより、該検出チップ100の検出スループットは大きい。
【0043】
なお、本開示の実施例では、マイクロ反応チャンバー110のサイズ及び数などは実際の必要に応じて決められ、マイクロ反応チャンバー110のサイズ及び数は、検出チップ100及び第1基板10のサイズに関連付けられる。マイクロ反応チャンバー110のサイズが変化しない場合、マイクロ反応チャンバー110の数が大きいほど、それに応じて、検出チップ100及び第1基板10のサイズも大きくなる。
【0044】
反応系溶液内の標的分子(すなわち、DNA鋳型)が十分に希釈されるため、反応系溶液が各マイクロ反応チャンバー110に入ると、各マイクロ反応チャンバー110内の標的分子(すなわち、DNA鋳型)は1以下であり、すなわち、各マイクロ反応チャンバー110は1つの標的分子のみを含み、又は標的分子を含まないようになって、これにより、後続の段階で正確な検出結果を得る。
【0045】
例えば、マイクロキャビティ画定層11の材料は厚膜加工が可能なフォトレジストである。該フォトレジストは、スピンコーティングによって第1基板10上に形成され、その厚さが厚い。例えば、マイクロキャビティ画定層11は、厚さが5ミクロンから100ミクロンの範囲であってもよく、例えば、9.8ミクロンである。例えば、マイクロキャビティ画定層11をパターン化してエッチングすることで、間隔を置いて設置される複数のマイクロ反応チャンバー110を得ることができる。
【0046】
例えば、第1基板10への複数のマイクロ反応チャンバー110の正投影は、第1基板10への加熱電極12の正投影内に位置する。ここで、正投影とは、第1基板10に垂直な方向に沿って第1基板10への投影を指す。例えば、
図2に示すように、第1基板10に垂直な方向において、第1基板10への複数のマイクロ反応チャンバー110の投影は、第1基板10への加熱電極12の投影内に位置し、且つ、加熱電極12の上記投影は複数のマイクロ反応チャンバー110の上記投影よりも大きい。このようにして、加熱電極12で各マイクロ反応チャンバー110を加熱することができる。加熱電極12のエッジでの放熱効果により、加熱電極12は、エッジでの作動温度はその中央領域の作動温度よりも低くなる。従って、上記設置方式によって、加熱電極12の作動温度が均一な部分によってマイクロ反応チャンバー110を加熱し、加熱電極12のエッジ(例えば、エッジから5mm、8mm又は他の適切なサイズだけ離れた領域)によるマイクロ反応チャンバー110への加熱を回避することができる。これにより、複数のマイクロ反応チャンバー110の受熱がより均一になり、温度均一性がより良好になり、ひいてはマイクロ反応チャンバー110内の反応系溶液を効果的に増幅して反応させることに寄与する。
【0047】
本開示の実施例では、検出チップ100に加熱電極12を設ける(例えば、加熱電極12を第1基板10上に集積する)ことで、検出チップ100のマイクロ反応チャンバー110を効果的に加熱し、ひいてはマイクロ反応チャンバー110への温度制御を実現することができて、外部加熱機器を必要とせず、集積性が高い。また、液滴を移動させて複数の温度領域を順次通過させるように駆動する必要がある場合と比較して、該検出チップ100は、液滴を駆動する操作がなくても温度サイクルを実現でき、操作が簡単で、生産コストが低い。
【0048】
例えば、
図3に示すように、検出チップ100は、親水疎油性を有する親水性層14をさらに備える。例えば、親水性層14は、複数のマイクロ反応チャンバー110のそれぞれの側壁1101及び底部1102を覆っている。マイクロ反応チャンバー110の表面(すなわち、側壁1101及び底部1102)に親水性層14が設けられているため、マイクロ反応チャンバー110の親水性を向上させる。外部から反応系溶液に駆動力を印加しない場合、反応系溶液を、毛細管現象に基づいて各マイクロ反応チャンバー110に自動的に徐々に進入させることができる。これにより試料を自動に供給できる。
【0049】
例えば、
図3に示すように、親水性層14はさらに、マイクロキャビティ画定層11の第1基板10から遠い表面を覆してもよく、すなわち、親水性層14はさらに、複数のマイクロ反応チャンバー110同士間の仕切り部分に設けられる。このようにして、親水性層14にマイクロキャビティ画定層11を完全に覆わせて、反応系溶液を各マイクロ反応チャンバー110により容易に進入させるようにして、試料供給速度を速くすることができる。
【0050】
例えば、親水性層14の材料は、二酸化シリコン(SiO2)などのシリコン酸化物である。もちろん、本開示の実施例はこれに限定されず、親水性層14は、親水性層14のマイクロキャビティ画定層11から遠い表面が親水性を有することを確保できれば、他の適切な無機又は有機材料で製造されてもよい。例えば、親水性層14は、親水性材料で直接製造されてもよい。また例えば、親水性層14は、非親水性材料で製造されてもよく、この場合、該親水性層14のマイクロキャビティ画定層11から遠い表面を親水性にするために、親水性層14のマイクロキャビティ画定層11から遠い表面に対して親水化処理を行う必要がある。例えば、窒化シリコンなどの非親水性材料を使用して親水化処理を行う場合、ゲル化変性法、紫外線放射法、プラズマ法などの方法を選択的に使用して、例えば、非親水性材料の表面に親水性基を持たせることで親水性にすることができる。
【0051】
例えば、
図3に示すように、検出チップ100は、第2基板20と、疎水性層13とをさらに備える。第2基板20は、第1基板10に対向配置され、保護、支持、分隔などの役割を果たす。疎水性層13は、疎水親油性を有し、第2基板20の第1基板10に面する側に位置する。マイクロキャビティ画定層11は、第1基板10の第2基板20に面する側に位置し、マイクロキャビティ画定層11の第1基板10から遠い表面は第2基板20に面する。疎水性層13を設けることで、各マイクロ反応チャンバー110に反応系溶液をより容易に進入させることができる。
【0052】
例えば、第1基板10及び第2基板20はいずれもガラス基板である。該検出チップ100は、半導体プロセスを組み合わせてガラスベースを用いたマイクロ加工方法で製造されるため、量産を実現でき、対応する生産コストを大幅に削減することができる。なお、本開示の複数の実施例では、第1基板10及び第2基板20は、さらに他の適切な基板を使用してもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。例えば、第1基板10の形状及び第2基板20の形状はいずれも矩形である。例えば、いくつかの例では、第1基板10のサイズは3.2センチ×4.5センチ、第2基板20のサイズは3.2センチ×3センチである。
【0053】
例えば、疎水性層13の材料は樹脂又はシリコン窒化物であり、例えば、型番DL-1001Cの市販のエポキシ樹脂であってもよい。疎水性層13は、疎水性層13の第1基板10に面する側が疎水性を有することを確保できれば、他の適切な無機又は有機材料で製造されてもよい。例えば、疎水性層13は、疎水性材料で直接製造されてもよい。また例えば、疎水性層13は、非疎水性材料で製造されてもよく、この場合、該疎水性層13の第1基板10に面する表面を疎水性にするために、該疎水性層13の第1基板10に面する表面に対して疎水化処理を行う必要がある。
【0054】
本開示の実施例では、親水性層14及び疎水性層13は、反応系溶液の液滴の表面接触角を共に調整することができるため、検出チップ100の自己吸引による試料供給及びオイルシールができる。例えば、該検出チップ100において、疎水性層13によってマイクロ反応チャンバー110の外面の疎水性を改善することで、マイクロ反応チャンバー110の外側(例えば、第2基板20のマイクロ反応チャンバー110に面する表面)を疎水性にする一方、マイクロ反応チャンバー110の内面の親水性が良好であるため、反応系溶液がマイクロ反応チャンバー110の外側からマイクロ反応チャンバー110の内側へ浸潤する。従って、親水性層14と疎水性層13との共同作用下で、反応系溶液は各マイクロ反応チャンバー110により容易に入る。
【0055】
例えば、
図3に示すように、検出チップ100は、制御電極15と、第1絶縁層16とをさらに備える。制御電極15は第1基板10上に位置し、第1絶縁層16は制御電極15を覆い、加熱電極12は第1絶縁層16上に位置する。例えば、第1絶縁層16は第1絶縁層16を貫通するビア160を備え、制御電極15はビア160を介して加熱電極12に電気的に接続され、加熱電極12に電気信号(例えば、電圧信号)を印加するように構成される。加熱電極12は該電気信号を受信すると、電気信号の作用下で熱を発生させて、マイクロ反応チャンバー110を加熱する。なお、第1絶縁層16はさらに、制御電極15によって遮られていない第1基板10の領域の一部を覆うことができる。
【0056】
例えば、ビア160が制御電極15の一部を露出させることで、加熱電極12はビア160を介して制御電極15に電気的に接続され得る。ビア160の形状は、円筒状、円錐台などであってもよい。例えば、制御電極15は、1つ又は複数のビア160を介して加熱電極12に電気的に接続され得る。複数のビア160を介して電気的接続が実現される場合、接続抵抗を効果的に低減させ、エネルギー損失を低減させることができる。1つのビア160を介して電気的接続が実現される場合、生産プロセスを簡素化することができる。
【0057】
例えば、制御電極15の数は1つ又は複数であってもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。複数の制御電極15を使用して加熱電極12に電気信号を印加する場合、加熱電極12の異なる部分が該電気信号を同時に受信できるため、加熱電極12はより均一に発熱できる。例えば、制御電極15が複数である場合、第1絶縁層16は、複数のビア160を備えてもよく、各ビア160が制御電極15の一部を露出させて加熱電極12を複数のビア160を介して複数の制御電極15にそれぞれ電気的に接続されるようにする。例えば、複数の制御電極15及び複数のビア160は1対1で対応する。また例えば、複数のビア160の数は、複数の制御電極15の数よりも大きくてもよく、各制御電極15は1つ又は複数のビア160を介して加熱電極12に電気的に接続される。
【0058】
なお、
図3に示される例では、加熱電極12と制御電極15は異なる層に位置する。別のいくつかの実施例では、加熱電極12と制御電極15は、同一層に位置してもよく、このとき、検出チップ100において、第1絶縁層16を省略することができ、加熱電極12と制御電極15は重なるように電気的に接続される。
【0059】
例えば、加熱電極12の抵抗値が制御電極15の抵抗値よりも大きいため、同じ電気信号の作用下では、加熱電極12の場合、多くの熱を発生させてマイクロ反応チャンバー110を加熱し、制御電極15の場合、少ない熱を発生させてエネルギー損失を低減させる。例えば、制御電極15は、小さな抵抗率を有する材料を使用することで、制御電極15でのエネルギー損失を低減させることができる。制御電極15は、銅又は銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属材料で製造されてもよく、単一金属層又は複合金属層であってもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。
【0060】
例えば、本開示のいくつかの実施例では、加熱電極12は、インジウムスズ酸化物(ITO)又はスズ酸化物で製造され、制御電極15は、金属材料で製造される。ITOが酸化されにくいため、加熱電極12における空気に露出した部分の酸化を防止し、ひいては加熱電極12の酸化による不均一な加熱又は消費電力の増加などの問題を回避することができる。制御電極15は第1絶縁層16で覆われるため、金属材料で製造されたとしても、酸化されにくい。
【0061】
例えば、制御電極15と別に提供される機器との電気的接続を容易にして電気信号(例えば、電圧信号)を受信するために、制御電極15は、第1絶縁層16で覆われない接触部分151(
図2に示すように、例えば、Pad領域)をさらに備えても良い。例えば、別に提供される機器のプローブ又は電極との接触接続を容易にするために、該接触部分151はサイズがより大きな方形であり、その接触面積が大きく、電気信号を安定して受信することができる。このようにして、検出チップ100は、プラグアンドプレイを実現でき、操作が簡単で、使用しやすい。例えば、制御電極15が金属材料で製造される場合、接触部分151に対して電気めっき、溶射又は真空めっきなどの処理を行ってもよい。それにより、接触部分151の表面に金属保護層を形成して接触部分151の酸化を防止すると共にその導電性能を損しない。
【0062】
例えば、
図3に示すように、検出チップ100は、第2絶縁層17をさらに備える。第2絶縁層17は加熱電極12とマイクロキャビティ画定層11との間に位置し、すなわち、第2絶縁層17は、加熱電極12の第1基板10から遠い側に位置し、マイクロキャビティ画定層11は第2絶縁層17の加熱電極12から遠い側に位置する。第2絶縁層17は、加熱電極12を保護し、絶縁の役割を果たし、液体が加熱電極12を腐食することを防止し、加熱電極12の老化を遅くすることに用いられ、且つ平坦化の役割を果たすことができる。
【0063】
例えば、第1絶縁層16及び第2絶縁層17は、無機絶縁材料又は有機絶縁材料などの同じ絶縁材料で製造され得る。例えば、第1絶縁層16及び第2絶縁層17の材料は、二酸化シリコン又は窒化シリコンなどである。
【0064】
例えば、
図2及び
図3に示すように、第1基板10は、反応領域101と、反応領域101を少なくとも部分的に取り囲む周辺領域102とを備える。例えば、いくつかの実施例では、第2方向Yにおいて、周辺領域102は、反応領域101の両側にそれぞれ位置する第1サブ領域102a及び第2サブ領域102bを備える。また例えば、別のいくつかの実施例では、周辺領域102は反応領域101を完全に取り囲み、すなわち、周辺領域102は、環状であり、反応領域101を取り囲む。例えば、この場合、第2方向Yにおいて、周辺領域102は、反応領域101の両側にそれぞれ位置する第1サブ領域102a及び第2サブ領域102bを備え、第1方向Xにおいて、周辺領域102は、反応領域101の両側にそれぞれ位置する第3サブ領域及び第4サブ領域をさらに備え、第1サブ領域102aは第3サブ領域及び第4サブ領域の両方に連通し、第2サブ領域102bも第3サブ領域及び第4サブ領域の両方に連通することで、周辺領域102は反応領域101の回りに取り囲んでいる。
【0065】
例えば、
図2に示される例では、第2基板20のサイズは第1基板10のサイズよりも小さく、第2基板20は反応領域101上に被覆され、例えば、第1基板10への第2基板20の正投影は、反応領域101と完全に重なってもよい。なお、本開示の実施例はこれに限定されず、別のいくつかの例では、第2基板20のサイズは第1基板10のサイズと同じであってもよく、このとき、第2基板20は反応領域101と周辺領域102を覆い、例えば、第1基板10への第2基板20の正投影は、第1基板10と完全に重なってもよい。
【0066】
例えば、制御電極15及びビア160は周辺領域102内に位置し、加熱電極12は反応領域101及び周辺領域102に位置する。例えば、反応領域101は、機能領域1010をさらに備え、マイクロキャビティ画定層11は機能領域1010内に位置する。例えば、第1基板10への加熱電極12の正投影は、反応領域101の機能領域1010を完全に覆い、すなわち、機能領域1010は、第1基板10への加熱電極12の正投影内に位置し、これにより、加熱電極12が各マイクロ反応チャンバー110を加熱することを確保する。
【0067】
例えば、1つのみの制御電極15によって加熱電極12に電圧信号(例えば、高電圧信号)を印加し、別の制御電極15によって加熱電極12に例えば接地電圧を印加する場合、加熱電極12に例えば第2方向Yに沿った電流通路を形成して、加熱電極12に熱を発生させる。加熱電極12自体が大きな抵抗値を有するため、加熱電極12と制御電極15の接続箇所から第1方向Xに沿って延在する方向には大きな電圧降下が発生する。この場合、加熱電極12は第1方向Xに沿って分布する第1部分電極及び第2部分電極に分けられて、第1部分電極は、大きな電圧信号を受信し、例えば加熱電極12と制御電極15との接続箇所の電極部分であり、第2部分電極は、小さな電圧信号を受信し、例えば第1方向Xに沿って上記接続箇所から離れる電極部分である。これに対応して、該加熱電極12内の電流は均一ではなく、第1部分電極での電流は大きく、発生した熱が大きく、第2部分電極での電流は小さく、発生した熱が小さい。従って、加熱電極12で加熱する場合、機能領域1010の異なる位置での温度が異なる恐れがあるため、異なる位置でのマイクロ反応チャンバー110の達する温度は異なり、最終的にはマイクロ反応チャンバー110内の反応系溶液の増幅反応に影響を与えて、検出効果の精度に影響を与える。
【0068】
上記問題に対して、
図2に示すように、検出チップ100に複数の制御電極15を設け、且つ、複数の制御電極15に加熱電極12へ同じ電気信号を同時に伝送させるようにする。例えば、複数の制御電極15は、周辺領域102に均一に分布し、異なる位置ごとに加熱電極12に電気信号を同時に印加してもよい。これにより、機能領域1010の異なる位置での温度均一性を向上させ、加熱電極12の異なる部位が発生した熱をほぼ同じにして、機能領域1010の異なる位置での温度をほぼ同じにする。
図2に示すように、いくつかの例では、検出チップ100は、10個の制御電極15を備え、そのうち、5つの制御電極15は周辺領域102の第1サブ領域102aに位置し、第1方向Xに沿って均一に配列され、他の5つの制御電極15は周辺領域102の第2サブ領域102bに位置し、第1方向Xに沿って均一に配列される。第1サブ領域102a又は第2サブ領域102bの5つの制御電極15は、加熱電極12に電圧信号(例えば、高電圧信号)を印加し、第2サブ領域102b又は第1サブ領域102aの5つの制御電極15は、加熱電極12に例えば接地電圧を印加して、加熱電極12に電流通路を形成させて、加熱電極12の電流均一性を向上させ、ひいてはその温度均一性を向上させることができる。
【0069】
なお、第1方向Xにおいて、周辺領域102が反応領域101の両側にそれぞれ位置する第3サブ領域及び第4サブ領域をさらに備える場合、第3サブ領域及び第4サブ領域において複数の制御電極15も設けられ得る。本開示の実施例は制御電極15の数、設置位置などを限定しない。
【0070】
例えば、
図3に示すように、検出チップ100は、複数のスペーサー18をさらに備える。複数のスペーサー18は周辺領域102内に設けられ、第1基板10と第2基板20との間に位置する。複数のスペーサー18は、反応系溶液の流動の空間を提供するように、第1基板10と第2基板20との間の間隔を保つように構成される。例えば、いくつかの実施例では、一部のスペーサー18はさらに反応領域101内に設けられてもよく、例えば反応領域101での複数の箇所に分散して設けられ、これにより検出チップ100の圧縮強度を向上させて、反応領域101が外力を受けて検出チップ100を損傷することを回避する。例えば、複数のスペーサー18同士のサイズ及び形状は、同じであってもよく、これにより検出チップ100の厚さ均一性を向上させる。また例えば、複数のスペーサー18のサイズ及び形状は、検出チップ100が受ける可能な力に応じて設定されてもよく、例えば、検出チップ100の周辺及び中央位置でスペーサー18のサイズが大きく、他の位置でスペーサー18のサイズが小さい。
【0071】
例えば、第1基板10に垂直な方向に、スペーサー18の高さは、マイクロキャビティ画定層11の高さよりも高くなり、第1基板10、マイクロキャビティ画定層11、スペーサー18を含む封止剤は、反応系溶液の液滴に対する試料供給ランナー及び試料排出ランナーを共に画定し、これにより、液滴を各マイクロ反応チャンバー110に移動させることを確保すると共に、マイクロ反応チャンバー110に入らない液滴を第1基板10と第2基板20との間の空間から流出させるようにする。例えば、いくつかの実施例では、スペーサー18の高さは、マイクロキャビティ画定層11の高さよりも30%又は50%大きく、両者の具体的な比例関係は、例えば、実際の必要に応じて決められ、本開示の実施例はこれを限定しない。
【0072】
例えば、スペーサー18の材料は、硬化性有機材料であってもよく、例えば、熱硬化性材料又は光硬化性材料であり、例えば、紫外線(UV)硬化性プロピレン樹脂又は他の適切な材料である。スペーサー18の形状は球状であってもよく、このとき、スペーサー18を封止剤に入れて均一に混合し、封止剤によって第1基板10と第2基板20を硬化封止させて、第1基板10と第2基板20をセル化してもよい。このように、封止剤に混合したスペーサー18は、第1基板10と第2基板20との間の間隔を制御することができる。本開示の実施例は、これを含むがこれに限定されず、スペーサー18の形状は、柱状、楕円体などの任意の適用可能な形状であってもよい。
【0073】
例えば、いくつかの実施例では、
図3に示すように、検出チップ100は、第1温度センサ30をさらに備える。第1温度センサ30は、第1基板10の第2基板20から遠い側(すなわち、第1基板10のマイクロキャビティ画定層11から遠い側)に設けられ、反応領域101内に位置する。第1温度センサ30は、反応領域101の温度を検出するように構成される。例えば、反応領域101の温度を所定温度(例えば、95℃、55℃又は72℃など)に維持する必要があり、このとき、第1温度センサ30は、反応領域101の温度をリアルタイムに検出して、加熱電極12を介して反応領域101の温度をリアルタイムに調整して、反応領域101の温度を所定温度に維持させることができ、これにより、反応領域101の温度が高すぎるか低すぎて増幅反応に悪影響を与えることを防止する。例えば、第1温度センサ30は、様々な種類の温度センサであってもよく、例えば、接触温度センサ又は非接触温度センサなどであり、例えば、熱電対温度センサ又は赤外線温度センサなどである。
【0074】
例えば、
図2及び
図3に示すように、検出チップ100は、少なくとも1つの試料入口21及び少なくとも1つの試料出口22をさらに備え、試料入口21及び試料出口22はいずれも第2基板20及び疎水性層13を貫通する。例えば、反応系溶液は、マイクロシリンジポンプ又はピペットを介して試料入口21に注入され、そして自己吸引により各マイクロ反応チャンバー110に入る。
【0075】
例えば、反応領域101は非機能領域1011をさらに備え、試料入口21及び試料出口22はいずれも非機能領域1011内に位置し、機能領域1010の異なる側に位置する。例えば、
図2に示すように、第2方向Yにおいて、試料入口21及び試料出口22はそれぞれ機能領域1010の両側に位置する。例えば、試料入口21及び試料出口22は第1方向Xに対して対称に分布することで、検出チップ100内に反応系溶液をより均一に流動させて、各マイクロ反応チャンバー110に反応系溶液を容易に進入させることができる。もちろん、本開示の実施例はこれに限定されず、試料入口21及び試料出口22はさらに第2方向Y又は他の任意の方向に対して対称に分布してもよい。なお、試料入口21及び試料出口22はいずれも機能領域1010内に位置してもよい。
【0076】
図4Aは本開示のいくつかの実施例に係る表面改質前のマイクロ反応チャンバーに対して表面の親水性・疎水性試験を行う模式図であり、
図4Bは本開示のいくつかの実施例に係る表面改質後のマイクロ反応チャンバーに対して表面の親水性・疎水性試験を行う模式図である。ここで、「表面改質前のマイクロ反応チャンバー」は、マイクロ反応チャンバーの底部及び側壁に親水性層が設けられていないときのマイクロ反応チャンバーを示し、以下、第1マイクロ反応チャンバーと呼ばれ、「表面改質後のマイクロ反応チャンバー」は、マイクロ反応チャンバーの底部及び側壁に親水性層が設けられているときのマイクロ反応チャンバー、すなわち本開示の実施例に係る検出チップ100のマイクロ反応チャンバー110を示し、以下、第2マイクロ反応チャンバーと呼ばれる。
【0077】
例えば、
図4A及び
図4Bに示される試験プロセスにおいて、脱イオン水を試験液滴として用い、マイクロ反応チャンバーの表面(底部又は側壁)での該液滴の接触角を測定する。
図4Aに示すように、第1試験液滴の体積は9.92μLであり、第1マイクロ反応チャンバーの場合、第1試験液滴と第1マイクロ反応チャンバーの表面との左接触角θ1は約50.38°であり、第1試験液滴と第1マイクロ反応チャンバーの表面との右接触角θ2は約50.21°であり、これにより、第1試験液滴と第1マイクロ反応チャンバーの表面との平均接触角は約50.29°である。
図4Bに示すように、第2試験液滴の体積は3.19μLであり、第2マイクロ反応チャンバーの場合、第2試験液滴と第2マイクロ反応チャンバーの表面との左接触角θ3は約12.57°であり、第2試験液滴と第2マイクロ反応チャンバーの表面との右接触角θ4は約13.50°であり、これにより、第2試験液滴と第2マイクロ反応チャンバーの表面との平均接触角は約13.03°である。これから分かるように、本開示のいくつかの実施例では、マイクロ反応チャンバー110の表面に親水性層14が設けられているため、親水性を大幅に向上させ、液滴と該マイクロ反応チャンバー110の表面との接触角がより小さい。
【0078】
図5Aは本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの第2基板に対して表面の親水性・疎水性試験を行う模式図であり、
図5Bは本開示の別のいくつかの実施例に係る検出チップの第2基板に対して表面の親水性・疎水性試験を行う模式図である。
【0079】
例えば、
図5Aに示される試験プロセスにおいて、脱イオン水の水滴を用い、第2基板20上の疎水性層13の表面での該水滴の接触角を測定する。例えば、水滴の体積は4.45μLであり、水滴と第2基板20上の疎水性層13の表面との左接触角θ5は約73.83°であり、水滴と第2基板20上の疎水性層13の表面との右接触角θ6は約74.01°であり、これにより、水滴と第2基板20上の疎水性層13の表面との平均接触角は約72.92°である。
図5Bに示される試験プロセスにおいて、液体パラフィンを用い、第2基板20上の疎水性層13の表面での該液体パラフィンの接触角を測定する。例えば、液体パラフィンの体積は0.02μLであり、液体パラフィンと第2基板20上の疎水性層13の表面との左接触角θ7は約10.13°であり、液体パラフィンと第2基板20上の疎水性層13の表面との右接触角θ8は約11.30°であり、これにより、液体パラフィンと第2基板20上の疎水性層13の表面との平均接触角は約10.71°である。これから分かるように、本開示のいくつかの実施例では、第2基板20の表面に疎水性層13が設けられているため、疎水性を大幅に向上させて、水滴と該第2基板20上の疎水性層13の表面との接触角が大きいが、液体パラフィンと第2基板20上の疎水性層13の表面との接触角が小さい。
【0080】
図6Aは本開示のいくつかの実施例に係る別の検出チップの平面模式図であり、
図6Bは本開示のいくつかの実施例に係る別の検出チップの部分断面構造の模式図である。例えば、
図6A及び
図6Bに示すように、親水性層14及び疎水性層13の設置方式、制御電極15の設置方式が異なる以外に、該実施例に係る検出チップ100は、
図2及び
図3に示される検出チップ100と基本的に同じである。以下、該実施例に係る検出チップ100の親水性層14及び疎水性層13の設置方式、及び制御電極15の設置方式を説明し、他の構造は
図2及び
図3の関連説明を参照でき、ここで繰り返し説明しない。
【0081】
例えば、
図6A及び
図6Bに示すように、複数のマイクロ反応チャンバー110のそれぞれは、側壁1101及び底部1102を備える反応ウェルを備える。マイクロキャビティ画定層11は、複数のマイクロ反応チャンバー110の間に位置する仕切り領域111を備え、仕切り領域111は、複数のマイクロ反応チャンバー110の側壁1101に隣接している第1領域111aと、複数のマイクロ反応チャンバー110の側壁1101に隣接していない第2領域111bとを備える。親水性層14は、複数のマイクロ反応チャンバー110のそれぞれにおける側壁1101及び底部1102を覆い、マイクロキャビティ画定層11の仕切り領域111における第1領域111aをさらに覆う。疎水性層13は、マイクロキャビティ画定層11の仕切り領域111における第2領域111bを覆う。
【0082】
このようにして、マイクロキャビティ画定層11の仕切り領域111のうち、マイクロ反応チャンバー110に隣接する部分を親水性にすることができ、すなわち、側壁1101の上縁を親水性にすることで、反応系溶液の自己吸引効果をより良好に実現して、反応系溶液の液滴を各マイクロ反応チャンバー110(すなわち、反応ウェル)により容易に入れ、溶液の混合を回避することができる。
【0083】
例えば、第1領域111aは円環状であり、該円環状の幅d1は2ミクロンから5ミクロン、例えば3ミクロンである。もちろん、本開示の実施例はこれに限定されず、第1領域111aはさらに他の形状であってもよく、例えば、マイクロ反応チャンバー110の断面形状に応じて決められる。例えば、マイクロ反応チャンバー110の断面形状が矩形である場合、第1領域111aは矩形の環状であり、マイクロ反応チャンバー110の断面形状が楕円形である場合、第1領域111aは楕円形の環状であり得る。第1領域111aの幅d1も限定されず、実際に達成する必要がある自己吸引効果及び加工プロセスに応じて決められる。
【0084】
例えば、まず、マイクロキャビティ画定層11上に1層の親水性層14を形成し、親水性層14がマイクロ反応チャンバー110の側壁1101及び底部1102を覆い、さらにマイクロキャビティ画定層11の仕切り領域111を覆う。次に、第2領域111b上に1層の疎水性層13を形成する。このようにして、
図6A及び
図6Bに示される構造が得られる。例えば、第2領域111bにおいては、積層された親水性層14と疎水性層13でマイクロキャビティ画定層11上を覆い、疎水性層13が反応系溶液と接触できる。このようにして、上記構造が得られるとともに、生産プロセスを簡素化し(例えば、親水性層14をパターニングする必要がないため、親水性層14の堆積プロセスを簡素化する)、生産コストを削減することができる。もちろん、本開示の実施例はこれに限定されず、他の実施例では、第2領域111bにおいては、親水性層14と疎水性層13の積層構造が形成されることなく、1層の疎水性層13のみが覆われてもよく、これは実際の加工プロセス及び生産方式により決められる。
【0085】
図6Cは本開示のいくつかの実施例に係る別の検出チップのマイクロキャビティ画定層、親水性層及び疎水性層の走査型電子顕微鏡写真である。例えば、
図6Cに示すように、親水性層14の厚さは405nm、疎水性層13の厚さは300nmであり、第1領域111aの幅d1は300nmよりも大きい。
【0086】
例えば、
図6Aに示すように、第1絶縁層16のビア160は、第1グループのビア161及び第2グループのビア162を備え、各グループのビアは、第1絶縁層16を貫通する1つ又は複数の貫通孔を備える。第1グループのビア161及び第2グループのビア162はそれぞれ周辺領域102の互いに対向する両側に位置する。例えば、第1グループのビア161は第2サブ領域102bに位置し、第2グループのビア162は第1サブ領域102aに位置する。制御電極15は、第1グループの制御電極1521及び第2グループの制御電極1522を備える。第1グループの制御電極1521は周辺領域102の、第1グループのビア161と同じ側に位置し、すなわち、第2サブ領域102bに位置する。第1グループの制御電極1521は、第1グループのビア161を介して加熱電極12に電気的に接続される。第2グループの制御電極1522は、周辺領域102に沿って延在して加熱電極12を部分的に取り囲む。例えば、第2グループの制御電極1522は、加熱電極12のエッジに沿って第2サブ領域102bから第1サブ領域102aまで延在し、第2グループのビア162を介して加熱電極12に電気的に接続される。例えば、制御電極15は、サイズがより大きい方形の接触部分151を備え、これにより、別に提供される機器のプローブ又は電極との接触接続を容易にすることができ、その接触面積が大きく、電気信号を安定して受信することができる。
【0087】
このようにして、制御電極15は、加熱電極12を少なくとも部分的に取り囲むことができるため、加熱電極12の熱損失を低減させて、反応領域101の温度をより均一にすることができ、且つ加熱電極12の加熱効率を向上させて、消費電力を低減させることができる。
【0088】
本開示の少なくとも一実施例は、制御装置と、本開示のいずれかの実施例に記載の検出チップとを備える反応システムをさらに提供する。該反応システムは、検出チップのマイクロ反応チャンバーへの温度制御を効果的に実現できるため、液滴を駆動する操作がなく、外部加熱機器を不要となっても温度サイクルを実現できて、集積性が高く、操作が簡単で、生産コストが低く、試料を効果的に供給できる。
【0089】
図7は本開示のいくつかの実施例に係る反応システムの概略ブロック図である。例えば、
図7に示すように、反応システム600は、検出チップ610と、制御装置620と、電源装置630とを備え、該電源装置630は、検出チップ610及び制御装置620に信号電圧又は駆動電圧などを提供する。検出チップ610は、本開示のいずれかの実施例に記載の検出チップ、例えば上記検出チップ100である。制御装置620は検出チップ610に電気的に接続され、検出チップ610に電気信号を印加して検出チップ610の加熱電極を駆動するように構成される。例えば、検出チップ610の複数のマイクロ反応チャンバーは反応系溶液を収容することができる。制御装置620は、検出チップ610の加熱電極に電気信号を印加して、加熱電極に熱を放出させることで、検出チップ610の機能領域の温度を制御して、反応系溶液を増幅反応させる。例えば、制御装置620は、汎用又は専用ハードウェア、ソフトウェア又はファームウェアなどとして実現されてもよく、例えば、さらに中央処理装置(CPU)、組み込みプロセッサ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)などを含んでもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。
【0090】
例えば、反応システム600は、第2温度センサ650をさらに備え得る。例えば、検出チップ610が
図3に示される検出チップ100と基本的に同じであるが、第1温度センサ30を備えない場合、温度検出の機能を実現するために、反応システム600に第2温度センサ650を設ける必要があり、且つ、該第2温度センサ650は検出チップ100の第1温度センサ30と基本的に同じ位置に設けられる必要がある。例えば、該第2温度センサ650は検出チップ610の第1基板の、マイクロキャビティ画定層から遠い側に設けられ、第1基板の反応領域内に位置し、検出チップ610の反応領域の温度を検出するように構成される。例えば、第2温度センサ650は、様々な種類の温度センサであってもよく、例えば、接触温度センサ又は非接触温度センサなどであり、例えば、熱電対温度センサ又は赤外線温度センサなどである。なお、別のいくつかの実施例では、検出チップ610が
図3に示される検出チップ100である場合、該検出チップ100は第1温度センサ30を備えるため、反応システム600に第2温度センサ650が設けられる必要がなくなる。
【0091】
例えば、反応システム600は、検出チップ610を光学的に検出するように構成される光学ユニット640をさらに備える。例えば、該光学ユニット640は、複数のマイクロ反応チャンバー内の検出対象溶液を蛍光検出するように構成される蛍光検出装置を備える。例えば、該蛍光検出装置は、蛍光光源及び画像センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD)画像センサ)を備える。なお、「検出対象溶液」は、反応系溶液に対してポリメラーゼ連鎖反応を行った後の溶液であり、すなわち、増幅反応後の反応系溶液である。例えば、該光学ユニット640は、蛍光検出装置から出力された検出画像を処理するように構成される画像処理装置をさらに備える。例えば、該画像処理装置は、中央処理装置(CPU)又はグラフィック処理装置(GPU)などを備え得る。例えば、制御装置620はさらに、蛍光検出装置及び画像処理装置による対応する機能の実行を制御するように構成される。
【0092】
以下、該反応システム600の作動原理及びプロセスを説明する。
【0093】
まず、反応系溶液を調製する。例えば、反応系溶液は、細胞溶解液と、DNAリアーゼで断片化されたDNA断片試料溶液と、PCR増幅試薬とを含む。例えば、一例では、検出される必要があるDNAは、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子エクソン19であり、これに対応して、PCR増幅試薬は、EGFR遺伝子エクソン19の特異的PCR増幅プライマーを含む。例えば、反応系溶液の体積は20μLであり、反応系溶液は、MIX試薬(MIX試薬はTaq酵素、dNPTs及びMgCl2を含む)10μL、上流プライマー0.6μL(10ミリモル(mM))、下流プライマー0.6μL(10mM)、水7.8μL、及び十分に希釈された鋳型デオキシリボ核酸(DNA)1μLを含み、これにより、各マイクロ反応チャンバー内の鋳型DNAの数が1以下になることを確保する。
【0094】
次に、検出チップ610の試料入口にポリテトラフルオロエチレンアダプター及びシリカゲル管を取り付け、上記調製した反応系溶液をマイクロシリンジポンプ又はピペットを介して試料入口に注入し、反応系溶液は、ポリテトラフルオロエチレンアダプター及びシリカゲル管を介して試料入口に入り、その後に、親水性層と疎水性層との相互作用下で、自己吸引により各マイクロ反応チャンバーに入る。
【0095】
続いて、3段階dPCRで熱サイクル増幅プロセスを行う。オイルシールされた検出チップ610を反応システム600のチップキャリアに置いて治具で固定し、電極と検出チップ610の制御電極とを電気的に接続させる。例えばパラメータ設定ボタンによってパラメータを設定し、95℃での15秒の変性、55℃での45秒のアニーリング、72℃での45秒の伸長を含むサイクルパラメータ、及び合計30個の熱サイクルを設定する。例えば、95℃での5分間のプレ変性をさらに設定してもよい。検出チップ610における鋳型DNAを含有するマイクロ反応チャンバー内の液滴はPCR増幅反応を行うが、鋳型DNAを含有しないマイクロ反応チャンバー内の液滴は対照群とされる。例えば、熱サイクルの温度と時間との関係曲線は
図8A及び
図8Bに示される。これから分かるように、熱サイクルの温度制御効果に優れて、正確な温度制御を実現することができる。
【0096】
なお、PCR増幅を行う前に、0.2質量%のウシ血清アルブミン(BSA)溶液でマイクロ反応チャンバーを満充填し、1時間浸漬して、マイクロ反応チャンバーの内面によるPCR試薬及び試料鋳型への吸着を減少させ、反応効率及び検出精度を向上させる。次に、マイクロポンプでBSA溶液を完全に排出し、反応系溶液をマイクロ反応チャンバーに注入し、油相で液封する。例えば、液体の自己吸引による液体供給、オイルシールを用いた効果図は
図8Cに示される。例えば、油相液封は、鉱物油、液体パラフィン、パルミチン酸イソプロピルとラウリン酸ブチル、パーフルオロアルカン系オイルなどで試料入口及び試料出口を密封して、反応系溶液の揮発を防止することができる。
【0097】
30サイクルの増幅後、検出チップ610を取り出して蛍光顕微鏡で観察し、励起波長が450nm~480nmであり、
図8Dに示される陽性及び陰性の対照結果を得る。例えば、
図8Dに示すように、反応系溶液にEGFR遺伝子変異エクソン19が含まれる場合、反応系溶液にはEGFR遺伝子変異エクソン19の特異的PCR増幅プライマーが含まれるため、PCR増幅プライマーの作用下で、変異エクソン19が大幅に増幅されて、検出対象溶液は陽性結果を示し、すなわち、少なくとも一部のマイクロ反応チャンバーには蛍光反応が発生する。反応系溶液にEGFR遺伝子変異エクソン19が含まれない場合、検出対象溶液は陰性結果を示し、すなわち、全てのマイクロ反応チャンバーには蛍光反応が発生しない。これにより、EGFR遺伝子エクソン19の検出を実現することができる。
【0098】
本開示の少なくとも一実施例は、検出チップの使用方法をさらに提供し、該使用方法により本開示のいずれかの実施例に記載の検出チップを操作することができる。該使用方法により、検出チップのマイクロ反応チャンバーへの温度制御を効果的に実現できるため、液滴を駆動する操作がなく、外部加熱機器も不要となっても温度サイクルを実現できて、集積性が高く、操作が簡単で、生産コストが低く、試料を効果的に供給できる。
【0099】
図9は本開示のいくつかの実施例に係る検出チップの使用方法のフローチャートである。例えば、
図9に示すように、該使用方法は以下のことを含む。
【0100】
ステップS10、反応系溶液を検出チップ100の試料入口21から検出チップ100の複数のマイクロ反応チャンバー110に進入させる。
【0101】
ステップS20、検出チップ100の制御電極15に電気信号を印加して、制御電極15によって加熱電極12を駆動して複数のマイクロ反応チャンバー110を加熱する。
【0102】
例えば、該使用方法は、複数のマイクロ反応チャンバー110を降温して、複数のマイクロ反応チャンバー110の温度を変化させることで、複数のマイクロ反応チャンバー110内の反応系溶液に対して変性段階、アニーリング段階及び伸長段階を含む温度サイクルを行うステップをさらに含む。例えば、構造が簡単で実現しやすくである、空冷装置でそれを降温してもよい。
【0103】
例えば、該使用方法は、検出チップ100を光学的に検出して蛍光画像を取得するステップをさらに含む。
【0104】
なお、本開示のいくつかの実施例では、該使用方法は、より多くのステップを含んでもよく、これは実際の必要に応じて決められ、本開示の実施例はこれを限定しない。該使用方法の詳細な説明及び技術的効果については、上記検出チップ100及び反応システム600の説明を参照でき、ここで繰り返し説明しない。
【0105】
以下、本開示のいくつかの実施例に係る検出チップ100の製造方法を簡単に説明する。
【0106】
検出チップ100の製造方法は、第1基板10上に加熱電極12を形成することと、第1基板10上に複数のマイクロ反応チャンバー110を画定するマイクロキャビティ画定層11を形成することとを含む。
【0107】
例えば、第1基板10への加熱電極12の形成には、第1絶縁層16の第1基板10から遠い側に1層の導電層(例えば、ITO層)をスパッタリングしてから、導電層に対して露光、現像、ドライエッチング、剥離などの工程を順次行って加熱電極12を得ることを含む。
【0108】
例えば、半導体パターニングプロセス(フォトエッチングプロセス及びプラズマ気相蒸着などを含む)により、第1基板10上にマイクロ反応チャンバー110を直接製造することができるため、プロセスが簡単で、量産を実現でき、生産コストが低い。
【0109】
例えば、マイクロキャビティ画定層11の形成には、第1基板10上に1層の画定材料層を堆積し、画定材料層に対して一次パターニングプロセスを行ってマイクロキャビティ画定層11を得ることを含む。画定材料層はフォトレジスト層であってもよく、画定材料層に対して一次パターニングプロセスを行ってマイクロキャビティ画定層11を得ることは、マスクを使用して画定材料層を露光、現像して、画定材料層内に複数のマイクロ反応チャンバー110を形成することで、マイクロキャビティ画定層11を得ることを含む。
【0110】
例えば、該製造方法は、マイクロキャビティ画定層11の第1基板10から遠い表面上に親水性層14を形成して、複数のマイクロ反応チャンバー110の側壁1101及び底部1102に親水性層14を形成することをさらに含む。
【0111】
例えば、いくつかの実施例では、マイクロキャビティ画定層11を形成するプロセスは以下のように説明される。まず、第1基板10を提供し、光学接着剤90(すなわち、OC接着剤)を1500回転/分の速度で45秒スピンコーティングし、次に、230℃の温度で光学接着剤を30分間硬化させる。光学接着剤90をスピンコーティングした第1基板10上に、フォトレジスト(例えば、型番KMH-T546、熱減量温度320℃)を300回転/分の速度でスピンコーティングし、90℃の温度でフォトレジストを2分間ベークする。フォトレジストのスピンコーティングを1回繰り返して上記プロセスを行って、フォトレジスト層を得る。続いて、マスクによってフォトレジスト層を露光して、目標パターンを得る。露光強度は999mJ、gap値(すなわち、マスクと第1基板10との間の間隔)は100ミクロン、露光時間は15秒である。現像液を使用して露光後のフォトレジスト層を45秒間現像し、230℃の温度で現像したフォトレジスト層を30分間硬化させて、マイクロキャビティ画定層11を最終的に得る。
図10Aに示すように、光学接着剤90の厚さは約2.02ミクロン、マイクロキャビティ画定層11の厚さは約9.8ミクロンである。
図10Bに示すように、マイクロキャビティ画定層11を得た後、プラズマ強化化学気相蒸着法(PECVD)によりマイクロキャビティ画定層11上に1層の二酸化シリコン層を堆積して親水性層14を得てもよい。親水性層14の厚さは約300nmであり、親水性層14はマイクロキャビティ画定層11の表面を完全に覆う。
【0112】
なお、第1基板10及び第2基板20上に各膜層が形成される前に、第1基板10及び第2基板20を洗浄することで、第1基板10及び第2基板20上に材料層を堆積しやすくすることができる。
【0113】
例えば、第1基板10上に制御電極15を形成することは、第1基板10上に1層の金属導電層をスパッタリングしてから、金属導電層に対して露光、現像、エッチング、剥離などの工程を順次行って制御電極15を得ることを含む。例えば、金属導電層は、モリブデン-アルミニウムネオジム-モリブデン(Mo-AlNd-Mo)で形成された積層である。
【0114】
例えば、第1基板10上に第1絶縁層16を形成することは、堆積プロセスにより、制御電極15が形成された第1基板10上に1層の絶縁材料層を堆積してから、該絶縁材料層に対して露光、現像、ビアエッチング、剥離などの工程を行って第1絶縁層16を得ることを含む。例えば、第1絶縁層16内にビア160が形成され得る。
【0115】
例えば、第1基板10上に第2絶縁層17を形成することは、加熱電極12の第1絶縁層16から遠い表面に1層の絶縁層(例えば、二酸化シリコン層及び/又は窒化シリコン層)を堆積して第2絶縁層17を得ることを含む。
【0116】
なお、上記製造方法において、半導体製造プロセスにより加熱電極12、制御電極15、第1絶縁層16、第2絶縁層17などの製造を実現できる。
【0117】
例えば、試料入口21及び試料出口22を形成することは、まず、レーザーアレイ穿孔により第2基板20上に第1貫通孔及び第2貫通孔を製造し、次に、パターニングプロセスにより疎水性層13中に第3貫通孔及び第4貫通孔を形成することを含む。第1貫通孔は第3貫通孔を露出し、第2貫通孔は第4貫通孔を露出し、第1貫通孔と第3貫通孔とで試料入口21を構成し、第2貫通孔と第4貫通孔とで試料出口22を構成する。
【0118】
例えば、該製造方法は、封止剤で第1基板10及び第2基板20を硬化封止させることをさらに含む。封止剤中には複数のスペーサー18が含まれ、複数のスペーサー18は球状であってもよい。
【0119】
以下の点を説明する必要がある。
【0120】
(1)本開示の実施例の図面は、本開示の実施例に係る構造のみに関し、他の構造は通常の設計を参照すればよい。
【0121】
(2)矛盾がない限り、本開示の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせて新たな実施例を得ることができる。
【0122】
以上は、本開示の具体的な実施形態に過ぎないが、本開示の保護範囲はこれに限定されず、本開示の保護範囲は特許請求の範囲の保護範囲を基準とするべきである。
【符号の説明】
【0123】
10 第1基板
11 マイクロキャビティ画定層
12 加熱電極
100 検出チップ
110 マイクロ反応チャンバー
【国際調査報告】