(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】注射器の針管用の装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
A61M5/32 510F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021535308
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 EP2019079383
(87)【国際公開番号】W WO2020126176
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】202018107232.3
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521266594
【氏名又は名称】シュテファン フィッシャー
【氏名又は名称原語表記】Stephan Fischer
【住所又は居所原語表記】Auf der Brede 8, 32120 Hiddenhausen, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】521266608
【氏名又は名称】トビアス ヴィルケ
【氏名又は名称原語表記】Tobias Wilke
【住所又は居所原語表記】Heuwinkel 3, 49477 Ibbenbueren, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】521266619
【氏名又は名称】ベアント モーア
【氏名又は名称原語表記】Bernd Mohr
【住所又は居所原語表記】Muehlenberg 2, 25355 Barmstedt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ヴィルケ
(72)【発明者】
【氏名】ベアント モーア
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066EE11
4C066FF05
4C066KK05
4C066LL22
4C066LL26
4C066NN02
4C066NN04
4C066NN07
4C066NN08
(57)【要約】
本発明は、注射器の針管(2)用の装置(1)であって、針管(2)のための支持体要素(3)において旋回可能に形成されたケーシング(4)を含んでおり、ケーシング(4)が、ケーシング(4)の旋回平面(6)内で開いたケーシング面(7)を有しているので、針管(2)が、注射のために使用した後に、収容のためにケーシング(4)内に旋回格納可能である、装置(1)に関する。本発明によれば、支持体要素(3)内における針管(2)の後側の自由端(8)の配置が、支持体要素(3)内に挿入可能な容器(10)の壁部(9)の制御された突き通しを可能にすることが提案される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器の針管(2)用の装置(1)であって、前記針管(2)のための支持体要素(3)において旋回可能に形成されたケーシング(4)を含んでおり、該ケーシング(4)が、該ケーシング(4)の旋回平面(6)内で開いたケーシング面(7)を有しているので、前記針管(2)が、注射のために使用した後に、収容のために前記ケーシング(4)内に旋回格納可能である、装置(1)において、
前記支持体要素(3)内における前記針管(2)の後側の自由端(8)の配置が、前記支持体要素(3)内に挿入可能な容器(10)の壁部(9)の制御された突き通しを可能にすることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記針管(2)の前記後側の自由端(8)の制御された突き通し工程が、前記支持体要素(3)に対する、挿入された前記容器(10)の旋回運動または回転運動により行われる、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記支持体要素(3)がケーシング(12)を含んでおり、該ケーシング(12)内に、回転移動可能に支承された内側部分(13)が配置されている、請求項1を引用する請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記内側部分(13)が、滑子ガイド(14)を介して前記ケーシング(4)に作用結合している、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記滑子ガイド(14)が、前記ケーシング(12)の壁部に傾斜して延びる滑子軌道(15)を有しており、該滑子軌道(15)内に、前記内側部分(13)の壁部に一体成形されたピンが係合する、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記内側部分(13)が、上側領域に、前記容器(10)の取出し領域のためのスリーブ形の収容部(17)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記スリーブ形の収容部(17)内に、前記容器(10)の前記取出し領域のためのガイドが設けられており、該ガイドが、制限された押込みを保証する、請求項1から6までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記容器の前記取出し領域が、円筒形の管片(18)として形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記管片(18)に、底面に設けられた薄膜(20)を備えたキャップ(19)が被嵌め可能であり、該キャップ(19)が、前記スリーブ形の収容部(17)内に挿入された状態で係止されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記内側部分(13)が、下側領域に、前記針管(2)のストローク結合部(23)のための別の下側の収容部(22)を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記針管(2)のための前記ストローク結合部(23)が、前記収容部(22)内で係止位置において結合されている、請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器の針管用の装置であって、針管のための支持体要素において旋回可能に形成されたケーシングを含み、ケーシングが、ケーシングの旋回平面内で開いたケーシング面を有しており、これにより針管は、注射のために使用した後に、収容のためにケーシング内へと旋回格納可能である、装置に関する。
【背景技術】
【0002】
注射器の針が、中空の支持体要素に結合され、注射器を備えた金属管を含んでおり、この金属管が、注射器の円筒体に結合されていることが知られている。本発明は、特に患者の体内への注射が実施された後の針の突き刺しに対して金属管を保護することを起点としている。処置後の針に接触してしまう身体への感染を阻止するために。つまり、針が最初の人に使用された後に、2人目の人がこの針で刺されてしまった場合に、病気が伝染してしまう。したがって、この針の使用には、特に通常はこの針を使って作業する人、特に病院スタッフおよび医師スタッフに対する少なからぬ危険が結びついている。使用した針を廃棄物として廃棄することは、廃棄物容器を手で扱う人またはこの容器に接近する人に対する危険も生じさせる。針管のための装置は、支持体要素において旋回可能に形成されたケーシングを有しているので、針管の使用後に、この針管を再び保護するためにケーシング内に旋回させることができる。
【0003】
本発明は、特に、支持体要素を起点としており、この支持体要素に、または針管上に、たとえば注射器の出口ノズルが嵌められており、これにより注入工程を注射器のピストンの操作を介して実施することができる。しかし、たとえば、注射薬が提供されるいわゆるアンプルまたは容器も、この形式で注射器(Injektion)を提供するために、装置に結合されることがますます望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は、旋回可能に形成されたケーシングを備えた支持体要素を含む、注射器の針管用の装置を改良して、装置が、物質を含むアンプル容器または別の容器を、これらの容器が支持体要素に確実にドッキング可能であるように提供するために適しているようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この課題は、独立請求項に記載の特徴により解決され、本発明の有利な構成は、従属請求項から明らかになる。
【0006】
本発明により達成される利点は、注射器の針管用の本発明に係る装置が支持体要素を有しており、支持体要素内に、一方では確実なドッキングならびに針管を通じた液体の確実な取出しを実施することができるように、アンプルの管片を導入することができることにある。
【0007】
このために、本発明によれば、支持体要素内における針管の自由端の配置が、支持体要素内に挿入可能な容器の管片壁部の制御された突き通しを可能にすることが提案される。つまり、アンプルの形で提供された容器が支持体要素内に導入されると、注射液の取出しのために容器の自動的な突刺し開封(Anstich)が生じる。
【0008】
改良形では、針管の自由端の制御された突き通し工程が、支持体要素に対する、挿入された容器の旋回運動または回転運動によって行われる。この構成は、容器の管片が支持体要素内に確実に導入されている場合に、旋回運動または回転運動の形の操作によって、容器の確実な突刺し開封が、漏れにより注射液が流出してしまうことなしに、実施されることを可能にする。
【0009】
支持体要素はケーシングを含んでおり、ケーシング内には、回転可能に支承され、軸方向に移動可能な内側部分が配置されている。改良形では、この内側部分が、滑子ガイドを介してケーシングに作用結合している。滑子ガイドのこの構成に基づいて、制御された意図的な突刺し開封工程が実施される。このことは、滑子ガイドがケーシング壁部に傾斜して延びる滑子軌道を有していて、この滑子軌道内に、内側部分の壁部に一体成形されたピンが係合することによって行われる。つまり、支持体要素に対して、内側部分内にドッキングされた装着された容器を回転させると、これによって、結合された針管の軸方向での内側部分の運動が生じ、進行した距離は、特に容器または管片の壁部を突き通すために十分な距離である。
【0010】
内側部分の構成および構造は、内側部分が上側領域において、容器の取出し領域のためのスリーブ形の収容部を有しているようになっている。1つの特別な構成によれば、スリーブ形の収容部内に、容器の取出し領域のためのガイドが設けられており、このガイドは、支持体要素内への容器の制限された押込みを保証し、これにより容器の望ましくない突刺し開封を阻止することができる。
【0011】
容器の取出し領域が、円筒形の管片として形成されており、この管片に、底面に設けられた薄膜を備えたキャップが被嵌め可能であり、キャップは、スリーブ形の収容部内に挿入された状態で係止される。
【0012】
今、管片状の出口を備えたアンプルにまずキャップを備え、次いでキャップが支持体要素内に導入され、しかもキャップが、取出し領域において内側部分に係止される可能性が生じる。これにより、一方では管片の確実な保持、他方では内側部分におけるキャップの確実な保持が生じる。
【0013】
内側部分自体は、下側領域において、針管のストローク結合部のための別の収容部を有している。ストローク結合部は、収容部内で係止位置に結合されている。この構成により、内側部分を所定の移動距離だけ滑子ガイドにより針管の軸方向に移動させた場合に、逆圧において針管端部が係止位置にもたらされるので、この係止位置において容器内への針の突刺し開封または突き通しが行われる。
【0014】
本発明の実施例を図面に純粋に概略的に図示し、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】装着されたアンプルを備えた装置を側面から見た斜視図である。
【
図2】旋回させられた保護ケーシングを備えた装置の、
図1とは別の図面である。
【
図3】針が突き通されていない状態で装置を断面して示す側面図である。
【
図4】針が突き通された状態で示す、
図3とは別の断面図である。
【
図5】別の実施形態の旋回させられたケーシングを備えた、本発明による別の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1および
図2は、それぞれ互いに異なる状態で、注射器の針管2用の装置1を示している。装置1は、針管2のための支持体要素3において旋回可能に形成されたケーシング4を含んでいる。特に
図2において確認可能であるように、針管2が注射のために露出するように、ケーシング4を、旋回軸線5を中心として支持体要素3に対して旋回させることができる。ケーシング4は、ケーシング4の旋回平面6内で開いたケーシング面7を有しているので、針管2を、注射のために使用した後に、
図1に示されているように、収容のためにケーシング4内へと旋回格納することができる。
【0017】
図1および
図2から確認可能であるように、支持体要素3内における針管2の後側の自由端8は、
図4の状態に示されているような、支持体要素3内に挿入された容器10の壁部9の制御された突き通しが可能になるように、配置されている。
図4では、僅かに斜めに切られた針管尖端部11が、容器10内に押し込まれていることを確認することができる。貫通または突刺し開封の工程は、針管2の後側の自由端8が、挿入された容器10の、支持体要素3に対する旋回運動および回転運動により行われることによって、達成される。このことを可能にするために、支持体要素3は、ケーシング12を含んでいる。ケーシング12内には、回転可能に支承された、このケーシング内で移動可能である内側部分13が配置されている。このことは、特に
図3および
図4ならびに
図5においても確認することができる。
【0018】
図1および
図2において詳細に確認することができるように、内側部分13は、滑子ガイド14を介してケーシング12に作用結合されている。滑子ガイド14は、ケーシング壁部に傾斜して延びる滑子軌道15を有しており、この滑子軌道15内に、内側部分13の壁部に一体成形されたピン16が係合する。当然ながら、
図1の側面図を観察した場合に、支持体要素3のケーシング12を容器10に対して回転させるかまたは旋回させると、滑子軌道15内で対応してピン16が案内され、これにより次いでケーシング12内において内側部分13の制御された操作が、装着された容器10が所定の移動距離だけ支持体要素3内に進むように行われる。
【0019】
滑子軌道15の距離区間だけ進行が行われると、
図4に示した状況が生じる。この状況では、特に針管2の後側の自由端8が、容器10の壁部9を貫通する。この状況では、今、アンプルを空にすることができるので、これにより提供された液体を、容器10として形成されたアンプルから、針管2を通じて注射することができる。
【0020】
改良形では、ケーシング12内に回転可能かつ移動可能に支承された内側部分13が、上側領域に、容器10の取出し領域のためのスリーブ形の収容部17を有している。容器10の取出し領域は、円筒形の管片18として形成されている。1つの特別な構成によれば、スリーブ形の収容部17内には、容器10の取出し領域のためのガイドが設けられている。このガイドは、支持体要素3内への容器10の制限された押込みを保証し、これにより容器10の望ましくない突刺し開封を阻止することができる。
【0021】
特に
図3および
図4を一緒に見ることから確認可能であるように、管片18に、底面に設けられた薄膜20を備えたキャップ19が被せ嵌められている。このキャップ19は、スリーブ形の収容部17内に導入され、挿入された状態で係止されている。個別の係止部21が、
図3および
図4に示唆されており、キャップ19の装着の結果、特に支持体要素3における管片18の確実な結合が確実になる。
【0022】
特に
図3および
図4からさらに確認することができるように、内側部分13は、下側の領域に、針管2のストローク結合部23のための下側の収容部22を有している。ストローク結合部23は収容部22内で係止位置に結合されており、第2の係止位置では、特にストローク結合部23は、直接に内側部分13の収容部22内に固定的に当て付けられるので、これにより、ストローク結合部23の端部位置において、壁部9を通じた確実な突刺しが行われる。
図3および
図4に図示された係止位置は、滑子ガイド14が操作された場合に、支持体要素3のケーシング12内における内側部分13の移動距離に対応する。
【符号の説明】
【0023】
1 装置
2 針管
3 支持体要素
4 ケーシング
5 旋回軸線
6 旋回平面
7 開いたケーシング面
8 自由端 後側
9 壁部
10 容器
11 針管尖端部
12 ケーシング 支持体要素
13 内側部分
14 滑子ガイド
15 滑子軌道
16 一体成形されたピン
17 スリーブ形の収容部
18 管片 容器
19 キャップ
20 薄膜
21 係止部
22 下側の収容部
23 ストローク結合部
【手続補正書】
【提出日】2020-10-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器の針管(2)用の装置(1)であって、前記針管(2)のための支持体要素(3)において旋回可能に形成されたケーシング(4)を含んでおり、該ケーシング(4)が、該ケーシング(4)の旋回平面(6)に開いたケーシング面(7)を有しているので、前記針管(2)が、注射のために使用した後に、収容のために前記ケーシング(4)内に旋回格納可能である、装置(1)において、
前記支持体要素(3)がケーシング(12)を含んでおり、該ケーシング(12)内に、回転移動可能に支承された内側部分(13)が配置されており、
前記内側部分(13)が、滑子ガイド(14)を介して前記ケーシング(4)に作用結合しており、
前記滑子ガイド(14)が、前記ケーシング(12)の壁部に傾斜して延びる滑子軌道(15)を有しており、該滑子軌道(15)内に、前記内側部分(13)の壁部に一体成形されたピンが係合し、これにより、前記支持体要素(3)に対する、前記内側部分(13)内にドッキングされた装着された容器(10)の回転運動時に、結合された前記針管(2)の軸方向での前記内側部分(13)の運動が生じ、
前記支持体要素(3)内における前記針管(2)の後側の自由端(8)の配置が、
前記容器(10)の前記回転運動の結果としての前記内側部分(13)の進行した距離によって、前記容器(10)の壁部(9)の制御された突き通しを可能にす
る、装置(1)。
【請求項2】
前記内側部分(13)が、上側領域に、前記容器(10)の取出し領域のためのスリーブ形の収容部(17)を有している、請求項
1記載の装置。
【請求項3】
前記スリーブ形の収容部(17)内に、前記容器(10)の前記取出し領域のためのガイドが設けられており、該ガイドが、制限された押込みを保証する、請求項1
を引用する請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記容器の前記取出し領域が、円筒形の管片(18)として形成されている、請求項1から
3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記管片(18)に、底面に設けられた薄膜(20)を備えたキャップ(19)が被嵌め可能であり、該キャップ(19)が、前記スリーブ形の収容部(17)内に挿入された状態で係止されている、請求項1から
4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記内側部分(13)が、下側領域に、前記針管(2)のストローク結合部(23)のための別の下側の収容部(22)を有している、請求項1から
5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記針管(2)のための前記ストローク結合部(23)が、前記収容部(22)内で係止位置において結合されている、請求項1から
6までのいずれか1項記載の装置。
【国際調査報告】