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特表2022-516431多視点画像を取得する及び/又は多視点画像を表示するための光電子デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】多視点画像を取得する及び/又は多視点画像を表示するための光電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20220218BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220218BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20220218BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220218BHJP
   G09G 3/32 20160101ALI20220218BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220218BHJP
   H04N 5/374 20110101ALI20220218BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20220218BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20220218BHJP
   H04N 13/232 20180101ALI20220218BHJP
【FI】
H01L33/62
G09F9/30 349Z
G09F9/33
G09F9/00 338
G09F9/00 361
G09G3/32 A
G09G3/20 680H
G09G3/20 660X
G09G3/20 624B
H04N5/374
H04N5/3745
H01L27/146 D
H01L27/146 A
H04N13/232
G09F9/30 338
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535907
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 FR2019053134
(87)【国際公開番号】W WO2020128314
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】1873198
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515113307
【氏名又は名称】アルディア
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ロビン,イヴァン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】メルシェ,フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】シャルボニエ,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ジャンナン,オリヴィエ
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
5C061
5C080
5C094
5C380
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA09
4M118CA02
4M118CA14
4M118CB14
4M118EA14
4M118FA06
4M118FC02
4M118GD04
4M118GD05
4M118GD07
4M118HA25
4M118HA30
5C024CY18
5C024CY47
5C024CY50
5C024EX21
5C024EX43
5C024EX52
5C024GX14
5C024GY31
5C024HX01
5C061AA06
5C061AB12
5C061AB14
5C061AB16
5C061AB18
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080CC04
5C080DD21
5C080DD22
5C080DD26
5C080EE30
5C080FF12
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ04
5C080JJ06
5C094AA51
5C094BA14
5C094BA23
5C094CA19
5C094DB01
5C094ED01
5C094FA01
5C094FA02
5C094GB10
5C380AA03
5C380AB04
5C380AB21
5C380AB34
5C380AB36
5C380AB37
5C380AB42
5C380AB45
5C380AB50
5C380BA01
5C380CA14
5C380CB01
5C380CC22
5C380CC23
5C380CC48
5C380CC49
5C380CC77
5C380DA06
5C380DA24
5C380DA44
5C380DA48
5F142AA81
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB03
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142DA14
5F142DA23
5F142DA72
5F142DA73
5F142DB22
5F142DB32
5F142FA32
5F142GA02
5G435AA16
5G435BB04
5G435CC09
5G435CC11
5G435EE36
5G435EE49
5G435FF07
5G435GG02
5G435KK05
5G435KK10
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、多視点画像を表示する及び/又は取得する光電子デバイス(10)に関する。光電子デバイスは、支持体(12)、支持体に載置されている光電子回路(Pix) のアレイ及び光電子回路を覆うレンズを備えている。光電子回路は、異なる視点に応じてシーンの画像の一又は複数の画素を取り込むのに適したN個の光検出器(25)、及び/又は異なる視点に応じてシーンの画像の一又は複数の画素を表示するのに適したN個の表示回路を夫々有しており、Nは3以上の自然数である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多視点画像を表示する及び/又は取得する光電子デバイス(10)であって、
支持体(12)と、
前記支持体に載置されている光電子回路(Pix) のアレイと、
前記光電子回路を覆うレンズと
を備えており、
前記光電子回路は、異なる視点に応じてシーンの画像の一又は複数の画素を取り込み可能なN個の光検出器(25)、及び/又は異なる視点に応じてシーンの画像の一又は複数の画素を表示可能なN個の表示回路(30)を夫々有しており、Nは3以上の自然数であり、前記光電子回路(Pix) は、異なる視点に応じてシーンの画像の画素を取り込み可能なN個の光検出器(25)、及び異なる視点に応じてシーンの画像の画素を表示可能なN個の表示回路(30)を夫々有していることを特徴とする光電子デバイス。
【請求項2】
前記光検出器(25)及び/又は前記表示回路(30)はアレイに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光電子デバイス。
【請求項3】
前記光電子回路(Pix) は、N個の表示回路(30)、及び前記支持体(12)に取り付けられた集積回路(20)を夫々有しており、N個の表示回路は、前記支持体と反対側の前記集積回路の側で前記集積回路に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光電子デバイス。
【請求項4】
前記集積回路(20)は、N個の光検出器(25)を有していることを特徴とする請求項3に記載の光電子デバイス。
【請求項5】
前記表示回路(30)は、少なくとも1つの発光ダイオードを夫々有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項6】
前記光検出器(25)は、少なくとも1つのフォトダイオードを夫々有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項7】
前記光電子回路は、10未満の導電性トラックに夫々接続されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか1つに記載の光電子デバイス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の光電子デバイス(10)を製造することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記光電子回路(Pix) は、N個の表示回路(30)、及び前記支持体(12)に取り付けられた集積回路(20)を夫々有しており、N個の表示回路は、前記支持体と反対側の前記集積回路の側で前記集積回路に取り付けられており、
a)前記集積回路の複数の複製物を有する第1のウエハ(80)を形成して、前記表示回路(30)の複数の複製物を有する第2のウエハ(78)を形成する工程、
b)前記第2のウエハを前記第1のウエハに取り付ける工程、
c)前記第2のウエハ内の前記表示回路を分離する工程、及び
d)前記第1のウエハ内の前記集積回路を分離する工程
を連続的に有することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
工程d)の前に、前記表示回路(30)をハンドル(86)に取り付ける工程e)を有することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程e)及び工程d)の間に、前記第1のウエハ(80)を薄層化する工程を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1~7のいずれか1つに記載の光電子デバイス(10)を使用する方法であって、
前記光電子回路のN個の光検出器(25)によって取り込まれる画像の画素を表す第1のデータ(PH_Data) を各光電子回路(Pix) によって供給する、及び/又は前記光電子回路のN個の表示回路(30)によって表示される画像の画素を表す第2のデータ(LED_Data)を各光電子回路(Pix) に供給することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記光電子回路(Pix) は行及び列に配置され、列毎に前記列の光電子回路の少なくとも1つが信号を受信して、前記信号を前記列の別の光電子回路に少なくとも部分的に送信することができることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に、複数の視点からの画像を取得する及び/又は複数の視点に応じて画像を表示するための光電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
映像をマルチスコピックに取得するデバイス、すなわち映像を複数の視点で取得するデバイスの例では、マイクロレンズのアレイが光検出器のアレイを有する1台のカメラの前方に配置されている。そのため、異なる視点に応じたシーンの画像が、インターレース方式で取り込まれる。
【0003】
映像を多視点で表示するデバイスの例では、インターレース方式の表示画素アレイが備えられている。そのため、異なる視点からのシーンの画像がインターレース方式で表示される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の多視点画像取得デバイス及び多視点画像表示デバイスの不利点は、インターレース画像を表示することができる表示画素の電気接続又は異なる視野角に対応するインターレース画像を取得可能な光検出器の電気接続が、取得又は表示される画像の解像度がかなり高くなり次第、複雑になることである。
【0005】
多視点画像取得デバイス及び多視点画像表示デバイスの別の不利点は、多視点画像取得デバイスによって取得される画像の処理が一般に、多視点画像表示デバイスで表示するための適合されたフォーマットで画像を取得する必要があるということである。
【0006】
実施形態は、多視点画像を取得する及び/又は多視点画像を表示するための光電子デバイスの不利点の全て又は一部を克服する。
【0007】
実施形態は、インターレース画像を表示可能な画像画素の電気接続、又はインターレース画像を取得可能な光検出器の電気接続が簡単な、画像を多視点で取得する及び/又は画像を多視点で表示するための光電子デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態は、多視点画像を表示する及び/又は取得する光電子デバイスであって、支持体と、前記支持体に載置されている光電子回路のアレイと、前記光電子回路を覆うレンズとを備えており、前記光電子回路は、異なる視点に応じてシーンの画像の一又は複数の画素を取り込み可能なN個の光検出器、及び/又は異なる視点に応じてシーンの画像の一又は複数の画素を表示可能なN個の表示回路を夫々有しており、Nは3以上の自然数であることを特徴とする光電子デバイスを提供する。
【0009】
実施形態によれば、前記光電子回路は、異なる視点に応じてシーンの画像の画素を取り込み可能なN個の光検出器、及び異なる視点に応じてシーンの画像の画素を表示可能なN個の表示回路を夫々有している。
【0010】
実施形態によれば、前記光検出器及び/又は前記表示回路はアレイに配置されている。
【0011】
実施形態によれば、前記光電子回路は、N個の表示回路、及び前記支持体に取り付けられた集積回路を夫々有しており、N個の表示回路は、前記支持体と反対側の前記集積回路の側で前記集積回路に取り付けられている。
【0012】
実施形態によれば、前記集積回路は、N個の光検出器を有している。
【0013】
実施形態によれば、前記表示回路は、少なくとも1つの発光ダイオードを夫々有している。
【0014】
実施形態によれば、前記光検出器は、少なくとも1つのフォトダイオードを夫々有している。
【0015】
実施形態によれば、前記光電子回路は、10未満の導電性トラックに夫々接続されている。
【0016】
実施形態は、既に定められているような光電子デバイスを製造することを特徴とする方法を更に提供する。
【0017】
実施形態によれば、前記光電子回路は、N個の表示回路、及び前記支持体に取り付けられた集積回路を夫々有しており、N個の表示回路は、前記支持体と反対側の前記集積回路の側で前記集積回路に取り付けられており、前記方法は、
a)前記集積回路の複数の複製物を有する第1のウエハを形成して、前記表示回路の複数の複製物を有する第2のウエハを形成する工程、
b)前記第2のウエハを前記第1のウエハに取り付ける工程、
c)前記第2のウエハ内の前記表示回路を分離する工程、及び
d)前記第1のウエハ内の前記集積回路を分離する工程
を連続的に有する。
【0018】
実施形態によれば、前記方法は、工程d)の前に、前記表示回路をハンドルに取り付ける工程e)を有する。
【0019】
実施形態によれば、前記方法は、工程e)及び工程d)の間に、前記第1のウエハを薄層化する工程を有する。
【0020】
実施形態は、既に定められているような光電子デバイスを使用する方法であって、前記光電子回路のN個の光検出器によって取り込まれる画像の画素を表す第1のデータを各光電子回路によって供給する、及び/又は前記光電子回路のN個の表示回路によって表示される画像の画素を表す第2のデータを各光電子回路に供給することを特徴とする方法を更に提供する。
【0021】
実施形態によれば、前記光電子回路は行及び列に配置され、列毎に前記列の光電子回路の少なくとも1つが信号を受信して、前記信号を前記列の別の光電子回路に少なくとも部分的に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】多視点画像取得・投影光電子デバイスの実施形態を示す部分的な断面略図である。
図2図1に示されている光電子デバイスを示す部分的な平面略図である。
図3】多視点画像ディスプレイスクリーンの動作原理を示す簡略図である。
図4図1及び図2に示されている多視点画像取得・投影光電子デバイスの更に詳細な実施形態を示す部分的な断面略図である。
図5図1及び図2に示されている多視点画像取得・投影光電子デバイスの別の更に詳細な実施形態を示す部分的な断面略図である。
図6図1及び図2に示されている多視点画像取得・投影光電子デバイスの別の更に詳細な実施形態を示す部分的な断面略図である。
図7図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な側面断面略図7A~7Eを示す図である。
図8図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態のその後の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な側面断面略図8A~8Dを示す図である。
図9図4に示されている光電子デバイスを製造する方法の実施形態のその後の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な側面断面略図9A~9Cを示す図である。
図10図1及び図2に示されている光電子デバイスの画素間の電気接続の実施形態を示す図である。
図11図10に示されている光電子デバイスの画素を制御する方法の実施形態を示す図である。
図12図10に示されている光電子デバイスの画素を制御する方法の別の実施形態を示す図である。
図13図10に示されている光電子デバイスの画素を制御する方法の別の実施形態を示す図である。
図14図1及び図2に示されている光電子デバイスの画素の実施形態を示すブロック図である。
図15図1及び図2に示されている光電子デバイスの画素を制御する方法の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
同一の要素は異なる図面で同一の参照番号で示されている。特に、様々な実施形態に共通する構造的要素及び/又は機能的要素は同一の参照番号で示されてもよく、同一の構造特性、寸法特性及び材料特性を有してもよい。
【0024】
明瞭化のために、記載された実施形態の理解に有用なステップ(工程)及び要素のみが示され詳述されている。特に、発光ダイオードの構造は当業者に広く知られており、詳細に説明されない。
【0025】
特に示されていない場合、「接続」という用語は、導体以外のいかなる中間素子も無しの回路素子間の直接の電気接続を表すために使用される一方、「連結」という用語は、直接であってもよく又は一若しくは複数の他の素子を介してもよい回路素子間の電気接続を表すために使用される。
【0026】
以下の記載では、「前」、「後ろ」、「最上部」、「底部」、「左」、「右」などの絶対位置、若しくは「上方」、「下方」、「上側」、「下側」などの相対位置を限定する用語、又は「水平方向」、「垂直方向」などの方向を限定する用語を参照するとき、この用語は図面の向き又は通常の使用位置にある光電子デバイスを指す。
【0027】
「約」、「略」、「実質的に」及び「程度」という用語は、特に示されていない場合、該当する値のプラスマイナス10%、好ましくはプラスマイナス5%の許容値を示すために本明細書に使用されている。更に、発光ダイオードの「アクティブ領域」又は「アクティブ層」は、発光ダイオードによる電磁放射光の大部分を放射する発光ダイオードの領域を表す。更に、「0」と示される第1の一定の状態、例えば低状態と「1」と示される第2の一定の状態、例えば高状態との間で交互に生じる信号が「二値信号」と称される。同一の電子回路の異なる二値信号の高状態及び低状態は異なってもよい。特に、二値信号は、高状態又は低状態で完全には一定でなくてもよい電圧又は電流に対応してもよい。以下の記載では、透明層とは、光電子デバイスによって放射される放射光、又は光電子デバイスによって検出される放射光を通す層である。
【0028】
画像の画素は、ディスプレイ光電子デバイスによって表示される画像の単位素子に相当する。光電子デバイスがカラー画像のディスプレイスクリーンである場合、光電子デバイスは一般に、画像の各画素を表示するために表示サブ画素とも称される少なくとも3つの要素を備えており、これらの要素は実質的に単一色(例えば赤色、緑色及び青色)で放射光を夫々放射する。3つの表示サブ画素によって放射される放射光を重ね合わせることにより、表示画像の画素に対応する色付けの感覚が観察者に与えられる。この場合、画像の画素を表示するために使用される3つの表示サブ画素によって形成される集合体が光電子デバイスの表示画素と称される。
【0029】
図1及び図2は、表示・取得画素を備えた多視点画像取得・表示光電子デバイス10の実施形態を示し、4つの表示・取得画素が図1に示されており、12の表示・取得画素が図2に示されている。図1は、図2の線I-Iに沿った断面図であり、図2図1の平面図である。
【0030】
光電子デバイス10は、図1の下から上に、
- 好ましくは平行な対向する下面14及び上面16を有する支持体12と、
- 上面16に載置され、例えば行及び列に分散している、表示・取得画素回路とも以下に称される表示・取得画素Pix (3行及び4列が図2に示されている)と、
- 画素Pix を覆う、図2に示されていないマイクロレンズ18と
を備えている。
【0031】
マイクロレンズ18は、円筒形マイクロレンズ又は球面マイクロレンズであってもよく、例えば一列の画素Pix 、2つの隣り合う列の画素Pix 又は3以上の隣り合う列の画素Pix を夫々覆ってもよい。各マイクロレンズ18は、一列の画素Pix 又は2つの隣り合う列の画素Pix を覆う円筒形レンズであることが好ましい。変形例として、各マイクロレンズ18は、同一の画素列、2つの隣り合う画素列又は3以上の隣り合う画素列の隣り合う画素Pix 群のみを覆ってもよい。実施形態によれば、各マイクロレンズ18は1つの画素Pix を覆っている。
【0032】
各画素Pix は、図1の下から上に、
- 支持体12に対向する下面22及び下面22と反対側の上面24を有する、制御・取得回路と以下に称される第1の光電子回路20(下面22及び上面24は好ましくは平行であり、制御・取得回路20は上面側に光検出器25を有しており、各光検出器25は、例えばフォトダイオード又はフォトレジスタを有しており、4つの光検出器25が画素Pix 毎に図2に示されている)と、
- 制御・取得回路20の上面24に取り付けられている、表示回路と以下に称される第2の光電子回路30(4つの表示回路30が画素Pix 毎に図2に示されており、各表示回路30は不図示の光源を有しており、複数の表示回路30を1つの光電子回路に一体化することが可能である)と
を有している。
【0033】
実施形態によれば、各画素Pix は基本画素EPixのアレイを有しており、各基本画素EPixは、所与の視点に応じてシーンの画像の画素を表示するための表示回路30と、その視点に応じてシーンの画像の画素を取得するための光検出器25とを有している。画素Pix 毎に、画素Pix の基本画素EPixが異なる視点に関連付けられている。実施形態によれば、各画素Pix は、少なくとも2行及び少なくとも2列の基本画素EPixのアレイ、好ましくは少なくとも5行及び少なくとも5列の基本画素のアレイを有している。
【0034】
図3は、画像を多視点裸眼で表示するための光電子デバイス10の動作原理を非常に概略的に示す平面図である。異なる視点に応じたシーンの画像が、光電子デバイス10によってインターレース方式で表示される。図3は、一行の画素Pix を概略的に示し、第1の方向にハッチングされている第1の基本画素EPix1 の表示回路は、第1の視点に応じた画像の表示画素であり、第2の方向にハッチングされている第2の基本画素EPix2 の表示回路は、第2の視点に応じた画像の表示画素である。観察者が光電子デバイス10に対して所与の位置にいる場合、第1の基本画素EPix1 の表示回路によって放射される光線が観察者の左目のみに達し、第2の基本画素EPix2 の表示回路によって放射される光線が観察者の右目のみに達するように、マイクロレンズ18は構成及び配置されている。そのため、三次元効果が観察者に認識される。実際には、観察者が光電子デバイス10に対して移動しながら三次元画像を認識し続けるように、3以上の視点に対応する画像をインターレース方式で同時的に表示してもよい。
【0035】
シーンの画像を取得するステップ中、画素Pix の基本画素の光検出器が作動する。マイクロレンズ18の配置及び構成により、異なる視点に応じた同一のシーンの画像が画素Pix の基本画素の光検出器によって同時的に取得される。例として、図3に関連して、第1の基本画素EPix1 の光検出器によって検出される光線は、第1の視点に応じたシーンの画像の画素に対応し、第2の基本画素EPix2 の光検出器によって検出される光線は、第2の視点に応じたシーンの画像の画素に対応する。
【0036】
光電子デバイス10の利点は、光電子デバイス10によって多視点で取得される画像を、同一の光電子デバイス10又は同一の構造の光電子デバイスによって簡単に表示できることである。実際、光電子デバイス10によって多視点で取得される画像をこの光電子デバイス10によって表示するための処理を準備する必要がなく、多視点画像を取得するために各画素の基本画素によって送られる信号を、多視点画像を表示するために同一の基本画素に直接送ってもよい。全く同じ光電子デバイスを使用しなくても、異なる視野角を表示して動作するあらゆるスクリーンにより、光電子デバイス10によって取り込まれるデータを表示してもよい。
【0037】
光電子デバイス10の別の利点は、光電子デバイスによって取り込まれ得る視野が大きくてもよいということである。
【0038】
実施形態によれば、映像を多視点で表示する間、光検出器25を更に使用して、多視点で表示される画像を見ている観察者の目の位置を決定してもよい。この決定された位置を使用し、観察者の目の位置を考慮して多視点で表示される画像を適合してもよく、例えば、観察者の目に向かって光線を放射する表示回路30のみを起動させてもよい。このため、処理/送信されるデータのストリームを制限して、ひいては電力消費量を低減することが可能になる。
【0039】
実施形態によれば、光電子デバイス10によって多視点で取り込まれる画像を、多視点画像の表示に適合されていないディスプレイスクリーンに表示する場合、画像の焦点を調節して、凹凸がない画像を表示することが可能である。
【0040】
実施形態によれば、各表示回路30は少なくとも1つの発光ダイオードを有している。各表示回路30が2つの発光ダイオード又は3以上の発光ダイオードを有する場合、表示回路30の全ての発光ダイオードのアクティブ領域は、好ましくは実質的に同一の波長の放射光を放射する。
【0041】
各発光ダイオードは、アクティブ領域を含む実質的に平面の半導体層の積層体を有するいわゆる二次元発光ダイオードに相当してもよい。各発光ダイオードは、三次元半導体素子、特にマイクロワイヤ、ナノワイヤ、円錐、円錐台、角錐又は角錐台を覆う半導体シェルを含むラジアル構造を有する少なくとも1つの三次元発光ダイオードを含んでもよく、半導体シェルは、アクティブ領域を含む非平面の半導体層の積層体から形成されてもよい。このような発光ダイオードの例は、米国特許出願公開第2014/0077151 号明細書及び米国特許出願公開第2016/0218240 号明細書に記載されている。各発光ダイオードは、半導体シェルが半導体素子の軸方向の延長部分に配置されているアキシャル構造を有する少なくとも1つの三次元発光ダイオードを含んでもよい。
【0042】
画素Pix 毎に、1つの表示回路に一体化されてもよい表示回路30を、直接接合により、例えば異種分子結合により制御・取得回路20に取り付けてもよい。このような接続により、各表示回路30と制御・取得回路20との機械的な接続が保証され、制御・取得回路20への表示回路30の一又は複数の発光ダイオードの電気接続が更に保証される。変形例として、一又は複数の表示回路30を「フリップチップ」タイプの接続によって制御・取得回路20に取り付けてもよい。可溶性の導電素子、例えば半田ボール又はインジウムボールが、各表示回路30を制御・取得回路20に連結してもよい。
【0043】
実施形態によれば、各基本画素EPixは第1の波長の第1の放射光を放射して、第2の波長の第2の放射光を放射することが可能である。実施形態によれば、各基本画素EPixは、第3の波長の第3の放射光を放射することが更に可能である。第1、第2及び第3の波長は異なってもよい。実施形態によれば、第1の波長は青色の光に対応し、430 nm~490 nmの範囲内にある。実施形態によれば、第2の波長は緑色の光に対応し、510 nm~570 nmの範囲内にある。実施形態によれば、第3の波長は赤色の光に対応し、600 nm~720 nmの範囲内にある。
【0044】
実施形態によれば、各基本画素EPixは、第4の波長の第4の放射光を放射することが更に可能である。第1、第2、第3及び第4の波長は異なってもよい。実施形態によれば、第4の波長は黄色の光に対応し、570 nm~600 nmの範囲内にある。別の実施形態によれば、第4の放射光は、近赤外域の放射光、特には700 nmと980 nmとの間の波長の放射光、紫外線又は白色の光に相当する。
【0045】
実施形態によれば、各基本画素EPixは、第5の波長の第5の放射光及び第6の波長の第6の放射光を検出することが可能である。実施形態によれば、各基本画素EPixは、第7の波長の第7の放射光を検出することが更に可能である。第5、第6及び第7の波長は異なってもよい。実施形態によれば、第5の波長は第1の前述した波長に相当し、すなわち430 nm~490 nmの範囲内の青色の光に対応する。実施形態によれば、第6の波長は第2の前述した波長に相当し、すなわち510 nm~570 nmの範囲内の緑色の光に対応する。実施形態によれば、第7の波長は第3の前述した波長に相当し、すなわち600 nm~720 nmの範囲内の赤色の光に対応する。
【0046】
実施形態によれば、各基本画素EPixは、第8の波長の第8の放射光を検出することが更に可能である。第5、第6、第7及び第8の波長は異なってもよい。実施形態によれば、第8の波長は、第4の前述した波長に相当し、すなわち570 nm~600 nmの範囲内の黄色の光、近赤外域の放射光、特には700 nmと980 nmとの間の波長の放射光、又は紫外線に対応する。
【0047】
図4は、図1及び図2に示されている多視点画像取得・表示光電子デバイス10の更に詳細な実施形態を示す部分的な断面略図である。本実施形態では、光電子デバイス10は、図4の下から上に、
- 支持体12と、
- 上面16に載置されており、導電性材料で形成されている電極32(画素Pix 毎に4つの電極32が図4に示されている)と、
- 電極32に載置され電極32と接している画素Pix (2つの画素Pix が図4に示されており、画素Pix は2つの基本画素EPixを夫々有している)と、
- 画素Pix 間の支持体12と画素Pix とを覆う電気絶縁性の封止層34と、
- マイクロレンズ18と
を有している。
【0048】
一般に、各画素Pix は3以上の基本画素EPixを有してもよい。実施形態によれば、基本画素EPixは実質的に同一の構造を有しており、各基本画素EPixは、表示回路30と、特に光検出器25を有する制御・取得回路20の一部とを有している。
【0049】
画素Pix 毎に、制御・取得回路20の下面22は電極32に取り付けられており、例えば電極32に電気的に連結されている導電性パッド36によって画定されている。制御・取得回路20は、導電性パッド38を上面24側に更に有している。導電性パッド38は、電気絶縁層39によって横方向に分離されてもよい。制御・取得回路20は、基本画素EPix毎に光検出器25を上面24側に更に有しており、光検出器25は少なくとも3つのフォトダイオードPHを夫々有していることが好ましい。制御・取得回路20は、上面24側に不図示のトランジスタを更に有している。制御・取得回路20は、上面24側に配置された制御・取得回路の半導体領域又は導電性パッド38の一部に導電性パッド36を連結する導電性貫通バイア40を有している。例として、図4は、基本画素EPix毎に、パッド36の内の1つをフォトダイオードPHに連結する第1のバイア40、及び別のパッド36をパッド38の内の1つに連結する第2のバイア40を示す。
【0050】
基本画素EPix毎に、表示回路30は、画素Pix の制御・取得回路20の上面24に取り付けられている。各表示回路30は、発光ダイオードLED 、好ましくは少なくとも3つの発光ダイオードを形成する半導体層の積層体42を有している。各表示回路30は、導電性パッド38に接する導電性パッド44によって制御・取得回路20に電気的に連結されている。各表示回路30は、制御・取得回路20と反対側で発光ダイオードLED を覆って壁48によって横方向に分離された光輝性ブロック46を有している。各光輝性ブロック46は発光ダイオードLED の内の1つと対向して配置されていることが好ましい。図4には、各基本画素EPixの発光ダイオードLED 及び光輝性ブロック46が一列に並んで示されている。しかしながら、発光ダイオードLED 及び光輝性ブロック46の配置が異なってもよいことは明らかなはずである。例として、各表示回路30は、平面視で正方形の角部に分散している4つの発光ダイオードを有してもよい。
【0051】
本実施形態では、各発光ダイオードLED は、アクティブ領域を含む実質的に平面の半導体層の積層体を有するいわゆる二次元発光ダイオードに相当する。実施形態によれば、基本画素EPixの全ての発光ダイオードLED は、好ましくは実質的に同一の波長の放射光を放射する。
【0052】
より具体的には、積層体42は、発光ダイオードLED 毎に、導電性パッド44と接している第1の導電型、例えばP型にドープされた半導体層50と、半導体層50と接しているアクティブ層52と、アクティブ層52と接している第1の導電型と反対の第2の導電型、例えばN型にドープされた半導体層54とを有している。表示回路30は、全ての発光ダイオードLED の半導体層52と接する半導体層56を更に有しており、半導体層56に壁48及び光輝性ブロック46が載置されている。半導体層56は、例えば半導体層54の材料と同一の材料で形成されている。実施形態によれば、各表示回路30は、発光ダイオードLED 毎に、発光ダイオードLED の半導体層50を制御・取得回路20に連結する導電性パッド44と、半導体層56を制御・取得回路20に直接連結する少なくとも1つの導電性パッド44とを有している。
【0053】
発光ダイオードLED 毎に、アクティブ層52は閉込め手段を有してもよい。例として、アクティブ層52は単一量子井戸を有してもよい。そのため、アクティブ層52は、半導体層50, 54を形成する半導体材料とは異なり、半導体層50, 54を形成する材料のバンドギャップより小さいバンドギャップを有する半導体材料を含んでいる。アクティブ層52は多重量子井戸を有してもよい。そのため、アクティブ層52は、量子井戸及び障壁層が交互に形成された半導体層の積層体を有する。
【0054】
実施形態によれば、各光輝性ブロック46は発光ダイオードLED の内の1つと対向して配置されている。各光輝性ブロック46は発光団を有しており、発光団は、関連付けられた発光ダイオードLED によって放射される光により励起されると、関連付けられた発光ダイオードLED によって放射される光の波長とは異なる波長で光を放射することができる。実施形態によれば、各画素Pix は少なくとも2つのタイプの光輝性ブロック46を有している。第1のタイプの光輝性ブロック46は、発光ダイオードLED による放射光を変換して第1の波長の放射光を放射することができ、第2のタイプの光輝性ブロック46は、発光ダイオードLED による放射光を変換して第2の波長の放射光を放射することができる。実施形態によれば、各画素Pix は少なくとも3つのタイプの光輝性ブロック46を有しており、第3のタイプの光輝性ブロック46は、発光ダイオードLED による放射光を変換して第3の波長の第3の放射光を放射することができる。
【0055】
画素Pix の制御・取得回路20は、画素Pix の基本画素EPixの発光ダイオードLED 及びフォトダイオードPHを制御するために使用される、フォトダイオードPH、特に不図示のトランジスタを含む電子部品を有してもよい。各制御・取得回路20は、電子部品が内部及び/又は最上部に形成されている半導体基板を有してもよい。そのため、制御・取得回路20の下面22は、電子部品が形成されている側の基板の前側24と反対側の基板の後側に相当してもよい。半導体基板は、例えばシリコン、特に単結晶シリコンで形成された基板である。フォトダイオードの構造は当業者に広く知られており、以下に更に詳細に記載されない。
【0056】
実施形態によれば、表示回路30は発光ダイオード及び発光ダイオードを接続する素子のみを有しており、制御・取得回路20は、表示回路30の発光ダイオードを制御するのに必要な全ての電子部品を有している。別の実施形態によれば、表示回路30は、発光ダイオードに加えて他の電子部品を更に有してもよい。
【0057】
光電子デバイス10は10~109 個の画素Pix を有してもよい。各画素Pix は、平面視で1μm2 ~100 mm2 の範囲内の表面領域を占めてもよい。各画素Pix の厚さは1μm~6mmの範囲内であってもよい。各制御・取得回路20の厚さは0.5 μm~3,000 μmの範囲内であってもよい。各表示回路30の厚さは0.2 μm~3,000 μmの範囲内であってもよい。
【0058】
本実施形態では、外部への画素Pix の全ての電気接続部分は、制御・取得回路20の下面22側に形成されている。そのため、電極32の数は、画素Pix の動作に必要な外部への電気接続部分の数に応じて決められる。
【0059】
マイクロレンズ18は、円筒形レンズ、例えば平凸レンズ、又は球面平凸レンズに相当してもよい。実施形態によれば、各画素Pix が、その画素に関連付けられたマイクロレンズ18の焦点面に実質的に配置されるように、画素Pix は配置されてもよい。実施形態によれば、各画素Pix は、その画素に関連付けられたマイクロレンズ18の焦点を実質的に中心として配置されている。変形例として、画素Pix と画素Pix に関連付けられたマイクロレンズ18との相対位置は、光電子デバイスの画素アレイにおける画素の位置に応じて異なってもよい。特に、画素Pix が画素Pix に関連付けられたマイクロレンズ18の焦点面に実質的に配置されている場合であっても、画素Pix の位置とマイクロレンズ18の焦点との間に間隔が設けられてもよく、この間隔は、例えば光電子デバイス10の中心までの距離が増加すると増加する。この間隔により、様々な角度に応じて放射/収集することが可能になる。
【0060】
支持体12は、例えばポリマー、特にエポキシ樹脂、特にはプリント回路を製造するために使用されるFR4 材料を含む電気絶縁性材料、又は金属材料、例えばアルミニウムで形成されてもよい。支持体12の厚さは10μm~10mmの範囲内であってもよい。
【0061】
各電極32は、例えばアルミニウム、銀、銅又は亜鉛で形成された金属細片に相当することが好ましい。各電極32の厚さは0.5 μm~1,000 μmの範囲内であってもよい。
【0062】
絶縁層39は、誘電体材料、例えば酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SixNy 、ここでxは約3であり、yは約4であり、例えばSi3N4 )、酸窒化シリコン(SiOxNy、ここでxは約1/2 であってもよく、yは約1であってもよく、例えばSi2ON2)、酸化アルミニウム(Al2O3) 又は酸化ハフニウム(HfO2)で形成されてもよい。絶縁層39の厚さは0.2 μm~1,000 μmの範囲内であってもよい。
【0063】
各導電性パッド36, 38, 44は、例えば銅、チタン、ニッケル、金、スズ、アルミニウム及びこれらの化合物の少なくとも2つの合金を含む群から選択された材料で少なくとも部分的に形成されてもよい。
【0064】
半導体層50, 54, 56及びアクティブ層52を形成する層は、少なくとも1つの半導体材料で少なくとも部分的に形成されている。半導体材料は、III-V 族化合物、例えばIII-N 化合物、II-VI 族化合物、又はIV族半導体若しくは化合物を含む群から選択されている。III 族元素の例として、ガリウム(Ga)、インジウム(In)又はアルミニウム(Al)が挙げられる。III-N 化合物の例として、GaN 、AlN 、InN 、InGaN 、AlGaN 又はAlInGaN が挙げられる。他のV 族元素、例えばリン又はヒ素を更に使用してもよい。II族元素の例として、IIA 族元素、特にベリリウム(Be)及びマグネシウム(Mg)、並びにIIB 族元素、特に亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)及び水銀(Hg)が挙げられる。VI族元素の例として、VIA 族元素、特に酸素(O) 及びテルル(Te)が挙げられる。II-VI 族化合物の例として、ZnO 、ZnMgO 、CdZnO 、CdZnMgO 、CdHgTe、CdTe又はHgTeが挙げられる。IV族半導体材料の例として、シリコン(Si)、炭素(C) 、ゲルマニウム(Ge)、炭化シリコン合金(SiC) 、シリコン・ゲルマニウム合金(SiGe)又は炭化ゲルマニウム合金(GeC) が挙げられる。
【0065】
実施形態によれば、各光輝性ブロック46は、少なくとも1つの光輝性材料の粒子を含んでいる。光輝性材料の例として、YAG:Ce又はYAG:Ce3+とも称される3価セリウムイオンによって活性化されるイットリウムアルミニウムガーネット(YAG) が挙げられる。従来の光輝性材料の粒子の平均サイズは一般に5μmより大きい。
【0066】
実施形態によれば、各光輝性ブロック46は、以下に半導体ナノ結晶又はナノ発光団粒子とも称される半導体材料のナノメートル範囲の単結晶粒子が分散しているマトリクスを含んでいる。光輝性材料の内部量子効率QYint は、放射光子の数と光輝性物質に吸収される光子の数との比率に等しい。半導体ナノ結晶の内部量子効率QYint は5%より大きく、好ましくは10%より大きく、より好ましくは20%より大きい。実施形態によれば、半導体ナノ結晶の平均サイズは0.5 nm~1,000 nm、好ましくは0.5 nm~500 nm、より好ましくは1nm~100 nm、特には2nm~30nmの範囲内である。50nmより小さい大きさでは、半導体ナノ結晶の光変換特性は基本的に量子閉込め現象に応じて決められる。そのため、半導体ナノ結晶は量子ドットに相当する。
【0067】
実施形態によれば、半導体結晶の半導体材料は、セレン化カドミウム(CdSe)、リン化インジウム(InP) 、硫化カドミウム(CdS) 、硫化亜鉛(ZnS) 、セレン化亜鉛(ZnSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、テルル化亜鉛(ZnTe)、酸化カドミウム(CdO) 、酸化亜鉛カドミウム(ZnCdO) 、硫化カドミウム亜鉛(CdZnS) 、セレン化カドミウム亜鉛(CdZnSe)、硫化銀インジウム(AgInS2)、PbScX3(ここでXがハロゲン原子、特にヨウ素(I) 、臭素(Br)又は塩素(Cl)である)タイプのペロブスカイト及びこれらの化合物の少なくとも2つの混合物を含む群から選択されている。実施形態によれば、半導体ナノ結晶の半導体材料は、Le Blevenec 等著のPhysica Status Solidi (RRL) - Rapid Research Letters Volume 8,No. 4,p. 349-352,2014年4月の刊行物に記載されている材料から選択されている。
【0068】
実施形態によれば、半導体ナノ結晶の大きさは、半導体ナノ結晶によって放射される放射光の所望の波長に応じて選択されている。例として、平均サイズが3.6 nm程度であるCdSeナノ結晶は青色の光を赤色の光に変換することができ、平均サイズが1.3 nm程度であるCdSeナノ結晶は青色の光を緑色の光に変換することができる。別の実施形態によれば、半導体ナノ結晶の組成は、半導体ナノ結晶によって放射される放射光の所望の波長に応じて選択されている。
【0069】
マトリクスは、少なくとも部分的に透明な材料から形成されている。マトリクスは、例えばシリカから形成されている。マトリクスは、例えば任意の少なくとも部分的に透明なポリマー、特にシリコーン又はポリ乳酸(PLA) から形成されている。マトリクスは、PLA などの三次元プリンタと共に使用される少なくとも部分的に透明なポリマーから形成されてもよい。実施形態によれば、マトリクスは2~90重量%、好ましくは10~60重量%のナノ結晶、例えば約30重量%のナノ結晶を含んでいる。
【0070】
光輝性ブロック46の厚さはナノ結晶濃度及び使用されるナノ結晶のタイプに応じて決められている。光輝性ブロック46の高さは、好ましくは壁48の高さ以下である。平面視で、各光輝性ブロック46の面積は、辺の長さが1μm~100 μm、好ましくは3μm~15μmの範囲内である正方形の面積に相当してもよい。
【0071】
実施形態によれば、壁48は、少なくとも1つの導電性又は絶縁性の半導体材料から少なくとも部分的に形成されている。半導体材料又は金属導体材料は、シリコン、ゲルマニウム、炭化シリコン、III-V 族化合物、II-VI 族化合物、鋼、鉄、銅、アルミニウム、タングステン、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、銀、ロジウム又はこれらの化合物の少なくとも2つの組み合わせであってもよい。実施形態によれば、壁48は反射材料で形成されている。壁48は、マイクロエレクトロニクスで実施される製造方法と適合する半導体材料から形成されていることが好ましい。壁48は高濃度にドープされてもよく、低濃度にドープされてもよく、又はドープされなくてもよい。壁48は単結晶シリコンから形成されていることが好ましい。下面22に垂直な方向に測定された壁48の高さは300 nm~200 μmの範囲内であり、好ましくは5μm~30μmの範囲内である。下面22と平行な方向に測定された壁48の厚さは100 nm~50μmの範囲内であり、好ましくは0.5 μm~10μmの範囲内である。実施形態によれば、壁48は、反射材料で形成されてもよく、又は光輝性ブロック46及び/若しくは発光ダイオードLED によって放射される放射光の波長で反射する被覆体で覆われてもよい。壁48は光輝性ブロック46を囲んでいることが好ましい。そうすると、壁48は、隣り合う光輝性ブロック46間のクロストークを減少させる。
【0072】
封止層34は、少なくとも部分的に透明な絶縁材料で形成されてもよい。封止層34は、少なくとも部分的に透明な無機材料で形成されてもよい。例として、無機材料は、SiOx(ここでxは1~2の間の実数である)又はSiOyNz(ここでy及びzは0~1の間の実数である)タイプの酸化シリコン、及び酸化アルミニウム、例えばAl2O3 を含む群から選択されている。封止層34は、少なくとも部分的に透明な有機材料で形成されてもよい。例として、封止層34は、シリコーンポリマー、エポキシドポリマー、アクリルポリマー又はポリカーボネートである。
【0073】
マイクロレンズ18は、酸化シリコン、シリコーン、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)又は透明樹脂で形成されてもよい。各マイクロレンズ18の最大の厚さは10μm~10mmの範囲内であってもよい。各マイクロレンズ18の幅は10μm~10mmの範囲内であってもよい。
【0074】
図5は、光電子デバイス10のより詳細な別の実施形態を示す側面図である。この実施形態では、光電子デバイス10は、表示回路30毎に壁48を介して半導体層56の分極を行う点を除いて、図4に関連して前述した実施形態の全ての要素を備えている。本実施形態では、封止層34は画素Pix 間に延びているが、画素Pix を完全には覆っていない。光電子デバイス10は導電性細片60を更に備えており、1つの導電性細片が図5に示されている。導電性細片60は、発光ダイオードLED によって放射される放射光を少なくとも部分的に通す電極を形成して、画素Pix 及び画素Pix 間の封止層34を覆っている。例として、各導電性細片60は同一の列又は同一の行の画素Pix と接している。表示回路30毎に壁48は導電性を有する。壁48は積層体42と、画素Pix を覆う導電性細片60とに接している。このため、積層体42の半導体層56を分極させることが可能になり、パッド44によって半導体層56に電気的に連結されている制御・取得回路20の半導体領域が、画素Pix を覆う導電性細片60によって電気的に分極する。
【0075】
各導電性細片60は、表示回路30によって放射される電磁放射光及び光検出器25によって検出される電磁放射光を通すことが可能である。各導電性細片60を形成する材料は、酸化インジウムスズ(ITO) 、酸化アルミニウム亜鉛、酸化ガリウム亜鉛又はグラフェンなどの透明な導電性材料であってもよい。画素Pix 上の導電性細片60の最小の厚さは0.05μm~1,000 μmの範囲内であってもよい。
【0076】
実施形態によれば、金属グリッドが、夫々の透明な導電性細片60の上側に透明な導電性細片60と接して形成されてもよく、画素Pix は金属グリッドの開口部のレベルに配置されてもよい。このため、画素Pix によって放射されて受ける放射光を妨げることなく導電性が改善され得る。
【0077】
図6は、光電子デバイス10のより詳細な別の実施形態を示す側面図である。この実施形態では、光電子デバイス10は、図5に関連して前述した実施形態の全ての要素を備えており、画素Pix の側面、特に制御・取得回路20の側面及び各表示回路30の側面を覆う電気絶縁層62を更に備えている。絶縁層62の最小の厚さは2nm~1mmの範囲内であってもよい。絶縁層62は、絶縁層39に関して前述した材料の内の1つで形成されてもよい。各導電性細片60は、各画素Pix の上面を覆うだけでなく、画素Pix の絶縁層62の一部を覆ってもよい。
【0078】
図5及び図6に示されている実施形態の利点は、各画素Pix の制御・取得回路20の下面22側における外部への電気接続部分の数を減らし得ることである。
【0079】
図7は、図4に示されている光電子デバイス10を製造する方法の実施形態の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な側面断面略図7A~7Eを示す図である。
【0080】
図7Aは、図7Aの下から上に半導体層72、アクティブ層74及び半導体層76を含む半導体層の積層体71を支持体70上に形成した後に得られた構造を示す。半導体層72の組成は、前述した半導体層54, 56の組成と同一であってもよい。アクティブ層74の組成は、前述したアクティブ層52の組成と同一であってもよい。半導体層76の組成は、前述した半導体層50の組成と同一であってもよい。シード層が支持体70と半導体層72との間に設けられてもよい。支持体70と半導体層72との間にシード層が設けられないことが好ましい。
【0081】
図7Bは、表示回路30の発光ダイオードLED を画定して導電性パッド44を形成した後に得られた構造を示す。各表示回路30の発光ダイオードLED 毎に半導体層72、アクティブ層74及び半導体層76をエッチングして、半導体層54、アクティブ層52及び半導体層50を画定することにより、発光ダイオードLED が画定されてもよい。実行されるエッチングは、例えば塩素系プラズマ若しくはフッ素系プラズマを使用するドライエッチング、又は反応性イオンエッチング(RIE) であってもよい。半導体層72のエッチングされていない部分は前述した半導体層56を形成する。得られた構造全体に亘って導電層を堆積させて、導電性パッド44の外側の導電層の部分を除去することにより、導電性パッド44を得てもよい。表示回路30のまだ完成していない複数の複製物を有する光電子回路78が得られ、2つの複製物が図7Bに示されている。
【0082】
図7Cは、特に集積回路の製造方法の従来の工程によって所望の制御・取得回路20の完全には完成していない複数の複製物を有する光電子回路80を製造した後に得られた、光電子回路80を光電子回路78に取り付ける直前の構造を示す。光電子回路78の基板は、完成した制御・取得回路20の基板より厚い。しかしながら、所望の制御・取得回路20の完全には完成していない各複製物は、不図示のトランジスタ、光検出器25、導電性パッド38及び絶縁層39を有している。更に、光電子回路78は導電性貫通バイア40を有していない。光電子回路80を光電子回路78に組み立てる方法は、半田付け作業又は分子接合作業を有してもよい。
【0083】
図7Dは、壁48を支持体70に形成して表示回路30を分離した後に得られた構造を示す。支持体70に開口部82をエッチングすることにより、壁48を形成してもよい。半導体層56をエッチングすることにより、表示回路30を分離してもよい。
【0084】
図7Eは、光輝性ブロック46を形成して、場合によっては絶縁層84を表示回路30の側面に形成した後に得られた構造を示す。例えば、いわゆるアディティブ法によって、特定の開口部82を接合マトリクスの半導体ナノ結晶のコロイド分散体で充填することにより、場合によっては特定の開口部82を樹脂で塞ぐことにより、光輝性ブロック46を形成してもよい。いわゆるアディティブ法として、例えばインクジェット印刷、エーロゾル印刷、マイクロ印刷、グラビア印刷、シルクスクリーン、フレキソ印刷、スプレーコーティング又はドロップキャストによる、所望の位置でのコロイド分散体の直接印刷が含まれてもよい。別の実施形態によれば、壁48を形成する前に光輝性ブロック46を形成してもよい。
【0085】
図8は、図7に関連して前述した製造方法のその後の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な側面断面略図8A~8Dを示す図である。
【0086】
図8Aは、図7Eに示されている構造を、ハンドルとも称される支持体86に光輝性ブロック46側で接合材料88を使用して取り付けた後に得られた構造を示す。
【0087】
図8Bは、ハンドル86と反対側で光電子回路80の基板を薄くして基板に導電性バイア40を形成した後に得られた構造を示す。
【0088】
図8Cは、まだ完成していない制御・取得回路20の導電性パッド36をハンドル86と反対側で光電子回路80上に形成した後に得られた構造を示す。
【0089】
図8Dは、光電子回路80内の制御・取得回路20を分離した後に得られた構造を示す。1つの制御・取得回路が図8Dに示されている。従って、ハンドル86に取り付けられたまま、表示画素Pix が画定される。
【0090】
図9は、図8に関連して前述した製造方法のその後の連続的な工程で得られた構造を示す部分的な側面断面略図9A~9Cを示す図である。
【0091】
図9Aは、表示画素Pix の内の一部を支持体12に取り付けた後に得られた構造を示す。本実施形態では、ハンドル86に取り付けられた2つの画素が示されており、支持体12上で画素Pix に関連付けられた電極32が示されている。電極32と接しない画素Pix は支持体12に取り付けられていない。例として、電極32への導電性パッド36の分子接合により、又は接合材料、特に導電性のエポキシ系接着剤を用いて各画素Pix を電極32に取り付けてもよい。
【0092】
図9Bは、支持体12に取り付けられた画素Pix からハンドル86を分離した後に得られた構造を示す。このような分離をレーザアブレーションによって行ってもよい。図9A及び図9Bに示されている実施形態によって、複数の画素Pix を支持体12に同時的に取り付けることが可能になる。変形例として、図9Bに示されている工程の後、画素Pix をハンドル86から分離してもよく、各画素Pix を支持体12上に個別に置く工程を有する「ピックアンドプレース」法を実施してもよい。
【0093】
図9Cは、封止層34及びマイクロレンズ18を形成した後に得られた構造を示す。封止層34を、化学蒸着法(CVD) 、プラズマ化学蒸着法(PECVD) 又はカソードスパッタリング法によって堆積させてもよい。画素を移したウエハを平坦化した後、マイクロレンズの膜を整列させて積層することにより、マイクロレンズ18を形成してもよい。透明な平坦化樹脂のエッチング、3D印刷、又は硬質材料からのパターン印刷を更に使用してもよい。
【0094】
図10は、図1及び図2に示されている光電子デバイス10の画素Pix 間の電気接続の実施形態を示す図である。
【0095】
前述したように、各画素Pix は基本画素EPixのアレイを有しており、各基本画素EPixにより、視点に応じて画像の画素を表示する及び/又は取得することが可能になる。同一の画素Pix の基本画素EPixは異なる視点に関連付けられている。そのため、表示される又は取得される、所与の視点に応じた完全な画像を、各画素Pix によって表示される又は取得される、この視点に応じたこの画像の各画像画素から再構築してもよい。例として、図10には、各画素Pix は5×5の基本画素EPixのアレイを有するように示されている。
【0096】
実施形態によれば、画素Pix はM行及びN列に配置されており、M及びNは整数であり、M×Nの積は、光電子デバイス10によって取り込まれる画像及び光電子デバイス10によって表示される画像に求められる解像度に対応し、例えば1920×1080の画像画素である。
【0097】
本実施形態によれば、光電子デバイス10は行制御回路90及び列制御回路92を有している。列制御回路92は、光電子デバイス10によって表示される画像画素の強度を表すデータストリームLED_Streamを受け、光電子デバイス10によって取得される画像画素の強度を表すデータストリームPH_Stream を送る。画素Pix の行毎に、行制御回路90は、行の各画素Pix に信号Row を送ることができる。画素Pix の列毎に、列制御回路92は、信号LED_Dataを列の各画素Pix に送って、列の各画素Pix によって送られる信号PH_Data を受信することができる。
【0098】
実施形態によれば、光電子デバイス10の動作では、行制御回路90によって各行の画素Pix を連続的に選択し、選択行及び列毎に、列及び選択行の画素の各基本画素EPixの各発光ダイオードに与えられる電流及び/又は電圧を表すデータを信号LED_Dataにより列及び選択行の画素に送信し、列及び選択行の画素によって送られて、列及び選択行の画素の各基本画素の各フォトダイオードによって取り込まれる光強度を表すデータを信号PH_Data により受信する。
【0099】
図11及び図12は、図10に示されている光電子デバイスの画素を制御する方法の実施形態を示す。これらの実施形態では、信号LED_Data及び信号PH_Data は夫々アナログ信号であり、例えば離散値を有するアナログ信号である。例として、列毎に、信号LED_Dataの各レベルは、列及び選択行の画素Pix の基本画素EPixの内の1つの発光ダイオードの内の1つによって放射される光強度を表す。例として、列毎に、信号PH_Data の各レベルは、列及び選択行の画素Pix の基本画素EPixの内の1つのフォトダイオードの内の1つによって取り込まれる光強度を表す。図11に示されている実施形態では、信号Row は、画素Pix の動作を評価するためのクロック信号の機能を更に果たしてもよい。図12に示されている実施形態では、クロック信号Clock は選択信号Row とは異なり、列毎に列制御回路92によって列の各画素Pix に送信される。図11及び図12に示されている実施形態の利点は、各画素Pix が、画素Pix の基本画素EPixの発光ダイオードを制御するためのデジタル/アナログ変換器も、画素Pix の基本画素EPixのフォトダイオードによって送られる信号を変換するためのアナログ/デジタル変換器も有する必要がないということである。
【0100】
図13は、図10に示されている光電子デバイスの画素を制御する方法の実施形態を示し、ここで、信号LED_Data及び信号PH_Data は夫々デジタル信号である。信号LED_Data及び信号PH_Data の送信を、信号の双方向への同時送信を可能にするSPI (シリアル・ペリフェラル・インタフェース)タイプのシリアルリンクを介して行ってもよい。図13は、選択信号Row とは異なるクロック信号Clock を示し、クロック信号Clock は、列毎に列制御回路92によって列の各画素Pix に送信される。別の実施形態によれば、信号LED_Data及び信号PH_Data を送信する際、自己同期データ伝送プロトコル、例えばマンチェスタプロトコルを実施してもよい。この場合、クロック信号Clock が無くてもよい。
【0101】
図14は、信号LED_Data及び信号PH_Data がデジタル信号である場合に適合された図1及び図2に示されている光電子デバイスの画素Pix の実施形態を示すブロック図である。
【0102】
各画素Pix は、レジスタ94、例えば信号LED_Dataの連続ビットが記憶されている、信号Clock によって制御されるシフトレジスタと、レジスタ96、例えば信号PH_Data の連続ビットを送る、信号Clock によって制御されるシフトレジスタとを有している。基本画素EPix毎に、画素Pix は、基本画素EPixの表示回路30の発光ダイオードLED を制御するための制御回路98(LED ドライバ)を有している。各制御回路98は、レジスタ94に記憶されたデータを受信する3つのメモリ100 (Data latch)を有している。各制御回路98は、メモリ100 に記憶されたバイナリデータから、発光ダイオードLED を制御するためのアナログ信号R_OUT, G_OUT, B_OUT を送ることができる3つのデジタル/アナログ変換・制御回路102 (DAC +ドライバ)を更に有している。更に、基本画素EPix毎に、画素Pix は、基本画素EPixの光検出器25のフォトダイオードPHによって送られる信号R_sense, G_sense, B_sense を処理するための処理回路104 (LSドライバ)を有している。各処理回路104 は、アナログ信号R_sense, G_sense, B_sense から、3つのメモリ108 (Data latch)に記憶されるデジタルデータを供給することが可能な3つのアナログ/デジタル変換器106 (ADC) を有している。各処理回路104 は、メモリ108 に記憶されたデジタルデータをレジスタ96に送ることが更に可能である。
【0103】
各画素Pix は、信号sense_en及び信号disp_en を更に受信してもよい。信号sense_enは画像の取得をトリガすることが可能であり、信号disp_en は一般にスクリーンのオン及びオフをトリガすることが可能である。これらの信号は全ての画素Pix に送られる。信号disp_en がロジックレベル「1」であるとき、画像が表示され、信号disp_en がロジックレベル「0」であるとき、スクリーンがオフされる。画像Nの表示中に画像N+1のロードを行うことができ、次に信号disp_en が値「1」を取るとき、画像N+1が表示される。更に、信号disp_en は、取得画像の歪みを回避するために取得段階中、スクリーンのオフを可能にする。信号sense_enは、画像の取得時間の制御を更に可能にする。
【0104】
前述した実施形態の利点は、各画素Pix の接続端子の数が、各基本画素EPixを列制御回路92に直接接続するために必要な接続部分の数に対して減少するということである。
【0105】
図10に示されている実施形態では、列毎の信号LED_Data及び信号PH_Data の伝送が、列制御回路92から列に沿って延びて列の各画素Pix に接続されているトラックによって概略的に示されている。しかしながら、特定の画素Pix と列制御回路92との距離が大き過ぎる場合に送信される信号の完全性を保証することが困難な場合がある。
【0106】
図15は、光電子デバイス10の実施形態を制御する方法を示す。図15は、制御方法の4つのステップで3つの画素Pix を備える光電子デバイスの列を概略的に示す。以下、列制御回路92に最も近い画素Pix の行を第1の行と称し、列制御回路92から最も遠い画素Pix の行を最後の行と称する。本実施形態では、列毎に、列の両端にある画素Pix を除き、列の各画素Pix は、列の2つの隣り合う画素に複数の導電性トラックにより電気的に接続されている。最後の行にある画素Pix は列の隣り合う画素Pix に接続されており、第1の行にある画素Pix は列制御回路92に接続されている。本実施形態では、列毎に、列制御回路92から列の所与の画素Pix への信号の送信、及び所与の画素Pix から列制御回路92への信号の送信を、列制御回路92と所与の画素Pix との間にある各画素Pix を連続して通過することにより行う。中間にある画素は送信中継器の機能を夫々果たす。このため、エミッタとレシーバとの最大距離を減少させることができる。
【0107】
図15は、2つの隣り合う画素Pix 間、及び第1の行の画素Pix と列制御回路92との間に4つのリンクを示す。3つのリンクは、前述した信号PH_Data, LED_Data, Clockを送信するために使用され、1つのリンクは信号Reset を送信するために使用される。図15は、太い線で作動しているリンク、つまり、有用な信号が通過しているリンクを示し、細い線で作動していないリンクを示している。信号LED_Dataは、光電子デバイスの全ての行の画素の基本画素に求められる画像画素の表示のために必要な全てのデータを含むフレームに対応してもよい。例として、フレームは、第1の行に至るまで最後の行、最後から2番目の行などの画素Pix の基本画素に関するデータを連続して有する。
【0108】
列制御回路92と画素Pix との間のデータ送信の実施形態は、以下のステップを有する。
1) 信号Reset のパルスを全ての列の全ての画素Pix に同時的に送信する。
2) 信号Clock 及び信号LED_Dataを、列制御回路92によって第1の行の各画素に同時的に送信する。第1の行の各画素が、この画素が生成した信号PH_Data を列制御回路92に更に送信する。
3) 列毎に、信号Clock 及び信号LED_Dataを、第1の行の第1の画素を介して第2の行の画素に送信する。逆に、第2の行の画素が、この画素が生成した信号PH_Data を第1の行の第1の画素を介して列制御回路92に送信する。
4) こうして、信号Clock 及び信号LED_Dataが最後の行に至るまで一行ずつ進む。信号LED_Dataの受信を開始した各画素が、この画素が生成した信号PH_Data を並列に送信し、この信号が、画素から画素に列制御回路92に至るまで中継される。
【0109】
様々な実施形態及び変形例が述べられている。これらの様々な実施形態及び変形例が組み合わされてもよいことは当業者によって理解され、他の変形例が当業者に想起される。特に、図6に示されている光電子デバイスの実施形態に関して前述した絶縁層62は、図4及び図5に示されている光電子デバイスの実施形態に更に設けられてもよい。
【0110】
最後に、記載されている実施形態及び変形例の実際の実施は、上記に記載されている機能的な表示に基づく当業者の技能の範囲内である。
【0111】
このような変更、調整及び改良は、本開示の一部であることが意図されており、本発明の趣旨及び範囲内であることが意図されている。従って、先の記載は単なる一例であり、限定することを意図されていない。本発明は、以下の特許請求の範囲及びこの均等物に定義されているように限定されるだけである。
【0112】
本特許出願は、参照によって本明細書に組み込まれている仏国特許出願第18/73198 号明細書の優先権を主張している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】