(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】マルチビューディスプレイ、システム、及び動的なカラーサブピクセルの再マッピングを有する方法
(51)【国際特許分類】
H04N 13/366 20180101AFI20220218BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20220218BHJP
G02B 30/33 20200101ALI20220218BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20220218BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20220218BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20220218BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220218BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20220218BHJP
H04N 13/351 20180101ALI20220218BHJP
H04N 13/32 20180101ALI20220218BHJP
H04N 13/324 20180101ALI20220218BHJP
H04N 13/356 20180101ALI20220218BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220218BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20220218BHJP
F21Y 113/10 20160101ALN20220218BHJP
【FI】
H04N13/366
F21S2/00 433
F21S2/00 431
G02B30/33
G02F1/13 505
G02F1/167
G02F1/13357
G02B3/00 A
G02B5/02 B
H04N13/351
H04N13/32
H04N13/324
H04N13/356
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y113:10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537094
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-06-24
(86)【国際出願番号】 US2018067644
(87)【国際公開番号】W WO2020139338
(87)【国際公開日】2020-07-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ガイスラー,ダニエル ジュニア
【テーマコード(参考)】
2H042
2H088
2H199
2H391
2K101
3K244
5C061
【Fターム(参考)】
2H042BA03
2H042BA11
2H042BA14
2H042BA20
2H088EA13
2H088MA20
2H199BA12
2H199BA17
2H199BA42
2H199BA47
2H199BB22
2H199BB29
2H199BB52
2H199BB59
2H391AA13
2H391AB07
2H391AC12
2H391AC27
2H391AD01
2H391AD25
2H391AD36
2K101AA04
3K244AA01
3K244BA16
3K244BA22
3K244BA48
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA17
3K244EA02
3K244EA12
3K244EC03
3K244EC12
3K244EC27
5C061AA06
5C061AA27
5C061AB14
5C061AB18
(57)【要約】
マルチビューディスプレイ、システム及び方法は、反復する複数のカラーサブピクセルを有し、マルチビュー画像のビューのカラーピクセルとして指向性光ビームを変調するように構成された複数のマルチビューピクセルとして配列されたライトバルブのアレイと、指向性光ビームを提供するように構成されたマルチビームエミッタのアレイとを含む。カラーサブピクセルの配置に対するマルチビューピクセルの配置は、動的なカラーサブピクセルの再マッピングを提供するために、マルチビューディスプレイのユーザの位置に応じてシフトされるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反復する複数のカラーサブピクセルを有し、マルチビュー画像のビューのカラーピクセルとして指向性光ビームを変調するように構成された複数のマルチビューピクセルとして配列されたライトバルブのアレイと、
前記指向性光ビームを提供するように構成されたマルチビームエミッタのアレイと、
を備え、
前記ライトバルブアレイのカラーサブピクセルの配置に対する前記複数のマルチビューピクセルのうちのマルチビューピクセルの配置は、動的なカラーサブピクセルの再マッピングを提供するために、前記マルチビューディスプレイのユーザの位置に応じてシフトされるよう構成される、マルチビューディスプレイ。
【請求項2】
前記マルチビューピクセル配置のシフト距離は、前記複数の反復カラーサブピクセルのうちの1つのカラーサブピクセルのサイズの整数倍である、請求項1に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項3】
前記反復する複数のカラーサブピクセルの各カラーサブピクセルは異なる色を有し、前記変調光ビームは前記マルチビュー画像の前記カラーピクセル内においてそれぞれの異なる色を表す、請求項1に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項4】
前記反復する複数のカラーサブピクセルは、赤色カラーサブピクセル、緑色カラーサブピクセル、及び青色カラーサブピクセルを備える、請求項3に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項5】
前記マルチビューピクセルの前記配置のシフトは、前記ライトバルブアレイの行方向に対応する方向である、請求項1に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項6】
ライトガイドであって、前記ライトガイドの長さに沿って光を導波するように構成された、ライトガイドと、
前記ライトガイドの長さに沿って互いに離間したマルチビーム要素のアレイであって、前記マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素は前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズと同程度のサイズを有し、前記導波光の一部を前記指向性光ビームとして前記ライトガイドから散乱させるように構成された、マルチビーム要素のアレイと、
をさらに備え、
前記マルチビーム要素アレイは前記マルチビームエミッタアレイであり、前記マルチビーム要素アレイの各マルチビーム要素は前記マルチビームエミッタアレイの異なるマルチビームエミッタに対応する、請求項1に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項7】
前記マルチビーム要素は、前記導波光の前記一部を前記指向性光ビームとして回折的に散乱させるように構成された1つ又は複数の回折格子、前記導波光の前記一部を前記指向性光ビームとして反射的に散乱させるように構成されたマイクロ反射構造、及び前記導波光の前記一部を前記指向性光ビームとして屈折的に散乱させるように構成されたマイクロ屈折構造のうちの1つ又は複数を備える、請求項6に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項8】
前記ライトバルブアレイに隣接する側とは対向する前記ライトガイドの側に隣接する広角バックライトであって、前記広角バックライトは、前記マルチビューディスプレイの二次元(2D)モード中に広角放射光を提供するように構成され、前記ライトバルブアレイは、前記広角放射光を2D画像として変調するように構成される、広角バックライトをさらに備え、
前記ライトガイド及びマルチビーム要素アレイは、前記広角放射光に対して透過性であるように構成され、前記マルチビューディスプレイはマルチビューモード中に前記マルチビュー画像を表示し、前記2Dモード中に前記2D画像を表示するように構成される、請求項6に記載のマルチビューディスプレイ。
【請求項9】
請求項1に記載のマルチビューディスプレイを備えるマルチビューディスプレイシステムであって、前記マルチビューディスプレイシステムが、前記マルチビューディスプレイに対する前記ユーザの位置を追跡して前記ユーザ位置を提供するように構成されたユーザトラッカーをさらに含む、マルチビューディスプレイシステム。
【請求項10】
前記ユーザトラッカーは、前記ユーザ位置を追跡するように構成された位置センサ、及び前記マルチビューディスプレイの相対的な動きを監視するように構成されたモーションセンサのうちの一方又は両方を備え、前記相対的な動きは前記ユーザ位置を推測するために使用される、請求項9に記載のマルチビューディスプレイシステム。
【請求項11】
マルチビューディスプレイシステムであって、
前記マルチビューディスプレイのそれぞれの異なるビュー方向に対応する異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームとして放射光を提供するように構成されたマルチビームバックライトと、
反復する複数のカラーサブピクセルを有し、マルチビュー画像のビューのカラーピクセルとして前記指向性光ビームを変調するように構成されたマルチビューピクセルとして配列されたライトバルブのアレイと、
前記マルチビューディスプレイに対するユーザの位置を追跡するように構成されたユーザトラッカーと、
を備え、
前記ライトバルブアレイのカラーサブピクセルの配置に対する前記マルチビューピクセルの配置が、動的なカラーサブピクセルの再マッピングを提供するために、前記追跡されたユーザ位置に応じてシフトされるように構成される、マルチビューディスプレイシステム。
【請求項12】
前記マルチビューピクセル配置のシフト距離が、前記複数のカラーサブピクセルのうちの1つのカラーサブピクセルのサイズの整数倍である、請求項11に記載のマルチビューディスプレイシステム。
【請求項13】
前記マルチビームバックライトは前記マルチビームバックライトにわたって空間的に分布した複数のマルチビームエミッタを備え、前記複数のマルチビームエミッタの各マルチビームエミッタは前記複数の指向性光ビームの指向性光ビームを提供するように構成された、請求項11に記載のマルチビューディスプレイシステム。
【請求項14】
前記マルチビームバックライトは、
ライトガイドであって、前記ライトガイドの長さに沿って光を導波光として導波するように構成された、ライトガイドをさらに備え、前記マルチビームエミッタは、前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズと同程度のサイズを有し、前記複数の指向性光ビームとして前記導波光の一部を散乱させるように構成されたマルチビーム要素を備える、
請求項13に記載のマルチビューディスプレイシステム。
【請求項15】
前記マルチビーム要素は、前記導波光の前記一部を前記複数の指向性光ビームとして回折的に散乱させるように構成された回折格子、前記導波光の前記一部を前記複数の指向性光ビームとして反射的に散乱させるように構成されたマイクロ反射構造、及び前記導波光の前記一部を前記複数の指向性光ビームとして屈折的に散乱させるように構成されたマイクロ屈折構造のうちの1つ又は複数を備える、請求項14に記載のマルチビューディスプレイシステム。
【請求項16】
前記ユーザトラッカーは、前記マルチビューディスプレイに対する前記ユーザの前記位置を追跡するように構成された位置センサ、及び前記マルチビューディスプレイの相対的な動きを監視するように構成されたモーションセンサの一方又は両方を備え、前記相対的な動きは、前記マルチビューディスプレイに対する前記ユーザ位置を推測するために使用される、請求項15に記載のマルチビューディスプレイシステム。
【請求項17】
反復する複数のカラーサブピクセルを有し、複数のマルチビューピクセルとして配列されたライトバルブのアレイを使用して指向性光ビームを変調し、マルチビュー画像のビューのカラーピクセルを提供する、ステップと、
ユーザ追跡モジュールを使用してマルチビューディスプレイシステムに対するユーザの位置を追跡し、追跡された前記ユーザの位置を提供する、ステップと、
前記追跡されたユーザ位置に応じて、前記ライトバルブアレイのカラーサブピクセルの配置に対して前記複数のマルチビューピクセルのマルチビューピクセルの配置をシフトし、動的なカラーサブピクセルの再マッピングを提供し、前記マルチビューディスプレイシステムを見ている際に前記ユーザが知覚するカラーフリンジを軽減する、ステップと、
を含む、マルチビューディスプレイシステムの動作の方法。
【請求項18】
シフトするステップが、前記マルチビューピクセルの前記配置をカラーサブピクセルの行方向に前記カラーサブピクセルのサイズの整数倍だけ変更する、請求項17に記載のマルチビューディスプレイシステムの動作の方法。
【請求項19】
マルチビームエミッタのアレイを使用して前記指向性光ビームを放射するステップをさらに含み、前記指向性光ビームを放射するステップは、
ライトガイド内で光を導波光として導波するステップと、
前記指向性光ビームを提供するためにマルチビーム要素のアレイのマルチビーム要素を使用して前記導波光の一部を散乱させることであって、前記マルチビーム要素のサイズは前記ライトバルブアレイのライトバルブのサイズと同程度である、散乱させるステップと、
を含み、
前記マルチビーム要素アレイは前記マルチビームエミッタアレイであり、前記マルチビーム要素アレイの各マルチビーム要素は前記マルチビームエミッタアレイの異なるマルチビームエミッタに対応する、請求項17に記載のマルチビューディスプレイシステムの動作の方法。
【請求項20】
ユーザ追跡モジュールを使用して前記マルチビューディスプレイシステムに対するユーザの位置を追跡するステップが、
モーションセンサを使用して前記マルチビューディスプレイシステムの相対的な動きを監視し、前記相対的な動きから前記ユーザ位置を推測するステップ、及び
位置センサを用いて前記ユーザ位置を追跡するステップ
の一方又は両方を含み、
前記モーションセンサはジャイロスコープ及び加速度計の一方又は両方を備え、前記位置センサは静電容量センサ、カメラ、及び飛行時間センサのうちの1つ又は複数を備える、請求項17に記載のマルチビューディスプレイシステムの動作の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
なし
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品のユーザに情報を伝達するためのほぼユビキタスな媒体である。最も一般的に採用されている電子ディスプレイには、陰極線管(CRT)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)、エレクトロルミネセントディスプレイ(EL)、有機発光ダイオード(OLED)及びアクティブマトリクスOLED(AMOLED)ディスプレイ、電気泳動ディスプレイ(EP)、並びに電気機械的又は電気流体的光変調(例えば、デジタルマイクロミラーデバイス、エレクトロウェッティングディスプレイなど)を採用する様々なディスプレイが含まれる。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(すなわち、光を放射するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(すなわち、別の光源によって提供される光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類することができる。アクティブディスプレイの最も明白な例は、CRT、PDP及びOLED/AMOLEDである。放射光を考慮するときに典型的にパッシブとして分類されるディスプレイは、LCD及びEPディスプレイである。パッシブディスプレイは、本質的に低消費電力を含むがこれに限定されない魅力的な性能特性を示すことが多いが、発光能力がないことを考慮すると、多くの実用的な用途では幾分使用が限定的になる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理による実施例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解することができ、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0006】
【
図1B】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分のグラフ表示を示す。
【0007】
【
図2A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイの断面図を示す。
【0008】
【
図2B】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイの平面図を示す。
【0009】
【
図2C】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例における
図2Bのマルチビューディスプレイの一部の平面図を示す。
【0010】
【
図3A】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイの一部の平面図を示す。
【0011】
【
図3B】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、別の実施例における
図3Aのマルチビューディスプレイの一部の平面図を示す。
【0012】
【
図4】本明細書に記載の原理の一実施形態による、一実施例における広角バックライトを備えるマルチビューディスプレイの断面図を示す。
【0013】
【
図5】本明細書の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイシステムのブロック図を示す。
【0014】
【
図6】本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイシステムの動作の方法のフローチャートを示す。
【0015】
特定の実施例及び実施形態は、上記参照図面に示された特徴に加えて、又はその代わりに他の特徴を有する。これら及び他の特徴は、上記参照図面を参照して以下に詳述される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に記載の原理による実施例及び実施形態は、動的なカラーサブピクセルの再マッピングを採用するマルチビューディスプレイを提供する。本明細書の原理と一致する様々な実施形態では、マルチビューディスプレイが提供される。マルチビューディスプレイは、マルチビューディスプレイのユーザの位置に応じて(as a function of a position of a user)、カラーサブピクセルの配置に対してマルチビューピクセルの配置をシフトするように構成される。いくつかの実施形態によれば、シフトは、マルチビューディスプレイ上のカラーフリンジを軽減することができる動的なカラーサブピクセルのシフト又は再マッピングを提供する。
【0017】
本明細書では、「二次元ディスプレイ」又は「2Dディスプレイ」は、画像が見られる方向にかかわらず(すなわち、2Dディスプレイの所定の視野角又は視野範囲内では)実質的に同じ画像のビューを提供するように構成されたディスプレイとして定義される。多くのスマートフォン及びコンピュータモニタに見られる液晶ディスプレイ(LCD)は、2Dディスプレイの例である。対照的に、本明細書では、「マルチビューディスプレイ」は、異なるビュー方向に、又は異なるビュー方向からマルチビュー画像の異なるビューを提供するように構成された電子ディスプレイ又はディスプレイシステムとして定義される。特に、異なるビューは、マルチビュー画像のシーン又はオブジェクトの異なる視点のビューを表すことができる。場合によっては、マルチビューディスプレイは、例えば、マルチビュー画像の2つの異なるビューを同時に見ることで三次元画像(3D画像)を見るという知覚が提供される場合、三次元(3D)ディスプレイと呼ばれることもある。
【0018】
図1Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。
図1Aに示すように、マルチビューディスプレイ10は、見られるマルチビュー画像を表示するためのスクリーン12を備える。マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12に対して異なるビュー方向16にマルチビュー画像の異なるビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から様々な異なる主角度方向に延びる矢印として示されている。異なるビュー14は、矢印(すなわち、ビュー方向16を示す)の終端に影付きの多角形ボックスとして示されている。4つのビュー14及び4つのビュー方向16のみが示されているが、例示としてであり、限定するものではない。
図1Aでは異なるビュー14がスクリーンの上方にあるように示されているが、ビュー14は実際には、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10に表示されると、スクリーン12上又はその近くに現れることに留意されたい。スクリーン12の上方にビュー14を描写するのは、説明を簡単にするためだけであり、特定のビュー14に対応するビュー方向16のそれぞれからマルチビューディスプレイ10を見ることを表すことを意味する。
【0019】
ビュー方向、すなわちマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する光ビームは、一般に、本明細書の定義により、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向を有する。角度成分θは、本明細書では光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼ばれる。定義により、仰角θは垂直面内の角度(例えば、マルチビューディスプレイのスクリーンの平面に垂直)であり、方位角φは水平面内の角度(例えば、マルチビューディスプレイのスクリーンの平面に平行)である。
【0020】
図1Bは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向(例えば、
図1Aのビュー方向16)に対応する特定の主角度方向を有する光ビーム20の角度成分{θ,φ}のグラフ表示を示す。さらに、光ビーム20は、本明細書の定義により、特定の点から放射又は発散する。すなわち、定義により、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心光線を有する。
図1Bは、光ビーム(又はビュー方向)の原点Oも示している。
【0021】
さらに本明細書では、「マルチビュー画像」及び「マルチビューディスプレイ」という用語で使用される「マルチビュー」という用語は、異なる視点を表すか、又は複数のビューのビュー間における角度視差を含む複数のビューとして定義される。さらに、本明細書では、「マルチビュー」という用語は、本明細書の定義により、3つ以上の異なるビュー(すなわち、最低3つのビュー、一般的には4つ以上のビュー)を明示的に含む。したがって、本明細書で採用される「マルチビューディスプレイ」は、シーン又は画像を表すために2つの異なるビューのみを含む立体ディスプレイとは明確に区別される。しかしながら、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイは3つ以上のビューを含むものの、本明細書の定義により、マルチビュー画像は、マルチビューのうちの2つのみを選択して一度に見る(例えば、1つの眼につき1つのビュー)ことによって、画像の立体ペアとして見る(例えば、マルチビューディスプレイ上で)ことができることに留意されたい。
【0022】
「マルチビューピクセル」は、本明細書では、マルチビューディスプレイの同様の複数の異なるビューのそれぞれの「ビュー」ピクセルを表すピクセルのセットとして定義される。特に、マルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれのビューピクセルに対応する、又はビューピクセルを表す個々のピクセル又はピクセルのセットを有することができる。したがって、本明細書の定義により、「ビューピクセル」は、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセル内のビューに対応するピクセル又はピクセルのセットである。いくつかの実施形態では、ビューピクセルは、1つ又はそれ以上のカラーサブピクセルを含むことができる。さらに、マルチビューピクセルのビューピクセルは、本明細書の定義により、ビューピクセルのそれぞれが異なるビューのうちの対応するビューの所定のビュー方向に関連付けられているという点で、いわゆる「指向性ピクセル」である。さらに、様々な実施例及び実施形態によれば、マルチビューピクセルの異なるビューピクセルは、異なるビューのそれぞれにおいて同等又は少なくとも実質的に同様の配置又は座標を有することができる。例えば、第1のマルチビューピクセルは、マルチビュー画像の異なるビューのそれぞれにおいて{x1,y1}に配置された個々のビューピクセルを有することができ、第2のマルチビューピクセルは、異なるビューのそれぞれにおいて{x2,y2}に配置された個々のビューピクセルを有することができ、以下同様である。
【0023】
いくつかの実施形態では、マルチビューピクセル内のビューピクセルの数は、マルチビューディスプレイのビューの数に等しくてもよい。例えば、マルチビューピクセルは、64個の異なるビューを有するマルチビューディスプレイに関連付けられた64個のビューピクセルを提供することができる。別の実施例では、マルチビューディスプレイは、ビューの8×4アレイ(すなわち、32個のビュー)を提供することができ、マルチビューピクセルは、32個のビューピクセルを含むことができる(すなわち、各ビューに1つのビューピクセル)。さらに、異なるビューピクセルはそれぞれ、例えば、64個の異なるビューに対応するビュー方向のうちの異なるビュー方向に対応する関連方向(例えば、光ビーム主角度方向)を有することができる。さらに、いくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイのマルチビューピクセルの数は、マルチビューディスプレイの各ビューのマルチビューディスプレイビューのビューピクセル(すなわち、選択されたビューを構成するピクセル)の数に実質的に等しくてもよい。例えば、ビューが640×480個のビューピクセル(すなわち、640×480のビュー解像度)を含む場合、マルチビューディスプレイは307,200個のマルチビューピクセルを有することができる。別の実施例では、ビューが100×100個のピクセルを含む場合、マルチビューディスプレイは合計1万(すなわち、100×100=10,000)個のマルチビューピクセルを含むことができる。
【0024】
本明細書の定義により、「マルチビームエミッタ」は、複数の光ビームを含む光を生成するバックライト又はディスプレイの構造又は要素である。いくつかの実施形態では、マルチビームエミッタは、バックライトのライトガイドに光学的に結合され、ライトガイド内で導波された光の一部を結合することによって光ビームを提供することができる。そのような実施形態では、マルチビームエミッタは「マルチビーム要素」を備えることができる。他の実施形態では、マルチビームエミッタは、光ビームとして放射される光を生成することができる(すなわち、光源を備えることができる)。さらに、本明細書の定義により、マルチビームエミッタによって生成された複数の光ビームの光ビームは、互いに異なる主角度方向を有する。特に、定義により、複数の光ビームのうちの1つの光ビームは、複数の光ビームのうちの別の光ビームとは異なる所定の主角度方向を有する。さらに、複数の光ビームは、ライトフィールドを表すことができる。例えば、複数の光ビームは、実質的に円錐形の空間領域に限定されるか、又は複数の光ビームにおける光ビームの異なる主角度方向を含む所定の角度広がりを有することができる。したがって、組み合わせた光ビーム(すなわち、複数の光ビーム)の所定の角度広がりは、ライトフィールドを表すことができる。様々な実施形態によれば、様々な光ビームの異なる主角度方向は、マルチビームエミッタのサイズ(例えば、長さ、幅、面積など)を含むがこれに限定されない特性によって決定される。いくつかの実施形態では、マルチビームエミッタは、本明細書の定義により、「拡張点光源」、すなわちマルチビームエミッタの範囲にわたって分布した複数の点光源と見なすことができる。さらに、マルチビームエミッタによって生成された光ビームは、本明細書の定義により、かつ
図1Bに関して上述したように、角度成分{θ,φ}によって与えられる主角度方向を有する。
【0025】
本明細書では、「ライトガイド」は、内部全反射を使用して構造内に光を導波する構造として定義される。特に、ライトガイドは、ライトガイドの動作波長において実質的に透過性のコアを含むことができる。「ライトガイド」という用語は、一般に、ライトガイドの誘電体材料とそのライトガイドを取り囲む材料又は媒体との間の界面に光を導波するために全内部反射を採用する誘電体光導波路を指す。定義により、全内部反射の条件は、ライトガイドの屈折率がライトガイド材料の表面に隣接する周囲媒体の屈折率よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、ライトガイドは、全内部反射をさらに促進するために、前述の屈折率差に加えて、又はその代わりにコーティングを含むことができる。コーティングは、例えば、反射コーティングであってもよい。ライトガイドは、限定はされないが、プレートガイド若しくはスラブガイド及びストリップガイドの一方又は両方を含むいくつかのライトガイドのいずれかであってもよい。
【0026】
定義により、「広角」放射光は、マルチビュー画像又はマルチビューディスプレイのビューの円錐角よりも大きい円錐角を有する光として定義される。特に、いくつかの実施形態では、広角放射光は、約20度(例えば、>±20°)より大きい円錐角を有することができる。他の実施形態では、広角放射光の円錐角は、約30度より大きくてもよく(例えば、>±30°)、又は約40度より大きくてもよく(例えば、>±40°)、又は50度より大きくてもよい(例えば、>±50°)。例えば、広角放射光の円錐角は、約60度(例えば、>±60°)であってもよい。
【0027】
いくつかの実施形態では、広角放射光の円錐角は、LCDコンピュータモニタ、LCDタブレット、LCDテレビ、又は広角視野(例えば、約±40~65°)を意図した同様のデジタルディスプレイデバイスの視野角とほぼ同じになるように定義することができる。他の実施形態では、広角放射光は、拡散光、実質的に拡散光、無指向性光(すなわち、特定の又は定義された方向性を欠いている)として、又は単一若しくは実質的に均一な方向を有する光として特徴付け又は説明することもできる。
【0028】
さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「a」は、特許技術におけるその通常の意味、すなわち「1つ又はそれ以上」という意味を有することが意図されている。例えば、「カラーサブピクセル(a color sub-pixel)」は1つ又はそれ以上のカラーサブピクセルを意味し、したがって、本明細書では「カラーサブピクセル(the color sub-pixel)」は「1つ又はそれ以上のカラーサブピクセル」を意味する。また、本明細書における「上(top)」、「下(bottom)」、「上(upper)」、「下(lower)」、「上(up)」、「下(down)」、「前(front)」、「後(back)」、「第1の(first)」、「第2の(second)」、「左(left)」又は「右(right)」への言及はいずれも、本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、「約」という用語は、値に適用される場合、一般に、値を生成するために使用される機器の許容範囲内を意味するか、又は特に明記しない限り、プラスマイナス10%、若しくはプラスマイナス5%、若しくはプラスマイナス1%を意味することができる。さらに、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大部分、又はほとんど全て、又は全て、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書の実施例は、例示のみを意図しており、限定ではなく説明の目的で提示されている。
【0029】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態により、動的なカラーサブピクセルの再マッピングを提供するマルチビューディスプレイが提供される。
図2Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイ100の断面図を示す。
図2Bは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイ100の平面図を示す。
図2Cは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例における
図2Bのマルチビューディスプレイ100の一部の平面図を示す。様々な実施形態によれば、
図2A~
図2Cに示すマルチビューディスプレイ100は、動的なカラーサブピクセルの再マッピングを採用して、マルチビューディスプレイ100によって、又はその上に表示されるマルチビュー画像内の、又はそれに関連するカラーフリンジを軽減することができる。
【0030】
マルチビューディスプレイ100は、ライトバルブ110のアレイを備える。
図2A及び
図2Bは、
図2Bの破線で囲まれた、複数のマルチビューピクセル120として配列されたライトバルブアレイのライトバルブ110も示している。様々な実施形態によれば、ライトバルブアレイは、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブを含むがこれらに限定されない様々な異なるタイプのライトバルブのうちのいずれかを備えることができる。
【0031】
図2B及び
図2Cに示すように、ライトバルブ110のアレイは、マルチビューディスプレイ100上の、又はそれによって表示されるマルチビュー画像の異なるビューのカラーピクセルとして指向性光ビームを変調するように構成された、反復する複数のカラーサブピクセル112を備える。特に、ライトバルブアレイの各ライトバルブ110は、複数のカラーサブピクセル112を含む。したがって、ライトバルブアレイにわたって、複数のカラーサブピクセル112は、複数の反復カラーサブピクセルとして、1つのライトバルブ110から隣接するライトバルブ110まで反復する。
【0032】
いくつかの実施形態では、
図2Cに示すように、ライトバルブ110のアレイのライトバルブ110は、第1のカラーサブピクセル112-1、第2のカラーサブピクセル112-2、及び第3のカラーサブピクセル112-3を有する複数のカラーサブピクセル112を備えることができる。さらに、
図2Cに示すように、複数のカラーサブピクセル112は、ライトバルブアレイの各ライトバルブ110中で同じであってもよい。結果として、様々な実施形態によれば、第1、第2、及び第3のカラーサブピクセル112-1、112-2、112-3を有する複数のカラーサブピクセルは、ライトバルブアレイにわたって(例えば、行方向に)反復することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、複数の反復カラーサブピクセルのカラーサブピクセル112は、複数の反復カラーサブピクセルの別のカラーサブピクセルとは異なる色を有するか、又は表すことができる(例えば、各カラーサブピクセル112は、異なる色を表す異なるカラーフィルタを含むことができる)。例えば、
図2Cに示すように、第1のカラーサブピクセル112-1は赤色カラーサブピクセル(R)であってもよく、第2のカラーサブピクセル112-2は緑色カラーサブピクセル(G)であってもよく、第3のカラーサブピクセル112-3は青色カラーサブピクセル(B)であってもよい。複数のカラーサブピクセルがライトバルブ110のアレイの行に沿って反復しているので、複数の反復カラーサブピクセルは、限定ではなく例示として
図2Cに示すように、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーサブピクセル112の反復セットを含む。いくつかの実施形態によれば、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーサブピクセル112の反復セットは、マルチビューディスプレイ100を用いてカラーマルチビュー画像を表示するために使用される赤-緑-青(RGB)カラーモデルと一致してもよい。他の非限定的な実施例及び実施形態(図示せず)では、反復する複数のカラーサブピクセル112は、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)、並びに黄色(Y)のカラーサブピクセル112(RGBY)を含む反復セットと、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)、並びに白色(W)のカラーサブピクセル112(RGBW)を含む反復セットとを含むことができるが、これらに限定されない。
【0034】
図2Bに示す(及び上述する)ように、反復する複数のカラーサブピクセル112を有するライトバルブアレイは、マルチビューディスプレイ100の複数のマルチビューピクセル120として配列される。複数のマルチビューピクセル120の各マルチビューピクセルは、反復する複数のカラーサブピクセル112の異なるサブセットを備える。各マルチビューピクセル120は、マルチビューディスプレイ100の異なるビューのカラーピクセルとして指向性光ビームを変調するように構成される。変調された光ビームは、マルチビューディスプレイ100のカラーピクセル内の複数のカラーサブピクセルのうちのカラーサブピクセル112のそれぞれの異なる色を表す。さらに、様々な実施形態によれば、複数のマルチビューピクセルのうちの各マルチビューピクセル120内の個々のライトバルブ110は、マルチビュー画像、すなわちマルチビューディスプレイ100の異なるビューのうちの異なるものを表す。
【0035】
限定ではなく例示として、
図2B~
図2Cに示すマルチビューディスプレイ100は、異なるビューの4×4配列を表すマルチビューピクセル120を含む。すなわち、図示のマルチビューディスプレイ100は、完全視差モードで16個の異なるビューを提供するように構成されたマルチビューピクセル120を有する。したがって、複数のマルチビューピクセル120のそれぞれは、16個のライトバルブ110を含み、各ライトバルブは、図示のように3つのカラーサブピクセル112を備える。特に、図示のように、各ライトバルブ110は、赤色(R)カラーサブピクセル112、緑色(G)カラーサブピクセル112、及び青色(B)カラーサブピクセル112を含む3つの連続したカラーサブピクセル112のセットを備える。いくつかの実施形態によれば、複数のマルチビューピクセル120は、マルチビューピクセル120の行及び列に(例えば、図示のように)配列することができる。
【0036】
様々な実施形態によれば、ライトバルブアレイのカラーサブピクセル112の配置に対する、複数のマルチビューピクセルのうちのマルチビューピクセル120の配置は、マルチビューディスプレイ100のユーザ101の位置に応じてシフトされるように構成される。シフトは、マルチビューディスプレイ100のマルチビューピクセル120の、又はそれに関する動的なカラーサブピクセルの再マッピングを提供することができる。いくつかの実施形態によれば、動的なカラーサブピクセルの再マッピングは、シフトを決定するために使用される位置からユーザ101がマルチビュー画像を見るときに、マルチビューディスプレイ100に表示されるマルチビュー画像内のカラーフリンジを軽減することができる。
【0037】
図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイ100の一部の平面図を示す。
図3Aに示されるように、マルチビューピクセル120は、マルチビューピクセル120の左上隅の赤色(R)カラーサブピクセル112から右下隅の青色(B)カラーサブピクセル112まで及ぶ。さらに、図示のように、第1のビューV1は、左上隅の3つのカラーサブピクセル112の第1のセット(R,G,B)に対応することができ、第2のビューV2は、第1のセットの右に隣接する3つのカラーサブピクセル112の第2のセット(R,G,B)に対応することができ、第3のビューV3は、第2のセットの右に隣接する3つのカラーサブピクセル112の第3のセット(R,G,B)に対応することができる。
【0038】
ユーザ101がビューV2を中心とする配置からマルチビューディスプレイ100を見ると、ユーザ101はカラーフリンジのないマルチビュー画像を体験する。すなわち、ビューV1、V2、V3は、反復する複数のカラーサブピクセル112に沿って、すなわち、列に沿ってユーザ101の配置がビューV2を中心としている場合に、カラーバランスが整えられている。
図3Aでは、矢印は、マルチビューディスプレイ100を見ているユーザ101の視線を示している。したがって、ユーザ101の視線は、マルチビューピクセル120のビューV2(又はカラーサブピクセル112の第2のセット)の中心と位置合わせされる。ユーザ101がビューV2(又はマルチビューピクセル120)の中心と位置合わせされているので、ユーザ101は、ビューV2の、又はより一般的にはマルチビュー画像のカラーバランスのとれたビューを体験する。しかしながら、ユーザ101がわずかに右又は左に移動した場合、ユーザ101は、カラーバランスを欠いているか、又はカラーフリンジを含むマルチビュー画像を体験する可能性がある。例えば、ユーザ101によって見られた際に、ビューV2は青みがかったアーチファクトを含む可能性があり、ビューV3は赤いゴースト又はアーチファクトを含む可能性がある。
【0039】
図3Bは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、別の実施例における
図3Aのマルチビューディスプレイ100の一部の平面図を示す。特に、マルチビューディスプレイ100は、
図3Aに示すのと同じマルチビューディスプレイ100である。しかしながら、
図3Bは、右にある新しい配置にいるユーザ101を示すしており、その結果、ユーザ101がビューV2の観察を続けている間、ユーザの視線はユーザと共に移動しており、
図3Aに元々示されているように、ビューV2又はマルチビューピクセル120の中心から外れたカラーサブピクセル112と位置合わせされる。ユーザ101の視線が中心から外れているため、
図3Aの元のマルチビューピクセル120が使用される場合、マルチビュー画像はカラーバランスを欠いている可能性がある。
【0040】
しかしながら、
図3Bは、新しいユーザ配置に応じてカラーサブピクセル112に対してシフトされた配置を有するマルチビューピクセル120’を示している。したがって、マルチビューピクセル120’は、マルチビューピクセル120’が(ビューV1の)左上隅の緑色(G)カラーサブピクセル112から、マルチビューピクセル120’の(ビュー「9」の)右下隅の赤色(R)カラーサブピクセル112に及ぶように、新しい配置にシフトされる。さらに、シフト後、
図3Bに示すように、第1のビューV1は、左上隅の3つのカラーサブピクセル112の第1のセット(G,B,R)に対応し、第2のビューV2は、第1のセットの右に隣接する3つのカラーサブピクセル112の第2のセット(G,B,R)に対応し、第3のビューV3は、第2のセットの右に隣接する3つのカラーサブピクセル112の第3のセット(G,B,R)に対応する。3つのビューV1、V2、V3のそれぞれは、依然として全てのカラーサブピクセル112を有するが、カラーバランスは、ライトバルブアレイのカラーサブピクセル112に対するマルチビューピクセル120のシフトによって復元される。
図3Aと同様に、矢印は、
図3Bのマルチビューディスプレイ100を見ているユーザ101の視線を示す。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、マルチビューピクセル配置のシフト距離は、複数の反復カラーサブピクセルのうちの1つのカラーサブピクセル112のサイズの整数倍であってもよい。例えば、
図3Bでは、マルチビューピクセル120’は、ユーザ101の配置の移動に応答して、移動前の
図3Aのマルチビューピクセル120の位置と比較して、反復する複数のカラーサブピクセル112の行方向に1つのカラーサブピクセル112の幅だけシフトされる。他の実施形態(図示せず)では、シフト距離は、例えば、カラーサブピクセル112の2つ分の幅、3つ分の幅などになってもよい。その結果、マルチビューピクセル120は、マルチビューピクセル120の中心、より具体的にはビューV2に対応するカラーサブピクセル112の第2のセットの中心にユーザ101の視線を再配置するために、反復する複数のカラーサブピクセル112の異なるセットのカラーサブピクセル112に再マッピングされる。その際、
図3Aのマルチビューピクセル120と比較して、カラーサブピクセル112の異なるセットが、
図3Bのマルチビューピクセル120’を形成する。したがって、
図3Aのマルチビューピクセル120が、反復する複数のカラーサブピクセル112の第1の行に沿って赤色(R)カラーサブピクセル112から青色(B)カラーサブピクセル112まで及んでいるのに対して、
図3Bに示すマルチビューピクセル120’は、同じ反復する複数のカラーサブピクセル112に沿って緑色(G)カラーサブピクセル112から赤色(R)カラーサブピクセル112まで及んでいる。これに対応して、マルチビューピクセル120のビューV2は、
図3Aのカラーサブピクセル112のセット(R,G,B)から
図3Aのカラーサブピクセル112の異なるセット(G B,R)にシフトされ、再度ビューV2をユーザ101の視線の中心に配置する。マルチビューピクセル120’内の他の全てのビューは、シフトによって、反復する複数のカラーサブピクセル112に沿って同じ方向に同様にシフトされる。さらに、シフトは、
図3A~
図3Bに示すように、ライトバルブアレイの行方向である。
【0042】
様々な実施形態によれば、ユーザ101による配置の変化に応じたマルチビューピクセル120、120’のシフトは、マルチビューディスプレイ100がアクティブで、マルチビュー画像を表示している間に実行することができる。したがって、マルチビューピクセル配置のシフトと共に実行されるカラーサブピクセル112の再マッピングは、動的に達成することができる。したがって、本明細書では、動的なサブピクセルの再マッピングは、マルチビューディスプレイ100がアクティブである間に、少なくとも1つのカラーサブピクセル112の異なるマルチビューピクセル120への再割り当てとして定義される。マルチビューディスプレイ100の動的なカラーサブピクセルの再マッピングは、マルチビュー画像のカラーピクセルに関連するカラーフリンジを軽減するように構成される。特に、マルチビューピクセル120のシフトは、ユーザ101の位置及び視点に応じて、ピクセル内の特定の色を他の色よりも強調することができる、異なる色の指向性光ビーム102間の不均一な重なりを最小限に抑えるのに役立つ。
【0043】
再び
図2A~
図2Cを参照すると、図示のマルチビューディスプレイ100は、マルチビームエミッタ130のアレイをさらに備える。マルチビームエミッタ130は、ライトバルブアレイの複数のカラーサブピクセル112によって変調された指向性光ビーム102を提供するように構成される。指向性光ビーム102は、マルチビューディスプレイ100のそれぞれの異なるビュー方向、すなわちマルチビューディスプレイ100上又はそれによって表示されるマルチビュー画像の異なるビューに対応する主角度方向を有することができる。特に、
図2Aは、指向性光ビーム102を、ライトバルブアレイに向かう方向にマルチビームエミッタ130から向かうように描写された複数の分岐矢印として示している。
【0044】
いくつかの実施形態では、マルチビームエミッタ130のサイズは、マルチビューディスプレイ100のライトバルブ110のサイズと同程度である。本明細書では、「サイズ」は、長さ、幅、又は面積を含むがこれらに限定はされない様々な方式のいずれかで定義することができる。例えば、ライトバルブ110のサイズはその長さであってもよく、マルチビームエミッタ130の同程度のサイズもマルチビームエミッタ130の長さであってもよい。別の実施例では、サイズは、面積を指してもよく、その結果、マルチビームエミッタ130の面積はライトバルブ110の面積と同程度であってもよい。いくつかの実施形態では、マルチビームエミッタ130のサイズは、マルチビームエミッタのサイズがライトバルブのサイズの約50%~約200%になるように、ライトバルブのサイズと同程度である。
【0045】
いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ100は、例えば図示のように、ライトガイド140を備えることができる。ライトガイド140は、導波光104(すなわち、導波光ビーム104)としてライトガイドの長さに沿って光を導波するように構成される。例えば、ライトガイド140は、光導波路として構成された誘電体材料を含むことができる。誘電体材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率よりも大きい第1の屈折率を有することができる。屈折率の差は、例えば、ライトガイド140の1つ又はそれ以上の導波モードに従って、導波光104の全内部反射を促進するように構成される。
【0046】
いくつかの実施形態では、ライトガイド140は、光透過性誘電体材料の、延長された実質的に平坦なシートを含む光導波路(すなわち、導光板)のスラブ又はプレートであってもよい。誘電材料の実質的に平坦なシートは、全内部反射を使用して導波光104を導波するように構成される。様々な実施例によれば、ライトガイド140の光透過性材料は、様々なタイプのガラス(例えば、シリカガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスなど)及び実質的に光透過性であるプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)又は「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のうちの1つ又は複数を含むがこれらに限定されない様々な誘電体材料のいずれかを含む、又はそれらから作製されてもよい。いくつかの実施例では、ライトガイド140は、ライトガイド140の表面(例えば、第1の表面及び第2の表面の一方又は両方)の少なくとも一部にクラッド層(図示せず)をさらに含むことができる。いくつかの実施例によれば、クラッド層は、全内部反射をさらに促進するために使用することができる。
【0047】
さらに、いくつかの実施形態によれば、ライトガイド140は、ライトガイド140の第1の表面140’(例えば、前面又は上面又は側面)と第2の表面140’’(例えば、背面又は底面又は側面)との間の非ゼロの伝播角度での全内部反射に従って導波光104を導波するように構成されている。特に、導波光104は、ライトガイド140の第1の表面140’と第2の表面140’’との間で、非ゼロの伝播角度で反射又は「跳ね返る」ことによって伝播する。いくつかの実施形態では、導波光104は、互いに異なる色の光を有し、異なる色固有の非ゼロの伝播角度のそれぞれでライトガイド140によって導波される複数の導波光ビームを含む。説明を簡単にするために、非ゼロの伝播角度は
図2Aには示されていないことに留意されたい。しかしながら、伝播方向103を示す太い矢印は、
図2Aのライトガイド長に沿った導波光104の一般的な伝播方向を示す。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、アレイのマルチビームエミッタ130は、例えば、
図2Aに示すように、ライトガイド140の第1の表面140’に又はそれに隣接して配置することができる。他の実施形態(図示せず)では、複数のマルチビームエミッタ130は、ライトガイド140の第2の表面140’’上に配置することができる。さらに他の実施形態(図示せず)では、複数のマルチビームエミッタ130は、ライトガイド140の内側において、第1の表面140’と第2の表面140’’との間に配置することができる。さらに、さらに他の実施形態(図示せず)では、ライトガイド140は、別の基板(例えば、非ライトガイド基板)に置き換えることができる。
【0049】
いくつかの実施形態(例えば、
図2Aのようにライトガイド140を採用する実施形態)では、マルチビューディスプレイ100のマルチビームエミッタ130は、マルチビーム要素130’を備えることができる。マルチビューディスプレイ100のマルチビーム要素130’は、ライトガイド140からの光を散乱させ、マルチビュー画像のビュー方向に対応する主角度方向を有する複数の指向性光ビームとするように構成される。様々な実施形態によれば、マルチビーム要素130’は、導波光104の一部を散乱させるように構成された複数の異なる構造のいずれかを備えることができる。例えば、異なる構造は、回折格子、マイクロ反射要素、マイクロ屈折要素、又はそれらの様々な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、回折格子を備えるマルチビーム要素130’は、導波光部分を回折的に散乱させ、異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームとするように構成される。他の実施形態では、マイクロ反射要素を備えるマルチビーム要素130’は、導波光部分を反射的に散乱させ、複数の指向性光ビームとするように構成されるか、又はマイクロ屈折要素を備えるマルチビーム要素130’は、屈折によって又は屈折を使用(すなわち、導波光部分を屈折的に散乱させる)して導波光部分を散乱させ、複数の指向性光ビームとするように構成される。
【0050】
さらに、ライトガイド140を採用する実施形態では、マルチビューディスプレイ100は、ライトガイド140内に導波される光を提供するように構成された光源150をさらに備えることができる。特に、光源150は、ライトガイド140の入射面又は端部(入力端)に隣接して配置することができる。様々な実施形態では、光源150は、1つ又はそれ以上の発光ダイオード(LED)又はレーザ(例えば、レーザダイオード)を含むがこれらに限定されない実質的に任意の光源(例えば、光エミッタ)を備えることができる。いくつかの実施形態では、光源150は、特定の色で示される狭帯域スペクトルを有する実質的に単色の光を生成するように構成された光エミッタを備えることができる。特に、単色光の色は、特定の色空間又は色モデル(例えば、赤-緑-青(RGB)カラーモデル)の原色であってもよい。他の実施例では、光源150は、実質的に広帯域又は多色の光を提供するように構成された実質的に広帯域の光源であってもよい。例えば、光源150は、白色光を提供することができる。いくつかの実施形態では、光源150は、異なる色の光を提供するように構成された複数の異なる光エミッタを備えることができる。異なる光エミッタは、異なる色の光のそれぞれに対応する導波光の異なる、色固有で非ゼロの伝播角度を有する光を提供するように構成することができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、導波光104はコリメートされてもよい。すなわち、コリメート光ビーム(例えば、以下に記載するように、コリメータによって提供される)であってもよい。本明細書では、「コリメート光」又は「コリメート光ビーム」は、一般に、光ビームの光線が光ビーム内の所定の又は定義された角度広がりに実質的に限定される光ビーム(例えば、導波光104)として定義される。さらに、コリメートされた光ビームから発散又は散乱される光線は、本明細書の定義により、コリメートされた光ビームの一部とは見なされない。さらに、様々な実施形態において、導波光104は、コリメーション係数σに従って、又はコリメーション係数σを有するようにコリメートすることができる。
【0052】
他の実施形態(図示せず)では、マルチビームエミッタ130は、アクティブエミッタ、限定はされないが、例えばマイクロ発光ダイオード及びマイクロ有機発光ダイオードを備えることができる。これらの実施形態では、ライトガイド及び光源は省略することができる。代わりに、ライトガイド140は、上述したように、マルチビームエミッタ130を支持して電力を供給するための基板に置き換えることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイ100は、ライトガイド140に隣接する広角バックライト160をさらに備える。
図4は、本明細書に記載の原理の一実施形態による、一実施例における広角バックライト160を備えるマルチビューディスプレイ100の断面図を示す。広角バックライト160は、ライトバルブアレイに隣接するライトガイド140の側面の反対側にある。図示の実施形態では、広角バックライト160は、ライトガイド140の底面140’’に隣接している。広角バックライト160は、広角光116を提供又は放射するように構成される。
【0054】
ライトガイド140及びマルチビーム要素130’のアレイは、隣接する広角バックライト160から放射された広角光162に対して光透過性であるように構成することができる。したがって、広角光162は、広角バックライト160から、ライトガイド140の厚さを通過して放射することができる。したがって、広角バックライト160からの広角光162は、ライトガイド140の底面140’’を通過して受光され、ライトガイド140の厚さを通過して透過され、ライトバルブ110のアレイから放射される。ライトガイド140が広角光162に対して光透過性であるため、広角光162は、ライトガイド140の影響を実質的に受けない。
【0055】
図4のマルチビューディスプレイ100は、二次元(2D)モード又はマルチビューモード(MULTIVIEW)で選択的に動作することができる。2Dモードでは、マルチビューディスプレイ100は、広角バックライト160によって提供される広角光162を放射するように構成される。マルチビューモードでは、マルチビューディスプレイ100は、前述のように、指向性光ビーム102を放射するように構成される。ライトガイド140と広角バックライト160との組み合わせは、例えば、デュアル(2D/3D)ディスプレイで使用することができる。
【0056】
いくつかの実施形態(図示せず)では、マルチビューディスプレイシステムの一部として、マルチビューディスプレイ100と共にユーザトラッカーを採用することができる。様々な実施形態によれば、ユーザトラッカーは、マルチビューディスプレイ100に対するユーザ101の配置又は位置を追跡してユーザ位置を提供するように構成される。特に、ユーザトラッカーは、マルチビューディスプレイ100の前方の領域、すなわち、マルチビューディスプレイ100の発光面又は画像ビュースクリーンに隣接する領域内のユーザ101の(例えば、ユーザの頭部の)位置を追跡するように構成することができる。
【0057】
様々な実施形態によれば、ユーザ追跡(すなわち、ユーザの位置の追跡)を提供する様々なデバイス、システム、及び回路のいずれかを、マルチビューディスプレイシステムのユーザトラッカーとして採用することができる。したがって、ユーザトラッカーは、位置センサを備えることができる。例えば、いくつかの実施形態では、位置センサを備えるユーザトラッカーは、マルチビューディスプレイ100のスクリーンに対するユーザの画像をキャプチャするように構成されたカメラを備えることができる。さらに、ユーザトラッカーは、マルチビューディスプレイ100のスクリーンに対するキャプチャ画像内のユーザの位置を決定するように構成された画像プロセッサ(又は画像プロセッサとしてプログラムされた汎用コンピュータ)を備えることができる。マルチビューディスプレイ100のスクリーンに対するユーザ位置は、画像プロセッサによって、例えば、画像認識又はパターンマッチングを含むがこれらに限定されない様々な技術を使用して、キャプチャ画像から決定することができる。さらに、ユーザトラッカーは、モーションセンサを備えることができる。モーションセンサを備えるユーザトラッカーは、ハードウェアベースのモーションセンサ及びソフトウェアベースのモーションセンサの一方又は両方を備えることができる。ハードウェアベースのモーションセンサは、例えば、ジャイロスコープ、加速度計、磁力計、又は地磁気センサを含むことができる。ソフトウェアベースのセンサは、重力センサ、線形加速度センサ、回転ベクトルセンサ、及びステップ検出器(例えば、「移動」センサ、ステップカウンタなど)のうちの1つ又は複数を含むことができる。ハードウェアベース及びソフトウェアベースのモーションセンサは、マルチビューディスプレイ100の相対的な動きを追跡するように構成される。マルチビューディスプレイ100に対するユーザの動きを使用して、マルチビューディスプレイ100に関するユーザの位置を推測することができる。いくつかの実施形態では、ユーザトラッカーは、位置センサ及びモーションセンサの両方を備えることができる。
【0058】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態により、マルチビューディスプレイシステム200が提供される。
図5は、本明細書の原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイシステム200のブロック図を示す。マルチビューディスプレイシステム200は、マルチビームバックライト210を備える。マルチビームバックライト210は、マルチビューディスプレイのそれぞれのビュー方向に対応する主角度方向を有する複数の指向性光ビーム202として放射光を提供するように構成される。マルチビームバックライト210は、2つの実質的に平行で対向する平面(すなわち、上面及び底面)を含む基板の「スラブ」又は実質的に平坦なブロックとして成形することができる。
【0059】
マルチビューディスプレイシステム200は、反復する複数のカラーサブピクセルを有するライトバルブ220のアレイをさらに備える。アレイのライトバルブは、前述のマルチビューディスプレイ100のライトバルブ110と実質的に同様である。したがって、ライトバルブアレイのライトバルブ220として、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ又は複数を含むがこれらに限定されない、異なるタイプのライトバルブを採用することができる。いくつかの実施形態では、反復する複数のカラーサブピクセルの各カラーサブピクセルは、異なる色を有する。例えば、反復する複数のカラーサブピクセルは、ライトバルブ220のアレイの行に沿って順に赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーサブピクセル(RGB)の反復セットから成ることができる。他の実施形態では、反復する複数のカラーサブピクセルは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及び黄色(Y)のカラーサブピクセル(RGBY)の反復セットを含むことができる。さらに別の実施形態では、反復セットは、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、及び白色(W)のピクセル(RGBW)を含むことができる。ライトバルブアレイのライトバルブ220は、マルチビュー画像のビューのカラーピクセルとして指向性光ビーム202を変調するように構成されたマルチビューピクセル222として配列される。
【0060】
マルチビューディスプレイシステム200は、マルチビューディスプレイに対するユーザの位置を追跡するように構成されたユーザトラッカー230をさらに備える。ユーザトラッカー230は、位置センサを備えることができる。例えば、モーションセンサを備えるユーザトラッカーは、マルチビューディスプレイシステム200のスクリーンに対するユーザの画像をキャプチャするためのカメラを備えることができる。モーションセンサを備えるユーザトラッカー230は、マルチビューディスプレイシステム200のスクリーンに対するキャプチャ画像内のユーザの位置を決定するように構成されたプロセッサをさらに備えることができる。したがって、マルチビューディスプレイシステム200のスクリーンに対するユーザの位置は、キャプチャ画像から決定することができる。さらに、ユーザトラッカー230は、マルチビューディスプレイシステム200の相対的な動きを追跡するように構成されたモーションセンサを備えることができる。マルチビューディスプレイシステム200に対するユーザの動きを使用して、マルチビューディスプレイシステム200に関するユーザの位置を推測することができる。いくつかの実施形態では、ユーザトラッカー230は、位置センサ及びモーションセンサの両方を備えることができる。いくつかの実施形態では、ユーザトラッカー230は、マルチビューディスプレイ100に関して上述したユーザトラッカーと実質的に同様であってもよい。
【0061】
様々な実施形態によれば、ライトバルブアレイのカラーサブピクセルの配置に対するマルチビューピクセル222の配置は、動的なカラーサブピクセルの再マッピングを提供するために、追跡されたユーザ位置に応じてシフトされるように構成される。いくつかの実施形態では、動的なカラーサブピクセルの再マッピングは、例えば、
図3A及び
図3Bに図示及び記載されるように、上述のマルチビューディスプレイ100の動的なカラーサブピクセルの再マッピングと実質的に同様であってもよい。特に、ユーザがマルチビューディスプレイシステム200に対して所定の位置に移動するのに応答して、1つ又はそれ以上のマルチビューピクセル222は、ライトバルブ220のアレイの反復する複数のカラーサブピクセルの異なるカラーサブピクセルのセットに再マッピングすることができる。シフトは、マルチビューディスプレイシステム200の全てのマルチビューピクセル222に対して複製することができ、例えば
図3A~
図3Bのように、カラーサブピクセルの異なるセットが各マルチビューピクセル222を形成する。様々な実施例では、マルチビューピクセル222は、ユーザ位置と位置合わせされたビューのカラーバランスを維持するために、追跡されたユーザの位置に追従するように複数のカラーサブピクセルの方向にシフトされる。
【0062】
いくつかの実施形態では、マルチビューピクセル配置のシフト距離は、複数のカラーサブピクセルのうちの1つのカラーサブピクセルのサイズの整数倍である。例えば、マルチビューピクセル222は、例えば
図3A及び
図3Bに示すように、ライトバルブアレイのカラーサブピクセルのうちの1つの幅にほぼ等しい距離だけシフトすることができる。他の実施形態では、シフト距離は、例えば、カラーサブピクセル幅の2倍、カラーサブピクセル幅の3倍などにほぼ等しくてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、マルチビームバックライト210は、マルチビームバックライトにわたって分布した複数のマルチビームエミッタ212を備える。複数のマルチビームエミッタ212は、マルチビューディスプレイ100に関して上述したマルチビームエミッタ130と実質的に同様であってもよい。特に、複数のマルチビームエミッタのうちのマルチビームエミッタ212は、マルチビューディスプレイシステム200によって放射された複数の光の指向性光ビームのうちの指向性光ビーム202を提供するように構成される。様々な実施形態によれば、複数のマルチビームエミッタ212は、マルチビームバックライト210の表面上又はその内部に配置することができる。
【0064】
いくつかの実施形態(図示せず)では、マルチビームバックライト210は、ライトガイドをさらに備える。ライトガイドは、ライトガイドの長さに沿って、伝播方向の光を導波光として導波するように構成される。いくつかの実施形態では、ライトガイドは、上述のマルチビューディスプレイ100のライトガイド140と実質的に同様であってもよい。様々な実施形態によれば、ライトガイドは、全内部反射を使用して導波光を導波するように構成することができる。さらに、導波光は、ライトガイドによって、又はライトガイド内で非ゼロの伝播角度で導波することができる。いくつかの実施形態では、導波光はコリメートされてもよく、又はコリメート光ビームであってもよい。特に、様々な実施形態において、導波光は、コリメーション係数σに従って、又はコリメーション係数σを有するようにコリメートすることができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、複数のマルチビームエミッタ212のうちのマルチビームエミッタは、マルチビーム要素を備える。いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、上述のマルチビーム要素130’と実質的に同様であってもよい。マルチビーム要素は、マルチビューディスプレイシステム200の指向性光ビーム202として導波光の一部を散乱させるように構成される。様々な実施形態によれば、マルチビーム要素は、ライトガイドの表面上又はその内部に配置することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、マルチビームエミッタ212又は要素のサイズは、ライトバルブアレイのライトバルブ220のサイズと同程度である。いくつかの実施形態では、マルチビームエミッタ又は要素のサイズは、マルチビーム要素のサイズがライトバルブのサイズの約50%~約200%になるように、ライトバルブのサイズと同程度である。
【0067】
いくつかの実施形態では、マルチビーム要素は、導波光の一部を散乱させるように構成された複数の異なる構造のいずれかを備えることができる。例えば、異なる構造は、回折格子、マイクロ反射要素、マイクロ屈折要素、又はそれらの様々な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、回折格子を備えるマルチビーム要素は、導波光部分を回折的に散乱させ、異なる主角度方向を有する複数の指向性光ビームとするように構成される。他の実施形態では、マイクロ反射要素を備えるマルチビーム要素は、複数の指向性光ビームとして導波光部分を反射的に散乱させるように構成されるか、又はマイクロ屈折要素を含むマルチビーム要素は、屈折によって、若しくは屈折を使用して導波光部分を散乱させ(すなわち、導波光部分を屈折的に散乱させる)、複数の指向性光ビームとするように構成される。
【0068】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、マルチビューディスプレイシステムの動作の方法300が提供される。
図6は、本明細書に記載される原理と一致する実施形態による、一実施例におけるマルチビューディスプレイシステムの動作の方法300のフローチャートを示す。マルチビューディスプレイシステムの動作の方法300は、反復する複数のカラーサブピクセルを有するライトバルブのアレイを使用して指向性光ビームを変調するステップ310を含む。ライトバルブのアレイは、マルチビューディスプレイ100に関して上述したライトバルブ110のアレイと実質的に同様であってもよい。したがって、液晶ライトバルブ、電気泳動ライトバルブ、及びエレクトロウェッティングに基づくライトバルブのうちの1つ又は複数を含むがこれらに限定されない、様々なタイプのライトバルブを、ライトバルブアレイのライトバルブとして採用することができる。いくつかの実施形態では、反復する複数のカラーサブピクセルの各カラーサブピクセルは、異なる色を有する。例えば、反復する複数のカラーサブピクセルは、ライトバルブのアレイの行に沿って順に赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)のカラーサブピクセル(RGB)の反復セットから成ることができる。様々な実施形態によれば、反復する複数のカラーサブピクセルは、マルチビュー画像のビューのカラーピクセルを提供するために複数のマルチビューピクセルとして配列される。
【0069】
方法300は、ユーザ追跡モジュールを用いてマルチビューディスプレイシステムに対するユーザの位置を追跡し、追跡されたユーザの位置を提供する、追跡するステップ320をさらに含む。いくつかの実施形態では、ユーザ追跡モジュールは、上述のマルチビューディスプレイシステム200のユーザトラッカー230と実質的に同様であってもよい。例えば、ユーザ追跡モジュールは、マルチビューディスプレイシステムに対するユーザの位置を提供するように構成された位置センサを備えることができる。さらに、ユーザ追跡モジュールは、マルチビューディスプレイの相対的な動きを追跡するように構成されたモーションセンサを備えることができる。マルチビューディスプレイシステムに対するユーザの動きを使用して、例えば、マルチビューディスプレイシステムに関するユーザの位置を推測することができる。いくつかの実施形態では、ユーザ追跡モジュールは、位置センサ及びモーションセンサの両方を備えることができる。
【0070】
図6に示すように、方法300は、追跡されたユーザ位置に応じて、ライトバルブアレイのカラーサブピクセルの配置に対して複数のマルチビューピクセルのマルチビューピクセルの配置をシフトして動的なカラーサブピクセルの再マッピングを提供し、マルチビューディスプレイを見ているときにユーザが知覚するカラーフリンジを軽減する、シフトするステップ330をさらに含む。いくつかの実施形態では、シフトするステップ330は、マルチビューディスプレイ100又はマルチビューディスプレイシステム200のいずれかに関して前述したシフトと実質的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、シフトするステップ330では、カラーサブピクセルの行方向に1つのカラーサブピクセルのサイズの整数倍だけマルチビューピクセルの配置を変更する。
【0071】
いくつかの実施形態では、方法300は、マルチビームエミッタのアレイを使用して指向性光ビームを放射するステップをさらに含む。アレイのマルチビームエミッタは、上述したように、マルチビューディスプレイ100のマルチビームエミッタ130と実質的に同様であってもよい。いくつかの実施形態では、指向性光ビームを放射するステップは、ライトガイド内の光を導波光として導波するステップを含む。ライトガイドは、マルチビューディスプレイ100のライトガイド140と実質的に同様であってもよく、光は、ライトガイドの対向する内面間において非ゼロの伝播角度で導波することができる。いくつかの実施形態では、マルチビームエミッタアレイのマルチビームエミッタは、マルチビーム要素アレイのマルチビーム要素であってもよく、各マルチビーム要素は、マルチビームエミッタアレイの異なるマルチビームエミッタに対応する。マルチビームエミッタアレイがマルチビーム要素のアレイである場合、マルチビームエミッタのアレイを使用して指向性光ビームを放射することは、指向性光ビームを提供するためにマルチビーム要素アレイのマルチビーム要素を使用してライトガイドからの導波光の一部を散乱させることをさらに含むことができる。マルチビーム要素は、マルチビューディスプレイ100のマルチビーム要素140’と実質的に同様であってもよい。さらに、マルチビームエミッタ又はマルチビーム要素は、ライトバルブアレイのライトバルブのサイズと同程度のサイズを有することができる。例えば、マルチビームエミッタ又はマルチビーム要素のサイズは、マルチビーム要素のサイズがライトバルブのサイズの約50%~約200%になるように、ライトバルブのサイズと同程度とすることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイシステムに対するユーザの位置を追跡するステップは、モーションセンサを使用してマルチビューディスプレイシステムの相対的な動きを監視し、相対的な動きからユーザの位置を推測するステップを含む。いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイシステムに対するユーザの位置を追跡するステップは、位置センサを用いてユーザの位置を追跡するステップを含む。いくつかの実施形態では、ユーザ位置を追跡するステップは、モーションセンサを使用して相対的な動きを監視するステップ、及び位置センサを使用してユーザ位置を追跡するステップの両方を含む。様々な実施形態によれば、モーションセンサは、ジャイロスコープ及び加速度計の一方又は両方を備えることができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、位置センサは、静電容量センサ、カメラ、及び飛行時間センサのうちの1つ又は複数を含むことができるが、これらに限定されない。
【0073】
したがって、動的なカラーサブピクセルのマッピングを提供するために、反復する複数のカラーサブピクセルに対してシフトされるように構成されたマルチビューピクセルを有するマルチビューディスプレイ、マルチビューディスプレイシステム、及びマルチビューディスプレイシステムの動作の方法の実施例並びに実施形態が記載される。上述の実施例は、本明細書に記載の原理を表す多くの特定の実施例のいくつかの単なる例示であることを理解されたい。明らかに、当業者は、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、他の多数の構成を容易に考案することができる。
【符号の説明】
【0074】
10,100 マルチビューディスプレイ
12 スクリーン
14 ビュー
16 ビュー方向
20 光ビーム
110,220 ライトバルブ
120,120´,222 マルチビューピクセル
112 カラーサブピクセル
112-1 第1のカラーサブピクセル
112-2 第2のカラーサブピクセル
112-3 第3のカラーサブピクセル
101 ユーザ
V1 第1のビュー
V2 第2のビュー
V3 第3のビュー
130,130´,212 マルチビームエミッタ
140 ライトガイド
104 導波光
140´ 第1の表面
140´´ 第2の表面/底面
150 光源
160 広角バックライト
162 広角光
200 マルチビューディスプレイシステム
210 マルチビームバックライト
202 指向性光ビーム
230 ユーザトラッカー
【国際調査報告】