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特表2022-516464位置設定ペグを有する踵構造体、および履物品の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】位置設定ペグを有する踵構造体、および履物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 11/00 20060101AFI20220218BHJP
   A43B 23/02 20060101ALI20220218BHJP
   A43B 23/08 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
A43B11/00
A43B23/02 103
A43B23/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537739
(86)(22)【出願日】2019-12-19
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 US2019067590
(87)【国際公開番号】W WO2020139712
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】16/235,377
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キルゴア,エリザベス エー.
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BC09
4F050BF01
4F050GA10
4F050HA43
4F050HA71
4F050HA81
(57)【要約】
履物品は、第1配置で互いに離隔している開口部を画定するアッパーを含む。踵構造体は、基部に取り付けられた変形可能要素を有する。変形可能要素は、第1配置で互いに離隔し、アッパーの開口部を通って延びるペグを有する。履物品の製造方法は、アッパーの内層とアッパーの外層との間に変形可能要素を配置するステップと、変形可能要素を硬質基部に取り付けるステップと、を含む。変形可能要素は、外層に向かって外向きに延びる少なくとも1つのペグを含む。本方法は、外層を通ってペグを挿入し、よって、ペグが外層を通って延び、外層の外部表面で露出するステップを含む。履物要素のペグをアッパーの外層を通って挿入した後、ペグは、外層の外部表面で固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層および外層を含み、前記内層の内向きに足受容空洞を画定するアッパーであって、前記外層は、少なくとも1つの開口部を画定する、アッパーと;硬質基部に取り付けられた変形可能要素を有する踵構造体であって、前記変形可能要素は、前記基部に対して非折畳構成と折畳構成との間で移動することができ、前記変形可能要素は、前記内層と前記外層との間に配置され、前記内層は、前記変形可能要素と前記足受容空洞との間に配置される、踵構造体と;前記変形可能要素および前記基部のうち少なくとも1つから外向きに延び、前記外層の前記開口部を通って延びる少なくとも1つのペグであって、前記ペグは、前記アッパーの表面で固定される、少なくとも1つのペグと;を備える、履物品。
【請求項2】
前記外層は、複数の開口部を含み、前記変形可能要素は、内側部分、外側部分およびヒールピース(heel piece)を含み、第1ペグは、前記ヒールピースから外向きに延び、前記外層の各開口部内に位置決めされ、第2ペグは、前記内側部分から外向きに延び、前記外層の各開口部内に位置決めされ、第3ペグは、前記外側部分から外向きに延び、前記外層の各開口部内に位置決めされ、前記ペグのそれぞれは、前記アッパーの表面で固定される、請求項1に記載の履物品。
【請求項3】
前記ペグのそれぞれは、シャフト部分と、前記シャフト部分と単一の一体構成であるヘッド部分と、を含み、前記シャフト部分は、前記アッパーの開口部のうち1つを通って延び、前記ヘッド部分は、前記アッパーの表面で接合される、請求項2に記載の履物品。
【請求項4】
前記ヘッド部分は、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクトまたはデザインのうち少なくとも1つを表現する、請求項3に記載の履物品。
【請求項5】
ペグは、前記硬質基部の周辺部分から外向きに延びる、請求項1に記載の履物品。
【請求項6】
前記変形可能要素は、前記基部に前記変形可能要素を取り付ける前に前記外層と前記内層との間に配置される、請求項1に記載の履物品。
【請求項7】
前記基部は、前記基部の内側に位置したアンカー受容部と、前記基部の外側に位置した別のアンカー受容部と、を含み、前記アンカー受容部のそれぞれは、少なくとも1つのピンを含み、前記変形可能要素は、前記要素の内側に位置したアンカーと、前記要素の外側に位置したアンカーと、を含み、前記アンカーのそれぞれは、前記アンカー受容部の各ピンを受容するための少なくとも1つの開口部を含む、請求項1に記載の履物品。
【請求項8】
前記変形可能要素は、前記基部に前記変形可能要素を取り付けた後に前記外層と前記内層との間に配置される、請求項1に記載の履物品。
【請求項9】
前記外層は、前記外層の下部縁から延びる複数のタブを含み、前記タブは、前記アッパーを前記硬質基部に固定するのに使用される、請求項6に記載の履物品。
【請求項10】
履物品の製造方法であって、アッパーの内層と前記アッパーの外層との間に変形可能要素を配置するステップであって、前記変形可能要素は、前記外層に向かって外向きに延びる少なくとも1つのペグを含む、ステップと;前記変形可能要素の少なくとも1つのペグを前記アッパーの外層を通って挿入し、よって、前記少なくとも1つのペグが前記外層を通って延び、前記外層の外部表面で露出するステップと;前記変形可能要素を硬質基部に、前記基部から延びる少なくとも1つのピンを受容する前記変形可能要素上の少なくとも1つの開口部を利用して取り付けるステップと;前記外層の外部表面で前記少なくとも1つのペグを固定するステップと;を含む、製造方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのペグは、複数のペグを含み、前記アッパーの外層は、複数の開口部を含み、前記ペグは、第1配置で互いに離隔しており、前記開口部は、前記開口部が前記ペグと整列されるように、前記第1配置で互いに離隔している、請求項10に記載の製造方法。
【請求項12】
前記外層の外部表面で前記少なくとも1つのペグを固定するステップは、前記外層の外部表面に前記少なくとも1つのペグを接合するステップを含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項13】
前記外層の外部表面に前記少なくとも1つのペグを接合するステップは、加熱ツールを前記外層の外部表面で前記少なくとも1つのペグの端部に押し付けて、前記外層の外部表面に対して前記端部を溶融させるステップを含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記加熱ツールは、前記外層の外部表面で前記少なくとも1つのペグのヘッド部分を造形するモールド表面を有し、前記加熱ツールを押し付けて前記端部を溶融させるステップは、前記ヘッドを生成し、前記製造方法は、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクトもしくはデザインのうち少なくとも1つを表現する異なる形状を備えた、または異なる表面テクスチャーを備えたモールド表面をそれぞれ有する加熱ツールの群から前記加熱ツールを選択するステップをさらに含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記加熱ツールを選択するステップは、前記ヘッドの特定の形状または特定の表面テクスチャーに対するリクエストに応答して行われ、選択された前記加熱ツールのモールド表面は、リクエストされた前記特定の形状または前記特定の表面テクスチャーを有する、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
前記アッパーの内層と前記アッパーの外層との間に前記変形可能要素を配置するステップは、前記内層と前記外層との間の開口を通って行われ、前記製造方法は、前記変形可能要素を前記内層と前記外層との間に配置した後、前記開口を閉鎖するステップをさらに含む、請求項10に記載の製造方法。
【請求項17】
前記変形可能要素を基部に、前記基部から延びる少なくとも1つのピンを受容する前記変形可能要素上の少なくとも1つの開口部を利用して取り付けるステップは、各ピン上で加熱ツールを使用して前記基部への前記変形可能要素の取り付けを向上させるステップを含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項18】
前記基部は、前記基部の周辺から延び、前記外層を通って延びる1つ以上のペグを有する、請求項10に記載の製造方法。
【請求項19】
前記ペグおよび前記開口部は、前記変形可能部材が非折畳構成にある場合に、前記変形可能部材に初期バイアスを提供するのに使用される、請求項11に記載の製造方法。
【請求項20】
前記外層は、下部縁から延びる複数のタブを含み、前記タブは、前記基部を前記アッパーに固定するのに使用される、請求項10に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に履物品、履物品の製造方法、および履物品用の踵構造体を含む。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、履物を足に履くことは、多くの場合、履物アッパーの足首開口を伸長させるために片手または両手の使用を必要とし、特に比較的柔らかいアッパー、および/またはヒールカウンター(heel counter)がない履物の場合には、足の挿入中に後方部分をつかんでいなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0003】
本明細書に説明された図面は、例示のみを目的としており、本質的に図式的であり、本開示の範囲を限定することではなく、例示することを意図している。
図1】踵構造体の側面図である。
図2】踵構造体の後方斜視図である。
図3】踵構造体の底面図である。
図4】変形可能要素の部分斜視図であり、ここでは部品を切り離して、構成の詳細を示す。
図5】荷重下での踵構造体の側面図である。
図6】荷重下での踵構造体の背面図である。
図7図5の線7-7による踵構造体の部分断面図である。
図8】ヒールカウンターを有する踵構造体の側面図である。
図9】踵構造体の変形可能要素の後方斜視図である。
図10】踵構造体の基部の後方斜視図である。
図11】互いに取り付けられた変形可能要素と基部の後方斜視図である。
図12図1の踵構造体の挿入前のアッパーを示す履物品の外側斜視図である。
図13】外層で開口部を通って延びるペグ付きアッパーの内層と外層との間の開口を通って挿入される踵構造体の変形可能要素を示す、履物品の外側斜視図である。
図14】基部に取り付けられた変形可能要素と、変形可能要素および基部に取り付けられたアッパーと、を示す側面斜視図である。
図15】挿入中に踵構造体を押している、仮想線で示された足と履物品の外側面図であり、アッパーの外層に固定されたペグのヘッド部分を示す。
図16】足が完全に挿入された状態の履物品の外側面図である。
図17】踵構造体のペグのうち1つの端部を加熱するツール、および履物品の断片的な斜視図である。
図18】ツールの斜視図である。
図19図18の線19-19によるツールの部分断面図である。
図20図17のツールを介してアッパーの外部表面に固定されたペグのヘッド部分を有する履物品の断片的な斜視図である。
図21図20の線21-21による、図20のペグおよびアッパーの断片的な断面図である。
図22図17のツールのモールド表面の平面図である。
図23図17のツール用の別のモールド表面の平面図である。
図24図17のツール用の別のモールド表面の平面図である。
図25図17のツール用の別のモールド表面の平面図である。
図26図17のツール用の別のモールド表面の平面図である。
図27図17のツール用の別のモールド表面の平面図である。
図28】踵構造体を有する別の履物品の断片的な後方斜視図である。
図29】別の踵構造体の後方斜視図である。
図30】さらに別の踵構造体の後方斜視図である。
図31】履物品を製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
一例において、履物品は、内層および外層を含み、内層の内向きに足受容空洞を画定するアッパーを備え得る。外層は、少なくとも1つの開口部を画定する。踵構造体が提供され、これは、硬質基部に取り付けられた変形可能要素を有する。変形可能要素は、基部に対して非折畳構成と折畳構成との間で移動することができる。変形可能要素は、内層と外層との間にも配置され、内層は、変形可能要素と足受容空洞との間に配置される。少なくとも1つのペグが提供され、これは、変形可能要素および基部のうち少なくとも1つから外向きに延び、外層で開口部を通って延びる。ペグは、アッパーの表面で固定される。
【0005】
1つ以上の実装例において、アッパー外層は、複数の開口部を含んでもよく、変形可能要素は、内側部分、外側部分、およびヒールピース(heel piece)を含んでもよい。第1ペグは、ヒールピースから外向きに延び得、外層で各開口部内に位置決めされ得る。第2ペグは、内側部分から外向きに延び得、外層で各開口部内に位置決めされ得る。第3ペグは、外側部分から外向きに延び得、外層で各開口部内に位置決めされ得る。さらに、ペグのそれぞれは、アッパーの表面で固定され得る。
【0006】
さらに別の実装例において、ペグのそれぞれは、シャフト部分と、シャフト部分と単一の一体構成であるヘッド部分と、を含み得る。シャフト部分は、アッパーの開口部のうち1つを通って延び得、ヘッド部分は、アッパーの表面で接合され得る。
【0007】
一態様において、ヘッド部分は、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクト、もしくはデザインのうち少なくとも1つを表現してもよく、または特定の表面テクスチャーを有してもよく、または特定のカラーであってもよい。さらに、ペグのうち1つ以上が他のペグのうち1つ以上とは異なる数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクト、デザイン、表面テクスチャーまたは特定のカラーを表現し得るので、ペグが同一である必要はない。
【0008】
さらなる態様において、ペグは、硬質基部の周辺部分から外向きに延び得る。
【0009】
追加的な構成において、変形可能要素は、基部に変形可能要素を取り付ける前に外層と内層との間に配置され得る。
【0010】
さらに別の構成において、基部は、基部の内側に位置したアンカー受容部と、基部の外側に位置した別のアンカー受容部と、を含み得る。アンカー受容部のそれぞれは、少なくとも1つのピンを含み得る。変形可能要素は、要素の内側に位置したアンカーと、要素の外側に位置したアンカーと、を含み得る。アンカーのそれぞれは、アンカー受容部の各ピンを受容するための少なくとも1つの開口部を含み得る。
【0011】
さらに別の構成において、変形可能要素は、基部に変形可能要素を取り付けた後に外層と内層との間に配置され得る。
【0012】
追加の例において、外層は、外層の下部縁から延びる複数のタブを含み得、タブは、アッパーを硬質基部に固定するのに使用され得る。
【0013】
追加の例において、アッパーの内層とアッパーの外層との間に変形可能要素を配置するステップを含む製造方法が提供され得る。変形可能要素は、外層に向かって外向きに延びる少なくとも1つのペグを含み得る。本方法は、アッパーの外層を通って変形可能要素の少なくとも1つのペグを挿入し、よって、少なくとも1つのペグが外層を通って延び、外層の外部表面で露出するステップを含み得る。本方法は、変形可能要素を硬質基部に、基部から延びる少なくとも1つのピンを受容する変形可能要素上の少なくとも1つの開口部を利用して取り付けるステップを含み得る。本方法は、外層の外部表面で少なくとも1つのペグを固定するステップを提供し得る。
【0014】
追加の構成において、少なくとも1つのペグは、複数のペグを含み得、アッパーの外層は、複数の開口部を含み得る。ペグは、第1配置で互いに離隔し得る。開口部は、開口部がペグと整列されるように第1配置で互いに離隔し得る。
【0015】
追加の実装例において、少なくとも1つのペグは、外層の外部表面に接合され得る。
【0016】
追加の態様は、加熱ツールを外層の外部表面で少なくとも1つのペグの端部に押し付けて、外層の外部表面に当接するように端部を溶融させるステップを含む。
【0017】
追加的な構成は、外層の外部表面で少なくとも1つのペグのヘッド部分を造形するモールド表面を有する加熱ツールを提供し得る。加熱ツールを押して端部を溶融させるステップは、ヘッドを生成する。構成は、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクトもしくはデザインのうち少なくとも1つを表現する異なる形状を備えた、または異なる表面テクスチャーを備えたモールド表面をそれぞれ有する加熱ツールの群から加熱ツールを選択するステップを含み得る。
【0018】
追加的な実装例において、加熱ツールは、ヘッドの特定の形状または特定の表面テクスチャーに対するリクエストに応答して選択され、選択された加熱ツールのモールド表面は、リクエストされた特定の形状または特定の表面テクスチャーを有する。
【0019】
追加の態様は、内層と外層との間の開口を通ってアッパーの内層とアッパーの外層との間に変形可能要素を配置し、開口を閉鎖するステップを含む。
【0020】
さらに別の実装例は、各ピン上で加熱要素を使用して基部への変形可能要素の取り付けを向上させるステップを含む。
【0021】
さらに別の態様は、基部の周辺から延び、外層を通って延びる1つ以上のペグを有する基部を含む。
【0022】
追加的な実装例において、ペグおよび開口部は、変形可能部材が非折畳位置にあるときに、変形可能部材に初期バイアスを提供するのに使用される。
【0023】
さらに別の構成において、外層は、下部縁から延びる複数のタブを含み、タブは、基部をアッパーに固定するのに使用される。
【0024】
本教示の上述の特徴および利点、ならびに他の特徴および利点は、添付の図面と関連付けて受け入れる場合に本教示を実行するためのモードに関する以下の詳細な説明から容易に明らかとなる。
【0025】
同一の参照番号が同一の構成要素を指す図面を参照すると、図1図3は、履物品の変形可能構造部材である踵構造体10を示す。踵構造体10は、本明細書に参考として組み込まれる米国特許第9,820,527号に記載されている踵構造体に対する改良である。踵構造体10は、本明細書に記載されているように、履物品内に足が入ることを容易にする。米国特許第9,820,527号に開示された構造体に対する改良は、本明細書に記載されているように、製造中にアッパーに対して踵構造体10を正確に位置決めするための位置設定特徴部として機能するペグ12を含む。示された実施形態には、4つのペグ12があり、それらのうち3つのみを図1で見られる。踵構造体10の任意の部分に沿って位置決めされた任意の数のペグ12が存在し得るということが予想される。
【0026】
完全性および明瞭性のために、特定の要素、および本明細書の現在の実施形態(図1図3を参照し続ける)と共通したこれらの動作に関する米国特許第9,820,527号の説明に目を向けると、踵構造体10は、少なくとも1つの基部14と、少なくとも1つの変形可能要素16と、を備える。変形可能要素16は、基部14に結合され、一般的に踵構造体10が位置決めされる靴の後方部分に内蔵および/または結合され、それに沿って延びる。単一の変形可能要素16は、靴の後方部分の周りで連続的に延び得るが、踵構造体10は、後述する様々な実施形態によって2つの別個の個別的な変形可能要素16間に位置決めされたヒールピース18を含み得る。本明細書で用いられる「変形可能要素」という用語は、弾性的に柔軟な部材を指し、弾性的に柔軟な部材は、屈折させることができるか、または圧縮することができるが、非屈折または非圧縮状態に向かって移動するためのバイアスを有する。変形可能要素16に関する追加的な詳細は、以下に含まれる。
【0027】
変形可能要素(複数可)16は、様々な実施形態によって基部14に結合される。「基部」という用語は、変形可能要素(複数可)16が結合される靴の硬質の部分またはセクションを指し得る。基部14は、変形可能要素(複数可)16が結合される固定連結点(複数可)を指し得る。基部14は、アウトソールまたはその一部、ミッドソールまたはその一部、インソールまたはその一部、ウェッジまたはその一部、アッパーまたはその一部(たとえば、ヒールカウンター)、あるいは、靴のこれらの列挙された部分の間に、かつ/またはこれに隣接して配置された他の適切な構造体を指し得る。
【0028】
様々な実施形態では、変形可能要素16が基部14に直接結合されるか、装着されるか、取り付けられるが、他の実施形態では、基部14が選択的に1つ以上のアンカー20を含み得る。様々な実施形態において、アンカー20は、変形可能要素(複数可)16を係合させて所定の位置に保持する基部14の一部であり得る。様々な実施形態において、アンカー(複数可)20は、踵構造体が位置決めされるインソール、ミッドソール、アウトソール、アッパー、または他の後方部分の靴と一体形成され、かつ/またはこれらに結合され、かつ/またはこれらの内部、もしくはこれらの間、もしくはこれらの外側に位置し得る。
【0029】
様々な実施形態において、たとえば、アンカー20は、ブロックまたはウェッジで配置される。アンカー20は、アッパー、ヒールカウンター22(図8参照)、またはアウトソールの上に位置した他のデバイスに位置し得る。アンカー20はまた、ミッドソールとアウトソールとの間に、中底とミッドソールとの間に、および/またはアッパーの外側に位置し得る。一実施形態において、ミッドソールは、靴にアンカー20を取り付けるか、収容するために、彫刻または切断され得る。アンカー20はまた、ヒールカウンター22に、あるいはその内部に取り付けられ得る。図8は、ヒールカウンター22に固定されたワイヤを図示しており、ここでヒールカウンター22は、本開示の例示的な実施形態によって踵が折り畳まれることを可能にするように造形される。様々な実施形態において、踵構造体10の基部14は、靴の幅全体をに延ばす単一のアンカー20を含んでもよく、または基部14は、靴の両側(たとえば、外側および内側)に2つのアンカー20を含んでもよい。
【0030】
アンカー20は、一般的に変形可能要素16および/またはヒールピース18を靴に固定するために提供される構造体である。たとえば、図1図3を参照すると、基部14は、アンカー20およびアンカー受容部24を含み得る。
【0031】
上で簡略に紹介したように、変形可能要素16は、一般的に踵構造体10を折畳構成から非折畳構成に戻すために提供される構造体である。踵構造体10は、1つ以上の変形可能要素16を含み得、たとえば靴のどちらにでも1つを含み得る。たとえば、単一の変形可能要素16は、靴の一側から靴の他側に移動し得、1つ以上のアンカー20に取り付けられ得る。
【0032】
変形可能要素16は、チューブ、ワイヤ、バネ、形状記憶構造または材料などのうち1つ以上を含み得る。例示的な実施形態において、変形可能要素16は、単一の単片を含む。たとえば、そして様々な実施形態によって、変形可能要素16の第1端部は、左側アンカー20(または単一アンカー20の左側)に内蔵されるか、取り付けられ得、変形可能要素16の第2端部は、右側アンカー20(または単一アンカー20の右側)に内蔵されるか、取り付けられ得、様々な実施形態によって、変形可能要素16の中間部分は、踵の周りで延び得る(または、ヒールピース18に結合または内蔵され得る)。
【0033】
様々な実施形態において、変形可能要素16の第1および第2端部は、靴の中底の下に配置される。変形可能要素16が連結される、基部14の連結箇所(たとえば、アンカー20)は、靴の中底の下に位置決めされる。様々な実施形態において、踵構造体10は、靴アッパーの後方部分が常に靴の中底の上に位置決めされたままであるように構成され得る。言い換えれば、踵構造体10が折畳構成にあっても非折畳構成にあっても関係なく、様々な実施形態によって、アッパーの後方部分は、靴の中底の上にあるままであり得る。
【0034】
他の実施形態において、変形可能要素16は、複数の別個の個別的な構成要素を含む。たとえば、変形可能要素16は、2つの個別的な構成要素、すなわち左側アンカー20(または単一アンカー20の左側)に内蔵されるか、取り付けられる第1端部と、ヒールピース18の左側(またはヒールピース18の左側パドル19)に内蔵されるか、取り付けられる第2端部と、を有する第1構成要素と;右側アンカー20(または単一アンカー20の右側)に内蔵されるか、取り付けられる第1端部と、ヒールピース18の右側(またはヒールピース18の右側パドル19)に内蔵されるか、取り付けられる第2端部と、を有する第2構成要素と;を含み得る。複数の別個の個別的な構成要素は、たとえばテープラップ(tape wrap)、織成インケーシング(woven encasing)、オーバーモールド(たとえば、TPU)、熱収縮チューブなどのうち1つ以上によって一緒に固定することができ、これらの各々は、異なる安定性および強度を提供することができる。非限定的な例として、そして図4を参照すると、変形可能要素16は、カバー、スリーブ、オーバーモールドまたは熱収縮チューブ28に収納されるか、または一緒に収納される1つ以上のワイヤ26を含み得る。1つ以上のワイヤ26はアーチ状になり、屈折し、揺動した後、初期/正常状態に戻ることができる。
【0035】
変形可能要素16は、その長さに沿って、かつ/またはその長さに沿う別個の点で、可変の機械的特性を有し得る。このような変形は、変形可能要素16、その複数の別個の個別的な構成要素のうち1つ以上、および/またはその長さに沿って可変断面、密度、材料などを有する変形可能要素(複数可)16の全部または一部を取り囲む固定によって提供され得る。よって、厚さまたは形状の変化により、あるいは、他に変形可能要素16の厚さまたは形状が一定した場合には、変形可能要素16をその長さに沿ってねじることにより、可変断面を提供することができる。様々な実施形態において、複数の変形可能要素16は、同一のまたは異なる機械的特性を備え得、たとえば、これらは互いに独立的に屈曲し得る。
【0036】
様々な実施形態において、そして図8を参照すると、変形可能要素16は、カバー、スリーブ、オーバーモールド、または他の適切な構造体(要素30として概略的に示される)を含む。このカバー30は、変形可能要素16を保護し得、変形可能要素16の屈曲または圧縮を制御し、かつ/または案内し、かつ/または支持し、かつ/または別な方法でこれに影響を及ぼし得る。様々な実施形態において、カバー30は、その製造材料、形状、幾何学形状などに基づき、変形可能要素16からカバー30へ機械的曲げ/変形の力を伝達することによって機械的応力の分散を促進するように構成されて、変形可能要素の損傷または破損を防止するか、または少なくとも抑制し、そうでなければ、変形可能要素16が受ける集中的で繰り返しの機械的応力によって、該損傷または該破損が生じ得る。たとえば、カバー30は、応力の分散を促進して変形可能要素16の動的屈曲に寄与するように、その長さに沿って変わる寸法(たとえば、図8に示した漏斗様のテーパ状)を有し得る。変形可能要素16が破損するまれな場合に、カバー30は、少なくともある程度のバイアスを提供し得、これによって靴が非折畳位置に戻ることを助けるために相変らず所定のレベルの跳ね戻りを可能にする。また、カバーは、変形可能要素に追加のパッドおよび/または支持を提供し得、利用者が、踵の周りで延びる変形可能要素を感じることを防止するか、少なくとも抑制し得る。
【0037】
変形可能要素16は、方向性のバイアスをさらに有し得る。このようなバイアスは、前述のように、変形可能要素16、その複数の別個の個別的な構成要素のうち1つ以上、および/またはその長さに沿って可変断面、密度、材料などを有する変形可能要素(複数可)16の全部または一部を取り囲む固定によって提供され得る。非限定的な例として、変形可能要素16は、踵構造体10を折畳構成から非折畳構成に戻すのに十分に弾性的に柔軟な第1構成要素またはワイヤ(たとえば、ニチノール)を含み得、変形可能要素16の1つ以上の所望の曲率円弧(複数可)(たとえば、靴の側面から見た円弧、および靴の端部から見た円弧)に向かう第2構成要素またはワイヤ(たとえば、グラファイト)をさらに含み得る。これら2つの構成要素は、図8を参照して以下でより詳しく説明するように、前述のようなプラスチックのコーティングまたはシールドで覆われるか、収納され得る。踵構造体10は、利用者の足がそれを靴の側面または後方の踵から押し下げることによって折り畳まれ得る。踵構造体10は、中心を外れて(たとえば、側面から)押され得、相変わらず適切に作動して跳ね戻り得る。
【0038】
図5および図6を参照すると、変形可能要素16は、踵構造体10が非折畳構成32と折畳構成34との間で移動することによって、1つ以上の所望の曲率円弧(複数可)を示し得る。たとえば、変形可能要素16は、靴の側面から見た第1曲率円弧(図5)と、靴の端部から見た第2曲率円弧(図6)と、を備え得る。これに関して、変形可能要素16は、いくつかの実施形態では平面状ではない。
【0039】
曲率円弧は、アンカー20を起源としてもよいが、例示的な実施形態において、変形可能要素16は、靴の基部14を中心に(たとえば、インソール、ミッドソール、またはアウトソールを中心に)枢動しない(すなわち、非枢動式である)。変形可能要素16は、基部14に回転不可能に結合され得る。様々な実施形態において、変形可能要素16と基部14(またはアンカー受容部24)との間の係合には遊びがなく、これは、2つの構成要素16、14間の相対的移動がほとんどまたは全くないことを意味する。
【0040】
いくつかの実施形態では、曲率円弧がその長さに沿って一定であるが、他の実施形態では、たとえば、前述したように可変的な機械的特性を示すことで、円弧がその長さに沿って、かつ/またはその長さに沿った別個の点で変化する。いくつかの実施形態において、非折畳構成と折畳構成との間の変化は、靴のアッパー構成の制約に起因し得る。
【0041】
特に、図5を参照すると、変形可能要素16によって示される靴の側面から見た曲率円弧は、踵構造体10が折畳構成にある場合、第1曲率半径Rlを有し得、踵構造体10が非折畳構成にある場合、第2曲率半径R2(第1曲率半径R1よりも大きい)を有し得る。例示的な実施形態において、第1曲率半径Rlは、第2曲率半径R2よりも約30%~約60%小さいか、または約45%小さい。
【0042】
変形可能要素16は、1つ以上の材料、たとえば炭素鋼、ステンレス鋼、チタン、ニッケルチタン(ニチノール)、ならびにその他の金属および合金(形状記憶またはその他)、ポリマー(形状記憶またはその他)、複合材料、フォーム材、グラファイト、炭素繊維、ガラス繊維、TPC-ET、シリコーン、TPUおよびポリカーボネートを含むことができる。たとえば、変形可能要素16は、チタンを含むか、またはチタンワイヤであり得る。また、1つ以上の変形可能要素16は、第1材料、たとえばチタンからなり得、1つ以上の変形可能要素16は、第2材料、たとえばグラファイトからなり得、これは、踵構造体10のより容易な変形を有利に可能にすると同時に、踵構造体10の元の位置(すなわち、非折畳構成)へのより迅速な跳ね戻りを提供する。
【0043】
様々な実施形態において、そして図7を参照すると、基部14に装着された変形可能要素16の端部は、基部14を通って延びる垂直軸に対して斜めに外向きに配向される。このような斜めな配向は、様々な実施形態によって、変形可能要素16が利用者の足の踵の周りで延びること、および/またはその輪郭に従うことを可能にする。変形可能要素は、非折畳構成および/または折畳構成で利用者の足/踵の自然な輪郭に従うように構成され得る。したがって、様々な実施形態において、足の一側(たとえば、内側)上の変形可能要素16の屈曲、曲率および/または長さは、足の他側(たとえば、外側)上の変形可能要素16の曲率および/または長さと異なり得る。
【0044】
変形可能要素16の少なくとも一部は、靴の後方部分に連結され得る。たとえば、変形可能要素16は、靴開口の上端線に近接して靴に結合され得、よって、靴の後方部分は、踵構造体10が折畳構成に変化することに応答して折り畳まれ、靴の後方部分は、踵構造体10が非折畳構成に戻ることに応答して跳ね戻る。様々な実施形態において、変形可能要素16の部分は、靴の後方部分(たとえば、クォータ)内で移動し得る。たとえば、変形可能要素16は、靴のクォータまたはヒールカウンターの内表面と外表面との間に配置され得、変形可能要素16の変形に応答して、靴の内表面および外表面に対して移動し得る。例示的な実施形態において、変形可能要素16またはヒールピース18は、靴の後方部分内に完全に収容され得る。変形可能要素16は、いくつかの実施形態において利用者の目に見えるが、他の実施形態において、変形可能要素16は、利用者の目に見えない。
【0045】
様々な実施形態において、図5を参照すると、変形可能要素16は、基部14から上方および後方に(すなわち、靴の後方部分に向かって)延びる。このように変形可能要素16が延びる方向は、様々な実施形態によって、変形可能要素16が利用者の足の挿入に応答して靴開口に対して実質的に内向きに折れることを防止するか、少なくとも抑制する。変形可能要素16は、一般的に利用者の足が靴に挿入されると変形されてそれに応答するが、変形可能要素16は、一般的に上端線(たとえば、靴開口の襟の上端線)が内向きに折れることまたは屈折することを防止する(すなわち、靴開口が実質的に折り畳まれることを防止する)。しかし、様々な実施形態において、変形可能要素16は、靴開口の上端線の後方部分の形状が変形されることを可能にし、利用者の足の形状に適合する輪郭を形成することを可能にする。
【0046】
様々な実施形態において、上述したように、基部14は、アンカー20およびアンカー受容部24を含み得る。アンカー20は、たとえば抵抗嵌め、圧縮嵌め、スナップ嵌めによって、または連動メカニズム/構成によって、アンカー受容部24に設置/結合され得る。このような実施形態において、変形可能要素16は、まずアンカー20に結合され得、次いでアンカー20は、アンカー受容部24に設置/結合され得る。図9図11を参照すると、連動構成が示されている。構成は、2つの開口部36が内部に形成されたアンカー20を有する変形可能要素を含む。基部14は、硬質構成を有してもよく、アンカー20を受容するためにその内部に形成されたアンカー受容部24を有する。アンカー受容部24のそれぞれは、アンカー20の開口部36に受容される1対のピン38を含む。アンカー受容部24内のアンカー20の係合、および特に開口部36とピン38との係合は、変形可能要素16を基部14に固定するのに使用されるスナップ嵌めをもたらす。スナップ嵌めは、アンカー20の縁とアンカー受容部24の縁との間、およびピン38と開口部36との間の摩擦嵌めの結果である。明らかなように、2つのピンが各アンカー受容部24に示されているが、任意の数のピン38、および対応する開口部36が使用され得る。
【0047】
選択的なヒールピース18は、一般的に踵構造体10が非折畳構成にある場合に靴の後方部分を利用者の踵の周りに固定し、踵構造体10が折畳構成にある場合に利用者の足を靴開口内に向けるか、そうではなければそれに対して利用者の足を収容するように提供される構造体である。踵構造体10は、複数のヒールピース18を含み得る。
【0048】
以下で、米国特許第9,820,527号の詳細な説明に目を向けて、米国特許第9,820,527号の実施形態の改良について説明する。改良は、米国特許第9,820,527号に開示された要素の任意の数の部分に沿ってペグ12を提供することを含む。
【0049】
ペグ12は、踵構造体10上の第1配置で互いに離隔している。第1配置は、デバイス10が無負荷位置にあるとき、図1図3に示したようにペグ12の相対間隔(たとえば、異なるペグ12間の距離)である。第1ペグ12Aは、変形可能要素16のヒールピース18のうち1つと一体化し、それから外向きに延び得る。第2ペグ12Bは、変形可能要素16の内側部分と一体化し、それから外向きに延び得る。第2ペグ12Bは、変形可能要素16の内側から外向きに延びるものと示されている。第3ペグ12Cは、変形可能要素の外側部分と一体化し、それから外向きに延び得る。第3ペグ12Cは、変形可能要素の外側から外向きに延びるものと示されている。別の実施形態において、第4ペグ12Dは、基部14の後方踵領域から外向きに延びる。
【0050】
図1図3には、履物品における最終組み立て前の踵構造体10が示されている。最終組み立ての前に示されたステージにおいて、ペグ12は、一般的に終端まで一定した幅で延びる、直線の円筒状シャフトである。4つのペグ12が示されているが、踵構造体10は、より少ないまたはより多いペグを有し得る。追加的なペグ12は、変形可能要素16、ヒールピース18、および/または基部14の周辺に沿ってどこにでも配置され得る。たとえば、ヒールピース18上に2つのペグ12が配置され得、1つは、ヒールピース18の各パドル19から外向きに延びる。少なくとも2つの離隔したペグ12を提供することは、製造中に履物アッパーに対して踵構造体10を正確に位置決めする多少の能力を提供する。4つのペグ12、すなわち、ヒールピース18上の1つのペグ12Aと、基部14上の1つのペグ12Dと、変形可能要素16の内側上の1つのペグ12Bと、変形可能要素16の外側上の1つのペグ12Cと、を提供することによって、4つのペグ12は、すべてが同一平面上にあるわけではない4つの離隔した点である第1配置で配置される。これは、ペグが2つまたは3つのみある場合に比して、製造中にアッパーに対して踵構造体10をより正確に位置決めする。
【0051】
ペグ12のヘッドの材料は、変形可能要素および/または基部と同一の材料であってもよく、本明細書で論じるように、ペグのヘッドが配置されるか、少なくともペグのうち1つのヘッドが配置される履物層の溶融温度よりも低い溶融温度を提供するように選択される。ペグ12用の例示的な材料は、プラスチック(熱可塑性プラスチックなど)、複合材およびナイロンを含む。ペグ12用の別の例示的な材料は、米国ペンシルベニア州のKing of PrussiaのArkema社から入手可能なPEBAX(登録商標)などのポリエーテルブロックアミドである。ペグ12用の別の例示的な材料は、ガラス繊維強化ポリアミドである。例示的なガラス繊維強化ポリアミドは、米国のペンシルベニア州のKing of PrussiaのArkema社から入手可能なRISLAN(登録商標)BZM 7 0 TLである。このようなガラス繊維強化ポリアミドは、ISO 1183試験方法で1立方センチメートル当たり1.07グラムの密度、ISO 868試験方法でショア(shore)Dスケールでの75の瞬間硬度、ISO 527試験方法(相対湿度50%で、攝氏23度で15日間コンディショニングしたサンプルを使用)で1800MPaの引張弾性率、およびISO 178試験方法(相対湿度50%で、攝氏23度で15日間コンディショニングしたサンプルを使用)で1500MPaの曲弾性率を有し得る。ペグ12用の別の例示的な材料は、米国ミネソタ州ウィノナのRTP Companyから入手可能なRTP 200FまたはRTP 201Fなどのナイロン12(ガラス繊維含有または非含有)である。ペグ12用の別の例示的な材料は、米国ミネソタ州ウィノナのRTP Companyから入手可能なRTP 2300またはRTP 2301などの硬質熱可塑性ポリウレタン(ガラス繊維含有または非含有)である。ペグ12用のさらに別の例示的な材料は、米国ミネソタ州ウィノナのRTP Companyから入手可能なRTP 800またはRTP 801などのアセタール(ポリオキシメチレン(POM))(ガラス繊維含有または非含有)である。
【0052】
図12は、踵構造体10がアッパー42に挿入されて固定される前の履物品40のアッパー42を示している。本明細書で履物40は、レジャー靴または運動靴として示されているが、本教示は、履物品、すなわちドレスシューズ、作業靴、サンダル、スリッパ、ブーツ、または任意の他の部類の履物も含む。
【0053】
アッパー42は、内層42Aおよび外層42Bを含む。アッパー42は、内層42Aの内向きの足受容空洞46と、空洞46に接近するための足首開口48と、を画定する。内層42Aは、足受容空洞46と外層42Bとの間に(たとえば、足受容空洞46内に配置された足により近く)配置される。アッパー42は、4方向に伸長するナイロン織物、編織構成または他の材料などの様々な材料または材料の組み合わせであり得る。アッパー42の材料は、本明細書に記載したように、足が履物品40内に入るために容易に接近する間に、踵構造体10を備えたアッパー42の移動を可能にするように柔軟であり得る。外層42Bは、アッパー42の第1層と呼ばれ得、第1溶融温度および第1燃焼温度を有する第1材料で構成される。
【0054】
履物品40は、踵領域50、中足部領域52、および前足部領域54を含む。図12および図16を参照すると、踵領域50は、一般に、人の足が、足受容空洞46内のソール構造体44で支持され、履物品40に対応するサイズである場合に、踵骨を含む、人の足の後方部分に対応する履物品40の部分を含む。履物品40の前足部領域54は、一般に、中足骨を人の足の指骨と連結する足指および関節(本明細書では、「中足指節関節」、「中足指節間関節」、または「MPJ」関節として同じ意味で呼ばれる)に対応する履物品40の部分を含む。履物品の中足部領域52は、踵領域50と前足部領域54との間に配置され、一般に舟状骨関節を含む、人の足のアーチ区域に対応する履物品40の部分を含む。
【0055】
ソール構造体44は、アウトソール、ミッドソールなどのソール層、またはアウトソールとミッドソールとの単一組み合わせ(ユニソールと呼ばれ得る)であり得る1つ以上のソール構成要素を含む。履物アッパー42の下部は、接着剤または他の方式などによってソール構造体44に固定され得、かつ/または結局ソール層に固定されるストローベル(strobel)にステッチされるか、他の方式で固定され得る。さらに、外層42Bは、外層42Bの下部縁58に沿って延びる複数の取り付けタブ56を含み得る。これらのタブ56は、以下でより完全に説明するように、アッパー42を踵構造体の基部14に取り付けるのに使用され得る。
【0056】
アッパー42の外層42Bは、変形可能要素10および基部14のペグ12と同一の第1配置で互いに対して配置される開口部60A、60B、60Cおよび60Dを有し、これによってペグ12に対する補完的な位置設定特徴部として機能し得る。開口部60Aは、踵領域50の後方にあり、アッパー42上の比較的高いところにある。開口部60Bは、履物品40の内側62にある。開口部60Cは、履物品40の外側64にある。開口部60Dは、踵領域50の後方にあり、アッパー42上の比較的低いところにあり、よって、これは、開口部60Aよりもソール構造体44に近く、一般に開口部60Aと垂直に整列される(たとえば、真下に離れている)。開口部60Aおよび60Dは、ペグ12Aおよび12Dと同一の間隔(たとえば、開口部60A、60D間の距離)で互いに離隔し得る。さらに、開口部60Aおよび60Dは、変形可能要素16および基部14が履物40に配置される場合、開口部が変形可能要素16内で初期バイアスを確保する方式で離隔し得る。開口部60Bおよび60Cは、ペグ12B、12Cと同一の間隔(たとえば、開口部60B、60C間の距離)で互いに離隔し得る。開口部60Bおよび60Cはまた、ペグ12Bおよび12Cがペグ12Aおよび12Dに対して離隔しているため、同一の間隔で開口部60Aおよび60Dから離隔し得る。開口部60A、60B、60Cおよび60Dは、貫通孔として外層42Bを通って延びる。内層42Aは、履物品50内でデバイス10を連結するための開口部を有する必要がない。しかし、以下でより完全に説明されるように、内層は、本明細書の態様によって内向きに延びるペグと一致するようにその内部に開口部を有し得る。
【0057】
図12に示したように、開口68を生成して内層42Aと外層42Bとの間に踵構造体10を挿入可能にするように、内層42Aの下部縁66は、製造時のこのステージにおいて踵領域50で固定されないままである。踵領域50の前方において、内層42Aは、ソール構造体44、ストローベルまたは外層42Bに縫い付けるか、他の方式で固定することができる。開口68は、踵領域50の後方の周りの内側62から外側64まで延びる。
【0058】
図13に示したように、内層42Aは、可撓性の材料であり、よって、開口68を拡大するために固定されてない下部縁66で持ち上げられ得、踵構造体10の変形可能要素16が開口68を通って嵌められて外層42Bの内側に当接するように配置されることを可能にする。変形可能要素16は、アンカー受容部24内のアンカー20の代わりにスナップすることにより、したがってピン38を開口部36にスナップすることにより、基部14への取り付けの前後に、開口68に配置され得ると考慮される。図13は、変形可能要素が基部14に取り付けられる前に開口68に配置される変形可能要素16(ヒールピース18を含む)を示す。このように、変形可能要素16は、変形可能要素16における初期バイアスなく開口68に配置される。言い換えれば、変形可能要素16(ヒールピース18を含む)は、足受容空洞46に近接した側面(たとえば、内側)である、外層42Bの第1側面に配置される。変形可能要素16は、外層42Bの内表面70に近接して配置され、内表面70は、足受容空洞46に面する。変形可能要素16が外層42Bの内表面70および内層42Aの内表面72に係合するすべてのところに接着剤を塗布することにより、開口68内に変形可能要素を固定するように、接着剤が使用され得る。開口部60A、60Bおよび60Cが、それぞれペグ12A、12B、12Cと同一の間隔で配置されるため、変形可能要素16(ヒールピース18を含む)は、ペグ12A、12B、12Cが外層42Bに向かって外向きに延びる状態で開口68に挿入され得、変形可能要素16は、ペグ12A、12Bおよび12Cと整列された開口部60A、60Bおよび60Cを有する外層42Bの内側に当接するように配置され得る。ペグ12A、12Bおよび12Cは、柔軟な外層42Bをペグ12A、12Bおよび12Cの上で滑らすことにより開口部60A、60Bおよび60Cを通ってそれぞれ挿入され得、よって、ペグ12A、12Bおよび12Cは、外層42Bを通って延び、外層42Bの外部表面74(外層42Bの外表面74とも呼ばれる)で露出する。外表面74は、足受容空洞46に背を向けている。
【0059】
変形可能要素が開口68内に位置決めされ、ペグ12A、12Bおよび12Cがそれらの各開口部60A、60Bおよび60C内に位置決めされた後、図14に示したように、変形可能要素16は、アンカー20をその各アンカー受容部24にスナップし、これによってピン38をその各開口部36にスナップすることで、基部14に取り付けられ得る。アンカー20と受容部24との間の摩擦嵌めに加えて、接着剤を、アンカー20および受容部24の表面に塗布することもできる。基部14は、硬質プラスチックまたは金属プレートなどの硬質材料からなり得る。基部14は、下部表面15を有し得、下部表面15は、表面上に折られ、かつ任意の好適な接着剤によってそれに固定されるタブ56を用いて、アッパー42を基部14に固定するのに使用される。さらに、変形可能要素16への基部14の取り付け、およびアッパー42のタブ56の取り付けは、アッパー42がラスト(last)上に位置決めされた状態、またはそれから外れて位置決めされた状態で起こり得る。さらに、踵構造体が非折畳構成32にある状態で、変形可能要素16が部分的にバイアスされた位置にあることが望ましい可能性がある。変形可能要素16で初期バイアスは、外層42Bの開口部60D内に基部14のペグ12Dを位置決めした後、たとえば図14に示したように、接着剤を用いてタブ56を基部14の下部表面15に固定することによって達成され得る。このような構成は、変形可能要素16が基部14に固定された後に達成され得る。開口部60Aと開口部60Dとの間の距離は、ペグ12Aおよび12Dがその中に位置決めされるときに変形可能要素16を少し下方にバイアスさせる距離であり得る。この初期バイアスは、踵構造体10が非折畳構成32にあるときに存在し得る。上述した説明は、アンカー20および受容部24を用いて基部14に変形可能要素16を取り付ける前に開口68に変形可能要素16(ヒールピース18を含む)を挿入することを提供する。明らかなように、開口68内の変形可能要素の位置決めは、変形可能要素16が基部14に取り付けられた後に起こり得る。この構成は、ペグ12A、12B、12Cおよび12Dをそれらの各開口部60A、60B、60Cおよび60D内に比較的同時に位置決めした後、タブを介してアッパー42に踵構造体10を固定することを含む。変形可能要素16が基部14に予め取り付けられるこのような取り付け構成は、変形可能要素の初期バイアスももたらす可能性がある。
【0060】
次いで、開口68は、内層42Aの下部縁66を外層42Bに、またはストローベルに、またはタブ56近くの基部14のアッパー側に固定することで、閉鎖され得る。内層42Aが固定された状態で、変形可能要素16(ヒールピース18を含む)は、内層42Aと外層42Bとの間に配置される。内層42Aは、踵構造体10と足受容空洞46との間で踵構造体10の内向きに配置される。踵構造体10は、踵領域50で足受容空洞46の一部を取り囲むように構成される。
【0061】
図15で、ペグ12A、12B、12Cおよび12Dは、外層42Bの外向きに延びる。しかし、ペグ12A、12B、12Cおよび12Dの直径は、開口部60A、60B、60Cおよび60Dとほぼ同一のサイズの直径であるか、それよりも小さい。デバイス10をアッパー42に対して所定の位置にさらに固定するために、ペグ12A、12B、12Cおよび12Dは、開口部60A、60B、60Cおよび60Dで外層42Bの外部表面74で固定される。より具体的に、ペグ12A、12B、12Cおよび12Dのそれぞれの端部で材料は、溶融し、造形されて、開口部よりも大きく、開口部を通って延びる残りのシャフト部分よりも大きいペグのヘッド部分を形成する。溶融材料は、図15および図16に示したペグ12A~12Dの拡大されたヘッド部分76を形成する。拡大されたヘッド部分76は、広げられたヘッドとも呼ばれ得る。いくつかの実装例において、拡大されたヘッド部分76の溶融材料は、冷却時、開口部60A、60B、60C、60D周りで外部表面74に接合され得る。ペグの拡大されたヘッド部分76の形成は、図17図21に関してさらに説明される。ヘッド部分76を外層42Bに接合することは、アッパー42および踵構造体10がラスト上にある間に起こり得る。続いて、ソール構造体44は、次にアッパー42の下部周辺に、ストローベルに、および/または踵構造体10の基部14の下端側15に固定され得る。代替的に、踵構造体10は、図9図14に示したように、アッパー42の層間に挿入され得、ヘッド部分76を外層42Bに接合することは、アッパー42がラストされ、ラスト上のソール構造体44に固定され、ラストから除去された後に起こり得る。
【0062】
図15は、踵構造体10のヒールピース18に力Fを加えて踵構造体10を負荷位置に移動させることを仮想線で示した足78を示す。アッパー42がヘッド部分76によってペグ12で踵構造体10に固定されるため、アッパー42は、踵領域50で踵構造体10とともに下方に折られ、これによって、足首開口48は、変形可能要素16が図16の無負荷位置にある場合に比して、変形可能要素16が負荷位置にある場合に後方および下方へさらに延びる。足78が足受容空洞46内へ前方および下方に移動する場合、変形可能要素16のバイアスは、変形可能要素16を図16の無負荷位置に戻す。上述したように、本明細書の一態様において、変形可能要素16は、図16の無負荷位置にあるときに初期バイアスを有し得る。
【0063】
図17は、図21に示したヘッド部分76を形成するためにペグ12Cの端部で材料を溶融させるのに使用されるツール80を示す。ツール80は、たとえば超音波溶接ツールであり得、このツールは、電力を、十分な摩擦の生成によって熱を発生させる超音波振動に変換し、これによって、ペグ12Cの材料を溶融させる。図18は、バッテリまたは電気取出口などの電源81によって駆動されるツール80を示す。1つの例示的なツール80は、米国イリノイ州セントチャールズのDukane Corporationから入手可能なDukane iQ超音波溶接機として入手可能な超音波溶接ツールである。
【0064】
ツール80は、モールド表面86とモールド空洞を形成する端部82を有する。図19に示したように、モールド空洞84は、一般的に半球状であり、モールド表面86には中央突出部87がある。図19は、モールド空洞84およびモールド表面86が中央凹部88を有するヘッド部分76に溶融材料を造形することを示す。端部82は、空洞84への円形開口89を有する。円形開口89は、ペグ12Cの端部が溶融する前にペグ12Cよりも大きい直径を有する。したがって、ツール80を外部表面74に押し付ける場合、ツール80の電源を切ることによって、ペグ12Cの材料は、溶融した後に冷却される。ツール80は、所定の冷却時間にわたって外層42Bに当接するように所定の位置に残っているため、図21の接合区域90に図示したように、溶融材料は、開口部60Cの周りで外層42Bの外部表面74に当接するように溶融し、これによって外部表面74に接合され得る。溶融材料は、ヘッド部分76または広げられたヘッドと呼ばれる。ヘッド76は、ペグ12Cの元の非溶融部分の残りの部分から延び、これは、シャフト部分92またはステム92と呼ばれる。シャフト部分92とヘッド部分76は、単一の一体構成を有する。シャフト部分92は、変形可能要素16と結合された第1端部93から、第1端部93から離隔し、かつ開口部60Cで外層42Bを通って外層42Bの第2側面に突出する遠位端部95(図21にも示されている)まで延びる。外層42Bは、シャフト部分92が開口部60Cを通って挿入されて、外層42Bを通って延びることを可能にするのに十分に可撓性であり、これによって遠位端部95は、外層42Bから突出する。たとえば、外層42Bは、十分に可撓性であり、よって、シャフト部分92は、手動により(またはロボット機械により)第1層42Bを通って延び得る。シャフト部分92は、第1層42Bの第1側面から第1層42Bを通って延び、外層42Bの第2側面で第1層42Bから突出する。さらに、いくつかの実装例において、外層42Bは、第1間隔で予め形成された開口部を有しなくてもよいが、シャフト部分92が外層42Bの材料を伸長させたり突き通したりすることができるように十分に可撓性であってもよい。シャフト部分92が第1層42Bを通って延び、外側で突出した後、ツール80を、手でつかむことができ、1回に1つずつ、それぞれのペグ12で外部表面74に押し付けて、遠位端部95でシャフト部分92の材料を溶融させ、それぞれのペグ12にヘッド部分76を形成する。遠位端部95で提供されたヘッド部分76は、シャフト部分92が延びる対応する開口部60Cの幅W2よりも大きい幅W1を有する。
【0065】
外層42Bは、第1溶融温度を有する第1材料であり、ペグ12、または少なくともペグ12の遠位端部95で溶融してヘッド部分76を形成する材料は、第1溶融温度よりも低い第2溶融温度を有する第2材料である。外層42Bの第1材料の燃焼温度も、ペグ12の第2材料の溶融温度よりも高い。したがって、遠位端部95でペグ12の材料を溶融させてツール80でヘッド部分76を形成することは、ヘッド部分76が外層42Bに接合されても、外層42Bの溶融または燃焼をもたらさない。
【0066】
ヘッド部分76は、外層42Bへの接合の構造的完全性を達成するために、特定の審美性を達成するために、またはこれら両方のために、様々な形状またはテクスチャーを有し得る。たとえば、モールド空洞84およびモールド表面86は、ヘッド部分76の最終形状に影響を及ぼす。円形開口を形成することによって、開口部60Cの全周の周りで溶融材料を接合することが可能になる。開口89は、正方形、三角形、星形のものなどの他の形状を有し得る。モールド空洞およびモールド表面は、概してヘッド部分76の半球状形状を提供する。他の実施形態において、外部表面74から最も遠く離れているヘッド部分76の外表面は、概して、平坦な釘の頭の形状を有するヘッド部分のように平坦であり得る。さらに、モールド表面86は、ヘッド部分76の表面上に形状を生成する突出部または凹部を有し得る。図22は、数字2が反転した形状の凹部または突出部94Aを示し、この凹部または突出部は、ヘッド部分76の表面上に数字2を生成する。図23は、文字Cが反転した形状の凹部または突出部94Bを示し、この凹部または突出部は、ヘッド部分76の表面上に文字Cを生成する。図24は、オブジェクトの形状が星形のものである凹部または突出部94Cを示し、この凹部または突出部は、ヘッド部分76の表面上に星形のものを生成する。図25は、シンボルまたはロゴの形状の凹部または突出部94Dを示し、この凹部または突出部は、ヘッド部分76の表面上にシンボルまたはロゴの形状を生成する。図26は、顔がデザインされた凹部および突出部94Eを示し、この凹部および突出部は、ヘッド部分76の表面上に顔の画像を生成する。図27は、クロスハッチパターンおよびテクスチャーを表現する凹部または突出部94Fを示し、この凹部または突出部は、ヘッド部分76の表面上にクロスハッチパターンおよびテクスチャーを生成する。
【0067】
履物品40の製造方法によって、加熱ツール80は、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクト、デザインのうち少なくとも1つを表現する異なる形状を備えた、かつ/または異なる表面テクスチャーをそれぞれ備えたモールド表面86をそれぞれ有するツールの群から選択され得、その例は、図19および図22図27に示されている。特定の加熱ツールを選択することは、特定の形状または表面テクスチャーを有するヘッド部分76に対するリクエストに応答し得る。選択された加熱ツール80のモールド表面86は、特定の形状または表面テクスチャーを有し得る。その後、選択された加熱ツール80で作製したペグ12の生成されたヘッド部分76は、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクトもしくはデザインのうち少なくとも1つを表現し得る、リクエストされた特定の形状、またはリクエストされた特定の表面テクスチャーを有する。リクエストは、ヘッド部分76の特定のカラーを求めるものでもよく、踵構造体10は、リクエストされた特定のカラーを有する材料で製造されてもよい。さらに、ペグ12が同一である必要はなく、リクエストは、ペグ12のうち1つ以上が他のペグ12のうち1つ以上とは異なる数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクト、デザイン、または異なる表面テクスチャーまたはカラーを表現することを含み得る。
【0068】
いくつかの実施形態において、アッパーは、複数の外層(たとえば、踵構造体10の外向きの層)を有し得、ペグ12は、これらの外層の一部または全部を通って延び得る。たとえば、図28は、別の履物品140の後方部分を示す。履物品140は、複数の外層を含むアッパー142を有する。アッパー142は、内層42Aおよび外層42Bを含む。さらに、アッパー142は、外層42Bに固定された外層42Cを含む。外層42Cは、外層42Bの開口部60Aと整列される開口部160Aも有する。ペグ12Aは、両方の開口部を通って延び、ペグ12Aのヘッド部分76は溶融して、外部表面174Cに配置されたヘッド部分76を形成し、これは、外層42Cの外部表面174Cに当接するように固定され得る(たとえば、それに接合され得る)。同様に、外側64で、ペグ12Cは、外層42Dの開口部160C、ならびに外層42Bの開口部60C(図13参照)を通って延び、よって、ヘッド部分76が外部表面174Dに配置され、外層42Dの外部表面174Dに固定され得る。ペグ12Bのヘッド部分76は、同様に、開口部60Bと整列される外層42Dの開口部160Bで内側62に配置される。対照的に、ペグ12Dのヘッド部分76は、図13と同様に、外層42Bの外部表面174Bに配置され、可能であれば接合され、外層42Dは、ペグ12Dのヘッド部分76の上に延び、これを覆う。外層42Dは、ペグ12Dのヘッド部分76を保護する。その代わりに、ペグ12Dのヘッド部分76は、ソール構造体44の後部によって覆われるように、履物品150のより低いところに配置され得る。いずれの場合でも、ヘッド部分76は、モールド空洞84に起因する半球状形状を有し得るか、別の形状を有し得る。たとえば、ヘッド部分76は、概して、外層52Dまたはソール構造体44の歪曲を最小化するために、平坦な釘の頭のような、平坦な外表面を有し得る。
【0069】
図29を参照して、本明細書の追加的な態様が示されている。追加的な態様は、変形可能要素116から内向きに延びるペグ112A、112Bおよび112Cをさらに含む。したがって、変形可能要素16は、外向きペグ12A、12B、12Cおよび12D、ならびに内向きペグ112A、112Bおよび112Cを含む。ペグ112A、112Bおよび112Cは、アッパー42の内層42Aで適切な開口部内に位置決めされ得、適切なヘッド部分76で形成され得る。ヘッド部分76は、加熱ツール80について前述したものと同一の方式で形成される。
【0070】
本明細書のさらに別の態様は、図30に示されている。この態様は、内向きに面するペグ112A、112Bおよび112Cのみを含む。ペグ112A、112Bおよび112Cは、内層42Aで適切な開口部に受容され、対応するヘッド部分76を有する。再び、ヘッド部分76は、加熱ツール80について前述したものと同一の方式で形成される。
【0071】
図9図11を参照して、変形可能要素16を基部14に連結するための本明細書の態様を説明する。より具体的に、アンカー20をアンカー受容部24に固定するため、アンカー受容部24のピン38は、図11に示したように、アンカー20の開口部36を越えて延びるヘッド部分39を有し得る。したがって、ピン38と開口部36との間の摩擦嵌めに加え、加熱ツール80または類似した加熱ツールを用いて、ペグ12のヘッド部分76と類似した各ピン38のヘッド部分39を溶融させることができ、よって、変形可能要素16のアンカー20は、基部14の各アンカー受容部24内にしっかりと位置決めされる。
【0072】
図31は、本明細書に記載の履物品、たとえば履物品40または履物品140の製造方法のフローチャートであり、製造方法200と呼ばれる。履物品40に関して、製造方法200が説明されている。本方法は、ペグ12およびステム(たとえば、シャフト部分92)を有する踵構造体10などの履物要素を得るステップ201から始まる。踵構造体は、変形可能要素16、および最終的に一緒に取り付けられる基部14を含む。次に、製造方法200は、アッパーの内層と外層との間に変形可能要素16を配置するステップ202に進み得る。たとえば、ステップ202は、アッパー42の内層42Aと外層42Bとの間に踵構造体10の変形可能要素16を配置することによって行われ得る。変形可能要素16が層42A、42Bの間に配置されると、本方法は、ステップ204に進み、内層と外層との間の変形可能要素から外向きに延びるペグを挿入することなどによって、ステム92を、アッパー42の第1層(外層42B)を通って延ばし、第1層から(たとえば、外部表面74で)突出させる。たとえば、踵構造体10のペグ12は、外層42Bで開口部60A、60Bおよび60Cを通って挿入され得る。開口部60A、60Bおよび60C、ならびにペグ12の両方は、第1配置で配置され得る(たとえば、これらは両方とも、同一の相対間隔を有する)。
【0073】
また、製造方法200は、アンカー受容部24のピン38をアンカー20の開口部36に挿入して変形可能要素16を基部14に固定するステップ205を含み得る。
【0074】
さらに、方法200は、踵構造体10の基部14のペグ12Dを外層42Bの開口部60Dに挿入するステップ207を含む。
【0075】
さらに、製造方法200によって、ペグ12のヘッド部分76のカスタマイズが可能になり得る。たとえば、ステップ206において、製造業者は、特定の形状、特定の表面テクスチャーおよび/または特定のカラーを有する1つ以上のヘッド部分を備えた踵支持デバイスに対するリクエストを受信し得る。リクエストは、本明細書で論じるように、踵支持デバイス10のヘッド部分76のうち1つ以上の特定の形状(たとえば、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクト、デザインのうち少なくとも1つを表現する形状)に対するもの、または特定の表面テクスチャーを有するヘッド部分76に対するもの、または特定のカラーを有するヘッド部分76に対するものであり得る。リクエストは、履物品50を購買する消費者から直接受信されてもよく、または履物50を顧客に販売する企業から受信されてもよい。ステップ208において、ステップ206で受信されたリクエストに応答した後、製造業者は、踵支持デバイス10用の特定の加熱ツール80を選択することなどにより、リクエストされた特定の形状または表面テクスチャーを備えたモールド表面を有する特定の加熱ツールを選択し得、特定のカラーがリクエストされる場合には、踵支持デバイスに特定のカラーの材料を使用し得る。
【0076】
ステップ208に続いて、またはステップ206および208がない場合には、ステップ204の直後に、製造方法200は、ステップ210に進み、ここで、ペグ12のヘッド部分76は、外層の外部表面に形成される。たとえば、ステップ210は、サブステップ212によって達成され得、ここで、加熱ツール80を外部表面74でペグ12のそれぞれの遠位端部95に押し付けて、遠位端部95を溶融させることにより、ヘッド部分76を形成する。溶融した端部(たとえば、ヘッド部分76)はまた、溶融時に外層42Bの外部表面74に接合され、これによってペグ12を外層42Bの外部表面74に接合し得る。
【0077】
製造方法200は、内層42Aと外層42Bとの間の開口68を閉鎖することなどによって、ステップ202で踵支持デバイスが挿入される外層と内層との間の開口を閉鎖するステップ214も含み得る。ステップ214は、ステップ202および204の以後に起こり得、ステップ206および208の以前または以後に起こり得る。
【0078】
以下の条項は、本明細書に開示されている履物品、踵構造体、および製造方法の構成例を提供する。
【0079】
条項1.内層および外層を含み、内層の内向きに足受容空洞を画定するアッパーであって、外層は、少なくとも1つの開口部を画定する、アッパーと;硬質基部に取り付けられた変形可能要素を有する踵構造体であって、変形可能要素は、基部に対して非折畳構成と折畳構成との間で移動することができ、変形可能要素は、内層と外層との間に配置され、内層は、変形可能要素と足受容空洞との間に配置される、踵構造体と;変形可能要素および基部のうち少なくとも1つから外向きに延び、外層で開口部を通って延びる少なくとも1つのペグであって、ペグは、アッパーの表面で固定される、少なくとも1つのペグと;を備える、履物品。
【0080】
条項2.外層は、複数の開口部を含み、変形可能要素は、内側部分、外側部分およびヒールピースを含み、第1ペグは、ヒールピースから外向きに延び、外層で各開口部内に位置決めされ、第2ペグは、内側部分から外向きに延び、外層で各開口部内に位置決めされ、第3ペグは、外側部分から外向きに延び、外層で各開口部内に位置決めされ、ペグのそれぞれは、アッパーの表面で固定される、条項1に記載の履物品。
【0081】
条項3.ペグのそれぞれは、シャフト部分と、シャフト部分と単一の一体構成であるヘッド部分と、を含み、シャフト部分は、アッパーの開口部のうち1つを通って延び、ヘッド部分は、アッパーの表面で接合される、条項1または2に記載の履物品。
【0082】
条項4.ヘッド部分は、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクトまたはデザインのうち少なくとも1つを表現する、条項3に記載の履物品。
【0083】
条項5.ペグは、硬質基部の周辺部分から外向きに延びる、条項1に記載の履物品。
【0084】
条項6.変形可能要素は、基部に変形可能要素を取り付ける前に外層と内層との間に配置される、条項1、2または5に記載の履物品。
【0085】
条項7.基部は、基部の内側に位置したアンカー受容部と、基部の外側に位置した別のアンカー受容部と、を含み、アンカー受容部のそれぞれは、少なくとも1つのピンを含み、変形可能要素は、要素の内側に位置したアンカーと、要素の外側に位置したアンカーと、を含み、アンカーのそれぞれは、アンカー受容部の各ピンを受容するための少なくとも1つの開口部を含む、条項1、2、5または6に記載の履物品。
【0086】
条項8.変形可能要素は、基部に変形可能要素を取り付けた後に外層と内層との間に配置される、条項1、2または5に記載の履物品。
【0087】
条項9.外層は、外層の下部縁から延びる複数のタブを含み、タブは、アッパーを硬質基部に固定するのに使用される、条項6または8に記載の履物品。
【0088】
条項10.履物品の製造方法であって、アッパーの内層とアッパーの外層との間に変形可能要素を配置するステップであって、変形可能要素は、外層に向かって外向きに延びる少なくとも1つのペグを含む、ステップと;変形可能要素の少なくとも1つのペグをアッパーの外層を通って挿入し、よって、少なくとも1つのペグが外層を通って延び、外層の外部表面で露出するステップと;変形可能要素を硬質基部に、基部から延びる少なくとも1つのピンを受容する変形可能要素上の少なくとも1つの開口部を利用して取り付けるステップと;外層の外部表面で少なくとも1つのペグを固定するステップと;を含む、製造方法。
【0089】
条項11.少なくとも1つのペグは、複数のペグを含み、アッパーの外層は、複数の開口部を含み、ペグは、第1配置で互いに離隔しており、開口部は、第1配置で互いに離隔しており、よって、開口部は、ペグと整列される、条項10に記載の製造方法。
【0090】
条項12.外層の外部表面で少なくとも1つのペグを固定するステップは、外層の外部表面に少なくとも1つのペグを接合するステップを含む、条項10に記載の製造方法。
【0091】
条項13.外層の外部表面に少なくとも1つのペグを接合するステップは、加熱ツールを外層の外部表面で少なくとも1つのペグの端部に押し付けて、外層の外部表面に当接するように端部を溶融させるステップを含む、条項12に記載の製造方法。
【0092】
条項14.加熱ツールは、外層の外部表面で少なくとも1つのペグのヘッド部分を造形するモールド表面を有し、加熱ツールを押し付けて端部を溶融させるステップは、ヘッドを生成し、製造方法は、数字、文字、シンボル、ロゴ、オブジェクトもしくはデザインのうち少なくとも1つを表現する異なる形状を備えた、または異なる表面テクスチャーを備えたモールド表面をそれぞれ有する加熱ツールの群から加熱ツールを選択するステップをさらに含む、条項13に記載の製造方法。
【0093】
条項15.加熱ツールを選択するステップは、ヘッドの特定の形状または特定の表面テクスチャーに対するリクエストに応答して行われ、選択された加熱ツールのモールド表面は、リクエストされた特定の形状または特定の表面テクスチャーを有する、条項14に記載の製造方法。
【0094】
条項16.アッパーの内層とアッパーの外層との間に変形可能要素を配置するステップは、内層と外層との間の開口を通って行われ、製造方法は、履物要素を内層と外層との間に配置した後、開口を閉鎖するステップをさらに含む、条項10~15のうちいずれか1つに記載の製造方法。
【0095】
条項17.変形可能要素を基部に、基部から延びる少なくとも1つのピンを受容する変形可能要素上の少なくとも1つの開口部を利用して取り付けるステップは、各ピン上で加熱要素を使用して基部への変形可能要素の取り付けを向上させるステップを含む、条項13~15のうちいずれか1つに記載の製造方法。
【0096】
条項18.基部は、基部の周辺から延び、外層を通って延びる1つ以上のペグを有する、条項10~12のうちいずれか1つに記載の製造方法。
【0097】
条項19.ペグおよび開口部は、変形可能部材が非折畳構成にある場合に、変形可能部材に初期バイアスを提供するのに使用される、条項10、11または18に記載の製造方法。
【0098】
条項20.外層は、下部縁から延びる複数のタブを含み、タブは、基部をアッパーに固定するのに使用される、条項10または18に記載の製造方法。
【0099】
様々な実施形態の説明を補助し、明確にするために、本明細書には様々な用語が定義されている。別段に示していない限り、以下の定義は、本明細書の全体(請求項を含む)にわたって適用される。さらに、参照されたすべての参考文献は、その全文が本明細書に組み込まれる。
【0100】
「履物品」、「履物製品」および「履物」は、機械および製品の両方と見なされ得る。組み立て済みですぐに着用可能な履物品(たとえば、靴、サンダル、ブーツなど)、ならびにすぐ着用可能な履物品に最終的に組み立てる前の履物品の別々の構成要素(たとえば、ミッドソール、アウトソール、アッパー構成要素など)は、本明細書において単数形または複数形で「履物品(複数可)」と見なされ、代替的に呼ばれる。
【0101】
単数形(「a」、「an」、「the」)、「少なくとも1つ」および「1つ以上」は、項目のうち少なくとも1つが存在することを示すように相互交換的に使用される。文脈上別段に明示しない限り、当該項目は複数存在し得る。本明細書において、パラメータ(たとえば、量または条件)のすべての数値は、添付の請求項を含む文脈に鑑み、別段に明示的または明確に示していない限り、「約」という用語が実際に数値の前にあるか否かを問わず、「約」によってすべての場合において変更されることであると理解されたい。「約」とは、記述された数値が多少の不正確性(値の正確性への若干の近接、値におおよそあるいは合理的に近似、ほぼ)を許容することを示す。「約」によって提供される不正確性が、このような一般的な意味として当業界で別段に理解されない場合、本明細書で用いられる「約」は、このようなパラメータを測定および使用する通常の方法で生じ得る最小限の変動を示す。説明、および添付の請求項で使用されている値は、記述された値の5パーセントより大きくなく、5パーセントより小さくなければ、記述された値と「ほぼ」等しいと見なされる。また、範囲の開示は、すべての値と当該範囲内のさらに分割された範囲とを具体的に開示するものと理解されたい。
【0102】
「備える(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」という用語は包括的であり、したがって、記述された特徴、ステップ、動作、要素または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素もしくは構成要素の存在または付加を排除しない。ステップ、プロセスおよび動作の手順は、可能な場合変更され得、さらなるまたは代替的ステップが採用され得る。本明細書で用いられる「または」という用語は、リストに挙げられた関連項目の任意の1つおよびすべての組み合わせを含む。「のいずれか」という用語は、参照される項目「のうちいずれか1つ」を含む、参照される項目の任意の可能な組み合わせを含むものと理解される。「のいずれか」という用語は、参照される請求項「のうちいずれか1つ」を含む、添付の請求項のうち参照される請求項の任意の可能な組み合わせを含むものと理解される。
【0103】
一貫性および便宜のために、図示の実施形態に対応する本詳細な説明全体に、方向の形容詞が採用され得る。当業者なら、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「上端」、「下端」などのような用語は、請求項によって定義されているように、本発明の範囲に対する限定を表すことなく、図面に関する説明として使用され得ることが認識されよう。
【0104】
「長手方向」という用語は、構成要素の長さを延ばす方向を指す。たとえば、靴の長手方向は、靴の前足部領域と踵領域との間で延びる。「前方」または「前」という用語は、踵領域から前足部領域への一般的な方向を指すために用いられ、「後方」または「後」という用語は、逆方向、すなわち前足部領域から踵領域への方向を指すために用いられる。場合によって、構成要素は長手方向軸だけでなく、その軸に沿う前後方の長手方向として識別され得る。長手方向または長手方向軸は、前後方向または前後方向軸と呼ばれ得る。
【0105】
「横方向」という用語は、構成要素の幅を延ばす方向を指す。たとえば、靴の横方向は、靴の外側と内側との間で延びる。横方向または横方向軸は、左右方向もしくは左右方向軸、または内外側方向もしくは内外側方向軸とも呼ばれ得る。
【0106】
「垂直」という用語は、一般的に左右方向および長手方向の両方に垂直な方向を指す。たとえば、ソールが地表面に平坦に装着された場合に、垂直方向は地表面から上方に延び得る。これらの方向の形容詞はそれぞれ、ソールの個々の構成要素に適用され得ることが理解されよう。「上方」または「上方に」という用語は、構成要素の上端に向かう垂直方向を指し、靴の甲、締結領域、および/またはアッパーのスロートを含み得る。「下方」または「下方に」という用語は、構成要素の下端に向かう、上方向とは反対の垂直方向を指し、一般的に履物品のソール構造体の下端を指し得る。
【0107】
靴などの履物品の「内部」は、靴を着用したときに着用者の足が占める空間の部分を指す。構成要素の「内側」は、組み立てられた履物品において構成要素または履物品の内部に向かって配向された(または配向される)構成要素の側面または表面を指す。構成要素の「外側」または「外部」は、組み立てられた靴において靴の内部から離れるように配向された(または配向される)構成要素の側面または表面を指す。場合によって、他の構成要素は、構成要素の内側と、組み立てられた履物品における内部との間にあり得る。同様に、他の構成要素は、構成要素の外側と、組み立てられた履物品の外部の空間との間にあり得る。また、「内向き」および「内向きに」という用語は、靴などの履物品または構成要素の内部へ向かう方向を指し、「外向き」および「外向きに」という用語は、靴などの履物品または構成要素の外部へ向かう方向を指す。また、「近位」という用語は、履物の構成要素の中央により近い方向を指すか、または利用者が履物品を着用することによって足が履物品に挿入されるときに足に向かってより近い方向を指す。同様に、「遠位」という用語は、履物の構成要素の中央から遠く離れている相対的位置を指すか、または利用者が履物品を着用することによって足が履物品に挿入されるときに足からより遠く離れている方向を指す。したがって、近位および遠位という用語は、一般的に反対の用語を提供して相対的空間位置を説明するためのものであると理解されよう。
【0108】
様々な実施形態が説明されているが、説明は、限定ではなく例示のためのものであり、当業者にとっては、実施形態の範囲内にある、より多くの実施形態および実装例が可能であるということが明らかとなるであろう。任意の実施形態の任意の特徴は、具体的に制限されない限り、任意の他の実施形態において任意の他の特徴または要素と組み合わせられて使用されるか、それらに代替され得る。したがって、実施形態は、添付の請求項およびその均等物を考慮する場合を除いて、制限されてはならない。また、添付の特許請求の範囲内で様々な修正および変更を行うことができる。
【0109】
本教示の多くの態様を実行するためのいくつかのモードが詳細に説明されているが、このような教示に関連した技術に精通している者は、添付の特許請求の範囲内にある本教示を実施するための様々な代替的態様を認識するであろう。上述した説明に含まれるか、または添付の図面に示したすべての事項は、代替的実施形態のすべての範囲を説明および例示するものと解釈されるべきであり、当業者は、明示的に図示されたものおよび/または説明された実施形態のみに限定されるものではなく、含まれた内容によって暗示されたり、それに構造的かつ/または機能的に同等であったり、そうでなければそれに基づいて明らかとなったりするものとして認識するであろうということが意図される。
図1
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【国際調査報告】