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特表2022-516483抗ヒトインターロイキン-4受容体αのモノクローナル抗体およびその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】抗ヒトインターロイキン-4受容体αのモノクローナル抗体およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220218BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220218BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220218BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220218BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220218BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20220218BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220218BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20220218BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K16/28
C12P21/08
A61K39/395 N
A61K39/395 J
A61P17/00
A61P11/06
A61P11/02
A61P19/02
A61P31/22
A61P13/08
A61P11/00
A61P37/08
A61P43/00 111
A61P29/00
A61P1/04
A61P17/06
A61P7/00
A61P37/02
A61P7/06
A61P27/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537939
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(85)【翻訳文提出日】2021-06-25
(86)【国際出願番号】 CN2019128156
(87)【国際公開番号】W WO2020135471
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】201811592427.X
(32)【優先日】2018-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520451681
【氏名又は名称】江蘇▲筌▼信生物医薬股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】QYUNS THERAPEUTICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 1310,Building 1,No.907 Yaocheng Avenue,Taizhou,Jiangsu,225300,China
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(74)【代理人】
【識別番号】100125081
【弁理士】
【氏名又は名称】小合 宗一
(72)【発明者】
【氏名】裘 霽宛
(72)【発明者】
【氏名】陳 衛
(72)【発明者】
【氏名】裘 之華
(72)【発明者】
【氏名】橋 懐耀
(72)【発明者】
【氏名】呉 亦亮
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB36
4C085DD23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、抗ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)の抗体およびフラグメント、並びにそれらの使用を提供する。前記抗体及びフラグメントは好ましくは、配列番号1~3または14~16に示される重鎖相補性決定領域および配列番号4~6または17~19に示される軽鎖相補性決定領域を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトIL-4Rα(hIL-4Rα)に結合することができる抗体またはそのフラグメントであって、ヒトIL-4Rα(hIL-4Rα)のループ2に有意に結合することができ、特にhIL-4Rαのループ2におけるL42、L43、S44、及びE45に有意に結合することができる、抗体またはそのフラグメント。
【請求項2】
前記抗体またはそのフラグメントは、ヒトIL-4Rα(hIL-4Rα)のループ3に有意に結合せず、特にhIL-4Rαのループ3におけるM65、D66、D67、V68、V69、S70、A71、D72、およびN73に有意に結合しない、請求項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項3】
前記抗体またはそのフラグメントは、ヒトIL-4Rαに結合するレベルの90%以上でマーモセットIL-4Rαに結合する、請求項1または2に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項4】
a)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の組換え抗体またはそのフラグメント;または
b)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の単離されたモノクローナル抗体
である抗体またはそのフラグメントであって、a)とb)において、CDR-H1のアミノ酸配列は配列番号1に示され、CDR-H2のアミノ酸配列は配列番号2に示され、CDR-H3のアミノ酸配列は配列番号3に示され、CDR-L1のアミノ酸配列は配列番号4に示され、CDR-L2のアミノ酸配列は配列番号5に示され、CDR-L3のアミノ酸配列は配列番号6に示される、抗体またはそのフラグメント。
【請求項5】
前記抗体またはそのフラグメントは、前記単離されたモノクローナル抗体である、
請求項4に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項6】
前記単離されたモノクローナル抗体が重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号7に示され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号8に示される、請求項5に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項7】
前記抗体またはそのフラグメントは、前記組換え抗体またはそのフラグメントである、請求項4に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項8】
前記組換え抗体またはそのフラグメントはヒト化されている、請求項7に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項9】
前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項8に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項10】
前記組換え抗体またはそのフラグメントはIgG4抗体である、請求項9に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項11】
前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号10に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号11に示される軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体である、請求項9に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項12】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項11に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項13】
a)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の組換え抗体またはそのフラグメント;または
b)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の単離されたモノクローナル抗体
である抗体またはそのフラグメントであって、a)とb)において、CDR-H1のアミノ酸配列は配列番号14に示され、CDR-H2のアミノ酸配列は配列番号15に示され、CDR-H3のアミノ酸配列は配列番号16に示され、CDR-L1のアミノ酸配列は配列番号17に示され、CDR-L2のアミノ酸配列は配列番号18に示され、CDR-L3のアミノ酸配列は配列番号19に示される、抗体またはそのフラグメント。
【請求項14】
前記抗体またはそのフラグメントは、前記単離されたモノクローナル抗体である、
請求項13に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項15】
前記単離されたモノクローナル抗体が重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号12に示され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号13に示される、請求項14に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項16】
前記抗体またはそのフラグメントは、前記組換え抗体またはそのフラグメントである、請求項13に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項17】
前記組換え抗体またはそのフラグメントはヒト化されている、請求項16に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項18】
前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項17に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項19】
前記組換え抗体またはそのフラグメントはIgG4抗体である、請求項18に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項20】
前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号20に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号21に示される軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体である、請求項17に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項21】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項20に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項22】
請求項1~11及び13~20のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントをコードする、単離された核酸。
【請求項23】
請求項22に記載の単離された核酸を含む、宿主細胞。
【請求項24】
請求項5、6、14または15のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体をコードする核酸を宿主細胞において発現するステップを含む、モノクローナル抗体を産生する方法。
【請求項25】
前記宿主細胞がCHOまたはHEK293である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記抗体またはそのフラグメントをコードする核酸を発現するステップを含む、請求項1~4、7~13、及び16~21のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントを産生する方法。
【請求項27】
前記宿主細胞がCHOまたはHEK293である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項24または25に記載の方法によって産生される抗体またはそのフラグメント。
【請求項29】
請求項26または27に記載の方法によって産生される抗体またはそのフラグメント。
【請求項30】
請求項1~21、28及び29のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメント、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項31】
有効量の請求項1~21、28及び29のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントを、それを必要とするヒト患者に投与するステップを含む、IL-4またはIL-4/IL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療する方法。
【請求項32】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎、遺伝性アレルギー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕 、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(軽度、中等度、および重度の喘息を含む)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患を含む)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記疾患がアトピー性皮膚炎である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記疾患が喘息である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
IL-4またはIL-4/IL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療するための、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎、遺伝性アレルギー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕 、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(軽度、中等度、および重度の喘息を含む)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患を含む)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれる、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる、請求項36に記載の医薬組成物。
【請求項39】
IL-4および/またはIL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療するための医薬の調製における、請求項1~21、28及び29のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントの使用。
【請求項40】
前記疾患が、アトピー性皮膚炎、遺伝性アレルギー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕 、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(軽度、中等度、および重度の喘息を含む)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患を含む)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれる、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
前記疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる、請求項39に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗体医薬の分野に関する。具体的には、本発明は、抗ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)の抗体およびそのフラグメント(モノクローナル抗体を含む)並びにそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトインターロイキン-4受容体α(ヒトIL-4Rα、またはhIL-4Rα)サブユニットは、IL-4に高い親和性で結合する140kDのI型膜貫通タンパク質である。それに結合した後、IL-4は共通γ鎖(IL-2などの多くのサイトカインの共通の受容体サブユニット)をリクルートしてIL-4のI型受容体を構成するか、IL-13Rα1をリクルートしてIL-4のII型受容体(この受容体、IL-13に結合してその生物学的効果を媒介することができる)を構成することによって、シグナルを伝達するため、IL-4Rαは、IL-4、IL-13の生物学的活性を媒介することができる。I型受容体は造血細胞で優勢であり、II型受容体は造血細胞と非造血細胞の両方で発現する。IL-4及びIL-13がI/II型受容体を介して、複数の細胞(例えば、T細胞、B細胞、好酸球、肥満細胞、好塩基球、気道平滑筋細胞、気道上皮細胞、肺線維芽細胞、及び内皮細胞など)のエフェクター機能を活性化することは、インビトロ研究で示されている。IL-4は、ナイーブTh細胞(ヘルパーT細胞)のTh2への分化と発達を促進する重要なサイトカインであり、B細胞によるCD23及びMHC II(主要組織適合遺伝子複合体)の発現、細胞活性化、及びIgEの分泌を促進でき、B細胞、肥満細胞などによるIgE受容体発現のアップレギュレーションを促進でき、それらの反応性を高めることができる。同時に、血管内皮細胞からの血管細胞接着分子1(VCAM-1)の放出を促進し、さらにT細胞、単球、好酸球/好塩基球の炎症部位への移行を誘導する。
【0003】
IL-4とIL-4受容体複合体及びIL-4受容体活性のモジュレーターは、Paul,Cytokine 75(1):3-7,2015;Oh et al., Eur. Respir. Rev. 19(115):48-54,2010;およびJunttila,Frontiers in Immunology 9:888,2018に記載されている。
【0004】
IL-4受容体阻害剤およびIL-4受容体阻害剤の標的となる疾患を説明するための特許出版物は、米国特許US5,714,146、US7,872,113、US8,679,487、US8,877,189およびUS8,980,273;米国特許公開US2019/0177408;欧州特許公開EP2791169;および国際特許公開WO9414975;WO200162287;WO2005047331;WO2007085815;WO2008054606;WO2008076784;WO2009081201;WO2009114828;WO2009121847;WO2009124090;WO2010070346;WO2014031610;WO2014165771;WO2014197470;WO2014205365;WO2015006571;WO2015127229;WO2015130975;WO2016077675;WO2017211319;WO2018045130;WO2018057776; WO2018102597およびWO2019028367を含む。
【発明の概要】
【0005】
IL-4は、アトピー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(軽度、中等度、および重度の喘息など)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(炎症性腸疾患など)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、遺伝性アレルギー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、線維症、および腎臓病など、IL-4及び/またはIL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患の発生と発達において重要な役割を果たす。IL-4と同様に、IL-13はアレルギー性疾患の病理学的プロセスと密接に関連しており、杯細胞の過形成、B細胞から放出される抗体の種類のIgEへの変換、ケモカイン放出の誘導、そして好酸球の走化性を促進し、上皮細胞の線維化と気道の高い反応性を引き起こすことができる。
【0006】
サノフィ(Sanofi)などの企業が研究開発したhIL-4Rαを標的とするモノクローナル抗体薬であるデュピルマブ(商品名Dupixent(R))は、アトピー性皮膚炎の治療薬として米国FDAから承認されている。
【0007】
第一の方面では、本発明は、新しい抗ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)のモノクローナル抗体、当該モノクローナル抗体を含む医薬組成物、および当該モノクローナル抗体の製薬用途を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の第二の方面は、配列番号1~3または14~16に示される重鎖相補性決定領域、及び配列番号4~6または17~19に示される軽鎖相補性決定領域を有する、抗hIL-4Rαの抗体またはそのフラグメントに係る。異なる実施形態は、前記抗体またはそのフラグメントをコードする核酸、前記抗体またはそのフラグメントを調製する方法、前記抗体またはそのフラグメントを使用する治療方法、前記抗体またはそのフラグメントを含む医薬組成物、前記抗体またはそのフラグメントの製薬用途、及び、前記抗体またはそのフラグメントを含む医薬の調製を含む。
【0009】
すなわち、本発明は下記を含む:
1.ヒトIL-4Rα(hIL-4Rα)に結合することができる抗体またはそのフラグメントであって、ヒトIL-4Rα(hIL-4Rα)のループ2に有意に結合することができ、特にhIL-4Rαのループ2におけるL42、L43、S44、及びE45に有意に結合することができる、抗体またはそのフラグメント。
2.前記抗体またはそのフラグメントは、ヒトIL-4Rα(hIL-4Rα)のループ3に有意に結合せず、特にhIL-4Rαのループ3におけるM65、D66、D67、V68、V69、S70、A71、D72、およびN73に有意に結合しない、項1に記載の抗体またはそのフラグメント。
3.前記抗体またはそのフラグメントは、ヒトIL-4Rαに結合するレベルの90%以上でマーモセットIL-4Rαに結合する、項1または2に記載の抗体またはそのフラグメント。
4.a)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の組換え抗体またはそのフラグメント;または
b)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の単離されたモノクローナル抗体
である抗体またはそのフラグメントであって、a)とb)において、CDR-H1のアミノ酸配列は配列番号1に示され、CDR-H2のアミノ酸配列は配列番号2に示され、CDR-H3のアミノ酸配列は配列番号3に示され、CDR-L1のアミノ酸配列は配列番号4に示され、CDR-L2のアミノ酸配列は配列番号5に示され、CDR-L3のアミノ酸配列は配列番号6に示される、抗体またはそのフラグメント。
5.前記抗体またはそのフラグメントは、前記単離されたモノクローナル抗体である、
項4に記載の抗体またはそのフラグメント。
6.前記単離されたモノクローナル抗体が重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号7に示され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号8に示される、項5に記載の抗体またはそのフラグメント。
7.前記抗体またはそのフラグメントは、前記組換え抗体またはそのフラグメントである、項4に記載の抗体またはそのフラグメント。
8.前記組換え抗体またはそのフラグメントはヒト化されている、項7に記載の抗体またはそのフラグメント。
9.前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、項8に記載の抗体またはそのフラグメント。
10.前記組換え抗体またはそのフラグメントはIgG4抗体である、項9に記載の抗体またはそのフラグメント。
11.前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号10に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号11に示される軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体である、項9に記載の抗体またはそのフラグメント。
12.前記抗体がモノクローナル抗体である、項11に記載の抗体またはそのフラグメント。
13.a)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の組換え抗体またはそのフラグメント;または
b)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の単離されたモノクローナル抗体
である抗体またはそのフラグメントであって、a)とb)において、CDR-H1のアミノ酸配列は配列番号14に示され、CDR-H2のアミノ酸配列は配列番号15に示され、CDR-H3のアミノ酸配列は配列番号16に示され、CDR-L1のアミノ酸配列は配列番号17に示され、CDR-L2のアミノ酸配列は配列番号18に示され、CDR-L3のアミノ酸配列は配列番号19に示される、抗体またはそのフラグメント。
14.前記抗体またはそのフラグメントは、前記単離されたモノクローナル抗体である、項13に記載の抗体またはそのフラグメント。
15.前記単離されたモノクローナル抗体が重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号12に示され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号13に示される、項14に記載の抗体またはそのフラグメント。
16.前記抗体またはそのフラグメントは、前記組換え抗体またはそのフラグメントである、項13に記載の抗体またはそのフラグメント。
17.前記組換え抗体またはそのフラグメントはヒト化されている、項16に記載の抗体またはそのフラグメント。
18.前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、項17に記載の抗体またはそのフラグメント。
19.前記組換え抗体またはそのフラグメントはIgG4抗体である、項18に記載の抗体またはそのフラグメント。
20.前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号20に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号21に示される軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体である、項17に記載の抗体またはそのフラグメント。
21.前記抗体がモノクローナル抗体である、項20に記載の抗体またはそのフラグメント。
22.項1~11及び13~20のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントをコードする、単離された核酸。
23.項22に記載の単離された核酸を含む、宿主細胞。
前記核酸はベクター上に存在することができる。ベクターは、任意のタイプ、例えば、発現ベクターなどの組換えベクターであってもよい。複数の宿主細胞のいずれかを使用できる。一実施形態では、宿主細胞は、原核細胞、例えば、大腸菌である。別の実施形態では、宿主細胞は真核細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞である。
24.項5、6、14または15のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体をコードする核酸を宿主細胞において発現するステップを含む、モノクローナル抗体を産生する方法。
25.前記宿主細胞がCHOまたはHEK293である、項24に記載の方法。
26.前記抗体またはそのフラグメントをコードする核酸を発現するステップを含む、項1~4、7~13、及び16~21のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントを産生する方法。
27.前記宿主細胞がCHOまたはHEK293である、項26に記載の方法。
上記の方法は、モノクローナル抗体を産生するための、適切な宿主細胞において抗ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)のモノクローナル抗体またはそのフラグメントをコードする組換え発現ベクターを含む。特定の実施形態において、この方法は、抗ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)のモノクローナル抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を培養してその核酸を発現させることを含む。この方法は、宿主細胞培養物または宿主細胞培地から抗ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)のモノクローナル抗体を回収することをさらに含むことができる。
28.項24または25に記載の方法によって産生される抗体またはそのフラグメント。
29.項26または27に記載の方法によって産生される抗体またはそのフラグメント。
30.項1~21、28及び29のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメント、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
この医薬組成物は、別の治療剤(例えば、ヒトインターロイキン4受容体αに対する別の抗体(hIL-4Rα)をさらに含むことができる。
31.有効量の項1~21、28及び29のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントを、それを必要とするヒト患者に投与するステップを含む、IL-4またはIL-4/IL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療する方法。
32.前記疾患が、アトピー性皮膚炎、遺伝性アレルギー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(例えば軽度、中等度、および重度の喘息)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(例えば潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれる、項31に記載の方法。
33.前記疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる、項31に記載の方法。
34.前記疾患がアトピー性皮膚炎である、項32に記載の方法。
35.前記疾患が喘息である、項32に記載の方法。
36.IL-4またはIL-4/IL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療するための、項30に記載の医薬組成物。
37.前記疾患が、アトピー性皮膚炎、遺伝性アレルギー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕 、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(例えば軽度、中等度、および重度の喘息)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(例えば潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれる、項36に記載の医薬組成物。
38.前記疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる、項36に記載の医薬組成物。
39.IL-4および/またはIL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療するための医薬の調製における、項1~21、28及び29のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントの使用。
40.前記疾患が、アトピー性皮膚炎、遺伝性アレルギー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕 、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(例えば軽度、中等度、および重度の喘息)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(例えば潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれる、項39に記載の使用。
41.前記疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる、項39に記載の使用。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、抗ヒトインターロイキン-4受容体α(hIL-4Rα)の抗体またはそのフラグメント(新しいモノクローナル抗体を含む)を提供する。以下の実施例における新しいモノクローナル抗体によって例示的に説明されるように、その抗体またはそのフラグメントは、高い親和性でhIL-4Rαに結合し、IL-4及び/またはIL-13によって媒介されるシグナル伝達及び生物学的効果を阻害する。抗体およびそのフラグメントの使用は、IL-4及び/またはIL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患の病理学的発達を効果的に阻害することを含む。したがって、その抗体およびそのフラグメントは、有効な予防的及び治療的価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、QX005N一過性発現プラスミドを構築した核酸電気泳動の結果を示す図である。図1(A)は、QX005N(PD2-31)の核酸電気泳動の結果を示す図である。その中で、M:Marker(マーカー);レーン1:pHZDCH、HindIII/NheI;レーン2:pUC57-2VH-Hu1、HindIII/NheI;レーン3:pHZDCK、HindIII/BsiWI;およびレーン4:PCR産物2VK-pd18、HindIII/BsiWI。図1(B)は、QX005N(HZD82-12)の核酸電気泳動の結果を示す図である。その中で、M:マーカー;レーン1:pHZDCH、HindIII/NheI;レーン2:PCR産物82VH-Hu3、HindIII/NheI;レーン3:pHZDCK、HindIII/BsiWI;およびレーン4:pUC57-82VK-Hu1、HindIII/BsiWI。
図2図2は、一過性発現のフローチャートである。
図3-1】図3は、タンパク質電気泳動の結果を示す図である。図3(A)は、QX005N(PD2-31)の電気泳動の結果を示す図であり、図3(B)は、QX005N(HZD82-12)の電気泳動の結果を示す図である。
図3-2】図3は、タンパク質電気泳動の結果を示す図である。図3(A)は、QX005N(PD2-31)の電気泳動の結果を示す図であり、図3(B)は、QX005N(HZD82-12)の電気泳動の結果を示す図である。
図4-1】図4は、QX005Nが、IL-4またはIL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害することを示す図である。図4(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図である。
図4-2】図4は、QX005Nが、IL-4またはIL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害することを示す図である。図4(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図である。
図4-3】図4は、QX005Nが、IL-4またはIL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害することを示す図である。図4(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図である。
図4-4】図4は、QX005Nが、IL-4またはIL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害することを示す図である。図4(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図であり、図4(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発された、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞におけるSTAT6リン酸化活性を阻害した結果を示す図である。
図5-1】図5は、QX005Nが、A549細胞における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害することを示す図である。図5(A)は、PD2-31が、A549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(B)は、HZD82-12が、A549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(C)は、PD2-31が、A549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(D)は、HZD82-12が、A549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図である。
図5-2】図5は、QX005Nが、A549細胞における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害することを示す図である。図5(A)は、PD2-31が、A549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(B)は、HZD82-12が、A549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(C)は、PD2-31が、A549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(D)は、HZD82-12が、A549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図である。
図5-3】図5は、QX005Nが、A549細胞における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害することを示す図である。図5(A)は、PD2-31が、A549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(B)は、HZD82-12が、A549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(C)は、PD2-31が、A549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(D)は、HZD82-12が、A549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図である。
図5-4】図5は、QX005Nが、A549細胞における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害することを示す図である。図5(A)は、PD2-31が、A549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(B)は、HZD82-12が、A549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(C)は、PD2-31が、A549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図5(D)は、HZD82-12が、A549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図である。
図6-1】図6は、QX005Nが、IL-4またはIL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害することを示す図である。図6(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図である。
図6-2】図6は、QX005Nが、IL-4またはIL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害することを示す図である。図6(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図である。
図6-3】図6は、QX005Nが、IL-4またはIL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害することを示す図である。図6(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図である。
図6-4】図6は、QX005Nが、IL-4またはIL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害することを示す図である。図6(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図であり、図6(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖活性を阻害した結果を示す図である。
図7-1】図7は、QX005Nが、HFL-1細胞における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害することを示す図である。図7(A)は、PD2-31が、HFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(B)は、HZD82-12が、HFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(C)は、PD2-31が、HFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(D)は、HZD82-12が、HFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図である。
図7-2】図7は、QX005Nが、HFL-1細胞における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害することを示す図である。図7(A)は、PD2-31が、HFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(B)は、HZD82-12が、HFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(C)は、PD2-31が、HFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(D)は、HZD82-12が、HFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図である。
図7-3】図7は、QX005Nが、HFL-1細胞における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害することを示す図である。図7(A)は、PD2-31が、HFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(B)は、HZD82-12が、HFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(C)は、PD2-31が、HFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(D)は、HZD82-12が、HFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図である。
図7-4】図7は、QX005Nが、HFL-1細胞における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害することを示す図である。図7(A)は、PD2-31が、HFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(B)は、HZD82-12が、HFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(C)は、PD2-31が、HFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図であり、図7(D)は、HZD82-12が、HFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害した結果を示す図である。
図8-1】図8は、QX002Nが、末梢血単核球(PBMC)における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCD23発現活性を阻害することを示す図である。図8(A)は、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCD23発現活性を阻害した結果を示す図であり、図8(B)は、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCD23発現活性を阻害した結果を示す図であり、図中のDupは、デュピルマブ(Dupilumab)を表す。
図8-2】図8は、QX002Nが、末梢血単核球(PBMC)における、IL-4またはIL-13によって誘発されたCD23発現活性を阻害することを示す図である。図8(A)は、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCD23発現活性を阻害した結果を示す図であり、図8(B)は、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCD23発現活性を阻害した結果を示す図であり、図中のDupは、デュピルマブ(Dupilumab)を表す。
図9-1】図9は、QX005Nが、PBMCにおける、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害することを示す図である。図9(A)は、PD2-31が、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(B)は、HZD82-12が、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(C)は、PD2-31が、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(D)は、HZD82-12が、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図である。
図9-2】図9は、QX005Nが、PBMCにおける、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害することを示す図である。図9(A)は、PD2-31が、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(B)は、HZD82-12が、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(C)は、PD2-31が、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(D)は、HZD82-12が、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図である。
図9-3】図9は、QX005Nが、PBMCにおける、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害することを示す図である。図9(A)は、PD2-31が、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(B)は、HZD82-12が、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(C)は、PD2-31が、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(D)は、HZD82-12が、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図である。
図9-4】図9は、QX005Nが、PBMCにおける、IL-4またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害することを示す図である。図9(A)は、PD2-31が、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(B)は、HZD82-12が、PBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(C)は、PD2-31が、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図であり、図9(D)は、HZD82-12が、PBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害した結果を示す図である。
図10-1】図10は、ヒトとマーモセットのIL-4Rαのアラインメント結果、及びヒトIL-4Rαのループ領域を示す図である。図10(A)は、ヒトとマーモセットのIL-4Rαのアラインメント結果を示す図である。
図10-2】図10は、ヒトとマーモセットのIL-4Rαのアラインメント結果、及びヒトIL-4Rαのループ領域を示す図である。図10(B)は、ヒトIL-4Rαのループ領域を示す図である。
【発明の詳細】
【0012】
本出願は、hIL-4Rαに高い親和性で結合し、IL-4および/またはIL-13によって媒介されるシグナル伝達および生物学的効果を阻害する抗体およびそのフラグメントを提供する。例示される2つの抗体は、PD2-31およびHZD82-12である。実施例には、デュピルマブと比較したPD2-31の1つまたは複数の利点を例示的に説明するデータも含まれている。デュピルマブは、hIL-4Rαを標的とする臨床的に承認されたモノクローナル抗体である。提供されたデータにより、デュピルマブとは異なるエピトープに結合するPD2-31は、異なるアッセイでIL-4/IL-13シグナル伝達を阻害するのによりよい活性を有し、かつマーモセットIL-4Rαに結合することを示している。また、PD2-31はデュピルマブと比較して異なるエピトープに結合し、さらに、デュピルマブのKが強いが、異なるアッセイでは活性が低いことから、PD2-31の阻害活性がデュピルマブと比較して追加の阻害成分を持っている可能性があることは示されており、これも追加の利点を提供することができる。
【0013】
本明細書に記載されている科学技術用語は、当業者が一般に理解している用語と同じ意味を有するが、矛盾する場合には、本明細書の定義に準ずる。
【0014】
一般的にいえば、本明細書で使用されている用語は、以下の意味を有する。
【0015】
本明細書において、「単離された」抗体とは、その自然環境の成分から分離された抗体をいう。ある一部の実施形態では、抗体を95%または99%を超える純度に精製し、前記純度は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE等電集束(IEF)、毛細管電気泳動)またはクロマトグラフィー(例えば、イオン交換または逆相HPLC)によって確定される。抗体の純度を評価する方法について、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B848:79-87(2007)を参照されたい。
【0016】
本明細書において、「モノクローナル抗体」とは、実質的に相同な抗体の群から得られた抗体のことであり、すなわち、一般に微量で存在する可能な変異体抗体(例えば、自然に存在する突然変異またはモノクローナル抗体の製品の製造過程において発生する)を除き、該群を構成する各抗体は同一であり、および/または同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を含む典型的なポリクローナル抗体製品と違って、モノクローナル抗体製品における各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対する。よって、修飾語「モノクローナル」とは、前記抗体が実質的に相同な抗体群から得られるという特徴を示し、いずれか特定の方法で前記抗体を調製する必要のあると解釈すべきではない。例えば、本発明のモノクローナル抗体は複数の技術によって製造することができ、前記技術は、ハイブリドーマ法、組み換えDNA法、ファージディスプレイ法、およびヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部または一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むが、これらに限られていない。本文は、このような方法、およびモノクローナル抗体を調製するその他の例示的な方法を記載している。
【0017】
本明細書において、「親和性」とは、分子(例えば、抗体)の単一結合サイトとその結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。別途説明する場合を除き、本明細書で使用されている「結合親和性」とは、結合対(例えば、抗体と抗原)のメンバー間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。パートナーYに対する分子Xの親和性は、一般的に平衡解離定数(KD)で表すことができる。親和性は、本分野で既知の常用方法によって測定することができる。
【0018】
本明細書において、ヒトインターロイキン-4受容体α(Human interleukin 4 receptor α、hIL-4Rα、IL-4Rαと略記することもある)は、ヒト由来タンパク質を表し、その細胞外ドメインは、配列番号9に示されるアミノ酸配列を有し、下線部分は、シグナルペプチドを表す。
SEQ ID NO:9:
MGWLCSGLLFPVSCLVLLQVASSGNMKVLQEPTCVSDYMSISTCEWKMNGPTNCSTELRLLYQLVFLLSEAHTCIPENNGGAGCVCHLLMDDVVSADNYTLDLWAGQQLLWKGSFKPSEHVKPRAPGNLTVHTNVSDTLLLTWSNPYPPDNYLYNHLTYAVNIWSENDPADFRIYNVTYLEPSLRIAASTLKSGISYRARVRAWAQCYNTTWSEWSPSTKWHNSYREPFEQH
【0019】
本明細書において、「抗ヒトインターロイキン-4受容体αのモノクローナル抗体」とは、ヒトインターロイキン-4受容体αを標的とする診断薬および/または治療薬として使用できるように、十分な親和性でヒトインターロイキン-4受容体αに結合できるモノクローナル抗体を意味する。
【0020】
一部の実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、hIL-4Rαのループ2におけるL42、L43、S44、及びE45に有意に結合する。本明細書において、1つまたは複数のアミノ酸の有意な結合は、平衡解離定数(K)値の変化倍率によって示される。1つのアミノ酸が変異している場合、または複数のアミノ酸が変異している場合、そのような変異タンパク質に結合する抗体のKは、そのようなアミノ酸またはそれらのアミノ酸変異がないタンパク質よりも10倍高くなり(つまり、倍率変化は10を超える)、これは、抗体の結合活性がこの部位の変異またはこれらの部位の変異によって有意に変化されることを意味し、抗体の結合活性が有意に変化したことを示し、抗体がこれらのアミノ酸に有意に結合することを意味する。
【0021】
一部の実施形態では、抗体またはそのフラグメントは、ヒトIL-4Rα(hIL-4Rα)のループ3に有意に結合せず、特に、hIL-4Rαのループ3におけるM65、D66、D67、V68、V69、S70、A71、D72およびN73に有意に結合しない。本明細書では、1つのアミノ酸または複数のアミノ酸に有意に結合しないことは、平衡解離定数(K)の値の変化倍率によって示される。1つのアミノ酸が変異している場合、または複数のアミノ酸が変異している場合、そのような変異タンパク質に結合する抗体のKは、そのようなアミノ酸またはそれらのアミノ酸変異がないタンパク質のKの10倍未満である場合(つまり、倍数変化は1から10未満)、これは、抗体の結合活性がこの部位の変異またはこれらの部位の変異によって低下させられないことを意味し、これらの変異部位は抗体のエピトープではなく、抗体がこれらのアミノ酸に有意に結合しないことを意味する。
【0022】
本明細書では、平衡解離定数(K)の上記の値は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって決定される。
【0023】
本明細書において、「エピトープ」という用語は、抗体によって認識され得る抗原の一部を指す。
【0024】
実施例に例示的に説明されるように、PD2-31の生物学的活性はデュピルマブより優れている。生物学的活性は、例えば、細胞におけるIL-4および/またはIL-13によって誘発されたSTAT6リン酸化活性の阻害、A549細胞及びPBMCにおけるIL-4および/またはIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性の阻害、IL-4および/またはIL-13によって誘発された細胞増殖活性の阻害、細胞におけるIL-4および/またはIL-13によって誘発されたCCL-11放出活性の阻害である。
【0025】
一実施形態では、本発明の抗ヒトインターロイキン-4受容体α(IL-4Rα)のモノクローナル抗体の重鎖アミノ酸配列は、配列番号10に示され、軽鎖アミノ酸配列は、配列番号11に示される。
【0026】
別の一実施形態では、本発明の抗ヒトインターロイキン-4受容体α(IL-4Rα)のモノクローナル抗体の重鎖アミノ酸配列は、配列番号20に示され、軽鎖アミノ酸配列は、配列番号21に示される。
【0027】
配列番号10と11、及び20と21はいずれもヒト化された配列である。
【0028】
本明細書において、「単離された」核酸とは、その自然環境の成分から分離された核酸分子を意味する。単離された核酸は、通常は核酸分子を含む細胞に含まれる核酸分子を含むが、前記核酸分子は、染色体外、またはその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0029】
本明細書において、「抗ヒトインターロイキン-4受容体αモノクローナル抗体をコードする単離された核酸」とは、抗体の重鎖および軽鎖をコードする1つまたは複数の核酸分子を意味し、単一のベクターまたは別個のベクター中のそのような核酸分子、および宿主細胞に存在する1つまたは複数の位置に存在するそのような核酸分子を含む。
【0030】
本明細書において、「ベクター」とは、それに結合した別の核酸を増幅することができる核酸分子を意味する。この用語には、自己複製核酸構造であるベクター、およびそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターが含まれる。ある一部のベクターは、それらに操作可能に連結されている核酸の発現を指導することができる。このようなベクターは、本明細書において「発現ベクター」と呼ばれる。
【0031】
本明細書において、「宿主細胞」、「宿主細胞株」、および「宿主細胞培養」は互いに置き換えて使用することができ、外因性核酸が導入された細胞を表し、そのような細胞の後代を含む。宿主細胞は、「形質転換体」と「形質転換細胞」とを含み、初代形質転換細胞とそれに由来する後代(継代数を問わず)とを含む。後代は、核酸内容物では親細胞と完全に同じでなくてもよく、突然変異を含んでもよい。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択された、同じ機能または生物学的活性を有する変異体後代は、本明細書に含まれている。
【0032】
本明細書において、「医薬組成物」とは、その中に含まれている活性成分の生物学的活性を有効にする形を取っており、製剤が投与される被験者に対して容認できない毒性を持つ追加の成分を含まない組成物のような製品を指す。
【0033】
本明細書において、「薬学的に許容される担体」とは、活性成分を除き、医薬組成物に含まれる成分が被験者に対して無毒であることを意味する。薬学的に許容される担体は、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または防腐剤を含むが、これらに限られていない。
【0034】
「患者」への言及は、治療を受けているヒトを指す。
【0035】
抗体及び抗体フラグメント
hIL-4Rαに結合する抗体(モノクローナル抗体を含む)及び抗体フラグメント(ここで、IL-4Rα結合剤とも呼ばれる)は、hIL-4Rαに結合できる抗体重鎖可変領域を含む。好ましくは、IL-4Rα結合剤は、hIL-4Rαへの結合特異性を提供するようにさらに重鎖に結合する可変軽鎖領域を含む。
【0036】
抗体は、2つの同じのポリペプチド重鎖と2つのポリペプチド軽鎖を含む。ポリペプチドは、非共有結合とジスルフィド結合によって連結され、Y字型の構成を形成する。軽鎖領域(V-C)と重鎖領域(V-CH1)によって形成される2つのFabフラグメントは、Yの上部を提供する。各可変領域は、フレームワーク領域内に間隔を置いて配置された3つの超可変または相補性決定領域(CDR-1、CDR-2、およびCDR-3)を有する。CDRは、エピトープに接触する特異性決定残基(SDR)を提供する。場合によっては、フレームワーク残基もエピトープ結合に役立つか重要である可能性がある。各重鎖CH1領域は、ヒンジ領域を介して他の重鎖定常領域に共有結合し、その中で、2つの重鎖定常領域が互いに結合してFc領域を形成する。これは、抗体Y構成のステムとして視覚化できる。前記重鎖は任意選択でグリコシル化されている。
【0037】
IL-4Rα結合剤可変領域は、好ましくはヒト化されている。ヒト可変領域は、ヒト患者の免疫系が結合剤を攻撃する可能性を減らすために重要である。ヒト化可変領域は、非ヒトCDRが得られた非ヒトフレームワークと比較して、フレームワーク内に1つまたは複数の非ヒトCDRを有しており、溶媒に曝露されたヒトアミノ酸残基の数が増加した。ヒト化のための2つの一般的な技術は、(1)CDR移植;(2)フレームワークのリサーフェシングである。CDRグラフト化は、CDR領域をヒトフレームワーク領域に挿入することを含み、これは、例えば、抗原結合に重要または有用な逆突然変異によってさらに修飾され得る。フレームワークのリサーフェシングは、非ヒトフレームワークの表面に露出した残基を修飾して、ヒトに免疫応答を引き起こす可能性が低いヒト曝露領域を提供することを含む(Frontiers in Bioscience, 13:1619-1633,2008;およびChiu and Gilliland, Current Opinion in Structural Biology,38:163-173,2016)。
【0038】
以下の実施例に示されているCDRは、ウサギ抗体から取得したものである。6つすべてのCDRをヒトフレームワークに移植した後、前記フレームワークを微調整することは、マウスおよびウサギの抗体をヒト化するための常用の技術である。(Weber et al., Experimental & Molecular Medicine 49:E305)。Zhang and Ho, MABS, 9:419-429,2017は、ウサギの抗体のヒト化を示しています。これには、Kabat/IMGT/Paratome CDRの組み合わせを識別し、ヒト生殖細胞系列(germline)フレームワークに移植した後、別のフレームワーク変異を通して抗体を最適化することが含まれる。
【0039】
抗体のFc領域は、さまざまなエフェクター機能を提供し、抗体のクラスとサブクラスを定義する。ヒト抗体クラスは、IgM、IgG、IgA、IgD、およびIgEである。IgGは、サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4に分けることができる。IgAは、サブクラスIgA1とIgA2に分けることができる。Fc領域は、エフェクター細胞のFc受容体に結合し、他の免疫メディエーターを活性化することにより、エフェクター機能を媒介することができる。Fcグリコシル化は、Fcエフェクター機能に影響を与える一部である(Schroeder et al., J. Allergy Clin. Imunol., 125(202):S41-S52,2010)。
【0040】
IgG Fcエフェクター機能は、IgGサブクラスによって異なり、抗体依存性細胞によって媒介される細胞傷害性、抗体依存性細胞貪食、補体活性、および半減期の増加を含むことができる。IgG Fc領域を、エフェクター機能を増加または減少させるように修飾できる(Wang et al., Protein Cell 9(1):63-73,2018;およびStrohl, Protein Cell 9(1)86-120,2018)。一実施形態では、前記IL-4Rα結合剤は、IgG抗体である。
【0041】
「IgG」への言及には、天然に存在する配列を有する異なるIgGクラスおよびサブクラス;または、1つまたは複数の残基が、好ましくは、安定性を高めるために、および/またはエフェクター機能を改変するために(例えば、細胞死滅を低減し、および/または抗体半減期を増強するために)改変される修飾配列が含まれる。一実施形態では、前記IgG重鎖は、天然に存在する配列および/または重鎖定常配列とは1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸の違いを有する。それぞれのアミノ酸の違いは、付加、置換、または欠失である。別の一実施形態において、前記IgGは、IgG4サブタイプである。IgG4は、細胞を殺すエフェクター機能を誘導する能力が限られている。IgG4を、たとえばエフェクター機能を変更したり、Fabアーム交換を減らしたりするために修飾できる(Davies and Sutton, Immunological Reviews,268;139-159,2015)。
【0042】
IL-4Rα―に結合する抗体フラグメントには、Fabフラグメント、一本鎖Fv(scFv)、ドメイン抗体、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、および二重特異性コンストラクトが含まれる。二重特異性構築体は、異なるエピトープへの特異性を提供するように、少なくとも2つの異なる可変領域を含む。抗体への言及は、完全長の抗体を指す。そのフラグメントへの言及は、言及された抗体に提供されるような可変領域の少なくとも1つを含む構築体を指し、これは、二重特異性構築体を含むことができる。二重特異性は、2つの異なるIL-4Rαエピトープを標的とし得るか、またはIL-13Rなどの異なる実体上のエピトープと共にIL-4Rαエピトープを標的とし得る。異なる可変領域を有する完全長抗体構築体、異なる可変領域を有する完全長未満の抗体、および付加された可変領域を有する完全長抗体を含む、様々な二重特異性構築体が可能である(Strohl, Protein Cell 9(1)86-120,2018)。
【0043】
抗体および抗体フラグメントの半減期を延ばすことができ、これは投与量および投与頻度を減らすのに役立つ。上記のように、Fc領域を修飾して抗体の半減期を延ばすことができる。半減期を延長するための他の技術には、PEG基の付加、別のタンパク質への融合、およびヒドロゲル、リポソーム、マイクロ/ナノ粒子、ミセルの使用などの送達策が含まれる(Awwad and Angkawinitwong, Pharmaceutics 10,83,2018)。
【0044】
抗体産生
IL-4Rα結合剤は、組換え細胞技術を使用して容易に産生することができる。組換え発現の潜在的な宿主には、原核生物および真核生物の宿主が含まれる。特定の発現産物を考慮して、好ましい宿主を選択することができる。原核生物の宿主は、より小さな抗体フラグメントのために、そしてグリコシル化が必要とされない場合に使用され得る。真核生物の宿主細胞、特に哺乳動物は、完全長の抗体の発現に好ましい。哺乳類細胞株は、ヒトと同じフォールディングおよび翻訳後修飾を有する抗体を産生するために使用することができる。哺乳類細胞株の別の利点は、分泌のレベルである(Frenzel et al., Frontiers in Immunology 4: Article 217,2013;およびKunert and Reinhart, Appl. Microbiol. Biotechnol. 100:3451-3461,2016)。異なる実施形態では、前記宿主細胞は、CHO,NS0、Sp2/0、HEK293、またはPER.C6である。別の実施形態では、前記宿主細胞はCHOである。
【0045】
特定の宿主細胞と特定の抗体および抗体フラグメントを考慮に入れて、複数の異なる技術を使用してIL-4Rα結合剤を回収および精製することができる。複数の精製ステップを採用することができる。回収および精製ステップのいくつかの例には、アフィニティークロマトグラフィー(例えば、Fc領域を有する全長抗体のプロテインA、Vカッパ軽鎖およびアフィニティータグを有する抗体または抗体フラグメントのプロテインLクロマトグラフィー)、合成アフィニティークロマトグラフィー、アニオン/カチオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、遠心分離および濾過が含まれる(Murphy et al., Antibody Technology Journal 6:17-32,2016;Liu et al., mAbs 2(5):480-499,2010;およびRodrigo et al., Antibodies 4:259-277,2015)。
【0046】
IL-4Rαのループ2を標的とする抗体
IL-4Rαのループ2アミノ酸L42、L43、S44、およびE45に有意に結合する(好ましくはIL-4Rαのループ3に有意に結合しない)抗体またはそのフラグメントは、PD2-31に基づいて容易に得ることができる。PD2-31に基づく技術には、以下の例で説明するように、PD2-31 CDRの親和性成熟と、それに続く変異したIL-4Rαに対するスクリーニングが含まれる。IL-4Rαを標的とする他の抗体を取得し、PD2-31との競合アッセイを実施し、以下の実施例に記載のアッセイを使用して結合を確認する。IL-4Rαを標的とする抗体は、IL-4Rαを動物(マウス、ウサギ、ラット、ラクダなど)の免疫原として、またはファージディスプレイの抗原として使用するさまざまな手法を使用して取得できる。
【0047】
「ヒトIL-4Rαのループ2に有意に結合することができる抗体またはそのフラグメント」または「ヒトIL-4Rαのループ2に有意に結合することができるが、ヒトIL-4Rαのループ3に有意に結合しない抗体またはそのフラグメント」は、例えば、以下の方法で調製することができる。すなわち、まず、IL-4Rαに対する抗体(抗IL-4Rα抗体)またはそのフラグメントを既知の方法で調製する。次に、調製した抗IL-4Rα抗体および野生型IL-4Rαまたは変異型IL-4Rα(例えば、hIL-4Rα-Mu219、220、241、242、244、245の中からの1つまたは複数)をテストして、抗IL-4Rα抗体またはそのフラグメントがヒトIL-4Rαのループ2に有意に結合できるかどうかを確定し、またはヒトIL-4Rαのループ2に有意に結合できるがヒトIL-4Rαのループ3に有意に結合しない抗IL-4Rα抗体またはそのフラグメントを確定し、これによって、「ヒトIL-4Rαのループ2に有意に結合できる抗体またはそのフラグメント」または「ヒトIL-4Rαのループ2に有意に結合できるがヒトIL-4Rαのループ3に有意に結合しない抗体またはそのフラグメント」をスクリーニングする。
【0048】
治療と投与
IL-4R結合剤は、IL-4受容体複合体によって媒介される疾患を治療するために使用することができる。IL-4Rαは、共通のδ鎖(I型)およびIL-13受容体(II型)と受容体複合体を形成する。I型受容体活性は、シグナル伝達を引き起こすIL-4結合によって開始され、IL-4Rαを標的とする薬剤によって阻害されることができる。II型受容体活性は、シグナル伝達を引き起こすIL-4またはIL-13の結合によって開始され、IL-4RαまたはIL-13Rを標的とする薬剤によって阻害されることができる。
【0049】
IL-4Rα結合剤は、患者の、IL-4(I型)またはIL-4/IL-13(II型)によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療するために使用することができる。一実施形態では、前記患者は、アトピー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕 、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(軽度、中等度、および重度の喘息など)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(炎症性腸疾患など)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、遺伝性アレルギー性皮膚炎、潰瘍性大腸炎、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれる疾患を有する。
【0050】
他の実施形態では、前記患者は、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる疾患を有する;前記患者は喘息に罹患している;または、前記患者は、アトピー性皮膚炎に罹患している。
【0051】
他の実施形態では、前記患者は、IL-4Rα、IL-4、IL-13、またはIL-13Rα1受容体複合体によって媒介される疾患を有する。
【0052】
他の実施形態では、前記患者は、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、鼻炎、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、好酸球性食道炎、慢性閉塞性肺疾患、食物アレルギー、蕁麻疹、強皮症、特発性肺線維症、類天疱瘡、及びかゆみからなる群より選ばれる疾患を有する。
【0053】
アトピー性皮膚炎は、慢性の再発性掻痒性炎症性皮膚疾患である。アトピー性皮膚炎は、一般的に喘息とアレルギー性鼻炎に関連している。IL-4Rα結合剤は、アトピー性皮膚炎を治療するための単独療法として使用することもできるし、1つまたは複数の他の療法と組み合わせて使用することもできる。アトピー性皮膚炎の既存の治療法には、局所コルチコステロイド、局所カルシニューリン阻害剤、抗菌療法(細菌感染を伴う患者向け)、抗ヒスタミン療法、ホスホジエステラーゼ阻害剤、光線療法、クリサボロール(crisaborole)、およびデュピルマブが含まれる(Maliyar et al., Advances in Skin and Wound Care 31(12):538-550,2018)。
【0054】
喘息は閉塞性肺疾患であり、断続的、軽度、中等度、重度の持続性喘息に分類できる。IL-4Rα結合剤は、喘息を治療するための単独療法として使用することもできるし、1つまたは複数の治療法と組み合わせて使用することもできる。既存の治療法として、β2アゴニスト(例えば、アルブテロール、レバルブテロール、テルブタリン(terbutaline)、メタプロテレノール(metaproterenol)、ピルブテロール(pirbuterol)、サルメテロール(salmeterol)、及びホルモテロール(formoterol))、コルチコステロイド(例えば、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、フルニソリド、シクレソニド(ciclesonide)、ブデソニド(budesonide)、フルチカソン、及びモメタゾン)、ロイコトリエン受容体拮抗剤および合成阻害剤(例えば、ザフィルルカスト(zafirlukast)、モンテルカスト、及びジレウトン(zileuton))、抗ムスカリン薬(例えば、イプラトロピウム(ipratropium)、チオトロピウム(tiotropium)、アクリジニウム(aclidinium)、ウメクリジニウム(umeclidinium)、及びグリコピロニウム)、生物学的製剤(例えば、オマリズマブ(Omalizumab)、メポリズマブ(Mepolizumab)、レスリズマブ(Reslizumab)、ベンラリズマブ(Benralizumab)、デュピルマブ(Dupilumab)、及びテピルマブ(Tezepelumab))、及び気管支熱形成術(thermoplasty)が挙げられる。異なる実施形態において、喘息患者は、断続的、軽度、中等度または重度の持続性喘息を有する(So et al., EMJ 3(4):111-121,2018)。
【0055】
疾患治療は、治療有効量のIL-4Rα結合剤を使用して促進される。治療有効量とは、患者が示した疾患の1つまたは複数の症状の臨床的に有意な減少を引き起こすのに十分な量である。
【0056】
IL-4Rα結合剤は、非経口注射(静脈内、皮下、筋肉内または皮内)、経口、および粘膜を含むさまざまな経路で投与できる。皮下注射は一般的に選択される経路である(Awwad and Angkawinitwong Pharmaceutics 10,83,2018)。
【0057】
最適な投与量および投与計画は、治療薬の有効性、治療される疾患、患者の年齢、患者の病状、患者の体重、患者の性別、投与経路、及び期待される効果を含むさまざまな要因を考慮して決定することができる。異なる実施形態において、単回投与量は、約0.05mg/kgから約20mg/kg;約0.50mg/kgから約15mg/kg;または約1mg/kgから10mg/kgである。投与量に関する他の実施形態は、約10mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、及び約1,000mgでの単回投与量を含む。「単回投与量」への言及は、投与のタイミングを指す。用量の大きさに応じて、患者にほぼ同時に提供される2つの別々の投与として、単回用量で投与することが好ましい場合がある。投与計画は、1日1回以上、週1回以上、週1回、隔週、および月1回以上など、投与の間に異なる時間を提供することができる。毎回同じ用量を与える必要はない。たとえば、患者は高用量で開始し、その後低用量で投与されることができる。または低用量で開始し、その後高用量で投与される。患者における特定の用量の有効性と副作用に応じて、投与のタイミングと量を調整することができる。
【0058】
IL-4Rα結合剤の投与は、薬学的に許容される担体を使用することで促進される。好ましい薬学的に許容される担体は、本明細書に記載のIL-4Rα結合剤の安定化および投与に寄与する。存在し得る一般的な担体賦形剤は、炭水化物、アミノ酸、緩衝塩、および界面活性剤を含む。一般的な賦形剤として、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、スクロース、トレハロース、NaCl、アルギニン、グリシン、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、およびヒスチジンが挙げられる。適切な処方は、本技術分野で公知の考慮要素および技術を使用して最適化することができる(例えば、Kang et al., Rapid Formulation Development for Monoclonal Antibodies,2016年4月にhttps://bioprocessintl.com/manufacturing/formulation/rapid-formulation-development-for-monoclonal-antibodies/から検索された;Razinkov et al., Journal of Biomolecular Screening 20(4):468-483,2015;およびAwwad and Angkawinitwong, Pharmaceutics 10,83,2018を参照)。
【0059】
マーモセット動物モデル
PD2-31がマーモセットIL-4Rαに高い親和性で結合する能力は、以下を含むいくつかの利点を提供する。すなわち、IL-4/IL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患に対するPD2-31の前臨床効果を評価する研究でマーモセットの使用を可能にする;他の医薬と組み合わせてhIL-4Rαを標的とする抗体の有効性を評価するための前臨床モデルとしてマーモセットの使用を可能にする;さらに、毒物学と安全性の研究を促進する。呼吸系モデルおよびヒトアレルギー性喘息のモデルとしてのマーモセットの使用は、Curths et al., Vet. Sci. 1:63-76,2014、およびCurths et al., Am. J. Respir. Crit. Care Med. 193:2016:A4919(Curths A4919)に例示的に説明されている。
【0060】
PD2-31の有効性または併用療法を評価する研究では、特定の疾患に基づいて適切な刺激物とエンドポイントを選択できる。たとえば、CurthsらA4919は、ハウスダストダニアレルゲンを使用して感作し、好酸球レベルに対する治療薬(ブデソニド)の影響を測定することにより、ヒトアレルギー性喘息のモデルとしてマーモセットを使用することを例示的に説明している。特定の疾患に応じて、他の刺激物とエンドポイントを使用することができる。
【実施例
【0061】
以下、実施例を通して本発明をより具体的に説明する。本出願はこれらの実施例に限られていないことを理解されたい。
【実施例
【0062】
抗ヒトインターロイキン-4受容体αに対するモノクローナル抗体QX005Nの調製
ニュージーランドのウサギの免疫のためにヒトインターロイキン-4受容体α(IL-4Rα)を上海近岸タンパク質科技有限公司(Shanghai Novoprotein Technology Co., Ltd.)から購入し、B細胞クローニング技術を使用して抗原結合特異的抗体クローンを獲得し、さらにIL-4Rαに結合し、IL-4及び/またはIL-13阻害活性を有するモノクローナル抗体をスクリーニングした。まず、binding ELISAを利用して細胞上清を検出し、IL-4Rαに結合するクローンを選択した後、HEK BlueTM IL-4/IL-13レポーター遺伝子細胞システム(InvivoGen)で検出し、IL-4/IL-13阻害活性を有するクローンを選択した。上記の免疫およびスクリーニングプロセスは、商業会社に依頼されて完成された。
組換え発現のために16個のクローンを選択してシーケンシングした。#2および#82クローンに対して親和性成熟とヒト化を実行した。NCBI IgBlastを使用してヒトIgG生殖系列(germline)配列の相同性比較を行い、IGHV3-6601を選択して重鎖CDR移植テンプレートとし、#2クローンの重鎖のCDR領域(すなわち、CDR-H1(配列番号1)、CDR-H2(配列番号2)、およびCDR-H3(配列番号3))をIGHV3-6601のフレームワーク領域に移植した。IGKV1-3901を選択して軽鎖CDR移植テンプレートとし、#2クローンの軽鎖のCDR領域(すなわち、CDR-L1(配列番号4)、CDR-L2(配列番号5)、およびCDR-L3(配列番号6))をIGKV1-3901のフレームワーク領域に移植した。フレームワーク領域の特定の部位に対して逆突然変異を行って本発明のモノクローナル抗体PD2-31の可変領域を得た。最後に、ヒト化された重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号7に示され、ヒト化された軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号8に示される。
或いは、NCBI IgBlastを使用してヒトIgG生殖系列配列の相同性比較を行い、IGHV3-6601を選択して重鎖CDR移植テンプレートとし、#82クローンの重鎖のCDR領域(すなわち、CDR-H1(配列番号14)、CDR-H2(配列番号15)、およびCDR-H3(配列番号16))をIGHV3-6601のフレームワーク領域に移植した。IGKV1-3901を選択して軽鎖CDR移植テンプレートとし、#82クローンの軽鎖のCDR領域(すなわち、CDR-L1(配列番号17)、CDR-L2(配列番号18)、およびCDR-L3(配列番号19))をIGKV1-3901のフレームワーク領域に移植した。フレームワーク領域の特定の部位に対して逆突然変異を行って本発明のモノクローナル抗体HZD82-12の可変領域を得た。最後に、ヒト化された重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号12に示され、ヒト化された軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号13に示される。
上記の重鎖可変領域(配列番号7)の遺伝子は人工的に合成され、pUC57ベクターに挿入された。軽鎖可変領域(配列番号8)の遺伝子はPCR増幅によって得られた。HindIIIとNheIを使用して重鎖可変領域遺伝子と重鎖発現プラスミドpHZDCHを二重消化させ、HindIIIとBsiWIを使用して軽鎖可変領域遺伝子と軽鎖発現プラスミドpHZDCHを二重消化させ、T4DNAリガーゼを使用して消化により得られたフラグメントをそれぞれ対応する発現プラスミドに挿入して、重鎖発現プラスミドpHZDCH-2VH-Hu1と軽鎖発現プラスミドpHZDCK-2VK-pd18を構築した。
上記の重鎖可変領域(配列番号12)の遺伝子はPCR増幅によって得られ、軽鎖可変領域(配列番号13)の遺伝子は人工的に合成され、pUC57ベクターに挿入された。HindIIIとNheIを使用して重鎖可変領域遺伝子と重鎖発現プラスミドpHZDCHを二重消化させ、HindIIIとBsiWIを使用して軽鎖可変領域遺伝子と軽鎖発現プラスミドpHZDCHを二重消化させ、T4DNAリガーゼを使用して消化により得られたフラグメントをそれぞれ対応する発現プラスミドに挿入して、重鎖発現プラスミドpHZDCH-82VH-Hu3と軽鎖発現プラスミドpHZDCK-82VK-Hu1を構築した。
プラスミドの二重消化の結果を核酸電気泳動で検出した。図1(A)の結果から分かるように、二重消化抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域、および重鎖と軽鎖の発現プラスミドを二重消化させた結果、重鎖と軽鎖のプラスミドは約10000bpであり、軽鎖可変領域は約408bpであり、重鎖可変領域は約429bpである。図1(B)の結果から分かるように、二重消化抗体の重鎖可変領域と軽鎖可変領域、および重鎖と軽鎖の発現プラスミドを二重消化させた結果、重鎖と軽鎖のプラスミドは約10000bpであり、軽鎖可変領域は約408bpであり、重鎖可変領域は約426bpである。
配列が正しい重鎖発現プラスミドと軽鎖発現プラスミドをExpiCHO-S細胞にコトランスフェクションした。トランスフェクションの前日、トランスフェクション前の継代のために、ExpiCHO-S細胞を3×10細胞/mlに希釈した。トランスフェクションの当日、細胞密度を6×10細胞/mlに希釈し、トランスフェクションのために25mlの細胞を125mlの振とうフラスコに入れた。トランスフェクションと発現のプロセスを図2に示す。
トランスフェクション後4~8日目に、培養上清を採取し、Protei Aでワンステップで精製した。精製された抗体をSDS-PAGE電気泳動で検出し、QX005Nと名付けた。具体的に言えば、それぞれQX005N(PD2-31)とQX005N(HZD82-12)である。当該抗体をタンパク質電気泳動で検出した結果を図3(A)と(B)に示す。タンパク質電気泳動は変性還元ゲルで検出され、図3(A)に示される結果から分かるように、2つのバンドがあり、2つのバンドのサイズはそれぞれ約50kDaと25kDaであり、重鎖(48.5kDa)と軽鎖(23.7kDa)の理論上の分子量と一致している。図3(B)に示される結果から分かるように、2つのバンドがあり、2つのバンドのサイズはそれぞれ約50kDaと25kDaであり、重鎖(48.3kDa)と軽鎖(23.6kDa)の理論上の分子量と一致している。
【実施例
【0063】
平衡解離定数(K)の測定
モノクローナル抗体PD2-31、HZD82-12、及びデュピルマブのヒトIL-4Rα(上海近岸タンパク質科技有限公司)に対する親和性をQX002NとhIL-17Aの親和性をBiacoreT200を使用して検出し、すべてのプロセスを25℃で行った。Protein Aタンパク質をCM5チップ上に化学的にカップリングし、Rmaxが50RU未満、捕捉流量が10μl/minになるように、捕捉法によって適切な量の抗体を固定した。抗原を段階的に希釈し、機器の流量を30μl/minに切り替え、濃度が低いものから高いものへの順番で参照チャネルと抗体固定チャネルを流し、ネガティブ対照として電気泳動緩衝液(running buffer)を流した。各結合と解離が完了した後、pH1.5グリシンでチップを再生した。機器に付属されているソフトウェアを使用して、1:1結合モデルに従って適合させ、抗体の結合速度定数k、解離速度定数k、および平衡解離定数Kの値を計算した。デュピルマブは、市販の薬剤を購入することによって得られた。
結果を下記表1に示す。
【0064】
【表1】
【実施例
【0065】
マーモセットIL-4Rαへの結合の測定
モノクローナル抗体PD2-3およびデュピルマブのマーモセットIL-4Rαへの結合は、実施例2の方法に従って、Biacore T200によって研究された。マーモセットIL-4Rαは、標準的な技術によって調製された。簡単に説明すると、マーモセットIL-4Rαの細胞外領域を含む発現プラスミドを構築し(登録番号Q0PIT7)、HEK293F細胞にトランスフェクトした。発現後、C末端にhis-タグが付いたマーモセットIL-4Rαの細胞外領域(Gly 24-His 232)をニッケルクロマトグラフィーで精製した。
マーモセットIL-4Rαに結合するPD2-31のK値は約100pMである。結果は、PD2-31がヒトIL-4Rαに結合するのと同じ程度にマーモセットIL-4Rαに結合することを示している。デュピルマブはマーモセットIL-4Rαに結合しないため、PD2-31とは異なるエピトープを認識する。
【実施例
【0066】
異なる変異したhIL-4RαへのPD2-31の結合
PD2-31が結合する主要なアミノ酸をさらに絞り込むために、hIL-4Rαの複数の変異体をループ2(V40FLLSEA46)およびループ3(M65DDVVSADN73)(表2)で設計した。野生型hIL-4Rα(hIL-4Rα-ECD)およびhIL-4Rα変異体は、標準的な技術を使用して調製された。簡単に説明すると、野生型hIL-4Rαおよび異なる変異型hIL-4Rαの細胞外領域を含む発現プラスミドを構築し、HEK 293F細胞にトランスフェクトした。発現後、C末端his-タグを持つ野生型hIL-4RαとhIL-4Rα変異体の細胞外領域をニッケルクロマトグラフィーで精製した。野生型hIL-4RαおよびhIL-4Rα変異体の精製タンパク質を、PD2-31およびデュピルマブとの相互作用のために分析した。相互作用を、実施例2の方法に従って、Biacore T200によって研究した。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
hIL-4Rα-Mu219およびhIL-4Rα-Mu220に結合するPD2-31のK値は低すぎて正確に測定できず、8つの異なるループ3が変異されたhIL-4Rα(すなわち、表2のhIL-4Rα-Mu239、hIL-4Rα-Mu240、hIL-4Rα-Mu241、hIL-4Rα-Mu242、hIL-4Rα-Mu243、hIL-4Rα-Mu244、hIL-4Rα-Mu245、及びhIL-4Rα-Mu453)に結合するPD2-31のK値は約1nM以下である。上記の結果は、PD2-31がhIL-4Rαのループ2のアミノ酸に結合でき、特にhIL-4Rαのループ2のL42、L43、S44、およびE45に結合できるが、hIL-4Rαのループ3のアミノ酸65-73への結合、特に、hIL-4Rαのループ3のM65、D66、D67、V68、V69、S70、A71、D72、およびN73への有意な結合が現れなかったことを示している。
hIL-4Rα-Mu219およびhIL-4Rα-Mu220に結合するデュピルマブのK値は低すぎて正確に測定できず、hIL-4Rα-Mu241、hIL-4Rα-Mu242、hIL-4Rα-Mu244、およびhIL-4Rα-Mu245に結合するデュピルマブのK値は10nMを超えている。上記の結果は、デュピルマブがループ2とループ3にあるアミノ酸に結合することを示している。
ヒトとマーモセットのIL-4Rαとループ領域の間のアラインメントの結果を図10(A)と図10(B)に示す。
本明細書では、変異型hIL-4Rαに結合する抗体のKが野生型hIL-4Rαに結合するもののKの10倍未満しか増加していない場合、これらの部位の変異によって抗体の結合活性が低下しないことを意味し、これらの変異部位は抗体のエピトープではなく、抗体がこれらのアミノ酸に有意に結合しないことを意味する。変異型hIL-4Rαに結合する抗体のKが野生型hIL-4Rαに結合するものの10倍以上に増加した場合、これらの部位の変異により抗体の結合活性が大きく変化したことを意味し、抗体の結合活性が有意に変化したことを示し、抗体がこれらのアミノ酸に有意に結合していることを意味する。
【実施例
【0069】
HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-4及びIL-13によって誘発されたSTAT6リン酸化活性の阻害
HEK BlueTM IL-4/IL-13レポーター遺伝子細胞株を使用して、モノクローナル抗体PD2-31およびHZD82-12がIL-4Rαを介してIL-4/IL-13によって媒介される細胞内シグナル伝達分子STAT6リン酸化活性に拮抗する能力を測定した。培養液中の細胞を96ウェルに4×10細胞/ウェルで添加し、37℃、5%COの条件下で一晩培養した。抗体濃度が0~10ug/mlの範囲の段階希釈液を細胞に添加し、0.2ng/mlのIL-4または20ng/mlのIL-13を添加した。その後、37℃、5%COの条件下で24時間培養した。細胞培養上清を回収し、10%QUANTI-BlueTM検出試薬を添加して37℃、5%COの条件下で1時間反応させた。次に、OD630nm値を検出し、用量反応曲線を作成して(図4(A)-4(D))、抗体の拮抗活性を分析した。その結果、2つのモノクローナル抗体がいずれも、HEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-4およびIL-13によって誘発されたSTAT6リン酸化を阻害できることは示されている。図4(A)は、PD2-31がHEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-4によって誘発されたSTAT6リン酸化活性を阻害する結果を示している。図4(A)の結果から、PD2-31とデュピルマブはHEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-4によって誘発されたSTAT6リン酸化活性を阻害し、IC50がそれぞれ3.19ng/mlと4.39ng/mlであることが分かる。図4(B)は、HZD82-12がHEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-4によって誘発されたSTAT6リン酸化活性を阻害する結果を示している。図4(B)の結果から、HZD82-12とデュピルマブはHEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-4によって誘発されたSTAT6リン酸化活性を阻害し、IC50がそれぞれ6.5ng/mlと4.54ng/mlであることが分かる。図4(C)は、PD2-31がHEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-13によって誘発されたSTAT6リン酸化活性を阻害する結果を示している。図4(C)の結果から、PD2-31とデュピルマブはHEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-13によって誘発されたSTAT6リン酸化活性を阻害し、IC50がそれぞれ8.78ng/mlと12.8ng/mlであることが分かる。図4(D)は、HZD82-12がHEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-13によって誘発されたSTAT6リン酸化活性を阻害する結果を示している。図4(D)の結果から、HZD82-12とデュピルマブはHEK BlueTMIL-4/IL-13細胞における、IL-13によって誘発されたSTAT6リン酸化活性を阻害し、IC50がそれぞれ21.3ng/mlと12.7ng/mlであることが分かる。
【実施例
【0070】
A549細胞における、IL-4及びIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性の阻害
A549ヒト肺がん上皮細胞株を使用して、モノクローナル抗体PD2-31およびHZD82-12がIL-4Rαを介してIL-4/IL-13によって媒介されるCCL-17放出活性に拮抗する能力を測定した。培養液中の細胞を96ウェルに3×10細胞/ウェルで添加し、37℃、5%COの条件下で一晩培養した。抗体濃度が0~20ug/mlの範囲の段階希釈液を細胞に添加し、20ng/mlのTNF-αおよび1ng/mlのIL-4または20ng/mlのIL-13を添加した。その後、37℃、5%COの条件下で細胞を24時間培養した。細胞培養上清を収集した。抗体の拮抗活性を分析するために、上清中のCCL-17の発現をサンドイッチELISA法で検出し、用量反応曲線を作成した(図5(A)~(D))。その結果、前記抗体がいずれも、A549細胞における、IL-4およびIL-13によって誘発されたCCL-17放出を阻害できることは示されている。図5(A)は、PD2-31がA549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害する結果を示している。図5(A)の結果から、PD2-31とデュピルマブはA549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ32.6ng/mlと44.9ng/mlであることが分かる。図5(B)は、HZD82-12がA549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害する結果を示している。図5(B)の結果から、HZD82-12とデュピルマブはA549細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ46.1ng/mlと44.9ng/mlであることが分かる。図5(C)は、PD2-31がA549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害する結果を示している。図5(C)の結果から、PD2-31とデュピルマブはA549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ28.9ng/mlと37.3ng/mlであることが分かる。図5(D)は、HZD82-12がA549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害する結果を示している。図5(D)の結果から、HZD82-12とデュピルマブはA549細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ49.5ng/mlと46.5ng/mlであることが分かる。
【実施例
【0071】
IL-4及びIL-13によって誘発されたTF-1細胞増殖活性の阻害
TF-1ヒト赤芽球性白血病細胞株を使用して、PD2-31およびHZD82-12がIL-4Rαを介してIL-4/IL-13によって媒介される細胞増殖活性に拮抗する能力を測定した。培養液中の細胞を96ウェルに2×10細胞/ウェルで添加し、37℃、5%COの条件下で一晩培養した。抗体濃度が0~20ug/mlの範囲の段階希釈液を細胞に添加し、1ng/mlのIL-4または20ng/mlのIL-13を添加した。その後、37℃、5%COの条件下で細胞を72時間培養した。細胞培養物を収集した。抗体の拮抗活性を分析するために、CellTiter-Gloアッセイにより細胞増殖状態を検出し、用量反応曲線作成した(図6(A)~(D))。その結果、前記抗体がいずれも、IL-4およびIL-13によって誘発されたTF-1細胞増殖を阻害できることは示されている。図6(A)は、PD2-31が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞増殖活性を阻害する結果を示している。図6(A)の結果から、PD2-31とデュピルマブは、IL-4によって誘発されたTF-1細胞増殖活性を阻害し、IC50がそれぞれ13.9ng/mlと21.9ng/mlであることが分かる。図6(B)は、HZD82-12が、IL-4によって誘発されたTF-1細胞増殖活性を阻害する結果を示している。図6(B)の結果から、HZD82-12とデュピルマブは、IL-4によって誘発されたTF-1細胞増殖活性を阻害し、IC50がそれぞれ19.3ng/mlと18.8ng/mlであることが分かる。図6(C)は、PD2-31が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞増殖活性を阻害する結果を示している。図6(C)の結果から、PD2-31とデュピルマブは、IL-13によって誘発されたTF-1細胞増殖活性を阻害し、IC50がそれぞれ15.5ng/mlと20.5ng/mlであることが分かる。図6(D)は、HZD82-12が、IL-13によって誘発されたTF-1細胞増殖活性を阻害する結果を示している。図6(D)の結果から、HZD82-12とデュピルマブは、IL-13によって誘発されたTF-1細胞増殖活性を阻害し、IC50がそれぞれ16.1ng/mlと14.9ng/mlであることが分かる。
【実施例
【0072】
HFL-1細胞における、IL-4及びIL-13によって誘発されたCCL-11放出活性の阻害
HFL-1ヒト肺線維芽細胞株を使用して、PD2-31およびHZD82-12がIL-4Rαを介してIL-4/IL-13によって媒介されるCCL-11放出活性に拮抗する能力を測定した。培養液中の細胞を96ウェルに4×10細胞/ウェルで添加し、37℃、5%COの条件下で一晩培養した。抗体濃度が0~20ug/mlの範囲の段階希釈液を細胞に添加し、20ng/mlのTNF-αおよび1ng/mlのIL-4または20ng/mlのIL-13を添加した。その後、37℃、5%COの条件下で細胞を24時間培養した。細胞培養上清を収集した。抗体の拮抗活性を分析するために、上清中のCCL-11の発現をサンドイッチELISA法で検出し、用量反応曲線を作成した(図7(A)~(D))。その結果、QX005N、HFL-1細胞における、IL-4/IL-13によって誘発されたCCL-11放出を阻害できることは示されている。図7(A)は、PD2-31がHFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害する結果を示している。図7(A)の結果から、PD2-31とデュピルマブはHFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ43.1ng/mlと96.8ng/mlであることが分かる。図7(B)は、HZD82-12がHFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害する結果を示している。図7(B)の結果から、HZD82-12とデュピルマブはHFL-1細胞における、IL-4によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ64.3ng/mlと33.4ng/mlであることが分かる。図7(C)は、PD2-31がHFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害する結果を示している。図7(C)の結果から、PD2-31とデュピルマブはHFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ38.5ng/mlと47.8ng/mlであることが分かる。図7(D)は、HZD82-12がHFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害する結果を示している。図7(D)の結果から、HZD82-12とデュピルマブはHFL-1細胞における、IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ89.5ng/mlと86.9ng/mlであることが分かる。
【実施例
【0073】
末梢血単核球(PBMC)における、IL-4及びIL-13によって誘発されたCD34発現活性の阻害
ヒト末梢血単核球(PBMC)から単離された単核球を使用して、PD2-31およびHZD82-12がIL-4Rαを介してIL-4/IL-13によって媒介されるCD23発現活性に拮抗する能力を測定した。培養液中の細胞を24ウェルに1.5×10細胞/ウェルで添加した。抗体濃度が0、30ng/ml、150ng/ml(IL-4の場合)、または0、200ng/ml、1000ng/ml(IL-3の場合)の範囲の段階希釈液を細胞に添加し、1ng/mlのIL-4または100ng/mlのIL-13を添加した。その後、37℃、5%COの条件下で細胞を48時間培養した。細胞を収集し、抗体の拮抗活性を分析するために、細胞内のCD23の発現をFACSフローサイトメトリーで検出した。その結果、図8(A)と(B)に示すように、前期抗体がPBMC細胞における、IL-4およびIL-13によって誘発されるCD23発現を阻害することができる。PD2-31およびHZD82-12は、さまざまな濃度(30ng/mlおよび150ng/ml、または200ng/mlおよび1000ng/ml)で良好な阻害効果を達成できる。
【実施例
【0074】
PBMCにおける、IL-4及びIL-13によって誘発されたCCL-17放出活性の阻害
ヒト末梢血単核球(PBMC)から単離された単核球を使用して、PD2-31およびHZD82-12がIL-4Rαを介してIL-4/IL-13によって媒介されるCCL-17放出活性に拮抗する能力を測定した。培養液中の細胞を96ウェルに3×10細胞/ウェルで添加し、37℃、5%COの条件下で一晩培養した。抗体濃度が0~20ug/mlの範囲の段階希釈液を細胞に添加し、1ng/mlのIL-4または20ng/mlのIL-13を添加した。その後、37℃、5%COの条件下で細胞を48時間培養した。細胞培養上清を収集した。抗体の拮抗活性を分析するために、上清中のCCL-17の発現をサンドイッチELISA法で検出し、用量反応曲線を作成した(図9(A)~(D))。その結果、前記抗体がいずれも、PBMC細胞における、IL-4/IL-13によって誘発されたCCL-17放出を阻害できることは示されている。図9(A)は、PD2-31がPBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害する結果を示している。図9(A)の結果から、PD2-31とデュピルマブはPBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ24.8ng/mlと29ng/mlであることが分かる。図9(B)は、HZD82-12がPBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害する結果を示している。図9(B)の結果から、HZD82-12とデュピルマブはPBMCにおける、IL-4によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ67.8ng/mlと43.6ng/mlであることが分かる。図9(C)は、PD2-31がPBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害する結果を示している。図9(C)の結果から、PD2-31とデュピルマブはPBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ68.6ng/mlと98.4ng/mlであることが分かる。図9(D)は、HZD82-12がPBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害する結果を示している。図9(D)の結果から、HZD82-12とデュピルマブはPBMCにおける、IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性を阻害し、IC50がそれぞれ117ng/mlと82ng/mlであることが分かる。
【0075】
本明細書に記載の異なるアッセイの結果は、デュピルマブと比較したPD2-31の1つまたは複数の利点を示している。その利点は、マーモセットIL-4Rへの結合(実施例3);しかも、よりよいIL-4/IL-13シグナル伝達の活性の阻害(実施例5)、A549細胞における、IL-4/IL-13によって誘発されたCCL-17放出の阻害(実施例6)、IL-4/IL-13によって誘発されたTF-1細胞の増殖の阻害(実施例7)、HFL-1細胞における、IL-4/IL-13によって誘発されたCCL-11放出活性の阻害(実施例8);PBMCにおける、IL-4/IL-13によって誘発されたCD23発現活性の阻害(実施例9)、およびPBMCにおける、IL-4/IL-13によって誘発されたCCL-17放出活性の阻害(実施例10)を示していることを含む。また、PD2-31はデュピルマブと比較して異なるエピトープに結合し、さらに、デュピルマブのKが強いが、異なるアッセイでは活性が低いことから、PD2-31の阻害活性がデュピルマブと比較して追加の阻害成分を持っている可能性があることは示されており、これも追加の利点を提供することができる。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
図5-1】
図5-2】
図5-3】
図5-4】
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8-1】
図8-2】
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
図10-1】
図10-2】
【配列表】
2022516483000001.app
【手続補正書】
【提出日】2021-07-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の組換え抗体またはそのフラグメント;または
b)3つの重鎖相補性決定領域(CDR-H1、CDR-H2、およびCDR-H3)と3つの軽鎖相補性決定領域(CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)を含む抗ヒトIL-R4α受容体の単離されたモノクローナル抗体である抗体またはそのフラグメントであって、a)とb)において、
CDR-H1のアミノ酸配列は配列番号1に示され、CDR-H2のアミノ酸配列は配列番号2に示され、CDR-H3のアミノ酸配列は配列番号3に示され、CDR-L1のアミノ酸配列は配列番号4に示され、CDR-L2のアミノ酸配列は配列番号5に示され、CDR-L3のアミノ酸配列は配列番号6に示される、又は、
CDR-H1のアミノ酸配列は配列番号14に示され、CDR-H2のアミノ酸配列は配列番号15に示され、CDR-H3のアミノ酸配列は配列番号16に示され、CDR-L1のアミノ酸配列は配列番号17に示され、CDR-L2のアミノ酸配列は配列番号18に示され、CDR-L3のアミノ酸配列は配列番号19に示される、抗体またはそのフラグメント。
【請求項2】
前記抗体またはそのフラグメントは、前記単離されたモノクローナル抗体である、
請求項に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項3】
前記単離されたモノクローナル抗体が重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号7に示され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号8に示され
前記単離されたモノクローナル抗体が重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号12に示され、前記軽鎖可変領域のアミノ酸配列が配列番号13に示される、請求項に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項4】
前記抗体またはそのフラグメントは、前記組換え抗体またはそのフラグメントであり、
好ましくは、前記組換え抗体またはそのフラグメントはヒト化されている、請求項に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項5】
前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号7に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号8に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含み、又は
前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号12に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、配列番号13に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域とを含む、請求項に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項6】
前記組換え抗体またはそのフラグメントはIgG4抗体である、請求項に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項7】
前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号10に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号11に示される軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体であり、又は
前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号20に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号21に示される軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体である、請求項に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項8】
前記抗体がモノクローナル抗体である、請求項に記載の抗体またはそのフラグメント。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントをコードする、単離された核酸。
【請求項10】
請求項に記載の単離された核酸を含む、宿主細胞。
【請求項11】
請求項2~4のいずれか一項に記載のモノクローナル抗体をコードする核酸を宿主細胞において発現するステップを含み、
好ましくは、前記組換え抗体またはそのフラグメントは、配列番号20に示される重鎖アミノ酸配列と配列番号21に示される軽鎖アミノ酸配列とを含む抗体である、モノクローナル抗体を産生する方法。
【請求項12】
前記抗体またはそのフラグメントをコードする核酸を発現するステップを含み、好ましくは、前記宿主細胞がCHOまたはHEK293である、請求項1~のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントを産生する方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法によって産生される抗体またはそのフラグメント。
【請求項14】
請求項1~及び13のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメント、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項15】
IL-4またはIL-4/IL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療するための、
好ましくは、前記疾患が、アトピー性皮膚炎、遺伝性アレルギー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕 、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(軽度、中等度、および重度の喘息を含む)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患を含む)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれ、
更に好ましくは、前記疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
IL-4および/またはIL-13によって媒介されるシグナル伝達に関連する疾患を治療するための医薬の調製における、
好ましくは、前記疾患が、アトピー性皮膚炎、遺伝性アレルギー性皮膚炎、関節炎(敗血症性関節炎を含む)、ヘルペス、慢性原発性蕁麻疹、強皮症、肥厚性瘢痕 、ホイップル病、良性前立腺過形成、肺疾患(軽度、中等度、および重度の喘息を含む)、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、干し草熱、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、好酸球増加症、乾癬、乾癬性関節炎、炎症性疾患(潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患を含む)、アレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ-ストラウス(Churg-Strauss)症候群、グレイブス病、発疹前紫斑病、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、線維症、および腎臓病からなる群より選ばれ、
更に好ましくは、前記疾患が、喘息、アトピー性皮膚炎、湿疹、副鼻腔炎、鼻ポリポーシス、鼻ポリープ、硬化症、好酸球性食道炎、アレルギー性食道炎、食道炎、シェーグレン症候群、慢性閉塞性肺疾患、および肺気腫からなる群より選ばれる、請求項1~及び13のいずれか一項に記載の抗体またはそのフラグメントの使用。
【手続補正書】
【提出日】2021-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】変更
【補正の内容】
【配列表】
2022516483000001.app
【国際調査報告】