(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】分岐状有機ケイ素化合物、その調製方法、及びそれにより形成されるコポリマー
(51)【国際特許分類】
C08G 77/48 20060101AFI20220218BHJP
【FI】
C08G77/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538220
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 US2019068725
(87)【国際公開番号】W WO2020142370
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェレティック、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ナンクォ
【テーマコード(参考)】
4J246
【Fターム(参考)】
4J246AA11
4J246AB11
4J246BA140
4J246BA14X
4J246BB020
4J246BB021
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4J246BB140
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4J246CA010
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4J246CA130
4J246CA13M
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4J246CA34X
4J246CA650
4J246CA65M
4J246CA65X
4J246CA680
4J246CA68M
4J246CA68X
4J246FA221
4J246FA321
4J246FC152
4J246FC162
4J246FE24
4J246FE26
4J246FE32
4J246GA11
4J246GB02
4J246HA22
4J246HA53
4J246HA56
(57)【要約】
一般式(R1)3Si-X-Yを有する分岐状有機ケイ素化合物(「化合物」)が提供される。式中、各R1は、R及び-OSi(R4)3から選択され、ただし、少なくとも1つのR1は、-OSi(R4)3であり、各Rは、独立して、置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各R4は、R、-OSi(R5)3、及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、各R5は、R、-OSi(R6)3、及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、各R6は、R及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、ただし、R4、R5、及びR6のうちの少なくとも1つは、-[OSiR2]mOSiR3であり、0≦m≦100であり、Xは二価連結基であり、Yは、本明細書に記載の式(I)~(III)のうちの1つから選択される。ヒドロシリル化反応を介して化合物を調製する方法、化合物の反応生成物と、化合物と反応する第2の化合物とを含むコポリマー、コポリマーの形成方法、並びに化合物及びコポリマーのうちの少なくとも1つを含む組成物も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式
【化1】
[式中、各R
1は、R及び-OSi(R
4)
3から選択され、ただし、少なくとも1つのR
1は、-OSi(R
4)
3であり、各R
4は、R、-OSi(R
5)
3、及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、0≦m≦100であり、各R
5は、R、-OSi(R
6)
3、及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、mは上記で定義され、各R
6は、R及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、mは上記で定義され、ただし、R
4、R
5、及びR
6のうちの少なくとも1つは、-[OSiR
2]
mOSiR
3であり、式中、mは上記で定義され、
Xは二価連結基であり、
Yは、式(I)~(III)のうちの1つから選択され、
【化2】
-[R
2SiO]
n-SiR
2R
3 (III);
式中、各Rは、独立して選択される置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各D
1は、独立して選択される二価炭化水素基であり、各下付き文字aは、独立して、0又は1であり、各下付き文字bは、独立して、0又は1であり、各下付き文字eは、独立して、1又は2であり、各下付き文字fは、独立して、0又は1であり、ただし、fが1のとき、bは1であり、下付き文字tは、≧0であり、下付き文字uは、>0であり、0≦n≦10であり、R
3は、ハロゲン原子、アクリルオキシ官能性部分、アルコキシシリル官能性部分、又はエポキシ官能性部分を含む]を有する、分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項2】
各R
1が-OSi(R
4)
3であり、R
4のうちの少なくとも1つが-[OSiR
2]
mOSiR
3であり、R及びmは上記に定義される、請求項1に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項3】
下記一般式
【化3】
[式中、Rは、独立して選択され、上記で定義され、各R
5は、独立して選択され、上記で定義され、X及びYは上記で定義される]を有する、請求項1又は2に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項4】
下記一般式
【化4】
[式中、Rは、独立して選択され、上記で定義され、各R
5は、独立して選択され、上記で定義され、X及びYは上記で定義される]を有する、請求項1に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項5】
下記一般式
【化5】
[式中、Rは、独立して選択され、上記で定義され、各R
5は、独立して選択され、上記で定義され、X及びYは上記で定義される]を有する、請求項1に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項6】
(i)Xが二価炭化水素基であり、(ii)mは、0又は1であり、(iii)各Rはメチルであり、又は(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物。
【請求項7】
分岐状有機ケイ素化合物を調製する方法であって、前記方法は、
ヒドロシリル化触媒の存在下、有機ケイ素化合物と官能性化合物とを反応させて、前記分岐状有機ケイ素化合物を得ることを含み;
前記有機ケイ素化合物は、ケイ素結合水素原子及びケイ素結合エチレン性不飽和基のうちの一方を含み、ただし、前記有機ケイ素化合物がケイ素結合水素原子を含む場合、前記官能性化合物はエチレン性不飽和基を含み、前記有機ケイ素化合物がケイ素結合エチレン性不飽和基を含む場合、前記官能性化合物はケイ素結合水素原子を含み;
前記分岐状有機ケイ素化合物は、請求項1~6のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物である、方法。
【請求項8】
前記有機ケイ素化合物は、下記一般式:
【化6】
[式中、Xは二価連結基であり、
各Rは、独立して、置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、
0≦n≦10であり、
各R
1は、R及び-OSi(R
4)
3から選択され、ただし、少なくとも1つのR
1は、-OSi(R
4)
3であり、
各R
4は、R、-OSi(R
5)
3、及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、0≦m≦100であり、
各R
5は、R、-OSi(R
6)
3、及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、mは上記で定義され、
各R
6は、R及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、mは上記で定義され、
ただし、R
4、R
5、及びR
6のうちの少なくとも1つは、-[OSiR
2]
mOSiR
3であり、式中、mは上記で定義され、
R
7はHであるか、又はケイ素結合水素原子若しくはエチレン性不飽和基を含む]を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記有機ケイ素化合物が、一般式(IV)を有し、前記官能性化合物が、式Y-R
3を有し、式中、Yは、エチレン性不飽和基又はケイ素結合水素原子を含み、R
3は、ハロゲン原子、アクリルオキシ官能性部分、アルコキシシリル官能性部分、又はエポキシ官能性部分を含む、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記有機ケイ素化合物は、一般式(V)を有し、式中、R
7はエチレン性不飽和基を含み、前記官能性化合物が、下記一般式(VI)及び(VII):
【化7】
[式中、各Rは、独立して選択される置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各D
1は、独立して選択される二価炭化水素基であり、各下付き文字aは、独立して、0又は1であり、各下付き文字bは、独立して、0又は1であり、各下付き文字eは、独立して、1又は2であり、各下付き文字fは、独立して、0又は1であり、ただし、fが1のとき、bは1であり、下付き文字tは≧0であり、下付き文字uは>0である]のうちの1つを有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
分岐状有機ケイ素化合物と、前記分岐状有機ケイ素化合物と反応する第2の化合物との反応生成物を含むコポリマーであって、
前記分岐状有機ケイ素化合物は、請求項1~6のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物である、コポリマー。
【請求項12】
コポリマーを調製する方法であって、分岐状有機ケイ素化合物と、前記分岐状有機ケイ素化合物と反応する第2の化合物とを反応させて、前記コポリマーを得ることを含み、
前記コポリマーは、請求項11に記載のコポリマーである、方法。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物及び/又は請求項11に記載のコポリマーを含む、組成物。
【請求項14】
(i)エマルジョンと、(ii)水性組成物と、(iii)界面活性剤組成物と、(iv)湿潤組成物と、(v)水性フィルム形成泡状物と、(vi)表面張力調整剤と、(vii)ブロッキング防止添加剤と、(viii)農業用組成物と、(ix)コーティング組成物と、(x)塗料組成物と、(xi)表面処理組成物と、(xii)フィルム形成組成物と、(xiii)化粧品組成物と、のうちの少なくとも1つとして更に定義される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
界面活性剤、分散剤、湿潤剤、ブロッキング防止添加剤、表面張力調整剤、表面処理剤、農業用組成物用添加剤、コーティング用添加剤、塗料用添加剤、化粧品成分、シロキサン変性剤、及び水性フィルム形成泡状物成分のうちの少なくとも1つとしての、請求項1~6のいずれか一項に記載の分岐状有機ケイ素化合物の使用。
【請求項16】
表面処理剤、塗料用添加剤、コーティング用添加剤、及び化粧品成分のうちの少なくとも1つとしての、請求項11に記載のコポリマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月31日に出願された米国仮特許出願第62/786,703号の優先権及び全ての利点を主張するものであり、その内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、有機ケイ素化合物に関し、より具体的には、分岐状有機ケイ素化合物、それにより形成されるコポリマー、その調製方法、及びそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
シリコーンは、主にそれらの有する利点がそれらの炭素系類似体に対して顕著であるため、多くの市販用途に使用されるポリマー材料である。より厳密には重合シロキサン又はポリシロキサンと呼ばれる、シリコーンは、無機ケイ素-酸素主鎖(...-Si-O-Si-O-Si-O-...)を有し、有機側基がケイ素原子に結合している。
【0004】
有機側基を用いて、これらの主鎖のうちの2つ以上を一緒に連結することができる。-Si-O-鎖長、側基、及び架橋を変化させることにより、多種多様な特性及び組成を有するシリコーンを合成することができる。これらは、液体からゲルまで、ゴムまで、硬質プラスチックまで、稠度が変化することがある。最も一般的なシロキサンは、直鎖状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン油である。シリコーン材料の2番目に大きな群は、分岐状及びかご状オリゴシロキサンによって形成されたシリコーン樹脂に基づくものである。
【0005】
シリコーン材料の別の群は、シリコーンデンドリマーである。デンドリマーは、単一のコアから半径方向に延びる高分岐状構造を有するポリマーである。デンドリマーは、繰り返し分岐状分子であり、典型的にはコア周囲で対称(又はほぼ対称)であり、多くの場合、球状又は楕円形の三次元形態をとっている。樹枝状高分子はまた、固有の分岐上に分岐、その上にまた分岐という構造の組織又は世代からなる樹状巨大分子としても説明することができる。
【0006】
樹枝状シリコーン又は巨大分子は、多くの潜在的な最終用途に備える分子形状、サイズ、及び官能性を有する。したがって、ケイ素に基づく分岐状化合物を改善する機会、それと共にこのような化合物の形成方法を改善する機会が残されている。また、このような化合物に基づく又はこのような化合物を有する、コポリマーを改善及び組成物を改善する機会も残されている。
【発明の概要】
【0007】
分岐状有機ケイ素化合物が提供される。分岐状有機ケイ素化合物は、一般式
【化1】
[式中、各R
1は、R及び-OSi(R
4)
3から選択され、ただし、少なくとも1つのR
1は、-OSi(R
4)
3であり、各R
4は、R、-OSi(R
5)
3、及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、0≦m≦100であり、各R
5は、R、-OSi(R
6)
3、及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、mは上記で定義され、各R
6は、R及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、mは上記で定義され、ただし、R
4、R
5、及びR
6のうちの少なくとも1つは、-[OSiR
2]
mOSiR
3であり、式中、mは上記で定義され、Xは二価連結基であり、Yは式(I)~(III)のうちの1つから選択され、
【化2】
-[R
2SiO]
n-SiR
2R
3(III);
式中、各Rは、独立して選択される置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各D
1は、独立して選択される二価炭化水素基であり、各下付き文字aは、独立して、0又は1であり、各下付き文字bは、独立して、0又は1であり、各下付き文字eは、独立して、1又は2であり、各下付き文字fは、独立して、0又は1であり、ただし、fが1のとき、bは1であり、下付き文字tは、≧0であり、下付き文字uは、>0であり、0≦n≦10であり、R
3は、ハロゲン原子、アクリルオキシ官能性部分、アルコキシシリル官能性部分、又はエポキシ官能性部分を含む]を有する。
【0008】
分岐状有機ケイ素化合物の調製方法も提供される。本方法は、ヒドロシリル化触媒の存在下、有機ケイ素化合物と官能性化合物とを反応させて、分岐状有機ケイ素化合物を得ることを含む。有機ケイ素化合物は、ケイ素結合水素原子及びケイ素結合エチレン性不飽和基のうちの一方を含み、ただし、有機ケイ素化合物がケイ素結合水素原子を含む場合、官能性化合物はエチレン性不飽和基を含み、有機ケイ素化合物がケイ素結合エチレン性不飽和基を含む場合、官能性化合物は、ケイ素結合水素原子を含む。
【0009】
コポリマーも提供される。コポリマーは、分岐状有機ケイ素化合物と、分岐状有機ケイ素化合物と反応する第2の化合物との反応生成物を含む。
【0010】
コポリマーの調製方法が更に提供され、分岐状有機ケイ素化合物と、分岐状有機ケイ素化合物と反応する第2の化合物とを反応させて、コポリマーを得ることを含む。
【0011】
組成物も提供される。組成物は、分岐状有機ケイ素化合物及びコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
分岐状有機ケイ素化合物は、一般式
【化3】
[式中、各R
1は、R及び-OSi(R
4)
3から選択され、ただし、少なくとも1つのR
1は、-OSi(R
4)
3であり、各R
4は、R、-OSi(R
5)
3、及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、0≦m≦100であり、各R
5は、R、-OSi(R
6)
3、及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、mは上記で定義され、各R
6は、R及び-[OSiR
2]
mOSiR
3から選択され、式中、mは上記で定義され、ただし、R
4、R
5、及びR
6のうちの少なくとも1つは、-[OSiR
2]
mOSiR
3であり、式中、mは上記で定義され、Xは二価連結基であり、Yは式(I)~(III)のうちの1つから選択され、
【化4】
-[R
2SiO]
n-SiR
2R
3(III);
式中、各Rは、独立して選択される置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各D
1は、独立して選択される二価炭化水素基であり、各下付き文字aは、独立して、0又は1であり、各下付き文字bは、独立して、0又は1であり、各下付き文字eは、独立して、1又は2であり、各下付き文字fは、独立して、0又は1であり、ただし、fが1のとき、bは1であり、下付き文字tは、≧0であり、下付き文字uは、>0であり、0≦n≦10であり、R
3は、ハロゲン原子、アクリルオキシ官能性部分、アルコキシシリル官能性部分、又はエポキシ官能性部分を含む]を有する。
【0013】
各Rは独立して選択され、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組み合わせであってもよい。環状ヒドロカルビル基は、アリール基、及び飽和又は非共役環状基を包含する。環状ヒドロカルビル基は、単環式であっても多環式であってもよい。直鎖状及び分岐状ヒドロカルビル基は独立して、飽和であっても不飽和であってもよい。直鎖状及び環状ヒドロカルビル基の組み合わせの一例は、アラルキル基である。「置換」とは、1個以上の水素原子が水素以外の原子(例えば、塩素、フッ素、臭素などのハロゲン原子)で置き換えられ得ること、又は、Rの鎖内の炭素原子が炭素以外の原子で置き換えられ得ること、すなわち、Rが鎖内に酸素、硫黄、窒素などのヘテロ原子を1個以上含み得ることを意味する。好適なアルキル基は、メチル、エチル、プロピル(例えばイソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えばイソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えばイソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、へキシル、並びに6個の炭素原子を有する分岐状飽和炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。好適なアリール基は、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル、ベンジル、及びジメチルフェニルによって例示されるが、これらに限定されない。好適なアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、及びシクロヘキセニル基が挙げられる。好適な一価ハロゲン化炭化水素基としては、1~6個の炭素原子を有するハロゲン化アルキル基又は6~10個の炭素原子を有するハロゲン化アリール基が挙げられるが、これらに限定されない。好適なハロゲン化アルキル基は、1個以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられた上述のアルキル基によって例示されるが、これらに限定されない。例えば、フルオロメチル、2-フルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、4,4,4-トリフルオロブチル、4,4,4,3,3-ペンタフルオロブチル、5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3-ノナフルオロヘキシル、及び8,8,8,7,7-ペンタフルオロオクチル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロブチル、3,4-ジフルオロシクロヘキシル、及び3,4-ジフルオロ-5-メチルシクロヘプチル、クロロメチル、クロロプロピル、2-ジクロロシクロプロピル、及び2,3-ジクロロシクロペンチルは、好適なハロゲン化アルキル基の例である。好適なハロゲン化アリール基は、1個以上の水素原子がF又はClなどのハロゲン原子で置き換えられた上述のアリール基によって例示されるが、これらに限定されない。例えば、クロロベンジル及びフルオロベンジルは、好適なハロゲン化アリール基である。
【0014】
具体的な実施形態では、各Rは、独立して、1~10個、あるいは1~8個、あるいは1~6個、あるいは1~4個、あるいは1~3個、あるいは1個~2個、あるいは1個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0015】
各R1は、R及び-OSi(R4)3から選択され、ただし、少なくとも1つのR1は、-OSi(R4)3である。特定の実施形態では、R1のうちの少なくとも2つは、-OSi(R4)3である。具体的な実施形態では、R1の3つ全てが、-OSi(R4)3である。より多数のR1が-OSi(R4)3である場合、有機ケイ素化合物は、より高レベルの分岐を有する。例えば、各R1が-OSi(R4)3であり、Si-X結合がケイ素-炭素結合である場合、各R1が結合しているケイ素原子は、Tシロキシ単位である。あるいは、R1のうちの2つが-OSi(R4)3であり、Si-X結合がケイ素-炭素結合である場合、各R1が結合しているケイ素原子は、Dシロキシ単位である。
【0016】
各R4は、R、-OSi(R5)3、及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、式中、0≦m≦100である。R4及びR5の選択に応じて、更なる分岐が分岐状有機ケイ素化合物中に存在し得る。例えば、各R4がRである場合、各-OSi(R4)3部分は、末端Mシロキシ単位である。言い換えれば、各R1が-OSi(R4)3であり、各R4がRである場合、各R1はOSiR3として記載され得、各R1はMシロキシ単位である。このような実施形態では、分岐状有機ケイ素化合物は、3つのMシロキシ単位で封鎖されたTシロキシ単位(Xが結合される)を含む。R4が-[OSiR2]m-OSiR3である場合、R4は、任意選択のDシロキシ単位(すなわち、下付き文字mによって示される部分におけるシロキシ単位)、及びMシロキシ単位(-OSiR3によって表される)を含む。したがって、例えば、各R1が-OSi(R4)3であり、各R4が-[OSiR2]m-OSiR3である場合、各R1は、Qシロキシ単位を含む。このような実施形態では、各R1は、式-[OSiR2]m-OSiR3)3のものである。各mが0である場合、各R1は、3つのMシロキシ単位で末端保護されたQシロキシ単位である。mが0を超える場合、各R1は直鎖状部分を含み、mに起因する重合度を有する。この直鎖状部分は存在する場合、概してジオルガノシロキサン部分である。
【0017】
下付き文字mは、0~100、あるいは0~80、あるいは0~60、あるいは0~40、あるいは0~20、あるいは0~19、あるいは0~18、あるいは0~17、あるいは0~16、あるいは0~15、あるいは0~14、あるいは0~13、あるいは0~12、あるいは0~11、あるいは0~10、あるいは0~9、あるいは0~8、あるいは0~7、あるいは0~6、あるいは0~5、あるいは0~4、あるいは0~3、あるいは0~2、あるいは0~1、あるいは0である。典型的には、各下付き文字mは、分岐状有機ケイ素化合物の分岐状部分がDシロキシ単位を含まないよう、0である。
【0018】
上記のように、各R4はまた、-OSi(R5)3であってもよい。このような実施形態では、R5の選択に応じて、更なる分岐が分岐状有機ケイ素化合物中に存在し得る。各R5は、R、-OSi(R6)3、及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、式中、mは上記で定義され、式中、各R6は、R及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、式中、mは上記で定義されている。R4、R5、及びR6のうちの少なくとも1つは、-[OSiR2]mOSiR3であり、式中、mは上記で定義されている。各R1が式-OSi(R4)3のものであり、R4が式-OSi(R5)3のものである場合、更なるシロキサン結合及び分岐が分岐状有機ケイ素化合物中に存在する。これは更に、R5が-OSi(R6)3である事例になる。
【0019】
特に、分岐状有機ケイ素化合物中の各後続のR部分により、更なる世代の分岐をもたらすことができる。例えば、R1は式-OSi(R4)3のものであってもよく、R4は式-OSi(R5)3のものであってもよく、R5は-OSi(R6)3のものであってもよい。したがって、各置換基の選択に応じて、T及び/又はQシロキシ単位に起因する更なる分岐が分岐状有機ケイ素化合物中に存在し得る。
【0020】
重要なことに、R、R1、R4、R5、及びR6の各々は、独立して選択される。したがって、これらの置換基の各々に関する上記の説明は、各置換基が同じであることを意味するとするものでもなく、示すものでもない。R1に関する上記の任意の説明は、分岐状有機ケイ素化合物中の1つのみのR1に関する場合があり、又は任意の数のR1に関する場合などがある。
【0021】
加えて、R、R1、R4、R5、及びR6の異なる選択により、同じ構造をもたらすことができる。例えば、R1が-OSi(R4)3であり、各R4が-OSi(R5)3であり、R5がRである場合、R1は、-OSi(OSiR3)3と記述することができる。同様に、R1が-OSi(R4)3であり、各R4が-[OSiR2]mOSiR3であり、式中、mが0である場合、R1は、-OSi(OSiR3)3と記述することができる。これにより、R4についての異なる選択に基づいてR1について同じ構造が得られる。それに向け、R4、R5、及びR6のうちの少なくとも1つは、-[OSiR2]mOSiR3である。しかし、mが0である場合、この条件は、代替選択によって本質的に満たされ得る。例えば、上述のように、各R4が-OSi(R5)3であり、各R5がRである場合、R1は、-OSi(OSiR3)3と記述することができ、これは、R1が-OSi(R4)3であり、各R4が-[OSiR2]mOSiR3であり、式中、mが0である場合と同じである。代替選択により、条件に要求されるものと同じ構造が得られる場合であっても、それを、条件が満たされるとみなす。
【0022】
特定の実施形態では、各R1は、-OSi(R4)3である。各R1が-OSi(R4)3である具体的な実施形態では、少なくとも1つのR4は-[OSiR2]mOSiR3であり、式中、mは0である。mが0であることから、少なくとも1つのR4は-OSiR3である。これは、少なくとも1つのR4が-OSi(R5)3であり、各R5がRである場合と同じ構造である。いずれの選択によっても、少なくとも1つのR4は-OSiR3になる。したがって、少なくとも1つのR4が-OSi(R5)3であり、各R5がRである場合もまた、R4のうちの少なくとも1つは-[OSiR2]mOSiR3であり、式中、mは0であると考える。
【0023】
同じことが、分岐状有機ケイ素化合物中の更なる世代の分岐について当てはまる。例えば、R4及びR5に関連する異なる選択により、上記の同じ構造を得ることができるのとまさに同様に、R5及びR6についての異なる選択により同様に、同じ構造を得ることができる。
【0024】
特定の実施形態では、各R
1は、-OSi(R
4)
3である。各R
1が-OSi(R
4)
3である具体的な実施形態では、各R
1が-OSiR(R
4)
2になるよう、各-OSi(R
4)
3において1つのR
4はRである。更なる具体的な実施形態では、分岐状有機ケイ素化合物が以下の構造
【化5】
(式中、Rは、独立して選択され、上記で定義され、各R
5は、独立して選択され、上記で定義され、X及びYは上記で定義される。)を有するように、-OSiR(R
4)
2中の2つのR
4はそれぞれ-OSi(R
5)
3部分である。特定の実施形態では、各R
5はRであり、各Rはメチルである。
【0025】
上述したように、同じ構造の分岐状有機ケイ素化合物を、異なる選択から得ることができる。例えば、上記例示と同じ分岐状有機ケイ素化合物は、以下の選択により得られる:各R1は-OSi(R4)3であり、式中、1つのR4はRであり、R4のうちの2つは-[OSiR2]mOSiR3であり、式中、mは0である。したがって、上記例示の構造において、R4、R5、及びR6のうちの少なくとも1つは-[OSiR2]mOSiR3であるとの条件が、得られる構造に達するために利用されるR4及びR5の選択とは無関係に満たされる。
【0026】
他の実施形態では、1つのR
1はRであり、R
1のうちの2つは-OSi(R
4)
3である。R
1のうちの2つが-OSi(R
4)
3である具体的な実施形態では、R
1のうちの2つが-OSiR(R
4)
2になるよう、各-OSi(R
4)
3において1つのR
4がRである。更なる具体的な実施形態では、分岐状有機ケイ素化合物が以下の構造
【化6】
(式中、Rは、独立して選択され、上記で定義され、各R
5は、独立して選択され、上記で定義され、X及びYは上記で定義される。)を有するように、-OSiR(R
4)
2中の2つのR
4はそれぞれ-OSi(R
5)
3である。特定の実施形態では、各R
5はRであり、各Rはメチルである。
【0027】
上述したように、同じ構造の分岐状有機ケイ素化合物を、異なる選択から得ることができる。例えば、上記例示と同じ分岐状有機ケイ素化合物は、以下の選択により得られる:1つのR1はRであり、R1のうちの2つは-OSi(R4)3であり、各-OSi(R4)3において、1つのR4はRであり、R4のうちの2つは-[OSiR2]mOSiR3であり、式中、mは0である。したがって、上記例示の構造において、R4、R5、及びR6のうちの少なくとも1つは-[OSiR2]mOSiR3であるとの条件が、得られる構造に達するために利用されるR4及びR5の選択とは無関係に満たされる。
【0028】
更に他の実施形態では、R
1のうちの2つはRであり、1つのR
1は-OSi(R
4)
3である。R
1のうちの1つが-OSi(R
4)
3である具体的な実施形態では、この特定のR
1が-OSiR(R
4)
2になるよう、-OSi(R
4)
3において1つのR
4がRである。更なる具体的な実施形態では、分岐状有機ケイ素化合物が以下の構造
【化7】
(式中、Rは、独立して選択され、上記で定義され、各R
5は、独立して選択され、上記で定義され、X及びYは上記で定義される。)を有するように、-OSiR(R
4)
2中の各R
4は-OSi(R
5)
3である。特定の実施形態では、各R
5はRであり、各Rはメチルである。
【0029】
上述したように、同じ構造の分岐状有機ケイ素化合物を、異なる選択から得ることができる。例えば、上記例示と同じ分岐状有機ケイ素化合物は、以下の選択により得られる:R1はのうちの2つはRであり、R1のうちの1つは-OSi(R4)3であり、-OSi(R4)3において、1つのR4はRであり、R4のうちの2つは-[OSiR2]mOSiR3であり、式中、mは0である。したがって、上記例示の構造において、R4、R5、及びR6のうちの少なくとも1つは-[OSiR2]mOSiR3であるとの条件が、得られる構造に達するために利用されるR4及びR5の選択とは無関係に満たされる。
【0030】
上記の例示的な構造では、各R5はRであり、各Rはメチルである。しかしながら、R5がR以外である場合、すなわち、R5がOSi(R6)3及び-[OSiR2]mOSiR3(式中、mは上記で定義されている)から選択される場合、更なる世代の分岐を分岐状有機ケイ素化合物に導入することができる。式中、各R6は、R及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、式中、mは上記で定義されている。
【0031】
上記のように、Xは二価連結基である。Xは、概して、分岐状有機ケイ素化合物を調製するのに利用される機構と相関している。特定の実施形態では、例えば、分岐状有機ケイ素化合物がヒドロシリル化によって調製される場合、Xは二価炭化水素基である。Xが二価炭化水素基である場合、Xは、典型的には、2~18個の炭素原子を有し、その中/上に置換基及び/又はヘテロ原子を含み得る。例えば、Xは、Xがエーテル部分を含むよう、1個以上の酸素ヘテロ原子を含み得る。あるいは、Xは単に、他のものがない炭化水素を含み得る。
【0032】
Yは、上記の式(I)~(III)のうちの1つから選択される。特定の実施形態では、Yは、式(I)を有する。他の実施形態では、Yは、式(II)を有する。更に他の実施形態では、Yは、式(III)を有する。
【0033】
式(I)及び(II)において、各下付き文字aは、独立して0~2、あるいは0~1である。典型的には、下付き文字aは0である。いくつかの実施形態では、各下付き文字aは0である。
【0034】
一般式(I)に関して、各下付き文字bは、独立して0又は1である。いくつかの実施形態では、各下付き文字bは0である。他の実施形態では、各下付き文字bは1である。各下付き文字eは、独立して、1又は2である。いくつかの実施形態では、各下付き文字eは1である。他の実施形態では、各下付き文字eは2である。各下付き文字fは、独立して、0又は1であり、たたし、fが1のとき、bは1である。いくつかの実施形態では、各下付き文字fは0である。他の実施形態では、各下付き文字fは1であり、したがって各bは1である。
【0035】
式(II)に関して、下付き文字tは≧0である。特定の実施形態では、下付き文字tは、1~100、例えば、0~80、あるいは0~60、あるいは0~30、あるいは0~10、あるいは0~5である。下付き文字uは、>0である。特定の実施形態では、下付き文字uは、1~20、例えば、1~15、あるいは1~10、あるいは1~7、あるいは1~5、あるいは1~3である。
【0036】
各D1は、独立して選択される、2~18個の炭素原子、あるいは2~16個の炭素原子、あるいは2~14個の炭素原子、あるいは2~12個の炭素原子、あるいは2~10個の炭素原子、あるいは2~8個の炭素原子、あるいは2~6個の炭素原子、あるいは2~4個の炭素原子、あるいは2個又は3個の炭素原子、あるいは2個の炭素原子を有する二価炭化水素基である。各D1は、独立して、直鎖状であっても分岐状であってもよい。例えば、D1が2個の炭素原子を有する場合、D1は、式C2H4を有し、直鎖状(CH2CH2)であっても分岐状(CHCH3)であってもよい。特定の実施形態では、D1は直鎖状である。具体的な実施形態では、各D1は、C2H4である。
【0037】
式(III)に関して、R3は、ハロゲン原子、アクリルオキシ官能性部分、アルコキシシリル官能性部分、又はエポキシ官能性部分を含む。R3はこれらの原子又は部分のうちの1つを含むため、R3は、R3が結合しているケイ素原子間に二価連結基を任意選択的に含むことができる。ケイ素原子とR3のハロゲン原子、アクリルオキシ官能性部分、アルコキシシリル官能性部分、又はエポキシ官能性部分との間の任意選択の二価連結基は、置換及び非置換の炭化水素基、エーテル基、シロキサン基、シリル基、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0038】
特定の実施形態では、R3は、ハロゲン原子を含む。ハロゲン原子は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、及びアスタチン(At)、あるいは塩素及び臭素、あるいは塩素から選択される。具体的な実施形態では、R3はハロゲン原子である。このような実施形態では、ハロゲン原子はケイ素結合ハロゲン原子であり、R3は、任意の二価連結基を含まない。あるいは、R3は、例えば、アルキル基が二価連結基である、アルキルクロリドを含み得る。R3がハロゲン原子である場合、ケイ素結合ハロゲン原子は加水分解性であるため、R3は加水分解性基であり得る。
【0039】
他の実施形態では、R
3は、式
【化8】
[式中、R
8は、独立して、ヒドロカルビル基及びHから選択される]を有するアクリルオキシ基を含む。いくつかのこのような実施形態では、R
8は、H又は-CH
3である。R
3がアクリルオキシ基を含む場合、R
3は、典型的には、アクリルオキシ基の酸素ヘテロ原子とR
3が結合しているケイ素原子との間に二価炭化水素基を含む。いくつかのこのような実施形態では、二価炭化水素基は、一般式-(CH
2)
d-を有するアルキレン基を含む、あるいはアルキレン基であり、式中、下付き文字dは2~6である。二価炭化水素基は、エーテル部分を含んでもよい。
【0040】
更に他の実施形態では、R
3はエポキシ官能性部分を含む。これらの実施形態では、R
3は、エポキシド基を含む。好適なエポキシド基の具体例としては、式
【化9】
又は式
【化10】
のものが挙げられる。
上記アクリロキシ官能基と同様に、R
3がアクリルオキシ基を含む場合、R
3は、典型的には、エポキシド基とR
3が結合しているケイ素原子との間に二価炭化水素基を含む。いくつかのこのような実施形態では、二価炭化水素基は、一般式-(CH
2)
g-を有するアルキレン基を含む、あるいはアルキレン基であり、式中、下付き文字gは2~10である。他の実施形態では、二価炭化水素基は、2~10個の炭素原子を含み、少なくとも1つのエーテル部分、すなわち、少なくとも1つの酸素ヘテロ原子を含む。
【0041】
R3がエポキシ官能性部分を含む特定の実施形態では、R3の具体例には、3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、又は同様のグリシドキシアルキル基;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、又は同様のエポキシシクロヘキシルアルキル基;及び4-オキシラニルブチル基、8-オキシラニルオクチル基が含まれる。
【0042】
特定の実施形態では、R
3は、式
【化11】
[式中、各Rは、独立して選択され、上記定義のとおりであり、下付き文字c’は、0、1、又は2である]を有するアルコキシシリル基を含む。いくつかのこのような実施形態では、各Rは、-CH
3である。これらの又は他の実施形態では、下付き文字c’は0である。いくつかのこのような実施形態では、二価炭化水素基は、一般式-(CH
2)
g-を有するアルキレン基を含む、あるいはアルキレン基であり、式中、下付き文字gは2~10である。他の実施形態では、二価炭化水素基は、2~10個の炭素原子を含み、少なくとも1つのエーテル部分、すなわち、少なくとも1つの酸素ヘテロ原子を含む。
【0043】
分岐状有機ケイ素化合物の調製方法
分岐状有機ケイ素化合物の調製方法(「本調製方法」)も提供される。本調整方法は、ヒドロシリル化触媒の存在下、有機ケイ素化合物と官能性化合物とを反応させて、分岐状有機ケイ素化合物を得ることを含む。
【0044】
本明細書の説明を考慮すれば当業者には理解されるように、本調製方法に利用される有機ケイ素化合物は、下位式R1
3Si-によって表される有機ケイ素部分に対応する分岐状有機ケイ素化合物の一部分を形成し、本調製方法に利用される官能性化合物は、部分Yに対応する分岐状有機ケイ素化合物の一部分を形成する。
【0045】
有機ケイ素化合物の二価連結基Xは、概して、有機ケイ素化合物と官能性化合物との反応によって調製方法中に形成される。これは、分岐状有機ケイ素化合物のYが式(I)又は(II)のうちの1つを有する場合である。より具体的には、本明細書の説明を考慮して理解されるように、本調製方法は、全般に、ヒドロシリル化反応を介して有機ケイ素化合物と官能性化合物とを一緒にカップリングすることを含む。したがって、有機ケイ素化合物及び官能性化合物は各々、化合物のヒドロシリル化カップリングを促進するように選択される、ヒドロシリル化可能な基を含む。言い換えれば、また以下に更に詳細に記載されるように、有機ケイ素化合物及び官能性化合物のうちの一方は、エチレン性不飽和基を含み、他方はケイ素結合水素原子を含む。これらのヒドロシリル化が可能な基のヒドロシリル化は、まとめて、分岐状有機ケイ素の二価連結基Xを形成する。本明細書の説明を考慮することで当業者には理解されるように、ヒドロシリル化が可能な基は、二価連結基X全体を形成する必要はなく、その代わりにその一部分を形成してもよい。
【0046】
他の実施形態では、分岐状有機ケイ素化合物のYが式(III)である場合、分岐状有機ケイ素化合物のR3は、有機ケイ素化合物と官能性化合物との間の反応の結果として分岐状有機ケイ素化合物を調製するときに形成され得る。利用される有機ケイ素化合物に応じて、有機ケイ素化合物は、部分-[R2SiO]n-SiR2-を含むことができ、末端Siは、官能性化合物との反応後にR3の一部となるヒドロシリル化可能な基を含む。
【0047】
概して、官能性化合物がエチレン性不飽和基を含む場合、有機ケイ素化合物はケイ素結合水素原子を含み、官能性化合物がケイ素結合水素原子を含む場合、有機ケイ素化合物はケイ素結合エチレン性不飽和基を含む。これらの2つの状況間の特定の選択は、例えば、調製される特定の分岐状有機ケイ素化合物、利用される特定の有機ケイ素化合物、及び/又は利用される特定の官能性化合物を考慮して、当業者によってなされる。この選択に利用され得る具体的な要因としては、本明細書に記載の様々な有機ケイ素化合物及び官能性化合物の立体要因、電子要因、反応性、調製の容易さ、及び/又は市販の入手可能性が挙げられる。
【0048】
有機ケイ素化合物
有機ケイ素化合物は、一般式(V):
【化12】
[式中、下位式R
1
3Si-によって表される有機ケイ素部分は、分岐状有機ケイ素化合物に関して上記定義のとおりであり、部分R
7は、ヒドロシリル化可能な基を含み、あるいはヒドロシリル化可能な基である]を有する。
【0049】
より具体的には、上記式(V)を参照すると、各R1は、概して、R及び-OSi(R4)3から選択され、ただし、少なくとも1つのR1は、-OSi(R4)3であり、各R4は、R、-OSi(R5)3、及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、各R5は、R、-OSi(R6)3、及び-[OSiR2]mOSiR3から選択され、各R6は、-[OSiR2]mOSiR3から選択され、ただし、R4、R5、及びR6のうちの少なくとも1つは、-[OSiR2]mOSiR3である。各出現において、各Rは、独立して、置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各下付き文字mは、0≦m≦100となるよう選択される。上記にもかかわらず、当業者であれば、上記分岐状有機ケイ素化合物の説明を考慮して、有機ケイ素部分R1
3Si-の限定の特定の変形を容易に理解する。
【0050】
式(V)の有機ケイ素化合物を引き続き参照して、また本明細書の説明を考慮して理解されるように、R7はヒドロシリル化可能な基のうちの1つを含み、これにより、まとめて、分岐状有機ケイ素の二価連結基Xが形成される。特に、R7は、Hであってもよく、若しくはケイ素結合水素原子を含んでもよく、又は、R7は、エチレン性不飽和基を含んでもよい。上に記載したとおり、R7がHである、又はケイ素結合水素原子を含む場合、官能性化合物はエチレン性不飽和基を含む。同様に、R7がエチレン性不飽和基を含む場合、官能性化合物はケイ素結合水素原子を含む。具体的な実施形態では、R7はHであり、そのため、有機ケイ素化合物は一般式(R1)3SiHを有し、各R1は独立して選択され、上記定義のとおりである。他の実施形態では、R7は、ケイ素結合水素原子又はエチレン性不飽和基を含む。
【0051】
エチレン性不飽和基の例としては、概して、少なくとも1つのアルケン官能基又はアルキン官能基を有する置換又は非置換炭化水素基が挙げられる。例えば、特定の実施形態では、R7は、アルケニル基又はアルキニル基を含み、あるいは、アルケニル基又はアルキニル基である。その具体例としては、H2C=CH-、H2C=CHCH2-、H2C=CHCH2CH2-、H2C=CH(CH2)3-、H2C=CH(CH2)4-、H2C=C(CH3)-、H2C=C(CH3)CH2-、H2C=C(CH3)CH2CH2-、H2C=C(CH3)CH2CH(CH3)-、H2C=C(CH3)CH(CH3)CH2-、H2C=C(CH3)C(CH3)2-、HC≡C-、HC≡CCH2-、HC≡CCH(CH3)-、HC≡CC(CH3)2-、及びHC≡CC(CH3)2CH2-が挙げられる。
【0052】
特定の実施形態では、R7は、一般式-[D2]h-R9[式中、各D2は、独立して選択される二価基であり、下付き文字hは、0、又は1~10であり、R9は、ケイ素結合水素原子又は式-(R10)CCH2のアルケニル基であり、式中、R10は、1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、シリル基、又はHである]を有するヒドロシリル化可能部分を含む。特定の実施形態では、R10は、H又は-CH3である。これらの又は他の実施形態では、下付き文字h≧1であり、D2は、置換及び非置換炭化水素基、シロキサン基、シリル基、及びこれらの組み合わせから選択される。具体的な実施形態では、下付き文字hは1であり、D2は、式-[OSi(R)2]nOSi(R)2-[式中、各Rは独立して選択され、上記定義のとおりであり、0≦n≦10であり、R9はH(すなわち、ケイ素結合水素原子)である]を有する部分を含む。いくつかの実施形態では、R7は、一般式-X1-[OSi(R)2]nOSi(R)2-R9[式中、X1は二価連結基であり、0≦n≦10であり、各R及びR9は独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。いくつかのこのような実施形態では、X1は、一般式-(CH2)d-[式中、下付き文字dは、2~6であり、R9はH(すなわち、ケイ素結合水素原子)である]を有するアルキレン基を含む、あるいはそれである。
【0053】
分岐状有機ケイ素化合物の説明から理解されるように、別段の指示がない限り、それは本調製方法に等しく当てはまることが理解され、存在する場合、R、R1、R4、R5、及びR6の各々、並びに下付き文字mの選択は限定されず、上述のような分岐状有機ケイ素化合物を調製するのに必要な任意の及び全ての選択並びに選択の組み合わせを含む。例えば、特定の実施形態では、有機ケイ素化合物は、一般式(V)を有し、式中、各R1は、独立して、式-OSi(R4)3[式中、少なくとも1つのR4は、-[OSiR2]mOSiR3であり、各R及びmは、独立して選択され、上記定義のとおりである]のものである。
【0054】
これらの又は他の実施形態では、有機ケイ素化合物は、一般式
【化13】
[式中、各R、R
5、及びR
7は、独立して選択され、上記定義のとおりであり、下付き文字jは、0、1、又は2である]を有する。いくつかのこのような実施形態では、下付き文字jは0であり、その結果、有機ケイ素化合物は一般式
【化14】
[式中、各R、R
5、及びR
7は、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。他のこのような実施形態では、下付き文字jは1であり、その結果、有機ケイ素化合物は一般式
【化15】
[式中、各R、R
5、及びR
7は、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。更に他のこのような実施形態では、下付き文字jは2であり、その結果、有機ケイ素化合物は一般式
【化16】
[式中、各R、R
5、及びR
7は、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。
【0055】
官能性化合物
官能性化合物は、一般式R7-Y1を有し、式中、R7は、ケイ素結合水素原子又はエチレン性不飽和基を含み、Y1は、以下に更に詳細に記載される官能性部分である。
【0056】
有機ケイ素化合物に関して上に記載したとおり、官能性化合物のR7はヒドロシリル化可能な基のうちの一方を含み、まとめて、分岐状有機ケイ素の二価連結基Xを形成する。したがって、官能性化合物のR7は、ケイ素結合水素原子又はエチレン性不飽和基を含み得る。同様に、官能性化合物のR7がケイ素結合水素原子を含む場合、有機ケイ素化合物はエチレン性不飽和基を含む。同様に、官能性化合物のR7がエチレン性不飽和基を含む場合、有機ケイ素化合物はケイ素結合水素原子を含む。
【0057】
官能性化合物のR7に好適なヒドロシリル化可能な基の具体例としては、有機ケイ素化合物に関して上述したものが挙げられる。例えば、特定の実施形態では、官能性化合物のR7は、上記のもののいずれかなどのアルケニル基若しくはアルキニル基を含む、あるいはアルケニル基若しくはアルキニル基である。別の例として、特定の実施形態では、官能性化合物のR7は、一般式R9-[D2]h-[式中、各D2は、独立して選択される二価基であり、下付き文字hは、0又は1~10であり、R9は、ケイ素結合水素原子又は式CH2C(R10)-のアルケニル基であり、式中、R10は、1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、シリル基、又はHである]を有する、ヒドロシリル化可能部分を含む。いくつかの実施形態では、官能性化合物のR7は、一般式R9-Si(R)2O[Si(R)2O]n-X1-[式中、X1は二価連結基であり、0≦n≦10であり、各R及びR9は独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。いくつかのこのような実施形態では、X1は、一般式-(CH2)d-[式中、下付き文字dは、2~6であり、R9はH(すなわち、ケイ素結合水素原子)である]を有するアルキレン基を含む、あるいはそれである。
【0058】
上に記載したように、官能性化合物のY1は官能性部分である。官能性部分は、概して、上述の分岐状有機ケイ素化合物の部分Yに相当する。しかしながら、本明細書の説明を考慮して理解されるように、分岐状有機ケイ素化合物を調製するために、概して、官能性化合物の、特に官能性化合物のY1及びR7中の変化を利用してもよい。
【0059】
特定の実施形態では、官能性化合物のY
1は、式(I)及び(II)のうちの1つから選択され、
【化17】
式中、各Rは、独立して選択される置換又は非置換のヒドロカルビル基であり、各D
1は、独立して選択される二価炭化水素基であり、各下付き文字aは、独立して、0又は1であり、各下付き文字bは、独立して、0又は1であり、各下付き文字eは、独立して、1又は2であり、各下付き文字fは、独立して、0又は1であり、ただし、fが1のとき、bは1であり、下付き文字tは≧0であり、下付き文字uは>0である。
【0060】
特定の実施形態では、Y
1は式(I)を有し、R
7はHである(すなわち、R
7はケイ素結合水素原子である)。このような実施形態では、官能性化合物は、式(VI)
【化18】
[式中、各R、D
1、下付き文字a、下付き文字b、下付き文字e及び下付き文字fは、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。
【0061】
特定の実施形態では、Y
1は式(II)を有し、R
7はHである(すなわち、R
7はケイ素結合水素原子である)。このような実施形態では、官能性化合物は、式(VII)
【化19】
[式中、各R、D
1、下付き文字t及び下付き文字uは、独立して選択され、上記定義のとおりである]を有する。
【0062】
全般的な実施形態では、官能性化合物のY1は、式(I)及び(II)の部分に限定されるものではなく、代わりにハロゲン部分、アクリルオキシ部分、アルコキシシリル部分、エポキシ部分、及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0063】
特定の実施形態では、Y1は、一般式-[D3]i-R3を有し、式中、D3は二価の基であり、下付き文字iは0又は1であり、R3は、ハロゲン原子、アクリルオキシ基、アルコキシシリル基、又はエポキシド基である。D3に好適な二価連結基の例(すなわち、下付き文字iが1である場合)の例としては、置換及び非置換の炭化水素基、シロキサン基、シリル基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、D3は、式-[OSi(R)2]nOSi(R)2-を有する部分を含む、あるいは部分であり、式中、各Rは独立して選択され、上記で定義したとおりであり、0≦n≦10である。いくつかのこのような実施形態では、D3は、一般式-(CH2)d-(式中、下付き文字dは、2~6である。)を有するアルキレン基を含む、あるいはアルキレン基である。いくつかの実施形態では、D3はエーテルを含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、R
3は、塩素又は臭素である。他の実施形態では、R
3は、式
【化20】
[式中、R
8は、独立して、ヒドロカルビル基及びHから選択される]を有するアクリルオキシ基である。いくつかのこのような実施形態では、R
8は、H又は-CH
3である。特定の実施形態では、R
3は、式
【化21】
[式中、各Rは、独立して選択され、上記定義のとおりであり、下付き文字c’は、0、1、又は2である]を有するアルコキシシリル基である。いくつかのこのような実施形態では、各Rは、-CH
3である。これらの又は他の実施形態では、下付き文字c’は0である。特定の実施形態では、R
3は、以下の式
【化22】
又は式
【化23】
を有するエポキシド基である。
【0065】
特定の実施形態では、官能性化合物は、一般式:R7-[Si(R)2O]n-Si(R)2-R3を有し、式中、各R、R3、及びR7は、独立して選択され、上記定義のとおりであり、0≦n≦10である。いくつかのこのような実施形態では、R7はH(すなわち、ケイ素結合水素原子)である。他の実施形態では、官能性化合物は、一般式R7-[CH2]n’-[O]m’-[CH2]o’-R3を有し、式中、R3は独立して選択され、上記定義のとおりであり、R7は、アルケニル基又はアルキニル基であり、下付き文字n’は、0又は1~4であり、下付き文字m’は、0又は1であり、下付き文字o’は0又は1~4である。
【0066】
ヒドロシリル化触媒
ヒドロシリル化触媒は限定されず、ヒドロシリル化反応を触媒するための任意の既知のヒドロシリル化触媒であってもよい。異なるヒドロシリル化触媒の組み合わせを使用してもよい。
【0067】
特定の実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、第VIII族~第XI族遷移金属を含む。第VIII族~第XI族遷移金属には、最新のIUPAC命名法を参照する。第VIII族遷移金属は、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、及びハシウム(Hs)であり、第IX族遷移金属は、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、及びイリジウム(Ir)であり、第X族遷移金属は、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、及び白金(Pt)であり、第XI族遷移金属は、銅(Cu)、銀(Ag)、及び金(Au)である。これらの組み合わせ、これらの錯体(例えば、有機金属錯体)、及びこのような金属の他の形態を、ヒドロシリル化触媒として使用してもよい。
【0068】
ヒドロシリル化触媒に好適な触媒の更なる例としては、レニウム(Re)、モリブデン(Mo)、第IV族遷移金属(即ち、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、及び/又はハフニウム(Hf))、ランタニド、アクチニド、並びに第I族及び第II族金属錯体(例えば、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、ストロンチウム(Sr)などを含むもの)が挙げられる。これらの組み合わせ、これらの錯体(例えば、有機金属錯体)、及びこのような金属の他の形態を、ヒドロシリル化触媒として使用してもよい。
【0069】
ヒドロシリル化触媒は、任意の好適な形態であってもよい。例えば、ヒドロシリル化触媒は固体であってもよく、その例としては、白金系触媒、パラジウム系触媒、及び同様の貴金属系触媒、並びにまたニッケル系触媒が挙げられる。その具体例としては、ニッケル、パラジウム、白金、ロジウム、コバルト、及び同様の元素、並びにまた白金-パラジウム、ニッケル-銅-クロム、ニッケル-銅-亜鉛、ニッケル-タングステン、ニッケル-モリブデン、及び複数の金属の組み合わせを含む同様の触媒が挙げられる。固体触媒の更なる例としては、Cu-Cr、Cu-Zn、Cu-Si、Cu-Fe-AI、Cu-Zn-Ti、及び同様の銅含有触媒などが挙げられる。
【0070】
ヒドロシリル化触媒は、固体担体中又は固体担体上に存在してもよい。担体の例としては、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト、及びその他の無機粉末/粒子(例えば硫酸ナトリウム)などが挙げられる。ヒドロシリル化触媒はまた、例えば、ヒドロシリル化触媒を可溶化する溶媒、又は、単にヒドロシリル化触媒を担持しているが可溶化しないビヒクルにおいて付着させてもよい。このようなビヒクルは、当該技術分野において既知である。
【0071】
具体的な実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、白金を含む。これらの実施形態では、ヒドロシリル化触媒は、例えば、白金黒、白金化合物(塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、塩化白金酸と一価アルコールとの反応生成物、白金ビス(エチルアセトアセテートなど)、白金ビス(アセチルアセトネート)、白金クロライドなど)、及びこのような化合物のオレフィン又はオルガノポリシロキサンとの錯体、並びにマトリックス又はコアシェル型化合物内にマイクロカプセル化された白金化合物により例示される。マイクロカプセル化ヒドロシリル化触媒及びその調製方法は、米国特許第4,766,176号及び同第5,017,654号に例示されるように、当該技術分野において既知であり、これらは、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
ヒドロシリル化触媒として使用するのに好適なオルガノポリシロキサンの白金錯体としては、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体が挙げられる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されていてもよい。あるいは、ヒドロシリル化触媒は、1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンの白金錯体を含んでもよい。ヒドロシリル化触媒は、塩化白金酸を、ジビニルテトラメチルジシロキサンなどの脂肪族不飽和有機ケイ素化合物、又はアルケン-白金-シリル錯体と反応させることを含む方法によって調製され得る。アルケン-白金-シリル錯体は、例えば、0.015モルの(COD)PtCl2を、0.045モルのCOD及び0.0612モルのHMeSiCl2と混合することによって調製され得るものであり、ただし、CODはシクロオクタジエンを表す。
【0073】
成分に好適なヒドロシリル化触媒の更なる例は、例えば、米国特許第3,159,601号、同3,220,972号、同3,296,291号、同3,419,593号、同3,516,946号、同3,814,730号、同3,989,668号、同4,784,879号、同第5,036,117号、及び同第5,175,325号に記載されており、これらの開示は、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。
【0074】
ヒドロシリル化触媒は、更にまた又は別の方法として、照射及び/又は加熱により硬化を開始し得る、光で活性化可能なヒドロシリル化触媒であってもよい。光で活性化可能なヒドロシリル化触媒は、特に、150~800ナノメートル(nm)の波長を有する放射線に曝露するとヒドロシリル化反応を触媒できる、任意のヒドロシリル化触媒であってもよい。
【0075】
方法
有機ケイ素化合物と官能性化合物とを、典型的には、1.5:1~1:1.5、あるいは1.4:1~1:1.4、あるいは1.3:1~1:1.3、あるいは1.2:1~1:1.2、あるいは1.1:1~1:1.1、あるいは1.1:1~1:1のモル比で反応させる。しかし、当業者であれば、例えば、調製される特定の分岐状有機ケイ素化合物、利用される特定の有機ケイ素化合物及び/又は官能性化合物、分岐状有機ケイ素化合物の所望の使用などを考慮して、利用される特定の比を選択する。
【0076】
当業者であれば、官能基及び反応スキームの修正又は置き換えに基づいて、分岐状有機ケイ素化合物の他の調製方法を容易に想定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、両方が同じ種類のヒドロシリル化可能な基を含む、例えば両方ともエチレン性不飽和基を含む、又は両方ともケイ素結合水素原子を含む、有機ケイ素化合物及び官能性化合物から、分岐状有機ケイ素化合物を調製することができる。このような実施形態では、例えば、変換用化合物(converter compound)を最初のヒドロシリル化反応において利用して、すなわち、有機ケイ素化合物及び官能性化合物のうちの一方のヒドロシリル化可能な基を他の種類のヒドロシリル化可能な基に、例えばそれへの変換用化合物をヒドロシリル化することによって、変換することができる。好適な変換用化合物の例としては、少なくとも2つのケイ素結合水素原子又は少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含むもの、並びにそれに容易に変換される、少なくとも1つのケイ素結合水素原子及び官能基を含む化合物、並びにそれに容易に変換される、少なくとも1つのエチレン性不飽和基及び官能基を含む化合物が挙げられる。
【0077】
コポリマー
コポリマーも提供される。コポリマーは、分岐状有機ケイ素化合物と、分岐状有機ケイ素化合物と反応する第2の化合物(以下、「反応性化合物」)との反応生成物を含む。本明細書の説明を考慮すれば当業者には理解されるように、例えば、利用される特定の分岐状有機ケイ素化合物、利用される特定の反応性化合物、実施される反応の種類、利用される成分の比などに応じて、多くの様々なコポリマーを調製することができる。例えば、第2の化合物は、概ね、分岐状有機ケイ素化合物のR3に基づいて選択される。R3がアクリルオキシ官能性部分を含む場合、反応性化合物は、典型的にはアクリレート官能性である。R3がエポキシ官能性部分を含む場合、反応性化合物は、典型的にはエポキシ反応性化合物、例えばアミノ官能性化合物を含む。R3がアルコキシシリル官能性部分を含む場合、アルコキシシリル官能性部分は、他の加水分解性基と共加水分解又は共縮合され得る。
【0078】
概して、コポリマーは、式
【化24】
を有する分岐状有機ケイ素部分を含み、これは、反応性化合物との反応に利用される分岐状有機ケイ素化合物から形成される。したがって、コポリマーの分岐状有機ケイ素部分に関して、下位式R
1
3Si-によって表される有機ケイ素部分は、分岐状有機ケイ素化合物及びそれを形成する方法に関して上記定義のとおりである。同様に、下位式-X-は、分岐状有機ケイ素化合物及びそれを形成する方法に関して上記で定義された二価連結基を表す。下位式-Y
2-は、以下に更に詳細に記載されるように、分岐状有機ケイ素化合物の部分Yから(すなわち、分岐状有機ケイ素化合物と反応性化合物との反応中に)形成される部分である。
【0079】
(コポリマーの)ポリマー部分
コポリマーはまた、ポリマー部分を含む。ポリマー部分は特に限定されず、分岐状有機ケイ素化合物上にグラフトされてもよく、又は分岐状有機ケイ素化合物と反応してもよい任意のポリマー又はポリマーの組み合わせを含んでもよく、あるいは任意のポリマー又はポリマーの組み合わせであってもよい。加えて、ポリマー部分は、分岐状有機ケイ素化合物の存在下でその場で形成されてもよく、すなわち、ポリマー部分は、コポリマーを形成する前に形成される必要はない。このようなポリマーの例としては、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネートなど、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。しかしながら、本明細書の説明を考慮すると理解されるように、ポリマー部分は、少なくとも1つのポリマー基を含む任意の部分であってもよい。
【0080】
少なくとも1つのポリマー基の具体例としては、ポリエーテル基、ポリアクリレート基、ポリエステル基、ポリカーボネート基、アルキルアルミノオキサン基、アルキルゲルモキサン基、ポリチオエステル基、ポリチオエーテル基、ポリアクリロニトリル基、ポリアクリルアミド基、エポキシ基、ポリウレタン基、ポリ尿素基、ポリアセタール基、ポリオレフィン基、ポリビニルアルコール基、ポリビニルエステル基、ポリビニルエーテル基、ポリビニルケトン基、ポリイソブチレン基、ポリクロロプレン基、ポリイソプレン基、ポリブタジエン基、ポリビニリジエン(polyvinylidiene)基、ポリフルオロカーボン基、ポリ塩素化炭化水素基、ポリアルキン基、ポリアミド基、ポリイミド基、ポリイミダゾール基、ポリオキサゾール基、ポリオキサジン基、ポリオキシジアゾール基、ポリチアゾール基、ポリスルホン基、ポリスルフィド基、ポリケトン基、ポリエーテルケトン基、ポリ無水物基、ポリアミン基、ポリイミン基、ポリホスファゼン基、多糖類基、ポリペプチド基、ポリイソシアネート基、セルロース基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0081】
特定の実施形態では、ポリマー部分は、ポリマーの組み合わせを含み、すなわち、少なくとも2つの異なるポリマー基を含むコポリマー部分である。このような実施形態では、各ポリマー基は独立して選択されてもよく、本明細書に記載のポリマー又はポリマー基のいずれかを含んでもよい。
【0082】
ポリアクリレート
いくつかの実施形態では、ポリマー部分は、ポリアクリレート部分を含む、あるいはポリアクリレート部分である。ポリアクリレート部分は限定されず、以下に更に詳細に記載されるように、任意のアクリレート化合物から形成されてもよい。本明細書で使用するとき、用語「ポリアクリレート部分」は、少なくとも2つのアクリレート官能基(例えば、メチル、エチル、又はブチルアクリレート基などのアルキルアクリレート基、2-エチルヘキシル又はヒドロキシルエチル基などの置換アクリレート基、及びメチロールプロパンアクリレート基などの他のものなど)を含む部分を意味する。本明細書の説明を考慮すると理解されるように、ポリアクリレート部分は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族(araliphatic)などであってもよい。加えて、コポリマーは、独立して選択される多数の異なるポリアクリレート部分を含み得る。
【0083】
ポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)の調製方法は、当該技術分野において既知である。例えば、ポリアクリレートは、アクリルモノマーの従来のラジカル重合を介して調製され得る。このような従来の方法は、概して、ラジカル重合性モノマー(例えば、アクリレートモノマー、コモノマーなど)を、ラジカル開始剤/発生剤、例えば、熱重合開始剤、化学重合開始剤、及び/又は光重合開始剤の存在下で組み合わせることによって実施される。例えば、過酸化物及び芳香族開始剤(例えば、フェノール、ベンゾイン、イミダゾールなどの複素環など)が一般的に利用される。これらの従来の方法を使用して、アクリレートホモポリマー、並びに第3級、第4級、及びより高次のコポリマーを含む、コポリマーを調製することができる。更に、本明細書の好適なアクリルモノマーの説明を考慮して理解されるように、二官能性及び/又は多官能性アクリルモノマーもまた、例えば多官能性ポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)を調製するために利用されてもよい。
【0084】
概して、ポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)を調製する方法は、アクリロイルオキシ基又はアルキルアクリロイルオキシ基を有する少なくとも1つのアクリルモノマー(すなわち、アクリレート、アルキルアクリレート、アクリル酸、アルキルアクリル酸など、並びにこれらの誘導体及び/又は組み合わせ)を利用する。このようなアクリルモノマーは、単官能性又は多官能性アクリルモノマーであってもよい。
【0085】
ポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)の調製に好適な具体的な単官能性アクリルモノマーの例としては、(アルキル)アクリル化合物、例えば、メチルアクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシ-2-メチルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、3-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、4-フェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、3-(2-フェニルフェニル)-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン変性p-クミルフェノール(メタ)アクリレート、2-ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4-ジブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-エチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、1-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、2-ナフチルメチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、メトキシポリ(プロピレングリコール)(メタ)アクリレート、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、t-オクチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、7-アミノ-3,7-ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなど、並びにこれらの誘導体が挙げられる。
【0086】
ポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)の調製に好適な具体的な多官能性アクリルモノマーの例としては、2つ以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する(アルキル)アクリル化合物、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリエチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェニルエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、o-キシリレンジ(メタ)アクリレート、m-キシリレンジ(メタ)アクリレート、p-キシリレンジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)イソシアヌレート、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン変性2,2-ビス(4-((メタ)アクリルオキシ)フェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン変性2,2-ビス(4-((メタ)アクリルオキシ)フェニル)プロパン、及びポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン変性2,2-ビス(4-((メタ)アクリルオキシ)フェニル)プロパンが挙げられる。
【0087】
上記の(アルキル)アクリル化合物は、簡潔さのためにのみ(メタ)アクリレート種に関して記載されており、当業者は、そのような化合物の他のアルキル及び/又はヒドリドバージョンが同様に利用され得ることを容易に理解するであろう。例えば、当業者であれば、上記のモノマー「2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート」は、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシルアクリレートの両方を例示することを理解するであろう。同様に、上記の例では、アクリルモノマーは全般的にプロペノエート(すなわち、α,β-不飽和エステル)として記載されているが、これらの説明で使用される用語「アクリレート」は、例示されるエステルの酸、塩、及び/又は共役塩基を等しく指し得ることを理解されたい。例えば、当業者であれば、上記のモノマー「メチルアクリレート」は、アクリル酸のメチルエステル、並びにアクリル酸、アクリレート塩(例えば、アクリル酸ナトリウム)などを例示することを理解するであろう。更に、上記のアクリルモノマーの多官能性誘導体/変形例も利用され得る。例えば、上記のモノマー「エチル(メタ)アクリレート」は、置換エチル(メタ)アクリレート及びエチルアクリレート(例えば、それぞれヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシエチルアクリレート)などの官能化誘導体を例示している。
【0088】
コモノマー(すなわち、上記アクリルモノマーと反応するモノマー)はまた、ポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)を調製するために利用されてもよい。このようなモノマーは限定されず、概して、アルケニル基、アクリロイル基、及びアルキルアクリロイル基などのラジカル重合性基を有する化合物が挙げられる。概して、コモノマーは、例えば、調製されるポリアクリレート部分及び/又はポリアクリレート部分を含むコポリマーの特性を変更するために、当業者によって選択される。例えば、スチレンをアクリルモノマーと共重合して、そのようなスチレンコモノマーが存在しないものと比較して増大した硬度を有するポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)を調製することができることが、当該技術分野において既知である。同様に、アクリロニトリルなどのコモノマーは、鎖間極性相互作用を増加させるために利用されてもよく、したがって、ポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)の引張強度及び極限伸びを増加させる一方で、そのようなポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)の低温可撓性も低下させる。更に、当業者であれば、ポリアクリレート部分、ポリアクリレート部分を含むコポリマー、並びに/又はそれから調製される組成物及び/若しくは生成物の様々な特性(例えば可撓性、溶解度、硬度、極性など)を独立して調整するための、利用されるモノマーの割合、添加の順序、反応の長さ、及び他の要因を容易に選択するであろう。好適なコモノマーの具体例としては、スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、ブチレン、クロロプレン、イソプレン、テトラフルオロエチレンなど、並びにこれらの誘導体が挙げられる。
【0089】
アクリルモノマーの組み合わせもまた、ポリアクリレートを調製するために利用されてもよく、その結果、ポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)は、その中の任意の繰り返しセグメントに対してホモポリマー又はコポリマーであってもよいことを理解されたい。例えば、上記の方法は、例えば、単官能性アクリルモノマー及び多官能性アクリルモノマーを利用することによって、多官能性ポリアクリレートを調製するために利用され得る。これらの異なる官能性モノマーは、典型的には、反応性並びにポリマー間及び/又はポリマー内相互活性に基づいて、当業者によって選択され、それにより調製されるポリアクリレートの機械的強度を変更する。例えば、単官能性アクリルモノマーと多官能性アクリルモノマーとの組み合わせを含むポリアクリレート部分を利用するコポリマーを含む硬化生成物は、ホモポリマーポリアクリレート部分を利用するものと比較して、機械的強度が向上して調製され得る。同様に、ホモポリマーポリアクリレート部分を利用するコポリマーを含む硬化生成物は、多官能性ポリアクリレート部分を利用するものと比較して、増加した可撓性を有するように調製され得る。
【0090】
特定の実施形態では、コポリマーのポリアクリレート部分は、メチル(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリル酸、アクリル酸、及び/又はスチレンモノマーから調製される。
【0091】
上記のように調製されたポリアクリレート(及びポリアクリレート部分)は、その中に存在する非アクリル官能基に対して単官能性又は多官能性であってもよいことも理解されよう。例えば、上記方法(例えば、ヒドロキシル官能性モノマーを利用することによって)、及びそれらの修飾(例えば、官能基含有化合物のエンドキャッピング及び/又はポリアクリレート上へのグラフト化などの、重合後官能化技術を利用することによって)を介することを含め、このような方法を用いて、ポリアクリレートアルコール、ジオール及び/又はポリオールを調製することができる。このような官能基含有化合物は、アルコキシシリル基を含み、例えば、ヒドロシリル化又は当該技術分野において既知の他の方法を介してポリアクリレート上にグラフトされ得る。例えば、特定の実施形態では、ポリアクリレート部分はポリアクリレートポリオールから調製される。これらの又は他の実施形態では、ポリアクリレート部分は、ジメトキシメチルシリ基を含むポリアクリレート化合物から調製される。特定の実施形態では、ポリアクリレート部分は、アクリロイル官能基などの少なくとも1つのラジカル重合性基を含むポリアクリレート化合物から調製される。
【0092】
コポリマー中に存在する特定のポリアクリレート部分は、コポリマーの最終用途に応じる。例えば、脂肪族ポリアクリレート部分は、概して、芳香族ポリアクリレート部分よりも高い柔軟性及びより低いガラス転移温度(Tg)を提供し、これは、典型的には、より高いガラス転移温度(Tg)でより剛性である。同様に、分子量及び粘度は、コポリマーの所望の特性に基づいて制御されてもよい。更に、任意のポリアクリレート部分の選択は、どの官能性部分Yが、反応してコポリマーを形成する分岐状有機ケイ素化合物中に存在するか、コポリマーのポリマー部分が、ポリアクリレート部分以外の任意の他のポリマーを含むかどうかなどに応じることができる。
【0093】
存在する場合、各ポリアクリレート部分は、典型的には、少なくとも約100の数平均分子量(Mn)を有する。特定の実施形態では、少なくとも1つのポリアクリレートは、少なくとも100、あるいは少なくとも125、あるいは少なくとも150、あるいは少なくとも200、あるいは少なくとも250、あるいは少なくとも300のMnを有する。これらの又は他の実施形態では、各ポリアクリレート部分は、少なくとも200、あるいは少なくとも300、あるいは少なくとも400、あるいは少なくとも500、あるいは少なくとも600、あるいは少なくとも700、あるいは少なくとも1,000、あるいは少なくとも2,000、あるいは少なくとも4,000、あるいは少なくとも8,000のMnを有する。特定の実施形態では、各ポリアクリレート部分は、最大20,000、あるいは19,000未満、あるいは18,000未満、あるいは17,000未満、あるいは16,000未満、あるいは15,000未満のMnを有する。数平均分子量は、ポリスチレン標準に基づくゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)技術を使用して容易に決定することができる。
【0094】
ポリエーテル
いくつかの実施形態では、ポリマー部分は、ポリエーテル部分を含む、あるいはポリエーテル部分である。本明細書で使用するとき、用語「ポリエーテル部分」は、少なくとも2つのエーテル官能基を含む部分を意味する。本明細書の説明を考慮すると理解されるように、ポリエーテル部分は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族などであってもよい。更に、独立して選択される多数の異なるポリエーテル部分を含んでもよい。
【0095】
各ポリエーテル部分は、典型的には、一般式-O-(Cn’H2n’O)w’-を有するポリエーテルを含み、式中、下付き文字n’は、下付き文字w’によって示される各部分において独立して2~4から選択され、下付き文字w’は1~1000である。特定の実施形態では、ポリエーテル部分は、そのような一般式の複数のポリエーテルを含み、これらは、他のポリエーテルと直鎖又は分岐鎖形態で存在して、複数のオキシアルキレン系ポリエーテルを含むポリエーテル部分を形成することができる。そのような実施形態では、ポリエーテル部分は、オキシエチレン単位(C2H4O)、オキシプロピレン単位(C3H6O)、オキシブチレン若しくはオキシテトラメチレン単位(C4H8O)、又はこれらの混合物を含んでいてもよく、ポリエーテル部分において、ブロック形態であってもランダムであってもよい。ポリエーテル部分中のオキシアルキレン単位は、独立して、直鎖状であっても分岐状であってもよい。例えば、オキシエチレン単位は、存在する場合、式-CH2CH2O-のものであっても式-CHCH3O-のものであってもよい。同様に、オキシプロピレン単位は、式-CH2CH2CH2O-のものであっても、式-CH2CHCH3O-のものであっても、式-CHCH3CH2O-のものであってもよい。
【0096】
例えば、ポリエーテル部分は、一般式-O-(C2H4O)x’(C3H6O)y’(C4H8O)z’-を有するポリエーテルを含んでもよく、式中、下付き文字x’は0~999であり、下付き文字y’は1~1000であり、下付き文字z’は0~999であり、下付き文字x’、y’、及びz’によって示される単位は、ポリエーテル部分においてランダムであってもブロック形態であってもよい。特定の実施形態では、x’及びz’は、ポリエーテル部分のポリエーテルが一般式-O-(C3H6O)y’-を有し、式中、y’は上記で定義されるように、それぞれ0である。
【0097】
いくつかの実施形態では、ポリエーテル部分は、式-D4-O-(CnH2n’O)w’-D4-を有するポリエーテルを含む。このような実施形態では、各D4は、1~6個の炭素原子、あるいは1~5個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子、あるいは1個又は2個の炭素原子を有する独立して選択される二価炭化水素基である。各D4は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。例えば、D4が2個の炭素原子を有する場合、D4は、式C2H4を有し、直鎖状(CH2CH2)であっても分岐状(CHCH3)であってもよい。特定の実施形態では、D4は直鎖状である。D4は、任意の特定のD4と、同じであっても異なっていてもよい。具体的な実施形態では、各D4は、CH2である。各下付き文字n’は、下付き文字w’によって示される各部分において独立して2~4から選択され、下付き文字w’は上記で定義される。
【0098】
例えば、このような実施形態では、ポリエーテル部分は、式-D4-O-(C2H4O)x’(C3H6O)y’(C4H8O)z’-D4-を有するポリエーテルを含んでもよく、式中、下付き文字x’は0~999であり、下付き文字y’は1~1000であり、下付き文字z’は0~999であり、下付き文字x’、y’、及びz’によって示される単位は、ポリエーテルにおいてランダムであってもブロック形態であってもよい。特定の実施形態では、x’及びz’は、ポリエーテルが、式-D4-O-(C3H6O)y’-D4-を有し、式中、D4及びy’は上記で定義されるように、それぞれ0である。具体的な実施形態では、各D4は、C3H6である。x’及びz’がそれぞれ0であり、各D4がC3H6である場合、ポリエーテル部分のポリエーテルは、式-C3H6-O-(C3H6O)y’-C3H6-を有し、式中、y’は上記で定義されている。
【0099】
特定の実施形態では、ポリエーテル部分は、一般式:
-CH2-CH(R12)-[D4]m’-O-[C2H4O]x’[C3H6O]y’[C4H8O]z’-[D4]m’-CH(R12)-CH2-を有するポリエーテルを含み、
式中、各R12は、独立して、1~6個の炭素原子を有するヒドロカルビル基、アルコキシ基、シリル基、又はHであり、各D4は、独立して選択される、1~6個の炭素原子を有する二価の基であり、下付き文字m’は0又は1であり、下付き文字x’は0~999であり、下付き文字y’は1~1000であり、下付き文字z’は0~999であり、下付き文字x’、y’、及びz’によって示される単位は、ポリエーテルにおいてランダムであってもブロック形態であってもよい。
【0100】
各R12は独立して選択され、本明細書に記載のC1~C6ヒドロカルビル基のいずれかであってもよい。例えば、R12は、メチル、プロピルなどであってもよい。特定の実施形態では、各R12はメチルである。あるいは、又は加えて、R12は、H、アルコキシ基、又はシリル基であってもよい。
【0101】
各下付き文字m’は、ポリエーテル部分のポリエーテルが、0、1、又は2の二価炭化水素基D4を含み得るように、独立して0又は1である。典型的には、各下付き文字m’は1である。しかしながら、特定の実施形態では、少なくとも1つの下付き文字mは0である。
【0102】
いくつかの実施形態では、ポリエーテル部分は分岐状であってもよい。このような実施形態では、ポリエーテルは、一般式[D4]m”[P][式中、D4は上に定義され、下付き文字m”は≧3(例えば3、4、5、6、7、8、9、10など)であり、Pは、上記のポリエーテルのうちの少なくとも1つを含むポリエーテルである]を有してもよい。例えば、いくつかのこのような実施形態では、Pは、ポリオール(例えば、ブタンジオール、グリセロール、ソルビトールなど)及びポリオキシアルキレン(例えば、ポリオキシプロピレン)から形成されたポリエーテルであり、これは、m”個のD4部分でエンドキャッピングされる。このような場合、ポリオールを構成するアルコール官能基の数は、m”の最大数に対応する。しかしながら、ポリオールから延びる全てのポリオキシアルキレン鎖がエンドキャッピングされていない場合、m”は、ポリオールを構成するアルコール官能基の数よりも少ない。
【0103】
存在する場合、各ポリエーテル部分、あるいはポリエーテル部分の各ポリエーテルは、典型的には、少なくとも約100の数平均分子量(Mn)を有する。特定の実施形態では、少なくとも1つのポリエーテル部分、あるいはポリエーテル部分の1つのポリエーテルは、少なくとも200、あるいは少なくとも300、あるいは少なくとも400、あるいは少なくとも500、あるいは少なくとも600、あるいは少なくとも700のMnを有する。これらの又は他の実施形態では、各ポリエーテル部分、あるいはポリエーテル部分の各ポリーテルは、少なくとも200、あるいは少なくとも300、あるいは少なくとも400、あるいは少なくとも500、あるいは少なくとも600、あるいは少なくとも700、あるいは少なくとも1,000、あるいは少なくとも2,000、あるいは少なくとも4,000、あるいは少なくとも8,000、あるいは少なくとも12,000、あるいは少なくとも16,000、あるいは少なくとも25,000、あるいは少なくとも50,000のMnを有する。具体的な実施形態では、少なくとも1つの、あるいはそれぞれのポリエーテル部分、あるいはポリエーテル部分のポリエーテルは、700~900のMnを有する。数平均分子量は、ポリスチレン標準に基づくゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)技術を使用して、又は核磁気共鳴スペクトル法による末端基分析を使用して容易に決定することができる。
【0104】
ポリエステル
いくつかの実施形態では、ポリマー部分は、ポリエステル部分を含む、あるいはポリエステル部分である。本明細書で使用するとき、用語「ポリエステル部分」は、ポリマー中に少なくとも1つの2つのエステル結合を含む部分を意味する。例えば、ポリエステル部分自体は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族などであってもよい。加えて、コポリマーは、独立して選択される多数の異なるポリエステル部分を含んでもよい。
【0105】
ポリエステル(及びポリエステル部分)を調製する方法は、当該技術分野において既知である。例えば、ポリエステルは、ヒドロキシル化合物(例えば、芳香族及び/又は脂肪族アルコール又はグリコール)及び酸を使用して、従来のエステル化プロセスによって調製することができる。ヒドロキシル化合物は、典型的には多価アルコールである。
【0106】
ポリエステル(及びポリエステル部分)を調製するのに好適なヒドロキシル化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、デカンジオール、ドデカンジオールα-メチルグルコシド、ペンタエリスリトール、及びソルビトールが挙げられる。また、用語「多価アルコール」には、ビスフェノールAとして一般に知られている2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのフェノール由来の化合物も含まれる。
【0107】
ポリエステル(及びポリエステル部分)を調製するのに好適な酸の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2-メチル-1,6-ヘキサン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、マレイン酸、フマル酸、グルタコン酸、α-ヒドロムコン酸、β-ヒドロムコン酸、α-ブチル-α-エチル-グルタル酸、α,β-ジエチルコハク酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリチン酸、フタル酸、イソフタル酸、及び1,4-シクロヘキサンジカルボン酸を含むポリカルボン酸が挙げられる。
【0108】
ポリエステル(及びポリエステル部分)を調製する他の方法も知られている。例えば、ポリエステル(及びポリエステル部分)は、環状ラクトンの開環ポリマー、ヒドロキシカルボン酸の重縮合生成物、及び二塩基酸とポリオールとの重縮合生成物を含んでもよい。
【0109】
コポリマー中に存在する各特定のポリエステル部分は、コポリマーの最終用途に応じる。例えば、脂肪族ポリエステル部分は、概して、芳香族ポリエステル部分よりも高い柔軟性及びより低いガラス転移温度(Tg)を提供し、これは、典型的には、より高いガラス転移温度(Tg)でより剛性である。同様に、分子量及び粘度は、コポリマーの所望の特性に基づいて制御されてもよい。更に、任意のポリエステル部分の選択は、どの官能性部分Yが、反応してコポリマーを形成する分岐状有機ケイ素化合物中に存在するか、コポリマーのポリマー部分が、ポリエステル部分以外の任意の他のポリマーを含むかどうかなどに応じることができる。
【0110】
存在する場合、各ポリエステル部分は、典型的には、少なくとも約100の数平均分子量(Mn)を有する。特定の実施形態では、少なくとも1つのポリエステル部分は、少なくとも100、あるいは少なくとも125、あるいは少なくとも150、あるいは少なくとも200、あるいは少なくとも250、あるいは少なくとも300のMnを有する。これらの又は他の実施形態では、各ポリエステル部分は、少なくとも200、あるいは少なくとも300、あるいは少なくとも400、あるいは少なくとも500、あるいは少なくとも600、あるいは少なくとも700、あるいは少なくとも1,000、あるいは少なくとも2,000、あるいは少なくとも4,000、あるいは少なくとも8,000のMnを有する。特定の実施形態では、各ポリエステル部分は、最大20,000、あるいは19,000未満、あるいは18,000未満、あるいは17,000未満、あるいは16,000未満、あるいは15,000未満のMnを有する。数平均分子量は、ポリスチレン標準に基づくゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)技術を使用して容易に決定することができる。
【0111】
ポリカーボネート
いくつかの実施形態では、ポリマー部分は、ポリカーボネート部分を含む、あるいはポリカーボネート部分である。本明細書で使用するとき、用語「ポリカーボネート部分」は、ポリマー中に少なくとも1つの2つのカーボネート結合を含む部分を意味する。例えば、ポリカーボネート部分自体は、モノマー、オリゴマー、ポリマー、脂肪族、芳香族、芳香脂肪族などであってもよい。加えて、コポリマーは、独立して選択される多数の異なるポリカーボネート部分を含んでもよい。好適なポリカーボネート部分の例は限定されず、以下に更に詳細に記載されるように、任意のポリカーボネート化合物から形成されるポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)が挙げられる。
【0112】
ポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)を調製する方法は、当該技術分野において既知である。例えば、ポリカーボネートは、ホスゲン(すなわち、COCl2)のアルコキシル化、カーボネートモノマーのトランスアルコキシル化、アルキルクロロホルメート(例えば、メチルクロロホルメート)のアルコキシル化及び/又はトランスアルコキシル化、又はこれらの組み合わせにおけるヒドロキシル化合物(例えば、芳香族及び/又は脂肪族アルコール又はグリコール)を利用するものなどの従来のプロセスを介して、調製することができる。ヒドロキシル化合物は、典型的には多価アルコールである。
【0113】
ポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)を調製するのに好適なヒドロキシル化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、1,1,1-トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、デカンジオール、ドデカンジオールα-メチルグルコシド、ペンタエリスリトール、及びソルビトールが挙げられる。また、用語「多価アルコール」には、ビスフェノールAとして一般に知られている2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどのフェノール由来の化合物も含まれる。
【0114】
ポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)を調製するのに好適なカーボネートモノマーの例としては、アクリルカーボネートエステル、例えば、ジアルキルカーボネート(例えば、ジメチルカーボネート)、ジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)、及びエチレンカーボネート、トリメチレンカーボネートなどの環状カーボネートエステルが挙げられる。他のカーボネートモノマー、例えば、ホスゲンのビスアルコキシル化又は酸化カルボニル化(例えば一酸化炭素と酸化剤との反応)においてヒドロキシル化合物(例えば、本明細書に記載されるものなど)を利用したものを含む、従来のプロセスを介して調製されたものを利用してもよい。このようなプロセスでは、ヒドロキシル化合物は、一価アルコール、例えば、アルキルアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなど)、フェノールなどであってもよい。
【0115】
ポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)を調製する他の方法も知られている。例えば、ポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)は、オキシラン(例えば、プロピレンオキシドなどのエポキシド化合物)の開環ポリマー及びCO2を含んでもよい。
【0116】
上述のように調製されたポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)は、その中(例えば、末端位置)に存在する官能基に対して単官能性又は多官能性であってもよく、これは、典型的には、例えば、利用される特定の調製方法、ポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)を形成するために使用される化合物の添加の順序及び/又は相対量などを介して、当業者によって選択されることが理解されるであろう。例えば、このような方法を利用して、例えば、上記多価アルコールのうちの1つ以上を用いたカーボネートモノマー及び/又はカルボニルクロリドモノマーの酸化オキシランカルボニル化及び/又はアルコキシル化及び/又はトランスアルコキシル化の方法を利用して、ポリカーボネートジオール及び/又はポリカーボネートポリオールを調製することができる。また、ヒドロキシル化合物の組み合わせは、ポリカーボネート(及びポリカーボネート部分)が、その中の任意の繰り返しセグメントに対してホモポリマー又はコポリマーであり得るように、任意のある特定の調製方法において利用されてもよいことも理解されたい。
【0117】
コポリマー中に存在する各特定のポリカーボネート部分は、コポリマーの最終用途に応じる。例えば、脂肪族ポリカーボネート部分は、概して、芳香族ポリカーボネート部分よりも高い柔軟性及びより低いガラス転移温度(Tg)を提供し、これは、典型的には、より高いガラス転移温度(Tg)でより剛性である。同様に、任意の特定のポリカーボネート部分の分子量及び粘度は、コポリマーの所望の特性に基づいて制御されるように選択されてもよい。更に、任意のポリカーボネート部分の選択は、どの官能性部分Yが、反応してコポリマーを形成する分岐状有機ケイ素化合物中に存在するか、コポリマーのポリマー部分が、ポリカーボネート部分以外の任意の他のポリマーを含むかどうかなどに応じることができる。
【0118】
存在する場合、各ポリカーボネート部分は、典型的には、少なくとも約100の数平均分子量(Mn)を有する。特定の実施形態では、少なくとも1つのポリカーボネート部分は、少なくとも100、あるいは少なくとも125、あるいは少なくとも150、あるいは少なくとも200、あるいは少なくとも250、あるいは少なくとも300のMnを有する。これらの又は他の実施形態では、各ポリカーボネート部分は、少なくとも200、あるいは少なくとも300、あるいは少なくとも400、あるいは少なくとも500、あるいは少なくとも600、あるいは少なくとも700、あるいは少なくとも1,000、あるいは少なくとも2,000、あるいは少なくとも4,000、あるいは少なくとも8,000のMnを有する。特定の実施形態では、各ポリカーボネート部分は、最大20,000、あるいは19,000未満、あるいは18,000未満、あるいは17,000未満、あるいは16,000未満、あるいは15,000未満のMnを有する。数平均分子量は、ポリスチレン標準に基づくゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)技術を使用して容易に決定することができる。
【0119】
コポリマーの構造
いくつかの実施形態では、コポリマーは、一般式:
【化25】
[式中、下位式R
1
3Si-によって表される有機ケイ素部分は、分岐状有機ケイ素化合物に関して上記定義のとおりであり、-X-は、分岐状有機ケイ素化合物及びそれを形成する方法に関して上記に定義された二価連結基を表し、-Y
2-は、分岐状有機ケイ素化合物の部分Yから(すなわち、分岐状有機ケイ素化合物と反応性化合物との反応中に)形成される部分であり、Zはポリマー部分である]を有する。
【0120】
部分Y2は、分岐状有機ケイ素化合物の部分Yから形成される。したがって、Y2の特定の性質(例えば構造、式など)は、本明細書の説明を考慮すれば当業者には理解されるように、コポリマーの調製に利用される特定の分岐状有機ケイ素化合物及び反応性化合物の選択、それと共に使用される反応の種類などによって制御される。
【0121】
特定の実施態様において、コポリマーは一般式
【化26】
[式中、部分R
1
3Si-、-X-、-Y
2-、及びZは上記定義のとおりであり、下付き文字x”は≧2である]を有する。このような実施形態では、コポリマーは、直鎖構造を含んでもよく、例えば、下付き文字x”は2であり、ポリマー部分Zは直鎖であり、その結果、コポリマーは全般構造R
1
3Si-X-Y
2-Z-Y
2-X-Si-R
1
3を有する。あるいは、コポリマーは、Xが少なくとも三価であり、下付き文字x”が≧2、あるいは≧3であるような分岐状構造を含んでもよい。
【0122】
コポリマーの調製方法
上に記載したように、コポリマーは、分岐状有機ケイ素化合物と反応性化合物との反応生成物を含む。したがって、コポリマーの調製方法がさらに提供される(「重合方法」)。重合方法は、分岐状有機ケイ素化合物と反応性化合物とを反応させて、コポリマーを得ることを含む。
【0123】
分岐状有機ケイ素化合物と反応する第2の化合物
反応性化合物は、分岐状有機ケイ素化合物と反応する。分岐状有機ケイ素化合物は反応性の点で変化し得るため、反応性化合物は同様に変化してもよく、重合方法で利用される特定の分岐状有機ケイ素化合物、形成されるコポリマー、コポリマーの所望の最終用途などに基づいて選択される。
【0124】
概して、反応性化合物は、式(R11)a”-Zを有し、式中、Zはコポリマーに関して上述したポリマー部分であり、R11は、分岐状有機ケイ素化合物と反応する官能基を含み、下付き文字a”は≧1である。あるいは、Zはモノマーであってもよく、例えば、コポリマーは、ポリマー部分がその場で形成されるように、分岐状有機ケイ素化合物の存在下でモノマーを重合することによって形成されてもよい。ポリマー部分Zは限定されず、上記のポリマー部分のうちのいずれかを含んでもよく、あるいはポリマー部分のいずれかであってもよい。更に、ポリマー部分Zは、ポリマー基及び反応性基R11以外の基、例えば連結基(例えば、二価有機及び/又はケイ素連結基、例えば、炭化水素連結基、シリル及び/又はオルガノシリル連結基、シロキサン及び/又はオルガノシロキサン連結基など、又はこれらの組み合わせ)を含んでもよい。このような連結基は、部分Zのポリマー間、部分Zのポリマーと反応基R11との間、又はその両方に存在してもよい。下付き文字a”は、分岐状有機ケイ素化合物と反応し得る反応性化合物の基R11の数を表す。例えば、下付き文字a”が1である場合、反応性化合物は、単反応性であってもよく、一方、下付き文字a”が2、3、又はそれ以上である場合、反応性化合物は、2、3、又はそれ以上の当量の分岐状有機ケイ素化合物と反応することができる(例えば、上記の分岐状構造のうちの1つを有するコポリマーを形成する)。
【0125】
各R11は独立して選択され、分岐状有機ケイ素化合物と反応する任意の官能基を含んでもよい、あるいは任意の官能基であってもよい。例えば、R11は、置換反応、付加反応、ラジカル反応、カップリング反応、又はこれらの組み合わせを介して反応性の基を含んでもよい、あるいは反応性の基であってもよい。このような反応の具体例としては、求核置換、開環付加、トランスアルコキシル化、ヒドロシリル化、オレフィンメタセシス、縮合、ラジカルカップリング及び/又は重合など、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。したがって、各R11は、求核基(例えば、ヒドロキシル基、アミン基、チオール基、シラノール基など)、エチレン性不飽和基(例えば、アルケニル基又はアルキニル基、例えば上記のもののいずれか)、ケイ素結合水素原子、縮合可能な基(例えば、カルボン酸基、シラノール基、アミド基など)、又はこれらの組み合わせを含んでもよく、あるいはこれらである。
【0126】
分岐状有機ケイ素化合物及び反応性化合物は、典型的には、1.5:1~1:1.5、又は1.4:1~1:1.4、又は1.3:1~1:1.3、又は1.2:1~1:1.2、又は1.1:1~1:1.1、又は1.1:1~1:1のモル比で反応する。しかし、当業者であれば、例えば、調製される特定のコポリマー、利用される特定の分岐状有機ケイ素化合物及び/又は反応性化合物、調製されるコポリマーの所望の用途、重合方法で利用される反応の種類などを考慮して、利用される特定の比を選択する。
【0127】
分岐状有機ケイ素化合物及びコポリマーの組成物及び使用
組成物も提供される。組成物は、分岐状有機ケイ素化合物(「化合物」)及びコポリマーのうちの少なくとも1つを含む。様々な実施形態では、組成物は、化合物を含むが、コポリマーを含まない。特定の実施形態では、組成物は、化合物に加えてコポリマーを更に含む。他の実施形態では、組成物は、コポリマーを含むが、化合物を含まない。組成物は、全般に、限定されることなく、様々な形態、機能、使用、最終用途などを有するものであってもよい。
【0128】
利用する場合、化合物は、様々な量で組成物中に存在することができる。組成物中で使用される場合、同じことが、コポリマーについても当てはまる。当業者であれば、例えば特定の組成物、化合物、又はコポリマー、及び所望の結果に応じて、化合物及び/又はコポリマーの好適な量を容易に求めることができる。
【0129】
様々な実施形態では、組成物は、(i)エマルジョンと、(ii)水性組成物と、(iii)界面活性剤組成物と、(iv)湿潤組成物と、(v)水性フィルム形成泡状物と、(vi)表面張力調整剤と、(vii)ブロッキング防止添加剤と、(viii)農業用組成物と、(ix)コーティング組成物と、(x)塗料組成物と、(xi)表面処理組成物と、(xii)フィルム形成組成物と、(xiii)化粧品組成物と、のうちの少なくとも1つとして更に定義される。当業者は、特定の組成物が、形態/又は機能に関して重複し得ることを理解する。組成物及びこれらの具体的な組成物のいずれか1つ(例えば、エマルジョン)への参照は、以下の説明において互換性があり得る。
【0130】
化合物は、多くの用途に使用され得る。様々な実施形態では、化合物は、界面活性剤、分散剤、湿潤剤、ブロッキング防止添加剤、表面張力調整剤、表面処理剤、農業用組成物用添加剤、コーティング用添加剤、塗料用添加剤、化粧品成分、シロキサン変性剤、及び水性フィルム形成泡状物成分のうちの少なくとも1つとして使用される。当業者であれば、特定の使用又は用途が、機能及び/又は所望の結果に関して重複し得ることを理解する。
【0131】
コポリマーはまた、多くの用途に使用することができ、そのような用途は、化合物について上述した用途と同じであるか、又は異なっている。特定の実施形態では、コポリマーは、表面処理剤、塗料用添加剤、コーティング用添加剤、及び化粧品成分のうちの少なくとも1つとして使用される。
【0132】
組成物において、化合物又はコポリマーは、単独で使用されても一緒に使用されてもよく、少なくとも1つの補助成分が補充されてもよく、又は、任意選択的に1つ以上の添加剤の存在下で、少なくとも1つの他の成分に対する補助剤として機能してもよい。様々な実施形態では、化合物又はコポリマーは、剤、添加剤、アジュバント、成分、又は変性剤と呼ばれる場合がある。
【0133】
化合物又はコポリマーはそれぞれ、組成物中に存在する他の成分と反応しても、それに対して不活性であってもよい。組成物、化合物、又はコポリマーが表面又は基材と接触する、組成物又は用途では、表面又は基材に結合することがあり、このような結合は、機械的/物理的、化学的、又はこれらの組み合わせである。例えば、表面は、化合物と反応性の官能基を有してもよい。このような官能基は、表面に固有にあってもよく、又は1種類以上の従来の表面処理によって付与されてもよい。特定の例示的な組成物及びその成分を以下に記載する。
【0134】
特定の成分又は添加剤は、異なる専門用語で分類され得るが、その理由は、成分又は添加剤をこのような用語で分類するためでしかないことについて認識するべきであり、用語は、その機能に限定されることを意味しない。添加剤のうちの1つ以上が、組成物の任意の好適な重量パーセント(重量%)、例えば、組成物の約0.01重量%~約65重量%、約0.05重量%~約35重量%、約0.1重量%~約15重量%、約0.5重量%~約5重量%、又は約0.1重量%以下、約1重量%、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は約15重量%以上で存在することができる。当業者であれば、例えば添加剤の種類及び所望の結果に応じて、添加剤の好適な量を容易に求めることができる。特定の任意選択の添加剤を、以下、より詳細に記載する。
【0135】
様々な実施形態では、組成物は、エマルジョンを含む、又はエマルジョンである。エマルジョンは、限定されることなく、概してシリコーン/水中油型(O/W)及び油中水/シリコーン型(W/O)エマルジョンの群から選択される。エマルジョンは、非水相及び水相を含む。典型的には、非水相はエマルジョン中の不連続相であり、水相は連続相である。しかし、以下に記載されるように、中の成分の関与量に基づいて、非水相が連続相、水相が不連続相であってもよい。
【0136】
不連続相は、概して、エマルジョンの連続相中に粒子を形成する。粒子は液体であり、あるいは液滴と呼ばれる場合がある。粒子のサイズは、典型的には、例えば、その中の成分の選択及びそれらの量に左右される。
【0137】
様々な実施形態では、エマルジョンの非水相は、本開示の化合物及び/又はコポリマーを含む。特定の実施形態では、非水相は、化合物及び/又はコポリマーのためのキャリアビヒクルを更に含む。キャリアビヒクルは、シロキサンキャリアビヒクル、無機溶媒及び有機溶媒などの当該技術分野において理解されるビヒクルから選択されてもよい。他の又は更なる実施形態では、非水相は、以下に更に記載のように、界面活性剤を更に含む。例示的なエマルジョン、エマルジョンを含む組成物、及びそれを用いて形成されたフィルムは、国際公開第2018145069(A1)号に記載されている。
【0138】
有機溶媒の代表的な非限定例としては、トルエン、キシレン、及び同様の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、及び同様の直鎖状又は部分的に分岐状の飽和炭化水素、シクロヘキサン及び同様の脂肪族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの低分子量アルコール、ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル、ジ(エチレングリコール)ブチルエーテル、ジ(エチレングリコール)メチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)ブチルエーテル、ジ(プロピレングリコール)メチルエーテルアセテート、ジ(プロピレングリコール)プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、1-メトキシ-2-プロパノール、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテル、1-フェノキシ-2-プロパノール、トリ(プロピレングリコール)メチルエーテル及びトリ(プロピレングリコール)ブチルエーテルなどの低分子量エーテル、並びに他の同様のグリコールが挙げられる。
【0139】
水相は水を含む。水は、任意の供給源からのものであってもよく、任意選択的に、例えば、濾過、蒸留、逆浸透法などによって精製されてもよい。
【0140】
多くの実施形態では、エマルジョンは、界面活性剤を更に含む。界面活性剤は、代替的に乳化剤と呼ばれる場合があり、概して、エマルジョンの水相中で非水相を乳化するよう働く。界面活性剤は、非水相及び水相を有するエマルジョンの調製に好適な任意の界面活性剤であってもよい。
【0141】
例えば、界面活性剤は、1つ以上の、アニオン性、カチオン性又は非イオン性、及び/又は両性界面活性剤、ジメチコンコポリオールなどの有機変性シリコーン:グリセロールのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル;セテアレス-30、C12~15パレス-7などの脂肪アルコールのオキシエチレン化及び/又はオキシプロピレン化エーテル;PEG-50ステアレート、PEG-40モノステアレートなどのポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;スクロースステアレート、スクロースココエート及びソルビタンステアレートなどの糖類エステル及びエーテル並びにそれらの混合物;DEAオレス-10ホスフェートなどのリン酸エステル及びそれらの塩;ジナトリウムPEG-5シトレートラウリルスルホサクシネート及びジナトリウムリシノールアミドMEAスルホサクシネートなどのスルホサクシネート;ナトリウムラウリルエーテルサルフェートなどのアルキルエーテルサルフェート;イセチオネート;ベタイン誘導体、並びにこれらの混合物を含んでもよい。
【0142】
特定の実施形態では、界面活性剤にはアニオン性界面活性剤が含まれる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、カルボキシレート(2-(2-ヒドロキシアルキルオキシ)酢酸ナトリウム))、アミノ酸誘導体(N-アシルグルタメート、N-アシルグリシネート、又はアシルサルコシネート)、アルキルサルフェート、アルキルエーテルスルホネート及びそのオキシエチレン化誘導体、スルホネート、イセチオネート及びN-アシルイセチオネート、タウレート及びN-アシルN-メチルタウレート、スルホサクシネート、アルキルスルホアセテート、ホスフェート及びアルキルホスフェート、ポリペプチド、アルキルポリグルコシドのアニオン性誘導体(アシル-D-ガラクトシドウロネート)、及び脂肪酸石鹸、アルカリ金属スルホリシネート(sulforicinates);ヤシ油酸のスルホン化モノグリセリドなどの脂肪酸のスルホン化グリセリルエステル;ナトリウムオレイリセチアネート(sodium oleylisethianate)などのスルホン化一価アルコールエステルの塩;オレイルメチルタウリドのナトリウム塩などのアミノスルホン酸のアミド;スルホン酸パルミトニトリルなどの脂肪酸ニトリルのスルホン化物;α-ナフタレンモノスルホン酸ナトリウムなどのスルホン化芳香族炭化水素;ナフタレンスルホン酸とホルムアルデヒドとの縮合生成物;オクタヒドロアントラセンスルホン酸ナトリウム;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム及びラウリル硫酸トリエタノールアミンなどのアルキル硫酸アルカリ金属塩;ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ラウリルエーテル硫酸アンモニウム、アルキルアリールエーテル硫酸ナトリウム、及びアルキルアリールエーテル硫酸アンモニウムなどの、8個以上の炭素原子を有するアルキル基を有する硫酸エーテル;8個以上の炭素原子を有するアルキル基を1つ以上有するアルキルアリールスルホン酸;例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、セチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、及びミリスチルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩によって例示されるアルキルベンゼンスルホン酸アルカリ金属塩;CH3(CH2)6CH2O(C2H4O)2SO3H、CH3(CH2)7CH2O(C2H4O)3.5SO3H、CH3(CH2)8CH2O(C2H4O)8SO3H、CH3(CH2)19CH2O(C2H4O)4SO3H、及びCH3(CH2)10CH2O(C2H4O)6SO3Hを包含するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル;並びにアルキルナフチルスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、及びアミン塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0143】
これらの又は他の実施形態では、界面活性剤にはカチオン性界面活性剤が含まれる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、様々な脂肪酸アミン及びアミド並びにそれらの誘導体、また脂肪酸アミン及びアミドの塩が挙げられる。脂肪族脂肪酸アミンの例としては、ドデシルアミン酢酸塩、オクタデシルアミン酢酸塩、及びタロー脂肪酸のアミンの酢酸塩、ドデシルアナリン(dodecylanalin)などの脂肪酸を有する芳香族アミンの同族体、ウンデシルイミダゾリンなどの脂肪族ジアミンから誘導された脂肪族アミド、ウンデシルイミダゾリンなどの脂肪族ジアミンから誘導された脂肪族アミド、オレイルアミノジエチルアミンなどの二置換アミンから誘導された脂肪族アミド、エチレンジアミンの誘導体、第四級アンモニウム化合物並びにその誘導体として、タロートリメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジヘキサデシルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルキルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジドデシルジメチルアンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムヒドロキシドなどのジアルキルジメチルアンモニウムヒドロキシド、タロートリメチルアンモニウムヒドロキシドによって例示されるもの、ヤシ油、トリメチルアンモニウムヒドロキシド、メチルポリオキシエチレンココアンモニウムクロリド、及びジパルミチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、β-ヒドロキシエチルステアリルアミドなどのアミノアルコールのアミド誘導体、長鎖脂肪酸のアミン塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0144】
これらの又は他の実施形態では、界面活性剤には非イオン性界面活性剤が含まれる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ラウリル、セチル、ステアリル、又はオクチルなど)、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、ポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン界面活性剤、ポリオキシアルキレン置換シリコーン(レーキ型又はABn型)、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、シリコーングリコシド、ジメチコンコポリオール、ポリオールの脂肪酸エステル、例えばソルビトール及びグリセリルモノ-、ジ-、トリ-及びセスキ-オレエート、及びステアレート、グリセリル及びポリエチレングリコールラウレート;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル(ポリエチレングリコールモノステアレート及びモノラウレートなど)、ソルビトールのポリオキシエチレン化脂肪酸エステル(ステアレート及びオレエートなど)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0145】
これらの又は他の実施形態では、界面活性剤には、両性界面活性剤が含まれる。両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸界面活性剤、ベタイン酸界面活性剤、11~15個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基を有する、トリメチルノニルポリエチレングリコールエーテル及びポリエチレングリコールエーテルアルコール、例えば、2,6,8-トリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキシエタノール(6EO)(OSi Specialties,A Witco Company(Endicott,NY)によりTergitol(登録商標)TMN-6として販売)、2,6,8-トリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキシエタノール(10EO)(OSi Specialties,A Witco Company(Endicott,NY)によりTergitol(登録商標)TMN-10として販売)、アルキレン-オキシポリエチレンオキシエタノール(C11-15二級アルキル、9EO)(OSi Specialties,A Witco Company(Endicott,NY)によりTergitol(登録商標)15-S-9として販売)、アルキレン-オキシポリエチレンオキシエタノール(C11-15二級アルキル、15EO)(OSi Specialties,A Witco Company(Endicott,NY)によりTergitol(登録商標)15-S-15として販売)、様々な量のエチレンオキシド単位を有するオクチルフェノキシポリエトキシエタノール、例えば、オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(40EO)(Rohm and Haas Company(Philadelphia,Pa.)によりTriton(登録商標)X405として販売)、Emery Industries(Mauldin,S.C)から全般商標名Trycolで入手可能な非イオン性エトキシル化トリデシルエーテル、American Cyanamid Company(Wayne,N.J)から全般商標名Aerosolで入手可能なジアルキルスルホコハク酸アルカリ金属塩、一級脂肪族アミンのポリエトキシル化四級アンモニウム塩及びエチレンオキシド縮合生成物(Armak Company(Chicago,llinois)から商標名Ethoquad,Ethomeen又はArquadで入手可能)、ポリオキシアルキレングリコール変性ポリシロキサン、N-アルキルアミドベタイン及びその誘導体、タンパク質及びその誘導体、グリシン誘導体、スルタイン、アルキルポリアミノカルボキシレート及びアルキルアンホアセテート、並びにこれらの混合物が挙げられる。これらの界面活性剤はまた、他の供給元から様々な商標名で入手することができる。
【0146】
界面活性剤を、水相中の非水相を乳化する(又はその逆)のに有効な濃度でエマルジョン中に含めることができる。このような濃度は、エマルジョンの総重量に基づいて0重量%超~10重量%、あるいは0.3重量%~5重量%の範囲である。界面活性剤、又は界面活性剤の組み合わせは、エマルジョンの水相、エマルジョンの非水相、水相と非水相との界面、又はこれらの組み合わせ中に存在することができる。
【0147】
エマルジョンは、1つ以上の様々な任意選択の添加剤、例えばカップリング剤、帯電防止剤、紫外線(UV)吸収剤、可塑剤、レベリング剤、防腐剤、表面活性材料(界面活性剤又は洗剤又は乳化剤)、発泡促進剤、沈着剤、増粘剤、水相安定剤、充填剤、懸濁化剤、殺生物剤、凍結/解凍添加剤、凍結防止剤、粘度調整剤、泡制御剤、染料(例えば顔料)、バインダー、及びこれらの組み合わせを更に含んでもよい。
【0148】
あるいは、又は上記に加えて、エマルジョンは、それから形成されたフィルムの特性を改善するため、様々な添加化合物を更に含んでもよい。添加化合物の例は、シラン、例えば、テトラキス(ジメチルアミン)シラン、テトラエチルオルトシリケート、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、トリエチルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、及びシロキサン、例えば、ヘプタメチルトリシロキサン、テトラメチルジシロキサンなどである。
【0149】
いくつかの実施形態では、エマルジョンはコーティング組成物であり、又は配合されコーティング組成物になってもよい。このようなコーティング組成物は、典型的には、コーティング組成物を基材の表面に適用することによって、基材上に連続的な保護コーティングを提供するために使用される。このような基材の例としては、有機又は無機構成要素が挙げられ、家庭用材料、例えば、皮革、紙、木材、金属、プラスチック、布地、塗料などを挙げることができる。コーティング組成物はまた、他の用途、例えば、保護コーティング及び/又は装飾コーティングとして、塗料中の成分としてなどの使用にも同様に好適であり得る。
【0150】
様々な実施形態では、化合物及び/又はコポリマーを、エポキシコーティング用の添加剤として使用することができる。米国特許第8722148号及び米国特許出願公開第20060205861号に記載のものを含む、多くのエポキシコーティングが当該技術分野において理解されている。
【0151】
様々な実施形態では、組成物は、エマルジョンと有機バインダーとを含む。エマルジョンは、組成物中でin situで形成されてもよく、又はエマルジョンを最初に調製し、次いで任意の他の任意選択成分と共に有機バインダーと組み合わせて、組成物を得てもよい。特定の実施形態では、組成物は、エマルジョンと有機バインダーとを任意の任意選択成分と共に組み合わせることによって形成される。エマルジョンは、典型的には、組成物中に存在し、すなわち、エマルジョンを用いて組成物を形成することにより、エマルジョンが破壊されることはない。
【0152】
有機バインダーは限定されず、概して、組成物の最終用途に基づいて選択される。例示的な例を以下に記載するが、任意の有機バインダーを組成物中で利用してもよい。有機バインダーは、反応性であっても非反応性であってもよく、熱可塑性及び/又は熱硬化性であってもよい。典型的には、有機バインダーは、有機ポリマー及び/又は樹脂である。
【0153】
特定の実施形態では、有機バインダーは、天然ラテックスを含む。これらの又は他の実施形態では、有機バインダーは、合成ラテックスを含む。有機バインダーはまた、天然ラテックスと合成ラテックスとの組み合わせであってもよい。例えば、有機バインダーは、典型的には、組成物を利用してフィルム又は塗料を調製する場合、天然及び/又は合成ラテックスである。天然及び合成ラテックスは、当該技術分野において既知である。例えば、有機バインダーの選択に応じて、組成物を、塗料、例えば、無溶媒であり得る耐熱性塗料として利用することができる。塗料を、断熱用途、防汚用途、建築用途、商業用/工業用又は住宅用途、保護用途、皮革用途、織物用途に利用することができる。
【0154】
有機バインダーの具体例としては、ポリオレフィン、アクリルポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、スチレン(例えばスチレンブタジエンゴム)、アクリロニトリル-ブタジエン、エポキシ樹脂、フェノール、ポリエステル、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、ポリ尿素、セルロース系樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、アルキド、シリコーン、アクリロニトリルなどが挙げられるが、これらに限定されない。有機バインダーには、このような有機バインダーの組み合わせ、又は1つ以上のこのような有機バインダーを含むコポリマー若しくはターポリマーが含まれ得る。
【0155】
組成物中の有機バインダーの含有量は、その選択、組成物中に存在するエマルジョンの種類及び量、組成物の最終用途などの多数の要因によって変化し得る。有機バインダーの投入量の増加により、概して、高くなった硬度及び他の向上した物理的特性を有するフィルムが得られる。特定の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に基づいて、0超~100重量%、あるいは0超~50重量%、あるいは0.1~40重量%、あるいは5~15重量%量でバインダーを含む。
【0156】
有機バインダーは、キャリアビヒクル中に分散又は配置されてもよい。キャリアビヒクルは、典型的には有機バインダーを可溶化する、任意の好適なキャリアビヒクルであってもよい。キャリアビヒクルは、典型的には、利用される有機バインダーに応じたものである。キャリアビヒクルは、組成物が全体として水系になるよう水であってもよく、又は水以外の溶媒、例えば有機溶媒であってもよい。特定の実施形態では、エマルジョンのように、組成物は水を実質的に含まない。水を実質的に含まないことは、エマルジョンに関して定義される。
【0157】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の任意選択成分を更に含む。組成物は、エマルジョンに関して上述した任意選択成分のいずれかを含んでもよい。これらの任意選択成分は、エマルジョン中に存在することから組成物中に含まれてもよく、エマルジョンから独立した組成物に組み込まれてもよく、又はその両方であってもよい。任意選択成分の具体例としては、着色剤、合体助剤、界面活性剤、増粘剤、消泡剤、相溶化剤、UV安定剤、酸化防止剤、殺生物剤、難燃剤などが挙げられるがこれらに限定されない。これらの任意選択成分のうちのいくつかは上述のようにエマルジョン中に存在してもよく、したがって組成物中に含まれてもよく、又は組成物を形成する際、これらの任意選択成分のうちの1つ以上が組み込まれてもよい。エマルジョンに対する上述の任意選択成分のいずれかはまた、エマルジョンからの導入、又は更なる量の特定の成分を含めることのいずれかによって、組成物中に存在してもよい。例として、組成物は触媒を含んでもよく、触媒は、エマルジョン中に存在し得る任意の触媒と同じであっても異なっていてもよい。
【0158】
特定の実施形態では、組成物は、顔料、染料などの1つ以上の着色剤を更に含む。このような着色剤は、有機であっても無機であってもよく、合成であっても天然であってもよい。着色剤の例は、エマルジョンに関して上述されている。エマルジョン及び組成物自体が、独立して選択される異なる着色剤を含んでもよい。好適な着色剤の更なる例としては、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムグリーン、カドミウムオレンジ、カーボンブラック(バインブラック、ランプブラックなど)、アイボリーブラック(骨炭)、クロームイエロー、クロームグリーン、コバルトバイオレット、コバルトブルー、セルリアンブルー、オーレオリン(コバルトイエロー)、アズライト、ハンパープル、ハンブルー、エジプシャンブルー、マラカイト、パリスグリーン、フタロシアニンブルーBN、フタロシアニングリーンG、ベルディグリ、ビリジアン、サングイン、カプトモルトム、オクサイドレッド、紅土、ベネチアンレッド、プルシャンブルー、イエローオーカー、ローシェンナ、バーントシェンナ、ローアンバー、バーントアンバー、クレムニッツニツホワイト、ネープルスイエロー、バーミリオンチタニウムイエロー、チタニウムベージュ、チタニウムホワイト(TiO2)、チタニウムブラック、ウルトラマリン、ウルトラマリングリーンシェード、亜鉛華、亜鉛フェライト、アリザリン(合成又は天然)、アリザリンクリムゾン(合成又は天然)、ガンボージュ、コチニールレッド、ローズマダー、インジゴ、インディアンイエロー、チリアンパープル、キナクリドン、マゼンタ、フタログリーン、フタロブルー、ピグメントレッド170、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0159】
特定の実施形態では、組成物は合体助剤を更に含む。好適な合体助剤としては、任意のキャリアビヒクル若しくは水を組成物から除去する際に、有機バインダーが実際にフィルムを形成する場合、及び/又は有機バインダーからの固体フィルム形成速度を高める場合、有機バインダーの最低フィルム形成温度を低下させる、任意の化合物が挙げられる。好適な合体助剤の例としては、グリコールエーテル、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールイソブチレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0160】
特定の実施形態では、組成物は、界面活性剤を更に含む。界面活性剤は、エマルジョン中で利用される任意の界面活性剤と同じであっても異なっていてもよく、その例は上述されている。
【0161】
増粘剤(又はレオロジー調整剤)もまた、所望の粘度及び流動特性を達成するよう、組成物中に含めてもよい。その選択に応じて、有機バインダーの選択の際、増粘剤は、例えば、有機バインダーと複数の水素結合を形成することによって機能することができ、それによって、鎖の絡み合い、ループ形成、及び/又は膨潤を引き起こし、その結果、体積が制限される。特定の実施形態では、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースをはじめとするセルロース誘導体などの増粘剤を利用することができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、組成物は消泡剤を含む。消泡剤は、組成物中の泡の形成を低減及び阻害する任意の好適な化学添加剤であってもよい。消泡剤は当該技術分野において既知であり、典型的には、組成物中に存在する他の成分に基づいて選択される。
【0163】
組成物が相溶化剤を含む場合、相溶化剤は、組成物中の成分の湿潤を変更する、あるいは改善する任意の化合物又は成分であってもよい。このような相溶化剤の例としては、チタンアルコレート、リン酸エステル、亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル、及びケイ酸エステル、脂肪族、芳香族、及び脂環式酸の、金属塩及びエステル、エチレン/アクリル酸又はメタクリル酸、エチレン/アクリル酸又はメタクリル酸のエステル、エチレン/酢酸ビニル樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂又はそのエステル、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂、メタクリレート/ブタジエンスチレン樹脂(MBS)、スチレンアクリロニトリル樹脂(SAN)、及びブタジエンアクリロニトリルコポリマーが挙げられる。あるいは、又は加えて、相溶化剤は、シラン、例えばハイドロカルボノオキシシラン、例えば、アルコキシシラン、アルコキシシランとヒドロキシ官能性ポリオルガノシロキサンの組み合わせ、アミノ官能性シラン、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。シランは、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、及び/又はアクリレート基などの接着促進基であってもよい、任意の官能基を含んでもよい。官能基の組み合わせを利用してもよく、例えば、(D)相溶化剤は、エポキシ官能性アルコキシシランを含んでもよい。好適なエポキシ官能性有機基は、3-グリシドキシプロピル及び(エポキシシクロヘキシル)エチルにより例示される。不飽和有機基は、3-メタクリロイルオキシプロピル、3-アクリロイルオキシプロピル、並びに、ビニル、アリル、ヘキセニル、ウンデシレニル(undecylenyl)などの不飽和一価炭化水素基により例示される。好適なエポキシ官能性アルコキシシランの例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、(エポキシシクロヘキシル)エチルジエトキシシラン及びこれらの組み合わせが挙げられる。好適な不飽和アルコキシシランの例としては、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ウンデシレニルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。アミノ官能性アルコキシシランなどのアミノ官能性シランは、当該技術分野において理解されるように、様々なアミノ基を有し得る。相溶化剤の他の例としては、無水マレイン酸又はエステル、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はエステル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びスチレンなどの極性モノマーを含む反応性基を使用して、それぞれポリエチレン及びポリプロピレンを変性することによって得られた変性ポリエチレン及び変性ポリプロピレンが挙げられる。
【0164】
UV安定剤の具体例としては、分岐状及び直鎖状の、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-フェノール(TINUVIN(登録商標)571)が挙げられる。好適なUV安定剤の更なる例としては、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル/セバケート、及びこれらの組み合わせ(TINUVIN(登録商標)272)が挙げられる。これらの及び他のTINUVIN(登録商標)添加剤(例えば、TINUVIN(登録商標)765)は、Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY,U.S.A.)から市販されている。他のUV及び光安定剤は、ChemturaからのLowLite、PolyOneからのOnCap、E.I.du Pont de Nemours and Company(米国デラウェア州)からのLight Stabilizer210によって市販され、例示される。オリゴマー酸化防止剤安定剤(特にヒンダードアミン光安定剤(HALS))の例は、Ciba TINUVIN(登録商標)622であり、それは4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールと共重合したブタン二酸のジメチルエステルである。
【0165】
利用される場合、酸化防止剤は、当該技術分野において既知の任意の酸化防止剤であってもよい。その具体例としては、フェノール系酸化防止剤、及びフェノール系酸化防止剤と安定剤の組み合わせが挙げられる。フェノール系酸化防止剤は、完全立体障害性フェノール及び部分障害性フェノール、立体障害性アミン(例えば、テトラメチル-ピペリジン誘導体)が挙げられる。好適なフェノール系酸化防止剤としては、ビタミンE、及び、Ciba Specialty Chemicals(U.S.A.)からのIRGANOX(登録商標)1010が挙げられる。IRGANOX(登録商標)1010は、ペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を含む。酸化防止剤の更なる例は、アセチルシステイン、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ポリペプチド、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸メチルシラノールペクチネート、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、BHA、p-ヒドロキシアニソール、BHT、t-ブチルヒドロキノン、カフェー酸、チャノキ油、キトサンアスコルベート、キトサングリコレート、キトサンサリチレート、クロロゲン酸、システイン、システインHCl、デシルメルカプトメチルイミダゾール、エリソルビン酸、ジアミルヒドロキノン、ジ-t-ブチルヒドロキノン、ジセチルチオジプロピネート、ジシクロペンタジエン/t-ブチルクレゾールコポリマー、ジガロイルトリオレエート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジオレイルトコフェリルメチルシラノール、イソクエルシトリン、ジオスミン、アスコルビン酸硫酸二ナトリウム、ルチニル二硫酸二ナトリウム、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ドデシルガレート、エチルフェルレート、フェルラ酸、ヒドロキノン、ヒドロキシルアミンHCl、ヒドロキシルアミンサルフェート、イソオクチルチオグリコレート、コウジ酸、マデカシコシド(madecassicoside)、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、メラトニン、メトキシ-PEG-7ルチニルスクシネート、メチレンジ-t-ブチルクレゾール、メチルシラノールアスコルベート、ノルジヒドログアイアレチン酸、オクチルガレート、フェニルチオグリコール酸、フロログルシノール、アスコルビン酸トコフェリルリン酸カリウム、チオジグリコールアミド、亜硫酸カリウム、プロピルガレート、ロスマリン酸、ルチン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸/コレステリルリン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エリトルビン酸ナトリウム、メタ二硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチルフルフラール、ティーツリー(Melaleuca aftemifolia)油、トコフェリルアセテート、テトラヘキシルデシルアスコルベート、テトラヒドロジフェルロイルメタン、トコフェリルリノレート/オレエート、チオジグリコール、トコフェリルスクシネート、チオジグリコール酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、チオタウリン、レチノール、トコフェレス-5、トコフェレス-10、トコフェレス-12、トコフェレス-18、トコフェレス-50、トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルリノレート、トコフェリルニコチネート、トコキノン、o-トリルビグアニド、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ユビキノン、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、及びこれらの混合物である。
【0166】
殺生物剤は、殺真菌剤、除草剤、農薬、抗微生物剤、又はこれらの組み合わせによって例示され得る。
【0167】
殺真菌剤の具体例としては、N-置換ベンゾイミダゾールカルバメート、ベンゾイミダゾリルカルバメート、例えば、メチル2-ベンゾイミダゾリルカルバメート、エチル2-ベンゾイミダゾリルカルバメート、イソプロピル2-ベンゾイミダゾリルカルバメート、メチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-5-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)-6-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)-5-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[2-(N-メチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エチルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)-6-メチルベンゾイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、イソプロピルN-{2-[1-(N-メチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-プロピルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN-{2-[1-(N-プロピルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メトキシエチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[1-(N-プロピルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{1-(N,N-ジメチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[N-メチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[1-(N-プロピルカルバモイル)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、エトキシエチルN-{2-[1-(N-ブチルカルバモイルオキシ)ベンゾイミダゾリル]}カルバメート、メチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-クロロベンゾイミダゾリル]}カルバメート、及びメチルN-{2-[1-(N,N-ジメチルカルバモイル)-6-ニトロベンゾイミダゾリル]}カルバメート)、10,10’-オキシビスフェノキサルシン(商標名:Vinyzene,OB PA)、ジ-ヨードメチル-パラ-トリルスルホン、ベンゾチオフェン-2-シクロヘキシルカルボキサミド-S,S-ジオキシド、N-(フルオロジクロリド(fluordichloride)メチルチオ)フタルイミド(商標名:Fluor-Folper、及びPreventol A3)、メチル-ベンゾイミダゾール-2-イルカルバメート(商標名:Carbendazim,Preventol BCM)、亜鉛-ビス(2-ピリジルチオ-1-オキシド)(亜鉛ピリチオン)2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、N-フェニル-ヨードプロパルギルカルバメート、N-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、4,5-ジクロリド-2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、N-ブチル-1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン、及び/又は、トリアゾリル化合物、例えば、銀を含有するゼオライトと組み合わせたテブコナゾールが挙げられる。
【0168】
あるいは、殺生物剤は、ホウ素含有材料、例えば、ホウ酸無水物、ホウ砂、又は八ホウ酸二ナトリウム四水和物を含んでもよく、これらは、農薬、殺真菌剤、及び/又は難燃剤として機能し得る。
【0169】
好適な難燃剤の具体例としては、カーボンブラック、水酸化アルミニウム水和物、珪灰石などのケイ酸塩、白金及び白金化合物が挙げられる。あるいは、難燃剤は、利用される場合、ハロゲン系難燃剤(例えば、デカブロモジフェニルオキシド、オクタブロモジフェニルオキシド(octabromordiphenyloxide)、ヘキサブロモシクロドデカン、デカブロモビフェニルオキシド、ジフェニルオキシベンゼン、エチレンビス-テトラブロモフタルアミド、ペンタブロモエチルベンゼン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルマレイン酸イミド、テトラブロモビスフェニルA、ビス-(トリブロモフェノキシ)エタン、ビス-(ペンタブロモフェノキシ)エタン、ポリジブロモフェニレンオキシド、トリブロモフェニルアリルエーテル、ビス-ジブロモプロピルエーテル、テトラブロモフタル酸無水物、ジブロモネオペンチルグリコール、ジブロモエチルジブロモシクロヘキサン、ペンタブロモジフェニルオキシド、トリブロモスチレン、ペンタブロモクロロシクロヘキサン、テトラブロモキシレン、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ポリスチレン、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、トリフルオロプロペン及びPVCから選択され得る。あるいは、難燃剤は、利用される場合、リン系難燃剤(例えば、(2,3-ジブロモプロピル)-ホスフェート、リン、環式ホスフェート、トリアリールホスフェート、ビス-メラミニウムペンテート、ペンタエリスリトール二環式ホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、ホスフィンオキシドジオール、トリフェニルホスフェート、トリス-(2-クロロエチル)ホスフェート)、リン酸エステル(例えば、トリクレイル(tricreyl)、トリキシレニル、イソデシルジフェニル、エチルヘキシルジフェニル)、様々なアミンのリン酸塩(例えば、リン酸アンモニウム、トリオクチル、トリブチル又はトリス-ブトキシエチルホスフェートエステル)から選択され得る。他の好適な難燃剤としては、テトラアルキル鉛化合物(例えば、テトラエチル鉛)、ペンタカルボニル鉄、メチルシクロペンタジエニルマンガントリカルボニル、メラミン及び誘導体(例えば、メラミン塩)、グアニジン、ジシアンジアミド、スルファミン酸アンモニウム、アルミナ三水和物、及び水酸化マグネシウム及びアルミナ三水和物を挙げ得る。
【0170】
水性組成物としては、成分、概して主たる又は主要成分(例えば、溶媒、キャリア、又は媒体)として水を含む、任意の組成物が挙げられる。これらの実施形態では、水性組成物は、本開示の化合物及び/又はコポリマーを更に含む。
【0171】
当該技術分野において理解されるように、界面活性剤は、2つの液体間、気体と液体との間、又は液体と固体との間の表面張力(又は界面張力)を低下させる化合物である。界面活性剤は、洗剤、湿潤剤、乳化剤、発泡剤、及び分散剤として機能し得る。界面活性剤は、洗剤、布地柔軟剤、エマルジョン、石鹸、塗料、接着剤、インク、防曇剤、スキーワックス、スノーボードワックス、フローテーションでの再生紙の脱墨、洗浄及び酵素プロセス、下剤などが挙げられるがこれらに限定されない多くの実用的用途及び製品における、洗剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、発泡剤、及び消泡剤として働き得る。いくつかの除草剤、殺虫剤、殺生物剤(消毒剤)、及び殺精子剤などの農業化学配合物もまた、1つ以上の界面活性剤を含み得る。化粧品、シャンプー、シャワージェル、ヘアコンディショナー(シャンプー後)、及び練り歯磨きなどのパーソナルケア製品は、多くの場合、1つ以上の界面活性剤を含む。
【0172】
様々な実施形態では、界面活性剤組成物は、本開示の化合物及び/又はコポリマーを含む。特定の実施形態では、界面活性剤組成物は、水及び/又は他のビヒクル、1つ以上の従来の界面活性剤などの当該技術分野において理解される1つ以上の添加剤を更に含む。当業者であれば、界面活性剤組成物を湿潤組成物、表面張力調整剤、又は分散剤組成物と呼ぶ場合があることについて理解する。いくつかの用途では、このような組成物の形態、機能、及び/又は最終用途の違いに関する、微妙なニュアンスが存在し得る。
【0173】
他の実施形態では、化合物自体及び/又はコポリマー自体は、界面活性剤である。これらの実施形態では、化合物及び/又はコポリマーを、分散剤、湿潤剤、又は表面張力調整剤と呼ぶ場合がある。
【0174】
様々な実施形態では、組成物は、発泡性組成物及び実質的に非発泡性組成物、水性組成物及び非水性組成物、並びにこれらの組み合わせを含む、フィルム形成組成物からなる群から選択される。特定のフィルムを以下に記載する。組成物は、硬化性であっても部分硬化性であってもよく、又は硬化し得ない。組成物が少なくとも部分硬化性ないし硬化性である実施形態では、組成物は、液体からより粘稠な液体、ゲル、半固体、又は固体になるよう、形態を変化させることができる。
【0175】
様々な実施形態では、組成物は、ブロッキング防止(又は抗ブロッキング)添加剤(又は剤)として有用である。これらの実施形態では、組成物によりまた、耐擦過性及び低摩擦係数(COF)をもたらすこともできる。特定の実施形態では、化合物自体及び/又はコポリマー自体は、ブロッキング防止添加剤である。
【0176】
ブロッキング防止剤は、多くの場合、フィルに又はフィルム用に、例えばポリオレフィンフィルムに、ブロッキング防止剤の個々の分子間で滑りを改善するよう使用され、ブロッキング防止剤は、このようなフィルムの後加工変換(切断、折り畳み、融着など)のための重要な成分である。ブロッキングは、フィルム及びコーティングの製造業者が直面する共通の問題である。ブロッキングは、フィルムの2つの隣接する層の接着である。これは、ポリエチレン及びポリプロピレンフィルム(ブロー又はキャストのいずれか)に最も関連する問題であり、押出コーティング製品又は積層製品において程度が少なくなる。隣接するフィルム層のブロッキングは、ポリマーの非晶質領域間のファンデルワールス力の存在によって生じる。これらの力は、2つの層間の距離が短くなると共に増大し、それによって、2つの層が一緒にプレスされる際(例えば、仕上げた変換フィルムの巻き取りロール又は積み重ねへの結合)にブロッキングが増す。ブロッキングに関する別の可能な理由は、フィルムの表面に移動する傾向がある低分子量種(オリゴマーなど)の存在である。
【0177】
これらの取り扱い上の問題を解決するための有効な方法は、ブロッキング防止添加剤を添加することである。樹脂中に存在するブロッキング防止添加剤は、フィルム表面から微視的に突出する。それにより、フィルム間の表面接触を最小限に抑える助けとなる突起(「わずかな隆起」)が作り出され、2つの層間の距離が長くなり、それによってブロッキングを最小限に抑える。
【0178】
隣接する層の間のブロッキングにより摩擦が増し、ブロッキング防止剤の添加は、概して、フィルム間COFの低減に寄与する。COFは、一方の表面が隣接表面上で滑ることの相対的困難性の尺度である。滑りに対する抵抗が大きいほど、COF値が高くなる(例えば、「低滑り」又は「滑りなし」、場合により「高COF」フィルムと呼ばれる)。
【0179】
様々な実施形態では、組成物は農業用組成物である。化合物及びコポリマーのうちの少なくとも1つを、農業用組成物のための添加剤として使用することができる。農業を促進するための多種類の組成物は、植物の成長増進、雑草の制御又は防止、害虫及び昆虫などの制御又は防止をはじめとして、当該技術分野において理解されている。植物成長調節剤又は遺伝子改変植物を使用するかどうかに関わらず、植物成長を支援又は増進するため、任意の数の農学的に好適な添加剤、アジュバント、及び/又はフィト触媒、例えば、窒素、リン、カリウムなどの元素を含有する肥料、高二酸化炭素、過酸化水素、鉄、及びマンガン;硫黄、カルシウム、及びマグネシウムの供給源などの二次栄養素;ホウ素、コバルト、銅、モリブデン、亜鉛、ニッケルなどの微量栄養素;スクロース、フルクトース、及びグルコースなどの水溶性炭水化物;並びに様々なアルキルグルコシドが、植物に適用される。
【0180】
様々な実施形態では、組成物は、少なくとも1つの農薬を含む。用語「農薬」は、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、外部寄生虫駆除剤、殺真菌剤、及び植物成長調節剤を包含するものと理解される。組成物は、この点に関して限定されない。
【0181】
除草活性を有する化合物の部類の例としては、イマザキンなどのイミダゾリノン、クロリムロンエチルなどのスルホニル尿素、フルメツラムなどのトリアゾロピリミジンスルホンアミド、キザロホップエチルなどのアリールオキシフェノキシプロピオネート、イソプロツロン及びクロロトルロンなどのアリール尿素、アトラジン及びシマジンンなどのトリアジン、ピクロラムなどのアリールカルボン酸、MCPAなどのアリールオキシアルカン酸、メタザラクロルなどのクロロアセトアニリド、オリザリンなどのジニトロアニリン、ピラゾリネートなどのピラゾール、及びビフェノックスなどのジフェニルエーテルが挙げられる。殺虫活性を有する化合物の部類の例としては、ヘキサフルムロンなどのベンゾイル尿素、テブフェノジドなどのジアシルヒドラジン、カルボフランなどのカルバメート、シペルメトリンなどのピレスロイド、ホスメットなどのオルガノホスフェート、トリアゾール、及びスピノシンなどの天然産物が挙げられる。
【0182】
殺真菌活性を有する化合物の部類の例としては、ジメトモルフなどのモルホリン、ベナラキシルなどのフェニルアミド、ヘキサコナゾールなどのアゾール、アゾキシストロビンなどのストロビルリン、クロロタロニルなどのフタロニトリル、及びキノキシフェンなどのフェノキシキノリンが挙げられる。
【0183】
殺虫剤/殺ダニ剤の例は、ベンチオカーブ、ジフルベンズロン、テフルベンズロン、ルフェヌロン、ジフェンチウロン、又はピレスロイド、例えば、ビフェントリン、ビオアレトリン、タウフルバリネート、レスメトリン、ペルメトリン、シペルメトリン、シフルトリン、シハロトリン、デルタメトリン、テルフルトリン、又はテトラメトリン;更に進めると、ピメトロジン、チオシクラム、フェノキシカーブ、メトプレン、アバメクチン、及びエマメクチンである。
【0184】
様々な実施形態では、粒子の処理のために、例えば、金属酸化物粒子表面を処理するための中間体として、化合物及び/又はコポリマーを使用することができる。粒子は、ナノサイズ及びマイクロサイズにしたものなど、様々なサイズ及び粒径分布のものであり得る。
【0185】
金属酸化物粒子は、任意の好適な金属酸化物粒子であり得る。好適な金属酸化物粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、シリカ、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ストロンチウム粒子、これらの混合物、及びこれらの共酸化物が挙げられる。
【0186】
粒子は、電気伝導性及び/又は熱伝導性であっても、非伝導性であってもよい。特定の実施形態では、粒子は、金属若しくは伝導性非金属;又は金属の外面を有する金属若しくは非金属粒子であって、外面金属が、銀、金、白金、パラジウム、及びこれらの合金などの貴金属、又はニッケル、アルミニウム、銅、若しくは鋼などの卑金属である、金属若しくは非金属粒子;であり得る、電気伝導性充填剤として分類される。粒子はまた、金属の外面と、銅、中実ガラス、中空ガラス、雲母、ニッケル、セラミック繊維、又はポリスチレン及びポリメチルメタクリレートなどのポリマーからなる粒子のコアと、を有し得る。
【0187】
特定の実施形態では、粒子は、金属粒子、金属酸化物粒子、熱伝導性非金属粉末、又はこれらの組み合わせであり得る、熱伝導性充填剤として分類される。熱伝導性充填剤は、アルミニウム、銅、金、ニッケル、銀、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化クロム、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム、ダイヤモンド、グラファイト、炭素又はシリコンナノサイズ粒子、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ケイ素、及び炭化タングステンであり得る。
【0188】
処理され得る無機充填剤又は顔料の例としては、二酸化チタン、水酸化アルミニウム(ATHとも呼ばれる)、水酸化マグネシウム、雲母、カオリン、炭酸カルシウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びバリウムの、非水和、部分水和、又は水和フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、クロム酸塩、炭酸塩、水酸化物、リン酸塩、リン酸水素塩、硝酸塩、酸化物、及び硫酸塩;酸化亜鉛、酸化アルミニウム、五酸化アンチモン、三酸化アンチモン、酸化ベリリウム、酸化クロム、酸化鉄、リトポン、ホウ酸又はホウ酸塩、例えばホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム若しくはホウ酸アルミニウム、混合金属酸化物、例えばアルミノケイ酸塩、バーミキュライト、ヒュームドシリカ、溶融シリカ、沈降シリカ、石英、砂、及びシリカゲルなどのシリカ;籾殻灰、セラミック及びガラスビーズ、ゼオライト、アルミニウムフレーク又は粉末などの金属、青銅粉末、銅、金、モリブデン、ニッケル、銀粉又はフレーク、ステンレス鋼粉末、タングステン、含水ケイ酸カルシウム、チタン酸バリウム、シリカ-カーボンブラック複合体、官能化カーボンナノチューブ、セメント、フライアッシュ、スレート粉、セラミック又はガラスビーズ、ベントナイト、粘土、タルク、アントラサイト、アパタイト、アタパルジャイト、窒化ホウ素、クリストバライト、珪藻土、ドロマイト、フェライト、長石、グラファイト、焼成カオリン、二硫化モリブデン、パーライト、軽石、パイロフィライト、セピオライト、スズ酸亜鉛、硫化亜鉛又は珪灰石が挙げられる。
【0189】
処理され得る他の充填剤としては、天然繊維、例えば、木粉、木質繊維、綿繊維、又は農業用繊維、麦稈、麻、亜麻、ケナフ、カポック、ジュート、ラミー、サイザル、ヘネケン、トウモロコシ繊維又はコイア、堅果殻、又は籾殻、リグニン、デンプン、又はセルロース及びセルロース含有産物、又は特定の合成繊維、例えばアラミド繊維、ナイロン繊維、綿繊維若しくはガラス繊維、又はポリテトラフルオロエチレン若しくはポリエチレンのプラスチック微小球が挙げられ、本発明はこのような充填剤の処理を含む。充填剤は、固体有機顔料、例えば、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、ヒドロキノン若しくはキサンチン染料を組み込むもの、又は固体有機難燃剤、例えば、ポリクロロビフェニル若しくはデカブロモジフェニルオキシド、又はリン含有難燃剤であってもよい。
【0190】
様々な実施形態では、化合物及び/又はコポリマーを使用して、シロキサン、又は少なくとも1つのシロキサンを含む組成物を変性することができる。変性は、化合物がシロキサンと反応し得る構えにおけるものなど、直接的であっても間接的であってもよい。組成物の更なる実施形態は、下記のとおりである。
【0191】
組成物は、1つ以上の任意選択の充填剤を含んでもよい。充填剤は、1つ以上の補強充填剤、非補強性充填剤、又はこれらの混合物であってもよい。微細化補強充填剤の例としては、籾殻灰などの表面積の大きいヒュームドシリカ及び沈降シリカ、並びにある程度の炭酸カルシウムが挙げられる。微細化非補強性充填剤の例としては、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、及び珪灰石が挙げられる。単独で又は上記の充填剤と組み合わせて使用されることがある他の充填剤としては、カーボンナノチューブ、例えばマルチウォールカーボンナノチューブアルミナイト、中空ガラス球、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)などの粘土、グラファイト、炭酸銅、例えばマラカイト、炭酸ニッケル、例えばザラカイト(zarachite)、炭酸バリウム、例えば毒重石、及び/又は炭酸ストロンチウム、例えばストロンチウム石が挙げられる。更なる代替の充填剤としては、酸化アルミニウム、かんらん石族、ざくろ石族;アルミノケイ酸塩;環状ケイ酸塩;鎖状ケイ酸塩;及び層状ケイ酸塩からなる群からのケイ酸塩が挙げられる。特定の実施形態では、組成物は、中空粒子、例えば中空球を含む、少なくとも1つの充填剤を含む。このような充填剤は、発泡体の多孔率及び/又は全体的な空隙率に寄与するのに有用な場合がある。特定の実施形態では、いくつかの充填剤を利用して、組成物のチキソトロピー特性を調整することができる。
【0192】
充填剤は、存在する場合、任意選択的に、処理剤で表面処理されてもよい。処理剤及び処理方法は、当該技術分野において理解されている。充填剤の表面処理は、典型的には、例えば、脂肪酸若しくはステアリン酸などの脂肪酸エステルを用いて、又はオルガノシラン、オルガノシロキサン、若しくはオルガノシラザン、例えばヘキサアルキルジシラザン若しくは短鎖シロキサンジオールを用いて行われる。概して、表面処理は充填剤を疎水性にし、したがって、組成物中の他の成分との均質混合物の取り扱い及び入手を容易にする。R5
eSi(OR6)4-e[式中、R5は、6~20個の炭素原子を有する置換又は非置換一価炭化水素基、例えば、ヘキシル、オクチル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、及びオクタデシルなどのアルキル基、並びにベンジル及びフェニルエチルなどのアラルキル基であり、R6は、1~6個の炭素原子を有するアルキルであり、下付き文字「e」は、1、2又は3である]などのシランも、充填剤の処理剤として使用することができる。特定の実施形態では、化合物及びコポリマーのうちの少なくとも1つは、任意選択的に1つ以上の従来の処理剤と組み合わせて、上記のような処理剤として使用することができる。
【0193】
様々な実施形態では、組成物は、反応阻害剤を更に含む。例えば、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、又は2-フェニル-3-ブチン-2-オールなどのアルキンアルコール;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インなどのエン-イン化合物;又は1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラヘキセニルシクロテトラシロキサン、又はベンゾトリアゾールを、任意選択の構成成分として組成物に組み込んでもよい。
【0194】
様々な実施形態では、本組成物は、チキソトロピー剤を更に含む。好適なチキソトロピー剤としては、レオロジー剤が挙げられ、このような剤の具体例は、米国特許出願公開第2018/0066115(A1)号及び同第2018/0208797(A1)号に見出すことができる。
【0195】
様々な実施形態では、本組成物は、接着性付与剤を更に含む。接着性付与剤により、硬化中に接触している基材材料、例えば第2の表面36への発泡体の接着性を改善することができる。特定の実施形態では、接着性付与剤は、分子中にケイ素原子に結合した少なくとも1つのアルコキシ基を有する有機ケイ素化合物から選択される。このアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、及びメトキシエトキシ基によって例示される。更に、この有機ケイ素化合物のケイ素原子に結合した非アルコキシ基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基などの置換又は非置換の一価炭化水素基;3-グリシドキシプロピル基、4-グリシドキシブチル基、又は類似のグリシドキシアルキル基などのエポキシ基含有一価有機基;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基、3-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピル基、又は同様のエポキシシクロヘキシルアルキル基;及び4-オキシラニルブチル基、8-オキシラニルオクチル基、又は同様のオキシラニルアルキル基;例えば3-メタクリロキシプロピル基などのアクリル基含有一価有機基;及び水素原子により例示される。
【0196】
この有機ケイ素化合物は、概して、ケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子を有する。更に、様々な種類の基材に対する良好な接着性を付与する能力に起因して、この有機ケイ素化合物は、概して、分子中に少なくとも1個のエポキシ基含有一価有機基を有する。この種類の有機ケイ素化合物は、オルガノシラン化合物、オルガノシロキサンオリゴマー、及びアルキルシリケートにより例示される。オルガノシロキサンオリゴマー又はアルキルシリケートの分子構造は、直鎖構造、部分的に分岐した直鎖構造、分岐鎖構造、環状構造、及びネット状構造により例示される。直鎖構造、分岐鎖構造、及びネット状構造が典型的である。この種類の有機ケイ素化合物は、シラン化合物、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなど;分子中に、少なくとも1個のケイ素結合アルケニル基又はケイ素結合水素原子と、少なくとも1個のケイ素結合アルコキシ基を有するシロキサン化合物;分子中に、少なくとも1つのケイ素結合アルコキシ基を有するシラン化合物若しくはシロキサン化合物と、少なくとも1つのケイ素結合ヒドロキシ基及び少なくとも1つのケイ素結合アルケニル基を有するシロキサン化合物と、の混合物;並びにメチルポリシリケート、エチルポリシリケート、及びエポキシ基含有エチルポリシリケートによって例示される。
【0197】
様々な実施形態では、組成物は、少なくとも1つの膨張剤を含む。利用される場合、膨張剤は、化学膨張剤、物理的膨張剤、及びこれらの組み合わせの群から選択することができる。利用される膨張剤の量は、所望の結果に応じて変化し得る。例えば、膨張剤の量を、最終泡密度及び泡発生プロファイルを調整するために変化させることができる。
【0198】
組成物は、直鎖状及び環状の両方のシリコーン、有機油、有機溶媒、及びこれらの混合物を含む、キャリアビヒクル(又は希釈剤)を含み得る。溶媒の具体例は、米国特許第6,200,581号に見出すことができる。キャリアビヒクルはまた、25℃で1~1,000mm2/秒の範囲の粘度を有する低粘度のオルガノポリシロキサン又は揮発性メチルシロキサン又は揮発性エチルシロキサン又は揮発性メチルエチルシロキサン、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン(ecamethylcyclopentasiloxane)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサン(exadeamethylheptasiloxane)、ヘプタメチル-3-[(トリメチルシリル)オキシ)]トリシロキサン、ヘキサメチル-3,3,ビス[(トリメチルシリル)オキシ]トリシロキサンペンタメチル[(トリメチルシリル)オキシ]シクロトリシロキサン、並びにポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリメチルエチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、カプリリルメチコン、及びこれらの任意の混合物であってもよい。
【0199】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の追加の成分、例えば、レオロジー調整剤、極性有機溶媒、増粘剤、無機塩(例えば塩化カルシウム)、パーソナルケア活性成分/成分、芳香剤、又はこれらの組み合わせを含む。典型的には、1つ以上の追加の成分は、組成物の所望の使用に基づいて選択される。例えば、いくつかの実施形態では、組成物はパーソナルケア組成物として使用するために配合され、パーソナルケア成分を更に含む。具体的なパーソナルケア成分、又は具体的なパーソナルケア成分の混合物は、パーソナルケア組成物の種類に基づいて選択されてもよく、組成物にそのまま配合される。これらの実施形態では、パーソナルケア成分は、液体、固体、カプセル化液などであってもよい。パーソナルケア成分の様々な例を、以下に記載する。これらのパーソナルケア成分のうちのいずれか、又は2つ以上の異なるパーソナルケア成分の組み合わせを、パーソナルケア成分として利用することができる。明確さ及び一貫性のため、「パーソナルケア成分」は、組成物が1つ又は2つ以上のパーソナルケア成分を含む、実施形態を包含する。
【0200】
具体的な実施形態では、パーソナルケア成分は、制汗剤及び/又はデオドラント剤(AP/DEO)である。これらの実施形態では、組成物は、制汗剤及び/又はデオドラント剤(AP/DEO)組成物と呼ばれる場合がある。制汗剤及びデオドラント剤の例としては、塩化アルミニウム、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスGLY、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスPEG、アルミニウムクロロハイドレックス、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレックスPG、アルミニウムクロロハイドレックスPEG、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムクロロハイドレックスPG、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレックスGLY、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、アルミニウムセスキクロロハイドレート、重炭酸ナトリウム、アルミニウムセスキクロロハイドレックスPEG、クロロフィリン-銅錯体、トリクロサン、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、リシノール酸亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0201】
特定の実施形態では、パーソナルケア成分は、スキンケア成分を含む。組成物の調製に利用する場合、スキンケア成分は、典型的には、水相安定剤、化粧品用殺生物剤、コンディショニング剤(シリコーン、カチオン性コンディショニング剤、疎水性コンディショニング剤等であり得る)、皮膚軟化剤、保湿剤、着色剤、染料、紫外線(UV)吸収剤、日焼け防止剤、酸化防止剤、芳香剤、抗微生物剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗老化有効成分(antiaging actives)、ニキビ防止剤、美白剤、顔料、防腐剤、pH調整剤、電解質、キレート剤、植物抽出物、ボタニカル(botanical)抽出物、皮脂吸収剤、皮脂コントロール剤、ビタミン、ワックス、界面活性剤、洗剤、乳化剤、増粘剤、噴射剤ガス、皮膚保護剤、フィルム形成ポリマー、光散乱剤、及びこれらの組み合わせから選択される。これらの実施形態のいくつかでは、組成物は、利用される特定のパーソナルケア成分に基づいて、スキンケア組成物、化粧品組成物、日焼け防止剤、シャワージェル、石鹸、ヒドロゲル、クリーム、ローション、バルム、ファンデーション、口紅、アイライナー、キューティクルコート、ほお紅などと呼ばれる場合がある。このようなスキンケア成分の様々な種について、当業者に既知の同様及び代替的な種と共に以下に記載する。
【0202】
皮膚軟化剤の例としては、揮発性又は不揮発性シリコーン油;ポリプロピルシルセスキオキサン及びフェニルトリメチコン等のシリコーン樹脂;ジメチコンクロスポリマー等のシリコーンエラストマー;C30~45アルキルメチコンなどのアルキルメチルシロキサン、スクアレン、パラフィン油、ペトロラタム油及びナフタレン油等の揮発性又は不揮発性の炭化水素化合物;水素添加又は部分水素添加ポリイソブテン;イソエイコサン;スクアラン;イソパラフィン;イソドデカン;イソデカン又はイソヘキサデカン;分岐状C8~C16エステル、イソヘキシルネオペンタノエート;イソノニルイソノナノエート、セトステアリルオクタノエート、イソプロピルミリステート、パルミチン酸誘導体(例えば、パルミチン酸デキストリン)、ステアリン酸誘導体、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリルイソステアレート、及びアルコール若しくはポリアルコールのヘプタノエート、オクタノエート、デカノエート、若しくはリシノレート、又はこれらの混合物、などといったエステル油;小麦胚芽、ヒマワリ、ブドウ種子、ヒマシ、シア、アボカド、オリーブ、ダイズ、スイートアーモンド、ヤシ、菜種、綿実、ヘーゼルナッツ、マカダミア、ホホバ、クロフサスグリ、オオマツヨイグサ等の植物由来の炭化水素油;又はカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド;オレイン酸、リノール酸若しくはリノレン酸等の高級脂肪酸;及びこれらの混合物が挙げられる。
【0203】
ワックスの例としては、蜜蝋、ラノリンワックス、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、オゾケライト、ポリエチレンワックス、合成ワックス、セレシン、ラノリン、ラノリン誘導体、カカオバター、セラックワックス、ぬかワックス、カポックワックス、サトウキビワックス、モンタンワックス、クジラワックス、ヤマモモワックス、シリコーンワックス(例えばポリメチルシロキサンアルキル、アルコキシ、及び/又はエステル、C30~45のアルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン)、ステアリルジメチコン、アルキルメチルシロキシ単位中に長鎖アルキル基を含むアルキルメチルシロキサンなどの炭化水素ワックス、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0204】
保湿剤の例としては、プロピレングリコール及びブチレングリコール等の低分子量脂肪族ジオール;グリセリン及びソルビトール等のポリオール、並びにポリエチレングリコール200等のポリオキシエチレンポリマー;ヒアルロン酸及びその誘導体、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0205】
増粘剤の例としては、アクリルアミドコポリマー、アクリレートコポリマー及びその塩(ナトリウムポリアクリレート等)、キサンタンガム及び誘導体、セルロースガム及びセルロース誘導体(メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリプロピルヒドロキシエチルセルロース等)、デンプン及びデンプン誘導体(ヒドロキシエチルアミロース及びデンプンアミラーゼ等)、ポリオキシエチレン、カルボマー、アルギネート(ナトリウムアルギネート等)、アラビアガム、カシアガム、イナゴマメガム、スクレログルカンガム、ジェランガム、ランサムガム(rhamsan gum)、カラヤガム、カラギーナンガム、グアーガム及びグアーガム誘導体、コカミド誘導体(コカミドプロピルベタイン及びコカミドMIPAを含む)、アルキルアルコール(セテアリルアルコール、ステアリルアルコール、及びその他の脂肪アルコール等)、ゼラチン、PEG-誘導体、糖類(例えば、フルクトース、グルコース等)及び糖類誘導体(PEG-120メチルグルコースジオレート等)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0206】
水相安定剤の例としては、電解質(例えば、アルカリ金属塩及びアルカリ土類塩、特に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの、クロライド、ホウ酸塩、クエン酸塩及び硫酸塩、並びにアルミニウムクロロハイドレート、及び高分子電解質、特に、ヒアルロン酸及びヒアルロン酸ナトリウム)、ポリオール(グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、及びソルビトール)、アルコール(エチルアルコール等)、及びハイドロコロイド、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0207】
pH調整剤の例としては、任意の水溶性酸(例えばカルボン酸等)、又は鉱酸(例えば、塩酸、硫酸及びリン酸等)、モノカルボン酸(例えば、酢酸及び乳酸等)、及びポリカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、及びクエン酸等)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0208】
防腐剤及び化粧品用殺生物剤の例としては、パラベン誘導体(例えばメチルパラベン、プロピルパラベン)、ヒダントイン誘導体、クロロヘキシジン及びその誘導体、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、フェノキシエタノール、銀誘導体、サリチレート誘導体、トリクロサン、シクロピロックスオラミン、ヘキサミジン、オキシキノリン及びその誘導体、PVP-ヨード、亜鉛塩及び誘導体(亜鉛ピリチオンなど)、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0209】
皮脂吸収剤又は皮脂調整剤の例としては、シリカシリレート、シリカジメチルシリレート、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋メチルメタクリレート、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0210】
顔料及び着色剤の例としては、表面処理又は未処理酸化鉄、表面処理又は未処理二酸化チタン、表面処理又は未処理雲母、酸化銀、ケイ酸塩、酸化クロム、カロテノイド、カーボンブラック、ウルトラマリン、クロロフィリン誘導体、及び黄土が挙げられる。有機顔料の例としては、D&C及びFD&C青色、褐色、緑色、橙色、赤色、黄色等として指定される、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン、及びキサンチン染料を含む芳香族型、並びにこれらの混合物が挙げられる。表面処理としては、レシチン、シリコーン、シラン、フルオロ化合物及びこれらの混合物に基づく処理が挙げられる。
【0211】
シリコーンコンディショニング剤の例としては、ジメチコン等のシリコーン油;ジメチコノール等のシリコーンガム;トリメチルシロキシシリケート、ポリプロピルシルセスキオキサン等のシリコーン樹脂;シリコーンエラストマー;アルキルメチルシロキサン;アモジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、フェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、シリコーンクオタニウム-16/グリシドキシジメチコンクロスポリマー、シリコーンクオタニウム-16等の有機変性シリコーン油、糖類官能性シロキサン;カルビノール官能性シロキサン;シリコーンポリエーテル;シロキサンコポリマー(ジビニルジメチコン/ジメチコンコポリマー)、アクリレート又はアクリル官能性シロキサン、及びこれらの混合物又はエマルジョンが挙げられる。
【0212】
カチオン性コンディショニング剤の例としては、グアーガムのヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム誘導体等のグアー誘導体;カチオン性セルロース誘導体、カチオン性デンプン誘導体;セルロースエーテルの第四級窒素誘導体;ジメチルジアリルアンモニウムクロライドのホモポリマー;アクリルアミド及びジメチルジアリルアンモニウムクロライドのコポリマー;エステル又はアミド結合によってポリマーに結合するカチオン性窒素官能基を含むアクリル酸又はメタクリル酸から誘導されたホモポリマー又はコポリマー;脂肪族アルキルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマー第四級アンモニウム塩、N,N’-ビス-(2,3-エポキシプロピル)-ピペラジン又はピペラジン-ビス-アクリルアミド及びピペラジンの重縮合生成物、並びにビニルピロリドンと第四級窒素官能基を有するアクリル酸エステルとのコポリマーが挙げられる。具体的な物質としては、様々なポリクアット(polyquats)、例えば、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、及びポリクオタニウム-23が挙げられる。他の種類のコンディショナーとしては、カチオン性界面活性剤、例えば、セチルトリメチルアンモニウムクロライド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド及びステリアルトリメチルアンモニウムクロライド等、及びこれらの混合物が挙げられる。場合によっては、カチオン性コンディショニング剤はまた、例えば、疎水化変性第四級化ヒドロキシエチルセルロースポリマー、カチオン性疎水化変性ガラクトマンナンエーテル、及びこれらの混合物等、疎水的に変性されたものである。
【0213】
疎水性コンディショニング剤の例としては、グアー誘導体、ガラクトマンナンガム誘導体、セルロース誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0214】
UV吸収剤及び日焼け防止剤としては、約290~320ナノメートルの間の紫外線(UV-B領域)を吸収するもの、及び320~400ナノメートルの範囲の紫外線(UV-A領域)を吸収するものが挙げられる。
【0215】
日焼け防止剤のいくつかの例は、アミノ安息香酸、シノキセート、ジエタノールアミンメトキシシンナメート、ジガロイルトリオレエート、ジオキシベンゾン、エチル4-[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート、グリセリルアミノベンゾエート、ホモサレート、ジヒドロキシアセトンを有するローソン、メンチルアントラニレート、オクトクリレン、エチルヘキシルメトキシシンナメート(又はオクチルメトキシシンナメート)、オクチルサリチレート(又はエチルヘキシルサリチレート)、オキシベンゾン、パラジメートO、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、赤色ワセリン、スリソベンゾン、二酸化チタン、トロラミンサリチレート、及びこれらの混合物である。
【0216】
UV吸収剤のいくつかの例は、アセトアミノサロール、アラントイン(allatoin)PABA、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン1-12,3-ベンジリデンカンファー、ベンジリデンカンファー加水分解コラーゲンスルホンアミド、ベンジリデンカンファースルホン酸、ベンジルサリチレート、ボルネロン(bornelone)、ブメトリオゾール(bumetriozole)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、ブチルPABA、セリア/シリカ、セリア/シリカタルク、シノキセート、DEA-メトキシシンナメート、ジベンゾオキサゾールナフタレン、ジ-t-ブチルヒドロキシベンジリデンカンファー、ジガロイルトリオレエート、ジイソプロピルメチルシンナメート、ジメチルPABAエチルセテアリールジイモニウムトシレート、ジオクチルブタミドトリアゾン、ジフェニルカルボメトキシアセトキシナフトピラン、ビスエチルフェニルトリアミノトリアジン(tiamminotriazine)スチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、ドロメトリゾール、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルジヒドロキシプロピルPABA、エチルジイソプロピルシンナメート、エチルメトキシシンナメート、エチルPABA、ウロカニン酸エチル、エトロクリレンフェルラ酸、グリセリルオクタノエートジメトキシシンナメート、グリセリルPABA、グリコールサリチレート、ホモサレート、イソアミルp-メトキシシンナメート、イソプロピルベンジルサリチレート、イソプロピルジベンゾリルメタン、イソプロピルメトキシシンナメート、オクチルメトキシシンナメート、メンチルアントラニレート、メンチルサリチレート、4-メチルベンジリデン、カンファー、オクトクリレン、オクトリゾール、オクチルジメチルPABA、エチルヘキシルメトキシシンナメート、オクチルサリチレート、オクチルトリアゾン、PABA、PEG-25PABA、ペンチルジメチルPABA、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、メトキシケイ皮酸カリウム、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸カリウム、赤色ワセリン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸ナトリウム、ウロカニン酸ナトリウム、TEA-フェニルベンゾイミダゾールスルホネート、TEA-サリチレート、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、二酸化チタン、トリPABAパンテノール、ウロカニン酸、VA/クロトネート/メタクリロキシベンゾフェノン-1コポリマー、及びこれらの混合物である。
【0217】
皮膚保護剤の例としては、アラントイン、酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カラミン、カカオバター、タラ肝油、コロイド状オートミール、ジメチコン、グリセリン、カオリン、ラノリン、鉱油、ワセリン、サメ肝油、重炭酸ナトリウム、タルク、ウィッチヘーゼル、酢酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0218】
染料の例としては、1-アセトキシ-2-メチルナフタレン、酸性染料、5-アミノ-4-クロロ-o-クレゾール、5-アミノ-2,6-ジメトキシ-3-ヒドロキシピリジン、3-アミノ-2,6-ジメチルフェノール、2-アミノ-5-エチルフェノールHCl、5-アミノ-4-フルオロ-2-メチルフェノールサルフェート、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソール、2-アミノ-4-ヒドロキシエチルアミノアニソールサルフェート、2-アミノ-5-ニトロフェノール、4-アミノ-2-ニトロフェノール、4-アミノ-3-ニトロフェノール、2-アミノ-4-ニトロフェノールサルフェート、m-アミノフェノールHCl、p-アミノフェノールHCl、m-アミノフェノール、o-アミノフェノール、4,6-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-m-フェニレンジアミンHCl、2,6-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ピリジンジアミンHCl、2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール、2-クロロ-5-ニトロ-N-ヒドロキシエチルp-フェニレンジアミン、2-クロロ-p-フェニレンジアミン、3,4-ジアミノ安息香酸、4,5-ジアミノ-1-((4-クロロフェニル)メチル)-1H-ピラゾール-サルフェート、2,3-ジアミノジヒドロピラゾロピラゾロンジメトスルホネート、2,6-ジアミノピリジン、2,6-ジアミノ-3-((ピリジン-3-イル)アゾ)ピリジン、ジヒドロキシインドール、ジヒドロキシインドリン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-p-フェニレンジアミンサルフェート、直接染料、4-エトキシ-m-フェニレンジアミンサルフェート、3-エチルアミノ-p-クレゾールサルフェート、N-エチル-3-ニトロPABA、グルコンアミドプロピルアミノプロピルジメチコン、ヘマトキシロンブラジレット木材抽出物、HC染料、ローソニアイネルミス(ヘナ)抽出物、ヒドロキシエチル-3,4-メチレンジオキシアニリンHCl、ヒドロキシエチル-2-ニトロ-p-トルイジン、ヒドロキシエチル-p-フェニレンジアミンサルフェート、2-ヒドロキシエチルピクラミン酸、ヒドロキシピリジノン、ヒドロキシスクシンイミジルC21~C22イソアルキルアシデート(acidate)、イサチン、ホソバタイセイ(Insatis Tinctoria)葉粉末、2-メトキシメチル-p-フェニレンジアミンサルフェート、2-メトキシ-p-フェニレンジアミンサルフェート、6-メトキシ-2,3-ピリジンジアミンHCl、4-メチルベンジル4,5-ジアミノピラゾールサルフェート、2,2’-メチレンビス4-アミノフェノール、2,2’-メチレンビス-4-アミノフェノールHCl、3,4-メチレンジオキシアニリン、2-メチルレゾルシノール、メチルロザニリニウムクロライド、1,5-ナフタレンジオール、1,7-ナフタレンジオール、3-ニトロ-p-クレゾール、2-ニトロ-5-グリセリルメチルアニリン、4-ニトログアイアコール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、2-ニトロ-N-ヒドロキシエチル-p-アニシジン、ニトロフェノール、4-ニトロフェニルアミノエチル尿素、4-ニトロ-o-フェニレンジアミンジヒドロクロライド、2-ニトロ-p-フェニレンジアミンジヒドロクロライド、4-ニトロ-o-フェニレンジアミンHCl、4-ニトロ-m-フェニレンジアミン、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、4-ニトロ-m-フェニレンジアミンサルフェート、4-ニトロ-o-フェニレンジアミンサルフェート、2-ニトロ-p-フェニレンジアミンサルフェート、6-ニトロ-2,5-ピリジンジアミン、6-ニトロ-o-トルイジン、PEG-3 2,2’-ジ-p-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミンHCl、p-フェニレンジアミンサルフェート、フェニルメチルピラゾロン、N-フェニル-p-フェニレンジアミンHCl、ピグメントブルー15:1、ピグメントバイオレット23、ピグメントイエロー13、ピロカテコール、ピロガロール、レゾルシノール、ピクラミン酸ナトリウム、スルファニル酸ナトリウム、ソルベントイエロー85、ソルベントイエロー172、テトラアミノピリミジンサルフェート、テトラブロモフェノールブルー、2,5,6-トリアミノ-4-ピリミジノールサルフェート、1,2,4-トリヒドロキシベンゼンが挙げられる。
【0219】
香料の例としては、香料ケトン、及び香料アルデヒドが挙げられる。香料ケトンを例示すると、ブッコキシム、イソジャスモン、メチルベータナフチルケトン、じゃ香インダノン、トナリド/じゃ香プラス、α-ダマスコン、ベータ-ダマスコン、デルタ-ダマスコン、イソ-ダマスコン、ダマセノン、ダマローズ(Damarose)、ジヒドロジャスモン酸メチル、メントン、カルボン、カンファー、フェンコン、α-イオノン、ベータ-イオノン、ガンマ-メチル、いわゆるイオノン、フル-ラモン(Fleuramone)、ジヒドロジャスモン、シス-ジャスモン、イソ-E-スーパー、メチル-セドレニル-ケトン又はメチル-セドリロン(Cedrylone)、アセトフェノン、メチル-アセトフェノン、パラ-メトキシ-アセトフェノン、メチル-ベータ-ナフチル-ケトン、ベンジル-アセトン、ベンゾフェノン、パラ-ヒドロキシ-フェニル-ブタノン、セロリケトン又はライブスコン(Livescone)、6-イソプロピルデカハイドロ-2-ナフトン、ジメチル-オクテノン、フレスコメンテ(Freskomenthe)、4-(1-エトキシビニル)-3,3,5,5,-テトラメチル-シクロヘキサノン、メチル-ヘプテノン、2-(2-(4-メチル-3-シクロヘキセン-1-イル)プロピル)-シクロペンタノン、1-(p-メンテン-6(2)-イル)-1-プロパノン、4-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-ブタノン、2-アセチル-3,3-ジメチル-ノルボルネン(Norbornane)、6,7-ジヒドロ-1,1,2,3,3-ペンタメチル-4(5H)-インダノン、4-ダマスコール、ドルシニル(Dulcinyl)又はカッシオン(Cassione)、ゲルソン(Gelsone)、ヘキサロン(Hexylon)、イソシクレモン(Isocyclemone)E、メチルシクロシトロン、メチル-ラベンダー-ケトン、オリボン(Orivon)、パラ-三級-ブチル-シクロヘキサノン、ヴェルドーネ、デルホン(Delphone)、ムスコン、ネオブテノン(Neobutenone)、プリカトン(Plicatone)、ベロウトン(Veloutone)、2,4,4,7-テトラメチル-オクタ-6-エン-3-オン、及びテトラメラン(Tetrameran)である。芳香剤は、植物の花、種子、葉、及び/又は根、海藻等から誘導又は抽出され得る。芳香剤は、例えば、動物から、分泌腺から抽出することができ、ムスク又はマッコウクジラ油であってもよい。芳香剤は、例えばメントール、アセテート、バニラ等、人工的に合成されたものであってもよい。
【0220】
具体的な実施形態では、香料ケトンは、α-ダマスコン、δ-ダマスコン、イソダマスコン、カルボン、γ-メチル-イオノン、Iso-E-Super、2,4,4,7-テトラメチル-オクタ-6-エン-3-オン、ベンジルアセトン、βダマスコン、ダマセノン、メチルジヒドロジャスモネート、メチルセドリロン(methyl cedrylone)、及びこれらの混合物から、臭気特性のため選択される。
【0221】
具体的な実施形態では、香料アルデヒドは、アドキサール、アニスアルデヒド、サイマール、エチルバニリン、フロールヒドラル(florhydral)、ヘリオナル、ヘリオトロピン、ヒドロキシシトロネラール、コアボン(koavone)、ラウリンアルデヒド、リラール、メチルノニルアセトアルデヒド、P.T.ブシナール、フェニルアセトアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、バニリン、2,6,10-トリメチル-9-ウンデセナール、3-ドデセン-1-アール、α-n-アミルシンナミックアルデヒド、4-メトキシベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、3-(4-tertブチルフェニル)-プロパナール、2-メチル-3-(パラ-メトキシフェニルプロパナール、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-2(1)-シクロヘキセン-1-イル)ブタナール、3-フェニル-2-プロペナール、シス-/トランス-3,7-ジメチル-2,6-オクタジエン-1-アール、3,7-ジメチル-6-オクテン-1-アール、[(3,7-ジメチル-6-オクテニル)オキシ]アセトアルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、1,2,3,4,5,6,7,8-オクタヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、2,4-ジメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、2-メチル-3-(イソプロピルフェニル)プロパナール、1-デカナール、デシルアルデヒド、2,6-ジメチル-5-ヘプテナール、4-(トリシクロ[5.2.1.0(2,6)]-デシリデン-8)-ブタナール、オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンカルボキシアルデヒド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、パラ-エチル-α,α-ジメチルヒドロシンナムアルデヒド、α-メチル-3,4-(メチレンジオキシ)-ヒドロシンナムアルデヒド、3,4-メチレンジオキシベンズアルデヒド、α-n-ヘキシルシンナミックアルデヒド、m-シメン-7-カルボキシアルデヒド、α-メチルフェニルアセトアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチルオクタナール、ウンデセナール、2,4,6-トリメチル-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、4-(3)(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-カルボキシアルデヒド、1-ドデカナール、2,4-ジメチルシクロヘキセン-3-カルボキシアルデヒド、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、7-メトキシ-3,7-ジメチルオクタン-1-アール、2-メチルウンデカナール、2-メチルデカナール、1-ノナナール、1-オクタナール、2,6,10-トリメチル-5,9-ウンデカジエナール、2-メチル-3-(4-tertブチル)プロパナール、ジヒドロシンナミックアルデヒド、1-メチル-4-(4-メチル-3-ペンテニル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド、5又は6メトキシ10ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1又は2-カルボキシアルデヒド、3,7-ジメチルオクタン-1-アール、1-ウンデカナール、10-ウンデセン-1-アール、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、1-メチル-3-(4-メチルペンチル)-3-シクルヘキセン(cyclhexene)カルボキシアルデヒド、7-ヒドロキシ-3,7-ジメチル-オクタナール、トランス-4-デセナール、2,6-ノナジエナール、パラトリルアセトアルデヒド、4-メチルフェニルアセトアルデヒド、2-メチル-4-(2,6,6-トリメチル-1-シクロヘキセン-1-イル)-2-ブテナール、オルト-メトキシシンナミックアルデヒド、3,5,6-トリメチル-3-シクロヘキセンカルボキシアルデヒド、3,7-ジメチル-2-メチレン-6-オクテナール、フェノキシアセトアルデヒド、5,9-ジメチル-4,8-デカジエナール、ピオニーアルデヒド(peony aldehyde)(6,10-ジメチル-3-オキサ-5,9-ウンデカジエン-1-アール)、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン-1-カルボキシアルデヒド、2-メチルオクタナール、α-メチル-4-(1-メチルエチル)ベンゼンアセトアルデヒド、6,6-ジメチル-2-ノルピネン-2-プロピオンアルデヒド、パラメチルフェノキシアセトアルデヒド、2-メチル-3-フェニル-2-プロペン-1-アール、3,5,5-トリメチルヘキサナール、ヘキサヒドロ-8,8-ジメチル-2-ナフトアルデヒド、3-プロピル-ビシクロ[2.2.1]-ヘプタ-5-エン-2-カルボアルデヒド、9-デセナール、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタナール、メチルノニルアセトアルデヒド、ヘキサナール、トランス-2-ヘキセナール、1-p-メンテン-q-カルボキシアルデヒド、及びこれらの混合物から、臭気特性のため選択される。
【0222】
酸化防止剤の例は、アセチルシステイン、アルブチン、アスコルビン酸、アスコルビン酸ポリペプチド、アスコルビン酸ジパルミテート、アスコルビン酸メチルシラノールペクチネート、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレート、BHA、p-ヒドロキシアニソール、BHT、t-ブチルヒドロキノン、カフェー酸、チャノキ油、キトサンアスコルベート、キトサングリコレート、キトサンサリチレート、クロロゲン酸、システイン、システインHCl、デシルメルカプトメチルイミダゾール、エリソルビン酸、ジアミルヒドロキノン、ジ-t-ブチルヒドロキノン、ジセチルチオジプロピネート、ジシクロペンタジエン/t-ブチルクレゾールコポリマー、ジガロイルトリオレエート、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジオレイルトコフェリルメチルシラノール、イソクエルシトリン、ジオスミン、アスコルビン酸硫酸二ナトリウム、ルチニル二硫酸二ナトリウム、ジステアリルチオジプロピオネート、ジトリデシルチオジプロピオネート、ドデシルガレート、エチルフェルレート、フェルラ酸、ヒドロキノン、ヒドロキシルアミンHCl、ヒドロキシルアミンサルフェート、イソオクチルチオグリコレート、コウジ酸、マデカシコシド(madecassicoside)、アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、メラトニン、メトキシ-PEG-7ルチニルスクシネート、メチレンジ-t-ブチルクレゾール、メチルシラノールアスコルベート、ノルジヒドログアイアレチン酸、オクチルガレート、フェニルチオグリコール酸、フロログルシノール、アスコルビン酸トコフェリルリン酸カリウム、チオジグリコールアミド、亜硫酸カリウム、プロピルガレート、ロスマリン酸、ルチン、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸/コレステリルリン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エリトルビン酸ナトリウム、メタ二硫化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、ソルビチルフルフラール、ティーツリー(Melaleuca aftemifolia)油、トコフェリルアセテート、テトラヘキシルデシルアスコルベート、テトラヒドロジフェルロイルメタン、トコフェリルリノレート/オレエート、チオジグリコール、トコフェリルスクシネート、チオジグリコール酸、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、チオタウリン、レチノール、トコフェレス-5、トコフェレス-10、トコフェレス-12、トコフェレス-18、トコフェレス-50、トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルリノレート、トコフェリルニコチネート、トコキノン、o-トリルビグアニド、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ユビキノン、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、及びこれらの混合物である。
【0223】
噴射剤ガスの例としては、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、揮発性炭化水素(ブタン、イソブタン、又はプロパン等)、並びにジクロロジフルオロメタン及びジクロロテトラフルオロエタン等の塩素化又はフッ素化炭化水素、又はジメチルエーテル、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0224】
具体的な実施形態では、組成物は日焼け止めである。これらの実施形態では、パーソナルケア成分は、この日焼け防止剤を含む。日焼け防止剤は、例えば、日焼け止め添加剤、SPFブースタ、光安定剤、フィルム形成ポリマー等であり得る。日焼け防止剤は、更に又は代替的に、サンレスタンニング用途において使用することもできる。日焼け防止剤の具体例は、上記のものである。
【0225】
他の実施形態では、パーソナルケア成分は、毛髪ケア(ヘアケア)成分を含む。これらの実施形態では、組成物は、ヘアケア組成物とも称され得る。組成物の調製に使用する場合、ヘアケア成分は、典型的には、コンディショニング剤(シリコーン、カチオン性コンディショニング剤、疎水性コンディショニング剤等であってよい)、着色剤、染料、紫外線(UV)吸収剤、防腐剤、植物抽出物、脂肪アルコール、ビタミン、香料、抗フケ剤、カラーケア添加剤、真珠光沢(pearlising)剤、pH調整剤、電解質、キレート剤、スタイリング剤、セラミド、アミノ酸誘導体、懸濁剤、界面活性剤、洗剤、乳化剤、増粘剤、酸化剤、還元剤、フィルム形成ポリマー、及びこれらの組み合わせから選択される。これらの毛髪ケア実施形態のうちのいくつかでは、組成物は、シャンプー、リンス・オフ・コンディショナー、リーブ・イン・コンディショナー、ジェル、ポマード、セラム、スプレー、着色製品、又はマスカラとも称され得る。これらのヘアケア成分の多くの例を、好適なパーソナルケア成分として上記した。
【0226】
酸化剤の例は、過硫酸アンモニウム、過酸化カルシウム、過酸化水素、過酸化マグネシウム、過酸化メラミン、臭素酸カリウム、カロ酸カリウム、塩素酸カリウム、過硫酸カリウム、臭素酸ナトリウム、炭酸ナトリウム過酸化物、塩素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、過ホウ素酸ナトリウム、過硫酸ナトリウム、二酸化ストロンチウム、過酸化ストロンチウム、過酸化尿素、過酸化亜鉛、及びこれらの混合物である。
【0227】
還元剤の例は、重亜硫酸アンモニウム、亜硫酸アンモニウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオ乳酸アンモニウム、システアミン(cystemaine)HCl、システイン、システインHCl、エタノールアミンチオグリコレート、グルタチオン、グリセリルチオグリコレート、グリセリルチオプロピオネート、ヒドロキノン、p-ヒドロキシアニソール、イソオクチルチオグリコレート、チオグリコール酸マグネシウム、メルカプトプロピオン酸、メタ重亜硫酸カリウム、亜硫酸カリウム、チオグリコール酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸ストロンチウム、スーパーオキサイドジスムターゼ、チオグリセリン、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオサリチル酸、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート、及びこれらの混合物である。
【0228】
ふけ防止剤の例としては、ピリジンチオン塩、セレン化合物(例えば、二硫化セレン)、及び可溶性ふけ防止剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0229】
他の実施形態では、パーソナルケア成分は、ネイルケア成分を含む。これらの実施形態では、組成物は、ネイルケア組成物とも称され得る。組成物の調製に利用される場合、ネイルケア成分は、例えば、ネイルポリッシュ、ネイルジェル、ネイルチップ、アクリルフィニッシュなどといったネイルケア組成物に使用される任意の成分であり得る。このようなネイルケア成分の例としては、顔料、樹脂、溶媒、揮発性ハロゲン化合物(例えばメトキシノナフルオロブタン及び/又はエトキシノナフルオロブタン)等が挙げられる。
【0230】
より具体的には、ネイルケア成分の例としては、ブチルアセテート、酢酸エチル、ニトロセルロース、アセチルクエン酸トリブチル、イソプロピルアルコール、アジピン酸/ネオペンチルグリコール/無水トリメリト酸コポリマー、ステアラルコニウムベントナイト、アクリレートコポリマー、パントテン酸カルシウム、エイランタイ(Cetraria islandica)抽出物、コンドルスクリプス、スチレン/アクリレートコポリマー、トリメチルペンタンジイルジベンゾエート-1、ポリビニルブチラール、N-ブチルアルコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、雲母、シリカ、酸化スズ、ホウケイ酸カルシウム、合成フッ素金雲母、ポリエチレンテレフタレート、ソルビタンラウレート誘導体、タルク、ホホバ抽出物、ダイアモンド粉末、イソブチルフェノキシエポキシ樹脂、シルク粉末、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0231】
他の実施形態では、パーソナルケア成分は、歯ケア成分を含む。これらの実施形態では、組成物は、歯ケア組成物とも称され得る。かかる歯ケア組成物の1つの具体例は、歯磨き粉である。歯ケア組成物の別の例は、歯の美白用組成物である。歯ケア成分は、歯ケア組成物に好適な任意の歯ケア成分、例えば、研磨化合物(例えば、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、シリカ、ゼオライト)、フルオライド化合物、界面活性剤、風味剤、再石灰化剤、抗菌剤等であってもよい。
【0232】
特定の実施形態では、パーソナルケア成分は、組成物がスキンケア又はヘアケア等のいずれに使用される場合であっても、パーソナルケア成分として使用され得る、フィルム形成ポリマーを含む。本明細書で使用するとき、「フィルム形成ポリマー」は、そのものが、又は任意選択的にフィルム形成剤の存在下で、基質上にフィルムの形成可能なポリマー又はオリゴマーを意味する。フィルム形成ポリマーは、例えば、加熱、周囲条件への曝露、などといった、硬化条件の適用時にフィルムを形成し得る。代替的に、フィルム形成ポリマーは、フィルム形成ポリマーが任意選択的に処理され得る任意のキャリアビヒクルの蒸発時に、フィルムを形成することができる。フィルム形成ポリマーは、フィルムを形成する際に、例えば、フィルム形成ポリマーが架橋され得る、又はさもなければ更なる結合を含み得る、反応にかけられてもよい。しかし、このような反応なしで、フィルム形成ポリマーは、フィルムを形成し得る。フィルム形成ポリマーは、ゲル化剤であり得る。フィルム形成ポリマーは、組成物が日焼け防止剤である場合に特に有利であるものの、パーソナルケア成分は、他の組成物においてもフィルム形成ポリマーを同様に含み得る。
【0233】
フィルムが形成される基質は任意の基質であってもよいが、処置方法について以下詳細に記載するとおり、基質は、概して、哺乳動物、特にヒトの一部分である。好適な基質の具体例としては、皮膚(スキン)、毛髪(ヘア)、及び爪(ネイル)が挙げられる。
【0234】
概して、フィルムは、連続しているが、フィルムは、様々な厚さを有し得る。「連続」とは、フィルムがなんら開口部を定めないことを意味する。フィルムは、肉眼的に連続しているとして称され得る。フィルムは、基質により支持されてよく、又は例えば、物理的及び/又は化学的に基質に結合されてよい。特定の実施形態では、このフィルムは任意選択的に基質から取り外し可能なものであり、例えば、フィルムは基質から剥離可能なものであり得る。フィルムは、基質からの分離時に損傷させずに自立フィルムのまま保つことができ、又はフィルムの連続性を損ない得る及び/又は破壊し得る剪断を加えて分離されてもよい。
【0235】
好適なフィルム形成ポリマーの具体例としては、アクリルポリマー、シリコーン樹脂(例えばポリプロピルシルセスキオキサン)、ポリウレタン、ポリウレタン-アクリル、ポリエステル、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステルアミド、アルキド、ポリアミド、ポリウレア、ポリウレア-ポリウレタン、セルロース系ポリマー(例えば、ニトロセルロース)、シリコーン、アクリル-シリコーン、ポリアクリルアミド、フルオロポリマー、ポリイソプレン、及びこれらの任意のコポリマー若しくはターポリマー、又はこれらのうちの1つを含むものが挙げられる。好適なフィルム形成ポリマーについて本明細書で使用するとき、「シリコーン」という用語は、直鎖状、分岐状、及び樹脂シリコーンを含むが、樹脂シリコーンは、概して、ポリマーではなくシリコーン樹脂と称される。シリコーンは変性されていてもよく、例えばシリコーンは、シリコーングラフトアクリルポリマーであってもよい。
【0236】
上に記載したとおり、フィルム形成ポリマーは、フィルム形成ポリマーを一部又は完全に溶解可能であり得るキャリアビヒクル中に配置され得る。フィルム形成ポリマーの選択により、キャリアビヒクルは、例えば、油、例えば有機油及び/又はシリコーン油、溶媒、水等であり得る。フィルム形成ポリマーは、任意選択的に少なくとも1種の安定剤により表面が安定化されているポリマー粒子の形態であってよく、ポリマー粒子は、分散体又はエマルジョンとして存在し得る。
【0237】
フィルム形成ポリマーは、スチレンを含まないものであり得るブロックポリマーであってよい。典型的には、ブロックポリマーは、少なくとも1つの第1のブロックと、少なくとも1つの第2のブロックとを含み、これらのブロックは、第1のブロックの少なくとも1つの構成モノマーと、第2のブロックの少なくとも1つの構成モノマーとを含む、中間体ブロックにより共に連結されていてよい。概して、第1及び第2のブロックのガラス転移温度は互いに異なる。
【0238】
ブロックポリマーの調製に使用できるモノマーとしては、例えば、メチルメタクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート及びイソボルニル(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、シクロデシルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、イソデシルアクリルアミド2-エチルヘキシルアクリレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0239】
具体的な実施形態では、フィルム形成ポリマーは、フリーラジカル重合を介して得られ又は生成され得る。例えば、少なくとも1種のアクリルモノマーと、重合性末端基を含む少なくとも1種のシリコーン又は炭化水素系マクロモノマーとを、フリーラジカル重合させて、フィルム形成ポリマーを生成することもできる。
【0240】
炭化水素系マクロモノマーの具体例としては、直鎖状又は分岐状のC8~C22のアルキルアクリレート又はメタクリレートの、ホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。重合性末端基は、ビニル基又は(メタ)アクリレート基であってもよく、例えば、ポリ(2-エチルヘキシルアクリレート)マクロモノマー、ポリ(ドデシルアクリレート)又はポリ(ドデシルメタクリレート)マクロモノマー、ポリ(ステアリルアクリレート)又はポリ(ステアリルメタクリレート)マクロモノマー等であってもよい。かかるマクロモノマーは、概して、重合性末端基として1つの(メタ)アクリレート基を含む。
【0241】
炭化水素系マクロモノマーの更なる例としては、(重合性末端基として)エチレン性不飽和末端基、例えば(メタ)アクリレート末端基を含む、ポリオレフィンが挙げられる。かかるポリオレフィンの具体例としては、ポリエチレンマクロモノマー、ポリプロピレンマクロモノマー、ポリエチレン/ポリプロピレンコポリマーマクロモノマー、ポリエチレン/ポリブチレンコポリマーマクロモノマー、ポリイソブチレンマクロモノマー、ポリブタジエンマクロモノマー、ポリイソプレンマクロモノマー、ポリブタジエンマクロモノマー、及びポリ(エチレン/ブチレン)-ポリイソプレンマクロモノマーが挙げられる。
【0242】
シリコーン系マクロモノマーの例としては、重合性末端基、例えば(メタ)アクリレート末端基を含むオルガノポリシロキサンが挙げられる。オルガノポリシロキサンは、直鎖状、分岐状、部分的に分岐状、又は樹脂であってよい。様々な実施形態では、オルガノポリシロキサンは直鎖状である。これらの実施形態では、オルガノポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサンであってもよいが、メチル基以外の炭化水素基がメチル基と共に又はメチル基の代わりに存在してもよい。典型的には、重合性末端基は末端であるが、重合性末端基は任意選択的にペンダントであってもよい。シリコーン系マクロモノマーの1つの具体例は、モノメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサンである。
【0243】
特定の実施形態では、フィルム形成ポリマーは、キャリアビヒクルとしての油に可溶性である有機のフィルム形成ポリマーである。これらの実施形態では、フィルム形成ポリマーは、脂溶性ポリマーと称され得る。脂溶性ポリマーは任意のタイプのものであってよく、それらの具体例としては、オレフィン、シクロオレフィン、ブタジエン、イソプレン、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、ビニルアミド、(メタ)アクリル酸エステル若しくはアミド等を含むもの、又はこれらから形成されたものが挙げられる。
【0244】
一実施形態では、脂溶性ポリマーは、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーから形成される。
【0245】
代替的に更に、脂溶性ポリマーは、典型的には、シリコーン主鎖と、アクリルグラフトと、を含むか、又は代替的にアクリル主鎖と、シリコーングラフトと、を含む、アクリル-シリコーングラフトポリマーであり得る。
【0246】
フィルム形成ポリマーは、ハロゲン化されていてもよく、例えば、フィルム形成ポリマーは、フッ素原子を含んでいてもよい。
【0247】
代替的に上に記載したとおり、フィルム形成ポリマーは、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、又はエチルセルロース等のセルロース系ポリマーであってもよい。代替的に更に、フィルム形成ポリマーは、ポリウレタン、アクリルポリマー、ビニルポリマー、ポリビニルブチラール、アルキド樹脂、又はアリールスルホンアミド-ホルムアルデヒド樹脂等のアルデヒド縮合生成物由来の樹脂を含み得る。
【0248】
更に、上に記載したとおり、フィルム形成ポリマーはシリコーンを含んでもよく、直鎖状、分岐状、及び樹脂であり得る。樹脂シリコーンは、概して、当業界で理解されるとおり、少なくとも1つのT及び/又はQ単位を含む。樹脂シリコーンの例としては、シルセスキオキサンが挙げられる。シリコーンは、フィルム形成ポリマーを構成するのであれば、M、D、T、及びQ単位の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0249】
フィルム形成ポリマーがシリコーンを含む場合、フィルム形成ポリマーは両親媒性シリコーンを含んでいてもよい。両親媒性シリコーンは、典型的には、シリコーン媒体と相溶性のあるシリコーン部分と親水性部分とを含む。親水性部分は、例えば、ヒドロキシル基を1~12個有するアルコール及びポリオール、並びにポリオキシアルキレン(例えば、オキシプロピレン単位及び/又はオキシエチレン単位を含むもの)から選択される化合物の残基であり得る。
【0250】
両親媒性シリコーンは、ゲル化有効成分を有するか、又は有しない油であり得る。この種の油は、例えば、ジメチコンコポリオール、ビスヒドロキシエトキシプロピルジメチコン等を含み得る。
【0251】
一実施形態では、フィルム形成ポリマーは、シリコーン有機エラストマーゲルを含む。シリコーン有機エラストマーゲルは、ポリオキシアルキレンにより架橋された直鎖状オルガノポリシロキサン鎖を含む。シリコーン有機エラストマーゲルは、直鎖状オルガノポリシロキサン鎖からペンダントとして延びている親水性ポリエーテル官能性を更に含んでいてもよい。好適なシリコーン有機エラストマーゲルの具体例は、国際出願(PCT)番号PCT/US2010/020110号に開示されている。
【0252】
様々な実施形態では、パーソナルケア成分は、パーソナルケア有効成分、ヘルスケア有効成分、又はこれらの組み合わせ(まとめて「有効成分(active又はactives)」)を含んでよく、又はそれらとして呼称され得る。本明細書で使用するとき、「パーソナルケア有効成分」は、パーソナルケア処方物中の添加剤として当該技術分野において既知であり、典型的には、化粧及び美容上の利点をもたらす、任意の化合物、又は化合物の混合物を意味する。「ヘルスケア有効成分」は、薬学的又は医学的利点をもたらすことが当該技術分野において既知である、任意の化合物又は化合物の混合物を意味する。したがって、「ヘルスケア有効成分」としては、全般的に使用され、the Code of Federal Regulations,Parts200-299及びParts300-499のTitle 21,Chapter Iに記されるthe United States Department of Health & Human Services Food and Drug Administrationに定義される有効成分、又は薬物有効成分と考えられる材料が挙げられる。具体的なパーソナルケア有効成分及びヘルスケア有効成分を以下に記載する。これらのパーソナルケア有効成分及びヘルスケア有効成分は、例えば、AP/DEO組成物、スキンケア組成物、ヘアケア組成物、ネイルケア組成物、及び/又は歯ケア組成物のいずれを形成するのに使用されるにせよ、パーソナルケア成分を構成し得る。例えば、様々な実施形態では、同一のパーソナルケア成分が、ヘアケア組成物又はスキンケア組成物のいずれかを形成するために使用され得る。当業界で理解されるとおり、以下に記載されるパーソナルケア有効成分の少なくともいくつかは、それぞれ、スキンケア組成物、ヘアケア組成物、ネイルケア組成物、及び歯ケア組成物に関して上記したある種のパーソナルケア成分である。例えば、好適なパーソナルケア成分として前述した植物抽出物の例示的な例となる多種の植物抽出物又は野菜抽出物を、以下に記載する。以下に記載の有効な成分、すなわち有効成分は、組成物のパーソナルケア成分を構成することができ、又はそれらと組み合わせて使用することができる。
【0253】
本組成物に使用するのに有用な有効成分として、ビタミン及び「プロビタミン」を含むその誘導体が挙げられる。本明細書で有用なビタミンとしては、ビタミンA1、レチノール、レチノールのC2~C18エステル、ビタミンE、トコフェロール、ビタミンEのエステル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。レチノールとしては、トランス-レチノール、1,3-シス-レチノール、11-シス-レチノール、9-シス-レチノール、及び3,4-ジデヒドロ-レチノール、ビタミンC及びその誘導体、ビタミンB1、ビタミンB2、プロビタミンB5、パンテノール、ビタミンB6、ビタミンB12、ナイアシン、葉酸、ビオチン、並びにパントテン酸が挙げられる。本明細書に含まれるとみなされる他の好適なビタミン及びそのビタミンのINCI名は、ジパルミチン酸アスコルビル、ペクチン酸アスコルビルメチルシラノール、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド(glucocide)、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、硫酸アスコルビル二ナトリウム、リン酸(アスコルビル/トコフェリル)カリウムである。概して、レチノール、全トランス型レチノイン酸及びそれらの誘導体、それらの異性体及び類縁体は、「レチノイド」と総称される。
【0254】
なお、レチノールとは、米国化粧品工業会(CTFA)(Washington DC)により指定されるビタミンAの化粧品原料国際命名法(INCI)による名前である。本明細書に含まれると考えられる他の好適なビタミン及びそのビタミンのINCI名は、レチニルアセテート、レチニルパルミテート、レチニルプロピオネート、α-トコフェロール、トコフェルソラン、トコフェリルアセテート、トコフェリルリノレート、トコフェリルニコチネート、及びトコフェリルスクシネートである。
【0255】
本明細書での使用に好適な市販の製品のいくつかの例には、ビタミンAアセテート及びビタミンC(いずれもFluka Chemie AG,Buchs,Switzerlandの製品);COVI-OX T-50(Henkel Corporation,La Grange,IllinoisのビタミンE製品);COVI-OX T-70(Henkel Corporation,La Grange,Illinoisの別のビタミンE製品);並びにビタミンEアセテート(Roche Vitamins & Fine Chemicals,Nutley,New Jerseyの製品)がある。
【0256】
有効成分は、酵素等のタンパク質であってもよい。酵素としては、市販のもの、改良型、組み換え型、野生型、自然界にみられない変異型、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、好適な酵素としては、ヒドロラーゼ、クチナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、レダクターゼ、ヘミセルラーゼ、エステラーゼ、イソメラーゼ、ペクチナーゼ、ラクターゼ、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、カタラーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。ヒドロラーゼとしては、プロテアーゼ(細菌性、真菌性、酸性、中性、又はアルカリ性)、アミラーゼ(α又はβ)、リパーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、コラゲナーゼ、リゾチーム(lisozymes)、スーパーオキサイドジスムターゼ、カタラーゼ、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。プロテアーゼとしては、トリプシン、キモトリプシン、ペプシン、パンクレアチン、及び他の哺乳類酵素、パパイン、ブロメライン、及び他の植物性酵素、スブチリシン、エピデルミン、ナイシン、ナリンギナーゼ(L-ラムノシダーゼ)ウロキナーゼ、及び他の細菌性酵素が挙げられるが、これらに限定されない。リパーゼとしては、トリアシル-グリセロールリパーゼ、モノアシル-グリセロールリパーゼ、リポタンパク質リパーゼ、例えばステアプシン、エレプシン、ペプシン、他の哺乳、植物、細菌リパーゼ、及びこれらの精製物が挙げられるが、これらに限定されない。具体的な実施形態では、天然のパパインを酵素として使用する。更に、刺激ホルモン、例えば、インスリンを、酵素と共に用いてその有効性を強化することができる。
【0257】
有効成分は、1種以上の植物抽出物又は野菜抽出物であってもよい。これらの成分の例は、以下のとおりである:アシタバ抽出物、アボカド抽出物、アジサイ抽出物、ムクゲ抽出物、ウサギギク抽出物、アロエ抽出物、アンズ抽出物、キョウニン抽出物、イチョウ抽出物、ウイキョウ抽出物、ターメリック[ウコン]抽出物、ウーロン茶抽出物、エイジツ抽出物、エキナシア抽出物、オウゴン抽出物、オウバク(Phellodendro bark)抽出物、オウレン抽出物、大麦抽出物、ヒペリカム(Hyperium)抽出物、オドリコソウ抽出物、オランダガラシ抽出物、オレンジ抽出物、乾燥させた海水、海藻抽出物、加水分解エラスチン、加水分解小麦粉末、加水分解絹、カモミール抽出物、ニンジン抽出物、アルテミシア抽出物、天草抽出物、ハイビスカス茶抽出物、ピラカンサ(Pyracantha Fortuneana)の実抽出物、キウイ抽出物、キナ皮抽出物、キュウリ抽出物、グアノシン(guanocine)、クチナシ抽出物、クマザサ抽出物、クジン抽出物、クルミ抽出物、グレープフルーツ抽出物、クレマチス抽出物、クロレラ抽出物、クワ抽出物、ゲンチアナ抽出物、紅茶抽出物、酵母抽出物、ゴボウ抽出物、コメヌカ発酵素抽出物、コメ胚芽油、ヒレハリソウ抽出物、コラーゲン、コケモモ抽出物、クチナシ抽出物、サイシン抽出物、ミシマサイコ属の抽出物、臍帯抽出物、サルビア抽出物、サポナリア抽出物、タケ抽出物、サンザシの実抽出物、サンショウの実抽出物、シイタケ抽出物、ジオウ抽出物、ムラサキ抽出物、シソ抽出物、リンデン抽出物、シモツケソウ抽出物、シャクヤク抽出物、ショウブ根抽出物、シラカバ抽出物、トクサ抽出物、ヘデラヘリックス(ツタ)抽出物、サンザシ抽出物、セイヨウニワトコ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、セイヨウハッカ抽出物、セージ抽出物、ゼニアオイ抽出物、センキュウの根抽出物、センブリ抽出物、ダイズ抽出物、ナツメ抽出物、タイム抽出物、茶抽出物、クローブ抽出物、イネ科のチガヤ(imperata cyrillo)抽出物、ウンシュウミカン果皮抽出物、トウキ抽出物、キンセンカ抽出物、トウニン抽出物、ダイダイ果皮抽出物、ドクダミ(Houttuyna cordata)抽出物、トマト抽出物、納豆抽出物、朝鮮人参抽出物、緑茶抽出物(チャノキ(camelliea sinesis))、ニンニク抽出物、ノバラ抽出物、ハイビスカス抽出物、バクモンドウ抽出物、ハス抽出物、パセリ抽出物、ハチミツ、マンサク抽出物、ヒカゲミズ抽出物、エンメイソウ抽出物、ビサボロール抽出物、ビワ抽出物、フキタンポポ抽出物、西洋フキ抽出物、ブクリョウ抽出物、ナギイカダ抽出物、ブドウ抽出物、プロポリス抽出物、ヘチマ抽出物、ベニバナ抽出物、ペパーミント抽出物、ボダイジュ抽出物、ボタン抽出物、ホップ抽出物、マツ抽出物、セイヨウトチノキ抽出物、ミズバショウ[Lysichiton camtschatcese]抽出物、ムクロジ抽出物、セイヨウヤマハッカ抽出物、モモ抽出物、ヤグルマギク抽出物、ユーカリ抽出物、ユキノシタ抽出物、シトロン抽出物、ジュズダマ抽出物、ヨモギ抽出物、ラベンダー抽出物、リンゴ抽出物、レタス抽出物、レモン抽出物、レンゲ抽出物、バラ抽出物、ローズマリー抽出物、ローマンカモミール抽出物、及びローヤルゼリー抽出物、並びにこれらの組み合わせ。
【0258】
本組成物における薬物として有用なヘルスケア有効成分の代表的な非限定例を以下に列挙する。1つ以上の薬物は、単独で、又は上記有効成分及び/若しくは上記パーソナルケア成分と組み合わせてのいずれかで、使用することができる。
【0259】
組成物は、抗寄生虫剤を含むことができる。この抗寄生虫剤は任意のタイプのものであってよい。抗寄生虫剤の例としては、ヘキサクロロベンゼン、カルバメート、天然に生じるピレスロイド、ペルメトリン、アレトリン、マラチオン、ピペロニルブトキサイド、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0260】
組成物は、殺菌剤とも称される抗微生物剤を含んでよい。抗微生物剤は、任意のタイプのものであってよい。抗微生物剤の例としては、クレゾール及びレゾルシノールを含むフェノールが挙げられる。かかる組成物は、皮膚の感染症を処置するために使用され得る。非常によくみられる皮膚感染症の例はにきびであり、にきびは、p.アクネス(p.acnes)、並びに黄色ブドウ球菌(Staphylococus aurus)又はシュードモナス(Pseudomonas)による皮脂腺の侵襲を伴う。有用な抗にきび有効成分の例としては、サリチル酸(o-ヒドロキシ安息香酸)、サリチル酸誘導体、例えば5-オクタノイルサリチル酸、レゾルシノール等の角質溶解薬;レチノイン酸及びその誘導体等のレチノイド(例えばシス体及びトランス体);硫黄含有D体及びL体アミノ酸及びそれらの誘導体、並びにそれらの塩、特にそれらのN-アセチル誘導体、例えばN-アセチル-L-システイン;リポ酸;抗生物質及び抗菌剤(ベンゾイルパーオキサイド、オクトピロックス、テトラサイクリン、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシ-ジフェニルエーテル、3,4,4’-トリクロロバニリド(trichlorobanilide)、アゼライン酸及びその誘導体、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、フェノキシイソプロパノール、エチルアセテート、クリンダマイシン、及びメクロサイクリン等);フラボノイド等のセボスタット(sebostats);並びに胆汁酸塩(シムノールサルフェート及びその誘導体、デオキシコレート及びコレート等);パラクロロメタキシレノール;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0261】
約0.2重量%、1.0重量%、及び1.3重量%の濃度のフェノールは、概して、それぞれ静菌性、殺菌性、及び殺菌性がある。いくつかのフェノール誘導体はフェノール自体よりも効果が高く、これらの中で特に重要であるのは、ハロゲン化フェノール及びビス-フェノール、アルキル-置換フェノール、並びにレゾルシノールである。疎水性抗菌剤としては、トリクロサン、トリクロカーボン(triclocarbon)、オイカリプトール、メントール、メチルサリチレート、チモール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0262】
組成物は、抗真菌剤を含んでいてもよい。抗真菌剤は任意のタイプのものであってよい。抗真菌剤の例としては、アゾール、ジアゾール、トリアゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、クロトリマゾール、イトラコナゾール、グリセオフルビン、シクロピロックス、アモロルフィン、テルビナフィン、アンホテリシンB、ヨウ化カリウム、フルシトシン(5FC)及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。米国特許第4,352,808号では、抗真菌活性及び抗菌活性を有する3-アラルキルオキシ-2,3-ジヒドロ-2-(1H-イミダゾリルメチル)ベンゾ[b]チオフェン化合物が開示されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0263】
組成物は、ステロイド系抗炎症剤を含むことができる。ステロイド系抗炎症剤は任意のタイプのものであってよい。ステロイド性抗炎症薬の例としては、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、αメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロンアセトニド(fluclarolone acetonide)、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチルエステル(flucortine butylester)、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド(flucetonide)、フルドロコルチゾン、酢酸ジフルオロゾン(difluorosone diacetate)、フルラドレナロンアセトニド(fluradrenalone acetonide)、メドリゾン、amc、アムシナフィド、ベタメタゾン及びそのエステル残部、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルトロン(clocortelone)、クレシノロン(clescinolone)、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメトロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロプリオナート、ヒドロコルタマート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、トリアムシノロン等のコルチコステロイド、並びにこれらの混合物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0264】
現在市販されている局所抗ヒスタミン経皮製剤として、1%及び2%のジフェンヒドラミン(Benadryl(登録商標)及びCaladryl(登録商標))、5%のドキセピン(Zonalon(登録商標))クリーム、マレイン酸ピリラミン(phrilamine)、クロルフェニラミン及びトリペレナミン、フェノチアジン、塩酸プロメタジン(Phenergan(登録商標))、並びにマレイン酸ジメチンデンが挙げられる。これらの薬物、並びに追加の抗ヒスタミン剤を本発明の組成物に含めてもよい。加えて、いわゆる「天然」の抗炎症剤が、有用であり得る。例えば、キャンデリラワックス、αビサボロール、アロエベラ、マンジスタ(Manjistha)(アカネ属の植物、特にルビア・コルディフォリア(Rubia cordifolia)の抽出物)、及びグガル(Guggal)(ミルラノキ属の植物、特にコミフォラ・ムクル(Commiphora mukul)の抽出物)を本発明の組成物中の有効成分として用いてよい。
【0265】
組成物は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を含んでいてもよい。NSAIDは、任意のタイプのものであってよい。NSAIDの例としては、以下のNSAIDカテゴリのものが挙げられるが、これらに限定されない:プロピオン酸誘導体(propionic to acid derivatives);酢酸誘導体;フェナム酸誘導体;ビフェニルカルボン酸誘導体;及びオキシカム。このようなNSAIDは、米国特許第4,985,459号に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。更なる例としては、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン(mniroprofen)、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、及びブクロキシ酸、並びにこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0266】
組成物は、酸化防止剤/ラジカル捕捉剤を含んでいてもよい。酸化防止剤は、任意のタイプのものであってよい。酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸(ビタミンC)及びその塩、トコフェロール(ビタミンE)及びその誘導体、例えばソルビン酸トコフェロール、他のトコフェロールのエステル、ブチル化ヒドロキシ安息香酸及びそれらの塩、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(商品名Trolox(登録商標)として市販)、没食子酸及びそのアルキルエステル、特に没食子酸プロピル、尿酸及びその塩並びにアルキルエステル、ソルビン酸及びその塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、アミン(例えばN,N-ジエチルヒドロキシルアミン、アミノ-グアニジン)、スルフヒドリル化合物(例えばグルタチオン)が挙げられ、並びに、ジヒドロキシフマル酸及びその塩、及びEDTA、BHT等並びにこれらの組み合わせを用いてもよいが、これらに限定されない。
【0267】
組成物は、抗生物質を含んでよい。抗生物質は、任意のタイプのものであってよい。抗生物質の例としては、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、合成及び半合成ペニシリリン、β-ラクタム、キノロン、フルオロキノロン、マクロライド抗生物質、ペプチド抗生物質、シクロスポリン、エリスロマイシン、クリンダマイシン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0268】
組成物は局所麻酔薬を含んでいてもよい。局所麻酔薬は任意のタイプのものであってよい。局所麻酔薬の例としては、ベンゾカイン、リドカイン、ブピバカイン、クロロプロカイン(chlorprocaine)、ジブカイン、エチドカイン、メピバカイン、テトラカイン、ジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、プラモキシン、フェノール、薬学上許容されるその塩、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0269】
組成物は、抗ウイルス剤を含んでいてもよい。抗ウイルス剤は任意のタイプのものであってよい。抗ウイルス剤の例としては、ウイルスのレセプターへの付着、ウイルスの細胞内への移行、ウイルスの複製、又は細胞からのウイルスの放出を阻害又は低減する、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質抗体、核酸分子、有機分子、無機分子、及び小分子が挙げられるが、これらに限定されない。特に、抗ウイルス剤としては、ヌクレオシド類縁体(例えば、ジドブジン、アシクロビル、アシクロビルのプロドラッグ、ファムシクロビル、ガンシクロビル(gangcyclovir)、ビダラビン、イドクスウリジン、トリフルリジン、及びリバビリン)、n-ドコサノール(docosanoll)、ホスカルネット、アマンタジン、リマンタジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、イドクスウリジン、α-インターフェロン及び他のインターフェロン、AZT、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0270】
有効成分の追加の例としては、鎮痛剤及び血圧降下剤が挙げられる。鎮痛剤は、当該技術分野で既知であり、口語的には痛み止めと称される。鎮痛剤は、任意の既知の鎮痛剤から選択されてよく、それらの具体例としては、パラセタモール(アセトアミノフェン)、モルヒネ、コデイン、ヘロイン(heroine)、メタドン、テバイン、オルピアリン(orpiarine)、ブプレノルフィン、モルフィナン、ベンゾモルファン、アセトアミノフェン、ブトルファノール、ジフルニサル、フェノプロフェン、フェンタニル、クエン酸フェンタニル、ヒドロコドン、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、イブプロフェン、オキシモルホン、ペンタキシシン(pentaxicine)、ナプロキセン、ナルブフィン、メフェナム酸、メペリジン、及びジヒドロエルゴタミン、非ステロイド系抗炎症剤、サリチル酸等、及びオピオイド剤、モルヒネ及びオキシコドン等、が挙げられる。血圧降下剤は、当該技術分野において、高血圧、すなわち、高血圧を処置又は低減することが既知である。血圧降下剤は、任意の公知の血圧降下剤から選択されてよく、それらの具体例としては、利尿薬、アドレナリン受容体遮断薬(例えば、β遮断薬)、ベンゾジアゼピン、カルシウムチャンネル遮断薬、レニン阻害薬等が挙げられる。
【0271】
典型的な麻薬拮抗薬はナロキソン(haloxone)である。例示的な鎮咳剤としては、ジフェンヒドラミン、グアイフェネシン、ヒドロモルフォン、エフェドリン、フェニルプロパノールアミン、テオフィリン、コデイン、ノスカピン、レボプロポキシフェン、カルベタペンタン、クロルフェジアノール(chlorpehndianol)、及びベンゾナテートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0272】
鎮静剤のうち利用可能であるのは、抱水クロラール、ブタバルビタール、アルプラゾラム、アモバルビタール、クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、メホバルビタール、セコバルビタール、ジフェンヒドラミン、エチナメート、フルラゼパム、ハラゼパム、ハロペリドール、プロクロルペラジン、オキサゼパム、及びタルブタールであるが、これらに限定されない。
【0273】
心臓用薬物の例は、キニジン、プロプラノロール、ニフェジピン、プロカイン、ドブタミン、ジギトキシン、フェニロイン(phenyloin)、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、ベラパミルHCl、ジゴキシン、ニカルジピンHCl、及び二硝酸イソソルビドであるが、これらに限定されない。
【0274】
制吐剤は、チエチルペラジン、メトクロプラミド、シクリジン、メクリジン、プロクロルペラジン、コハク酸ドキシルアミン、プロメタジン、トリフルプロマジン、及びヒドロキシジンにより例示されるが、これらに限定されない。
【0275】
典型的なドーパミンレセプターアゴニストは、メシル酸ブロモクリプチンである。例示的なアミノ酸、ペプチド、及びタンパク質ホルモンとしては、チロキシン、成長ホルモン(GH)、間質細胞刺激ホルモン(ICSH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、ロイプロリド酢酸等のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、バソプレッシン、及びこれらの活性分解産物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの産物は、十分に高い分子量を有し、角質層又は粘膜を介する吸収が難しい場合がある。したがって、本発明は、皮膚を通過できる分子量及び立体形状を有するホルモンのみに適用できる。
【0276】
用いることができる女性ホルモンとしては、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、複合エストロゲン、エストロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン、プロゲステロン、及びノルゲストレルが挙げられるが、これらに限定されない。用いることができる典型的な男性ホルモンは、テストステロン、メチルテストステロン、及びフルオキシメステロンに代表されるものであってよいが、これらに限定されない。
【0277】
上に記載したとおり、エマルジョンは、エマルジョン自体が最終使用組成物として機能するよう、様々な添加剤(例えば、エマルジョンの調製中に添加されるもの)を含んでもよい。しかし、エマルジョンはまた、上記のものなどの様々な追加の成分と(例えば、その調製後)組み合わせることができ、したがって、パーソナルケア組成物などの様々な最終用途組成物に配合することができる。このような組成物は、クリーム、ジェル、粉末、ペースト、又は自由に注入可能な液体などの任意の形態であってもよい。本開示のエマルジョンを含む、又はそれから形成された組成物は、適用及び化粧特性の改善(粘着性及びべたつきの低減を含む)、並びに透明度の改善/低残留特性を示し得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、エマルジョンは、それ自体がパーソナルケア組成物であり、又は配合されてパーソナルケア組成物になってもよい。このような実施形態では、パーソナルケア組成物は、パーソナルケア組成物が適用される身体の一部分に対して、化粧用、治療用、機能的、又はこれらのいくつかの組み合わせになるよう、配合されてもよい。パーソナルケア組成物の例としては、制汗剤及びデオドラント剤、スキンケアクリーム、スキンケアローション、保湿剤、フェイシャルトリートメント(例えばアクネ又は皺取り)、パーソナル及びフェイシャルクレンザー、バスオイル、香料、コロン、匂い袋、日焼け止め、プレシェーブ及びアフターシェーブローション、シェービングソープ及び泡、シャンプー、コンディショナー、染毛剤、縮毛矯正剤、ヘアスプレー、ムース、ヘアジェル、パーマネント剤、脱毛剤、キューティクルコート、化粧品、カラー化粧品、ファンデーション、コンシーラー、ほお紅、口紅、アイライナー、マスカラ、油脂除去剤、カラー化粧品除去剤、並びに、薬用クリーム、ペースト又はスプレー(例えば、抗アクネ剤、口腔衛生剤、抗生剤、治癒促進剤など)が挙げられる。概して、エマルジョンを含むパーソナルケア組成物は、例えば、意図される使用に応じて、液体、リンス、ローション、クリーム、ペースト、ジェル、泡、ムース、軟膏、スプレー、エアゾール、石鹸、スティック、軟質固体、又は固形ジェルなどの従来の形態での適用を可能にするキャリアと共に配合される。パーソナルケア組成物を配合するのに好適なキャリアを構成するものは、当業者には容易に明らかであり、本明細書に例示されるキャリアから選択されてもよい。
【0279】
パーソナルケア組成物は、液体又は非液体(半固体、軟質固体、固体など)のいずれかの形態であってよい。例えば、パーソナルケア組成物は、ペースト、固体、ジェル、又はクリームであってもよい。加えて、エマルジョンがどのように調製されたかと無関係に、エマルジョンから形成されたパーソナルケア組成物は、それ自体が、水中油型若しくは油中水型エマルジョンなどのエマルジョン、油中水中油型エマルジョン若しくは水中油中水型エマルジョンなどの多重エマルジョン、又は、固体、無水ジェルを含む剛性若しくは柔軟ジェルであってもよい。パーソナルケア組成物はまた、半透明の無水ジェル及び透明な無水ジェルから選択される形態であってもよい。パーソナルケア組成物は、例えば、外部又は連続脂肪相を含んでもよい。パーソナルケア組成物は、無水であってもよい。いくつかの例では、パーソナルケア組成物は、成形組成物であってもよく、又はスティック若しくは皿状体としてキャストされてもよい。具体的な実施形態では、エマルジョンを含むパーソナルケア組成物は、成形された注入スティックである。このような実施形態では、パーソナルケア組成物(例えば、スティック形状)は、適用時の増大した弾性柔軟性を有する変形可能な可撓性弾性固体として挙動し得る。
【0280】
エマルジョンを含むパーソナルケア組成物は、手による、又はアプリケータ(例えば、ブラシ又は噴霧器)を用いた人体(例えば、皮膚又は毛髪)への適用などにより、任意の方法によって使用することができる。いくつかの実施形態では、パーソナルケア組成物は、このような適用後、例えば、洗浄、拭き取り、挽き剥がしなど、又はこれらの組み合わせによって除去されることが意図され得る。
【0281】
上述したように、概して、コポリマー、及びアクリルコポリマーの具体的な実施形態は、特に、疑似薬物製剤又は局所製剤を含む化粧品成分又はフィルム形成剤に利用されるか、又は化粧品成分又はフィルム形成剤として適用されるときに優れた有用性を有する。この特定の最終用途に限定されるものではないが、本発明のコポリマーは、既存の化粧品処方において遍在するカルボシロキサンデンドリマー構造を有する任意の従来のコポリマーの代わりに、又はこれらと組み合わせて利用することができる。
【0282】
例えば、コポリマーは、国際公開第2012/143344号、同第2014/154701号、同第2014/154700号、同第2015/092632号、同第2015/097110号、同第2015/097103号、同第2017/050699号、同第2017/050922号、同第2010/026538号、同第2014/087183号、同第2011/051323号、特開2007-320960号公報、国際公開第2016/030842号、特開2010-018612号公報、特開2011-016734号公報、特開2011-016732号公報、特開2011-016733号公報、特開2011-016734号公報、特開2011-126807号公報、特開2011-126808号公報、特開2013-001672号公報、特開2014-034568号公報、特開2014-040388号公報、特開2014-227358号公報、特開2015-098451号公報、特開2015-137252号公報、特開2016-008200号公報、特開2016-088848号公報、特開2016-121095号公報、特開2016-160191号公報、特開2018-090495号公報、特開2000-072784号公報、特開平07-309714号公報、特開2007-320960号公報、特開2014-040512号公報、国際公開第2017/061090号公報、特開2011-149017号、特開2014-040512号公報、特開2014-040511号公報、国際公開第2018/086139号、国際公開第2018/186138号、国際出願PCT/JP18/022412号、及び国際出願PCT/JP18/022413号の特許出願公開における化粧品処方のカルボシロキサンデンドリマー構造を有するシリコーンアクリレートコポリマー(例えば、FA4001 CM Silicone Acrylate、FA4002 ID Silicone Acrylate、FA4003 ID Silicone Acrylateなどの従来の製品)を部分的に、又は完全に置き換えることができる。
【0283】
本発明のコポリマーの具体的な意図された最終用途は、上記特許出願公開の化粧品処方に基づくものであり、これらの特許出願公開のカルボシロキサンデンドリマー構造を有する従来のコポリマーは、本開示の本発明のコポリマーと置き換えられる。特定の実施形態では、本発明のコポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー構造を有する従来のコポリマーと組み合わせて利用される。他の実施形態では、本発明のコポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー構造を有する従来のコポリマーの代わりに(及び置き換えるために)利用される。
【0284】
更に、コポリマーを含むエマルジョン組成物は、エマルジョン中の本発明のコポリマーと部分的又は完全に置き換えられ得る。例えば、国際公開第2017/061090号、国際公開第2018/086139号、国際公開第2018/186138号、国際出願PCT/JP18/022412号、国際出願PCT/JP18/022413号、並びにResearch Disclosure:No.IPCOM000243971D及びNo.IPCOM0002457480の文献に開示される化粧品処方中のコポリマーエマルジョンは、本発明のコポリマーを含むエマルジョンと置き換えることができる。
【0285】
カルボシロキサンデンドリマー構造を有する従来のシリコーンアクリレートコポリマーを、利用可能な従来の化粧品処方中に分岐状有機ケイ素部分を含むコポリマーで置き換えることによって、当業者は、分岐状有機ケイ素部分を含むコポリマーを使用して、同様の又は改善された化粧品処方を予想し、設計することができる。
【0286】
本開示の実施形態を示す以下の実施例は、本発明を説明することを意図するものであり、本発明を限定するものではない。以下の簡潔な概要により、特定の略語、略記、及び実施例に利用される成分に関する情報が得られる。ケイ素原子からの明示的に示されていない各基、及びケイ素原子から下がっている各基は、特に指示がない限り、メチル基(-CH3)である。
【0287】
「Si10Vi」は、10個のケイ素原子、ビニル基(Vi;-CH=CH
2)を有する分岐状有機ケイ素でありであり、以下の一般式(a)のものである。「Si7Vi」は、7個のケイ素原子、ビニル基を有する分岐状有機ケイ素であり、以下の一般式(b)のものである。
【化27】
上記式(a)および(b)中、Rはメチル基であり、R
7はビニル基である。
【0288】
「Si10H」は、上記式(a)と類似しているが、R7はHである。同様に、「Si7H」は、上記式(b)と類似しているが、R7はHである。
【0289】
「ETM(コンバータ)」は、以下の一般式(c)のものである。「EHM(コンバータ)」は、以下の一般式(d)である。
【化28】
上記式(c)及び(d)において、各Rはメチル基であり、各D
1は-CH
2-CH
2-であり、R’はプロピル基(-CH
2-CH
2-CH
3)である。ETM(コンバータ)は、トリメトキシシリルエチル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンと呼ぶこともできる。
【0290】
「Pt」は白金(触媒)である。「Karstedt触媒」は、溶媒(例えばキシレン)中2重量%のPtを含有するPtジビニルテトラメチルジシロキサン錯体である。Karstedt触媒は、米国特許第3,715,334号及び同第3,814,730号に記載されている。「Rh触媒」は、RhCODCl二量体(トルエン中0.01M)であり、これはクロロ(1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)二量体と呼ぶこともできる。
【0291】
「Si12H」は、以下の一般式(e)のものである。
【化29】
Si12Hを、Ptの存在下で、Si10Viと1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンとのヒドロシリル化反応により調製することができる。
【0292】
「アリルグリシジルエーテル(コンバータ)」は、下記一般式(f)のものである。
【化30】
アリルグリシジルエーテル(コンバータ)は、Ptの存在下で、アリルグリシジルエーテルと1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(HSi(CH
3)
2-O-Si(CH
3)
2 H)とのヒドロシリル化反応によって調製することができる。
【0293】
実施例1:Si12(OMe)3の合成
66.1gのSi10Vi及び25.4gのETM(コンバータ)を250mLフラスコ内で混合して混合物を形成した。フラスコに、機械式攪拌機、熱電対、及び窒素(N2)バブラーに合わせた水冷凝縮器を備える。混合物を40~50℃に加熱し、次いで10ppmのPtを添加して触媒混合物を形成した。発熱は観察されなかった。
【0294】
触媒混合物を80℃まで3時間40分間加熱して、反応混合物を形成した。次いで、反応混合物を58℃に冷却した。次に、5gの活性炭を反応混合物に添加し、続いて3時間撹拌し、次いで0.45μm膜を通して濾過してPtを除去した。濾過後、揮発物を、回転蒸発器(「ロータリーエバポレータ」)を介して100℃及び<1mmHgで40分間除去した。
【0295】
この実施例で形成された反応生成物は、以下の一般式
【化31】
[式中、Xは、-(CH
2)
2であり、Yは、
【化32】
であり、R及びD
1のそれぞれは、上記定義のとおりである]を有する分岐状有機ケイ素化合物を含む。この化合物は、メトキシ基を提供する。
【0296】
実施例2:Si16(OMe)6の合成
51.4gのSi10Vi及び42.5gのEHM(コンバータ)を250mLフラスコ内で混合して混合物を形成した。フラスコは、実施例1と同様に装備される。混合物を45℃に加熱し、次いで10ppmのPtを添加して触媒混合物を形成した。発熱は観察されなかった。
【0297】
触媒混合物を98~100℃まで約12時間加熱し、更に10ppmのPtを約4時間で添加し、8時間で反応混合物を形成した。次いで、反応混合物を70℃に冷却した。次に、9.7gの活性炭を反応混合物に添加し、続いて3.5時間撹拌し、次いで0.45 μm膜を通して濾過してPtを除去した。濾過後、揮発物を120℃及び<1mmHgで40分間ロータリーエバポレータを介して除去した。
【0298】
この実施例で形成された反応生成物は、以下の一般式
【化33】
[式中、Xは、-(CH
2)
2であり、Yは、
【化34】
であり、R、R’及びD
1のそれぞれは、上記定義のとおりである]を有する分岐状有機ケイ素化合物を含む。この化合物は、メトキシ基を提供する。
【0299】
実施例3:Si9EPの合成
5gのSi7Vi、2.28gのアリルグリシジルエーテル(コンバータ)及び10μLのKarstedt触媒を40mLシンチレーションバイアルに添加して反応混合物を形成した。反応混合物を、50℃に加熱し、16時間維持した。精製は行わなかった。
【0300】
この実施例で形成された反応生成物は、以下の一般式
【化35】
[式中、Rは、上記定義のとおりであり、Xは、-(CH
2)
2であり、及びYは
【化36】
であり、左ケイ素原子がジメチル置換されており、Xの炭素原子に対する共有結合を含む]を有する分岐状有機ケイ素化合物を含む。この化合物はエポキシ基を提供する。
【0301】
実施例4:Si12EPの合成
6gのSi12H及び20mLのトルエンを20mLの1口フラスコ反応器に添加して混合物を形成する。反応器を窒素でパージし、次いで、熱電対が通る隔膜で蓋をした。混合物を50℃に加熱し、次いで20μLのRh触媒を添加し、触媒混合物を形成した。
【0302】
次に、過剰量のアリルグリシジルエーテル(2g)をショットとして添加して反応混合物を形成した。5℃の発熱が、30分間にわたって観察された。30分後、過剰なアリルグリシジルエーテル及びトルエンを75mTorr及び25℃でストリッピングした。次に、物質をNMRにより特定した。
【0303】
この実施例で形成された反応生成物は、以下の一般式
【化37】
[式中、Xは、-(CH
2)
2であり、Yは
【化38】
であり、左ケイ素原子がジメチル置換されており、Xの炭素原子に対する共有結合を含む]を有する分岐状有機ケイ素化合物を含む。この化合物はエポキシ基を提供する。
【0304】
実施例5:Si12EPの合成
10gのSi10Vi及び20mLのトルエンを250mLの2つ口丸底フラスコに添加し、混合物を形成した。1つのポートは、熱電対が通る隔壁で塞がれ、2.81gのアリルグリシジルエーテル(コンバータ)を入れた滴下漏斗を他方のポートに配置した。混合物を50℃に加熱し、次いで10μLのKarstedt触媒を添加して触媒混合物を形成した。
【0305】
次に、コンバータの添加を開始して反応混合物を形成した。反応混合物を、50~55℃で30分間加熱した。次いで、トルエンを75mTorr及び25℃でストリッピングした。次に、物質をNMRにより特定した。
【0306】
この実施例で形成された反応生成物は、上記実施例4に示される一般式を有する分岐状有機ケイ素化合物を含む。分岐状有機ケイ素化合物も、以下の式によって示される。
【化39】
【0307】
実施例6:Si11Clの合成
5.02gのSi10Vi、724μLのジメチルクロロシラン(Cl(CH3)2SiH)及び30μLのKarstedt触媒を40mLシンチレーションバイアルに添加して反応混合物を形成した。反応混合物を50℃で24時間加熱し、室温(約23℃)まで冷却した。次に、過剰なジメチルクロロシランを75mTorr及び25℃でストリッピングした。次に、物質をNMRにより特定した。
【0308】
この実施例で形成された反応生成物は、下記一般式を有する分岐状有機ケイ素化合物(「Si11Cl」)を含む。
【化40】
【0309】
実施例7:Si13MAの合成
実施例6のSi11Cl 2.38gとテトラヒドロフラン(THF)2mLとの溶液を調製する。別に、0.841gのコンバータ(下記)及び578μLのトリメチルアミン(「NEt3」)を40mLシンチレーションバイアルに添加して混合物を形成した。
【0310】
溶液を室温(約23約)で混合物にゆっくりと添加して、反応混合物を形成した。反応混合物を室温にて22時間にわたって撹拌した。次に、反応混合物から塩を濾過/沈殿させるためにヘキサンを使用した。次いで、反応混合物から溶媒をストリッピングし、スペクトルデータを収集した。
【0311】
【0312】
この実施例で形成された反応生成物は、以下の一般式
【化42】
を有する、分岐状有機ケイ素化合物を含む。この化合物はメタクリレート基を提供する。
【0313】
実施例8:Si12MAの合成
21g(約20当量)のアリルメタクリレートを250mLの2つ口丸底フラスコに添加した。1つのポートは、熱電対が通る隔壁で塞がれ、5gのSi12Hを入れた滴下漏斗を、他のポート内に配置した。アリルメタクリレートを50℃に加熱し、次いで10μLのKarstedt触媒を添加して触媒混合物を形成した。
【0314】
次に、Si12Hの添加を開始して反応混合物を形成した。反応混合物を、50℃で30分間維持した。次いで、過剰なアリルメタクリレートを75mTorr及び25℃でストリッピングした。次に、物質をNMRにより特定した。
【0315】
この実施例で形成された反応生成物は、以下の一般式
【化43】
[式中、Xは、-(CH
2)
2であり、Yは
【化44】
であり、左ケイ素原子がジメチル置換されており、Xの炭素原子に対する共有結合を含む]を有する分岐状有機ケイ素化合物を含む。この化合物はメタクリレート基を提供する。
【0316】
実施例9:Si9MAの合成
5gのSi7Vi、2.39gのアリルメタクリレート(コンバータ)及び10μLのKarstedt触媒を40mLのシンチレーションバイアルに添加して反応混合物を形成した。反応混合物を、50℃に加熱し、16時間維持した。精製は行わなかった。
【0317】
この実施例で形成された反応生成物は、以下の一般式
【化45】
[式中、Rは、上記定義のとおりであり、Xは、-(CH
2)
2であり、Yは
【化46】
であり、左ケイ素原子がジメチル置換されており、Xの炭素原子に対する共有結合を含む]を有する分岐状有機ケイ素化合物を含む。この化合物はメタクリレート基を提供する。
【0318】
「含むこと(comprising)」又は「含む(comprise)」という用語は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「から本質的になる(consist(ing) essentially of)」、及び「からなる(consist(ing) of)」)という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば/など(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。本明細書で使用されている「約(about)」という用語は、機器分析により測定した、又は試料を取り扱った結果としての数値のわずかな変動を、合理的に包含若しくは説明する働きをする。このようなわずかな変動は、数値の±0~25%、±0~10%、±0~5%、又は±0~2.5%程度であり得る。更に、「約」という用語は、ある範囲の値に関連する場合、数値の両方に当てはまる。更に、「約」という用語は、明確に記載されていない場合であっても、数値に当てはまることがある。
【0319】
全般的に、本明細書で使用されている、ある範囲の値におけるハイフン「-」又はダッシュ「-」は、「まで(to)」又は「から(through)」であり、「>」は「~を上回る(above)」又は「超(greater-than)」であり、「≧」は「少なくとも(at least)」又は「以上(greater-than or equal to)」であり、「<」は「~を下回る(below)」又は「未満(less-than)」であり、「≦」は「多くとも(at most)」又は「以下(less-than or equal to)」である。前述の特許出願、特許、及び/又は特許公開のそれぞれは、個別の基準で、1つ以上の非限定的な実施形態における参照により明示的にその全体が本明細書に組み込まれる。
【0320】
添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に記載されている表現、及び特定の化合物、組成物又は方法に限定されず、これらは、添付の特許請求の範囲内にある特定の実施形態の間で変化し得ることが、理解されるべきである。本明細書で様々な実施形態の具体的な特徴又は態様の記述が依拠している任意のマーカッシュ群に関して、異なる、特殊な及び/又は不測の結果が、全ての他のマーカッシュ群の要素から独立して、それぞれのマーカッシュ群の各要素から得られる場合がある。マーカッシュ群の各要素は、個々に、及び、又は組み合わされて依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。
【0321】
更に、本発明の様々な実施形態を説明する際に依拠とされる任意の範囲及び部分範囲は、独立して及び包括的に、添付の特許請求の範囲内に入り、本明細書にその中の全部及び/又は一部の値が明記されていなくても、そのような値を包含する全範囲を説明及び想到するものと理解される。当業者であれば、列挙された範囲及び部分的範囲が、本発明の様々な実施形態を十分に説明し、可能にし、そのような範囲及び部分的範囲は、更に関連性がある2等分、3等分、4等分、5等分などに描かれ得ることを容易に認識する。単なる一例として、「0.1~0.9」の範囲は、更に、下方の3分の1、すなわち、0.1~0.3、中央の3分の1、すなわち、0.4~0.6、及び上方の3分の1、すなわち、0.7~0.9に描かれ得、これらは、個々に、及び包括的に、添付の特許請求の範囲内であり、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。更に、範囲を定義する、又は修飾する言葉、例えば「少なくとも」、「超」「未満」「以下」などに関して、そのような言葉は、部分範囲及び/又は上限若しくは下限を含むと理解されるべきである。別の例として、「少なくとも10」の範囲は、少なくとも10~35の部分範囲、少なくとも10~25の部分範囲、25~35の部分範囲などを本質的に含み、各部分範囲は、個々に、及び/又は包括的に依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けるものである。最終的に、開示した範囲内の個々の数が依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。例えば、「1~9」の範囲は、様々な個々の整数、例えば3、並びに、小数点を含む個々の数(又は分数)、例えば4.1を含み、これは、依拠とされ得、添付の特許請求の範囲内で、特定の実施形態を十分に裏付けることができる。
【0322】
本発明は、例示的な様式で説明されており、使用されている用語は限定目的よりも、むしろ説明のための言葉としての性質が意図されているものと理解されるべきである。明らかに、本発明の多くの修正及び変更が上記教示から可能である。本発明は、具体的に記載した方法のとおり以外の方法でも実施され得る。
【国際調査報告】