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特表2022-516570回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法
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  • 特表-回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法 図1
  • 特表-回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法 図2
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  • 特表-回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法 図7A
  • 特表-回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法 図7B
  • 特表-回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法 図7C
  • 特表-回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/05 20060101AFI20220218BHJP
   H01H 83/02 20060101ALI20220218BHJP
   G01R 31/00 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
H02H3/05 F
H01H83/02 E
G01R31/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539452
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 US2020012312
(87)【国際公開番号】W WO2020146227
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】62/789,055
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138760
【氏名又は名称】スマートケーブル、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュ、ダグラス エス.
(72)【発明者】
【氏名】フリンダ、ラドバン
【テーマコード(参考)】
2G036
5G030
5G142
【Fターム(参考)】
2G036AA24
2G036BA04
2G036CA08
5G030XX17
5G030YY12
5G142GG04
5G142GG09
(57)【要約】
方法及び装置は、回路ブレーカーが回路に対してトリップする前に措置が行われることできるように、回路の劣化を監視し、劣化の事前警告を取得するための改善された方法を提供する。方法は、回路のベースラインを確立し、回路の電圧及び電流のゼロ交差点の監視を含む。動作中、回路は、ゼロ交差点を使用して監視され、この情報は、変化が発生したか否かを判定するために、ベースラインと比較される。ベースライン情報は、回路を遮断する、修復措置を行う、等、適切な措置が行われることができるように、回路が劣化していることを知らせる閾値を確立して、適切な信号が提供されることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための方法であって、
a)正弦曲線であって、前記正弦曲線のゼロ交差点付近の回路の電圧及び電流に基づく正弦曲線の角度変位、並びに力率、インピーダンス、静電容量、及び誘導性リアクタンスに基づいて回路の経時的なベースラインを確立するステップであって、前記ベースラインは、監視時の期間及び開始時の期間に基づく、ステップと、
ステップと、
b)機能している稼働中の回路を、一定期間に亘って、前記稼働中の回路の正弦曲線の前記ゼロ交差点付近において、前記稼働中の回路の負荷のためにステップa)において使用される前記角度変位、力率、インピーダンス、静電容量、及び誘導性リアクタンスを使用して、繰り返し監視するステップと、
c)前記機能している稼働中の回路の劣化及び悪化曲線を判定するために、ステップ(a)の前記ベースラインをステップ(b)の情報と比較するステップであって、前記悪化曲線は、前記回路の劣化の指標を提供し、前記悪化曲線は、アラームを生成し、及び/又は前記回路を動作不能の状態にするためのガイドを提供する、ステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記アラームは、可聴アラーム及び/又は視覚的表示である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アラームは、無線又は有線の何れかの通信である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記回路は、前記劣化に基づいて動作不能にされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法を実施するための装置であって、
a)電気回路における負荷を監視するための回路ブレーカーと、
b)前記電気回路に接合された制御モジュールであって、前記ベースラインを含み、前記電気回路の劣化を判定するための前記監視ステップ(b)及び前記比較ステップ(c)のために構成された制御モジュールと
を備える装置。
【請求項6】
前記電気回路の劣化が判定された場合のアラーム機能を含み、前記アラーム機能は、可聴アラーム、視覚的表示、及び無線送信又は有線送信の何れかの通信の1つ以上を含む、請求項5に記載の装置
【請求項7】
前記制御モジュールは、前記電気回路の劣化の判定に基づいて前記回路ブレーカーをトリップするように構成されている、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための装置及び方法が提供され、回路のリターンニュートラル側を使用して、回路全体の電圧、電流、静電容量、及びインピーダンスのより精密且つ正確な監視を可能にする。
【背景技術】
【0002】
過去に、配電回路ブレーカーは何年も前から存在し、最新の種類には地絡遮断の能力がある。回路を断線するためのこれらの従来の手段は、回路のライン側が、通常、手動でリセットされるまで、過剰な電流(定格容量を超える)を引き込み、「トリッピング(tripping)(ブレーカーを落とす)」又は回路の電源を切ることに基づく。最近の機器の進歩は、ブレーカーの手動リセット以外の方法でリセットが行われることができるように、ローカルネットワークを使用して様々な通信技術を組み込んでいる。
【0003】
図1は、コンセント、照明、及び電化製品への配線のネットワークに単相115/230V電力を供給する典型的な配電センター1である。各115Vネットワークは負荷ブレーカー2を有し、一方、230Vネットワークは、電気がネットワークに流れるようにリターン線5及びアース線6がアースバー3に戻って回路を完成させる一方で、ロード線4で過電流状態が発生する場合に介入方法を提供するために、2極ブレーカー10を有する。115Vネットワークは、コンセント7、スイッチ8を通る照明9、及び負荷13からなり得る。230Vネットワークは、ロード線4及びリターン線5の両方を使用して、回路を完成させるアース線6に電力を供給する。これらのスタイルのトリップブレーカーは、何年も前から存在し、回路によって引き出される瞬間的な過剰な電流に対する介入を提供する。1960年代に、地絡遮断回路ブレーカーが開発され、典型的には濡れた場所で使用されるブレーカーに成長している。これらのスタイルのブレーカーはまた、過剰な電流が回路に引き込まれる場合にのみ介入するための方法を提供する。
【0004】
配電ネットワークにおける電気火災は、住民に対して、20億ドル以上の損害を被り、2700人近くの命が失われ、一方、非住宅の建物においては、合計1550人の負傷者、及び更に20億ドルが火災による被害で失われた。
【0005】
従来の回路ブレーカー、煙探知器、及び地絡遮断回路は、安全性の改善を提供しても、これらの発生を更に減少させることはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、ブレーカーがトリップする前に過剰な電流引き込みのみに依存する先行技術の回路ブレーカーを改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、所与の配電ネットワークに存在する電気的特性にはるかに敏感であるが、特定の回路に関連する負荷を含む状態に使用する。
【0008】
本発明は、電源の電気的特性を測定する能力を有するが、従来のブレーカーとは異なり、回路のリターンニュートラル側を使用する。これは、回路及び負荷の両端の電圧、電流、静電容量、及びインピーダンスを精密且つ正確に監視するために重要である。これらの電気的特性における小さい非定型の変化は、火災の可能性を示す。ソース及びリターンの両方を監視することによってのみ測定されることができる電気的特性は、性能曲線をプロットするためのアルゴリズムによって処理される。本発明は、過電流状態に関連する熱が存在するかなり前に、典型的な配電ブレーカーの定格電流引き込みをはるかに下回る動作限界を明確に識別し、火災の可能性を予測することを可能にする、過去の回路性能から学習する人工知能デバイスである。可聴アラーム、他の様々なソースへの通信、及び/又は最後の回路への介入が、アルゴリズム曲線の事前設定された制限に基づいて、火災の可能性をユーザにアラートを発する。
【0009】
本発明は、送信機を有する統合ブレーカー、ブレーカーに組み込まれた遠隔送信制御ユニット、又はメインバスバーに統合された遠隔制御ユニットであり得る様々な構成で展開することができるが、これらの構成に限定されない。本発明は、メイン切断部、リレー、又はスイッチングユニットにも展開され得、本発明は、電圧又は電流の制限によって制限されない。
【0010】
より具体的には、回路ブレーカーを使用して負荷がかかった状態の回路を監視するための方法が提供され、方法は、正弦曲線であって、正弦曲線のゼロ交差点付近の回路の電圧及び電流に基づく正弦曲線の角度変位、並びに力率、インピーダンス、静電容量、及び誘導性リアクタンスに基づいて、回路の経時的なベースラインを確立し、ベースラインは、監視時の期間及び開始時の期間に基づく。方法は、機能している稼働中の回路を、一定期間に亘って、稼働中の回路の正弦曲線のゼロ交差点付近において、稼働中の回路の負荷のためのベースラインの決定において使用される角度変位、力率、インピーダンス、静電容量、及び誘導性リアクタンスを使用して、繰り返し監視する。ベースラインは、機能している稼働中の回路の劣化及び悪化曲線を判定するために、監視ステップからの情報と比較され、悪化曲線は、回路の劣化の指標を提供し、悪化曲線は、アラームを生成し、及び/又は回路を動作不能な状態にするためのガイドを提供する。
【0011】
この方法は、措置を要求する回路において劣化が分かった場合に、可聴アラーム及び/又は視覚的表示を提供することができる。アラームは、無線又は有線伝送の何れかを使用して通信されることができる。回路の劣化が判定されると、劣化に基づいて回路を動作不能にすることができる。
【0012】
本発明はまた、監視方法を実施するための装置を含む。装置は、電気回路の負荷を監視するための回路ブレーカーと、電気回路に接合された制御モジュールとを含む。制御モジュールは、ベースライン情報を装備し、回路の負荷を監視し、監視状態を、電気回路の劣化を判定するためのベースラインと比較するように構成される。
【0013】
装置は、電気回路の劣化が判定された場合のアラーム機能を含むことができる。アラーム機能は、可聴アラーム、視覚的表示、及び通信(無線送信又は有線通信の何れか)の1つ以上にすることができる。
【0014】
制御モジュールはまた、電気回路の劣化の判定に基づいて回路ブレーカーをトリップするように構成されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来の配電センターの図である。
図2】本発明の回路ブレーカーの第1の実施形態の概略図である。
図3】本発明の回路ブレーカーの第2の実施形態の概略図である。
図4】2種類のブレーカーとインターフェースされた本発明の制御モジュールを示す概略図である。
図5】典型的な20アンペアのブレーカーの異なる状態での電流対時間の曲線である。
図6】電流及び電圧のゼロ交差点曲線を示す。
図7A】通常の状態での電流及び電圧の交差点曲線を示す。
図7B】特定の期間後の図7Aからの電流及び電圧の曲線形状の変化を示す、電流及び電圧の交差点曲線を示す。
図7C】経過期間後の図7Aと同様の追加の交差点曲線を示す。
図8】ブレーカーの異なる状態の時間に対するアルゴリズム出力に関連する曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、図1に示される配電センターのような回路ブレーカーを使用する配電センターで典型的に機能するように設計される。これらの先行技術の配電システムにおいては、電気回路が経時的に劣化し、この劣化がブレーカーの標準電流定格をまだ超えていない場合に、回路を監視して介入し、そして、回路の電力をとりなすことを可能にする既知の方法又はデバイスはない。多くの電気火災は、経時的に回路又は負荷が減少するために発生する。
【0017】
本発明は、火災状態に対する回路及び負荷の劣化を監視する予測方法及び装置である。本発明は、115V回路に対してロード線4及びリターン線5を測定することによって(図2を参照)、並びに230V回路に対してロード線4、リターン線5、及びアース線6を測定することによって(図3を参照)、回路及び負荷の電流、電圧、インピーダンス、静電容量、及び位相関係を監視する。115Vに対するリターン線5又は230Vに対するアース線6は、ワイヤ22を介して、ブレーカー20(図2)又はブレーカー30(図3)にフィードバックされるワイヤスプライス21を介して接続される。この回路監視方法は、任意の電圧/電流定格の電気経路に適用されることができる。
【0018】
本発明の方法及び装置の追加の態様が図4に示される。図4は、図1のブレーカー20及び30、図2及び図3のスプライス21及びワイヤ22、並びに制御モジュール23の組み合わせを示し、これらは全てハウジング1に配置される。制御モジュール23及びブレーカー20又は30を用いて、装置は、ユーザにアラートを発し、ホーム監視システムにアラームを発し、制御モジュール23を介してユーザにメッセージを送信し、及び従来の「トリップ」ブレーカーのように回路を遮断する能力を有する。
【0019】
図2及び図3には描写されていないが、制御モジュール23は、ブレーカー20のワイヤ22及びブレーカー30のワイヤ22に接続される。
【0020】
回路の過去のデータは、火災状態に対する可能性を判定する分析のために制御モジュール(23)内に保存される。データ収集及び分析のこの人工知能法は、本発明が回路及び負荷の状態を判定することを可能にする。
【0021】
図5は、回路に負荷がかかっている場合の典型的な電流曲線(A)を示し、一方、曲線(C)は、典型的なブレーカーによって確立された制限を表し得る。20アンペアの「トリップ」ブレーカーの場合、曲線(C)で示される状態は、負荷がかかった状態で回路に介入することができるが、曲線(A)と曲線(C)との間のこの劣化は、典型的には、長期間に亘って発生する。負荷電流の引き込みが初期期間の後に発生し得るので、二次状態が曲線(B)で存在し得、典型的には20アンペアの「トリップ」ブレーカーを活性化しない。この状態は、回路又は負荷の要素が故障し、抵抗を増加させ、構成要素を加熱させるので、火災の危険の可能性がある回路に典型的である。
【0022】
電力損失及びホストの完全性を判定する場合に、問題は、回路によって引き出される合計電圧又は電流だけでなく、電圧及び電流信号のゼロ交差点にある。これは、図6に描写されるように、重要なゼロ交差点を与える。ゼロ交差点の本質的な特性は、使用曲線の確立に向けて将来の分析を比較するために位置曲線へのベースライン参照を確立し、一方、以前の検査のベースラインは、更に別の曲線に関連する火災の可能性の調査を確立するために利用され、これは、図7A図8に関連して以下に更に説明される。
【0023】
回路の電流測定は簡単で、典型的には総アンペア数の測定として回路の完全性に関連するが、電流変化は火災の可能性に関連する抵抗の増加の兆候の影響であるので、この特性の定量化はそうではない。方法及び装置は、電流信号と電圧信号との間の位相間関係を判定するために、ゼロ交差点に焦点を合わせる。そして、この関係は、ホスト回路のインピーダンス、静電容量、誘導性リアクタンス、及び力率を計算するために使用される。
【0024】
電圧曲線及び電流曲線の各々の最も重要な属性の1つは、ゼロ交差点において発生する。ゼロ交差点における角度の変化は、信号変化の最初の指標であり、信号は「歩き(walk)」始める。この現象は、回路における従来のブレーカーでは測定されることができないが、この早期の指標は、回路の調子を判定し、今後の火災状態に対する可能性を予測するために要求される。図7Aは、ある点t1における、通常の状態でのゼロ交差点の角度を示す。図7Bは、深刻な変形が発生していることを示す電流(γ)及び電圧(γ)曲線の角度の初期変化を示す一方、図7Cは、これらの曲線が時間t2において、元の時間t1と同じほぼゼロ交差曲線の角度で新しい位置まで歩いたことを示す。
【0025】
インピーダンス、静電容量、及び誘導性リアクタンスは、電流(γ)及び電圧(γ)曲線の交点のゼロ交差点の角度が角度の変化を示す場合に考慮される。これらは、用役が増加した負荷にほぼ瞬時に電力を補償するので、この重要な瞬間に測定及び分析されなければならない。典型的なアルゴリズムは、時間t1と時間t2との間で、これらの特性の各々を考慮し、次のように記載され得る。
【数1】

力率は、電流曲線と電圧曲線との間の位相差であり、曲線が完全に一致する場合には、力率は1になり、一方、完全一致からの偏差は、例えば、0.95又は95%の効率として与えられる。
【0026】
時間t1と時間t2との間に何も変化がない場合には、出力はゼロになるが、過去の期間に亘ってこれは変化する。制御モジュール23は、アルゴリズムが連続する読み取りで変化すると、時間間隔が自動的に減少して回路の介入を保証するように時間間隔を自己調整する能力を有する。これは、従来のブレーカーがとりなす過負荷状態のかなり前に発生する。
【0027】
図8は、ホスト回路の過去の通常の動作特性を参照して、火災予測への早期の関与を可能にする、本発明によって監視される組み合わされた電気的特性を組み込んだアルゴリズム出力を示す。過去のデータの保存及び解釈によって、典型的な使用法とベースライン曲線(D)が確立される。この曲線は、設定された動作期間に亘る典型的な負荷がかかった状態の特定の回路の過去の性能によって生成される。このデータは、この回路内の全ての将来の負荷のベースラインとして保持される。重大な変化が発生した場合には、この変化はベースラインと比較され、継続している場合は、ポイントHを超える限り、新しいベースラインとして記録される。曲線Fに沿った継続的な変化がプロットされ、それは、動作パラメータがポイントHを超える前にデバイスが介入することを可能にする。新しい初期負荷は曲線(J)のように示し得るが、これは上側制御限界曲線(E)に違反していない。曲線Eは、曲線Dをたどるが、与えられた割合、例えば15%で増加する。この割合の増加は、10~20%の範囲である。
【0028】
曲線(F)は、経時的に劣化し、最終的にポイント(H)において火災状態につながる場合がある負荷がかかっている実際の回路を示す。曲線Fは、監視されている状態に基づいて、上記のアルゴリズムを使用して生成される。システムは、悪化曲線(F)が、火災が発生するかなり前、すなわち、点(H)である限界曲線(E)を超える場合にアラートを提供することができる。勿論、悪化曲線が制御限界を超え、又はそれに等しくなると、措置が取られない場合には、人工知能装置自体が回路に介入して電源を切ることができる。本発明のブレーカーの「トリップ」点は、ライン(K)として描写される従来の「トリップ」ブレーカー点よりかなり下にある、ライン(G)として示される。本発明が行うことは、必要に応じて、(H)点において措置が取られることができるように早期の介入を提供することである。曲線Fが曲線Gに到達する場合には、2回目の介入が発生することができ、例えば、ブレーカーの定格に到達する前に、ブレーカーはトリップされる。これらの早期の介入は、火災を引き起こす潜在的な状態を予測するために回路及びその負荷を監視する機能を提供する。
【0029】
制御モジュール23は、回路ブレーカーの動作に関係する消費者又は他のエンティティにフィードバックを提供する分析機器である。制御モジュール23は、曲線(D)及び曲線(E)を保存し、実際の回路動作に基づいて曲線(F)を生成する。このモジュールは、使用の点、例えば点Hにおけるアラートのためにユーザに可聴アラームを提供するだけでなく、テキストメッセージングアラート、サービス組織アラート、又は緊急サービスアラートを含む、ネットワークを介する消費者へのアラートのために、既存のホームセキュリティ監視機器に無線技術を介して統合されることができる。制御モジュールが火災の可能性を予測する回路特性を監視し続けると、同じ方法でアラームが発行される。最終的に、回路が図6の曲線(G)に描写されるような重要な限界に達すると、制御モジュール23は、消費者が火災の可能性を解決するまで電気回路を中断するように、ブレーカー20又は30を「トリップ」する。このトリッピングは、図8の曲線(K)に示されるようにブレーカー20又は30の限界をはるかに下回っている。制御モジュール23は、回路のトラブルシューティングをサポートするために過去の分析のためのデータを保存する機能を有する。
【0030】
本発明は、火災の危険の可能性を判定するために、
a)負荷がかかった状態での回路動作のパラメータを確立するために、回路の過去のデータを使用して、負荷がかかっている回路の電圧、電流、インピーダンス、及び静電容量のベースラインを決定するステップと、
b)ベースラインに基づいて、起動時及び動作時に負荷がかかった状態の回路の制御限界を確立するステップと、
c)電圧、電流、インピーダンス、及び静電容量に基づいて回路を監視するステップ、監視ステップの結果を制御限界と比較するステップ、及び監視ステップの結果が制御限界以上の場合にはアラームを提供するステップと
を含む、負荷がかかっている回路の状態を監視する方法を伴う。
【0031】
電気パラメータは、通常の動作を示すアルゴリズムを確立する。電気パラメータは、火災の危険の可能性の上側制御限界を示すアルゴリズムを確立する。
【0032】
方法は、上側制御限界に違反し、火災の可能性がある劣化状態が存在する場合があるような分析を提供する。火災の可能性の基準が分析され、可聴システム又はメッセージングシステムがユーザにアラートを発する。加えて、又は代わりに、送信された信号は、ホームアラートシステムに提供されることができる。
【0033】
本発明の閾値を超えると、負荷がかかった状態の回路は、潜在的な火災の危険を防ぐために断線されることができる。
【0034】
本発明の方法を実施するための装置がまた提供される。装置は、分析のために電気的特性を監視する機能を有する回路ブレーカーと、分析のために測定された電気的特性を制御モジュールに転送する機能を有するスプライスとを含む。制御モジュールには、監視されている負荷がかかっている回路の動作状態を判定するデータ保存及び分析機能が設けられる。
【0035】
この装置はまた、様々なリソースを介してアラート又はアラームを発し、負荷がかかった状態の回路の動作に介入するために、制御モジュールを使用する機能を有する。
【0036】
このように、本発明は、上記のような本発明の各々の目的を満たし、回路ブレーカーがトリップする前に回路劣化を監視するための新しく改善された方法及び装置を提供する、その好ましい実施形態に関して開示されている。
【0037】
勿論、本発明の教示からの様々な変化、変更、及び代替が、その意図された精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって企図され得る。本発明は、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ制限されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
【国際調査報告】