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特表2022-516576容量性高さセンシング測定値を較正するプローブシステム及び方法
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  • 特表-容量性高さセンシング測定値を較正するプローブシステム及び方法 図1
  • 特表-容量性高さセンシング測定値を較正するプローブシステム及び方法 図2
  • 特表-容量性高さセンシング測定値を較正するプローブシステム及び方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-28
(54)【発明の名称】容量性高さセンシング測定値を較正するプローブシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20220218BHJP
   G01B 7/02 20060101ALI20220218BHJP
【FI】
H01L21/66 C
G01B7/02 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539675
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019069084
(87)【国際公開番号】W WO2020146175
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】16/730,584
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,625
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505377474
【氏名又は名称】フォームファクター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】根岸 一樹
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ジョージ フランケル
(72)【発明者】
【氏名】エリック ロバート クリステンソン
【テーマコード(参考)】
2F063
4M106
【Fターム(参考)】
2F063AA22
2F063CA40
2F063DA01
2F063DA05
2F063DB05
2F063DD03
2F063DD08
2F063HA04
2F063JA04
4M106AA10
4M106BA05
4M106CA11
4M106CA17
4M106DE20
4M106DE30
4M106DH12
4M106DH40
4M106DH41
4M106DJ07
4M106DJ19
4M106DJ27
(57)【要約】
容量性高さセンシング測定値を較正するプローブシステム及び方法を開示する。プローブシステムがプローブ支持体を有するプローブ・アセンブリを含み、プローブ支持体は容量性変位センサを支持し、容量性変位センサは、基板に対してセンシングチップで終端し、未較正の高さ測定値を生成するように構成されている。プローブシステムを利用して、較正した容量性高さ測定値を生成する方法が、高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップと、高さ較正構造の各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップと、高さ較正構造の全層のインピーダンスを計算するステップとを含む。この方法は、実測インピーダンスの大きさを測定するステップと、較正した容量性高さ測定値を計算するステップとをさらに含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブシステムを利用して、較正した容量性高さ測定値を生成する方法であって、該プローブシステムがプローブ支持体を有するプローブ・アセンブリを含み、該プローブ支持体はセンシングチップで終端する容量性変位センサを支持し、該センシングチップは基板に対して離間した関係に位置決めされるように構成され、前記容量性変位センサは、前記基板から前記センシングチップまでのセンシングチップ距離を少なくとも部分的に表す未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成されている方法において、
コントローラで、前記基板の高さ較正構造の高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップであって、該高さ較正構造アーキテクチャは、該高さ較正構造の1つ以上の基板層に関する情報を含むステップと、
前記コントローラで、前記高さ較正構造アーキテクチャに少なくとも部分的に基づいて、前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップと、
前記コントローラで、前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスを計算するステップに少なくとも部分的に基づいて、前記高さ較正構造の全層のインピーダンスの大きさを計算するステップと、
前記容量性変位センサで、実測インピーダンスの大きさを測定するステップと、
前記コントローラで、前記全層のインピーダンスの大きさ及び前記実測インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記1つ以上の基板層が、表面層及び1つ以上の表面下層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップが、
(i) 前記1つ以上の基板層における各基板層の層厚さ、
(ii) 前記1つ以上の基板層における各基板層の電気抵抗率、
(iii) 前記1つ以上の基板層における各基板層の相対誘電率、及び
(iv) 前記高さ較正構造に対面する前記センシングチップのセンシングチップ表面積
のうちの1つ以上を受信するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップが、ユーザ入力を受けるように構成されたユーザインタフェースを介して受信するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスを計算するステップが、前記1つ以上の基板層における少なくとも1つの前記基板層の層抵抗を、前記基板層の各々の層厚さ及び前記基板層の各々の電気抵抗率の一方または両方に少なくとも部分的に基づいて計算するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスを計算するステップが、前記1つ以上の基板層における少なくとも1つの前記基板層の層リアクタンスを計算するステップを含み、該層リアクタンスを計算するステップが、前記1つ以上の基板層における少なくとも1つの前記基板層の層静電容量を計算するステップを含み、該層静電容量を計算するステップが、前記少なくとも1つの基板層における前記基板層の各々の層厚さ及び前記少なくとも1つの基板層における前記基板層の各々の相対誘電率の一方または両方に少なくとも部分的に基づくステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスを計算するステップが、
(i) 少なくとも1つの前記基板層の各々の前記層抵抗と前記層リアクタンスとを比較するステップと、
(ii) 前記少なくとも1つの基板層の各々の前記層インピーダンスの大きさを、前記少なくとも1つの基板層の各々の前記層抵抗及び前記層リアクタンスのうちの小さい方として近似するステップと
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記高さ較正構造の全層のインピーダンスを計算するステップが、前記1つ以上の基板層の各々の前記層インピーダンスの大きさをまとめて加算するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記実測インピーダンスの大きさを測定するステップが、励起周波数の交流(AC)励起電圧信号を前記センシングチップに供給するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記実測インピーダンスの大きさを測定するステップが、
(i) 前記励起電圧信号に基づく応答電流信号を測定するステップと、
(ii) 前記励起電圧信号の大きさ及び前記応答電流信号の大きさの各々に少なくとも部分的に基づいて、前記実測インピーダンス信号の大きさを計算するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、
(i) 前記コントローラで、前記実測インピーダンスの大きさと前記全層のインピーダンスの大きさとの差に等しいギャップ・インピーダンスの大きさを計算するステップと、
(ii) 前記コントローラで、前記ギャップ・インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コントローラで、前記全層のインピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、高さ較正補正係数を計算するステップをさらに含み、前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、前記高さ較正補正係数に少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、前記未較正の容量性高さ測定値と前記高さ較正補正係数との差を計算するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記容量性変位センサで、距離依存性のインピーダンスを測定するステップをさらに含み、該距離依存性のインピーダンスを測定するステップが、
(i) 前記センシングチップ距離が変化する間に、前記実測インピーダンスの大きさを測定するステップ、及び
(ii) 既知のセンシングチップ距離における前記実測インピーダンスの大きさを測定するステップ
の一方または両方を含み、
前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、前記距離依存性のインピーダンスに少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記既知のセンシングチップ距離が非ゼロである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記高さ較正構造の前記全層のインピーダンスの大きさを計算するステップが、前記距離依存性のインピーダンスに少なくとも部分的に基づく、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記プローブシステムが、前記基板からプローブチップ変位だけ離間したプローブチップを有するプローブをさらに含み、前記方法が、前記コントローラで、前記較正した容量性高さ測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記プローブチップ変位を測定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記プローブチップが前記センシングチップからチップ・オフセット量だけ離間し、該チップ・オフセット量は、前記基板にほぼ垂直に延びる法線軸に平行な方向に沿って測定され、該チップ・オフセット量は少なくともほぼ固定であり、前記プローブチップ変位を測定するステップが:、
(i) 前記較正した容量性高さ測定値に前記チップ・オフセット量を加算するステップ、及び
(ii) 前記較正した容量性高さ測定値から前記チップ・オフセット量を減算するステップ
の一方を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プローブチップ変位を測定するステップが、前記チップ・オフセット量を撮像装置で測定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上の被試験デバイス(DUT)を含む基板を支持するように構成されたチャック支持面を有するチャックと、
前記1つ以上のDUTを試験するように構成されたプローブ・アセンブリと、
コントローラとを具えたプローブシステムであって、該コントローラは、請求項1に記載の方法により該プローブシステムの動作を制御するようにプログラムされたプローブシステムにおいて、
前記プローブ・アセンブリが、
(i) プローブ支持体と、
(ii) 前記プローブ支持体によって動作可能な様式で支持される1つ以上のプローブと、
(iii) 前記プローブ支持体によって支持される容量性変位センサとを含み、
前記1つ以上のプローブの各々が、前記1つ以上のDUTにおける対応するDUTを試験するように構成され、
前記容量性変位センサがセンシングチップで終端し、該センシングチップは前記基板に対して離間して位置決めされるように構成され、前記容量性変位センサが未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成され、該未較正の容量性高さ測定値は、前記基板から前記センシングチップまでのセンシングチップ距離を少なくとも部分的に表すプローブシステム。
【請求項21】
前記容量性変位センサが、前記センシングチップを少なくともほぼ円形に包囲するガード電極を含み、前記容量性変位センサは、当該容量性変位センサの動作状態での使用中に、前記ガード電圧を前記ガード電極に供給して、前記未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成され、前記プローブ・アセンブリが、当該プローブ・アセンブリの動作状態での使用中に、前記ガード電極を少なくとも部分的に無効化して前記DUTを試験するように構成されている、請求項20に記載のプローブ・アセンブリ。
【請求項22】
前記プローブの各々が、前記プローブシステムの動作状態での使用中に前記基板に対面するプローブチップを含み、前記プローブ支持体が、前記センシングチップ及び前記プローブチップを互いに対して少なくとも実質的に固定されて維持するように構成され、これにより、前記プローブシステムの動作状態での使用中に、前記チップ・オフセット量が少なくとも実質的に固定され、前記チップ・オフセット量は、前記基板に少なくともほぼ垂直に延びる法線軸に平行な方向に沿って測定される、請求項20に記載のプローブシステム。
【請求項23】
前記プローブの各々が、ファイバチップを含む光ファイバを含み、該光ファイバの各々が、前記ファイバチップを通して、光信号を前記DUTへ送信すること及び該光信号を前記DUTから受信することのうちの一方または両方を行うように構成されている、請求項20に記載のプローブシステム。
【請求項24】
前記光ファイバが、前記DUTの光カプラを介して前記DUTと相互作用するように構成されている、請求項23に記載のプローブシステム。
【請求項25】
前記光カプラが格子カプラ及び導波路のうちの1つ以上を含む、請求項24に記載のプローブシステム。
【請求項26】
前記プローブ・アセンブリがプローブ・ポジショナを含み、該プローブ・ポジショナは、動作可能な様式で前記プローブ支持体に結合され、前記プローブ支持体を前記基板に対して選択的に位置決めするように構成されている、請求項20に記載のプローブシステム。
【請求項27】
前記ファイバチップが対応する前記光カプラに少なくとも実質的に位置合わせされるように、前記プローブ・ポジショナが前記プローブ支持体を位置決めするように構成されている、請求項26に記載のプローブシステム。
【請求項28】
1つ以上の撮像装置をさらに具え、該撮像装置が、
(i) 前記プローブ・アセンブリの少なくとも一部分、及び
(ii) 前記基板の少なくとも一部分
のうちの一方または両方の光学像を受けるように構成されている、請求項20に記載のプローブシステム。
【請求項29】
前記1つ以上の撮像装置における各撮像装置が、
(i) 前記基板に少なくともほぼ垂直に延びる法線軸に少なくともほぼ平行な方向、及び
(ii) 前記法線軸に少なくともほぼ垂直な方向
のうちの一方に沿って前記光学像を受けるように構成されている、請求項28に記載のプローブシステム。
【請求項30】
信号発生兼分析アセンブリをさらに具え、該信号発生兼分析アセンブリは、
(i) 試験信号を発生すること、
(ii) 前記試験信号を前記プローブ経由で前記DUTに供給すること、
(iii) 結果信号を前記プローブ経由で前記DUTから受信すること、及び
(iv) 前記結果信号を分析すること
のうちの1つ以上を行うように構成されている、請求項20に記載のプローブシステム。
【請求項31】
前記コントローラが前記信号発生兼分析アセンブリを含む、請求項30に記載のプローブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2019年12月30日に出願された米国特許出願第16/730584号、及び2019年1月8日に出願された米国特許仮出願第62/789625号により優先権を主張し、これらの特許出願は参照することによって本明細書に含める。
【0002】
発明の分野
本発明は一般に、容量性高さセンシング(検出)測定値を較正するためのプローブシステム及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
プローブシステムを利用して、被試験デバイス(DUT:device under test)の動作を試験することができる。一例として、プローブシステムはシリコン・フォトニクス結合技術を利用することができ、シリコン・フォトニクス結合技術では、1つ以上の光ファイバが光信号によりDUTと相互作用する。こうした例では、各光ファイバは一般にDUTとは接触せず、その代わりに、DUT上の格子カプラのような光カプラと位置合わせされて光信号を送信及び受信する。こうした構成は、光ファイバと光カプラとの精密な位置合わせのおかげで、光ファイバとDUTとの間の出力伝達を強化する。
【0004】
シリコン・フォトニクス結合技術は、容量性高さセンシング測定を利用して、DUTと光ファイバとの間の分離距離を測定することができる。こうした容量性高さセンシング測定は、一般に、DUTの、あるいはDUTを支持する基板の全体的な材料特性に依存して、測定した静電容量の読み取り値を分離距離の計算値に変換する。しかし、こうした測定方式は、一般に、材料特性が変化するDUT構造及び/または基板の誘電特性及び抵抗特性を捉えない。従って、容量性高さセンシング測定値を較正するための改良されたシステム及び方法の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
容量性高さセンシング測定値を較正するプローブシステム及び方法を本明細書中に開示する。プローブシステムが、プローブ支持体を有するプローブ・アセンブリを含み、このプローブ支持体は容量性変位センサを支持し、この容量性変位センサは基板に対して離間した関係にあるセンシングチップで終端する。この容量性変位センサは未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成され、この未較正の容量性高さ測定値は、基板からセンシングチップまでのセンシングチップ距離を少なくとも部分的に表す。こうしたプローブシステムを利用して、較正された容量性高さ測定値を生成する方法は、コントローラで、基板の高さ較正構造の較正構造アーキテクチャを受信するステップを含み、この較正構造アーキテクチャは、高さ較正構造の1つ以上の基板層に関する情報を含む。この方法は、コントローラで、高さ較正構造アーキテクチャに少なくとも部分的に基づいて、各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップと、コントローラで、各層の層インピーダンスの大きさを計算するステップに少なくとも部分的に基づいて、高さ較正構造の全層のインピーダンスの大きさを計算するステップとをさらに含む。この方法は、容量性変位センサで、実測インピーダンスの大きさを測定するステップと、コントローラで、全層のインピーダンスの大きさ及び実測インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、較正した容量性高さ測定値を計算するステップとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明によるプローブシステムの例の概略側立面図である。
図2】本発明によるプローブシステムの例の概略側立面図である。
図3】本発明による、プローブシステムを利用して、容量性センサによって生成された容量性高さセンシング測定値を較正する方法の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明及び発明の最良の形態
図1~3は、本発明によるプローブシステム10及び/または方法200の例を提供する。図1~3の各々では、同様な、あるいは少なくとも実質的に同様な目的を果たす要素には同様な番号のラベルを付け、本明細書中では、これらの要素は図1~3の各々を参照して詳細に説明しないことがある。同様に、図1~3の各々では、必ずしも全要素にラベルを付けないことがあるが、本明細書中では、これらの要素に関連する参照番号を、一貫性を保つために利用することがある。本明細書中で図1~3のうちの1つ以上を参照して説明する要素、構成要素、及び/または特徴は、本発明の範囲から逸脱することなしに、図1~3のいずれかに含めること、及び/または図1~3のいずれかと共に利用することができる。一般に、特定の実施形態に含まれることが多い要素は実線で示すのに対し、任意である要素は破線で示す。しかし、実線で示す要素は必ずしも不可欠でないことがあり、一部の実施形態では、本発明の範囲から逸脱することなしに省略することができる。
【0008】
図1は、本発明によるプローブシステム10の例の概略側立面図であるのに対し、図2は、図1のプローブシステムの一部分の概略側立面図である。図1に概略的に示すように、プローブシステム10はチャック70を含み、チャック70は支持面72を規定し、支持面72は1つ以上の被試験デバイス(DUT)110を含む基板100を支持するように構成されている。プローブシステム10はプローブ・アセンブリ30を追加的に含み、プローブ・アセンブリ30は1つ以上のDUTのうちの少なくとも1つを試験するように構成されている。図1に概略的にさらに示すように、プローブシステム10はコントローラ50を追加的に含み、コントローラ50は、本明細書中に説明するように、プローブシステム10、プローブ・アセンブリ30、及び/またはそのあらゆる適切な構成要素を制御するように動作する。即ち、コントローラ50は、本発明による方法200により、プローブシステム10及び/またはその構成要素の動作を制御するように構成及び/またはプログラムされている。
【0009】
図1~2に概略的に示すように、プローブ・アセンブリ30は、プローブ支持体36及び容量性変位センサ40を追加的に含み、容量性変位センサ40は動作可能な様式でプローブ支持体によって支持される。容量性変位センサ40は、センシングチップ42を含み、及び/またはセンシングチップ42で終端し、センシングチップ42は、プローブシステム10の動作状態での使用中に、基板100に対して離間した配置に維持されるように構成されている。具体的には、容量性変位センサ40は容量性高さ測定値を生成するように構成され、容量性高さ測定値は、センシングチップ42と基板100との間のセンシングチップ距離44(図2に概略的に示す)を少なくとも部分的に表す。図2に概略的に示すように、センシングチップ距離44は、基板100の表面に少なくともほぼ垂直に延びる法線軸(垂直軸)12に平行な方向に沿って測定することができる。本明細書中に用いる容量性変位センサ40は、容量性距離センサ40、容量性高さセンサ40、及び/または容量センサ40とも称することがある。同様に、本明細書中に用いる、「変位」、「距離」、「オフセット」、「高さ」等のような位置の用語を互換的に用いて、特定の軸及び/または次元に沿って測定することができるような、2つの構成要素間の位置の差を記述することがある。
【0010】
本明細書中により詳細に説明するように、センシングチップ距離44を所望の精度で表さない容量性高さ測定値を容量性センサ40が生成することが、基板100の1つ以上の材料特性によって生じることがある。従って、本明細書中に開示するシステム及び方法は、一般に、容量性変位センサ40によって生成される容量性高さ測定値を、基板100の材料特性に少なくとも部分的に基づいて較正することに指向している。
【0011】
このように、本明細書中に用いる、容量性変位センサ40によって生成される容量性高さ測定値は、未較正の容量性高さ測定値と称することもでき、本明細書中に開示するプローブシステム10及び方法200は、一般に、センシングチップ距離44を未較正の容量性高さ測定値よりも正確に表す較正した容量性高さ測定値を生成する方法に関するものである。本明細書中に図3を参照してより詳細に説明するように、方法200は、概略的に、基板100の少なくとも一部分に関連するインピーダンスの計算及び/または測定により較正した容量性高さ測定値を生成するステップを含む。即ち、容量性変位センサ40は、一般に、容量性リアクタンスのみに相当するものと仮定されるインピーダンス及び/または静電容量(キャパシタンス)の測定により動作するので、測定したインピーダンスが基板100に起因する度合いを測定することは、測定したインピーダンスがセンシングチップ42と基板100との間のギャップに起因する度合いのより正確な測定を可能にする。従って、こうした測定は、本明細書中に説明するように、センシングチップ距離44のより正確な測定を促進する。
【0012】
本明細書中に用いるプローブシステム10は、基板100がチャック70の支持面72上に支持される際に、かつプローブ・アセンブリ30及び/または各プローブ14が対応するDUT110を試験すべく動作可能であるようにプローブ14が基板100に対して位置決めされる際に、「動作状態で使用中」であるものとして、及び/または「動作的に利用される」ものとして記述することができる。このように、本開示内の、プローブシステム10(及び/またはその構成要素)を基板100(及び/またはその構成要素)と共に参照することは、本明細書中に説明するように、基板100が動作可能な様式でプローブシステム10によって支持され、及び/または動作可能な様式でプローブシステム10内に配置される構成を参照する。しかし、本開示は一般にプローブシステム10が動作可能な様式で基板100と相互作用する例を説明するが、こうした例は限定的であることは意図しておらず、プローブシステム10が必ずしも基板100と共に動作可能な様式で利用されないことは、本発明の範囲内である。
【0013】
図1~2に追加的かつ概略的に示すように、プローブ・アセンブリ30は1つ以上のプローブ14を含むこともでき、プローブ14は動作可能な様式でプローブ支持体36(そのうちの1つを図2に概略的に示す)によって支持され、各プローブ14は対応するDUT110を試験するように構成されている。図1はプローブシステム10を2つのプローブ14を含むものとして概略的に示しているが、それに加えて、プローブシステム10が、1つのプローブ、2つのプローブ、3つのプローブ、4つのプローブ、または5つ以上のプローブを含めた適切な任意数のプローブを含むことができることは、本発明の範囲内である。
【0014】
各プローブ14は、あらゆる適切な形態を有することができ、及び/または対応するDUT110をあらゆる適切な方法で試験するように構成することができる。一例として、図1~2に概略的に示すように、各プローブ14は、プローブチップ(プローブ先端)16を含むものとして、及び/またはプローブチップ16で終端するものとして記述することができ、プローブチップ16は、プローブシステム10の動作状態での使用中に基板100と対面し、例えば電磁信号及び/または光信号を介して対応するDUT110と相互作用するように構成されている。図2に示すように、容量性変位センサ40及びプローブ14の各々は、センシングチップ42とプローブチップ16とがチップ・オフセット量45だけ分離されるように、プローブ支持体36によって支持することができ、チップ・オフセット量45は例えば法線軸12に平行な方向に沿って測定することができる。プローブ支持体36は、プローブシステム10の動作状態での使用中に、チップ・オフセット量45、及び/またはセンシングチップ42とプローブチップ16との空間的関係が少なくとも実質的に固定されるように構成することができる。図2中に概略的に示すように、プローブチップ16はセンシングチップ42からチップ・オフセット量45だけオフセットすることができ、これにより、プローブチップ16はセンシングチップ42よりも基板100の近くまで延びる。
【0015】
引き続き図2を参照すれば、プローブシステム10は、プローブチップ16と基板100との間のプローブチップ変位46の測定値を生成するように構成することができ、この測定値は例えば法線軸12に平行な方向に沿って測定することができる。例えば、本明細書中に説明するように、プローブシステム10は、プローブ14が対応するDUT110を試験する間にプローブチップ16が基板100から離間するように構成することができ、プローブチップ変位46を高い精度で制御すること及び/または知ることが望ましくあり得る。こうした例では、本明細書中に説明するように、(例えば、較正した容量性高さ測定値の決定による)センシングチップ距離44及びチップ・オフセット量45の測定及び/または計算により、プローブチップ変位46を測定することができる。
【0016】
一部の例では、図1~2に概略的に示すように、各プローブ14が光ファイバ32を含み、及び/または光ファイバ32であり、光ファイバ32は、光信号及び/またはレーザー信号のような光学的信号を送信及び/または受信するように構成されている。具体的には、光ファイバ32は、そのファイバチップ(ファイバ先端)34を通して、光学的信号をDUT110に送信すること及び/またはDUT110から受信するように構成することができる。このように、ファイバチップ34は、光ファイバ32の形をとるプローブ14の一例のプローブチップ16を表すものとして記述することができる。こうした例では、光ファイバ32は、対応するDUTと、(図1~2に概略的に示す)DUT110の光カプラ112を通すようなあらゆる適切な方法で対応するDUTと相互作用するように構成することができる。光カプラ112は、格子カプラ及び/または導波路のような、あらゆる適切な非接触インタフェース、非接触構造、及び/または非接触デバイスを含むこと、及び/またはこうした非接触インタフェース、非接触構造、及び/または非接触デバイスとすることができる。本開示は概ね各プローブ14が光ファイバ32であるプローブシステム10の例を説明しているが、このことはプローブシステム10及び/または方法200の全部の例に要求されず、それに加えて、プローブ14が、電気信号を伝えるように構成された接触プローブのようなあらゆる適切なプローブを含むこと、及び/またはプローブ14をこうしたあらゆる適切なプローブとすることができ、及び/またはプローブ・アセンブリ30がこうしたあらゆる適切なプローブを含むことができることは、本発明の範囲内である。
【0017】
プローブシステム10は、プローブシステム10の動作状態での使用中に、各プローブ14を選択的に、かつ動作可能な様式で対応するDUT110と位置合わせするように構成することができる。例えば、プローブ・アセンブリ30及び/またはプローブ支持体36は、光ファイバ32のファイバチップ34を光カプラ112に対して位置決めして、光ファイバ32とDUT110との間の(電力伝達のような)結合特性を最適化するように構成することができる。プローブシステム10は、プローブ14をDUT110と選択的に位置合わせするための、あらゆる適切な構造及び/またはメカニズムを含むことができる。一例として、図1に概略的に示すように、プローブシステム10はチャック平行移動ステージ74を含むことができ、チャック平行移動ステージ74は、チャック70を動作可能な様式で支持し、及び/または、チャック70及び/またはその支持面72をプローブ・アセンブリ30の少なくとも一部分に対して選択的に、かつ動作可能な様式で平行移動させるように構成されている。このように、チャック平行移動ステージ74は、基板100、DUT110、及び/または光カプラ112を、プローブ・アセンブリ30、プローブ14、プローブチップ16、光ファイバ32、及び/またはファイバチップ34に対して平行移動及び/または位置合わせするように構成することができる。
【0018】
チャック平行移動ステージ74は、チャック70を動作可能な様式でプローブ・アセンブリ30に対して平行移動させ、及び/またはチャック70を動作可能な様式でプローブ・アセンブリ30に対して回転させて、例えば1つ以上のDUT110とプローブ14との位置合わせを促進するように構成することができる。例えば、チャック平行移動ステージ74は、チャック70及び/または基板100をプローブ・アセンブリ30に対して、第1軸に沿って、かつ第1軸に垂直または少なくともほぼ垂直な第2軸に沿って平行移動させるように構成することができる。
【0019】
第1軸及び第2軸は共に、チャック支持面72に平行または少なくともほぼ平行にすることができる。例えば、第1軸は図1に示すようにX方向に配向させることができ、及び/または第2軸は図1に示すようにY方向に配向させることができる。それに加えて、あるいはその代わりに、チャック平行移動ステージ74は、チャック70及び/または基板100を、動作可能な様式で及び/または同時に、プローブ・アセンブリ30に対して、チャック支持面72に垂直または少なくともほぼ垂直な第3軸に沿って平行移動させるように構成することができる。
【0020】
それに加えて、あるいはその代わりに、チャック平行移動ステージ74は、チャック70及び/または基板100を回転軸の周りに動作可能な様式で及び/または同時に回転させるように構成することができる。この回転軸は、チャック支持面72に垂直または少なくともほぼ垂直にすることができ、及び/または上記第3軸とすることができる。一部の例では、図1に概略的に示すように、コントローラ50は、平行移動ステージ制御信号54を発生し送信して、チャック平行移動ステージ74を選択的に制御するように構成することができる。
【0021】
一部の例では、図1にさらに示すように、プローブシステム10は少なくとも1つのプローブ・ポジショナ(プローブ位置決め装置)38を追加的に含み、プローブ・ポジショナ38は、動作可能な様式で対応するプローブ支持体36に結合され、対応するプローブ支持体36を基板100に対して選択的に位置決めするように構成されている。こうした例では、プローブ・アセンブリ30、プローブ支持体36、プローブ14、プローブチップ16、光ファイバ32、ファイバチップ34、及び/または容量性変位センサ40を、DUT110及び/または光カプラ112に対して選択的に平行移動、回転、及び/またはさもなければ位置決めして、例えば光ファイバ32とDUT110との光結合を最適化するように、プローブ・ポジショナ38を構成することができる。各プローブ・ポジショナ38は、チャック70及び/または基板100に対して、あらゆる適切な方法で、動作可能な様式で支持することができる。一例として、図1に概略的に示すように、プローブ・アセンブリ10はプラテン80を含むことができ、プラテン80は各プローブ・ポジショナ38を動作可能な様式でチャック70に対して支持する。
【0022】
プローブシステム10の動作中には、各プローブ・ポジショナ38を利用して、プローブ14を、プローブの可動範囲全体にわたって動作可能な様式で平行移動させ、これにより、プローブチップ16を動作可能な様式でDUT110に対して平行移動させることができる。一例として、1つ以上のプローブ・ポジショナ38を利用して、1つ以上のプローブチップ16を、DUT110上の特定の、目標の、及び/または所望の位置に位置合わせして、例えば、対応するプローブとDUTとの通信を可能にすることができる。このことは、図1に示すX、Y、及び/またはZ方向のような、複数の異なる、別個の、区別される、垂直な、及び/または直交する方向の、プローブ14の動作可能な様式での平行移動を含む。図1の例では、X及びY方向を、基板100の上面に平行または少なくともほぼ平行にすることができるのに対し、Z方向は基板100の上面に垂直または少なくともほぼ垂直にすることができる。図1に概略的にさらに示すように、Z方向は法線軸12に少なくともほぼ平行にすることができる。しかし、この特定の構成は要件ではない。
【0023】
各プローブ・ポジショナ38は、動作可能な様式でプローブ支持体36及び/またはプローブ14に結合することができるあらゆる適切な構造、及び/またはプローブ14をプローブの可動範囲全体にわたって動作可能な様式で平行移動させるように構成することができるあらゆる適切な構造を含むこと及び/またはこうした構造とすることができ、プローブの可動範囲は、例えば図1のX、Y、及びZ軸のような3本の直交または少なくともほぼ直交する軸方向に広がることができる。例として、プローブ・ポジショナ38は、1つ以上の平行移動ステージ、送りねじ(リードスクリュー)、ボールねじ、ラックとピニオンのアセンブリ、モータ、ステッパモータ、電気的アクチュエータ、機械的アクチュエータ、圧電アクチュエータ、マイクロメーター、及び/または手動のアクチュエータを含むことができる。プローブ・ポジショナ38は、手動で作動するプローブ・ポジショナ、及び/または自動化された、あるいは電気的に自動化されたプローブ・ポジショナとすることができる。一部の例では、図1に概略的に示すように、コントローラ50は、プローブ・ポジショナ制御信号52を発生し送信して、プローブ・ポジショナ38を選択的に制御するように構成することができる。
【0024】
説明したように、プローブシステム10は、概略的に、プローブチップ16及び/またはファイバチップ34を、DUT110及び/または光カプラ112に対して、例えばチャック平行移動ステージ74及び/またはプローブ・ポジショナ38により位置決めするように構成されている。一例として、プローブシステム10は、チャック平行移動ステージ74が基板100を平行移動させて、選択したDUT110を概ね光ファイバ32の下に位置決めし、その後にプローブ・ポジショナ38が、光ファイバ32のファイバチップ34を、選択した光カプラ112とほぼ位置合わせするように構成することができる。このように、図1に概略的に示すように、それぞれの光ファイバ32を支持する2つ以上の別個のプローブ支持体36の各々が、それぞれのファイバ位置決めメカニズム38を利用して、光ファイバのそれぞれのファイバチップ34を、DUT110の対応する光カプラ112と、チャック平行移動ステージ74によって行われる平行移動とは独立して位置合わせすることができる。
【0025】
図1に概略的にさらに示すように、プローブシステム10は少なくとも1つの撮像装置20を含むことができ、撮像装置20は、プローブ・アセンブリ30の少なくとも一部分及び/または基板100の少なくとも一部分の光学像を受けるように構成されている。例えば、各撮像装置20を、DUT110及び/または光カプラ112に相対する光ファイバ32及び/またはファイバチップ34の光学像を受けるように構成及び/または配置して、例えば光カプラに対するファイバチップの位置合わせを促進することができる。図1に概略的に示すように、撮像装置20は、法線軸12に少なくともほぼ平行な方向及び/または法線軸に少なくともほぼ垂直な方向のようなあらゆる適切な方向に沿って、光学像を受けるように構成することができる。撮像装置20は、プローブ・アセンブリ30及び/または基板100の1つ以上の光学像を生成するように適合、構成、設計、及び/または構築することができるあらゆる適切な構造を含むこと、及び/またはこうした構造とすることができる。例として、撮像装置20は、顕微鏡、接眼レンズ(アイピース)を含む顕微鏡、接眼レンズを含まない顕微鏡、カメラ、電荷結合素子、イメージセンサ、固体撮像デバイス、C-MOS(complementary metal oxide semiconductor:相補的金属酸化物半導体)撮像デバイス、及び/またはレンズを含むこと、及び/またはこれらとすることができる。
【0026】
説明したように、図1に概略的に追加的かつ概略的に示すように、プローブシステム10は一般にコントローラ50を含み、コントローラ50は、プローブシステム10の動作を制御するように、あるいはプローブシステム10を自動化するようにプログラムされている。一例として、コントローラ50は、本明細書中に説明する方法200の一部または全部を実行するようにプログラムすることができる。それに加えて、あるいはその代わりに、コントローラ50は、撮像装置20,プローブ・アセンブリ30、プローブ・ポジショナ38、及び/またはチャック平行移動ステージ74のような、プローブシステム10のあらゆる適切な構成要素を制御するように構成することができる。
【0027】
コントローラ50は、本明細書中に説明するコントローラの機能を実行するように構成されたあらゆる適切な装置を含むこと、及び/またはこうした装置とすることができる。例えば、コントローラは、電子コントローラ、専用コントローラ、特殊目的のコントローラ、パーソナル・コンピュータ、専用コンピュータ、表示装置、論理デバイス、メモリデバイス、及び/または非一時的コンピュータ可読媒体を有するメモリデバイスのうちの1つ以上を含むことができ、この非一時的コンピュータ可読媒体は、本発明によるシステム及び/または方法の態様を実現するためのコンピュータが実行可能な命令を記憶する。それに加えて、あるいはその代わりに、コントローラ50は、本発明による方法または方法のステップを実現するための、コンピュータが実行可能な命令またはソフトウェアを記憶するのに適した、非一時的なコンピュータ可読の記憶装置、またはメモリ、媒体を含むコンピュータ、あるいはこれらを読み出すように構成されたコンピュータを含むこと、及び/またはこうしたコンピュータとすることができる。こうした媒体の例は、CD-ROM(compact disc-read-only memory:コンパクトディスク読出し専用メモリ)、ディスク、ハードドライブ、フラッシュメモリ、等を含む。本明細書中に用いる、コンピュータが実行可能な命令並びにコンピュータで実現される方法、及び本発明による他の方法を有する記憶装置、またはメモリ、デバイス、及び媒体は、米国法律集の第35章の第101条により特許付与可能であるものと判断される主題の範囲内であるものと考えられる。
【0028】
図1に概略的にさらに示すように、プローブシステム10及び/またはコントローラ50は、信号発生兼分析アセンブリ60を含むことができる。信号発生兼分析アセンブリ60は、試験信号62を発生し、この試験信号を、光ファイバ32を通してDUT110に供給し、及び/または結果信号64をDUTから受信するように構成することができる。例えば、信号発生兼分析アセンブリ60は、試験信号を光試験信号の形式で光ファイバ32を通してDUT110に出力するように構成されたレーザー源を含むこと、及び/またはこうしたレーザー源とすることができる。他の例として、信号発生兼分析アセンブリ60は、結果信号を光結果信号の形式でDUT110から受信するように構成された光信号分析装置を含むこと、及び/またはこうした光信号分析装置とすることができる。それに加えて、あるいはその代わりに、信号発生兼分析アセンブリ60は、存在する際に、結果信号64を分析して、この結果信号を試験信号62と比較するように、及び/または、試験信号及び/または結果信号に少なくとも部分的に基づいてDUT110の動作を定量化するように構成することができる。例として、信号発生兼分析アセンブリ60は、DUT110からの光結果信号を分析して、光結果信号を上記レーザー源によって生成される光試験信号と比較するように、及び/または、光試験信号及び/または光結果信号に少なくとも部分的に基づいてDUTの動作を定量化するように構成することができる。
【0029】
より具体的な例として、図1に概略的に示すように、プローブシステム10が複数のコントローラ50及び/または信号発生兼分析アセンブリ60を含むことができ、これにより、第1信号発生兼分析アセンブリ60が上記レーザー源を含み、第2信号発生兼分析アセンブリ60が上記光信号分析装置を含む。こうした例では、第1信号発生兼分析アセンブリ60は試験信号62を発生するように構成することができ、第2信号発生兼分析アセンブリ60は、結果信号64を分析して、結果信号を試験信号と比較するように、及び/または、試験信号及び/または結果信号に少なくとも部分的に基づいてDUTの動作を定量化するように構成することができる。他の一例として、DUT110に給電することができ、DUT110は、電気試験信号の形式で試験信号62を受信したことに応答して、結果信号64を光結果信号の形式で発生及び/または放射するように構成することができる。さらに他の一例として、DUT110に給電することができ、DUT110は、試験信号62を光試験信号の形式で受信したことに応答して、結果信号64を電気結果信号の形式で発生及び/または放射するように構成することができる。
【0030】
本明細書中に用いる、「上部」、「下部」、「下方」等のような位置の用語は、プローブシステム10の構成要素間の空間的関係を例示的で非限定的な様式で記述するために用いることがあり、一般に、基板100及び/またはDUT110が地面に少なくともほぼ平行に広がり、プローブ14及び/または光ファイバ32が基板の上方に垂直に配置される構成を参照する(これにより、重力は光ファイバからDUTに向かって延びる方向を有する)。従って、例えば、光ファイバ32はDUT110の上方に配置されるものとして記述することができる。こうした用語は文脈として提供するに過ぎず、プローブシステム10またはプローブ・アセンブリ30の構成要素部分を、常に地面に対する特定の向きにあるものと限定しない。
【0031】
本発明による方法200は、恐らくは図2を参照すれば最も良く理解され、図2図1のプローブシステム10の一部分を概略的に示す。具体的には、図2は、光ファイバ32、及び基板100の上方に支持される容量性変位センサ40を概略的に示す。より具体的には、図2は、基板100の高さ較正構造120の上方にギャップ48をおいて支持される光ファイバ32及び容量性変位センサ40を概略的に示し、ギャップ48は例えばセンシングチップ距離44によって特性化することができる。このように、センシングチップ距離44は、それに加えて、あるいはその代わりに、法線軸12に平行な方向のギャップ48の高さとして記述することができる。本明細書中に用いる、そして図2に概略的に示す高さ較正構造120は、DUT110及び/または光カプラ112の一部分のような、基板100のあらゆる適切な部分を含むこと、及び/またはこうした部分とすることができる。
【0032】
図2に概略的に示すように、そして説明したように、容量性変位センサ40は高さ較正構造120に対面するセンシングチップ42を含み、これにより、例えば、センシングチップの表面は高さ較正構造の表面に少なくともほぼ平行になる。このように、センシングチップ42は、容量性変位センサにおける高さ較正構造120に近接した表面のように、容量性変位センサ40の一部分に相当すること、及び/または一部分とすることができる。説明したように、高さ較正構造120に対する容量性変位センサ40及び/またはセンシングチップ42の位置は、センシングチップ距離44によって特性化することができる。図2に概略的にさらに示すように、そして追加的に説明するように、高さ較正構造120及び/または光カプラ112に対する光ファイバ32及び/またはファイバチップ34の位置は、例えば法線軸12に少なくともほぼ平行な方向に沿った、ファイバチップと高さ較正構造との間のプローブチップ変位46によって特性化することができる。
【0033】
一部の例では、説明したように、プローブシステム10は、容量性変位センサ40のセンシングチップ42及び光ファイバ32のファイバチップ34がほぼ固定された位置関係に維持されるように構成されている。別の言い方をすれば、こうした例では、センシングチップ距離44とプローブチップ変位46とがオフセット量45を介して関係付けられ、オフセット量45は、センシングチップ距離44とプローブチップ変位46との差に等しく、プローブシステム10の動作状態での使用中にほぼ固定されているように、プローブシステム10が構成されている。このように、本明細書中に説明するセンシングチップ距離44の精密な測定は、プローブチップ変位46、及び/または光カプラ112に対するファイバチップ34の位置(例えば、高さ)の同様に精密な測定をもたらすことができる。
【0034】
図2は、ファイバチップ34を、センシングチップ42よりも高さ較正構造120の近くまで延びるように(即ち、プローブチップ変位46がセンシングチップ距離44よりも小さいように)図示しているが、このことはプローブシステム10のすべての例に要求されず、光ファイバ32及び容量性変位センサ40があらゆる適切な相対的配置を有することができることは、本発明の範囲内である。例として、光ファイバ32及び容量性変位センサ40は、垂直次元及び/または水平次元に、あらゆる適切な相対的配置を有することができる。より具体的な例として、光ファイバ32及び容量性変位センサ40は、プローブチップ変位46がセンシングチップ距離44よりも大きいように、及び/またはプローブチップ変位46とセンシングチップ距離44とが少なくともほぼ等しいように位置決めすることができる。
【0035】
容量性変位センサ40は、容量性変位測定を実行するためのあらゆる適切な装置を含むこと、及び/またはこうした装置とすることができる。例えば、容量性変位センサ40は、計測学の分野で既知であり得るもののような容量性直線変位センサを含むこと、及び/またはこうした容量性直線変位センサとすることができる。容量性変位センサ40は、測定される変位(例えば、容量性高さ測定値)が、既知の誘電定数(誘電率)を有する媒質によって分離された2つの離間した平行な導体面間の距離に対応するという原理で動作する。このように簡略化したシステムでは、2つの平行な導体面に関連する静電容量Cが、これらの面どうしを分離する距離d、対向する面に対面する各面の面積A、及びこれらの面を分離する媒質の絶対誘電率εに、
C=εA/d
のように関係付けられる。媒質の絶対誘電率は
ε=εrε0
のように表すこともでき、ここにεrは媒質の無次元の相対誘電率であり、ε0=8.854×10-12F/mは真空の誘電率である。従って、容量性変位センサ40のセンシングチップ42が、面積Aを有し、センシングチップ距離44に等しい距離dだけ導体から分離されている例では、静電容量Cの測定がセンシングチップ距離の測定を可能にすることができる。容量性変位センサに対面する表面が導体である際には、こうした分析がセンシングチップ距離の正確な測定を可能にすることができるが、他の場合には、この分析は正確な測定値を生成し損なう。例えば、容量性変位センサに対面する表面が(図2の概略図の例におけるように)導体層に加えて1つ以上の絶縁層及び/または抵抗層を含む際には、以下で説明するように、こうした絶縁及び/または抵抗層が測定誤差を導入し得る。
【0036】
一部の例では、図2に概略的に示すように、容量性変位センサ40がガード電極41を追加的に含み、ガード電極41は少なくともほぼ円形に延びてセンシングチップ42を包囲する。こうした例では、容量性変位センサの動作状態での使用中にガード電極41にガード電圧を供給して、例えば容量性高さ測定の精度を向上させるように、容量性変位センサ40を構成することができる。しかし、こうしたガード電圧は、プローブ14及び/またはDUT110の適正な機能に悪影響を与え得る。従って、プローブ・アセンブリ30は、DUT110を試験するための当該プローブ・アセンブリの動作状態での使用中に、例えば、ガード電圧をガード電極に供給することを解除及び/または中止することによって、ガード電極41を少なくとも部分的に無効化するように構成することができる。
【0037】
容量性変位センサ40は、センシングチップ42及び検出面の各々が絶縁体によって分離された完全導体面であるという簡略化の仮定の下で、センシングチップ及び検出面に関連する静電容量を測定するように構成することができる。回路素子のインピーダンスはZ=R+jXのように表すことができ、ここにZは回路素子のインピーダンス、Rは回路素子の抵抗、Xは回路素子のリアクタンスであり、j2=―1であることは、電子工学の当業者が認識する所である。
【0038】
それに加えて、あるいはその代わりに、本明細書中に用いる回路素子の抵抗は、当該回路素子のインピーダンスの抵抗成分と称することがある。それに加えて、あるいはその代わりに、本明細書中に用いる回路素子のリアクタンスは、同様に、当該回路素子のインピーダンスのリアクタンス成分と称することがある。それに加えて、あるいはその代わりに、本明細書中に提供する例では、インピーダンスのリアクタンス成分をインピーダンスの容量成分と称することがある。別の言い方をすれば、本明細書中に提供する例では、回路素子のインピーダンスのリアクタンス成分がインダクタンス成分を含まないことがある。回路素子が完全な抵抗器によって分離された2つの完全導体面であるという簡略化の仮定の下では、回路素子のインピーダンスが回路素子の抵抗に等しく、Z=Rであるものと考えることができる。同様に、回路素子が絶縁体によって分離された2つの完全導体面であるという簡略化の仮定の下では、回路素子のインピーダンスが回路素子のリアクタンス(即ち、インピーダンスの容量成分)に等しく、|Z|=|X|であるものと考えることができる。
【0039】
回路素子のリアクタンスが一般に当該回路素子に入る電気信号の周波数fに依存することは、電子工学の当業者がさらに理解する所である。特に、容量性回路素子のリアクタンスは、当該回路素子の静電容量C、当該容量性回路素子を形成する各表面の断面積A、当該容量性回路素子を形成する表面どうしを分離する距離d、及び当該素子を通る電気信号の周波数fに、
X(f)=[2πfC]-1=d/(2πfεrε0A)
のように関係付けられる。
【0040】
このように、容量性変位センサ40は、検討中のシステムの周波数に依存するインピーダンスの測定により静電容量Cを測定するように構成することができる。即ち、大きさV及び周波数fの電圧信号をセンシングチップ42に供給して、対応する電流の大きさIを測定することによって、インピーダンスZをZ=V/Iのように計算することができる。このインピーダンスが容量性リアクタンスのみを含むという仮定の下で、この表現式を上記のコンデンサのリアクタンスの表現式と組み合わせて
V/I=d(2πfεrε0A)
とすることができる。この表現式を距離dについて解けば、
d=(2πfεrε0A)V/I
となり、こうして、既知の及び/または測定した量から距離dを測定する手段が提供される。
【0041】
一部の例では、プローブシステム10の2つの構成要素間の距離を正確に記述する容量性高さ測定値を生成するために、前述した容量性変位センサ40の動作原理で十分である。例えば、チャック70をアルミニウムのような金属で形成することができ、支持面72とセンシングチップ42とが真空及び/または空気のみによって分離される際に、容量性変位センサ40が、チャック70とセンシングチップ42との間の距離を正確に測定する容量性高さ測定値を生成することができる。しかし、基板100及び/またはDUT110が支持面72とセンシングチップ42との間に配置されている際には、こうした材料が、前述した容量性変位センサ40の動作原理によって説明されない電気インピーダンスを生成し得る。従って、本明細書中に開示するプローブシステム10及び方法200は、一般に、未較正の容量性高さ測定値を、これらの材料特性を考慮して補正及び/または較正することに指向している。
【0042】
説明したように、そして図2に概略的に示すように、方法200は、一般に、容量性変位センサ40のセンシングチップ42が高さ較正構造120に対面する例に関連する。本明細書中に用いる高さ較正構造120は、説明したように、基板100及び/またはDUT110のあらゆる適切な部分を参照すること、こうした部分を含むこと、及び/またはこうした部分とすることができ、この部分でセンシングチップ距離44及び/またはプローブチップ変位46を測定することになる。本発明によるプローブシステム10は、高さ較正構造120が完全導体及び/または均一な導電性でない際でも、及び/またはギャップ48が真空または完全(絶対)真空内に規定されない際でも、容量性変位センサ40によるセンシングチップ距離44の測定値を提供するために利用することができる。
【0043】
例えば、図2は、高さ較正構造120が、対応する材料特性を有する1つ以上の積層した平行な層を含む構成を概略的に示す。具体的には、図2に概略的に示すように、高さ較正構造120は、容量性変位センサ40に対面し導電性バルク層128の上方に配置される表面層122を有するものとして記述することができ、導電性バルク層128は例えばチャック70の一部分を含むこと、及び/またはチャック70の一部分とすることができる。図2に追加的かつ概略的に示すように、高さ較正構造120は1つ以上の表面下層124をさらに含むことができ、表面下層124は表面層と導電性バルク層との間に配置されている。図2の例では、高さ較正層120が第1表面下層125及び第2表面下層126を含む。より具体的な例として、基板100及び/または高さ較正構造120は、シリコン-オン-インシュレータ(SOI:silicon-on-insulator)アーキテクチャを利用することができ、このアーキテクチャでは、表面層122及び第2表面下層126の各々が少なくとも実質的にシリコン、例えばドープシリコンで形成され、第1表面下層125は埋め込み酸化膜(BOX:buried oxide)層である。より具体的な例として、表面層122及び第2表面下層126は、少なくとも実質的にドープシリコンで形成することができ、約0.001オーム-センチメートル~約100オーム-センチメートルの抵抗率を有することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、第1表面下層125は、少なくとも実質的に二酸化シリコンで形成され、約3.8の相対抵抗率を有するBOX層とすることができる。しかし、このことは要件ではなく、高さ較正構造120があらゆる適切な数の表面下層124を含むことができること、あるいは表面下層を何ら含まないことができることは、さらに本発明の範囲内である。
【0044】
図2の構成では、センシングチップ42と導電性バルク層128との間で測定されるインピーダンスは、一般に、表面層122、表面下層124、及びセンシングチップと表面層とを分離する媒質の(厚さ、電気抵抗率、及び相対誘電率のような)材料特性に依存する。本発明の目的では、ギャップ48を占める媒質が、無限大の電気抵抗率及び1に等しい相対誘電率を有する完全真空であるものと仮定する。しかし、このことは要件ではなく、あらゆる適切な物理特性を有するあらゆる適切な媒質がギャップ48を占めることは、さらに本発明の範囲内である。
【0045】
図3は、本発明による方法200の例を示すフローチャートであり、、方法200は、(図1~2のプローブシステム10のような)プローブシステムを利用して、(容量性変位センサ40のような)容量性変位センサによって生成されるインピーダンスの大きさの測定値に基づいて、較正した容量性高さ測定値を生成する。図3に示すように、方法200は、(コントローラ50のような)コントローラで、(高さ較正構造120のような)高さ較正構造の高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップ210を含み、高さ較正構造は、(基板100の表面層122及び/または1つ以上の表面下層124のような)基板の1つ以上の基板層を含む。方法200は、コントローラで、高さ較正構造アーキテクチャに少なくとも部分的に基づいて、各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップ220と、コントローラで、上記計算した各基板層の層インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、高さ較正構造の全層のインピーダンスの大きさを計算するステップ230とを追加的に含む。方法200は、容量性変位センサで、実測インピーダンスの大きさを測定するステップ240と、コントローラで、全層のインピーダンスの大きさ及び実測インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260とをさらに含む。
【0046】
説明したように、(容量性変位センサ40のような)容量性変位センサは、(センシングチップ距離44のような)分離距離を、2つの導体面間の領域に関連するインピーダンスの測定により測定するように構成することができる。本発明による方法200は、概略的に、分離距離の測定値を、容量性変位センサによって検出される高さ較正構造のインピーダンスに基づいて較正及び/または改良するステップを含む。より具体的には、方法200は、概略的に、ステップ210で高さ較正構造アーキテクチャを受信し、ステップ220で層インピーダンスの大きさを計算し、ステップ230で全層のインピーダンスの大きさを計算することにより、高さ較正構造に関連するインピーダンスを分析的に測定するステップを含む。次に、この分析的に測定したインピーダンスを、ステップ240で容量性変位センサによって測定した実測インピーダンスと比較して、全インピーダンスのうち表面層と(センシングチップ42のような)センシングチップとを分離する(ギャップ48のような)ギャップに関連する部分を決定することができる。
【0047】
一般に、そして説明したように、(高さ較正構造の所定の基板層を形成する材料のような)所定材料のインピーダンスは、抵抗成分及びリアクタンス成分を有するものとして記述することができる。三次元回路素子の抵抗Rは、一般に、この回路素子の電気抵抗率ρ、この回路素子の断面積A、及びこの回路素子の長さ
(外1)
に、
【数1】
のように関係付けられる。それに加えて、説明したように、所定回路素子のリアクタンスが純粋に容量性であるという仮定の下で、三次元回路素子の周波数依存性のリアクタンスX(f)は、一般に、この回路素子の静電容量C、この容量性回路素子を形成する各表面の断面積A、この容量性回路素子を形成する表面どうしを分離する距離d、及びこの素子を通る電気信号の周波数fに、
X(f)=[2πfC]-1=d/(2πfεrε0A)
のように関係付けられる。
【0048】
従って、高さ較正構造のインピーダンスの分析的測定を可能にするために、高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップ210は、各基板層の層の厚さ、各基板層の電気抵抗率、各基板層の相対誘電率、及び/または高さ較正構造に対面するセンシングチップのセンシングチップ表面積を受信するステップを含むことができる。各基板層の層の厚さは、基板に関連する(法線軸12のような)法線軸に平行な方向に沿って測定することができる。例えば、図2の例では、高さ較正構造を、全体の厚さt=t1+t2+t3を有するものとして記述することができ、ここにt1は表面層の厚さであり、t2は第1表面下層の厚さであり、t3は第2表面下層の厚さである。図2中にAのラベルを付けたセンシングチップの表面積は、法線軸に垂直な平面内で測定することができる。コントローラで高さ較正構造アーキテクチャ210を受信するステップ210は、(図1に概略的に示すユーザインタフェース56のような)ユーザインタフェースを介するようなあらゆる適切な方法で実行することができる。このユーザインタフェースは、ユーザ入力を受けるためのあらゆる適切なインタフェースを含むこと、及び/またはこうしたインタフェースとすることができ、その例はモニタ、タッチスクリーン、キーボード、及び/またはマウスを含む。それに加えて、あるいはその代わりに、高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップ210は、既知の及び/または記憶されている量にアクセスするステップを含むことができ、この量は、センシングチップ表面積の既知の値のように、プローブシステム及び/または容量性変位センサに関連する。
【0049】
図3に追加的に示すように、各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップ220は、少なくとも1つの基板層の層抵抗を計算するステップ222及び/または少なくとも1つの基板層の層リアクタンスを計算するステップ224を含むことができる。こうした例では、層抵抗を計算するステップ222及び/または層リアクタンスを計算するステップ224は、高さ較正構造アーキテクチャに少なくとも部分的に基づく。例えば、説明したように、層抵抗を計算するステップ222は、各基板層の厚さ及び/または各基板層の電気抵抗率に少なくとも部分的に基づくことができる。より具体的な例として、層抵抗を計算するステップ222は、基板層の電気抵抗率ρ、センシングチップの断面積A、及び基板層の厚さtnに基づいて、抵抗R=ρtn/Aを計算するステップを含むことができる。同様に、説明したように、層リアクタンスを計算するステップ224は、基板層の相対誘電率εr、センシングチップのセンシングチップ表面積A、及び基板層の厚さtnに基づいて、層の静電容量C=εrε0A/tnを計算するステップを含むことができる。従って、層リアクタンスは、
X(f)=[2πfC]-1=d/(2πfεrε0A)
のように計算することができる。
【0050】
各基板層のインピーダンスの大きさを計算するステップ220が、層抵抗を計算するステップ222及び層リアクタンスを計算するステップ224を共に含む例では、計算するステップ220が、各基板層の層抵抗と層リアクタンスとを比較するステップを追加的に含むことができる。例えば、一般に、層抵抗R及び層リアクタンスZCを有する所定の基板層のインピーダンスは、この基板層を、層抵抗を有する完全に抵抗性の回路素子と層リアクタンスを有する完全に容量性の回路素子との並列配置としてモデル化することによって測定することができる。従って、層全体のインピーダンスZtotは、
【数2】
のように計算することができる。層抵抗が層リアクタンスよりもずっと(例えば、1000倍以上)大きい例では、層全体のインピーダンスを層抵抗に等しいものとして近似することができる。同様に、層リアクタンスが層抵抗よりもずっと(例えば、1000倍以上)大きい例では、層全体のインピーダンスを層抵抗に等しいものとして近似することができる。
【0051】
各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップ220に続いて、全層のインピーダンスを計算するステップ230は、各基板層の層インピーダンスの大きさをまとめて加算するステップを含むことができる。このように、全層のインピーダンスを計算するステップ230は、高さ較正構造の基板層の直列インピーダンスを計算するステップを含むことができる。別の言い方をすれば、計算するステップ230は、高さ較正構造の各層の抵抗、リアクタンス、及び/または全インピーダンスを順次に加算するステップを含むことができる。このように、全層のインピーダンスの大きさを計算するステップ230は、高さ較正構造の1つ以上の層の抵抗率、高さ較正構造の1つ以上の層の相対誘電率、高さ較正構造の1つ以上の層の厚さ、及び/またはセンシングチップの表面積に依存する数、量、及び/または数式を生成することができる。高さ較正構造が表面層のみを含む例(即ち、高さ較正構造が表面下層を含まない例)では、ステップ230で計算した全層のインピーダンスの大きさを、ステップ220で計算した層インピーダンスの大きさに等しくすることができる。
【0052】
実測インピーダンスの大きさを測定するステップ240は、本明細書中に説明するように、容量性変位センサを、あらゆる適切な方法で、動作状態で利用するステップを含むことができる。例えば、図3に示すように、実測インピーダンスの大きさを測定するステップ240は、励起周波数の交流(AC:alternating current)の励起電圧信号をセンシングチップに供給するステップ242、及び/または励起電圧信号に基づく応答電流を測定するステップ244を含むことができる。こうした例では、励起電圧信号が既知の電圧の大きさVinで供給され、対応する応答電流信号が電流の大きさIoutを有するように測定された際に、実測インピーダンスの大きさを測定するステップ240は、実測インピーダンスの大きさを
【数3】
のように計算するステップを含むことができる。
【0053】
一部の例では、本明細書中に説明するように、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260が、ステップ240で測定した実測インピーダンスの大きさを、ステップ230で計算した全層のインピーダンスの大きさと比較するステップを含む。それに加えて、あるいはその代わりに、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260は、未較正の容量性高さ測定値を、ステップ240で測定した実測インピーダンスの大きさに基づいて計算するステップを含むことができる。具体的には、こうした例では、未較正の容量性高さ測定値を
uncal=2πfεrε0AZmeas
のように計算することができる。こうした例では、本明細書中に説明するように、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260が、未較正の容量性高さ測定値と、ステップ230で計算した全層のインピーダンスの大きさに対応する高さ較正補正係数との差を計算するステップを含むことができる。一部のこうした例では、容量性変位センサを、未較正の容量性高さ測定値を生成及び/または出力するように構成することができる。
【0054】
全層のインピーダンスの大きさを計算するステップ230及び実測インピーダンスの大きさを測定するステップ240に続いて、較正した容量性高さ測定値を、例えば全層のインピーダンスの大きさと実測インピーダンスの大きさとの比較により決定することができる。例えば、図3に示すように、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260は、コントローラで、(ステップ240で測定した)実測インピーダンスの大きさと(ステップ230で計算した)全層のインピーダンスの大きさとの差に等しいギャップ・インピーダンスの大きさを計算するステップを含むことができる。別の言い方をすれば、ギャップ・インピーダンスの大きさ(即ち、センシングチップと高さ較正構造との間のギャップの電気インピーダンス)は、(ステップ240で測定した)センシングチップと導電性バルク層との間の全実測インピーダンスを、(ステップ230で計算した)高さ較正構造の全インピーダンスとギャップ・インピーダンスの大きさとの和に等しいものとしてモデル化することによって決定することができる。
【0055】
ギャップ・インピーダンスの大きさを計算するステップ262に続いて、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260は、計算したギャップ・インピーダンスの大きさに対応するセンシングチップ距離を計算するステップを含むことができる。具体的には、説明したように、センシングチップと高さ較正構造とを分離するギャップのインピーダンスZgapは、一般に、センシングチップ距離と
gap=d/(2πfεrε0A)
のように関係付けられ、これにより、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260は、
d=Zgap2πfεrε0
を計算するステップを含むことができ、ここにfはステップ242における供給において利用されるAC励起電圧信号の励起周波数であり、εrはギャップを占める媒質の相対誘電率であり、Aは高さ較正構造に対面するセンシングチップの表面積である。
【0056】
一部の例では、図3に示すように、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260が、コントローラで、ステップ230で計算した全層のインピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、高さ較正補正係数を計算するステップ264を含むことができる。例えば、計算するステップ264は、容量性変位センサによって生成される未較正の容量性高さ測定値と実際のセンシングチップ距離との差に少なくともほぼ等しい高さ較正補正係数を計算するステップを含むことができる。即ち、高さ較正構造のインピーダンスは、一般に、実際のセンシングチップ距離よりも大きい未較正の容量性高さ測定値を生じさせる。従って、方法200は、較正した容量性高さ測定値を、高さ較正構造のインピーダンスに対応する距離(即ち、高さ較正補正係数)の計算により計算することもできる。従って、高さ較正補正係数を計算するステップ264は、高さ較正補正係数を
Δd=Zsub2πfεrε0
のように計算するステップを含むことができ、ここにZsubはステップ230で計算した全層のインピーダンスの大きさである。こうした例では、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260が、ステップ264で計算した高さ較正補正係数に少なくとも部分的に基づく。例えば、較正した容量性高さ測定値を計算するステップは、未較正の容量性高さ測定値と高さ較正補正係数との差を計算するステップを含むことができる。
【0057】
以上の例は、一般に、較正した容量性高さ測定値を解析的に;例えば、高さ較正構造の既知の物理特性に基づいて、確立された数学的関係により計算する方法200に関連する。しかし、方法200が、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260を、高さ較正構造に関連するインピーダンスの経験的測定値に基づいて促進及び/または改良するための1つ以上のステップを含むことができるは、さらに本発明の範囲内である。例えば、図3に示すように、方法200は、容量性変位センサで、距離依存性のインピーダンスを測定するステップ250を含むことができる。一例として、距離依存性のインピーダンスを測定するステップ250は、センシングチップ距離が変化する間に、実測インピーダンスの大きさを容量性変位センサで測定するステップを含むことができる。具体的には、センシングチップと高さ較正構造とを分離するギャップの容量性インピーダンスは、センシングチップ距離に
gap=d(2πfεrε0A)
のように関係付けられ、dの関数としてのZgapのプロットは直線的であるものと予期され、かつ原点を通過する。
【0058】
しかし、容量性変位センサによって測定した実測インピーダンスZmeasは、基板の(固定の)インピーダンス寄与分Zsubを追加的に含み、このためZmeas=Zgap+Zsubとなる。従って、dの関数としてのZmeasのプロットは、少なくともほぼ直線的になり得るが、Zsubに相当する値の所でy軸と交差し得る。このように、センシングチップ距離が変化する間に、実測インピーダンスの大きさをセンシングチップ距離として測定することは、dの関数としてのZmeasのプロットのy切片を決定するための、外挿補間による高さ較正構造のインピーダンスの測定を可能にする。
【0059】
他の例として、距離依存性のインピーダンスを測定するステップ250は、センシングチップ距離が既知のセンシングチップ距離である際に、実測インピーダンスの大きさを容量性変位センサで測定するステップを含むことができる。一例として、容量性変位センサ及び(プローブ14のような)プローブの各々を(プローブ支持体36のような)プローブ支持体によって支持して、センシングチップがプローブの(プローブチップ16のような)プローブチップよりも高さ較正構造の近くまで延びるようにすることができる。こうした例では、例えば容量性変位センサが高さ較正構造との接触に至る際に、既知のセンシングチップ距離を少なくともほぼ0にすることができる。しかし、このことは要件ではなく、既知のセンシングチップ距離が非ゼロであること、及び/または容量性変位センサを高さ較正構造に接触しないように構成することは、さらに本発明の範囲内である。一例として、容量性変位センサ及びプローブの各々をプローブ支持体によって支持して、プローブチップがセンシングチップよりも高さ較正構造の近くまで延びるようにすることができる。こうした例では、例えばプローブチップが高さ較正構造との接触に至る際に、既知のセンシングチップ距離は、法線軸に平行な方向に沿って測定したセンシングチップとプローブチップとの間の(オフセット量45のような)オフセット量にほぼ等しくすることができる。他の例では、既知のセンシングチップ距離を、例えば撮像装置で、及び/または干渉計測法のような外部基準測定法により直接測定することができる。
【0060】
こうした例では、全層のインピーダンスの大きさを計算するステップ230が、既知のセンシングチップ距離の所で測定した距離依存性のインピーダンスに少なくとも部分的に基づくことができる。即ち、こうした例では、高さ較正構造のインピーダンスを、(ステップ240で測定した)実測インピーダンスの大きさの比較により測定することができ、既知のセンシングチップ距離のギャップに対応する容量性インピーダンスを計算することができる。従って、実測インピーダンスの大きさと、既知のセンシングチップ距離に対応する計算したインピーダンスの大きさとの差は、高さ較正構造の全インピーダンスの大きさに相当し得る、及び/または等しくなり得る。
【0061】
一部の例では、プローブシステム10及び/または方法200が、容量性変位センサに関連するプローブチップと高さ較正構造との間の(プローブチップ変位46のような)プローブチップ変位の測定を促進することができる。具体的には、図3を引き続き参照すれば、方法200は、コントローラで、ステップ260で計算した構成した容量性高さ測定値に少なくとも部分的に基づいて、プローブチップ変位を測定するステップ270を含むことができる。
【0062】
一例として、説明したように、プローブチップを容量性変位センサのセンシングチップから、法線軸に平行な方向に沿って測定した少なくともほぼ固定のチップ・オフセット量だけ離間させることができる。従って、プローブチップがセンシングチップよりも高さ較正構造の近くまで延びる例では、プローブチップ変位を測定するステップ270が、較正した容量性高さ測定値からチップ・オフセット量を減算するステップを含むことができる。その代わりに、センシングチップがプローブチップよりも高さ較正構造の近くまで延びる例では、プローブチップ変位を測定するステップ270が、較正した容量性高さ測定値にチップ・オフセット量を加算するステップを含むことができる。一部の例では、チップ・オフセット量を既知の量とすることができ、例えば、容量性変位センサ及びプローブが属する(プローブ・アセンブリ30のような)プローブ・アセンブリの所定の構成に関係付けること、及び/またはこうした所定の構成によって測定することができる。他の例では、プローブチップ変位を測定するステップ270が、チップ・オフセット量を例えば撮像装置で測定するステップを含むことができる。
【0063】
図2のプローブシステム10及び図3の方法200を参照しながら、センシングチップ距離44の測定の一例が以下に続く。以下の例では、Aが、表面層122に平行な、及び/または法線軸12に垂直な平面内のセンシングチップ42の面積を表し、dがセンシングチップ距離44の値を表し、t1が表面層122の厚さを表し、t2が第1表面下層の厚さを表し、t3が第2表面下層の厚さを表し、t=t1+t2+t3が高さ較正構造120の全体の厚さを表す。本明細書中に用いる、プローブシステム10の構成要素を特性化するために用いる「厚さ」とは、一般に、法線軸12に平行な方向に沿った当該構成要素の範囲を参照する。本例の目的で、センシングチップ42が表面層122から、無限の電気抵抗率を有する真空の形態のギャップ48によって分離されているものと仮定する。本例の目的で、表面層122及び第2表面下層126の各々が電気抵抗率ρを有する導電性材料であり、第1表面下層125が相対誘電率εrを有する絶縁材料であることを追加的に仮定する。
【0064】
図2の例を参照すれば、高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップ210が、厚さt1、t2、t3、並びに第1表面層122及び第2表面下層126の各々の電気抵抗率ρ、及び第1表面下層125の相対誘電率εrを受信するステップを含むことができる。それに加えて、高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップ210は、センシングチップの表面積Aを受信するステップを含むことができる。
【0065】
図2の例を引き続き参照すれば、層インピーダンスの大きさを計算するステップ220が、各層の層抵抗を計算するステップ222及び/または各層の層リアクタンスを計算するステップ224を含むことができる。表面層122及び第2表面下層126の各々が導体であるので、表面層及び第2表面下層の各々の層インピーダンスの大きさは、各層の抵抗によって支配されるものと仮定する。従って、表面層122の層インピーダンスの大きさZ1
1=ρ11/A
のように計算することができ、第2表面下層126の層インピーダンスの大きさZ3
3=ρ33/A
のように計算することができる。第1表面下層125は絶縁体であるので、第1表面下層の層インピーダンスは第1表面下層の容量性リアクタンスによって支配されるものと仮定する。従って、第1表面下層125の層インピーダンスの大きさZ2
2=t2/(2πfεrε0A)
のように計算することができ、ここにfは第1表面下層に入る電気信号の周波数である。従って、全層のインピーダンスの大きさを計算するステップ230は、
【数4】
を計算するステップを含むことができる。この式を約せば
【数5】
のようになる。
【0066】
全層のインピーダンスの大きさを計算するステップ230に続いて、方法200を図2の例に適用することは、上述した実測インピーダンスの大きさZmeasを測定するステップ240、及び少なくとも部分的にZmeasに基づいて、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260をさらに含む。例えば、較正した容量性高さ測定値を計算するステップ260は、ギャップ・インピーダンスの大きさをZgap=Zmeas-Ztotのように計算するステップを含むことができる。次に、ギャップ・インピーダンスの大きさをセンシングチップ距離dに
d=Zgap2πfεrε0
のように関係付けることができ、ここにfは上記供給するステップ242で利用するAC励起電圧信号の励起周波数であり、εrはギャップを占める媒質の相対誘電率であり、Aは高さ較正構造に対面するセンシングチップの表面積である。
【0067】
図2の例を引き続き参照すれば、プローブ14のプローブチップ16が容量性変位センサ40のセンシングチップ42よりも高さ較正構造120の近くまで延びる。具体的には、図2の例では、センシングチップ距離44がプローブチップ変位46をチップ・オフセット量45だけ超える。従って、既知のチップ・オフセット量Δdが与えられれば、プローブチップ変位dpを測定するステップ270は、dp=d-Δdを計算するステップを含むことができる。
【0068】
本開示では、例示的で非排他的な例のいくつかを、方法を一連のブロックまたはステップとして示して説明する流れ図またはフローチャートに関連して説明及び/または提示してきた。それに伴う記載中に特に断りのない限り、これらのブロックの順序は、これらのブロック(またはステップ)のうちの2つ以上が異なる順序で、及び/または同時に発生することを含めて、流れ図中に示す順序から変化し得ることは、本発明の範囲内である。これらのブロックまたはステップを論理回路として実現することができることも本発明の範囲内であり、このことは、これらのブロックまたはステップを論理回路として実現するように記述することもできる。一部の用途では、これらのブロックまたはステップが、機能的に等価な回路または他の論理デバイスによって実現される数式及び/または動作を表すことができる。図示するブロックは、コンピュータ、プロセッサ、及び/または他の論理デバイスに、応答すること、動作を実行すること、状態を変化させること、出力または表示を発生すること、及び/または決定を行うことを実行させる実行可能な命令を表すことができるが、このことは要件ではない。
【0069】
本明細書中に説明するように、第1の実体と第2の実体との間に置かれる「及び/または」は、(1)第1の実体、(2)第2の実体、及び(3)第1の実体と第2の実体、のうちの1つを意味する。「及び/または」を伴って列挙される複数の実体も同じように考えるべきであり、即ち、そのように結合される実体のうちの「1つ以上」と考えるべきである。「及び/または」の箇条書きによって具体的に識別される実体以外の他の実体も、具体的に識別される実体と関係しても無関係でも、任意で存在することができる。従って、非限定的な例として、「A及び/またはB」の参照は、「具えている」のような上限のない文言と共に用いられる際には、一具体例ではAのみ(任意でB以外の実体を含む)、他の具体例ではBのみ(任意でA以外の実体を含む);さらに他の具体例ではA及びBの両方(任意で他の実体を含む)を参照し得る。これらの実体は、要素、動作、構造、ステップ、操作、値、等を参照することができる。
【0070】
本明細書中に用いる、1つ以上の実体のリストを参照する「少なくとも1つの」は、この実体のリスト中の任意の1つ以上の実体から選択した少なくとも1つの実体を意味するものと理解するべきであるが、必ずしも、この実体のリスト内に具体的に列挙されたありとあらゆる実体のうちの少なくとも1つを含むわけではなく、この実体のリスト中の実体の任意の組合せを排除しない。この定義は、「少なくとも1つの」が参照する実体のリスト内に具体的に識別される実体以外の実体が、具体的に識別される実体と関係があっても無関係でも、任意で存在し得ることも可能にする。従って、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも一方」(または等価的に「AまたはBの少なくとも一方」、あるいは等価的に「A及び/またはBの少なくとも一方」)は、一具体例では、少なくとも1つの、任意で2つ以上のA(Bはなし、任意でB以外の実体を含む);他の具体例では、少なくとも1つの、任意で2つ以上のB(Aはなし、任意でA以外の実体を含む);さらに他の具体例では、少なくとも1つの、任意で2つ以上のA、及び少なくとも1つの、任意で2つ以上のB(任意で他の実体を含む)を参照することができる。換言すれば、「少なくとも1つの」、「1つ以上の」、及び「及び/または」は上限のない表現であり、効力を有する際に接続語であると共に離接語である。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、及び「A、B、及び/またはC」という表現の各々は、A単独、B単独、C単独、AとBを合わせて、AとCを合わせて、BとCを合わせて、A、B、及びCを合わせて、及び任意で、上記のいずれかを少なくとも1つの他の実体と組み合わせて、を意味することができる。
【0071】
何らかの特許、特許出願、または他の参考文献が参照することによって本明細書に含まれ、本開示中の含まない部分、あるいは他の含まれる参考文献のいずれかと(1)矛盾する方法で用語を定義する、及び/または(2)さもなければ矛盾する場合には、本開示中の含まない部分が支配し、本開示中の用語または含まれる開示は、当該用語が定義される、及び/または含まれる開示が元々存在する参考文献のみについて支配する。
【0072】
本明細書中に用いる「適合される」及び「構成される」とは、要素、構成要素、または他の主体が所定の機能を実行するように設計されていること、及び/または所定の機能を実行することを意図されていることを意味する。従って、「適合される」及び「構成される」の使用は、所定の要素、構成要素、または他の主体が単に所定の機能を実行する「ことができる」ことを意味するものと考えるべきではなく、当該要素、構成要素、及び/または他の主体が、当該機能を実行する目的で選択、作出、実現、利用、プログラム、及び/または設計されていることを意味するものと考えるべきである。それに加えて、あるいはその代わりに、特定機能を実行するように適合されたものとして挙げられた要素、構成要素、及び/または他の主体を、当該機能を実行するように構成されたものとして記述することができ、その逆も成り立つことも、本発明の範囲内である。
【0073】
本明細書中に用いる、「例えば」、「一例として」、及び/または単に「例」とは、本発明による1つ以上の構成要素、特徴、細部、構造、具体例、及び/または方法を参照して用いる際には、記載した構成要素、特徴、細部、構造、具体例、及び/または方法が、本発明による構成要素、特徴、細部、構造、具体例、及び/または方法の例示的で非排他的な例を伝えることを意図している。従って、記載した構成要素、特徴、細部、構造、具体例、及び/または方法は、限定的であること、要件であること、あるいは排他的/網羅的であることは意図しておらず;他の構成要素、特徴、細部、構造、具体例、及び/または方法は、構造的及び/または機能的に同様及び/または等価な構成要素、特徴、細部、構造、具体例、及び/または方法を含めて、本発明の範囲内である。
【0074】
本発明によるプローブシステム及び方法の例示的で非排他的な例を、以下に列挙する段落に提示する:
【0075】
A1.プローブシステムを利用して、較正した容量性高さ測定値を生成す方法であって、このプローブシステムがプローブ支持体を有するプローブ・アセンブリを含み、このプローブ支持体はセンシングチップで終端する容量性変位センサを支持し、このセンシングチップは基板に対して離間した関係に位置決めされるように構成され、容量性変位センサは、基板からセンシングチップまでのセンシングチップ距離を少なくとも部分的に表す未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成され、この未較正の容量性高さ測定値は、任意で、基板に少なくともほぼ垂直に延びる法線軸に平行な方向に沿って測定され、この方法は:
コントローラで、基板の高さ較正構造の高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップであって、高さ較正構造アーキテクチャは、高さ較正構造の1つ以上の基板層に関する情報を含むステップと;
コントローラで、高さ較正構造アーキテクチャに少なとも部分的に基づいて、1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップと;
コントローラで、1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップに少なとも部分的に基づいて、高さ較正構造の全層のインピーダンスの大きさを計算するステップと;
容量性変位センサで、実測インピーダンスの大きさを測定するステップと;
コントローラで、全層のインピーダンスの大きさ及び実測インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、較正した容量性高さ測定値を計算するステップと
を含む方法。
【0076】
A2.段落1の方法であって、1つ以上の基板層が表面層及び1つ以上の表面下層を含む方法。
【0077】
A3.段落A1~A2のいずれかの方法であって、高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップが:
(i) 任意で上記法線軸に沿って測定した、1つ以上の基板層における各基板層の層厚さ;
(ii) 1つ以上の基板層における各基板層の電気抵抗率;
(iii) 1つ以上の基板層における各基板層の相対誘電率;及び
(iv) 任意で上記法線軸に垂直な平面内で測定した、高さ較正構造に対面するセンシングチップのセンシングチップ表面積
のうちの1つ以上を受信するステップを含む方法。
【0078】
A4.段落A1~A3のいずれかの方法であって、高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップが、ユーザ入力を受けるように構成されたユーザインタフェースを介して受信するステップを含む方法。
【0079】
A5.段落A4の方法であって、ユーザインタフェースが、モニタ、タッチスクリーン、キーボード、及びマウスのうちの1つ以上を含む方法。
【0080】
A6.段落A1~A5のいずれかの方法であって、1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップが、1つ以上の基板層における少なくとも1つの基板層の層抵抗を、各基板層の層厚さ及び各基板層の電気抵抗率の一方または両方に少なくとも部分的に基づいて計算するステップを含む方法。
【0081】
A7.段落A1~A6のいずれかの方法であって、1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップが、1つ以上の基板層における少なくとも1つの基板層の層リアクタンスを計算するステップを含み;層リアクタンスを計算するステップが、1つ以上の基板層における少なくとも1つの基板層の層静電容量を計算するステップを含み;層静電容量を計算するステップが、少なくとも1つの基板層における各基板層の層厚さ及び少なくとも1つの基板層における各基板層の相対誘電率の一方または両方に少なくとも部分的に基づく方法。
【0082】
A8.段落A7の方法であって、段落A6に従属する際に、1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップが、少なくとも1つの基板層の各々の層抵抗と層リアクタンスとを比較するステップを含む方法。
【0083】
A9.段落A8の方法であって、1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップが、少なくとも1つの基板層の各々のインピーダンスの大きさを、少なくとも1つの基板層の各々の層抵抗及び層リアクタンスのうちの小さい方として近似するステップを含む方法。
【0084】
A10.段落A1~A9のいずれかの方法であって、高さ較正構造の全層のインピーダンスの大きさを計算するステップが、1つ以上の基板層の各々の層インピーダンスの大きさをまとめて加算するステップを含む方法。
【0085】
A11.段落A1~A10のいずれかの方法であって、実測インピーダンスの大きさを測定するステップが、励起周波数の交流(AC)励起電圧信号をセンシングチップに供給するステップを含む方法。
【0086】
A12.段落A11の方法であって、実測インピーダンスの大きさを測定するステップが:
(i) 励起電圧信号に基づく応答電流信号を測定するステップと;
(ii) 実測インピーダンス信号の大きさを、励起電圧信号の大きさ及び応答電流信号の大きさの各々に少なくとも部分的に基づいて計算するステップと
を含む方法。
【0087】
A13.段落A1~A12のいずれかの方法であって、較正した容量性高さ測定値を計算するステップが:
(i) コントローラで、実測インピーダンスの大きさと全層のインピーダンスの大きさとの差に等しいギャップ・インピーダンスの大きさを計算するステップと;
(ii) コントローラで、ギャップ・インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、較正した容量性高さ測定値を計算するステップと
を含む方法。
【0088】
A14.段落A13の方法であって、較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、さらに、励起周波数に少なくとも部分的に基づく方法。
【0089】
A15.段落A1~A14のいずれかの方法であって、コントローラで、全層のインピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、高さ較正補正係数を計算するステップをさらに含み、較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、高さ較正補正係数に少なくとも部分的に基づく方法。
【0090】
A16.段落A15の方法であって、較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、未較正の容量性高さ測定値と高さ較正補正係数との差を計算するステップを含む方法。
【0091】
A17.段落A1~A16のいずれかの方法であって、容量性変位センサで、距離依存性のインピーダンスを測定するステップをさらに含み;距離依存性のインピーダンスを測定するステップが:
(i) センシングチップ距離が変化する間に、実測インピーダンスの大きさを測定するステップ;及び
(ii) 既知のセンシングチップ距離における実測インピーダンスの大きさを測定するステップ;
の一方または両方を含み、
較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、距離依存性のインピーダンスに少なくとも部分的に基づく方法。
【0092】
A18.段落A17の方法であって、既知のセンシングチップ距離が少なくともほぼ0である方法。
【0093】
A19.段落A17の方法であって、既知のセンシングチップ距離が非ゼロである方法。
【0094】
A20.段落A17~A19のいずれかの方法であって、高さ較正構造の全層のインピーダンスを計算するステップが、距離依存性のインピーダンスに少なくとも部分的に基づく方法。
【0095】
A21.段落A1~A20のいずれかの方法であって、プローブシステムが、基板からプローブチップ変位だけ離間したプローブチップを有するプローブをさらに含み、プローブチップ変位は、任意で、法線軸に平行な方向に沿って測定され、上記方法が、コントローラで、較正した容量性高さ測定値に少なくとも部分的に基づいて、プローブチップ変位を測定するステップを含む方法。
【0096】
A22.段落A21の方法であって、プローブチップがセンシングチップからチップ・オフセット量だけ離間し、チップ・オフセット量は、任意で、法線軸に平行な方向に沿って測定され、チップ・オフセット量は少なくともほぼ固定であり、プローブチップ変位を測定するステップが:
(i) 較正した容量性高さ測定値にチップ・オフセット量を加算するステップ;及び
(ii) 較正した容量性高さ測定値からチップ・オフセット量を減算するステップ;
のうちの一方を含む方法。
【0097】
A23.段落A22の方法であって、プローブチップ変位を測定するステップが、任意で撮像装置で、チップ・オフセット量を測定するステップを含む方法。
【0098】
B1.1つ以上の被試験デバイス(DUT)を含む基板を支持するように構成されたチャック支持面を有するチャックと;
1つ以上のDUTを試験するように構成されたプローブ・アセンブリと;
段落A1~A23のいずれかの方法によりプローブシステムの動作を制御するようにプログラムされたコントローラとを具えたプローブシステムであって、
プローブ・アセンブリが:
(i) プローブ支持体と;
(ii) プローブ支持体によって動作可能な様式で支持される1つ以上のプローブと;
(iii) プローブ支持体によって支持される容量性変位センサとを含み、
1つ以上のプローブの各々が、1つ以上のDUTにおける対応するDUTを試験するように構成され、
容量性変位センサがセンシングチップで終端し、センシングチップは基板に対して離間して位置決めされるように構成され;容量性変位センサが未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成され、未較正の容量性高さ測定値は、基板からセンシングチップまでのセンシングチップ距離を少なくとも部分的に表し、センシングチップ距離は、任意で、基板に少なくともほぼ垂直に延びる法線軸に平行な方向に沿って測定されるプローブシステム。
【0099】
B2.段落B1のプローブシステムであって、各プローブが、プローブシステムの動作状態での使用中に基板に対面するプローブチップを含み、プローブ支持体が、センシングチップ及びプローブチップを互いに対して少なくとも実質的に固定されて維持するように構成され、これにより、プローブシステムの動作状態での使用中に、チップ・オフセット量が少なくとも実質的に固定され、チップ・オフセット量は、任意で、法線軸に平行な方向に沿って測定されるプローブシステム。
【0100】
B3.段落B2のプローブシステムであって、プローブシステムが、プローブチップと基板との間のプローブチップ変位を測定するように構成され、プローブチップ変位は、任意で、法線軸に平行な方向に沿って測定されるプローブシステム。
【0101】
B4.段落B1~B3のいずれかのプローブシステムであって、各プローブがファイバチップを含む光ファイバを含み;各光ファイバが、ファイバチップを通して、光信号をDUTへ送信すること及び光信号をDUTから受信することのうちの一方または両方を行うように構成されているプローブシステム。
【0102】
B5.段落B4のプローブシステムであって、光ファイバがDUTの光カプラを介してDUTと相互作用するように構成されているプローブシステム。
【0103】
B6.段落B5のプローブシステムであって、光カプラが格子カプラ及び導波路のうちの1つ以上を含むプローブシステム。
【0104】
B7.段落B1~B6のいずれかのプローブシステムであって、プローブ・アセンブリがプローブ・ポジショナを含み、プローブ・ポジショナは、動作可能な様式でプローブ支持体に結合され、プローブ支持体を基板に対して選択的に位置決めするように構成されているプローブシステム。
【0105】
B8.段落B7のプローブシステムであって、ファイバチップが対応する光カプラに少なくとも実質的に位置合わせされるように、プローブ・ポジショナがプローブ支持体を位置決めするように構成されているプローブシステム。
【0106】
B9.段落B7~B8のいずれかのプローブシステムであって、コントローラが、プローブ・ポジショナ制御信号を発生し送信して、プローブ・ポジショナを選択的に制御するように構成されているプローブシステム。
【0107】
B10.段落B7~B9のいずれかのプローブシステムであって、プローブ・ポジショナをチャックに対して支持するプラテンをさらに具えているプローブシステム。
【0108】
B11.段落B1~B10のいずれかのプローブシステムであって、チャック平行移動ステージをさらに具え、チャック平行移動ステージは、チャックを動作可能な様式で支持し、チャックを選択的かつ動作可能な様式でプローブ・アセンブリの少なくとも一部分に対して平行移動させるように構成されているプローブシステム。
【0109】
B12.段落B11のプローブシステムであって、コントローラが、平行移動ステージ制御信号を発生し送信して、チャック平行移動ステージを選択的に制御するように構成されているプローブシステム。
【0110】
B13.段落B1~B12のいずれかのプローブシステムであって、1つ以上の撮像装置をさらに具え、この撮像装置が:
(i) プローブ・アセンブリの少なくとも一部分;及び
(ii) 基板の少なくとも一部分
のうちの一方または両方の光学像を受けるように構成されているプローブシステム。
【0111】
B14.段落B13のプローブシステムであって、1つ以上の撮像装置のうちの少なくとも1つの撮像装置が、法線軸に少なくともほぼ平行な方向に沿って光学像を受けるように構成されているプローブシステム。
【0112】
B15.段落B13~B14のいずれかのプローブシステムであって、1つ以上の撮像装置のうちの少なくとも1つの撮像装置が、法線軸に少なくともほぼ垂直な方向に沿って光学像を受けるように構成されているプローブシステム。
【0113】
B16.段落B13~B15のいずれかのプローブシステムであって、1つ以上の撮像装置における各撮像装置が、顕微鏡、接眼レンズを含む顕微鏡、接眼レンズを含まない顕微鏡、カメラ、電荷結合素子、イメージセンサ、固体撮像デバイス、C-MOS撮像デバイス、及びレンズのうちの1つ以上を含むプローブシステム。
【0114】
B17.段落B1~B16のいずれかのプローブシステムであって、信号発生兼分析アセンブリをさらに具え、信号発生兼分析アセンブリは:
(i) 試験信号を発生すること;
(ii) 試験信号をプローブ経由でDUTに供給すること;
(iii) 結果信号をプローブ経由でDUTから受信すること;及び
(iv) 結果信号を分析すること
のうちの1つ以上を行うように構成されているプローブシステム。
【0115】
B18.段落B17のプローブシステムであって、コントローラが信号発生兼分析アセンブリを含むプローブシステム。
【0116】
B19.段落B1~B18のいずれかのプローブシステムであって、容量性変位センサが、センシングチップを少なくともほぼ円形に包囲するガード電極を含み、容量性変位センサは、当該容量性変位センサの動作状態での使用中に、ガード電圧をガード電極に供給して、未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成され、プローブ・アセンブリが、当該プローブ・アセンブリの動作状態での使用中に、ガード電極を少なくとも部分的に無効化してDUTを試験するように構成されているプローブシステム。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本明細書中に開示するプローブシステム及び方法は、半導体の製造産業及び試験産業に適用可能である。
【0118】
以上に説明する開示は、独立した実用性を有する複数の個別の発明を包含するものと確信される。これらの発明の各々は、その好適な形態で開示してきたが、本明細書中に開示し図示するその具体的な実施形態は、限定的意味で考えるべきでない、というのは非常に多数の変形例が可能であるからである。本発明の主題は、本明細書中に開示する種々の要素、特徴、機能、及び/または特性の新規で非自明な組合せ及びサブコンビネーション(副次的組合せ)のすべてを含む。同様に、請求項が「1つの」または「第1の」要素またはその等価物を記載する場合、こうした請求項は、1つ以上のこうした要素の包含を含むものと理解するべきであり、2つ以上のこうした要素を要求も排除もしない。
【0119】
以下の特許請求の範囲は、開示する発明のうちの1つに指向し、新規で非自明な特定の組合せ及びサブコンビネーションを具体的に指摘するものと確信する。特徴、機能、要素、及び/または特性の他の組合せ及びサブコンビネーションの形で実現される発明は、本特許請求の範囲の補正、あるいは本願または関連出願中の新たな請求項の提示により特許請求することがある。こうした補正または新たな請求項は、異なる発明に指向していても同じ発明に指向していても、その範囲が元の特許請求の範囲と異なっても、元の特許請求の範囲より広くても、元の特許請求の範囲より狭くても、あるいは元の特許請求の範囲と同等でも、本開示の発明の主題に含まれるものと考える。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-09-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブシステムを利用して、較正した容量性高さ測定値を生成する方法であって、該プローブシステムがプローブ支持体を有するプローブ・アセンブリを含み、該プローブ支持体はセンシングチップで終端する容量性変位センサを支持し、該センシングチップは基板に対して離間した関係に位置決めされるように構成され、前記容量性変位センサは、前記基板から前記センシングチップまでのセンシングチップ距離を少なくとも部分的に表す未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成されている方法において、
コントローラで、前記基板の高さ較正構造の高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップであって、該高さ較正構造アーキテクチャは、該高さ較正構造の1つ以上の基板層に関する情報を含むステップと、
前記コントローラで、前記高さ較正構造アーキテクチャに少なくとも部分的に基づいて、前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスの大きさを計算するステップと、
前記コントローラで、前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスを計算するステップに少なくとも部分的に基づいて、前記高さ較正構造の全層のインピーダンスの大きさを計算するステップと、
前記容量性変位センサで、実測インピーダンスの大きさを測定するステップと、
前記コントローラで、前記全層のインピーダンスの大きさ及び前記実測インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記1つ以上の基板層が、表面層及び1つ以上の表面下層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップが、
(i) 前記1つ以上の基板層における各基板層の層厚さ、
(ii) 前記1つ以上の基板層における各基板層の電気抵抗率、
(iii) 前記1つ以上の基板層における各基板層の相対誘電率、及び
(iv) 前記高さ較正構造に対面する前記センシングチップのセンシングチップ表面積
のうちの1つ以上を受信するステップを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記高さ較正構造アーキテクチャを受信するステップが、ユーザ入力を受けるように構成されたユーザインタフェースを介して受信するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスを計算するステップが、前記1つ以上の基板層における少なくとも1つの前記基板層の層抵抗を、前記基板層の各々の層厚さ及び前記基板層の各々の電気抵抗率の一方または両方に少なくとも部分的に基づいて計算するステップを含む、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスを計算するステップが、前記1つ以上の基板層における少なくとも1つの前記基板層の層リアクタンスを計算するステップを含み、該層リアクタンスを計算するステップが、前記1つ以上の基板層における少なくとも1つの前記基板層の層静電容量を計算するステップを含み、該層静電容量を計算するステップが、前記少なくとも1つの基板層における前記基板層の各々の層厚さ及び前記少なくとも1つの基板層における前記基板層の各々の相対誘電率の一方または両方に少なくとも部分的に基づくステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ以上の基板層における各基板層の層インピーダンスを計算するステップが、
(i) 少なくとも1つの前記基板層の各々の前記層抵抗と前記層リアクタンスとを比較するステップと、
(ii) 前記少なくとも1つの基板層の各々の前記層インピーダンスの大きさを、前記少なくとも1つの基板層の各々の前記層抵抗及び前記層リアクタンスのうちの小さい方として近似するステップと
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記高さ較正構造の全層のインピーダンスを計算するステップが、前記1つ以上の基板層の各々の前記層インピーダンスの大きさをまとめて加算するステップを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記実測インピーダンスの大きさを測定するステップが、励起周波数の交流(AC)励起電圧信号を前記センシングチップに供給するステップを含む、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記実測インピーダンスの大きさを測定するステップが、
(i) 前記励起電圧信号に基づく応答電流信号を測定するステップと、
(ii) 前記励起電圧信号の大きさ及び前記応答電流信号の大きさの各々に少なくとも部分的に基づいて、前記実測インピーダンス信号の大きさを計算するステップと
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、
(i) 前記コントローラで、前記実測インピーダンスの大きさと前記全層のインピーダンスの大きさとの差に等しいギャップ・インピーダンスの大きさを計算するステップと、
(ii) 前記コントローラで、前記ギャップ・インピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップと
を含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記コントローラで、前記全層のインピーダンスの大きさに少なくとも部分的に基づいて、高さ較正補正係数を計算するステップをさらに含み、前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、前記高さ較正補正係数に少なくとも部分的に基づく、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、前記未較正の容量性高さ測定値と前記高さ較正補正係数との差を計算するステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記容量性変位センサで、距離依存性のインピーダンスを測定するステップをさらに含み、該距離依存性のインピーダンスを測定するステップが、
(i) 前記センシングチップ距離が変化する間に、前記実測インピーダンスの大きさを測定するステップ、及び
(ii) 既知のセンシングチップ距離における前記実測インピーダンスの大きさを測定するステップ
の一方または両方を含み、
前記較正した容量性高さ測定値を計算するステップが、前記距離依存性のインピーダンスに少なくとも部分的に基づく、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記既知のセンシングチップ距離が非ゼロである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記高さ較正構造の前記全層のインピーダンスの大きさを計算するステップが、前記距離依存性のインピーダンスに少なくとも部分的に基づく、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記プローブシステムが、前記基板からプローブチップ変位だけ離間したプローブチップを有するプローブをさらに含み、前記方法が、前記コントローラで、前記較正した容量性高さ測定値に少なくとも部分的に基づいて、前記プローブチップ変位を測定するステップを含む、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記プローブチップが前記センシングチップからチップ・オフセット量だけ離間し、該チップ・オフセット量は、前記基板にほぼ垂直に延びる法線軸に平行な方向に沿って測定され、該チップ・オフセット量は少なくともほぼ固定であり、前記プローブチップ変位を測定するステップが:、
(i) 前記較正した容量性高さ測定値に前記チップ・オフセット量を加算するステップ、及び
(ii) 前記較正した容量性高さ測定値から前記チップ・オフセット量を減算するステップ
の一方を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記プローブチップ変位を測定するステップが、前記チップ・オフセット量を撮像装置で測定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
1つ以上の被試験デバイス(DUT)を含む基板を支持するように構成されたチャック支持面を有するチャックと、
前記1つ以上のDUTを試験するように構成されたプローブ・アセンブリと、
コントローラとを具えたプローブシステムであって、該コントローラは、請求項1~19のいずれかに記載の方法により該プローブシステムの動作を制御するようにプログラムされたプローブシステムにおいて、
前記プローブ・アセンブリが、
(i) プローブ支持体と、
(ii) 前記プローブ支持体によって動作可能な様式で支持される1つ以上のプローブと、
(iii) 前記プローブ支持体によって支持される容量性変位センサとを含み、
前記1つ以上のプローブの各々が、前記1つ以上のDUTにおける対応するDUTを試験するように構成され、
前記容量性変位センサがセンシングチップで終端し、該センシングチップは前記基板に対して離間して位置決めされるように構成され、前記容量性変位センサが未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成され、該未較正の容量性高さ測定値は、前記基板から前記センシングチップまでのセンシングチップ距離を少なくとも部分的に表すプローブシステム。
【請求項21】
前記容量性変位センサが、前記センシングチップを少なくともほぼ円形に包囲するガード電極を含み、前記容量性変位センサは、当該容量性変位センサの動作状態での使用中に、前記ガード電圧を前記ガード電極に供給して、前記未較正の容量性高さ測定値を生成するように構成され、前記プローブ・アセンブリが、当該プローブ・アセンブリの動作状態での使用中に、前記ガード電極を少なくとも部分的に無効化して前記DUTを試験するように構成されている、請求項20に記載のプローブシステム
【請求項22】
前記プローブの各々が、前記プローブシステムの動作状態での使用中に前記基板に対面するプローブチップを含み、前記プローブ支持体が、前記センシングチップ及び前記プローブチップを互いに対して少なくとも実質的に固定されて維持するように構成され、これにより、前記プローブシステムの動作状態での使用中に、前記チップ・オフセット量が少なくとも実質的に固定され、前記チップ・オフセット量は、前記基板に少なくともほぼ垂直に延びる法線軸に平行な方向に沿って測定される、請求項20または21に記載のプローブシステム。
【請求項23】
前記プローブの各々が、ファイバチップを含む光ファイバを含み、該光ファイバの各々が、前記ファイバチップを通して、光信号を前記DUTへ送信すること及び該光信号を前記DUTから受信することのうちの一方または両方を行うように構成されている、請求項20~22のいずれかに記載のプローブシステム。
【請求項24】
前記光ファイバが、前記DUTの光カプラを介して前記DUTと相互作用するように構成されている、請求項23に記載のプローブシステム。
【請求項25】
前記光カプラが格子カプラ及び導波路のうちの1つ以上を含む、請求項24に記載のプローブシステム。
【請求項26】
前記プローブ・アセンブリがプローブ・ポジショナを含み、該プローブ・ポジショナは、動作可能な様式で前記プローブ支持体に結合され、前記プローブ支持体を前記基板に対して選択的に位置決めするように構成されている、請求項20~25のいずれかに記載のプローブシステム。
【請求項27】
前記ファイバチップが対応する前記光カプラに少なくとも実質的に位置合わせされるように、前記プローブ・ポジショナが前記プローブ支持体を位置決めするように構成されている、請求項26に記載のプローブシステム。
【請求項28】
1つ以上の撮像装置をさらに具え、該撮像装置が、
(i) 前記プローブ・アセンブリの少なくとも一部分、及び
(ii) 前記基板の少なくとも一部分
のうちの一方または両方の光学像を受けるように構成されている、請求項20~27のいずれかに記載のプローブシステム。
【請求項29】
前記1つ以上の撮像装置における各撮像装置が、
(i) 前記基板に少なくともほぼ垂直に延びる法線軸に少なくともほぼ平行な方向、及び
(ii) 前記法線軸に少なくともほぼ垂直な方向
のうちの一方に沿って前記光学像を受けるように構成されている、請求項28に記載のプローブシステム。
【請求項30】
信号発生兼分析アセンブリをさらに具え、該信号発生兼分析アセンブリは、
(i) 試験信号を発生すること、
(ii) 前記試験信号を前記プローブ経由で前記DUTに供給すること、
(iii) 結果信号を前記プローブ経由で前記DUTから受信すること、及び
(iv) 前記結果信号を分析すること
のうちの1つ以上を行うように構成されている、請求項20~29のいずれかに記載のプローブシステム。
【請求項31】
前記コントローラが前記信号発生兼分析アセンブリを含む、請求項30に記載のプローブシステム。
【国際調査報告】