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特表2022-516593セッション推奨方法、装置及び電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(54)【発明の名称】セッション推奨方法、装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06N 3/04 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
G06N3/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021516397
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(85)【翻訳文提出日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2020095120
(87)【国際公開番号】W WO2021114590
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】201911252600.6
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516262169
【氏名又は名称】北京百度網訊科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Baidu Netcom Science Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】2/F Baidu Campus,No.10, Shangdi 10th Street, Haidian District, Beijing 100085, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】何 天健
(72)【発明者】
【氏名】劉 毅
(72)【発明者】
【氏名】董 大祥
(72)【発明者】
【氏名】馬 艶軍
(72)【発明者】
【氏名】于 佃海
(57)【要約】
本開示は、セッション推奨方法、装置及び電子機器を開示し、グラフニューラルネットワークの技術分野に係る。前記セッション推奨方法において、セッション制御シーケンスを取得し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの埋め込みベクトルに基づいて、第1埋め込みベクトル行列を取得するステップと、前記セッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて位置情報シーケンスを生成し、前記位置情報シーケンス内の各位置情報の埋め込みベクトルに基づいて、第2埋め込みベクトル行列を取得するステップと、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定するステップと、前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、グラフニューラルネットワークのセッション推奨モデルSR-GNNを用いて推奨アイテムを特定するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セッション制御シーケンスを取得し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの埋め込みベクトルに基づいて、第1埋め込みベクトル行列を取得することと、
前記セッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて位置情報シーケンスを生成し、前記位置情報シーケンス内の各位置情報の埋め込みベクトルに基づいて、第2埋め込みベクトル行列を取得することと、
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定することと、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、SR-GNN(Session-based Recommendation Graph Neural Network)を用いて推奨アイテムを特定することとを含む、セッション推奨方法。
【請求項2】
前記の前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定することは、
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得ること、又は、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを連結してターゲット埋め込みベクトル行列を得ることを含み、ここで、前記ターゲット埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元は、前記第1埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元の2倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セッション制御シーケンスにはn個のアイテムが含まれ、前記位置情報シーケンスには、それぞれ前記n個のアイテムに対応するn個の位置情報が含まれ、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が先のアイテムほど対応する位置情報の値が大きく、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が後のアイテムほど対応する位置情報の値が小さい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記の前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、SR-GNNを用いて推奨アイテムを特定することは、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合の各アイテムのトリガ確率を得、ここで、前記アイテム集合は少なくとも前記セッション制御シーケンス内のアイテムを含む、各アイテムのトリガ確率を得ることと、
前記各アイテムのトリガ確率の数値の大小に基づいてアイテム推奨リストを特定することとを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記の前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合の各アイテムのトリガ確率を得ることは、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの推奨スコア値を得ることと、
前記推奨スコア値から、softmax関数を用いて前記セッション制御シーケンス内の各アイテムのトリガ確率を算出することとを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アイテムの埋め込みベクトルは、第1埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定され、前記位置情報の埋め込みベクトルは、第2埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
セッション制御シーケンスを取得し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの埋め込みベクトルに基づいて、第1埋め込みベクトル行列を取得する取得モジュールと、
前記セッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて位置情報シーケンスを生成し、前記位置情報シーケンス内の各位置情報の埋め込みベクトルに基づいて、第2埋め込みベクトル行列を取得する生成モジュールと、
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定する第1特定モジュールと、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、SR-GNNを用いて推奨アイテムを特定する第2特定モジュールとを含む、セッション推奨装置。
【請求項8】
前記第1特定モジュールは、具体的には、
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得ること、又は、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを連結してターゲット埋め込みベクトル行列を得ることに用いられ、ここで、前記ターゲット埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元は、前記第1埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元の2倍である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記セッション制御シーケンスにはn個のアイテムが含まれ、前記位置情報シーケンスには、それぞれ前記n個のアイテムに対応するn個の位置情報が含まれ、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が先のアイテムほど対応する位置情報の値が大きく、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が後のアイテムほど対応する位置情報の値が小さい、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2特定モジュールは、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合の各アイテムのトリガ確率を得、前記アイテム集合は少なくとも前記セッション制御シーケンス内のアイテムを含む、処理ユニットと、
前記各アイテムのトリガ確率の数値の大小に基づいてアイテム推奨リストを特定する特定ユニットとを含む、請求項7~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記処理ユニットは、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの推奨スコア値を得る第1算出サブユニットと、
前記推奨スコア値から、softmax関数を用いて前記セッション制御シーケンス内の各アイテムのトリガ確率を算出する第2計算サブユニットとを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記アイテムの埋め込みベクトルは、第1埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定され、前記位置情報の埋め込みベクトルは、第2埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定される、請求項7に記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサと通信するように接続されたメモリとを含む電子機器であって、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるコマンドが記憶され、
前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることによって、前記少なくとも1つのプロセッサは、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実行可能である、電子機器。
【請求項14】
コンピュータコマンドが記憶されている非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータコマンドは、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法をコンピュータに実行させる、コンピュータコマンドが記憶されている非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年12月9日に中国特許庁に提出された中国特許出願201911252600.6の優先権を主張し、その全ての内容が援用によりここに取り込まれる。
本開示は、コンピュータ技術のグラフニューラルネットワークの技術分野に係り、特にセッション推奨方法、装置及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
グラフニューラルネットワークに基づくセッション推奨SR-GNN(Session-based Recommendation Graph Neural Network)技術では、各セッション制御(Session)が有向グラフとしてモデル化され、このグラフにおいて各ノード(node)が1つのアイテム(item)を表す。各nodeのベクトルは、そのnodeに対応するitemの埋め込みベクトルを表すものであり、各Sessionは、有向グラフにおけるnodeのベクトル表現に基づいて、1つの埋め込み(embedding)ベクトルとしてモデル化することができ、その埋め込みベクトルから各候補itemの確率値を特定し、それにより、ユーザが後続で選択する可能性のあるitemを推奨することができる。
【0003】
従来技術では、Sessionをモデル化する際に、1つの有向グラフが複数のSessionシーケンスに対応する場合がある。従来技術のSR-GNNでは、1つの有向グラフに対応する全てのSessionシーケンスを同一のSessionシーケンスとみなして解析を行っているため、SR-GNNの推奨結果の精度が低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施例は、従来技術のSR-GNNにおける推奨結果の精度が低いという問題を解決するために、セッション推奨方法、装置及び電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様として、本開示の1つの実施例は、セッション推奨方法を提供し、該方法は、セッション制御シーケンスを取得し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの埋め込みベクトルに基づいて、第1埋め込みベクトル行列を取得することと、
前記セッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて位置情報シーケンスを生成し、前記位置情報シーケンス内の各位置情報の埋め込みベクトルに基づいて、第2埋め込みベクトル行列を取得することと、
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定することと、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、SR-GNN(Session-based Recommendation Graph Neural Network)を用いて推奨アイテムを特定することとを含む。
【0006】
上記出願の1つの実施例は、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させることができるという利点又は効果を有する。セッション制御シーケンスにおける各アイテムの並び順に対応する位置情報を生成し、位置情報の埋め込みベクトル行列と、対応するアイテムの埋め込みベクトル行列とからターゲット埋め込みベクトル行列を得ることで、同一のベクトルグラフに対応する複数のターゲット埋め込みベクトル行列を区別することができ、同一のベクトルグラフに対応する複数の埋め込みベクトル行列を同一の埋め込みベクトル行列とみなすことでSR-GNNによるアイテム推奨の精度が低いという不都合を回避し、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させるという効果を奏する。
【0007】
選択的に、前記の前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定することは、
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得ること、又は、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを連結してターゲット埋め込みベクトル行列を得ることを含み、ここで、前記ターゲット埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元は、前記第1埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元の2倍である。
【0008】
第1埋め込みベクトル行列と第2埋め込みベクトル行列とを加算又は連結する方式で処理することによって、第2埋め込みベクトル行列における位置情報の埋め込みベクトルから各アイテムの埋め込みベクトルを変更することができ、しかも位置情報シーケンスがセッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて生成されるため、得られるターゲット埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルをその位置に関連させ、異なる位置のアイテムを区別する役割を果たし、更に同一のベクトルグラフに対応する複数のターゲット埋め込みベクトル行列を互いに異なるものにし、更に異なる複数のターゲット埋め込みベクトル行列をそれぞれ分析することによって、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させる。
【0009】
選択的に、前記セッション制御シーケンスにはn個のアイテムが含まれ、前記位置情報シーケンスには、それぞれ前記n個のアイテムに対応するn個の位置情報が含まれ、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が先のアイテムほど対応する位置情報の値が大きく、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が後のアイテムほど対応する位置情報の値が小さい。
【0010】
位置情報シーケンスにおけるn個の位置情報を逓減していく数値とすることで、セッション制御シーケンス内の各アイテムを異なる数値の位置情報に対応させることができ、各アイテムの埋め込みベクトルを異なる位置情報の埋め込みベクトルに対応させることができ、加算過程でセッション制御シーケンス内の異なる位置に並ぶアイテムを区別することができ、同一のベクトルグラフに対応する複数のターゲット埋め込みベクトル行列を区別する効果を奏し、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させる。
【0011】
選択的に、前記の前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、SR-GNNを用いて推奨アイテムを特定することは、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合の各アイテムのトリガ確率を得、ここで、前記アイテム集合は少なくとも前記セッション制御シーケンス内のアイテムを含む、各アイテムのトリガ確率を得ることと、
前記各アイテムのトリガ確率の数値の大小に基づいてアイテム推奨リストを特定することとを含む。
【0012】
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合における各アイテムのトリガ確率を得て、ここで、前記アイテム集合は、少なくとも前記セッション制御シーケンス内のアイテムを含む。そして、前記各アイテムのトリガ確率の数値の大小に基づいてアイテム推奨リストを特定する。それによって、アイテム推奨リストでユーザが次に選択する可能性のある前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合が推奨され得、セッション制御シーケンス内のアイテムのみが推奨されることを避け、セッション推奨方法の全般性を向上させる効果を奏する。
【0013】
選択的に、前記の前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合の各アイテムのトリガ確率を得ることは、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの推奨スコア値を得ることと、
前記推奨スコア値から、softmax関数を用いて前記セッション制御シーケンス内の各アイテムのトリガ確率を算出することとを含む。
【0014】
SR-GNNで算出した推奨スコア値をsoftmax関数で更に計算して、各アイテムがユーザにクリックされるトリガ確率を得て、該トリガ確率に基づいて得られる推奨アイテムをより正確なものにする。
【0015】
選択的に、前記アイテムの埋め込みベクトルは、第1埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定され、前記位置情報の埋め込みベクトルは、第2埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定される。
【0016】
アイテムの埋め込みベクトルと位置情報の埋め込みベクトルが異なる埋め込みルックアップテーブルから問い合わせて得られるようにすることによって、第1埋め込みベクトル行列と第2埋め込みベクトル行列の同期によって同一のベクトルグラフが複数のターゲット埋め込みベクトル行列に対応することを避けることができ、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させる。
【0017】
上記出願の1つの実施例は、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させることができるという利点又は効果を有する。セッション制御シーケンスにおける各アイテムの並び順に対応する位置情報を生成し、位置情報の埋め込みベクトル行列と、対応するアイテムの埋め込みベクトル行列とからターゲット埋め込みベクトル行列を得ることで、同一のベクトルグラフに対応する複数のターゲット埋め込みベクトル行列を区別することができ、同一のベクトルグラフに対応する複数の埋め込みベクトル行列を同一の埋め込みベクトル行列とみなすことでSR-GNNによるアイテム推奨の精度が低いという不都合を回避し、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させるという効果を奏する。
【0018】
第2態様として、本開示の1つの実施例は、セッション推奨装置を提供し、該装置は、セッション制御シーケンスを取得し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの埋め込みベクトルに基づいて、第1埋め込みベクトル行列を取得する取得モジュールと、
前記セッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて位置情報シーケンスを生成し、前記位置情報シーケンス内の各位置情報の埋め込みベクトルに基づいて、第2埋め込みベクトル行列を取得する生成モジュールと、
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定する第1特定モジュールと、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、SR-GNNを用いて推奨アイテムを特定する第2特定モジュールとを含む。
【0019】
選択的に、前記第1特定モジュールは、具体的には、
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得ること、又は、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを連結してターゲット埋め込みベクトル行列を得ることに用いられ、ここで、前記ターゲット埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元は、前記第1埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元の2倍である。
【0020】
選択的に、前記セッション制御シーケンスにはn個のアイテムが含まれ、前記位置情報シーケンスには、それぞれ前記n個のアイテムに対応するn個の位置情報が含まれ、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が先のアイテムほど対応する位置情報の値が大きく、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が後のアイテムほど対応する位置情報の値が小さい。
【0021】
選択的に、前記第2特定モジュールは、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合の各アイテムのトリガ確率を得、前記アイテム集合は少なくとも前記セッション制御シーケンス内のアイテムを含む、処理ユニットと、
前記各アイテムのトリガ確率の数値の大小に基づいてアイテム推奨リストを特定する特定ユニットとを含む。
【0022】
選択的に、前記処理ユニットは、
前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの推奨スコア値を得る第1算出サブユニットと、
前記推奨スコア値から、softmax関数を用いて前記セッション制御シーケンス内の各アイテムのトリガ確率を算出する第2計算サブユニットとを含む。
【0023】
選択的に、前記アイテムの埋め込みベクトルは、第1埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定され、前記位置情報の埋め込みベクトルは、第2埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定される。
【0024】
第3態様として、本開示の1つの実施例は、少なくとも1つのプロセッサと、前記少なくとも1つのプロセッサと通信するように接続されたメモリとを含む電子機器を提供し、前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されるコマンドが記憶され、前記コマンドが前記少なくとも1つのプロセッサによって実行されることによって、前記少なくとも1つのプロセッサは、本開示の各実施例に係る方法を実行可能である。
【0025】
第4態様として、本開示の1つの実施例は、本開示の各実施例に係る方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータコマンドが記憶されている非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図面は、本構成をよりよく理解するためのものであり、本願の限定にならない。
【0027】
図1】本開示の1つの実施例に係るセッション推奨方法のフローチャートである。
図2】本開示の1つの実施例に係るセッション制御シーケンスの有向グラフの概略図である。
図3】本開示の別の実施例に係るセッション制御シーケンスの有向グラフの概略図である。
図4】本開示の別の実施例に係るセッション推奨方法のフローチャートである。
図5】本開示の実施例に係るセッション推奨方法を実現するためのセッション推奨装置のブロック図である。
図6】本開示の実施例に係るセッション推奨方法を実現可能な電子機器のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本開示の例示的な実施例を説明し、理解することに寄与する本開示の実施例の様々な詳細が含まれるが、それらは、単に例示的なものであると考えるべきである。よって、当業者にとって、ここに記載の実施例に対し、本開示の範囲や趣旨から逸脱することなく様々な変更や修正を行うことができることを認識すべきである。同様に、明確及び簡潔のために、以下の記載では、既知の機能や構造の記載を省略している。
【0029】
図1に示すように、本開示の実施例によれば、本開示は、セッション推奨方法を提供し、以下のステップを含む。
【0030】
S101において、セッション制御シーケンスを取得し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの埋め込みベクトルに基づいて第1埋め込みベクトル行列を取得する。
【0031】
ここで、セッション制御シーケンス(Session)は、ユーザが行う一連の操作であり、例えば、ショッピングサイト上で複数の商品を順次クリックする。この一連の操作は、順次並ぶアイテムシーケンス、即ち、セッション制御シーケンスとして抽象化され、且つセッション制御シーケンスにおいてユーザの各操作ノード(node)が1つのアイテム(item)に対応する。セッション推奨プロセスでは、各セッション制御シーケンスは、有向グラフとしてモデル化され、このグラフにおいて各nodeが1つのitemを表す。有向グラフの各辺は、このSessionにおいて、ユーザが始点及び終点表現のitemを順次クリックしたことを意味する。
【0032】
例えば、図2に示すように、ユーザが商品v1、v2、v3、v2、v4を順次クリックすると、そのSessionにより構築されるベクトルグラフは、図2に示すようになる。
【0033】
各Sessionのグラフ表現において、各itemは、統一されたembedding空間に埋め込まれ、各itemの隠れベクトルを各nodeのベクトルで示す。各Sessionは、図中のnodeのベクトル表現に基づいて、1つのembeddingベクトルとしてモデル化することができる。具体的な実施において、各itemの埋め込みベクトル(隠れベクトル又はembedding vectorとも呼ばれる)表現は、グラフニューラルネットワークGNNを用いて特定することができる。例えば、GNNネットワークにSessionを入力し、該SessionがS=[V_(S,1),V_(S,2),…,V_(S,n)]と表される場合、該Session内の重複しないitemはn個があり、[V_1,V_2,…,V_n ]として示され、GNNネットワークからV∈R^(n*d)行列を出力し、該行列内のi番目の行は、V_iの埋め込みベクトルを表し、ここで、dは、埋め込みベクトルの次元を表し、Rは、実数を表す。
【0034】
S102において、前記セッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて位置情報シーケンスを生成し、前記位置情報シーケンス内の各位置情報の埋め込みベクトルに基づいて、第2埋め込みベクトル行列を取得する。
【0035】
ここで、位置情報シーケンスは、セッション制御シーケンスにおけるn個のアイテムに1対1に対応するn個の位置情報を含み、あるアイテムに対応する1つの位置情報は、セッション制御シーケンスにおけるそのアイテムの配列位置を示すために用いられる。例えば、Session=[s1,s2,…,sn]では、位置情報シーケンスは、(n-1,n-2,…,0)であり、nは、Sessionにおけるitemの数である。具体的な実施において、itemの埋め込みベクトルを特定した後、itemの位置情報に対してembeddingの問い合わせをして、各itemの位置情報の埋め込みベクトルを得て、第2埋め込みベクトル行列を得る。なお、アイテムの埋め込みベクトルは、第1埋め込みルックアップテーブル(即ち、第1embeddingルックアップテーブル)に基づいて特定され、位置情報の埋め込みベクトルは、第2埋め込みルックアップテーブル(即ち、第2embeddingルックアップテーブル)に基づいて特定されるので、それによって、位置情報のembeddingルックアップテーブルとitemのembeddingルックアップテーブルとが異なるようにする。
【0036】
なお、具体的な実施において、位置情報は、上記のように値が順次減少する実数をとるものの他、Transformer(エンコーダ)で提案されている正余弦方式の位置情報方式のような他の値をとるものであってもよい。
【0037】
S103において、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定する。
【0038】
具体的な実施において、第1埋め込みベクトル行列と第2埋め込みベクトル行列を加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得るが、もちろん、第1埋め込みベクトル行列と第2埋め込みベクトル行列を連結することによってターゲット埋め込みベクトル行列を得ることもでき、第2埋め込みベクトル行列によって、第1埋め込みベクトル行列における各itemの埋め込みベクトルが、Sessionにおけるその配置位置に関連付けられることが保証さればよく、ここでは特に限定しない。
【0039】
第1埋め込みベクトル行列と第2埋め込みベクトル行列とを加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得る第1実施形態では、具体的には、第1埋め込みベクトル行列と第2埋め込みベクトル行列との行列加算結果をターゲット埋め込みベクトル行列とする。第1埋め込みベクトル行列と第2埋め込みベクトル行列とを連結してターゲット埋め込みベクトル行列を得る第2実施形態では、第1埋め込みベクトル行列の各行が1つのitemの埋め込みベクトルを示す場合、第2埋め込みベクトル行列を第1埋め込みベクトル行列の右側に連結する。例えば、1個のSessionにn個のitemが含まれ、各itemの埋め込みベクトルの次元がmである場合、第1埋め込みベクトル行列は、n×mの行列であり、第2埋め込みベクトル行列も、n×mの行列であり、第2埋め込みベクトル行列を第1埋め込みベクトル行列の右側に連結してn×2mの行列を得て、各itemに対応するターゲット埋め込みベクトルの次元は、2mである。
【0040】
前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列に基づいてターゲット埋め込みベクトル行列を特定することで、異なるSessionを区別することができ、同一のベクトルグラフに対応する複数のSessionを同一のSessionとみなして後の解析処理に用いる場合に推奨結果の精度が低いという問題を回避することができる。例えば、図3に示す有向グラフは、(1,2,3,2,4,2)及び(1,2,4,2,3,2)の2つのSessionシーケンスに対応する。これは、2つの異なるシーケンスに対して、従来技術においてトレーニング段階と予測段階のいずれでもSR-GNNでは2つの異なるシーケンスを同一のSessionとみなして処理してしまうことを意味し、推奨結果の制度が低い。実際、所定の有向グラフについては、その対応するすべてのSessionシーケンスは、その有向グラフのすべての可能なオイラー経路である。
【0041】
S104において、前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、SR-GNNを用いて推奨アイテムを特定する。
【0042】
具体的な実施において、ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNN計算モデルに入力することにより、SR-GNN計算モデルに各アイテムの推奨スコアを算出させ、softmax関数と既に求められている推奨スコア値を用いて、異なるアイテムの確率値、即ち、ユーザが次にクリックする可能性のあるアイテムの確率を算出し、各アイテムがクリックされる確率値に基づいてアイテムを推奨し、例えば、クリックされる確率値が最も高い1つ又は複数のアイテムを推奨する。
【0043】
上記出願の1つの実施例は、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させることができるという利点又は効果を有する。セッション制御シーケンスにおける各アイテムの並び順に対応する位置情報を生成し、位置情報の埋め込みベクトル行列と、対応するアイテムの埋め込みベクトル行列とからターゲット埋め込みベクトル行列を得ることで、同一のベクトルグラフに対応する複数のターゲット埋め込みベクトル行列を区別することができ、同一のベクトルグラフに対応する複数の埋め込みベクトル行列を同一の埋め込みベクトル行列とみなすことでSR-GNNによるアイテム推奨の精度が低いという不都合を回避し、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させるという効果を奏する。
【0044】
図4に示すように、本開示の実施例によれば、本開示は、他のセッション推奨方法を提供し、以下のステップを含む。
【0045】
S401において、セッション制御シーケンスを取得し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの埋め込みベクトルに基づいて第1埋め込みベクトル行列を取得する。
【0046】
S402において、前記セッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて位置情報シーケンスを生成し、前記位置情報シーケンス内の各位置情報の埋め込みベクトルに基づいて、第2埋め込みベクトル行列を取得する。
【0047】
具体的な実施において、前記セッション制御シーケンスにn個のアイテムが含まれ、前記位置情報シーケンスには、それぞれ前記n個のアイテムに対応するn個の位置情報が含まれる。
【0048】
S403において、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列を加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得る。
【0049】
選択的な実施形態として、前記n個の位置情報は、逓減するように配列されたn個の実数である。この実施形態では、前記セッション制御シーケンスにおける並び順が先のアイテムほど、対応する位置情報の値が大きく、且つ前記セッション制御シーケンスにおける並び順が後のアイテムほど、対応する位置情報の値が小さい。よって、セッション制御シーケンスの各位置におけるアイテムは、異なる位置情報の値に対応するようにする。かつ、異なる値をとる位置情報は、埋め込み層の問い合わせによって得られる埋め込みベクトルも互いに異なる。それによって、セッション制御シーケンスにおける各アイテムの並び位置を区別できる第2埋め込みベクトル行列を得ることができる。第1埋め込みベクトル行列と第2埋め込みベクトル行列とを加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得ることにより、同一のベクトルグラフに対応する複数のターゲット埋め込みベクトル行列を、互いに異なるものとすることができる。更に、その後の分析計算過程において、それぞれを解析することで、SR-GNNの解析結果の精度を向上させる。
【0050】
位置情報シーケンスにおけるn個の位置情報を逓減していく数値とすることで、セッション制御シーケンス内の各アイテムを異なる数値の位置情報に対応させることができ、各アイテムの埋め込みベクトルを異なる位置情報の埋め込みベクトルに対応させることができ、加算過程でセッション制御シーケンス内の異なる位置に並ぶアイテムを区別することができ、同一のベクトルグラフに対応する複数のターゲット埋め込みベクトル行列を区別する効果を奏し、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させる。
【0051】
S404において、前記埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合の各アイテムのトリガ確率を得る。ここで、前記アイテム集合は、少なくとも前記セッション制御シーケンス内のアイテムを含む。
【0052】
具体的な実施において、アイテム集合には、セッション制御シーケンスに含まれていない他のアイテムを含む可能性もある。例えば、オンラインショッピングモールに100個の商品を有し、ユーザがその中の10個の商品のみをクリックする場合、前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理すると、100個の商品のトリガ確率が出力される。ここで、上記アイテムのトリガ確率は、ユーザが次にその商品をクリックする確率値として理解される。
【0053】
S405において、前記各アイテムのトリガー確率の数値の大小に基づいてアイテム推奨リストを特定する。
【0054】
具体的な実施において、トリガー確率値が最大となる上位5件又は上位10件などの任意の数のアイテムをアイテム推奨リストで推奨してもよいし、トリガー確率がある所定の確率値よりも大きいアイテムをアイテム推奨リストで推奨してもよい。
【0055】
上記実施形態をDigineticaデータセット及びYoochooseデータセットを用いて検証した結果は、以下の通りである。
テストセット上のP@20指標値の比較を以下の表1に示す。
【表1】
【0056】
なお、上記テスト過程では、SR-GNNとSR-GNN-PEのハイパーパラメータを全てアライメントし、かつ5回のテストを行った後に平均値をとったものである。また、SR-GNNのP@20指標値は、位置情報シーケンスを採用していないSR-GNNの推奨結果のP@20指標値を示し、SR-GNN-PEのP@20指標値は、位置情報シーケンスを採用したSR-GNNの推奨結果のP@20指標値を示し、P@20指標値が高いほど、テスト結果の精度が高いことを示す。
【0057】
上記表から明らかなように、位置情報を付加することにより、SR-GNNの推奨結果の精度が格段に向上する。
【0058】
ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、アイテム集合における各アイテムのトリガ確率を得て、各アイテムのトリガ確率の数値の大小に基づいてアイテム推奨リストを特定し、ユーザが次に選択する可能性のある1つ又は複数のアイテムをアイテム推奨リストで推奨することができ、セッション制御シーケンス内のアイテムのみを推奨することを回避し、セッション推奨方法の全般性を向上させる効果を奏する。
【0059】
図5に示すように、1つの実施例において、本開示は、セッション推奨装置500を更に提供する。該装置は、セッション制御シーケンスを取得し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの埋め込みベクトルに基づいて、第1埋め込みベクトル行列を取得する取得モジュール501と、前記セッション制御シーケンス内のアイテムの並び順に基づいて位置情報シーケンスを生成し、前記位置情報シーケンス内の各位置情報の埋め込みベクトルに基づいて、第2埋め込みベクトル行列を取得する生成モジュール502と、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とに基づいて、ターゲット埋め込みベクトル行列を特定する第1特定モジュール503と、前記ターゲット埋め込みベクトル行列に基づいて、グラフニューラルネットワークのセッション推奨モデルSR-GNNを用いて推奨アイテムを特定する第2特定モジュール504とを含む。
【0060】
1つの実施例において、前記第1特定モジュールは、具体的には、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを加算してターゲット埋め込みベクトル行列を得る。
【0061】
1つの実施例において、前記第1特定モジュールは、具体的には、前記第1埋め込みベクトル行列と前記第2埋め込みベクトル行列とを連結してターゲット埋め込みベクトル行列を得る。ここで、前記ターゲット埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元は、前記第1埋め込みベクトル行列において各アイテムに対応する埋め込みベクトルの次元の2倍である。
【0062】
更に、前記セッション制御シーケンスにはn個のアイテムが含まれ、前記位置情報シーケンスには、それぞれ前記n個のアイテムに対応するn個の位置情報が含まれ、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が先のアイテムほど対応する位置情報の値が大きく、且つ前記セッション制御シーケンスにおいて並び順が後のアイテムほど対応する位置情報の値が小さい。
【0063】
1つの実施例において、第2特定モジュール504は、前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力して処理し、前記セッション制御シーケンスに関連するアイテム集合の各アイテムのトリガ確率を得、前記アイテム集合は少なくとも前記セッション制御シーケンス内のアイテムを含む、処理ユニットと、
前記各アイテムのトリガ確率の数値の大小に基づいてアイテム推奨リストを特定する特定ユニットとを含む。
【0064】
更に、前記処理ユニットは、前記ターゲット埋め込みベクトル行列をSR-GNNに入力し、前記セッション制御シーケンス内の各アイテムの推奨スコア値を得る第1算出サブユニットと、
前記推奨スコア値から、softmax関数を用いて前記セッション制御シーケンス内の各アイテムのトリガ確率を算出する第2計算サブユニットとを含む。
【0065】
1つの実施形態において、前記アイテムの埋め込みベクトルは、第1埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定され、前記位置情報の埋め込みベクトルは、第2埋め込みルックアップテーブルに基づいて特定される。
【0066】
上記各実施例のセッション推奨装置は、上記各実施例のセッション推奨方法を実現する装置であり、技術的特徴が対応し、技術的効果が対応するので、ここでその説明を省略する。
【0067】
本開示の実施例に基づいて、本開示は、電子機器及び読み取り可能な記憶媒体を更に提供する。
【0068】
図6に示すように、本願の実施例のセッション推奨方法に係る電子機器のブロック図である。電子機器は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ワークステーション、携帯情報端末、サーバ、ブレードサーバ、メインフレームコンピュータ、及び他の適切なコンピュータなどの様々な形態のデジタルコンピュータを表すことが意図される。電子機器はまた、パーソナルデジタルプロセシング、セルラー電話、スマートフォン、ウェアラブルデバイス、及び他の同様のコンピューティングデバイスなど、様々な形態のモバイルデバイスを表してもよい。本明細書に示される構成要素、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、単なる例であり、本明細書に記載及び/又は特許請求される本願の実現を限定することを意図しない。
【0069】
図6に示すように、該電子機器は、1又は複数のプロセッサ601、メモリ602、及び高速インターフェースと低速インターフェースを含む、各構成要素を接続するためのインターフェースを含む。各構成要素は、異なるバスで相互に接続され、共通のマザーボード上に実装されてもよいし、必要に応じて他の形態で実装されてもよい。プロセッサは、インターフェースに結合されたディスプレイデバイスなどの外部入出力装置にGUIのグラフィカル情報を表示するために、メモリ内又はメモリ上に記憶されたコマンドを含む、電子機器内で実行されるコマンドを処理することができる。他の実施形態では、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスが、必要に応じて、複数のメモリとともに使用される。また、複数の電子機器が接続され、各機器が必要な動作の一部を提供するようにしてもよい(例えば、サーバアレイ、ブレードサーバの集合、マルチプロセッサシステムなど)。図6では、1つのプロセッサ601を例にとっている。
【0070】
メモリ602は、本開示に係る非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。ここで、前記メモリは、少なくとも1つのプロセッサによって実行されるコマンドが記憶されている。それによって、前記少なくとも1つのプロセッサは、本開示に係るセッション推奨方法を実行する。本開示の非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本開示に係るセッション推奨方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータコマンドを記憶する。
【0071】
非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体としてのメモリ602は、本開示の実施例に係るセッション推奨方法に対応するプログラムコマンド/モジュール(例えば、図5に示す生成モジュール501、第1特定もモジュール502、及び第2特定モジュール503)などの非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能プログラム及びモジュールなどを記憶するために使用される。プロセッサ601は、メモリ602に記憶された非一時的ソフトウェアプログラム、コマンド及びモジュールを実行することにより、サーバの各種機能アプリケーションやデータ処理を実行し、即ち、上記方法の実施例に係るセッション方法を実現する。
【0072】
メモリ602は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションを記憶することができるプログラム記憶領域と、セッション推奨に係る電子機器の使用に応じて作成されたデータなどを記憶することができるデータ記憶領域とを含む。また、メモリ602は、高速ランダムアクセスメモリを含んでもよく、また、少なくとも1つの磁気ディスクメモリデバイス、フラッシュメモリデバイス、又は他の非一時的ソリッドステートメモリデバイスなどの非一時的メモリを含んでもよい。一部の実施形態では、メモリ602は、選択的に、プロセッサ601に対して遠隔に配置されたメモリを含む。これらの遠隔メモリは、ネットワークを介してセッション推奨に係る電子装置に接続される。上記ネットワークの例としては、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、移動体通信ネットワーク、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0073】
セッション推奨方法に係る電子機器は、入力装置603と出力装置604とを更に含んでもよい。プロセッサ601、メモリ602、入力装置603及び出力装置604は、バス又は他の方式で接続され、図6では、バスを介して接続される例が示される。
【0074】
タッチスクリーン、キーパッド、マウス、トラックパッド、タッチパッド、ポインティングスティック、1つ又は複数のマウスボタン、トラックボール、ジョイスティックなどの入力装置603は、入力された数字又は文字情報を受信し、セッション推奨に係る電子機器のユーザ設定及び機能制御に関するキー信号入力を生じる。出力装置604は、ディスプレイ装置、補助照明装置(例えば、LED)、及び触覚フィードバック装置(例えば、振動モータ)などを含む。該表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、及びプラズマディスプレイを含むが、これらに限定されない。一部の実施形態では、表示装置は、タッチスクリーンであってもよい。
【0075】
本明細書に記載するシステム及び技術の様々な実施形態は、デジタル電子回路システム、集積回路システム、特定用途向けASIC(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実現される。これらの様々な実施形態は、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及びコマンドを受信し、該記憶システム、該少なくとも1つの入力装置、及び該少なくとも1つの出力装置にデータ及びコマンドを送信することができる専用又は汎用のプログラマブルプロセッサである少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行及び/又は解釈可能な1つ又は複数のコンピュータプログラムで実現することを含む。
【0076】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとも呼ばれる)は、プラグラマブルプロセッサの機械コマンドを含み、これらのコンピュータプログラムは、高レベルのプロセス及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械言語で実現される。本明細書で使用される場合、用語「機械読み取り可能な媒体」及び「コンピュータ読み取り可能な媒体」は、機械読み取り可能な信号として機械コマンドを受信する機械読み取り可能な媒体を含む、プラグラマブルプロセッサに機械コマンド及び/又はデータを提供するための任意のコンピュータプログラム製品、デバイス、及び/又は装置(例えば、磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、プログラム可能論理デバイス(PLD))を指す。用語「機械読み取り可能な信号」は、機械コマンド及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意の信号を指す。
【0077】
ユーザとの対話を提供するために、本明細書に記載されたシステム及び技術は、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)と、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)とを有するコンピュータ上で実施される。他の種類の装置を使用して、ユーザとの対話を提供してもよい。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であってもよい。ユーザからの入力は、音入力、音声入力、又は触覚入力を含む任意の形態で受信される。
【0078】
本明細書に記載のシステム及び技術は、バックエンド構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、データサーバとして)、又はミドルウェア構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンド構成要素を含むコンピューティングシステム(例えば、ユーザが本明細書に記載のシステム及び技術の実施形態と相互作用するグラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するユーザコンピュータ)、又はそのようなバックエンド構成要素、ミドルウェア構成要素、又はフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムにおいて実施される。システムの構成要素は、任意の形式又は媒体(例えば、通信ネットワーク)のデジタルデータ通信によって互いに接続される。通信ネットワークとしては、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットなどが挙げられる。
【0079】
コンピュータシステムは、クライアント及びサーバを含む。クライアント及びサーバは、一般に、互いから離れており、通常、通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行され、互いにクライアント-サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって生成される。
【0080】
本開示の実施例の技術手段によれば、セッション制御シーケンスにおける各アイテムの並び順に対応する位置情報を生成し、位置情報の埋め込みベクトル行列と、対応するアイテムの埋め込みベクトル行列とからターゲット埋め込みベクトル行列を得ることで、同一のベクトルグラフに対応する複数のターゲット埋め込みベクトル行列を区別することができ、同一のベクトルグラフに対応する複数の埋め込みベクトル行列を同一の埋め込みベクトル行列とみなすことでSR-GNNによるアイテム推奨の精度が低いという不都合を回避し、SR-GNNによるアイテム推奨の精度を向上させるという効果を奏する。
【0081】
上記に示された様々な形態のフローが、ステップの順序変更、追加、又は削除のために使用されることが理解されるべきである。例えば、本開示に開示された技術的解決手段の所望の結果を実現できる限り、本開示に記載された各ステップは、並列に実行されても、順次的に実行されても、異なる順序で実行されてもよく、本明細書ではこれについて限定しない。
【0082】
上述した具体的な実施形態は、本開示の保護範囲への制限にならない。当業者にとって、設計の要求や他の要素によって様々な修正、組み合わせ、サブ組み合わせ及び置換を行うことができることは、明らかである。本開示の趣旨や原則内に為した修正、均等置換及び改良などは、すべて本開示の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-03-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
非一時的コンピュータ読み取り可能な記憶媒体としてのメモリ602は、本開示の実施例に係るセッション推奨方法に対応するプログラムコマンド/モジュール(例えば、図5に示す生成モジュール502、第1特定もモジュール503、及び第2特定モジュール504)などの非一時的なソフトウェアプログラム、非一時的なコンピュータ実行可能プログラム及びモジュールなどを記憶するために使用される。プロセッサ601は、メモリ602に記憶された非一時的ソフトウェアプログラム、コマンド及びモジュールを実行することにより、サーバの各種機能アプリケーションやデータ処理を実行し、即ち、上記方法の実施例に係るセッション推奨方法を実現する。
【国際調査報告】