(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(54)【発明の名称】ファスナを備えた中空のピボットピンを有するベーンポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 15/00 20060101AFI20220221BHJP
F04C 2/344 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
F04C15/00 E
F04C15/00 K
F04C2/344 331D
F04C2/344 331C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021537706
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 IB2019060050
(87)【国際公開番号】W WO2020136471
(87)【国際公開日】2020-07-02
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515188420
【氏名又は名称】スタックポール インターナショナル エンジニアード プロダクツ,リミテッド.
【氏名又は名称原語表記】STACKPOLE INTERNATIONAL ENGINEERED PRODUCTS, LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】シー, リクシア
【テーマコード(参考)】
3H040
3H044
【Fターム(参考)】
3H040AA03
3H040BB01
3H040CC16
3H040DD03
3H040DD06
3H044AA02
3H044BB05
3H044CC14
3H044DD03
3H044DD04
3H044DD35
(57)【要約】
ハウジングと、ハウジング内部に装着された中空部分を有するピボットピンと、出口を通るポンプの排出量を調節するために第1のスライド位置と第2のスライド位置との間でハウジング内部においてピボットピンを中心として変位可能な制御スライドと、カバーであって、制御スライドがハウジングおよびカバーに対してピボットピンを中心として回転するように、ピボットピンを通過するファスナを介してハウジングに取り付けられた、カバーと、を含む、ベーンポンプが開示される。ある実施例では、ファスナは、エンジンマウントまで通過する。ピボットピンは、中空部分を通る流体通路を作り出さない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーンポンプであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内部に装着された中空部分を有する管状ピボットピンと、
出口を通る前記ポンプの排出量を調節するために第1のスライド位置と第2のスライド位置との間で前記ハウジング内部において変位するように前記ピボットピンに装着された制御スライドと、
前記ピボットピンを通過するファスナを介して前記ハウジングに取り付けられたカバーと、を含み、
前記ピボットピンは、前記中空部分を通る流体通路を作り出さない、ベーンポンプ。
【請求項2】
前記制御スライドの第1の側における制御チャンバと、
前記ハウジングと前記制御スライドとの間にある、前記制御スライドの第2の側における第2のチャンバと、をさらに含み、
前記第2のチャンバおよび前記制御チャンバは、前記ピボットピンの周囲で流体的に接続されない、請求項1に記載のベーンポンプ。
【請求項3】
前記ファスナは、前記ハウジング、前記ピボットピンの前記中空部分、および前記カバーを通過して、前記ポンプの構成要素間の取り付け部を作り出すボルトである、請求項1に記載のベーンポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、主題が参照により全体として本明細書に組み込まれる、2018年12月28日に出願された米国仮特許出願第62/785,960号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、概してベーンポンプに関する。さらに具体的には、本開示は、ベーンポンプのピボットピンおよび組み立てに関する。
【背景技術】
【0003】
ベーンポンプは、自動車の油などの流体または潤滑剤をポンピングするのに使用されることが知られている。ベーンポンプは、ハウジング内部で偏心して装着されたロータに対して半径方向に動くベーンを含む。ロータおよびベーンの動きは、1つまたは複数の制御チャンバ容積を作り出し、その内部において、流体は、加圧され、さらにポンプの出口を通って排出され得る。ベーンポンプは、潤滑剤を動かすための単一の制御チャンバまたは2つの制御チャンバを含み得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示のある態様は、ベーンポンプを提供し、これは、ハウジングと、ハウジング内部に装着された中空部分を有するピボットピンと、出口を通るポンプの排出量を調節するために第1のスライド位置と第2のスライド位置との間でハウジング内部においてピボットピンを中心として変位可能な制御スライドと、カバーであって、制御スライドがハウジングおよびカバーに対してピボットピンを中心として回転するように、ピボットピンを通過するファスナを介してハウジングに取り付けられた、カバーと、を含む。ピボットピンは、中空部分を通る流体通路を作り出さない。
【0005】
本開示の他の態様および特徴は、以下の詳細な説明、添付図面、および添付の特許請求の範囲から明らかとなるであろう。
【0006】
本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成する添付図面は、1つまたは複数の実施形態を例示し、明細書の記載と共に、これらの実施形態を説明する。添付図面は、必ずしも一定の尺度で描かれているわけではない。添付のグラフおよび図面に例示された寸法のいかなる値も、例示を目的とするのみであり、実際のまたは好ましい値または寸法を表している場合も、表していない場合もある。適用可能な場合、いくつかの特徴またはすべての特徴は、下にある特徴の説明を助けるために例示されない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】本開示のある実施形態によるベーンポンプの第1の斜視図である。
【0008】
【
図1B】本開示のある実施形態によるベーンポンプの第2の斜視図である。
【0009】
【
図2】本開示のある実施形態による、
図1Aおよび
図1Bのベーンポンプの分解組立図である。
【0010】
【
図3】本開示のある実施形態による、カバーが取り外され制御スライドの配置を示している、ベーンポンプの図である。
【0011】
【
図4】本開示のある実施形態による、エンジンブロックへのボルトの組み立てを示す、ベーンポンプの投影図である。
【0012】
【
図5A】本開示のある実施形態による、カバーから見た場合の投影図である。
【0013】
【0014】
【
図6A】本開示のある実施形態によるベーンポンプの、それぞれ、上面図、正面図、底面図、および側面図などのさまざまな投影図である。
【
図6B】本開示のある実施形態によるベーンポンプの、それぞれ、上面図、正面図、底面図、および側面図などのさまざまな投影図である。
【
図6C】本開示のある実施形態によるベーンポンプの、それぞれ、上面図、正面図、底面図、および側面図などのさまざまな投影図である。
【
図6D】本開示のある実施形態によるベーンポンプの、それぞれ、上面図、正面図、底面図、および側面図などのさまざまな投影図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付図面に関連して以下に述べる明細書の記載は、開示される主題のさまざまな実施形態の説明であることが意図されており、必ずしも唯一の実施形態を表すことを意図していない。場合によっては、明細書の記載は、開示される実施形態の理解を提供する目的で、具体的な詳細を含む。しかしながら、開示される実施形態は、それらの具体的な詳細なしで実施され得ることが、当業者には明らかであろう。ある場合には、周知の構造および構成要素は、開示される主題の概念を曖昧にするのを回避するために、ブロック図の形態で示され得る。
【0016】
明細書全体にわたる「1つの実施形態」または「ある実施形態」への言及は、ある実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、開示される主題の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、明細書全体にわたるさまざまな場所に語句「1つの実施形態では」または「ある実施形態では」が出現しても、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせられ得る。さらに、開示される主題の実施形態は、その改変および変形例をカバーすることが意図されている。
【0017】
本明細書で使用され得る「内側」、「外側」などといった用語は、基準点を記載するに過ぎず、必ずしも本開示の実施形態を、任意の特定の向きまたは構成に制限するわけではないことが理解される。さらに、「第1の」、「第2の」、「第3の」などといった用語は、本明細書に開示されるようないくつかの部分、構成要素、ステップ、動作、機能、および/または基準点のうちの1つを特定するに過ぎず、同様に、必ずしも本開示の実施形態を、任意の特定の構成もしくは向き、またはそれぞれの数が含まれなければならないという任意の要件に制限するわけではない。
【0018】
図1Aおよび
図1Bは、本開示のある実施形態におけるベーンポンプ100の(ハウジング側から見た場合の)第1の斜視図、および(カバー側から見た場合の)第2の斜視図である。ある実施形態では、ベーンポンプ100は、多数のチャンバを有する可変ベーンポンプである。ベーンポンプ100は、ハウジング12と、ハウジング12に取り付けられたカバー2と、を有する。カバー2は、例えば、カバー2およびハウジング12の周囲に沿って設けられたさまざまなファスナボアに挿入されたファスナ26および27を介して、ハウジング12に取り付けられる。ベーンポンプ100のいくつかの内部構成要素(例えば、
図2に示すベーン7、ロータ5、ピボットピン4など)は、ハウジング12とカバー2との間に封入される。ベーンポンプ100は、ハウジング12内部に収容された弁コントローラ18をさらに含む。ベーンポンプ100の内部構成要素は、
図1Aおよび
図1Bでは見えないが、
図2のベーンポンプ100の分解組立図には示されている。
【0019】
(例えば、
図1A~
図1Bおよび
図2における)ハウジング12は、流体をハウジング12内に受け取るための入口28と、加圧流体をシステム、例えばエンジンに排出または送達するための出口29と、を有する。ハウジング12は、任意の材料で作られてよく、アルミダイキャスト、鋳鉄、または任意の他の既知の製造技術によって形成され得る。ハウジング12は、ハウジング12と(
図3に示す)制御スライド25との間に第1の制御チャンバ126および場合によっては第2のチャンバ127などの内部チャンバを封入して、第2のチャンバ127を介して加圧流体または通気圧力(vent pressure)を選択的に受け取ることができる。ある実施形態では、第1の制御チャンバ126および第2のチャンバ127は、(
図2および
図3に示す)ピボットピン4の両側にあり、互いから隔離されている。第1のチャンバ126は、常にフィードバック圧力を有し、第2のチャンバ127は、弁コントローラ18に応じて、圧力を有するか、または通気されていてよい。言い換えれば、第1のチャンバ126および第2のチャンバ127は、ピボットピン4の周囲で流体的に接続されていない。第1の制御チャンバ126は、加圧流体を受け取り、制御スライド25を動かして、ロータ5に対するその偏心度を低減させて、ポンプの排出量を減少させる。別のチャンバ128が、ポンプの出口部分および出口に接続されて、これは、例えば、排出油(outlet oil)がスライド25の上および/または下を通過することを可能にする。さらに別のチャンバ124が、入口に接続され、チャンバ126、127からの漏れを制限するのを助ける。ハウジング12は、ポンプの第1のチャンバ126から加圧流体を送達するように構成され得る、弁コントローラ18を収容するためのチャンバを含み得る。弁コントローラ18は、クリップ19を介してハウジング12に接続され得る。
【0020】
カバー2は、任意の材料で作られてよく、アルミダイキャスト、粉末金属成形、鍛造、または任意の他の所望の製造技術によって形成され得る。ガスケットまたは他のシールが、カバー2とハウジング12の周壁との間にオプションとして設けられて、内部チャンバをシールすることができる。ハウジング12およびカバー2は、制御スライド25の動きおよびシール係合に対応するためのさまざまな表面(例えば、
図2のスライドシール14およびスライドシール支持体13)を含む。
【0021】
図2は、カバー2とハウジング12との間に配されるポンプの内部構成要素を示す、ベーンポンプ100の分解組立図である。例えば、内部構成要素は、(例えば、カバー2およびハウジング12などの構成要素の整列のための)ダウエルピン3、制御スライド25に連結されるピボットピン4、ロータ5、ロータ5の両側における2つのベーンリング6、複数のベーン7(まとめてベーン7と呼ぶ)、スライドシール支持体13およびスライドシール14と共に組み立てられる制御スライド25、バネ15、ならびに、リリーフボール11、リリーフバネ10、カッププラグ9、およびサークリップ8を含む、リリーフ機構を含む。
【0022】
図2および
図3を参照すると、制御スライド25は、ハウジング12内部で、カバー2に対して変位可能である。例えば、制御スライド25は、出口を通るベーンポンプ100の排出量を調節するために、第1のスライド位置、中立/デフォルト位置、および第2のスライド位置を占めることができる。ある実施形態では、制御スライド25は、(例えば、ピボットピン4の周囲に)旋回可能に装着され、第1のスライド位置と第2のスライド位置との間で(例えば、その中立位置から最小変位位置まで)ハウジング12内部において旋回して変位するように構成される。さらに具体的には、これは、第1のスライド位置から離れた任意の数の位置を含み得、1つの実施形態ではスライドが最小変位位置に近い場合を含み得るか、または、最小変位位置とすることができる。制御スライド25は、ハウジング12内部において第1の制御チャンバ126および第2の制御チャンバ127に対して旋回可能に装着され得る。
【0023】
第1の制御チャンバ126は、ピボットピン4の片側に設けられた、制御スライド25の第1の側に関連して、ハウジング12内に設けられ、第2のチャンバ127は、ピボットピン4のもう一方の側に設けられた、制御スライド25の反対の第2の側に設けられる。ある実施形態では、チャンバ126および127は、互いから隔離されており、互いと(例えば、流体的に)連通しない。チャンバ126および127は、互いに接続されておらず、チャンバ127は入口に接続される。加圧潤滑剤からの力の正の圧力が、制御チャンバ126に加えられるか、または供給され得、これは、スライド25をその第2のスライド位置(または第2の旋回方向)に向かって第1の方向とは反対の第2の方向に動かして、ポンプ出力流を減少させる(すなわち、偏心度を低減させることによる)。その圧力は、ポンプの出口側または外部システムからフィードバックされ得る。
【0024】
具体的には、制御スライド25が旋回する、ある実施形態では、ピボットピン4または類似の特徴部は、制御スライド25の旋回動作をガイドするように設けられ得る。ある実施形態では、ピボットピン4は、ハウジング12およびカバー2に回転可能に装着され得、制御スライド25は、ピボットピンに固定され得、そのため、ピボットピン4、また、その結果、制御スライド25は、カバー2およびハウジング12内で自由に旋回または回転することができる。ハウジング12内での制御スライド25の旋回接続の構成は、制限されていない。ある実施形態では、制御スライド25は、軸に沿って旋回するようにピボットピン4に回転固定される。さらに具体的には、ある実施形態では、ピボットピン4は、制御スライド25の開口部内部に圧入されるように設計される。ピボットピン4の外側表面は、例えば、制御スライド25の表面と連結され、かつ/またはこれと接触していてよい。
【0025】
ある実施形態では、ピボットピン4は、ハウジング12およびカバー2に対して(例えば、圧入によって)固定され得、制御スライド25は、ピボットピン4を中心として自由に回転することができる。
【0026】
(
図2、
図3、
図4、
図5A~
図5Bおよび
図6A~
図6Dに示す)ピボットピン4は、ボルト、シャフトおよびねじなどの締結デバイス(互換的にファスナと呼ばれる)を受容するために開口端部を備えた、中空のピンである。ピボットピン4は、中空で管状の円筒の形態をとる、実質的に円筒形の形状を有する。ある実施形態では、ピボットピン4は、締結デバイス(例えば、ボルト21)のための構造体を提供し、これは、例えば、カバー2を、この場合はエンジンブロックに締結するための追加の手段を可能にし、または、別の場合には、カバー2は、ハウジング12および/もしくはカバー2上の締結穴などの追加の締結構造体を作り出すことなく、ハウジング12にボルト固定され得る。よって、ピボットピン4は、スペースを節約し、小型のベーンポンプデザインを作り出す。ある実施形態では、追加のボルト21は、カバー2とハウジング12との間にギャップが形成されるのを防ぎ、よって、ギャップを通る流体の漏れを防ぐ。ピボットピン4の外部表面(すなわち、周方向表面)には、いかなる穴または溝もなくてよく、よって、流体は、ピボットピン4の周囲でチャンバ(例えば、126)からピボットピンの中空部分4a(
図3参照)に入ることができない。ある実施形態では、ピボットピン4の中空部分4aは、締結デバイス(例えば、ボルト21)のねじ切りに対応するようにねじ山を切られていてよい。
【0027】
締結デバイス(例えば、ボルト21)がピボットピン4を通して挿入されると、中空部分および開口端部は、実質的に閉じられ、ピボットピン4の中空部分を通る流体通路を提供しない。よって、動作中、ベーンポンプ100内部またはその周囲の流体は、ピボットピン4を通って流れることができない。ある実施形態では、締結デバイスは、ハウジング12内部の流体と接触していない。ある実施形態では、ボルト21は、ハウジング12(
図1A、
図4、
図5A、
図6A、
図6C~
図6D参照)を通してピボットピン4の中空部分に挿入され、カバー2(
図1B、
図5B、および
図6A~
図6D参照)から外にさらに延びて、ナットの取り付けを可能にすることができる。ある実施形態では、ナットは、カバー2をハウジング12に対して堅固に締める(または切り離す)ための可変圧力を提供する手段を提供する。また、
図5Bの断面図に示すように、ピボットピン4は、部分的にカバー2を通って延び、部分的にハウジング12内部に封入され、よって、中空部分は、ハウジング12とカバー2との間に捕らえられた流体にアクセスすることができない。したがって、ピボットピン4の中空部分を通る流体通路は作り出されない。
【0028】
さらに、ピボットピン4は、例えば、前述したように、流体が中空部分を通過し、かつ/または、(
図3に示す)チャンバ127および126が位置するハウジング12内部でピン4の両側に通過するための流体通路をピボットピン4が作り出さないので、第2のチャンバ127を制御チャンバ126から隔離したままにする。ピボットピン4はまた、ポンプをエンジンブロックに装着するための位置決めダウエル(location dowel)を提供する。
【0029】
ある実施形態では、制御スライド25は、(例えば、
図3に示す)ピボットピン4を中心として旋回して、制御スライド25の内側表面に対するロータ5およびベーン7の位置および動きを変化させ、よって、流体をピボットピン4の中空部分に通過させることなく、ポンプの排出量、および出口を通る流体の配分を変化させる。バネ15は、制御スライド25を、その第1のスライド位置(または第1の旋回方向もしくは位置、または最大変位位置)に向かって第1の方向に付勢するか、または推進する。制御スライド25が第1の位置から第2の位置まで旋回する間、流体は、ピボットピン4の中空部分を通過することなく加圧され得る。
【0030】
図3を参照すると、ロータ5は、半径方向に動くように、ロータ5に装着された、半径方向に延びる1つのベーン7を有する。具体的には、各ベーン7は、それらを半径方向にスライドさせることができるように、近位端部がロータ5の中心リング6内の半径方向スロットに装着される。遠心力は、制御スライドの回転中に、ベーン7を半径方向外側に押して、ベーン7の遠位端部と制御スライド25の内部もしくは内側表面との間を係合させ、かつ/またはその係合を維持することができる。このタイプの装着は、従来型であり、周知である。ある実施形態では、本開示の範囲を制限することなく、ベーンを半径方向外側に付勢するためのスロット内のバネなど、他の変形例が使用され得る。
【0031】
(
図2および
図3に示す)バネ15は、コイルバネまたは板バネとすることができる。ある実施形態では、バネ15は、制御スライド25をそのデフォルトまたは付勢位置(例えば、ロータ5との最大偏心度のデフォルト位置)に付勢し、かつ/または戻すために使用される。制御スライド25は、排出量を、したがって出力流を調節するために、ベーンポンプ100の出口内部の圧力に基づいてロータ5との偏心度を低減させるように、バネ15に抵抗して動かされ得る。
【0032】
(
図2に示す)シール14およびスライドシール支持体13は、制御スライド25がハウジング12の壁に沿って、そのスライド位置間を動くのを助けると共に、依然として、ハウジング12に対するシールを維持する。シール14はまた、チャンバ126、127、128のそれぞれからチャンバ124へ戻る漏れを制限するのを助ける。
【0033】
保持器16およびスクリーン17も、ハウジング12に含まれる(
図2参照)。スクリーン17は、入口にフィルターをかけ、保持器16はシールを所定の場所に維持する。
【0034】
ある実施形態では、ねじ26、27が、カバー2をハウジング12に取り付けるために使用され得る。ハウジング12は、ねじ26、27を受容するために、対応するねじ山が切られた穴を含む。ある実施形態では、ねじ26、27は、制御スライド25などのハウジングの内部構成要素を通過するか、またはこれと接触することなく、カバー2およびハウジング12の周囲に取り付けられ得る。ある実施形態では、ねじ26、27は、ハウジング12と共に組み立てられると、カバー2の表面と同じ高さとすることができる(すなわち、表面から突出しない)。
【0035】
本開示の原理は、前述した例示的な実施形態において明らかにされてきたが、さまざまな改変が、本開示の実施において使用される構造、配置、割合、要素、材料、および構成要素になされ得ることが、当業者には明らかであろう。
【0036】
よって、本開示の特徴は、十分かつ有効に達成されていることが分かるであろう。しかしながら、前述した好適な具体的な実施形態は、本開示の機能的および構造的原理を例示する目的で図示および説明されており、そのような原理を逸脱することなく、変更される可能性があることが、認識されるであろう。したがって、本開示は、以下の特許請求の範囲の趣旨および範囲に包含される、すべての改変を含む。
【手続補正書】
【提出日】2020-10-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーンポンプであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内部に装着された中空部分を有する管状ピボットピンと、
出口を通る前記ポンプの排出量を調節するために第1のスライド位置と第2のスライド位置との間で前記ハウジング内部において変位するように前記ピボットピンに
連結された制御スライドと、
前記ピボットピンを通過するファスナを介して前記ハウジングに取り付けられたカバーと、を含み、
前記ピボットピンは、
流体が前記中空部分を通る
ことを防ぐ、ベーンポンプ。
【請求項2】
前記制御スライドの第1の側における制御チャンバと、
前記ハウジングと前記制御スライドとの間にある、前記制御スライドの第2の側における第2のチャンバと、をさらに含み、
前記第2のチャンバおよび前記制御チャンバは、前記ピボットピンの周囲で
隔離される、請求項1に記載のベーンポンプ。
【請求項3】
前記ファスナは、前記ハウジング、前記ピボットピンの前記中空部分、および前記カバーを通過して、前記ポンプの構成要素間の取り付け部を作り出すボルトである、請求項1に記載のベーンポンプ。
【国際調査報告】