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特表2022-516620車両を操作するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(54)【発明の名称】車両を操作するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63G 21/04 20060101AFI20220221BHJP
   A63G 21/08 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
A63G21/04
A63G21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538448
(86)(22)【出願日】2020-01-02
(85)【翻訳文提出日】2021-06-30
(86)【国際出願番号】 US2020012078
(87)【国際公開番号】W WO2020146190
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】62/789,120
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/251,916
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ブリスター マイケル キース
(72)【発明者】
【氏名】ヴァモス クラリス マリー
(72)【発明者】
【氏名】トレソーギュ マイケル ジョセフ
(57)【要約】
遊園地乗り物車両が、シャーシと、客室と、スライダと、ローテータとを含む。シャーシは、乗り物車両を乗り物経路に沿って移動方向に導くように構成される。客室は、1又は2以上の乗客を保持するように構成される。スライダは、中立位置と片持ち位置との間で移動方向に対して実質的に横向きの方向にシャーシに対して平行移動して、ローテータ及び客室を移動方向に対して実質的に横向きの方向に沿って運ぶように構成される。ローテータは、スライダと客室との間に結合されて、客室をスライダに対して回転させるように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地乗り物車両であって、
前記乗り物車両を乗り物経路に沿って移動方向に導くように構成されたシャーシと、
1又は2以上の乗客を保持するように構成された客室と、
中立位置と片持ち位置との間で前記移動方向に対して実質的に横向きの方向に前記シャーシに対して平行移動するように構成されたスライダと、
前記スライダと前記客室との間に結合されたローテータと、
を備え、前記ローテータは、前記客室を前記スライダに対して回転させるように構成され、前記スライダは、前記ローテータ及び前記客室を前記移動方向に対して実質的に横向きの前記方向に沿って運ぶように構成される、
ことを特徴とする遊園地乗り物車両。
【請求項2】
前記スライダの平行移動を促す第1の制御信号を前記スライダに出力し、前記ローテータの回転を促す第2の制御信号を前記ローテータに出力するように構成された制御システムを備える、
請求項1に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項3】
前記第1の制御信号は、前記遊園地乗り物車両が旋回部に接近した時に、前記スライダに前記旋回部の外側に向かう第1の線形方向に平行移動するように命令し、前記第2の制御信号は、前記遊園地乗り物車両が前記旋回部に接近した時に、前記ローテータに前記乗り物経路の旋回方向とは逆の第1の回転方向に回転するように命令する、
請求項2に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項4】
前記第1の制御信号は、前記遊園地乗り物車両が前記旋回部を離れた時に、前記スライダに前記第1の線形方向とは逆の第2の線形方向に平行移動するように命令し、前記第2の制御信号は、前記遊園地乗り物車両が前記旋回部を離れた時に、前記ローテータに前記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転するように命令する、
請求項3に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項5】
前記スライダは、該スライダが前記客室を前記移動方向に対して実質的に横向きの前記方向に平行移動させた時に前記客室とは逆に動くように構成された釣り合い錘を含む、
請求項1に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項6】
前記スライダは、前記シャーシの1又は2以上の軌道に沿って動くように構成されたキャリッジを含む、
請求項1に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項7】
前記スライダは、ばね、緩衝器、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項1に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項8】
前記シャーシを前記乗り物経路のガイドレールに結合するように構成された1又は2以上のピンチホイールを備える、
請求項1に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項9】
前記ローテータは、モーションベースを含む、
請求項1に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項10】
前記ローテータは、第1のプレートと、第2のプレートと、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に配置されて、前記第2のプレートに対する前記第1のプレートの回転を促す軸受と、前記第2のプレートに対して前記第1のプレートを回転させるように構成された少なくとも1つのアクチュエータとを含む、
請求項1に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項11】
前記シャーシに推進力を提供するように構成された1又は2以上の駆動ホイールを備える、
請求項1に記載の遊園地乗り物車両。
【請求項12】
遊園地乗り物システムであって、
旋回部を定めるカーブを含む、乗り物経路を定めるガイドレールと、
乗り物車両と、
を備え、前記乗り物車両は、
前記ガイドレールに結合されて、前記乗り物車両を前記ガイドレールに沿って移動方向に導くように構成されたシャーシと、
前記移動方向に対して実質的に横向きの方向に水平平行移動するように構成されたスライダと、
1又は2以上のゲストを収容するように構成された客室と、
前記スライダと前記客室との間に結合されたローテータと、
を含み、前記ローテータは、前記客室を前記スライダに対して回転させるように構成され、前記スライダは、前記ローテータ及び前記客室を前記移動方向に対して実質的に横向きの前記方向に沿って運ぶように構成される、
ことを特徴とする遊園地乗り物システム。
【請求項13】
前記スライダの平行移動を促す第1の制御信号を前記スライダに出力し、前記ローテータの回転を促す第2の制御信号を前記ローテータに出力するように構成された制御システムを備える、
請求項12に記載の遊園地乗り物システム。
【請求項14】
前記第1の制御信号は、前記乗り物車両が旋回部に接近した時に、前記スライダに前記旋回部の外側に向かう第1の線形方向に平行移動するように命令し、前記第2の制御信号は、前記乗り物車両が前記旋回部に接近した時に、前記ローテータに旋回方向とは逆の第1の回転方向に回転するように命令する、
請求項13に記載の遊園地乗り物システム。
【請求項15】
前記第1の制御信号は、前記乗り物車両が前記旋回部を離れた時に、前記スライダに前記第1の線形方向とは逆の第2の線形方向に平行移動するように命令し、前記第2の制御信号は、前記乗り物車両が前記旋回部を離れた時に、前記ローテータに前記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転するように命令する、
請求項14に記載の遊園地乗り物システム。
【請求項16】
前記スライダは、該スライダが前記客室を前記移動方向に対して実質的に横向きの前記方向に水平平行移動させた時に前記客室とは逆に動くように構成された釣り合い錘を含む、
請求項12に記載の遊園地乗り物システム。
【請求項17】
前記スライダは、前記シャーシの1又は2以上の軌道に沿って動くように構成されたキャリッジを含む、
請求項12に記載の遊園地乗り物システム。
【請求項18】
前記スライダは、ばね、緩衝器、又はこれらの組み合わせを含む、
請求項12に記載の遊園地乗り物システム。
【請求項19】
前記ローテータは、モーションベースを含む、
請求項12に記載の遊園地乗り物システム。
【請求項20】
乗り物経路を定めるガイドレールに沿って乗り物車両を旋回部に向けて移動方向に導くステップと、
スライダを作動させて、前記乗り物車両の客室を、中立位置から前記旋回部の外側に整列する前記乗り物車両の第1の側面に向けて、前記移動方向に対して実質的に横向きの第1の線形方向に水平作動させるステップと、
前記客室と前記スライダとの間に配置されたローテータを作動させて、前記乗り物車両の前記客室を旋回方向とは逆の第1の回転方向に回転させるステップと、
前記乗り物車両を前記ガイドレールに沿って前記旋回部を通じて前記移動方向に導くステップと、
前記スライダを作動させて、前記乗り物車両の前記客室を、前記乗り物車両のシャーシの中心平面に向けて前記第1の線形方向とは逆の第2の線形方向に水平作動させて前記客室を前記中立位置に戻すステップと、
前記ローテータを作動させて、前記乗り物車両の前記客室を前記第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2019年1月7日に出願された「車両を操作するためのシステム及び方法(Systems and Methods for Maneuvering a Vehicle)」という名称の米国仮特許出願第62/789,120号の利益を主張するものであり、この文献はその全体が全ての目的で引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般に遊園地型乗り物に関し、具体的には、経路に沿った乗り物車両の特定の動き又は操作を達成する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの遊園地型乗り物は、軌道(例えば、ガイドレール)によって定められた乗り物経路などの乗り物経路に沿ってゲストを運ぶ乗り物車両を含む。このような従来の遊園地乗り物はいくつかの制約を受ける。例えば、乗り物システムの態様によって車両操作が制限される。具体例として、従来のシステムの経路に沿った最小旋回半径が、経路の旋回部(turns)に沿って進んでいる間に乗り物車両の動きを制限することがある。別の例として、乗り物車両の態様(例えば、乗り物車両の旋回半径)が、他の従来のシステムコンポーネントに関連する特定の動きを妨げることもある。従って、今では、従来の乗り物システムは乗り物車両の操作を制約し、望ましいユーザ体験の提供を妨げる恐れがあると認識されている。
【0004】
本節は、以下で説明及び/又は特許請求する本技術の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく、上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、特許請求する主題の範囲を限定するものではなく、むしろ本主題の可能な形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本主題は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0006】
ある実施形態では、遊園地乗り物車両が、シャーシと、客室と、スライダと、ローテータとを含む。シャーシは、乗り物車両を乗り物経路に沿って移動方向に導くように構成される。客室は、1又は2以上の乗客を保持するように構成される。スライダは、中立位置と片持ち位置(cantilevered position)との間で移動方向に対して実質的に横向きの方向にシャーシに対して平行移動して、ローテータ及び客室を移動方向に対して実質的に横向きの方向に沿って運ぶように構成される。ローテータは、スライダと客室との間に結合されて、客室をスライダに対して回転させるように構成される。
【0007】
ある実施形態では、遊園地乗り物システムが、ガイドレール及び乗り物車両を含む。ガイドレールは、乗り物経路を定めるとともに、旋回部を定めるカーブ(bend)を含む。乗り物車両は、シャーシと、スライダと、客室と、ローテータとを含む。シャーシは、ガイドレールに結合されて、乗り物車両をガイドレールに沿って移動方向に導くように構成される。スライダは、移動方向に対して実質的に横向きの方向に水平平行移動(laterally translate)して、ローテータ及び客室を移動方向に対して実質的に横向きの方向に沿って運ぶように構成される。客室は、1又は2以上のゲストを収容するように構成される。ローテータは、スライダと客室との間に結合されて、客室をスライダに対して回転させるように構成される。
【0008】
方法が、乗り物経路を定めるガイドレールに沿って乗り物車両を旋回部に向けて移動方向に導くステップと、スライダを作動させて、乗り物車両の客室を、中立位置から旋回部の外側に整列する乗り物車両の第1の側面に向けて、移動方向に対して実質的に横向きの第1の線形方向に水平作動させるステップと、客室とスライダとの間に配置されたローテータを作動させて、乗り物車両の客室を旋回方向とは逆の第1の回転方向に回転させるステップと、乗り物車両をガイドレールに沿って旋回部を通じて移動方向に導くステップと、スライダを作動させて、乗り物車両の客室を、乗り物車両の中心平面に向けて第1の線形方向とは逆の第2の線形方向に水平作動させて客室を中立位置に戻すステップと、ローテータを作動させて、乗り物車両の客室を第1の回転方向とは逆の第2の回転方向に回転させるステップと、を含む。
【0009】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の態様による、遊園地乗り物システムの乗り物車両の1つの実施形態の斜視図である。
図2】本開示の態様による、旋回部の頂点における図1の遊園地乗り物システムの乗り物車両の斜視図である。
図3】本開示の態様による、図1及び図2の乗り物車両の制御システムの概略図である。
図4】本開示の態様による、乗り物車両を使用して急旋回をシミュレートするプロセスのフローチャートである。
図5】本開示の態様による、平行なレールに沿って動くキャリッジを含む図3の乗り物車両のスライダの斜視図である。
図6】本開示の態様による、スライダ本体の1又は2以上の特徴に沿って動くキャリッジを含む図1の乗り物車両のスライダの斜視図である。
図7】本開示の態様による、キャリッジが中立位置にある状態の、釣り合い錘を含む図1の乗り物車両のスライダの側面図である。
図8】本開示の態様による、キャリッジが中立位置から外れた状態の図7のスライダの側面図である。
図9】本開示の態様による、中立位置にある第1及び第2のプレートを含む図1の乗り物車両のスライダの側面図である。
図10】本開示の態様による、中立位置から外れた第1及び第2のプレートを含む図9のスライダの側面図である。
図11】本開示の態様による、ばね及び緩衝器を含む図1の乗り物車両のスライダの概略図である。
図12】本開示の態様による、図1の乗り物車両のローテータの実施形態の斜視図である。
図13】本開示の態様による、第1及び第2のガイドレールのカーブに接近している時の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
図14】本開示の態様による、第1及び第2のガイドレールのカーブに到達した時の図13の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
図15】本開示の態様による、第1及び第2のガイドレールのカーブの頂点に到達した時の図13及び図14の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
図16】本開示の態様による、第1及び第2のガイドレールのカーブの頂点から離れて移動している時の図13図15の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
図17】本開示の態様による、第1及び第2のガイドレールのカーブを脱出した時の図13図16の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
図18】本開示の態様による、スラローム動作をシミュレートし始めている図13図17の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
図19】本開示の態様による、スラローム動作をシミュレートしている最中の図13図18の乗り物車両の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の1又は2以上の特定の実施形態について説明する。これらの実施形態を簡潔に説明するために、本明細書では実施の特徴を全て説明していない場合もある。あらゆる工学又は設計プロジェクトにおいて見られるようなあらゆるこのような実施の開発においては、実施によって異なり得るシステム関連及びビジネス関連の制約の順守などの開発者の個別の目的を達成するために、数多くの実施固有の決定を行わなければならないと理解されたい。さらに、このような開発努力は複雑かつ時間の掛かるものとなり得るが、本開示の恩恵を受ける当業者にとっては設計、製作及び製造という日常的な取り組みであると理解されたい。
【0012】
典型的な遊園地乗り物システム(例えば、ローラーコースタ又はその他の乗り物)は、一連の特徴を通じてガイドレールをたどる1又は2以上の乗り物車両を含む。このような特徴は、トンネル、旋回部、上り坂、下り坂及びループなどを含むことができる。いくつかの乗り物システムでは、設計者が乗り物乗客に急(例えば、90度)旋回の感覚を体験させたいと望むことがある。しかしながら、ガイドレールの形状、及び乗り物車両をガイドレールに結合するシステムが、ガイドレール及び乗り物車両の最小旋回半径及び/又は最小半径に下限値を課すことによって、乗り物車両が旋回部を移動する際に乗客は緩やかな旋回のように感じることがある。同様に、ガイドレールを使用せずに別様に経路を移動する乗り物車両を含む乗り物システムでは、例えば車両のホイールベースが旋回半径を制限することもある。従って、乗り物車両が移動するガイドレールの旋回部及び/又は半径よりも旋回半径が大幅に小さいかのようにユーザに感じさせることが望ましいと考えられる。
【0013】
開示する本実施形態は、1又は2以上のゲストを収容する客室と、シャーシ(例えば、ガイドレールに結合するシャーシ)と、シャーシと客室との間に配置されたスライダ及びローテータとを有する乗り物車両を含む。さらに、開示する本実施形態は、乗り物車両が移動する経路(例えば、ガイドレール)を含むことができる。スライダは、経路に沿った移動方向に対して実質的に横向きの水平方向に客室を往復移動させる。ローテータは、客室をシャーシに対して回転させる。これらのコンポーネントを協働的に使用して、通常の乗り物車両では生み出すのが困難、非効率的又は高価であると思われる効果を生み出すことができる。例えば、急旋回(例えば、急な90度の旋回)をシミュレートするために、乗り物車両が旋回部の頂点に接近すると、スライダが中立位置から旋回部の外側に向かって延びることができ、ローテータが中立位置から旋回部の外側に向かって回転することができる。乗り物車両が旋回部の頂点を通過して離れると、スライダは中立位置旋回部(neutral position turn)に向かって後退することができ、ローテータは旋回部の内側及び中立位置に向かって逆回転することができる。一方で、これらのスライダ及びローテータを個別に又は協働的に使用して他の効果を生み出すこともできる。本実施形態に従って生み出される効果は、従来のガイドレールベースのシステムと比較した時に特に顕著である。従って、本実施形態は他のタイプの経路と共に採用することもできるが、図示の実施形態はガイドレールベースの実施形態に焦点を当てている。
【0014】
図1は、乗り物システム10の実施形態の斜視図である。乗り物システム10は、1又は2以上の乗客を保持する1又は2以上の乗り物車両12を含むことができる。ある実施形態では、複数の乗り物車両12を(例えば、リンク機構によって)共に結合することができる。乗り物車両12は、乗り物経路16を定めるガイドレール14に沿って移動する。ガイドレール14は、乗り物車両12が移動するいずれかの表面とすることができる。ある実施形態では、ガイドレール14が、概ね正方形又は長方形の断面形状、又は乗り物車両12と連動するように設計された特定の断面形状を有することができる。しかしながら、他の実施形態では、ガイドレール14をスロット、或いは乗り物車両12の方向を案内するように構成された他の何らかの構体又は構体の組み合わせとすることもできる。図示の実施形態では、ガイドレール14が乗り物車両12の重量全体を支えるわけではない。しかしながら、他の実施形態では、線路のようなガイドレール14が乗り物車両12の重量全体を支えることもできる。
【0015】
図1に示すように、乗り物車両12は、ガイドレール14と連動する乗り物車両ベース18を含む。乗り物車両ベース18は、例えばシャーシ20、1又は2以上のピンチホイール22、前部及び後部支持ホイール24、スライダ支持ホイール26、及びスライダ28を含むことができる。ピンチホイール22は、乗り物車両12がガイドレール14に沿って移動するように、ガイドレール14と連動するように構成される。図示の実施形態では、ピンチホイール22が乗り物車両12の重量全体を支えるわけではない。むしろ、ピンチホイール22は、乗り物車両12がガイドレール14によって定められた乗り物経路16をたどるのを確実にするものにすぎない。しかしながら、他の実施形態では、ピンチホイール22が乗り物車両12の重量の一部又は全部を支えることもできる。
【0016】
図示の実施形態では、前部及び後部支持ホイール24が、2つの前部支持ホイール24と2つの後部支持ホイール24との間で乗り物車両の重量の一部又は全部を支える。図示の実施形態は、一対の前部支持ホイール24及び一対の後部支持ホイール24を含むが、他の実施形態では、これよりも少ない支持ホイール24又はこれよりも多くの支持ホイール24が存在することができる。例えば、乗り物車両ベース18は、2つ、3つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個又は11個以上の前部及び後部支持ホイール24を含むことができる。いくつかの実施形態では、前部及び後部支持ホイール24の一部又は全部を、乗り物車両12を乗り物経路16に沿って推進するように回転する被駆動ホイールとすることができる。例えば、前部及び後部支持ホイール24の一部又は全部は、前部及び後部支持ホイール24の一部又は全部にトルク又は他の何らかの推進力を付与して乗り物車両12を乗り物経路16に沿って推進できる駆動機構を含み、又はこのような駆動機構に結合することができる。
【0017】
以下でさらに詳細に説明するように、スライダ28は、客室32を乗り物車両12の移動方向34に対して実質的に横向きの方向に水平移動させるように構成することができる。従って、乗り物車両ベース18は、スライダ28が拡張位置又は部分的拡張位置にあって客室32の質量中心が移動方向34に沿って延びるシャーシ20の中心平面36に対して外向きに片持ち状になっている時にスライダ28及び客室32を支持するように構成されたスライダ支持ホイール26を含むことができる。図示の実施形態では、スライダ支持ホイール26が推進力を提供しないが、他の実施形態では、スライダ支持ホイール26が駆動機構を含み、又は駆動機構に結合することができる。
【0018】
スライダ28は、急旋回をシミュレートするために、客室32を乗り物車両12の移動方向34に対して実質的に横向きの方向に水平移動させるように構成することができる。図5図11に関して図示し説明するように、スライダ28は、例えば乗り物車両12の移動方向34に対して実質的に横向きの方向に延びる軌道と、軌道に沿って移動してローテータ30及び客室32を支持するように構成されたキャリッジとを含むことができる。いくつかの実施形態では、スライダ28が、軌道に沿って非中立位置に動いた時(例えば、客室32の質量中心がシャーシ20の中心平面36に対して外向きに片持ち状になった時)にキャリッジと逆に動いてキャリッジによって生じたモーメントを低減又は排除するように構成された釣り合い錘を含むことができる。他の実施形態では、スライダ28が、互いに実質的に平行に延びて、実質的に平行な平面に沿って互いに対して動くように構成された2つのプレートを含むことができる。このような実施形態では、スライダ28が釣り合い錘を含むことができる。例えば、これらのプレートの一方はローテータ30及び客室32に結合することができ、第2のプレートは釣り合い錘として機能し、又は釣り合い錘に結合することができる。さらなる実施形態では、スライダ28が1又は2以上のばね及び/又は緩衝器を含むことができる。スライダ28のさらなる実施形態も想定される。
【0019】
ローテータ30は、スライダ28と客室32との間に配置されて、客室32がスライダ28に対して回転することを可能にするように構成することができる。例えば、ローテータ30は、第1の側がスライダ28に結合し、第2の側が客室32に結合することができる。以下で図12に関して図示し説明するように、ローテータ30は、例えば互いに対して回転するように構成された第1及び第2のプレートを含むことができる。いくつかの実施形態では、ローテータ30が、2つのプレート間に配置された軸受及び/又は回転アクチュエータを含むことができる。いくつかの実施形態では、第1及び第2のプレートが、互いに実質的に平行であり続けることができる。他の実施形態では、ローテータ30が、客室32を回転させることに加えて(例えば、バンク状(banked)又はキャンバー状の(cambered)旋回部をシミュレートするために)客室32を傾斜させることができる。例えば、ローテータ30は、所望の自由度数を有するモーションベースを含むことができる。
【0020】
客室32は、ローテータ30によって支持されて、ローテータ30と共に回転するように構成することができる。単純にするために、図1では客室32を透明ボックスによって表している。しかしながら、客室32は、ゲストを収容するように構成されたいずれかの区画とすることができる。従って、客室32の形状は立方体又は直方体に限定されるものではないと理解されたい。さらに、客室32は、客室32のための構造支持体として機能する骨格を含むことができる。客室32は、骨格に結合して客室32を包囲するパネル又は羽目板を含むこともできる。従って、客室32は開放又は閉鎖することができる。客室32は、ゲストが座ることができる座席又は場所を含むことができる。いくつかの実施形態では、客室32が、客室32が動いた時にゲストを適所に保持する拘束システムを含むこともできる。他の実施形態では、ゲストが客室32内で自由に立ち上がり又は動き回ることができる。
【0021】
場合によっては、乗り物システム10のオペレータが、乗り物車両12が急(例えば、90度)旋回を行う効果を生み出したいと望むことがある。しかしながら、乗り物システム10は、乗り物車両ベース18が急旋回を行うのを妨げるいくつかの制限を有することがある。例えば、ガイドレール14は、乗り物車両12が移動できるガイドレール14の最小屈曲半径又は最小半径を有することがある。他の実施形態では、乗り物車両12が(例えば、シャーシ20、ピンチホイール22、前部及び後部支持ホイール24、スライダ支持ホイール26、その他のコンポーネント、又はこれらの何らかの組み合わせの形状に起因して)最小旋回半径を有することがある。従って、スライダ28及びローテータ30は、乗り物車両ベース18がガイドレール14に沿ってより緩やかな旋回を行っている間に客室32が急旋回を行うように協働的に作動することができる。客室32内の乗客は、実質的に90度の旋回部を含む経路を移動して、まるで乗り物車両12全体がこのような旋回を行っているかのように感じると思われる。従って、実際には乗り物車両12の各特徴(例えば、乗り物車両ベース18)に発生していない操作をシミュレートすることができる。
【0022】
乗り物車両12が移動方向34に進みながら旋回を行おうとしている図1に示すように、ガイドレール14は、屈曲半径を有するカーブ38を含む。図1は、実質的にカーブ38の手前のガイドレール14に整列する第1の線40と、実質的にカーブ38の後のガイドレール14に整列する第2の線42とを含む。第1の線40及び第2の線42は、地点44において互いに交差する。図示の実施形態では、第1の線40及び第2の線42が互いに垂直である(例えば、第1の線40及び第2の線42は互いに90度の角度で交差する)。しかしながら、他の実施形態では、第1の線40及び第2の線42が互いに斜角又は他の何らかの角度で交差することもできると理解されたい。例えば、旋回部は、10度、20度、30度、40度、50度、60度、70度、80度、100度、110度、120度、130度、140度、150度、160度、170度、又は他の何らかの値の角度を有することができる。例えば、乗り物車両ベース18がガイドレール14に沿ってカーブ38を通って旋回部の頂点46に向かって移動すると、スライダ28がカーブ38の外側に向かって延び、ローテータ30が旋回方向とは逆に回転することにより、ガイドレール14が第1の線40からそれている時にも客室が第1の線40に沿って地点44に向かって移動し続けるようになる。いくつかの実施形態では、ローテータ30が、客室32を旋回部と同じ度数(例えば、90度)だけ回転させて急旋回をシミュレートすることができる。他の実施形態では、地点44に到達すると、客室32が回転せずに方向を変えることができる。乗り物車両ベース18がガイドレール14に沿ってカーブ38の頂点46を過ぎて進むと、ローテータ30が旋回方向に回転し、スライダ28がカーブ38の内側に向かって中立位置に収縮することにより、ガイドレール14が第2の線42に合流した時に客室32が地点44から離れて第2の線42に沿って移動するようになる。
【0023】
図2は、旋回部の頂点46における乗り物車両12の斜視図である。図示のように、スライダ28が旋回部の外側に向かって延び、客室32の第1の中心平面100が第1の線40と実質的に整列するようにローテータ30が回転する。旋回部の頂点46に到達すると、第1の中心平面100が第2の線42と実質的に整列するようにローテータ30が回転することができる。他の実施形態では、客室32の第2の中心平面102が第2の線42と実質的に整列するように、乗り物車両12がガイドレール14に沿って進むことができる。旋回部が90度旋回でない場合には、第1の中心平面100又は第2の中心平面102が第2の線42と実質的に整列するように、或いはいずれの中心平面も第2の線42と実質的に整列しないように、ローテータ30が頂点46又はその付近で回転することができる。乗り物車両12が旋回部を通って頂点46から離れて進むと、スライダ28が引っ込んで中立位置に後退し、第1の中心平面100又は第2の中心平面102のどちらかが第2の線42と実質的に整列するようにローテータ30が回転することができる。図示の実施形態では、第1の中心平面100及び第2の中心平面102の各々が客室32及び互いをそれぞれ二等分することにより、第1の中心平面100及び第2の中心平面102が客室32の4分の1を定めるようになる。
【0024】
図3は、乗り物車両12の制御システム200の概略図である。制御システム200は、乗り物システム10全体を通じて様々なコンポーネントを制御し及び/又はこれらのコンポーネントから入力を受け取ることができるプロセッサ202及びメモリ要素204を含むことができる。プロセッサ202は、プログラムの実行、命令の実行、入力の解釈、制御信号の生成及び/又は他の同様の機能のために使用することができる。メモリ要素204は、データ、プログラム及び命令などを記憶するために使用することができる。
【0025】
制御システム200は、客室32、ローテータ30、スライダ28、ガイドレール結合システム206、駆動システム208、及び/又は乗り物車両12の他のコンポーネントなどの乗り物車両12の様々なコンポーネントと通信することができる。いくつかの実施形態では、制御システム200が、乗り物システム10全体の制御システムとも(例えば、有線又は無線で)通信することができる。図示のように、また以下でさらに詳細に説明するように、ローテータ30、スライダ28、ガイドレール結合システム206及び駆動システム208の各々は、制御システム200と通信できるセンサ及びアクチュエータを含むことができる。制御システム200は、センサ及び/又はアクチュエータからデータを受け取り、これらのデータを処理し、アクチュエータに制御信号を出力して、ローテータ30、スライダ28、ガイドレール結合システム206及び駆動システム208などの様々な態様を作動させることができる。
【0026】
例えば、(数あるコンポーネントの中でもとりわけ図1及び図2に示すピンチホイール22を含むことができる)ガイドレール結合システム206は、ガイドレールに対する乗り物車両12の結合及び分離を行うための1又は2以上のセンサ210及び/又は1又は2以上のアクチュエータ212を含むことができる。例えば、センサ210は、乗り物車両12に対するガイドレールの位置、ガイドレールの存在、アクチュエータ212の位置などを特定するための近接センサ及びレーザーセンサなどを含むことができる。アクチュエータ212は、ガイドレールに対する乗り物車両12の結合及び分離を行うための1又は2以上のサーボ、1又は2以上のリニアモータ、及び/又は1又は2以上のクランプ機構を含むことができる。センサ210は、1又は2以上の関心パラメータを感知して制御システム200にデータを提供することができる。その後、制御システム200は、これらのデータを処理して、1又は2以上のアクチュエータ212に送信される制御信号を生成することができる。この結果、アクチュエータ212は、この制御信号に応答して作動することができる。
【0027】
(数あるコンポーネントの中でもとりわけ図1及び図2に示す前部及び/又は後部支持ホイール24を含むことができる)駆動システム208は、乗り物車両12をガイドレールに沿って推進する1又は2以上のセンサ214及び/又は1又は2以上のアクチュエータ216を含むことができる。例えば、センサ214は、乗り物車両12の動きに関する1又は2以上のパラメータ、アクチュエータ216の位置などを特定するための位置センサ、速度センサ及び加速度センサなどを含むことができる。アクチュエータ216は、乗り物車両12をガイドレールに沿って推進するための電気モータ、内燃機関、1又は2以上の磁気アクチュエータなどを含むことができる。図示してはいないが、駆動システム208は、電源(内燃機関、発電機、バッテリ、水圧又は空気圧式アキュムレータ、公益電源(electric utilities source))又は電源への接続部を含むことができる。センサ214は、1又は2以上の関心パラメータを感知して制御システム200にデータを提供することができる。その後、制御システム200は、これらのデータを処理して、1又は2以上のアクチュエータ216に送信される制御信号を生成することができる。この結果、アクチュエータ216は、この制御信号に応答して作動することができる。
【0028】
上述したような摺動システム(例えば、スライダ28)は、軌道に沿って動くように構成されたキャリッジ、実質的に平行な平面に沿って互いに対して動くように構成された2つのプレート、又は客室32が中立位置からシャーシ20の縁部に向かって水平移動することを可能にする他の何らかの構成を含むことができる。摺動システム28のいくつかの実施形態は、摺動システム28の動きによって生じたモーメントを客室32と逆に動くことによって相殺する釣り合い錘218を含むことができる。さらに、摺動システム28は、摺動システム28を作動させる1又は2以上のセンサ220及び/又は1又は2以上のアクチュエータ222を含むことができる。例えば、センサ220は、スライダ28の位置、客室32の位置、乗り物車両12の位置、又は他の何らかの測定可能パラメータを感知するためのセンサを含むことができる。アクチュエータ222は、客室32の水平移動を達成するようにスライダ28を作動させるためのリニアモータ、サーボ、又は他の何らかのアクチュエータを含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、スライダ28がアクチュエータを含まず、運動量及び/又は遠心力に依拠してスライダ28を動かすこともできる。センサ220は、1又は2以上の関心パラメータを感知して制御システム200にデータを提供することができる。その後、制御システム200は、これらのデータを処理して、1又は2以上のアクチュエータ222に送信される制御信号を生成することができる。この結果、アクチュエータ222は、この制御信号に応答して作動することができる。
【0029】
上述したように、回転システム(例えば、ローテータ30)は、2つのプレート間に配置された軸受及び/又は回転アクチュエータ、モーションベース、又は客室32が軸を中心に回転することを可能にする他の何らかの構成を含むことができる。ローテータ30のいくつかの実施形態は、(例えば、バンク状又はキャンバー状の旋回部をシミュレートするために)客室32を1又は2以上の方向に傾斜させることもできる。回転システム30は、回転システム30を作動させる1又は2以上のセンサ224及び/又は1又は2以上のアクチュエータ226を含むことができる。例えば、センサ224は、ローテータ30の位置、客室32の位置、乗り物車両12の位置、又は他の何らかの測定可能パラメータを感知するためのセンサを含むことができる。アクチュエータ226は、客室32の回転運動を達成するように回転システム30を作動させるためのリニアモータ、サーボ、又は他の何らかのアクチュエータを含むことができる。センサ224は、1又は2以上の関心パラメータを感知して制御システム200にデータを提供することができる。その後、制御システム200は、これらのデータを処理して、1又は2以上のアクチュエータ226に送信される制御信号を生成することができる。この結果、アクチュエータ226は、この制御信号に応答して作動することができる。
【0030】
図4は、限られた旋回半径を有する車両を使用して、第1及び第2の線が交差する急(例えば、90度)旋回をシミュレートするプロセス300のフローチャートである。ブロック302において、乗り物車両が、第1の線と実質的に整列するガイドレール及び/又は乗り物経路に沿って旋回部に向かって導かれる。ブロック304において、ガイドレール及び/又は乗り物経路が第1の線からそれると、摺動システムが作動して客室を旋回部の外側に向けて水平移動させる。いくつかの実施形態では、客室の中心平面が第1の線と実質的に整列し続けるようにスライダが作動することができる。摺動システムが作動すると、回転システムも旋回方向と逆に作動して、乗り物車両がガイドレール及び/又は乗り物経路に沿って移動する際に客室の中心平面が第1の線と実質的に整列し続けることができる(ブロック306)。
【0031】
ブロック308において、乗り物車両が旋回部の頂点を通過する。ブロック310において、客室がその配向を変化させずに方向を変えることができるように、回転システムが旋回方向とは逆に作動し続ける。他の実施形態では、回転システムが、急旋回をシミュレートするために客室を旋回部と同じ度数(例えば、90度)だけ回転させるように作動する。乗り物車両が乗り物経路又はガイドレールに沿って旋回部の頂点を過ぎて進むと、客室の中心平面が第2の線と実質的に整列し続けるように、ローテータが旋回方向に回転することができる。回転システムが作動すると、客室の中心平面が第2の線と実質的に整列し続けるように、スライダがカーブの内側に向かって中立位置に収縮することができる(ブロック312)。ブロック314において、乗り物車両が旋回部を脱出する。
【0032】
図5図12に、スライダ28及びローテータ30の様々な実施形態を示す。図5は、一対の実質的に平行なレール352に沿って動くキャリッジ350を含むスライダ28の斜視図である。図示のように、レール352は、各レール352の両端に配置された第1及び第2のエンドキャップ354によって互いに結合して適所に保持することができる。レール352及びエンドキャップ354は、組み合わさってスライダ本体358を形成することができる。スライダ本体358は、シャーシの一部であることも、又はそうでないこともできる。上述したように、キャリッジ350は、レール352に沿って往復移動して、客室をシャーシに対して動かすことができる。いくつかの実施形態では、エンドキャップ354が、キャリッジ350の機械的停止部として機能することができる。
【0033】
図6は、スライダ本体358の1又は2以上の特徴356に沿って動くキャリッジ350を含むスライダ28の斜視図である。スライダ本体358は、キャリッジ350の結合先であるスライダ本体358の長さの一部又は全体に沿って延びる1又は2以上の特徴356を有する材料(例えば、押し出し材料、成形材料、鋳造材料など)の長さとすることができる。図6の実施形態には凸状の特徴356を示しているが、特徴356は凹状の特徴とすることもできる。同様に、図6の実施形態には単一の特徴356を示しているが、1又は2以上の特徴356は複数の特徴356も含むと理解されたい。上述したように、キャリッジ350は、客室をシャーシに対して動かすように1又は2以上の特徴356に沿って往復移動することができる。
【0034】
図7は、キャリッジ350が中立位置にある状態の、釣り合い錘218を含むスライダ28の側面図である。上述したように、釣り合い錘218は、キャリッジ350が中立位置から離れると、スライダ本体358に沿ってキャリッジ350とは逆に動いて、キャリッジ350の動きによって生じる片持ち梁効果を相殺するように構成することができる。この実施形態では、釣り合い錘218が、1又は2以上のカップリング360を介してキャリッジ350に結合される。カップリング360は、例えばケーブル、ベルト、機械的リンク機構などを含むことができる。いくつかの実施形態では、カップリング360が、キャリッジ350及び釣り合い錘218の動きに関連する摩擦を低減するように1又は2以上の滑車362の周囲に延びることができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、キャリッジ350と釣り合い錘218とを互いに結合しないこともできると理解されたい。例えば、キャリッジ350及び釣り合い錘218は、1又は2以上のアクチュエータによってそれぞれ作動することができる。図7では、スライダ本体358の長さに沿った中心に存在して釣り合い錘218の真上に整列した中立位置にキャリッジ350を示す。
【0035】
図8は、キャリッジ350が中立位置から外れた状態の、釣り合い錘218を含むスライダ28の側面図である。図示のように、キャリッジ350が左手に動くと、釣り合い錘218が右手に動いて、キャリッジ350の動きによって生じる片持ち梁効果を相殺する。キャリッジ350が中立位置に戻ると、釣り合い錘218も中立位置に戻る。同様に、キャリッジ350が右手に動くと、釣り合い錘218は左手に動いて、キャリッジ350の動きによって生じる片持ち梁効果を相殺する。
【0036】
図9は、中立位置にある第1及び第2のプレート364、366を含むスライダ28の側面図である。図示の実施形態では、第2のプレート366が釣り合い錘として機能して、第1のプレート364が中立位置から外れて動いた時に第1のプレート364とは逆方向に動いて、第1のプレート364の動きによって生じる片持ち梁効果を相殺するように構成することができる。第1及び第2のプレート364は、1又は2以上のブラケット368を介して互いに結合することができる。
【0037】
図10は、中立位置から外れた第1及び第2のプレート364、366を含むスライダ28の側面図である。図示のように、第1のプレート364が左手に動くと、第2のプレート366が右手に動いて、第1のプレート364の動きによって生じる片持ち梁効果を相殺する。第1のプレート364が中立位置に戻ると、第2のプレート366も中立位置に戻る。同様に、第1のプレート364が右手に動くと、第2のプレート366は左手に動いて、第1のプレート364の動きによって生じる片持ち梁効果を相殺する。
【0038】
図11は、ばね370及び緩衝器372を含むスライダ28の概略図である。いくつかの実施形態では、1又は2以上のばね370及び/又は1又は2以上の緩衝器372を使用してスライダ28の動きを調整することができる。例えば、いくつかの実施形態では、スライダ28が作動せずに、運動量及び/又は遠心力に依拠して中立位置から一方又は他方の側へ平行移動することができる。このような実施形態では、旋回部におけるスライダ28の所望の動きを達成するために、スライダを1又は2以上のばね370及び/又は1又は2以上の緩衝器372と共に設計することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、ばね370及び/又は緩衝器372をアクチュエータと併用してスライダ28の動きを調整することもできる。
【0039】
図12は、ローテータ30の実施形態の斜視図である。図示のように、ローテータ30は、スライダに結合できる第1のプレート374と、客室に結合できる第2のプレート376とを含むことができる。第1及び第2のプレート374、376は、第1及び第2のプレート374、376が互いに対して低摩擦で回転することを可能にする軸受378を介して互いに結合することができる。いくつかの実施形態では、ローテータ30が、第2のプレート376を第1のプレート374に対して、又は第1のプレート374を第2のプレート376に対して回転させるように構成されたアクチュエータ226(例えば、サーボ、回転モータ、リニアモータなど)を含むことができる。
【0040】
図1及び図2には、単一のガイドレールに乗って移動する乗り物車両を示しているが、他の実施形態を想定することもできると理解されたい。例えば、図13図19には、乗り物車両が2本のガイドレールの下方に懸架された実施形態を示す。図13は、乗り物車両12がガイドレール14のカーブ38に接近している時の乗り物車両システム10の実施形態の斜視図である。この実施形態では、乗り物経路16が、互いに実質的に平行に延びる第1及び第2のガイドレール14によって定められる。上述した実施形態と同様に、乗り物車両12は、図3に示すガイドレール結合システム206を含むことができる乗り物車両ベース18を介してガイドレール14に結合される。しかしながら、この実施形態では、乗り物車両ベース18がガイドレール14に乗るのではなくガイドレール14の下方に懸架される。スライダ28は、ローテータ30及び客室32をガイドレール14に沿った移動方向34に対して実質的に垂直な方向に水平平行移動させるように構成される。ローテータ30は、スライダ28に結合されて、客室32を乗り物車両ベース18に対して回転させるように構成される。いくつかの実施形態では、ローテータ30が、(例えば、バンク状又はキャンバー状の旋回部をシミュレートするために)客室32を乗り物車両ベース18に対して傾斜させることもできる。図13に示すように、乗り物車両12がガイドレール14のカーブ38に接近している時には、スライダ28及びローテータ30が中立位置にあることによって、客室32の中心平面100が第1の線40と実質的に整列するようになる。
【0041】
図14は、乗り物車両12がガイドレール14のカーブ38に到達した時の乗り物車両システム10の実施形態の斜視図である。乗り物車両12が進み続けてガイドレール14のカーブ38を移動し、ガイドレール14が第1の線40に対して実質的に平行な配向からそれると、スライダ28がカーブ38の外側に向かって延び、ローテータ30が旋回方向とは逆に回転することによって、客室32の中心平面100が第1の線40と実質的に整列するようになる。
【0042】
図15は、乗り物車両12がガイドレール14のカーブ38の頂点46に到達した時の乗り物車両システム10の実施形態の斜視図である。図示のように、カーブ38の頂点46では、スライダ28がカーブ38の外側に向かって延び、ローテータ30が回転することによって、客室32の中心平面100が第1の線40と実質的に整列する。いくつかの実施形態では、頂点46に到達すると、ローテータ30が回転することによって、客室32の中心平面100が第2の線42と実質的に整列できるようになる。他の実施形態では、ローテータ30が回転せずに、客室32が第2の線42に沿って移動する際にその実質的な整列を維持することができる。
【0043】
図16は、乗り物車両12がガイドレール14のカーブ38の頂点46から離れて移動している時の乗り物車両システム10の実施形態の斜視図である。乗り物車両12がガイドレール14に沿ってカーブ38の頂点46を過ぎて進むと、ローテータ30が旋回方向に回転し、スライダ28がカーブ38の内側に向かって中立位置に向かって収縮することにより、ガイドレール14が第2の線42に合流した時に、客室32の中心平面100が地点44から離れて第2の線42に沿って移動するようになる。
【0044】
図17は、乗り物車両12がガイドレール14のカーブ38を脱出した時の乗り物車両システム10の実施形態の斜視図である。乗り物車両12がガイドレール14に沿ってカーブ38を過ぎて進むと、スライダ28及びローテータ30がそれぞれの中立位置に戻ることにより、客室32の中心平面100が地点44から離れて第2の線42に沿って移動するようになる。
【0045】
なお、図1図2及び図13図17では、スライダ28及びローテータ30を使用して乗り物車両12の急旋回をシミュレートすることについて説明したが、これらの技術を使用して乗り物車両12の他の効果を生み出すこともできると理解されたい。例えば、図18及び図19に、真っ直ぐな乗り物経路16に沿って移動しながらスラローム動作をシミュレートする乗り物車両12を示す。
【0046】
図18は、スラローム動作をシミュレートし始めた乗り物車両システム10の実施形態の斜視図である。図示のように、スライダ28が第1の線形方向又は横方向400に延び、ローテータ30が第2の回転方向402に回転することにより、客室32の中心平面100はもはや第2の線42と実質的に整列しなくなっている。いくつかの実施形態では、客室32の中心平面100が第2の線42からオフセットされ、第2の線42に対して斜めになることができる。他の実施形態では、客室32の中心平面100が第2の線42からオフセットされるが、第2の線42と実質的に平行であることができる。さらなる実施形態では、客室32の中心平面100が第2の線42に対して斜めになるが、第2の線42からオフセットされないようにすることができる。
【0047】
図19は、スラローム動作をシミュレートしている最中の乗り物車両システム10の実施形態の斜視図である。図示のように、スライダ28は、第1の線形方向又は横方向400とは逆の第3の線形方向又は横方向450に延びる。これに対応して、ローテータ30が第2の回転方向402とは逆の第4の回転方向452に回転することにより、客室32の中心平面100はもはや第2の線42と実質的に整列しなくなっている。いくつかの実施形態では、客室32の中心平面100が第2の線42からオフセットされ、第2の線42に対して斜めになることができる。他の実施形態では、客室32の中心平面100が第2の線42からオフセットされるが、第2の線42と実質的に平行であることができる。さらなる実施形態では、客室32の中心平面100が第2の線42に対して斜めになるが、第2の線42からオフセットされないようにすることができる。これらの動き(すなわち、スライダ28及びローテータ30の往復運動)を数珠つなぎにして、1つ又は一連の物体の周囲を及び/又はこれらの間をスラロームする効果、又は客室32を空間内で前後に動かす効果を生み出すことができる。
【0048】
これらの技術を使用して、ガイドレール14が真っ直ぐであり続けながら、乗り物車両12が(例えば、1又は2以上の物体にぶつかるのを避けるように)素早く方向を変える効果、又は複数の物体の間をスラロームする効果を生み出すことができる。同様に、乗り物経路16と客室32との間に配置されたスライダ28及びローテータ30を使用して、これらの動きを生み出すようにガイドレール14を成形することなく客室32を動かすこともできる。従って、乗り物システム10は、このようなシステムを使用して、車両経路を定める1又は2以上のガイドレール14をたどるだけでは達成するのが困難又は非効率的と思われる方法で客室32を動かすことができる。客室32の動きの中には(例えば、スライダ28及びローテータ30を使用せずに)ガイドレール14を適切に成形することによって達成できるものもあるが、適切な形状のガイドレール14を製造することは困難、高価及び/又は非効率的な場合がある。従って、真っ直ぐなガイドレール14を使用し、スライダ28及びローテータ30を使用して客室32の所望の動きを達成することで資源を節約することができる。
【0049】
開示する技術は、1又は2以上のゲストを収容する客室と、ガイドレールに結合するシャーシと、シャーシと客室との間に配置されたスライダ及びローテータとを有する乗り物車両を含む。スライダは、ガイドレールに沿った移動方向に対して実質的に横向きの水平方向に客室を往復運動させる。ローテータは、客室をシャーシに対して回転させる。これらのコンポーネントを協働的に使用して、乗り物経路をたどる乗り物車両では生み出すのが困難、非効率的又は高価であると思われる効果を生み出すことができる。例えば、急旋回(例えば、急な90度の旋回)をシミュレートするために、乗り物車両が旋回部の頂点に接近すると、スライダが中立位置から旋回部の外側に向かって延びることができ、ローテータが中立位置から旋回部の外側に向かって回転することができる。乗り物車両が旋回部の頂点を通過して離れると、スライダは中立位置に向かって後退することができ、ローテータは旋回部の内側及び中立位置に向かって逆回転することができる。しかしながら、スライダ及びローテータを個別に又は協働的に使用して他の効果を生み出すこともできる。
【0050】
当業者であれば理解するように、本明細書で使用する「実質的に(substantially)」という単語(例えば、「実質的に横向きの」、「実質的に平行な」、「実質的に整列した」、「実質的に垂直な」など)は、2つのコンポーネントが完全に横向きの、平行な、整列した、垂直な状態などではなく、完全に横向きの、平行な、整列した、垂直な状態などに十分に近いものであってもよく、このようなコンポーネントの動作が、完全に横向きの、平行な、整列した、垂直な状態などのコンポーネントと著しく異ならないことを意味するように意図される。従って、「実質的に」という用語は、0.01%、0.1%、1.0%、2%、3%、4%、5%、又は対象のコンポーネントの動作を著しく変化させない他の何らかの値ほどのばらつきを許容することができる。しかしながら、たとえ「実質的に」のような用語を修飾語として使用していなくても、数学用語(例えば、平行)は、厳正な数学的関係としてではなく本開示の分野における実践的な形で解釈されると理解されたい。
【0051】
本明細書では、本開示のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に該当する全てのこのような修正及び変更を含むものであると理解されたい。
【0052】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、従って抽象的なもの、無形のもの又は純粋に理論的なものではない実際的性質の有形物及び具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「...[機能]を[実行]する手段」又は「...[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0053】
10 乗り物システム
12 乗り物車両
14 ガイドレール
16 乗り物経路
18 乗り物車両ベース
20 シャーシ
22 ピンチホイール
24 前部及び後部支持ホイール
26 スライダ支持ホイール
28 スライダ
30 ローテータ
32 客室
34 移動方向
40 第1の線
42 第2の線
46 旋回部の頂点
100 客室の第1の中心平面
102 客室の第2の中心平面
図1
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【国際調査報告】