(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(54)【発明の名称】高効率発電システム及びその運用方法
(51)【国際特許分類】
H02N 11/00 20060101AFI20220221BHJP
【FI】
H02N11/00 X
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021538858
(86)(22)【出願日】2020-01-02
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 IB2020050004
(87)【国際公開番号】W WO2020141467
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2019-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521291138
【氏名又は名称】エーアンドアイ パワー グループ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】A&I POWER GROUP INC.
【住所又は居所原語表記】1013 Centre road, Suite 403-B, Wilmington, DE 19805, Country of New Castle, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘレラ,アレクシス・エデュアルド
(72)【発明者】
【氏名】バグダーン,イヤード・サマー
(57)【要約】
本発明は磁気誘導を利用した発電システムおよびその運用方法を提供する。本発明の発電システムは、電源から励起電圧を受ける少なくとも1つの固定電磁石を含む。この少なくとも1つの固定電磁石は、N極、S極、および磁場を有する。また、本発明の発電システムは、磁場の内側に配置され、少なくとも1つの電磁石の磁力線と交差する少なくとも1つの固定コイルを含み、少なくとも1つの電磁石が励起されると、少なくとも1つの固定コイルに起電力(EMF)が誘導される。供給される電力は、直流または交流である。さらに、本発明の発電システムは、少なくとも1つの電磁石に導入される電流の変化率を変調させるための周波数変調器を含み、電流の変化率の変化によってコイルに誘導起電力を発生させる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導発電システムにおいて、
N極、S極および磁場を有していて、電源から励起電圧を受ける少なくとも1つの固定電磁石と、
前記少なくとも1つの固定電磁石の磁場の内側に配置され、前記磁場の磁力線と交差する少なくとも1つの固定コイルと、を備え、
前記電源が、前記電源から前記少なくとも1つの固定電磁石に供給される電流の変化率を変調し、前記少なくとも1つの固定電磁石が前記電源によって励起したとき、前記少なくとも1つの固定コイルに起電力を誘導させるように構成される、誘導発電システム。
【請求項2】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記電源から少なくとも1つの固定電磁石に供給される電流の変化率を変調する変調器をさらに備え、前記少なくとも1つの固定電磁石が前記変調器で制御された前記電源によって励起したとき、誘導電流を発生させる前記少なくとも1つの固定コイルに起電力が誘導される、誘導発電システム。
【請求項3】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記少なくとも1つの固定電磁石が、2つ以上の電磁石からなり、前記少なくとも1つの固定コイルが、前記2つ以上の電磁石のN極とS極のそれぞれの場所の近傍に設けられている、誘導発電システム。
【請求項4】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記電源が、直流電源または交流電源のいずれかである、誘導発電システム。
【請求項5】
請求項2記載の誘導発電システムにおいて、前記変調器が、前記電源の電流信号に、パルス波、矩形波、三角波、三角パルス、正弦波、のこぎり波を含む1つ以上の変調信号を印加することにより、前記電流の変化率を変調させる、誘導発電システム。
【請求項6】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記少なくとも1つの固定コイルが、前記磁力線と、前記磁力線と交差する前記少なくとも1つの固定コイルの表面に対する法線方向との間の角度が0になるように構成されている、誘導発電システム。
【請求項7】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記少なくとも1つの固定電磁石が、N極およびS極の表面積を最大にするように形成され、N極およびS極が、N極およびS極の表面に内在するN極からS極へ移動する磁力線を防ぐための材料によって分離され、前記少なくとも1つの固定コイルが、N極とS極の少なくとも一方の表面積全体を覆うように互いに隣接して配置された一連のコイルから構成されている、誘導発電システム。
【請求項8】
請求項7記載の誘導発電システムにおいて、前記材料が非磁性材料である、誘導発電システム。
【請求項9】
請求項7記載の誘導発電システムにおいて、前記材料がVCM(Voltage Controlled Magnetism)を用いたものである、誘導発電システム。
【請求項10】
請求項9記載の誘導発電システムにおいて、前記VCM材料に変調された電流を印加するための外部電源付き変調器をさらに備え、前記変調器が変調された電流を前記VCM材料に印加することで、前記VCM材料の極性が切り替える、誘導発電システム。
【請求項11】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記システムが、前記少なくとも1つの固定電磁石と前記少なくとも1つの固定コイルとの間に配置されたVCM層をさらに備える、誘導発電システム。
【請求項12】
請求項11記載の誘導発電システムにおいて、前記VCM層に変調された電流を印加するための外部電源付き変調器をさらに備え、前記外部電源付き変調器が変調された電流を前記VCM層に印加することで、前記VCM層の極性が切り替わり、前記外部電源付き変調器が前記VCM層の極性を急速に切り替えて、前記少なくとも1つの固定コイルに起電力と電流を誘導する、誘導発電システム。
【請求項13】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記少なくとも1つの固定電磁石が、硬磁性材料部と軟磁性材料部からなる永久電磁石(EPM:Electro Permanent Magnet)であり、前記システムが、前記EPMの硬磁性材料部の1つの部分のみの磁気極性を反転させるための第2電源をさらに備え、前記第2電源が電流を前記EPMの硬磁性材料部の1つの部分のみに印加する、誘導発電システム。
【請求項14】
請求項13記載の誘導発電システムにおいて、前記硬磁性材料部の1つの部分の磁気極性を反転させる周波数を制御する変調器をさらに備え、前記変調器が前記第2電源の電流の周波数および印可時間を制御する、誘導発電システム。
【請求項15】
磁気誘導を利用した発電方法において、
電源を用いて固定電磁石に電力を供給する工程と、
前記電源から前記固定電磁石に供給される電流の変化率を変調する工程と、
前記固定電磁石の磁場内に配置され、前記磁場の磁力線と交差する少なくとも1つの固定コイルに電流を誘導させ、前記少なくとも1つの固定電磁石が電源によって励起されたときに誘導起電力を発生する工程と、を含む、磁気誘導を利用した発電方法。
【請求項16】
出力効率を向上させるために従来の誘導発電機を改質する方法において、
前記従来の誘導発電機の回転子およびその中の電磁石を、前記従来の誘導発電機の固定子に対して固定させる工程と、
前記回転子の回転運動を無力化させ、該運動に寄与する任意のシステム構成要素を除去する工程と、
固定回転子上の前記電磁石に変調された電流を印加して、前記電磁石に供給される変調された電流に急激な変化を発生させる工程と、
前記変調された電流の急激な変化により、前記固定子の巻線に起電力と電流を誘導する工程と、を含む、出力効率を向上させるために従来の誘導発電機を改質する方法。
【請求項17】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記少なくとも1つの固定コイルが、前記少なくとも1つの固定電磁石のN極およびS極の少なくとも一方の近傍に配置されている、誘導発電システム。
【請求項18】
請求項17記載の誘導発電システムにおいて、N極とS極の少なくとも一方の間に配置されたVCM層をさらに備え、前記少なくとも1つの固定コイルが、前記VCM層の近傍に配置されている、誘導発電システム。
【請求項19】
請求項1記載の誘導発電システムにおいて、前記少なくとも1つの固定電磁石が中空ソレノイドであり、前記少なくとも1つの固定コイルが前記少なくとも1つの固定電磁石の内部に配置されている、誘導発電システム。
【請求項20】
請求項18記載の誘導発電システムにおいて、前記少なくとも1つの固定電磁石と前記少なくとも1つの固定コイルとの間に配置されたVCM層をさらに備える、誘導発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年1月3日に出願され、「A High Efficiency Power Generation System and a Method of Operating Same」と題された米国仮特許出願第62/787,975号で優先権を主張する米国非仮特許出願であり、その全体が参照して本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、発電システムに関するものであり、特に誘導を用いた高効率発電システムとその運用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
現在の技術において、発電所で発電するために用いる燃料源として、通常、石炭、石油、天然ガス、原子力、太陽エネルギーなどが使用される。コンバインドサイクル発電所では、熱を作るために炭化水素が使われる。この熱が水を沸騰させて蒸気を作り、高圧の蒸気がタービンを回し、このタービンがシャフトを回転させて、このシャフトに電磁石(または永久磁石)を設置した回転子が接続される。回転子の周囲には、固定コイル(固定子)が配置されている。タービンの回転には、風力や落水などを利用する場合もある。シンプルサイクル発電所では、高温の燃焼ガスがタービン内を膨張する際に、回転翼を回転させることで、発電機を回転させ、電気を発生させる。
【0004】
通常、電磁石は直流電圧をかけることで磁場を発生させる。回転子が回転し、シャフトを介して電磁石が回転すると、電磁石の磁力線が固定コイル(固定子)を横切る。その結果、ファラデーの電磁誘導の法則により、コイル(固定子)の導線に交流電流が誘導される。電磁石の回転が速いほど(つまり磁力線の回転が速いほど)、固定子に流れる誘導電流も大きくなる。回転シャフトによって回転する電磁石の近傍に配置された固定コイルを
図1で示す。
図1の破線は磁力線を表す。電磁石が回転すると、それに伴って磁力線も回転し、磁力線が固定コイルを横切ることになる。これにより、コイルに起電力(emf)または電位が発生する。
図1では、これを時間の関数としてV
emfで表している。
【0005】
ファラデーの電磁誘導の法則は、2つの固定磁石の間に環状の導線をクランクで回転させる方法にも適用できる。これにより、連続的に変化する電圧が発生し、ファラデーの電磁誘導の法則に基づいた交流電流が生成される。クランクの回転速度が速いほど、より多くの電流が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のシステム設定において、シャフトの回転を引き起こす構成要素が含まれており、この構成要素の維持コストは高価である。さらに、システムの操作性と効率は、ボイラ、タービン、シャフト、およびそれらのカップリングを含む、このシステムの構成要素の多くの適切な動作に関連している。さらに、シャフトの機械的な動きが回転子の回転運動並びに磁石やコイルの回転運動につながるため、熱や摩擦によってかなりの量のエネルギーがシステム内で失われる。実際、上記のような従来の仕組みを利用した発電機の効率は60%を超えないことが知られている。さらに、シャフトの回転に必要な機械的エネルギーを生成するために使用される燃料源は、環境に悪影響を与える。そのため、発電効率を高め、かつこれらの欠点を克服した新しいエネルギー生成システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は複数の態様を含む。本発明の一態様において、誘導発電システムが説明される。本システムは、N極、S極および磁場を有していて、電源から励起電圧を受ける少なくとも1つの固定電磁石を備える。また、本システムは、磁場の内側に配置され、磁場の磁力線と交差する少なくとも1つの固定コイルを備える。いくつかの実施形態において、少なくとも1つの固定コイルは、少なくとも1つの固定電磁石のN極およびS極のうちの少なくとも1つの近傍に配置されている。他の実施形態において、電磁石は中空ソレノイドであり、少なくとも1つの固定コイルが電磁石の内部に配置されている。本システムにおいて、電源は、電源から少なくとも1つの固定電磁石に供給される電流の変化率を変調し、少なくとも1つの固定電磁石が電源によって励起したとき、少なくとも1つの固定コイルに起電力を誘導させるように構成される。
【0008】
関連する実施形態において、本システムは、電源から少なくとも1つの固定電磁石に供給される電流の変化率を変調する変調器をさらに備える。変調器で制御された電源によって少なくとも1つの固定電磁石が励起されると、誘導電流を発生させる少なくとも1つの固定コイルに起電力が誘導される。変調器は、電源の電流信号に、パルス波、矩形波、三角波、三角パルス、正弦波、のこぎり波を含む1つ以上の変調信号を印加することにより、電流の変化率を変調させるために使用される。
【0009】
さらに他の関連する実施形態において、少なくとも1つの固定電磁石は2つ以上の電磁石からなり、2つ以上の電磁石の各極のそれぞれの場所の近傍に、少なくとも1つの固定コイルが設けられている。
【0010】
他の実施形態において、電源は、交流電源または直流電源であってもよい。他の実施形態において、固定コイルは、電磁石の磁力線と、磁力線と交差する少なくとも1つの固定コイルの表面に対する法線方向との間の角度が0になるように構成される。これにより、磁力線に晒される表面積を最大化することができ、該構成を常に所定の位置に保持することができる。
【0011】
電磁石の磁場に蓄えられた位置エネルギーを最大限に利用することを想定した、他の実施形態において、電磁石は、N極とS極を隔てる空間を保持し、N極とS極の表面積を最大化する形状になるように構成されてもよい。このような形状の例として、球形や箱形があるが、本発明の範囲内において、他の形状であってもよい。磁力線が極間の空間内でN極からS極へ通過するのを防ぐために、該空間内で磁力線がN極からS極へ移動するのを防ぐ特性を持つ材料で極間の空間を満たす。この実施形態において、少なくとも1つの固定コイルが、N極とS極の少なくとも一方の表面積全体を覆うように互いに隣接して配置された一連のコイルを含んでもよい。他の関連する実施形態において、2つの極を分離するために使用される材料は、非磁性材料から作られてもよい。他の関連する実施形態において、材料はVCM(Voltage Controlled Magnetism)を使用して作られてもよい。このような実施形態において、変調された電流をVCM層に印加する、外部電源付き変調器が使用されてもよい。変調器の使用によって、VCMの極性が切り替わり、磁力線がVCM層を通過できなくなり、磁力線がその表面領域の外側表面にあるN極からS極へと通過する。これにより、磁力線は、N極とS極のいずれかまたは両方の外部に配置された固定コイルを通過することができる。
【0012】
他の関連する実施形態において、誘導発電システムは、少なくとも1つの固定電磁石と少なくとも1つの固定コイルとの間に配置された薄いVCM層をさらに含んでもよい。固定子が電磁石の外部にある実施形態において、少なくとも1つの固定コイルは、VCM層に近接して配置される。このVCM層は、N極およびS極のうちの少なくとも1つに近接して配置され、少なくとも1つの固定コイルは、極のうちのいずれかまたは両方の近傍に配置される。固定子が電磁石の内部に配置される実施形態において、VCM層は、少なくとも1つの固定電磁石と固定子の少なくとも1つの固定コイルとの間に配置される。これらの構成のいずれかにおける薄いVCM層は、独自電源によって供給されてもよい。十分な電力が供給されると、VCM層の磁気極性が反転する。これにより、VCM層は、電磁石の極から極の外部にあるコイルに通過する磁力線を遮断する。他の実施形態において、VCM電源から供給される電流の印可時間を変調し、逆極性の印可時間を制御するために変調器が使用される。これにより、電磁石の外部コイルを通過する磁場のオンオフオン(「on-off-on」)機構が形成され、外部コイルに起電力と電流が誘導される。
【0013】
他の実施形態において、誘導発電システムの電磁石として、硬磁性材料部と軟磁性材料部からなる永久電磁石(EPM、Electro Permanent Magnet)が使用されてもよい。本システムは、EPMの硬磁性材料部の1つの部分のみに電流を印加して、その部分の磁気極性を反転させるための第2電源をさらに含んでもよい。硬磁性材料部のその部分の極性を反転させることにより、電磁石の硬磁性材料部の1つの部分の極性が変化し、磁力線がS極からN極に向かう循環で磁性材料の内部を通過するだけになるため、電磁石の外部の磁力線が消失する。しかし、2つの硬磁性材料部の極性が同じになるように再び極性を反転させると、これによって磁力線が電磁石の外部においてN極からS極へと流れ、それによって電磁石の外部にあるコイルを横切る。他の関連する実施形態において、本システムは、第2電源の電流の周波数および印可時間を制御する変調器を備えている。これにより、硬磁性材料部の1つの部分のみの磁気極性を反転させる周波数を制御することができる。そのため、電磁石のN極とS極の外側に配置されたコイルの磁束と磁場の変化をシミュレートし、最終的にコイルに起電力と電流を誘導する。
【0014】
本発明の別の態様は、磁気誘導を用いて発電する方法に関連するこの方法は、電源を用いて固定電磁石に電力を供給する工程と、電源から電磁石に供給される電流の変化率を変調する工程と、電磁石の磁場の内部に配置され、磁場の磁力線と交差する少なくとも1つの固定コイルに電流を誘導する工程を含む。この誘導は、少なくとも1つの電磁石が電源によって励起されるときに生じる。この方法は、上述および本開示で説明したシステムのいずれかを用いて適用することができる。
【0015】
本発明の別の態様は、出力効率を高めるために従来の誘導発電機を改質する方法に関連する。この方法は、従来の誘導発電機の回転子およびその中の電磁石を、従来の誘導発電機の固定子に対して固定させる工程を含む。また、この方法は、回転子の回転運動を無力化させ、該運動に寄与する任意のシステム構成要素を除去する工程を含む。つまり、従来から使用されている回転シャフトの機能が必要なくなるため、システムから完全に取り除いてもよい。回転シャフトがなければ、タービンと、タービンを動かすために必要なすべての機構もシステムから排除される。さらに、この方法は、固定回転子上の前記電磁石に変調された電流を印加して、前記電磁石に供給される変調された電流に急激な変化を発生させる工程を含む。最後に、この方法は、電流の急激な変化により、固定子の巻線に起電力と電流を誘導する工程を含む。従来の誘導システムにこのような改質を加えた結果、シャフトとタービンの機械的な動きを必要とせず、固定子の巻線に起電力と電流を誘導する能力を保持することができるため、誘導発電機の効率が向上する。機械的な要件をすべて排除することで、エネルギー損失が大幅に減少し、システムの効率が向上する。
【0016】
本発明の他の態様および実施形態は、本発明の詳細な説明で示す。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面は、本発明で例示している非限定的な実施形態を示す。
【
図1】先行技術の回転シャフトで回転する磁石に近接した固定コイルに誘起される起電力を示した図である。
【
図2】先行技術の誘導発電機の部分縦方向断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る誘導発電機の透視図である。
【
図4】
図3に示した実施形態の誘導発電機の部分縦方向断面図である。
【
図4A】先行技術の誘導発電機と本開示に記載されている本発明の誘導発電機における、回転子の磁場の一般的な挙動、及び固定子で発生する磁束およびEMFの比較を示した図である。すべての関数は正規化されており、比較のために必要に応じて位相シフトが適用されている。
【
図5】本発明の実施形態に係る誘導発電機の回転子と固定子を表すLR直列回路の模式図である。
【
図6】
図5に示したLR回路において、V(t)を直流電圧供給とした場合の電流I(t)の時系列変動を示した図である。
【
図7】複数の電磁石とそれに対応する固定子部分が設けられた、本発明の実施形態に係る誘導発電機の縦方向部分断面図である。
【
図8】本発明の別の実施形態で例示している誘導発電機の断面図である。
【
図8A】本発明のさらに別の実施形態で例示している誘導発電機の断面図である。
【
図9】VCM(Voltage Control Magnetism)を用いて構築された材料を利用した本発明の一実施形態に係る誘導発電機の断面図である。
【
図10】EMP(Electro Permanent Magnets)を利用した本発明の一実施形態に係る誘導発電機の断面図である。
【
図11A】ONの構成におけるPEM内の磁力線の挙動を示す模式図である。
【
図11B】OFFの構成におけるPEM内の磁力線の挙動を示す模式図である。
【
図12】本発明の別の実施形態に係る誘導発電機の透視図である。
【
図12A】電磁石コイルに固定子コイルが部分的に挿入された
図12の誘導発電機の部分透視図である。
【
図12B】
図12の誘導発電機の電磁石コイル及び固定子の側面図である。
【
図13】本発明の別の実施形態に係る誘導発電機の透視図である。
【
図13A】固定子コイルとVCM層が部分的に挿入された
図13の誘導発電機の電磁石コイルの部分透視図である。
【
図13B】
図13の誘導発電機の電磁石コイル、固定子コイル、VCM層の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
当業者がより深く理解できるように、具体的な内容を以下の説明で示す。しかし、本開示が不必要に不明瞭になることを避けるために、よく知られた要素は、詳細に示されていない、または説明されていない可能性がある。当該技術の例に関する以下の説明は、網羅的であることを意図するものではなく、また、システムを任意の例示的な実施形態を正確な形態に限定することを意図するものでもない。したがって、本説明および図面は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で捉えられるべきである。
【0019】
本発明は、誘導を用いて電気エネルギーを生成するシステムおよびその運用方法を提示する。本開示に記載されているシステムによって生成されるエネルギーの効率は、当該技術分野で知られている発電所で達成される最大効率のものよりも高い。本システムは、ファラデーの電磁誘導の法則を考慮して実現する。
【0020】
ファラデーの電磁誘導の法則は、磁場が電気回路と相互作用して起電力(EMF)を発生させることを予言している。この現象は電磁誘導として知られており,トランスやインダクタ,多くの電気モータ,発電機,ソレノイドに利用されている。この法則によると、環状導線で囲まれた面を通る磁束が時間変化したときに、環状導線に起電力が発生することを説明している。起電力は、単位電荷が環状導線を1周するときの電磁的仕事と定義される。この関係を数学的に示すと、次の数式1のようになる。
【0021】
【0022】
ここでεは起電力であり、ΦBは磁束である。磁束は表面積Sを通過する磁場Bの法線成分の面積分で、次のように表すことができる。
【0023】
【0024】
ここでθは磁力線と表面Sの間の角度である。N個の巻数で構成され、固く巻かれた導線のコイルに同じΦ
Bを与えると、起電力は以下のように表せる。
【数3】
【0025】
マクスウェル-ファラデー方程式は、空間的に変化する電場には必ず時間変化する磁場が存在するという事実を表したものである。具体的には、磁束の変化が閉環状の電場を生成する。数学的には次のように表される。
【0026】
【0027】
ここでΣは閉曲線∂Σで囲まれた平曲面であり、Eは電場であり、Bは磁場であり。dlは閉曲線∂Σの無限小ベクトル要素であり、dAは平曲面Σの無限小ベクトル要素であり、Σは時間変化しない
【0028】
また、コイルのように、電流を流す導体が磁場を発生させることも知られている。このような場合の磁場の挙動は、棒磁石の場合と同様になる。磁場と電流の関係は次のように表される。
【0029】
【0030】
ここでμは中心材料の比透磁率であり、n=N/lはソレノイドの単位長さ当たりの巻数であり、Iは電流である。したがって、磁場はコイルを流れる電流に線形である。
【0031】
図2は、ファラデーの電磁誘導の法則を発電所に応用したもので、回転子上の電磁石を発電機の磁場とともに回転させることで、固定子に起電力を発生させるものである。電磁石には、磁場を発生させるための直流電圧が供給されている。そのため、磁場は変化しないと考えられる。電磁石の回転と磁場の回転により、磁力線と固定子表面の法線との間の角度θが変化すると、磁束はゼロから最大値まで変化する。回転は、回転子に連結されたシャフトを介して確立される。このシャフトは通常、沸騰した水から発生する蒸気などの他の形態のエネルギーを動力源とする蒸気タービンや、シャフトの機械的な動きに変換する既知のエネルギー源を動力源とするその他の物によって駆動される。この回転は、固定子に起電力を誘導し、環状導線に電流を発生させる。
【0032】
したがって、シャフトの回転が回転子の回転や発電機の磁場の回転を制御する。このように、現在使用されている電磁発電機には限界があると考えられており、摩擦や熱などによるエネルギー損失が発生するため、このようなシステムの効率に影響を与える。特に、効率は(入力-損失)×100%で計算される。ここで、損失は、機械的な動きを発生させる全てのエネルギーであり、入力とは、磁束の時間変化である。
【0033】
従来、電流の発生は、ファラデーの電磁誘導の法則、マクスウェル-ファラデーの方程式、および数式6で示されるローレンツ力によって説明されてきた。
【0034】
【0035】
ここでFは点電荷Qが受ける力であり、vは定磁場Bにおける電荷Qの速度である。数式6は、磁場中にあるコイル上の電荷粒子に力が加わると電位差(起電力)が生じ、この電位差によって電荷が移動してコイルに電流が流れるという運動起電力を説明している。同じ方程式がコイルを固定したまま磁場を動かす場合においても成立する。
【0036】
点電荷の観点から考えると、コイルが一様な磁場の中を動くとき、電荷は磁力線を横切るときに磁場の変化を経験する。代替的な見方では、磁力線が電荷を横切るときに、電荷は磁場の変化を経験する。したがって、電荷にとって唯一関連する点は、電荷を横切る磁場の変化率であると考えられる。電荷は、コイルが動いているのか、磁場が動いているのかに関連しない。関連するのは、電荷を横切る磁力線の変化率があるかどうかである。別の言い方をすると、電荷の観点からは、磁場の大きさや強さ(dΦB/dt)に急激な変化があるかどうかが重要である。例えば、電荷は、それと交差する磁力線の数の時間変化から起電力を経験することになる。
【0037】
今回の開示では、誘導発電機の構成と運用方法に基本的な変更が導入されている。特に、発電機の回転子を動かして固定子上の磁束を変化させるのではなく、回転子の電磁石に供給される電流を時間変化させ、磁場Bを時間変化させることで、磁束を変化させる。このように、本開示の発明では、回転子と電磁場を回転させる必要がなく、また、固定磁石の間でコイルを回転させる必要もない。実際、磁束の変化率が同じになると仮定すると、回転子や電磁石を物理的に移動させなくても、固定子に同じ起電力を誘導することができる。コイル上の電荷の観点から考えると、電流の変化率(および磁場の変化率)を変化させることにより、単位電荷に交差する磁力線の数が時間変化することになるため、ファラデーの電磁誘導の法則に従い、固定子には起電力が発生することになる。
【0038】
そのため、従来の発電所で使われていたシャフトやタービン、そしてタービンやシャフトを動かすためのシステムの構成要素が不要になる。また、シャフトやタービン、その他の構成要素が不要になることで、摩擦や熱、トルクなどによるエネルギー損失がなくなる。このようなエネルギー損失を発電機全体の出力から差し引く必要がないため、誘導発電機の効率を高めることができる。
【0039】
図3は、本発明で例示している実施形態に係る誘導発電機300の部分透視図である。
図3は、回転子1の一部分にコイル3を巻き付け、コイル3の端部を取り付けられる電源5から電位差を供給することにより、電磁石2を形成する回転子1を示している。
図3は、電磁石2のN極NとS極Sを示したものである。電磁石の芯は、電磁石を組み立てるために当技術分野で知られている任意の材料から作られる。非限定的な例として、中心材料は鉄心であってもよい。
図3は、電磁石2のN極およびS極に近接して配置される固定子4を示している。
図3からわかるように、回転子1と固定子4の両方が固定されている。
図4は、誘導発電機300の部分縦方向断面図である。
【0040】
図3の芯は、単一の構造を持ち、1つの材料から作られていることが示されているが、本発明の他の実施形態において、芯は異なる形態をとってもよく、および/または、2つ以上の異なる材料から作られてもよい。本発明で使用されるコイル3および固定子4のための当該技術分野における任意の既知の材料は、コイルおよびワイヤの抵抗を最小化するための超伝導材料を含むが、これに限定されない。
【0041】
図3および
図4で説明される実施形態では、周波数変調器6が設けられている。変調器6は、電源5から電磁石2に電流が供給される周波数を制御して変更することができる。いくつかの実施形態において、変調器6は、電源とは別に、
図3に示したような独自の電源を有していてもよい。他の実施形態において、変調器は、電源に組み込まれていてもよい。いずれの構成にも、当該技術分野で知られている任意の電源を使用することができる。他の実施形態において、そのような電源は、この目的のために専用された固定子の余分なコイルから得られてもよい。このような実施形態では、システムの初期動作に外部電源が必要となる。システムをしばらく稼働させた後、専用の追加コイルに誘導された起電力をシステムに循環させ、外部電源を補う。これは、電磁石に供給される直流電圧の外部電源が、ある程度の動作の循環後、システムの固定子にある専用コイルから発生する起電力によって補われるという、現在の既存の発電所技術と同様である。固定子に専用コイルを追加することで、他の方法では獲得できない、磁場に蓄えられた潜在的な磁気エネルギーの一部を獲得できる。
【0042】
変調器6は、電源5からの電流が電磁石2に供給される周波数を変更・制御するために使用されるので、電源は交流電源または直流電源のいずれであってもよい。また、電源5の電流周波数を変調するために、当技術分野で知られている異なる変調信号を変調器6で使用してもよい。非限定的な例として、変調器6は、周波数変調のために当技術分野で知られているパルス波、矩形波、三角波、三角パルス、正弦波、のこぎり波、または他の形態の波またはパルスの組み合わせのいずれか1つを電源5の電流に適用してもよい。
【0043】
数式5に示すように、磁場は電源から電磁石に供給される電流に比例する。また、数式3から、起電力は、磁束の時間変化に比例することが示されている。さらに、回転子1と固定子4を固定させ、磁場と固定子巻線の表面の法線との間の角度がゼロになるように固定子巻線を配向させるようにシステムを構成することで、数式2は次のように簡略化される。
【0044】
【0045】
表面積を既知の状態にし、すべての固定子巻線の表面積が同じになるようにシステムを構成すると、数式7により、磁束が磁場に比例することが示される。したがって、数式7と数式5、数式3を組み合わせることで、固定子に発生する起電力が、電源から回転子の電磁石に供給される電流の変化率に比例することが示される。
【0046】
図4Aは、従来の誘導発電機と本開示に記載されている本発明の誘導発電機における、回転子上の磁場の挙動、ならびに固定子で発生する磁束および起電力の挙動を比較したものである。すべての関数は、比較のために、必要に応じて正規化され、位相シフトが適用される。
図4A-(1)において、従来の誘導発電機の磁場は、電磁石に直流電圧を供給することで一定レベルに維持されている。数式2を用いて、そのシステムの磁束をプロットすると、磁束はScosθに比例することがわかる。
図4A-(2)は、θが0から2πになったときの磁束の様子を示したものである。最後に、
図4A-(3)は、数式1を考慮して、そのシステムで発生する起電力の描写をプロットしたものである。新しい誘導発電機では、電流周波数が変調された交流または直流の励起電圧が、時間経過とともに電磁石に供給される。非限定的な例として、
図4A-(4)に示すように、電流が時系列的に正弦波信号として振る舞うように変調の性質を選択することができる。電流と磁場の間に直接的な比例関係があることから、
図4A-(5)の磁場は、時間経過とともに電流と同じ挙動を示すことがわかる。また、θが0から2πまで変化し、固定子巻線の表面積が一定に保たれていても、同様の挙動が示されることが
図4A-(6)によってわかる。最後に、
図4A-(7)は、数式3の観点から、新しい誘導システムで発生する起電力の時間経過を描いたものである。新しいシステムと従来のシステムで発生する起電力の挙動は、実質的に類似していることに注目すべきである。
【0047】
図5は、回転子を表すLR直列回路を示している。ここで、抵抗Rはコイルのものであり、インダクタLは、回路が閉じている(すなわち、スイッチがオンになっている)ときに時間変化する電圧および電流を受ける電磁石の周りに巻かれたコイルを代表している。また、
図5には、
図3の誘導発電機300の固定子側の固定子巻線を代表するインダクタが示されている。なお、他の実施形態において、同期発電機のより生成的な等価回路が用いられてもよい。また、他の実施形態において、V相の出力にコンデンサを追加して、必要な励起電圧の量を減らすことで、発電機の効率を向上させてもよい。また、他の実施形態において、出力起電力を改善するために、固定子コイルの出力にコンデンサを追加することで、発電機の効率を改善してもよい。
【0048】
図5に示す回路を参照すると、閉回路で、電源が直流の場合、電流I(t)は回路を流れ始めるが、オームの法則で決まるV/Rの最大値にすぐに達しない。この回路における電流の時系列変動を
図6に示し、下記に数学的に表現する。
【0049】
【0050】
ここで、L/Rは時定数(τ)であり、V/Rは5回の時定数経過後の最終的な定常状態における電流値である。電流がこの最大の定常状態に達すると、コイルのインダクタンスはゼロになり、短絡に近い状態になり、事実上、インダクタは回路から取り除かれる。
【0051】
また、電流I(t)の時間変化率(dI(t)/dt)は、
図6に示す曲線の傾きとなる。したがって、数式8、数式7、数式5、数式3を組み合わせると、固定子側の起電力は以下のように表すことができる。
【0052】
【0053】
ここでL=(μNsNRS)/lRであり、Nsは固定子側のコイルの巻数、NRは回転子側のコイルの巻数、Sは固定子巻線の表面積、lRはコイルの長さ(メートル)を表している。
【0054】
数式9によれば、回転子の電磁石に供給される電流の変化率を時間変化させることで、固定子に起電力が発生することになる。また、
図6から、電流Iの周波数が高いほど(すなわち、過渡時間のt=0以降のステップの時間が短いほど)、発生する起電力が大きくなることがわかる。ただし、時間領域の無限小間隔がゼロよりも大きくなければならないという、システムの実用的な条件が適用する必要があることを注意しなければならない。
【0055】
図5の回路を再び参照する。閉回路で、電圧が交流の場合、電流の時系列変動は次の常微分方程式を解くことで表現できる。
【0056】
【0057】
ここで、左辺は電圧の時間変化を表していて、Aは信号の振幅であり、fは周波数である。右辺の第1項は回転子側の電流I(t)から見た抵抗Rにかかる電圧であり、第2項は回転子側の電流I(t)から見たインダクタンスLにかかる電圧である。ここで、常微分方程式の原理を用いると、I(t)は次のように表される。
【0058】
【0059】
数式8b、数式7、数式5、数式3を組み合わせると、固定子側の起電力は、上記の数式9で表すことができる。数式9によれば、回転子の電磁石に供給される電流の変化率を時間変化させることで、固定子に起電力が発生する。
【0060】
図3で誘導発電機300について説明した設定を再び参照する。変調器6は、電磁石2に供給される電源の電流の周波数を増加させるように構成されてもよい。また、当技術分野で知られている異なる周波数変調器を本実施形態で使用してもよい。システム内で周波数をどれだけ高くしてもよいかという制限は、ユーザーが選択した変調器の物理的能力に制限される。
【0061】
従来の誘導発電機によれば、回転シャフトが電磁石の回転速度と磁場の速度を制御・変更する役割を担っている。業界標準によれば、所望の電圧出力を生成するために、回転子は通常、3,000RPM/50Hzまたは3,600RPM/60Hzで回転される。シャフトは、より高いRMPでの回転を確立することが可能であるが、そのような回転速度を達成するために使用されるトルクの量は、システムに負担をかけ、誘導発電システムの全体的な効率を低下させるため、実際には行われない。また、このような速度で動作すると、過度の熱が発生し、シャフトを操作する機械的な運動の保持が損なわれる可能性がある。このような理由から、従来の誘導発電機は通常、3,000RPM/50Hzまたは3,600RPM/60Hzで運転され、シャフトをこのような速度で回転するために消費されるエネルギーと、システムで生成される総エネルギー出力との間に平衡を持たしている。
【0062】
これに対して、本開示で提供する誘導発電機は、このような制限を有していない。上述したように、回転子が固定され、数式9で表されるように、発生する起電力は、電流の変化率に比例する。変調器に電力を供給するために必要なエネルギーは、従来の誘導発電機でシャフトを機械的に回転させるために必要なエネルギーよりも大幅に少ない。さらに、当技術分野で知られている周波数変調器では、45KHzの範囲で周波数を制御することができる。これは、従来のシャフト機構で回転する回転子の最大回転数の約900倍である。この速度で周波数を制御するために必要なエネルギーはシステムに負担をかけず、従来のシステムに存在するような回転子を回転させるための機械的な制約がないことから、新しい誘導発電機の効率は従来のものと比較して大幅に向上する。
【0063】
変調器を用いて電流の周波数を上昇させると、電流の変化率が上昇し、磁場の変化率も上昇する。このような電流と磁場の変化率の増加は、磁場の大きさを減少させることにつながる可能性がある。周波数が高くなれば、インダクタに電流が蓄積される時間が短くなるため、上記のことが合理的に理解できる。新システムの誘導発電機で高効率を実現するためには、使用する変調器の周波数と達成される最適な出力電圧との間に平衡関係が成立することが期待される。
【0064】
代表的な磁力線の一般的特性は、磁力線が互いに交差しないこと、および磁力線の密度が極からの距離の増加とともに減少することである。
図3の実施形態において、固定子部は回転子内の電磁石の極の近接した場所だけを覆っている。発電機の回転子が固定される理由と、磁力線と固定子巻線の表面積の法線との間にθ=0を実現するというシステムのデザイン上の理由があるために、上記のように固定子を極に合わせて位置させている。そのため、
図3の実施形態において、回転子を囲む球体の残りの部分は、固定子で覆われていない。このような実施形態において、誘導発電機の製造における材料使用量は最小限になる。
【0065】
磁場の存在する部分に固定子を配置しないため、磁気ポテンシャルエネルギーの一部が利用できない。これを改善するために、異なる実施形態を以下に説明する。一実施形態において、発電機の回転子部に2つ以上の電磁石が設けられてもよい。そのような設計の非限定的な例を
図7に示す。発電機700の回転子701は、固定された6つの極を有している。固定子部704は、3つの電磁石702における6つの極のそれぞれに近接して覆うように構成されている。回転子内の異なる電磁石から磁気干渉を避けるために、システム内の隣接する極の間のギャップ領域に、低透磁率の材料を使用してもよい。また、そのような能力を有する当技術分野の任意の既知の材料を使用してもよい。なお、他の実施形態における電磁石の数は、3つより多くても少なくてもよい。また、電磁石の芯材は、すべて同じ材料で作られていてもよいし、異なる材料で作られていてもよい。さらに、磁場の強さや強度は、3つの電磁石のそれぞれで同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、システム内のすべての電磁石に励起電圧を供給するために、単一の電源を使用してもよいし、別々の電源を使用してもよい。本発明の一実施形態では、回転子が連続する各電流信号間の位相が120度の3相正弦波電流を循環させる。時間変化する電流は、磁束の変化率に相当する起電力を固定子部に誘導する。
【0066】
他の実施形態では、固定子の誘導起電力の領域をできるだけ多くカバーするために、発電機の回転子の異なる設計が考えられる。例えば、N極とS極の表面積を増加させて、2つの極の間に空間を有する球形のほぼ2つの相補的なローブを形成することによって、上記のことを達成することができる。球形の固定子は、実質的に球形の回転子を覆うように使用することができる。このデザインは、回転子を覆う固定子の表面積を最大にする。これにより、回転子を覆う固定子の巻線は実質的にすべての磁場を利用することができる。このような実施形態では、
図8に見られるように、磁極同士が非常に近接した場所で、互いに反対側に設けられる。磁力線は、磁石の外部のN極からS極へ移動する際に、最も抵抗の少ない経路に沿うことが知られている。電磁石の2つの球形ローブ801を分離する小さい隙間が磁力線をN極からS極に移動することを防ぎ、磁力線を固定子804と交差させて、固定子804に起電力を誘導するように、球形外部の経路に沿うことを強制するため、
図8に示すように、VCM(Voltage Control Magnetism)によって構築された薄い層807をN極とS極の間に配置してもよい。あるいは、VCM材料の代わりに、磁気伝導性の低い材料を使用してもよい。そのような特性を持つ当技術分野で知られている任意の材料を、この目的のために使用してもよい。先の実施形態でも提供されていたように、電磁石に電力を供給し、電源から電流が供給される周波数を制御し、変更するための電源805および変調器806が提供される。
【0067】
図8に示された例示的な実施形態において、磁極および周囲の固定子の形状は、球形になるように構成されていた。しかし、本発明では、他の形状を考えてもよい。非限定的な例として、
図8Aに見られるように、N極とS極の間に空間を有する箱型形状の2つの相補的な部分を形成してもよい。固定子は、相補的な形状に形成され、電磁石の磁力線と固定子巻線の表面積の法線との間にθ=0を維持するように、N極とS極の近傍に配置されてもよい。
【0068】
図9は、他の実施形態を示している。この実施形態では、発電機900が、
図3および
図4に提示されたものと同じ設定を有するように示されている。しかしながら、この実施形態では、VCMを用いて構築された薄い層910が、N極およびS極のそれぞれについて、回転子901と固定子904との間に配置されている。このような層を設けることで、磁力線が固定子904に到達するのを遮断することができる。薄い層910が極性を切り替えることで、磁力線遮蔽物として機能するときおよび、磁力線を通過させるときの周波数を制御するためにPWM(pulse width modulator)(図示せず)を使用してもよい。PWMにより、固定子904の巻線を横切る高速磁場オンオフオンのシミュレーションをすることができる。このような実施形態において、磁束(または磁場)の高い急速な変化で起電力が誘導されることを可能にするオンオフを急速に設定することができる高い磁場を利用するために、回転子901に流す電流は十分な高電流としてもよい。これにより、機械的なシャフト機構を持つ従来の発電機と同等以上の高い起電力を誘導することができる。薄いVCM層910のオンオフオンスイッチング効果を変調するためにPWMが使用される場合、電磁石902のコイル903に励起電圧を提供するために変調器906が必要とされない場合があることに留意する必要がある。また、このような実施形態において、電磁石に励起電圧を供給するために、直流電圧905が使用されてもよい。
【0069】
図10は、EPM(Electro Permanent Magnets)が利用した、本発明の別の例示的な実施形態を示す。
図10に提示された誘導発電機1000において、電磁石1002は、2つの部分1002aおよび1002bで構成される。電磁石の部分1002a、1002bのそれぞれは2つの部分からなり、一方の部分1002cは「硬」(高保磁力の)磁性材料から作られ、他方の部分1002dは「軟」(低保磁力の)磁性材料から構成される。
図10では、斜線部分が、硬磁性材料で構成された部分を表している。なお、本実施形態では、このような特性を有する任意の公知の材料が用いられてもよい。コイル1003は、電磁石の部分1002aおよび1002bのそれぞれに巻かれているおり、電源1005は、電磁石に電力を供給するために使用される。コイル1003とは独立した追加のコイル1012は、2つの電磁石部のうち1つの硬磁性材料部(
図10に示す例では電磁石の部分1002bの硬磁性材料からなる部分1002cの周囲)だけに巻かれており、別の電源1011によって電力が供給される。追加の電源1011とコイル1012は、電磁石の磁力線の挙動を変化させるために用いられる。具体的には、コイル1012に電力が供給されない場合、電磁石は、先の
図3で説明したように動作し、磁力線は、電磁石の外部でN極からS極に向かって、交差しないように閉環状に流れる。これを「ON」構成と表現してもよい。
図11Aにこの構成における磁力線の挙動を点線で示す。
【0070】
しかし、
図10のコイル1011に十分な電力を加えると、硬磁性材料の保磁力が異なるため、その部分の極の極性だけが反転する。磁力線の一般的な特徴として、磁性材料内部において、磁力線はS極からN極に向かって流れる。電磁石の一部でS極とN極が変わると、磁力線が常に抵抗の少ない道をたどるため、電磁石の内部に磁力線が流れ、電磁石の外部に磁力線が流れなくなる。これを「OFF」構成と表現してもよい。この現象の模式図を
図11Bに示す。このことから、磁気的に軟らかい材料と硬い材料の磁化の方向が反対の場合、電磁石はその極に正味の外部磁場を発生さない、一方、それらの磁化の方向が揃っている場合、電磁石は外部磁場を発生させる。
【0071】
図10に示す実施形態では、電源1011からコイル1012に供給される電流の周波数および印可時間を制御するために、変調器1013が使用されている。変調器1013は、電源1005とは別体であってもよいし、電源1005と一体であってもよい。コイル1012に供給される電流の周波数および印可時間を制御することで、電磁石の部分1002bの部分1002cの磁極の反転を使用される変調器1013の制限に応じた速い速度で制御してもよい。これにより、外部磁場のON-OFF構成が実現される。これは実質的に、電磁石の外部の磁力線を遮断することを可能にする。固定子巻線1004上の点電荷の観点から考えると、電荷と交差する磁力線の出現および消滅の割合は、時間経過に伴う当該電荷を横切る磁場および磁束の変化に準ずる。このように数式3および数式7を考慮すると、磁場および磁束の変化率の変化により、固定子コイル1004に起電力が誘導されることになる。
【0072】
前述のように、電磁石の芯は、電磁石を形成するために当技術分野で知られている任意の材料から構成されてもよい。いくつかの実施形態において、電磁石は、芯のないコイルから構成してもよい。すなわち、そのような実施形態の電磁石は、中空ソレノイドから生成される。
図12は、そのような構造を表す誘導発電機1200の例示的な実施形態を示す。
図12において、電磁石1202は、ソレノイドのコイル1203を有し、コイル1203の両端に電源1205からの電位差を供給することによって形成される。ソレノイドに電流が流れると、ソレノイドの長手方向の軸に平行な磁力線を有する一定かつ均一な磁場がソレノイドの内部に形成されることが当技術分野では知られている。
【0073】
ソレノイド内の磁場は、コイルの電流と巻数の密度に依存する。この性質を利用するために、
図12では、固定子1204がコイル1203の内部に配置される。これにより、固定子のコイルが、ソレノイド内部の電磁石が発生させる磁力線の通り道になるよう配置される。
図12Aは、固定子コイル1204がコイル1203に部分的に挿入された状態の、
図12の発電機の部分透視図である。コイル表面の法線が磁力線と平行になるように固定子コイルを配向させることで、磁力線にさらされる表面積を常に最大化することができる。表皮効果および近接効果を最小化し、起電力の出力を最大化できるので、ソレノイドに対して固定子コイルを積層することは、当該技術分野で知られている様々な技術を使用することができる。
【0074】
図12Bは、
図12のコイル1203と固定子コイル1204の側面図である。
図12、12A、12Bに示すように、固定子の巻線は、電磁石コイル1203の巻線とは異なる。この例示的な実施形態において、固定子コイルは、電磁石コイルの巻線と比較して、単位長さ当たりの巻数が多い。他の実施形態(図示せず)において、電磁石コイルは、固定子コイルのそれと同じ単位長さ当たりの巻数を有するか、それよりも少ない巻数を有することができる。
【0075】
図12に示す実施形態では、電源1205から電磁石1202に電流を供給する際に、周波数を変更させ、制御する変調器1206が使用される。開示されている他の実施形態と同様に、電源は、直流または交流のどちらでもよい。また、当技術分野で知られている異なる変調信号を使用してもよい。
【0076】
ソレノイド内外の磁場は、重ね合わせの原理やビオ・サバールの法則をもとにして求めることができる。以上のことを参照すると、数式10が成立する。
【0077】
【0078】
ここでBtotは長さL、半径Rのソレノイドコイルの終端からDの距離にある点で計算される全磁場である。また、μ0は真空における透磁率であり、Iはソレノイドコイルに流れる電流であり、nは1mあたりのソレノイドの巻数である。
【0079】
数式10は、回転子に流れる電流が定常的な場合の状態を表している。電流が時間変化する場合は、数式11に従って全磁場を求めることができる。
【0080】
【0081】
ここで、μTは空気や固定子コイルを含むソレノイド内の材料の透磁率である。また、IR(t)は任意の時間における回転子に流れる電流である。
【0082】
数式3、数式5、数式11を組み合わせると、電流IR(t)で励起された半径Rの回転子(ソレノイド)の最後のコイルから距離Dに配置された巻数N、面積Asの1つのコイルの固定子側の導線に加わる起電力または誘導電圧を以下のように表せる。
【0083】
【0084】
ここで、磁束が時間変化する限り、起電力が誘導される。言い換えれば、磁場Bが時間変化する限り起電力が誘導されるし、Bの時間変化が遅くなったり止まったりしてもIR(t)が飽和しない限り、起電力が誘導される。
【0085】
図13は、
図12の発電機を変形した実施形態を示す図である。
図13において、発電機1300は、ソレノイドの内部に配置されたソレノイドコイル1303と固定子コイル1304との間に薄いVCM層1310を有する電磁石1302で構成されている。この構成における薄い層1310は、それ自身の電源(図示せず)によって電力を供給してもよい。十分な電力が供給されると、VCM層の磁気の極性が反転する。これにより、VCM層は、固定子コイルを通過する磁力線を遮断する。このような実施形態では、変調器(図示せず)を使用して、VCM電源から供給される電流の印可時間を変調し、逆極性の印可時間を制御する。これにより、電磁石内部の固定子コイル1304を通過する磁場のオンオフオン機構が形成され、固定子コイルに起電力と電流が誘導されることになる。
【0086】
図13Aは、VCM層および固定子コイル1304が電磁石コイル1303の内部に部分的に挿入された状態における、
図13の発電機の部分透視図である。
図13Bは、電磁石コイル1303、固定子コイル1304およびVCM層1310の側面図である。
図12の実施形態と同様に、固定子巻線は、電磁石コイルの巻線とは異なる。他の実施形態において、固定子巻線は、電磁石コイルの巻線と同じか、それ以下であってもよい。
【0087】
いくつかの実施形態では、磁場を保持するためにケーシングを使用することができる。これは、変圧器で使用されるものと同様である。このようなケーシングは、本開示に記載されている実施形態のいずれかで使用されてもよい。固定子が電磁石の外側に位置する実施形態において、ケーシングを固定子層の上に配置してもよい。固定子が電磁石の内側に配置されている実施形態において、ケーシングを電磁石コイルの外側に配置してもよい。
【0088】
次に、上記いずれかの実施形態の運用方法について説明する。係る方法では、誘導発電機の回転子側に電磁石が設けられている。また、巻線から構成される固定子が設けられており、固定子は、電磁石の磁場の内側に配置され、電磁石の磁力線と交差している。いくつかの実施形態において、固定子は、N極およびS極に対応する電磁石の少なくとも一部の近傍に設けられている。他の実施形態において、電磁石が中空ソレノイドである場合、固定子は電磁石の内部に配置される。本方法は、電磁石が固定子に対して静止させる位置と構成で固定する工程をさらに含む。固定子は、磁力線に対する固定子巻線の向きによって、磁力線と固定子巻線の表面の法線との間の角度がゼロになるように構成されており、これにより、常に磁力線にさらされる表面積が最大になる。また、この方法は、電磁石に電力を供給するために使用される電源の電流の周波数を制御および変更するために使用される変調器を提供することを含む。上記の数式3、数式5、数式7~数式9で確立された磁束、磁場、電流の間の直接的な比例関係を考慮すると、変調器が電磁石に印加される電流の割合を変化させる結果として、固定子の巻線に起電力が誘導されることになる。
【0089】
上記のシステムおよび方法は、新しい誘導発電機の異なる実施形態およびその運用方法を説明している。本開示の範囲は、ハイブリッドシステムが使用されるシステムおよび方法も対象となる。具体的には、固定磁石と固定子を一時的に利用する誘導発電機のようなシステムが、本発明の一部に含まれる。
【0090】
本願では、誘導発電機の回転子部を参考にしているが、上述したように、その部分の電磁石は固定されている。このように、本開示における回転子への言及は、単に既存技術の要素との比較を提供するためのものである。また、例示的なものであり、限定的なものではない。実際、本開示における回転子への言及は、誘導発電機の中央部を指すものと理解してよい。また、本開示での固定子への言及は、コイル巻線を構成する部分を指すものと理解してよい。このような固定子は、中央部の外部にあり、磁極を形成する部分の表面に近接していてもよい。また、いくつかの実施形態において、電磁石が中空ソレノイドである場合、固定子は電磁石の内部にあってもよい。
【0091】
本開示では、新しい誘導発電機およびその運用方法について説明しているが、本発明の範囲は、既存の誘導発電機を改質して、そのような発電機の効率を高めることも対象となる。発電効率を高めるために誘導発電機を改質する方法は、回転子とそこにある電磁石を誘導発電機の固定子に対して固定させる工程と、誘導発電機の回転子を回転させるために従来使用されていた回転シャフトを除去または無力化する工程と、電磁石に供給される電流に急激な変化があるように、電磁石に電力を供給するための電流を変調する工程とを含む。これにより、運動することなく、電磁石に供給される電流が急激に変化することで、固定子巻線に起電力を発生させることができる。
【0092】
このように、本発明に記載されたシステムおよび方法によれば、新しい誘導発電機は、誘導を用いた発電の効率向上を有利に実現し、従来の誘導発電機の各部に電力を供給するための燃料源を必要としないので、環境破壊を低減することができる。さらに、シャフト、タービン、およびタービンとシャフトに電力を供給するために必要な従来のシステムのすべての構成要素を排除するので、維持コストと、構成要素の故障によるオフタイムの可能性を低減することができる。さらに、現行の炭化水素などを使用して電力を生産することで生じる環境への悪影響を大幅に軽減することができる。
【0093】
語句の解釈
文脈上明らかに別の方法が必要な場合を除き、本明細書および特許請求の範囲全体において、
・「comprise」、「comprising」などは、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味で解釈される。つまり、「including, but not limited」という意味で解釈される。
・「connected」、「coupled」、またはそれらの活用形は、2つ以上の要素の間の直接的または間接的な接続または結合を意味し、要素間の結合または接続は、物理的、論理的、またはそれらの組み合わせである。
・本明細書を説明するために使用される「herein」、「above」、「below」及びこれに準ずる語句は、本明細書の特定の部分ではなく、本明細書全体を指す。
・2つ以上の項目の列挙についての「or」は、列挙内のいずれかの項目、列挙内のすべての項目、および列挙内の項目の任意の組み合わせという解釈のすべてを含む。
・「a」、「an」、「the」を冠する単数形は、適切な複数形の意味も含む。
・「power source」および「power supply」とは、電子回路の動作に適した形の任意の電力源のことである。
【0094】
本明細書および添付の特許請求の範囲(存在する場合)で使用される「vertical」、「transverse」、「horizontal」、「upward」、「downward」、「forward」、「backward」、「inward」、「outward」、「vertical」、「transverse」、「left」、「right」、「front」、「back」、「top」、「bottom」、「below」、「above」、「under」、「upper」、「lower」などの方向を示す言葉は、説明および図示された装置の特定の向きに依存する。本明細書に記載されている主題は、様々な代替的な方向性を想定することができる。したがって、これらの方向性の用語は厳密に定義されず、狭く解釈されるべきではない。
【0095】
ここで、上記の構成要素(回路、モジュール、アセンブリ、装置など)が言及されている場合、特に指示がない限り、その構成要素への言及(「means」の言及を含む)は、本発明の図示された例示的な実施形態において機能を実行する開示された構造と構造的に同等でない構成要素を含め、記載された構成要素の機能を実行する(すなわち、機能的に同等である)あらゆる構成要素をその構成要素の同等物として含むと解釈するべきである。
【0096】
本明細書では、説明のために、装置と方法の具体例を説明した。これらはあくまでも例である。本明細書で提供される技術は、上述の例以外の装置および方法にも適用可能である。本発明の実施の範囲内で、多くの変更、修正、追加、省略、および置換が可能である。本発明は、当業者にとって明らかな記載された実施形態の以下の変形を含む:特徴、要素および/または行為を同等の特徴、要素および/または行為で置換すること、異なる実施形態から特徴、要素および/または行為を混合させ合わせること、本明細書に記載された実施形態からの特徴、要素および/または行為を他の技術の特徴、要素および/または行為と組み合わせること、および/または記載された実施形態から特徴、要素および/または行為の組み合わせを省略すること。
【0097】
したがって、以下の添付の特許請求の範囲および今後導入される特許請求の範囲は、合理的に推測されるすべての変更、置換、追加、省略、およびサブコンビネーションを含むと解釈されることが意図される。特許請求の範囲は、実施例に記載された好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、全体として本明細書と一致する最も広い解釈が与えられるべきである。
【国際調査報告】