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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(54)【発明の名称】データ伝送方法と電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H04L 45/24 20220101AFI20220221BHJP
   H04W 80/06 20090101ALI20220221BHJP
【FI】
H04L45/24
H04W80/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539658
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 CN2019124347
(87)【国際公開番号】W WO2020143380
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】201910016807.7
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WCDMA
2.JAVA
3.ブルートゥース
4.アンドロイド
5.ZIGBEE
6.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(71)【出願人】
【識別番号】507232478
【氏名又は名称】北京大学
【氏名又は名称原語表記】PEKING UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.5, Yiheyuan Road, Haidian District, Beijing 100871, China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】シュイ,チェンルェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ショウ
(72)【発明者】
【氏名】チィ,ジエンフォン
(72)【発明者】
【氏名】リアン,ホンホォイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,シアオジン
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,リリ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,グアン
【テーマコード(参考)】
5K030
5K067
【Fターム(参考)】
5K030HC09
5K030JL01
5K030LB06
5K030MB09
5K067DD17
5K067EE02
5K067EE16
(57)【要約】
【要約】
本出願は、データ伝送方法及び電子デバイスを提供する。この方法は下記のことを含む。電子デバイスが最初にアプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立する。ここで、MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続と、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む。次に、電子デバイスは、アプリケーションサーバから指示情報を受信し、ここで、指示情報は、タイプ識別子と、帯域幅要求を示すために使用されるパラメータとを含み、タイプ識別子は、アプリケーションサーバによって送信されたデータストリームのタイプを示すために使用される。タイプ識別子が低いデータ伝送遅延要求を示す第1識別子である場合、電子デバイスは、電子デバイスが指示情報を受信した後に第1期間に、第2TCP接続を使用してデータストリームを受信する。電子デバイスが第1期間に実際に受信した累積データ量が、パラメータと、第1期間に対応する継続時間との積よりも小さい場合、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第2期間にデータストリームを受信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスにより、アプリケーションサーバへのマルチパス伝送制御プロトコルMPTCP接続を確立するステップであって、MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続とワイヤレスフィデリティWIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む、確立するステップと、
前記電子デバイスにより、前記アプリケーションサーバから指示情報を受信するステップであり、前記指示情報は、タイプ識別子と、帯域幅要求を示すために使用されるパラメータとを含み、前記タイプ識別子は、前記アプリケーションサーバによって送信されるデータストリームのタイプを示すために使用される、受信するステップと、
前記タイプ識別子が、低いデータ伝送遅延要求を示す第1識別子である場合、前記指示情報を受信した後、前記電子デバイスにより、前記第2TCP接続を使用して、第1期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップと、
前記第1期間に前記電子デバイスが実際に受信した累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量を満足しない場合、前記電子デバイスにより、前記第1TCP接続と前記第2TCP接続との両方を使用して、第2期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップであり、受信が予期される前記第1累積データ量は、前記パラメータと、前記第1期間に対応する継続時間との積に等しい、受信するステップとを備えている、データ伝送方法。
【請求項2】
前記第1期間に前記電子デバイスが実際に受信した前記累積データ量が、受信が予期される前記第1累積データ量を満足する場合、前記電子デバイスにより、依然として前記第2TCP接続を使用して、前記第2期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップをさらに備えている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2TCP接続を使用して前記第2期間に前記電子デバイスが実際に受信した累積データ量が、受信が予期される第2累積データ量を満足すると決定した場合、前記電子デバイスにより、前記第2TCP接続のみを使用して、第3期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップであり、受信が予期される前記第2累積データ量は、前記パラメータと、前記第2期間に対応する継続時間との積に等しい、受信するステップをさらに備えている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記タイプ識別子が、高いデータ伝送遅延要求を示す第2識別子である場合、前記指示情報を受信した後、前記電子デバイスにより、前記第1TCP接続と前記第2TCP接続との両方を使用して、前記第1期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップをさらに備えている、請求項1記載の方法。
【請求項5】
電子デバイスにより、アプリケーションサーバへのマルチパス伝送制御プロトコルMPTCP接続を確立するステップであって、MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続とワイヤレスフィデリティWIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む、確立するステップと、
前記電子デバイスにより、前記第2TCP接続を使用して第1期間に前記アプリケーションサーバからデータストリームを受信するステップと、
前記第1期間に前記電子デバイスが実際に受信した第1累積データ量に基づいて、前記第1期間に前記電子デバイスの第1データ伝送レートを、前記電子デバイスにより決定するステップであって、前記第1データ伝送レートは、前記第1期間に対応する継続時間に対する前記第1累積データ量の比率に等しい、決定するステップと、
前記第1データ伝送レートがプリセットデータ伝送レートを満足しないと決定した場合、前記電子デバイスにより、前記第1TCP接続と前記第2TCP接続との両方を使用して、第2期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップとを備えている、データ伝送方法。
【請求項6】
前記電子デバイスにより、前記第2TCP接続を使用して第1期間に前記アプリケーションサーバからデータストリームを受信するステップの前に、方法は、
前記電子デバイスにより、前記第1TCP接続と前記第2TCP接続との両方を使用して、前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップと、
前記電子デバイスにより、単位時間当たりで前記第2TCP接続と前記第1TCP接続とを使用して実際に受信したデータ量に基づいて、前記プリセットデータ伝送レートを決定するステップとをさらに備えている、請求項5記載の方法。
【請求項7】
第2期間に前記電子デバイスが実際に受信した第2累積データ量に基づいて、前記第2期間に前記電子デバイスの第2データ伝送レートを、前記電子デバイスにより決定するステップであって、前記第2データ伝送レートは、前記第2期間に対応する継続時間に対する前記第2累積データ量の比率に等しい、決定するステップと、
前記第2期間における前記第2データ伝送レートが前記プリセットデータ伝送レートを満足すると決定した場合、前記電子デバイスにより、前記第2TCP接続のみを使用して、第3期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップとをさらに備えている、請求項5又は6記載の方法。
【請求項8】
プロセッサとメモリとを備えている電子デバイスであって、
前記メモリは、1つ以上のコンピュータプログラムを格納するように構成され、
前記メモリに記憶された1つ以上の前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行された場合、電子デバイスは、下記の動作、即ち
アプリケーションサーバへのマルチパス伝送制御プロトコルMPTCP接続を確立するステップであって、MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続とワイヤレスフィデリティWIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む、確立するステップと、
前記アプリケーションサーバから指示情報を受信するステップであり、前記指示情報は、タイプ識別子と、データ伝送レート要求を示すために使用されるパラメータとを含み、前記タイプ識別子は、前記アプリケーションサーバによって送信されるデータストリームのタイプを示すために使用される、受信するステップと、
前記タイプ識別子が、低いデータ伝送遅延要求を示す第1識別子である場合、前記指示情報を受信した後、前記第2TCP接続を使用して、第1期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップと、
前記第1期間に電子デバイスが実際に受信した累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量を満足しない場合、前記第1TCP接続と前記第2TCP接続との両方を使用して、第2期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップであり、受信が予期される前記第1累積データ量は、前記パラメータと、前記第1期間に対応する継続時間との積に等しい、受信するステップと
を実行することが可能にされる、電子デバイス。
【請求項9】
前記メモリに記憶された1つ以上の前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行された場合、電子デバイスは、下記の動作、即ち
前記第1期間に実際に受信した前記累積データ量が、受信が予期される前記第1累積データ量を満足する場合、依然として前記第2TCP接続を使用して、前記第2期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップを実行することがさらに可能にされる、請求項8記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記メモリに記憶された1つ以上の前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行された場合、電子デバイスは、下記の動作、即ち
前記第2TCP接続を使用して前記第2期間に実際に受信した累積データ量が、受信が予期される第2累積データ量を満足すると決定した場合、前記第2TCP接続のみを使用して、第3期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップであり、受信が予期される前記第2累積データ量は、前記パラメータと、前記第2期間に対応する継続時間との積に等しい、受信するステップを実行することがさらに可能にされる、請求項8記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記メモリに記憶された1つ以上の前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行された場合、電子デバイスは、下記の動作、即ち
前記タイプ識別子が、高いデータ伝送遅延要求を示す第2識別子である場合、前記指示情報を受信した後、前記第1TCP接続と前記第2TCP接続との両方を使用して、前記第1期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信する動作を実行することがさらに可能にされる、請求項8記載の電子デバイス。
【請求項12】
プロセッサとメモリとを備えている電子デバイスであって、
前記メモリは、1つ以上のコンピュータプログラムを格納するように構成され、
前記メモリに記憶された1つ以上の前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行された場合、電子デバイスは、下記の動作、即ち
アプリケーションサーバへのマルチパス伝送制御プロトコルMPTCP接続を確立するステップであって、MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続とワイヤレスフィデリティWIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む、確立するステップと、
前記第2TCP接続を使用して第1期間に前記アプリケーションサーバからデータストリームを受信するステップと、
前記第1期間に電子デバイスが実際に受信した第1累積データ量に基づいて、前記第1期間に電子デバイスの第1データ伝送レートを決定するステップであって、前記第1データ伝送レートは、前記第1期間に対応する継続時間に対する前記第1累積データ量の比率に等しい、決定するステップと、
前記第1データ伝送レートがプリセットデータ伝送レートを満足しないと決定した場合、前記第1TCP接続と前記第2TCP接続との両方を使用して、第2期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップと
を実行することが可能にされる、電子デバイス。
【請求項13】
前記メモリに記憶された1つ以上の前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行された場合、電子デバイスは、下記の動作、即ち
前記第1TCP接続と前記第2TCP接続との両方を使用して、前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップと、
単位時間当たりで前記第2TCP接続と前記第1TCP接続とを使用して実際に受信したデータ量に基づいて、前記プリセットデータ伝送レートを決定するステップとを実行することがさらに可能にされる、請求項12記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記メモリに記憶された1つ以上の前記コンピュータプログラムが前記プロセッサによって実行された場合、電子デバイスは、下記の動作、即ち
第2期間に電子デバイスが実際に受信した第2累積データ量に基づいて、前記第2期間に電子デバイスの第2データ伝送レートを決定するステップであって、前記第2データ伝送レートは、前記第2期間に対応する継続時間に対する前記第2累積データ量の比率に等しい、決定するステップと、
前記第2期間における前記第2データ伝送レートが前記プリセットデータ伝送レートを満足すると決定した場合、前記第2TCP接続のみを使用して、第3期間に前記アプリケーションサーバから前記データストリームを受信するステップとを実行することがさらに可能にされる、請求項12又は13記載の電子デバイス。
【請求項15】
コンピュータ可読な記憶媒体がコンピュータプログラムを含み、前記コンピュータプログラムが前記電子デバイス上で実行されたときに、前記電子デバイスが、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法を実行することが可能にされる、コンピュータ記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「データ伝送方法及び電子デバイス」と題し、2019年1月8日に中国国家知的所有権庁に出願された中国特許出願第201910016807.7号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、端末技術の分野に関し、特に、データ伝送方法及び電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
マルチパス伝送制御プロトコル(multi path transmission control protocol, MPTCP)は、TCPの拡張であり、複数のTCP接続を使用して実行される並列伝送によって、リソースの利用を改善し、接続故障回復の能力を向上させる。現在、広く使用されているMPTCPスケジューリングアルゴリズムは、最小ラウンドトリップ時間(min Round-Trip Time, min往復時間)スケジューリングアルゴリズムである。即ち、受信端は、データを受信するために、優先的に最小ラウンドトリップ時間を有するTCP接続を使用する。最小ラウンドトリップ時間を持つTCP接続の受信ウィンドウが混雑する時、次に最小のラウンドトリップ時間を持つTCP接続がデータを受信するために使用される。しかし、実際には、空港、ショッピングモール、学校、会社のようなほとんどの公共の場所で、WIFIネットワークのラウンドトリップ時間は、平均値又はジッタの点で、セルラーネットワークのラウンドトリップ時間よりもはるかに長い。従って、現行のMPTCPスケジューリングアルゴリズムは、ユーザの一層多くのデータトラフィックを消費する。
【0004】
従って、従来技術は、セルラーネットワークのデータトラフィックを節約する、いくつかのMPTCPスケジューリングの解決策を提案する。例えば、MPTCPが、WIFIネットワークに対応するTCP接続とセルラーネットワークに対応するTCP接続との両方を含む場合、携帯電話は通常、WIFIネットワークに対応するTCP接続のみを優先的に使用してデータストリームを受信する。WIFIネットワークに対応するTCP接続のデータ伝送レートが要求を満足しない場合、携帯電話はセルラーネットワークに対応するTCP接続を使用してデータストリームを受信する。しかしながら、WIFIネットワークのジッタはセルラーネットワークのそれよりもはるかに大きいので、携帯電話は通常、WIFIネットワークが弱い信号を有するか、又は制限されていることを間に合うように検出することができず、従って、データストリームを受信するために、セルラーネットワークに対応するTCP接続を間に合うように使用しない。その結果、ビデオ再生中にフレームの凍結が発生し、ビデオ再生がスムーズに行われず、ユーザの体験に影響を与える。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、現行のデータ伝送の間にWIFIネットワークに対応するTCP接続を優先的に占有することによって生じる、フレームの凍結の問題を解決するために、データ伝送方法と電子デバイスを提供する。
【0006】
第1態様によれば、本出願の実施形態は、データ伝送方法を含む。方法は電子デバイスに適用可能であり、方法は下記のことを含む。電子デバイスが、最初にアプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立するのであって、MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続とWIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含み、第1TCP接続のデータ伝送遅延は、第2TCP接続のデータ伝送遅延よりも小さい。そして電子デバイスが、アプリケーションサーバから指示情報を受信するのであり、指示情報は、タイプ識別子と、帯域幅要求を示すために使用されるパラメータとを含み、タイプ識別子は、アプリケーションサーバによって送信されるデータストリームのタイプを示すために使用される。タイプ識別子が、低いデータ伝送遅延要求を示す第1識別子である場合、指示情報を受信した後、電子デバイスが、第2TCP接続を使用して、第1期間にデータストリームを受信する。電子デバイスが第1期間に受信した累積データ量が、パラメータと、第1期間に対応する継続時間との積よりも小さい場合、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第2期間にデータストリームを受信する。
【0007】
本出願のこの実施形態では、電子デバイスは、リアルタイムで実際に受信された累積データ量を、受信が予期される累積データ量と比較して、LTEネットワークに対応する第1TCP接続をイネーブルするか否かを判断し、判定結果もリアルタイムかつ正確である。そのため、携帯電話でのフレームの凍結やスムーズでない再生をある程度緩和することができる。
【0008】
可能な設計では、第1期間に電子デバイスが実際に受信した累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量を満足する場合、電子デバイスが、依然として第2TCP接続を使用して、第2期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0009】
可能な設計では、第2TCP接続を使用して第2期間に電子デバイスが受信した累積データ量が、受信が予期される第2累積データ量を満足すると決定した場合、電子デバイスが、第2TCP接続のみを使用して、第3期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信するのであり、受信が予期される第2累積データ量は、パラメータと、第2期間に対応する継続時間との積に等しい。
【0010】
本出願のこの実施形態では、電子デバイスは、第2TCP接続のみを使用することによって第3期間にデータストリームを受信し、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続をディスエーブルする。このようにして、セルラーネットワークの一層少ないデータトラフィックを消費することができる。これに加えて、セルラーネットワークの電力消費はWIFIネットワークの電力消費よりも大きいので、第1TCP接続が必要でないときにセルラーネットワークに対応する第1TCP接続をディスエーブルすることは、電力消費をある程度低減することができる。
【0011】
可能な設計では、タイプ識別子が、高いデータ伝送遅延要求を示す第2識別子である場合、指示情報を受信した後、電子デバイスが、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第1期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0012】
本出願のこの実施形態では、データストリームが比較的高い遅延要求を有する場合、電子デバイスは、2つのTCP接続を間に合うように使用することによってデータストリームを受信し、その結果、データストリーム受信速度をある程度増加させることができ、再生開始遅延を低減することができる。
【0013】
第2態様によれば、本出願の実施形態は、データ伝送方法を含む。方法は電子デバイスに適用可能であり、方法は下記のことを含む。
【0014】
電子デバイスが、アプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立するのであって、MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続とWIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む。そして電子デバイスが、第2TCP接続を使用して第1期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。第1期間に電子デバイスが実際に受信した第1累積データ量に基づいて、第1期間に電子デバイスの第1データ伝送レートを、電子デバイスが決定するのであって、第1データ伝送レートは、第1期間に対応する継続時間に対する第1累積データ量の比率に等しい。第1データ伝送レートがプリセットデータ伝送レートを満足しないと決定した場合、電子デバイスが、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第2期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0015】
本出願のこの実施形態では、電子デバイスは受信データストリームの内容が決定できず、リアルタイムデータ伝送レート要件が決定できない場合、電子デバイスは、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続を使用することによって、データストリームを優先的に受信しようと試みる。データ伝送レートがプリセット要件を満たさない場合、電子デバイスは、2つのTCP接続を間に合うように使用することによってデータストリームを受信する。
【0016】
可能な設計では、電子デバイスが、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、アプリケーションサーバからデータストリームを受信する。そして電子デバイスが、単位時間当たりで第2TCP接続と第1TCP接続とを使用して実際に受信した累積データ量に基づいて、プリセットデータ伝送レートを決定する。
【0017】
可能な設計では、第2期間に電子デバイスが実際に受信した第2累積データ量に基づいて、第2期間に電子デバイスの第2データ伝送レートを、電子デバイスが決定するのであって、第2データ伝送レートは、第2期間に対応する継続時間に対する第2累積データ量の比率に等しい。第2期間における第2データ伝送レートがプリセットデータ伝送レートを満足すると決定した場合、電子デバイスが、第2TCP接続のみを使用して、第3期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0018】
本出願のこの実施形態では、セルラーネットワークの一層少ないデータトラフィックを消費することができる。これに加えて、セルラーネットワークの電力消費はWIFIネットワークの電力消費よりも大きいので、第1TCP接続が必要でないときにセルラーネットワークに対応する第1TCP接続をディスエーブルすることは、電力消費をある程度低減することができる。
【0019】
第3の態様によれば、本出願の実施形態は、プロセッサ及びメモリを含む電子デバイスを提供する。メモリは、1つ以上のコンピュータプログラムを格納するように構成されている。メモリに記憶された1つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されたときに、電子デバイスは、上記の態様の任意の可能な設計で本方法を実施することが可能にされる。
【0020】
第4の態様によれば、本出願の実施形態は、装置をさらに提供する。装置は、上記の態様のいずれかの可能な設計で本方法を実施するモジュール/ユニットを含む。これらのモジュール/ユニットは、ハードウェアによって実施されてよく、又は対応するソフトウェアを実行することでハードウェアによって実施されてよい。
【0021】
第5の態様によれば、本出願の実施形態は、さらに、コンピュータ可読な記憶媒体を提供する。コンピュータ可読な記憶媒体は、コンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムが電子デバイス上で実行された場合、電子デバイスは、上記の態様のいずれかの任意の可能な設計で本方法を実行することが可能にされる。
【0022】
第6の態様によれば、本出願の一実施形態は、コンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品が端末上で実行されたときに、電子デバイスは、上記の態様のいずれかの任意の可能な設計で本方法を実行することが可能にされる。
【0023】
本出願のこれらの態様又は他の態様は、以下の実施形態の説明では、一層明確となり、かつ一層理解しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本出願の一実施形態によるマルチパスデータ伝送方法が適用されるシステムアーキテクチャーである。
図2】本出願の一実施形態による複数のネットワークが配置されたデータ伝送システムのアーキテクチャー図である。
図3】本出願の一実施形態による、TCPプロトコルスタックをMPTCPプロトコルスタックに拡張する概略図である。
図4】本出願の一実施形態によるMPTCP実施プロセスの概略図である。
図5】本出願の一実施形態による電子デバイスの概略構造図である。
図6】本出願の一実施形態によるアンドロイドシステムの概略アーキテクチャー図である。
図7a】本出願の一実施形態によるデータ伝送方法の第1の概略図である。
図7b】本出願の実施形態によるデータ伝送方法のアプリケーションシナリオの概略図である。
図7c】本出願の実施形態によるデータ伝送方法のアプリケーションシナリオの概略図である。
図8】本出願の一実施形態によるデータ伝送方法の第2の概略図である。
図9a】本出願の一実施形態によるデータ伝送方法の第3の概略図である。
図9b-1】本出願の一実施形態によるデータ伝送方法の第3の概略図である。
図9b-2】本出願の一実施形態によるデータ伝送方法の第3の概略図である。
図10】本出願の一実施形態によるデータ伝送方法の第4の概略図である。
図11】本出願の一実施形態によるデータ伝送方法の第5の概略図である。
図12】本出願の一実施形態によるデータ伝送装置の概略構造図である。
図13】本出願の一実施形態による電子デバイスの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下は、本出願の実施形態の添付図面を参照して、本出願の実施形態での技術的解決策を記載する。本出願の実施形態の説明では「第1」及び「第2」という用語は、単に説明のために使用されるに過ぎず、相対的重要性の表示若しくは暗示、又は表示された技術的特徴の量の暗示として理解されるものとはしない。従って、「第1」又は「第2」によって限定される特徴は、1つ以上の特徴を明示的又は暗示的に含んでよい。本出願の実施形態の説明では、他に断りがなければ、「複数の」は2つ以上を意味する。
【0026】
本出願の実施形態に提供されるデータ伝送方法は、無線通信システムにおけるデータ伝送に適用してよい。データ受信端とデータ送信端は、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network,RAN)とコアネットワークとを介してデータを交換する。送信制御プロトコル(Transmission Control Protocol,TCP)接続は、データ受信端とデータ送信端との間にさらに確立されてよく、TCPプロトコルは、データ送信に使用される。図1に示すように、無線通信システムにおいて、電子デバイス100は、アプリケーションサーバ200とデータを交換する。電子デバイス100は、エアインターフェースを介してRANにアクセスし、コアネットワークを介してアプリケーションサーバに接続される。電子デバイス100とRANとの間のネットワークを無線ネットワークと称してよく、RANとアプリケーションサーバ200との間のネットワークを有線ネットワークであってよい。アプリケーションサーバ200と電子デバイス100との間にTCP接続が確立され、データ伝送に使用される。
【0027】
サーバクラスタ内には、1つ以上のアプリケーションサーバ200が存在してよい。例えば、ビデオアプリケーションの異なるビデオセグメントが、異なるサーバ上に分散される。複数のアプリケーションサーバ200が存在してよい。別の例では、ビデオアプリケーションのビデオが、1つのサーバ上に分散される。1つのアプリケーションサーバ200が存在してよい。
【0028】
通信技術が発展するにつれて、通信システムは、複数の通信ネットワークが一緒に配置される通信アーキテクチャーへと進化した。端末は、通信のために少なくとも1つの通信ネットワークにアクセスしてよい。通信ネットワークがローカルエリアネットワークである場合、通信ネットワークは、例えば、ワイヤレスフィデリティ(Wireless Fidelity、WIFI)ネットワーク、ブルートゥースネットワーク、ZigBeeネットワーク、又は近距離通信(near field communication,NFC)ネットワークのような近距離通信ネットワークであってよいことに留意するものとする。通信ネットワークが広域ネットワークである場合、通信ネットワークは、例えば、第3世代移動通信技術(3rd-generation wireless telephone technology, 3G)ネットワーク、第4世代移動通信技術(4th generation mobile communication technology, 4G)ネットワーク、第5世代移動通信技術(5th-generation mobile communication technology, 5G)ネットワーク、未来進化の公衆陸上移動網(public land mobile network, PLMN)、又はインターネットであってよい。
【0029】
例えば、WIFIネットワーク及びロングタームエボリューション(Long Term Evolution, LTE)ネットワークが図2に配置された通信システムにおいて、端末は、進化したパケットデータゲートウェイ(Evolved Packet Data Gateway, ePDG)又は信頼ゲートウェイ(Trusted Gateway, TGW)を使用して、WIFIネットワークにアクセスし、データをアプリケーションサーバに送信するか、又はサービングゲートウェイ(Serving Gateway, SGW)又はパケットデータネットワークゲートウェイ(PGW Packet Data Network Gateway, PGW)を使用して、LTEネットワークにアクセスし、データをアプリケーションサーバに送信するかしてよい。
【0030】
異種ネットワークの展開は、マルチパスデータ伝送サービスの開発を促進する。現在、MPTCPプロトコルは、TCPプロトコルを拡張することによって得られ、データ転送を行うためにサービスがマルチパスネットワークリソースを使用することを可能にするために、MPTCPプロトコルは使用される。例えば、図2において、携帯電話は、WIFIネットワークリソース及びLTEネットワークリソースを用いて、アプリケーションサーバにデータを送信する。図3は、TCPプロトコルスタックをMPTCPプロトコルスタックに拡張する概略図である。TCPプロトコルスタックでは、アプリケーション(Application)層のデータストリームが1つのTCP接続を使用して送信される。MPTCPプロトコルスタックでは、トランスポート層をMPTCP層とTCP層の2つのサブレイヤに分割し、MPTCP層の分解によって得られた2つのTCP接続を使用して、アプリケーション層のデータストリームを送信する。
【0031】
図4は、MPTCPのアプリケーションシナリオの概略図である。図4において、2つのTCP接続が、電子デバイスとアプリケーションサーバとの間で確立される。一方のTCP接続はWIFIネットワークリソースを使用し、他方のTCP接続はLTEネットワークリソースを使用する。アプリケーションサーバのMPTCP層は、TCPストリームを2つのTCPサブストリームに分解し、2つのTCP接続を使用して2つのTCPサブストリームを別々に電子デバイスに送信する。2つのTCPサブストリームを受信した後、電子デバイスは2つのサブストリームを結合し、結合したストリームをアプリケーション層に送信する。
【0032】
本出願のいくつかの実施形態では、図1に示す無線通信システム内の電子デバイスは、携帯端末デバイスであって、パーソナルデジタルアシスタント機能及び/又は音楽プレーヤー機能、例えば携帯電話、タブレットコンピュータ、又は無線通信機能を有するウェアラブル電子デバイス(例えば、スマートウォッチ)などの別の機能をさらに含んでよい。携帯端末デバイスの例の実施形態は、iOS(登録商標)、Android(登録商標)、Microsoft(登録商標)、又は他のオペレーティングシステムを使用する携帯端末デバイスを含むが、これらに限定されない。これに代えて、携帯端末デバイスは、別の携帯端末デバイス、例えば、タッチ感知面(例えば、タッチパネル)を有するラップトップ(laptop)コンピュータであってよい。本出願のいくつかの他の実施形態では、電子デバイスは、代わりに、携帯電子デバイスではなく、接触感知表面(例えば、タッチパネル)を有するデスクトップコンピュータであってよいことをさらに理解するものとする。
【0033】
例えば、図5に示すように、本出願の実施形態での端末デバイスは、携帯電話であってよい。下記の記載では、具体的に携帯電話を例に説明する。
【0034】
携帯電話は、プロセッサ510、外部メモリインターフェース520、内部メモリ521、USBポート530、充電管理モジュール540、電力管理モジュール541、バッテリ542、アンテナ1、アンテナ2、移動通信モジュール550、無線通信モジュール560、オーディオモジュール570、スピーカ570A、受話器570B、マイクロホン570C、ヘッドセットジャック570D、センサモジュール580、ボタン590、モータ591、インジケータ592、カメラ593、ディスプレイ594、SIMカードインターフェース595などを含んでよい。センサモジュール580は、圧力センサ580A、ジャイロスコープセンサ580B、気圧センサ580C、磁気センサ580D、加速度センサ580E、距離センサ580F、光学近接センサ580G、指紋センサ580H、温度センサ580J、タッチセンサ580K、周囲光センサ580L、骨伝導センサ580Mなどを含んでよい。
【0035】
本発明の実施形態に示される構造は、携帯電話上で特定の制限を構成しないことが、理解可能である。本出願の他の実施形態では、携帯電話は、図に示されているものよりも多くの又は少ない構成要素を含んでよく、又はいくつかの構成要素を組み合わせてよく、又は一部の構成要素を分割してよく、又は異なる構成要素の構成を使用してよい。図に示す構成要素は、ハードウェア、ソフトウェア、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてよい。
【0036】
プロセッサ510は、1つ以上の処理ユニットを含んでよい。例えば、プロセッサ510は、アプリケーションプロセッサ(application processor, AP)、モデムプロセッサ、グラフィックス処理ユニット(graphics processing unit, GPU)、画像信号プロセッサ(image signal processor, ISP)、コントローラ、メモリ、ビデオコーデック、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor, DSP)、ベースバンドプロセッサ、及び/又は神経処理ユニット(Neural-network Processing Unit, NPU)を含んでよい。異なる処理ユニットは、独立したデバイスであってよく、又は1つ以上のプロセッサに統合されてよい。
【0037】
コントローラは、携帯電話の神経センター及び指令センターであってよい。コントローラは、命令取り込み及び命令実行の制御を完了させるために、命令動作コード及び時間シーケンス信号に基づいて動作制御信号を生成してよい。
【0038】
メモリは、さらに、プロセッサ510内に配置されてよく、命令及びデータを記憶するように構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサ510内のメモリはキャッシュメモリである。メモリは、プロセッサ510によって、使用されたばかりの、又は周期的に使用される命令又はデータを記憶してよい。プロセッサ510が命令又はデータを再度使用する必要がある場合、プロセッサ510は、メモリから命令又はデータを直接呼び出してよく、繰り返されるアクセスを回避し、プロセッサ510の待ち時間を短縮し、それによって、システムの効率を改善する。
【0039】
いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、1つ以上のインターフェースを含んでよい。インターフェースは、集積回路(inter-integrated circuit, I2C)インターフェース、集積回路間音響(inter-integrated circuit sound, I2S)インターフェース、パルスコード変調(pulse code modulation, PCM)インターフェース、ユニバーサル非同期受信機/送信機(universal asynchronous receiver/transmitter, UART)インターフェース、モバイル産業用プロセッサインターフェース(mobile industry processor interface, MIPI)、汎用入出力(general-purpose input/output, GPIO)インターフェース、加入者識別モジュール(subscriber identity module, SIM)インターフェース、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus, USB)ポートなどを含んでよい。
【0040】
I2Cインターフェースは、双方向同期シリアルバスであり、1つのシリアルデータライン(serial data line,SDA)と1つのシリアルクロックライン(derail clock line,SCL)とを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、複数のグループのI2Cバスを含んでよい。プロセッサ510は、異なるI2Cバスインターフェースを介して、タッチセンサ580K、充電器、フラッシュライト、カメラ593などに別々に結合されてよい。例えば、プロセッサ510は、I2Cインターフェースを介してタッチセンサ580Kに結合され、プロセッサ510は、I2Cバスインターフェースを介してタッチセンサ580Kと通信して、携帯電話のタッチ機能を実現してよい。
【0041】
I2Sインターフェースは、オーディオ通信を行うように構成されてよい。いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、複数のグループのI2Sバスを含んでよい。プロセッサ510は、プロセッサ510とオーディオモジュール570との間の通信を実現するために、I2Sバスを介してオーディオモジュール570に結合されてよい。いくつかの実施形態では、オーディオモジュール570は、ブルートゥースヘッドセットを介して通話に応答する機能を実施するために、I2Sインターフェースを介してオーディオ信号を無線通信モジュール560に転送してよい。
【0042】
また、PCMインターフェースは、オーディオ通信を実行し、アナログ信号をサンプリング、量子化及び符号化するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、オーディオモジュール570は、PCMバスインターフェースを介して無線通信モジュール560に結合されてよい。いくつかの実施形態では、これに代えて、オーディオモジュール570は、PCMインターフェースを介してオーディオ信号を無線通信モジュール560に転送して、Bluetoothヘッドセットを介して着信に応答する機能を実施してよい。I2SインターフェースとPCMインターフェースとの両方とも、オーディオ通信を行うように構成されてよい。
【0043】
UARTインターフェースはユニバーサルシリアルデータバスであり、非同期通信を行うように構成されている。バスは、双方向通信バスであってよく、送信されるべきデータを、シリアル通信とパラレル通信との間で変換する。いくつかの実施形態では、UARTインターフェースは、通常、プロセッサ510及び無線通信モジュール560に接続するように構成されている。例えば、プロセッサ510は、Bluetooth機能を実施するために、UARTインターフェースを介して無線通信モジュール560内のBluetoothモジュールと通信する。いくつかの実施形態では、Bluetoothヘッドセットを介して音楽を再生する機能を実現するために、オーディオモジュール170は、UARTインターフェースを介してオーディオ信号を無線通信モジュール560に転送してよい。
【0044】
MIPIインターフェースは、プロセッサ510と、ディスプレイ594又はカメラ593などの周辺装置とに接続するように構成してよい。MIPIインターフェースは、カメラシリアルインターフェース(camera serial interface, CSI)、ディスプレイシリアルインターフェース(display serial interface, DSI)などを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、CSIインターフェースを介してカメラ593と通信し、携帯電話の撮影機能を実現する。プロセッサ510は、DSIインターフェースを介してディスプレイ594と通信し、携帯電話のディスプレイ機能を実現する。
【0045】
GPIOインターフェースは、ソフトウェアを使用して構成されてよい。GPIOインターフェースは、制御信号として構成されてよく、又はデータ信号として構成されてよい。いくつかの実施形態では、GPIOインターフェースは、プロセッサ510、カメラ593、ディスプレイ594、無線通信モジュール560、オーディオモジュール570、センサモジュール580などに接続するように構成されてよい。これに代えて、GPIOインターフェースは、I2Cインターフェース、I2Sインターフェース、UARTインターフェース、MIPIインターフェースなどとして構成されてよい。
【0046】
USBポート530は、USB標準仕様に準拠するポートであり、具体的には、ミニUSBポート、マイクロUSBポート、USBタイプCポートなどであってよい。USBポート130は、携帯電話を充電するために充電器に接続するように構成してよく、又は、携帯電話と周辺装置との間でデータを送信するように構成してよく、又は、ヘッドセットを介してオーディオを再生するためにヘッドセットに接続するように構成してよく、又は、AR装置のような他の端末デバイスに接続するように構成してよい。
【0047】
なお、本発明の実施形態に示すモジュール間のインターフェース接続関係は、単なる説明例に過ぎず、携帯電話の構造に限定されるものではないことが理解可能である。これに代えて、本出願のいくつかの他の実施形態では、携帯電話は、前述の実施形態とは異なるインターフェース接続方式、又は複数のインターフェース接続方式の組み合わせを使用してよい。
【0048】
充電管理モジュール540は、充電器からの充電入力を受信するように構成されている。充電器は、無線充電器又は有線充電器であってよい。有線充電のいくつかの実施形態では、充電管理モジュール540は、USBポートを介して有線充電器の充電入力を受け取ってよい。無線充電のいくつかの実施形態では、充電管理モジュール540は、携帯電話の無線充電コイルを介して無線充電入力を受信してよい。充電管理モジュール540は、バッテリ542を充電しながら、電力管理モジュール541を介して電子デバイスに電力をさらに供給してよい。
【0049】
電力管理モジュール541は、バッテリ542、充電管理モジュール540、及びプロセッサ510に接続するように構成されている。電力管理モジュール541は、バッテリ542及び/又は充電管理モジュール540の入力を受け取り、プロセッサ510、内部メモリ521、外部メモリ、ディスプレイ594、カメラ593、無線通信モジュール560などに電力を供給する。電力管理モジュール541は、さらに、バッテリ容量、バッテリサイクル数、及びバッテリ健康状態(漏電又はインピーダンス)などのパラメータを監視するように構成されてよい。いくつかの他の実施形態では、電力管理モジュール541は、代替的にプロセッサ510内に配置されてよい。いくつかの他の実施形態では、電力管理モジュール541及び充電管理モジュール540は、代替的に、同じデバイス内に配置されてよい。
【0050】
携帯電話の無線通信機能は、アンテナモジュール1,アンテナモジュール2,移動通信モジュール550,無線通信モジュール560,モデムプロセッサ,ベースバンドプロセッサなどによって、実現されてよい。
【0051】
アンテナ1及びアンテナ2は、電磁波信号を送受信するように構成されている。携帯電話内の各アンテナは、1つ以上の通信帯域をカバーするように構成してよい。アンテナ利用率を高めるために、異なるアンテナをさらに多重化してよい。例えば、セルラーネットワークのアンテナは、無線ローカルエリアネットワークのダイバーシティアンテナとして多重化されてよい。いくつかの他の実施形態では、アンテナは、同調スイッチと組み合わせて使用されてよい。
【0052】
移動通信モジュール550は、携帯電話に適用される解決策を、2G/3G/4G/5Gなどを含む無線通信に提供してよい。移動通信モジュール550は、少なくとも1つのフィルタ、スイッチ、電力増幅器、低ノイズ増幅器(Low Noise Amplifier, LNA)などを含んでよい。移動通信モジュール550は、アンテナ1を介して電磁波を受信し、受信電磁波に対するフィルタリング又は増幅などの処理を行い、復調のために電磁波をモデムプロセッサに転送してよい。移動通信モジュール550は、モデムプロセッサによって変調された信号をさらに増幅し、増幅された信号を放射用アンテナ1で電磁波に変換してよい。いくつかの実施形態では、移動通信モジュール550内の少なくともいくつかの機能モジュールは、プロセッサ510内に配置されてよい。いくつかの実施形態では、移動通信モジュール550内の少なくともいくつかの機能モジュールは、プロセッサ510内の少なくともいくつかのモジュールと同じ装置内に配置されてよい。
【0053】
モデムプロセッサは、変調器及び復調器を含んでよい。変調器は、送信されるべき低周波ベースバンド信号を中高周波信号に変調するように構成されている。復調器は、受信した電磁波信号を低周波ベースバンド信号に復調するように構成されている。次に、復調器は、復調によって得られた低周波ベースバンド信号を、処理のためのベースバンドプロセッサに送信する。低周波ベースバンド信号は、ベースバンドプロセッサによって処理され、その後、アプリケーションプロセッサに送信される。アプリケーションプロセッサは、オーディオ装置(スピーカ570A、受話器570Bなどに限定されない)を介して音声信号を出力するか、又はディスプレイ594を介して画像又はビデオを表示する。いくつかの実施形態では、モデムプロセッサは、独立した装置であってよい。いくつかの他の実施形態では、モデムプロセッサは、プロセッサ510から独立していてよく、移動通信モジュール550又は別の機能モジュールと同じ装置内に配置される。
【0054】
無線通信モジュール560は、携帯電話に適用される解決策を、無線ローカルエリアネットワーク(wireless local area networks,WLAN)、ブルートゥース(Bluetooth, BT)、グローバルナビゲーション衛星システム(global navigation satellite system, GNSS)、周波数変調(frequency modulation, FM)、近接場通信(near field communication, NFC)、赤外(infrared, IR)技術などを含む無線通信に提供してよい。無線通信モジュール560は、少なくとも1つの通信処理モジュールを統合する1つ以上のデバイスであってよい。無線通信モジュール560は、アンテナ2を介して電磁波を受信し、電磁波信号に対して周波数変調及びフィルタ処理を行い、処理された信号をプロセッサ510に送信する。無線通信モジュール560は、さらに、プロセッサ510から送られるべき信号を受信し、その信号に対して周波数変調及び増幅を行い、処理された信号を、放射のためにアンテナ2を介して電磁波に変換してよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、携帯電話において、アンテナ1は移動通信モジュール550に結合され、アンテナ2は無線通信モジュール560に結合され、その結果、携帯電話は、無線通信技術を使用することによって、ネットワーク及び他のデバイスと通信してよい。無線通信技術は、移動通信のためのグローバルシステム(global system for mobile communications, GSM),一般パケット無線サービス(general packet radio service, GPRS),符号分割多重アクセス(code division multiple access, CDMA),広帯域符号分割多重アクセス(wideband code division multiple access, WCDMA),時分割符号分割多重アクセス(time-division code division multiple access, TD-SCDMA),ロングタームエボリューション(long term evolution, LTE),BT,GNSS,WLAN,NFC,FM,IR技術などを含んでよい。GNSSは、全地球測位システム(global positioning system, GPS),全地球航法衛星システム(global navigation satellite system, GLONASS),北斗航法衛星システム(beidou navigation satellite system, BDS),準天頂衛星システム(quasi-zenith satellite system, QZSS),及び/又は衛星ベースの増強システム(satellite based augmentation systems, SBAS)を含んでよい。
【0056】
携帯電話は、GPU、ディスプレイ594、アプリケーションプロセッサ等を介してディスプレイ機能を実現する。GPUは画像処理のためのマイクロプロセッサであり、ディスプレイ594及びアプリケーションプロセッサに接続される。GPUは、数学的及び幾何学的計算を実行し、グラフィックスレンダリングを実行するように構成されている。プロセッサ510は、表示情報を生成又は変更するプログラム命令を実行する1つ以上のGPUを含んでよい。
【0057】
ディスプレイ594は、画像、ビデオなどを表示するように構成されている。ディスプレイ594は、ディスプレイパネルを含む。ディスプレイパネルは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display, LCD),有機発光ダイオード(organic light-emitting diode, OLED),アクティブマトリックス有機発光ダイオード(active-matrix organic light emitting diode, AMOLED),フレキシブル発光ダイオード(flex light-emitting diode, FLED),ミニLED,マイクロLED,マイクロOLED,量子ドット発光ダイオード(quantum dot light emitting diodes, QLED)などであってよい。一部の実施形態では、携帯電話は、1つ又はN個のディスプレイを含んでよく、Nは1よりも大きい正の整数である。
【0058】
携帯電話は、ISP、カメラ193、ビデオコーデック、GPU、ディスプレイ594、アプリケーションプロセッサなどを介して撮影機能を実現してよい。
【0059】
ISPは、カメラ593によってフィードバックされたデータを処理するように構成されている。例えば、撮影中にシャッタを押すと、レンズを介してカメラの感光素子に光が送られる。カメラの感光素子は、光信号を電気信号に変換し、その電気信号をISPに送信して処理する。ISPは、電気信号を、目に可視的な画像に変換する。ISPはさらに、画像のノイズ、輝度及び肌色に関して、アルゴリズム最適化を実行してよい。ISPはさらに、撮影シナリオの露出及び色温度などのパラメータを最適化してよい。いくつかの実施形態では、ISPは、カメラ593内に配置されてよい。
【0060】
カメラ593は、静止画像又はビデオを取り込むように構成されている。物体の光学画像は、レンズを通して生成され、感光素子上に投影される。感光素子は、電荷結合素子(charge coupled device, CCD)又は相補型金属酸化物半導体(complementary metal-oxide-semiconductor, CMOS)光電トランジスタであってよい。感光素子は、光信号を電気信号に変換してISPに伝送する。ISPは、電気信号をデジタル画像信号に変換し、デジタル画像信号を、処理のためのDSPに出力する。DSPは、デジタル画像信号をRGB又はYUVのようなフォーマットで標準画像信号に変換する。いくつかの実施形態では、携帯電話は、1つ又はN個のカメラを含んでよく、Nは1よりも大きい正の整数である。
【0061】
デジタル信号プロセッサは、デジタル信号を処理するように構成されている。デジタル画像信号に加えて、デジタル信号プロセッサは、別のデジタル信号をさらに処理してよい。例えば、携帯電話が周波数を選択すると、デジタル信号プロセッサは、周波数エネルギーに対してフーリエ変換を実行するなどするように構成されている。
【0062】
ビデオコーデックは、デジタルビデオを圧縮又は解凍するように構成されている。携帯電話は、1つ以上のコーデックをサポートしてよい。従って、携帯電話は、例えばMPEG1、MPEG2、MPEG3及びMPEG4のような複数の符号化フォーマットでビデオを再生又は記録してよい。
【0063】
NPUは、ニューラルネットワーク(neural-network,NN)計算プロセッサである。NPUは、生物学的ニューラルネットワーク構造を参照することにより、例えば、ヒト脳ニューロン間の伝達の様式を参照することにより、入力情報を迅速に処理し、さらに、自己学習を継続的に行ってよい。携帯電話の画像認識、顔認識、音声認識、テキスト理解などの知的認知は、NPUを使用することで実現してよい。
【0064】
外部メモリインターフェース520は、携帯電話の記憶能力を拡張するために、マイクロSDカードのような外部メモリカードに接続するように構成してよい。外部メモリカードは、外部メモリカード内に音楽やビデオなどのファイルを記憶するデータ記憶機能を実施するために、外部メモリインターフェース520を介してプロセッサ510と通信する。
【0065】
内部メモリ521は、コンピュータ実行可能プログラムコードを格納するように構成されてよい。実行可能プログラムコードは命令を含む。プロセッサ510は、携帯電話の様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実現するために、内部メモリ521に記憶された命令を実行する。メモリ521は、プログラム記憶領域及びデータ記憶領域を含んでよい。プログラム記憶領域は、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能(例えば、音声再生機能及び画像再生機能)によって必要とされるアプリケーションなどを記憶してよい。データ格納領域は、携帯電話の使用時に作成されたデータ(オーディオデータ、電話帳など)等を格納してよい。これに加えて、メモリ521は、高速ランダムアクセスメモリを含んでよく、又は不揮発性メモリ、例えば、少なくとも1つの磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリ、又はユニバーサルフラッシュ記憶装置(universal flash storage, UFS)を含んでよい。
【0066】
携帯電話は、オーディオモジュール570、スピーカ570A、受話器570B、マイクロホン570C、ヘッドセットジャック570D、アプリケーションプロセッサなどによって、音楽の再生及び録音機能などのオーディオ機能を実現してよい。
【0067】
オーディオモジュール570は、デジタルオーディオ情報を出力のアナログオーディオ信号に変換するように構成され、またアナログオーディオ入力をデジタルオーディオ信号に変換するように構成されている。オーディオモジュール570は、さらに、オーディオ信号の符号化及び復号化を実行するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、オーディオモジュール570は、プロセッサ510内に配置されてよく、又はオーディオモジュール570内のいくつかの機能モジュールは、プロセッサ510内に配置されてよい。
【0068】
スピーカ570Aは、「ホーン」とも呼ばれ、オーディオ電気信号を音声信号に変換するように構成されている。携帯電話は、スピーカ570Aにより、音楽を聞いてよく、又はハンズフリーの着信に応答してよい。
【0069】
受話器570Bは、「イヤピース」とも呼ばれ、オーディオ電気信号を音声信号に変換するように構成されている。携帯電話が着信に応答するとき、又は音声メッセージを受信するとき、受話器170Bは、音声メッセージを聞くために人間の耳に近くに置かれてよい。
【0070】
「マイク」又は「マイクロフォン」とも呼ばれるマイクロホン570Cは、音声信号を電気信号に変換するように構成されている。ユーザは、発信時や音声メッセージ送信時には、マイクロホン570Cの近くでユーザの口を通して音声を発し、マイクロホン570Cに音声信号を入力してよい。少なくとも1つのマイクロホン570Cが、携帯電話内に配置されてよい。いくつかの他の実施形態では、音声信号を収集し、さらにノイズ低減機能を実施するために、2つのマイクロホンを携帯電話に配置してよい。これに代えて、いくつかの他の実施形態では、音声信号を収集し、ノイズを低減し、音源を識別し、方向性記録機能を実施するなどのために、3つ、4つ、又はそれ以上のマイクロホンを携帯電話に配置してよい。
【0071】
ヘッドセットジャック570Dは、有線ヘッドセットに接続するように構成されている。ヘッドセットジャックは、USBポートであってよく、又は3.5mmのオープンモバイル電子デバイスプラットフォーム(open mobile terminal platform, OMTP)標準インターフェース、又は米国セルラー通信工業協会(cellular telecommunications industry association of the USA, CTIA)標準インターフェースであってよい。
【0072】
圧力センサ580Aは、圧力信号を感知するように構成され、圧力信号を電気信号に変換することができる。いくつかの実施形態では、圧力センサ580Aは、ディスプレイ594内に配置されてよい。圧力センサ580Aには多くのタイプがあり、例えば、抵抗性圧力センサ、誘導性圧力センサ、及び容量性圧力センサがある。容量性圧力センサは、導電性材料で作られた少なくとも2つの平行プレートを含んでよい。圧力センサ580Aに力が加えられると、電極間のキャパシタンスが変化する。携帯電話は、静電容量の変化に基づいて圧力強度を決定する。ディスプレイ594上でタッチ操作を行うと、携帯電話は、圧力センサ580Aに基づいてタッチ操作の強さを検出する。また、携帯電話は、圧力センサ580Aの検出信号に基づいてタッチ位置を計算してよい。いくつかの実施形態では、同じタッチ位置で実行されるが異なるタッチ操作強度を有するタッチ操作は、異なる操作命令に対応してよい。例えば、タッチ操作の強さが第1圧力閾値未満のタッチ操作を、メッセージのアイコンで行った場合には、SMSメッセージを見るための指示を行う。又は、タッチ操作の強さが第1圧力閾値以上のタッチ操作を、メッセージのアイコンで行った場合には、新しいSMSメッセージを作成する指示を行う。
【0073】
ジャイロスコープセンサ580Bは、携帯電話の動作姿勢を決定するように構成されてよい。いくつかの実施形態では、3つの軸(即ち、軸x、y、及びz)の周りの携帯電話の角速度は、ジャイロスコープセンサ580Bを介して決定されてよい。ジャイロスコープセンサ580Bは、撮影中の手ぶれ補正に使用されてよい。例えば、シャッタが押されると、ジャイロスコープセンサ580Bは、携帯電話がジッタする角度を検出し、レンズモジュールが補償する必要がある距離をその角度に基づいて計算し、レンズが、反転動作によって携帯電話のジッタを除去して、手ぶれ補正を実行することを可能にする。ジャイロスコープセンサ580Bはさらに、ナビゲーションシナリオ及び体細胞ゲームシナリオにおいて使用してよい。
【0074】
気圧センサ580Cは、気圧を測定するように構成されている。いくつかの実施形態では、携帯電話は、測位及びナビゲーションを支援するために、気圧センサ580Cによって測定で得られた大気圧値を使用して高度を計算する。
【0075】
磁気センサ580Dは、ホールセンサを含む。携帯電話は、磁気センサ580Dによって、フリップカバーの開閉を検出してよい。いくつかの実施形態では、携帯電話がクラムシェル電話である場合、携帯電話は、磁気センサ580Dに基づいてフリップカバーの開閉を検出し、フリップカバーの検出された開閉状態に基づいて、フリップによる自動のロック解除のような特徴を設定してよい。
【0076】
加速度センサ580Eは、携帯電話の様々な方向(通常は3軸)の加速度値を検出してよく、携帯電話が静止しているときに重力値及び重力方向を検出してよい。加速度センサ580Eは、電子デバイスの姿勢を識別するようにさらに構成されてよく、歩数計などの用途と、景観モードと肖像モードとの間のスイッチングとに適用される。
【0077】
距離センサ580Fは、距離を測定するように構成されている。携帯電話は、赤外線又はレーザーの方法で距離を測定してよい。いくつかの実施形態では、写真撮影シナリオにおいて、迅速な焦点合わせを実現するために、携帯電話は、距離センサ180Fを通る距離を測定してよい。
【0078】
光学近接センサ580Gは、例えば、発光ダイオード(LED)と、フォトダイオードなどの光学検出器とを含んでよい。発光ダイオードは赤外線発光ダイオードであってよい。携帯電話は発光ダイオードを使って赤外線を発光する。携帯電話は、フォトダイオードを通して、近くの物体からの赤外線反射光を検出する。十分な反射光が検出されると、携帯電話の近くに物体があると判断してよい。不十分な反射光を検出した場合、携帯電話は携帯電話の近くに物体がないと判断してよい。携帯電話は、光学近接センサ580Gを介して、ユーザが通話のために携帯電話を耳の近くに保持していることを検出して、省電力のためのスクリーンオフを自動的に実行してよい。さらに光学近接センサ580Gは、スマートカバーモード又はポケットモードで使用されて、スクリーンのロック解除又はロックを自動的に実行してよい。
【0079】
周囲光センサ580Lは、周囲光の輝度を感知するように構成されている。携帯電話は、感知された周囲光の輝度に基づいてディスプレイ594の輝度を適応的に調整してよい。周囲光センサ180Lは、さらに、撮影中にホワイトバランスを自動的に調整するように構成されてよい。周囲光センサ580Lは、さらに、偶発的な接触を防止するために、携帯電話がポケットの中にあるか否かを検出するために、光学近接センサ580Gと協働してよい。
【0080】
指紋センサ580Hは、指紋を収集するように構成されている。携帯電話は、収集した指紋の特徴を用いて、指紋ベースのロック解除、アプリケーションロックアクセス、指紋ベースの写真撮影、指紋ベースの着信応答などを実現してよい。
【0081】
温度センサ580Jは、温度を検出するように構成されている。一部の実施形態では、携帯電話は、温度センサ580Jによって検出された温度を使用して温度処理ポリシーを実行する。例えば、温度センサ580Jによって報告された温度が閾値を超えると、携帯電話は、温度センサ580Jの近くのプロセッサの性能を低下させ、熱保護のために電力消費を低減する。いくつかの他の実施形態では、温度が別の閾値未満である場合、携帯電話はバッテリ542を加熱し、低温のために携帯電話の異常な電力オフを防止する。いくつかの他の実施形態では、温度がさらに別の閾値未満である場合、携帯電話は、低温によって引き起こされる異常な電力オフを防止するために、バッテリ542の出力電圧を上昇させる。
【0082】
タッチセンサ580Kは、「タッチパネル」とも呼ばれる。タッチセンサ580Kは、ディスプレイ594内に配置されてよい。タッチセンサ580Kは、タッチセンサ580K上又はその近傍で実行されるタッチ動作を検出するように構成されている。タッチセンサ580Kは、検出されたタッチ動作をアプリケーションプロセッサに転送して、タッチイベントのタイプを決定し、ディスプレイ594を介してタッチ動作に関連する視覚出力を提供してよい。他のいくつかの実施形態では、タッチセンサ580Kは、代替的に、ディスプレイ594の位置とは異なる位置の携帯電話の表面に配置されてよい。
【0083】
骨伝導センサ580Mは、振動信号を得ることができる。いくつかの実施形態では、骨伝導センサ580Mは、ヒト声帯部の振動骨の振動信号を得てよい。また骨伝導センサ580Mは、血圧拍動信号を受信するために身体の脈拍に接触してよい。いくつかの実施形態では、骨伝導センサ580Mは、代替的にヘッドセット内に配置されてよい。音声機能を実現するために、オーディオモジュール570は、骨伝導センサ580Mによって得られる、声帯部の振動骨の振動信号に基づいて解析することによって、声信号を得てよい。アプリケーションプロセッサは、骨伝導センサ580Mによって得られた血圧拍動信号に基づいて心拍数情報を解析して、心拍数検出機能を実施してよい。
【0084】
ボタン590は、パワーボタン、ボリュームボタン等を含む。ボタンは、機械的ボタンであってよく、又はタッチボタンであってよい。携帯電話は、ボタン入力を受け取って、携帯電話のユーザ設定及び機能制御に関連するボタン信号入力を生成してよい。
【0085】
モータ591は、振動プロンプトを生成してよい。モータ591は、着信の振動プロンプトに使用してよいし、又はタッチ振動フィードバックに使用してよい。例えば、異なるアプリケーション(例えば、写真撮影及びオーディオ再生)に対して実行されるタッチ操作はさらに、異なる振動フィードバック効果に対応してよい。ディスプレイ594上の異なる領域で実行されるタッチ操作は、モータ591の異なる振動フィードバック効果に対応してよい。さらに、異なるアプリケーションシナリオ(例えば、時間リマインダシナリオ、情報受信シナリオ、アラームクロックシナリオ、及びゲームシナリオ)が、異なる振動フィードバック効果に対応してよい。これに代えて、タッチ振動フィードバック効果がカスタマイズされてよい。
【0086】
インジケータ592は、充電状態及び電力変化を示すように構成できるインジケータライトであってよく、又はメッセージ、不在着信、通知などを示すように構成してよい。
【0087】
SIMカードインターフェース595は、加入者識別モジュール(subscriber identity module, SIM)カードに接続するように構成されている。SIMカードは、携帯電話との接触又は携帯電話からの分離を実現するために、SIMカードインターフェースに挿入されてよく、又はSIMカードインターフェースから取り外されてよい。携帯電話は、1つ又はN個のSIMカードインターフェースをサポートしてよく、Nは1よりも大きい正の整数である。SIMカードインターフェース595は、ナノSIMカード、マイクロSIMカード、SIMカードなどをサポートしてよい。複数のカードは、1つのSIMカードインターフェースに同時に挿入されてよい。複数のカードは、同じタイプ又は異なるタイプのものであってよい。またSIMカードインターフェース595は、異なるタイプのSIMカードと互換性があってよい。SIMカードインターフェース595はまた、外部メモリカードと互換性があってよい。携帯電話はSIMカードを使ってネットワークと相互作用を行い、発信やデータ通信などの機能を実現する。いくつかの実施形態では、携帯電話は、eSIM、即ち、埋め込まれたSIMカードを使用する。eSIMカードは携帯電話に埋め込まれてよく、携帯電話と切り離すことはできない。携帯電話のソフトウェアシステムは、階層アーキテクチャー、イベント駆動アーキテクチャー、マイクロカーネルアーキテクチャー、マイクロサービスアーキテクチャー、又はクラウドアーキテクチャーを使用してよい。本発明の実施形態では、階層アーキテクチャーを有するAndroidシステムが、携帯電話のソフトウェア構造を記述する一例として使用される。
【0088】
図6は、本発明の実施形態での携帯電話のソフトウェア構造のブロック図である。
【0089】
階層アーキテクチャーでは、ソフトウェアはいくつかの階層に分かれ、各階層は明確な役割とタスクを持っている。これらの層は、ソフトウェアインターフェースを介して互いに通信する。いくつかの実施形態では、Androidシステムは、上から下へ、アプリケーション層、アプリケーションフレームワーク層、アンドロイドランタイム(Android runtime)及びシステムライブラリ、及びカーネル層の4つの層に分割される。
【0090】
アプリケーション層は、一連のアプリケーションパッケージを含んでよい。
【0091】
図6に示すように、アプリケーションパッケージは、カメラ、ギャラリー、カレンダー、電話、マップ、ナビゲーション、WLAN、ブルートゥース、ミュージック、ビデオ、及びメッセージなどのアプリケーションを含んでよい。
【0092】
アプリケーションフレームワーク層は、アプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface, API)と、アプリケーション層におけるアプリケーションのためのプログラミングフレームワークとを提供する。アプリケーションフレームワーク層には、定義済みの機能がいくつか含まれている。
【0093】
図6に示すように、アプリケーションフレームワーク層は、ウィンドウマネージャ、コンテンツプロバイダ、ビューシステム、電話マネージャ、リソースマネージャ、通知マネージャなどを含んでよい。
【0094】
ウィンドウマネージャは、ウィンドウプログラムを管理するように構成されている。ウィンドウマネージャは、ディスプレイのサイズを取得し、ステータスバーがあるか否かを決定し、スクリーンロックを実行し、スクリーンショットを取るなどしてよい。
【0095】
コンテンツプロバイダは、データを保存及び取得するように構成され、データがアプリケーションによってアクセスされることを可能にするように構成されている。データは、ビデオ、画像、オーディオ、発信及び受信した通話、閲覧履歴及びブックマーク、アドレス帳などを含んでよい。
【0096】
ビューシステムは、テキストを表示する制御装置、及び画像を表示する制御装置などの視覚的制御装置を含む。ビューシステムは、アプリケーションを構築するように構成してよい。表示インターフェースは、1つ以上のビューを含んでよい。例えば、メッセージの通知アイコンを含む表示インターフェースは、テキスト表示ビュー及び画像表示ビューを含んでよい。
【0097】
電話マネージャは、例えば、通話状態の管理(応答、拒否等を含む)など、携帯電話の通信機能を提供するように構成されている。
【0098】
リソースマネージャは、さまざまなリソース、例えば、ローカライズされた文字列、アイコン、画像、レイアウトファイル、及びビデオファイルを、アプリケーションに提供する。
【0099】
通知マネージャは、アプリケーションが通知情報をステータスバーに表示することをイネーブルし、通知メッセージを伝達するように構成されてよい。通知マネージャは、短い一時停止の後、ユーザの相互作用を必要とせずに自動的に消滅してよい。例えば、通知マネージャは、ダウンロード完了を通知し、メッセージ通知を行うなどするように構成されている。これに代えて、通知マネージャは、グラフ又はスクロールバーテキストの形式でシステムの最上部ステータスバーに現れる通知、例えば、バックグラウンドで実行中のアプリケーションの通知、又はダイアログボックスの形式で画面に現れる通知であってよい。例えば、テキスト情報がステータスバーにプロンプト表示されたり、アラート音が生成されたり、電子デバイスが振動したり、インジケータライトが点滅したりする。
【0100】
Android runtimeには、コアライブラリと仮想マシンが含まれている。Android runtimeは、アンドロイドシステムのスケジューリングと管理とを担当する。
【0101】
コアライブラリは、java言語で呼び出す必要のある関数と、アンドロイドのコアライブラリとの2つの部分を含む。
【0102】
アプリケーション層とアプリケーションフレームワーク層とは、仮想マシン上で動作する。仮想マシンは、アプリケーション層とアプリケーションフレームワーク層とのjavaファイルをバイナリファイルとして実行する。仮想マシンは、オブジェクトライフサイクル管理、スタック管理、スレッド管理、セキュリティと例外管理、ガーベージコレクションなどの機能を実施するように構成されている。
【0103】
システムライブラリは、複数の機能モジュール、例えば、サーフェスマネージャ(surface manager)、メディアライブラリ(Media Libraries)、3次元グラフィックス処理ライブラリ(例えば、OpenGL ES)、及び2Dグラフィックスエンジン(例えば、SGL)を含んでよい。
【0104】
サーフェスマネージャは、表示サブシステムを管理し、複数のアプリケーションのために2D及び3D層の融合を提供するように構成されている。
【0105】
メディアライブラリは、複数の一般的に使用されるオーディオ及びビデオフォーマット、静止画像ファイル等における再生及び記録をサポートする。メディアライブラリは、MPEG4,H.264,MP3,AAC,AMR,JPG及びPNGのような複数のオーディオ及びビデオ符号化フォーマットをサポートしてよい。
【0106】
3次元グラフィックス処理ライブラリは、3次元グラフィックス描画、画像レンダリング、合成、レイヤ処理等を実現するように構成されている。
【0107】
2Dグラフィックスエンジンは2D描画用の描画エンジンである。
【0108】
カーネル層は、ハードウェアとソフトウェアの間の層である。カーネル層は、少なくともディスプレイドライバ、カメラドライバ、オーディオドライバ、及びセンサドライバを含む。
【0109】
図7aに示すように、携帯電話とアプリケーションサーバとの間にMPTCP接続が確立され、MPTCP接続は、LTEネットワークに対応する第1TCP接続と、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含むと仮定する。現在、携帯電話がMPTCP接続を使用する場合、携帯電話がアプリケーションサーバから第1識別子を受信し、ここでデータストリームが低いデータ伝送遅延要求を有することを第1識別子が示すと、携帯電話は、図7aに示すWIFIネットワークに対応する第2TCP接続を優先的に使用してデータストリームを受信する。WIFIネットワークに対応する第2TCP接続のデータ伝送レート(データ伝送レートは単位時間当たりの受信データ量)が不足している場合(例えば2Mbps未満)、携帯電話はさらにセルラーネットワークに対応する第1TCP接続をイネーブルして、データを受信する。しかし、WIFIネットワークのジッタが比較的大きいため、表1に示すように、WIFIネットワークがスムーズでないシナリオが発生することが多い。その結果、フレームの凍結やスムーズでない再生が発生することがある。
【表1】
【0110】
例えば、携帯電話が、表1に示されるネットワーク速度制限シナリオにおいて映画を見るために使用される場合、携帯電話のビデオダウンロードレート(即ち、データ伝送レート)は、約1mbpsであってよい。現在の映画が高解像度ビデオの場合、ビデオダウンロードレートの要件は4mbpsで、携帯電話が映画を再生しているときに、フレームの凍結やスムーズでない再生が発生する。携帯電話が、第2TCP接続のデータ伝送レートを監視することにより、セルラーネットワークに対応するTCP接続をイネーブルするか否かを判断する場合、現在のデータ伝送レートが帯域幅要求を満足するか否かを判断するために、少なくとも2ないし3期間のデータ伝送レートの平均値(例えば、1期間に対応する継続時間は3s、2期間に対応する継続時間は6s)を計算する必要がある。この場合、WIFIに対応するTCP接続がスムーズでないと携帯電話が判断した場合、通常、携帯電話上で2sないし3s、又はそれ以上の時間、フレームの凍結が発生する。
【0111】
従って、本出願の一実施形態は、データ伝送方法を提供する。この方法で例えば、携帯電話は、第2TCP接続を使用して、各期間(例えば、各期間に対応する継続時間が3s)に実際に受信された累積データ量が、受信が予期される累積データ量よりも大きいか否かについて、定期的に統計を収集する。例えば、帯域幅要求は4mbpsであり、受信が予期される累積データ量は4mbpsと3sの積、即ち12mbである。表1に示すネットワーク速度制限のシナリオでは、携帯電話が依然として映画を見るために使用され、第2TCP接続による携帯電話のビデオダウンロードレートが約1mbpsに過ぎないと仮定すると、この期間の携帯電話の受信した累積データ量は明らかに3mbに過ぎず、12mbをはるかに下回る。そのため、携帯電話は、LTEネットワークに対応するTCP接続を即座にイネーブルする。携帯電話がLTEネットワークに対応する第1TCP接続をイネーブルした後、LTEネットワークに対応する第1TCP接続のビデオダウンロードレートは、例えば5mbpsと非常に高い。次の期間に(この期間に対応する継続時間は依然として3sと仮定する)、WIFIネットワークとLTEネットワークとに対応する第1TCP接続を使用して携帯電話が受信した累積データ量は、約18mbであり、受信が予期される累積データ量(3mb+4mbps×3s=17mb)を満足する。各TCP接続を使用して実際に携帯電話が受信した積算データ量が、リアルタイムでインターフェースを介して取得され得るため、携帯電話は、実際に受信した積算データ量と受信が予期される積算データ量とを比較し、LTEネットワークに対応する第1TCP接続をイネーブルするか否かを判断し、その判定結果もリアルタイムかつ正確であることが分かる。そのため、携帯電話でのフレームの凍結やスムーズでない再生を、ある程度軽減することができる。
【0112】
本出願のこの実施形態では、図7b及び図7cに示すシナリオを参照して例を用いて、前述のデータストリーム送信方法をさらに説明する。
【0113】
シナリオ1:携帯電話は、ユーザ1がビデオアプリケーションの再生インターフェースの再生制御で行う操作(例えば、タップ操作)を受信すると、そのビデオアプリケーションに対応するアプリケーションサーバに、マルチメディアファイル「Next」の取得を要求するメッセージを送信する。メッセージ受信後、アプリケーションサーバは、MPTCPプロトコルを用いて、マルチメディアファイルのデータストリームを携帯電話に送信する。携帯電話は、前述のデータストリーム送信方法によりデータストリームを受信し、図7bに示すインターフェースを表示する。
【0114】
具体的には、アプリケーションサーバから指示情報を受信した後に、ビデオアプリケーションに対応するアプリケーションサーバが、各データストリームを送信する前に、最初に指示情報を送信するので、携帯電話は、指示情報から、第2識別子と、帯域幅要求を示すために使用されるパラメータとを取得し、携帯電話は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続を使用して、データストリームを受信する。セルラーネットワークに対応するTCP接続の受信ウィンドウが最大値に調整されたときに、データストリームの帯域幅要求がまだ満足されない場合、携帯電話は、WIFIネットワークに対応するTCP接続をさらに使用して、データストリームを受信してよい。このようにして、ユーザ1が行った動作を検出した後、携帯電話は、マルチメディアファイル「Next」の先頭フレームの再生を迅速に開始することができ、即ち、再生開始遅延が比較的短くなり、ユーザ体験を向上させる。
【0115】
シナリオ2:図7cに示すように、携帯電話がマルチメディアファイル「Next」を再生する処理の中で、携帯電話はさらに、アプリケーションサーバからキャッシュ期間のデータストリームを受信する。アプリケーションサーバは、キャッシュ期間のデータストリームを送信する前に、最初に、キャッシュ期間のデータストリームのタイプ識別子に対応する指示情報を携帯電話に送信する。携帯電話は、アプリケーションサーバから指示情報を受信した後、指示情報から第1識別子と帯域幅要求を示すために使用されるパラメータとを取得する。携帯電話は、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続を優先的に使用し、第1期間にデータストリームを受信する。携帯電話は、第1期間に実際に受信した第1積算データ量を取得する。第1累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量よりも小さいならば(これは弱いWIFI信号に起因するのであってよい)、受信が予期される第1累積データ量が、帯域幅要求を指示するために使用されるパラメータと、第1期間に対応する継続時間との積である場合、携帯電話は、LTEネットワークに対応するTCP接続をさらに使用してデータストリームを受信してよい。
【0116】
図8は、本出願の一実施形態によるデータ伝送方法の手順の一例を示す図である。この方法は、アプリケーションサーバから送信されたデータストリームが指示情報を伝えるシナリオに適用できる。本方法は、電子デバイスによって実施され、本方法は、以下のステップを含む。
【0117】
ステップ801:電子デバイスは、アプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立する。
【0118】
MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続と、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含み、第1TCP接続のデータ伝送遅延は、第2TCP接続のデータ伝送遅延よりも小さい。
【0119】
ステップ802:電子デバイスは、アプリケーションサーバから指示情報を受信する。
【0120】
指示情報は、タイプ識別子と、データ伝送レート要求を示すために使用されるパラメータとを含み、タイプ識別子は、主に、アプリケーションサーバによって送信されるデータストリームのタイプを示すために使用される。例えば、表2に示すように、アプリケーションサーバによって送信されるデータストリームが比較的低いデータ伝送遅延要求を有する場合、タイプ識別子は第1識別子である。例えば、第1識別子は文字列“background”である。アプリケーションサーバから送信されるデータストリームが比較的高いデータ伝送遅延要求を持つ場合、タイプ識別子は第2識別子である。例えば、第2識別子は文字列“interactive”である。
【表2】
【0121】
なお、アプリケーションサーバから送信された指示情報は、後にアプリケーションサーバから送信されたデータストリームに関連し、アプリケーションサーバから送信された指示情報とアプリケーションサーバから送信されたデータストリームとの間には時系列が存在する。例えば、アプリケーションサーバによって送信される指示情報に含まれるタイプ識別子が第1識別子である場合、アプリケーションサーバによって送信されるデータストリームは、その後、第1識別子に関連するデータストリームである。
【0122】
ステップ803:タイプ識別子が第1識別子である場合、電子デバイスは、指示情報を受信した後、第2TCP接続を使用して、第1期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0123】
即ち、アプリケーションサーバから送信されたデータストリームが、高いデータ伝送遅延要求を持たないと判定した場合、電子デバイスは、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続のみを使用することにより、データストリームを受信する。このようにして、セルラーネットワークの一層少ないデータトラフィックをある程度消費することができる。
【0124】
ステップ804:第1期間に電子デバイスが実際に受信した累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量を満足しない場合、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、アプリケーションサーバから第2期間にデータストリームを受信する。
【0125】
受信が予期される第1累積データ量は、帯域幅要求を示すために使用されるパラメータと、第1期間に対応する継続時間との積に等しい。例えば、第1期間に対応する継続時間が3秒であり、アプリケーションサーバから送信された指示情報の帯域幅要求を示すパラメータが4mbpsである場合、受信が予期される累積データ量は12mbである。つまり、このステップでは、電子デバイスが表1に示す任意のシナリオにある場合、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続のみを使用することで電子デバイスによって実際に受信された累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量よりもはるかに少ないと、電子デバイスは判断する。従って、電子デバイスはさらに、セルラーネットワークに対応するTCP接続を直ちに使用する。図9aに示すように、第1期間に実際に受信した積算データ量は5mbであり、受信が予期される第1積算データ量は12mbである。実際に受信した累積データ量は、受信が予期される第1累積データ量より少ないため、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第2期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。比較を容易にするために、図9aに示される2つの矩形グラフによって占められる監視期間は異なることに留意するものとする。しかし、図9aでは、受信が予期される累積データ量を横軸に示す列グラフが占める監視期間及び監視の継続時間は、実際に受信された累積データ量を横軸に示す矩形グラフが占める監視期間及び監視の継続時間と同じである。
【0126】
ステップ805:任意には、タイプ識別子が第2識別子である場合、電子デバイスは、指示情報を受信した後、第1期間に、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、アプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0127】
即ち、アプリケーションサーバによって送信されたデータストリームが高いデータ伝送遅延要求を有することを決定するとき、電子デバイスは、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続とセルラーネットワークに対応する第1TCP接続との両方を使用して、データストリームを受信する。このようにして、データストリーム受信速度をある程度増加させることができ、再生開始遅延を低減することができる。
【0128】
可能な設計では、第2TCP接続を使用して、第1期間に電子デバイスが実際に受信した第1累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量を満足すると決定した場合、電子デバイスは、依然として第2TCP接続を使用して、第2期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0129】
可能な設計では、電子デバイスが、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して第2期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信した場合に、第2TCP接続を使用して第2期間に電子デバイスが実際に受信した累積データ量が、受信が予期される第2累積データ量を満足すると決定した場合、電子デバイスは、第2TCP接続のみを使用して、第3期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。受信が予期される第2累積データ量は、第2期間に対応する継続時間と、帯域幅要求を示すために使用されるパラメータとの積に等しい。
【0130】
例えば、図9aに示すように、第2期間に対応する継続時間が3秒であり、アプリケーションサーバによって送信される指示情報における帯域幅要求を示すために使用されるパラメータが4mbpsである場合、受信が予期される第2累積データ量は、3sと4mbpsとの積、即ち12mbである。WIFIネットワークがレート制限状態からレート無制限状態に変化すると、WIFIネットワークのデータ伝送レートも増加する。第2期間における統計収集を通して、アプリケーションサーバが、実際に受信した累積データ量が30mbであることを見出すと仮定する。第2TCP接続を使用して電子デバイスが実際に受信した積算データ量は、受信が予期される第2積算データ量を満足することが分かる。従って、電子デバイスは、第2TCP接続のみを使用して第3期間にデータストリームを受信し、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続はディスエーブルされる。このようにして、セルラーネットワークの一層少ないデータトラフィックが消費できる。これに加えて、セルラーネットワークの電力消費はWIFIネットワークの電力消費よりも大きいので、第1TCP接続が必要でないときにセルラーネットワークに対応する第1TCP接続をディスエーブルすることは、電力消費をある程度削減することが可能である。
【0131】
これに加えて、連続する複数の後の期間に、第2TCP接続を使用して、電子デバイスが実際に受信した累積データ量が全て、受信が予期される累積データ量よりも少ない、又は多いことを電子デバイスが検出する場合、電子デバイスは後の期間に対応する監視の継続時間を延長してよい。図9aに示すように、例えば、第3期間及び第4期間に、第2TCP接続を使用して電子デバイスが実際に受信したデータ量が、両方とも受信が予期されるデータ量よりも大きい場合、電子デバイスは、第5期間に対応する監視の継続時間を3sから30sへ調整する。このように、第2TCP接続を使用して受信した累積データ量が、受信が予期される累積データ量を満足するか否かを判断する回数が少なくなるため、消費電力をある程度削減することが可能である。
【0132】
本出願の以下の実施形態では、図9b-1及び図9b-2に示す手順を参照してさらに、前述のデータ送信方法の特定の手順を、詳細に説明する。方法手順の具体的な手順は、以下のステップを含んでよい。
【0133】
ステップ901:携帯電話は、ビデオアプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立する。MPTCP接続は、LTEネットワークに対応する第1TCP接続と、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む。
【0134】
ステップ902:データストリームを送信する前に、ビデオアプリケーションサーバは、携帯電話のシステムインターフェースを呼び出すことによって、指示情報を携帯電話に送信する。ここで指示情報は、第1識別子と、帯域幅要求を示すために使用されるパラメータとを含む。
【0135】
ステップ903:WIFIネットワークに対応する第2TCP接続を使用して、携帯電話は、第1識別子に基づいて、後の第1期間にビデオアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0136】
具体的には、タイプ識別子が第1識別子であることを決定した後、携帯電話は、LTEネットワークに対応する第1TCP接続の優先度を低く設定する。具体的には、LTEネットワークに対応する第1TCP接続は確立されているが、アイドル状態ではあるが利用不能な状態である。WIFIネットワークに対応する第2TCP接続は常に利用可能な状態に設定されている。
【0137】
ステップ904:携帯電話は、第1期間に実際に受信した第1累積データ量を取得する。
【0138】
例えば、オープンソースコード中のインターフェース関数getMPTCPInfoを用いて、携帯電話は、第1期間に実際に受信した第1累積データ量を、第2TCP接続を使用して取得する。
【0139】
ステップ905:携帯電話は、第1累積データ量と、受信が予期される第1累積データ量とを比較し、第1累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量よりも大きい場合にはステップ906aを実行し、又は、第1累積データ量が、受信が予期される第1累積データ量以下の場合にはステップ906bを実行する。
【0140】
例えば、受信が予期される第1累積データ量は、パラメータと、第1期間に対応する継続時間との積に等しい。例えば、帯域幅要求を示すために使用されるパラメータが4mbpsであり、第1期間に対応する継続時間が3sである場合、受信が予期される累積データ量は12mbである。
【0141】
WIFI信号が弱く、第1累積データ量がわずか3mbであると仮定すると、第1累積データ量は、受信が予期される第1累積データ量よりも小さくなり、ステップ906bが実行される。WIFI信号が強く、第1累積データ量が20mbであると仮定すると、第1累積データ量は、受信が予期される第1累積データ量よりも大きくなり、ステップ906aが実行される。
【0142】
ステップ906a:携帯電話は、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続を依然として使用して、後の第2期間にビデオアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0143】
ステップ906b:携帯電話は、LTEネットワークに対応する第1TCP接続とWIFIネットワークに対応する第2TCP接続との両方を使用して、後の第2期間にデータストリームを受信する。
【0144】
携帯電話は具体的には、LTEネットワークに対応する第1TCP接続の優先度を低位から高位に調整する。即ちLTEネットワークに対応する第1TCP接続が利用可能な状態になる。
【0145】
ステップ907:携帯電話は、WIFIネットワークに対応するTCP接続を使用して、第2期間に実際に受信した第2累積データ量を取得する。
【0146】
ステップ908:携帯電話は、第2累積データ量と、受信が予期される第2累積データ量とを比較し、第2累積データ量が、受信が予期される第2累積データ量よりも大きい場合には、ステップ909aを実行し、又は、第2累積データ量が、受信が予期される第2累積データ量以下の場合には、ステップ909bを実行する。
【0147】
例えば、受信が予期される第2累積データ量は、パラメータと第2期間との積に等しい。例えば、パラメータが4mbpsで、第1期間と第2期間とのそれぞれに対応する継続時間が3sの場合、受信が予期される第2累積データ量は12mbである。第2期間にWIFI信号が強くなり、第2累積データ量が24mbであると仮定すると、第2累積データ量は、受信が予期される第2累積データ量より大きくなり、ステップ909aが実行される。第2期間に、WIFI信号が弱く、第2累積データ量が3mbであると仮定すると、第2累積データ量は、受信が予期される累積データ量より少なくなり、ステップ909bが実行される。
【0148】
ステップ909a:携帯電話は、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続のみを使用して、後の第3期間にビデオアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0149】
携帯電話は具体的には、LTEネットワークに対応する第1TCP接続の優先度を、高位から低位に調整する。即ち、LTEネットワークに対応する第1TCP接続が、使用不可能な状態になる。
【0150】
ステップ909b:携帯電話は、LTEネットワークに対応する第1TCP接続とWIFIネットワークに対応する第2TCP接続との両方を依然として使用して、後の第3期間にデータストリームを受信する。
【0151】
なお、ステップ906a以降、WIFIネットワークに対応するTCP接続を使用して、携帯電話が第3期間及びさらに第4期間に実際に受信した蓄積データ量の両方が、受信が予期される蓄積データ量よりもさらに大きい場合には、携帯電話は、例えば、3sから20sへ、その後の期間に対応する監視の継続時間を増加させることに、注意するものとする。同様に、ステップ909b以降、WIFIネットワークに対応するTCP接続を使用して、携帯電話が第3期間及び第4期間に実際に受信した蓄積データ量の両方が、受信が予期される蓄積データ量よりもさらに少ない場合には、携帯電話は、例えば、3sから20sへ、その後の期間に対応する監視の継続時間を増加させる。そのため、消費電力を削減することができる。
【0152】
現在、アプリケーション市場には様々なアプリケーションが存在することを考慮すると、アプリケーションのアプリケーションサーバから電子機器に送信されるデータストリームは、指示情報を伝えない場合がある。従って、電子デバイスは、アプリケーションサーバから受信したデータストリームがオーディオストリームであるのかビデオストリームであるのかが決定できず、オーディオストリームの数量又はビデオストリームの数量が決定できない。従って、本出願のこの実施形態に提供される別のデータ伝送方法によれば、電子デバイスは、指定された継続時間内に実際に受信された累積データ量に関する統計を収集し、継続時間内のデータ伝送レートがプリセットデータ伝送レートに適合するか否かを決定し、データストリームを受信するために使用されるべきTCP接続をさらに決定する。
【0153】
本出願のこの実施形態では、図7bに示されたシナリオを参照した例を用いて、前述のデータストリーム送信方法をさらに説明する。
【0154】
携帯電話は、ユーザ1がビデオアプリケーションの再生インターフェースの再生制御で行う操作(例えば、タップ操作)を受信すると、そのビデオアプリケーションに対応するアプリケーションサーバに、マルチメディアファイル「Next」の取得を要求するメッセージを送信する。メッセージの受信後、アプリケーションサーバは、MPTCPプロトコルを用いて、マルチメディアファイルのデータストリームを携帯電話に送信する。携帯電話は、前述のデータストリーム送信方法によりデータストリームを受信し、図7bに示すインターフェースを表示する。アプリケーションサーバから携帯電話によって受信されるデータストリームは、マルチメディアファイルのオーディオストリームであってよく、又はマルチメディアファイルのビデオストリームであってよく、又は広告サービスのオーディオストリーム及びビデオストリームを含んでよい。これに加えて、携帯電話は、オーディオストリームの数量又はビデオストリームの数量を決定することができない。従って、携帯電話は、最初に、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続と、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続を使用して、第1期間にデータストリームの受信を試行し、アプリケーションサーバから送信されるサービスで要求される帯域幅を予測する。次に、携帯電話は、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続を使用して、第2期間にデータストリームを受信する。第2TCP接続のデータ伝送レートが予測帯域幅を満足する場合、携帯電話はさらに、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続を使用することにより、次の期間にデータストリームを受信してよい。第2TCP接続のデータ伝送レートが予測帯域幅を満足しない場合、携帯電話はさらに、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続を使用することにより、次の期間にデータストリームを受信する。このように、ユーザ1が実行した動作を検出した後、携帯電話は、マルチメディアファイル「Next」の先頭フレームを迅速に再生することができるだけでなく、セルラーネットワークのデータトラフィックが、キャッシュデータの時間内に、なるべく消費されなくすることを確かにすることができる。
【0155】
具体的には、図10は、本出願の一実施形態による別のデータ伝送方法の手順の一例を示す。本方法は、電子デバイスによって実施され、本方法は、以下のステップを含む。
【0156】
ステップ1001:電子デバイスは、最初にアプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立する。
【0157】
MPTCP接続は、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続と、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む。
【0158】
ステップ1002:電子デバイスは、第2TCP接続を使用して、第1期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0159】
ステップ1003:電子デバイスは、第1期間に実際に受信された第1累積データ量に基づいて、第1期間における電子デバイスの第1データ伝送レートを決定する。第1データ伝送レートは、第1期間に対応する継続時間に対する第1累積データ量の比率に等しい。
【0160】
例えば、第1期間のWIFI信号があまり強くなければ、第1期間に対応する継続時間は3秒であり、第1累積データ量は12mbである。第1データ伝送レートは12mb/3s、即ち4mbpsである。第1期間のWIFI信号が弱く、第1期間の電子デバイスが実際に受信した第1累積データ量が3mbpsであってよい場合、第1データ伝送レートは3mb/3s、即ち1mbpsである。
【0161】
ステップ1004:第1データ伝送レートがプリセットデータ伝送レートを満足しないと決定した場合、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第2期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0162】
例えば、第1期間のWIFI信号が弱く、第1データ伝送レートが1mbpsである場合、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第2期間の間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0163】
なお、プリセットデータ伝送レートは、経験的な値であってよいし、又は次のように取得されてよいことに留意するものとする。即ち、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第1期間の前に予め、アプリケーションサーバからデータストリームを受信し、第1期間に実際に受信した蓄積データ量に基づいて、アプリケーションサーバが必要とするデータ伝送レートを予測し、予測データ伝送レートをプリセットデータ伝送レートとして使用する。
【0164】
可能な設計では、電子デバイスは、第2期間に実際に受信した第2累積データ量を決定し、第2期間に実際に受信した第2累積データ量に基づいて第2データ伝送レートを決定する。第2データ伝送レートがプリセットデータ伝送レートを満足する場合、電子デバイスは、第2TCP接続のみを使用して、第3期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0165】
第1期間、第2期間及び第3期間は、同じ継続時間を有してよいし、又は異なる継続時間を有してよいことに留意するものとする。第2期間は第1期間の後、第3期間は第2期間の後である。
【0166】
例えば、第1期間に対応する継続時間は3秒、第2期間に対応する継続時間も3秒、プリセットデータ伝送レートは4mbpsである。WIFIネットワークが、第2期間にレート制限状態からレート無制限状態に変化すると、WIFIネットワークに対応するTCP接続を使用して実際に受信したデータ量が、やはり増加する。電子デバイスが、計算によって、第2期間の第2データ伝送レートが10mbpsであることを得た場合、電子デバイスは、第2TCP接続のみを使用することによって、第3期間のデータストリームを受信してよい。セルラーネットワークに対応する第1TCP接続は、依然としてディスエーブルされている。このようにして、セルラーネットワークの一層少ないデータトラフィックを消費することができる。これに加えて、セルラーネットワークの電力消費はWIFIネットワークの電力消費よりも大きいので、第1TCP接続が必要でないときにセルラーネットワークに対応する第1TCP接続をディスエーブルすることは、電力消費をある程度低減することができる。
【0167】
可能な設計では、電子デバイスが、第2TCP接続のみを使用して、連続するM回の期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信した場合、M回の期間の後に受信した累積データ量がZ1、(M-1)回の期間の後に受信した累積データ量がZ2、(M-2)回の期間の後に受信した累積データ量がZ3であることを、電子デバイスは見出す。Z1-Z2がZ2-Z3よりもはるかに大きい、又ははるかに小さい場合は、第2TCP接続を使用することにより、第M期間に電子デバイスが受信したデータ量が突然増加するか、又は突然減少することを示す。従って、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、第4期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0168】
例えば、電子デバイスが現在ビデオアプリケーションでビデオを再生していて、ユーザがビデオモードを通常モードから高解像度モードに切り替える場合、単位時間当たりのビデオアプリケーションサーバによって送信されるデータ量は増加する。この場合、第2TCP接続を使用して電子デバイスが受信した累積データ量もまた、増加する。第2TCP接続を使用して電子デバイスが受信する積算データ量は増加するが、積算データ量は、受信が予期される積算データ量を満足することができない。従って、電子デバイスは、次の期間に、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、アプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0169】
別の例として、電子デバイスが、現在、第2TCP接続のみを使用してデータストリームを受信している場合には、電子デバイスは、第1時刻の統計収集を通じて、第2TCP接続を使用して実際に受信した累積データ量が10mbであることを見出し、電子デバイスは、第2時刻の統計収集を通じて、第2TCP接続を使用して実際に受信した累積データ量が20mbであることを見出し、電子デバイスは、第3時刻の統計収集を通じて、第2TCP接続を使用して実際に受信した累積データ量が23mbであることを見出す。これは、第2TCP接続を使用して第2時刻から第3時刻までの期間に電子デバイスが受信したデータ量が非常に小さく、わずか3mbであることを示す。この場合、電子デバイスは、表1に示されるシナリオにあることがある。従って、電子デバイスは、第1TCP接続と第2TCP接続との両方を使用して、次の期間にアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0170】
可能な設計では、複数回行われた、指定された期間中の統計収集を通して、第2TCP接続を使用して受信した累積データ量が、その後の固定継続時間(例えば、60s)において受信が予期される累積データ量よりも少ないことを、電子デバイスが知った場合、統計収集及び決定は、実際に受信した累積データ量に対しては行われない。電子デバイスは、第1TCP接続及び第2TCP接続との両方を使用して、アプリケーションサーバから一定の継続時間内にデータストリームを受信する。これは、WIFI信号が不安定であるために、セルラーネットワークに対応する第1TCP接続を、電子デバイスが繰り返しイネーブル又はディスエーブルする場合に生じる、比較的高い電力消費を回避する。
【0171】
本出願の以下の実施形態では、前述のデータ伝送方法の特定の手順が、さらに、図11に示す手順を参照して詳細に説明される。この方法の具体的な手順は、以下の段階を含んでよい。
【0172】
ステップ1101:携帯電話は、ライブ放送アプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立する。MPTCP接続は、LTEネットワークに対応する第1TCP接続と、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続とを含む。
【0173】
ステップ1102:各期間に対応する継続時間が常に3sであると仮定すると、LTEネットワークに対応する第1TCP接続とWIFIネットワークに対応する第2TCP接続との両方を使用して、携帯電話は、第1期間にライブ放送アプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0174】
ステップ1103:携帯電話は、第1期間に実際に受信した第1積算データ量を取得し、その後、実際に受信した第1積算データ量及び第1期間に基づいて、ライブ放送アプリケーションサーバが必要とするプリセットデータ伝送レートを予測する。
【0175】
例えば、最初の3sで携帯電話が実際に受信した第1積算データ量が12mbの場合、ライブ放送アプリケーションサーバが必要とするプリセットデータ伝送レートは12mb/3s、つまり4mbpsとなる。
【0176】
ステップ1104:携帯電話は、第2TCP接続のみを使用して、第2期間にライブ放送アプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0177】
ステップ1105:携帯電話は、第1期間及び第2期間に実際に受信した第2累積データ量を取得し、第2累積データ量と第1累積データ量との差を算出し、その差を第2期間で除して、第2期間における第2TCP接続の第2データ伝送レートを得る。
【0178】
なお上記の例を用いると、第2期間も3sであり、第2累積データ量は21mb/3sである。この場合、第2累積データ量と第1累積データ量との差は9mbとなる。従って、第2期間で除した差分は3mbpsであり、第2TCP接続の第2データ伝送レートは3mbpsである。
【0179】
ステップ1106:携帯電話は、第2TCP接続の第2データ伝送レートが、プリセットデータ伝送レートよりも大きいか否かを判定し、第2TCP接続の第2データ伝送レートが、プリセットデータ伝送レートよりも大きい場合は、ステップ1107aを実行し、又は第2TCP接続の第2データ伝送レートが、プリセットデータ伝送レートよりも小さいか等しい場合は、ステップ1107bを実行する。
【0180】
ステップ1107a:携帯電話は、第2TCP接続のみを使用して、第3期間にライブ放送アプリケーションサーバからデータストリームを受信し続ける。
【0181】
ステップ1107b:携帯電話は、LTEネットワークに対応する第1TCP接続とWIFIネットワークに対応する第2TCP接続との両方を使用することにより、第3期間にライブ放送アプリケーションサーバからデータストリームを受信し続ける。
【0182】
なお、ステップ1107aの後、携帯電話によって得られる第3期間及び第4期間の第2TCP接続の両方のデータ伝送レートが、依然として第1データ伝送レートよりも大きい場合に、携帯電話は、例えば3sから20sへ、後の期間を増加させることに、注目することとする。同様に、ステップ1107bが実行された後、携帯電話によって得られる第3期間及び第4期間の第2TCP接続の両方のデータ伝送レートが、依然として第1データ伝送レート以下である場合に、携帯電話は、例えば3sから20sへ、後の期間を増加させる。これにより消費電力をある程度削減することができる。
【0183】
可能な設計では、携帯電話はカウンタを設定してよい(初期値は0である)。携帯電話が、第2TCP接続のデータ伝送レートがプリセットデータ伝送レートよりも大きいと判断するたびに、1がカウンタから減算される。携帯電話が、第2TCP接続のデータ伝送レートがプリセットデータ伝送レートよりも小さいと判断するたびに、1がカウンタに加算される。カウンタが3以上である場合、その後の固定継続時間において、統計の収集及び判定は、実際に受信された累積データ量に対して行われず、電子デバイスは、第1TCP接続及び第2TCP接続との両方を使用して、一定の継続時間でアプリケーションサーバからデータストリームを受信する。
【0184】
結論として、本出願のこの実施形態では、WIFIネットワークに対応する第2TCP接続が、データストリームを受信するために優先的に使用されてよい。データ伝送レートがプリセットデータ伝送レートを満足しないことが判明した場合、2つのTCP接続がデータストリームを受信するのに間に合うように使用される。この方法は、さらに、消費されるセルラーネットワークのデータトラフィックを一層少なくすることを可能にしてよい。これに加えて、WIFIネットワークが変動する場合、データ伝送レートを監視することにより、データストリームを間に合うように受信するために、2つのTCP接続を使用してよい。
【0185】
本出願の一実施形態は、コンピュータ可読な記憶媒体をさらに提供する。コンピュータ可読な記憶媒体は、コンピュータプログラムを含み、コンピュータプログラムが電子デバイス上で実行されたとき、電子デバイスは、前述のデータ送信方法の任意の可能な実施を実行してよくされる。
【0186】
本出願の一実施形態は、さらに、コンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品が電子デバイス上で実行された場合、電子デバイスは、上記データ伝送方法の任意の可能な実施を実行してよくされる。
【0187】
本出願のいくつかの実施形態では、データ伝送装置が開示される。図12に示すように、データ送信装置は、第1の方法の実施形態に記載した方法を実施するように構成され、トランシーバモジュール1201及び処理モジュール1202を含む。トランシーバモジュール1201は、アプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立するのに電子デバイスをサポートするように構成され、アプリケーションサーバからの指示情報とデータストリームとを受信するのに電子デバイスをサポートするように構成されている。図8のステップ803ないしステップ805、図9b-1及び図9b-2のステップ903ないしステップ909bのように、処理モジュール1202は、各TCP接続の受信ポリシーを調整するのに電子デバイスをサポートするように構成されている。前述の方法の実施形態でのステップの全ての関連する内容は、対応する機能モジュールの機能説明を参照してよく、詳細は、ここでは再度説明されない。
【0188】
図12に示すデータ伝送装置は、さらに、第2の方法の実施形態に記載した方法を実施するように構成され、トランシーバモジュール1201及び処理モジュール1202を含む。トランシーバモジュール1201は、アプリケーションサーバへのMPTCP接続を確立するのに電子デバイスをサポートし、アプリケーションサーバからデータストリームを受信するのに電子デバイスをサポートするように構成されている。処理モジュール1202は、例えば、図10のステップ1002及びステップ1003、及び図11のステップ1102ないしステップ1107bのように、各TCP接続の受信ポリシーを調整するのに電子デバイスをサポートするように構成されている。前述の方法の実施形態でのステップの全ての関連する内容は、対応する機能モジュールの機能説明を参照してよく、詳細は、ここでは再度説明されない。
【0189】
本出願の他のいくつかの実施態様において、電子デバイスが開示される。図13に示すように、電子デバイスは、1つ以上のプロセッサ1301、メモリ1302、ディスプレイ1303、1つ以上のアプリケーション(図示せず)、及び1つ以上のコンピュータプログラム1304を含んでよい。前述の構成要素は、1つ以上の通信バス1305を使用することによって互いに接続されてよい。1つ以上のコンピュータプログラム1304は、メモリ1302に記憶され、1つ以上のプロセッサ1301によって実行される。1つ以上のコンピュータプログラム1304は命令を含み、命令は、図8から図11のステップ及び対応する実施形態を実行するために使用されてよい。
【0190】
以上、実施について説明したことにより、当業者は、簡便かつ簡潔な説明のために、例示として、前述の機能モジュールのみへの分割を使用することを明確に理解することができる。実際のアプリケーションでは、要求に応じて実施する異なった機能モジュールに上記の機能を割り当ててよい。即ち、上述の機能の全部又は一部を実現するために、装置の内部構造が別々の機能モジュールに分割される。前述のシステム、装置、及びユニットの詳細な作業プロセスについては、前述の方法の実施形態での対応するプロセスを参照する。詳細は、ここでは再度説明しない。
【0191】
本出願の実施形態での機能ユニットは、1つの処理ユニットに統合されてよいし、ユニットの各々が物理的に単独で存在してよく、又は2つ以上のユニットが1つのユニットに統合されてよい。統合ユニットは、ハードウェアの形態で実施されてよく、又はソフトウェア機能ユニットの形態で実施されてよい。
【0192】
統合ユニットがソフトウェア機能ユニットの形態で実施され、独立した製品として販売又は使用される場合、統合ユニットは、コンピュータ可読な記憶媒体に記憶されてよい。このような理解に基づいて、本質的に、本出願の実施形態の技術的解決策、又は先行技術に寄与する部分、又は技術的解決策の全部若しくは一部が、ソフトウェア製品の形態で実施されてよい。コンピュータソフトウェア製品は、記憶媒体に記憶されていて、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク装置であってよい)又はプロセッサに、本出願の実施形態に記載される方法のステップの全て又は一部を実行するように指示するためのいくつかの命令を含む。前述の記憶媒体は、フラッシュメモリ、リムーバブルハードディスク、リードオンリーメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスク又はコンパクトディスクのような、プログラムコードを記憶することができる任意の媒体を含む。
【0193】
前述の説明は、本出願の実施形態の特定の実施に過ぎないが、本出願の実施形態の保護範囲を制限することを意図するものではない。本出願の実施形態において開示された技術的範囲内での任意の変更又は代替は、本出願の実施形態の保護範囲内にあるものとする。従って、本出願の実施形態の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8
図9a
図9b-1】
図9b-2】
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2021-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
I2Cインターフェースは、双方向同期シリアルバスであり、1つのシリアルデータライン(serial data line,SDA)と1つのシリアルクロックライン(serial clock line,SCL)とを含む。いくつかの実施形態では、プロセッサ510は、複数のグループのI2Cバスを含んでよい。プロセッサ510は、異なるI2Cバスインターフェースを介して、タッチセンサ580K、充電器、フラッシュライト、カメラ593などに別々に結合されてよい。例えば、プロセッサ510は、I2Cインターフェースを介してタッチセンサ580Kに結合され、プロセッサ510は、I2Cバスインターフェースを介してタッチセンサ580Kと通信して、携帯電話のタッチ機能を実現してよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0160
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0160】
例えば、第1期間のWIFI信号があまり強くなければ、第1期間に対応する継続時間は3秒であり、第1累積データ量は12mbである。第1データ伝送レートは12mb/3s、即ち4mbpsである。第1期間のWIFI信号が弱く、第1期間の電子デバイスが実際に受信した第1累積データ量が3mbであってよい場合、第1データ伝送レートは3mb/3s、即ち1mbpsである。

【国際調査報告】