(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(54)【発明の名称】垂直構造の青光発光ダイオード及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/32 20100101AFI20220221BHJP
H01L 33/46 20100101ALI20220221BHJP
【FI】
H01L33/32
H01L33/46
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539872
(86)(22)【出願日】2019-10-24
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2019112933
(87)【国際公開番号】W WO2020143274
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】201910018312.8
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518371489
【氏名又は名称】南京郵電大学
【氏名又は名称原語表記】NANJING UNIVERSITY OF POSTS AND TELECOMMUNICATIONS
【住所又は居所原語表記】No.66 Xin Mofan Road, Gulou Nanjing, Jiangsu 210003 China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】王 永進
(72)【発明者】
【氏名】倪 曙▲ゆ▼
(72)【発明者】
【氏名】袁 佳磊
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA04
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA40
5F241CA74
5F241CA77
5F241CA92
5F241CB11
5F241CB15
(57)【要約】
垂直構造の青光発光ダイオードは、第1の表面及び前記第1の表面に対向する第2の表面を有する導電性基板10と、前記第1の表面に位置している金属反射層11と、前記金属反射層11の表面に位置し、前記導電性基板10に垂直な方向に順次積み重ねられたP型GaN層12、量子井戸層13、予備層18及びN型GaN層14を含む窒化物エピタキシャル層と、前記N型GaN層14の表面に位置しているN型電極15と、前記第2の表面に位置しているP型電極16と、を備え、前記窒化物エピタキシャル層の厚さは青光の波長よりも薄い。上記の垂直構造の青光発光ダイオードによれば、内部の吸収損失を低減するため、発光ダイオードの光取り出し効率が大幅に向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面及び前記第1の表面に対向する第2の表面を有する導電性基板と、
前記第1の表面に位置している金属反射層と、
前記金属反射層の表面に位置し、前記導電性基板に垂直な方向に順次積み重ねられたP型GaN層、量子井戸層、予備層及びN型GaN層を含む窒化物エピタキシャル層と、
前記N型GaN層の表面に位置しているN型電極と、
前記第2の表面に位置しているP型電極と、を備え、前記窒化物エピタキシャル層の厚さは青光の波長よりも薄いことを特徴とする垂直構造の青光発光ダイオード。
【請求項2】
前記窒化物エピタキシャル層の厚さは350nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の垂直構造の青光発光ダイオード。
【請求項3】
前記導電性基板と前記金属反射層との間に位置するNiSn結合層をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の垂直構造の青光発光ダイオード。
【請求項4】
前記垂直構造の青光発光ダイオードは階段状構造を呈しており、前記階段状構造は、下部階段及び前記窒化物エピタキシャル層からなる上部階段を含み、前記下部階段は、前記P型電極、前記導電性基板及び前記金属反射層を含み、且つ、前記導電性基板に平行な方向に前記上部階段から突き出ていることを特徴とする請求項1に記載の垂直構造の青光発光ダイオード。
【請求項5】
前記P型GaN層の厚さは、115nm~135nmであり、前記量子井戸層の厚さは、40nm~60nmであり、前記予備層の厚さは、60nm~80nmであることを特徴とする請求項1に記載の垂直構造の青光発光ダイオード。
【請求項6】
成長基板と導電性基板を結合するステップであって、前記成長基板の表面に窒化物エピタキシャル層と金属反射層を有し、前記窒化物エピタキシャル層が前記成長基板に垂直な方向に順次積み重ねられたバッファ層、アンドープのGaN層、N型GaN層、予備層、量子井戸層、及びP型GaN層を含み、前記金属反射層が前記P型GaN層の表面に位置し、前記導電性基板が第1の表面及び前記第1の表面に対向する第2の表面を有し、前記第2の表面にP型電極を有しているステップと、
前記成長基板を剥離するステップと、
前記窒化物エピタキシャル層をエッチングして、前記バッファ層及び前記アンドープのGaN層を除去し、前記N型GaN層を薄くして、残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さを青光の波長よりも薄くするステップと、
残りの前記N型GaN層の表面にN型電極を形成するステップと、を含むことを特徴とする垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法。
【請求項7】
残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さが350nm以下であることを特徴とする請求項6に記載の垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法。
【請求項8】
前記成長基板と導電性基板を結合するステップは、具体的に、
前記金属反射層の表面に第1のNiSn結合層を形成するステップと、
前記導電性基板の前記第1の表面に第2のNiSn結合層を形成するステップと、
前記第1のNiSn結合層と前記第2のNiSn結合層を結合するステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法。
【請求項9】
前記窒化物エピタキシャル層をエッチングするステップは、具体的に、
前記窒化物エピタキシャル層を前記N型GaN層までエッチングして、前記バッファ層及び前記アンドープのGaN層を除去し、前記N型GaN層を薄くして、残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さを青光の波長よりも薄くするステップと、
残りの前記窒化物エピタキシャル層にデバイス領域を定義するステップと、
前記デバイス領域の外周の残りの前記窒化物エピタキシャル層を前記金属反射層までエッチングして階段状構造を形成するステップと、を含み、
前記階段状構造は、下部階段及びデバイス領域内の残りの前記窒化物エピタキシャル層からなる上部階段を含み、
前記下部階段は、前記P型電極、前記導電性基板及び前記金属反射層を含み、且つ、前記導電性基板に平行な方向に前記上部階段から突き出ていることを特徴とする請求項6に記載の垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法。
【請求項10】
前記P型GaN層の厚さは、115nm~135nmであり、前記量子井戸層の厚さは、40nm~60nmであり、前記予備層の厚さは、60nm~80nmであることを特徴とする請求項6に記載の垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明、表示及び光通信の分野に関し、特に、垂直構造の青光発光ダイオード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)は、小型、高効率、長寿命等の利点があり、照明、表示及び光通信の分野で幅広い応用が見込まれている。従来の発光ダイオードは、成長基板としてサファイアを使用する。ただし、サファイア基板は導電性ではないため、従来の発光ダイオードは一般的に同じ側に電極を備えた横方向構造を採用している。このような横方向構造には、少なくとも次の2つの欠点がある。1つは、電流がN型層を不等距離で横方向に流れることであり、電流の輻輳現象があり、発光ダイオードデバイスの局所的な発熱量が大きくなり、デバイスの性能に影響を及ぼす。もう1つは、サファイア基板の熱伝導率が低く、発光ダイオードデバイスの熱放散を制限し、発光ダイオードデバイスの使用寿命に影響を与える。横方向発光ダイオードデバイスの欠点を克服するために、垂直構造の発光ダイオードが従来技術に登場した。
【0003】
しかし、従来の垂直構造の発光ダイオードでは、厚膜の制限により、多くの光閉じ込めモード(Confined Mode)がある。電子が注入され、垂直構造の発光ダイオードが発光すると、出射光の大部分が発光ダイオードのエピタキシャル層の厚膜に限定され、膜内の伝送や吸収が発生し、発光ダイオードの光取り出し効率を大幅に低下させる。
【0004】
従って、発光ダイオードの光取り出し効率を向上させるために、発光ダイオードデバイスの厚さの出射光線への制限をどのように回避するかは、現在の緊急に解決すべき技術的問題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の青光発光ダイオードの低光取り出し効率の問題を解決するために使用される垂直構造の青光発光ダイオード及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するために、本発明は、第1の表面及び前記第1の表面に対向する第2の表面を有する導電性基板と、前記第1の表面に位置している金属反射層と、前記金属反射層の表面に位置し、前記導電性基板に垂直な方向に順次積み重ねられたP型GaN層、量子井戸層、予備層及びN型GaN層を含む窒化物エピタキシャル層と、前記N型GaN層の表面に位置しているN型電極と、前記第2の表面に位置しているP型電極と、を備え、前記窒化物エピタキシャル層の厚さは青光の波長よりも薄い垂直構造の青光発光ダイオードを提供する。
【0007】
好ましくは、前記窒化物エピタキシャル層の厚さは350nm以下である。
【0008】
好ましくは、前記導電性基板と前記金属反射層との間に位置するNiSn結合層をさらに備える。
【0009】
好ましくは、前記垂直構造の青光発光ダイオードは階段状構造を呈しており、前記階段状構造は、下部階段及び前記窒化物エピタキシャル層からなる上部階段を含み、前記下部階段は、前記P型電極、前記導電性基板及び前記金属反射層を含み、且つ、前記導電性基板に平行な方向に前記上部階段から突き出ている。
【0010】
好ましくは、前記P型GaN層の厚さは、115nm~135nmであり、前記量子井戸層の厚さは、40nm~60nmであり、前記予備層の厚さは、60nm~80nmである。
【0011】
上記の問題を解決するために、本発明は、さらに、成長基板と導電性基板を結合するステップであって、前記成長基板の表面に窒化物エピタキシャル層と金属反射層を有し、前記窒化物エピタキシャル層が前記成長基板に垂直な方向に順次積み重ねられたバッファ層、アンドープのGaN層、N型GaN層、予備層、量子井戸層、及びP型GaN層を含み、前記金属反射層が前記P型GaN層の表面に位置し、前記導電性基板が第1の表面及び前記第1の表面に対向する第2の表面を有し、前記第2の表面にP型電極を有しているステップと、前記成長基板を剥離するステップと、前記窒化物エピタキシャル層をエッチングして、前記バッファ層及び前記アンドープのGaN層を除去し、前記N型GaN層を薄くして、残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さを青光の波長よりも薄くするステップと、残りの前記N型GaN層の表面にN型電極を形成するステップと、を含む垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法を提供する。
【0012】
好ましくは、残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さは350nm以下である。
【0013】
好ましくは、前記成長基板と導電性基板を結合するステップは、具体的に、前記金属反射層の表面に第1のNiSn結合層を形成するステップと、前記導電性基板の前記第1の表面に第2のNiSn結合層を形成するステップと、前記第1のNiSn結合層と前記第2のNiSn結合層を結合するステップと、を含む。
【0014】
好ましくは、前記窒化物エピタキシャル層をエッチングするステップは、具体的に、前記窒化物エピタキシャル層を前記N型GaN層までエッチングして、前記バッファ層及び前記アンドープのGaN層を除去し、前記N型GaN層を薄くして、残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さを青光の波長よりも薄くするステップと、残りの前記窒化物エピタキシャル層にデバイス領域を定義するステップと、前記デバイス領域の外周の残りの前記窒化物エピタキシャル層を前記金属反射層までエッチングして階段状構造を形成するステップと、を含み、前記階段状構造は、下部階段及びデバイス領域内の残りの前記窒化物エピタキシャル層からなる上部階段を含み、前記下部階段は、前記P型電極、前記導電性基板及び前記金属反射層を含み、且つ、前記導電性基板に平行な方向に前記上部階段から突き出ている。
【0015】
好ましくは、前記P型GaN層の厚さは、115nm~135nmであり、前記量子井戸層の厚さは、40nm~60nmであり、前記予備層の厚さは、60nm~80nmである。
【発明の効果】
【0016】
本発明が提供する垂直構造の青光発光ダイオード及びその製造方法によれば、デバイスが垂直構造を採用しているため、電気注入効率を改善する。同時に、窒化物エピタキシャル層の厚さは青光の波長よりも薄く設定されているため、前記垂直構造の青光発光ダイオードは閉じ込めモードによって制限されず、発光ダイオードによる出射光線の窒化物エピタキシャル層の内部での伝送を低減し、ひいては排除し、内部の吸収損失を低減して、発光ダイオードの光取り出し効率を大幅に改善すると共に、金属反射層の配置により、発光ダイオードの光取り出し効率をさらに高める。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の特定の実施形態における垂直構造の青光発光ダイオードの構造模式図である。
【
図2】本発明の特定の実施形態における垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法のフローチャートである。
【
図3A-3G】本発明の特定の実施形態における垂直構造の青光発光ダイオードを製造する過程における主なプロセスの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明によって提供される垂直構造の青光発光ダイオード及びその製造方法の特定の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
この特定の実施形態は、垂直構造の青光発光ダイオードを提供する。
図1は、本発明の特定の実施形態における垂直構造の青光発光ダイオードの構造模式図である。
図1に示すように、この特定の実施形態によって提供される垂直構造の青光発光ダイオードは、第1の表面及び前記第1の表面に対向する第2の表面を有する導電性基板10と、前記第1の表面に位置している金属反射層11と、前記金属反射層11の表面に位置し、前記導電性基板10に垂直な方向に順次積み重ねられたP型GaN層12、量子井戸層13、予備層18及びN型GaN層14を含む窒化物エピタキシャル層と、前記N型GaN層14の表面に位置しているN型電極15と、前記第2の表面に位置しているP型電極16と、を備え、前記窒化物エピタキシャル層の厚さは青光の波長よりも薄い。
【0020】
具体的に、前記垂直構造の青光発光ダイオードによって放出される青光の波長範囲は、450nm~470nmであることが好ましい。この特定の実施形態では、上記の量子井戸層13はInGaN/GaN量子井戸層であってもよい。前記導電性基板10は、金属基板でもシリコン基板でもよい。前記導電性基板10は、Si(100)基板であることが好ましい。前記予備層18の材料は、GaNであってもよく、InGaNであってもよい。前記N型電極15及び前記P型電極16の材料は、クロム、白金又は金であり得る。前記金属反射層11の材料は、銀、ニッケル、又は銀ニッケル合金であり得る。前記金属反射層11と前記P型GaN層12との間にオーミック接触が形成される。
【0021】
この特定の実施形態では、前記N型電極15及び前記P型電極16は前記導電性基板10の対向する両側に位置しており、ほとんど全ての電流が前記窒化物エピタキシャル層を垂直に流れ、横方向に流れる電流はほとんどなく、電気注入の効率を改善している。同時に、窒化物エピタキシャル層の厚さは青光の波長よりも薄く設定されているため、前記垂直構造の青光発光ダイオードは閉じ込めモードによって制限されず、発光ダイオードによる出射光線の窒化物エピタキシャル層の内部での伝送を低減し、ひいては排除し、内部の吸収損失を低減して、発光ダイオードの光取り出し効率を大幅に改善する。また、前記金属反射層11の配置により、光線の損失が低減され、発光ダイオードの光取り出し効率をさらに高める。
【0022】
前記垂直構造の青光発光ダイオードの光取り出し効率をさらに向上させるために、好ましくは、前記窒化物エピタキシャル層の厚さは350nm以下である。
【0023】
好ましくは、前記垂直構造の青光発光ダイオードは、前記導電性基板10と前記金属反射層11との間に位置するNiSn結合層17をさらに備える。
【0024】
前記垂直構造の青光発光ダイオードは、導電性基板10と成長基板とが結合することにより得られ、前記結合層17は、前記導電性基板10の前記第1の表面に位置している第1のNiSn結合層と前記成長基板の結合面に位置している第2のNiSn結合層が結合することにより形成される。
【0025】
好ましくは、前記垂直構造の青光発光ダイオードは階段状構造を呈しており、前記階段状構造は、下部階段及び前記窒化物エピタキシャル層からなる上部階段を含み、前記下部階段は、前記P型電極16、前記導電性基板10及び前記金属反射層11を含み、且つ、前記導電性基板10に平行な方向に前記上部階段から突き出ている。
【0026】
具体的に、前記金属反射層11及び前記窒化物エピタキシャル層は、Y軸方向に沿って前記導電性基板10の第1の表面に順次積み重ねられ、前記上部階段は、Y軸方向に沿って前記下部階段の表面に積み重ねられ、前記下部階段は、X軸方向に沿って前記上部階段から突き出ている。前記階段状構造を形成することにより、その後、前記窒化物エピタキシャル層の表面にパッシベーション層を形成して、前記窒化物エピタキシャル層を容易に保護することができる。
【0027】
好ましくは、前記P型GaN層12の厚さは、115nm~135nmであり、前記量子井戸層13の厚さは、40nm~60nmであり、前記予備層18の厚さは、60nm~80nmである。
【0028】
例えば、前記P型GaN層12の厚さは125nmであり、前記量子井戸層13の厚さは50nmであり、前記予備層18の厚さは70nmである。
【0029】
それだけでなく、この特定の実施形態は垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法も提供している。
図2は本発明の特定の実施形態における垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法のフローチャートであり、
図3A~
図3Gは本発明の特定の実施形態による垂直構造の青光発光ダイオードを製造する過程における主なプロセスの断面模式図である。この特定の実施形態で製造される垂直構造の青光発光ダイオードの具体的構造は、
図1を参照すればよい。
図1~
図2、及び
図3A~
図3Gに示すように、この特定の実施形態によって提供される垂直構造の青光発光ダイオードの製造方法は、以下のステップを含む。
【0030】
ステップS21:成長基板20と導電性基板10を結合して、
図3Cに示すような構造を得る。
図3Aに示すように、前記成長基板20の表面に窒化物エピタキシャル層と金属反射層11を有し、前記窒化物エピタキシャル層が前記成長基板20に垂直な方向に順次積み重ねられたバッファ層22、アンドープのGaN(u-GaN)層21、N型GaN層14、予備層18、量子井戸層13、及びP型GaN層12を含み、前記金属反射層11が前記P型GaN層12の表面に位置している。
図3Bに示すように、前記導電性基板10は第1の表面及び前記第1の表面に対向する第2の表面を有し、前記第2の表面にP型電極16を有している。
【0031】
前記成長基板20は、III-V族材料基板、サファイア基板、又はシリコン基板であり得る。好ましくは、前記成長基板20はSi(111)基板である。前記成長基板20を形成する具体的なステップは、バッファ層22、アンドープのGaN(u-GaN)層21、N型GaN層14、予備層18、量子井戸層13、及びP型GaN層12を、前記成長基板20の表面に順次堆積するステップと、金属反射層11を前記P型GaN層12の表面に形成するステップと、を含む。
【0032】
ここで、金属反射層11を前記P型GaN層12の表面に形成する具体的な方法として、実際の必要性に応じて当業者が選択することができる。例えば、電子ビーム蒸発プロセスを採用することができる。
【0033】
この特定の実施形態では、上記の量子井戸層13はInGaN/GaN量子井戸層であってもよい。前記導電性基板10は、金属基板でもシリコン基板でもよい。前記導電性基板10は、Si(100)基板であることが好ましい。前記予備層18の材料は、GaNであってもよく、InGaNであってもよい。前記金属反射層11の材料は、銀、ニッケル、又は銀ニッケル合金であり得る。前記金属反射層11と前記P型GaN層12との間にオーミック接触が形成される。前記バッファ層22の材料は、前記成長基板20と窒化物エピタキシャル層との間の応力を低減するために使用されるAlN/AlGaNであり得る。
【0034】
前記成長基板20において、最初に形成された前記窒化物エピタキシャル層における各層の厚さとして、前記バッファ層22は0.6μm~0.8μm、前記アンドープのGaN(u-GaN)層21は0.7μm~0.9μm、前記N型GaN層14は2.7μm~2.9μm、前記予備層18は60nm~80nm、前記量子井戸層13は40nm~60nm、前記P型GaN層12は115nm~135nmである。例えば、AlN/AlGaN材料の前記バッファ層22の厚さは0.7μmであり、前記アンドープのGaN(u-GaN)層21の厚さは0.8μmであり、前記N型GaN層14の厚さは2.8μmであり、GaN材料の前記予備層18の厚さは70nmであり、InGaN/GaN量子井戸層の厚さは50nmであり、前記P型GaN層12の厚さは125nmである。
【0035】
結合過程において、前記金属反射層11が前記導電性基板10の前記第1の表面に面するように、Y軸方向に沿って前記導電性基板10と前記成長基板20を結合する。
【0036】
具体的に、成長基板20と導電性基板10を結合するステップは、具体的に、前記金属反射層11の表面に第1のNiSn結合層171を形成するステップと、前記導電性基板10の前記第1の表面に第2のNiSn結合層172を形成するステップと、前記第1のNiSn結合層171と前記第2のNiSn結合層172を結合するステップと、を含む。
【0037】
ステップS22:
図3Dに示すように、前記成長基板20を剥離する。
【0038】
ステップS23:
図3Fに示すように、前記窒化物エピタキシャル層をエッチングして、前記バッファ層22及び前記アンドープのGaN層21を除去し、前記N型GaN層14を薄くして、残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さを青光の波長よりも薄くする。この特定の実施形態では、前記垂直構造の青光発光ダイオードによって放出される青光の波長範囲は、460nm~470nmであることが好ましい。
【0039】
前記垂直構造の青光発光ダイオードの光取り出し効率をさらに向上させるために、好ましくは、残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さは350nm以下である。この特定の実施形態では、上記の残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さとは、ステップ23のエッチングプロセス後の残りの前記N型GaN層14、前記予備層18、前記量子井戸層13、及び前記P型GaN層12の総厚さを指す。
【0040】
好ましくは、前記窒化物エピタキシャル層をエッチングするステップは、具体的に、
図3Eに示すように、前記窒化物エピタキシャル層を前記N型GaN層14までエッチングして、前記バッファ層22及び前記アンドープのGaN層21を除去し、前記N型GaN層14を薄くして、残りの前記窒化物エピタキシャル層の厚さを青光の波長よりも薄くするステップと、
図3Fに示すように、残りの前記窒化物エピタキシャル層にデバイス領域を定義するステップと、前記デバイス領域の外周の残りの前記窒化物エピタキシャル層を前記金属反射層11までエッチングして階段状構造を形成するステップと、を含み、前記階段状構造は、下部階段及びデバイス領域内の残りの前記窒化物エピタキシャル層からなる上部階段を含み、前記下部階段は、前記P型電極16、前記導電性基板10及び前記金属反射層11を含み、且つ、前記導電性基板10に平行な方向に前記上部階段から突き出ている。
【0041】
具体的に、前記デバイス領域の外周の前記窒化物エピタキシャル層が除去される。前記金属反射層11及び前記窒化物エピタキシャル層は、Y軸方向に沿って前記導電性基板10の第1の表面に順次積み重ねられ、前記上部階段は、Y軸方向に沿って前記下部階段の表面に積み重ねられ、前記下部階段は、X軸方向に沿って前記上部階段から突き出ている。前記階段状構造を形成することにより、その後、前記窒化物エピタキシャル層の表面にパッシベーション層を形成して、前記窒化物エピタキシャル層を容易に保護することができる。
【0042】
ステップS24:
図3Gに示すように、N型電極15を残りの前記N型GaN層14の表面に形成する。
【0043】
具体的に、金属電極を蒸着することにより前記N型電極15を形成することができる。前記N型電極15及び前記P型電極16の材料は、いずれもクロム、白金、又は金であり得る。
【0044】
この特定の実施形態によって提供される垂直構造の青光発光ダイオード及びその製造方法は、デバイスが垂直構造を採用しているため、電気注入効率を改善する。同時に、窒化物エピタキシャル層の厚さは青光の波長よりも薄く設定されているため、前記垂直構造の青光発光ダイオードは閉じ込めモードによって制限されず、発光ダイオードによる出射光線の窒化物エピタキシャル層の内部での伝送を低減し、ひいては排除し、内部の吸収損失を低減して、発光ダイオードの光取り出し効率を大幅に改善すると共に、金属反射層の配置により、発光ダイオードの光取り出し効率をさらに高める。
【0045】
上記は、本発明の好ましい実施形態の説明に過ぎず、本技術分野の当業者であれば、本発明の原理から逸脱しない前提の下で、いくつかの改善及び修正をすることもでき、これらの改善及び修正も本発明の保護範囲とみなされることに留意されたい。
【国際調査報告】