IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セルファクツ アナリティックス リミテッドの特許一覧

特表2022-516682工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置
<>
  • 特表-工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置 図1
  • 特表-工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置 図2
  • 特表-工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置 図3
  • 特表-工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置 図4
  • 特表-工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置 図5
  • 特表-工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-01
(54)【発明の名称】工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/02 20060101AFI20220221BHJP
   C02F 1/00 20060101ALI20220221BHJP
【FI】
G01N27/02 D
C02F1/00 V
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546450
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2018078660
(87)【国際公開番号】W WO2020078560
(87)【国際公開日】2020-04-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521163798
【氏名又は名称】セルファクツ アナリティックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】クロフォード ダウ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ベーラー
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA06
2G060AA15
2G060AD06
2G060AE16
2G060AE40
2G060AF06
2G060EA06
2G060HC15
2G060HD01
2G060HD03
(57)【要約】
工業的処理又は工場100をモニタリングするするシステム200であって、リアルタイムに処理される媒体をモニタリングし、詳細な分析をトリガして微生物学的活性を特定する警報を生成し、微生物活性の臨界レベルなどの所定の基準が到達されたか否か又はそれが到達されようとしていることを傾向が示すか否かを判定し、改善措置を開始するのに複数のインピーダンス型のサテライト分析部202aなどが用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業的処理における微生物学的活性の検出に対する装置であって、
複数のそれぞれの位置で前記工業的処理から液体をサンプリングするように構成された複数のサテライト部であって、各サテライト部がサンプルを定期的に分析するように構成され、各サテライト部はインピーダンス分析を実施してオリフィスを通過する粒子を計数するとともにサイズを測定するように構成され、各サテライト部が各サンプルでの粒子の数及びサイズに対応するサンプル結果データを生成するように構成された複数のサテライト部と、
前記サンプル結果データを所定の基準と比較し、前記サンプル結果データが前記所定の基準外である場合に警告信号を生成するように構成された処理部と、
前記警告信号を生成に続いて、前記工業的処理からの液体のサンプルの複合インピーダンス及び電磁放射分析を実施するように構成された主要分析部と
を備える装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記複数のサテライト部の各々から結果データを受信するように構成されたシステムコントローラである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記システムコントローラは、前記結果データを処理して少なくとも1つの結果パラメータを取得するように構成され、前記警告信号は、前記結果パラメータが前記所定の基準外である場合に生成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの結果パラメータは、前記それぞれのサンプル中の粒子の数を示す、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの結果パラメータは、前記それぞれのサンプル中の粒子の平均サイズを示す、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記システムコントローラは、前記サンプル結果データを表すリアルタイム情報を示すように構成されたディスプレイを備える、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
各サテライト部は、N<60として、サンプルをN分毎に分析するように構成された、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
各サテライト部は、前記工業的処理からサンプルを定期的に抽出するように構成された自動サンプル取出しアセンブリを備える、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記主要分析部は、複合インピーダンス及び蛍光分析を実施するように構成された、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記警告信号は、可視的及び/又は可聴的な警告を生成してオペレータが前記主要分析部においてサンプルを分析するのを促すように構成された、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記警告信号は、前記主要分析部においてサンプルを自動的に分析するように構成された、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
工業的処理における微生物学的活性をモニタリングする方法であって、
複数のそれぞれの位置での複数のサテライト部であって、各サテライト部がインピーダンス分析を実施してオリフィスを通過する粒子を計数するとともにサイズを測定するように構成された複数のサテライト部、及び
複合インピーダンス及び電磁放射分析を実施するように構成された主要分析部
を設けるステップと、
前記サテライト部を使用して前記工業的処理から液体を定期的にサンプリングするステップと、
各サンプルでの粒子の数及びサイズに対応するサンプル結果データを生成するステップと、
前記サンプル結果データを所定の基準と比較し、前記サンプル結果データが前記所定の基準外であり、又は前記所定の基準に接近する傾向が確証された場合に、前記主要分析部を使用して前記工業的処理からの液体のサンプルを分析して前記サンプル中の前記微生物学的活性を判定するステップと
を備える方法。
【請求項13】
前記電磁放射分析は、蛍光分析である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプル結果データが前記所定の基準外であり、又は前記所定の基準に接近する傾向が確証された場合に、警告信号を生成するステップ
を備える請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
処理部は、システムコントローラであり、
サンプル結果データを前記複数のサテライト部から前記システムコントローラに送信するステップ
を備える請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1つの結果パラメータを取得するように前記サンプル結果データを処理するのに前記システムコントローラを使用するステップ
を備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの結果パラメータは、前記それぞれのサンプル中の粒子の数を示す、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの結果パラメータは、前記それぞれのサンプル中の粒子の平均サイズを示す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
システムコントローラは、前記サンプル結果データを表すリアルタイム情報を示すように構成されたディスプレイを備える、請求項14から請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
システムコントローラは、連続する結果データの前記傾向を表すリアルタイム情報を示すように構成されたディスプレイを備える、請求項14から請求項19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
各サテライト部は、N<60として、サンプルをN分毎に分析するように構成された、請求項12から請求項20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
各サテライト部は、前記工業的処理からサンプルを定期的に抽出するように構成された自動サンプル取出しアセンブリを備える、請求項12から請求項21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
警告信号は、可視的及び/又は可聴的な警告を生成してオペレータが前記主要分析部においてサンプルを分析するのを促すように構成された、請求項12から請求項22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
警告信号は、前記主要分析部におけるサンプルの分析を自動的に引き起こすように構成された、請求項12から請求項23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
工業的処理における生物学的活性を低減する方法であって、
請求項12から請求項24のいずれか一項に記載の方法を実施するステップと、
前記主要分析部を使用するステップが許容不可の生物学的活性を示す場合、前記工業的処理に殺生物剤を導入するステップと
を備える方法。
【請求項26】
少なくとも1つのサテライト部を使用して前記殺生物剤の有効性をモニタリングするステップを備える請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記所定の基準外であるサンプルを報告した前記サテライト部の上流の前記工業的処理に殺生物剤を導入するステップを備える請求項25又は請求項26に記載の方法。
【請求項28】
工業的処理における液体を定期的にサンプリングする装置であって、
液体導管に接続可能な流体取出し部と、
前記流体取出し部から所定の量の液体を計量するように構成された計量アセンブリと、
前記所定の量の液体の少なくとも一部を希釈して分析サンプルを形成するように構成された希釈アセンブリと、
前記分析サンプルをオリフィスに通過させ、前記分析サンプルにインピーダンス型の粒子分析を行い、それにより前記分析サンプル内の粒子の数及びサイズを決定するように構成された分析部と、
前記分析サンプル内の粒子の数及びサイズに関するサンプル結果を記憶するように構成されたメモリと
を備える装置。
【請求項29】
工業的処理における微生物学的活性をモニタリングする方法であって、
液体導管に接続可能な流体取出し部を設けるステップと、
前記流体取出し部から所定の量の液体を計量するステップと、
分析サンプルを形成するように前記所定の量の液体の少なくとも一部を希釈するステップと、
前記分析サンプルをオリフィスに通過させ、前記分析サンプルにインピーダンス型の粒子分析を行い、それにより前記分析サンプル内の粒子の数及びサイズを決定するステップと、
前記分析サンプル内の粒子の数及びサイズに関するサンプル結果をメモリ上に記憶するステップと
を備える微生物学的活性をモニタリングする方法。
【請求項30】
複数の分析からの連続するサンプル結果を記憶するステップと、
所定の基準に接近する傾向について前記連続するサンプル結果を分析するステップと
を備える請求項29に記載の微生物学的活性をモニタリングする方法。
【請求項31】
殺生物剤の効能を評価する方法であって、
微生物活性に曝されるサンプルを提供するステップと、
前記サンプルに殺生物剤を付加するステップと、
前記サンプルに対して複合インピーダンス及び蛍光分析を行うように構成された装置を設けるステップと、
前記装置を使用して前記サンプル中の前記微生物活性を分析してサンプル結果データを取得するステップと、
前記サンプル結果データを所定のデータと比較して前記殺生物剤の前記効能を判定するステップと
を備える殺生物剤の効能を評価する方法。
【請求項32】
所定の基準に対する前記サンプル結果データ中の傾向を分析するステップを備える請求項31に記載の殺生物剤の効能を評価する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業的処理における微生物汚染物質をモニタリングする方法及び装置に関する。より具体的には、本発明は、そのような処理における微粒子活性の分散型解析を利用する装置及び処理に関する。
【背景技術】
【0002】
原材料又は第1の中間材料を一方の終端で取り込み、材料に対してある種の動作(例えば、混合、熱、若しくは圧力による処置、又は材料の化学的変性)を行い、第2の中間材料若しくは最終材料又は生成物を生成する多数の工業的処理が存在する。
【0003】
そのような処理の例は、
・飲料を含む食品の処理、
・水の処理(食用、液体生成物に対する原材料、工業的処理水、洗浄水、廃水及び他の用途)、
・家庭用及び工業的化学薬品の処理、
・石油化学生成物の処理、
・化粧品生成物の処理、
・薬学的生成物の処理、
・石油及びガス関連生成物の処理、
・塗料及びコーティングの処理、
・パルプ及び紙関連生成物の処理、及び
・粉末スラリー(炭酸カルシウム又は二酸化チタンスラリー及び他の粉末など)の処理
である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許出願公開第2380792号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0844475号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、液体材料、特に塗料の処理に特に良く適するが、上記処理のいずれかに対して使用され得る。
【0006】
塗料処理の技術分野では、幾つかの原材料が処理の第1の終端で提供される。これらは、顧客に出荷される缶に詰められる最終生成物が生成される前の幾つかの段階において混合及び処置されるべきフィラー、分散剤、顔料、ラテックス及びアクリルを含む。この処理の間、(液体の形態での)種々の材料は長い配管部分を通され、タンクを出入りする。いずれの所与の処理でも、原材料の導入と最終塗料生成物の間には、数キロメートルの配管が存在し得る。
【0007】
微生物活性が処理内で起こることは極めて望ましくない。高い微生物負荷を有する塗料の生産は許容不可であり、エンドユーザに対して重大な問題(不快な臭いなど)を引き起こし得る。
【0008】
したがって、この処理によって生成された塗料中の微生物負荷を定期的に検査することが重要である。
【0009】
最近まで、処理中の液体を大量の殺生物剤で処置することが可能であった。これは生成物に悪影響を与え得るいかなる微生物も効果的に殺生する。とはいえ、大量の殺生物剤を使用することは、一般に望ましくない。また、(欧州殺生物剤規制の形式での)最近の法律は、使用され得る殺生物剤の種類及び量に対して重大な制限を課している。同様の規制は、アメリカ合衆国及び他のほとんどの重要な経済中心地に存在する。
【0010】
現在、微生物活性の検出は、処理の終端で塗料のサンプルを採取することによって評価される。サンプルは、研究室へ送付されて分析される。微生物負荷に関する情報は、数日又は数週間後に届けられることになる。過剰な微生物活性の検出は、工場の閉鎖及び洗浄、並びに影響を受けた塗料の市場からの回収及び処分をもたらす。明らかに、殺生物剤の使用の減少によって、サンプルが汚染されるリスクが増加する。
【0011】
出願人のCFII(CellFacts II)デバイスなどのシステムは、微生物活性を検出できる速度を増加させること、及び微生物レベルが臨界レベルに到達し得る前に開始される修正措置を支援する。CFIIデバイスは、複合インピーダンス及び蛍光粒子検出システムである。分析される液体は、希釈され、適切な蛍光色素に露出され、オリフィスを通される。インピーダンスの変化は粒子のサイズを検出するように測定され、レーザは色素を励起し、粒子の蛍光を判定するように使用される。このように、粒子のサイズ及び種類は検出可能であり、その情報は微生物活性を推定するのに使用可能である。サイクルは3分もかからない。そのようなシステムは、許可される場合に参照によってここに組み込まれる特許文献1で説明される。
【0012】
CFIIシステムは分析時間を急進的に向上させたが(数日ではなく数分程度)、それは「バッチ」の背景でのみ使用される。換言すると、システムは、最終生成物を分析し、微生物負荷が許容不可であるか否かを判定するのに使用される。そして、許容不可である場合、そのバッチは処置又は処分される必要があり、システムは洗浄される必要がある。
【0013】
必要とされているのは、上記の課題を克服し又は少なくとも軽減する方法及びシステムである。
【0014】
発明の第1の態様によれば、請求項1に記載の装置が提供される。
【0015】
発明の第2の態様によれば、請求項12に記載の方法が提供される。
【0016】
有利なことに、インピーダンス型の分析を行う処理ライン全体に分散されたサテライト部の組合せを利用することは、幾つかの有益な結果をもたらす。例えば、
・システムコストが、制御下に置かれる。発明は、早期の警告センサとしてインピーダンスのみのサテライト部で実行可能であり、それは、生成物中の微生物負荷が臨界の閾値レベルに到達する場合に詳細な分析のためにのみ必要とされる複合インピーダンス/蛍光部よりも安価である。
・システムの応答性が増加する。サテライト部は、非常に定期的に(例えば、20分毎に)サンプリングすることができ、それは問題の検出までの時間を短縮する。
・システムインテリジェンスが増加する。分散されたサテライト部を用いると、問題の位置が特定可能であることを意味し、目的の措置をとることができる。
【0017】
多数のサテライト部の(複合インピーダンス及び蛍光を有する)主要分析部との組合せは、先行技術のアプローチよりもはるかに高性能なシステムをもたらす。
【0018】
発明の第3の態様によれば、請求項27に記載の方法が提供される。
【0019】
発明の第4の態様によれば、請求項28に記載の装置が提供される。
【0020】
発明の更なる態様によれば、工業的処理における微生物学的活性の検出のための装置が提供され、装置は、
複数のそれぞれの位置で工業的処理から液体をサンプリングするように構成された複数のサテライト部であって、各サテライト部がサンプルを定期的に分析するように構成され、各サテライト部がインピーダンス分析を実施してオリフィスを通過する粒子を計数するとともにサイズを測定するように構成され、各サテライト部が各サンプルでの粒子の数及びサイズに対応するサンプル結果データを生成するように構成された複数のサテライト部と、
サンプル結果データを所定の基準と比較し、サンプル結果データが所定の基準外である場合に警告信号を生成するように構成された処理部と
を備える。
【0021】
発明のまた更なる態様によれば、工業的処理における微生物学的活性をモニタリングする方法が提供され、
複数のそれぞれの位置での複数のサテライト部であって、各サテライト部がインピーダンス分析を実施してオリフィスを通過する粒子を計数するとともにサイズを測定するように構成された複数のサテライト部、及び
複合インピーダンス及び蛍光/電磁放射分析を実施するように構成された主要分析部
を設けるステップと、
サテライト部を使用して工業的処理から液体を定期的にサンプリングするステップと、
各サンプルでの粒子の数及びサイズに対応するサンプル結果データを生成するステップと、
サンプル結果データを所定の基準と比較するステップと、
傾向曲線上で経時的に結果データの進展をモニタリングして、更なる進展を予測及び予想するステップと
を備える。
【0022】
ここで、発明による例示の処理及び装置について添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】工業的処理において採用される発明による第1の装置の概略図である。
図2図1の装置のサブアセンブリの図である。
図3図2のサブアセンブリによる分析結果のグラフである。
図4図2のサブアセンブリによる結果の概要の図表である。
図5図1の装置のコントローラによる表示である。
図6】本発明による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1を参照して、塗料処理生産ライン100の概略化及び簡略化された平面図を示す。塗料処理生産ライン100は、各々が異なる原材料を含む3つの原材料貯蔵タンク102、104、106を備える。各タンクは、それぞれの流出チャネルを貯蔵タンク流出パイプ103、105、107の形態で有する。貯蔵タンク流出パイプ103、105は、原材料貯蔵タンク102、104を、原材料貯蔵タンク102、104からの原材料を混合する第1の混合タンク108に接続する。第1の混合タンク108は、流出チャネルを第1の混合タンク流出パイプ109の形態で有する。
【0025】
第1の混合タンク流出パイプ109は、第2の混合タンク110に流入する。第3の貯蔵タンク流出パイプ107も、第2の混合タンク110に流入し、そこで材料が混合される。第2の混合タンク110は、最終貯蔵タンク112に流入する第2の混合タンク流出パイプ111を有する。
【0026】
最終貯蔵タンク112は、封止されて顧客に出荷される塗料ポット114の形態での複数の個別の容器を順次充填するように構成される。
【0027】
上記構成要素の各々は、通常、鋼鉄、具体的にはステンレス鋼で構成される。
【0028】
装置
発明による装置は、図1の塗料処理生産ライン100の全体にわたって分散され、一般に装置200といわれる。装置200は、
・複数のサテライト部202a、202b、202c、202d、202e、202fと、
・コントローラ204と、
・分析部206と
を備える。
【0029】
上記構成要素の各々を、詳細に説明する。
【0030】
〔サテライト部202a、202bなど〕
図2を参照して、サテライト部202aをより詳細に示す。サテライト部は非常に類似しているので、サテライト部202aのみを示す。
【0031】
サテライト部202aは、フローループ208、サンプルフローチャネル210、バルブ212a、212b、サテライト分析器214、及び希釈剤フローチャネル218を有する希釈剤タンク216を備える。
【0032】
フローループ208は、双方が貯蔵タンク流出パイプ103と流体連通する入口点220及び出口点222を備える。貯蔵タンク流出パイプ103は、加圧下の流体10を含む。出口点222が入口点の下流にあるため、フローはフローループ208で確立される。
【0033】
サンプルフローチャネル210は、フローループ208と流体連通する入口開口部224を有し、サテライト分析器214に流入する。バルブ212a、212bは、(サテライト分析器のコントローラによって)選択的に開閉されて、既知の体積(この例示では1ml)の液体の個別サンプルをサテライト分析器214に供給可能である。
【0034】
サテライト分析器214は、幾つかの制御されたバルブ制御フローチャネルを備え、希釈剤タンク216から希釈剤フローチャネル218を介して希釈剤を計量して、サンプルを、例えば20mlの体積に希釈するように構成される。そして、少量の希釈サンプル(およそ100μl)は、インピーダンス分析を使用してその中の粒子の計数及びサイズの測定の双方を行うように、オリフィスを通される。サテライト分析器は、プロセッサ、メモリ、及びコントローラ204と通信するように構成されたアンテナ217の形態での通信手段を有するサテライトコントローラ215を備える。
【0035】
インピーダンス分析は当技術分野で使用されており、例えば、(許可される場合は参照としてここに組み込まれる)出願人の以前の出願である特許文献2で説明されている。要約すると、オリフィスは、その相対する側に配された一対の電極を有する。分析器は、電極の間のインピーダンスばらつきを表す信号を測定可能な回路を備える。希釈剤(通常は電解質)は、オリフィスを横断する既知のインピーダンスを有する。粒子がオリフィスを通過すると、インピーダンスは増加し、そして減少する。各「ピーク」は粒子を表し、ピークの高さ及び/又はピーク下の面積は粒子サイズを表す。オリフィスは非常に小さいため(30μm程度)、いかなるときでも1つの粒子しか通過できない。
【0036】
サテライトコントローラ215は、各サンプルに対するデータを記憶し、(オリフィスを通過する粒子のサイズ及び数を表す)アッセイ結果データをコントローラ204にアンテナ217を介して通信するように構成される。
【0037】
サンプルが分析されると、システムはフラッシュされ、更なるサンプルが採取される。サテライト部は、20分の頻度でサンプリングする。
【0038】
サテライト分析器214はインピーダンス測定のみを使用し、蛍光を測定する手段を(この実施形態では)備えないことに留意することが重要である。したがって、それらは、簡素及び安価である。
【0039】
〔コントローラ204〕
コントローラ204は、プロセッサ、メモリ及び表示部を備える。この実施形態では、それはPCである。上述のように、各サテライト分析器は、コントローラ204と通信する。これは、有線接続又はWi-Fi、Bluetooth(登録商標)若しくは同様の技術などの無線を介し得る。サンプルインピーダンスアッセイによる結果データは、データの分析を実行するコントローラ204に通信される。
【0040】
〔分析部206〕
分析部206は、インピーダンス分析と蛍光分析の双方を組み合わせる。分析部206は、上述の出願人のCFIIデバイスと同様であり、インピーダンス測定と同様にレーザを使用する蛍光分析を担う。これは、粒子のサイズ及び数の変動が化学的処理又は生物学的処理の兆候であるか否かを判定し得る。
【0041】
動作方法
塗料処理生産ライン100が開始されると、材料は、原材料貯蔵タンク102、104、106から最終貯蔵タンク112にシステムを通じて流れる。各サテライト部202aなどは、各パイプを通じて流れる材料を均一(この実施形態では20分)の間隔でサンプリングする。各サテライト部202aなどは、各サンプルに対するアッセイ結果データをコントローラ204に通信する。
【0042】
コントローラ204は、各サテライト部に対して、粒子の許容可能な数及びサイズの分布を表すベースラインデータを含む。サテライト部202aに対する例示のベースラインを、図3のS-Nグラフ300に曲線Bとして示す。X軸は粒子(S)のサイズを表し、Y軸はそのサイズの粒子の数(N)を表す。ベースラインデータは、キャリブレーションによって、すなわち、既知/許容可能レベルの微生物活性を有するサンプルを分析することによって、又は記憶されたデータから取得され得る。粒子の特定数及びサイズの分布は微生物の存在にかかわらず予期され、いずれの所与のサンプルも懸案とならない化学的(非生物学的)粒子を含むことが留意される。
【0043】
サテライト部202aによる第1の結果は、図3にプロフィールP1として示され、それはベースラインBの所定の許容可能な範囲内にある。Bからの許容可能な偏差が決定される形態は、熟練した受取手によって過度の負担なしに、既知の統計学的方法に基づいて選択され得る。この実施例では、理解を容易にするために、曲線ピークのX軸座標(サンプルの最も数の多い粒子のサイズ又はモード平均)及び(サンプルの粒子の総数を表す)曲線下面積の、2つのパラメータが使用される。微生物学的活性が増加すると、その後のサンプルで双方が増加することが予期される。
【0044】
P1(A)のピークを、面積(X)と同様に示す。このデータは、図4の結果表302の第1行に表され、コントローラ204によって各サテライト部に対して記憶される。図5を参照して、コントローラ204によって提供されるサテライト部202aについての視覚的表示グラフィック304を示す。視覚的表示グラフィック304は、時間軸(x軸)及び粒子計数軸(y軸)を有する。3つの範囲の粒子計数が与えられ、緑(低い計数)、黄(中程度の計数)及び赤(高い計数)に色づけされる。サンプルデータポイントがプロットされ、オペレータは許容不可である粒子計数(赤)に向かう傾向を容易に特定し、(以下に説明するように)改善措置を取ることができる。実際には、複数の曲線(サテライト部毎に1つ)が、視覚的表示グラフィック304上に示され得る。異なるパラメータでの更なるグラフィックも、コントローラ表示上に示され得る。
【0045】
粒子がサイズ及び数の双方で伸びている(ピークがAからBに増加し、数がXからYに増加する)更なるプロフィールP2を図3~5に示す。P3に移動すると、サイズ及び数は(BからCに、及びYからZに)再び増加している。
【0046】
オペレータは、サテライト部202aでの傾向が、粒子サイズ及び計数の増加を示すことを視覚的表示グラフィック(ディスプレイ)304から明確に理解することができる。これは、微生物活性を示すこともあれば、又は異常な化学的処理が起こる兆候を示すこともある。モニタリングされる単数又は複数のパラメータが赤のゾーンに入るとすぐに、警告が発せられる。
【0047】
この時点で、オペレータは、サテライト部202aの位置からサンプルを採取し、それを複合インピーダンス/蛍光分析のために分析部206に移す。この複合分析は、粒子のサイズ及び数の増加が微生物学的活性の増加の結果であるか否かを最終的に判定するものである。増加の結果である場合、オペレータは、問題となっているサテライト部の上流に殺生物剤を付加する。
【0048】
例えば、サテライト部202aが高い微生物活性を検出した場合、問題は、恐らく原材料貯蔵タンク102中の原材料にあることになる。材料は(洗浄後に)交換され、異なるタンクに切り替えられ、又は殺生物剤が付加され得る。
【0049】
例えば原材料貯蔵タンク102に殺生物剤が付加される場合、サテライト部はその有効性を検証するのに使用される。粒子のサイズ及び数の増加の傾向は逆転する(すなわち、「黄」及び「緑」ゾーンに後退する)。これは、殺生物剤が微生物の細胞を溶解するにつれて起こる。
【0050】
傾向が逆転しない場合、サテライト部は、このことをコントローラに通信する。この時点で、オペレータは、使用する殺生物剤の投与量の増加又は種類の変更を試みることになる。代替的に、彼らは、以下で説明するように、より詳細な殺生物剤有効性テストシリーズを実施してもよい。
【0051】
ここに説明するシステムは、微生物汚染の発生源をピンポイントで特定可能であり、それは目的の改善措置が取られ得ることを意味することが留意される。これは、効率の大幅な増加を表す。
【0052】
詳細な殺生物剤有効性テストシリーズ
本発明によれば、複合インピーダンス/蛍光分析器は、適切な解決手段が見つかるまで、種々の殺生物剤の効能を研究するのに使用され得る。
【0053】
図6を参照して、そのような処理400を示す。ステップ402において、サンプルは、高/許容不可の微生物活性を有する材料のバッチから採取される。ステップ404において、それは(CFIIなどの)複合インピーダンス/蛍光分析器に導入される。ステップ406において、サンプルは分析され、ステップ408において、結果に基づいて生物学的活性が評価される。
【0054】
ステップ410において、更なるサンプルが、バッチから採取される。ステップ412において、殺生物剤が付加される。ステップ414において、それは(CFIIなどの)複合インピーダンス/蛍光分析器に導入される。ステップ416において、サンプルが分析され、ステップ418において、結果に基づいて生物学的活性が評価される。
【0055】
そして、殺生物剤アッセイによる結果は、ステップ408からの(殺生物剤無しの)元のサンプル及び結果のベースラインセット422の双方と比較される。殺生物剤が微生物活性を元のサンプルから減少させ、ベースラインセット422の所定の許容範囲内である場合、殺生物剤の投与計画は「OK」と見なされ、同一濃度及び種類がバッチ全体を処置するのに使用され得る。
【0056】
微生物活性が減少していない、又はベースラインと比較して許容不可なままであるレベルに低減した場合(NOT OK)、方法はステップ410に戻り、異なる殺生物剤及び/又はより高濃度とすることを試みる。
【0057】
このように、分析器は、バッチに対して最も効果的な殺生物剤計画を決定するように反復して使用され得る。
【0058】
このように、分析器は、標準化された負荷試験によって必要とされる実験を支援及び加速するようにも使用され得る。
【0059】
〔変形例〕
変形例は、本発明の範囲内に含まれる。
【0060】
システム200は、完全に自動化された閉ループシステムとして構成され得る。自動殺生物剤ディスペンサーは、少なくとも1つのサテライト部の上流に設けられ、コントローラ204が所定の範囲から外れる粒子のパラメータを検出すると、自動的に活性化され得る。
【0061】
サテライト部は、中央コントローラに接続する必要はないが、その代わりに局所の警報信号(可視的又は可聴的警報など)を生成し得る。そして、これは、オペレータが十分なインピーダンス/蛍光試験を遂行するのを促し得る。システムは、個別の測定に対する結果データを生成して、微生物負荷及び活性の臨界レベルなどの所定の基準が突破されるか否かを確証することができる。
【0062】
システムは、一連の連続する結果データが傾向を形成して所定の基準がまもなく到達され得ることを示すか否かを確証することもできる。このように、システムは、早期段階で微生物汚染物質を予想又は予測して、計画的な修正措置を開始することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】