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特表2022-516700マルチビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】マルチビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20220222BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220222BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220222BHJP
   F21V 7/06 20060101ALI20220222BHJP
   G09F 19/14 20060101ALI20220222BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20220222BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220222BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20220222BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20220222BHJP
【FI】
G02B30/56
F21S2/00 433
F21V5/04 650
F21V7/06 200
G09F19/14
G02B5/18
F21Y115:10
F21Y115:15
F21Y115:30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534185
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(85)【翻訳文提出日】2021-06-14
(86)【国際出願番号】 US2018066968
(87)【国際公開番号】W WO2020131090
(87)【国際公開日】2020-06-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514274546
【氏名又は名称】レイア、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LEIA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ファタル,デイヴィッド エー.
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
3K244
【Fターム(参考)】
2H199BA48
2H199BB06
2H199BB19
2H199BB22
2H199BB27
2H199BB29
2H249AA12
2H249AA60
2H249AA62
2H249AA64
2H249AA65
2H249AA66
3K244AA04
3K244BA14
3K244BA22
3K244BA24
3K244CA03
3K244DA01
3K244DA02
3K244DA03
3K244EA02
3K244EA12
3K244EB02
3K244EB06
3K244EC03
3K244EC12
3K244EC27
3K244EC30
3K244FA03
3K244FA12
(57)【要約】
複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイは、静的マルチビューディスプレイのマルチビュー画像のビューに対して主角度方向を有する指向性光ビームを提供するように構成された回折格子を使用する。複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイは、光源からの光を誘導するライトガイドを含む。光源は、長手方向にオフセットされ得る光エミッタを含んでもよい。光源の光エミッタは、光エミッタの長手方向オフセットによって決定される伝播角を有するコリメートされた導波光ビームをライトガイド内に提供する。さらに、回折格子の異なるセットは、マルチビュー画像を表す異なる複数の指向性光ビームとして、コリメートされた導波光ビームの異なる部分を異なるビューゾーンに散乱又は回折させる。これらのビューゾーンは、ブランクゾーンによって分離され得る、異なる重なり合わない角度範囲を有することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイであって、
光を誘導するライトガイドと、
前記ライトガイド内にコリメートされた導波光ビームを提供するように構成された光源と、
前記ライトガイドにわたって分布される複数の回折格子であって、前記複数の回折格子のうちの第1のセットの回折格子は、第1のマルチビュー画像を表す指向性光ビームとして前記コリメートされた導波光ビームの一部を第1のビューゾーン内に散乱させて出射するように構成され、前記複数の回折格子のうちの第2のセットの回折格子は、第2のマルチビュー画像を表す指向性光ビームとして前記コリメートされた導波光ビームの別の部分を第2のビューゾーン内に散乱させて出射するように構成される、複数の回折格子と、を含む、複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項2】
前記第1及び第2の回折格子のセットのいずれかの前記複数の回折格子のうちの一回折格子は、前記第1及び第2のマルチビュー画像のうちの対応する1つのビューピクセルの強度及びビュー方向に対応する強度及び主角度方向を有する指向性光ビームを提供するように構成される、請求項1に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項3】
前記回折格子の格子特性は、前記強度及び前記主角度方向を決定するように構成され、主角度方向を決定するように構成される前記格子特性が、前記回折格子の格子ピッチ及び前記回折格子の格子配向の一方又は両方を含む、請求項2に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項4】
前記強度を決定するように構成された前記格子特性は、前記回折格子の格子深さを含む、請求項3に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項5】
前記第1の回折格子のセット及び前記第2の回折格子のセットが、前記コリメートされた導波光ビームの前記一部が前記第1及び第2のマルチビュー画像を表す複数の指向性光ビームとして散乱されて出射される前記ライトガイドの放射面とは反対側の前記ライトガイドの表面に配置される、請求項1に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項6】
前記ライトガイドの入力部にコリメート光カプラをさらに備え、前記コリメート光カプラは、前記光源からの光を前記コリメートされた導波光ビームとして前記ライトガイドの入力部に光学的に結合するように構成される、請求項1に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項7】
前記コリメート光カプラは、円筒格子カプラを含み、前記光源は、前記ライトガイドのガイド表面に隣接して配置され、光源は、前記ガイド表面を通して光を放射するように構成される、請求項6に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項8】
前記第1のビューゾーンは、第1の角度範囲を有するように構成され、前記第2のビューゾーンは、第2の角度範囲を有するように構成され、前記第1のビューゾーン及び第2のビューゾーンは、相互に排他的な角度範囲である、請求項1に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項9】
前記第1のビューゾーン及び前記第2のビューゾーンは、前記第1のマルチビュー画像も前記第2のマルチビュー画像も見えないブランクゾーンによって互いに分離されている、請求項8に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項10】
前記第1のマルチビュー画像は、前記第2のマルチビュー画像とは異なる、請求項1に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項11】
前記ライトガイド及び前記回折格子のセットは、前記導波光ビームの伝播方向に対応する長手方向に直交する垂直方向に伝播する光に対して透明である、請求項1に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
【請求項12】
複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイであって、
光源からの光を導波光として誘導するように構成されたライトガイドと、
前記複数のビューゾーン内で見ることができるマルチビュー画像を表す指向性光ビームとして前記導波光の一部を散乱させて出射するように構成された複数の回折格子であって、各マルチビュー画像は、前記複数の回折格子の異なるセットの回折格子の指向性光ビームに対応し、前記複数のビューゾーンの各ビューゾーンは、対応するマルチビュー画像が見ることができるように構成されている異なる角度範囲を有する、複数の回折格子と、を備える、複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
【請求項13】
一対の異なるビューゾーンの各々に見える前記マルチビュー画像が互いに異なる、請求項12に記載の複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
【請求項14】
前記複数のビューゾーンのうちの一ビューゾーンは、前記マルチビュー画像のいずれも見えないブランクゾーンによって隣接するビューゾーンから分離されている、請求項12に記載の複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
【請求項15】
前記複数の回折格子のうちの一回折格子は、前記マルチビュー画像の対応する1つのビューピクセルの強度及びビュー方向に対応する強度及び主角度方向を有する前記指向性光ビームのうちの一指向性光ビームを提供するように構成され、前記回折格子の格子ピッチ及び格子配向は、前記指向性光ビームの前記主角度方向を決定するように構成され、前記回折格子の格子深さは、前記指向性光ビームの強度を決定するように構成される、請求項12に記載の複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
【請求項16】
前記ライトガイドの入力部にコリメート光カプラをさらに備え、前記コリメート光カプラは、光源からの光をコリメーション係数に従ってコリメートされた導波光ビームとして前記ライトガイドの入力部に光学的に結合するように構成され、前記ライトガイド内に所定の伝播角を有する、請求項12に記載の複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
【請求項17】
複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイの動作の方法であって、
ライトガイド内にコリメートされた導波光ビームを提供するステップと、
第1のビューゾーン内で見ることができる第1のマルチビュー画像を表すために第1のセットの回折格子を使用して前記第1のビューゾーン内に向けられた指向性光ビームとして前記導波光ビームの一部を回折的に散乱させて出射するステップと、
第2のビューゾーン内で見ることができる第2のマルチビュー画像を表すために第2のセットの回折格子を使用して前記第2のビューゾーン内に向けられた指向性光ビームとして前記導波光ビームの別の部分を回折的に散乱させて出射するステップと、を含み、
前記第1のビューゾーン及び第2のビューゾーンは、互いに異なる角度範囲を有する、複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイの動作の方法。
【請求項18】
前記第1のマルチビュー及び第2のマルチビュー画像は互いに異なり、前記第1のマルチビュー画像は前記第1のビューゾーンでのみ見ることができ、前記第2のマルチビュー画像は前記第2のビューゾーンでのみ見ることができる、請求項17に記載の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法。
【請求項19】
前記第1のビューゾーンは、ブランクゾーンによって前記第2のビューゾーンから分離されている、請求項17に記載の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法。
【請求項20】
前記第1の回折格子のセット及び前記第2の回折格子のセットの回折格子によって回折的に散乱されて出射される指向性光ビームの主角度方向は、前記回折格子の格子ピッチ及び格子配向によって決定され、前記指向性光ビームの強度は、前記回折格子の格子深さによって決定される、請求項17に記載の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
該当なし
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発に関する記載
該当なし
【背景技術】
【0003】
電子ディスプレイは、多種多様なデバイス及び製品の情報をユーザに伝達するためのほぼユビキタスな媒体である。一般に、電子ディスプレイは、アクティブディスプレイ(すなわち、光を発するディスプレイ)又はパッシブディスプレイ(すなわち、別の光源によって提供される光を変調するディスプレイ)のいずれかに分類され得る。パッシブディスプレイは、本質的に低電力消費を含むがこれに限定されない魅力的な性能特性を示すことが多いが、発光能力がないことを考慮すると、多くの実用的な用途では幾分用途が限られる場合がある。放射光に関連するパッシブディスプレイの制限を克服するために、多くのパッシブディスプレイは、外部光源、例えば、バックライトなどに結合される。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解することができ、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0006】
図1B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する特定の主角度方向を有する光ビームの角度成分のグラフ表示を示す。
【0007】
図2】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子の断面図を示す。
【0008】
図3A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの断面図である。
【0009】
図3B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの上面図を示す。
【0010】
図3C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの斜視図を示す。
【0011】
図4A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ内の回折格子の上面図を示す。
【0012】
図4B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ内の回折格子の上面図を示す。
【0013】
図5A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における透過モード回折格子カプラの断面図を示す。
【0014】
図5B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射モード回折格子カプラの断面図を示す。
【0015】
図5C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射型回折格子カプラの斜視図を示す。
【0016】
図6A】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における放物面反射器カプラの断面図を示す。
【0017】
図6B】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における放物面反射器カプラの斜視図を示す。
【0018】
図7】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイのブロック図を示す。
【0019】
図8】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法のフローチャートを示す。
【0020】
特定の例及び実施形態は、上記参照図面に示された特徴に加えて、及びその代わりのうちの一方である他の特徴を有する。これら及び他の特徴は、上に参照された図を参照して以下に詳述される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書に記載の原理による例及び実施形態は、マルチビュー画像又は3次元(3D)画像を表す指向性光ビームを放射する複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイを提供する。具体的には、本明細書に記載の原理と一致する実施形態は、光源からの光を誘導するライトガイドを有する複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイを提供する。光源は、長手方向にオフセットされた光エミッタを含むことができる。光源の光エミッタは、光エミッタの長手方向オフセットによって決定される伝播角を有するコリメートされた導波光ビームをライトガイド内に提供する。さらに、回折格子の異なるセットは、マルチビュー画像を表す異なる複数の指向性光ビームとして、コリメートされた導波光ビームの異なる部分を異なるビューゾーンに散乱又は回折させる。これらのビューゾーンは、ブランクゾーンによって分離され得る、異なる重なり合わない角度範囲を有することができる。さらに、マルチビュー画像の方向は、コリメートされた導波光ビームの色と伝播角の両方の関数である。なお、マルチビュー画像は互いに異なっていてもよい。
【0022】
回折格子のセット内の回折格子の各々の格子特性は、ビューゾーン内の対応するマルチビュー画像のビューピクセルの強度及びビュー方向に対応する指向性光ビームの強度及び主角度方向を決定する。格子特性は、回折格子によって提供される指向性光ビームの主角度方向を決定する、回折格子の格子ピッチ若しくは特徴部間隔、回折格子の格子配向、又はその両方を含むことができる。さらに、格子特性は、回折格子によって提供される指向性光ビームの強度を決定する格子深さ、格子サイズ(長さ又は幅など)、又はその両方を含むことができる。さらに、回折格子のセット内の回折格子は、コリメートされた導波光ビームの一部が複数の指向性光ビームとして散乱されるライトガイドの放射面と同じ表面上に配置されてもよい。あるいは、回折格子のセット内の回折格子は、ライトガイドの放射面とは反対側のライトガイドの表面上に配置されてもよい。したがって、ライトガイド及び回折格子のセットは、長手方向に直交する垂直方向に伝播する光に対して透明である。さらに、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイは、ライトガイドの入力にコリメート光カプラを含むことができる。コリメート光カプラは、光源の光エミッタからの光をコリメートされた導波光ビームとしてライトガイドの入力部に光学的に結合し、光エミッタの長手方向オフセットは、コリメート光カプラに対する長手方向の光エミッタの位置である。例えば、コリメート光カプラは、円筒格子カプラ、例えば、反射モード回折格子又は透過モード回折格子などを含むことができる。
【0023】
複数の指向性光ビームは強度及び主角度方向を有するので、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイは、マルチビュー画像を提供するように構成され得る。例えば、回折格子のセットは、異なる方向、したがってマルチビュー画像が見えるビューゾーン内の異なる角度範囲を有するマルチビュー画像を提供することができる。この機能により、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイは、異なるマルチビュー画像を異なる視聴者に同時に提供することができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、光源は、異なる色のコリメートされた導波光ビームによって提供されるマルチビュー画像のグループが角度範囲の合成マルチビュー画像をもたらすように選択された長手方向オフセットを有する異なる色を有する複数の光エミッタを含むことができる。合成マルチビュー画像は、異なる色と異なる光エミッタの相対照度との組み合わせを表す色を有することができる。
【0025】
本明細書に記載の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの使用には、携帯電話(例えば、スマートフォン)、時計、タブレットコンピュータ、モバイルコンピュータ(例えば、ラップトップコンピュータ)、パーソナルコンピュータ及びコンピュータモニタ、自動車ディスプレイコンソール、ヘッドアップディスプレイ、カメラディスプレイ、及び様々な他のモバイル並びに実質的に非モバイルのディスプレイアプリケーション及びデバイスが含まれるが、これらに限定されない。例えば、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイは、自動車のフロントガラス又は窓を通して静的ヘッドアップマルチビュー画像を提供することができる。したがって、前述したように、本議論における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイは、ライトガイド内の複数のコリメートされた導波光ビームのうちのコリメートされた導波光ビームの伝播方向と直交する方向に伝播する光に対して透明なライトガイドを備えることができ、回折格子のセットは、ビューゾーン内の角度範囲内のマルチビュー画像を表す指向性光ビームを操作又は提供するためにライトガイドの表面に配置される。
【0026】
本明細書では、「マルチビューディスプレイ」は、異なるビュー方向でマルチビュー画像の異なるビューを提供するように構成された電子ディスプレイ又はディスプレイシステムとして定義される。図1Aは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイ10の斜視図を示す。図1Aに示すように、マルチビューディスプレイ10は、マルチビュー画像内のビュー14内にビューピクセルを表示するためのスクリーン12上に回折格子を備える。スクリーン12は、例えば、電話(例えば、携帯電話、スマートフォンなど)、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータのコンピュータモニタ、カメラディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、自動車ディスプレイ、又は実質的に任意の他のデバイスの電子ディスプレイの表示画面であってもよい。マルチビューディスプレイ10は、スクリーン12上の回折格子に対して異なるビュー又は主角度方向16でマルチビュー画像の異なるビュー14を提供する。ビュー方向16は、スクリーン12から様々な異なる主角度方向に延びる矢印として示されている。異なるビュー14は、矢印の終端(すなわち、ビュー方向16を示す)に多角形のボックスとして示されていて、限定ではなく例として、4つのビュー14及び4つのビュー方向16のみが示されている。図1Aでは異なるビュー14がスクリーン12の上にあるように示されているが、マルチビュー画像がマルチビューディスプレイ10に表示されると、ビュー14は実際にはスクリーン12上又はその近傍に現れることに留意されたい。スクリーン12の上にビュー14を描写することは、説明を簡単にするためだけであり、特定のビュー14に対応するビュー方向16の各々からマルチビューディスプレイ10を見ることを表すことを意味する。同様に、図14はy軸を中心とする円弧に沿って描かれているが、これも説明を簡単にするためのものであり、限定することを意図するものではない。
【0027】
ビュー方向、すなわちマルチビューディスプレイのビュー方向に対応する方向を有する光ビームは、一般に、本明細書の定義により、角度成分{θ、φ}によって与えられる主角度方向を有する。角度成分θは、本明細書では光ビームの「仰角成分」又は「仰角」と呼ばれる。角度成分φは、光ビームの「方位角成分」又は「方位角」と呼ばれる。定義により、仰角θは、垂直面における角度である(例えば、マルチビューディスプレイ画面の平面に対して垂直)であるが、方位角φは水平面における角度である(例えば、マルチビューディスプレイ画面の平面に対して平行)。図1Bは、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例におけるマルチビューディスプレイのビュー方向(例えば、図1Aのビュー方向16)に対応する特定の主角度方向を有する光ビーム20の角度成分{θ、φ}のグラフ表示を示す。追加で、光ビーム20は、本明細書の定義により、特定の点から放射又は発散する。すなわち、定義により、光ビーム20は、マルチビューディスプレイ内の特定の原点に関連付けられた中心光線を有する。図1Bは、光ビーム(又はビュー方向)の原点Oも示している。
【0028】
さらに本明細書では、「マルチビュー画像」及び「マルチビューディスプレイ」という用語で使用される「マルチビュー」という用語は、異なる視点を表すか、又は複数のビューのビュー間の角度差を含む複数のビューとして定義される。追加で、本明細書では、「マルチビュー」という用語は、本明細書の定義により、3つ以上の異なるビュー(すなわち、最低3つのビュー、一般に3つを超えるビュー)を明示的に含む。したがって、本明細書で使用される「マルチビューディスプレイ」は、シーン又は画像を表すために2つの異なるビューのみを含む立体ディスプレイとは明確に区別される。しかしながら、マルチビュー画像及びマルチビューディスプレイは3つ以上のビューを含むが、本明細書の定義により、マルチビュー画像は、マルチビューのビューのうちの2つのみを選択して一度に見る(例えば、1つの眼につき1つのビュー)ことによって、画像の立体ペアとして見る(例えば、マルチビューディスプレイ上で)ことができることに留意されたい。
【0029】
マルチビューディスプレイにおいて、複数の回折格子における回折格子は各々、マルチビュー画像におけるビューピクセルを構成してもよい。具体的には、回折格子は各々、マルチビューディスプレイによって提供されるマルチビュー画像の特定のビュー内のビューピクセルを表す(強度及び主角度方向を有する)光ビームを提供することができる。したがって、いくつかの実施形態では、回折格子は各々、マルチビュー画像のビューに寄与する光ビームを提供することができる。いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイは、640×480又は307,200の回折格子を含む。他の実施形態では、マルチビューディスプレイは、100×100又は1万の回折格子を含む。
【0030】
本明細書では、「ライトガイド」は、全内部反射を使用して構造体内で光を誘導する構造体として定義される。具体的には、ライトガイドは、ライトガイドの動作波長で実質的に透明なコアを含むことができる。様々な例において、「ライトガイド」という用語は、一般に、ライトガイドの誘電体材料とそのライトガイドを取り囲む材料又は媒体との間の界面で光を誘導するために全内部反射を使用する誘電体光導波路を指す。定義により、全内部反射の条件は、ライトガイドの屈折率がライトガイド材料の表面に隣接する周囲媒体の屈折率よりも大きいことである。いくつかの実施形態では、ライトガイドは、全内部反射をさらに促進するために、前述の屈折率差に加えて、又はその代わりにコーティングを含んでもよい。コーティングは、例えば、反射コーティングであってもよい。ライトガイドは、限定はしないが、平板(plate)又はスラブ(slab)ガイド及びストリップ(strip)ガイドの一方又は両方を含むいくつかのライトガイドのいずれかであってもよい。
【0031】
さらに本明細書では、「平板ライトガイド」のようにライトガイドに適用される場合の「平板」という用語は、「スラブ」ガイドと呼ばれることもある、区分的(piece-wise)又は個別的(differentially)に平坦な層又はシートとして定義される。具体的には、平板ライトガイドは、ライトガイドの上面及び底面(すなわち、対向面)によって境界を付けられた2つの実質的に直交する方向に光を誘導するように構成されたライトガイドとして定義される。さらに、本明細書の定義により、上面及び底面は両方とも互いに分離されており、少なくとも個別的意味で互いに実質的に平行であってもよい。すなわち、平板ライトガイドの任意の個別的に小さな区画内で、上面及び底面は実質的に平行又は同一平面上にある。
【0032】
いくつかの実施形態では、平板ライトガイドは実質的に平坦(すなわち、平面に限定される)であってもよく、したがって、平板ライトガイドは平面ライトガイドである。他の実施形態では、平板ライトガイドは、1つ又は2つの直交する寸法(dimension)内で湾曲していてもよい。例えば、平板ライトガイドは、円筒形状の平板ライトガイドを形成するために単一寸法内で湾曲していてもよい。しかしながら、いかなる曲率も、光を誘導するために平板ライトガイド内で全内部反射が維持されることを確実にするのに十分に大きい曲率半径を有する。
【0033】
本明細書では、「回折格子」は、一般に、回折格子に入射する光の回折をもたらすように配置された複数の特徴部(すなわち、回折特徴部(diffractive features)として定義される。いくつかの例では、複数の特徴部は、対の特徴部の間に1つ又は複数の格子間隔を有する周期的又は準周期的な様式で配置されてもよい。例えば、回折格子は、一次元(1D)アレイに配置された複数の特徴部(例えば、材料表面の複数の溝又は隆起)を含むことができる。他の例では、回折格子は、特徴部の二次元(2D)アレイであってもよい。回折格子は、例えば、材料表面の突起(bump)又は穴の2Dアレイであってもよい。
【0034】
したがって、本明細書の定義により、「回折格子」は、回折格子に入射する光の回折をもたらす構造体である。光がライトガイドから回折格子に入射する場合、提供される回折又は回折散乱は、回折格子が回折によってライトガイドからの光を結合することができるという点で、「回折結合」をもたらすことができ、したがって「回折結合」と呼ばれることができる。回折格子はまた、回折によって(すなわち、回折角において)光の角度を方向変更又は変化させる。具体的には、回折の結果として、回折格子を出る光は、一般に、回折格子に入射する光(すなわち、入射光)の伝播方向とは異なる伝播方向を有する。回折による光の伝播方向の変化は、本明細書では「回折的方向変更(diffractive redirection)」と呼ばれる。したがって、回折格子は、回折格子に入射する光を回折的に方向変更する回折特徴部を含む構造体であると理解することができ、光がライトガイドから入射する場合、回折格子はまた、ライトガイドからの光を回折的に結合して出射する(diffractively couple out)ことができる。
【0035】
さらに、本明細書の定義により、回折格子の特徴部は、「回折特徴部」と呼ばれ、材料表面、材料表面内、及び材料表面上の1つ以上(すなわち、2つの材料間の境界)であり得る。表面は、例えば、ライトガイドの表面であってもよい。回折特徴部は、表面、表面内又は表面上の溝、隆起、穴、及び突起のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない、光を回折する様々な構造のいずれかを含むことができる。例えば、回折格子は、材料表面に複数の実質的に平行な溝を含むことができる。別の例では、回折格子は、材料表面から立ち上がる複数の平行な隆起を含むことができる。回折特徴部(例えば、溝、隆起、穴、突起など)は、正弦波プロファイル、矩形プロファイル(例えば、バイナリ回折格子)、三角形プロファイル及び鋸歯プロファイル(例えば、ブレーズド格子)のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない、回折をもたらす様々な断面形状又は輪郭のいずれかを有することができる。
【0036】
図4A及び図4Bを参照して以下でさらに説明するように、本明細書の回折格子は、特徴部間隔又はピッチ、向き、及びサイズ(回折格子の幅又は長さなど)のうちの1つ以上を含む格子特性を有することができる。図3A図3Cを参照して以下でさらに説明するように、格子特性は、コリメートされた導波光ビームの伝播角、コリメートされた導波光ビームの色、又はその両方の関数であってもよい。例えば、回折格子の格子特性は、光源内の光エミッタの長手方向オフセット及び回折格子の位置に依存し得る。回折格子の格子特性を適切に変化させることにより、回折格子によって回折される光ビーム(「指向性光ビーム」と呼ばれることもある)の強度及び主角度方向は、マルチビュー画像のビューピクセルの強度及びビュー方向に対応する。
【0037】
本明細書に記載の様々な例によれば、回折格子(例えば、以下で説明するように、マルチビューディスプレイの回折格子)を使用して、ライトガイド(例えば、平板ライトガイド)からの光を光ビームとして回折的に散乱又は結合することができる。具体的には、局所的に周期的な回折格子の回折角θm又はこれによってもたらされる回折角θは、以下の式(1)によって与えられてもよい。
【数1】

式中、λは、(その色に対応する)光の波長であり、mは、回折次数であり、nは、ライトガイドの屈折率であり、dは、回折格子の特徴部間の距離又は間隔であり、θは、回折格子への光の入射角(すなわち、伝播角)である。簡単にするために、式(1)は、回折格子がライトガイドの表面に隣接し、ライトガイドの外側の材料の屈折率が1に等しい(すなわち、nout=1である)と仮定する。一般に、回折次数mは整数で与えられる。回折格子によって生成される光ビームの回折角θは、回折次数が正(例えば、m>0)である式(1)によって与えられ得る。例えば、回折次数mが1に等しい(すなわち、m=1である)場合、一次回折がもたらされる。
【0038】
図2は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における回折格子30の断面図を示す。例えば、回折格子30は、ライトガイド40の表面に配置されてもよい。追加で、図2は、入射角θで回折格子30に入射する光ビーム(又は光ビームの集合)50を示す。光ビーム50は、ライトガイド40内のコリメートされた導波光ビームである。また、図2には、入射光ビーム50の回折の結果として回折格子30によって回折的に生成及び結合されて出射された光ビーム(又は光ビームの集合)60が示されている。結合されて出射された光ビーム60は、式(1)で与えられる回折角θ(又は本明細書では「主角度方向」)を有する。結合されて出射された光ビーム60は、例えば、回折格子30の回折次数「m」に対応することができる。
【0039】
様々な実施形態によれば、様々な光ビームの主角度方向は、これらに限定されないが、回折格子のサイズ(例えば、長さ、幅、面積など)、向き、特徴部間隔、及び格子深さのうちの1つ以上を含む格子特性によって決定される。さらに、回折格子によって生成された光ビームは、本明細書の定義により、図1Bに関して上述したように、角度成分{θ、φ}によって与えられる主角度方向を有する。
【0040】
図3A図3Cを参照して以下でさらに説明するように、マルチビューディスプレイは、ライトガイドからの光を結合して出射する能力、具体的には、ライトガイド上の特定の位置で回折格子を使用してビューゾーン内の主角度方向に指向性光ビームを操作する能力に基づいてもよい。回折格子(強度及び主角度方向を有する)からの単一の指向性光ビームは、マルチビューディスプレイのマルチビュー画像の特定のビュー内のビューピクセルを表す。ライトガイド上の回折格子は、事実上、入射角に対する放射角が回折格子の式、すなわち式(1)によって決定される角度維持結合構造体である。したがって、回折格子に入射する単一の単色光ビームは、回折格子の特定の回折次数に対して単一の指向性光ビームを生成又は出力することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、ライトガイド内の導波光は、長手方向、垂直方向、又はその両方に沿って少なくとも部分的にコリメートされる。例えば、光源は、少なくとも部分的にコリメートされた光を提供することができ、ライトガイドは、少なくとも部分的に、導波光をコリメートすることができ、及び/又はマルチビューディスプレイは、コリメータを備えることができる。したがって、いくつかの実施形態では、マルチビューディスプレイの1つ又は複数の構成要素は、コリメータの機能を実行する。
【0042】
本明細書では、「コリメートされた光」又は「コリメートされた光ビーム」は、一般に、光ビームの光線が光ビーム内で互いに実質的に平行である光ビーム(例えば、ライトガイド内のコリメートされた導波光ビーム)として定義される。さらに、コリメートされた光ビームから発散又は散乱される光線は、本明細書の定義により、コリメートされた光ビームの一部とは見なされない。さらに、本明細書では、「コリメータ」は、光をコリメートするように構成された実質的に任意の光学デバイス又は装置として定義される。例えば、コリメータは、コリメートミラー又は反射器、コリメートレンズ、及びそれらの様々な組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、コリメート反射器を備えるコリメータは、放物線又は放物形状によって特徴付けられる反射面を有することができる。図6A及び図6Bを参照して以下でさらに説明するように、別の例では、コリメート反射器は成形放物面反射器(shaped parabolic reflector)を含むことができる。「成形放物面」とは、成形放物面反射器の湾曲した反射面が、所定の反射特性(例えば、コリメーションの程度)を達成するように決定された方法で「真の」放物面曲線から逸脱することを意味する。同様に、コリメートレンズは、球形の表面(例えば、両凸球面レンズ)を含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、コリメータは、連続反射器又は連続レンズ(すなわち、実質的に滑らかで連続的な表面を有する反射器又はレンズ)であってもよい。他の実施形態では、コリメート反射器又はコリメートレンズは、実質的に不連続な表面である、例えば、光コリメーションをもたらすフレネル反射器又はフレネルレンズなどを含むことができるがこれらに限定されない。様々な実施形態によれば、コリメータによってもたらされるコリメーションの量は、実施形態ごとに所定の程度又は量が変化し得る。さらに、コリメータは、2つの直交する方向(例えば、長手方向及び垂直方向)の一方又は両方においてコリメーションをもたらすように構成されてもよい。すなわち、いくつかの実施形態によれば、コリメータは、光コリメーションをもたらす2つの直交する方向の一方又は両方の形状を含むことができる。
【0044】
本明細書では、「コリメーション係数」は、光がコリメートされる程度として定義される。具体的には、コリメーション係数は、本明細書の定義により、コリメートされた光のビーム内の光線の角度広がりを定義する。例えば、コリメーション係数は、コリメートされた光のビーム内の光線の大部分が特定の角度広がり(例えば、コリメートされた光ビームの中心又は主角度方向の周りに+/-σ度)内であることを指定することができる。いくつかの例によれば、コリメート光ビームの光線は、角度に関してガウス分布を有してもよく、角度広がりは、コリメート光ビームのピーク強度の半分で決定される角度であってもよい。
【0045】
本明細書では、「光源」は、光の供給源(例えば、光を生成して放射するように構成された1つ又は複数の光エミッタ)として定義される。例えば、光源は、光エミッタ、例えば、起動又はオンにされると光を放射する発光ダイオード(LED)などを備えてもよい。具体的には、本明細書では、光源は、実質的に任意の光の供給源であってもよく、又は、発光ダイオード(LED)、レーザ、有機発光ダイオード(OLED)、ポリマー発光ダイオード、プラズマベースの光エミッタ、蛍光灯、白熱灯、及び実質的に任意の他の光の供給源のうちの1つ以上を含むがこれらに限定されない、実質的に任意の光エミッタを含んでもよい。光源によって生成された光は、色を有してもよく(すなわち、特定の光の波長を含むことができる)、又は波長の範囲(例えば、白色光)であってもよい。いくつかの実施形態では、光源は、複数の光エミッタを備えてもよい。例えば、光源は、光エミッタの少なくとも1つが、セット又はグループの少なくとも1つの他の光エミッタによって生成される光の色又は波長とは異なる色又は同等の波長を有する光を生成する、光エミッタのセット又はグループを含んでもよい。異なる色は、例えば原色(例えば、赤色、緑色、青色)を含むことができる。
【0046】
さらに、本明細書で使用される場合、冠詞「1つの(a)」は、特許分野におけるその通常の意味、すなわち「1つ又は複数の」を有することが意図されている。例えば、「1つの回折格子(a diffraction grating)」は、1つ又は複数の回折格子(one or more diffraction gratings)を意味し、したがって、「その回折格子(the diffraction grating)」は、本明細書では「その又は複数の回折格子(the diffraction grating(s))」を意味する。また、本明細書における「上部(top)」、「下部(bottom)」、「上側(upper)」、「下側(lower)」、「上向き(up)」、「下向き(down)」、「前(front)」、「後(back)」、「第1(first)」、「第2(second)」、「左(left)」又は「右(right)」への言及はいずれも、本明細書における限定を意図するものではない。本明細書では、「約」という用語は、値に適用される場合、一般に、値を生成するために使用される機器の許容差範囲内を意味するか、又は特に明記しない限り、プラスマイナス10%、プラスマイナス5%、又はプラスマイナス1%を意味し得る。さらに、本明細書で使用される「実質的に」という用語は、大部分、又はほとんどすべて、又はすべて、又は約51%~約100%の範囲内の量を意味する。さらに、本明細書の例は、例示のみを意図しており、限定ではなく説明の目的で提示されている。
【0047】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイが提供される。図3Aは、本明細書に記載の原理と一致する実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100の断面図を示し、図3Bは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100の上面図を示し、図3Cは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100の斜視図を示す。複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100は、ライトガイド110、例えば、平板ライトガイドなどを備えることができる。ライトガイド110は、ライトガイド110の長手方向108に沿って、コリメートされた導波光ビーム112として光を誘導することができる。例えば、ライトガイド110は、光導波路として構成された誘電体材料を含むことができる。誘電体材料は、誘電体光導波路を取り囲む媒体の第2の屈折率よりも大きい第1の屈折率を有することができる。屈折率の差は、例えば、ライトガイド110の1つ又は複数の導波モードに従って、コリメートされた導波光ビーム112の全内部反射を促進するように構成される。長手方向108は、コリメートされた導波光ビーム112の一般的な又は正味の伝播方向を画定することができることに留意されたい。
【0048】
いくつかの実施形態では、ライトガイド110は、光学的に透明な誘電体材料の延長された実質的に平面のシートを含むスラブ又は平板光導波路であってもよい。誘電体材料の実質的に平面のシートは、全内部反射を使用してコリメートされた導波光ビーム112を誘導するように構成される。様々な例によれば、ライトガイド110の光学的に透明な材料は、これらに限定されないが、様々なタイプのガラス(例えば、シリカガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスなど)及び実質的に光学的に透明なプラスチック又はポリマー(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)又は「アクリルガラス」、ポリカーボネートなど)のうちの1つ以上を含む様々な誘電体材料のいずれかを含むか、又はそれらから構成されてもよい。いくつかの例では、ライトガイド110は、ライトガイド110の表面(例えば、上面及び底面の一方又は両方)の少なくとも一部にクラッド層(図示せず)をさらに含むことができる。いくつかの例によれば、クラッド層は、全内部反射をさらに促進するために使用されてもよい。
【0049】
さらに、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100は、長手方向108に長手方向位置118を有し、かつライトガイド110に光学的に結合された光源114(光エミッタなど)を備えてもよい。光源114は、光源114の長手方向位置118によって決定される非ゼロ伝播角120を有するコリメートされた導波光ビーム112をライトガイド110内にもたらすことができる。いくつかの実施形態では、長手方向位置118はゼロである。さらに、光源114は、ライトガイド110の入射面又は端部(入力端)に隣接して配置されてもよく、光源114は、コリメートされた導波光ビーム112が非ゼロ伝播角120(例えば、約30~35度)を有し、かつ一般に長手方向108に沿って(例えば、図3Aのx軸に沿って)入力端から離れるように伝播するように、コリメートされた光カプラ124によってライトガイド110に結合される光122をもたらしてもよい。
【0050】
様々な実施形態では、光源114は、これらに限定されないが、1つ又は複数の発光ダイオード(LED)又はレーザ(例えば、レーザダイオード)を含む実質的に任意の光の供給源(例えば、光エミッタ)を含むことができる。いくつかの実施形態では、光源114は、特定の色によって示される狭帯域スペクトルを有する実質的に単色光を生成するように構成される。具体的には、単色光の色は、特定の色空間又は色モデル(例えば、RGB色モデル)の原色であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、異なる色を有する光122を生成することができる異なる長手方向オフセット又は位置にある光源114内の複数の光エミッタがあってもよく、すなわち、異なる長手方向オフセット又は位置にある光エミッタからの光122の色は異なっていてもよい。したがって、光源114は、異なる色の光を提供するように構成された複数の異なる光エミッタを備えてもよい。さらに、異なる光エミッタは、異なる光の色の各々に対応するコリメートされた導波光ビーム112の異なる、色固有の、非ゼロ伝播角120を有する光122を提供するように構成されてもよい。
【0051】
コリメートされた光カプラ124として使用することができる円筒格子カプラの実施形態を、図5A図6Bを参照して以下でさらに説明する。他の実施形態では、コリメートされた光カプラ124は、レンズ(円筒形レンズなど)、ミラー又は同様の反射器(例えば、傾斜コリメート反射器)のうちの1つを含むことができ、プリズム(図示せず)は、例えば、平均非ゼロ伝播角(average non-zero propatation angle)120でコリメートされた導波光ビーム112として光をライトガイド110の入力端に結合することを容易にすることができる。
【0052】
ライトガイド110は、ライトガイド110の第1の表面136’(例えば、「前」表面携帯又は側面)と第2の表面136’’(例えば、「裏」表面又は側面)との間の平均非ゼロ伝播角120での全内部反射に従ってコリメートされた導波光ビーム112を誘導するように構成されている。具体的には、コリメートされた導波光ビーム112は、非ゼロ伝播角120でライトガイド110の第1の表面136’と第2の表面136’’との間でゼロ回以上反射又は「跳ね返る」ことによって伝播する。
【0053】
本明細書で定義されるように、「非ゼロ伝播角」(伝播角120など)は、ライトガイド110の表面(例えば、第1の表面136’又は第2の表面136’’)に対する角度である。さらに、様々な実施形態によれば、非ゼロ伝播角は、ゼロよりも大きく、ライトガイド110内の全内部反射の臨界角よりも小さい。例えば、コリメートされた導波光ビーム112の平均非ゼロ伝播角120は、約10度~約50度、又はいくつかの例では、約20度~約40度、又は約25度~約35度であってもよい。例えば、非ゼロ伝播角は約30度であり得る。他の例では、非ゼロ伝播角は、約20度、又は約25度、又は約35度であってもよい。さらに、特定の非ゼロ伝播角がライトガイド110内の全内部反射の臨界角よりも小さくなるように選択される限り、特定の実装に対して特定の非ゼロ伝播角が(例えば、任意に)選択されてもよい。
【0054】
図3Bに示すように、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100は、第1の表面136’上に回折格子128のセット、例えば、第1のセットの回折格子内の回折格子128a、第2のセットの回折格子内の回折格子128b、及び第3のセットの回折格子内の回折格子128cなどを備えてもよい。これらの回折格子の組は、ライトガイド110の表面(表面136’など)上に空間的に散在していてもよく、又は互いに組み合わされていてもよい。例えば、1セットの回折格子内の回折格子は、等間隔に配置されてもよい。記載された実施形態は、3セットの回折格子128を有する複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100を示しているが、他の実施形態では、回折格子のセットがより少ないか、又はより多くてもよい。一般に、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100は、2つ以上のセットの回折格子128を含むことができる。図3Aに戻って参照すると、回折格子128の組は、マルチビュー画像132(マルチビュー画像132a、132b、及び132cなど)を表す指向性光ビーム130(指向性光ビーム130a、130b及び130cなど)を放射する。マルチビュー画像132の各々は、中央ビュー方向134(例えば、中央ビュー方向134a、134b、及び134c)の関連付けられたものを有し、マルチビュー画像132内の他のビューは、中央ビュー方向134に関連することに留意されたい。さらに、マルチビュー画像132は、角度範囲146を有する対応する重複しないビューゾーン144でのみ見ることができる。したがって、角度範囲146は、相互に排他的であってもよく、マルチビュー画像は、対応するビューゾーンでのみ見ることができる。いくつかの実施形態では、隣接するビューゾーン144は、マルチビュー画像132を見ることができないブランクゾーン148によって分離される。ビューゾーン144内のマルチビュー画像132は、互いに異なっていてもよく、すなわち、異なるマルチビュー画像を、異なるビューゾーン144で見ることができることに留意されたい。
【0055】
例えば、第1のセットの回折格子によって放射される指向性光ビーム130aは、側面126から照明される透明なライトガイド110からマルチビュー画像132a(ビューゾーン144a内にビューv1、v2、及びv3、並びに角度範囲146a内に中央ビュー方向134aを有する)を生成してもよく、これにより、3Dコンテンツを有する情報の表示が容易になる。第1のセットの回折格子内の回折格子の各々は、複数のコリメートされた導波光ビーム112のコリメートされた導波光ビームの一部から、マルチビュー画像132aのビューピクセルの強度及びビュー方向に対応する強度及び主角度方向を有する指向性光ビーム130内の指向性光ビームを提供する。いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態によれば、回折格子128のセット内の回折格子は、一般に、互いに交差したり、重なり合ったり、その他の方法で接触したりしない。すなわち、回折格子128のセット内の各回折格子は、一般に別個であり、回折格子128のセット内の他の回折格子から分離されている。
【0056】
指向性光ビーム130(指向性光ビーム130aなど)は、少なくとも部分的に、長手方向108に直交する方向、すなわち、ライトガイド110内の複数のコリメートされた導波光ビーム112のコリメートされた導波光ビームの平均伝播方向に伝播することができる。具体的には、いくつかの実施形態では、ライトガイド110及び離間した回折格子128のセットは、光が第1の表面136’及び第2の表面136’’のいずれか又は両方を通ってライトガイド110を通過することを可能にする。したがって、ライトガイド110は、複数のコリメートされた導波光ビーム112のコリメートされた導波光ビームの平均伝播方向に直交する方向に伝播する光に対して透明である。透明性は、少なくとも部分的に、回折格子128のセット内の回折格子の実質的な透明性によって容易になり得る。単一の回折格子(回折格子128aなど)からの指向性光ビームの強度及び主角度方向は、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100のビューゾーン144a内のマルチビュー画像132a内のビュー内のビューピクセルに対応し得ることに留意されたい。
【0057】
前述したように、回折格子128のセット内の回折格子の各々は、回折格子によって回折的に結合されたコリメートされた導波光ビーム112の少なくとも一部の色及び伝播角に依存する関連付けられた格子特性を有する。別の言い方をすれば、回折格子128のセット内の回折格子に関連付けられた格子特性は、コリメートされた導波光ビーム112の少なくとも一部の色及び伝播角に依存する。
【0058】
一般に、格子特性は、特徴部間隔又はピッチ、格子深さ、回折格子の向き及びサイズのうちの1つ以上を含むことができる。さらに、回折格子128のセットの各々における回折格子の変化する格子特性は、これらの回折格子が対応するマルチビュー画像132の同じ一致するビューに寄与することを確実にすることができる。これは、回折格子128のセットに入射する光源114からの複数のコリメートされた導波光ビーム112の異なる伝播方向を補償するための異なる格子特性を有する空間座標(x、y)、(x、y)及び(x、y)における回折格子128a、128b及び128cによって図3Bに示されている。
【0059】
いくつかの実施形態では、回折格子結合効率(例えば、回折格子領域、溝深さ又は隆起高さなど)は、側面126からの距離の関数として増加し、コリメートされた導波光ビーム112の強度の減少を補正する。したがって、回折格子128のセット内の回折格子によってもたらされ、対応するビューピクセルの強度に対応する指向性光ビーム130の強度は、回折格子128の回折結合効率によって決定される。
【0060】
前述したように、コリメートされた導波光ビーム112、又は同じように、光をライトガイド110に結合することによって生成されたコリメートされた導波光ビーム112は、コリメートされた光ビームであってもよい。いくつかの実施形態では、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100は、例えば光源からの光をコリメートするために、コリメータ、例えば、上述のような、レンズ、反射器若しくはミラーなど、(例えば、傾斜コリメート反射器)を含むことができる。例えば、ライトガイド110は、コリメータを含んでもよく、又はコリメートされた導波光ビーム112を少なくとも部分的にコリメートしてもよい。いくつかの実施形態では、光源114は、コリメータ、例えば、LED上のレンズなどを含む。ライトガイド110に提供されるコリメートされた光は、光をライトガイド110に効率的に結合する光源114とライトガイド110との間のコリメータ、例えば、外部レンズ、反射器、放物面反射器、回折格子、バレルコリメータなどによるコリメートされた導波光ビーム112である。コリメートされた導波光ビーム112は、様々な実施形態において、上述したように、コリメーション係数に従って、又はコリメーション係数を有してコリメートされてもよい。
【0061】
コリメータは、光源114から実質的にコリメートされていない光を受け取るように構成されてもよい。コリメータは、実質的にコリメートされていない光をコリメート光に変換するようにさらに構成される。具体的には、コリメータは、いくつかの実施形態によれば、非ゼロ伝播角120を有し、かつ所定のコリメーション係数に従ってコリメートされるコリメートされた光を提供することができる。
さらに、異なる色の複数の光エミッタが光源114に使用される場合、コリメータは、異なる、色固有の、非ゼロ伝播角の1つ以上を有し、異なる色固有のコリメーション係数を有するコリメートされた光を提供するように構成されてもよい。コリメータは、コリメートされた光ビームをライトガイド110に伝達して、上述のコリメートされた導波光ビーム112として伝播するようにさらに構成される。
【0062】
図3A図3Cに示すように、回折格子128のセット内の回折格子は、ライトガイド110の光ビーム放射面である第1の表面136’に又はそれに隣接して配置されてもよい。例えば、回折格子128のセット内の回折格子は、第1の表面136’を通る導波光部分を指向性光ビーム130として回折的に結合して出射するように構成された透過モード回折格子であってもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、回折格子128のセット内の回折格子は、ライトガイド110の光ビーム放射面(すなわち、第1の表面136’)の反対側の第2の表面136’’に又はそれに隣接して配置される。具体的には、回折格子128は、反射モード回折格子であってもよい。反射モード回折格子として、回折格子128は、導波光部分を回折させ、回折された導波光部分を第1の表面136’に向けて反射して、回折的に結合されて出射された指向性光ビーム130として第1の表面136’を通って出るように構成されている。他の実施形態(図示せず)では、回折格子128は、ライトガイド110の表面間に、例えば、透過モード回折格子及び反射モード回折格子の一方又は両方として配置されてもよい。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、結合されて出射された指向性光ビーム130の主角度方向は、ライトガイド表面でライトガイド110を出る結合されて出射された指向性光ビーム130による屈折の効果を含むことができることに留意されたい。例えば、回折格子128が第2の表面136’’に又はそれに隣接して配置される場合、結合されて出射された指向性光ビーム130は、限定ではなく例として、結合されて出射された指向性光ビーム130が第1の表面136’を横切る際に屈折率の変化のために屈折され得る(すなわち、曲げられる)。
【0063】
いくつかの実施形態では、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100の指向性光ビーム130は、回折を使用して、例えば回折格子128を使用して放射される。図4Aは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100内の第1のセットの回折格子内の回折格子128aの上面図を示す。さらに、図4Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100内の回折格子128のセットの上面図を示す。具体的には、図4A及び図4Bは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100の回折格子128を示す。回折格子128は、コリメートされた導波光ビーム112の一部(単色光であってもよい)を複数の指向性光ビーム130内の指向性光ビームとして回折的に結合して出射するように構成される。さらに、回折格子は、前述したように、異なるビューゾーン144に対応するセット、例えば、第1のセットの回折格子150a、第2のセットの回折格子150b、及び第3のセットの回折格子150cなどに分割されてもよい。
【0064】
回折格子128の各々は、回折特徴部間隔(「格子間隔」と呼ばれることもある)、又は導波光部分からの回折結合を提供するように構成された回折特徴部若しくは格子ピッチだけ互いに離間した複数の回折特徴部を含むことに留意されたい。様々な実施形態によれば、回折格子128内の回折特徴部の間隔又は格子ピッチは、サブ波長(すなわち、コリメートされた導波光ビーム112の波長未満)であってもよい。図4A及び図4Bは、説明を簡単にするために、単一の格子間隔(すなわち、一定の格子ピッチ)を有する回折格子128を示していることに留意されたい。様々な実施形態では、後述するように、回折格子128は、図3A図3Cの指向性光ビーム130を提供するために、複数の異なる格子間隔(例えば、2つ以上の格子間隔)又は可変格子間隔若しくはピッチを含むことができる。したがって、図4A及び図4Bは、単一の格子ピッチが回折格子128の一実施形態であることを意味しない。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、回折格子128の回折特徴部は、互いに離間した溝及び隆起の一方又は両方を含むことができる。溝又は隆起は、ライトガイド110の材料を含んでもよく、例えば、ライトガイド110の表面に形成されてもよい。別の例では、溝又は隆起は、ライトガイド材料以外の材料、例えば、ライトガイド110の表面上の別の材料のフィルム又は層から形成されてもよい。
【0066】
前述し図4Aに示すように、回折特徴部の構成は、回折格子128aの格子特性を含む。例えば、回折格子の格子深さは、回折格子128aによって提供される指向性光ビームの強度を決定するように構成されてもよい。
代替的又は追加的に、前述し図4Bに示すように、格子特性は、回折格子128aの格子ピッチ及び回折格子128aの格子配向gの一方又は両方を含む。コリメートされた導波光ビーム112の入射角(すなわち、伝播角120)と共に、これらの格子特性は、回折格子128によって提供される指向性光ビームの主角度方向を決定する。
【0067】
いくつかの実施形態(図示せず)では、指向性光ビーム130を提供するように構成された回折格子128は、可変又はチャープ回折格子であるか、又はそれを含む。定義により、「チャープ」回折格子は、チャープ回折格子の範囲又は長さにわたって変化する回折特徴部(すなわち、格子ピッチ)の回折間隔を示す又は有する回折格子である。いくつかの実施形態では、チャープ回折格子は、距離と共に直線的に変化する回折特徴部間隔のチャープを有するか、又は示すことができる。したがって、チャープ回折格子は、定義により、「線形チャープ」回折格子である。他の実施形態では、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100のチャープ回折格子は、回折特徴部間隔の非線形チャープを示してもよい。指数チャープ、対数チャープ、又は別の、実質的に不均一又はランダムであるが依然として単調な方法で変化するチャープを含むがこれらに限定されない様々な非線形チャープを使用することができる。非単調チャープ、例えば、正弦波チャープ又は三角形若しくは鋸歯状チャープなどであるがこれらに限定されないものを使用することができる。これらのタイプのチャープのいずれかの組み合わせも使用することができる。
【0068】
他の実施形態では、指向性光ビーム130を提供するように構成された回折格子128は、複数の回折格子であるか、又は複数の回折格子を含む。いくつかの実施形態では、複数の回折格子の個々の回折格子は、互いに重ね合わされてもよい。他の実施形態では、回折格子は、互いに隣接して配置された別個の回折格子、例えばアレイとしてなどであってもよい。
【0069】
図4Bに示されるように、回折格子150のセットにおける回折格子128は、異なる格子特性を有する。例えば、回折格子128は、異なる格子配向を有する。
【0070】
上述したように、前述の実施形態における回折格子128は、ライトガイド110の第1の表面136’及び/又は第2の表面136’’に位置してもよい。さらに、回折格子128は、第1の表面136’、第2の表面136’’又は第1の表面136’と第2の表面136’’との間に配置されてもよい。さらに、回折格子は、第1の表面136’及び/又は第2の表面136’’から突出する「正の特徴部」であってもよく、又は、第1の表面136’及び/又は第2の表面136’’内に窪んだ「負の特徴部」であってもよい。いくつかの実施形態では、回折格子の特徴部は、材料に直接エンボス加工され、例えば、別個のロールツーロールインプリントシートなどを使用して、ライトガイドの表面にスピンされ、ライトガイドの表面に積層される樹脂層にインプリントされる。
【0071】
前述のように、いくつかの実施形態では、コリメートされた光カプラ124は円筒格子カプラである。図5Aは、本明細書に記載の原理と一致する一例による透過モード回折格子カプラ138の断面図を示す。図5Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の例による、反射モード回折格子カプラ140の断面図を示す。図5Cは、本明細書に記載の原理と一致する別の例による、反射型回折格子カプラ140の斜視図を示す。図5A図5Cでは、格子結合された(grating-coupled)ライトガイド110は、光122をコリメートされた導波光ビーム112として格子結合されたライトガイド110に結合するように構成される。光122は、例えば、光源114(例えば、実質的にコリメートされていない光源)によって提供され得る。様々な例によれば、格子結合されたライトガイド110は、比較的高い結合効率を提供することができる。さらに、様々な例によれば、格子結合されたライトガイド110は、光122を、格子結合されたライトガイド110内の所定のコリメーション係数を有するコリメートされたガイド光112(例えば、導波光のビーム)に変換することができる。
【0072】
具体的には、いくつかの例によれば、約20%を超える結合効率が達成され得る。例えば、(後述する)透過構成では、格子結合されたライトガイド110の結合効率は、約30%より大きくても、又は約35%より大きくてもよい。例えば、最大約40%の結合効率を達成することができる。反射構成では、格子結合されたライトガイド110の結合効率は、例えば、約50%、又は約60%、又はさらに約70%と高くてもよい。
【0073】
様々な例によれば、格子結合されたライトガイド110によって及びその中で提供される所定のコリメーション係数は、制御された又は所定の伝播特性を有するコリメートされた導波光ビーム112を提供することができる。具体的には、格子結合されたライトガイド110は、「垂直」方向、すなわち、格子結合されたライトガイド110の表面の平面に垂直な平面において、制御された又は所定のコリメーション係数を提供することができる。さらに、光122は、格子結合されたライトガイド平面に実質的に垂直な角度で光源114から受信され、次いで、格子結合されたライトガイド110内の平均非ゼロ伝播角120、例えば、格子結合されたライトガイド110内の全内部反射の臨界角と一致するか又はそれ未満の非ゼロ伝播角などを有するコリメートされた導波光ビーム112に変換され得る。
【0074】
いくつかの例によれば、格子カプラは、透過格子カプラ138(すなわち、透過モード回折格子カプラ)であってもよいが、他の例では、格子カプラは、反射型回折格子カプラ140(すなわち、反射モード回折格子カプラ)であってもよい。具体的には、図5Aに示すように、格子カプラ138は、光源114に隣接するライトガイド110の表面に透過モード回折格子を含むことができる。例えば、格子カプラ138の透過モード回折格子は、ライトガイド110の底面(又は第2の表面)136’’上にあってもよく、光源114は、格子カプラ138を底部から照らしてもよい。図5Aに示すように、格子カプラ138の透過モード回折格子は、透過モード回折格子を透過又は通過する光122を回折的に方向変更するように構成される。光源114の相対位置を長手方向108に沿ってシフトさせると、回折角、したがってライトガイド110内の伝播角が変化することに留意されたい。
【0075】
あるいは、図5Bに示すように、格子カプラ140は、光源114に隣接する表面の反対側のライトガイド110の表面に反射モード回折格子を有する反射型回折格子カプラ140であってもよい。例えば、格子カプラ140の反射モード回折格子は、ライトガイド110の上面(又は第1の表面)136’上にあってもよく、光源114は、ライトガイド110の底面(又は第2の表面)136’’の一部を通して格子カプラ140を照らしてもよい。反射モード回折格子は、図5Bに示すように、反射型回折(すなわち、反射及び回折)を使用して光122をライトガイド110に回折的に方向変更するように構成される。
【0076】
様々な例によれば、格子カプラ138又は140の回折格子は、ライトガイド110の表面136’若しくは136’’上又はその中に形成又はその他の方法で設けられた回折格子の溝、隆起、又は同様の回折特徴部を含むことができる。例えば、溝又は隆起は、透過格子カプラ138の透過モード回折格子として機能するように、ライトガイド110の光源隣接面136’’(例えば、底面又は第2の表面)内又はその上に形成されてもよい。同様に、溝又は隆起は、例えば、反射型回折格子カプラ140の反射モード回折格子として機能するように、光源隣接面136’’とは反対側のライトガイド110の表面136’に形成されるか、又はその他の方法で設けられてもよい。
【0077】
いくつかの例によれば、格子カプラ138又は140は、ライトガイド表面上又はライトガイド表面内に格子材料(例えば、格子材料の層)を含むことができる。いくつかの例では、格子材料は、ライトガイド110の材料と実質的に同様であってもよいが、他の例では、格子材料は、ライトガイド材料とは異なっていてもよい(例えば、異なる屈折率を有してもよい)。いくつかの例では、ライトガイド表面内の回折格子溝は、格子材料で充填されてもよい。例えば、透過格子カプラ138又は反射型回折格子カプラ140のいずれかの回折格子の溝は、ライトガイド110の材料とは異なる誘電体材料(すなわち、格子材料)で充填されていてもよい。いくつかの例によれば、格子カプラ138又は140の格子材料は、例えば、窒化シリコンを含むことができ、一方ライトガイド110はガラスであってもよい。酸化インジウムスズ(ITO)を含むがこれに限定されない他の格子材料も使用することができる。
【0078】
他の例では、透過格子カプラ138又は反射型回折格子カプラ140のいずれかは、特定の回折格子として機能するようにライトガイド110の各々の表面に堆積、形成、又はその他の方法で設けられる隆起、突起、又は同様の回折特徴部を含むことができる。隆起又は同様の回折特徴部は、例えば、ライトガイド110の各々の表面に堆積された誘電体材料層(すなわち、格子材料)に形成(例えば、エッチング、成型などによって)されてもよい。いくつかの例では、反射型回折格子カプラ140の格子材料は、反射金属を含むことができる。例えば、反射型回折格子カプラ140は、反射モード回折格子による反射を容易にするために、反射金属の層、例えばこれらに限定するものではないが、金、銀、アルミニウム、銅及びスズなどを含んでもよい。
【0079】
なお、透過格子カプラ138及び反射型回折格子カプラ140における回折格子は、y方向に沿って均一であってもよい。これは、本明細書に記載の原理と一致する別の例による反射モード回折格子カプラ140の斜視図を提供する図5Cに示されている。
【0080】
図5A図5Cは、回折格子カプラの使用を示しているが、他の実施形態では、他のタイプの光カプラが使用されてもよい。例えば、図6Aは、本明細書に記載の原理と一致する一例による放物面反射カプラ142の断面図を示す。図6Bは、本明細書に記載の原理と一致する別の例による放物面反射カプラ142の斜視図を示す。図6Bに示すように、放物面反射カプラ142は、y方向に沿って均一であってもよい。
【0081】
本明細書に記載の原理のいくつかの実施形態によれば、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイが提供される。複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイによって提供される複数の指向性光ビームを放射するように構成される。さらに、放射された指向性光ビームは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイに含まれる回折格子のセットの格子特性に基づいて、異なるビューゾーン内の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの複数のビューに優先的に向けられてもよい。さらに、1セットの回折格子内の回折格子は、指向性光ビームにおいて異なる主角度方向を生成することができ、これは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイのビューゾーンにおけるマルチビュー画像の異なるビューの異なるビュー方向に対応する。いくつかの例では、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイは、2つ以上の3Dマルチビュー画像を提供又は「表示」するように構成される。様々な例によれば、指向性光ビームの異なるものは、異なるビューゾーン内のマルチビュー画像に関連付けられた、異なる「ビュー」の個々のビューピクセルに対応することができる。異なるビューは、例えば、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイによって表示されているマルチビュー画像内の情報の「眼鏡不要の」(例えば、自動立体視)表示を提供することができる。
【0082】
図9は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200のブロック図を示す。様々な実施形態によれば、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200は、角度範囲218を有する相互に排他的なビューゾーン216にある、異なるビュー方向の異なるビューに従ってマルチビュー画像232を表示するように構成される。具体的には、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200によって放射された複数の指向性光ビーム202は、マルチビュー画像232を表示するために使用され、異なるビューゾーン216の異なるビュー(すなわち、ビューピクセル)のピクセルに対応することができる。指向性光ビーム202は、ライトガイド206内の回折格子204(回折格子のセットを含むことができる)から発する矢印として示されている。回折格子204に関連付けられた指向性光ビーム202は準静的(すなわち、変調されていない)であることに留意されたい。代わりに、回折格子204に関連付けられた指向性光ビーム202は、照明されているときに指向性光ビーム202を提供するか、又は照明されていないときに指向性光ビーム202を提供しない。いくつかの実施形態では、隣接するビューゾーン216は、マルチビュー画像232が視聴者に見えないブランクゾーン220によって分離される。
【0083】
図9に示す複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200は、回折格子204を備える。回折格子204は、ビューゾーン216内の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200のマルチビュー画像232の複数の異なるビューを提供するように構成される。様々な実施形態によれば、1セットの回折格子の一回折格子は、複数の指向性光ビーム202のうちの指向性光ビームを、ビューゾーン(ビューゾーン216aなど)に対応する角度範囲(角度範囲218aなど)に回折的に結合して出射又は放射するように構成される。複数の指向性光ビーム202は、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの異なるビューゾーン216におけるマルチビュー画像232の異なるビューの異なるビュー方向に対応する主角度方向を有することができる。また、回折格子204における回折格子の格子特性は、回折格子への入射光ビームの伝播角及び色(すなわち、コリメートされた光カプラ210によって提供されるコリメートされた導波光ビーム208)に基づいて変化してもよい。いくつかの実施形態では、回折格子204内の回折格子は、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100に関して上述した、例えば図4A及び図4Bの回折格子128と実質的に同様である。
【0084】
回折格子204を有する実施形態では、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200は、コリメートされた導波光ビーム208を誘導するように構成されたライトガイド206をさらに備えてもよい。回折格子204は、これらの実施形態によれば、ライトガイド206からのコリメートされた導波光208の一部を複数の指向性光ビーム202(すなわち、コリメートされた導波光208は、上述した入射光ビームであってもよい)として結合して出射するように構成されてもよい。具体的には、回折格子204内の回折格子は、コリメートされた導波光208の一部を結合して出射するためにライトガイドに光学的に接続されてもよい。いくつかの実施形態では、回折格子204内の回折格子の格子特性は、回折格子に入射するコリメートされた導波光208の伝播角、コリメートされた導波光の色、又はその両方に基づいて変化し得る。このようにして、1セットの回折格子内の異なる回折格子からの指向性光ビーム202は、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200によって提供されるビューゾーンのマルチビュー画像の同じビューに対応することができる。いくつかの実施形態では、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200のライトガイド206は、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100に関して上述したライトガイド110と実質的に同様であってもよい。
【0085】
さらに、これらの実施形態のいくつかでは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200は、コリメートされた光カプラ210をさらに備えてもよい。コリメートされた光カプラ210は、光源214内の光エミッタから光ビーム212を受信するように構成されてもよく、入射光ビームをコリメートして、コリメートされた光ビーム208をライトガイド206に提供してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、コリメートされた光カプラ210は、コリメーション係数に従って入射光ビーム212をコリメートして、ライトガイド206内でコリメートされた導波光208の所定の角度広がりを提供する。いくつかの実施形態によれば、コリメート光カプラ210は、上述の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100内の光カプラ124と実質的に同様であってもよい。
【0086】
追加で、これらの実施形態のいくつかでは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200は、光源214をさらに備えてもよい。光源214は、光ビーム212をライトガイド206に提供するように構成されてもよく、これにより、光源214の光エミッタの長手方向オフセットに基づいて、コリメートされた導波光208の非ゼロ伝播角が得られる。いくつかの実施形態では、光源214によって提供される光ビーム212は、コリメーション係数に従ってコリメートされ、例えば、ライトガイド206内でコリメートされた導波光208の所定の角度広がりを提供する。いくつかの実施形態によれば、光源214は、上述した複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100の光源114と実質的に同様であってもよい。
【0087】
本明細書に記載の原理の他の実施形態によれば、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法が提供される。図10は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法300のフローチャートを示す。図10に示すように、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法300は、第1のビューゾーンに見える第1のマルチビュー画像を表すために第1のセットの回折格子を使用して第1のビューゾーンに向けられた指向性光ビームとして、ライトガイドからのコリメートされた導波光ビームの一部を回折的に散乱させて出射する(diffractively scattering out)こと320を含む。さらに、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法300は、第2のビューゾーンに見える第2のマルチビュー画像を表すために第2のセットの回折格子を使用して第2のビューゾーンに向けられた指向性光ビームとして、ライトガイドからのコリメートされた導波光ビームの別の部分を回折的に散乱させて出射すること330を含み、第1及び第2のビューゾーンは互いに異なる角度範囲を有する。さらに、第1のマルチビュー及び第2のマルチビュー画像は互いに異なっていてもよい。例えば、自動車内の乗客及び運転者は、第1及び第2のビューゾーンで異なるマルチビュー画像を見ることができる。追加で、第1のマルチビュー画像は、第1のビューゾーンでのみ見ることができ、第2のマルチビュー画像は、第2のビューゾーンでのみ見ることができる。いくつかの実施形態では、第1のビューゾーンは、ブランクゾーンによって第2のビューゾーンから分離されている。これは、プライバシーを提供することができ、必要なピクセルが少なくてよく、これにより空間角分解能を改善することができる。第1のセットの回折格子、第2のセットの回折格子及びビューゾーンは、上述した回折格子150のセット及び複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100のビューゾーン144と実質的に同様であってもよいことに留意されたい。
【0088】
さらに、第1の回折格子のセット及び第2の回折格子のセットの回折格子によって回折的に散乱されて出射された指向性光ビームの主角度方向は、回折格子の格子ピッチ及び格子配向によって決定されてもよく、指向性光ビームの強度は、回折格子の格子深さによって決定されてもよい。さらに、第1の回折格子のセット及び第2の回折格子のセットの回折格子によって回折的に散乱されて出射された指向性光ビームの主角度方向は、コリメートされた導波光ビームの色及び伝播角の両方の関数であってもよい。具体的には、いくつかの実施形態によれば、導波光の一部を散乱させて出射すること320及び導波光の他の部分を散乱させて出射すること330に使用される回折格子は、コリメートされた導波光部分を1つ又は複数の指向性光ビームとして回折的に結合して出射するためにライトガイドに光学的に結合された回折格子を含むことができる。第1のセットの回折格子及び第2のセットの回折格子によって生成された複数の指向性光ビームは、第1のビューゾーン及び第2のビューゾーンにおけるマルチビュー画像の異なるビューに対応する異なる主角度方向を有することができることに留意されたい。回折格子の各々は、マルチビュー画像内のビューピクセルに対応する単一の主角度方向に単一の指向性光ビームを生成する。様々な実施形態では、複数の回折格子の格子特性は、回折格子へ入射するコリメートされた導波光ビームの伝播角及び色に基づいて変化し得る。このようにして、回折格子のセット内の異なる回折格子からの指向性光ビームは、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイによって提供されるマルチビュー画像のビューに対応することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法300は、ライトガイド内にコリメートされた導波光ビームを提供すること310をさらに含む。例えば、コリメートされた導波ビームを提供すること310は、光源内の光エミッタを使用して、ライトガイドに色を有する光を提供することを含むことができる。光エミッタは、長手方向にオフセットされてもよい。提供される光は単色であってもよい。提供された光は、ライトガイド内で非ゼロ伝播角を有するコリメートされた導波光ビームになり得る。具体的には、ライトガイド内の結果として生じるコリメートされた導波光ビームの伝播角は、光源内の光エミッタの長手方向オフセットに少なくとも部分的に基づいて決定され得る。提供された光は、コリメーション係数に従って(光カプラなどによって)ライトガイド内でコリメートされ、ライトガイド内でコリメートされた導波光ビームの所定の角度広がりを提供することができる。いくつかの実施形態では、光源は、上述の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100の光源114と実質的に同様であってもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、コリメートされた導波ビームを提供すること310は、コリメート光カプラを使用して、光をコリメートされた導波光ビームとしてライトガイドに結合することを含むことができる。例えば、光源内の光エミッタからの光は、コリメートされた導波光ビームとしてライトガイドに結合されてもよい。さらに、コリメートされた導波光ビームは、光エミッタの長手方向オフセットによって決定される伝播角を有することができる。いくつかの実施形態では、光カプラは、光源からの入射光をコリメートする。さらに、光カプラは、上述した複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100の光カプラ124と実質的に同様であってもよい。
【0091】
このように、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法、及び回折格子を有する複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの例及び実施形態を説明してきた。複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ、方法、及び複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイは、回折格子を使用して指向性光ビームを提供する。複数の指向性光ビームは、異なるビューゾーン内のマルチビュー画像のビューに対応する。さらに、回折格子のセットは、複数の指向性光ビームにおいて複数の主角度方向を提供するように構成される。主角度方向は、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイのビューゾーンに対応する角度範囲内のマルチビュー画像のビューに対応する。上述の例は、本明細書に記載の原理を表す多くの特定の例のいくつかの単なる例示であることを理解されたい。明らかに、当業者は、以下の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱することなく、多数の他の装置を容易に考案することができる。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
本開示は以下の[1]から[20]を含む。
[1]複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイであって、
光を誘導するライトガイドと、
上記ライトガイド内にコリメートされた導波光ビームを提供するように構成された光源と、
上記ライトガイドにわたって分布される複数の回折格子であって、上記複数の回折格子のうちの第1のセットの回折格子は、第1のマルチビュー画像を表す指向性光ビームとして上記コリメートされた導波光ビームの一部を第1のビューゾーン内に散乱させて出射するように構成され、上記複数の回折格子のうちの第2のセットの回折格子は、第2のマルチビュー画像を表す指向性光ビームとして上記コリメートされた導波光ビームの別の部分を第2のビューゾーン内に散乱させて出射するように構成される、複数の回折格子と、を含む、複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[2]上記第1及び第2の回折格子のセットのいずれかの上記複数の回折格子のうちの一回折格子は、上記第1及び第2のマルチビュー画像のうちの対応する1つのビューピクセルの強度及びビュー方向に対応する強度及び主角度方向を有する指向性光ビームを提供するように構成される、上記[1]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[3]上記回折格子の格子特性は、上記強度及び上記主角度方向を決定するように構成され、主角度方向を決定するように構成される上記格子特性が、上記回折格子の格子ピッチ及び上記回折格子の格子配向の一方又は両方を含む、上記[2]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[4]上記強度を決定するように構成された上記格子特性は、上記回折格子の格子深さを含む、上記[3]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[5]上記第1の回折格子のセット及び上記第2の回折格子のセットが、上記コリメートされた導波光ビームの上記一部が上記第1及び第2のマルチビュー画像を表す複数の指向性光ビームとして散乱されて出射される上記ライトガイドの放射面とは反対側の上記ライトガイドの表面に配置される、上記[1]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[6]上記ライトガイドの入力部にコリメート光カプラをさらに備え、上記コリメート光カプラは、上記光源からの光を上記コリメートされた導波光ビームとして上記ライトガイドの入力部に光学的に結合するように構成される、上記[1]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[7]上記コリメート光カプラは、円筒格子カプラを含み、上記光源は、上記ライトガイドのガイド表面に隣接して配置され、光源は、上記ガイド表面を通して光を放射するように構成される、上記[6]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[8]上記第1のビューゾーンは、第1の角度範囲を有するように構成され、上記第2のビューゾーンは、第2の角度範囲を有するように構成され、上記第1のビューゾーン及び第2のビューゾーンは、相互に排他的な角度範囲である、上記[1]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[9]上記第1のビューゾーン及び上記第2のビューゾーンは、上記第1のマルチビュー画像も上記第2のマルチビュー画像も見えないブランクゾーンによって互いに分離されている、上記[8]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[10]上記第1のマルチビュー画像は、上記第2のマルチビュー画像とは異なる、上記[1]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[11]上記ライトガイド及び上記回折格子のセットは、上記導波光ビームの伝播方向に対応する長手方向に直交する垂直方向に伝播する光に対して透明である、上記[1]に記載の複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイ。
[12]複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイであって、
光源からの光を導波光として誘導するように構成されたライトガイドと、
上記複数のビューゾーン内で見ることができるマルチビュー画像を表す指向性光ビームとして上記導波光の一部を散乱させて出射するように構成された複数の回折格子であって、各マルチビュー画像は、上記複数の回折格子の異なるセットの回折格子の指向性光ビームに対応し、上記複数のビューゾーンの各ビューゾーンは、対応するマルチビュー画像が見ることができるように構成されている異なる角度範囲を有する、複数の回折格子と、を備える、複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
[13]一対の異なるビューゾーンの各々に見える上記マルチビュー画像が互いに異なる、上記[12]に記載の複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
[14]上記複数のビューゾーンのうちの一ビューゾーンは、上記マルチビュー画像のいずれも見えないブランクゾーンによって隣接するビューゾーンから分離されている、上記[12]に記載の複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
[15]上記複数の回折格子のうちの一回折格子は、上記マルチビュー画像の対応する1つのビューピクセルの強度及びビュー方向に対応する強度及び主角度方向を有する上記指向性光ビームのうちの一指向性光ビームを提供するように構成され、上記回折格子の格子ピッチ及び格子配向は、上記指向性光ビームの上記主角度方向を決定するように構成され、上記回折格子の格子深さは、上記指向性光ビームの強度を決定するように構成される、上記[12]に記載の複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
[16]上記ライトガイドの入力部にコリメート光カプラをさらに備え、上記コリメート光カプラは、光源からの光をコリメーション係数に従ってコリメートされた導波光ビームとして上記ライトガイドの入力部に光学的に結合するように構成され、上記ライトガイド内に所定の伝播角を有する、上記[12]に記載の複数のビューゾーンを有する静的マルチビューディスプレイ。
[17]複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイの動作の方法であって、
ライトガイド内にコリメートされた導波光ビームを提供するステップと、
第1のビューゾーン内で見ることができる第1のマルチビュー画像を表すために第1のセットの回折格子を使用して上記第1のビューゾーン内に向けられた指向性光ビームとして上記導波光ビームの一部を回折的に散乱させて出射するステップと、
第2のビューゾーン内で見ることができる第2のマルチビュー画像を表すために第2のセットの回折格子を使用して上記第2のビューゾーン内に向けられた指向性光ビームとして上記導波光ビームの別の部分を回折的に散乱させて出射するステップと、を含み、
上記第1のビューゾーン及び第2のビューゾーンは、互いに異なる角度範囲を有する、複数のビューゾーンの静的マルチビューディスプレイの動作の方法。
[18]上記第1のマルチビュー及び第2のマルチビュー画像は互いに異なり、上記第1のマルチビュー画像は上記第1のビューゾーンでのみ見ることができ、上記第2のマルチビュー画像は上記第2のビューゾーンでのみ見ることができる、上記[17]に記載の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法。
[19]上記第1のビューゾーンは、ブランクゾーンによって上記第2のビューゾーンから分離されている、上記[17]に記載の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法。
[20]上記第1の回折格子のセット及び上記第2の回折格子のセットの回折格子によって回折的に散乱されて出射される指向性光ビームの主角度方向は、上記回折格子の格子ピッチ及び格子配向によって決定され、上記指向性光ビームの強度は、上記回折格子の格子深さによって決定される、上記[17]に記載の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法。
本明細書に記載の原理による例及び実施形態の様々な特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解することができ、同様の参照番号は同様の構造要素を示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
図5C】本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における反射モード回折格子カプラの斜視図を示す。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
図3Bに示すように、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100は、第1の表面136’上に回折格子128のセット、例えば、第1のセットの回折格子内の回折格子128a、第2のセットの回折格子内の回折格子128b、及び第3のセットの回折格子内の回折格子128cなどを備えてもよい。これらの回折格子の組は、ライトガイド110の表面(表面136’など)上に空間的に散在していてもよく、又は互いに組み合わされていてもよい。例えば、1セットの回折格子内の回折格子は、等間隔に配置されてもよい。記載された実施形態は、3セットの回折格子128を有する複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100を示しているが、他の実施形態では、回折格子のセットがより少ないか、又はより多くてもよい。一般に、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100は、2つ以上のセットの回折格子128を含むことができる。図3Aに戻って参照すると、回折格子128の組は、マルチビュー画像132(マルチビュー画像132a、132b、及び132cなど)を表す指向性光ビーム130(指向性光ビーム130a及び130cなど)を放射する。マルチビュー画像132の各々は、中央ビュー方向134(例えば、中央ビュー方向134a、134b、及び134c)の関連付けられたものを有し、マルチビュー画像132内の他のビューは、中央ビュー方向134に関連することに留意されたい。さらに、マルチビュー画像132は、角度範囲146a、146b、146cを有する対応する重複しないビューゾーン144a、144b、144cでのみ見ることができる。したがって、角度範囲は、相互に排他的であってもよく、マルチビュー画像は、対応するビューゾーンでのみ見ることができる。いくつかの実施形態では、隣接するビューゾーンは、マルチビュー画像132を見ることができないブランクゾーン148a、148bによって分離される。ビューゾーン内のマルチビュー画像132は、互いに異なっていてもよく、すなわち、異なるマルチビュー画像を、異なるビューゾーンで見ることができることに留意されたい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
図4Bに示されるように、回折格子150a、150b、150cのセットにおける回折格子128は、異なる格子特性を有する。例えば、回折格子128は、異なる格子配向を有する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200のブロック図を示す。様々な実施形態によれば、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200は、角度範囲218a、218b、218cを有する相互に排他的なビューゾーン216a、216b、216cにある、異なるビュー方向の異なるビューに従ってマルチビュー画像232を表示するように構成される。具体的には、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200によって放射された複数の指向性光ビーム202は、マルチビュー画像232を表示するために使用され、異なるビューゾーン216a、216b、216cの異なるビュー(すなわち、ビューピクセル)のピクセルに対応することができる。指向性光ビーム202は、ライトガイド206内の回折格子204(回折格子のセットを含むことができる)から発する矢印として示されている。回折格子204に関連付けられた指向性光ビーム202は準静的(すなわち、変調されていない)であることに留意されたい。代わりに、回折格子204に関連付けられた指向性光ビーム202は、照明されているときに指向性光ビーム202を提供するか、又は照明されていないときに指向性光ビーム202を提供しない。いくつかの実施形態では、隣接するビューゾーンは、マルチビュー画像232が視聴者に見えないブランクゾーン220a、220bによって分離される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
に示す複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200は、回折格子204を備える。回折格子204は、ビューゾーン216内の複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ200のマルチビュー画像232の複数の異なるビューを提供するように構成される。様々な実施形態によれば、1セットの回折格子の一回折格子は、複数の指向性光ビーム202のうちの指向性光ビームを、ビューゾーン(ビューゾーン216aなど)に対応する角度範囲(角度範囲218aなど)に回折的に結合して出射又は放射するように構成される。複数の指向性光ビーム202は、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの異なるビューゾーン216におけるマルチビュー画像232の異なるビューの異なるビュー方向に対応する主角度方向を有することができる。また、回折格子204における回折格子の格子特性は、回折格子への入射光ビームの伝播角及び色(すなわち、コリメートされた光カプラ210によって提供されるコリメートされた導波光ビーム208)に基づいて変化してもよい。いくつかの実施形態では、回折格子204内の回折格子は、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100に関して上述した、例えば図4A及び図4Bの回折格子128と実質的に同様である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
本明細書に記載の原理の他の実施形態によれば、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法が提供される。図は、本明細書に記載の原理と一致する一実施形態による、一例における複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法300のフローチャートを示す。図に示すように、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法300は、第1のビューゾーンに見える第1のマルチビュー画像を表すために第1のセットの回折格子を使用して第1のビューゾーンに向けられた指向性光ビームとして、ライトガイドからのコリメートされた導波光ビームの一部を回折的に散乱させて出射する(diffractively scattering out)こと320を含む。さらに、複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイの動作の方法300は、第2のビューゾーンに見える第2のマルチビュー画像を表すために第2のセットの回折格子を使用して第2のビューゾーンに向けられた指向性光ビームとして、ライトガイドからのコリメートされた導波光ビームの別の部分を回折的に散乱させて出射すること330を含み、第1及び第2のビューゾーンは互いに異なる角度範囲を有する。さらに、第1のマルチビュー及び第2のマルチビュー画像は互いに異なっていてもよい。例えば、自動車内の乗客及び運転者は、第1及び第2のビューゾーンで異なるマルチビュー画像を見ることができる。追加で、第1のマルチビュー画像は、第1のビューゾーンでのみ見ることができ、第2のマルチビュー画像は、第2のビューゾーンでのみ見ることができる。いくつかの実施形態では、第1のビューゾーンは、ブランクゾーンによって第2のビューゾーンから分離されている。これは、プライバシーを提供することができ、必要なピクセルが少なくてよく、これにより空間角分解能を改善することができる。第1のセットの回折格子、第2のセットの回折格子及びビューゾーンは、上述した回折格子150のセット及び複数のビューゾーンのマルチビューディスプレイ100のビューゾーン144と実質的に同様であってもよいことに留意されたい。
【国際調査報告】