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特表2022-516723変性ジエン含有(コ)ポリマー、その調製方法及び難燃剤としての使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】変性ジエン含有(コ)ポリマー、その調製方法及び難燃剤としての使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/20 20060101AFI20220222BHJP
   C08L 15/02 20060101ALI20220222BHJP
   C08J 9/18 20060101ALI20220222BHJP
   C09K 21/14 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
C08F8/20
C08L15/02
C08J9/18 CET
C09K21/14
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537854
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 RU2018000887
(87)【国際公開番号】W WO2020139112
(87)【国際公開日】2020-07-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513322589
【氏名又は名称】パブリック・ジョイント・ストック・カンパニー・“シブール・ホールディング”
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イヴァン・アナトリエヴィッチ・バビン
(72)【発明者】
【氏名】スヴェトラーナ・イゴレヴナ・グスチャコヴァ
(72)【発明者】
【氏名】エゴール・エフゲニエヴィチ・ポポフツェフ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・アレクセヴィッチ・レネフ
【テーマコード(参考)】
4F074
4H028
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4F074AA32K
4F074BA35
4F074CA34
4F074CA38
4F074CA49
4F074DA18
4F074DA24
4H028AA49
4J002AC121
4J002EA016
4J002FD010
4J002FD030
4J002FD090
4J002FD110
4J002FD170
4J002FD200
4J002FD326
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J100AB02Q
4J100AS02P
4J100BA03H
4J100BB03H
4J100BC54H
4J100CA04
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA36
4J100HA21
4J100HA29
4J100HC04
4J100HE05
4J100JA28
4J100JA43
4J100JA67
(57)【要約】
本発明は、発泡性ポリスチレンポリマー組成物のための難燃剤として使用することができる、変性ジエン含有(コ)ポリマー、特に変性スチレン-ブタジエンコポリマーの分野に関する。特に、本発明は、変性ジエン含有(コ)ポリマー、その調製方法、及び発泡性ポリスチレン用の難燃剤としての使用に関する。本発明において特許請求されている変性ジエン含有(コ)ポリマーは、高い熱安定性、すなわち少なくとも180℃の5%重量減少温度、少なくとも1500g/molの分子量及び少なくとも35質量%のハロゲン含有量、0から1.5質量%未満までの範囲の第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物の含有量であることを特徴とし、重合プロセス及びポリスチレングラニュールの形成のどちらにも影響を及ぼさず、かつHBCD(0~3単位)を含有するポリスチレングラニュールの黄色度指数と同等な、2~6単位の黄色度指数を有するポリスチレングラニュールを得ることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5%重量減少温度が少なくとも180℃であり、少なくとも1500g/molの平均分子量及び少なくとも35質量%のハロゲン含有量を有する、変性ジエン含有(コ)ポリマーであって、その構造中に、ハロゲン原子に加えて少なくとも1つのエポキシ基、少なくとも1つのヒドロキシル基、並びに0から1.5質量%未満の第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物を含むことを特徴とする、変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項2】
好ましくは少なくとも220℃、より好ましくは少なくとも240℃の5%重量減少温度を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項3】
好ましくは2000~280000g/mol、より好ましくは10000~150000g/mol、最も好ましくは60000~100000g/molの重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項4】
ハロゲン原子の含有量が、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも75質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項5】
エポキシ基の含有量が、0.01~5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項6】
エポキシ基の含有量が、好ましくは0.05~3質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項7】
エポキシ基の含有量が、より好ましくは1~2質量%であることを特徴とする、請求項5に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項8】
ヒドロキシル基の含有量が、0.05~5質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項9】
ヒドロキシル基の含有量が、好ましくは0.1~3質量%であることを特徴とする、請求項8に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項10】
ヒドロキシル基の含有量が、より好ましくは0.15~1質量%であることを特徴とする、請求項8に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項11】
第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物の含有量が、好ましくは0から1質量%未満であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項12】
第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物の含有量が、より好ましくは0から0.5質量%未満であることを特徴とする、請求項11に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項13】
変性ブタジエンポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-イソプレンコポリマーであることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項14】
好ましくは変性スチレン-ブタジエンコポリマーであることを特徴とする、請求項13に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項15】
前記変性ジエン含有(コ)ポリマーの構造中のハロゲンが、塩素、臭素又はヨウ素であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項16】
前記変性ジエン含有(コ)ポリマーの構造中のハロゲンが、好ましくは臭素であることを特徴とする、請求項15に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項17】
一般式(1):
【化1】
(式中、R1~R4は、同一であるか又は異なっており、水素、又は1~6個の炭素原子を有する炭化水素基、特に、アルキル基を表すことができ、Halはハロゲンであり、nは、l<n<400、好ましくは100<n<350、より好ましくは140<n<250である、ポリマー鎖単位の量であり、k、m、l、p、o、qは、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、l<k<37、0<m<19、2<(l+p)<3660、0<o<8、0<q<8、好ましくは6<k<12、3<m<6、610<(l+p)<1220、0<o<5、0<q<5、より好ましくは7<k<10、4<m<5、730<(l+p)<980、o=0、q=0を構成する)
を有することを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項18】
変性ジエン含有(コ)ポリマーを生成する方法であって、以下の工程:
a)出発ジエン含有(コ)ポリマーを有機溶媒に溶解させることを含む、溶解工程、
b)ハロゲン化剤及び任意選択で脂肪族アルコールを使用して、ジエン含有(コ)ポリマーを少なくとも60%のハロゲン化度まで部分的にハロゲン化することを含む、部分ハロゲン化工程、
c)工程b)において得られた反応物質に水を添加し、次いで水性層と有機層を分離することを含む、洗浄及び分離工程、
d)工程c)において得られた、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含む有機層に、変性系の成分及び任意選択で脂肪族アルコールを添加することを含む、変性工程、
e)工程d)において得られた反応物質に中和剤の水溶液を添加し、次いで水性層と有機層を分離することを含む、中和及び分離工程、
f)変性ジエン含有(コ)ポリマーを沈殿させる又は脱気することを含む、単離工程、
g)ろ過及び単離した変性ジエン含有(コ)ポリマーを乾燥させることを含む、ろ過及びその後の乾燥工程
を含み、
前記部分ハロゲン化工程b)において、系中の許容可能な水分含量が、0から0.5質量%未満であり、前記変性工程d)において、変性系として、ハロゲンと水の混合物が、出発ジエン含有(コ)ポリマー中の二重結合の総量あたり、1:0.01~1:1のハロゲン:水の比で使用されることを特徴とする、方法。
【請求項19】
部分ハロゲン化工程b)において、系中の許容可能な水分含量が、より好ましくは0から0.3質量%未満であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
部分ハロゲン化工程b)において、系中の許容可能な水分含量が、より好ましくは0から0.1質量%未満であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、共役ジエンのポリマー及びコポリマーであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記共役ジエンが、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン等の2,3-ジ(C1~C5アルキル)-1,3-ブタジエン、フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、2-メチル-ペンタジエン、4-メチル-ペンタジエン又はそれらの混合物からなる群から選択される共役ジエンであることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記共役ジエンが、好ましくは1,3-ブタジエン又はイソプレンであることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
スチレン、α-メチルスチレン、オルト-、メタ-及びパラ-メチルスチレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、パラ-tert-ブチルスチレン、メトキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、1-ビニルナフタレン、2,4,6-トリメチルスチレン又はそれらの混合物からなる群から選択されるビニル芳香族化合物が、出発ジエン含有(コ)ポリマー中のコモノマーとして使用されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
好ましくはスチレン又はα-メチルスチレンが、出発ジエン含有(コ)ポリマー中のコモノマーとして使用されることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、ブタジエンポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-イソプレンコポリマーであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項27】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、好ましくはスチレン-ブタジエンコポリマーであることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、少なくとも700g/mol、好ましくは1000~400000g/mol、より好ましくは2000~300000g/mol、より好ましくは5000~200000g/mol、より好ましくは20000~120000g/mol、最も好ましくは20000~50000g/molの重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項29】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、多分散指数0.8~3、より好ましくは1~1.8、最も好ましくは1.1~1.5を有することを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項30】
出発ジエン含有(コ)ポリマー中の1,2-単位の含有量が、(コ)ポリマーのポリブタジエン部分あたり、少なくとも10~100質量%、好ましくは少なくとも50~99質量%、より好ましくは60~80質量%であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項31】
テトラヒドロフラン等のエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、ジブロモメタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素、ブロモベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素である有機溶媒が、溶解工程a)における溶媒として使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
好ましくはテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、シクロヘキサン、トルエンが、溶解工程a)における溶媒として使用されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
より好ましくはテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタンが、前記溶解工程a)における溶媒として使用されることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
工程a)における溶解が、10~50℃、好ましくは15~40℃、より好ましくは20~30℃の温度で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項35】
溶解工程a)における、有機溶媒対出発ジエン含有(コ)ポリマーの質量比が、5:1~30:1、好ましくは8:1~20:1、より好ましくは10:1~15:1であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項36】
溶解プロセスの時間が、60分間以下、好ましくは50分間以下、40分間以下、30分間以下、25分間以下、20分間以下、15分間以下、13分間以下、11分間以下、9分間以下、7分間以下、5分間以下であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項37】
部分ハロゲン化工程b)におけるハロゲン化度が、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項38】
部分ハロゲン化工程b)において、塩素、臭素、ヨウ素が、ハロゲン化剤におけるハロゲンとして使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項39】
部分ハロゲン化工程b)において、臭素が、ハロゲン化剤におけるハロゲンとして好ましくは使用されることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ハロゲン化剤が、臭素それ自体、70質量%以下の臭素、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下の第四級臭化アンモニウム、第四級臭化ホスホニウム又はそれらの混合物を含む溶液であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項41】
臭素元素及び第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウムが、ハロゲン化剤として好ましくは同時に使用されることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
臭化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム又はそれらの混合物が、第四級臭化アンモニウムとして使用されることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
臭化テトラメチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラプロピルホスホニウム、臭化テトラ-n-ブチルホスホニウム又はそれらの混合物が、第四級臭化ホスホニウムとして使用されることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
出発ジエン含有(コ)ポリマー:ハロゲン化剤:脂肪族アルコールのモル比が、1:1.5:3~1:5:3、より好ましくは1:2:3~1:4:3、最も好ましくは1:2.5:3~1:3:3であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項45】
第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウムにおける臭素元素:臭素原子のモル比が、1:1~1:4、より好ましくは1:2~1:3、最も好ましくは1:1~1:1.5であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項46】
部分ハロゲン化の工程b)において、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールが、脂肪族アルコールとして使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項47】
部分ハロゲン化工程b)において、臭素の添加速度が、0.80~50ml/分、好ましくは1~10ml/分、より好ましくは1.5~5ml/分であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項48】
部分ハロゲン化工程b)が、0~50℃、好ましくは20~45℃、より好ましくは30~40℃の温度で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項49】
部分ハロゲン化工程b)において、ハロゲン化剤の添加後の反応物質の撹拌速度が、50~600rpm、好ましくは100~500rpm、より好ましくは200~300rpmであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項50】
部分ハロゲン化工程b)の実施時間が、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも120分間であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項51】
洗浄及び分離工程c)において、水での洗浄後に有機層中のハロゲン化剤の許容可能な残留含有量が、0~0.5質量%、好ましくは0~0.1質量%、より好ましくは0~0.01質量%であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項52】
工程d)における変性系中でのハロゲン:水の比が、好ましくは1:0.5~1:0.7であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項53】
工程d)における変性系中でのハロゲン:水の比が、より好ましくは1:0.25~1:0.7であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項54】
塩素、臭素、ヨウ素が、工程d)における変性系において、ハロゲンとして使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項55】
好ましくは臭素が、工程d)における変性系において、ハロゲンとして使用されることを特徴とする、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
工程d)における変性系における臭素が、臭素それ自体の形態、又は70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下の臭素を含む溶液の形態で使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項57】
工程d)における変性系における水が、蒸留水、脱イオン水、脱塩水、浸透水又は二度蒸留した水であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項58】
変性工程d)において、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールが、脂肪族アルコールとして使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項59】
変性工程d)において、好ましくはプロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノールが、脂肪族アルコールとして使用されることを特徴とする、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
変性工程d)において、より好ましくはブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノールが、脂肪族アルコールとして使用されることを特徴とする、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
変性工程d)において、出発ジエン含有(コ)ポリマー:変性系:脂肪族アルコールの比が、1:1.5:3~1:5:3、より好ましくは1:2:3~1:4:3、最も好ましくは1:2.5:3~1:3:3であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項62】
工程d)における変性が、0~50℃、好ましくは20~45℃、より好ましくは30~40℃の温度で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項63】
変性工程d)において、変性系の添加後の反応物質の撹拌速度が、50~600rpm、好ましくは100~500rpm、より好ましくは200~300rpmであることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項64】
変性工程d)の実施時間が、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも120分間であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項65】
水酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムの水溶液が、中和工程e)において中和剤として使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項66】
変性工程d)において添加されるハロゲンの量に対する中和剤の量のモル比が、1:1~3:1、好ましくは1:1~2:1、より好ましくは1:1であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項67】
工程e)における中和工程が、15~50℃、好ましくは20~40℃、より好ましくは25~30℃の温度で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項68】
単離工程f)における沈殿時に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノールが、アルコール沈殿剤として使用されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項69】
アルコール沈殿剤:変性ジエン含有(コ)ポリマーの質量比が、15:1~1:1、好ましくは10:1~3:1、より好ましくは5:1~4:1であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項70】
単離工程f)における脱気時に、水が蒸留水、脱イオン水、脱塩水、浸透水又は再蒸留水であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項71】
系に添加されている間の水の温度が、30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下であることを特徴とする、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
単離工程f)における脱気時に、添加される水:有機層の体積比が、5:1~0.1:1、好ましくは3:1~1:1、より好ましくは2:1であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項73】
単離工程f)における脱気が、20~150℃の温度、好ましくは50~100℃の温度、より好ましくは80~95℃の温度で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項74】
単離工程f)における脱気が、800mbar未満の圧力下、好ましくは300mbar未満の圧力下、より好ましくは100mbar未満の圧力下で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項75】
単離工程f)における脱気を行う時間が、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも60分間、より好ましくは少なくとも120分間であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項76】
工程g)における変性ジエン含有(コ)ポリマーのろ過が、多孔質ろ過パーテーション、ヌッチェろ過器が供給されているろ過器で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項77】
工程g)における変性ジエン含有(コ)ポリマーのろ過が、20~40℃の温度で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項78】
工程g)における変性ジエン含有(コ)ポリマーの乾燥が、50~105℃の温度で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項79】
工程g)における変性ジエン含有(コ)ポリマーの乾燥が、1~20kPaの圧力下で行われることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項80】
前記出発ジエン含有(コ)ポリマーが、事前粉砕されていることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項81】
難燃剤としての、請求項1から17のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマーの使用。
【請求項82】
前記変性ジエン含有(コ)ポリマーが、発泡性ポリスチレン中の難燃剤として使用されることを特徴とする、請求項81に記載の使用。
【請求項83】
難燃剤として請求項1から17のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマーを含む、発泡性ポリスチレン。
【請求項84】
前記変性ジエン含有(コ)ポリマーの含有量が、0.5質量部以上、好ましくは0.7質量部以上、より好ましくは1質量部以上である、請求項83に記載の発泡性ポリスチレン。
【請求項85】
難燃剤としての請求項1から17のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー並びに技術特性、物理機械的特性及び操作特性の組合せを提供する添加剤を含む、発泡性ポリスチレンをベースとするポリマー組成物。
【請求項86】
帯電防止剤、安定化剤、染料、滑剤、充填剤、接着性低下剤が、添加剤として使用される、請求項85に記載のポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性ジエン含有(コ)ポリマーの分野、特に、発泡性ポリスチレンを含むポリマー組成物のための難燃剤として使用することができる変性スチレン-ブタジエンコポリマーの分野に関する。特に、本発明は、変性ジエン含有(コ)ポリマー、その調製方法、及び発泡性ポリスチレンを含むポリスチレン用の難燃剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
難燃剤は、様々なポリマー及びポリマー組成物から作製された物品、例えば発泡性ポリスチレンを含む物品において幅広く使用されて、それらの物品に難燃性をもたらしている[残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、UNEP/POPS/POPRC.6/10、2010年10月15日]。様々な低分子-分子臭素化化合物、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)は、難燃剤としてこれらのポリマー組成物に通常、使用されている。しかし、多数の検討の結果により、HBCDは、生体蓄積、高い毒性及び環境因子への安定性に対する能力があることが示された[残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、UNEP/POPS/POPRC.6/10、2010年10月15日、条項4]。これにより、生態学的リスクを低減する目的で、難燃剤としてのHBCDの使用が制限されている。
【0003】
例えば、発泡性ポリスチレンを含む一部のポリマー組成物[残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約、UNEP/POPS/POPRC.6/10、2010年10月15日、条項74]の場合、加工温度は、多くの場合、非常に高く、その結果、難燃剤は、ポリマー組成物の加工処理の間に分解することがある。この場合、ポリマー組成物及びHBr等の分解生成物の形成によって、難燃性が喪失する。したがって、難燃剤は、ポリマー材料の加工温度において熱的に安定となり得、非毒性かつ環境に優しいという要件も満たすことができることが重要である。
【0004】
文献WO2008021418、WO2008021417、WO2016123263、RU2414479、RU2530021により表されている先行文献は、代替的な難燃剤を開示しており、これらは、HBCDと比べて環境に一層優しく、ジエン含有(コ)ポリマー、特にスチレン-ブタジエンコポリマーに基づいて得られている。
【0005】
したがって、特に、WO2008021418出願は、少なくとも200℃の5%重量減少温度を有する、臭化スチレン-ブタジエンコポリマーを調製する方法を提案している。臭化スチレン-ブタジエンコポリマーを調製する公知法は、(a)溶媒中の出発コポリマーの溶液に、出発コポリマー中に脂肪族炭素-炭素二重結合1等量あたり0.5~1.5等量となる量の臭素元素を接触させる工程であって、前記接触が、臭素1モルあたり少なくとも0.5モルの脂肪族アルコールの存在下である工程、及び(b)出発コポリマー中に含まれる脂肪族二重結合が50パーセントを超えて臭素化されるのに十分なある期間、反応条件下で反応溶液を維持する工程を含む。
【0006】
WO2008021417から公知の方法は、臭素化剤として、臭素元素を使用することを特徴とし、これにより、難燃剤の分子中に第三級臭化物(tertiary bromide)が形成し、ひいては、得られた(コ)ポリマー難燃剤の熱安定性が低下する。
【0007】
臭化スチレン-ブタジエンコポリマーを調製するための臭素化剤としての臭素元素の使用に際して、難燃剤の熱安定性の低下は、遊離ラジカル機構により、第三級臭化物の形成によりもたらされることが、RU2414479に示されている。このような臭化コポリマーは、溶液中にあると、臭素、臭化水素(HBr)又は前記両方の物質を放出する。更に、遊離ラジカル臭素化は、不飽和炭素-炭素二重結合の臭素化に加え、ビニル芳香族部分のベンジル基の臭素化をもたらすおそれがあり、これも、得られた難燃剤の熱安定性に影響を及ぼす。
【0008】
文献WO2008021417、WO2016123263、RU2414479、RU2530021によって表される先行文献もまた、選択的臭素化反応を誘導し、第三級臭化物の難燃剤が分子中に存在しないようにした熱安定性臭化ブタジエンコポリマーの調製を開示しており、この場合、好ましくは、三臭化物が、三臭化テトラ-アルキルアンモニウム又は三臭化ピリジニウム等の臭素化剤として使用され、これにより、第三級臭化物等の第三級臭素を含有する部分の形成を最小化又は排除している。前記供給源に従い、臭素化は、好ましくは、イオン性機構、特に陽イオン性機構に従い進行し、遊離ラジカル機構を介して進行しない。遊離ラジカル臭素化は、後で、得られた難燃剤の非常に乏しい熱安定性への寄与をもたらす主要因子となる、第三級臭素を含有する生成物の形成をもたらすので、イオン性臭素化が、遊離ラジカル臭素化と比べると好ましい。
【0009】
特に、特許RU2414479は、発泡ポリマー物質及び非発泡ポリマー物質中に、難燃剤として使用することができる、熱安定性臭化スチレン-ブタジエンコポリマーを記載している。公知の臭化スチレン-ブタジエンコポリマーは、熱重量分析(TGA)法に従って決定すると、少なくとも200℃の温度において5%重量減少温度を特徴とする。
【0010】
更に、特許RU2414479は、前記熱安定性臭化スチレン-ブタジエンコポリマーを含むポリマー混合物を提案しており、前記ポリマー混合物を含む成形物品もまた、提案されている。
【0011】
RU2414479から公知の難燃剤は、発泡性ポリスチレンを加工する高温下で明確となる低い熱安定性、及びまた、ポリスチレンを含む高臭化スチレン-ブタジエンコポリマーの限られた適合性を有しており、これらのため、発泡ポリスチレンから作製された物品の大きな厚みで、発泡ポリスチレンの均質構造を得るのが困難となり得る。
【0012】
特許出願WO2016123263は、ヒドロキシ臭化スチレン-ブタジエンコポリマーを含む発泡性ポリスチレン用のポリマー難燃剤の例を開示している。
【0013】
WO2016123263出願に記載されている難燃剤は、第四級三臭化アンモニウムによる、出発スチレン-ブタジエンコポリマー中の50~98%のブタジエン繰り返し単位を臭素化し、部分臭化コポリマーを得て、次いで、この部分臭化コポリマーを、水及び水混和性溶媒の存在下でN-ハロイミド化合物、例えばN-クロロスクシンイミド又はN-ブロモスクシンイミドと反応させて、ブタジエン繰り返し単位の一部をハロヒドリン化して、ヒドロキシ臭化スチレン-ブタジエンコポリマーを生成することにより得られる。得られたヒドロキシ臭化スチレン-ブタジエンコポリマーは、ヒドロキシ臭素化される2~50質量%のブタジエン単位、及び臭素化される50~98質量%のブタジエン単位を含み、少なくとも250℃の5%重量減少温度を有する。
【0014】
WO2016123263から公知の難燃剤は、発泡性ポリスチレンの高い加工温度下で明白になる、低い熱安定性を有しており、また高温下で放出されるHBrを吸収することが可能な官能基が存在しない。
【0015】
これに加えて、公知の発明に従って提案されている難燃剤を調製する方法は、ヒドロキシ臭化スチレン-ブタジエンコポリマーの調製工程及び反応物質からそれを単離する工程において、多量の時間を消費すること、及びまた、高価な試薬、特にN-ハロイミドの使用が必要であることを特徴とする。
【0016】
更に、本発明の原型として本発明者らによって選択される特許RU2530021は、発泡性ポリスチレン用の難燃剤として、臭化及びエポキシ化スチレン-ブタジエンコポリマーの使用を開示している。
【0017】
RU2530021によると、難燃剤は、エポキシ化工程及び臭素化工程を含む方法によって得られ、臭化及びエポキシ化スチレン-ブタジエンコポリマーが得られる。公知の発明に従って得られた難燃剤は、少なくとも1500g/molの分子量、少なくとも35質量%の臭素含有量、及び少なくとも180℃の5%重量減少温度であることを特徴とする。
【0018】
しかし、難燃剤は、発泡性ポリスチレンを含むポリマー組成物の高い加工温度下で放出されたHBrを吸収することが可能なエポキシ基を含むが、難燃剤のポリスチレンとの適合性が低いことが観察されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】WO2008021418
【特許文献2】WO2008021417
【特許文献3】WO2016123263
【特許文献4】RU2414479
【特許文献5】RU2530021
【特許文献6】US5086078
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
先行技術は、特に第四級三臭化アンモニウムを用いて臭素化難燃剤を生成する効果的な方法であって、難燃剤の分子中に第三級臭化物の形成を回避することが可能な効果的な方法を開示しているにもかかわらず(RU2530021を参照されたい)、本発明者らは、公知の先行技術に記載されている方法は、ジエン部分の二重結合に対してアリル位に臭素原子の形成(アリル臭化物)をもたらすこと、及びこれらのアリル臭化物及び第三級臭化物はまた、公知の通り、本発明を示す例によって確認される得られた難燃剤の熱安定性に負の影響を及ぼすことを驚くべきことに確立した。
【0021】
したがって、先行技術から公知の、ジエン含有(コ)ポリマーを含む難燃剤及びそれを調製する方法は、十分に効果的ではなく、大きな経済的及び時間的コストも必要とする。
【0022】
これを鑑みると、戦略的経路は、第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物の含有量の低下、好ましくは完全にないことが理由であることを含めた、熱安定性がある、環境的に優しい要件を満たす、並びに重合のプロセス及びポリスチレングラニュールの形成に悪影響を及ぼさない、ジエン含有(コ)ポリマーを含む難燃剤であって、発泡性ポリスチレンを含めたポリスチレンの優れた難燃性をもたらす、難燃剤の開発である。
【0023】
本発明の目的は、難燃剤として使用することができる変性ジエン含有(コ)ポリマー、並びにまた、その生成方法、及び発泡性ポリスチレン用の難燃剤としてのその使用を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の技術的成果は、高い熱安定性、すなわち少なくとも180℃の5%重量減少温度、少なくとも1500g/molの分子量及び少なくとも35質量%のハロゲン含有量、0から1.5質量%未満までの範囲の第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物の含有量を特徴とする、変性ジエン含有(コ)ポリマーであって、重合のプロセス及びポリスチレングラニュールの形成に悪影響を及ぼさず、かつ以下に定義されている通り、HBCD(0~3単位)を含有するポリスチレングラニュールの黄色度指数と同等な、2~6単位の黄色度指数を有するポリスチレングラニュールを得ることも可能な、変性ジエン含有(コ)ポリマーの調製である。
【0025】
示された技術的成果は、エポキシ基、ヒドロキシル基及びまたハロゲン原子を含み、かつ第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物を実質的に含まない変性ジエン含有(コ)ポリマーであって、0から0.5質量%未満までの許容可能な量の水の存在下で、出発ジエン含有(コ)ポリマーをハロゲン化剤と反応させて、次いで、脂肪族アルコールの存在下で、ハロゲン及び水を含む変性系と反応させることによって得ることができる、変性ジエン含有(コ)ポリマーにより実現される。
【0026】
本発明者らは、エポキシ基、ヒドロキシル基及びまたハロゲン原子を含み、0から1.5質量%未満まで、より好ましくは0から1.0質量%未満まで、更により好ましくは0から0.5質量%未満までの範囲の第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物を含む変性ジエン含有(コ)ポリマーは、熱安定性があり、重合のプロセス及びポリスチレングラニュールの形成に悪影響を及ぼさず、HBCD(0~3単位)を含有するポリスチレングラニュールの黄色度指数と同等な、2~6単位、好ましくは6単位未満、より好ましくは5単位未満、最も好ましくは3単位未満の黄色度指数を有するポリスチレングラニュールを得ることを可能にすることを驚くべきことに発見した。
【0027】
更に、本発明者らは、示されている変性ジエン含有(コ)ポリマーは、反応系に水が実質的な非存在下(特に、系中の許容可能な水含有量が、0から0.5質量%未満までである)で、ハロゲン化剤の使用によるハロゲン化工程と、その後の変性系として、脂肪族アルコールの存在下でハロゲンと水の混合物を使用する変性工程の実施を含む方法によって得ることができることを発見した。仮説によると、ハロゲン化工程において系中に有意な量の水が存在すると、アリルハロゲン化物が形成し、これは、転じて、得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーの熱安定性を低下させる。
【0028】
更に、特許請求されている方法は、出発(コ)ポリマーの構造にヒドロキシル基及びハロゲン原子を組み込み、次いで、脱ハロゲン化水素反応が部分的に進行して、(コ)ポリマー構造中にエポキシ基を形成させることが可能となる。
【0029】
エポキシ及びヒドロキシル基並びにまたハロゲン原子を含む、本発明により得られる変性ジエン含有(コ)ポリマーであって、0から1.5質量%未満までの範囲の第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物が存在することを特徴とする変性ジエン含有(コ)ポリマーは、様々なポリマー組成物、例えば、発泡性ポリスチレンを含めた、ポリスチレンを含むポリマー組成物における難燃剤として使用され得る。
【0030】
本発明の本質を明らかにする技術的解決を例示するため、図1図5を表す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明による変性ジエン含有(コ)ポリマーを生産する工程の順序を示すフロー図である。
図2】本発明により得られる、エポキシ基、ヒドロキシル基及びハロゲン原子を含む、変性ジエン含有(コ)ポリマーであって、第三級臭化物及びアリル臭化物を含まない、変性ジエン含有(コ)ポリマーの1H NMRスペクトルを示す図である。
図3】エポキシ基、ヒドロキシル基及びハロゲン原子を含有し、並びにまたアリル臭化物を含有するスチレン-ブタジエンコポリマーの1H NMRスペクトルを示す図である。
図4】エポキシ基、ヒドロキシル基及びハロゲン原子を含有し、並びにまた第三級臭化物を含有する、得られたスチレン-ブタジエンコポリマーの1H NMRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、少なくとも1500g/mol、好ましくは2000~280000g/mol、より好ましくは10000~150000g/mol、最も好ましくは60000~100000g/molの重量平均分子量、及びまた非共役炭素-炭素二重結合が大部分であることを特徴とする、熱安定性変性ジエン含有(コ)ポリマーに相当する変性ジエン含有(コ)ポリマーであって、少なくとも2つの二重結合(しかし、すべての非共役炭素-炭素二重結合より少ない)が変性されており、少なくとも35質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも75質量%のハロゲン、少なくとも1つのエポキシ化非共役炭素-炭素二重結合及び少なくとも1つのヒドロキシハロゲン化非共役炭素-炭素二重結合を含む、変性ジエン含有(コ)ポリマーに関する。
【0033】
同時に、本発明により得られる変性ジエン含有(コ)ポリマーの特徴的な特質は、得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーの分子中に、0から1.5質量%未満まで、より好ましくは0から1.0質量%まで、より好ましくは0から0.5質量%未満までの範囲という第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物の含有量が低いこと、更により好ましくは第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物を完全に含まないこと、すなわち、第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物の最も好ましい含有量が0質量%である。
【0034】
本発明における用語「熱安定性」は、下記の熱重量分析(TGA)法によって定義される、変性ジエン含有(コ)ポリマーの5%重量減少温度を意味する。
【0035】
本発明により得られた熱安定性変性ジエン含有(コ)ポリマーは、少なくとも1つのエポキシ基を含み、得られた変性ジエン含有(コ)ポリマー中のエポキシ基の量は、0.01~5質量%、好ましくは0.05~3質量%、より好ましくは1~2質量%である。
【0036】
得られた熱安定性変性ジエン含有(コ)ポリマーは、少なくとも1つのヒドロキシル基を含み、得られた変性ジエン含有(コ)ポリマー中のヒドロキシル基の量は、0.05~5質量%、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.15~1質量%である。
【0037】
本発明によれば、変性ジエン含有(コ)ポリマーの5%重量減少温度は、少なくとも180℃、好ましくは少なくとも220℃、より好ましくは少なくとも240℃である。
【0038】
本発明の一実施形態では、本変性ジエン含有(コ)ポリマーは、以下に限定されないが、一般式(1):
【0039】
【化1】
【0040】
(式中、R1~R4は、同一であるか又は異なっており、水素、又は1~6個の炭素原子を有する炭化水素基、特に、アルキル基を表すことができ、Halはハロゲンであり、nは、l<n<400、好ましくは100<n<350、より好ましくは140<n<250であるポリマー鎖単位の量であり、k、m、l、p、o、qは、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、l<k<37、0<m<19、2<(l+p)<3660、0<o<8、0<q<8、好ましくは6<k<12、3<m<6、610<(l+p)<1220、0<o<5、0<q<5、より好ましくは7<k<10、4<m<5、730<(l+p)<980、o=0、q=0を構成することができる)
の変性ジエン含有(コ)ポリマーに相当する。
【0041】
本発明によれば、第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物が、0から1.5質量%未満まで、より好ましくは0から1.0質量%未満まで、最も好ましくは0から0.5質量%未満までの範囲に相当する変性ジエン含有(コ)ポリマーは、系中に実質的な水の非存在下、ハロゲン化剤を使用するハロゲン化工程を行うことによって得られる。本出願の範囲内では、「水が実質的に存在しない」とは、系中における許容可能な水の量は、0から0.5質量%未満まで、より好ましくは0から0.3質量%未満まで、更により好ましくは0から0.1質量%未満までの範囲であり、次いで、変性系として、脂肪族アルコールの存在下で、ハロゲン及び水の混合物の使用により変性工程を行うことを意味する。
【0042】
本発明による変性ジエン含有(コ)ポリマーの構造中の示されるハロゲン原子は、塩素、臭素又はヨウ素からなる群から選択される。最も好ましくは、変性ジエン含有(コ)ポリマーは、ハロゲンとして臭素原子を含む。
【0043】
他の態様では、本発明は、変性ジエン含有(コ)ポリマーを生成する方法であって、であって、以下の工程:
a)出発ジエン含有(コ)ポリマーを(場合により)事前粉砕し、次いで有機溶媒に溶解させることを含む、溶解工程、
b)ハロゲン化剤及び場合により脂肪族アルコールを使用する、少なくとも60%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のハロゲン化度までの部分ハロゲン化工程、
c)工程b)において得られた反応物質に水を添加し、水性層と有機層を分離することを含む、洗浄及び分離工程、
d)工程c)において得られた、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含む有機層に、変性系の成分及び場合により脂肪族アルコールを添加することを含む、変性工程、
e)工程d)において得られた反応物質に中和剤の水溶液を添加し、水性層と有機層を分離することを含む、中和及び分離工程、
f)変性ジエン含有(コ)ポリマーを沈殿させる又は脱気することを含む、単離工程、
g)単離した変性ジエン含有(コ)ポリマーのろ過及びその後の乾燥工程
を含み、
部分ハロゲン化の工程b)において、系中の許容可能な水分含量が、0から0.5質量%未満まで、より好ましくは0から0.3質量%未満まで、更により好ましくは0から0.1質量%未満までであり、変性の工程d)において、ハロゲン及び水の混合物が、変性系として使用される出発(コ)ポリマー中の二重結合の総量あたり、1:0.01~1:1、好ましくは1:0.5~1:0.7、より好ましくは1:0.25~1:0.7となるハロゲン:水の比で使用される、
方法である。
【0044】
溶解工程a)
特許請求されている方法の工程a)において、場合により、出発ジエン含有(コ)ポリマーの予備粉砕、次いで、撹拌しながら、有機溶媒中でのその溶解が行われる。
【0045】
本発明による出発ジエン含有(コ)ポリマーは、共役ジエンのポリマー又はコポリマーである。
【0046】
好ましい共役ジエンは、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン等の2,3-ジ(C1~C5アルキル)-1,3-ブタジエン、フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、2-メチル-ペンタジエン、4-メチル-ペンタジエン又はそれらの混合物からなる群から選択される、4~12個の炭素原子を有する共役ジエンである。好ましくは、1,3-ブタジエン又はイソプレンが使用される。
【0047】
本発明による出発ジエン含有(コ)ポリマー中の好適なコモノマーは、スチレン、α-メチルスチレン、オルト-、メタ-及びパラ-メチルスチレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、パラ-tert-ブチルスチレン、メトキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、1-ビニルナフタレン、2,4,6-トリメチルスチレン又はそれらの混合物からなる群から選択される、ビニル芳香族化合物である。好ましくは、スチレン又はα-メチルスチレンが使用される。
【0048】
共役ジエンの好適なポリマー及びコポリマーは、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも50質量%、より好ましくは70質量%の共役ジエンの重合単位を含む。
【0049】
好ましくは、ブタジエン、スチレン-ブタジエン及びスチレン-ブタジエン-イソプレン(コ)ポリマー、最も好ましくはブタジエン及びスチレンのジブロック及びトリブロックコポリマーである、スチレン-ブタジエンコポリマーは、出発ジエン含有(コ)ポリマーとして使用される。
【0050】
市販のジエン含有(コ)ポリマーの例は、BR-1243 NdグレードB(LP)、BR-1243 NdグレードB、BR-1243 ND HVという商標名を有するブタジエンポリマー、DST R 30-00、SBS L 30-01A、SBS R 30-00A、DST L 30-01、DST L 30-01(SR)という商標名を有するスチレンとブタジエンのブロックコポリマー、PJC SIBUR-Holding社製造のDSSK-2560-M27(グレードAA)、DSSK-2560-M27 BB(グレードA)、DSSK-4040-M27(グレードA)という商標名を有する、溶液重合法により得られるスチレン-ブタジエンコポリマーであるが、それらに限定されない、
【0051】
本発明による好適な出発ジエン含有(コ)ポリマーは、少なくとも700g/mol、好ましくは1000~400000g/mol、より好ましくは2000~300000g/mol、より好ましくは5000~200000g/mol、より好ましくは20000~120000g/mol、最も好ましくは20000~50000g/molの平均分子量を有しており、多分散指数0.8~3、より好ましくは1~1.8、最も好ましくは1.1~1.5、及び(コ)ポリマーのポリブタジエン部分あたり、少なくとも10~100質量%、好ましくは少なくとも50~99質量%、より好ましくは60~80質量%となる量の1,2-単位であることを特徴とする。
【0052】
出発ジエン含有(コ)ポリマーは、例えば、(ナイフ式、ハンマー式又はロータ式)粉砕器、(流体式又はスクリュー式)ミル粉砕器(しかし、それらに限定されない)を使用する先行技術の方法から公知の任意の方法により場合により粉砕される。
【0053】
工程a)における出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶解時に、例えば、10~50℃、好ましくは15~40℃、より好ましくは20~30℃において、ミキサ、静的ミキサを装備した装置を使用する先行技術から公知の任意の方法によって、撹拌が行われる。
【0054】
好適な溶媒は、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素、例えば四塩化炭素、クロロホルム、ジブロモメタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばブロモベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼンである、好ましくは99%以上の純度を有する有機溶媒であるが、それらに限定されない。好ましい有機溶媒は、出発ジエン含有(コ)ポリマーの変性の条件下で液体であり、変性系又は出発(コ)ポリマーと反応しないものである。好ましくは、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、シクロヘキサン、トルエンが溶媒として使用される。最も好ましくは、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタンが使用される。
【0055】
有機溶媒対出発ジエン含有(コ)ポリマーの質量比は、5:1~30:1、好ましくは8:1~20:1、より好ましくは10:1~15:1である。
【0056】
溶解プロセスの時間は、最大でも60分間、特に、最大でも50分間、好ましくは最大でも40分間、最大でも30分間、最大でも25分間、最大でも20分間、最大でも15分間、最大でも13分間、最大でも11分間、最大でも9分間、最大でも7分間、最大でも5分間である。
【0057】
上記の溶解工程a)の結果として得られる物質は、有機溶媒中の出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶液である。
【0058】
部分ハロゲン化工程b)
部分ハロゲン化工程b)では、工程a)において得られる出発ジエン含有(コ)ポリマー溶液へのハロゲン化剤、及び場合により脂肪族アルコールの添加が行われる。
【0059】
工程b)において得られた部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーのハロゲン化度は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%である。
【0060】
部分ハロゲン化工程b)は、実質的に系中に水が存在しないで行われ、この場合、許容可能な水分含量が、0から0.5質量%未満まで、より好ましくは0から0.3質量%未満まで、更により好ましくは0から0.1質量%未満までとなる、水が実質的に存在しないことを理解すべきである。
【0061】
塩素、臭素及びヨウ素は、工程b)において、ハロゲン化剤中のハロゲンとして使用される。
【0062】
好ましくは、臭素元素(Br2)それ自体、及びまた70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更により好ましくは50質量%以下の臭素含有量を有する、有機溶媒中の溶液の形態にある臭素元素(Br2)がハロゲン化剤として使用される。
【0063】
更に、好適なハロゲン化剤は、第四級臭化アンモニウム、例えば、臭化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム、及び第四級臭化ホスホニウム、例えば臭化テトラメチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラプロピルホスホニウム、三臭化テトラ-n-ブチルホスホニウム又はそれらの混合物であるが、それらに限定されない。
【0064】
好ましくは、臭素元素(Br2)及び第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウムの混合物が、ハロゲン化剤として使用される。同時に、第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウムの使用により、第三級炭素原子及び/又はアリル炭素原子中の臭素による水素の実質な置換を回避することが可能となり、このことは、ひいては、得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーの熱安定性に影響を及ぼす。
【0065】
脂肪族アルコールとして、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の1~6個の炭素原子を有するアルコールが使用されるが、それらに限定されない。好ましくは、脂肪族アルコールとして、プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノールが使用される。より好ましくは、ブタノール、イソ-ブタノール及びペンタノールが使用される。
【0066】
工程b)における、出発ジエン含有(コ)ポリマー:ハロゲン化剤:脂肪族アルコールのモル比は、1:1.5:3~1:5:3、より好ましくは1:2:3~1:4:3、最も好ましくは1:2.5:3~1:3:3である。更に、ハロゲン化剤として、臭素元素及び第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウムの混合物を使用する場合、第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウムにおける臭素元素:臭素原子のモル比は、1:1~1:4、より好ましくは1:2~1:3、最も好ましくは1:1~1:1.5である。
【0067】
脂肪族アルコールが使用される場合、ハロゲン化剤及び脂肪族アルコールの、工程a)において得られた出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶液への添加は、任意の順序で行われ得る。好ましくは、脂肪族アルコールは、最初に出発ジエン含有(コ)ポリマー溶液に添加され、続いて、ハロゲン化剤が添加される。同時に、ハロゲン化剤としての第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウム及び臭素元素の組合せ使用時に、有機溶媒中の第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウムの全物質が、その溶液の形態で、反応物質に直ちに添加される。
【0068】
好ましくは、部分ハロゲン化工程b)における臭素元素の添加は、有機溶媒中のその溶液の形態で、この溶液を0.80~50ml/分の間、好ましくは1~10ml/分の間、より好ましくは1.5~5ml/分の間の範囲の速度で反応物質に投入することによって行われる。非常に速い投入速度は、反応物質の局所過熱をもたらし、その粘度が向上し、これにより、ひいては、低(35質量%未満)ハロゲン原子含有量を有する変性ジエン含有(コ)ポリマーの調製をもたらすおそれがある。
【0069】
工程a)において得られた出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶液に臭素元素(Br2)の全量添加もまた、その架橋をもたらし、反応物質を局所過熱し、反応物質の粘度を向上させるおそれがあり、これにより、低(35質量%未満)ハロゲン原子含有量を有する変性ジエン含有(コ)ポリマーが調製されるおそれもある。
【0070】
ハロゲン化剤は、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素、例えば、クロロホルム、ジブロモメタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、脂環式炭化水素、例えば、シクロヘキサン、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えば、ブロモベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼンである、好ましくは99%以上の純度を有する有機溶媒又はその混合物に溶解されてもよい。好ましくは、ハロゲン化剤は、出発ジエン含有(コ)ポリマーを溶解させるために、工程a)において使用されるものと同じ溶媒中、ハロゲン化剤の溶液の形態で添加される。
【0071】
部分ハロゲン化工程b)は、任意の回分で、又は先行技術から公知の連続装置で行われる。好適な装置は、以下に限定されないが、連続撹拌式槽反応器、回分式槽反応器、ミキサを備えるオートクレーブであり、これらは、非常に腐食性の媒体でも働くように設計されている。
【0072】
好ましくは、工程a)において得られる出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶液の部分ハロゲン化工程は、非選択的な光触媒的ハロゲン化反応の確率が低下するよう、例えば、暗色ガラス製容器中で変性プロセスを行うことによって、ホイルにより反応器を包むことによって、又は金属製反応器中でこのプロセスを行うことによって、光に曝露しないで行われる。
【0073】
部分ハロゲン化工程b)は、0~50℃、好ましくは20~45℃、より好ましくは30~40℃の温度、及び大気圧下で行われる。
【0074】
ハロゲン化剤の添加後の反応物質の撹拌速度は、50~600rpm、好ましくは100~500rpm、より好ましくは200~300rpmである。
【0075】
部分ハロゲン化工程b)は、上記の通り、出発ジエン含有(コ)ポリマーの必要なハロゲン化度を達成するのに十分な任意の時間、行われ得る。好ましくは、部分ハロゲン化工程b)の時間は、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも120分間である。
【0076】
洗浄及び分離工程c)
工程c)は、水を添加することによって、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含有する工程b)で得られた反応物質を洗浄し、次いで、水性層と部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層とを分離することを含む。
【0077】
本発明の文脈では、水は、以下に限定されないが、蒸留水、脱イオン水、脱塩水、浸透水、再蒸留水である。
【0078】
水による洗浄は、反応物質の体積に対して少なくとも1倍、好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、過剰の水を使用して行われ、その結果として、この反応物質は、2層:部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層及び水性層に分離される。
【0079】
この場合、工程c)における水での洗浄後に有機層中のハロゲン化剤の許容可能な残留含有量は、0~0.5質量%、好ましくは0~0.1質量%、より好ましくは0~0.01質量%である。
【0080】
好ましくは、洗浄プロセスは、15~50℃、好ましくは20~40℃、より好ましくは25~30℃の温度、及び大気圧下で行われる。
【0081】
有機層及び水性層の分離は、例えば、分液漏斗、分離器、沈降槽を使用する、先行技術から公知の任意の装置を使用して行われる。
【0082】
変性工程d)
変性工程d)では、変性系の成分は、工程c)において得られた、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層に添加される。
【0083】
本発明によれば、ハロゲン及び水は、脂肪アルコールの存在下で、変性系として、出発ジエン含有(コ)ポリマーにおける二重結合の総数に対して、1:0.01~1:1、好ましくは1:0.5~1:0.7、最も好ましくは1:0.25~1:0.7となるハロゲン:水の質量比で一緒に使用される。
【0084】
塩素、臭素又はヨウ素が、ハロゲンとして使用される。臭素元素(Br2)それ自体、及びまた70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、最も好ましくは50質量%以下の臭素含有量を有する、有機溶媒中の溶液の形態にある臭素元素(Br2)がハロゲンとして使用されるのが好ましい。
【0085】
本発明の文脈では、水は、以下に限定されないが、蒸留水、脱イオン水、脱塩水、浸透水、再蒸留水である。
【0086】
工程d)における変性系の配合物において、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール等の1~6個の炭素原子を有するアルコールが脂肪族アルコールとして使用されるが、それらに限定されない。好ましくは、プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノールが、脂肪族アルコールとして使用される。より好ましくは、ブタノール、イソ-ブタノール及びペンタノールが使用される。
【0087】
工程d)における、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマー:変性系:脂肪族アルコールの比は、1:1.5:3~1:5:3、より好ましくは1:2:3~1:4:3、最も好ましくは1:2.5:3~1:3:3である。
【0088】
変性系及び脂肪族アルコールの成分の部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマー溶液への添加順序は、任意の順序とすることができる。好ましくは、脂肪族アルコールは、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマー溶液に最初に添加され、続いて水が添加されるか、又はその反対となる。
【0089】
好ましくは、ハロゲンの部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマー溶液への添加は、有機溶媒中の溶液を反応物質に投入することによって行われる。ハロゲンは、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ハロゲン化飽和脂肪族炭化水素、例えばクロロホルム、ジブロモメタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、脂環式炭化水素、例えばシクロヘキサン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、ハロゲン化芳香族炭化水素、例えばブロモベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼンである、好ましくは99%以上の純度を有する有機溶媒又はそれらの混合物に溶解され得る。好ましくは、ハロゲンは、出発ジエン含有(コ)ポリマーを溶解させるために、工程a)において使用されるものと同じ溶媒中、ハロゲンの溶液の形態で投入される。
【0090】
本発明の実施形態のうちの1つでは、ハロゲンは、水とのこのような溶液を事前混合した後に、上記の有機溶媒中の溶液の形態で反応物質に導入される。
【0091】
ハロゲン溶液又はハロゲン溶液と水との混合物の投入速度は、0.80~50ml/分、好ましくは1~10ml/分、より好ましくは1.5~5ml/分である。非常に速い投入速度は、反応物質の局所過熱をもたらし、その粘度が向上し、これにより、ひいては、低(35質量%未満)ハロゲン原子含有量を有する変性ジエン含有(コ)ポリマーの調製をもたらすおそれがある。
【0092】
出発ジエン含有(コ)ポリマー溶液にハロゲン溶液の全量を1回で添加すると、その架橋をもたらし、反応物質を局所過熱し、反応物質の粘度を向上させるおそれがあり、これにより、低(35質量%未満)ハロゲン原子含有量を有する変性ジエン含有(コ)ポリマーが調製されるおそれもある。
【0093】
変性工程d)は、先行技術から公知の任意の回分装置又は連続装置で行われる。好適な装置は、以下に限定されないが、連続撹拌式槽反応器、回分式槽反応器、ミキサを備えるオートクレーブであり、これらは、非常に腐食性の媒体でも働くように設計されている。
【0094】
好ましくは、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーの変性工程d)は、非選択的な光触媒的ハロゲン化反応の確率が低下するよう、例えば、暗色ガラス製容器中で変性プロセスを行うことによって、ホイルにより反応器を包むことによって、又は金属製反応器中でこのプロセスを行うことによって、光に曝露しないで行われる。
【0095】
変性工程d)は、0~50℃、好ましくは20~45℃、より好ましくは30~40℃の温度、及び大気圧下で行われる。
【0096】
変性系の添加後の反応物質の撹拌速度は、50~600rpm、好ましくは100~500rpm、より好ましくは200~300rpmである。
【0097】
変性工程d)は、上記の通り、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーの必要な変性度を達成するのに十分な任意の時間、行われ得る。好ましくは、変性工程d)の時間は、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも120分間である。
【0098】
変性工程d)後に得られた物質は、目標生成物、すなわち変性ジエン含有(コ)ポリマーを含有する。
【0099】
中和及び分離工程e)
工程e)は、中和剤の溶液を添加することによる、変性ジエン含有(コ)ポリマーを含有する、工程d)において得られた反応物質の中和と、その後の水による中和した反応物質の洗浄、及び水性層と変性ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層との分離を含む。
【0100】
工程e)における中和剤として、先行技術から公知の塩基水溶液、例えば、水酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムの水溶液が使用されるが、それらに限定されない。好ましくは、水酸化ナトリウムの水溶液が使用される。
【0101】
工程d)において添加される中和剤の量対ハロゲンの量のモル比は、通常、1:1~3:1、好ましくは1:1~2:1、より好ましくは1:1である。
【0102】
好ましくは、中和工程は、15~50℃、好ましくは20~40℃、より好ましくは25~30℃の温度、及び大気圧下で行われる。
【0103】
水による洗浄は、中和が施される反応物質の体積に対して少なくとも1倍、好ましくは少なくとも2倍、より好ましくは少なくとも3倍、過剰の水を使用して行われ、反応物質は、2層:変性ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層及び水性層に分離される。
【0104】
有機層及び水性層の分離は、例えば、分液漏斗、分離器、沈降槽を使用する、先行技術から公知の任意の装置を使用して行われる。
【0105】
単離工程f)
単離工程f)において得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーの沈殿を含む本発明の実施形態では、アルコール沈殿剤が、変性ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層に、15:1~1:1、好ましくは10:1~3:1、より好ましくは5:1~4:1の範囲内のアルコール沈殿剤:変性(コ)ポリマーの質量比で添加される。
【0106】
工程f)において使用される好適なアルコール沈殿剤は、以下に限定されないが、1~4個の炭素原子を有する脂肪族アルコールである。これらのアルコールの例は、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノールである。好ましくは、メタノール及びエタノールが、アルコール沈殿剤として使用される。
【0107】
単離工程f)における得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーの脱気を含む、本発明の別の実施形態では、水は、工程e)において得られた有機層に添加され、次いで、標的変性ジエン含有(コ)ポリマーを単離するため、並びにそこから水及び/又はその蒸気、溶媒及び/又はその蒸気を除去するため、水-溶媒混合物が高温及び減圧下で留去される。
【0108】
本発明の文脈では、水は、以下に限定されないが、蒸留水、脱イオン水、脱塩水、浸透水、再蒸留水である。
【0109】
この場合、単離工程f)における有機層に対して添加される水の体積比は、5:1~0.1:1、好ましくは3:1~1:1、より好ましくは2:1である。
【0110】
本発明によれば、工程f)において系に添加される場合、水の温度は、30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下である。30℃より高い温度を有する水を使用する場合、沸騰及びその後の溶媒の突沸があり、これは、多くの場合、得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーの物理的及び機械的特性の望ましくない変化をもたらす。
【0111】
工程f)における脱気は、特に、良好な混合、熱交換及び減圧の維持をもたらす装置中で、先行技術から公知の任意の好適な装置で行われる。これらの装置の例は、以下に限定されないが、ジャケット及びミキサを装備した連続式又は回分式装置である。
【0112】
脱気工程の温度は、20~150℃、好ましくは50~100℃、最も好ましくは80~95℃である。
【0113】
脱気工程の圧力は、800mbar未満、好ましくは300mbar未満、より好ましくは100mbar未満のレベルに維持される。
【0114】
好ましくは、工程f)における脱気工程の期間は、少なくとも30分間、より好ましくは少なくとも60分間、最も好ましくは少なくとも120分間である。
【0115】
単離工程f)を実施した後、標的変性ジエン含有(コ)ポリマーのろ過及び乾燥工程が行われる。
【0116】
ろ過及び乾燥工程g)
ろ過及び乾燥工程g)において、溶媒及びアルコール沈殿剤の残留物から変性ジエン含有(コ)ポリマーを精製するため、ろ過は、例えば、多孔質ろ過パーテーション、ヌッチェろ過器及び類似の装置を装備したろ過器で、先行技術から公知の任意の装置で行われる。
【0117】
変性ジエン含有(コ)ポリマーのろ過は、20~40℃の温度で包括的に行われる。
【0118】
得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーから、水及び/又はその蒸気、溶媒及び/又はその蒸気である残留物を除去するため、前記(コ)ポリマーを乾燥する。変性ジエン含有(コ)ポリマーを乾燥するプロセスは、有機物質を分離及び精製する(減圧下で溶媒を留去、真空乾燥オーブン中で乾燥)、及び吸着、水和物形成又は水及び溶媒との化学反応による水分を除去する乾燥剤を使用するために一般に使用される物理的方法により行われ得る。
【0119】
好ましくは、乾燥は、50~105℃の温度及び1~20kPaの圧力において行われる。
【0120】
本発明は、変性ジエン含有(コ)ポリマーを調製するフロー図を示す、図1において明確にされており、ここでは、101は、出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶解ユニットであり、102は、溶解した出発ジエン含有(コ)ポリマーの部分ハロゲン化ユニットであり、103は、洗浄及び分離ユニットであり、104は、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーの変性ユニットであり、105は、中和及び分離ユニットであり、106は、単離ユニットであり、107は、ろ過ユニットであり、108は、乾燥ユニットである。
【0121】
本方法によれば、必要な場合、粉砕した出発ジエン含有(コ)ポリマー(1)は、溶解ユニット101に供給され、ここで、出発ジエン含有(コ)ポリマー(1)は有機溶媒(2)と混合されて、出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶液(3)が得られる。次に、前記(コ)ポリマー溶液(3)は、部分ハロゲン化ユニット102に進み、ここに入って、ハロゲン化剤(4)及び場合により脂肪族アルコール(5)も供給される。その後、ユニット102において得られる部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマー(6)は、洗浄及び分離ユニット103に向かい、ここに入って、水(7)が供給され、この後、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層(9)及び水性層(8)の分離が行われる。次に、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層(9)は、変性ユニット104に進み、ここに入って、変性系(10)及び脂肪族アルコール(11)もまた供給される。この後、ユニット104において得られた変性ジエン含有(コ)ポリマー(12)は、中和及び分離ユニット105に送られ、このユニットに中和剤(13)が供給され、次いで、中和済みの反応物質を洗浄するための水の供給(14)があり、この後に、変性ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層(16)と水性層(15)の分離が行われる。次に、変性ジエン含有(コ)ポリマーを含有する有機層(16)が、単離ユニット106に進み、変性ジエン含有(コ)ポリマーを単離する。次に、単離した変性ジエン含有(コ)ポリマーは、逐次(17、18)に、ろ過ユニット107に、及び乾燥ユニット108に供給され、最終生成物、すなわち変性ジエン含有(コ)ポリマー(19)が得られる。変性ジエン含有(コ)ポリマーを調製する方法はまた、出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶解単位101へのその後の再循環を伴う、有機溶媒再生成ユニットを含んでもよい(図1には示されていない)。
【0122】
図1に示されているフロー図は、本発明の実施形態の一例であり、それに限定されない。
【0123】
本発明の更に1つの態様は、発泡性ポリスチレンに難燃性を付与するための、様々なポリマー及び例えば、発泡性ポリスチレンをベースとする、ポリマー組成物中での、難燃剤としての、本発明により得られる変性ジエン含有(コ)ポリマーの使用である。この場合、難燃剤は、ポリマー又はポリマー組成物と適合性がある。
【0124】
本発明によれば、変性ジエン含有(コ)ポリマーは、重合開始剤、重合安定剤及び他の技術的な添加剤の存在下で、スチレンの重合によるポリスチレンの生成と、その後の調製ポリスチレンの発泡を含む方法による、発泡性ポリスチレンの調製の工程において、発泡性ポリスチレンに導入される(例えば、特許US5086078を参照されたい)。
【0125】
同時に、難燃剤として使用される変性ジエン含有(コ)ポリマーの量は、0.5質量部以上、好ましくは0.7質量部以上、より好ましくは1質量部以上とすべきであり、そうでない場合、得られた発泡性ポリスチレンの難燃特性を改善する効率が低下する。
【0126】
更に、本発明の更に1つの態様は、必要な技術特性、物理的機械的特性及び操作特性の組合せ(complex)の達成を確実にする従来の添加剤、例えば、帯電防止剤、安定化剤、染料、滑剤、充填剤及び接着性低下剤を含む発泡性ポリスチレンである。
【0127】
本発明によれば、発泡性ポリスチレンは、建築用断熱材及び遮音材、特に断熱及び遮音用プレート、固定フレーム、自動車用の部品、浮き用物品、並びに道路及び橋の建築に必要なポリスチレン発泡体ブロック用の原料、家電製品の包装等の物品の幅広い範囲の生成に使用される。高い熱安定性、特に熱重量分析法により測定すると、少なくとも180℃の5%重量減少温度を特徴とする前記変性ジエン含有(コ)ポリマーは、重合プロセス及びポリスチレングラニュールの形成に影響を及ぼさず、これは調製したポリスチレンの粒径分布により確かめられるので、このような発泡性ポリスチレンは、本発明による変性ジエン含有(コ)ポリマーを難燃剤として含有する。更に、本発明により得られた難燃剤は、難燃性を発泡性ポリスチレンに付与し、その残りの特性及び性質に影響を及ぼさない。
【0128】
本発明により得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーはまた、HBCD(0~3単位)を含有するポリスチレングラニュールの黄色度指数と同等の2~6単位、好ましくは6単位未満、より好ましくは5単位未満、最も好ましくは3単位未満の黄色度指数を有するポリスチレングラニュールを得ることが可能となる。ポリスチレングラニュールの黄色度指数を決定するための方法が、以下に提示されている。
【0129】
更に、本発明により得られる難燃剤は、発泡性ポリスチレンに難燃性を付与し、これにより、本発明により提案される難燃剤を含有する発泡性ポリスチレンを、難燃度クラスB2を有する中程度の可燃性物質に分類することが可能となる(「Technical Rules on Flame Safety Requirements」の条項13の節7に準拠する(2008年7月22日付け、2017年7月29日に補正された連邦法第123条)。
【0130】
本発明は、以下の実施例により更に詳細に記載されている。これらの実施例は、本発明を例示するためだけに示されており、本発明を限定するものではない。
【0131】
発明の実施形態
変性ジエン含有(コ)ポリマーの研究方法
熱重量分析(TGA)
得られた変性ジエン含有(コ)ポリマーの熱安定性を決定するため、STA449 Jupiter NETZSCH装置を使用するISO11358に準拠した同時熱分析(STA)法(示差走査熱量測定(DSC)及び熱重量分析(TG)の併用方法)を使用して(コ)ポリマー試料の熱挙動を検討することによって5%重量減少温度を測定した。
【0132】
実験条件:30℃~600℃の温度範囲、10℃/分の加熱速度、不活性雰囲気(アルゴン)。
【0133】
核磁気共鳴(NMR)法
変性ジエン含有(コ)ポリマー試料のポリマー鎖のマイクロ構造体は、Bruker Avance III(400MHz)装置を使用する1H水素核に対するNMR分光法によって決定した。検討用溶液を調製するため、30mgの質量を有する試料を、重水素化クロロホルム0.6mlに溶解させた。1H核に対する走査数は、32である。
【0134】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
出発ジエン含有(コ)ポリマー及び変性ジエン含有(コ)ポリマーの試料の分子量特性は、ISO16014-3に従って、屈折率検出器を用いるAgilent1200液体クロマトグラフィーシステムで低温GPC法によって決定した。
【0135】
分析条件:溶離液はテトラヒドロフランである;溶出及び測定温度は40℃である;溶離液の流速は、1.0ml/分である;カラムPLgel Mixed-C(2~3本)。算出は、(コ)ポリマーに対してMark-Houwink定数K=0.000374、α=0.699を使用する、ポリスチレン標準品(EasiVial PS-H 4ml、Agilent Technologies社)による相対比較に基づいて行った。
【0136】
ガスクロマトグラフィー及び質量分析法(GC-MS)
ポリスチレンに色調をもたらす不純物の成分の同定は、Agilent7890/5975 GC-MS装置を使用する、ガスクロマトグラフィー-質量分析法(GC-MS)法によって行った:
【0137】
分析条件:キャピラリーカラムDB-5(30m×0.25mm×0.25μm);蒸発器温度は290℃である;カラムの温度自動調節器の初期温度は、50℃(等温1分間)である;加熱速度は5℃/分である;カラムの温度自動調節器の最終温度は、310℃(等温20分間)である;キャリアガスはヘリウムである;キャリアガスの流速は1ml/分である;スピリット比は200:1である;注入量は0.2μlである。
【0138】
ポリスチレンの粒径分布
ポリスチレン粉末の粒径分布は、Test Sieve Shaker HAVER EML digital plusで決定した。セルの直径:2.0;1.6;1.0;0.70;0.40;0.20mmを有する一組のふるいをふるいがけに使用した。ふるいにかける時間は、15分間である。ふるい上の粉末の質量は、重量測定法によって決定した。
【0139】
ポリスチレングラニュールの黄色度指数の決定
難燃剤を含有するポリスチレングラニュールの黄色度指数の決定は、ASTM D6290-13法に従って、SP62 X-Rite分光光度計の可視スペクトル領域における分光法によって行った。
【0140】
研究の実施条件:試料用の試験管の上部に試料のグラニュールを充填した。グラニュールを充填した管を測定するため、センサー導入口の中央部に入れた。この試料管を、不透明な遮光装置又はカバーにより覆った。光源-D65(日光)、視野角-10°、反射光を考慮する(回転)。黄色度指数を決定するため、3色図X、Y、Zの必要な読取り値を得た。平行測定数は、3とする。
【0141】
黄色度指数値は、ASTM E3013-10に従って得た。
【0142】
ポリスチレン試料の圧縮
300kNの力でCollin社の液圧プレスで試料をプレスした。試料を先に50℃の温度の乾燥オーブン中で維持した。試料の圧縮は、50barの圧力で、190℃まで5分間の段階加熱で18分間、行った。試料は、50barの圧力下、190℃で、3分間、維持する。続いて、試料は、10分間、50barの圧力下で40℃まで冷却した。
【0143】
難燃性試験
難燃剤を含有する発泡性ポリスチレンの試料の難燃性の決定は、TT2214-019-53505711-2010に従って実施した。
【0144】
試料の調製:成形物品から40mmを裁断し、この部分を廃棄した。次に、5つの試料を寸法(190±1)×(90±0.5)×(20.0±0.5)mmで裁断し、その結果、ブロックの形成中に、技術フィルム、割れ、切れくず及び穴は形成しなかった。試料の下側の縁部は、鋭い刃を用いて滑らかに切り、側面の縁部と直角を形成するようにするべきである。
【0145】
この方法は、火元を取り除いた後、20秒間、燃焼試料の炎の高さを決定することに基づいている。
【0146】
試験のための調製:
操作モードに関する装置の調製及び設定を行った。チャンバ内の換気の電源を切った。気流速度は、試験用チャンバの排気管における熱風速計を用いて測定した。必要な値は、0.5~0.8m/sである。
【0147】
試験前に、試料を(23±5)℃の温度、及び(50±20)%の相対空気湿度において一定の質量になるまで少なくとも14日間、状態を整えた。
【0148】
次に、前側及び裏側の低い方の縁部から150mmの距離で試料に印を付けた。次に、この試料を、燃焼チャンバ内で測定マークを上にして取り付け具に垂直に吊るし、下側の縁部を三脚ホルダーの印と同じ平面に位置決めした。次に、試料を含むホルダーを垂直方向に動かし、炎への曝露のためにスタビライザーノズルを試料の低い方の縁部に沿って接触させた。
【0149】
次に、バーナーを点火し、炎を側面から保持されている鋳型を使用して調節し、その結果、黄色い輝きを有する炎の高さは、(20±1)mmとなった。炎を試料にそれぞれ曝露する前に、炎の高さを確認した。
【0150】
2層のろ過紙を、試験用チャンバの底部にある試料の下のワイヤボックスに入れた。
【0151】
試験性能:
火炎チャンバを閉じた。試料の自由端部(縁部)の中央に対して横向きに、45°の角度で回転させた炎を有するバーナーを配置し、その後、ストップウォッチを開始した。試料を15秒間、炎に曝露させて、その後に、バーナーを取り外し、試料の燃焼を観察した。同時に、炎が自然に消えない場合、炎の曝露の開始から燃焼試料の炎の上部が150mmにある測定印に達するまでの時間を測定した。この試験を(試料を炎によって処理し始めてから)20秒後に中断し、最大炎高さ及び落下(燃焼片からの落下)を推定した。
【0152】
試験した5つの試料のそれぞれについて、燃焼試料の炎の上部が20秒の経過前に測定印を超えない場合、試験は完了したと見なし、燃焼液滴(燃焼断片からの落下)が落下し、2秒以内の間にろ過紙に火がついた場合、ろ過紙のいずれも燃焼しないようにする。
【実施例
【0153】
第三級臭化物及びアリル臭化物を含まない変性スチレン-ブタジエンコポリマー(本発明による)の調製
500mlの容量を有する暗色ガラス製フラスコに、ジクロロメタン中の出発スチレン-ブタジエンコポリマーの溶液(ジクロロメタン50gあたり5gのコポリマー)を加える。次に、15gのブタノール及びジクロロメタン中の臭化テトラエチルアンモニウムの溶液(143gのジクロロメタンあたり12.96gの臭化テトラエチルアンモニウム)を上記のフラスコに加えた。次に、ジクロロメタン中の臭素の溶液(9.56gのジクロロメタンあたり9.56gの臭素)を上記のフラスコに投入し、この溶液を35℃で30分間、撹拌する。次に、この反応物質を3倍の過剰体積の蒸留水で洗浄する。
【0154】
その後、水性層を排水し、部分臭化スチレン-ブタジエンコポリマーを含有する有機層を、撹拌器を装備した500mlの容量を有する暗色ガラス製フラスコに充填し、撹拌を開始する。次に、変性系(0.3gの臭素及び8.3gの水)をフラスコに投入し、内容物を35℃で30分間、撹拌する。
【0155】
反応が完了すると、水酸化ナトリウム溶液をフラスコに加え、中和を60分間、行う。次に、反応物質を3倍の過剰体積の水で洗浄し、次いで、イソプロピルアルコールを用いて、得られた変性スチレン-ブタジエンコポリマーを沈殿させる。次に、得られた変性スチレン-ブタジエンコポリマーを30~95℃の温度及び3kPaの圧力で溶媒を留去することによって乾燥し、次いで、真空乾燥オーブン中、70℃及び0.5kPa下で更に乾燥する。
【0156】
第三級臭化物及びアリル臭化物を含まない、実施例1に従って得られた変性スチレン-ブタジエンコポリマーの特性を表1に示す。
【0157】
得られた変性スチレン-ブタジエンコポリマーの1H NMRスペクトルが図2に示されている。
【0158】
1H NMRスペクトル(CDCl3、δ、ppm):7.2~6.3(スチレン);4.6~3.7(臭化ブタジエン);3.6(ヒドロキシル基);3.9~3.7(ヒドロキシル基);3.0~2.7(エポキシ基)。
【0159】
[実施例1]
アリル臭化物を含む変性スチレン-ブタジエンコポリマーの調製(比較例)
この実施例では、部分ハロゲン化と変性工程とを組み合わせた変性スチレン-ブタジエンコポリマーの調製を行う。
【0160】
500mlの容量を有する暗色ガラス製フラスコに、ジクロロメタン中の出発スチレン-ブタジエンコポリマーの溶液(ジクロロメタン50gあたり5gのコポリマー)を加える。次に、15gのブタノール、2.5gの水及びジクロロメタン中の臭化テトラエチルアンモニウムの溶液(143gのジクロロメタンあたり12.96gの臭化テトラエチルアンモニウム)を上記のフラスコに加える。臭素のジクロロメタン溶液(9.56gのジクロロメタンあたり9.56gの臭素)をフラスコに投入し、この溶液を35℃で30分間、撹拌する。反応が完了すると、水酸化ナトリウム溶液をフラスコに加え、中和を60分間、行う。次に、反応物質を3倍の過剰体積の蒸留水を用いて洗浄し、次いで、第三級臭化物を含まず、かつアリル臭化物を含む得られた変性スチレン-ブタジエンコポリマーをイソプロピルアルコール中で沈殿させて、溶媒を30~95℃の温度及び3kPaの圧力で留去し、次いで、真空乾燥オーブン中、70℃及び0.5kPa下で更に乾燥する。
【0161】
実施例2に従って得られた生成物の特性を表1に示す。
【0162】
得られた変性スチレン-ブタジエンコポリマーの1H NMRスペクトルが図3に示されている。
【0163】
1H NMRスペクトル(CDCl3、δ、ppm):5.5~6.4(スチレン);5.2~4.8(アリル臭化物);4.6(1,4-ブタジエン);4.4(1,2-ブタジエン);3.6~2.8(臭化ブタジエン);2.8~3.0(ヒドロキシル基);2.4~2.1(エポキシ基)。
【0164】
[実施例2]
第三級臭化物を含有する変性スチレン-ブタジエンコポリマーの調製(比較例)
この実施例では、変性スチレン-ブタジエンコポリマーは、予備部分ハロゲン化を行うことなく得る。
【0165】
250mlの容量を有する暗色ガラス製フラスコに、ジクロロメタン中の出発スチレン-ブタジエンコポリマーの溶液(ジクロロメタン150gあたり10gのゴム)を加える。次に、30gのブタノール、7.6gの水をフラスコに加え、その後、20mlのジクロロメタン中の17.74gの臭素の溶液をフラスコに投入する。変性反応は、30~40分間、行う。反応が完了すると、水酸化ナトリウム溶液をフラスコに加え、中和を60分間、行う。次に、変性スチレン-ブタジエンコポリマーを含有する反応物質を、3倍の過剰体積の蒸留水で洗浄する。
【0166】
次に、得られた変性スチレン-ブタジエンコポリマーをろ過して、次いで、イソプロパノールを用いてその沈殿を行い、その後、30~95℃の温度及び3kPaの圧力で溶媒を留去することによって乾燥し、次いで、真空乾燥オーブン中、70℃及び0.5kPa下で更に追加の乾燥を行う。
【0167】
実施例3に従って得られた生成物の特性を表1に示す。
【0168】
得られた変性スチレン-ブタジエンコポリマーの1H NMRスペクトルが図4に示されている。
【0169】
1H NMRスペクトル(CDCl3、δ、ppm):5.4~6.4(スチレン);4.6~4.8(1,4-ブタジエン);4.4(1,2-ブタジエン);2.8~3.6(臭化ブタジエン);2.8(ヒドロキシル基);2.6(第三級臭化物);1.9~2.3(エポキシ基)。
【0170】
[実施例3]
アリル臭化物を含む変性スチレン-ブタジエンコポリマーの調製(比較例)
変性スチレン-ブタジエンコポリマーの調製は、工程c)を除き、実施例1に記載されている手順に従って行い、追加の洗浄及び分離工程は行わない。
【0171】
アリル臭化物を含み、実施例4に従い得られた変性スチレン-ブタジエン(コ)ポリマーの特性を、表1に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
[実施例4]
【0174】
発泡性ポリスチレンの調製
フラスコ中、87部の水、0.43部の重合安定剤(ピロリン酸ナトリウムと硫酸マグネシウムとの混合物)を25℃の温度で混合する。撹拌しながら、この混合物に、100部のスチレン、0.46部の重合開始剤の混合物(過酸化ベンゾイル及び過安息香酸tert-ブチル)、実施例1及び3に従って調製した0.62部の難燃剤、並びに0.21部の難燃剤の相乗剤、すなわちジクミルペルオキシドからなる混合物を加える。この混合物を最大で85℃の温度で2時間、撹拌し、次に、この混合物を4.5時間、115℃に加熱する。フラスコ内の温度が80℃に到達して70分後、ポリビニルピロリドン(polyvin ylpyrrolidone)の10%の水溶液を反応混合物に加える。更に100~120分後、4.7部の膨張剤、すなわちn-ヘプタン中の0.10部の移動連鎖剤の溶液をこの反応物質に加えて、ポリスチレンを発泡させる。115℃に到達した後、フラスコを3時間、一定温度に維持し、この後、この混合物を25℃の温度まで3時間、冷却する。
【0175】
実施例3による難燃剤を含有する発泡ポリスチレンのグラニュールは、黄色い色調を有する(表2)。本発明者らは、推定されるように、このことを、115℃という高温でのポリスチレンの発泡工程を実施している間に、臭素ラジカルが難燃剤分子の不安定な位置から、特にアリル位及び/又は第三級位から放出され始めるという事実と関連付ける。同時に、恐らく、臭素ラジカルは、過酸化物の存在下で系中の芳香族核の酸化のラジカル連鎖プロセスを触媒し、これは、少量のパラ-ベンゾキノンを形成し(約0.89質量%)、その形成は、ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)法によって記録される。同時に、出発スチレンは、ヒドロキノン(tert-ブチルピロカテキン安定剤)を含有しなかった。パラ-ベンゾキノンは、明黄色に着色し、したがって、低濃度で、パラ-ベンゾキノンは、最終生成物に黄色い色調を付与する。
【0176】
表2は、実施例1及び3による難燃剤、及びHBCDを含有する発泡ポリスチレングラニュールに関する、黄色度指数(平均黄色度指数)の比較の結果を示す。
【0177】
【表2】
【0178】
発泡工程の前に得られたポリスチレンの粒子径分布の決定も行った。粒子径分布の決定結果を表3に示す。
【0179】
【表3】
【0180】
表1に表されているデータから、実施例1において得られた、第三級臭化物及びアリル臭化物を含まない、ヒドロキシ-エポキシ-臭化スチレン-ブタジエンコポリマーは、第三級臭化物又はアリル臭化物をその構造中に含むヒドロキシ-エポキシ-臭化スチレン-ブタジエンコポリマーよりも優れた熱安定性を有する(実施例2~4)ことは、当業者には明らかである。任意の理論によって拘泥されることを望むものではないが、本発明者らは、ハロゲン化工程において反応系中に有意な量の水が存在すると、アリルハロゲン化物の形成をもたらし、このことは、ひいては、得られた変性(コ)ポリマーの熱安定性の低下をもたらすと考えている。変性ジエン含有(コ)ポリマー中にハロゲン原子に加えて2つのタイプの官能基が存在すると、いくつかの課題の解決が可能となる、すなわち、エポキシ基は、上記の通り、ポリマー及び難燃剤を含むポリマー組成物の高温での加工の間に放出され得るHBrの吸収剤として機能する。次に、ヒドロキシル基が、(コ)ポリマーに極性及び親水特性を付与する。
【0181】
結果として、スチレンの懸濁重合のプロセスへの難燃剤の導入時に、安定な懸濁液が形成され、スチレン重合のプロセスは、変性ジエン含有(コ)ポリマー中に同時に存在する3つのタイプの官能基、すなわち、エポキシ基、ヒドロキシル基及びハロゲン原子の複雑な影響のために、逸脱することなく進行する。これにより、スチレンの懸濁重合中に、懸濁液中の難燃剤の良好な分布がもたらされ、このことにより、消費者の要件を満たす、ポリスチレンの粒子径分布を得ることが可能となる。
【0182】
更に、本発明により得られた難燃剤は、その構造中の第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物が好ましくは存在しないことを特徴とし、これにより、得られる難燃剤の熱安定性も向上する。このことは、ひいては、ポリスチレンを発泡させるプロセス中を含めて、高温において、すべての不安定な位置、特に第三級位及び/又はアリル位から放出されて、ラジカル反応に進み得るハロゲンラジカルが存在しないことを特徴とし、このことは、HBCDを含有する発泡ポリスチレンと比べると、発泡ポリスチレンの色度の外観をもたらし得る。これは、HBCDを含有するポリスチレンのグラニュールと本発明による難燃剤を含有するポリスチレンのグラニュールとの色度の比較により確認される。
【0183】
表2に表されているデータから、第三級臭化物及びアリル臭化物を含まない、実施例1において得られたヒドロキシ-エポキシ-臭化スチレン-ブタジエンコポリマーの導入は、得られたポリスチレングラニュールの色度への影響が著しく少ないことが分かる。
【0184】
ポリスチレンに組み込まれる、実施例1~4により得られたヒドロキシ-エポキシ-臭化スチレン-ブタジエンコポリマーは、粒子径分布に影響を及ぼさず、安定な懸濁液が形成され、TT 2214-019-53505711-2010を完全に満足する必要なサイズのグラニュールが得られる(表3)。
【符号の説明】
【0185】
1 出発ジエン含有(コ)ポリマー
2 有機溶媒
3 出発ジエン含有(コ)ポリマーの溶液
4 ハロゲン化剤
5 脂肪族アルコール
6 部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマー
7 水
8 水性層
9 有機層
10 変性系
11 脂肪族アルコール
12 変性ジエン含有(コ)ポリマー
13 中和剤
14 水の供給
15 水性層
16 有機層
17 単離した変性ジエン含有(コ)ポリマー
18 単離した変性ジエン含有(コ)ポリマー
19 変性ジエン含有(コ)ポリマー
101 溶解ユニット
102 部分ハロゲン化ユニット
103 洗浄及び分離ユニット
104 変性ユニット
105 中和及び分離ユニット
106 単離ユニット
107 ろ過ユニット
108 乾燥ユニット
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-08-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5%重量減少温度が少なくとも180℃であり、少なくとも1500g/molの平均分子量及び少なくとも35質量%のハロゲン含有量を有する、変性ジエン含有(コ)ポリマーであって、その構造中に、ハロゲン原子に加えて少なくとも1つのエポキシ基、少なくとも1つのヒドロキシル基、並びに0から1.5質量%未満の第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物を含むことを特徴とする、変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項2】
なくとも220℃、好ましくは少なくとも240℃の5%重量減少温度を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項3】
2000~280000g/mol、好ましくは10000~150000g/mol、より好ましくは60000~100000g/molの重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項4】
ハロゲン原子の含有量が、少なくとも60質量%、好ましくは少なくとも75質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項5】
エポキシ基の含有量が、0.01~5質量%、好ましくは0.05~3質量%、より好ましくは1~2質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項6】
ヒドロキシル基の含有量が、0.05~5質量%、好ましくは0.1~3質量%、より好ましくは0.15~1質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項7】
第三級ハロゲン化物及び/又はアリルハロゲン化物の含有量が、0から1質量%未満、好ましくは0から0.5質量%未満であることを特徴とする、請求項1に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項8】
変性ブタジエンポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-イソプレンコポリマー、好ましくは変性スチレン-ブタジエンコポリマーであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項9】
前記変性ジエン含有(コ)ポリマーの構造中のハロゲンが、塩素、臭素又はヨウ素、好ましくは臭素であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項10】
一般式(1):
【化1】
(式中、R1~R4は、同一であるか又は異なっており、水素、又は1~6個の炭素原子を有する炭化水素基、特に、アルキル基を表すことができ、Halはハロゲンであり、nは、l<n<400、好ましくは100<n<350、より好ましくは140<n<250である、ポリマー鎖単位の量であり、k、m、l、p、o、qは、同一であってもよく、又は異なっていてもよく、l<k<37、0<m<19、2<(l+p)<3660、0<o<8、0<q<8、好ましくは6<k<12、3<m<6、610<(l+p)<1220、0<o<5、0<q<5、より好ましくは7<k<10、4<m<5、730<(l+p)<980、o=0、q=0を構成する)
を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー。
【請求項11】
変性ジエン含有(コ)ポリマーを生成する方法であって、以下の工程:
a)出発ジエン含有(コ)ポリマーを有機溶媒に溶解させることを含む、溶解工程、
b)ハロゲン化剤及び任意選択で脂肪族アルコールを使用して、ジエン含有(コ)ポリマーを少なくとも60%のハロゲン化度まで部分的にハロゲン化することを含む、部分ハロゲン化工程、
c)工程b)において得られた反応物質に水を添加し、次いで水性層と有機層を分離することを含む、洗浄及び分離工程、
d)工程c)において得られた、部分ハロゲン化ジエン含有(コ)ポリマーを含む有機層に、変性系の成分及び任意選択で脂肪族アルコールを添加することを含む、変性工程、
e)工程d)において得られた反応物質に中和剤の水溶液を添加し、次いで水性層と有機層を分離することを含む、中和及び分離工程、
f)変性ジエン含有(コ)ポリマーを沈殿させる又は脱気することを含む、単離工程、
g)ろ過及び単離した変性ジエン含有(コ)ポリマーを乾燥させることを含む、ろ過及びその後の乾燥工程
を含み、
前記部分ハロゲン化工程b)において、系中の許容可能な水分含量が、0から0.5質量%未満であり、前記変性工程d)において、変性系として、ハロゲンと水の混合物が、出発ジエン含有(コ)ポリマー中の二重結合の総量あたり、1:0.01~1:1のハロゲン:水の比で使用されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
部分ハロゲン化工程b)において、系中の許容可能な水分含量が、0から0.3質量%未満、好ましくは0から0.1質量%未満であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、共役ジエンのポリマー及びコポリマーであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記共役ジエンが、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-エチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン等の2,3-ジ(C1~C5アルキル)-1,3-ブタジエン、フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2,4-ヘキサジエン、2-メチル-ペンタジエン、4-メチル-ペンタジエン又はそれらの混合物からなる群から選択される共役ジエン、好ましくは1,3-ブタジエン又はイソプレンであることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
スチレン、α-メチルスチレン、オルト-、メタ-及びパラ-メチルスチレン、3-ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、4-シクロヘキシルスチレン、パラ-tert-ブチルスチレン、メトキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、1-ビニルナフタレン、2,4,6-トリメチルスチレン又はそれらの混合物からなる群から選択されるビニル芳香族化合物、好ましくはスチレン又はα-メチルスチレンが、出発ジエン含有(コ)ポリマー中のコモノマーとして使用されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、ブタジエンポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、スチレン-ブタジエン-イソプレンコポリマー、好ましくはスチレン-ブタジエンコポリマーであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、少なくとも700g/mol、好ましくは1000~400000g/mol、より好ましくは2000~300000g/mol、より好ましくは5000~200000g/mol、より好ましくは20000~120000g/mol、最も好ましくは20000~50000g/molの重量平均分子量を有することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
出発ジエン含有(コ)ポリマーが、多分散指数0.8~3、好ましくは1~1.8、より好ましくは1.1~1.5を有することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
出発ジエン含有(コ)ポリマー中の1,2-単位の含有量が、(コ)ポリマーのポリブタジエン部分あたり、少なくとも10~100質量%、好ましくは少なくとも50~99質量%、より好ましくは60~80質量%であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
テトラヒドロフラン等のエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、ジブロモメタン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、トルエン等の芳香族炭化水素、ブロモベンゼン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素である有機溶媒が、溶解工程a)における溶媒として使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
トラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、シクロヘキサン、トルエン、好ましくはテトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタンが、溶解工程a)における溶媒として使用されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
溶解工程a)における、有機溶媒対出発ジエン含有(コ)ポリマーの質量比が、5:1~30:1、好ましくは8:1~20:1、より好ましくは10:1~15:1であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
部分ハロゲン化工程b)におけるハロゲン化度が、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項24】
部分ハロゲン化工程b)において、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは臭素が、ハロゲン化剤におけるハロゲンとして使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項25】
ハロゲン化剤が、臭素それ自体、70質量%以下の臭素、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下の第四級臭化アンモニウム、第四級臭化ホスホニウム又はそれらの混合物を含む溶液であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項26】
臭素元素及び臭化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラプロピルアンモニウム、臭化テトラ-n-ブチルアンモニウム又はそれらの混合物等の第四級臭化アンモニウム又は臭化テトラメチルホスホニウム、臭化テトラエチルホスホニウム、臭化テトラプロピルホスホニウム、臭化テトラ-n-ブチルホスホニウム又はそれらの混合物等の第四級臭化ホスホニウムが、ハロゲン化剤として好ましくは同時に使用されることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
出発ジエン含有(コ)ポリマー:ハロゲン化剤:脂肪族アルコールのモル比が、1:1.5:3~1:5:3、好ましくは1:2:3~1:4:3、より好ましくは1:2.5:3~1:3:3であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項28】
第四級臭化アンモニウム又は第四級臭化ホスホニウムにおける臭素元素:臭素原子のモル比が、1:1~1:4、好ましくは1:2~1:3、より好ましくは1:1~1:1.5であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項29】
部分ハロゲン化の工程b)において、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノールが、脂肪族アルコールとして使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項30】
部分ハロゲン化工程b)が、0~50℃、好ましくは20~45℃、より好ましくは30~40℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項31】
部分ハロゲン化工程b)において、ハロゲン化剤の添加後の反応物質の撹拌速度が、50~600rpm、好ましくは100~500rpm、より好ましくは200~300rpmであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項32】
部分ハロゲン化工程b)の実施時間が、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも120分間であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項33】
洗浄及び分離工程c)において、水での洗浄後に有機層中のハロゲン化剤の許容可能な残留含有量が、0~0.5質量%、好ましくは0~0.1質量%、より好ましくは0~0.01質量%であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項34】
工程d)における変性系中でのハロゲン:水の比が、1:0.5~1:0.7、好ましくは1:0.25~1:0.7であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項35】
塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくは臭素が、工程d)における変性系において、ハロゲンとして使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項36】
工程d)における変性系における臭素が、臭素それ自体の形態、又は70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下の臭素を含む溶液の形態で使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項37】
工程d)における変性系における水が、蒸留水、脱イオン水、脱塩水、浸透水又は二度蒸留した水であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項38】
変性工程d)において、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、好ましくはプロパノール、ブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノール、より好ましくはブタノール、イソ-ブタノール、ペンタノールが、脂肪族アルコールとして使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項39】
変性工程d)において、出発ジエン含有(コ)ポリマー:変性系:脂肪族アルコールの比が、1:1.5:3~1:5:3、好ましくは1:2:3~1:4:3、より好ましくは1:2.5:3~1:3:3であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項40】
工程d)における変性が、0~50℃、好ましくは20~45℃、より好ましくは30~40℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項41】
変性工程d)の実施時間が、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも60分間、少なくとも120分間であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項42】
水酸化ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムの水溶液が、中和工程e)において中和剤として使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項43】
変性工程d)において添加されるハロゲンの量に対する中和剤の量のモル比が、1:1~3:1、好ましくは1:1~2:1、より好ましくは1:1であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項44】
工程e)における中和工程が、15~50℃、好ましくは20~40℃、より好ましくは25~30℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項45】
単離工程f)における沈殿時に、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ-プロパノール、ブタノール、イソ-ブタノールが、アルコール沈殿剤として使用されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項46】
アルコール沈殿剤:変性ジエン含有(コ)ポリマーの質量比が、15:1~1:1、好ましくは10:1~3:1、より好ましくは5:1~4:1であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項47】
単離工程f)における脱気時に、水が蒸留水、脱イオン水、脱塩水、浸透水又は再蒸留水であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項48】
系に添加されている間の水の温度が、30℃以下、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下であることを特徴とする、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
単離工程f)における脱気時に、添加される水:有機層の体積比が、5:1~0.1:1、好ましくは3:1~1:1、より好ましくは2:1であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項50】
単離工程f)における脱気が、20~150℃の温度、好ましくは50~100℃の温度、より好ましくは80~95℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項51】
単離工程f)における脱気が、800mbar未満の圧力下、好ましくは300mbar未満の圧力下、より好ましくは100mbar未満の圧力下で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項52】
単離工程f)における脱気を行う時間が、少なくとも30分間、好ましくは少なくとも60分間、より好ましくは少なくとも120分間であることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項53】
工程g)における変性ジエン含有(コ)ポリマーのろ過が、多孔質ろ過パーテーション、ヌッチェろ過器が供給されているろ過器で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項54】
工程g)における変性ジエン含有(コ)ポリマーのろ過が、20~40℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項55】
工程g)における変性ジエン含有(コ)ポリマーの乾燥が、50~105℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項56】
工程g)における変性ジエン含有(コ)ポリマーの乾燥が、1~20kPaの圧力下で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項57】
前記出発ジエン含有(コ)ポリマーが、事前粉砕されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項58】
難燃剤としての、請求項1から10のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマーの使用。
【請求項59】
前記変性ジエン含有(コ)ポリマーが、発泡性ポリスチレン中の難燃剤として使用されることを特徴とする、請求項58に記載の使用。
【請求項60】
難燃剤として請求項1から10のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマーを含む、発泡性ポリスチレン。
【請求項61】
前記変性ジエン含有(コ)ポリマーの含有量が、0.5質量部以上、好ましくは0.7質量部以上、より好ましくは1質量部以上である、請求項60に記載の発泡性ポリスチレン。
【請求項62】
難燃剤としての請求項1から10のいずれか一項に記載の変性ジエン含有(コ)ポリマー並びに技術特性、物理機械的特性及び操作特性の組合せを提供する添加剤を含む、発泡性ポリスチレンをベースとするポリマー組成物。
【請求項63】
帯電防止剤、安定化剤、染料、滑剤、充填剤、接着性低下剤が、添加剤として使用される、請求項62に記載のポリマー組成物。
【国際調査報告】