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特表2022-516724共焦点距離計測を用いて、ワークピースを制御レーザ加工するための方法及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】共焦点距離計測を用いて、ワークピースを制御レーザ加工するための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/046 20140101AFI20220222BHJP
【FI】
B23K26/046
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021537963
(86)(22)【出願日】2019-10-28
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 DE2019100927
(87)【国際公開番号】W WO2020143861
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】102019100244.3
(32)【優先日】2019-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019116309.9
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521234685
【氏名又は名称】プレシテック オプトロニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】デイツ,クリストフ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168CA06
4E168CA07
4E168CA13
4E168CB04
4E168CB13
4E168CB22
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA28
4E168EA15
(57)【要約】
本発明は、ワークピースを制御加工するための方法、及びデバイスを記載する。説明する方法によると、レーザ光ビームは、加工するワークピースの目標点にレーザ焦点を発生さえるために、合焦される。さらに、この方法によると、加工するワークピースの目標点とレーザ目標光ユニットとの間の距離を判断するために、距離計測データは、光距離計測デバイスによって捕捉される。この方法は、加工するワークピースを、捕捉した距離計測データに基づいて、レーザ焦点に対して位置決めをすることを含む。距離計測デバイスは、計測光を発生させるための計測光源と、可変焦点距離計測光学ユニットとを有する、光共焦点距離計測デバイスとして設計される。この方法は、可変焦点距離計測光学ユニットにおける異なる焦点距離値で距離計測データを捕捉するために、可変焦点距離計測光学ユニットの焦点距離を経時的に変化させることを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを制御加工するための方法であって、
レーザ照準器(5)によって、加工するワークピース(4)上の目標点(6)にレーザの焦点(F)を発生させるために、レーザビーム(3)を合焦させるステップと、
加工する前記ワークピース(4)上の前記目標点(6)と、前記レーザ照準器(5)との間の距離を判断するために、光距離計測デバイス(7)によって、距離計測データを集めるステップと、及び、
合焦した前記レーザビーム(3)を使用して、加工する前記ワークピース(4)上の前記目標点(6)を加工するステップと、
を含み、
前記方法は、
前記距離計測デバイス(7)が、計測光を発生させるための計測光源(8)及び可変焦点距離計測レンズシステム(19)を有する、共焦点光距離計測デバイスとして設計され、前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)の異なる焦点距離値の距離計測データを集めるために、前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)の経時的変化を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
集めた前記距離計測データに基づき、前記レーザ焦点(F)に対して、加工する前記ワークピース(4)の位置決めをするステップさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記距離計測データを集めるステップは、加工する前記ワークピース(4)で反射した計測光の強度を集めることを含み、前記距離は、加工する前記ワークピース(4)で反射した前記計測光の強度の時間曲線を使用して判断される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)における前記焦点距離の前記経時的変化は、前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)における異なる焦点距離の距離計測データを集めるために、前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)における前記焦点距離のチューニング、特に周期的なチューニングを含む、請求項1~3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
周期点と距離との間の関係を判断するために、較正計測の実施をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記較正計測は、前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)の下流に配置されたメニスカスレンズ(80)の反射を集めることを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記距離計測データを集めるステップは、前記目標点(6)の複数の計測点で行なわれる、請求項1~6のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記距離計測データを集めるステップは、複数の計測点において計測周期内で連続して行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記計測点は、前記目標点(6)のスキャン経路に沿って配置される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記スキャン経路は、加工する前記ワークピース(4)上の前記目標点(6)を取り囲む円形状か、または加工する前記ワークピース(4)上の前記目標点(6)を中心に置く螺旋形状である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記距離計測データを集めるステップは、複数の計測点で基本的に同時に行なわれ、前記距離は、物理的に平均化された距離計測データを使用して判断される、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
複数の計測点で距離計測データを同時に集めるために、前記計測光は、複数の穴(61)を有する少なくとも1つのシャドーマスク(60)によって、複数の部分的計測光に分割される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記部分的計測光は、一般的な光検出器を使用して同時に集められる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ワークピースを制御加工するためのデバイスであって、
加工する前記ワークピース(4)を加工するための、レーザ光ビーム(3)を発生させるための、レーザ光源(2)と、
前記レーザ光ビーム(3)を、加工する前記ワークピース(4)上の目標点(6)におけるレーザ光焦点(F)に合焦させるための、レーザ照準器(5)と、
距離計測デバイス(7)であって、前記距離計測デバイス(7)によって集められた距離計測データを使用して、加工する前記ワークピース(4)上の目標点(6)及び前記レーザ照準器(5)の間の距離を判断するための、距離計測デバイス(7)と、
加工する前記ワークピースを、前記レーザ光焦点(F)に対して位置決めをするための、位置決めデバイス(47)と、及び、
前記集められた距離計測データを評価するよう、及び前記集められた距離計測データに基づいて前記位置決めデバイス(47)を作動させるよう設計される、評価及び制御ユニット(40)と、
を備え、
前記デバイスは、
前記距離計測デバイス(7)が、計測光を発生させるための計測光源(8)、及び可変焦点距離計測レンズシステムを有する、共焦点光距離計測デバイスとして設計され、それによって前記可変焦点距離計測レンズシステムの焦点距離は、前記可変焦点距離計測レンズシステムの異なる焦点距離値で前記距離計測データを集めるために、経時的に変化させることができることを特徴とする、デバイス。
【請求項15】
前記距離計測デバイス(7)の前記計測レンズシステムは、レーザ照準器(5)を備える、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記距離計測デバイス(7)は、加工する前記ワークピース(4)で反射した計測光の強度を集めるための、光検出器(9)を備え、前記ワークピース(4)で反射した計測光の、集められた強度の時間曲線を使用して距離を判断することが可能となるよう設計される、請求項14または15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記計測光源(8)は、広帯域赤外光源、詳細には近赤外光源の形態を取る、請求項14~16のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)の焦点距離は、チューニング可能で、詳細には周期的にチューニング可能である、請求項14~17のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)は、前記距離計測デバイス(7)のイメージングシステムの分岐した部分に設置される、請求項14~18のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記可変焦点距離計測レンズシステム(19)は、可変焦点距離レンズ(19)を備える、請求項14~19のうちいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記計測光を複数の部分的計測光に分割するための複数の穴(61)を伴う、少なくとも1つのシャドーマスク(60)を有する、請求項14~20のうちいずれか一項に記載のデバイス(1)。
【請求項22】
前記計測光を結合及び結合解除するための光結合点(17)を伴う光ファイバ(16)を備え、少なくとも1つの前記シャドーマスク(60)は前記光結合点(17)に配置される、請求項21に記載のデバイス(1)。
【請求項23】
光射出端部(91)を伴う第1の光ファイバ(10)と、光入射端部(92)を伴う第2の光ファイバ(13)とを有し、第1のシャドーマスク(60)は、前記光射出端部(91)に配置され、第2のシャドーマスク(60)は、前記光入射端部(92)に配置される、請求項21に記載のデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワークピースをレーザ加工するための方法、及びデバイスに関する。本開示は、詳細には、ワークピースの精確なレーザ加工を保証するために、加工するワークピースの位置決め制御を伴う、ワークピースのレーザ加工のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザビームまたはレーザ光ビームを使用して、ワークピースを加工する方法が公知である。このような方法を実施するためのデバイスも、公知である。レーザビームを使用して、ワークピースの精確な加工を保証するために、ワークピースを正確に位置決めをすること、または対応するレーザ加工デバイスを正確に調整することが必要である。これは、公知の方法及び公知のデバイスを用いることで、ある程度までは可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示における実施形態の1つの目的は、ワークピースを制御レーザ加工するための改善された方法及び改善されたデバイスを提供することであり、それは、高い加工精度及びデバイスの単純な構造を特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を実現するため、第1の態様によると、ワークピースを制御加工するための方法が提供される。この方法は、レーザ照準器によって、加工するワークピースの目標点にレーザの焦点を発生させるために、レーザビームまたは加工光ビームを合焦させることを含む。詳細には、YAGレーザもしくはファイバレーザ、またはCOレーザなどのガスレーザの、近赤外線スペクトル範囲において発する固体レーザを使用して、レーザビームを発生させることができる。
【0005】
レーザ照準器は、詳細には、合焦及び整合レンズシステムとして設計することができ、それは、レーザビームを精確に整合及び合焦させるのを可能にする。レーザ照準器は、詳細には、レーザビームスキャナとして、具体的にはガルボスキャナとして設計することができ、それによって、電気的に作動されるミラーを使用してレーザビームを整合させることが可能である。
【0006】
方法は、加工するワークピース上の目標点と、レーザ照準器またはレーザ照準器の固定基準点もしくは基準面との間の距離を判断するために、光距離計測デバイスまたは光センサによって、距離計測データを集めることを含む。
【0007】
方法は、合焦レーザビームを使用して、加工するワークピース上の目標点を加工することをさらに含む。この加工は、詳細には、レーザ溶接、レーザ切断、及び/または別のレーザ加工プロセスを含むことができる。
【0008】
この方法によると、距離計測デバイスは、可変焦点距離レンズシステムまたは可変焦点距離計測レンズシステムを有する、共焦点光距離計測デバイスとして設計される。この方法は、可変焦点距離計測レンズシステムの異なる焦点距離値の距離計測データを集めるために、可変焦点距離計測レンズシステムにおける焦点距離の、経時的変化を含む。
【0009】
可変焦点距離計測レンズシステムの焦点距離を、経時的に変化させることによって、所望の計測範囲を画定するよう、最小焦点距離と最大焦点距離との間で、可変焦点距離計測レンズシステムにおける焦点距離を、変化させることが可能である。詳細には、共焦点光センサ、さらには大きい焦点距離または小さい開口数を有するレーザ加工デバイスを用いて、レーザ照準器と加工するワークピース上の目標点との間の距離を精確に判断するのを可能にするよう、計測範囲を画定または規定することができる。ワークピースを、判断された距離計測データを使用して、制御された精確な方法で加工することができる。
【0010】
可変焦点距離計測レンズシステムを使用して、光学散乱を呈さないか、または僅かしか呈さない光学素子を用いて、距離計測を実施することも可能であり、それによって、レーザビームを誘導するために設けられた、詳細には光学散乱を呈さないか、または僅かしか呈さない光学素子を使用して、計測光のビームを誘導するために使用することもできる。
【0011】
方法は、集めた距離計測データに基づく、加工するワークピースのレーザ焦点に対する位置決めも含むことができる。加工するワークピースの位置決めは、ワークピースもしくはレーザ加工デバイス全体の、空間位置及び/または空間整合を変化させることを、含むことができる。
【0012】
代替として、または追加として、位置決めは、レーザビームを再合焦させることを含むことができる。したがって必要に応じ、加工するワークピースの精確な加工を可能にするために、加工するワークピースの再位置決め、またはレーザの再調整が可能である。
【0013】
レーザ加工デバイスのレーザ照準器は、距離計測デバイスにおける計測レンズシステムの一部を形成することができる。詳細には計測光を、レーザ光ビームのビーム経路の中に結合させることができ、それによって、特定のセクションにおいて、少なくとも計測光ビームは、レーザ光ビームと同軸で進む。
【0014】
距離計測デバイスにおける計測レンズシステムのための、レーザ加工デバイスのレーザ照準器を使用することによって、方法を実施するために必要な光学構成要素の数を低減させ、それによって光学的な設定を簡素化することが可能である。距離センサを簡単に一体化させること、詳細には現存のレーザ加工システムの中に一体化させることも可能である。
【0015】
方法の少なくともいくつかのステップは、加工するワークピース上の複数の目標点において実施または繰り返すことができる。複数の点で方法のステップを繰り返すことによって、再チェックが可能であり、必要に応じて、加工するワークピースの位置決めを修正することが可能である。
【0016】
いくつかの実施形態において、距離計測データを集めることは、ワークピースで反射される計測光の強度を集めることを含む。この距離は、ワークピースで反射される計測光の強度の、時間曲線を使用して判断される。
【0017】
詳細には、可変焦点距離計測レンズシステムにおける、焦点距離の変化を経時的に制御する場合、可変焦点距離計測レンズシステムの特定の焦点距離に対して、したがって計測光の焦点の位置に対して、強度が集められた時間を割り当てるのを可能にする。それによって、レーザ照準器と目標点との間の距離を推定するのを可能にする。計測光の焦点面が、加工するワークピースの表面または計測対象と一致するとき、最大強度が発生する。このような場合、加工するワークピースの表面に発生される計測光スポットは、ダイアフラム上の距離計測デバイスの共焦点光誘導、または光検出器側に配置された光結合点によって、映し出される。光結合点は、計測光源の光射出ダイアフラムとしても作用し、そのため最大強度は光検出器によって検出される。
【0018】
広帯域赤外光、詳細には近赤外光を、計測光として使用することができる。詳細には、900~1000nm、特に940~960nmのピーク波長、かつ40~60nm、特に45~55nmの最大半量のスペクトル全幅、を有する近赤外LED(発光ダイオード)を使用して、計測光を発生させることができる。
【0019】
この種のLED計測光は、混乱を起こす干渉及びスペックル効果を防止するか、または軽減させるために、十分広帯域である。対照的に、この種のLED計測光は、色彩合焦のずれなどの、望ましくない散乱効果を抑制するか、または最小限に抑えるために、十分狭帯域である。
【0020】
加えて、近赤外計測光を伴う距離計測のために、近赤外スペクトル範囲のために設計された、例えばレーザ照準器のミラー及び/またはレンズなど、レーザ加工デバイスの光学構成要素を使用することが可能である。
【0021】
可変焦点距離計測レンズシステムにおける焦点距離の経時的変化は、可変焦点距離計測レンズシステムにおける異なる焦点距離の距離計測データを集めるために、可変焦点距離計測レンズシステムにおける焦点距離のチューニング、特に周期的なチューニングを含むことができる。焦点距離をチューニングするとき、可変焦点距離計測レンズシステムにおける、最小焦点距離と最大焦点距離との間の焦点距離範囲は、計測レンズシステムにおける焦点が、光センサの全ての計測範囲をスキャンするよう、網羅される。可変焦点距離計測レンズシステムにおける焦点距離の周期的なチューニングによって、判断される距離に対して集められた計測データの明白かつ信頼できる割り当てを促進させるよう、集められた距離計測データの評価を、焦点距離の経時的な変化と同期させることが可能である。詳細には、計測光の焦点距離の変化を使用して、1つの周期すなわち1つの計測周期における、単一の距離値すなわち加工する計測対象の表面までの距離を、判断することが可能である。
【0022】
いくつかの実施形態において、計測ビームの合焦は、1つの周期内における2つの異なる時間で、計測対象の表面、すなわち加工するワークピースの表面にもたらされ、それによって、加工するワークピースの表面に当てられた計測光スポットからの反射は、ファイバ端部または光結合点にはっきりと映し出され、光検出器によって集められた光において最大強度をもたらす。光検出器によって集められた光の最大強度が観測された時間を使用して、加工するワークピースまでの距離を、周期点と、事前に知られているか、または較正計測によって判断できる計測光の焦点位置と、の間の関係によって判断することができる。
【0023】
方法は、周期点と距離との間の関係を判断するために、較正計測の実施をさらに含むことができる。較正計測によって判断された周期点と距離との間の関係は、距離計測データの評価の、信頼性及び精度を向上させることができ、それによって、周期における最大強度の時間から、明白かつ信頼性のある距離を判断するよう計算することが可能である。
【0024】
較正計測は、詳細には周期における異なる時間において、可変焦点距離レンズシステムの下流に配置されたメニスカスレンズの反射を集めることを、含むことができる。メニスカスレンズは、1つの凹状面及び1つの凸状面を有する。詳細には、可変焦点距離レンズシステムをチューニングするときに、凹状面による反射光及び凸状面からの反射光が、光結合点において交互に集結されて、光ファイバの中に供給された光の計測可能な強度ピークを発生させるように、メニスカスレンズを配置させることができる。チューニング周期内の、このピークの時間位置は、可変焦点距離レンズシステムにおける明確に定義された焦点距離に相当し、それによって可変焦点距離レンズシステムまたは距離計測デバイスは、この強度ピークまたは較正ピークの時間位置を使用して、精確に較正することができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、較正計測は、スキャナまたはレーザ照準器の側方位置における、二次元グリッドの計測を含む。二次元グリッドで集められた距離計測データは、次に距離計測デバイスの較正に使用することができる。
【0026】
距離計測データを集めることは、目標点において複数の点または計測点で行なうことができる。これに関連して、目標点における計測点の配置は、計測点を、目標点上または目標点周りに配置できることを意味する。目標点における複数の計測点で、距離計測データを集めることによって、計測値の、平均化による誤差に対する影響の受けやすさを軽減させることが可能である。複数の計測点において距離計測データを集めることによって、計測結果のスペックルの影響を軽減させることも可能である。スペックルによって発生する、加工するワークピースで反射した光の局所的な強度変化は、複数の計測点で計測値を取ることによって、平均値を出すことができる。
【0027】
複数の計測点において距離計測データを集めることは、順次または次々に、特に計測周期内で実行することができる。したがって計測周期中、迅速かつ少ないコンピュータ作業で平均距離を判断できるよう、距離計測データを異なる計測点から集積することが可能である。
【0028】
いくつかの実施形態において、距離計測データは、目標点のスキャン経路に沿った複数の点で集められる。スキャン経路は、詳細には、スキャン経路に沿って集められた距離計測データから目標点距離が推定できるように、選択することができる。
【0029】
スキャン経路は、加工するワークピースにおける目標点を取り囲む円の形態をとることができる。詳細には、計測円は、レーザスポットに相当する軌道半径を有することができる。計測円に沿って集められた距離計測データは、平均化によって、計測誤差を効率的に低減させるのを可能にするデータベースをもたらす。
【0030】
スキャン経路は、加工するワークピースの目標点を中心とする螺旋の形態をとることができる。詳細には、螺旋の中心点は、目標点と一致することができる。螺旋状のスキャン経路により、距離計測データを、特に大きい表面積から集めることが可能であり、平均化効果を強くして、計測の混乱しやすさを軽減させる。
【0031】
いくつかの実施形態において、距離計測データは、基本的に同時に、特に1つの計測周期内で複数の計測点において集められ、距離は物理的に平均化された距離計測データを使用して判断される。
【0032】
距離計測データの物理的平均化とは、詳細には、例えば集められた距離から平均距離を形成するために、各計測点について距離が別々に判断されないことを意味する。物理的平均化とは、目標点の複数の計測点で集められた距離計測データの全体、詳細には加工するワークピースから反射された計測光の強度計測データの全体が、目標点までの距離の判断に含まれ、それによって1つの距離値が、計測点の全体のための判断されることを意味する。
【0033】
物理的平均化により、目標点の異なる計測点で集められた、距離計測データの全体を、共に評価することができ、詳細には単一の評価ステップを評価することができ、それによって距離値は、簡易かつ迅速に判断することができる。
【0034】
計測光は、距離計測データを複数の計測点で同時に集めるために、複数の穴を有する少なくとも1つのシャドーマスク、詳細には共焦点ダイアフラムとして設計されたものによって、複数の部分的計測光に分割することができる。少なくとも1つのシャドーマスクを用いて、容易な方法で複数の計測点の距離計測データを集めるために必要な、部分的計測光を発生させることが可能である。
【0035】
部分的計測光は、一般的な光検出器を使用して集めることができる。全ての部分的計測光のために、一般的な光検出器の使用することは、複数の計測点から距離計測データを集めるのを簡略化する。距離計測データまたは光強度の、物理的平均化は、一般的な光検出器によって部分的計測光を集めるのと同時に実施される。なぜなら、一般的な光検出器は、異なる計測点から反射した光を区別できないからである。したがって距離計測データは、コンピュータによるステップを実施する必要なく、自動的に平均化される。
【0036】
第2の態様によると、ワークピースを制御加工するためのデバイスが提案される。
【0037】
デバイスは、加工するワークピースを加工またはレーザ加工するための、レーザ光ビームを発生させるための、レーザ光源を備える。詳細には、YAGレーザもしくはファイバレーザ、またはCOレーザなどのガスレーザの、近赤外線スペクトル範囲において発する固体レーザを使用して、レーザビームを発生させることができる。
【0038】
デバイスは、加工するワークピース上の目標点におけるレーザ光焦点にレーザ光ビームを合焦させるための、レーザ照準器をさらに備える。レーザ照準器は、特に合焦及び整合レンズシステムとして設計することができ、それは、レーザビームを精確に整合及び合焦させるのを可能にする。レーザ照準器は、特にレーザビームスキャナとして、具体的にはガルボスキャナとして設計することができ、それによって、電気的に作動されるミラーを使用して、レーザビームを整合させることが可能である。
【0039】
デバイスは、加工するワークピース上の目標点と、レーザ照準器との間の距離を判断するための、距離計測デバイスであって、距離計測デバイスによって集められた距離計測データを使用する、距離計測デバイスと、加工するワークピースをレーザ光焦点に対して位置決めし、及び/または集められた距離計測データに基づいて再合焦させるための、位置決めデバイスと、をさらに備える。
【0040】
デバイスは、評価及び制御ユニットをさらに備え、それは集められた距離計測データを評価するよう、及び集められた距離計測データに基づいて位置決めデバイスを作動させるよう設計される。
【0041】
距離計測デバイスは、計測光を発生させるための計測光源、及び可変焦点距離計測レンズシステムを有する、共焦点光距離計測デバイスとして設計され、それによって可変焦点距離計測レンズシステムの焦点距離は、可変焦点距離計測レンズシステムの異なる焦点距離値で距離計測データを集めるために、経時的に変化させることができる。
【0042】
可変焦点距離計測レンズシステムの焦点距離を、経時的に変化させることによって、距離計測デバイスの効果的な計測範囲を増加させることが可能になり、それによって、レーザ照準器と加工するワークピース上の目標点との間の距離を、共焦点光センサ、さらには長い焦点距離または小さい開口数を有するレーザ加工デバイスを用いて、精確に判断することが可能である。
【0043】
可変焦点距離計測レンズシステムは、低い光の散乱を伴うか、または伴わない光学素子を用いて、距離計測を実施することも可能にし、それによって、レーザビームの誘導のために必要な、特に光散乱がないか、または低い光散乱を有する光学素子を、計測光のビーム誘導にも使用することができる。
【0044】
距離計測デバイスの計測レンズシステムは、レーザ照準器の少なくとも一部を備えることができる。距離計測デバイスの計測レンズシステムのための、レーザ照準器を使用することによって、必要な光学構成要素の数を低減させるか、またはデバイスの構造を大幅に簡略化することが可能である。その結果、距離センサを現存のレーザ加工システムに、簡単な方法で一体化させることも可能である。
【0045】
距離計測デバイスは、加工するワークピースで反射した計測光の強度を集めるための、光検出器を備えることができ、ワークピース4で反射した計測光の、集められた強度の時間曲線を使用して、距離を判断することが可能となるように設計される。
【0046】
特に可変焦点距離計測レンズシステムの焦点距離の、経時的な制御された変化の場合、強度を集める回数を、可変焦点距離計測レンズシステムの特定の焦点距離に対して、したがって特定の距離に対して割り当てるのを可能にする。それによって、レーザ照準器と目標点との間の距離を推定するのを可能にする。
【0047】
広帯域赤外光源、詳細には近赤外光スペクトル範囲で発する光源を、計測光源として使用することができる。詳細には、概ね950nmのピーク波長、及び概ね50nmの最大半量のスペクトル全幅を伴う近赤外LEDを使用して、計測光を発生されることができる。この種のLED計測光は、混乱を起こす干渉及びスペックル効果を防止するか、または軽減させるために、十分広帯域である。対照的に、この種のLED計測光は、色彩合焦のずれなどの、望ましくない散乱効果を抑制するか、または最小限に抑えるために、十分狭帯域である。
【0048】
可変焦点距離計測レンズシステムは、チューニング可能、詳細には周期的にチューニング可能な計測レンズシステムとして、設計することができる。焦点距離をチューニングするとき、可変焦点距離計測レンズシステムの、最大焦点距離と最小焦点距離との間の焦点距離範囲は、計測レンズシステムの焦点が、例えば±7mmなど、光センサの全計測範囲を網羅するように、網羅される。可変焦点距離計測レンズシステムにおける、焦点距離の周期的なチューニングによって判断される距離に対して、集められた計測データの明白かつ信頼できる割り当てを可能にするよう、評価を、焦点距離の経時的な変化と同期させることが可能である。
【0049】
可変焦点距離レンズシステムは、詳細には、距離計測デバイスにおけるイメージングシステムの分岐した部分に配置することができる。分岐した部分とは、計測レンズシステムが分岐した計測ビームを形成する、距離計測デバイスのイメージングシステムの一部を意味する。イメージングシステムの分岐した部分において、詳細には可変焦点距離計測レンズシステムを、可変焦点距離レンズシステムにおける開放口を最適に利用できるよう、位置決めをすることが可能である。
【0050】
可変焦点距離計測レンズシステムは、可変焦点距離レンズを備えることができる。可変焦点距離レンズ、詳細には電気的に作動される可変焦点距離レンズを用いると、簡単な方法で計測レンズシステムの焦点距離を変化させることが可能である。可変焦点距離レンズの開放口は、1~10mmの範囲、特に2~6mmの範囲の径を有することができる。可変焦点距離レンズは、詳細には、光結合点の近く、または計測光が分岐して出るファイバ端部の近くに、配置することができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、デバイスは、計測光を複数の部分的計測光に分割するための複数の穴を有する、少なくとも1つのシャドーマスクを備える。部分的計測光を用いることで、複数の計測点の距離計測データを同時に集めることを可能にする。
【0052】
いくつかの実施形態において、デバイスは、計測光を結合及び結合解除するための光結合点を有する、光ファイバを備え、少なくとも1つのシャドーマスクが、光結合点に配置される。シャドーマスクのこの配置は、ファイバカプラを伴うデバイスに好適であり、光結合点は、計測光源によって集められた光を結合解除するよう、及び加工するワークピースで反射した計測光を結合するよう、設計される。この場合、距離計測データは、単一のシャドーマスクを用いて、異なる計測点で単純に集めることができる。
【0053】
詳細には、シャドーマスクは、光結合点または光ファイバの端部に直接設置することができる。光結合点におけるシャドーマスクの配置は、シャドーマスクの効率的な使用を可能にする。なぜなら基本的に、光結合点から放たれた計測光の全ては、シャドーマスクによって集められるからである。
【0054】
光結合点または光ファイバの端部、及びシャドーマスクは、シャドーマスクが基本的に完全に照射されるよう、寸法を決めることができる。これによって、シャドーの表面が特に効率的に使用できる。
【0055】
いくつかの実施形態において、デバイスは、光射出端部を伴う第1の光ファイバと、光入射端部を伴う第2の光ファイバとを有し、第1のシャドーマスクは、光射出端部に配置され、第2のシャドーマスクは、光入射端部に配置される。シャドーマスクのこの配置は、ビーム分割器を伴うデバイスに好適である。このビーム分割器は、測定光源によって発生された計測光を、距離計測デバイスにおけるイメージングシステムに結合するよう、かつ加工するワークピースで反射した計測光を結合解除するよう、設計される。
【0056】
2つのシャドーマスクの穴が、互いに共焦して対で整合されるように、2つのシャドーマスクを位置決めをすることができる。2つのシャドーマスクにおける穴の対を、互いに対して共焦して整合することで、第1のシャドーマスクの穴によって発生された部分的計測光ビームを、シャドーマスクによって起こる光損失を最小限に抑えるように、第2のシャドーマスクの対応する穴の中に集結させる。
【0057】
個々の光ファイバの代わりに、一束の光ファイバを使用して、異なる計測点で距離計測データを集めるために、多数の部分的計測光を発生させることが可能である。このような配置において、光ファイバの束は、多数の部分的計測光を供給するので、シャドーマスクは、もはや必要ない。計測光を部分的計測光に分割するための、光ファイバの束は、ファイバカプラを有するデバイス、及びビーム分割器を有するデバイスの両方に使用することができる。光ファイバの束を使用することで、デバイスの構造及び使用を簡略化するのを可能にする。
【0058】
いくつかの実施形態において、デバイスはカメラを有する。このカメラは、加工前、加工中、及び/または加工後にカメラを使用して、加工するワークピース上の加工箇所を、視覚的に制御するのを可能にするよう設計される。
【0059】
実施形態は、図面を参照して以下でより詳細に説明する。図面において、同一の参照番号は、同じまたは互換可能な構成要素を示すよう使用される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1】1つの実施形態によるワークピースの制御加工のためのデバイスの、概略形態を示す図である。
図2】1つの実施形態によるシャドーマスクを示す図である。
図3】別の実施形態によるシャドーマスクを示す図である。
図4】1つの実施形態による、メニスカスレンズの概略側面図である。
図5図4のメニスカスレンズの概略上面図である。
図6】1つの実施形態による、距離計測デバイスのあるセクションにおいて考えられるビーム経路の、概略形態を示す図である。
図7図6に示されるセクションにおいて考えられる別のビーム経路の、概略形態を示す図である。
図8図6に示されるセクションにおいて考えられるさらに別のビーム経路の、概略形態を示す図である。
図9】メニスカスレンズで反射した光の強度の、時間曲線を示す図である。
図10】別の実施形態によるワークピースの制御加工のためのデバイスの、概略形態を示す図である。
図11】1つの実施形態によるワークピースの制御加工のための方法の、フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、1つの実施形態によるワークピースの制御加工のためのデバイスの、概略形態を示す。デバイス1は、加工するワークピース4を加工するための、レーザ光ビーム3を発生させるための、レーザ光源2を備える。さらに、デバイス1は、加工するワークピース4の目標点6における焦点Fに、レーザ光ビーム3を向けるか、または精確に合焦させるための、レーザ照準器5をさらに備える。
【0062】
デバイス1は、加工するワークピース4の目標点6と、レーザ照準器5との間の距離を判断するための、距離計測デバイス7を備える。距離計測デバイス7は、共焦点光距離計測デバイスとして設計され、計測光を発生させるための計測光源8と、ワークピース4で反射した計測光を集めるための光検出器9と、を備える。この実施形態において、距離計測デバイス7は、ゼロ面Oの周りで±7mmの、距離計測範囲Hを有する。
【0063】
計測光源8は、Yカプラの形態で設計されたファイバカプラ12の、第1の接続点11において、第1の光ファイバ10に接続される。光検出器9は、ファイバカプラ12の第2の接続点14において、第2の光ファイバ13に接続される。第3の光ファイバ16は、ファイバカプラ12の第3の接続点15において、第1の端部に接続される。第3の光ファイバ16の第2の端部は、出入りする計測光を結合するための、光結合点17として設計される。この実施形態において、第1の光ファイバ10、第2の光ファイバ13、及び第3の光ファイバ16は、近赤外スペクトル範囲における広帯域光を透過できる、マルチモードファイバとして設計される。
【0064】
照準レンズ18は、光結合点17の下流に配置され、可変焦点距離レンズ19は、光結合点17と照準レンズ18との間に配置される。光結合点17は、計測光が光結合点17から分岐して出て、それによって分岐した計測光ビームを、光結合点17と照準レンズ18との間の領域に発生させるよう、設計される。この実施形態において、可変焦点距離レンズ19は、Optotune社の、電気的に作動される可変焦点距離であるEL-03-10である。
【0065】
レーザ光ビーム3のビーム経路には、計測光を、レーザ光ビーム3のビーム経路またはレーザ照準器5に結合及び結合解除するための、第1の偏向プレート30が配置される。偏向プレート30は、計測光がレーザ光ビームのビーム経路に、レーザ光ビーム3と同軸に伝搬できるよう、詳細には、計測光及びレーザ光ビームと共通の光軸Aに沿って伝搬できるように、設計することができる。
【0066】
デバイス1は、第2の偏向プレート31をさらに有する。第2の偏向プレート31は、第1の偏向プレート30とレーザ照準器5との間で、レーザ光ビームのビーム経路に位置決めをされる。カメラ32は、第2の照準レンズ33及び第2の偏向プレート31を介して、レーザ照準器5に光学的に接続され、それによって、カメラ32を使用して、加工するワークピース上の加工箇所を、視覚的に制御するのを可能にする。偏向プレート30及び31は、レーザ光ビームのビーム経路が、偏向プレート30及び31によって混乱しないか、または僅かしか混乱しないよう、レーザ光透過プレートまたは部分的レーザ光透過プレートとして設計される。
【0067】
いくつかの実施形態において、カメラ32のための光は、レーザ2と偏向プレート30との間で、偏向プレート31によって分岐される。レーザと偏向プレート30との間の、カメラ光の分岐は、カメラ光の分岐のための偏向プレート31によって、距離計測を阻害しない。
【0068】
図1に示される配置において、レーザ光ビーム3は、偏向プレート30または偏向プレート31によって結合され、それによってレーザ照準器5の中に透過する。代替の実施形態において、反射的に、またはレーザビームミラーによって、レーザ光ビーム3はレーザ照準器5に結合される。
【0069】
詳細には、レーザビームを、共通の光軸Aに対して横断方向または垂直方向に、反射的にデバイス1の光学システムに結合することができる。この種の配置において、レーザ2は、カメラ32及び照準レンズ33の位置に配置され、例えばレーザビームミラーが、配向プレート31の位置に配置される。少なくとも部分的に計測光を透過させる、任意のレーザビームミラーを、レーザビームミラーとして使用することができる。ここで説明した原理を実施できる、光ビーム経路の他の構成も可能である。1つの非限定の実施形態において、計測光はレーザビームのビーム経路の中に、同軸的または共通の光軸Aに沿って、結合される。
【0070】
レーザ照準器5のいくつかの実施形態において、合焦レンズ50はミラー対51の下流に配置され、それによってレーザビーム3は、まずはミラー対51によって整合され、その後、整合されたレーザビーム3は、合焦レンズ50によって目標点で合焦され得る。
【0071】
図1の実施形態によるデバイス1は、評価及び制御ユニット40も有する。評価及び制御ユニット40は、集められた距離計測データを評価するための評価ユニット41と、可変焦点距離レンズ19の焦点距離を制御するためのレンズ制御ユニット42と、加工するワークピースを、レーザ焦点に対して位置決めをするための位置決めユニット43と、を備える。評価ユニット41は、単一ライン44を介して光検出器9の出口に接続される。レンズ制御ユニット42は、レンズ制御ライン45を介して、可変焦点距離レンズ19の制御接続部に接続される。位置決めユニット43は、位置決め制御ライン46を介して、加工するワークピース4の位置決めをするための、位置決め器47に接続される。
【0072】
この実施形態において、1030~1070nmの波長範囲の光放射を発生させるYAGレーザは、レーザ光源として使用される。他のレーザ、詳細には近赤外スペクトル範囲で発する固体レーザ、及び例えばCOレーザなどのガスレーザを、レーザ光源として使用することもできる。近赤外スペクトル範囲で発するレーザは、材料加工に好適である。なぜならこれらのレーザは、kW範囲の出力、及び材料加工に必要な高い光放射出力密度を提供できるからである。デバイス1は、レーザ2の出力を制御するよう設計された、レーザ出力制御システムと、レーザのビーム経路に配置され、かつレーザ合焦を制御するよう設計された、制御可能合焦レンズを伴う、レーザ合焦制御システムと、をさらに備える。簡略化のために、レーザ出力制御システム及びレーザ合焦制御システムは、図1で示される図には例示されない。
【0073】
この実施形態において、概ね950nmのピーク波長、及び概ね50nmの最大半量のスペクトル全幅を伴う広帯域近赤外LEDが、計測光として使用される。この種のLED計測光は、混乱を起こす干渉及びスペックル効果を防止するか、または軽減させるために、十分広帯域である。対照的に、この種のLED計測光は、色彩合焦のずれなどの、望ましくない散乱効果を抑制するか、または最小限に抑えるために、十分狭帯域である。
【0074】
図1の実施形態において、レーザ照準器5またはスキャナは、合焦レンズ50と、加工するワークピース4の目標点6に、合焦した放射を整合するため、及び必要に応じて、合焦したレーザビームを加工するワークピース4の加工領域にわたって通すための、制御可能なミラー対51と、を備える。ミラー対51は、詳細には、容易な方法で電気的に作動することができる、ガルボミラー対の形態を取る。
【0075】
合焦レンズ50は、概ね180mmの焦点距離を有する。レーザ照準器5に入る前の、レーザビーム3の径は、概ね10mmである。レーザ照準器5は、レーザビーム3が概ね80mm×80mmの加工領域を処理できるように、寸法が決められる。
【0076】
いくつかの実施形態において、レーザ照準器5は、テレセントリックレーザ照準器の形態を取る。レーザ照準器のテレセントリック設計のため、加工するワークピース4は、デバイスから異なる距離のレーザビームを用いて加工することができる。
【0077】
位置決め器47は、詳細には、加工するワークピース4をレーザビームの焦点に対して位置決め及び/または整合するよう設計することができ、詳細には、加工するワークピース4の位置決めまたは整合のために、位置決め制御ユニット46からの1つまたは複数の制御信号を伴う、1つまたは複数のアクチュエータを備えることができる。ワークピースを整合させる能力は、座標軸によって図1に象徴的に示される。
【0078】
いくつかの実施形態において、図1に示す例のように、デバイス1は、距離計測デバイス7のビーム経路に配置された、シャドーマスク60またはダイアフラムを有する。シャドーマスク60は、図2及び図3の底部に明白に視認できる、複数の穴61を有する。シャドーマスク60は、光結合点17と可変焦点距離レンズ19との間に位置決めされ、それによって計測光は、加工するワークピース4の表面における複数の点で、同時に距離計測データを集められるよう、シャドーマスク60によって複数の部分に分割される。図1に示される実施形態において、シャドーマスクは、光結合点17として作用するファイバ端部に直接設置され、それによってファイバ端部は、シャドーマスク60のホルダとしても役立つ。
【0079】
いくつかの実施形態において、端部にシャドーマスクが設置される光ファイバは、シャドーマスク60を基本的に完全に照射するのに十分な径、かつシャドーマスク60の基本的に全ての穴61を介して、反射光を捕捉するのに十分な径を有する。
【0080】
いくつかの実施形態において、図1のファイバ16と類似の方法でファイバ結合部に結合された、ファイバの束は、シャドーマスク60を伴うファイバ16の代わりに使用される。
【0081】
いくつかの実施形態において、図1に示す例のように、デバイス1は、ワークピースの制御加工のため、可変焦点距離レンズ19と照準レンズ18との間に位置決められた、メニスカスレンズ80を有する。
【0082】
メニスカスレンズ80は、基本的に球形凹状面81、及び基本的に球形凸状面82を有する。メニスカスレンズ80の凹状面81すなわち凹側は、可変焦点距離レンズ19に面し、メニスカスレンズ80の凸状面82すなわち凸側は、照準レンズ18に面する。示される実施形態において、メニスカスレンズ80は、中央に円形穴83を有する。
【0083】
デバイス1が動作中のとき、計測光源8に生成された光の一部は、ファイバカプラ12を介して第1の光ファイバ10を通過し、第3の光ファイバ16を通って光結合点17に至る。計測光は、分岐して光結合点17を出て、次に、偏向プレート30によってレーザ光ビーム3のビーム経路の中に結合される前に、可変焦点距離レンズ19及び照準レンズ18を通過する。レーザ光ビーム3のビーム経路の中に結合された計測光は、次にレーザ照準器5を通過して、加工するワークピース4に至ることができる。
【0084】
計測光がワークピース4に当たると、計測光の一部は反射して、レーザ照準器5と、照準レンズ18と、可変焦点距離レンズ19と、光結合点17と、を介して、第3の光ファイバ16に入ることができる。このプロセスにおいて、計測光の一部は、第2のファイバ13を介して、ファイバカプラ12において光検出器9へ分岐される。光検出器9は、評価のために、信号ライン44を介して計測信号を評価ユニット41に供給する。評価ユニット41は、光検出器9によって集められた光の強度の、時間曲線を評価するよう設計される。評価ユニット41は、加工するワークピース上の目標点と、レーザ照準器との間の距離を、強度の時間曲線から推定するよう、さらに設計される。
【0085】
可変焦点距離レンズ19は、詳細には、周期的に制御することができ、それによって、可変焦点レンズの光パワーは、例えば±13の度数でチューニングされ、計測光の焦点は、光軸に沿って±7mmずらされる。計測ビームの合焦は、周期中の2つの異なる時間において、計測対象すなわち加工するワークピースの表面にもたらされ、それによって、加工するワークピースの表面における計測光スポットからの反射は、ファイバ端部または光結合点17にはっきりと映し出され、光検出器によって集められた光の最大強度をもたらす。
【0086】
光検出器によって集められた光の最大強度が観測された時間を使用して、加工するワークピースまでの距離を、周期点と、事前に知られているかまたは較正計測によって判断できる計測光の焦点と、の間の関係から判断することができる。
【0087】
詳細には、周期点と加工するワークピースの表面からの距離との間の関係を、予めまたはレーザ加工に先行して判断するよう設計された、較正計測を実施することが可能である。較正計測は、スキャナまたはレーザ照準器の側方位置における二次元グリッドを使用して、実施することができる。このように判断された関係を使用して、表面までの距離、またはレーザ照準器5と加工するワークピース上の目標点6との間の距離を、周期における最大強度の時間から判断することが可能である。
【0088】
周期的変化または可変焦点距離レンズ19の焦点距離の修正は、レンズ制御ユニット42の鋸状の曲線によって、図1に象徴的に示される。可変焦点距離レンズ19の焦点距離変化の周期と、最大強度の発生との間の関係は、破線によって図1に概略示される。この破線は、レンズ制御ユニット42の鋸状曲線と、評価ユニット41に示される時間座標を伴う強度曲線と、の間に延びる。
【0089】
シャドーマスク60によって分割された計測光は、加工するワークピース4の表面における複数の点の距離計測データを、同時に集めるのを可能にする。詳細には、ワークピースで反射した計測光も、結合点17を介してシャドーマスク60の穴61を通過してファイバ16に入り、それによって光検出器9で集めることができる。ここで、光検出器9で集められた光強度は、シャドーマスク60の全ての穴61を介して集積された全ての計測点で反射した光の合計強度に相当し、それによって、異なる点で反射した光の間の強度さの物理的平均化が、光学的配置によって行なわれる。シャドーマスク60の異なる穴61を介して集められた光強度の物理的平均化は、計測データの評価を大幅に簡略化させることができる。なぜなら距離の平均化は、各点で個々に実施する必要がないからである。実際、距離の平均化は、シャドーマスク60で生成された全ての点において、物理的に平均化された距離計測データ、詳細には強度データを使用して、実施することができる。
【0090】
メニスカスレンズ80の配置のため、メニスカスレンズ80の表面81及び82で反射した光は、光結合点17を介してファイバ16の中に入り、光検出器9によって集められ得る。
【0091】
可変焦点距離レンズ19を出る光ビームが、メニスカスレンズ80の2つの表面81及び82のうちの1つに、特に垂直方向に当たるとき、メニスカスレンズ80の対応した表面81または82からの光の最大部分は、可変焦点レンズ19によって、再びファイバ16の中に反射して入る。したがって、この種のビーム構成は、反射した光の対応した強度ピークによって検出することができ、メニスカスレンズ80の2つの表面81及び82の各々は、それら自身の強度ピークの原因となる。
【0092】
いくつかの実施形態において、メニスカスレンズは、可変焦点距離レンズ19のチューニング中に、繰り返される時間周期の始点または終点においてピークが発生するように、寸法が決められる。ここで、2つのピーク各々の位置は、常に、焦点距離可変レンズ19の焦点距離の一定値に相当し、そのため常に同じ距離に相当する。温度変化の影響下で、時間の経過と、距離値との間の関係は、特に変化を受ける。チューニング可能なレンズは、重大な影響を有するため、可変焦点距離レンズ19の焦点距離への作動値の割り当ては、温度が変動する場合に変化することがある。メニスカスレンズ80によって生じた強度ピークが、可変焦点距離レンズ19の同じ焦点距離で発生するため、可変焦点距離レンズ19、またはこれらピークを精確に使用した時間の経過と距離との間の関係を、較正することが可能である。可変焦点距離レンズ19とは対照的に、メニスカスレンズ80の温度依存は無視することができる。
【0093】
メニスカスレンズ80の中央における円形穴83のため、計測光のビームは連続してメニスカスレンズを通過し、周辺光のみがメニスカスレンズ80で反射され得る。反射の強度を、レンズ表面領域及び/または穴サイズを選択することによって調整することができ、それによって、メニスカスレンズ80で反射した光の強度は、較正信号として役立つのに十分高いが、計測信号、または加工する対象で反射した計測光の強度信号が、メニスカスレンズの反射によって影となるほど高くない。
【0094】
いくつかの実施形態において、穴83は、計測光の主な部分が、反射することなくメニスカスレンズ80の穴83を通過するよう、寸法が決められる。
【0095】
いくつかの実施形態において、ダイアフラムがメニスカスレンズ80の下流に配置される。このダイアフラムは、計測光のビームの内部を通し、かつ計測光のビームの外部を除外するように設定される。このように、特にメニスカスレンズ80に影響されたビームを計測から除外することが可能である。
【0096】
いくつかの実施形態において、メニスカスレンズ80は穴を有さず、メニスカスレンズ80は、その2つの表面81、82のうち少なくとも一方にコーティングを有する。このコーティングの厚さ及び/または反射性を、計測信号がメニスカスレンズの反射した構成要素によって影とならないよう、選択することができる。いくつかの実施形態において、メニスカスレンズ80は、4%未満の計測光波長範囲において、反射構成要素を伴う非反射コーティングを有する。
【0097】
いくつかの実施形態において、メニスカスレンズ80は、円形穴83及びコーティングの両方を有し、プロセスにおいて計測信号に影を作ることのないよう、または過度に阻害しないよう十分強い較正信号を実現するために、円形穴83の寸法及びコーティングの厚さの両方を選択することが可能である。
【0098】
図2は、1つの実施形態によるシャドーマスクを示す。
【0099】
図2におけるシャドーマスク60は、基本的に矩形のダイアフラムの形態を取り、複数の円形穴61を有する。この実施形態において、円形穴61は、ダイアフラムの全表面にわたって基本的に均一に六角グリッドで配分される。六角グリッドにおける穴61の配分によって、高密度の穴を可能にし、それによって、多くの計測点において距離計測データを集めるために、計測光はシャドーマスクによって多くの部分に分割される。同時に、所与の密度における六角グリッドの選択は、隣接する穴同士の間の最大距離をもたらし、それによって穴の間のクロストークを最小限に抑える。
【0100】
図3は、別の実施形態によるシャドーマスクを示す。
【0101】
図2におけるシャドーマスク60のように、図3に示されるシャドーマスク60は、基本的に矩形のダイアフラムの形態を取り、複数の穴61を有する。図2のシャドーマスク60とは対照的に、図3のシャドーマスクの穴61は矩形形状であり、ダイアフラムの全表面にわたって基本的に均一な市松模様パターンに配分される。
【0102】
図2及び図3に示されるシャドーマスク60の充填レベルは、好ましくは30~70%、特に概ね50%であり、それによってシャドーマスクに入射する光の概ね50%が、シャドーマスクを通過する。
【0103】
図2及び図3に示される実施形態の代替として、シャドーマスクは基本的に円形の設計とすることもできる。円形シャドーマスクは、円形断面を伴う光ファイバの端部に精確に設置するために、特に好適である。
【0104】
図4は、1つの実施形態による、メニスカスレンズの概略側面図を示す。
【0105】
図4で明白に確認できるように、メニスカスレンズ80は、基本的に球形凹状面81、及び基本的に球形凸状面82を有する。示される実施形態において、メニスカスレンズ80は、中央に円形穴83を有する。
【0106】
図5は、図4のメニスカスレンズの概略上面図を示す。
【0107】
メニスカスレンズ80の円形穴83は、図5の上面図で特に明白に視認できる。上記の図1で、既に詳細に説明したように、メニスカスレンズ80は、異なる形態を取ることができる。詳細には、2つの表面81、82のうち少なくとも一方は、コーティングを有することができる。加えて、円形穴83の寸法及び/またはコーティングの強度もしくは反射性は、メニスカスレンズ80の表面81、82上の後方反射が、計測信号に影を作ることのないよう、または距離計測を阻害することのないよう、十分な強度の較正ピークを生成するよう、選択することができる。
【0108】
図6は、1つの実施形態による、距離計測デバイスのあるセクションにおいて考えられるビーム経路の、概略形態を示す。
【0109】
図6に示されるセクションは、可変焦点距離レンズ19、メニスカスレンズ19及び図1による光ファイバ13の結合点17を備える。
【0110】
結合点17から離れるように指す長い矢印は、可変焦点距離レンズ19及びメニスカスレンズ80の一部も通して投射された、光結合点17を出た計測光ビームを表わす。メニスカスレンズ80から光結合点17に戻るよう指す矢印は、凹状面81及び凸状面82で反射したビームを示す。反射したビームは、基本的に表面81及び82の球形曲率の結果として、焦点で集結される。
【0111】
図6に表わされる場合において、メニスカスレンズ80の凹状面81で反射した光は、光結合点17の光射出面で集結され、一方でメニスカスレンズ80の凸状面82で反射した光の焦点は、光入射面または光結合点17の上方にもたらされる。示されるビーム経路は、詳細には可変焦点距離レンズ19の特定の焦点距離で発生する。
【0112】
図7は、図6に示されるセクションにおいて考えられる別のビーム経路の、概略形態を示す図。
【0113】
図7のビーム経路は、基本的に図6で示されるビーム経路に相当する。図6に示される事象とは対照的に、可変焦点距離レンズ19は、異なる焦点距離値を有し、その結果、反射した2つのビームは共に、光結合点17で集結されない。
【0114】
図8は、図6に示されるセクションにおいて考えられるさらに別のビーム経路の、概略形態を示す。
【0115】
図8に示されるビーム経路は、メニスカスレンズ80の凸状面82で反射した光が光結合点17の光射出面で集結されるときに、可変焦点距離レンズ19の焦点距離に相当する。その一方で、メニスカスレンズ80の凹状面81で反射した光の焦点は、下方にもたらされ、光入射面または光結合点17で反射される。
【0116】
図6図7、及び図8に示される計測光の、考えられるビーム構成は、いかにしてメニスカスレンズ80が働くかを例示する。可変焦点距離レンズ19が、周期的にチューニングされる場合、例えば焦点距離は、定期的に、最小焦点距離と最大焦点距離との間の全ての値を通して進み、図6図7、及び図8に示されるビーム構成は、プロセスにおいて定期的に生じ得る。メニスカスレンズ80で反射したビームが、光結合点17で集結されない場合、図7に示されるビーム経路または類似のビーム経路は、可変焦点距離レンズ19の多くの設定で発生し得る。他方で、図6及び図8で表わされたビーム構成は、可変焦点距離レンズ19の極めて特有の値においてのみ生じ得る。光ファイバ13の光結合点17における、メニスカスレンズ80の表面81及び82で反射した光の集結によって、図6及び図8に示されるビーム構成において、メニスカスレンズ80で反射した光の、他の場合よりも多くの部分は、光結合点の中に結合される。結合された光の量のこの増加は、光検出器によって集められた光強度の対応した増加によって、検出することができる。対応した強度ピークを、光検出器、例えば図1による配置の光検出器9を用いて集めることができ、かつ距離計測デバイス7を較正するための較正ピークとして使用することができる。詳細には、可変焦点距離レンズ19の対応した焦点距離、または各強度ピークの時間における位置を使用して、距離計測デバイス7の対応した計測距離、を推定することが可能である。
【0117】
図6図7、及び図8に示されるセクションは、シャドーマスク60を有さない。シャドーマスク60が、計測光を複数の部分に分割し、かつ例えば結合点17と可変焦点距離レンズ19との間に配置され得る異なる点の距離計測データを集めるために使用される場合、図6図7、及び図8を参照すると、メニスカスレンズ60の動作に成された観察も、それに応じて当てはまる。
【0118】
図9は、メニスカスレンズで反射した光の強度の、時間曲線を示す。
【0119】
詳細には、図9図6図7、及び図8に示される配置で計測された光強度の時間依存を表わし、メニスカスレンズ80、及び光ファイバ16の中に結合された加工するワークピース4で、反射した光の部分の強度は、チューニング周期中に計測される。ここで、チューニング周期は、最小から最大の作動値、またはその逆の曲線に相当する。図9において、時間t及び強度Iは、任意の単位で表わされる。特定の時間値において、強度I(t)の時間依存は、明瞭な強度ピークまたは較正ピークを有する。詳細には曲線I(t)は、はっきりとした左手ピーク(a)、はっきりとした右手ピーク(c)、及び幾分広い中央ピーク(m)を有する。はっきりとした左手ピーク(a)は、メニスカスレンズ80の凹状面81での反射が、光ファイバ16の光結合点17で集結され、それによって集結した形態で光ファイバ16に入る場合、図6に表わされるビーム構成に相当する。図7に表わされるビーム構成は、光結合点17がメニスカスレンズ80の凹状面81及び凸状面82で反射した光の、2つの焦点間にもたらされた場合、2つのピーク(a)と(c)との間で生じる。この場合、凹状面81での反射も、凸状面82での反射も、光ファイバ16に正確に結合され得ない。このインターバル中に、ピーク(m)が、加工するワークピース4で反射した光によって生じ、それがワークピース4からの距離を計測するのを可能にする(計測ピーク)。右手ピーク(c)は、メニスカスレンズの凸状面82からの反射が光結合点17において集結された形態で光ファイバ16に入る場合、図8に表わされるビーム構成に相当する。示される周期の開始及び終了時のはっきりとしたピーク(a)及び(c)は、詳細には、各々が時間内に良好に画定された位置を有し、それによって距離計測デバイスの精確な較正の基礎として使用することができる。ピーク(a)及び(c)は、強度曲線の特性曲線を使用して、容易に識別され、かつ関連のビーム構成に割り当てられ得る。
【0120】
図10は、別の実施形態によるワークピースの制御加工のためのデバイスの、概略形態を示す。図10のデバイス1は、基本的に図1に示されるデバイス1に相当するが、ファイバカプラの代わりに、計測光を第1の光ファイバ10の光射出端部91を介して連結するよう、かつ加工するワークピース4で反射した計測光を結合解除するよう設計された、ビーム分割器90を備える。ビーム分割器90によって結合解除された計測光を、光検出器によって集められるように、第2のファイバ13における光入射端部92の中に結合することができる。第1の光ファイバ10の光射出端部91及び第2の光ファイバ13の光入射端部92は、互いに対して共焦的に構成される。ビーム分割器を使用することによって、ファイバカプラで生じる乱れた散乱光の影響を回避することが可能である。いくつかの実施形態において、ビーム分割器90は、ビーム分割器キューブとして設計される。ビーム分割器キューブは、堅牢で、低い漂遊損失を呈する。
【0121】
いくつかの実施形態において、ビーム分割器90を有するデバイス1は、少なくとも1つのシャドーマスクを有する。
【0122】
図10に示される例において、デバイス1は、基本的に同一設計の2つのシャドーマスク60を有する。一方のシャドーマスク60は、第1のファイバ10における光射出端部91の下流に配置され、第2のシャドーマスク60は、第2の光ファイバ13における光入射端部92の上流に配置される。シャドーマスク60は、第1及び第2の光ファイバ10、13のファイバ端部に直接配置される。
【0123】
シャドーマスク60は、図1図2、及び図3に示され、かつ上述したシャドーマスクと類似の設計とすることができる。シャドーマスク60は、2つのシャドーマスク60の穴61(図示せず)が互いに共焦的に整合されるように、配置かつ整合される。
【0124】
図11は、1つの実施形態によるワークピースを制御加工するための方法の、フロー図である。
【0125】
ワークピースを制御加工するための方法100は、異なるシーケンス及び必要に応じて繰り返して実施することができる、複数のステップを含む。例えば方法は、図1または図2によるデバイスによって実施することができる。
【0126】
ステップ110において、レーザ焦点を発生させるためのレーザ光ビームは、加工するワークピースの目標点に合焦される。レーザ光ビームの合焦は、詳細には、レーザビームを加工するワークピースの目標点に集結させるために、レーザ照準器を使用して実施することができる。ステップ110におけるレーザ光ビームの合焦は、詳細には、加工するワークピース4の加工がステップ110で行なわれないか、小さい材料加工しか行なわれないよう、低いレーザ出力で行なわれる。レーザ光ビームの合焦は、例えば偏向プレートなどを伴う、レーザビームと同一直線状のレーザ光ビームのビーム経路の中に結合されるレーザを伴う、例えばHeNeレーザなどの補助的なレーザを使用して実施することもできる。2つの旋回するガルボミラーを伴うガルボスキャナを、レーザ照準器またはスキャナとして使用することができる。
【0127】
ステップ120において、加工するワークピースの目標点と、レーザ照準器またはレーザ照準器の固定基準点もしくは基準面との間の距離を判断するために、光距離計測デバイスによって、光距離計測データが集められる。距離計測デバイスを、計測光、詳細には近赤外スペクトル範囲における広帯域計測光を発生させるための計測光源を有し、かつ可変焦点距離計測レンズシステム、詳細には可変焦点距離レンズを有する、共焦点光距離計測デバイスとして設計することができる。方法は、可変焦点距離計測レンズシステムの異なる焦点距離値における距離計測データを集めるために、可変焦点距離計測レンズシステムにおける、焦点距離の経時的変化を含むことが可能である。
【0128】
距離計測データを集めることは、詳細には、加工するワークピースで反射した計測光の強度を集めることを含み、それによって、その強度を使用して、詳細にはワークピースで反射した計測光の、強度の時間曲線を使用して、距離は判断される。
【0129】
ステップ130において、加工するワークピースは、集められた距離計測データに基づいて、レーザ焦点に対して位置決めされる。いくつかの実施形態において、加工するワークピースの位置決めの代替または追加として、レーザは再合焦される。
【0130】
ステップ140において、加工するワークピースの目標点は、合焦レーザビームを用いて加工される。
【0131】
いくつかの実施形態において、可変焦点距離計測レンズシステムにおける焦点距離の経時的変化は、可変焦点距離計測レンズシステムにおける異なる焦点距離の距離計測値を集めるために、可変焦点距離計測レンズシステムにおける焦点距離のチューニング、特に周期的なチューニングを含む。
【0132】
可変焦点距離計測レンズシステムにおける焦点距離の変化は、詳細には可変焦点距離光学素子、詳細には可変焦点距離レンズを使用して、実施することができる。
【0133】
計測周期は、通常は25ms続けることができる。計測周期中、可変焦点距離レンズの光パワーを、例えば±13の範囲の度数でチューニングすることができ、計測光の焦点を、計測レンズシステムの軸方向または計測レンズシステムの光軸に沿って、約+7mmずらすことが可能である。
【0134】
周期点と焦点位置との間の公知の関係を用いると、最大強度を使用して、加工するワークピースまでの距離を判断することが可能である。
【0135】
周期点と距離との間の関係を判断するために、いくつかの実施形態において、較正計測が、特にレーザ加工に先立って実施される。
【0136】
少なくとも1つの例示的な実施形態を、上記で説明したが、様々な変化及び変更を成すことも可能である。前述の実施形態は単に例であり、この開示の有効性、適用性、または構成の範囲のいかなる制限も意図しない。実際、前述の説明は当業者に、少なくとも1つの例示的な実施形態の実施のための計画を提供し、添付の特許請求の範囲及びそれらの法的同等物の範囲を離れることなく、例示的な実施形態で説明された動作のモード及び要素の配置の、多くの変化を成すことが可能である。
【符号の説明】
【0137】
1 デバイス
2 レーザ
3 レーザ光ビーム
4 ワークピース
5 レーザ照準器
6 目標点
7 距離計測デバイス
8 計測光源
9 光検出器
10 第1の光ファイバ
11 第1の接続点
12 ファイバカプラ
13 第2の光ファイバ
14 第2の接続点
15 第3の接続点
16 第3の光ファイバ
17 光結合点
18 照準レンズ
19 可変焦点距離レンズ
30 偏向プレート
31 偏向プレート
32 カメラ
33 照準レンズ
40 評価及び制御ユニット
41 評価ユニット
42 レンズ制御ユニット
43 位置決め制御ユニット
44 信号ライン
45 レンズ制御ライン
46 位置決め制御ライン
47 位置決め器
50 合焦レンズ
51 ミラー対
60 シャドーマスク
61 穴
80 メニスカスレンズ
81 凹状面
82 凸状面
83 円形穴
90 ビーム分割器
91 第1の光ファイバ端部
92 第2の光ファイバ端部
100 方法
110 合焦させる
120 距離計測データを集める
130 位置決めをする
140 加工する
A 光軸
F 焦点
H 計測範囲
O ゼロ面
t 時間座標
x、y、z 空間座標
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】