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特表2022-516729ロイコトリエン受容体アンタゴニストを含有する新たな製剤
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  • 特表-ロイコトリエン受容体アンタゴニストを含有する新たな製剤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】ロイコトリエン受容体アンタゴニストを含有する新たな製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20220222BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 31/41 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 31/404 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220222BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20220222BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220222BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20220222BHJP
   A61K 31/557 20060101ALI20220222BHJP
   C07K 14/435 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/426
A61K31/41
A61K31/404
A61P29/00
A61P17/06
A61P17/10
A61P17/00
A61P11/02
A61P11/04
A61P11/00
A61P37/08
A61P17/02
A61P1/04
A61P1/00
A61P1/10
A61P35/00
A61K9/06
A61K31/4709
A61K31/47
A61P43/00 111
A61P31/00
A61K47/14
A61K47/34
A61K47/10
A61K47/06
A61K47/26
A61K38/08
A61K31/557
C07K14/435 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538675
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 CN2020071337
(87)【国際公開番号】W WO2020143744
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/071081
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519463547
【氏名又は名称】ジャンイン ムコケア ファーマシューティカル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サミュエルソン,ベングト インゲマー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA07
4C076AA08
4C076BB21
4C076BB27
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC10
4C076CC15
4C076CC16
4C076CC18
4C076CC19
4C076CC20
4C076CC27
4C076CC29
4C076CC31
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD46
4C076DD68
4C076EE23
4C076FF02
4C076FF68
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA17
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA23
4C084CA59
4C084MA02
4C084MA28
4C084MA56
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA341
4C084ZA342
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA681
4C084ZA682
4C084ZA721
4C084ZA722
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB321
4C084ZB322
4C084ZC421
4C084ZC422
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086BC28
4C086BC62
4C086BC82
4C086DA01
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA28
4C086MA56
4C086MA63
4C086NA05
4C086ZA34
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA72
4C086ZA89
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB26
4C086ZB32
4C086ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA15
4H045BA50
4H045CA50
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、その塩または溶媒和物を含む局所的に使用され得る医薬製剤が提供される。言及され得る特定のロイコトリエン受容体アンタゴニストには、モンテルカストスチレンが含まれる。製剤は、創傷、熱傷、乾癬、痔核、にきび、およびアトピー性皮膚炎を含む、炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする病態の治療のための直接局所投与に特に有用である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロイコトリエン受容体アンタゴニストまたはその塩もしくは溶媒和物を、局所アジュバント、希釈剤、または担体と混合して含む、局所投与に適し、適合され、かつ/または包装され、提示される、製剤。
【請求項2】
前記ロイコトリエン受容体アンタゴニストが、シナルカスト、ポビルカスト、プランルカスト、およびザフィルルカストの群から選択される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記ロイコトリエン受容体アンタゴニストが、式Iの化合物であって、
【化1】

式中、
が、-C(CHOR、-C(=O)CH
-C(CH)=CH、-C(CHH、-C(CH)(OH)COH、-C(CH)(OH)CHOH、および
-C(=O)NHからなる群から選択され、
およびRが、独立してHまたは-OHであり、
が、H、-OH、-OS(O)CH、式IIの構造フラグメント、
【化2】

もしくは式IIIの構造フラグメントであり、
【化3】

式中、式IIおよびIIIの前記フラグメントにおける波線が、前記それぞれのフラグメントの式Iの前記化合物への付着点を表し、nが、0、1、もしくは2であり、
式Iの前記化合物における点線が、任意の二重結合を表し、二重結合が存在する場合、Rが、Hを表し、二重結合が存在しない場合、Rが、Hもしくは上記で定義される式IIの構造フラグメントを表し、
が、HもしくはClであり、
が、-C(O)R、-CN、および式IVの構造フラグメントからなる群から選択され、
【化4】

式中、式IVの前記フラグメントにおける波線が、式IIの前記構造フラグメントへの付着点を表し、
が、-NHもしくは-OR10であり、
11が、HもしくはOHであり、
およびR10が、独立して、H、-CH、もしくはグルクロニド残基である、化合物、
またはその位置異性体、幾何異性体、もしくは立体異性体である、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
式Iの前記化合物において、Rが、式IIの構造フラグメントであり、以下の構成であり、
【化5】

式中、n、R、およびR11が、請求項3に定義される通りである、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
式Iの前記化合物において、Rが、式IIまたはIIIの構造フラグメントを表し、nが、0である、請求項3または請求項4に記載の製剤。
【請求項6】
式Iの前記化合物において、Rが、式IIの構造フラグメントを表し、R11が、Hである、請求項3~5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
式Iの前記化合物において、Rが、式IIの構造フラグメントを表し、Rが、-C(O)Rを表す、請求項3~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
が、-OHである、請求項7に記載の製剤。
【請求項9】
式Iの前記化合物において、Rが、
-C(CHOR、-C(=O)CH、-C(CH)=CH、および-C(CHHからなる群から選択される、請求項3~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
が、-C(CHOH、-C(=O)CH、-C(CH)=CH、および-C(CHHからなる群から選択される、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
式Iの前記化合物において、Rが、Hである、請求項3~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
式Iの前記化合物において、Rが、Hである、請求項3~11のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
式Iの前記化合物において、前記点線が、二重結合を表し、キノリン環が、中央の1,3-二置換フェニル環まで前記二重結合にわたってトランスに位置する、請求項3~12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
式Iの前記化合物において、Rが、Clである、請求項3~13のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
式Iの前記化合物において、Rが、-C(CH)ORである、請求項3~14のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項16】
が、Hである、請求項15に記載の製剤。
【請求項17】
式Iの前記化合物において、Rが、-C(CH)=CHまたは-C(CH)Hである、請求項3~16のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
式Iの前記化合物が、モンテルカストスチレンである、請求項3~17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
式Iの前記化合物が、水素化モンテルカストスチレンである、請求項3~17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
医薬製剤である、請求項1~19のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
医薬としての使用のための、請求項3~20のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物。
【請求項22】
薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して、請求項3~19のいずれか一項に定義される化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、医薬製剤。
【請求項23】
前記製剤が、クリームまたは軟膏の形態にある、請求項1~20または22のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項24】
ポリエチレングリコールを含む、請求項23に記載の製剤。
【請求項25】
前記ポリエチレングリコールが、ポリエチレングリコール400である、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
(a)少なくとも1つのイガイ接着タンパク質またはその誘導体と、
(b)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、を含む、組み合わせ生成物。
【請求項27】
少なくとも1つのイガイ接着タンパク質またはその誘導体を含む医薬製剤と、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物と、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と、を含む、請求項26に記載の組み合わせ生成物。
【請求項28】
請求項26に記載の組み合わせ生成物であって、構成要素:
(A)少なくとも1つのイガイ接着タンパク質またはその誘導体を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して含む、医薬製剤と、
(B)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を、薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と混合して含む、医薬製剤と、を含む、パーツキットを含み、
構成要素(A)および(B)が、他方と組み合わせた投与に適した形態でそれぞれ提供される、組み合わせ生成物。
【請求項29】
(I)請求項28に定義される構成要素(A)および(B)のうちの一方を、
(II)前記2つの構成要素のうちの他方と組み合わせてその構成要素を使用するための指示書と一緒に含む、パーツキット。
【請求項30】
構成要素(A)および(B)が、炎症性障害の治療における逐次的な、別個の、および/または同時の使用に好適である、請求項28または請求項29に記載のパーツキット。
【請求項31】
前記少なくとも1つのイガイ接着タンパク質が、mefp-1を含む、請求項26~30のいずれか一項に定義される、組み合わせ生成物。
【請求項32】
配列Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-DOPA-Lysもしくはその塩、またはAla-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-Tyr-Lysもしくはその塩のペプチドである、イガイ接着タンパク質の誘導体を含む、請求項26~30のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物。
【請求項33】
前記製剤のうちの1つ以上が、クリームまたは軟膏の形態にある、請求項26~32のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物。
【請求項34】
前記ロイコトリエン受容体アンタゴニストが、モンテルカストではない、請求項1~25のいずれか一項に定義される製剤、または請求項26~33のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物。
【請求項35】
炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする障害もしくは病態の前記治療のための医薬品の製造のための、請求項1~25もしくは34のいずれか一項に定義される製剤、または請求項26~33のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物の、使用。
【請求項36】
炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする障害もしくは病態の前記治療における使用のための、請求項1~25もしくは34のいずれか一項に定義される製剤、または請求項26~34のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物。
【請求項37】
炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする障害もしくは病態の治療の方法であって、請求項1~25もしくは34のいずれか一項に定義される製剤、または請求項26~34のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物の、そのような治療を必要とする患者への前記投与を含む、方法。
【請求項38】
前記炎症性障害が、乾癬、にきび、湿疹、皮膚炎、鼻炎、咽頭炎、および慢性閉塞性肺疾患から選択される、請求項35に記載の使用、請求項36に記載の使用のための製剤、もしくは組み合わせ生成物、または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記皮膚炎が、アトピー性皮膚炎またはステロイド依存性皮膚炎である、請求項38に記載の使用、使用のための製剤、使用のための組み合わせ生成物、または方法。
【請求項40】
炎症を特徴とする前記病態または障害が、創傷または熱傷である、請求項35に記載の使用、請求項36に記載の使用のための製剤、もしくは組み合わせ生成物、または請求項37に記載の方法。
【請求項41】
前記創傷が、擦過傷、引っ掻き傷、切開、裂傷、皮膚穿刺、剥離、打撲傷、瘢痕もしくは水疱、または上記のうちのいずれかに関連するかゆみである、請求項40に記載の使用、使用のための製剤、使用のための組み合わせ生成物、または方法。
【請求項42】
炎症を特徴とする前記病態または障害が、大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、胃潰瘍形成、胃炎、胃潰瘍、胃癌、便秘、胃炎、胃腸管に影響を与える癌および/もしくは感染症に関連する炎症、胃食道逆流症、または痔核である、請求項35に記載の使用、請求項36に記載の使用のための製剤、もしくは組み合わせ生成物、または請求項37に記載の方法。
【請求項43】
病態が、関連する炎症部位への直接局所投与によって治療される、請求項35~42のいずれか一項に記載の使用、使用のための製剤、使用のための組み合わせ生成物、または方法。
【請求項44】
前記投与が、皮膚へである、請求項43に記載の使用、使用のための製剤、使用のための組み合わせ生成物、または方法。
【請求項45】
前記投与が、粘膜表面へである、請求項43に記載の使用、使用のための製剤、使用のための組み合わせ生成物、または方法。
【請求項46】
特発性肺線維症の前記治療のための医薬品の製造のための、請求項1~25もしくは33のいずれか一項に定義される製剤、または請求項24~34のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物の、使用。
【請求項47】
特発性肺線維症の前記治療における使用のための、請求項1~25もしくは34のいずれか一項に定義される製剤、または請求項26~34のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物。
【請求項48】
特発性肺線維症の治療の方法であって、請求項1~23もしくは34のいずれか一項に定義される製剤、または請求項26~34のいずれか一項に定義される組み合わせ生成物の、そのような治療を必要とする患者への前記投与を含む、方法。
【請求項49】
前記投与が、局所的である、請求項46に記載の使用、請求項47に記載の使用のための製剤、もしくは組み合わせ生成物、または請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記投与が、肺への直接局所投与である、請求項49に記載の使用、使用のための製剤、使用のための組み合わせ生成物、または方法。
【請求項51】
請求項1~25または34のいずれか一項に定義される前記ロイコトリエン受容体アンタゴニストを、前記1つ以上のアジュバント、希釈剤、または担体と関連付けることを含む、請求項1~25または34のいずれか一項に定義される医薬製剤の調製のための、プロセス。
【請求項52】
請求項28~34のいずれか一項に定義されるパーツキットの調製のためのプロセスであって、前記パーツキットの構成要素(A)を、前記パーツキットの構成要素(B)と関連付けることを含む、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の医薬の組み合わせ、ならびに新規の医薬用途および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、典型的には、例えば、微生物、特定の抗原、損傷細胞、または物理的および/もしくは化学的因子の侵入に対する局所的な組織応答として特徴付けられる。炎症応答は通常、有害物質および傷害組織の両方を破壊、弱め、または隔離し、組織の治癒を開始する保護機構である。
【0003】
炎症は、物理的な外傷、感染、何らかの慢性疾患(例えば、乾癬および関節リウマチなどの自己免疫疾患)、ならびに/または外部刺激に対する化学的および/もしくは生理学的反応(例えば、アレルギー応答の一部)に起因する場合がある。炎症性メディエータが血流および局所血管の拡張を増加させ、発赤および熱、体液の滲出をもたらし、しばしば局所的な腫脹、炎症領域への白血球遊走、および疼痛をもたらす、一連の複雑な事象が関与する場合がある。
【0004】
多くの病態/障害は、異常な組織損傷炎症を特徴とし、かつ/またはそれによって引き起こされる。そのような病態は、典型的に、免疫防御機構の活性化を特徴とし、宿主にとって有益というよりもより有害である効果をもたらし、一般に異なる程度の組織の発赤もしくは充血、腫脹、高体温、疼痛、かゆみ、細胞死、組織破壊、細胞増殖、および/または機能喪失に関連している。例には、炎症性腸疾患、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、糸球体腎炎、および移植拒絶が含まれる。
【0005】
典型的には、一連の複雑な事象が、発赤および熱をもたらす局所血管の拡張による血流の増加、しばしば局所的な腫脹をもたらす白血球および血漿の血管外遊出、感覚神経の活性化(一部の組織で疼痛をもたらす)、ならびに機能喪失などの炎症性変化をもたらす。これらの炎症性変化は、好中球、単球、マクロファージ、およびリンパ球などの細胞に、血管作用性アミン、サイトカイン、補体因子、および活性酸素種などの炎症性メディエータと一緒に関与する、細胞および生化学的事象のカスケードによって引き起こされる。
【0006】
とりわけ、炎症は、創傷治癒プロセスにおいて重要な役割を果たす。したがって、創傷および熱傷は、炎症が関連する病態として分類することができる。当該技術分野における従来的な考え方は、創傷治癒の進行に有害であるため、開放創に抗炎症薬を直接適用すべきではないというものである。
【0007】
Mytilus edulisの足のタンパク質(mefp)としても知られるイガイ接着タンパク質(MAP)は、Mytilus edulis、Mytilus coruscus、およびPerna viridisなどの海洋貝類によって分泌されるタンパク質である。接着タンパク質は、それが産生および保管されている足糸腺からイガイによって分泌される。岩などの固体の表面だけでなく、金属、木材、ガラスなどの他の固体物体の表面に分泌されると、イガイを固体物体に固定する防水結合が形成される。イガイは、典型的には、群で、沿岸のサンゴ礁または船の底に接着する。結合は信じられないほど強力であり、沿岸水域の波浪障害に抵抗する能力を有している。
【0008】
Mytilus edulis、Mytilus galloprovincialis、Mytilus californias、およびPerna viridisの研究により、これまでのところ、イガイに由来する11種類の別個の接着タンパク質サブタイプが同定されている:mfp-1(しばしば「mefp-1」と称されることがあり、以下では同義的に使用される)、mfp-2/mefp-2、mfp-3/mefp-3、mfp-4/mefp-4、mfp-5/mefp-5、mfp-6/mefp-6;コラーゲンpre-COL-P、pre-COL-D、およびpre-COL-NG、ならびにイガイの足のマトリックスタンパク質PTMP(近位糸状部マトリックスタンパク質)およびDTMP(遠位近位糸状部マトリックスタンパク質)。例えば、Zhu et al,Advances in Marine Science,32,560(2014)、およびGao et al,Journal of Anhui Agr.Sci.,39,19860(2011))を参照されたい。
【0009】
そのサブタイプを含むすべてのイガイ接着タンパク質は、以下を含むという点で2つの構造特徴を有している:(1)リジンは、タンパク質が(NH末端により)高い正電荷負荷を運ぶようにする、(2)3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン(DOPA、ドーパミン)、そのカテコール部分は、強力な共有結合の形成をもたらし、その結果、イガイ接着タンパク質が固体表面に結合する能力を担う。
【0010】
イガイ接着タンパク質生成物に基づく生成物は現在、(組織接着剤としての微小細胞接着、ならびに創傷および熱傷の治療を含む)限られた数の分野で使用されている。市販の生成物は、イガイ接着タンパク質の溶液として直接使用されるか、または使用前に溶解するための凍結乾燥粉末として保存されるかのいずれかである。
【0011】
モンテルカストを含む、しばしば集合的に「ルカスト」と称されるロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LRA)は、季節性アレルギーの症状の維持治療および予防のために胃腸管に経口投与される経口活性非ステロイド性免疫調節化合物である(例えば、Hon et al,Drug Design,Development and Therapy,8,839(2014)を参照されたい)。これらの化合物は、主に、気道のシステイナル(cysteinal)ロイコトリエン受容体CysLT1に対するロイコトリエンD4(ならびにロイコトリエンC4およびE4)の作用を遮断することにより作用する。
【0012】
様々な他の炎症性障害の治療における潜在的使用は文献に記載されているが、出願人の知る限り、ロイコトリエン受容体アンタゴニストは、例えば、炎症を治療するために、臨床環境において局所的に、例えば、皮膚に投与されたことはない。
【0013】
さらに、出願人の知る限り、例えば、炎症を治療するための、具体的にはイガイ接着タンパク質およびLRAまたはその誘導体を含む組み合わせ生成物の使用は、先行技術では開示されていない。
【発明の概要】
【0014】
本発明の3つの第1の態様によれば、LRAまたはその薬学的に、獣医学的に、または美容的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む(医薬、獣医、または美容)製剤であって、
(a)局所投与、
(b)炎症、炎症性障害、および/もしくは炎症を特徴とする病態の治療、ならびに/または
(c)炎症、炎症性障害、および/もしくは炎症を特徴とする病態のその製剤の直接局所投与による治療における使用に適し、適合され、かつ/または包装され、提示される製剤が提供される。
【0015】
言及され得るLRAは、シナルカストおよびポビルカスト、好ましくはプランルカストおよびザフィルルカスト、より好ましくはモンテルカストの誘導体を含み、その誘導体は式Iのものであって、
【化1】

式中、
は、-C(CHOR、-C(=O)CH
-C(CH)=CH、-C(CHH、-C(CH)(OH)COH、-C(CH)(OH)CHOH、および
-C(=O)NHからなる群から選択され、
およびRは、それぞれ独立してHまたは-OHであり、
は、H、-OH、-OS(O)CH、式IIの構造フラグメント、
【化2】

または式IIIの構造フラグメントであり、
【化3】

式中、式IIおよびIIIのフラグメントにおける波線は、それぞれのフラグメントの式Iの化合物への付着点を表し、nは、0、1、または2であり、
式Iの化合物における点線は、任意の二重結合を表し、二重結合が存在する場合、Rは、Hを表し、二重結合が存在しない場合、Rは、Hまたは上記で定義される式IIの構造フラグメントを表し、
は、HまたはClであり、
は、-C(O)R、-CN、および式IVの構造フラグメントからなる群から選択され、
【化4】

式中、式IVのフラグメントにおける波線は、式IIの構造フラグメントへの付着点を表し、
は、-NHまたは-OR10であり、
11は、HまたはOHであり、
およびR10は、独立して、H、-CH、もしくはグルクロニド残基である、式Iのもの、
またはその位置異性体、幾何異性体、もしくは立体異性体である。
【0016】
上述したように、式Iの化合物が二重結合を含有する場合、それらは二重結合の周りにE(entgegen)およびZ(zusammen)幾何異性体として存在し得る。すべてのそのような異性体およびそれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。誤解を避けるために、式Iの化合物において、キノリン環は、中央の1,3-二置換フェニル環まで二重結合にわたってシス(Z幾何異性体として)またはトランス(E幾何異性体として)のいずれかに位置し得る。
【0017】
好ましくは、キノリン環は、中央の1,3-二置換フェニル環まで二重結合にわたってトランスに位置している、すなわちE幾何異性体。
【0018】
LRA、特に式Iの化合物は、キラル炭素原子を含有する。この点において、すべての立体異性体およびそれらの混合物(ラセミ混合物を含む)が、本発明の範囲内に含まれる。
【0019】
式Iの好ましい化合物には、Rが-OHを表す場合、それが以下の構成であり、
【化5】

より好ましくは、Rが式IIの構造フラグメントである場合、それが以下の構成であり、
【化6】

ここで、n、R、およびR11は、上文に定義される通りであるものが含まれる。
【0020】
本発明のいくつかの態様では、LRAは、モンテルカストであり得るが、言及され得るLRAは、LRAがモンテルカストではないものを含む。言及され得る式Iの化合物は、上文に定義されるものを含み、但し、Rが-C(CHORであり、RがClであり、R、R、およびRがすべてHである場合、点線は、二重結合を表し、キノリン環は、中央の1,3-二置換フェニル環まで二重結合にわたってトランス(E幾何異性体として)に位置し、Rは、式IIの構造フラグメントであり、nは、0であり、R11は、Hであり、Rは、-C(O)Rであり、Rは、-OR10であり、R10は、Hではない。
【0021】
式Iの好ましい化合物には、
が、-C(CHOR、-C(=O)CH
-C(CH)=CH、および-C(CHHからなる群から選択され、
が、Hであり、
が、Hであり、
が、式IIの構造フラグメントであり、
nが、1、または好ましくは0であり、
点線が、二重結合を表し、
が、Clであり、
が、Hであり、
が、-C(O)Rであり、
が、-OR10であり、
10およびR11が、それぞれ独立してHであるものが含まれる。
【0022】
言及され得る式Iの化合物には、Rが-C(CHOH、-C(=O)CH、-C(CH)=CH、および
-C(CHHからなる群から選択されるものが含まれる。
【0023】
式Iの好ましい化合物には、Rが-C(CH)=CHもしくは
-C(CH)Hであり、および/またはnが0であるものが含まれる。
【0024】
式Iの特に好ましい化合物には、モンテルカストスチレンおよび水素化モンテルカストスチレンが含まれる。
【0025】
誤解を避けるために、モンテルカストスチレンは次の化学構造を有し
【化7】

(例えば、Saravanan et al,Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis,48,708(2008)を参照されたい)、水素化モンテルカストスチレンは次の化学構造を有する
【化8】

(例えば、Gandhi et al,Anal.Methods,8,1667(2016)を参照されたい)。
【0026】
式Iの化合物を含む、LRAは、塩の形態にあり得る。言及され得る塩には、薬学的および/または美容的に許容される酸付加塩および塩基付加塩などの、薬学的に許容される塩および/または美容的に許容される塩が含まれる。そのような塩は、従来の手段によって、例えば、関連化合物と、1当量以上の適切な酸または塩基とを、任意で塩が不溶である溶媒中または培地中で反応させ、その後標準的な技術を使用して(例えば、真空下で、凍結乾燥によって、または濾過によって)、該溶媒または該培地を除去することによって、形成されてもよい。塩はまた、例えば、好適なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の有効成分の対イオンを別の対イオンと交換することによって、調製されてもよい。
【0027】
好ましい塩には、例えば、酢酸塩、塩酸塩、重硫酸塩、マレイン酸塩、メシレート、トシレート、カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、またはナトリウムおよびカリウム塩などのアルカリ金属塩が含まれる。最も好ましくは、本発明の化合物は、酢酸塩の形態にあり得る。
【0028】
特定のLRAシナルカスト、ポビルカスト、プランルカスト、およびザフィルルカストは、既知のLRA有効成分である。
【0029】
式Iの化合物であるモンテルカストの誘導体は、文献で知られており(例えば、上記の文献の参考文献、ならびにDrug Metabolism and Disposition,43,1905(2015)およびToxicology Letters、http://dx.doi.org/10.1016//j.tox.let.2015.07.03を参照されたい)、市販されており、かつ/または適切な試薬および反応条件を使用して利用可能な出発材料から従来の技術によって調製することができる。この点に関して、当業者は、特に、“Comprehensive Organic Synthesis”by B.M.Trost and I.Fleming,Pergamon Press,1991を参照することができる。用いられ得るさらなる参考文献は、“Heterocyclic Chemistry”by J.A.Joule,K.Mills and G.F.Smith,3rd edition,published by Chapman&Hall、“Comprehensive Heterocyclic Chemistry II”by A.R.Katritzky,C.W.Rees and E.F.V.Scriven,Pergamon Press,1996、および“Science of Synthesis”,Volumes 9-17(Hetarenes and Related Ring Systems),Georg Thieme Verlag,2006を含む。また、とりわけ、Saravanan et al,Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis,.48,708(2008)、Gandhi et al,Analytical Methods,8,1667(2016)、およびCardoso et al,Drug Metab.Dispos.,43,1905(2015)に記載される合成を参照されたい。
【0030】
当業者であれば、本明細書に定義される置換基およびその上の置換基が、当業者に周知の方法により、式Iの化合物の調製のためのプロセスの後またはその間に1回以上修飾されてもよいことを理解するであろう。そのような方法の例には、置換、還元、酸化、脱水素化、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、エーテル化、ハロゲン化、およびニトロ化が含まれる。前駆体基は、反応順序の間いつでも、異なるそのような基または式Iの化合物において定義される基に変えることができる。当業者はまた、“Comprehensive Organic Functional Group Transformations”by A.R.Katritzky,O.Meth-Cohn and C.W.Rees,Pergamon Press,1995、および/または“Comprehensive Organic Transformations”by R.C.Larock,Wiley-VCH,1999を参照し得る。
【0031】
式Iの化合物は、それらの反応混合物から単離され、必要な場合には当業者に既知のものなどの従来技術を使用して精製することができる。したがって、式Iの化合物の調製プロセスは、最終工程として、関連化合物の単離および任意に精製を含み得る。
【0032】
式Iの化合物の調製プロセスにおいて、中間体化合物の官能基を保護基によって保護する必要があり得ることを当業者は理解するであろう。官能基の保護および脱保護は、反応の前または後に行ってもよい。
【0033】
保護基は、当業者に周知であって以下に記載されるような技術に従って適用および除去することができる。例えば、保護された化合物/中間体は、標準的な脱保護技術を使用して、保護されていない化合物に化学的に変換することができる。関与する化学の種類は、保護基の必要性および種類ならびに合成を達成するための順序を決定付けるであろう。保護基の使用は、“Protective Groups in Organic Synthesis”,5th edition,T.W.Greene&P.G.M.Wutz,Wiley-Interscience(2014)に十分に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
式Iの特定の化合物が有用であるのは、それらが薬理学的活性を有するためである。したがって、それらの化合物は、人間および動物医学において有用である。したがって、それらは、医薬品として(および/または獣医学で)示されるが、化粧品および/または医療デバイスの一部としても使用することができる。
【0035】
したがって、本発明のさらなる態様では、上文に定義される式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む医薬、獣医、または美容製剤であって、ヒトまたは動物への投与に適し、適合され、かつ/または包装され、提示される製剤が提供される。この点で、そのような製剤において、上文に定義される式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物は、製剤中に存在するすべての有効医薬成分の総量の約10重量%を超える、例えば、約40重量%超を含む、約20重量%を超える量で存在する。
【0036】
式Iの化合物を含む好ましい医薬製剤には、モンテルカストスチレンを含むものが含まれる。
【0037】
医薬、獣医薬、または化粧品としての使用のための、上文に定義される式Iの化合物(例えば、モンテルカストスチレン)、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物がさらに提供される。
【0038】
本明細書に記載されるLRAは、それ自体で薬理学的活性を有し得るが、その特定の薬学的に許容される(例えば、「保護された」)誘導体が存在しても、調製されてもよく、それらは、そのような活性を有さなくてもよいが、投与され、その後に体内で代謝または化学的に変換されて、そのようなLRAを形成することができる。したがって、(いくらかの薬理学的活性を有し得るが、但し、そのような活性が、それらが代謝/変換される活性化合物の活性よりも認識できるほどに低いことを条件とする)そのような化合物は、本明細書に記載されるLRAの「プロドラッグ」として記載され得る。
【0039】
本明細書で使用される場合、プロドラッグへの言及は、投与後の所定の時間内に、実験的に検出可能な量で関連LRA化合物を形成する化合物を含むであろう。本明細書に記載のLRA化合物のすべてのプロドラッグが、本発明の範囲内に含まれる。
【0040】
本明細書に記載のLRAは、炎症の治療に特に有用である。
【0041】
「炎症の治療」には、原因に関わらず、身体の任意の器官(軟部組織、関節、神経、血管系、内臓器官、特に粘膜表面、および具体的には皮膚を含む)における炎症の治療が含まれ、すべてのそのような炎症性障害もしくは病態、および/または炎症を特徴とする(例えば、症状として)障害もしくは病態もまた含まれる。
【0042】
炎症障害および/または病態は、宿主にとって有益というよりも有害である効果をもたらす、免疫防御機構の活性化を特徴とする場合がある(かつ典型的には、それらを特徴とする)。そのような病態は一般に、異なる程度の、組織の発赤もしくは充血、腫脹、浮腫、高体温、疼痛(痛みを含む)、体液の滲出、かゆみ(そう痒症)、細胞死、および組織破壊、細胞増殖、ならびに/または機能喪失に関連している。
【0043】
本発明のさらなる態様によれば、炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする(例えば、症状として)障害/病態の治療の方法であって、本明細書に開示されるLRAまたはその塩もしくは溶媒和物を含む製剤を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法が提供される。
【0044】
言及され得る炎症病態には、動脈炎、糖尿病、メタボリックシンドローム、酒さ、喘息およびアレルギー、強直性脊椎炎、慢性閉塞性肺疾患、痛風性関節炎、炎症性腸疾患(クローン病および潰瘍性大腸炎など)、多発性硬化症、変形性関節症、膵炎、前立腺炎、乾癬性関節炎、関節リウマチ、腱炎、滑液包炎、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、ブドウ膜炎、じんましん、血管炎、肥満細胞症、糖尿病性血管合併症、片頭痛、アテローム性動脈硬化症、ならびに関連する心血管障害が含まれる。言及され得る炎症を特徴とする病状は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)である。言及され得る炎症を特徴とするさらなる病状は、クローン病、および特に潰瘍性大腸炎を含む、炎症性腸疾患を含む、大腸炎である。言及され得る炎症を特徴とする他の病状は、胃潰瘍形成(例えば、胃炎、胃潰瘍、胃癌、および他の胃粘膜疾患)、便秘、胃炎、胃腸管に影響を与える癌および感染症(例えば、風邪またはインフルエンザなどのウイルス感染症)に関連する炎症、ならびに胃食道逆流症(GERD)である。
【0045】
さらに特に言及され得る炎症病態には、感染(ウイルス感染および/もしくは細菌感染など)またはアレルギー/アトピー性病態(鼻炎(例えば、アレルギー性鼻炎)、咽頭炎、歯周炎、歯肉炎、眼球乾燥症、結膜炎(例えば、アレルギー性結膜炎)、皮膚炎、じんましん(urticaria)(じんましん(hives))、および食物アレルギーなど)に起因する炎症などの、皮膚または粘膜(口腔、鼻、眼、膣、子宮頸部、および/もしくは肛門直腸の粘膜、より具体的には口腔または鼻の粘膜を含む)の炎症、ならびにヘルペス、薬疹、多形性光疹、日焼け、皮膚癌の初期症状(紅斑様皮膚病変)、病理学的脱毛(皮膚移植後を含む)、化学発疹、乾癬、多形性紅斑、毛包炎、湿疹、および外耳炎などの他の炎症病態が含まれる。言及され得る病状は、多形性光疹である。
【0046】
より具体的には、LRA化合物を含む製剤(例えば、局所製剤)は、炎症を特徴とする、かつ/または炎症が関連している特定の病態の治療に使用することができる。そのような病態には、創傷(擦過創(引っ掻き傷)、(手術切開を含む)切開、裂傷、穿刺、裂離、打撲傷、および瘢痕を含む)、熱傷(皮膚移植などの、熱傷後の手術に起因する炎症を含む)、ならびに痔核などの他の病態が含まれ得る。創傷は、急性または慢性であり得、かつ/または本明細書に定義されるような1つ以上の炎症性障害に起因し得る。
【0047】
皮膚または粘膜の創傷は、膜表面の内部もしくは外部の身体的傷害から生じ得るか、または根本的な生理学的障害によって引き起こされる(すなわち、その症状である)可能性がある。
【0048】
物理的(例えば、「開放」)創傷は、鋭利な物体(切り傷、切開、穿刺)または鈍い物体/機械的な力(裂傷、擦過創、裂離)、物理的打撃(打撲傷)、熱または化学物質(熱傷および水疱)、紫外線(日焼け)、寒さ(凍瘡または凍傷)によって引き起こされる可能性がある。創傷は表在性(表皮および/もしくは真皮のみの損傷)、または全層創傷(表皮および/または真皮の下の損傷)であり得る。深刻な場合には、筋肉、骨、関節、およびさらには内臓器官などの皮下および/または粘膜下組織が、損傷を受ける場合がある。
【0049】
LRA化合物を含む製剤(例えば、局所製剤)を使用して、炎症および/または創傷に関連する疼痛(痛みを含む)を緩和することができる。具体的には、本明細書に開示されるLRAを含む製剤を使用して、処置痛および/または非処置痛を緩和することができる。当業者は、「処置痛」(すなわち、手術の疼痛)という用語が、医療の目的で行われる医学的調査および治療に関連する急性の疼痛を指すことを理解するであろう。「非処置的」という用語は、炎症および/または創傷に関連する一般的な疼痛(例えば、歯性潰瘍、熱傷、および/または瘢痕に関連する疼痛)を指し、特定の医学的介入の結果ではない。
【0050】
本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤を使用して、創傷自体および治癒プロセスに関連する炎症、疼痛(痛みを含む)、および/またはそう痒症(かゆみ)を治療することができるだけでなく、それらを使用して、創傷からの体液の滲出、感染のリスクを予防し、かつ瘢痕およびメラニン色素沈着などの炎症および/または創傷治癒プロセスに起因する生理学的反応も予防することができる。
【0051】
瘢痕は、炎症および/または創傷治癒の結果であり、そのような炎症/治癒の結果である線維性組織の形成の一般的な用語である。
【0052】
本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤(例えば、局所製剤)はまた、炎症および/または創傷治癒に起因し得る、または起因しない可能性がある、メラニン色素沈着の産生の抑制に有用であり得る。そのような製剤はまた、肝斑、そばかす、メラニン沈着(melanosis)、蝶形紅斑、および他の色素沈着(chromatosis)などのメラニン色素沈着(melanin pigmentation)に関連する障害、黒色腫を伴う皮膚癌、ならびに日光への曝露またはにきびなどの皮膚疾患によって引き起こされる色素沈着の抑制に有用であり得る。
【0053】
創傷はまた、疾患または障害の結果(例えば、炎症)として生じる可能性もある。そのような創傷には、水疱、ならびに/または皮膚および粘膜の潰瘍が含まれ得る。これらは、しばしば長続きし、治療が困難である一般的な病態である。皮膚組織は、しばしば損傷、除去、液化、感染、および/または壊死することがあり得る。潰瘍は、特に感染した場合、健康に二次的な結果をもたらす可能性があり、治癒が困難であり、治療するのに費用がかかる。それらはまた、患者に対して著しい心理的ストレスおよび経済的損失も引き起こし、全般的な幸福および生活の質の両方に影響を与える可能性がある。
【0054】
本発明のさらなる態様によれば、皮膚の、または粘膜の創傷の治癒または回復のための医薬品の製造のための、薬学的に許容される局所アジュバント、希釈剤、または担体と混合して、LRA、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、当該創傷への当該製剤の直接局所適用による、局所投与に適し、適合され、かつ/または包装され、提示される医薬製剤の使用が提供される。
【0055】
あるいは、本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤(例えば、局所製剤)が特定の有用性を見出す炎症性皮膚病態または疾患には、乾癬、にきび、湿疹および皮膚炎、特にアレルギー性/アトピー性皮膚炎、ならびに、例えば、鼻炎、特にアレルギー性鼻炎、痔核、および慢性閉塞性肺疾患、ならびにまた潰瘍性大腸炎を特徴とする粘膜炎の治療が含まれる。
【0056】
乾癬は、慢性の炎症性皮膚疾患であり、再発する傾向がある(一部の患者は生涯治癒しない)。乾癬の臨床症状には、主に紅斑および鱗屑が含まれる。これは、全身に発生する可能性があるが、頭皮および手足でより一般的に観察される。
【0057】
にきびは、濾胞性(毛包脂腺単位)の慢性炎症性皮膚疾患であり、その発生は、皮脂過多、毛包脂腺管の閉塞(閉鎖面皰および開放面皰を含む)、細菌感染、ならびに炎症反応などの主な要因と密接に関連し、若年期に発生する傾向があり、顔面の多形性の皮膚病変を特徴とする。したがって、にきびという用語には、通常のにきびおよびにきび酒さ(すなわち、赤鼻)が含まれる。
【0058】
湿疹は、様々な内部および外部の要因によって引き起こされる強いかゆみを伴う皮膚の炎症反応である。それは、急性、亜急性、および慢性の3つの段階を有する。急性期には滲出液が産生される傾向があるが、慢性期には浸潤および肥大が含まれる。皮膚病変は、しばしばかゆみを伴い、容易に再発する。
【0059】
皮膚炎は、粗さ、発赤、かゆみ、湿疹、および乾燥を特徴とする、一般的な皮膚疾患である。皮膚炎によって引き起こされる小さなしこり、難治性潰瘍、および色素斑は、すぐに治療しないと、基底細胞癌、扁平上皮癌、および悪性黒色腫に発展する場合がある。皮膚炎は、物質(接触性皮膚炎)またはアレルギー(アレルギー性/アトピー性皮膚炎)を含む、様々な内部および外部の感染性または非感染性の要因によって引き起こされる場合がある。脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)およびすべての形態のステロイド依存性皮膚炎(光線過敏性脂漏、口囲皮膚炎、酒さ様皮膚炎、ステロイド酒さ、ステロイド誘発性酒さ、イアト酒さ(iatrosacea)、ステロイド皮膚炎様酒さ、局所コルチコステロイド誘発性酒さ様皮膚炎、およびより具体的には、局所コルチコステロイドによる長期治療(非制御使用、乱用、または誤用を含む)後の顔面野の紅潮、紅斑、毛細血管拡張、萎縮、丘疹、および/または膿疱を特徴とする、顔面コルチコステロイド嗜癖性皮膚炎(FCAD)または顔面コルチコステロイド依存性皮膚炎(FCDD)(例えば、Xiao et al,J.Dermatol.,42,697(2015)およびLu et al,Clin.Exp.Dermatol.,35,618(2009)を参照されたい)もまた含まれる。
【0060】
鼻炎は、鼻内部の粘膜の刺激および炎症である。鼻炎の一般的な症状には、鼻づまり、鼻水、くしゃみ、および後鼻漏が含まれる。最も一般的な種類の鼻炎は、花粉、粉塵、カビ、または特定の動物の皮膚の薄片などのアレルゲンによって引き起こされるアレルギー性鼻炎である。本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤は、経鼻的に(すなわち、鼻粘膜に)投与された場合にでも、目のかゆみの緩和をもたらし得る。
【0061】
痔核は、直腸および肛門の内部または周囲に見出される痔核血管の大きな炎症によって引き起こされる腫脹である。症状には、便通過後の出血(すなわち、創傷)、痔核脱出、粘液分泌およびかゆみ、ひりひり感、発赤、および肛門の領域の腫脹が含まれる。痔核は、例えば、便秘または下痢の結果としての腹部の圧力の増加の結果であると考えられている。
【0062】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、肺気腫(肺胞への損傷)および慢性気管支炎(長期の気道炎症)を含む、呼吸困難を引き起こす肺の病態の群の名称である。COPDは、肺が炎症化し、損傷し、狭くなると発生する。肺への損傷は通常、不可逆的であり、肺に出入りする空気の流れの障害をもたらす。COPDの症状には、息切れ、湿性咳、頻繁な胸部感染、および持続的な喘鳴が含まれる。この疾患の最も一般的な原因は、喫煙であるが、他のリスク因子には、高レベルの大気汚染、ならびに粉塵、化学物質、および煙への職業上の曝露が含まれる。
【0063】
本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤(例えば、局所製剤)は、本明細書で一般的および具体的に言及したものを含む様々な病態によって引き起こされる紅斑、発赤および腫脹、浮腫、水疱、ならびに水疱性類天疱瘡の軽減に正の効果を有する可能性があり、皮下組織液の滲出を阻害し、かつそのような炎症病態によって引き起こされるかゆみおよび疼痛を抑制する可能性がある。
【0064】
言及され得る他の炎症病態には、以下が含まれる。
(a)口腔粘膜炎、アフタ性潰瘍、中耳炎、喉頭炎、気管炎、食道炎、胃炎、腸炎、および腸結腸炎(細菌性赤痢、慢性アメーバ性赤痢、住血吸虫症、非特異的潰瘍性大腸炎、および限局性(regional)腸炎を含む)、子宮頸管炎および子宮頸内膜炎、子宮内膜炎、吸入傷害などによって引き起こされる炎症、ならびに癌に関連する粘膜の炎症、および口腔、鼻咽頭、耳、喉、気管、胃腸管、子宮頸部などの粘膜表面に影響を及ぼす、感染(例えば、風邪もしくはインフルエンザなどのウイルス感染)などの粘膜炎症。
(b)例えば、骨折、骨および関節の化膿性感染、リウマチ性骨疾患による炎症、ならびに化膿性骨髄炎(急性、慢性、限局性(localized)、硬化性、外傷後)、化膿性関節炎、骨腫瘍(骨腫、類骨骨腫、軟骨腫)、骨嚢胞、破骨細胞腫、原発性骨肉腫(骨肉腫、軟骨肉腫、骨線維肉腫、ユーイング肉腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脊索腫)、転移性骨腫瘍、骨の腫瘍様病変(骨嚢胞、動脈瘤骨嚢胞、好酸球性肉芽腫、線維性形成異常)、ならびにリウマチ性関節炎に関連する整形外科の炎症。
(c)末梢多発神経炎、顔面神経炎、末梢神経炎、皮下神経炎、尺骨神経炎、肋間神経炎などの神経炎症。
(d)筋炎、靭帯炎、腱炎、嚢胞炎、リンパ節炎、腺窩炎、扁桃炎、滑膜炎、筋膜炎などの、皮下および粘膜下の軟部組織の炎症、ならびに筋肉、靭帯、筋膜、腱、滑膜、脂肪、関節嚢、およびリンパ組織の傷害、挫傷、または裂傷によって引き起こされる軟部組織の炎症。
(e)アレルギー性白血球破砕性血管炎、アレルギー性皮膚血管炎、結節性多発動脈炎、血栓性血管炎、肉芽腫性血管炎、リンパ球性血管炎、血液組成の異常を伴う血管炎、およびリウマチ性血管炎などの血管炎症、ならびにアレルギー性白血球破砕性血管炎、結節性多発動脈炎、血栓性血管炎、肉芽腫性血管炎、リンパ球性血管炎、血液組成の異常を伴う血管炎、およびリウマチ性血管炎によって引き起こされる血管癌に関連する血管炎症。
(f)心膜炎、心筋炎、心内膜炎、肺炎、肝炎、脾炎、腎炎、膵炎、膀胱炎、卵巣炎、前立腺炎および胃潰瘍を含むが、これらに限定されない、心臓、胃、腸、肺、肝臓、脾臓、腎臓、膵臓、膀胱、卵巣、および前立腺などの内臓器官の炎症。
(g)結膜炎、角膜炎(例えば、急性表層角膜炎、貨幣状角膜炎、間質性角膜炎、円板状角膜炎、神経栄養性角膜炎、粘膜斑角膜炎、単純ヘルペス性角膜炎、帯状疱疹性角膜炎、細菌性角膜炎、真菌性角膜炎、アカントアメーバ角膜炎、回旋糸状虫角膜炎、点状表層角膜炎、潰瘍性角膜炎、兎眼性角膜炎、光線角膜炎、およびコンタクトレンズ装用中の急性充血)、視神経炎などの眼および周辺領域の炎症。
(h)歯周炎、歯肉炎、歯性潰瘍などの歯茎および口腔の炎症。
(i)リウマチ性血管炎、リウマチ性関節炎、リウマチ性骨疾患、強直性脊椎炎、滑液包炎、クローン病、痛風、感染性関節炎、若年性特発性関節炎、変形性関節症、骨粗鬆症、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、乾癬性関節炎、強皮症、シェーグレン症候群、脊椎関節症、全身性エリテマトーデス、腱炎などのリウマチに関連する炎症。
【0065】
本発明の化合物はまた、口の酸味、逆流、胸焼け、嚥下痛および/または咽頭痛、唾液分泌の増加(胸焼け)、吐き気、胸痛、および咳を特徴とし得る、胃食道逆流症(GERD)などの消化器系の特定の具体的な疾患の治療に使用することができる。GERDは、逆流性食道炎(すなわち、胃と食道との接合部またはその周辺で潰瘍を引き起こし得る食道上皮の炎症)、食道狭窄(すなわち、逆流誘発性炎症によって引き起こされる食道の持続的な狭窄)、バレット食道(すなわち、腸上皮化生(すなわち、遠位食道の扁平上皮から腸円柱上皮への上皮細胞の変化)、および/または食道腺癌(癌の一形態)を含む、食道の傷害を引き起こし得る。
【0066】
本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤はまた、肺嚢胞性線維症、通常型間質性肺炎、アレルギー性肺炎、石綿肺、肺気腫、肺性心、肺塞栓症などの呼吸器系の特定の具体的な疾患の治療に使用することもできる。言及され得る具体的な病状は、特発性肺線維症(IPF)である。
【0067】
IPFは、肺胞上皮損傷、肺線維芽細胞の広範囲な増殖、細胞外マトリックスの過剰な沈着を含む病理学的特徴を伴う、びまん性かつ致命的な肺間質性疾患であり、最終的には不可逆的な肺組織損傷をもたらす。疾患の後期段階では、IPFを有する対象は、呼吸不全および死亡を経験する。本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤は、IPFの治療および/またはこの疾患に関連する症状の緩和において有用性を見出し得ることが見出されている。
【0068】
本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤はまた、以下の肺および/または線維性病態(本明細書に別段の記載があるかどうかに関わらず):肺線維症、腎線維症、肝線維症、ケイ酸症、急性気管支炎、慢性気管支炎、気管気管支炎、気管支喘息、重症喘息、気管支拡張症、風邪およびインフルエンザを含む上気道感染)、アレルギー性気道炎症、細菌性肺炎、ウイルス性肺炎、マイコプラズマ肺炎、リケッチア、放射性肺炎、肺炎球菌(ブドウ球菌、連鎖球菌、およびグラム陰性桿菌を含む)肺炎、肺カンジダ症(アスペルギルス症、ムコール症、ヒストプラズマ症、放線菌症、およびノカルジア症を含む)、肺真菌症、クリプトコッカス症、肺膿瘍、アナフィラキシー性肺炎(レオファー症候群(Leoffer’s syndrome))、外因性アレルギー性肺胞炎、肺好酸球増加症(好酸球増加症)、閉塞性肺気腫、肺水腫、肺結核、呼吸性アルカローシス(アシドーシス)、急性肺傷害、間質性肺疾患、膿胸、肺線維腫、および肺性心の治療に特に有用であり得る。
【0069】
本発明のさらなる態様によれば、肺への局所投与による(例えば、吸入による)IPFの治療のための医薬品の製造のための、薬学的に許容される局所アジュバント、希釈剤、または担体と混合して、LRA、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物を含む、局所投与に適し、適合され、かつ/または包装され、提示される医薬製剤の使用が提供される。
【0070】
本明細書に開示されるLRA化合物を含む製剤が有用であると見出される特定の粘膜障害および疾患には、下痢、痔核、膿瘍、瘻孔、裂肛、肛門掻痒症、肛門洞炎(anal sinusitis)、疣贅および直腸脱などの肛門直腸疾患、クローン病、特に潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、子宮頸管炎、膣炎、骨盤痛および障害などの婦人科疾患、ならびに例えば、傍歯状炎などの歯科疾患が含まれる。
【0071】
本明細書に定義されるLRA化合物は、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)産生を増加させ、脂質酸化を低減することによって、抗酸化効果をさらに有し得る。したがって、そのような化合物およびそれらを含む製剤は、抗酸化特性を有するとみなされ得る。
【0072】
本明細書に定義されるLRA化合物はまた、例えば、対象の体温を低減する(これは、発熱の低減をもたらす)ことによって、発熱の治療を可能にし、かつ/またはその症状を緩和する解熱特性を有し得る。したがって、そのようなLRA化合物およびそれらを含む製剤は、解熱剤であるとみなされ得る。
【0073】
誤解を避けるために、本発明の文脈では、「治療」、「療法」、および「治療法」という用語は、治療を必要とする患者の療法的または緩和的治療、ならびに炎症および/または炎症性障害にかかりやすい患者の予防的治療および/または診断を含む。
【0074】
本明細書に開示されるLRA化合物およびその塩を含む製剤は、疼痛および/または炎症など、任意のウイルス感染または疾患の任意の症状の治療とは対照的に、ウイルス感染自体の治療、すなわち、宿主内でのウイルスの複製を妨害することによる、ウイルス感染またはウイルス疾患の治療を可能にし得る抗ウイルス特性をさらに有し得る。そのような抗ウイルス特性はまた、そのような感染もしくは疾患の発症の予防、(例えば、さらなる)ウイルス感染からの宿主内の細胞の保護、ウイルス感染もしくは疾患の拡大の予防もしくは阻止(単一の宿主内で、または1つの宿主から新たな宿主へ)、または宿主での待ち時間後のウイルスの再活性化の防止を可能にし得る。
【0075】
本発明のさらなる態様によれば、ウイルス感染の治療の方法であって、本明細書に開示されるLRAまたはその塩もしくは溶媒和物を含む製剤を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法が提供される。
【0076】
言及され得るウイルス感染には、adenoviridae(例えば、アデノウイルス)、papillomaviridae(例えば、ヒトパピローマウイルス)、polyomaviridae(例えば、BKウイルス、JCウイルス)、herpesviridae(例えば、単純ヘルペス、タイプ1、単純ヘルペス、タイプ2、水痘帯状疱疹ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、ヒトヘルペスウイルス、タイプ8)、poxviridae(例えば、天然痘)、hepadnaviridae(例えば、B型肝炎ウイルス)、parvoviridae(例えば、パルボウイルスB19)、astroviridae(例えば、ヒトアストロウイルス)、caliciviridae(例えば、ノロウイルス、ノーウォークウイルス)、picornaviridae(例えば、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス)、coronoviridae(例えば、重症急性呼吸器症候群ウイルス)、flaviviridae(例えば、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デングウイルス、ウエストナイルウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス)、retroviridae(例えば、ヒト免疫不全ウイルス、HIV)、togaviridae(例えば、風疹ウイルス)、arenaviridae(例えば、ラッサウイルス)、bunyaviridae(例えば、ハンタウイルス、クリミア・コンゴ出血熱ウイルス、ハンタンウイルス)、filoviridae(例えば、エボラウイルス、マールブルグウイルス、Ravnウイルス)、orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザAウイルス(例えば、H1N1およびH3N2ウイルス)、インフルエンザBウイルス、またはインフルエンザCウイルスを含む、インフルエンザウイルス)、paramyxoviridae(例えば、はしかウイルス、ムンプスウイルス、パラインフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス)、rhabdoviridae(例えば、狂犬病ウイルス)、hepeviridae(例えば、E型肝炎ウイルス)、reoviridae(例えば、ロタウイルス、オルビウイルス、コルチウイルス、バンナウイルス)、およびD型肝炎ウイルスなどの科に割り当てられていないウイルスが含まれる。
【0077】
より具体的に言及され得るウイルスには、単純ヘルペス、タイプ1および単純ヘルペス、タイプ2、ヒトパピローマウイルス、インフルエンザウイルス、ならびにパラインフルエンザウイルスが含まれる。
【0078】
本明細書に開示されるLRA化合物およびその塩を含む製剤は、疼痛および/または炎症など、任意の細菌感染または疾患の任意の症状の治療とは対照的に、細菌感染自体の治療、すなわち、宿主内での細菌の成長または増殖を妨害することによる、細菌感染または細菌疾患の治療を可能にし得る抗菌および/または静菌特性をさらに有し得る。したがって、LRA化合物、その塩、およびそれらを含有する製剤は、殺菌剤および/または好ましくは静菌剤であるとみなすことができる。
【0079】
そのような抗菌特性はまた、そのような感染もしくは疾患の発症の予防、(例えば、さらなる)細菌感染からの宿主内の細胞の保護、細菌感染もしくは疾患の拡大の予防もしくは阻止(単一の宿主内で、または1つの宿主から新たな宿主へ)、または宿主での待ち時間後の細菌の再活性化の防止を可能にし得る。
【0080】
本発明のさらなる態様によれば、細菌感染の治療の方法であって、本明細書に開示されるLRAまたはその塩もしくは溶媒和物を含む製剤を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法が提供される。
【0081】
本明細書に開示されるLRA化合物およびその塩を含む製剤は、疼痛および/または炎症など、癌の任意の症状の治療とは対照的に、癌自体の治療、すなわち、癌を妨害することによる、癌の治療を可能にし得る抗癌特性をさらに有し得る。そのような抗癌特性はまた、例えば炎症を治療し、それによってそのような発症を予防することによる、そのような疾患の発症の予防を含み得る。
【0082】
本発明の別の態様によれば、癌の治療の方法であって、本明細書に開示されるLRAまたはその塩もしくは溶媒和物を含む製剤を、そのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法が提供される。
【0083】
言及され得る特定の癌には、口腔癌、鼻咽頭癌、中耳癌、結膜癌、喉癌、気管癌、食道癌、胃癌、腸癌、子宮頸癌、子宮内膜癌、口腔粘膜炎、鼻炎、中耳炎、結膜炎、咽頭炎、喉頭炎、気管炎、食道炎、胃炎、腸結腸炎、子宮頸炎、子宮内膜炎、紅斑様皮膚病変などによって引き起こされる皮膚癌などが含まれる。言及され得る特定の皮膚癌は、基底細胞癌である。
【0084】
「患者」には、爬虫類、鳥類、および好ましくは、哺乳動物(特にヒト)の患者が含まれる。
【0085】
本発明によれば、本明細書に開示されるLRA化合物およびその塩を含む製剤は、薬学的に許容される剤形(複数可)の関連化合物(複数可)を含む医薬調製物の形態で、好ましくは局所的または全身的に、例えば、経口、静脈内、または動脈内(血管内および他の血管周囲デバイス/剤形(例えば、ステント)を含む)、筋肉内、皮膚、皮下、経粘膜(例えば、舌下もしくは頬側)、直腸、膣内、皮内、経皮、経鼻、肺(例えば、気管もしくは気管支)、好ましくは局所的に、または任意の他の非経口経路によって投与される。
【0086】
吸入(例えば、鼻腔内)による投与は、治療される病態が鼻炎または気道のウイルス感染(風邪、インフルエンザ)に起因する炎症である場合に特に有用である。
【0087】
肺投与は、治療される病態がCOPDまたはIPFである場合に特に有用である。局所投与形態は、例えば、粉末エアロゾルを使用することによって、またはネブライザーなどの適切な霧化技術もしくは装置を使用する水性ミストによって、有効成分を含むスプレーを作製することによって強化され得る。
【0088】
肛門直腸投与は、注射される泡の溶液または坐剤などの適切な送達手段を使用して、治療される病態が痔核または潰瘍性大腸炎である場合に特に有用である。
【0089】
下部消化管への投与はまた、当業者に知られている標準的な遅延放出または徐放コーティング技術による非経口、特に経口送達によって達成され得る。特に、上部または下部の腸の別個の部分が標的とされ得る。例えば、結腸投与はまた、最初に経口的または非経口的に投与される結腸標的化薬物送達手段によって達成することができる。
【0090】
本明細書に開示されるLRA化合物およびその塩の好ましい送達様式には、皮膚および/もしくは適切な粘膜表面への適用に好適である適切な(例えば、薬学的および局所的に許容される)ビヒクル、ならびに/または市販の製剤中の炎症部位(例えば、口腔および/もしくは鼻腔粘膜、肺、肛門直腸および/もしくは結腸を含む粘膜、またはより好ましくは、皮膚)への局所送達が含まれるが、経口、静脈内、皮膚もしくは皮下、経鼻、筋肉内、腹腔内、または肺送達もまた含まれ得る。
【0091】
皮内注射による(例えば、皮内)投与は、溶液または懸濁液(例えば、皮膚充填剤)の形態で、有効成分を真皮に投与するために特に有用である。
【0092】
本発明の製剤は、意図される投与経路(例えば、関連する粘膜(肺を含む)もしくは好ましくは皮膚への局所投与)および標準的な医薬または他の(例えば、美容)慣行を十分に考慮して選択され得る(例えば、薬学的に許容される)アジュバント、希釈剤、または担体と混合して、関連するLRAまたはその塩を含む。そのような薬学的に許容される担体は、活性化合物に対して化学的に不活性であってもよく、使用条件下で有害な副作用または毒性を有さなくてもよい。そのような薬学的に許容される担体はまた、有効成分の即時放出または放出調節を付与し得る。
【0093】
好適な医薬製剤は、市販されているか、または文献、例えば、Remington The Science and Practice of Pharmacy,22nd edition,Pharmaceutical Press(2012)、およびMartindale-The Complete Drug Reference,38th Edition,Pharmaceutical Press(2014)、ならびにそこで参照されている文書に記載の技術に従って調製することができ、これらすべての文書の関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる。そうでなければ、LRA/塩を含む好適な製剤の調製は、慣習的な技術を使用して当業者によって本発明のものではない方法で達成することができる。
【0094】
本発明の製剤は、乳濁液、懸濁液、および/もしくは溶液などの水性製剤(例えば、生理食塩水含有製剤(例えば、溶液)、リン酸含有製剤(例えば、溶液)、酢酸塩含有製剤(例えば、溶液)、もしくはホウ酸塩含有製剤(例えば、溶液)などの(任意で)緩衝された水性製剤(例えば、溶液)、または凍結乾燥粉末であり得る。
【0095】
有効成分は、さらにおよび/または代替として、適切な賦形剤と組み合わせて
・ゲル製剤(これの好適なゲルマトリックス材料には、セルロース誘導体、カルボマーおよびアルギン酸塩、トラガントガム、ゼラチン、ペクチン、カラギーナン、ジェランガム、デンプン、キサンタンガム、カチオン性グアーガム、寒天、非セルロース多糖類、グルコースなどの糖類、グリセリン、プロパンジオール、ビニルポリマー、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、および特に、ヒアルロン酸が含まれる)、
・ローション(これの好適なマトリックス材料には、セルロース誘導体、グリセリン、非セルロース多糖類、異なる分子量のポリエチレングリコール、およびプロパンジオールが含まれる)、
・ペーストもしくは軟膏(これの好適なペーストマトリックス材料には、グリセリン、ワセリン、パラフィン、異なる分子量のポリエチレングリコールなどが含まれる)、
・クリームもしくは発泡体(これの好適な賦形剤(例えば、発泡剤)には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、異なる分子量のポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、脂肪アルコールポリオキシエチレンエーテルスルホン酸ナトリウム、コーングルテン粉末、およびアクリルアミドが含まれる)、
・粉末エアロゾル(これの好適な賦形剤には、マンニトール、グリシン、デキストリン、デキストロース、スクロース、ラクトース、ソルビトール、およびポリソルベート、例えば、乾燥粉末吸入剤が含まれる)、
・経口用もしくは吸入用の液体、例えば、水、(エアロゾル)スプレー(これの好適な賦形剤には、ヒアルロン酸などの粘度調節剤、グルコースおよびラクトースなどの糖、乳化剤、緩衝剤、アルコール、水、防腐剤、甘味料、香料などが含まれる)、ならびに/または
・注射液または懸濁液(水性またはその他であり得、これの好適な賦形剤には、溶媒および共溶媒、可溶化剤、湿潤剤、懸濁剤、乳化剤、増粘剤、キレート剤、抗酸化剤、還元剤、抗菌防腐剤、緩衝液、および/またはpH調整剤、増量剤、保護剤、ならびに張性変更剤)を調製することができ、言及され得る特定の注射液または懸濁液は、皮膚充填剤(例えば、注射充填剤または軟組織充填剤)を含む。
【0096】
グリセロール、グリセリン、ポリエチレングリコール、トレハロース、グリセロール、ワセリン、パラフィン油、シリコーン油、ヒアルロン酸およびその塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、オクタン酸/カプリン酸トリグリセリドなどの保湿剤、ならびに/またはビタミンおよびグルタチオンなどの抗酸化剤、ならびに/または酸、塩基、およびpH緩衝液などのpH調節剤もまた、必要に応じてそのような製剤中に含まれてもよい。さらに、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)、ソルビタンエステル(例えば、ステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタンなど)、モノアシルグリセリド(モノステアリン酸グリセリルなど)、ポリエトキシ化アルコール、ポリビニルアルコール、ポリオールエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、エトキシ化脂肪酸エステル、ポリオキシルグリセリド、ラウリルジメチルアミンオキシド、胆汁酸塩(例えば、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム)、リン脂質、N,N-ジメチルドデシルアミン-N-オキシド、ヘキサデシルトリメチル-アンモニウムブロミド、ポロキサマー、レシチン、ステロール(例えば、コレステロール)、糖エステル、ポリソルベートなどの界面活性剤/乳化剤、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリンなどの防腐剤、ならびにアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマーなどの増粘剤が含まれてもよい。特に、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリル、ヘキサデカノール、ステアリン酸ソルビタン、セチルアルコール、オクタン酸/カプリン酸グリセリドなどが、特にクリーム製剤に含まれてもよい。
【0097】
本発明の製剤(例えば、上記の水溶液、ゲル、クリーム、軟膏、ローション、発泡体、ペースト、および/または乾燥粉末)を適切なマトリックス材料とさらに組み合わせて、皮膚または粘膜表面などの生物学的表面に適用するための包帯または治療パッチを調製することができる。したがって、そのような製剤を用いて、ガーゼ、不織布、または絹紙などのマトリックス材料に含浸してもよい。あるいは、治療パッチは、例えば、バンドエイド、顔面マスク、アイマスク、ハンドマスク、フットマスクなどであってもよい。
【0098】
そのような包帯を創傷に適用する際に使用するためにワセリンを用いてもよいが、我々はまた、PEG(例えば、PEG400)に基づく軟膏をマトリックス材料と組み合わせて、ワセリンを使用する必要なく、包帯を調製することができることも見出した。
【0099】
LRAおよびその塩は、PEGベースの溶媒に容易に溶解して、主に水性製剤(例えば、非常に少量のエタノールを含む水)で観察され、皮膚または粘膜を刺激する可能性があるより高いpH(pH9.5)ではなく、より低いpH(例えばpH5.9~7.5)のクリームおよび軟膏を作製することができる。LRA/塩は、この方法で可溶化でき、驚くほど安定し(すなわち酸化しにくい)、より許容できる/皮膚/粘膜への刺激が少ないpHを有する、クリームまたは軟膏に製剤化することができる。
【0100】
LRAは、懸濁液、乾燥粉末、または溶液によって吸入のために投与され得る。好適な吸入デバイスには、手動または呼気で作動し、標準のスペーサーデバイスの有無に関わらず用いることができる加圧式定量吸入器(pMDI)、単回投与、複数回投与のパワーアシスト式であり得る乾燥粉末吸入器(DPI)、および微細なミスト中のエアロゾル薬が、例えばpMDIを使用して送達されるスプレーよりも遅い速度で送達されるソフトミスト吸入器(SMI)またはネブライザーが含まれる。
【0101】
pMDIでは、LRAは、各作動で約20~約100μLの1回以上の計量された用量を送達するために、推進剤(例えば、HFA、マンニトール、ラクトース、ソルビトールなどの賦形剤と共に)に分散された微粉化粒子の加圧懸濁液として、またはエタノール溶液として投与され得る。作動は、手で(例えば、押す)または吸入(呼吸作動)によって行うことができ、ばねによって駆動されるフロートリガーシステムを伴う。
【0102】
DPIにおいて、LRAは、デバイスに予め充填され得るか、または手動で充填され得るカプセル内で、単独で、またはより大きな粒子サイズの不活性賦形剤(例えば、マンニトール)と混成されて、微粉化された薬物粒子(約1~約5μmの間のサイズ)の形態で投与され得る。DPIからの吸入は、薬剤粒子を分解し、気道内に分散させる可能性がある。
【0103】
SMIにおいて、LRAは、デバイスに充填されるカートリッジ内に溶液として保管され得る。ばねは、ボタンが押されたときに用量が放出され、薬液のジェット流を放出するように、用量をマイクロポンプに放出することができる。
【0104】
様々なネブライザーを使用して、エアロゾル化溶液の微細なミストの形態でLRAを投与することもできる。ネブライザーには、呼気増強ジェットネブライザー(コンプレッサーの助けを借りて、空気流がジェットを通って移動し、薬液をエアロゾル化させる)、呼気作動式ジェットネブライザー(患者が吸入した後、コンプレッサーの助けを借りて、空気流がチューブを通って移動し、薬液がエアロゾル化される)、超音波ネブライザー(圧電結晶が振動して加熱することによりエアロゾル化を引き起こし、噴霧化を引き起こす)、振動メッシュネブライザー(圧電結晶がメッシュプレートを振動させ、エアロゾル化を引き起こして、噴霧中に溶液の温度を大きく変化させることなく、非常に微細な液滴を生成する)が含まれる場合がある。
【0105】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義される、本発明の製剤の調製のためのプロセスであって、上文に定義される、LRAまたはその塩もしくは溶媒和物を、上文に定義される、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と関連付けることを含む、プロセスが提供される。
【0106】
LRAおよびその塩はまた、血小板型成長因子(血小板由来成長因子、PDGFを含む)、骨肉腫由来成長因子(ODGF)、上皮成長因子(EGF)、形質転換成長因子(TGFαおよびTGFβ)、線維芽細胞成長因子(αFGF、βFGF)、インスリン様成長因子(IGF-I、IGF-II)、神経成長因子(NGF)、インターロイキン型成長因子(IL-1、IL-1、IL-3)、エリスロポエチン(EPO)、ならびにコロニー刺激因子(CSF)から選択される1つ以上の成長因子による治療において組み合わせることもできる。
【0107】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に定義されるLRAまたはその塩もしくは溶媒和物と、アジュバント、希釈剤、または担体などの1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む、本発明の(例えば、医薬)製剤が提供される。好ましい製剤は、例えば、粘膜(口腔および/もしくは鼻腔粘膜、肺、肛門直腸および/もしくは結腸を含む)、またはより好ましくは皮膚に局所的に適用するのに好適であり、したがって局所的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体を含む。
【0108】
したがって、製剤は、局所投与(例えば、口腔および/もしくは鼻粘膜、肺、肛門直腸領域および/もしくは結腸を含む粘膜、または好ましくは皮膚への)、例えば、その製剤の直接局所投与(例えば、口腔および/もしくは鼻粘膜、肺、肛門直腸領域および/もしくは結腸を含む粘膜、または好ましくは皮膚への)による、炎症、炎症性障害、および/または炎症を特徴とする病態(例えば、症状として)の治療における、そのような製剤の使用に適し、適合され、かつ/または包装され、提示され得る。
【0109】
本発明のこの態様に関して、誤解を避けるために、本発明の局所製剤は、炎症の治療を含む、本明細書に記載のありとあらゆる病態において、ありとあらゆる炎症性障害(複数可)の治療において、および/または上文に言及、定義、もしくは記載した炎症を特徴とするありとあらゆる病態(複数可)の治療において使用することができる。同様に、言及され得る本発明の局所製剤には、上述で言及、定義、または記載されたもののいずれかおよびすべてが含まれる。本明細書の関連する開示のいずれかおよびすべては、本発明のこの態様と組み合わせて参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
本発明の局所(例えば、液体または(例えば、水性)溶液に基づく)製剤は、創傷回復に特に有用である可能性があり、疼痛(痛みを含む)、ならびに特に創傷自体および創傷治癒プロセスに関連するそう痒症/かゆみを緩和する可能性がある。そのような本発明の局所製剤は、熱傷または創傷を受けた後の、特に急性炎症段階、例えば、最初の48時間に、創傷からの体液の滲出を予防および/または抑制するのに特に有用であり得る。これにより、感染のリスクおよび他の生理学的反応が予防される。そのような本発明の局所製剤はまた、創傷に関連するか否かに関わらず、瘢痕およびメラニン色素沈着(上記参照)の予防および/または抑制において特に有用であり得る。
【0111】
本発明の製剤の投与は、連続的または断続的であり得る。投与様式は、投与のタイミングおよび頻度によっても決定され得るが、炎症の療法的治療の場合、病態の重症度によっても決まる。
【0112】
治療される障害および患者、ならびに投与経路に応じて、本発明に従ったLRAおよびその塩は、異なる治療有効用量で治療を必要とする患者に投与され得る。
【0113】
同様に、製剤中の有効成分の量は、治療される病態の重症度および患者によって決まるが、当業者によって決定されてもよい。
【0114】
いずれにせよ、開業医または他の当業者は、病態の重症度および投与経路に応じて、個々の患者に最も好適な実際の投与量を日常的に決定することができる。本明細書に言及される投与量は、平均の場合の例であり、当然のことながら、より高いまたはより低い投与量範囲が妥当である個々の事例が存在する可能性があり、それらも本発明の範囲内である。
【0115】
用量は、1日1回~4回(例えば、3回)投与することができる。
【0116】
製剤がどのように調製されるかにかかわりなく、水溶液生成物中のLRA/その塩の適切な濃度は、遊離塩基として計算して0.1~10mg/mLの範囲であり得、そのような溶液の適切なpH値は約5.0(例えば約7.0)~約11.0(例えば約5.5(例えば、約8.0)~約10.0、例えば約pH9.0または約5.5~約7.5)であり得る。
【0117】
皮膚への投与のためのLRAおよびその塩/溶媒和物の適切な局所用量は、すべての場合において遊離塩基として計算して、約0.01~約50(約20、例えば約17.5、約10を含む)μg/治療領域のcm、例えば、約0.05(例えば、約0.1、約0.5を含む)~約17.5、約10、例えば約7.5、例えば約5)μg/治療領域のcmの範囲である。
【0118】
経鼻投与(例えば、吸入による)のためのLRAおよびその塩/溶媒和物の適切な用量は、約0.01μg~約2000mgの範囲、例えば、約0.1μg~約500mgの間、または1μg~約100mgの間である。言及され得る経鼻投与のための特定の用量は、約10μg~約1mgの間、特に約0.1mg(すなわち、約100μg)の用量を含む。LRAおよびその塩の1日あたり約0.1mgの経鼻投与は、鼻炎(例えば、アレルギー性鼻炎)などの鼻腔および粘膜の炎症に関連する病態の治療において特に効果的であり得る。
【0119】
肺投与(例えば、吸入による)のためのLRAおよびその塩/溶媒和物の適切な用量は、約0.01μg~約2000mgの範囲、例えば、約0.1μg~約500mgの間、または1μg~約100mgの間である。言及され得る肺投与のための特定の用量は、約10μg~約10mgの間、特に約0.6mg(すなわち、60μg)~6mg(例えば、COPDまたはIPFの治療に使用するため)の用量を含む。
【0120】
本発明の化合物を含む製剤のpH値は、約1.0~約9.0の範囲内(例えば、約3.0~約8.0)であることが好ましい。
【0121】
いずれにせよ、哺乳動物、特にヒトに投与される用量は、本発明の文脈では、(上文に記載の)妥当な時間枠にわたって哺乳動物の治療応答をもたらすのに十分でなければならない。当業者は、正確な用量および組成ならびに最も適切な送達レジメンの選択が、とりわけ製剤の薬理学的特性、治療される病態の性質および重症度、レシピエントの体調および精神状態、ならびに治療される患者の年齢、状態、体重、性別および反応、疾患の病期/重症度、ならびに患者間の遺伝的差異によっても影響されることを認識している。
【0122】
本明細書に記載の使用および方法では、LRAおよびその塩、ならびにそれらを含む製剤は、炎症および/または炎症性障害の治療に有用な1つ以上の有効成分(他の抗炎症剤)と組み合わせてもよい。したがって、そのような患者はまた(および/またはすでに)、そのような他の有効成分のうちの1つ以上の投与に基づく療法を受けている場合もあり、それにより、我々は、本発明に従ったLRAによる治療の前、それに加えて、および/またはその後に、本明細書に言及される有効成分のうちの1つ以上の処方用量を受けていることを意味する。
【0123】
炎症の治療においてLRA/その塩と組み合わせて使用され得るそのような抗炎症剤には、(炎症および/またはその症状の1つとして炎症を特徴とする疾患の治療に有用な)治療剤(例えば、LRA)が含まれる。治療される病態に応じて、そのような抗炎症剤には、NSAID、コルチコステロイド、鎮痛剤、および例えば、後述のトリプシンなどの特定の酵素もまた含まれ得る。本発明の化合物はまた、ロイコトリエンB4(LTB4)と組み合わせることもできる。
【0124】
本明細書に記載のLRAおよびその塩はまた、炎症の治療に使用するために、1つ以上のイガイ接着タンパク質(MAP)と組み合わせることもでき、MAPには、コラーゲンpre-COL-P、pre-COL-D、およびpre-COL-NG、イガイの足のマトリックスタンパク質PTMPおよびDTMP、ならびにより好ましくはmfpまたはmefp(mefp-2、mefp-3、mefp-4、mefp-5、mefp-6、および特にmefp-1など)などの、イガイであるか、またはそれらに由来し得るすべてのサブタイプを含む全長タンパク質を含む、Mytilus edulis(ムラサキイガイ)などのイガイ種に由来し得る任意の接着タンパク質が含まれ、mefpなどのこれらのタンパク質のいずれかの混合物または組み合わせが含まれる。上述のMAPサブタイプの混合物/組み合わせは、本発明に従ってMAP「構成要素」として提供され得るが、主要なMAPサブタイプ(例えば、mefp-1)の純度は、任意のそのような混合物の全量の少なくとも25重量%であることが好ましい。
【0125】
天然に存在するMAPは、例えば、混合吸着クロマトグラフィー(中国特許第ZL200710179491.0号を参照されたい)によって、カルボキシメチルイオン交換クロマトグラフィー(中国特許第ZL200710179492.5号を参照されたい)によって、ならびに/または塩析および透析(中国特許第ZL200910087567.6号)によって調製することができる。MAPの商業的供給源には、USUN Bio Co.(中国、MAP Medical Device(登録商標)として販売)、BD Biosciences(米国)、Kollodis(韓国)、およびBiopolymer(スウェーデン)が含まれる。あるいは、MAPは、既知の組換えDNA法を使用して産生されてもよい。
【0126】
MAPの誘導体には、皮膚バリアまたは粘膜表面などの生体膜を通してのより容易な浸透を可能にし得る、低分子量生成物(例えば、約500Da~約2,000(例えば、約800などの約1,200)Daの範囲の分子量を有する)などの単離された(例えば、薬学的に許容される誘導体)が含まれる。そのような誘導体には、天然に存在するMAP中で同定された配列と同じであるか、またはそれらの(例えば、マイナーな)バリアントであるアミノ酸配列を含む他の化合物も含まれる可能性があり、これらは、化学的および/または生物学的プロセス(例えば、天然に存在するMAPの化学修飾、または直接合成)によって合成することができる。「天然に存在するMAP中で同定されたアミノ酸配列の(例えば、マイナーな)バリアント」とは、関連する天然に存在するMAPの必要な特性に測定可能な程度の悪影響を与えない配列内のバリエーションを意味する。
【0127】
例えば、配列:
Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-DOPA-Lys(mefp-1デカペプチド、配列番号1、Waite,Int.J.Adhesion and Adhesives,7,9(1987)を参照されたい)。MAPペプチドは、天然に存在するMAPの低分子量誘導体として誘導および/もしくは単離され得るか、または、例えば、Yamamoto in J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,613(1987)に記載されるように合成され得る。Dalsin et al,J.Am.Chem.Soc.,125,4253(2003)もまた参照されたい)と、
アナログAla-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-Tyr-Lys(配列番号2、例えば、Kanyalkar et al in Biomaterials,389(2002)およびBelli et al in Dental Materials,26,e125(2010)を参照されたい)と、
の単離されたデカペプチド化合物は、本発明に従ってLRAまたはその塩と組み合わせることができるMAPの薬学的に許容される低分子量誘導体である。
【0128】
そのようなMAPの誘導体は、本発明による組み合わせ生成物中、単独で、または1つ以上の他のそのような誘導体、および/もしくは上述の全長MAPの1つ以上と組み合わせて用いることができる。
【0129】
用いられる製剤が上文に記載の組み合わせ調製物またはパーツキットであるかに関わらず、水溶液局所製剤生成物中のMAPおよびそれらの誘導体の適切な濃度は、約0.01(例えば、約0.1)~約15.0(例えば、約1.5)mg/mLであってもよく、適切なpH値は、約1.0~約7.0(例えば、約3.0~約6.5)の範囲内であってもよい。そのような水溶液の好適な商業的供給源には、USUN Bio Co.、江陰市、江蘇省、中国が含まれる。
【0130】
MAPおよびそれらの誘導体の適切な局所用量は、約5μg/cmの治療領域などの約2~約10μg/cmの治療領域を含む、約1~約20μg/cmの治療領域などの約0.1~約50μg/cmの治療領域の範囲内である。
【0131】
本発明に従ってLRA/その塩と組み合わせることができる他の好ましい薬剤には、LTB4(創傷および熱傷を治療するため)、およびトリプシン(例えば、ウイルス感染に関連する粘膜の炎症を治療するため)が含まれる。
【0132】
本発明の製剤はまた、投与時に副作用として炎症を引き起こすことが知られている他の治療剤と組み合わせることもできる。
【0133】
そのような併用療法は、1つ以上のそのような他の抗炎症剤と併せて上文に定義される少なくとも1つのLRAまたはその塩の投与を提供し、したがって、それらの製剤のうちの少なくとも1つがLRA/塩を含み、少なくとも1つが別の抗炎症剤を含む、別個の製剤として提示され得るか、または組み合わせた調製物として提示(すなわち、製剤化)(すなわち、両方の有効成分を含む単一製剤として提示)され得る。
【0134】
したがって、
(1)LRAまたはその塩もしくは溶媒和物と、別の抗炎症剤、または副作用として炎症を引き起こすことが知られている薬剤と、(例えば、薬学的に許容される)賦形剤(例えば、アジュバント、希釈剤、または担体)と、を含み、以下「組み合わせ調製物」と称される、製剤(例えば、医薬および/または局所製剤)と、
(2)構成要素:
(A)(例えば、薬学的に許容される)アジュバント、希釈剤、または担体と混合して、LRAまたはその塩もしくは溶媒和物を含む製剤(例えば、医薬および/または局所製剤)と、
(B)(例えば、薬学的に許容される)アジュバント、希釈剤、または担体と混合して、別の抗炎症剤、または副作用として炎症を引き起こすことが知られている薬剤を含む製剤(例えば、医薬および/または局所製剤)と、を含み、
構成要素(A)および(B)が、他方と組み合わされた投与に適した形態でそれぞれ提供される、パーツキットと、がさらに提供される。
【0135】
本発明のさらなる態様によれば、上記で定義されたパーツキットを作製する方法であって、上記で定義された構成要素(A)を、上記で定義された構成要素(B)と関連付け、したがって2つの構成要素を互いに組み合わせた投与に好適なものにすることを含む、方法が提供される。
【0136】
2つの構成要素を互いに「関連付ける」ことにより、我々は、パーツキットの構成要素(A)および(B)が、
(i)別個の製剤(すなわち、互いに独立して)として提供され、その後、併用療法において、互いに組み合わせた使用のために一緒にされても、
(ii)併用療法において互いに併せて使用するための「併用パック」の別個の構成要素として一緒に包装されて提示されてもよいことを含む。
【0137】
したがって、
(I)本明細書に定義される構成要素(A)および(B)のうちの1つを、
(II)2つの構成要素のうちの他方と組み合わせてその構成要素を使用するための指示書と一緒に含む、パーツキットがさらに提供される。
【0138】
本明細書に記載のパーツキットは、反復投与を提供するために、適切な量/用量のLRA/塩を含む2つ以上の製剤、および/または適切な量/用量の別の抗炎症剤を含む2つ以上の製剤を含み得る。2つ以上の製剤(活性化合物のいずれかを含む)が存在する場合、そのような製剤は、いずれかの化合物の用量、化学的組成(複数可)、および/または物理的形態(複数可)に関して、同じであっても、異なっていてもよい。
【0139】
本明細書に記載のパーツキットに関して、「~と組み合わせた投与」によって、我々は、LRA(またはその塩)および他の抗炎症剤を含むそれぞれの製剤が、関連する病態の治療過程にわたって、順次、別個、および/または同時に投与されることを含む。
【0140】
したがって、本発明による組み合わせ生成物に関して、「~と組み合わせた投与」という用語は、関連する病態の治療過程にわたって、組み合わせ生成物の2つの構成要素(LRAおよび他の抗炎症剤)が、同じ治療過程にわたって、LRA/塩を含む製剤、または他の薬剤を含む製剤のいずれかが単独で他方の構成要素を含まずに(任意で反復)投与される場合よりも、患者に対するより大きな有益な効果を可能にするように、一緒に、または時間的に十分に近接して(任意で反復)のいずれかで投与されることを含む。組み合わせが、特定の病態の治療に関して、かつその治療過程にわたって、より大きな有益な効果を提供するかの決定は、治療または予防される病態によって決まることになるが、当業者によって慣習的に達成され得る。
【0141】
さらに、本発明によるパーツキットの文脈では、「~と組み合わせた」という用語は、2つの製剤のうちの一方または他方が、他方の構成要素の投与の前、その後、および/またはそれと同時に(任意で反復)投与され得ることを含む。この文脈で使用される場合、「同時投与される」および「~と同時に投与される」という用語は、関連するLRA/塩および他の抗炎症剤の個々の用量が、互いの48時間(例えば、24時間)以内に投与されることを含む。
【0142】
本発明のさらなる態様では、上文に定義される組み合わせ調製物を調製するためのプロセスであって、上文に定義されるLRAもしくはその塩、他の抗炎症剤、または副作用として炎症を引き起こすことが知られている薬剤を、少なくとも1つの(例えば、薬学的に許容される)賦形剤と関連付けることを含む、プロセスが提供される。
【0143】
本発明による組み合わせ生成物に関して、LRAは、モンテルカストではないことが好ましい。
【0144】
「約」という用語が、本明細書で、有効成分の濃度および/もしくは用量、分子量、またはpHなどの量の文脈で用いられる場合はいつでも、そのような変数は、近似値であり、したがって本明細書で指定された数値から±10%、例えば、±5%、および好ましくは±2%(例えば、±1%)変動し得ることが理解されるであろう。この点において、「約10%」という用語は、例えば数値10について±10%、すなわち9%~11%を意味する。
【0145】
本発明の製剤は、その病態自体が、有機炎症性疾患であるか、または炎症に関連するか、もしくは炎症を特徴とするか(例えば、創傷、熱傷、もしくはウイルス感染)に関わらず、炎症を特徴とする様々な病態に使用することができるという利点を有する。
【0146】
本明細書に記載の製剤、使用、および方法はまた、炎症、炎症性障害、もしくは症状として炎症を特徴とする障害(創傷を含む)、または他の治療に使用するためのものであるかに関わらず、上文に言及される病態の治療において、先行技術で知られている類似の化合物または方法(治療)よりも、それらが医師および/もしくは患者にとって便利であり、効果的であり、毒性が低く、広範囲の活性を有し、強力であり、少ない副作用をもたらすか、またはそれ(ら)が類似の製剤および方法(治療)を上回る他の有用な薬理学的特性を有し得るという利点も有し得る。
【図面の簡単な説明】
【0147】
本発明は、以下の実施例によって説明され、本発明の製剤を含む、様々な製剤について、
図1図1は、マウス耳腫脹モデルにおける腫脹率を示し、
図2図2は、急性創傷マウスモデルにおける未治癒創傷率を示す。
【実施例
【0148】
実施例1
Ala-Lys-Pro-Ser-Tyr-Hyp-Hyp-Thr-Tyr-Lysの合成
Fmoc-Lys-Boc-Wang樹脂(0.3mmol/g、GLS180322-41301、GL Biochem、上海、中国)を反応カラムに充填した。
【0149】
2リットルの塩化メチレン(DCM、Shandong Jinling Chemical Industry Inc.、山東、中国)をカラムに添加し、樹脂を約30分間浸漬させた。次に、DCMを抜き取り、2リットルのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF、Shandong Shitaifeng Fertilizer Industry Inc.Co.、山東、中国)を使用して、カラムを3回洗浄した。
【0150】
200mLのピペリジン(Shanghai Li Ming Industry and Trade Co.,Ltd.、中国)を1リットルのDMFと混合し、脱保護溶液として使用した。液体を15分後に排出し、カラムをDMFで6回洗浄した。
【0151】
69gのFmoc-Tyr(tBu)-OH(GLS170916-36901、GL Biochem)および48gの2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルアミニウムテトラフルオロボレート(TBTU、GL Biochem)を300mLのDMF中に溶解し、反応カラムに添加した。次に、53mLのN,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、Suzhou Highfine Biotech Co.Ltd、江蘇、中国)を添加した。反応時間は、1時間であった。
【0152】
試料を採取し、ニンヒドリン(Shanghai Shanpu Chemical Co.Ltd、中国)を使用して、反応の完了時を検出した。この時点で、液体を排出し、残留物をDMFで3回洗浄した。
【0153】
上記のカップリング工程を反復して、残りのアミノ酸を同じ量でカップリングした:Fmoc-Thr(tBu)-OH、Fmoc-4-Hyp(tBu)-OH、Fmoc-4-Hyp(tBu)-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-Ser(tBu)-OH、Fmoc-Pro-OH、Fmoc-Lys(Boc)-OH、およびFmoc-Ala-OH。
【0154】
反応順序の最後に、DMF中の20%のピペリジンを上記の方法で脱保護溶液として添加した。次に、液体を15分後に排出し、カラムをDMF、DCM、およびメタノールでそれぞれ各3回洗浄した。
【0155】
液体を排出して、樹脂結合ポリペプチドを得た。
【0156】
95%のトリフルオロ酢酸(TFA)、2.5%の水、および2.5%のトリイソプロピルシラン(Tis)で構成される適切な量のライセートを添加して、樹脂結合ポリペプチドを浸した。混合物を振盪機に置き、30~35℃で2時間インキュベートした。次に、樹脂を濾過によって除去した。
【0157】
無水氷エーテルを濾液に添加し、これを遠心分離し、上澄みを廃棄した。結果物を無水氷エーテルで3回洗浄した。単離されたペプチドを乾燥によって乾燥させて、128gの粗ポリペプチドを得、これをさらに精製して70.7gの精製ペプチドを提供し、これを以下に記載の実験で使用した。
【0158】
LCMS(カラム:GS-120-5-C18-BIO、検出:220nmのUV、溶媒A:MeCN中0.1%TFA、溶媒B:水中0.1%TFA、流速1.0mL/分、体積:10μL):14.351分でm/z 592.65[M+2H]2+。(97.89%)。
【0159】
実施例1の化合物を以下「化合物A」と称する。
【0160】
実施例2
マウスの耳の腫脹モデル
Changzhou Cvens Experimental Animal Co.Ltd.から供給された6~8週齢で平均体重18~25gの健康な雄のBALB/cマウス35匹を、実験前に約1週間飼育し、世話をした。飼育舎の温度は25~27℃、湿度は74%で、12時間の明暗を交互に繰り返し、食料および水を自由に摂取させた。マウスは、以下の表1に記載されているように、各群に5匹ずつでランダムに4つの群に分けられた。
【0161】
各マウスの左耳を自己対照として使用した。以下の表1に要約されているように、各マウスの右耳は様々な異なる治療法で治療された。20μLのキシレン(Shanghai Aladdin Bio-Chem Technology Co.,Ltd.、上海、中国)を各マウスの右耳の内側および外側の両方に適用した。約4分後に耳が腫れ始めた。次いで、異なる量の各研究治療またはビヒクル(以下の表1に記載)を各群の右耳に適用した。マウスをケージに戻した。
【0162】
以下の手順に従ってベースクリームを作製した。
【0163】
以下の成分:ステアリン酸ソルビタン(0.6g)、ポリソルベート-80(1g)、ヘキサデカノール(2g)、オクタン酸/デカン酸グリセリド(5g)、液体パラフィン(4g)、モノステアリン酸塩グリセリド(2g)、およびワセリン(5g)(すべてSinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.)からなる、第1の混合物を作製した。成分を一緒に混合し、混合物が完全に溶けるまで撹拌しながら85℃に加熱した。
【0164】
以下の成分:メチルセルロース(0.5g)、グリセリン(4g)、トレハロース(0.5g)、ポリエチレングリコール200(4g)、フェノキシエタノール(0.3g)、およびエチルヘキシルグリセロール(0.1g)(すべてSinopharm Chemical Reagent Co.Ltd.)、ならびに精製水(69.45g)からなる、第2の混合物も作製した。成分を一緒に混合し、撹拌しながら85℃に加熱して、均質なコロイド懸濁液を形成した。
【0165】
ステアリン酸ソルビタン含有混合物とメチルセルロース含有混合物とを組み合わせた。得られた混合物にシリコーン油(0.5g)を加え、それを次いで乳化装置を使用して5分間素早く撹拌することによって乳化した。得られた乳濁液を55℃まで冷却して、ベースクリームを得た。
モンテルカストをベースにしたクリーム(MON)は、以下の手順を使用して作製された。モンテルカストナトリウム(14mg、Arromax Pharmatech Co.,Ltd、蘇州、中国)をDMSO(0.6mL Shanghai Aladdin Bio-Chem Technology Co.,Ltd、上海、中国)に溶解した。モンテルカスト溶液を2.2gのベースクリームに加え、混合物を均一になるまで撹拌した。
【0166】
ザフィルルカストクリーム(ZAF)は、モンテルカストをザフィルルカスト(50mg、Shanghai Aladdin Bio-Chem Technology Co.,Ltd、上海、中国)に置き換え、9.4gのベースクリームを使用したことを除いて、同じ手順を使用して作製された。
【0167】
プランルカストクリーム(PRA)は、ザフィルルカストをプランルカスト半水和物(50mg、Anhui Heryi Pharmaceutical Co.,Ltd、安徽、中国)に置き換えたことを除いて、ザフィルルカストクリームと同じ手順を使用して作製された。
【0168】
デキサメタゾンクリーム(DEX)は、酢酸デキサメタゾン(5mg、Fuyuan Pharmaceutical Co.Ltd.、安徽、中国)を10gのベースクリームに加え、均一になるまで混合物を撹拌することによって調製した。デキサメタゾンクリームを陽性対照として使用した。
【表1】
【0169】
マウスは、40分後に頸部脱臼により屠殺された。左右の耳を切断した。直径8mmのスキンパウチ(Electron Microscopy Sciences、ハットフィールド、米国)を使用して、両耳の同じ部位から耳の一部を採取した。重量を記録し、腫脹率を次のように計算した。
腫脹率=(右耳の重量-左耳の重量)/左耳の重量×100%
結果を図1に示す。
【0170】
結果は、モンテルカスト、ザフィルルカスト、およびプランルカストクリームがキシレン誘発性腫脹を有意に低減することを示す。
【0171】
実施例3
急性創傷モデル
6~8週齢の雄のC57BL/6マウスを、Changzhou Cvens Experimental Animal Co.Ltdによって供給した。実験を行う前に、マウスを標準化された条件下(一定温度または22±2℃で、12時間の明暗を交互に繰り返す)で飼育し、約1週間、水を含む標準的なマウス飼料を与えた。
【0172】
腹腔内の3%の抱水クロラール(Sinopharm Chemical Reagent Co.,Ltd.、1mL/10gの体重)を使用して、全身麻酔を誘発した。背中の毛を乳児用毛剃り機で剃り、クリームで脱毛した。皮膚領域を拭き取り、75%のアルコールで2回滅菌した。
【0173】
12mmの直径を有するEMS皮膚生検パンチ(Electron Microscopy Sciences、P.O.Box 550、1560 Industry Road、ハットフィールド、ペンシルベニア州、19440)を使用して、背中の正中線に2つの隣接する丸い創傷を作製した。2つの円は互いに接線方向であり、円の間の皮膚は上下の接線に沿ってカットされた。はさみを使って傷口を整えた。創傷は楕円形であった。全層の皮膚が除去され、深さが筋膜に達した。傷は縫合せずに開いたままにした。
【0174】
化合物A(上記の実施例1を参照されたい)は、GL Biochemから粉末として得られた。化合物A(A)のヒドロゲルは、以下の成分:以下の表2に記載される量の有効成分、メチルセルロース(2.5%)、プロパンジオール(11%)、グリセロール(11%)、および1%酢酸(pH調整剤、0~0.5g)からなるように調製された。すべての賦形剤は、Sinopharm Chemical Reagent Co.Ltdから入手した。ゲルは注射用の水で構成された。注射用の水の量は、様々であり、(100%-2.5%-11%-11%-W酢酸%-W化合物A%)によって計算することができた。
【0175】
実施例2に記載の以下の手順に従ってベースクリームを作製した。
【0176】
モンテルカストをベースとするクリームは、9.4gのベースクリームが使用されたことを除いて、上記の実施例2に記載された手順を使用して作製された(MON)。
【0177】
モンテルカストスチレンをベースにしたクリーム(National Institute for Food and Drug Control、中国から入手)(DMON)は、モンテルカストをモンテルカスト不純物B(14mg、医薬標準材料、National Institutes for Food and Drug Control(NIFDC)、中国)に置き換え、2.2gのベースクリームを使用したことを除いて、同じ手順を使用して作製された。
【0178】
ザフィルルカストクリーム(ZAF)は、モンテルカストをザフィルルカスト(50mg、Shanghai Aladdin Bio-Chem Technology Co.,Ltd、上海、中国)に置き換え、9.4gのベースクリームを使用したことを除いて、同じ手順を使用して作製された。
【0179】
プランルカストクリーム(PRA)は、ザフィルルカストをプランルカスト(50mg、Anhui Heryi Pharmaceutical Co.,Ltd、安徽、中国)に置き換えたことを除いて、ザフィルルカストクリームと同じ手順を使用して作製された。
【0180】
0日目~7日目まで1日1回、50μL/創傷で異なる薬物を局所投与した。ヒドロゲルおよびクリームを1mLのシリンジに入れ、重量および体積のキャリブレーションに基づいて用量を測定した。モデル群には同量の生理食塩水が与えられた。以下の表2に示すように、この実験では、88匹のマウスを含む11の群があった。
【0181】
組換えヒト上皮成長因子(rhEGF、Shanghai Haohai Biological Technology Co.Ltd、上海、中国)を購入し、製造者の指示書に従って調製した。凍結乾燥rhEGF粉末(100000IU/バイアル)を20mLの生理食塩水に溶解して、5000IU/mLの濃度の溶液を作製した。この実験のrhEGFの作業用量は、1285IU/創傷であった。
【0182】
化合物Aのヒドロゲルおよび4つの他の薬物のクリームは、投与前に一緒に混合され、次いで、併用療法群における動物の創傷に適用された。
【表2】
【0183】
0日目から1日おきに各創傷を写真撮影し、コンピュータにスキャンした。ImageJ画像分析ソフトウェア(National Institute of Health、米国)を使用して創傷領域を計算した。
【0184】
治癒していない創傷領域を、元の創傷領域のパーセンテージとして表した。
/A×100%、
式中、AおよびAはそれぞれ、0日目の初期領域および測定日(時間t)の創傷領域を指す。
【0185】
未治癒創傷率を図2に示す。結果は、すべての薬物製剤が創傷治癒効果を促進することを示した。組み合わせ群は、最高のパフォーマンスを有した。化合物Aヒドロゲルとザフィルルカストクリームとの組み合わせは、モデル群よりも47%速い、最高の回復速度を促進した。
【0186】
実施例4
特発性肺線維症(IPF)モデル
50匹の成体SDラット(Zhejiang Experimental Animal Center(動物生産ライセンス番号:SCXK(Zhejiang、Chi-00、雄の半分と雌の半分を21~26℃、40~70%相対湿度で飼育し、餌および水を自由に摂取させた。
【0187】
適応給餌の7日後、ラットをランダムに5つの群:偽手術群、特発性肺線維症モデル群、モンテ強制経口投与群、モンテ吸入投与群、およびピルフェニドン対照群に分けた。
【0188】
ラットを麻酔し、仰向けにして手術台に置いて、気管を曝露させた。生理食塩水中の150μLのブレオマイシン(注射用ブレオマイシン塩酸塩、Zhejiang Hisun Pharmaceutical Co. Ltd、中国)を、気管軟骨間の隙間から5mg/kgで気管に注射した。(偽手術群には、等しい体積の生理食塩水を与えた。)
【0189】
投与後にラットを垂直に持ち上げ、薬物が均一に分散するように回転させた。約7日後、ラットが回復した後、以下の表1に従ってラットに異なる薬物を投与した。
【表3】
【0190】
モンテルカスト吸入群では、YLS-8B Multifunctional Cough and Asthma Inducer(Jinan Yiyan Technology Development Co.,Ltd.中国)を使用してモンテルカストナトリウムを噴霧し、吸入(0.15mL/分)を介して1分間、1日1回、28日間投与した。他の群では、モンテルカストナトリウムおよびピルフェニドン(Etuary(登録商標)、Beijing Continent Pharmaceutical Co.,Ltd.、北京、中国)を胃内投与によって28日間投与した。
【0191】
以下の観察指標を調査した。
1)ラットの活動、外部刺激に対する感受性、毛皮の光沢、毛の色、口、唇、鼻、体重、食餌、呼吸、および死亡率の一般的な観察(毎日)。
2)ラットの肺器官係数および肺乾湿重量比(すなわち、動物の肺重量器官と動物の体重との比率、すなわち内臓と体重との比率)の決定。
3)肺線維症の形成中に、線維症の発症に関与する成長因子(TGF-β)、腫瘍壊死因子-α(TNF-α)および他のサイトカインの発現。標準的なELISA法を使用して、肺組織におけるTGF-β、TNF-α、IL-1β、マロンジアルデヒド(MDA)の含有量、およびスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性を検出した。
4)肺線維症の程度を評価するための特定の指標としての、肺におけるコラーゲンおよびフィブリン代謝産物(ヒドロキシプロリン、HYP)の含有量の検出。
5)肺線維症を評価するための最も重要で客観的な指標である、肺組織の組織病理学的変化の検出。
【0192】
ブレオマイシン誘発性肺線維症ラットにおける肺係数およびHYP、MDA、SOD含有量に対するモンテルカストの効果の結果を以下の表2に示す。
【表4】
【0193】
上記の結果は、モンテルカストが、経口および吸入経路の両方で投与された場合、低減した肺組織の乾湿重量比および肺係数によって明らかになる、ラットにおけるブレオマイシン誘発性肺線維症における肺浮腫応答を排除することを示した。コラーゲン合成の主成分であるHYPの合成は、両方のモンテルカスト群で減少し、抗線維化有効性を示す。
【0194】
組織中のTNF-α、IL-10、α-SMA、TGF-β1含有量に対するモンテルカストナトリウムの効果を以下の表3に示す。
【表5】
【0195】
TNF-α、IL-10などの炎症性サイトカイン、ならびにα-SMAおよびIL-1βなどの線維症に関連する因子の産生は、両方のモンテルカスト群において減少した。
【0196】
組織病理学的検査の結果は、組織傷害のスコアの減少、気管支肺炎の緩和、および気管支周辺の線維性組織増殖の緩和によって明らかになるように、組織学的傷害の程度が有意に低減したことを示した。
【0197】
実施例5
大腸炎および便秘のためのモンテルカストゲル
患者は、(腸の遅い蠕動によって引き起こされる)重度の便秘に10年超に苦しんでおり、内痔核および外痔核を伴う大腸炎と診断されている、30代の若い女性である。血便、腹痛、その他の不快感はないが、長期の便秘は患者を非常に不快にする。患者は、頻繁に地域医療センターを訪れ、ラクツロース、小麦ふすま、冷蔵Lactobacillusを摂取している。医師は、午前中にリドカイン、ゲンタマイシン、およびメトロニダゾール浣腸を処方し、午後に伝統中国医学のHuangbai液を1週間処方した。第2週に、医師は、西洋医学および伝統中国医学の浣腸を交互に、毎日交代で処方した。浣腸は排便を改善したが、便秘を治癒しなかった。
【0198】
モンテルカストゲル(5mg/g、1パッケージに2gゲル、下記を参照されたい)を約1か月間毎日使用した後、患者は、浣腸の使用およびLactobacillusの摂取をやめ、毎日排便することができた。今では、患者は、不快に感じるときのみゲルを1回または2回使用する必要がある。
【0199】
モンテルカストゲルは、以下の手順に従って調製した。
【0200】
0.5gのモンテルカストナトリウム(Tianyu Pharmaceutical Co.浙江、中国)を42.2gの蒸留水に溶解し、次いで20.0gのヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(HP-β-CD、Shandong Binzhou Zhiyuan Biotechnology Co.,Ltd.)をゆっくりと加え、均一になるまで混合物を撹拌した。24gのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、Rohm Haas Electronic Materials(Shanghai)Co.,Ltd.)5%水溶液を加え、混合物を十分に混合した。
【0201】
3.4gのリン酸二水素カリウム(China Pharmaceutical Group Chemical Reagents Co.,Ltd)および0.8gの水酸化ナトリウム(China Pharmaceutical Group Chemical Reagents Co.,Ltd)を500gの蒸留水に溶解して、7.30~7.50のpHを有する緩衝溶液を作製した。
【0202】
0.3gのEDTA-2Na(China Pharmaceutical Group Chemical Reagents Co.,Ltd)を36.67gの上記緩衝溶液に溶解し、次いで3.0gのチオ硫酸ナトリウムおよび30mgの塩化ベンザルコニウム(China Pharmaceutical Group Chemical Reagents Co.,Ltd)を混合物に溶解した。
【0203】
13.3gの上記混合物を、絶えず撹拌しながらモンテルカスト溶液に加えた。この製剤は、すべての泡が消えるまで静置するために脇に置いた。
図1
図2
【国際調査報告】