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特表2022-516730AR、HMD、およびHUD用途向けの光導波路における不均一な副瞳リフレクタおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】AR、HMD、およびHUD用途向けの光導波路における不均一な副瞳リフレクタおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220222BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20220222BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20220222BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/01
G02B5/18
G02B5/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538689
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 US2020012995
(87)【国際公開番号】W WO2020146683
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】62/790,458
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】フェイスブック・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FACEBOOK TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】特許業務法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】スタナード, エイドリアン
【テーマコード(参考)】
2H042
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H042AA02
2H042AA05
2H042AA16
2H042AA26
2H199CA05
2H199CA12
2H199CA47
2H199CA48
2H199CA66
2H199CA70
2H199DA16
2H199DA18
2H249AA02
2H249AA65
(57)【要約】
パターン成長モデルに基づく方法を利用して、拡張現実(AR)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、および/またはヘッドアップディスプレイ(HUD)用途向けの、光コンバイナ(100、200、300、400、600、700、および800)または他の構成要素における反射ドット(108)のパターンが決定される。成長パターンで配置された反射ドット(108)を含む、光コンバイナ(100、200、300、400、600、700、および800)が提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板と、
前記光透過性基板に含まれ、前記基板の波伝播軸に沿って配設されたパターン化領域と、を備え、
前記パターン化領域が、部分的に光反射性であり部分的に光透過性であり、
前記パターン化領域が、前記光透過性基板の複数の光透過領域と複数の光反射性副瞳ドットとを備え、前記複数の光反射性副瞳ドットが前記光透過性基板の波伝播軸に対して傾斜し、
前記パターン化領域が成長パターン領域である、
光コンバイナ。
【請求項2】
前記成長パターン領域が反応拡散モデルに従って決定される、請求項1に記載の光コンバイナ。
【請求項3】
前記反応拡散モデルがチューリングリーチ拡散モデルを含む、請求項2に記載の光コンバイナ。
【請求項4】
前記光透過性基板が光導波路基板を含む、請求項1に記載の光コンバイナ。
【請求項5】
前記光透過性基板がニアアイ光導波路基板を含む、請求項4に記載の光コンバイナ。
【請求項6】
プロセスによって構築される光コンバイナであって、前記プロセスが、
光透過性基板を提供することと、
前記基板の波伝播軸を横断する少なくとも1つの共通または別個の面内で、前記光透過性基板に少なくとも1つのパターン化領域を組み込むことであって、前記パターン化領域が、部分的に光反射性であり部分的に光透過性である、少なくとも1つのパターン化領域を組み込むこととを含み、
前記基板の前記波伝播軸を横断する前記少なくとも1つの共通または別個の面内で、前記光透過性基板に前記少なくとも1つのパターン化領域を組み込むことが、
パターン成長モデルに従って複数の光反射性副瞳ドットのパターンを成長させることによって、前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを決定するステップと、
前記パターン成長モデルに従って成長させる前記パターンで、前記共通または別個の面内で前記光透過性基板に前記複数の光反射性副瞳ドットを配置するステップと、を含む、光コンバイナ。
【請求項7】
パターン成長モデルに従って複数の光反射性副瞳ドットのパターンを成長させることによって、前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを決定する前記ステップが、反応拡散成長モデルに従って前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを成長させることによって、前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを決定することを含む、請求項6に記載の光コンバイナ。
【請求項8】
反応拡散成長モデルに従って前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを成長させることによって、前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを決定する前記ステップが、チューリング反応拡散成長モデルに従って前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを成長させることによって、前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを決定することを含む、請求項7に記載の光コンバイナ。
【請求項9】
光透過性基板を提供することが、光学的にニアアイ光導波路基板である光導波路基板を提供することを含む、請求項1に記載の光コンバイナ。
【請求項10】
パターン成長モデルに従って複数の光反射性副瞳ドットのパターンを成長させることによって、前記複数の光反射性副瞳ドットの前記パターンを決定する前記ステップが、
a)パターン成長モデルに従って第1の時間t-1で、光反射性副瞳ドットの初期成長パターンを提供するステップと、
b)前記第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してMFT分析を実施するステップと、
c)ステップb)で実施した前記MFT分析に基づいてアキュータンスAを決定するステップと、
d)前記第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してFFT分析を実施するステップと、
e)ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定するステップと、
f)第2の時間tでステップa)~e)を繰り返すステップと、
g)決定した前記アキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で前記成長パターンを選択するステップと、を含む、請求項6に記載の光コンバイナ。
【請求項11】
前記パターン成長モデルが反応拡散成長モデルを含み、
ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定する前記ステップが、ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて、径方向で重み付けられた回折を積分することを含む、請求項10に記載の光コンバイナ。
【請求項12】
前記決定したアキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で前記成長パターンを選択するステップ(g)が、
前記第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが以前の前記第1の時間t-1の前記アキュータンスAよりも大きい場合、および現在の第2の時間tの積分回折が以前の前記第1の時間t-1の前記積分回折よりも小さい場合、前記現在の第2の時間で得られる前記成長パターンを選択することを含む、請求項11に記載の光コンバイナ。
【請求項13】
前記決定したアキュータンスAおよび回折に従って、現在の第2の時間tで前記成長パターンを選択するステップ(g)が、
前記現在の第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが前記以前の第1の時間t-1の前記アキュータンスA以下の場合、および前記現在の第2の時間tの前記積分回折が前記以前の第1の時間t-1の前記積分回折以上である場合、現在の第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが前記以前の第1の時間t-1の前記アキュータンスAよりも大きく、および前記現在の第2の時間tの前記積分回折が前記以前の第1の時間t-1の前記積分回折よりも小さくなるまで、後続のそれぞれの時間、ステップ(a)から(f)を繰り返すことを更に含む、請求項12に記載の光コンバイナ。
【請求項14】
前記反応拡散成長モデルがチューリング反応拡散成長モデルである、請求項13に記載の光コンバイナ。
【請求項15】
光コンバイナに対する複数の光反射性副瞳ドットのパターンを決定する方法であって、コンピュータにおいて、
a)パターン成長モデルに従って第1の時間t-1で、光反射性副瞳ドットの初期成長パターンを提供するステップと、
b)前記第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してMFT分析を実施するステップと、
c)ステップb)で実施した前記MFT分析に基づいてアキュータンスAを決定するステップと、
d)前記第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してFFT分析を実施するステップと、
e)ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定するステップと、
f)第2の時間tでステップa)~e)を繰り返すステップと、
g)決定した前記アキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で前記成長パターンを選択するステップと、を含む、方法。
【請求項16】
前記パターン成長モデルが反応拡散成長モデルを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定する前記ステップが、ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて、径方向で重み付けられた回折を積分することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記決定したアキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で前記成長パターンを選択するステップ(g)が、
前記第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが以前の前記第1の時間t-1の前記アキュータンスAよりも大きい場合、および現在の第2の時間tの積分回折が以前の前記第1の時間t-1の前記積分回折よりも小さい場合、前記現在の第2の時間で得られる前記成長パターンを選択することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記決定したアキュータンスAおよび回折に従って、現在の第2の時間tで前記成長パターンを選択するステップ(g)が、
前記現在の第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが前記以前の第1の時間t-1の前記アキュータンスA以下の場合、および前記現在の第2の時間tの前記積分回折が前記以前の第1の時間t-1の前記積分回折以上である場合、現在の第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが前記以前の第1の時間t-1の前記アキュータンスAよりも大きく、および前記現在の第2の時間tの前記積分回折が前記以前の第1の時間t-1の前記積分回折よりも小さくなるまで、後続のそれぞれの時間、ステップ(a)から(f)を繰り返すことを更に含む、請求項18に記載の光コンバイナ。
【請求項20】
前記反応拡散成長モデルがチューリング反応拡散成長モデルである、請求項19に記載の光コンバイナ。
【請求項21】
前記パターン成長モデルがランダム生成パターン成長モデルを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
光コンバイナに対する複数の光反射性副瞳ドットのパターンを成長させる方法をプロセッサに実施させるように構成された内容を含む、コンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
a)パターン成長モデルに従って第1の時間t-1で、光反射性副瞳ドットの初期成長パターンを提供するステップと、
b)前記第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してMFT分析を実施するステップと、
c)ステップb)で実施した前記MFT分析に基づいてアキュータンスAを決定するステップと、
d)前記第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してFFT分析を実施するステップと、
e)ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定するステップと、
f)第2の時間tでステップa)~e)を繰り返すステップと、
g)決定した前記アキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で前記成長パターンを選択するステップと、を含む、コンピュータ可読媒体。
【請求項23】
前記パターン成長モデルが反応拡散成長モデルを含む、請求項22に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項24】
ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定する前記ステップが、ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて、径方向で重み付けられた回折を積分することを含む、請求項23に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項25】
前記決定したアキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で前記成長パターンを選択するステップ(g)が、
前記第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが以前の前記第1の時間t-1の前記アキュータンスAよりも大きい場合、および現在の第2の時間tの積分回折が以前の前記第1の時間t-1の前記積分回折よりも小さい場合、前記現在の第2の時間で得られる前記成長パターンを選択することを含む、請求項24に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項26】
前記決定したアキュータンスAおよび回折に従って、現在の第2の時間tで前記成長パターンを選択するステップ(g)が、
前記現在の第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが前記以前の第1の時間t-1の前記アキュータンスA以下の場合、および前記現在の第2の時間tの前記積分回折が前記以前の第1の時間t-1の前記積分回折以上である場合、現在の第2の時間tで決定された前記アキュータンスAが前記以前の第1の時間t-1の前記アキュータンスAよりも大きく、および前記現在の第2の時間tの前記積分回折が前記以前の第1の時間t-1の前記積分回折よりも小さくなるまで、後続のそれぞれの時間、ステップ(a)から(f)を繰り返すことを更に含む、請求項25に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項27】
前記反応拡散成長モデルがチューリング反応拡散成長モデルである、請求項26に記載のコンピュータ可読媒体。
【請求項28】
前記パターン成長モデルがランダム生成パターン成長モデルを含む、請求項22に記載のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許文献の開示の一部分は、著作権保護の対象である資料を含む。著作権保有者は、特許商標局の特許ファイルまたは記録に見られるような、特許文献または特許開示のファクシミリ複製を誰が行っても異議を唱えないが、それ以外はいかなる場合でも全ての著作権を保有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月9日付けの「AR、HMD、およびHUD用途向けの光導波路における不均一な副瞳リフレクタおよび方法(Non-uniform sub-pupil reflectors and methods in Optical Waveguides for AR, HMD and HUD applications)」という名称の、米国仮出願第62/790,458号の利益を主張する。上記に特定した特許出願の全内容を、完全に記載されるものとして本明細書に参照により組み込む。
【0003】
実施形態は光学装置および方法に関する。より詳細には、ただし排他的にではないが、実施形態は、拡張現実画像および/または反射ドットを組み込んだ仮想現実光学構成要素に関する。それに加えてまたはその代わりに、実施形態は、反射ドットを含む光導波路に関する。それに加えてまたはその代わりに、実施形態は、拡張現実(AR)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、ならびに/あるいはヘッドアップディスプレイ(HUD)用途のための光導波路または他の構成要素における、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせを決定する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
光導波路は、多くの拡張現実ディスプレイまたは仮想現実システムにおける基本的構成要素である。
【0005】
回折技術に依存する既存のシステムでは、光およびイメージの30%がディスプレイから着用者とは反対方向に回折され、部分反射システムは最大で20%反射することができる。不要な光およびイメージがディスプレイの反対側から着用者に向けられることを防ぐ、例えば、夜間運用の間は必要な迷光が最小限に抑えられるべきである軍用用途、または着用者の目および顔の表情の視認性が外部に結合されたコンピュータ生成のイメージによって妨げられる一般の拡張現実用途では、改善された光導波路を提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、MTFが人間の目に対して最適であることができ、回折効果を実質的に低減することができるように、光導波路における各反射ドットの分布および形状を最適化するために必要とされる分析および技術に対処する。
【0007】
反射ドットを含む上述の光導波路の非限定例が、「光コンバイナ装置(Optical Combiner Apparatus)」という名称の2016年7月8日付けの米国特許出願第15/206,111号であって2018年1月11日に公開された米国出願公開US-2018-0011322-A1に記載されており、本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む。
【0008】
第1の態様によれば、光コンバイナが提供される。光コンバイナは、光透過性基板と、光透過性基板に含まれ、基板の波伝播軸に沿って配設されるパターン化領域とを備えてもよい。パターン化領域は、部分的に光反射性であり部分的に光透過性であってもよい。パターン化領域は、光透過性基板の複数の光透過領域と、光透過性基板の波伝播軸に対して傾斜した複数の光反射領域とを備えてもよい。
【0009】
部分的に光反射性であり部分的に光透過性であるパターン化領域を、光学基板に含めることによって、製造がより簡単であってより良好な性能を有する、改善された光コンバイナが提供される。
【0010】
別の態様によれば、拡張現実光コンバイナが提供される。光コンバイナは、光画像を受信し、離れた実世界シーン、および受信した光画像を反射する透明光導波路内に配置された複数の反射要素を通して見る、透明光導波路基板を備えてもよい。複数の反射要素は、光コンバイナが使用中のとき、受信した光画像が反射され、実世界シーンの視界に重畳されて、遠くの実世界シーンを見ると同時に実世界シーンに重畳された光画像を見ることが可能になるように、配置されてもよい。
【0011】
更に別の態様によれば、拡張現実光学装置が提供される。拡張現実光学装置は、ヘッドマウントディスプレイと、ヘッドマウントディスプレイ上で支持される上述の光コンバイナのうち少なくとも1つとを備えてもよい。
【0012】
更に他の態様によれば、光線を結合する方法が提供される。一態様では、光線を結合する方法は、第1の光画像光線(optical image ray)を、光学透明導波路基板の長さに沿って、前記光透過性基板のパターン領域に向かって伝播することと、光導波路基板の幅を通して第2の光画像光線を伝送することと、前記光学基板から前記第1の光画像光線を、前記基板に沿った異なる地点で前記パターン領域の反射領域から選択的に反射することと、を含み、前記反射した第1の光画像光線は、前記光透過性基板から伝送された前記第2の光画像光線に重畳する。
【0013】
第1の光画像光線はコンピュータ生成光線であってもよい。第2の光画像光線は遠くの実世界シーンからのものであってもよい。パターン領域は上述したようなパターン領域であってもよい。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、光コンバイナは、複数の光画像光線を備える光画像を受信し、遠くの実世界シーンを通して見る、透明光導波路基板を備えてもよく、前記透明光導波路基板は、前記遠くの実世界シーンの光線を受信する後面と、前記後面と対向する、前記遠くの実世界シーンの前記光線が前記透明光導波路基板から出ることを可能にする前面と、前記光画像を受信する光画像受信端または側と、前記透明光導波路基板の体積に沿って前記光画像受信側または端から延在する光伝播軸とを有する、多量の光透過性材料を備え、複数の反射要素は、前記受信した光画像を反射するため、前記透明光導波路基板内に配置され、前記複数の反射要素は、光画像波伝播軸に対して同じ角度で傾斜した複数の反射ドットを備え、前記複数の反射ドットは、光画像伝播軸に垂直に横断方向で離隔され、前記光透過性基板の体積に沿って離隔され、前記透明光学基板の複数の横断方向に延在する光透過領域、前記複数の横断方向に延在する光透過領域は、横断方向で離隔された反射ドットを差し挟み、複数の反射ドットおよび複数の横断方向に延在する光透過領域は、横断方向で前記透明光学基板の体積に沿って分配され、それによって、前記光画像受信端または側のより近くに分配された反射ドットによって反射されない光画像光線は、隣接する横断方向で離隔された反射ドットの間で、反射ドットによって反射されることなく、前記光透過性基板の前記体積に沿って異なる地点に配設された反射ドットによって前記光画像受信端または側から更に遠くまで選択的に反射されるまで、前記横断方向に延在する光透過領域を選択的に通過して、前記選択的に反射された光画像光線がともに、受信される光画像の反射画像を形成する。
【0015】
いくつかの態様によれば、光コンバイナが提供される。光コンバイナは、光透過性基板と、前記光透過性基板に含まれ、前記基板の波伝播軸に沿って配設されるパターン化領域とを備え、前記パターン化領域は、部分的に光反射性であり部分的に光透過性であり、前記パターン化領域は、前記光透過性基板の複数の光透過領域と、複数の光反射性副瞳ドットとを備え、前記複数の光反射性副瞳ドットは、前記光透過性基板の波伝播軸に対して傾斜し、前記パターン化領域は成長パターン領域である。
【0016】
別の態様によれば、プロセスによって構築される光コンバイナが提供される。プロセスは、光透過性基板を提供することと、前記基板の波伝播軸を横断する少なくとも1つの共通または別個の面内で、前記光透過性基板に少なくとも1つのパターン化領域を組み込むことと、を含んでもよく、前記パターン化領域は、部分的に光反射性であり部分的に光透過性であり、前記基板の波伝播軸を横断して配設される少なくとも1つの共通または別個の面内で、前記光透過性基板に少なくとも1つのパターン化領域を組み込むことは、パターン成長モデルに従って複数の光反射性副瞳ドットのパターンを成長させることによって、複数の光反射性副瞳ドットのパターンを決定するステップと、パターン成長モデルに従って成長させるパターンで、前記共通または別個の面内で前記光透過性基板に前記複数の光反射性副瞳ドットを配置するステップと、を含む。
【0017】
更に別の態様によれば、光コンバイナに対する複数の光反射性副瞳ドットのパターンを決定する方法が提供される。方法は、a)パターン成長モデルに従って第1の時間t-1で、光反射性副瞳ドットの初期成長パターンを提供するステップと、b)第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してMFT分析を実施するステップと、c)ステップb)で実施した前記MFT分析に基づいてアキュータンスAを決定するステップと、d)第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してFFT分析を実施するステップと、e)ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定するステップと、f)第2の時間tでステップa)~e)を繰り返すステップと、g)決定したアキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で成長パターンを選択するステップと、を含む。
【0018】
更に別の態様によれば、コンピュータ可読媒体は、光コンバイナに対する複数の光反射性副瞳ドットのパターンを成長させる方法をプロセッサに実施させるように構成された、コンテンツを含み、方法は、a)パターン成長モデルに従って第1の時間t-1で、光反射性副瞳ドットの初期成長パターンを提供するステップと、b)第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してMFT分析を実施するステップと、c)ステップb)で実施した前記MFT分析に基づいてアキュータンスAを決定するステップと、d)第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してFFT分析を実施するステップと、e)ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定するステップと、f)第2の時間tでステップa)~e)を繰り返すステップと、g)決定したアキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で成長パターンを選択するステップと、を含む。
【0019】
更に別の態様によれば、反射ドットのパターンを成長させるデバイスは、a)パターン成長モデルに従って第1の時間t-1で、光反射性副瞳ドットの初期成長パターンを提供し、b)第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してMFT分析を実施し、c)ステップb)で実施した前記MFT分析に基づいてアキュータンスAを決定し、d)第1の時間t-1で、前記初期成長パターンに対してFFT分析を実施し、e)ステップd)で実施した前記FFT分析に基づいて回折を決定し、f)第2の時間tでステップa)~e)を繰り返し、g)決定したアキュータンスAおよび回折に従って、特定の時間で成長パターンを選択するように構成された、データプロセッサを備える。
【0020】
本発明をより容易に理解できるようにするため、以下、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態による、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つまたは組み合わせが構成可能である、例示の光コンバイナを示す正面斜視図である。
図2A】画像プロジェクタとともに使用される、一実施形態による、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つまたは組み合わせが構成可能である、光コンバイナを示す上面図である。
図2B図2Aの光コンバイナの正面図である。
図3A】一実施形態による、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つまたは組み合わせが構成可能である、スパースアパーチャリフレクタを示す正面図である。
図3B図3Aのスパースアパーチャリフレクタの側面図である。
図4A】一実施形態による、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つまたは組み合わせが構成可能である、スパースアパーチャリフレクタを示す正面図である。
図4B図4Aのスパースアパーチャリフレクタの側面図である。
図5】一実施形態による、拡張現実画像コンバイナが画像をどのように結合するかを全体的に示す概略図である。
図6】一実施形態による、拡張現実画像コンバイナが画像をどのように結合するかを詳細に示す概略図である。
図7】一実施形態による、拡張現実ヘッドマウントディスプレイ眼鏡を示す正面図である。
図8】一実施形態による、拡張現実ヘッドマウントディスプレイヘルメットを示す正面図である。
図9】別の実施形態による、例示の光コンバイナを示す正面斜視図である。
図10】一実施形態による、反射要素が配設される共通面に対して異なる角度で傾けられた光コンバイナの反射要素を示す部分図である。
図11(a)】本発明の技術の実施形態における方法および装置を説明する目的で、異なるアパーチャに対する回折限界MTFを示すグラフである。
図11(b)】本発明の技術の実施形態における方法および装置を説明する目的で、400μmアパーチャおよび10%ボーダーを有する単一の要素を示す図である。
図11(c)】本発明の技術の実施形態における方法および装置を説明する目的で、図11(b)の400μmおよび10%アパーチャを有する単一の要素のMTF対周波数を示す図である。
図11(d)】400μmアパーチャおよび60%ボーダーを有する単一の要素を示す図である。
図11(e)】図11(d)の400μmおよび60%アパーチャを有する単一の要素のMTF対周波数を示す図である。
図12(a)】一実施形態による、30μmサイズの六角形の対数グリッドを示す図である。
図12(b)】図12(a)の対数グリッドのMTF対周波数を示す図である。
図12(c)】図12(a)の対数グリッドの回折を示す図である。
図13】一実施形態による、副瞳リフレクタのパターンを生成する方法を示す図である。
図14】一実施形態による、図13のパターン生成方法によって生成される、高性能を提供する分配されたリフレクタドット形状の一例のパターンを示す図である。
図15】人間の目の場合のMFT対空間周波数と比較した、図14(スパースアパーチャリフレクタ)の反射ドットの生成パターンの場合のMFT対特定周波数を示す図である。
図16】2.5mm×2.5mmの瞳孔ウィンドウ全体に対する相対強度対角度を示すことによって、図14のランダムな要素の正味の回折を示す図である。
図17】パターン成長に対するチューリング拡散方程式の基本を示す方程式図である。
図18】生産量低下および拡散パラメータを変動させることによって修正される、図17を利用することによって修正される図13の方法によって生成される、一実施形態による成長パターンリフレクタを示す図である。
図19】人間の目の場合のMFT対特定周波数と比較した、図18(スパースアパーチャリフレクタ)の反射ドットの生成パターンの場合のMFT対特定周波数を示す図である。
図20】反射率対角度を示すことによって、図18のランダムな要素の回折を示す図である。
図21】生産量低下および拡散パラメータを変動させることによって修正される、図17を利用することによって修正される図13の方法によって生成される、別の実施形態による成長パターンリフレクタを示す図である。
図22】人間の目の場合のMFT対特定周波数と比較した、図21(スパースアパーチャリフレクタ)の反射ドットの生成パターンの場合のMFT対特定周波数を示す図である。
図23】反射率対角度を示すことによって、図21のランダムな要素の回折を示す図である。
図24】コンピュータシステムの形態の機械の一実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の記載では、限定ではなく説明目的で、本発明の徹底的な理解を提供するために、特定の実施形態、手順、技術などの具体的な詳細について説明する。しかしながら、本発明はこれらの具体的な詳細から逸脱する他の実施形態で実施されてもよいことが、当業者には明白となるであろう。
【0023】
本出願に記載する技術的特徴は、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせが、拡張現実(AR)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、および/またはヘッドアップディスプレイ(HUD)用途のために構成される、光導波路または他の構成要素に関連する装置の様々な実施形態を構築するのに使用することができる。
【0024】
本出願に記載する技術的特徴は、拡張現実(AR)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、および/またはヘッドアップディスプレイ(HUD)用途のために、光コンバイナにおける反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせを構成する、方法の様々な実施形態を構築するのに使用することができる。
【0025】
最初に、本発明の技術のいくつかの態様による、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせが構成可能である反射ドットを含む光導波路の例であり、本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む、「光コンバイナ装置(Optical Combiner Apparatus)」という名称の2018年1月11日に公開された米国出願公開US-2018-0011322-A1に記載されている、光導波路を参照する。この目的のため、次に添付図面を参照する。図1は、一実施形態による、例示の光コンバイナの正面図を示している。光コンバイナ100は光透過性導波路基板105から形成される。基板105は、導波路基板の長さに沿って延在する波伝播軸106を有する。基板105の光受信端または側に入る光画像光線は、基板を通って伝播軸106に沿って伝播する。
【0026】
基板105は、ガラスまたはプラスチックなどであるがそれらに限定されない、光導波路基板材料から作られた透明基板である。基板後面に入る光線150は、基板材料を通過し、基板前面から出る。基板の一方の側に位置し、基板の前面を通して見ている観察者は、基板材料を見通し、基板の他方の側に位置する物体、シーンなどを観察することができる。
【0027】
パターン化領域107は光透過性基板の体積に含まれる。パターン化領域107は、部分的に光反射性であり部分的に光透過性である。パターン化領域107は、光透過性基板105の複数の光透過領域109と、光透過性基板の波伝播軸106に対して傾斜した複数の光反射領域108とを備える。明瞭にするため、全ての反射領域が図示されるとは限らず、また全ての図示される反射領域108および透明領域109に参照番号が付されているとは限らない。基板の端部で捕捉される光画像光線140は、伝播軸106に沿って伝播し、パターン化領域107に入り、傾斜した光反射領域108によって、基板105に沿った異なる地点で選択的に反射される。反射された光画像光線142は基板105の前面を出る。
【0028】
例証を簡単にするため、光線140は真っ直ぐの光線としてのみ示される。導波路を真っ直ぐ通過するのではなく導波路に沿って跳ね返る、図示されない他の無数の光線がある(図2A図2B、および図6に、跳ね返る光線の例が示される)。いくつかの実施形態では、パターン化領域107は規則的パターン化領域である。他のいくつかの実施形態では、パターン領域107は、不規則パターン化領域、または規則的パターン領域および不規則パターン化領域の組み合わせである。
【0029】
パターン化領域は様々な形態を取ることができる。いくつかの実施形態では、パターン領域107の光反射領域108は、例えば図1に示されるような、光透過性基板105に分配される複数の光反射性要素であり、光透過領域109は、複数の反射要素がない光透過性基板材料105の領域である。他のいくつかの実施形態では、パターン領域107は、光透過領域が、基板に含まれる反射性材料層または体積に形成された複数のアパーチャまたは開口部を備え、光反射領域が光反射性材料を備える、リバース設計である。
【0030】
図1の光コンバイナでは、光反射領域108は、反射ドットである光反射要素を備える。説明および視覚化を簡単にするため、図1および他の添付図面では、反射ドットは拡大されて示され、縮尺通りではない。更に、全ての反射ドットが示されるわけではない。実際には、例えば、一般的に、基板には数千の小さい反射ドットがあり、ドットは人間の目には簡単に見えないように十分に小さいので、光コンバイナの透過性能を実質的に妨げない。いくつかの実施形態では、光反射要素は、反射ドットではなく、反射性の記号、文字など、他のタイプの離散的な反射要素であってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、反射ドットまたは他の要素の少なくともいくつかはそれぞれ全反射性である。他のいくつかの実施形態では、反射ドットまたは他の反射要素の少なくともいくつかはそれぞれ部分反射性である。例えば、反射ドットの少なくともいくつかはそれぞれ、5~100%の反射率を有する。いくつかの実施形態では、反射要素の少なくともいくつかの反射率は同じである。いくつかの実施形態では、反射要素の少なくともいくつかの反射率は異なる。
【0032】
光反射ドットはそれぞれ、単一の反射性金属層、または反射性酸化物もしくは他の材料の複数層などであるがそれらに限定されない、反射性材料で作られる。反射ドット材料は、知られている堆積技術によって堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、射出成形をオーバーモールドされた反射層および光3D印刷とともに使用して、パターン領域を含む光学基板を形成してもよい。図1の実施形態では、反射ドットは、基板の長さに沿って離隔された複数の別個の面115、120、125、130に分配される。各面115、120、125、130は、基板105の上面と下面との間に延在し、図1に示されるように、伝播軸106に対して傾斜される。各面の反射ドットは、図1に示される正方形ドットの長方形マトリックスなど、規則的なパターンおよび形状を有する。しかしながら、他の実施形態では、面の1つまたは複数における反射ドットのパターンは、他の規則的な形状のマトリックスもしくはパターンを有することができ、または不規則なパターンを有することができる。更に、より詳細に後述するように、各反射ドットあるいは少なくともいくつかの反射ドットの、形状、サイズ、傾き、および/または間隔は、同じであることができ、または互いに異なることができる。
【0033】
それに加えて、いくつかの実施形態では、反射ドット108は、各別個の面115、120、125、130を超えて延在する基板の体積部分に分配する。例として、図1は、反射ドット108が別個の面115、120、125、130に分配され、また面の間の基板の中間領域を占めることを示している。光コンバイナのいくつかの実施形態では、反射ドット108は別個の面には分配されず、それよりもむしろ、導波路基板の長さに沿って離隔された別個の体積部分全体に分配される。
【0034】
いずれの場合も、反射要素が異なる実施形態においてどのように正確に分配されるかにかかわらず、反射要素は、基板105の長さに沿って離隔された群を形成することができる。例えば、図1では、反射ドットの第1の群101は、基板105の長さに沿って伝播する光画像光線を部分的に反射するように配置される。導波路に沿って更に離隔された反射要素の後続の群102、103、104は、反射要素の第1の群によって反射されない光画像光線を反射するように配置される。
【0035】
別個の面および/または別個の体積部分の周りに分配される反射ドットの各群は、それらの間の光透過性基板のギャップとともに、部分反射性の個々のリフレクタとして集合的に動作する。図1は4つのかかる個々のリフレクタを示している。しかしながら、他の実施形態では、光コンバイナは、単一のリフレクタから多数のリフレクタまで、任意の数のかかるリフレクタを有してもよい。
【0036】
光コンバイナ100は、各リフレクタの面積全体にコーティングされた複雑な一連の反射層を有するリフレクタではなく、反射要素で作られた非常に単純な構造である。
【0037】
光画像コンバイナとしての光コンバイナの動作は非常に単純であり、画像を形成する光線が導波路基板に沿って移動すると、その一部が第1のリフレクタの反射ドットに衝突し、目に向かって向け直される。ドットは第1のリフレクタの小さい面積を占めるのみなので、光線の大部分はドットに当たらない。例えば、ドットが面積全体の5%を占める場合、全体反射率も約5%であり、画像エネルギーの95%は次のリフレクタまで通過し、その次も同様である。反射ドットは、基板内へと真っ直ぐ伝播してきた光線140を反射するが、広い「跳ね返り」を介して到達し、視射角で反射ドットに衝突する他の光線140も反射する(例えば、近付いてくる光線および反射ドットからの反射の跳ね返りの、例えば図2A図2B、および図6に示される光コンバイナを参照)。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1のリフレクタ(ドット群101)は比較的低い反射率(小さいドット面積)を有し、後続のものはより高い反射率(より大きいドット面積)を有して、導波路基板に沿って反射率が更に増加する。ドット面積対光透過性ギャップの比は、各リフレクタに対して選択された反射率を得るように変動される。
【0039】
更に他のいくつかの実施形態では、全ての反射ドット108は、別個の面および/または別個の体積部分を占めるのではなく、導波路の長さに沿って延在する基板体積全体を通して分配される。かかる実施形態では、反射ドット108およびそれらの間の光透過性ギャップまたは領域は、基板体積を通して延在する、1つの連続する部分反射性リフレクタを効率的に形成する。図9は、一実施形態による、1つのかかる光コンバイナ900を示している。反射ドット108は、基板105の体積全体を通して分配されて示されている。上述したように、例証を簡単にするため、全ての反射ドットが示されているわけではない。更に、図9に示されるドットの特定のパターンは単なる一例のドットパターンである。反射ドット108は依然として、連続的なリフレクタに沿って相対反射率が低から高に増加するように配置される。
【0040】
光コンバイナの更に他のいくつかの実施形態では、光学基板は非透明基板である。
【0041】
図2Aおよび図2Bはそれぞれ、一実施形態による、光画像生成装置とともに使用される光コンバイナの上面図および正面図を示している。光コンバイナ200は、ガラスもしくはプラスチックのスラブ205(平らな平行面)、またはニアアイディスプレイ向けの他の光透過性導波路である。代替実施形態では、導波路は湾曲しており、面は必ずしも平行でなくてもよい。光コンバイナ200は光コンバイナ100と類似しているが、製作を簡単にするため、各部分反射性リフレクタは、反射ドットまたは他のタイプの反射要素の表面パターンで作られたスパースアパーチャ反射面である。図2Aおよび図2Bに示される、4つのかかるリフレクタ215、220、225、230のアレイがあるが、光コンバイナ200は、任意の数、一般的には3つおよび6つを有することができる。リフレクタ215はアレイで最も低い反射率を有し、リフレクタ220は次に高い反射率を有し、リフレクタ225は次に高い反射率を有し、リフレクタ240は最も高い反射率を有する。例として、いくつかの実施形態では、第1のリフレクタ215は約5~7%の反射率を有し、第2のリフレクタ220は約10%の反射率を有し、第3のリフレクタ225は20%の反射率を有し、第4のリフレクタ230は約80%の反射率を有する。
【0042】
スパースアパーチャ表面リフレクタ215~230は、複数の反射ドット(ドット108など)、または表面に形成され、多くの異なる構成を有することができる、他の反射要素を備える。いくつかの実施形態では、反射ドットまたは他の要素は、任意の形状であり、無作為の位置で表面にマトリックス状に配置される。反射ドットは、決定論的形式で、またはランダム関数に従って、表面周辺に位置付けられてもよい。
【0043】
図2Aおよび図2Bでは、光画像光線140を生成する光源は画像プロジェクタ265である。プロジェクタ265から発する単一の光線275が、プリズム270を使用して導波路基板205にどのように光結合されるかを示す、単純化された状況が図2Aおよび図2Bに示される。しかしながら、図1に光線140として示されるものなど、導波路の端部への直接入射を含む、他の光結合方法が可能である。他の実施形態では、プロジェクタ265の代わりに、またはそれに加えて、他の光生成装置が使用されてもよい。
【0044】
1つのかかるスパースアパーチャリフレクタ表面は、図3Aおよび図3Bに更に詳細に示されており、これらの図はそれぞれ、(図2Aおよび図2Bの光コンバイナにおけるリフレクタ215~230のうち1つまたは複数として使用される)一実施形態による、スパースアパーチャリフレクタシステムの平面図および側面図を示している。製作を簡単にするため、スパースアパーチャリフレクタシステム330は、規則的なXYピッチ305上の反射ドット180または他の要素の単純なマトリックス350を有する。図3Aに示されるマトリックスにおける黒い正方形の領域はそれぞれ、複数の反射ドットを含む。例として、各正方形は、サイズが約20ミクロンである数百のより小さい正方形を含む。図3Aおよび図3Bでは、反射マトリックス350は、他のリフレクタと組み合わされると光導波路基板205の一部を形成する、別個の光透過性基板上で保持される。他のいくつかの実施形態では、反射マトリックス350は、導波路基板205の中間領域の表面上に直接形成される(例えば、図2Aおよび図2Bの中間領域245~260を参照)。スパースアパーチャリフレクタ表面330の高さAは、一般的には35~50mmであるがそれに限定されず、所望の特定の光コンバイナ特性に応じて変動する。スパースアパーチャリフレクタ表面の幅Bは、光コンバイナに必要なリフレクタの数に従って、また光導波路基板の厚さに従って決定される。反射ドットまたは他の要素の厚さT1は変動し、ただし一般的には0.1~1マイクロメートル(μm)であるがそれに限定されない。
【0045】
図4Aおよび4Bはそれぞれ、(図2Aおよび図2Bの光コンバイナにおけるリフレクタ215~230のうち1つまたは複数として使用される)別の実施形態によるスパースアパーチャリフレクタシステムの平面図および側面図を示している。スパースアパーチャリフレクタシステム400は、反射ドットまたは他の要素の配置およびパラメータの点で、システム300とは異なる。図4Aおよび図4Bに示されるように、リフレクタシステムの前面にパターニングされる反射ドットはいくつかの異なる形状を有する。ドット形状は、規則的な形状および/または無作為の形状である。例として、図4Aおよび図4Bでは、第1のドット420は任意の形状を有し、第2のドット415は任意の形状を有する。反射ドットは異なる分離距離を有する。反射ドット厚さも異なる反射ドットに対して変動してもよい。光コンバイナの性能および結像は、ドットの形状(規則的もしくは無作為の形状)、ドット特徴の最小寸法、ドット特徴の最大寸法、表面全体にわたる無作為化の程度、ドット反射材料の厚さ、ドット間の最小分離、ドット間の最大分離、およびドットが占める面積の割合を含むがそれらに限定されない、様々なリフレクタパラメータを最適化することによって、制御し改善することができる。いくつかの実施形態では、少なくともいくつかの反射ドットまたは他の要素は、完全もしくは実質的に反射性の前面と完全もしくは実質的に吸収性の後面とを有する。図4Aおよび図4Bに示されるように、いくつかの反射ドットまたは要素は、埋没レリーフリフレクタ460と凸状レリーフリフレクタ455とを含む。
【0046】
本明細書に記載する光コンバイナのいくつかの実施形態では、光学基板の反射要素108などの少なくともいくつかは互いから異なる角度で傾けられ、および/あるいは反射要素の少なくともいくつかは互いに平行に傾けられる。また、更なるいくつかの実施形態では、反射要素のいくつかは、反射要素によって占められる面に対して個別に傾けられる。例として、図10は、一実施形態による、光学基板において反射要素が占めている共通面1000に対して、異なる角度で傾けられた反射要素(この場合、長方形の反射ドット)1002、1008を示す、光コンバイナの部分図である。第1の反射ドット1002は、x軸で共通面1000に対して第1の角度1004で傾けられ、第2の反射ドット1008は、x軸で共通面に対して第2の角度1010で傾けられ、第2の角度1010は第1の角度1004とは異なる。また、第1の反射ドット1002は、z軸で共通面1000に対して第3の角度1006で傾けられ、第2の反射ドット1008は、z軸で共通面1000に対して第4の角度1012で傾けられ、第4の角度1012は第3の角度1006とは異なる。他の実施形態では、反射要素の少なくともいくつかは、x、y、z面(もしくはそれらの任意の組み合わせ)で異なるように、または同じように傾けることができる。
【0047】
記載する実施形態の光コンバイナは、知られている導波路リフレクタを上回る多くの利点を有する。実施形態の光コンバイナは、リフレクタを通って移動する際の慎重な偏光制御を要する、知られているコンバイナとは異なり、入力される偏光に影響を受けにくい。実施形態の光コンバイナは、反射率が広範囲の入射角にわたって維持されることを確保するのに慎重な設計を要する、知られているコンバイナとは異なり、本質的に広い光帯域幅を有する。実施形態の光コンバイナは、反射性材料の単一層を使用して反射ドットまたは他の要素のパターンを製作することができるので、より単純である。対照的に、知られているコンバイナでは、各リフレクタアレイは、1つの反射表面を作るのに、20~30の別個の慎重に堆積させた層を要することになる。光コンバイナは、反射膜の非常に複雑な複数層および脆弱な多重層によって製造が困難である、知られているコンバイナと比較して、簡単に製作され堅牢である。
【0048】
いくつかの態様では、光コンバイナは、拡張現実画像および実世界シーンを組み合わせるのに使用することができる。図5によって示されるように、拡張現実画像コンバイナ515は、実世界シーン505を光学的に投影されたコンピュータ生成画像510と重ね合わせ、組み合わされた画像を観察者の目500に中継する光学構造である。光コンバイナ515は、図1図4を参照して上記に記載した光コンバイナのいずれか1つである。複数の反射ドットは、光コンバイナが使用中のとき、受信したコンピュータ生成光画像が反射され、実世界シーンの視界に重畳されるような形で配置される。
【0049】
拡張現実画像コンバイナで画像がどのように組み合わされるかをより適切に例証するために、一実施形態による、拡張現実光コンバイナシステムの単純化した概略図である、図6を参照する。この図は、導波路内に含まれる光学的に投影されたコンピュータグラフィック光線がどのように観察者の目に中継されるか、また実世界シーンからの光線がどのように通過するかを実証する。光コンバイナ600は、図1図4を参照して上記に記載した光コンバイナのいずれか1つであることができる。しかしながら、説明を簡単にするため、図6は、3つの離隔されたスパースリフレクタを示し、各スパースリフレクタ上の4つの反射ドットのみを示すように、大幅に単純化されている。例として、投影画像615から出ているガイドされた光線620、625、630は、光導波路基板の光受信端で捕捉され、観察者の目605に向かって中継される。特に、導波路に捕捉された投影画像615から出ている例示のガイドされた光線620は、スパースエリアリフレクタn=1 635に形成された反射要素を出て観察者の目605に向かって中継される。更に、投影画像615から出て導波路に捕捉された例示のガイドされた光線625は、スパースエリアリフレクタ635の透明領域およびそれに続くスパースエリアリフレクタn=2 640の透明領域を通過する。更にまた、導波路に捕捉された投影画像615から出ている例示のガイドされた光線630は、スパースエリアリフレクタn=2に形成された反射要素を出て観察者の目605に向かって中継される。実際のシーンから出ている任意の光束650は光コンバイナを通過する。
【0050】
いくつかの態様では、光コンバイナの1つまたは複数はヘッドマウントディスプレイに組み込まれる。いくつかの実施形態では、一対の光コンバイナが、眼鏡またはゴーグル形状の拡張現実ヘッドマウントディスプレイに含まれる。図7は、一実施形態による、一対のヘッドマウントディスプレイ眼鏡の正面図を示している。眼鏡またはゴーグルタイプのヘッドマウントディスプレイ700は、双眼視界に対するコンピュータ形成画像を生成する処理モジュール705を有する。左目の光コンバイナおよび投影システム710、ならびに右目の光コンバイナおよび投影システム715が、ヘッドマウントディスプレイに含まれる。各システム710、715の光コンバイナは、図1図6を参照して、または参照せずに本明細書に記載する実施形態の光コンバイナのいずれか1つである。光画像プロジェクタ265および光結合270は、例えば、プロジェクタシステムの一部を形成してもよい。光学機械フレーム720は、光学部品をしっかりと適正な幾何学的配置で保持する。
【0051】
いくつかの実施形態では、形成される画像は単眼視界向けのものであり、光コンバイナおよび投影システム710、715の一方のみがヘッドマウントディスプレイに含まれる。
【0052】
いくつかの実施形態では、光コンバイナの1つまたは複数が組み込まれるヘッドマウントディスプレイは、ヘルメット形状の拡張現実ヘッドマウントディスプレイである。図8は、一実施形態による、ヘッドマウントディスプレイヘルメットの正面図を示している。ヘルメットヘッドマウントディスプレイ800は、双眼視界に対するコンピュータ形成画像を生成する処理モジュール805を有する。左目の光コンバイナおよび投影システム815、ならびに右目の光コンバイナおよび投影システム820が、ヘッドマウントディスプレイに含まれる。各システム815、820の光コンバイナは、図1図6を参照して、または参照せずに本明細書に記載する実施形態の光コンバイナのいずれか1つである。光画像プロジェクタ265および光結合270は、例えば、プロジェクタシステムの一部を形成してもよい。光学機械サブフレーム810は、光学部品をしっかりと適正な幾何学的配置で保持する。光学機械サブフレーム810は、ヘルメットの機械的に堅牢なシェル835によって支持される。
【0053】
いくつかの実施形態では、形成される画像は単眼視界向けのものであり、光コンバイナおよび投影システム815、820の一方のみがヘッドマウントディスプレイに含まれる。
【0054】
次に、本発明の技術の態様による、拡張現実(AR)、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、および/またはヘッドアップディスプレイ(HUD)用途向けの、図1図10に示される上述した実施形態の光導波路における共通または別個の面内の反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせを構成する方法を参照する。また、かかる方法に従って、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせが構成される、光コンバイナおよび/またはその構成要素を参照する。
【0055】
光導波路における反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせを構成する方法は、上記図1図10に関連して上述したニアアイ光導波路の上述の実施形態における反射ドットを構成することに限定されず、他の実施形態では、方法は、他の光導波路および/または光コンバイナにおける反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせを構成するが、コンピュータ生成画像を反射または部分的に反射するのに、1つもしくは複数の共通または別個の面におけるパターニングされた反射ドットに依存する、またはそれを利用できるものであってもよいことが認識されるであろう。更に、本発明の技術のいくつかの実施形態の方法による、反射ドットの形状、サイズ、および分布の任意の1つもしくは組み合わせが構成される光コンバイナおよび装置は、図1図10に関連した上述したニアアイ光導波路の実施形態とは異なるが、コンピュータ生成画像を反射または部分的に反射するのに、1つもしくは複数の共通または別個の面におけるパターニングされた反射ドットに依存する、またはそれを利用できる、光導波路および/または光コンバイナであってもよいことが認識されるであろう。
【0056】
定義:副瞳リフレクタ/副瞳サイズは、寸法が、人間の目の最小の一般的な瞳孔サイズ未満、即ち<2mmであることを意味する。領域が半反射性であるために、寸法は<400ミクロンの寸法(例えば、直径<400ミクロンの円、または辺が<400ミクロンの正方形)でなければならない。光学基板の各反射ドットは光学アパーチャを形成する。反射ドットの傾きまたは傾斜を考慮に入れて、モデリングに従って計算されたアパーチャから反射ドットの形状および寸法を決定するため、単純な幾何学形状を使用することができる。複数の反射ドットがあるので、複数の副瞳光学アパーチャがある。したがって、以下の方策をモデリングに採用するのが有利である。既に上述したように、反射ドットの形状は、規則的または不規則な形状であってもよく、添付図面に示される形状にいかなる形でも限定されない。
【0057】
副瞳サイズの反射ドットを含む透明リフレクタ表面上に画像を形成するプロセスは、透視画像および反射画像の両方の回折効果を最小限に抑え、ならびに両方の条件に対するモジュラー伝達関数(modular transfer function)(MTF)を慎重に分析するのに特別な処理を要する。
【0058】
任意のアパーチャ形状のMTFを計算するために、イメージングシステムの光学伝達関数が次式によるフーリエ変換で与えられることに注目する。
OTF=|H(f,η)|e-iθ(f,η)=MTFe-iθ(f,η) (1)
【0059】
θ(f,η)は、位相伝達関数(PTF)であり、配向角ηの空間周波数fに依存する。このことにより、各空間周波数において画像面上の位置の詳細が対象面上のその詳細に対してどの程度シフトされるかが分かる。画像面の軸が対称点の拡散関数の対称軸と同じである場合、全ての周波数に関してPTFはゼロである。本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む、C.W.a.O.Becklund,Introduction To The optical Transfer Function,SPIE,2010を参照のこと。
【0060】
インパルス関数h(f,η)のフーリエ変換係数H(f,η)は、MTFである。式[2]を参照のこと。
【0061】
インパルス関数h(f,η)自体は、回折限界システムのアパーチャの回折パターンに関連する。これは、PSFを決定するのに高速フーリエ変換FFTも使用できることを意味する。
h(f,η)=[FFT|P(x,y)|] (2)
【0062】
式中、P(x,y)はアパーチャ関数である。絶対二乗は、H(f,η)の演算がアパーチャ関数のFFTを取り消さないことを意味する。概して、MTFは、PSFのフーリエ変換によって与えられる。PSFは、瞳関数のフーリエ変換の絶対値の二乗である。式[2]を参照のこと。即ち、回折限界OTFは回折アパーチャP(x,y)の2D自己相関である。
【0063】
したがって、フーリエ変換の方策によって、規定する任意の瞳関数のいずれに対してもMTFを計算することが可能になる。本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む、G.Boreman,Modulation Transfer Function in Optical and Electro-Optical Systems,SPIE,2001による事例が、図11(a)に示されている。該図は、異なるアパーチャに対する回折限界MTFであり(y軸はMTFのパーセンテージを表し、x軸は空間周波数を表す)、小さい範囲の単純なアパーチャ(円、正方形、および隠された円の関心アパーチャ)が示され、辺aの正方形アパーチャは直径aの円形アパーチャに対するMTFの上方にy=-xの線として見えている。調べてみると、正方形はより大きい面積を含み、したがってより多くの空間周波数を利用でき、より平坦なMTF応答を提供するようになることが分かる。正方形と同じ面積の円は、単純に、(aが増加するので)より高いカットオフ周波数を有するが、同じロールオフ曲線を依然として示すであろう。
【0064】
Matlab(登録商標)などの数学的ソフトウェアパッケージでモデル化するため、モデル空間から始め、各空間点を表すピクセルサンプリングレート(解像度)、例えば1ミクロン当たり10ピクセルを規定する。
換算:MTFのカットオフ周波数は次式から導き出すことができる。
式中、F/#=EFL/Dは人間の目のEFL(~24.2mm)、Dはアパーチャアレイの直径であり、MTFスケールの場合、波長はmmで表され(lp/mmを提供するため)、EFL=有効焦点長(約24.2mmとして上記に与えられている)である。
【0065】
回折面に関して、FFTアレイが一方向でN個のピクセルを含む場合、周波数範囲は±N/2である(これは、ナイキストの定理による周波数スペクトルの基本である)。したがって、空間周波数スケールは次式の通りである。
注目すべき点は、回折パターンの空間寸法が、距離EFLの分変位されることにより、元のアパーチャ/画像と同じスケールにはならない点である。空間範囲は次式によって与えられる式(4)の逆数である。
空間ステップサイズは次式によって与えられる。
角度スケールは次式によって簡単に得られる。
MTFに関して、次式によってlp/mm(mm当たりのLPS)をlp/°に変換することもできる。
式中、xは視界幅の物理的範囲、θは目に対する角度である。これは、人間の目の角度分解性能と比較する際に有用である。
【0066】
FFTを計算する場合、最大要素サイズに比例するパディング境界を提供することが重要である。それが提供できないと、以下の図11(b)~図11(e)が示すように、カットオフ周波数を下回る誤った詳細がもたらされる。
【0067】
図11(b)は、図11(a)による理論上の結果に対するテスト用の特徴である、a/2のオブスキュレーションを有するアパーチャである、一実施形態による、400μmアパーチャおよび10%ボーダーを有する単一の要素を示している。図11(c)は、図11(b)の400μmおよび10%アパーチャを有する単一の要素のMTF対周波数を示している。図11(b)および図11(c)は、アレイのパディングが不十分なアパーチャがカットオフ周波数を下回る誤ったMTFの詳細を生み出す事例を示している。
【0068】
図11(d)は、一実施形態による、400μmアパーチャおよび60%ボーダーを有する単一の要素を示している。図11(e)は、図11(d)の400μmおよび60%アパーチャを有する単一の要素のMTF対周波数を示している。図11(d)および図11(e)は、図11(a)の理論上のプロットと合致する、アレイのパディングが適切なアパーチャがカットオフ周波数を下回る適正なMTFプロファイルを生み出す事例を示している。
【0069】
このように、FFTボーダーパディングを>60%に増加させる効果によって、図11(a)のa/2のオブスキュレーションを有するアパーチャと合致するMTFプロファイルがもたらされる。
【0070】
次に、この分析を拡張して、MTFおよび回折の際の異なる形状および配置の、例えば不均一な分布の六角形のリフレクタの効果を考慮することができる。図12(a)は、一実施形態による、30μmサイズの六角形の対数グリッドを示している。グリッドは、14.4866%の反射率および157の要素を有する。図12(b)は、図12(a)の対数グリッドのMTF対周波数を示している。図12(c)は、図12(a)の対数グリッドの回折を示している。
【0071】
以下の問題が特定されている。少なくともいくつかの実施形態によって、画像を副瞳サイズの反射領域によって人間の目に向け直すことが可能になり、このサイズの限定によって、回折ならびにMTFおよび画像強度の劣化などのアーチファクトを最小限に抑えるために、反射領域の慎重な分布を要する。
【0072】
技術的解決策が提供されている。今日まで、ニアアイディスプレイにおける副瞳サイズの反射ドット/形状のパターンを使用して、結像のための反射表面を生成する、知られている試みは行われていない。本出願は、取り組むべき新しいパターニング整形技術を包含する。更なる新規性は、MTFに基づいて、カメラシステムの主観的な画像鮮鋭度を決定する測定基準である、アキュータンスをディスプレイに適用することによるものである。
【0073】
MTFの最適化は、式(3)のカットオフ周波数によって明らかなように、かかる小さい反射要素をMTFに使用した結果を理解することから始まる。人間の目は、一般的に、2~3mmの瞳孔径に対して最大30サイクル/θの角周波数をほぼ分解することができるが(本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む、A.Guirao et al,“Average Optical Performance of the Human Eye as a Function of Age in a Normal Population”,pp203-213,OKS,January 1999,Vol.40,No.1を参照のこと)(詳細の一分に対応)、8サイクル/θでピークに達する。これは、19lp/mmのピークおよび71lp/mmのカットオフを示唆する。
【0074】
式(3)は、コンピュータ生成画像の全詳細を反射するのに、0.5mm以下の副瞳リフレクタサイズが適切であろうことを示唆する。しかしながら、プロジェクタディスプレイ自体は、基本的に解像度が更に限定される。偏光光学系および平行ミラーを有する従来のLCOSプロジェクタ設計(当該分野で良く知られている)は、一般的に、最大9lp/θを達成することができるが、これは主に、ディスプレイパネルの解像度だけではなく、光学的および光学機械的な制約によるものである。
【0075】
したがって、最適化は、アキュータンスを計算することによって、人間の目の応答に更に関連して改善することができる。これは、人間の目によって知覚される画像の輝度に対する鮮鋭度である(その全内容を本明細書に組み込む、C.W.a.O.Becklund,Introduction To The optical Transfer Function,SPIE,2010、およびその全内容を本明細書に組み込む、Documentation-Current v5.2,Acutance and SQF(Subjective Quality Factor),published by Imatest(登録商標)at http://www.imatest.com/docs/sqf/を参照のこと)。
【0076】
この比較的新しい測定基準は、レンズ性能を人間の目と比較するのに、カメラ結像システムに使用されるので、これは、ディスプレイイメージングならびにHMDに対する測定基準の新しい適用例であり、これまででは最初の適用例である。
【0077】
式中、CSF(f)は、人間の目のコントラスト感度関数、fは、考慮される周波数範囲(単位サイクル/θ)の上限であり、目が対応している最高周波数または反射アパーチャの最高周波数のどちらか高い方である。
【0078】
回折の最小化
回折曲線から、区分ごとに現在の動径座標rを乗算しながら、原点から外側に積分することにより、回折曲線の係数に基づいて重み付けられた面積が得られ、それによって、外縁部により多くのエネルギー(光)があるほど、積分の結果として得られる値が大きくなることに注目する。これは、回折を最小限に抑えるのに用いることができる、数値的測定基準の基礎を形成する。全ての光エネルギーが回折されない理想的な事例では、光は原点にあって、r=0なので、回折被積分関数は0となる。
【0079】
副瞳リフレクタの最適パターン
瞳孔サンプリング領域内に2つの同一の点源がない場合、回折は最小限に抑えられることが示される。また、反射ドットがより大きければ、MTFは大きくなることが示される。したがって、形状および分布が非周期的である一方で、所与の長さを可能にする、形状の範囲を作成することが可能である。
【0080】
パターン生成によって、ランダム位置の他にランダム地点を追加することが可能になった場合、非常に高い性能を提供する下記のような分配されたリフレクタ形状を見出すことができる。図14は、ランダム位置の他にランダム地点を追加することを可能にする、図13のパターン生成方法によって生成される、高性能を提供する実施形態による分配されたリフレクタドット形状の一例のパターンを示している。パターンは、無作為に分配された100μm~400μmサイズのランダムな多角形を備える。グリッドの反射率は30%であり、80の要素(多角形)がある。図15は、人間の目の場合のMFT対特定周波数と比較した、図14(スパースアパーチャリフレクタ)の反射ドットの生成パターンの場合のMFT対特定周波数を示している。図16は、反射率対角度を示すことによって、図14のランダムな要素の回折を示している。
【0081】
最適化戦略に関して、2つの良く知られている心理視覚的原理にも注目する。
【0082】
輝度の変化は色の変化よりも重要である。人間の網膜は、約1億2000万個の輝度に反応する杆細胞を含むが、色に反応する錐状体細胞は約600万個しかない。低周波数の変化は高周波数の変化よりも重要である。人間の目は、物体の縁部のように、低周波数の光の変化を判断するのに優れている。複雑なパターンまたはテクスチャの微細な詳細のように、高周波数の光の変化を判断する正確性はそれよりも低い。高周波数パターンはカモフラージュされた物の低周波数縁部を分断するので、カモフラージュは部分的に役立つ。これは、以下に基づく追加の戦略を提案する。
1.準連続的なリフレクタ形状(チューリング成長モデルのようなもの)。
2.より大きい正味の反射面積が達成されるように、特定の色および角度に対して最適化された、反射性コーティング(誘電性)を有する部分反射性の分布。
【0083】
いくつかの実施形態では、最も有用な方法は、擬似ランダム環境におけるパターン「成長」を可能にするチューリング反応拡散モデルを適用するものである。これはアラン・チューリングにちなんで名付けられたものであり、元々は、動物のカモフラージュなどのパターン形成を数学的に説明するのに使用された。図13は、一実施形態による、副瞳リフレクタのパターンを生成するのに使用することができる、パターン成長を最適化するかかる方法を示している。成長パターン1301が最初に提供されると(非限定例として、図14または図18は、パターンを成長させるための分布に対する例示の開始点を与える)、第1のプロセス1302および第2のプロセス1305の両方が進行する。いくつかの実施形態では、第1のプロセスおよび第2のプロセスは連続して実施されるが、他の実施形態では、並行して実施されてもよい。別個の出力および計算が、プロセス1302および1305にそれぞれ提供される。プロセス1302は、ステップ1303でMFT分析を実施することを含む。その後、プロセス1302は、ステップ1304でアキュータンスAを計算することを含む(式9を参照)。ステップ1304で計算されたアキュータンスAtが現在の最大値At-1よりも大きい場合(ステップ1308を参照)、パターンが保持されることが可能である(ステップ1310を参照)。そうではなく、計算されたアキュータンスAtがAt-1以下の場合(ステップ1308を参照)、第1のプロセスは成長パターン1301を提供するステップに戻り、プロセスは再び開始される。第2のプロセス1305は、ステップ1306でFFT分析を実施することを含む(式10を参照)。その後、プロセス1305は回折D(r)を計算することを更に含む。いくつかの実施形態では、これは、積分回折および/または径方向重み付きであってもよい(ステップ1307を参照)。ステップ1307で計算されたD(r)が現在の最小値Dt-1よりも小さい場合(ステップ1309を参照)、ステップ1301で提供された成長パターンが、光コンバイナにおける反射ドットのパターンとして使用するように保持/選択され(第1のプロセス1302も、同じパターンが保持されてもよいと決定するものと仮定(ステップ1304、1307、1310を参照))、そうではなく、計算された回折DtがDt-1以下の場合(ステップ1309を参照)、第2のプロセスは成長パターン1301を提供するステップに戻り、プロセスはそこで再び開始される。ここで、tは現在時間であり、t-1は以前の時間である。したがって、AtがAt-1よりも大きく、かつDtがDt-1よりも小さい場合、光コンバイナで使用する成長パターンが選択される。選択された成長パターンに従って配置された反射ドットを有する光コンバイナによって、既存の光コンバイナと比較して、回折ならびにMTFおよび画像強度の劣化などのアーチファクトが低減される。
【0084】
成長パターン化されたリフレクタ(チューリング拡散アルゴリズム)
次に、成長パターンリフレクタを製作するために反射ドットのパターンを成長させる、本発明の技術のいくつかの方策に従って採用されてもよい、反応-拡散モデル化プロセスを更に詳細に参照する。
【0085】
基本的な説明は、本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む、Kestrels and Cerevisiae,Histories of Science from Kele W.Cable,Alan Turing’s Reaction-Diffusion Model-Simplification of the Complex,published December 1 2010,(https://phylogenous.wordpress.com/2010/12/01/alan-turings-reaction-diffusion-model-simplification-of-the-complex/)に見出すことができ、ある範囲の異なる非対称パターンを制御された形で成長させることができる。非対称性は回折効果を低減するのに活用される。図17は、一実施形態による、Kestrels and Cerevisiae文献から取ったパターン成長に対するチューリング拡散方程式の基本を示す方程式図である。
【0086】
図17は、アラン・チューリングの1952年の文献“The chemical basis of morphogenesis”(本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む文献、The chemical basis of morphogenesis,Alan Mathison Turing,Published:14 August 1952 https://doi.org/10.1098/rstb.1952.0012,Volume 237,Issue 641 Published by:Royal Societyを参照のこと)によって元々規定されたような、パターン形成に対する反応-拡散プロセスをもたらす、原理上の数学的関係の概要を示している。これは、2つの均質に分配された反応性化合物(「モルフォゲン」と称される)uおよびvが特定の空間(本発明の場合、例えば、瞳孔サイズの面積)を占める、二成分反応-拡散システムである。モルフォゲンは両方とも、組織内で元々生成された位置から広がる(「拡散する」)ことができる(ここでは、プロセスをランダム分布から始める)。一方のモルフォゲンuはゆっくり拡散し、近接部位における展開の活性化体として役立つ。第2のモルフォゲンvは、第1のものの阻害体であり、発生した位置からより迅速に広がるので、より広い範囲で作用する。これら2つのモルフォゲンの相互作用(または「反応」)によって、展開中の空間パターンの自律的生成が可能になる。広がりの速度は、活性化体および阻害体それぞれに対して、拡散係数DuおよびDv、ならびにラプラシアン空間演算子ΔuおよびΔvによって決定される。反応は、F(u,v)およびG(u,v)によって支配される生成と、duおよびdvによって支配される劣化との両方を含む。非線形力学系に対して、F(u,v)およびG(u,v)が得られる(本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む、Physica A:Statistical Mechanics and its Applications Volume 419,1 February 2015,Pages 487-497,Pattern formation and Turing instability in an activator-inhibitor system with power-law coupling,F.A.dos S.SilvaR.L.Viana S.R.Lopes,https://doi.Org/10.1016/j.physa.2014.09.059,Elsevierを参照のこと)。
式中、ρおよびρはそれぞれ、活性化体および阻害体の生産率である。代替の反応-拡散成長モデルの例は、例えば、本明細書に完全に記載されるものとしてその全内容を参照により組み込む、やはり同様のパターンをもたらす、Hearn DJ(2019)Turing-like mechanism in a stochastic reaction-diffusion model recreates three dimensional vascular patterning of plant stems.PLoS ONE 14(7):e0219055.https://doi.org/10.1371/journal.pone.0219055に見出すことができる。
【0087】
他のいくつかの実施形態では、他の反応-拡散モデルが採用されてもよい。更に、他の実施形態において、他のタイプの成長パターンも採用されてもよい。
【0088】
図18図23は、生産量低下および拡散パラメータを変動させることによって修正される、図17を利用することによって修正される図13の方法を使用して生成される、成長パターンリフレクタの例を示している。図18は、反射率29%の成長パターンリフレクタを示し、図19は、人間の目の場合のMFT対特定周波数と比較した、図18(スパースアパーチャリフレクタ)の反射ドットの生成パターンの場合のMFT対特定周波数を示している。図20は、反射率対角度を示すことによって、図18のランダムな要素の回折を示している。図21は、反射率44%の成長パターンリフレクタを示している。図22は、人間の目の場合のMFT対特定周波数と比較した、図21(スパースアパーチャリフレクタ)の反射ドットの生成パターンの場合のMFT対特定周波数を示している。図23は、反射率対角度を示すことによって、図21のランダムな要素の回折を示している。図22のMTFプロットを図19と比較すると、MTF応答は、単純な幾何学形状の場合よりも正味の反射率に対する感度がはるかに低いことが分かり、かかる非対称でフィラメント状のパターニングの有用性が示されている。
【0089】
上述のチューリング反応拡散モデル(および実施形態の他の反応-拡散モデル)に基づいた成長モデルは、少なくとも2つの反応化合物(u,v)を有するが、他の実施形態では、パターンをもたらす反応をモデル化する、3つおよび4つの化合物などであるがそれらに限定されない、2つを超える化合物が存在してもよい。
【0090】
本発明の技術の他の態様では、必ずしもチューリング反応拡散モデルではないパターン成長モデルを利用することによって、反射ドットのパターンが提供される。いくつかの実施形態では、パターン成長モデルは反応拡散モデル化プロセスに基づく。いくつかの実施形態では、反応拡散モデルプロセスは、特定のクラスタを与える経験的に見出される特定の範囲にわたる劣化および拡散パラメータの乱数を使用する、乱数シードから開始される。非限定例として、図14または図18は、反射ドットのパターンを成長させる分布の一例の開始点を与える。いくつかの実施形態では、拡散パラメータが固定され、他のいくつかの実施形態では、拡散パラメータは反復する。いくつかの実施形態では、生産および劣化係数は、触媒または母集団を提供するため、数パーセント無作為に変動する。図13は、いくつかの実施形態による、副瞳リフレクタドットのパターンを生成するのに使用することができる、また図17に表される反応-拡散プロセスなどであるがそれに限定されない反応拡散モデル化プロセスを利用する、パターン成長の最適化方法を示している。
【0091】
本発明の技術の態様によれば、光コンバイナまたは光導波路における反射ドットのパターンは、図11図23を参照して本明細書に記載する任意の1つもしくは複数の実施形態による、反射ドットのパターンを生成する方法に従って決定される。
【0092】
いくつかの実施形態では、図1図10を参照して本明細書に記載する、光導波路またはシステム100、200、300、400、600、700、および800の実施形態の任意の1つもしくは複数における共通または別個の面内の反射ドットのパターンは、図11図23を参照して本明細書に記載する任意の1つもしくは複数の実施形態による、反射ドットのパターンを生成する方法に従って決定される。
【0093】
例えば、いくつかの実施形態では、図2の光コンバイナ200のスパースアパーチャリフレクタ215、220、225、230の任意の1つまたは複数における反射ドット108のパターンは、図11図23を参照して本明細書に記載する実施形態による、反射ドットのパターンを生成する方法の任意の1つまたは複数に従って決定される。いくつかの実施形態では、スパースアパーチャリフレクタ215、220、225、230の1つまたは複数は成長パターンリフレクタであり、それによって、リフレクタドットのパターンは、生産量低下および拡散パラメータを変動させることによって修正される、図17を利用することによって修正される図13を参照して記載される実施形態を含む、本明細書に記載するパターンを成長させる方法の実施形態のうち任意の1つに従って決定される。
【0094】
また、例として、いくつかの実施形態では、図3のスパースアパーチャリフレクタ330におけるリフレクタドットのパターンは、図11図23を参照して本明細書に記載する実施形態による、反射ドットのパターンを生成する方法の任意の1つまたは複数に従って決定される。いくつかの実施形態では、スパースアパーチャリフレクタ330の1つまたは複数は成長パターンリフレクタであり、それによって、リフレクタドットのパターンは、生産量低下および拡散パラメータを変動させることによって修正される、図17を利用することによって修正される図13を参照して記載される実施形態を含む、本明細書に記載するパターンを成長させる方法の実施形態のうち任意の1つに従って決定される。例として、図3Aに示される黒い正方形はそれぞれ、本明細書に記載する反射ドットのパターンを成長させる方法のうち任意の1つに従って提供される、成長パターンに対応するパターンで配置された、複数の反射ドットに対応することができる。例えば、図3Aに示される黒い正方形はそれぞれ、図18または図21に示される成長パターングリッドなどであるがそれに限定されない、成長パターンに従って配置された複数の反射ドットであってもよい。
【0095】
また、更に例として、いくつかの実施形態では、光コンバイナ100の別個の面115、120、125、130の任意の1つまたは複数におけるリフレクタドット108のパターンは、図11図23を参照して本明細書に記載する実施形態による、反射ドットのパターンを生成する方法の任意の1つまたは複数に従って決定される。いくつかの実施形態では、光コンバイナ100の共通または別個の面115、120、125、130の任意の1つもしくは複数における反射ドット108のパターンは、生産量低下および拡散パラメータを変動させることによって修正される、図17を利用することによって修正される図13を参照して記載される実施形態を含む、本明細書に記載するパターンを成長させる方法の実施形態の任意の1つもしくは複数に従って決定される、成長パターンである。
【0096】
更にまた、いくつかの実施形態では、図10の別個の面1000を含む光コンバイナの別個の面の任意の1つまたは複数におけるリフレクタドットのパターンは、図11図23を参照して本明細書に記載する実施形態による、反射ドットのパターンを生成する方法の任意の1つまたは複数に従って決定される。いくつかの実施形態では、別個の面1000を含む共通または別個の面の任意の1つもしくは複数における反射ドット108のパターンは、生産量低下および拡散パラメータを変動させることによって修正される、図17を利用することによって修正される図13を参照して記載される実施形態を含む、本明細書に記載するパターンを成長させる方法の任意の1つもしくは複数に従って決定される、成長パターンである。
【0097】
本発明の技術のいくつかの態様によれば、光学基板に成長パターンで反射ドットを配置する方法の任意の1つは、光コンバイナの更なる最適化戦略に使用することができる。
【0098】
光導波路の場合、画像を構成する光線角度を互いに対して維持する必要があり、この反射面、即ちパターンを含む面に関して、互いに対して平行である必要がある。製造の便宜上、一連の別個の平行な面に限定されるが、各反射要素が互いに平行である限り、最適化される任意の場所に分配することができる(例として、図9を参照)。
【0099】
更に他の態様によれば、本明細書に開示する実施形態の光コンバイナはいずれも、光反射性副瞳ドットが、上述のパターン成長モデルの任意の1つによって成長するパターンに対応するパターンで配置される、プロセスによって構築される。光コンバイナの構築の非限定例は、図3A図3B、ならびに図4A、および図4Bを参照して上述している。
【0100】
少なくともいくつかの実施形態の固有の特徴によって、従来の誘電性コーティングではより大きい入射角で困難およびアーチファクトが生じる二次的画像形成を抑制する、吸収または反射防止コーティングを有することができる、小さい反射性の特徴(ドット)を用いた導波路イメージングが可能になる。
【0101】
イメージング解像度(MTF)が大幅に改善された最適なリフレクタ構成を決定する新しい技術は、人間の視覚により適合され、回折効果を低減させた。
【0102】
図24は、コンピュータシステム4401の形態である機械の一実施形態の模式的表現であり、本明細書で考察する方法論の任意の1つまたは複数を機械に実施させる一連の命令が含まれ、本明細書において記載または想到されるパターン成長モデルの任意の1つによる、複数の反射ドットのパターンを決定する方法の任意の1つを含むがそれに限定されない、本明細書に記載するプロセスの任意の1つもしくは組み合わせを実施するのに使用されるコンピュータ実装方法ステップを含んでいる。様々な例示の実施形態では、機械は独立型デバイスとして動作し、他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)されるか、あるいはヘッドマウントディスプレイまたはヘッドアップディスプレイ自体に統合されてもよい。ネットワーク化された展開では、機械は、サーバ-クライアントネットワーク環境におけるサーバまたはクライアント機械の資格において、あるいはピアツーピア(または分配)ネットワーク環境におけるピアマシンとして動作してもよい。機械は、ロボット構造マーキングデバイス、基地局、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ポータブル音楽プレーヤー(例えば、ムービングピクチャーエキスパーツグループオーディオレイヤ3(MP3)プレーヤーなどのポータブルハードドライブ音声デバイス)、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチもしくはブリッジ、または機械によって行われるべき動作を指定する命令セットを(逐次もしくは別の方法で)実行することができる任意の機械であってもよい。更に、単一の機械のみが示されているが、「機械」という用語は、個々にまたは併せて命令セット(もしくは複数のセット)を実行して、本明細書で考察する方法論の任意の1つもしくは複数を実施する、機械の任意の集合体を含むようにも解釈されるべきである。
【0103】
コンピュータシステム4401の実施形態は、バス4420を介して互いと通信する、プロセッサまたは複数のプロセッサ4405(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、または両方)と、メインメモリ4410およびスタティックメモリ4415とを含む。コンピュータシステム4401は更に、ビデオディスプレイ4435(例えば、液晶ディスプレイ(LCD))を含んでもよい。コンピュータシステム4401はまた、英数字入力デバイス4430(例えば、キーボード)と、カーソル制御デバイス(例えば、マウス)と、音声認識もしくは生体検証ユニット(図示なし)と、ドライブユニット4437(ディスクドライブユニットとも呼ばれる)と、信号生成デバイス4440(例えば、スピーカー)と、ネットワークインターフェースデバイス4445とを含んでもよい。コンピュータシステム4401は更に、データを暗号化するデータ暗号化モジュール(図示なし)を含んでもよい。
【0104】
ドライブユニット4437は、本明細書に記載する方法論または機能の任意の1つもしくは複数を具体化または利用する、1つもしくは複数の命令セットおよびデータ構造(例えば、命令4455)が格納される、コンピュータまたは機械可読媒体4450を含む。命令4455はまた、コンピュータシステム4401による実行中、完全にまたは少なくとも部分的に、メインメモリ4410内および/またはプロセッサ4405内に常駐してもよい。メインメモリ4410およびプロセッサ4405はまた、機械可読媒体を構築してもよい。
【0105】
命令4455は更に、多数の良く知られている転送プロトコルの任意の1つ(例えば、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP))を利用して、ネットワークインターフェースデバイス4445を介して、ネットワークを通じて送信または受信されてもよい。機械可読媒体4450は、例示の実施形態では単一の媒体として示されているが、「コンピュータ可読媒体」という用語は、1つもしくは複数の命令セットを格納する、単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型もしくは分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むものと解釈されるべきである。「コンピュータ可読媒体」という用語はまた、機械によって実行される命令セットを格納、符号化、または保持することができ、本出願の方法論の任意の1つもしくは複数を機械に実施させるか、あるいはかかる命令セットによって利用されるかまたはかかる命令セットと関連付けられる、データ構造を格納、符号化、または保持することができる、任意の媒体を含むものと解釈されるべきである。「コンピュータ可読媒体」という用語は、したがって、固体メモリ、光学および磁気媒体、ならびに搬送波信号を含むがそれらに限定されないものと解釈されるべきである。かかる媒体はまた、非限定的に、ハードディスク、フロッピーディスク、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)などを含んでもよい。本明細書に記載する例示の実施形態は、コンピュータにインストールされたソフトウェアを備える動作環境で、ハードウェアで、またはソフトウェアとハードウェアの組み合わせで実現されてもよい。
【0106】
コンピュータシステム4401の全ての構成要素が必ずしも必須ではなく、したがって、必要であれば、入出力(I/O)デバイス(例えば、入力デバイス4430)など、コンピュータシステム4401の一部を除去することができる。当業者であれば、インターネットサービスは、インターネットサービスに結合された1つまたは複数のコンピューティングデバイスにインターネットアクセスを提供するように構成されてもよく、コンピューティングデバイスは、1つまたは複数のプロセッサ、バス、メモリデバイス、ディスプレイデバイス、入出力デバイスなどを含んでもよいことを認識するであろう。更に、当業者であれば、インターネットサービスは、本明細書に記載するような開示の実施形態のうち任意のものを実現するために利用されてもよい、1つまたは複数のデータベース、レポジトリ、サーバなどに結合されてもよいことを理解することができる。
【0107】
本明細書で使用するとき、「モジュール」という用語は、特定用途向け集積回路(「ASIC」)、電子回路、1つもしくは複数のソフトウェアまたはファームウェアプログラムを実行するプロセッサ(共有、専用、もしくはグループ)、組み合わせ論理回路、および/あるいは記載する機能性を提供する他の好適な構成要素のいずれかも指してもよい。
【0108】
以下の特許請求の範囲における全てのミーンズまたはステッププラスファンクション要素の対応する構造、材料、動作、および等価物は、具体的に特許請求されるものとして他の請求される要素との組み合わせで機能を実施する、任意の構造、材料、または動作を含むものとする。本発明の技術の記載は、例証および説明の目的で提示してきたが、排他的であるか、または本発明の技術を開示される形態に限定しようとするものではない。本発明の技術の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明白となるであろう。本発明の技術およびその実用的用途の原理を最良に説明し、他の当業者が、想到される特定の使用に適合されるような様々な修正を含む様々な実施形態に関して、本発明の技術を理解できるようにするために、例示の実施形態を選択し記載した。
【0109】
本発明の技術の態様を、本発明の技術の実施形態による、方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を用いて上記に記載している。フローチャート図および/またはブロック図における各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実現できることが理解されるであろう。コンピュータプログラム命令は、機械を作成するのに、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよく、それによって、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定された機能/動作を実現する手段を作成する。
【0110】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスに特定の方式で機能するように指令することができる、コンピュータ可読媒体に格納されてもよく、それによって、コンピュータ可読媒体に格納された命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定された機能/動作を実現する命令を含む、製品を作成する。
【0111】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他のデバイスにロードされて、一連の動作ステップをコンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実施させて、コンピュータ実装プロセスを生成してもよく、それによって、コンピュータまたは他のプログラマブル装置上で実行する命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定された機能/動作を実現するプロセスを提供する。
【0112】
図面中のブロック図は、本発明の技術の様々な実施形態による、システム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実現例のアーキテクチャ、機能性、および動作を示している。これに関して、ブロック図は、指定された論理機能を実現する1つまたは複数の実行可能命令を備える、モジュール、セグメント、またはコードの部分を表してもよい。また、いくつかの代替実現例では、ブロックに示される機能は、図面に示される以外の順序で行われてもよいことが注目されるべきである。例えば、連続して示される2つのブロックは、関与する機能性に応じて、実際には実質的に同時に実行されてもよく、またはブロックは場合によっては逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、指定された機能もしくは動作を実施する特定用途向けのハードウェアベースのシステム、または特定用途向けのハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実現できることが注目される。
【0113】
本明細書全体を通して、「一実施形態」または「ある実施形態」などの参照は、実施形態と関連して記載される特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、「一実施形態では」または「ある実施形態では」または「一実施形態によれば」という語句(あるいは類似の意味を有する他の語句)が、本明細書全体を通して様々な場所に出現するが、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。更に、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において、任意の好適な形で組み合わされてもよい。更に、本明細書における考察の文脈に応じて、単数形の用語はその複数形を含んでもよく、複数形の用語はその単数形を含んでもよい。同様に、ハイフンで結ばれた用語(例えば、「オンデマンド(on-demand)」)は、その用語のハイフンで結ばれていない形(例えば、「オンデマンド(on demand)」)と、場合によっては交換可能に使用されることがあり、大文字の入力(例えば、「ソフトウェア(Software)」)は、その用語の大文字ではない形(例えば、「ソフトウェア(software)」)と交換可能に使用されることがあり、複数形はアポストロフィを有してもしくは有さずに示されることがあり(例えば、PE’sもしくはPEs)、イタリック体の用語(例えば、「N+1」)は、そのイタリック体ではない形(例えば、「N+1」)と交換可能に使用されることがある。かかる場合によっては交換可能な使用は、互いに不一致であると見なされるべきではない。
【0114】
また、いくつかの実施形態は、タスクまたは一連のタスクを実施する「ための手段」に関して記載されることがある。「~ための手段」は、本明細書では、プロセッサ、メモリ、カメラなどのI/Oデバイス、またはそれらの組み合わせなど、構造に関して表現されてもよいことが理解されるであろう。あるいは、「~ための手段」は、機能または方法ステップを説明するアルゴリズムを含んでもよく、更に他の実施形態では、「~ための手段」は、数式、文に関して、またはフローチャートもしくは信号図として表現される。
【0115】
本明細書で使用する専門用語は、特定の実施形態のみについて記載するためのものであり、本発明を限定しようとするものではない。本明細書で使用するとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によって別段の明示がない限り、複数形も含むものとする。更に、「備える」および/または「備えている」という用語は、本明細書で使用するとき、提示された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを指定するが、1つもしくは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在あるいは追加を除外しないことが、理解されるであろう。
【0116】
任意の開示が本明細書に組み込まれ、かかる組み込まれた開示が本開示と部分的および/または全体的に矛盾する場合、矛盾、ならびに/またはより広範な開示、ならびに/またはより広範な用語の定義の範囲で、本開示が優先する。かかる組み込まれた開示が互いに対して部分的および/または全体的に矛盾する場合、矛盾の範囲で、より新しい開示が優先する。
【0117】
本明細書で使用する専門用語は、直接または間接的、全体的または部分的、一時的または恒久的、即時または遅延、同期または非同期、活動または休止を示唆することができる。例えば、ある要素が別の要素「上」にあるか、別の要素に「接続」または「結合」されるものと示された場合、その要素は、直接他の要素上にあるか、他の要素に直接接続または結合されることが可能であり、ならびに/あるいは間接および/または直接の変形例を含んで、介在要素が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素に「直接接続」または「直接結合」されるものと示された場合、介在要素は存在しない。本明細書は例証であって限定ではない。技術の多くの変形例が、本開示を精査することによって当業者には明白となるであろう。
【0118】
本明細書で言及される全ての刊行物(以下に列挙するものを含む)、特許、および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願の全体が参照により組み込まれるものと具体的に個別に示された場合と同じ範囲で、全体が参照により組み込まれる。
【0119】
参考文献
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[2] J. Goodman, Introduction To Fourier Optics, Roberts & Company Publishers, 2005.
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[6] Current v5.2, Acutance and SQF (Subjective Quality Factor), published by Imatest (登録商標) at http://www.imatest.com/docs/sqf/
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図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11(a)】
図11(b)】
図11(c)】
図11(d)】
図11(e)】
図12(a)】
図12(b)】
図12(c)】
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【国際調査報告】