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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】食品切断装置およびその操作方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/36 20060101AFI20220222BHJP
   B26D 3/28 20060101ALI20220222BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B26D1/36 D
B26D3/28 620C
B26D7/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539370
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 US2020012465
(87)【国際公開番号】W WO2020146304
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】62/790,874
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504444120
【氏名又は名称】アーシェル ラボラトリーズ,インク.
(71)【出願人】
【識別番号】500208519
【氏名又は名称】フリト-レイ ノース アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FRITO-LAY NORTH AMERICA,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000811
【氏名又は名称】特許業務法人貴和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バクスター,コーリー エヴァレット
(72)【発明者】
【氏名】ジャコー,マイケル スコット
(72)【発明者】
【氏名】バーバー,キース アラン
(72)【発明者】
【氏名】リュエッグ,リチャード ジェームズ
【テーマコード(参考)】
3C021
【Fターム(参考)】
3C021JA02
3C021JA08
3C021JA09
(57)【要約】
食品を切断するための方法および装置が提供される。前記装置は、切断ヘッドの中心軸を取り囲む、少なくとも第1の取付フレームと、前記切断ヘッドの中心軸を中心として配置され、第1取付フレームに枢動可能に連結され、それぞれが枢動軸を有する複数の切断ツールとを有する、環状の切断ヘッドを備える。前記方法は、第1取付フレームの近傍で、前記切断ツールの第1部分を係合させて、第1部分を前記中心軸に対して第1の径方向偏向距離で偏向させ、前記切断ツールの第2部分を係合させて、第2部分を前記中心軸に対して第2の径方向偏向距離で偏向させることにより、切断ツールの枢動軸を中心にそれぞれの切断ツールを偏向させることを含む。第1および第2径方向偏向距離は、個別または同時に調整することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の切断ヘッドを有し、
前記切断ヘッドは、
前記切断ヘッドの中心軸を取り囲む、少なくとも第1の取付フレームと、
前記中心軸を中心として配置され、前記第1の取付フレームに枢動可能に連結され、それぞれが枢動軸を有する、複数の切断ツールと、
前記第1の取付フレームに近接して、前記切断ツールの第1の部分と係合し、前記中心軸に対して第1の径方向偏向距離で前記第1の部分を偏向する、第1の偏向ユニットと、
前記切断ツールの第2の部分と係合し、前記中心軸に対して第2の径方向偏向距離で前記切断ツールの第2の部分を偏向する、第2の偏向ユニットとを備え、
前記第2の偏向ユニットによって係合される前記切断ツールの前記第2の部分は、前記切断ツールの前記第1の部分から間隔をおいて配置され、前記第1の部分よりも前記第1取付フレームから離れており、前記切断ツールのそれぞれに伴う前記第1の偏向ユニットおよび前記第2偏向ユニットは、該切断ツールと不連続に接触し、および、
前記切断ツールの前記第1の部分の前記だい1の径方向偏向距離および前記第2の部分の前記第2の径方向偏向距離をそれぞれ変化させる、少なくとも1つのレバーを含む調整機構を備え、前記調整機構は、前記第1の径方向偏向距離を互いに同時に変更し、および、前記第2の径方向偏向距離を互いに同時に変更するよう操作することができる、
食品切断装置。
【請求項2】
前記切断ツールは、該切断ツールの連続するペアを構成し、該連続するペアのそれぞれの1つの切断ツールは、前側の切断ツールを構成し、前記連続するペアのそれぞれの隣接するもう1つの切断ツールは、後側の切断ツールを構成し、
前記切断ツールのそれぞれは、該切断ツールの前側に配置された切断ブレードと、該前側とは反対側である前記切断ツールの後側に配置された後縁とを有し、前記前側の切断ツールの前記後縁と、前記後側の切断ツールの前記切断ブレードとにより、これらの間に切断間隙が形成されており、前記切断ツールのそれぞれは、前記切断間隙が第1の間隙幅を有する第1の位置と、前記切断間隙が前記第1の間隙幅とは異なる第2の間隙幅を有する第2の位置との間で、前記枢動軸を中心に回動可能である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の間隙幅は、前記第1の間隙幅より小さく、前記切断ヘッドが、前記切断ツールが前記第2の位置に配置された場合には、前記切断ツールが前記第1の位置に配置された場合に比べて、生産される食品スライスが薄くなるように、構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記切断ツールの前記後縁が、前記切断ツールが前記第1の位置に配置されている場合には、前記中心軸から第1の径方向距離に位置しており、前記切断ツールが前記第2の位置に配置されている場合には、前記中心軸から第2の径方向距離に位置しており、前記第2の径方向距離は、前記第1の径方向距離よりも小さい、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットは、前記切断ツールの後側に係合し、前記切断ツールのそれぞれの前記枢動軸は、前記切断ツールの前記切断ブレードに隣接して位置する、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記切断ヘッドの前記中心軸を取り囲み、前記中心軸に沿って前記第1の取付フレームから間隔をおいて配置された第2の取付フレームをさらに備え、前記切断ツールは、前記第1の取付フレームおよび前記第2の取付フレームの間に枢動可能に連結され、前記第2の偏向ユニットは、前記第2の取付フレームの近傍で、前記切断ツールの前記第2部分に係合する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記切断ツールと、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットとの係合を保持する付勢部材をさらに備え、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットは、前記切断ツールの調整可能な停止部として機能する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記付勢部材は、前記切断ツールを前記中心軸から径方向外方に付勢し、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットと、前記切断ツールの前記第1の部分と前記第2の部分との係合をそれぞれ保持する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記付勢部材は、前記切断ツールに接続され、少なくとも前記第1の取付フレームと係合する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットは、それぞれカムを備え、該カムは、前記切断ツールが第1の位置に位置する第1のカム位置と、前記切断ツールがカムによって第2の位置に向かって偏向される第2のカム位置との間において、カム軸を中心に回動可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットの前記カムはそれぞれ、前記カム軸を中心に独立して回動して、前記切断ツールの前記第1の位置および前記第2の位置を偏向させることが可能であって、前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を異ならせることが可能である、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットの前記カムは、前記カム軸を中心に同時に回転するよう連結され、前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分を偏向させることができる、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットの前記カムを連結および分離するよう構成されるカプラをさらに備え、前記カムはそれぞれ、前記カム軸を中心に独立して回転可能であり、前記切断ツールの前記第1の位置および前記第2の位置を偏向させることが可能であり、前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を異ならせることが可能である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記調整機構は、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットにそれぞれ連結された第1のレバーと第2のレバーとを備え、前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分を偏向するよう、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットを回転させることができる、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記第1のレバーおよび前記第2のレバーは、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットを個別に操作および回転させ、前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分を偏向させるため、前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向距離を異ならせることができる、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記調整機構は、前記中心軸を中心とする回転軸を有する第1の制御リングと第2の制御リングとをさらに備え、前記第1の制御リングおよび前記第2の制御リングは、それぞれ個別に前記第1のレバーおよび前記第2のレバーに連結され、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットを個別に回動させることが可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記第1のレバーおよび前記第2のレバーは、同時に作動するよう連結され、前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分を偏向するように、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットを同時に回動させる、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記調整機構は、前記中心軸を中心とする回転軸を有する第1の制御リングおよび第2の制御リングをさらに備え、前記第1の制御リングおよび前記第2の制御リングは、同時に作動するよう連結され、かつ、前記第1レバーおよび前記第2レバーに連結されており、前記第1のレバーおよび前記第2のレバーを同時に操作することを可能としている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットは、前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分を偏向するために同時に作動するよう連結されており、および、前記第1の偏向ユニットに連結され、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットを同時に回転させて、前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分を偏向させることができるレバーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットを連結および分離するよう構成されるカプラをさらに備え、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットは、前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分を偏向するよう個別に回動することが可能であり、前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向距離を異ならせることが可能である、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記調整機構は、前記中心軸を中心に回転軸を有する制御リングをさらに備え、前記制御リングは、前記第1偏向ユニットおよび前記第2偏向ユニットを同時に回転させるよう前記レバーに連結されている、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記制御リングは、前記レバーに連結され、該レバーによって前記上部取付フレームまたは前記下部取付フレームのうちの1つに固定される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットに係合された、前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分は、前記切断ツールにねじ込まれた止めねじによって構成されており、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットの調整のゼロ地点を調整することが可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記切断ツールにねじ込まれた止めねじをさらに備え、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットとは別に、前記中心軸に向かって径方向内方に前記切断ツールの前記後縁を押すことが可能となっている、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記第1の取付フレームと前記切断ツールとを互いに固定するファスナと、前記第1の偏向ユニットおよび前記第2の偏向ユニットの作動中に前記第1の取付フレームに対して前記切断ツールを可動としながら、前記第1の取付フレームを前記切断ツールに対して保持させるために負荷を付与するよう構成される付勢部材とをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
切断ツールの中心軸を取り囲み、前記中心軸に沿って離隔して配置された第1の取付フレームおよび第2の取付フレームと、
前記中心軸を中心に配置され、前記第1の取付フレームおよび前記第2の取付フレームの間で枢動可能に連結され、それぞれが枢動軸を有する複数の切断ツールと、
を備える、環状の切断ヘッドを有し、
前記切断ツールは、連続するペアを形成し、それぞれの前記連続するペアのうちの1つの切断ツールは、前側の切断ツールを構成し、前記練即するペアのうちの隣接するもう1つの切断ツールは、後側の切断ツールを構成し、前記切断ツールのそれぞれは、前記切断ツールの前側に配置された切断ブレードと、前記前側とは反対側である前記切断ツールの後側に位置する後縁とを有し、それぞれの前記前側の切断ツールの前記後縁は、前記後側の切断ツールの前記切断ブレードとの間に切断間隙を形成し、前記切断ツールのそれぞれは、前記切断間隙が第1の間隙幅を有する第1の位置と、前記切断間隙が前記第1の間隙幅とは異なる第2の間隙幅を有する第2の位置との間において、前記それぞれの切断ツールの前記枢動軸を中心に回動可能であり、
前記切断ヘッドは、
前記第1の部分を前記中心軸に対して第1の径方向偏向距離で偏向するよう、前記第1の取付フレームに近接して配置され、それぞれが前記第1の取付フレームに連結され、前記切断ツールの前記第1の部分に係合する第1のカムユニットと、
前記第2の部分を前記中心軸に対して第2の径方向偏向距離で偏向するよう、前記第2の取付フレームに近接して配置され、前記第2の取付フレームに連結され、前記切断ツールの前記第2の部分に係合する第2のカムユニットと、
前記切断ツールと、前記切断ツールの調整可能な停止部として機能する前記第1のカムユニットおよび前記第2のカムユニットとの係合を保持するよう構成された付勢部材と、
前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分の前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を個別に偏向可能とするよう構成された調整機構とを有する、
食品切断装置。
【請求項27】
前記第1のカムユニットは、互いに同時に前記第1の径方向偏向距離を変更することができ、かつ、前記第2のカムユニットは、互いに同時に前記第2の径方向偏向距離を変更することができる、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記第1のカムユニットおよび前記第2カムユニットは、前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を互いに同時に変更することができる、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記第1のカムユニットおよび前記第2のカムユニットは、互いに独立して前記第1の径方向偏向距離を変更し、互いに独立して前記第2の径方向偏向距離を変更することができる、請求項26に記載の装置。
【請求項30】
前記第1のカムユニットおよび前記第2のカムユニットは、前記切断ツールのそれぞれの個別の切断ツールの前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を互いに同時に変更することがさらに可能である、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記第1のカムユニットおよび前記第2のカムユニットは、前記切断ツールの少なくとも1つの他の個別の切断ツールの前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離によらずに、少なくとも1つの個別の前記切断ツールの前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を変更することができる、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記第1のカムユニットおよび前記第2のカムユニットに係合された前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分は、前記切断ツールにねじ込まれた止めねじによって形成され、前記第1のカムユニットおよび前記第2のカムユニットの調整の複数のゼロ地点を調整する、請求項26に記載の装置。
【請求項33】
前記切断ツールにねじ込まれ、前記第1のカムユニットおよび前記第2のカムユニットとは別に、前記中心軸に向かって径方向内方に前記切断ツールの前記後縁を押すことができる止めねじをさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項34】
前記第1の取付フレームと、前記第2の取付フレームと、前記切断ツールとを互いに固定するファスナと、前記第1のカムユニットおよび前記第2のカムユニットの作動中に、前記第1の取付フレームおよび前記第2の取付フレームに対して前記切断ツールを可動としながら、前記第1の取付フレームおよび前記第2の取付フレームを前記切断ツールに対して保持させるために負荷を付与するよう形成される付勢部材とをさらに備える、請求項26に記載の装置。
【請求項35】
食品を切断する装置の操作方法であって、前記装置は、切断ヘッドの中心軸を取り囲む、少なくとも第1の取付フレームと、前記切断ヘッドの中心軸を取り囲むよう配置され、前記第1の取付フレームに枢動可能に連結され、それぞれが枢動軸を有する複数の切断ツールとを備える環状の切断ヘッドを有し、前記方法は、
前記第1の取付フレームに近接して前記切断ツールの第1の部分を係合させて前記第1の部分を前記中心軸に対して第1の径方向偏向距離で偏向させ、前記切断ツールの第2の部分を係合させて前記第2の部分を前記中心軸に対して第2の径方向偏向距離で偏向させることにより、前記切断ツールの枢動軸を中心にそれぞれの切断ツールを偏向させ、前記切断ツールの前記第2の部分は、前記切断ツールの前記第1の部分から離隔し、前記第1部分よりも前記第1取付フレームから遠く配置され、
前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分の前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を変更し、前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離の少なくとも一部は、互いに同時に変更されることを含む、
方法。
【請求項36】
前記変更工程は、前記第1の径方向偏向距離を互いに同時に変更し、前記第2の径方向偏向距離を互いに同時に変更することをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記変更工程は、前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を互いに同時に変更することをさらに備える、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記変更工程は、前記第2の径方向偏向距離とは別に、前記第1径方向偏向距離を変更することをさらに備える、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記変更工程は、前記切断ツールのそれぞれ個別の切断ツールの前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を互いに同時に変更することをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの個別の前記切断ツールの第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離を、前記切断ツールの少なくとも1つの他の個別の切断ツールの前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離とは独立して変更することを備える、請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記切断ツールの前記第1の部分および前記第2の部分の前記第1の径方向偏向距離および前記第2の径方向偏向距離の調整のゼロ地点を選択的に調整することをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記偏向工程によらず、これに加えて、前記中心軸に向かって径方向内方に前記切断ツールの前記後縁を選択的に押すことをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の取付フレームと前記切断ツールとを互いに固定し、前記偏向工程において、前記第1の取付フレームに対して前記切断ツールを可動としながら、前記切断ツールに対して前記第1の取付フレームを保持させるよう負荷を付与することをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年1月10日に出願された米国特許仮出願第62/790,874号の優先権の利益を主張する。当該出願の内容は、本明細書に参照として組み込まれる。
【0002】
本発明は、食品を切断するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
野菜、果実、乳製品、肉製品などの食品を切断するためのさまざまな装置が知られている。このような装置は、食品をスライスし、破砕し、またはさらなる加工のための下準備を行う。このような切断装置の1つに、アーシェル ラボラトリーズ,インク.から「アーシェル モデルCC(登録商標)」のブランド名で市販されている装置があるが、かかる装置は、食品を均一に切断することができる遠心タイプのスライサを備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、食品の切断に適用可能な方法および装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の非限定的な一態様によれば、食品切断装置は、環状の切断ヘッドを備え、該切断ヘッドは、該切断ヘッドの中心軸を取り囲む少なくとも第1の取付フレームと、前記中心軸を中心にして配置され、それぞれが枢動軸を有し、前記第1の取付フレームに枢動可能に連結されている、複数の切断ツールとを有する。
【0006】
前記切断ツールのそれぞれを、前記枢動軸を中心に偏向させるための手段が備えられる。該偏向手段のそれぞれは、第1の取付フレームに連結され、第1の取付フレームの近傍で、前記切断ツールの第1の部分と係合し、前記中心軸に対して第1の径方向偏向距離で第1の部分を偏向させる、第1の偏向ユニットと、第2の取付フレームに連結され、前記切断ツールの第2の部分と係合し、前記中心軸に対して第2の径方向偏向距離で第2の部分を偏向させる、第2の偏向ユニットとを備える。
【0007】
第2の偏向ユニットによって係合される前記切断ツールの第2の部分は、該切断ツールの第1の部分から間隔をおけて配置され、第1の部分よりも第1の取付フレームから離れていて、前記切断ツールのそれぞれに伴う第1の偏向ユニットおよび第2の偏向ユニットは、該切断ツールと不連続に接触する。
【0008】
第1の偏向ユニットおよび第2の偏向ユニットを操作し、前記切断ツールの第1の部分の第1の径方向偏向距離および第2の部分の第2の径方向偏向距離を変更するための手段も備えられる。該操作手段は、第1の径方向偏向距離を一斉に変更し、および、第2の径方向偏向距離を一斉に変更する。
【0009】
本発明の非限定的な別の態様によれば、食品切断装置は、環状の切断ヘッドを備え、該切断ヘッドは、該切断ヘッドの中心軸を取り囲み、該中心軸に沿って離隔して配置されている第1の取付フレームおよび第2の取付フレームと、前記中心軸を中心に配置され、第1の取付フレームと第2の取付フレームとの間に枢動可能に連結され、それぞれが枢動軸を有する、複数の切断ツールとを有する。
【0010】
前記切断ツールは、該切断ツールの連続するペアを構成する。該連続するペアのそれぞれの1つの切断ツールは、前側の切断ツールを構成し、該連続するペアのそれぞれの隣接するもう1つの切断ツールは、後側の切断ツールを構成する。
【0011】
前記切断ツールのそれぞれは、該切断ツールの前側に配置された切断ブレードと、該前側とは反対側である前記切断ツールの後側に配置された後縁とを有する。前記前側の切断ツールの前記後縁と、前記後側の切断ツールの前記切断ブレードとにより、これらの間に切断間隙が形成される。前記切断ツールのそれぞれは、前記切断間隙が第1の間隙幅を有する第1の位置と、前記切断間隙が第1の間隙幅とは異なる第2の間隙幅を有する第2の位置との間において、それぞれの前記枢動軸を中心に回動可能である。
【0012】
前記切断ツールのそれぞれを、前記枢動軸を中心に第2の位置の方に向けるカム手段が備えられる。該カム手段は、それぞれが第1の取付フレームに連結され、第1の取付フレームの近傍で、前記切断ツールの第1の部分と係合し、前記中心軸に対して第1の径方向偏向距離で第1の部分を偏向させる、第1のカムユニットと、第2の取付フレームに連結され、第2の取付フレームの近傍で、前記切断ツールの第2の部分と係合し、前記中心軸に対して第2の径方向偏向距離で第2の部分を偏向させる、第2のカムユニットとを備える。
【0013】
前記カム手段は、前記切断ツールと第1のカムユニットおよび第2のカムユニットとの係合を保持するための手段をさらに備え、第1のカムユニットおよび第2のカムユニットは、前記切断ツールの調整可能な停止部として機能する。
【0014】
第1のカムユニットと第2のカムユニットを操作して、前記切断ツールの第1の部分の第1の径方向偏向距離および第2の部分の第2の径方向偏向距離を個別に変更可能とする手段が備えられる。
【0015】
本発明の非限定的なさらなる別の態様によれば、食品切断方法は、環状の切断ヘッドを備え、該切断ヘッドは、該切断ヘッドの中心軸を取り囲む少なくとも第1の取付フレームと、前記中心軸を中心にして配置され、それぞれが枢動軸を有し、前記第1の取付フレームに枢動可能に連結されている、複数の切断ツールとを有する装置を操作することを含む。
【0016】
該方法は、第1の取付フレームの近傍で、前記切断ツールの第1の部分と係合し、前記中心軸に対して第1の径方向偏向距離で第1の部分を偏向させ、かつ、前記切断ツールの第2の部分と別に係合し、前記中心軸に対して第2の径方向偏向距離で第2の部分を偏向させ、および、前記切断ツールの第1の部分の第1の径方向変更距離および第2の部分の第2の径方向変更距離を変更することにより、前記枢動軸を中心に前記切断ツールのそれぞれを偏向させることを含む。前記切断ツールの第2の部分は、該切断ツールの第1の部分から間隔を空けて配置され、第1の部分よりも第1の取付フレームから離れており、第1の径方向偏向距離および第2の径方向偏向距離のうちの少なくともいずれかは、一斉に変更される。
【発明の効果】
【0017】
上述した方法および装置の技術的な特徴は、切断ツールの切断間隙を制御する機能にある。かかる特徴は、切断ツールの異なる部分の偏向を制御することによって、切断間隙を正確に制御可能であることが好ましい。たとえば、個々の切断ツールにおける異なる部分が、異なる径方向偏向距離で偏向して、切断ツールおよびその部品の製造公差によって生じる切断ヘッドの形状および寸法における潜在的な非常に小さなばらつきを補償することができる。その結果、切断間隙を伴う切断ブレードの長さ方向の全体にわたって、切断ツールの切断間隙をより均一かつ一定とすることができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および効果は、以下の詳細な説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の非限定的な一実施態様による食品切断装置の切断ヘッドの斜視図である。
図2図2は、図1に示した切断ヘッドの一部を示す平面図である。
図3図3は、図1に示した切断ヘッドの取付リングの一部を示す、図2と同様の図である。
図4図4は、図1に示した切断ヘッドの切断ツールを示す斜視図である。
図5図5は、切断ツールが切断位置に配置された、図1に示した切断ヘッドの一部を示す平面図である。
図6図6は、切断ツールが別の切断位置に配置された、図5と同様の図である。
図7図7は、図1に示した切断ヘッドを備える食品切断装置の断面図である。
図8図8は、図7に示した切断ヘッドおよび装置の部分切断斜視図である。
図9図9は、切断ヘッドの別の非限定的な実施形態の一部を示す平面図である。
図10図10は、切断ツールが切断位置に配置された、切断ヘッドの別の非限定的な実施形態の一部を示す平面図である。
図11図11は、切断ツールが別の切断位置に配置された、図10と同様の図である。
図12図12は、本発明の別の非限定的な実施形態による、食品切断用の切断ヘッドの斜視図である。
図13図13は、一対の取付フレームと、該取付フレームに枢着された切断ツールと、前記取付フレームに対して前記切断ツールを枢動させる一対の制御リングとを備える、図12に示した切断ヘッドの一部を示す斜視図である。
図14図14は、図12に示した切断ヘッド12において隣接する一対の切断ツールの異なる相対位置を模式的に示す平面図である。
図15図15は、図12に示した切断ヘッド12において隣接する一対の切断ツールの異なる相対位置を模式的に示す平面図である。
図16図16は、追加的な本発明の非限定的な実施形態による食品切断用の切断ヘッドの斜視図である。
図17図17は、追加的な本発明の非限定的な実施形態による食品切断用の切断ヘッドの斜視図である。
図18図18は、一対の取付フレームと、該取付フレームに枢着された切断ツールと、前記取付フレームに対して前記切断ツールを枢動させる単一の制御リングとを備える、図17に示した切断ヘッドの一部を示す斜視図である。
図19図19は、図18に示した切断ツールの偏向ユニットを断面で示す斜視図である。
図20図20は、一対の取付フレームと、該取付フレームに枢着された切断ツールとを備えるが、前記取付フレームに対して前記切断ツールを枢動させる制御リングを備えない、追加的な本発明の非限定的な実施形態による食品切断用の切断ヘッドの一部を示す斜視図である。
図21図21は、本発明の別の非限定的な実施形態による食品切断用の切断ヘッドの一部を示す斜視図である。
図22図22は、本発明の別の非限定的な実施形態による食品切断用の切断ヘッドの全体を示す斜視図である。
図23図23は、本発明の別の非限定的な実施形態による、図17に示した切断ヘッドの改良実施形態の斜視図である。
図24図24は、追加的な本発明の非限定的な実施形態による、図12図23のいずれかの切断ツールの起点をセットねじにより調整とする手段の一例を模式的に示す平面図である。
図25図25は、追加的な本発明の非限定的な実施形態による、図12図23のいずれかの切断ツールの起点をセットねじにより調整とする手段の一例を模式的に示す平面図である。
図26図26は、追加的な本発明の非限定的な実施形態による、図12図23のいずれかの切断ツールの起点をセットねじにより調整とする手段の一例を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
食品切断装置に適用可能な切断ヘッドの特定の実施形態が模式的に図示される。本発明の概念は、種々の変形および代替構造をとり得るが、上記実施形態が、図示され、以下において詳細に説明される。しかし、本発明は開示した形態に限定されることはなく、添付の請求の範囲で定義される本発明の思想および範囲に属する、すべての変形、均等物、および、代替構造は本発明に含まれると理解される。
【0021】
図示した実施形態に関する以下の説明の理解を容易にするため、図示された実施形態に関する「垂直」、「水平」、「横」、「前」、「後」、「側」、「前方」、「後方」、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「右」、「左」などを含む、相対的な用語については、図示された前記実施形態の一般的な設置を参照して使用される。さらに、切断ヘッドの軸配置に関する、「軸方向」、「周方向」、「径方向」などを含む、相対的な用語、および、これらの関連用語も、図示された前記非限定的な実施形態を記述するために使用される。さらに、本明細書において、「後」(およびその関連用語)は、切断ヘッドと同軸に組み付けられたインペラの回転方向において後に来るまたは後続する切断ヘッドの位置を意味し、「前」(およびその関連用語)は、インペラの回転とは反対方向において前方または先行する位置を意味する。これらすべての相対的な用語は、切断ヘッドの構造および切断ヘッドの部品および特徴に関する相対的な方向を示しており、本発明の構造、設置、および使用を示し、本発明の範囲を定義するためのものである。
【0022】
図1は、食品をスライス状またはストリップ状に切断するよう構成された複数の切断ツール12を備える、食品切断装置用の切断ヘッド10を示す。切断ヘッド10は、以下で詳述するように、食品を切断ツール12との係合部へ運ぶために切断ヘッド10に対して回転するインペラ14(図7および図8)と同軸に取り付けられるよう構成される。図1に示した実施形態においては、切断ヘッド10は、切断ツール12の位置を変更して切断ヘッド10によって生産される食品スライスの厚さを変更する調整機構16を備える。
【0023】
図1に示した切断ヘッド10は、上部取付フレーム20と、切断ヘッド10の長手軸または中心軸24に沿って上部取付フレーム20から離隔して配置された下部取付フレーム22とを備える。切断ツール12は、中心軸24を中心として配置され、かつ、上部取付フレーム20と下部取付フレーム22の間に設置される。これらの取付フレーム20、22と切断ツール12とにより中央キャビティ26が構成され、インペラ14は、中央キャビティ26内に設置され、切断ヘッド10内で同軸に回転可能となっている。
【0024】
図2に示すように、それぞれの切断ツール12は複数のファスナ28により、取付フレーム20、22に固定される。図示した例においては、それぞれのファスナ28は、それぞれの切断ツール12および取付フレーム20、22を貫通して伸長するボルト28により構成される。他の実施形態として、切断ツールを、溶接や摩擦リテーナなど他の手段によっても取付フレーム20、22に固定することが可能である。
【0025】
それぞれの取付フレーム20、22は、ステンレス鋼などの金属材料から形成された単一の一体型部品である。他の実施形態として、取付フレーム20、22の一方または両方を、組み立てて取付フレーム20、22を形成する別部品により構成することもできる。さらに、これらの部品を、別の金属材料やポリマーを含む異なる材料から構成することもできる。図1に示した実施形態においては、下部取付フレーム22の構造は、上部取付フレーム20の構造と同一であるため、上部取付フレーム20の構造のみを詳細に図示する。
【0026】
図3に示すように、取付フレーム20は、中心軸24を中心として延在する環状の外輪40を備える。外輪40は、取付フレーム20の外周を形成する外壁42と、中心軸24を向いた内壁44とを有する。また、取付フレーム20は、中心軸24を中心として配置され、かつ、
内壁44の径方向内方に(中心軸24に近い側に)位置する、複数の取付アーム46を備える。それぞれの取付アーム46は、以下で詳述するように、切断ツール12の一方端に固定されるよう構成される。
【0027】
それぞれの取付アーム46は、前方端52から後方端54に伸長する長尺体50を備える。それぞれの取付アーム46の後方端54は、隣接する次の取付アーム46の先方端52から離隔しているため、スロット56が、それぞれの前方端52と後方端54との間に形成される。それぞれの長尺体50の外壁48が、外輪40の内壁44から離隔しているため、チャネル58が、それぞれの長方体50と内壁44との間に形成される。それぞれのスロット56は、図3に示すように、チャネル58のうちの1つに開口している。
【0028】
図3に示すように、取付フレーム20は、それぞれの取付アーム46の前方端52と外輪40の内壁44とを連結する一体型のヒンジ60を備える。一体型のヒンジ60は、それぞれのチャネル58の端部に位置しており、内壁44とそれぞれの取付アーム46との間にはL字型の開口部が形成される。一体型のヒンジ60のそれぞれは、付随する取付アーム46の後方端54(切断ツール12)が外輪40に対して回動または揺動可能となるよう構成される。他の実施形態として、ピン、キー、その他のファスナを用いる他のタイプのジョイントによって、それぞれの取付アーム46を外輪40に連結させることもできる。
【0029】
それぞれの一体型のヒンジ60は、外輪40の内壁44からそれぞれの取付アーム46の前方端52に伸長するビーム62を備える。図1図3に示した実施形態においては、ビーム62は、それぞれの切断ツール12を外輪40に回動可能に連結するジョイントである。ビーム62は、付随する取付アーム46の後方端54が図3に示す矢印70の方向に揺動または回動した場合に弾性的に偏向するような大きさおよび形状を有する。図3において、取付アーム46およびビーム62は静止位置にあり、距離64は、それぞれの後方端54と外輪40の内壁44との間に形成される。ビーム62は、中心軸24から伸長する仮想の放射状線66上に位置する。
【0030】
ビーム62が静止位置から偏向すると、矢印70と反対方向に力を生じることで、さらなる偏向に対して抵抗する。このように、ビーム62は、それぞれの取付アーム46を図3に示した位置に向けて付勢させる付勢要素である。本明細書において、「付勢要素」とは、弾力性または弾性のある構造、あるいは、静止位置から圧縮、伸展、または偏向された場合に、反対向きの力を生じる装置のことを意味する。ビーム62以外の付勢要素として、機械ばね、エラストマ製のプラグ、エラストマ体が挙げられる。取付フレーム20、22は2つの付勢要素(上部ビーム62および下部ビーム62)のみを備えるが、他の実施形態においては、切断ヘッド10は、それぞれの取付アーム46(すなわち、それぞれの切断ツール12)に対して、追加的あるいはより少ない付勢要素を備えることができる。また、他の実施形態においては、付勢要素のさらなる組み合わせを備えることができる。
【0031】
上述したように、取付アーム46は、切断ツール12の一端に固定されるよう構成される。図3に示すように、取付アーム46は、それぞれの切断ツール12を上部取付フレーム20および下部取付フレーム22に固定する複数のボルト28を受け入れる大きさに形成された、対応する数の孔72を備える。孔72は、それぞれの取付アーム46の長尺体50を貫通して、切断ヘッド10の中心軸24に平行に伸長する。他の実施形態においては、それぞれの取付アームは、切断ヘッドを取付アームに固定するために用いられるファスナの数および特性に応じた追加的あるいはより少ない孔を有することができる。
【0032】
図4は、図1図3に示した切断ツール12の1つを図示する。切断ヘッド10の切断ツール12の構造はそれぞれ同じであるため、1つの切断ツール12のみを詳細に図示した。切断ツール12は、切断ツール12の長手方向端部82から反対側の長手方向端部84に伸長する基部80を備える。基部80は、ボルト28を受け入れる大きさに形成された、切断ヘッド10の中心軸24に平行な複数の孔86を有する。孔86は、上部取付フレーム20および下部取付フレーム22の対応する孔72に整合するよう配置される。
【0033】
それぞれの切断ツール12は、長手端部82において基部80に固定された刃部または切断ブレード88を備える。切断ブレード88は、基部80から、インペラ14によって切断ブレード88と係合するよう運搬される食品を切断するよう構成された刃先92へと外方に伸長する本体90を有する。
【0034】
図2を参照すると、切断ブレード88の刃先92は、基部80の内壁94に隣接し、ビーム62を通って伸長する仮想の放射状線66上に配置される。図2に示すように、内壁94は、長手端部82から他方の長手端部84まで伸長する、凹状に湾曲した壁である。また、内壁94は、長手端部84に位置する後縁96を備える。以下にさらに詳述するように、1つの切断ツール12の後縁96は、次に隣接する切断ツール12の刃先92と協働して切断間隙98を形成し、この切断間隙98の幅(切断ヘッド10と同軸に組み付けられたインペラの回転方向に測定された幅)によって、これら切断ツール12の間で生産されるスライスの厚さが決定される。調整機構16は、切断ツール12を移動させて、切断間隙98の幅を調整するように作動可能である。
【0035】
それぞれの切断ツール12に対して、調整機構16は、上部取付フレーム20および下部取付フレーム22のチャネル58内に配置された長手軸100の形態からなる可動停止部を備える。図1に示すように、それぞれの長手軸100は、上部取付フレーム20の上方に位置する端部102を有し、上部取付フレーム20および下部取付フレーム22を通って中心軸24に平行に端部102から下方に伸長する。図1および図2に示すように、それぞれの長手軸100は、外輪40の内壁44と、および、上部取付フレーム20および下部取付フレーム22の対応する取付アーム46の外壁48と係合する横長外周面104を有する。
【0036】
それぞれの長手軸100の横長外周面104は、楕円形状を有し、短径106および長径108を有する。短径106は、取付アーム46が静止位置にある状態で、取付アーム46と外輪40との間に形成される距離64より大きい。このように、長手軸100は、図2および図5に示すように、取付アーム46(すなわち、切断ツール12)を静止位置から切断位置に移動させることにより、一体型のヒンジ60のビーム62に与圧を付与できるように構成されている。切断位置においては、横長外周面104は、短径106に沿って取付アーム46および外輪40と係合し、対応するビーム62は、図5および図6において矢印110で示す方向に付勢力を付与する。それぞれの長手軸100は、図6に示す切断位置まで単独で回動可能に構成されている。長手軸100の横長外周面104は、外輪40に対して取付アーム46を動かすためのカムとして機能する。図6に示す切断位置においては、横長外周面104は、長径108に沿って取付アーム46および外輪40と係合し、対応するビーム62は、矢印110で示した方向により大きな付勢力を付与する。
【0037】
図5および図6に示すように、長手軸100は、それぞれ単独で操作して、それぞれの切断間隙98を個別に調整することが可能に構成されている。たとえば、切断ツールの1つ(図5および図6に示す切断ツール112)が図5に示す切断位置にある場合、切断間隙98は、生産される食品スライスの厚さに関係する幅114を有する。切断ツール112が図6に示す切断位置にある場合、切断間隙98は、より小さい幅116を有し、作動時により薄い食品スライスを生産する。図5に示す位置と図6に示す位置との間で切断ツール112を動かすには、切断ツール112に係合する長手軸100を把持し、矢印118で示す方向に回動させる。長手軸100が回動し、横長外周面104が短径106から長径108へと移行すると、取付アーム46の後端54は、切断ヘッド10の中心軸24の方向に動き、外輪40から離れる。切断ツール112の切断ブレード88の刃先92は、隣接する切断ツール(図5および図6に示した切断ツール112)の後縁96の方向に動き、切断間隙98の幅を狭くする。
【0038】
長手軸100は、図5および図6に示す2つの位置の間において、任意の角度を採ることができるため、切断ツール112を任意の切断位置に配置して、さまざまな厚さを有する食品スライスの生産を可能とすることができる。それぞれの切断位置において、切断ツール112を外輪40に接続するビーム62は、矢印110で示した方向に付勢力を付与して、取付アーム46を長手軸100と係合するように付勢する。長手軸100が図6に矢印122で示した方向に回動されると、ビーム62による付勢力によって後端54が外輪40の内壁44に向けて押されることにより、切断ブレード88の刃先92は切断ツール112の後縁96から離れ、切断間隙98の幅が拡大する。
【0039】
切断ツール112を構成する各部品は、図1図6に示すように、個別に形成されて、組み立てられる。それぞれの切断ブレード88は、たとえば、ステンレス鋼などの金属材料から形成される。それぞれの長手軸100は、たとえば、ステンレス鋼などの金属材料から形成される。その他実施形態として、長手軸を、たとえば、高分子材料から形成することも可能である。
【0040】
図7は、切断ヘッド10を備えた、食品をスライスまたはストリップ状に切断する装置を示す。例示した装置は、切断ヘッド10のキャビティ26内にインペラ14が配置される、遠心タイプのスライス装置150である。装置150は、切断ヘッド10のキャビティ26の上方に配置された供給ホッパ152を備える。供給ホッパ152は、食品を受け入れ可能な大きさを有し、受け入れた食品をキャビティ26内へと下方に運搬して、インペラ14と接触させる。
【0041】
切断ヘッド10は、装置150のフレーム154に固定され、静止している。インペラ14は、軸24を中心として切断ヘッド10に対して回転可能に構成されている。図7に示すように、インペラ14は、ギアボックス158に接続された駆動軸156に取り付けられている。ギアボックス158は、図示しないモータに接続される。モータ、ギアボックス、および駆動軸は、インペラ14を回転させるよう作動可能である。他の実施形態においては、装置150は、インペラ14を回転させるために追加的な構成部材を備えることができる。
【0042】
図8に示すように、インペラ14は、プレート160と、プレート160から上方に伸長する複数のパドル162とを備える。それぞれのパドル162は、中心軸24を中心として配置され、切断ヘッド10に向かって径方向外方に伸長する。それぞれのパドル162は、プレート160の外周に沿って位置する、切断ヘッド10の切断ツール12に対して食品が係合するよう配置される。
【0043】
使用の際には、食品168は、インペラ14の回転中に供給ホッパ152を通ってキャビティ26に運搬される。インペラ14の回転により、食品168は押されてパドル162と接触し、遠心力によって食品168は径方向外方に運搬され、切断ツール12と接触する。図8に示すように、切断ツール12の切断ブレード88は、1つの切断ツール12の刃先92とこれに隣接する切断ツール12の後縁96との間で食品168を切断して、食品168のうちの切り離された部分(たとえば、スライス170)は、切断間隙98を通って移動し、さらなる加工のためにスライス装置150内で回収される。上述したように、長手軸100をそれぞれ回動させることにより、それぞれの切断間隙98の幅を調整し、切断ブレード88の位置を変更することができる。長手軸100の位置によって、装置150の作動中に調整機構16を操作することが可能である。
【0044】
上述したように、切断ヘッドは、切断ツール12に与圧を付与するよう構成された異なる付勢要素を備えることができる。図9に示す切断ヘッド210は、外輪240と取付アーム246との間に伸長するバネを備える。図示の例では、バネは、弾性ストラップ212により構成されている。取付アーム246は、取付アーム246および外輪240を通って伸長するピボットピン248を介して外輪240に枢動可能に連結されている。弾性ストラップ212は、切断ヘッド10におけるビーム62と同様に、取付アーム246の後端254が図9における矢印70で示した方向にピボットピン248を中心に枢動または回転された場合に、弾性的に伸長するような大きさおよび形状となっている。このように、ストラップ212は、取付アーム246に対して、その反対方向の付勢力を付与して、長手軸100と係合させる。
【0045】
図10および図11は、他の実施形態の切断ヘッド310の一部を示す。切断ヘッド310の構造の一部は、上述した切断ヘッド10の構造と同様である。同様の構造に対しては、図10および図11においても同一の参照符号で示す。切断ヘッド310は、複数の切断ツール312と、すべての切断ツール312の位置を変更することができる調整機構316とを備え、切断ヘッド310によって生産される食品スライスの厚さを変更することが可能となっている。
【0046】
切断ヘッド10と同様に、切断ヘッド310は、上部取付フレーム20と、中心軸24に沿って上部取付フレーム20から離隔して配置された図示しない下部取付フレームとを備える。図10および図11においては、下部取付フレームの構造は、上部取付フレーム20の構造と同一である。
【0047】
切断ツール312は、切断ツール312の長手端部82から他方の長手端部84まで伸長する基部80を備える。また、切断ツール312は、長手端部82において基部80に固定される刃部または切断ブレード88を備える。切断ブレード88は、インペラ14によって切断ブレード88と係合するよう運搬される食品を切断するよう構成されている。
【0048】
切断ブレード88の刃先92は、基部80の内壁に隣接するよう配置される。一実施形態では、内壁94は、長手端部82から他方の長手端部84まで伸長し、凹状に湾曲した壁面392を備える。図10および図11に示したように、1つの切断ツール312の凹状に湾曲した壁面392は、隣接する切断ツール312の刃先92と協働して切断間隙398を形成し、この切断間隙398によって、これら切断ツール312の間で生産されるスライスの厚さが決定される。
【0049】
図10および図11に示した実施形態においては、調整機構316は、複数の切断ツール312を移動させて、切断間隙398の幅を調整することができる。調整機構316は、複数の可動停止部を備える。可動停止部は、上部取付フレーム20および下部取付フレーム22のチャネル58に配置された長手軸400により構成されている。図1および図2に示すように、長手軸400も、上部取付フレーム20の上方に位置する端部102を有し、上部取付フレーム20および下部取付フレーム22を通って中心軸24に平行に端部102から下方に伸長する。図1および図2に示すように、長手軸400も、外輪40の内壁44と、対応する上部取付フレーム20および下部取付フレーム22の取付アーム46の外壁48と係合する横長外周面404を有する。それぞれの長手軸400は、ステンレス鋼などの金属材料から形成される。それぞれの長手軸400は、中心軸24と平行に伸長する長軸を有し、この長軸を中心に回動するよう構成されている。
【0050】
長手軸400の横長外周面404は、半円部406と半楕円部408とを備え、これらにより短径410および長径412が形成されている。短径106は、取付アーム46が静止位置にある場合に、取付アーム46と外輪40との間に形成される距離64よりも大きい。このため、長手軸400は、取付アーム46(すなわち、切断ツール312)を静止位置から図10に示す切断位置まで移動させ、一体型のヒンジ60のビーム62に与圧を付与するよう構成されている。この切断位置においては、横長外周面404は、短径410(半円部406)に沿って取付アーム46と外輪40と係合し、対応するビーム62は、図10および図11において矢印110で示した方向に付勢力を付与する。以下に詳述するように、調整機構316は、長手軸400をそれぞれの長軸を中心に図11に示した切断位置まで回動させ、横長外周面404は、外輪40に対して取付アーム46を動かすためのカムとして機能する。これらの切断位置においては、横長外周面404は長径412に沿って取付アーム46および外輪40と係合し、対応するビーム62は、矢印110で示した方向により大きな付勢力を付与する。
【0051】
図10および図11に示すように、それぞれの長手軸400は、それぞれの切断間隙398を個別に調整するために独立して作動するよう構成されている。たとえば、切断ツールの1つ(図10および図11に示した切断ツール312)が図10に示した切断位置にある場合、切断間隙398は、生産される食品スライスの厚さを定義する幅314を有する。さらに、切断ツール(図10および図11に示した切断ツール312)の1つが図11に示した切断位置にある場合、切断間隙398は幅318を有し、切断ツール312が図10に示した切断位置にある場合に生産された食品スライスの厚さとは異なる厚さで食品スライスを生産する。
【0052】
図10および図11に示すように、それぞれの長手軸400は、上部取付フレーム20から外方に伸長するピン420を有する。調整機構316はギア422を備え、ギア422のそれぞれはピン420の1つに連結されている。ギア422は、対応するピン420に固定されており、ギア422および長手軸400は同時に回転する。ギア422は、その外周に形成された複数の歯424を備える。ギア422は、たとえばステンレス鋼などの金属材料から形成される。
【0053】
調整機構316は、切断ヘッド310の中心軸24を中心に伸長する外輪430を備える。本実施形態においては、外輪430も、たとえばステンレス鋼などの金属材料から形成される。外輪430は、上部取付フレーム20に可動に連結され、中心軸24と一致する回転軸を中心に回転するよう構成されている。外輪430は、内壁432と、内壁432に形成された複数の歯434とを有する。図10および図11に示すように、外輪430の歯434は、ギア422の歯424と互いに噛合する。外輪430が上部取付フレーム20に対して回転すると、歯424と歯434との係合により、ギア422(すなわち、長手軸400)は切断位置間で回動する。図10および図11に示す実施形態においては、調整機構316は、外輪430から伸長するハンドル436を備える。ハンドル436を使用することにより、矢印440、442で示した方向に外輪430を回転させて調整機構316を操作し、切断位置間においてすべての切断ツールを動かすことができる。
【0054】
切断ヘッドは、切断ツールの位置を変更するよう作動可能な他の調整機構を備えることもできる。たとえば、外輪は、それぞれの取付アームの後端に係合して切断ツールを回転または枢動させる1つ以上の傾斜した内面を備えることもできる。他の実施形態においては、切断ヘッドは、カムの一端と、対応する取付アームの他端とに接続されたレバーアームを備えることもできる。レバーアーム上に揺動中心が位置するため、カムおよび/または外輪の大きな動作は小さな動作を取付アームに付与するため、精巧な調整機構が提供され、間隙のサイズをより正確に変更することができる。そのような設計の一実施形態を、図12および図13に示す。
【0055】
図12図15は、本発明の別の非限定的な実施形態に基づく切断ヘッド510を示す。切断ヘッド510の切断ツール512の軸方向長さ全体にわたり、上述した調整が可能である。切断ヘッド510の構造の一部は、図1図11に示した切断ヘッド10、210、310の構造と同様である。図12図15に示した実施形態と上述した実施形態との間における類似点を考慮し、図12図15に関する以下の説明は、前述の実施形態と異なる特徴について強調してなされる。詳細に説明されていない、図12図15に示した実施形態の他の態様については、構造、機能、材料などについて、本質的には前述の実施形態について説明したとおりである。
【0056】
図12に示した切断ヘッド510は、切断ヘッド510によって生産される食品スライスの厚さを変更するために、すべての切断ツール512の位置を変更することができる調整機構516を備える。切断ヘッド510は、切断ヘッド510の中心軸542を取り囲み、中心軸542に沿って軸方向に離隔して配置された一対の上部取付フレーム520および下部取付フレーム522を備える。切断ツール512は、切断ヘッド510の中心軸542を中心として配置され、取付フレーム520、522の間に、軸方向に配列したピン518などによって枢動可能に連結される。このため、切断ツール512は、切断ヘッド510の中心軸542と略平行である枢動軸を有し、切断ツール512は、取付フレーム520、522に対して枢動することができる。
【0057】
切断ツール512は、切断ヘッド510の周囲に連続的にペアを構成するように配置されている。このため、それぞれの切断ツール512は、隣接して後続する切断ツール512に対して先行する切断ツール512として機能する。それぞれの切断ツール512は、切断ツール512の先行側に位置する着脱可能な切断ブレード514と、切断ブレード514の反対側の切断ツール512の後続側に位置する後縁524とを有する。図12図14、および図15では、切断ツール512の後縁524は、交換可能な内側のつなぎ曲面を形成し、図示しないファスナで切断ツール512に固定される着脱可能な部品(ゲート523)によって形成される。図14および図15から最も明らかなように、切断ツール512の後縁524は、後続する切断ツール512の切断ブレード514と協働して切断間隙(またはゲート開口部)526を形成する。図14および図15からさらに明らかなように、切断ツール512の枢動によって、切断ブレード514および後縁524は、切断ヘッド510の中心軸542に向かってあるいは離れるように枢動し、その結果、図14および図15に示したように、後縁524は中心軸542から異なる径方向距離に位置する。図15に示した径方向距離は、図14に示した径方向距離よりも小さい。図14および図15において、連続するペアとなって配置された切断ツール512が、異なる位置に回動され、その結果、切断間隙526は、図14に示した第1の位置に第1の間隙幅を有し、切断間隙526は、図15に示した第2の位置に第2の間隙幅を有する。図15に示した第2の間隙幅は、図14に示した第1の間隙幅よりも小さい。切断ツール512をいずれかの方向にさらに回転させると、図14および図15に示した切断間隙526の間隙幅からより大きいあるいはより小さい間隙幅とすることができる。いずれにせよ、切断間隙526の間隙幅を調整すると、切断ヘッド510によって生産されるスライスの厚さが変化し、より狭い切断間隙526では、より薄いスライスが生産される。そのため、図14に示した構成では、図15に示した構成よりも厚いスライスが生産される。
【0058】
切断ツール512に剛性構造を提供するために、取付フレーム520または522は、十分な間隙が存在する状態で、ボルトアセンブリ525(図14および図15)によって互いに固定され、ボルトアセンブリ525が切断ツール512を通過する。切断ツール512は、ボルトアセンブリ525に対して可動であり、上述した所望の枢動および調整能力が実現できるようになっている。ボルトアセンブリ525は、ばね527(または他の好適な偏向手段)を備える。ばね527は、調整機構516が作動した際に切断ツール512が取付フレーム520、522の間で動くことを可能にしながらも、切断ツール512に対して取付フレーム520、522を強固に保持することを可能とする負荷を付与する。
【0059】
調整機構516は、前述したようにピボットピン518によって形成される枢動軸を中心に切断ツール12を偏向させるための手段を備える。したがって、切断ツール512の枢動軸は、それぞれのピボットピン518と一致する。図12図15に示した偏向手段は、切断ツール512の後縁524付近において切断ツール512の表面(たとえば、図14および図15に示したように、ゲート523の表面)と係合する複数の偏向ユニット528を備える。図12図15に示したピボットピン518は、それぞれの切断ブレード514の刃先に隣接し、かつ、切断ブレード514の刃先とほぼ同様の切断ヘッド510の径に配置される。したがって、切断ツール512の切断ブレード514の刃先は、切断ツール512に付随する偏向ユニット528よりも、切断ツール512の枢動軸により近接しているため、切断ツール512の後縁524において偏向ユニット528により生じる径方向の動きは、切断ブレード514の刃先において、はるかに小さい切断ツール512の径方向の動きを生じる。このようにして、偏向ユニット528は、切断ツール512の切断ブレード514と、先行する切断ツール512の後縁524との間に形成される切断間隙526を高精度で調整することができる。精巧な調整能力は、特定の状況下においては有利であるが、すべての実施形態に必要ではないため、切断ツール512上のピボットピン518および偏向ユニット528の位置は、図示された位置とは異なっていてもよい。
【0060】
図12図15に示した、それぞれに切断ツール512に対して設置される偏向ユニット528はペアを構成し、それぞれの偏向ユニット528のペアは共通軸を有する、すなわち同軸である。偏向ユニット528のうちの上側にある第1のセットは、上部取付フレーム520に連結され、上側にある偏向ユニット528のそれぞれは、カム手段としてのカム532を備える。カム532は、上部取付フレーム520に近接する切断ツール512の上側にある第1の部分と係合するカムローブを有する。カムローブにより、切断ヘッド510の中心軸542に対して切断ツール512の上側部分を径方向偏向距離だけ径方向に偏向させることができる。同様にして、偏向ユニット528のうちの下側にある第2のセットは、下部取付フレーム522に連結され、下側の偏向ユニット528のそれぞれは、カム532を備える。カム532は、下部取付フレーム522に近接する切断ツール512の下側にある第2の部分と係合するカムローブを有する。カムローブにより、切断ヘッド510の中心軸542に対して切断ツール512の下側部分を径方向偏向距離だけ径方向に偏向させることができる。切断ツール512ごとのカム532が切断ヘッド510の軸方向に離隔して配置されるため、上部偏向ユニット528と対応する切断ツール512の上部との接触は、対応する下部偏向ユニット528と同一の切断ツール512の下部との接触と不連続となる。
【0061】
図14および図15に示した非限定的な実施形態においては、偏向ユニット528は、それぞれの取付フレーム520または522に対して回動可能に取り付けられたカムユニットである。偏向ユニット528が、その軸を中心に回動すると、それぞれのカム532は、図14に示した第1の位置から、図15に示した第2の位置に向かって、切断ツール512を偏向させる。カムローブを備えたカム532を図示したが、1つの動きを切断ヘッド510の中心軸542に対して切断ツール512を径方向に偏向させることができる力に変換することができる限り、偏心カム、面カム、線形またはくさび形カム、レバー、およびその他の装置を含む他のカム手段も本発明の範囲に含まれる。
【0062】
偏向ユニット528は、切断ツール512の上部および下部(2つの部位)のみと係合するよう図示したが、偏向ユニット528は、切断ツール512の任意の表面および任意の数の表面と係合するよう配置された、任意の数のカム532を備えることができる。図示の例では、偏向ユニット528は、カム532が偏向ユニット528と一体となるように機械加工されている。偏向ユニット528は、取付フレーム520、522に対して回動可能および軸方向に調整可能であるため、カム532の回転位置および軸方向位置が、切断ツール512のより上方またはより下方の部位にカム作用を及ぼすように個別に調整することが可能である。また、カム532は、それぞれの偏向ユニット528の長軸上で個別に組立および組み付けをおこなうことができるため、偏向ユニット528ごとにカム532の回転位置および軸方向位置を調整することが可能となるので、それぞれのカム532が、切断ツール512のより上方またはより下方の部位に対してカム作用を及ぼすことが可能である。
【0063】
図12および図15に示すように、切断ツール512は切断ヘッド510の中心軸542から離れるよう径方向外方に偏向され、偏向ユニット528との係合を維持するため、偏向ユニット528のカム532は、切断ツール512の調整可能な停止部として効果的に機能する。図示した特定の実施形態においては、偏向は、複数の片持ちばね部530によって達成される。片持ちばね部530の一端は、切断ツール512に接続され、片持ちばね部530の他端は、取付フレーム520または522のうち1つの周囲に係合している。ただし、前述した実施形態を参照して説明したタイプの偏向手段を含む、切断ツール512と偏向ユニット528のカム532との係合を維持する他の手段を採用することも可能であり、これらは本発明の範囲に含まれる。
【0064】
さらに、図12図15に示した調整機構516は、偏向ユニット528を操作して、カム532によって係合される切断ツール512の部位の径方向偏向距離を変更するための手段を備える。図示した非限定的な実施形態においては、操作手段は、それぞれが個別に偏向ユニット528のうち1つに連結される2組(上部および下部)のレバー534を備え、レバー534が枢動することにより、偏向ユニット528は回動する。図12および図13に示した操作手段は、上部および下部制御リング536をさらに備える。前述した実施形態の外輪40、240、および430と同様に、制御リング536は、それぞれ取付フレーム520、522と軸方向に整合し、切断ヘッド510の中心軸542を中心に回転する。レバー534は、制御リング536上のスロット540と係合する突起またはピン538を有するため、制御リング536が回転すると、対応するレバー534も枢動し、対応する偏向ユニット528が枢動し、切断ツール512を偏向させる。制御リング536を追加的に捕捉するようにピン538を操作可能として、レバー534によって制御リング536を取付フレーム520または522に固定することもできる。制御リング536の外周を波形として、制御リング536による切断ヘッド510への重量の追加を低減させている。
【0065】
図12図15に示した実施形態においては、偏向ユニット528は互いに連結されておらず、制御リング536も互いに連結されていないため、上部および下部制御リング536はそれぞれ個別に上部および下部レバー534に連結され、上部および下部偏向ユニット528は個別に回動可能となっている。したがって、制御リング536は、対応するレバー534と、互いに同時に作動(回転)する偏向ユニット528とを同時に作動(回転)させるため、上部偏向ユニット528によって切断ツール512の上部に生じる偏向は全く同一となり、下部偏向ユニット528によって切断ツール512の下部に生じる偏向は全く同一となる。制御リング536は、それぞれの偏向ユニット528を互いに個別に作動させるため、上部偏向ユニット528のカム532によって切断ツール512の上部に生じる偏向は、下部偏向ユニット528のカム532によって切断ツール512の下部に生じる偏向と同一である必要はなく、意図的に異ならせることができる。あるいは、制御リング536を個別に回転させることにより、切断間隙526を伴う切断ブレード514の長さ方向に沿って、連続的にペアとなる切断ツール512の間の切断間隙526を意図的に変化させることができる。いずれの場合も、切断間隙526の調整精度は、カム532およびスロット540の輪郭と、レバーピン538とスロット540との係合とによって決定される。
【0066】
図12図15に示した実施形態とは対照的に、図16は、偏向ユニット528を互いに結合させるための手段をさらに備えた調整機構616を備える切断ヘッド610を示す。図16に示した非限定的な実施形態においては、制御リング536は、制御リング536上またはその周囲に離隔して配置されるロッド634によって互いに強固に連結される。このため、制御リング536は互いに同時に回転し、これらによって作動されるレバー534および偏向ユニット528も互いに同時に回転するため、上部偏向ユニット528によって切断ツール512の上部に生じる偏向は、対応する下部偏向ユニット528によって切断ツール512の下部に生じる偏向と全く同一となる。しかしながら、偏向ユニット528は、取付フレーム520、522に取り付けられ、互いに個別に調整可能(回動可能)であるため、上部偏向ユニット528によって切断ツール512の上部に生じる偏向は、対応する下部偏向ユニット528によって切断ツール512の下部に生じる偏向とは意図的に異ならせることができる。たとえば、上部または下部偏向ユニット528のうちの一方におけるカム532を、図14に示した回転位置に位置させて、他方の偏向ユニット528におけるカムを、図15に示した回転位置に位置させることもできる。その他の点では、図16に示した切断ヘッド610は、図12図15に示した切断ヘッド510と同一である。
【0067】
図17図19は、図12図16に示した切断ヘッド510および610にさらなる変更が加えられており、調整機構716では、切断ヘッド510および610に設けられているレバー534と対応する制御リング536のセットのうちの一方が省略されているが、切断ヘッド710の切断ツール512の軸方向長さ全体にわたり切断間隙の幅を調整する能力は保持されている。この特徴は、前述した実施形態の利点を保持しながら、切断ヘッドの重量を最小限に抑える場合に有利である。
【0068】
調整機構716は、カップリング734で直接連結された上部および下部偏向ユニット728を備える。図示した特定の実施形態においては、カップリング734は、下部偏向ユニット728から伸長する軸736を備え、軸736は、上部偏向ユニット728から伸長するカラー738に収容される。図示の例では、軸736およびカラー738は、それぞれの偏向ユニット728と一体となった部分により構成されているが、軸736およびカラー738を個別に形成して偏向ユニット728に組み付けることもできる。カップリング734は、偏向ユニット728が互いに強固に連結されるように、カラー738内における軸736の回転を防止するためのねじ740をさらに備える。これによって、偏向ユニット728は、互いに同時に作動することができ、上部偏向ユニット728のカム732によって切断ツール512の上部に生じる偏向は、対応する下部偏向ユニット728のカム732によって切断ツール512の下部に生じる偏向と全く同一となる。しかしながら、ねじ740を緩めることで偏向ユニット728を分離することが可能となるため、偏向ユニット728を互いに個別に調整する(回動させる)ことが可能である。このため、たとえば、図14および図15を参照して前述したように、上部偏向ユニット728のカム732によって切断ツール512の上部に生じる偏向と、対応する下部偏向ユニット728のカム732によって切断ツール512の下部に生じる偏向とを意図的に異ならせることができる。図18および図19は、ねじ740の使用を示しているが、偏向ユニット728を結合および分離するための他の手段、たとえば、シャフトカラー、テーパドライブ、圧入アセンブリなどもまた、本発明の範囲に含まれる。上述した特徴を除いては、図17図19に示した切断ヘッド710は、図12図16に示した切断ヘッド510および610と同一である。
【0069】
図20は、図12図15に示した実施形態と同様に、互いに連結されていない偏向ユニット828を用いた調整機構816を備える切断ヘッド810の一部を示す。切断ヘッド810は、偏向ユニット828が連結される他の手段、たとえば、図12図15に示した制御リング536、図16に示したロッド634、あるいは図17図19に示したカップリング734などを備えない。偏向ユニット828は、取付フレーム520、522に対して独立して作動(回動)するように取り付けられているため、偏向ユニット828は、互いに対して個別に調整(回動)可能である。たとえば、図14図15、および図17図19を参照して前述したように、上部偏向ユニット828のカム832によって切断ツール512の上部に生じる偏向は、対応する下部偏向ユニット828のカム832によって切断ツール512の下部に生じる偏向とは意図的に異ならせることができる。その他については、図20に示した切断ヘッド810は、図12図19に示した切断ヘッド510、610、および710と同一である。
【0070】
図21および図22は、それぞれ、図20に示した実施形態と同様に、切断ヘッド910の調整機構916の偏向ユニット928を連結するための制御リングを備えない切断ヘッド910の一部と、切断ヘッド910の全体を示す。偏向ユニット918は、カップリング934によって直接連結され、図21および図22に示した非限定的な実施形態は、図17図19に示した実施形態において示したカップリング734と同一である。それぞれの切断ツール512に付随する偏向ユニット928は、図示した六角形のヘッド942とともに互いに同時に作動(回動)するため、切断ヘッド910の他の切断ツール512に付随する偏向ユニット928とは独立して作動可能である。上部偏向ユニット928のカム932によって切断ツール512の上部に生じた偏向は、対応する下部偏向ユニット928のカム932によって切断ツール512の下部に生じる偏向と全く同一である。ねじ940を緩めることで、それぞれの切断ツール512に付随する偏向ユニット928は分離されるため、偏向ユニット928は互いに個別に調整(回動)可能となり、図14および図15を参照して前述したように、上部偏向ユニット928のカム932によって切断ツール512の上部に生じる偏向と、対応する下部偏向ユニット928のカム932によって切断ツール512の下部に生じる偏向とを意図的に異ならせることができる。上述した特徴を除いては、図21および図22に示した切断ヘッド910は、図12図20に示した切断ヘッド510、610、710、および810と同一である。
【0071】
図17図22に示した実施形態では、下部制御リング536および下部レバー534が存在しないが、これらの実施形態において、下部取付フレーム522を省略することが可能である。この場合、切断ツール512および偏向ユニット528は、たとえば、図7に示したスライス装置のような装置の支持フレームに直接組み付けられる。さらに、そのような実施形態においては、下部偏向ユニット528を省略することもできる。この場合、たとえば図17に示した切断ヘッド710のような切断ヘッドとなり、図23に示したような構成となる。
【0072】
調整機構515、616、716、816、および916は、偏向ユニット528、728、828、および928に付随するカムを利用するよう図示したが、少なくともいくつかのカムは、取付フレーム520、522に取り付けられ、レバー534および/または制御リング536とともに作動する偏向ユニットに実装される、たとえば、レバー、止めねじ、シムなど、ピボットピン518によって形成される枢動軸を中心に切断ツール512を偏向させることができる他の手段によって置き換えるか、補足することができる。したがって、調整機構516、616、716、816、および916は、上記で説明したように、切断ツール512を同時にまたは個別に偏向させることができるカムに加えて、またはカム以外の手段を包含するものとする。非限定的な例として、図24図25、および図26は、図12図22に示したタイプのカム532が止めねじで補足されている別の実施形態を示す。
【0073】
図24では、カム532は、ゲート523にねじ込まれた止めねじ544(図24は、止めねじの1つを示す)に接触することにより、カム532の調整のゼロ地点を調整することが可能となっており、カム532によって係合される切断ツール512の部分の径方向偏向距離のゼロ地点が付与される。
【0074】
図25では、1つ以上の止めねじ546(図25は、止めねじの1つを示す)が、切断ツール512にねじ込まれ、ゲート523と係合してゲート523およびその後縁524を径方向内方に押すことにより、カム532とは別に、ゲート開口部526を調整することができる。
【0075】
図26では、テーパヘッドを備える軸外止めねじ548(図26は、止めねじの1つを示す)は、切断ツール512にねじ込まれており、カム532が止めねじ548の1つのテーパヘッドに接触することで、カム532の調整のゼロ地点を調整することができる。これにより、カム532によって係合された切断ツールの部分の径方向偏向距離のゼロ地点が付与される。
【0076】
少なくとも図24および図26では、カム532によって係合される切断ツール512の部分が、切断ツール512の本体の代わりに、止めねじ544、546、または548によって構成されている。止めねじは、図24図26について上述した機能のために便利ではあるが、レバー、カム、または他の手段を採用し、カム532によって係合された切断ツール512の部分に関する調整または変更能力、あるいは切断ツール512の後縁の位置を選択的かつ個別に変更する能力を提供することもできる。
【0077】
さらに、偏向ユニット528、728、828、および928の入力源として、外輪40、240、および430、および制御リング536を回転させるためのさまざまな手段を用いることができる。偏向ユニット528、728、828、および928の操作を自動化するために、手動制御またはコンピュータ制御入力として、たとえば、アクチュエータ、ギアなどを使用することができる。
【0078】
本発明について特定の実施例を示したが、当該技術分野における当業者により他の形態が採用され得ることは明らかである。たとえば、切断ヘッド、その構成部材、およびこれらが取り付けられる装置は、図示の態様および構造とは異なっていてもよい。切断ヘッド10の特定の部材の機能は、異なる構造を有するが機能が類似する(必ずしも同等でなくてもよい)部材により達成されてもよく、記載された材料の代わりに好適な材料を採用することができる。ナイフアセンブリ136および236は、さまざまな異なる切断装置において、さまざまな種類の材料を切断する目的で使用することができる。上述した詳細な説明は、図示された特定の実施形態、並びに、これに関するが必須ではない機能および特徴を記述することのみを意図しており、上記特定の実施形態、並びに、その機能および特徴の必須ではない代替構成は同じものと解釈される。非限定的な例として、本発明は、開示された実施形態の1つ以上の機能または特徴を有していない、追加的または代替的な実施形態を包含し、あるいは、異なる実施形態の2つ以上の特徴を組み合わせることができる。したがって、本発明は、本明細書に記述された実施形態または図示された実施形態に限定されず、図示した実施形態を説明する目的で本明細書において使用した語法および用語は、本発明の範囲を限定するものではない。最後に、本願の特許請求の範囲は、本発明に関連すると考えられる特定の態様を記載しているが、これは不必要に本発明の範囲を限定するよう解釈されるものではない。
図1
図2
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図5
図6
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図8
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【国際調査報告】