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特表2022-516762細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20220222BHJP
   B25J 21/02 20060101ALI20220222BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20220222BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
C12M1/34 B
B25J21/02
G01N1/00 101A
G01N1/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539847
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 IT2020050001
(87)【国際公開番号】W WO2020144722
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】102019000000166
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594073646
【氏名又は名称】イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ガブシ、ガブリエレ
【テーマコード(参考)】
2G052
3C707
4B029
【Fターム(参考)】
2G052AA36
2G052AC13
2G052BA05
2G052BA17
2G052BA19
2G052CA45
2G052DA05
2G052HB04
2G052JA06
3C707AS09
3C707BS15
3C707DS01
3C707ES03
3C707XJ03
4B029AA07
4B029AA27
4B029BB01
4B029FA02
4B029GB02
4B029GB10
(57)【要約】
壁(14)によって区切られたクリーンルーム(12)の内部に一時的に配置される細菌負荷検出デバイス(11;58)の自動管理のための装置および方法であって、前記壁(14)の少なくとも1つには一次閉鎖ユニットが設置された少なくとも1つのアクセス開口(15)が設けられ、該アクセス開口(15)は、チャンバ(12)の雰囲気を外部環境から隔離して分離したまま前記チャンバ(12)の内部へのアクセスを許容するように構成される。装置(10)は、1つまたは複数の細菌負荷検出デバイス(11;58)が配置された取り出し可能なハウジングスライダ(23)を内部に含む輸送コンテナ(20)と、輸送コンテナ(20)からスライダ(23)を取り出し、それをチャンバ(12)の内部で利用可能にするように構成された取出装置(64)と、チャンバ(12)の内部に配置されてスライダ(23)を安定して位置決めおよび支持する支持デバイス(42)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリーンルーム(12)の内部に位置する細菌負荷検出デバイス(11;58)の自動管理のための装置であって、
壁(14)によって区切られたチャンバ(12)であって、前記壁(14)の少なくとも1つは、一次閉鎖ユニット(17)によって選択的に閉鎖可能な少なくとも1つのアクセス開口(15)を備える、チャンバ(12)と、
前記チャンバ(12)の外部からアクセスするための前記開口(15)に関連付けられるように構成された輸送コンテナ(20)であって、前記チャンバ(12)の前記一次閉鎖ユニット(17)と協働可能な二次閉鎖ユニット(18)を備え、前記輸送コンテナ(20)の内部を前記チャンバ(12)の内部と連通させるために、それらは互いに機能的に相関して開くことができる、輸送コンテナと、
1つまたは複数の細菌負荷検出デバイス(11;58)を収容可能なハウジングスライダ(23)であって、前記輸送コンテナ(20)内にスライドして収容されるように構成されるハウジングスライダ(23)と、
前記チャンバ(12)の内部に配置された支持デバイス(42)であって、前記輸送コンテナ(20)から引き出された後、前記チャンバの内部で前記スライダ(23)を安定して支持するように構成された支持デバイス(42)と、
前記チャンバ(12)内に配置された自動操作装置(46)であって、選択的に前記スライダ(23)から取り出す又は前記スライダ(23)内に配置すべく、前記細菌負荷検出デバイス(11;58)の少なくとも1つを把持および移動するように構成された把持手段(47)を備えた自動操作装置(46)と、を備える装置において、
前記自動操作装置(46)が、前記チャンバ(12)内部の前記自動操作装置(46)を前記支持デバイス(42)に近づけるように及び前記支持デバイス(42)から遠ざけるように、前記チャンバ(12)の内面上を移動するように駆動されるように構成された可動ベース(70)に関連付けられている、装置。
【請求項2】
前記装置は、前記チャンバ(12)の内部に配置された取出装置(64)を含み、該取出装置(64)は、前記輸送コンテナ(20)が前記アクセス開口(15)と関連付けられる場合に、前記輸送コンテナ(20)から前記スライダ(23)を取り出し、それを前記チャンバ(12)内部で利用可能にするように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スライダ(23)が、前記輸送コンテナ(20)に設けられた第1のガイド部材(36)および前記支持デバイス(42)に設けられた第2のガイド部材と協働するように構成されたスライドおよびガイド手段(34)を備え、前記スライダ(23)が、前記輸送コンテナからの取り出し中およびその後の前記支持デバイス(42)上における再配置中に、直線の長手方向における並進(F1)およびその後の回転(F2)によって形成される複合運動を行うように、前記第1のガイド部材(36)および前記第2のガイド部材(44、45)は、構成されかつ空間的に配置されている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガイド部材(36)が、1つの下部チャネル(40)および1つの上部チャネル(41)からなる、前記スライドおよび前記ガイド手段(36)のための2つの通過チャネル(40、41)を規定するように構成され、前記上部チャネル(41)は、前記二次閉鎖ユニット(18)の近傍に、前記下部チャネル(40)から離れるように傾斜して延びる末端セグメントを有することを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2のガイド部材(44、45)が、互いに隣接する第1の溝(45)および第2の溝(44)を有し、前記第1の溝(45)が、前記チャンバ(12)の壁と前記第2の溝(44)との間に設けられ、前記第2の溝(44)は、前記第1の溝(45)に対して前記チャンバ(12)の前記壁からさらに離れて配置される、請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
前記輸送コンテナ(20)が前記チャンバ(12)の前記アクセス開口(15)に関連付けられている場合、前記第1のガイド部材(36)および前記第2のガイド部材(44、45)は、前記輸送コンテナ(20)から前記スライダ(23)を取り出す間、前記スライダ(23)の前記スライドおよびガイド手段(34)が、前記第2のガイド部材(44、45)と係合する前に、前記第1のガイド部材(36)から外れないように配置される、請求項3乃至5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記可動ベース(70)は、実質的に水平面上で前記自動操作装置(46)の移動および並進を可能にするように構成された水平移動部材(50)と、実質的に垂直面に沿った移動を可能にするように構成された垂直移動部材(51)とを備える、請求項1乃至6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、前記クリーンルーム(12)内部に配置された少なくとも1つの操作ステーション(52,56)を含み、該操作ステーション(52,56)は、前記細菌負荷検出デバイス(11;58)上で少なくとも1つの操作ステップを実行するように構成されている、請求項1乃至7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記操作ステーションは、マーキングデバイス(56)を備えたマーキングステーションを含み、該マーキングデバイス(56)は、前記細菌負荷検出デバイス(11;58)の蓋(25)にマーク(57)を適用および/または刻印するように構成されており、該マーク(57)は、製造バッチ番号、前記プレート(11)が配置および/または閉じられた時刻および/または日付、前記プレートが配置された前記クリーンルーム(12)の操作領域、または類似の情報の1つまたは複数を含むことが可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
壁(14)によって区切られたクリーンルーム(12)の内部に位置する細菌負荷検出デバイス(11;58)の自動管理のための方法であって、前記壁(14)の少なくとも1つは、一次閉鎖ユニットによって選択的に閉鎖可能な少なくとも1つのアクセス開口を備え、該方法は、
前記アクセス開口(15)に対応して、輸送コンテナ(20)を前記チャンバ(12)の外部と関連付けることであって、前記輸送コンテナ(20)は二次閉鎖ユニット(18)を備え、該二次閉鎖ユニット(18)が前記一次閉鎖ユニット(17)と協働可能であることにより、前記輸送コンテナの内部を前記チャンバ(12)の内部と連通させるために、前記一次閉鎖ユニット(17)および前記二次閉鎖ユニット(18)が開かれることと、
1つまたは複数の細菌負荷検出デバイス(11;58)を収容可能なハウジングスライダ(23)を準備することであって、前記ハウジングスライダ(23)は前記輸送コンテナ(20)の内部でスライドして収容されるように構成されることと、
前記輸送コンテナ(20)の内部を前記チャンバ(12)の内部と連通させるために、機能的に相関する態様で、前記一次閉鎖ユニット(17)および前記二次閉鎖ユニット(18)を駆動することと、
前記スライダ(23)を前記輸送コンテナ(20)から取り出し、それを前記チャンバ(12)の内部で利用可能にすることと、
前記チャンバ(12)の内部の支持デバイス(42)上に前記細菌負荷検出デバイスを備えた前記スライダ(23)を配置することと、
自動操作装置(46)により、前記細菌負荷検出デバイス(11)を前記をスライダから取り外すことと、
前記スライダ(23)から取り外された前記細菌負荷検出デバイス(11)の少なくとも1つを、前記クリーンルーム(12)の内部に規定された操作領域(Z)に配置することと、を含み、
前記細菌負荷検出デバイス(11)を前記操作領域(Z)内に配置するステップは、後者を前記チャンバ(12)の内面上で移動させるために、前記自動操作装置(46)に関連付けられた可動ベース(70)を駆動することを提供することを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記方法は、前記細菌負荷検出デバイス(11)を前記スライダ(23)に戻すために、前記可動ベース(70)を前記操作領域(Z)から前記スライダ(23)に向かって駆動することによって前記自動操作装置(46)を移動させるステップを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記取り出すステップおよび前記配置するステップが、直線方向への並進(F1)および回転(F2)によって形成される軌道に沿った前記スライダ(23)の運動を含むことを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記チャンバ(12)の内部の前記支持デバイス(42)上の前記スライダ(23)を前記アクセス開口(15)の近傍に安定して配置するために、前記回転(F2)が約90度の回転に対応することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記細菌負荷検出デバイス(11)を前記操作領域(Z)内で移動させるステップの前および後のそれぞれで、沈降プレートとして構成された細菌負荷検出デバイス(11)を使用することを提供し、前記チャンバ(12)内に配置された蓋を取り出しおよび/または閉じるために、デバイス(52)を用いて、前記沈降プレート(11)に含まれる各容器(24)から蓋(25)を取り外しまたは各容器(24)上に蓋(25)を閉じることを提供する、ことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
蓋を取り外しおよび/または閉じるための前記デバイス(52)が前記自動操作装置(46)に関連付けられていることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、沈降プレート、特にペトリ皿、または綿棒などの細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置および方法に関する。本発明による装置は、一般に「アイソレータ」と呼ばれ、特に、保護された環境および制御されて定義された大気条件で動作する、医薬品を包装または処理するための装置内に上記のようなデバイスを自動的に挿入および除去するように構成される。
【背景技術】
【0002】
製薬部門では、例えば、粉末、錠剤、丸薬などの医薬品の加工および包装の作業は、一般に「クリーンルーム」または「アイソレータ」と呼ばれる外部環境から保護および分離されたチャンバ内で実行される。「クリーンルーム」または「アイソレータ」は、無菌状態で制御された雰囲気に保たれている。
【0003】
処理装置および/または包装装置ならびに機器は、保護チャンバ内に配置され、チャンバ自体の内部環境と外部環境との間の直接的な接続を防止しながら、保護チャンバ内外の材料の保護された移送を可能にする移送ポートを備えた特別な入口および出口によって外部と接続される。これらの移送ポートは、現在の規制への準拠を証明する認証の対象であり、一般に「アルファベータ」ポートまたは「高速移送ポート」の英語の頭字語である「RTP」として知られている。
【0004】
通常、保護チャンバには、オペレータが保護チャンバ内で操作可能な、例えば手袋のような、オペレータが製品および/またはその内部にある機器と相互作用できるようにする操作デバイスも備えられている。一般に、手袋は、保護チャンバの壁に設けられた特別な穴に密閉された態様で取り付けられて、そこからチャンバの中に突き出ている。
【0005】
要求される滅菌要件が常に満たされていること、つまり保護チャンバ内に微生物または汚染物質がないことを保証するために、最先端技術でよく知られているペトリ皿とも呼ばれる沈降プレートの使用を通じて、チャンバ内に存在する可能性のある細菌負荷の定期的なチェックが実行される。
【0006】
プレートは、移送ポートを介して保護チャンバ内に挿入され、上記のように手袋を使用してその内部の様々な所定の領域にオペレータによって手動で配置され、一定期間放置された後、移送ポートを介して保護チャンバから取り出すための手袋によりオペレータによって取り除かれる。
【0007】
このように回収されたプレートは、培養液中に存在する可能性のある細菌の増殖を可能にするために一定期間隔離され、その後、望ましくない汚染物質または微生物が分析されたプレート内に存在するかどうかを決定するために後続の分析ステップに毎回送られる。
【0008】
このようにして、一定の期間中に処理または包装された一群の製品が、必要なすべての無菌基準を満たしていることが事後的に検証される。
沈降プレートは、通常は円盤状のガラスまたはプラスチックの容器を含み、その中に固体および/または半固体の培養培地が挿入され、容器を閉じる蓋が付いている。当然のことながら、沈降プレートは、計画された期間、所定の領域で開いたままである。
【0009】
最先端の解決策によれば、蓋の取り外しおよび取り付け、プレートの導入、配置、および保護チャンバへのプレートの出し入れのすべてのステップは、チャンバの壁に備え付けられた特別な手袋を使用してオペレータによって実行される。
【0010】
特に、オペレータは、事前に定義された時間間隔で、チャンバの壁に設けられた手袋を介して操作し、プレートを取り、その蓋を取り外し、それをチャンバ内に配置し、オペレータは、プレートをチャンバで一定期間活動させるべく放置した後、プレートを取り出して蓋を閉め、チャンバの外に取り出す。
【0011】
これらの既知の解決策の1つの欠点は、使用される手袋が、それと離間する方法で絶縁体の内部で動作することを可能にする一方で、チャンバ内の汚染物質を運ぶ手段となり得ることである。実際、使用中に手袋に穴や切り込みが形成され、それを通して汚染物質が保護チャンバ内に浸透する可能性がある。
【0012】
さらに、これらの解決策は、例えば手袋が損傷し、オペレータが危険、毒性、および/または健康に害を及ぼす可能性のある医薬品、または周囲の環境に害を及ぼす可能性のある医薬品と接触した場合など、オペレータの安全上の問題につながる可能性がある。さらに、既知の解決策では、手袋は、チャンバへの挿入中および/またはチャンバから手袋を取り出し中、またはプレートを閉じるステップ中にプレートの汚染を引き起こす可能性があるため、チャンバの内部環境の無菌性の正しい監視を損なう。
【0013】
その後の分析は、実際には、誤った結果につながる可能性がある。たとえば、実際にはチャンバ内に存在しない可能性があるが、手袋を介して外部からプレートに運ばれた可能性のある汚染物質および微生物の存在を示して、実際にすべての要件を満たす製品のバッチを排除するリスクを伴う。その結果、この不利な点は、適合製品の不必要な廃棄によって引き起こされる廃棄物による全体的な生産コストの大幅な増加を伴い、その結果として、生産を繰り返す必要が生じる可能性がある。
【0014】
上記の不利な点を克服しようとするために、可能性のある汚染物質の存在を確認すべくレーザーを備えた連続監視システムを使用することを提供する解決策も知られている。しかしながら、これらの光学的ソリューションは、沈降プレートの面倒な手動管理を回避するが、汚染物質または微生物のタイプを認識および識別することはできず、汚染物質が存在することを示すだけである。当然ながらこれは不利である。なぜなら、最も適切なその後の是正措置を実行できるようにするために、見つかった汚染物質の分類を知ることが有用だからである。
【0015】
当技術分野で知られている別の解決策は、例えば特許文献1に、オペレータによる手動介入を必要とせずにアイソレータ内の微生物をサンプリングするための装置および方法に関して記載されている。
【0016】
本発明の1つの目的は、最新技術で知られる解決策の欠点の少なくとも1つを克服する装置および方法を提供することであって、例えば、沈降プレートまたは綿棒のような細菌負荷検出デバイスを密閉チャンバ内で自動管理するための装置および方法を提供することである。
【0017】
本発明の1つの目的は、手袋を介したオペレータによる手動介入を必要としない細菌負荷検出デバイスの管理のための装置および方法を提供することであり、それにより、チャンバの内部雰囲気の無菌性の効率的な監視を実行することが可能となる。
【0018】
本発明の別の目的は、細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置および方法を提供することであり、これは、外部から、特に手袋を介して運ばれる汚染に起因してプレートが汚染し得るという問題を排除、または少なくとも大幅に低減することによって、チャンバの内部環境の効果的かつ信頼性の高い監視を可能とする。
【0019】
別の目的は、各操作ステップにおいて、よって少なくともデバイスの挿入中、デバイスの位置決め中、およびデバイスの取り出し中に、保護チャンバに要求される滅菌レベルが維持されることを保証する、細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置および方法を提供することである。
【0020】
本出願人は、本発明が現況技術の欠点を克服するように、並びにこれらの及び他の目的及び利点を獲得するように、考え、試験及び実現した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/185521号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、独立請求項において定められるとともに特徴付けられる。従属請求項は、本発明の他の特徴または主要な発明の思想の変形例を説明している。
本明細書で説明する実施形態は、クリーンルームの内部に位置する細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置に関する。特に、細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置は、制御された雰囲気を有する隔離されたチャンバの内部の作業領域にそれらを一時的に配置することを可能にし、チャンバは壁によって区切られ、壁の少なくとも1つは、一次閉鎖ユニットが設置されたアクセス開口をチャンバ内に有し、その雰囲気を外部環境から隔離および分離したまま、チャンバ内へのアクセスを可能にするように構成されている。
【0023】
好ましい実施形態では、細菌負荷検出デバイスは、ペトリ皿とも呼ばれる細菌培養培地を配置することができる沈降プレートとして構成され、蓋で閉じられる容器を含む。
別の実施形態では、細菌負荷検出デバイスは、綿棒として構成される。
【0024】
本発明による管理装置は、
チャンバの外部からアクセスするための開口に関連付けられるように構成された輸送コンテナであって、チャンバの一次閉鎖ユニットと協働可能な二次閉鎖ユニットを備え、輸送コンテナの内部をチャンバの内部と連通させるために、それらは一緒に開くことができる、輸送コンテナと、
1つまたは複数の細菌負荷検出デバイスを収容可能であり、輸送コンテナ内にスライドして収容されるように構成されたハウジングスライダと、
チャンバの内部に配置され、輸送コンテナから引き出されたハウジングスライダを安定して配置および支持するように構成された支持デバイスと、
チャンバ内に配置されるとともに把持手段を備えた自動操作装置であって、該把持手段は、交互にスライダから取り出し又はスライダ内に配置すべく、一度に上記の細菌負荷検出デバイスの少なくとも1つを把持および移動するように構成され、自動操作装置が、チャンバ内部の自動操作装置を支持デバイスに近づけたり遠ざけたりするように、チャンバの内面上を移動するように駆動されるように構成された可動ベースに関連付けられている、自動操作装置と、を備える管理装置。
【0025】
特定の実施形態では、可動ベースは、実質的に水平面上で自動操作装置の移動および並進を可能にするように構成された水平移動部材と、実質的に垂直面に沿った移動を可能にするように構成された垂直移動部材とを備える。
【0026】
本明細書で提供される実施形態によれば、装置は、チャンバの内部に配置された取出装置を含み、該取出装置は、輸送コンテナがアクセス開口に関連付けられている場合に、輸送コンテナからスライダを取り出し、それをチャンバ内で利用可能にするように構成されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、装置は、チャンバの内部に配置された少なくとも1つの操作ステーションを含み、該操作ステーションは、上記のように細菌負荷検出デバイス上で少なくとも1つのそれぞれの操作ステップを実行するように構成されている。
【0028】
実施形態のいくつかの形態によれば、装置は、制御およびコマンドユニットを備え、該制御およびコマンドユニットは、少なくとも自動操作装置を制御および命令して、少なくとも支持デバイスと、作業領域および上記のような1つまたは複数の操作ステーションのうちの少なくとも1つとの間で、それをチャンバの内部で移動させるように構成されるともに、スライダに対して少なくとも1つの細菌負荷検出デバイスの除去または堆積を選択的に決定するように構成されている。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、制御およびコマンドユニットは、それぞれの細菌負荷検出デバイスを受け入れるのに適した、チャンバの内部の複数の作業領域を定義するように構成され、これらの領域は、好ましくは、チャンバ内に存在する処理装置および/または包装装置と、自動操作装置が移動する経路とのうち少なくとも一方と干渉しない。
【0030】
一実施形態によれば、上記の操作ステーションは、蓋を取り外しおよび/または閉じる装置によって、それぞれの容器から蓋を取り外したり、容器上に蓋を閉じたりするステーションを備える。好ましい実施形態では、蓋を取り外しおよび/または閉じるための装置は、蓋を吸引して保持するのに十分なくぼみを形成するのに適したくぼみ手段に接続された吸盤タイプの少なくとも1つの把持部材を含む。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、上記の操作ステーションは、マーキングデバイスを備えたマーキングステーションを含み、該マーキングデバイスは、閉じたプレートの蓋に関連情報のマークを適用および/または刻印するように構成されており、該マークは、製造バッチ番号、プレートが閉じられた時刻および/または日付、プレートが配置された操作領域のうちいずれか1つまたは複数を含む。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、輸送コンテナおよびチャンバは、アルファ-ベータポートとも呼ばれる高速移送ポート(RTP:rapid transfer port)を形成するために協働するのに適したそれぞれの閉鎖ユニットを備えている。
【0033】
本発明による管理装置によれば、細菌負荷検出デバイス、例えば沈降プレートを保護チャンバ内に挿入したり、配置したり、およびチャンバから取り出したりする作業は、オペレータからの手動介入を一切必要とすることなく、完全に自動化された方法で実行することができる。
【0034】
実際、プレートの取り出し、蓋の取り外し、プレートの位置決め、回収、および配送のすべての作業は、自動操作装置によって自律的に実行される。
したがって、オペレータは、輸送コンテナが閉じた状態にある場合にのみ輸送コンテナを取り扱う可能性があり、ハンドリング装置の問題によって引き起こされる可能性のあるプレートの汚染を排除しないとしても最小限に抑制する。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、スライダは、スライドおよびガイド手段を備え、該スライドおよびガイド手段は、輸送コンテナから支持デバイスへのスライダの移動およびその逆の移動を容易にするために、輸送コンテナおよび支持デバイスに提供されるガイド部材と協働するように構成されている。
【0036】
スライド手段およびガイド手段ならびにそれぞれのガイド部材の形状および配置は、スライダが、チャンバへの挿入中と、プレートの回収の最後に移送デバイスに戻されるようにチャンバからの取り出し中との双方において、固定かつ定義された経路を完了するよう構成されている。これにより、ハウジングスライダを簡単、迅速、かつ信頼性の高い方法で動かすことができ、オペレータによる手動の介入を一切必要とすることなく、この操作を自動的に実行することができる。さらに、オペレータによる手動操作がないため、オペレータの安全性が向上しながら、保護チャンバの内部で扱われた材料または物質が漏れるリスクを排除または大幅に減少するとともに、これらの物質が周辺環境への悪影響の可能性を低減します。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、自動操作装置は、擬人化されたアームまたはロボットである。
いくつかの実施形態によれば、自動操作装置は、チャンバ内の事前に確立された経路に沿って移動するように構成することができる。
【0038】
また、本明細書で説明する実施形態は、壁によって区切られたクリーンルームの内部に位置する細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置に関する。壁の少なくとも1つは、一次閉鎖ユニットによって選択的に閉鎖することができる少なくとも1つのアクセス開口を備えている。
【0039】
本発明による方法は、以下を提供する。
アクセス開口に対応して、チャンバの外部に二次閉鎖ユニットを備えた輸送コンテナを関連付けること。二次閉鎖ユニットは、一次閉鎖ユニットと協働することができるため、チャンバの内部と連通する輸送コンテナの内側に入れるためにそれらが開かれる。
【0040】
1つまたは複数の細菌負荷検出デバイスを収容可能なハウジングスライダを準備すること。ハウジングスライダは、輸送コンテナ内にスライドして収容されるように構成される。
【0041】
一次閉鎖ユニットおよび二次閉鎖ユニットを駆動すること、および輸送コンテナの内部をチャンバの内部と連通させること。
輸送コンテナからスライダを取り出すこと、およびそれをチャンバ内で利用可能にすること。
【0042】
チャンバ内部の支持デバイス上に細菌負荷検出デバイスを備えたスライダを配置すること。
自動操作装置により、細菌負荷検出デバイスをスライダから取り出すこと。
【0043】
クリーンルーム内の事前定義された作業領域内のスライダから取り出した上記の細菌負荷検出デバイスの少なくとも1つを廃棄すること。細菌負荷検出デバイスを上記のように作業領域内に配置するステップは、自動操作装置をクリーンルームの内面上で移動させるために、自動操作装置に関連付けられた可動ベースを駆動することを提供する。
【0044】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられる、いくつかの実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、本明細書で説明される実施形態による細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置を備えたアイソレータの概略図である。
図2図2は、本明細書で説明される実施形態による、細菌負荷検出デバイス、特にペトリ皿の自動管理のための装置の三次元の概略図である。
図3図3は、動作ステップにおける、本明細書で説明される実施形態による細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置のいくつかの構成要素の概略側面図であり、部分断面図である。
図4図4は、本明細書に記載の実施形態による、アイソレータ内の細菌負荷検出デバイスの挿入および取り出しのいくつかの動作シーケンスを示す。
図5図5は、本明細書に記載の実施形態による、アイソレータ内の細菌負荷検出デバイスの挿入および取り出しのいくつかの動作シーケンスを示す。
図6図6は、本明細書に記載の実施形態による、アイソレータ内の細菌負荷検出デバイスの挿入および取り出しのいくつかの動作シーケンスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
理解を容易にするために、可能な場合、図面内の同一の共通要素を識別するために同じ参照番号が使用されている。一実施形態の要素および特性は、さらに明確にすることなく他の実施形態に都合よく組み込むことができることが理解される。
【0047】
ここで、本発明の様々な実施形態を詳細に参照し、その1つまたは複数の例が添付の図面に示されている。各実施例は、本発明の例示として提供されており、その限定として理解されるべきではない。例えば、それらが一実施形態の一部である限り示されるかまたは説明される特性は、他の実施形態に、または他の実施形態と関連して採用されて、別の実施形態を生成することができる。本発明は、そのようなすべての改変および変形を含むものと理解される。
【0048】
本明細書で説明される実施形態は、医薬品を処理および/または包装するための機械の保護チャンバ12またはクリーンルーム(業界では「アイソレータ」とも呼ばれる)内部に位置する細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置10に関する。
【0049】
本明細書および以下の説明では、非限定的な例として、細菌負荷検出デバイスが、参照番号11で示されるペトリ皿とも呼ばれる沈降プレートとして構成される実施形態を説明する。
【0050】
本明細書で提供される改変実施形態において、本発明による細菌負荷検出デバイスが参照番号58で示される綿棒として構成される、以前の実施形態と組み合わせることができる実施形態についても説明する。
【0051】
換言すれば、装置10は、ペトリ皿11および綿棒58の両方、または一方のみを管理するように構成される。
装置10は、特に製薬部門での使用に適しており、ペトリ皿11を保護チャンバ12内に挿入および配置して、所定の期間が経過したら後に保護チャンバ12からそれらを取り出すのに適している。
【0052】
例えば錠剤、丸薬などの医薬品を取り扱う、処理する、および/または包装するための装置13は、保護チャンバ12の内部に配置される。
保護チャンバ12は、壁14によって外部環境から分離され、チャンバ12の内側または外側への材料の保護された移動を可能にするように構造化されたそれぞれの閉鎖装置16に関連付けられたアクセス開口15を備える。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、閉鎖装置16は、高速移送ポート(RTP)、またはアルファユニットとしても示される一次閉鎖ユニット17を備えたアルファベータポートであり得、一次閉鎖ユニット17は、嵌合する二次閉鎖ユニット18と結合するのに適している。二次閉鎖ユニット18は、ベータユニットとしても示され、適切な相互結合インターフェースによって、例えば輸送コンテナ20などの移送装置上に提供される。
【0054】
一次閉鎖ユニット17は、チャンバ12内部のアクセス開口15に設置され得る。
いくつかの実施形態によれば、一次閉鎖ユニット17は結合手段を備え、該結合手段は、アクセス開口15を取り囲むフランジ32、アクセス開口を閉鎖するドア19、ドア19のクランプ部材21、およびシール要素を含む。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、一次閉鎖ユニット17のドア19は、閉じた状態と開いた状態との間でフランジ33に対して回転するように、フランジ33に対して片側でヒンジ留めされ得る。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、閉鎖ユニット17、18は、互いに結合されることにより、一次閉鎖ユニット17のドア19の開放が両方のドア19の開放を決定するため、閉鎖ユニット17、18が互いに機能的に相関する方法で開放され得るように適合され得る。それぞれの内部環境を維持しながら、輸送コンテナ20の内部を保護チャンバ12の内部と連通可能とした後、互いに連通させ、外部環境から分離して隔離する。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、装置10は、プレート11を閉じて密封された状態で輸送できるようにするために、輸送コンテナ20の中に1つまたは複数のプレート11を含むように構成された移動可能な輸送コンテナ20を備える。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、輸送コンテナ20は、管状本体22を備え、管状本体22は、一端22bで閉塞されるとともに、反対側の端22aに二次閉鎖ユニット18を備え、二次閉鎖ユニット18は、チャンバ12の壁14に設けられた主閉鎖ユニット17とシールされた態様で結合するのに適する。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、二次閉鎖ユニット18は、一次閉鎖ユニット17のフランジ32と結合するように構成された結合フランジ33と、ドア19と結合してその動きに従うように構成された蓋35とを備える。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、輸送コンテナ20は、プレート11を互いに隣接するように整然とした態様で収容するように構成されたハウジングスライダ23を備える。
スライダ23は、管状本体22内でスライドして配置されている。
【0061】
いくつかの実施形態によれば、プレート11は、その中に固体または半固体の培養培地が配置される実質的に平坦な容器24と、容器24を閉じる蓋25とを備える。蓋25は、プレートが使用されていないときに培地の無菌性を維持するために微生物の通過を防止することを目的としている。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、スライダ23は、縦方向に延びる支持面26を有し、支持面26は、横方向に延びる当接壁27によって第1の端部26aに対応して区切られており、スライダ23は、実質的にL字型の形状を規定する。
【0063】
また、支持面26は、互いに平行に延びる一対の側壁28によって横方向に区切られている。
いくつかの実施形態によれば、側壁28は、少なくともプレート11の高さに等しい、当接壁27からの距離まで延びる。換言すれば、当接壁27と側壁28の縁部とは、それらの間に、少なくともプレート11の高さに等しい通過ギャップ29を規定するように、互いに離間している。
【0064】
また、スライダ23は、少なくともスライダ23の前端23aの近傍に位置する部分について、支持面26に実質的に平行に延びる収容面30を備える。
収容面30は、側壁28および支持面26と共に、プレート11を4つの側面で取り囲み、その横方向への望ましくない動きを防止する箱状の収容構造31を規定する。
【0065】
使用中、プレート11は、当接壁27に対して静止し、箱状構造31の内側に互いに積み重ねられて配置される。
スライダ23が管状本体22に挿入されるとき、スライダ23は、前端23aが開放端22aに面し、後端23bが閉鎖端22bに面するように配置することができる。
【0066】
いくつかの実施形態によれば、スライダ23は、スライダ23が輸送コンテナ20の外側および内側にスライドすることを可能にするように構成されたスライドおよびガイド手段34を備える。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、スライドおよびガイド手段34は、側壁28に取り付けられ、輸送コンテナ20に設けられた嵌合ガイド部材36と協働するように構成されたキャスタ35、ピン、またはベアリングを備える。
【0068】
特に、スライドおよびガイド手段34ならびにガイド部材36は、スライダ23が管状本体22からの抜け出し中に、スライダ23は、ガイド部材36(図5)内のそれ自体のスライドおよびガイド手段34によって拘束された状態で、最初に第1の矢印F1(図3および図4)で示される長手方向への並進した後、第2の矢印F2で示される下向きに回転するように構成されている。
【0069】
いくつかの実施形態によれば、ガイド部材36は、適切に形成された突出部37、38、39の対を備え、該突出部37、38、39は、互いに平行に延在し、互いに対向する壁から管状本体22の内側に向かって突出する。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、突出部37の第1の対は、長手方向に実質的に直線的に延びる。
突出部分38の第2の対は、閉鎖端22bに向かう第1の直線部38aと、反対側の開放端22aに向かう第2の実質的に三角形部分38bとを有する。
【0071】
突出部39の第3の対は、第1の直線部39aと該第1の直線部39aに向かって傾斜した第2の部分39bとを有し、該第2の部分39bは、突出部38の第2の対の第2の部分38bの三角形の一辺の延びに実質的に沿っている。
【0072】
このようにして、2つの通行チャネル40、41が定義され、図5および6でより明瞭に示されており、2つの通行チャネル40、41のうちの下部チャネル40は直線状に延びており、上部チャネル41は開放端22aに向かって上向きに傾斜した延びを有する。
【0073】
これらの実施形態によれば、4つのキャスタ35をスライダ23の各側壁28に設けることができ、そのうちの1対のキャスタ35a、35bは前端23aの近傍にあり、1対のキャスタ35c、35dは後端23bの近傍にある。
【0074】
キャスタ35のうちの3つ、特に前端23aの2つのキャスタ35a、35bおよび後端23bの近傍の第3のキャスタ35cは、それらがすべて下部通行チャネル40内でスライドするように同じ高さに配置することができる。
【0075】
後端23aに対応して配置された第4のキャスタ35dは、上部通行チャネル41内をスライド可能に他のキャスタ36の高さとは異なる高さに配置され得る。
いくつかの実施形態によれば、装置10は、取出装置64を含み、該取出装置64は、輸送コンテナ20がアクセス開口15に接続されている場合に、輸送コンテナ20からスライダ23を取り出し、それをチャンバ12内で利用可能にするように構成されている。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、取出装置64は、例えばアクセス開口15の近くで、チャンバ12の内部、例えばアクセス開口15の近傍に配置され得、スライダ23と協働するために、それぞれの壁14に向かっておよび/または壁14から離れるように移動して、スライダ23を少なくともチャンバ12の内部に向かって動かすように構成される。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、取出装置64は、スライダ23を輸送コンテナ20に挿入するためにも、スライダ23と協働することができる。
例として、取出装置64は、把持部材、伸長可能/収縮可能アーム、可動アーム、線形アクチュエータ、もしくは他の同様のまたは同等の移動手段のうちの1つまたは複数を備えてもよい。
【0078】
変更実施形態によれば、弾性要素、例えば、ばね65が設けられてもよく、ばね65は、スライダ23と下端22bとの間に、輸送コンテナ20内に圧縮状態で配置され、閉鎖ユニット18が開かれたときにスライダ23の取り出しを容易にするように構成される。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、装置10は、使用中に保護チャンバ12の内部に配置され、スライダ23を配置および支持するように構成された支持デバイス42を備える。
支持デバイス42は、アクセス開口15に対応して、一次閉鎖ユニット17が設けられた壁14の近傍に配置されている。
【0080】
いくつかの実施形態によれば、支持デバイス42は、一対の収容壁43を備え、該収容壁43は、スライダ23のスライドおよびガイド手段34が挿入およびスライド可能なガイド溝44、45を備える。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、各収容壁43に2つのガイド溝44、45があり、そのうちの第1の溝45は保護チャンバ12の内部に面し、第2の溝44はより壁14に近い位置にある。
【0082】
このようにして、スライダ23が輸送コンテナ20から引き出されると、前端23aに設けられたスライドおよびガイド手段34、すなわち2つのキャスタ35a、35bがガイド溝44、45内に挿入され、後端23bに設けられたスライドおよびガイド手段34、すなわち2つのキャスタ35c、35dが、輸送コンテナ20に配置されたガイド部材36から外れることを許容する。
【0083】
このようにして、スライダ23は、輸送コンテナ20から完全に離脱するため、スライダ23がチャンバ12内に配置されている間でさえ、必要に応じて、適切に閉じられ、場合によってはアクセス開口15から取り外され得る。
【0084】
ガイド溝44、45は、各収容壁43の上端に対応して広がった部分44a、45aを有し、スライダ23のスライドおよびガイド手段34と、広がった部分44a、45aに対して反対側に配置されている下部閉鎖端44b、45bとの導入を容易にするのに適している。
【0085】
いくつかの実施形態によれば、ガイド溝44、45の双方は、保護チャンバ12の内部に面する凸面を備えたアーチ型の形状を有し、少なくとも1つのセグメントについて、互いに平行に延びる。
【0086】
いくつかの実施形態によれば、第1の溝45は、第2の溝44よりも大きなセグメントにわたって延在するため、各下部閉鎖端44b、45bは、図3乃至図6に見られる共通の垂直軸Aに沿って実質的に整列する。
【0087】
スライダ23の回転中、スライダ23の両側に位置する第1のキャスタ35aおよび第2のキャスタ35bは、第1の溝45および第2の溝44にそれぞれ配置され、それら第1のキャスタ35aおよび第2のキャスタ35bがそれぞれの下部閉鎖端44b、45bに到達すると、スライダ23は、その支持面26が実質的に垂直になるように配置される。
【0088】
さらなる実施形態によれば、支持デバイス42は、ドア19の動きによって影響を受ける領域からスライダ23を遠ざけるように、ドア19を開閉可能とするように、アクセス開口15に対して垂直方向に移動可能に構成され得る。
【0089】
例示的な実施形態によれば、支持デバイス42の移動経路を規定するように構成されたガイド要素67と、ガイド要素67と協働し、支持デバイス42をアクセス開口15から離れるように移動/アクセス開口15に向かって移動するように構成された移動手段66とを提供することができる。移動手段66は、モータ部材、リニアアクチュエータなどを含んでもよい。
【0090】
いくつかの実施形態によれば、自動管理装置10は、使用中に保護チャンバ12内に配置され、少なくともスライダからプレート11を取り外し、それを事前定義された沈降領域に配置し、一定期間後にそれを回収し、それをスライダ23に戻すように構成された自動操作装置、例えばロボット46、または擬人化アームを含む。特定の実施形態では、自動操作装置46が、チャンバ12内部の自動操作装置を支持デバイス42に近づけたり遠ざけたりするように、チャンバ12の内面上を移動するように駆動されるように構成された可動ベースに関連付けられている。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、ロボット46は、スライダ23から少なくとも1つのプレート11を把持するように構成された把持手段47を備える。
いくつかの実施形態によれば、把持手段47は、プレート11の両側にそれら自体を配置するのに適した一対の把持部48を備えてもよい。
【0092】
いくつかの実施形態によれば、把持部48は、当接壁27と箱状構造31との間の通路ギャップ29を通過して、当接壁27上にあるプレート11を把持し、通路ギャップ29を介してそれを引き抜くのに適したサイズを有し得る。
【0093】
いくつかの実施形態によれば、可動ベース70は、保護チャンバ12内部のロボット46が移動かつ変位することを許容するように構成された移動手段49を備える。
いくつかの実施形態によれば、移動手段49は、実質的に水平面上でのロボット46の移動および並進を許容するように構成された水平移動部材50を備える。例として、水平移動部材は、車輪、軌道、ボールベアリング、滑り子、または他の同様のもしくは同等の移動部材を含んでもよい。
【0094】
さらなる実施形態によれば、移動手段49は、ロボット46の少なくとも一部、例えばロボット46の少なくとも把持手段47の垂直面に沿った移動を許容するように構成された垂直移動部材51を備える。例として、垂直移動部材51は、線形アクチュエータ、関節式システム、および他の同様の同等の部材を含んでもよい。
【0095】
これらの実施形態によれば、ロボット46は、スライダ23内のプレート11を最も高い位置にあるプレート11の上に配置するように置き換えるように構成され得る。
いくつかの実施形態によれば、ハウジングスライダ23内のプレート11を置き換える作業を容易にするために、位置決めガイド55を支持デバイス42の近傍に設けることができ、これらは一緒に、使用中にハウジングスライダ23の収容壁43の上端が配置される高さと実質的に等しい高さ、またはそれよりわずかに高い高さに配置される支持面を規定する。
【0096】
このようにして、ロボット46は、プレート11を位置決めガイド55(図2)上に配置した後、プレート11を押し込んで、それが収容壁43を通過するまでそれら上をスライドさせ、その結果、最も高い位置にあるプレート11の上にそれを配置することができる。
【0097】
さらなる実施形態によれば、ロボット46は、スライダ23がアクセス開口15に取り付けられた場合、それ自体が取出装置64の機能を実行しながら又はそれと協働しながら、輸送コンテナ20からスライダ23を取り出したり、スライダ23へ挿入したりする作業も実行するように構成され得る。
【0098】
いくつかの実施形態によれば、自動管理装置10は、プレート11の蓋25をそれぞれの容器24から取り外すように構成された蓋を取り外したり、閉鎖したりするために、および/または再び閉じるようにその上に再配置するためのデバイス52を備える。
【0099】
いくつかの実施形態によれば、蓋を取り外し/閉じるためのデバイス52は、保護チャンバ12の内部に配置され、ロボット46は、既定の沈降領域Z内の容器24を位置決めする前に、蓋を取り外し/閉じるためのデバイス52に対応して、スライダ23から取り外されたプレート11を輸送するように構成され得る。
【0100】
いくつかの実施形態によれば、蓋を取り外す/閉じるためのデバイス52は、蓋25を把持し、容器24がロボット46によって保持されている間に容器24から蓋25を取り外すように構成された少なくとも1つの把持部材53を備え得る。
【0101】
本明細書で提供される実施形態によれば、把持部材53は、例えば、吸盤タイプであってもよく、蓋25を吸い上げて保持するのに十分なくぼみを形成するのに適したくぼみ手段54に接続され得る。
【0102】
取出装置52は、蓋25を容器24から離間するように移動し、蓋25を隣接する領域に再配置して、逆閉鎖操作を続行する必要がある時まで保持するように把持部材53を移動するように構成された移動部材(図示しない)を備え得る。
【0103】
いくつかの実施形態によれば、自動管理装置10は、管理装置10の機能を制御および命令するように構成された制御およびコマンドユニット60を備え、制御および命令ユニット60は、実行する必要のある操作の機能として保護チャンバ12内部の所定の経路に従ってロボット46を移動させるように構成されている。
【0104】
いくつかの実施形態によれば、制御およびコマンドユニット60は、ロボット46の制御ユニット63とリアルタイムで通信して操作を通信するか、または事前定義されたプログラムに従って実行することによって、保護チャンバ12内部の必要な動きを決定する。
【0105】
いくつかの実施形態によれば、制御およびコマンドユニット60は、保護チャンバ12および/または取り扱われるべきプレート11に関連する情報を記憶することができる記憶装置61に接続されるか、または記憶装置61を備えることができる。例えば、情報は、複数の沈降領域Zが定義されている保護チャンバ12のマップ、沈降領域Zの数、沈降領域Zの自由/占有状態、スライダ23上に配置されたプレート11のタイプおよび/または数、プレート11の決定されたタイプに必要な沈降時間、または他の情報のうち1以上のいずれかを含む。
【0106】
いくつかの実施形態によれば、制御およびコマンドユニット60は、ユーザインターフェース62に接続され得るか、またはユーザインターフェース62を備え得、オペレータは、ユーザインターフェース62を介して、上記の情報を入力し、装置10の機能を開始および/または停止し、および/または自動操作装置46に命令することができる。
【0107】
いくつかの実施形態によれば、オペレータは、制御およびコマンドユニット60のみをプログラムし、後者と直接対話する必要なしに、後者からロボット46の制御ユニット63に命令を送信することができると規定することができる。
【0108】
特に、制御およびコマンドユニット60によって命令された操作に基づいて、ロボット46は、自身を支持デバイス42の近傍に配置し、そこでロボット46は、ロボット46の把持手段47によってプレート11を取り外す。続いて、ロボット46は、蓋を取り外しおよび/または閉じるべく、装置52の近傍にプレート11を運び、ここで、蓋25が容器24から取り外される。
【0109】
続いて、ロボット46は、制御およびコマンドユニット60によって示される沈降の操作領域Zに向かって移動し、そこで、チャンバ12内部の空気中に存在する可能性のある微生物が培養培地に沈着できるように、開放容器24を配置する。
【0110】
所定の沈降時間の後、ロボット46は、再び容器24を操作領域Zから取り出し、蓋を取り外しおよび/または閉じるべく容器24をデバイス52の近くに戻し、そこで、容器24を元々それに関連付けられた蓋25で閉じる。
【0111】
続いて、ロボット46は、プレート11が、ハウジングスライダ23自体に既に配置された複数のプレート11のスタックの上に再配置されるように、位置決めガイド55によってハウジングスライダ23上にプレート11を再配置するために、支持デバイス42の近傍に戻る。
【0112】
いくつかの実施形態によれば、装置10は、プレート11がハウジングスライダ23内に再配置される前に、プレート11に関連する情報を有するマーク57を適用および/または刻印するように構成されたマーキングデバイス56を含み得、その情報は、例えば、製造バッチ番号、プレート11が配置および/または再び閉じられた日時、プレート11が配置された操作領域Z、または他の情報のうちいずれか1つ以上を含む。
【0113】
例として、マーク57は、例えば赤外線(IR)リーダーによって読み取るのに適した、英数字コード、バーコード、またはQRコード(登録商標)を有するラベル、書き込み、またはスタンプの1つまたは複数を含むことができる。
【0114】
適用されるマーク57のタイプの機能として、マーキングデバイス56は、蓋25に書き込むように構成されたマーキング部材、ラベルまたは適切なコードを印刷して貼り付けるように構成されたマーキング部材、または書き込み部材のうち1つ以上を含んでもよい。
【0115】
いくつかの実施形態によれば、マーキングデバイス56は、保護チャンバ12の内部の領域に配置され得、ロボット46は、プレート11が蓋25で閉じられた後、それに対応してプレート11を取るように構成され得る。
【0116】
可能な変更によれば、マーキングデバイス56は、ロボット46に統合することができ、すなわち、ロボット46自体に、プレート11の蓋25にマーク57を適用するのに適したマーキング部材を備えることができる。
【0117】
さらなる実施形態によれば、チャンバ12および/またはデバイス13ならびにそれらに配置された機器の既定の表面を分析すべく、ロボット46は、綿棒58によってサンプルの収集を管理するように構成され得る。
【0118】
支持デバイス59がチャンバ12内に存在し、例えば、複数の綿棒58を配置可能な棚ユニットまたは他の同様の要素が設けられ、ロボット46は、自体の把持手段47により綿棒58を取り出すように構成され、綿棒58をチャンバ12内部の表面と接触させる。
【0119】
さらなる実施形態によれば、綿棒58は、プレート11に使用されるものと同様のハウジングスライダ23によって、チャンバ12の内部および外部に取り出され得る。
また、ここで説明する実施形態は、保護チャンバ12内の沈降プレート11の自動管理のための方法に関する。
【0120】
本発明による方法は、輸送コンテナ20を各結合フランジ32、33によって保護チャンバ12の主閉鎖ユニット17に取り付けることを提供する。輸送コンテナ20は、複数のプレート11が配置されたハウジングスライダ23を内部に含み、各プレート11が蓋25によって閉じられた容器24を含む。ハウジングスライダ23上のプレート11の配置は、例えば、制御された雰囲気環境において、オペレータによって事前に実行され得ることに留意されたい。
【0121】
輸送コンテナ20は、二次閉鎖ユニット18が主閉鎖ユニット17と結合されるように、閉鎖状態に配置されている。
続いて、この方法は、両方の閉鎖ユニット17、18を開き、輸送コンテナ20の内部を保護チャンバ12の内部と連通させるべく、一次閉鎖ユニット17のクランプ部材21を駆動し、ドア19を内側に向かって開くことを提供する。
【0122】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、スライダ23を取り出し、それを上記の方法で保護チャンバ12内部の支持デバイス42上に配置することを提供し、それにより、プレート11が上下に積み重ねて配置される。
【0123】
本発明による方法は、蓋25を容器24から取り外して、容器24を保護チャンバ12内部の所定の沈降領域Zに配置すべく、自動操作装置46によってハウジングスライダ23からプレート11を取り出すことを提供する。
【0124】
上述した実施形態で説明されるように、容器24は、自動操作装置46に設けられている移動部材50のおかげで、沈降の所定の操作領域Zに運ばれる間、蓋を取り外しおよび/または閉じるべく、蓋25の取り外しは、デバイス52によって実行される。
【0125】
所定の期間の後、本発明による方法は、容器24を操作領域Zから回収し、蓋25でそれを閉じ、自動操作装置46によってそれをスライダ23上に再び配置することを提供する。
【0126】
いくつかの実施形態によれば、方法は、すべてのプレート11の蓋25が取り外され、定義された操作領域Zに配置され、スライダ23に再び再配置されるまで、動作を繰り返すことを提供する。
【0127】
他の実施形態によれば、プレート11が積み重ねられて配置されたスライダ23は、例えば、自動操作装置46または取出装置64の助けを借りて、輸送コンテナ20に再び挿入される。
【0128】
続いて、場合によっては各クランプ部材21を駆動しながら、各一次および二次閉鎖ユニット17、18が閉じられる。
このようにして、オペレータによるプレート11の起こり得る汚染を防止しながら、輸送コンテナ20は、閉じた状態でチャンバ12から取り出され得る。
【0129】
したがって、本発明による装置10および方法は、手袋なしで、保護チャンバ12に有利に適用することができる。
他の実施形態によれば、スライダ23上に閉じたプレート11を再配置する前に、方法は、蓋25にマーク57を適用および/または刻印することを提供する。情報は、製造バッチ番号、プレート11が配置および/または閉じられた時刻および日付、プレート11が配置された沈降の操作領域Z、またはその他の情報のうちいずれか1つ以上を含む。
【0130】
本発明の分野および範囲から逸脱することなく、これまでに説明された細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置10および方法に対して、部品の修正および/または追加を行うことができることは明らかである。
【0131】
本発明はいくつかの特定の例に言及して説明されたが、当業者であれば当然、特許請求の範囲において定められた特徴、したがってそれによって定義された保護の分野に該当する全てを有する、細菌負荷検出デバイスの自動管理のための装置10及び方法の多くの他の均等な形態を達成することができることもまた明らかである。
図1
【図
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】