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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】室内栽培植物の光源
(51)【国際特許分類】
   A01G 7/00 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539885
(86)(22)【出願日】2019-05-08
(85)【翻訳文提出日】2021-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2019085972
(87)【国際公開番号】W WO2020164194
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】201910117762.2
(32)【優先日】2019-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517149405
【氏名又は名称】福建省中科生物股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FUJIAN SANAN SINO-SCIENCE PHOTOBIOTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Photoelectric Industrical Park, Hengshan Village, Hutou Town, Anxi County Quanzhou, Fujian 362411, CN
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】馬 健
(72)【発明者】
【氏名】李 陽
(72)【発明者】
【氏名】陳 藝群
(72)【発明者】
【氏名】李 紹華
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】楊 玉凱
(72)【発明者】
【氏名】劉 国杰
【テーマコード(参考)】
2B022
【Fターム(参考)】
2B022DA01
2B022DA08
(57)【要約】
【課題】本発明は全人工光で植物を栽培する光環境方法を提供する。
【解決手段】本発明により、植物を成長させるための全人工光源を提供し、前記光源は波長帯域が620-760nmの光を含み、前記620-760nmの光の光子数が光源全体の光子数に占める割合は64-76%である。本発明が採用する光源の混合比及び光源の組み合わせ方式は、従来の蛍光灯、高圧ナトリウムランプなどの光源に比べて、植物の収量を大幅に向上させることができる。本発明の光源の混合比の解決手段は従来のLEDランプ光源の混合比の解決手段に比べて、選択される光源の波長帯域がより正確であり、他の植物の成長パラメータへの影響が小さく、植物の成長を促進する過程でより指向性を有し、正確な光の波長帯域、ピーク波長、さらには光量子の占める割合の正確な組み合わせと混合比を採用することで、植物の成長効果をより正確に制御し、植物の成長を促進することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内栽培植物の光源であって、前記光源は波長帯域が620-760nmの光を含み、前記620-760nmの光の光子数が光源の光子数全体に占める割合は64-76%であることを特徴とする、室内栽培植物の光源。
【請求項2】
前記光源中の波長帯域が700-760nmの光子数は、波長帯域が620-760nmの光子数の3-38%を占めることを特徴とする、請求項1に記載の室内栽培植物の光源。
【請求項3】
前記波長帯域が620-760nmの光のピーク波長は、好ましくは650-700nm又は730-740nmであることを特徴とする、請求項2に記載の光源。
【請求項4】
前記波長帯域が620-760nmの光のピーク波長は、好ましくは650nm、660nm、680nm、695nm、735nmのうちの1つ又は2つ又は3つの組み合わせであることを特徴とする、請求項3に記載の光源。
【請求項5】
650-700nm又は730-740nm範囲内のピーク波長に対応する光の半値幅は35nm未満であることを特徴とする、請求項3に記載の光源。
【請求項6】
前記光源はさらに波長帯域が400-499nmの光を含み、波長帯域が620-760nmの光子総数と前記波長帯域が400-499nmの光子総数の比は4~7:1であることを特徴とする、請求項2に記載の光源。
【請求項7】
前記波長帯域が400-499nmの光のピーク波長は、好ましくは430-460nmであることを特徴とする、請求項5に記載の光源。
【請求項8】
前記波長帯域が400-499nmの光のピーク波長は、好ましくは435nm、440nm、450nm、460nmのうちの1つ又はそのうちの任意の2つ又は3つの組み合わせであることを特徴とする、請求項5に記載の光源。
【請求項9】
430~460nm範囲内のピーク波長に対応する光の半値幅は35nm未満であることを特徴とする、請求項6に記載の光源。
【請求項10】
前記光源はさらに波長帯域が500-599nmの光を含み、波長帯域が620-760nmの光の光子総数と波長帯域が500-599nmの光の光子総数の比は3~8:1であることを特徴とする、請求項5に記載の光源。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工光による植物栽培技術分野に関し、具体的には全人工光栽培植物の光源に関する。
【背景技術】
【0002】
光は植物を発育、成長させる基本的な環境因子である。それは光合成の基本的なエネルギーであるだけでなく、植物を発育、成長させる重要な調節因子であり、その形態構築、生殖と成長、二次代謝物質の制御に対して重要な役割を有し、植物の成長はその光質、光照射強度、光照射周期、光照射方式の影響を受ける。従来から知られている点として、万物の成長は太陽に依存しており、地球上で、太陽は主な可視(即ち光)及び不可視の電磁放射線源であり、且つ生命の存在を維持する主な要素である。地球に到達する正味の日平均太陽エネルギーは約28×1023J(すなわち265EBtu)であり、該値は、2007年に推測された世界の1年間の一次エネルギー消費量479PBtuより5500倍大きい。地球表面で測定可能な太陽放射のスペクトル分布は約300nmから1000nmの間の広い帯域を有する。しかしながら、地表に到達する放射の50%だけが光合成有効放射(PAR)、すなわち400-700nmの放射エネルギーである。植物における光エネルギーの吸収と変換は主に光合成システムによって実施され、その感光体は主に植物の葉に存在する活性元素であり、それは光子を吸収して光子エネルギーを化学エネルギーに変換するために用いられる。
【0003】
人工光源時代はトマス・エジソンが1879年に開発したエジソン電球、即ち白熱灯から始まった。従って人工光源の植物照明分野における応用はまず白熱灯によって始まり、主に蛍光灯、高圧ナトリウムランプ(HPS)を経て、現在のLEDランプに至る。白熱灯は全PARの約60%に達する大量の遠赤外線放射を特徴とするが、可視スペクトル範囲で消費される電気エネルギー(入力)と放出される光エネルギー(出力)との間の変換効率によって定義される白熱灯の電気的な効率は依然として低く、通常約10%であり、また白熱ランプの寿命は1000時間以下であり、寿命が短いため、植物の成長におけるその応用は限定的である。蛍光灯は白熱電球に比べて、電気から光へのエネルギー変換効率が向上しており、出力は一般的に40W未満であり、国際ブランドT8又はT5蛍光灯の電気から光への変換効率は30%に近く、一般的な製品は20-30%の間である。その中では90%以上の放射光子がPAR範囲内にあり、そのうち青色光エネルギーはランプの相関色温度(CCT)に依存しており、PAR範囲内の全光子放射の10%以上に達することから、弱い光でなければならない植物品種又は近距離での応用シーンについて言えば、蛍光ランプは、密閉された成長室及び人工気候ボックスにおいて太陽光を完全に代替し幅広く応用されている。高圧ナトリウムランプ(HPS)はガス放電灯に属し、出力は一般的に400-1000Wであり、電気光変換効率は30-35%である。その中では約70%の放射光子がPAR範囲内にあり、一般的に強い光を必要とする植物又は温室における年間を通した農作物生産の好ましい光源として用いられる。しかしながら、蛍光灯であっても、又は高圧ナトリウム灯であってもそのスペクトル設計の制限により、実現可能なスペクトルエネルギー分布は限られており、スペクトルの品質は光合成及び光形態形成の促進に対して最適とはいえず、葉及び茎の過度な成長を引き起こす。これはクロロフィルa、クロロフィルbおよびβカロテンなどの重要な光合成色素の吸収ピークに関連する不均衡なスペクトル発光によるものである。また、異なる種類の植物の光環境に対する要件が異なるため、効率的な変換をもたらすエネルギー効率が極めて低くなり且つエネルギーを大量に浪費して、人工光による室内植物栽培のランニングコストの悪化を引き起こす。
【0004】
従って、上記理由に基づき、発光ダイオード(LED)及び関連する固体照明(SSL)は植物照明における潜在的に実現可能で且つ有望なツールであり、LEDは高い光効率、長寿命、狭いスペクトル、スペクトル選択性が高い等の多くの利点を有しているが、新規の商用高輝度LED製品は、主なエネルギーが500nm~600nmの緑黄色光の波長範囲にあり、人間の目の視覚に対する優れた効率応答を有していても、光合成作用に効果的に応答することができないため、技術原理に基づいて、GaN、GaAs、GaPのような異なるタイプの半導体又はフォトルミネッセンス材料を組み合わせて利用することにより光合成に高効率に応答するスペクトルを実現することができる。
【0005】
現在、人工光栽培植物は主に葉菜類野菜、ナス類野菜、薬用植物、麻類植物、花卉植物、モデル植物、大量の商品作物、価値の高い低木等が含まれ、従来技術においては異なる植物の異なる成長段階における、ピーク波長、R/B、R/FRなどのスペクトルエネルギー分布の特徴が開示されており、さらに特定の植物の特定の成長段階についての具体的なエネルギー分布のデータを有するが、上記複数種の植物に共通の、健康的な成長の要件を満たすことができるスペクトルは提供されていない。
【0006】
本発明の第一の目的は、複数種の植物の全人工光による健康的な成長の要件を満たすことができる光源を提供することであり、その健康的な成長は発育と成長における全ての過程を含む。
【0007】
本発明の第二の目的は、提供されるスペクトルが高効率な光合成の進行の要件を満たし、それが従来の蛍光灯又はHPSに比べて抽出及び品質改善における明らかな機能を有することである。
【0008】
本発明の第三の目的は、提供されるスペクトルが相当数の科学研究実験により最適化され、植物の光合成、形態形成、生殖や発育等に有利なスペクトルエネルギーを向上させ、植物の利用率が低く、植物への影響が少ないスペクトルエネルギーを低下させることである。
【0009】
本発明の第四の目的は、提供されるスペクトルがLED技術を採用することで実現され、同時に該スペクトルを実現する照明装置の電気光変換効率を向上させ、より省エネルギーとすることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記目的を実現するために、より正確で、調整パラメータの種類がより少なく、多すぎる種類のパラメータ調整により植物の成長過程でより頻繁なパラメータ制御を必要とする状況を防ぎ、且つ正確な単一のパラメータ制御により、植物の成長効果をより正確に制御し、植物の成長を促進することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を実現するために、本発明は全人工光による植物栽培のスペクトルを提供し、植物を成長させる全人工光源を提供し、前記光源は波長帯域が620-760nmの光を含み、前記620-760nmの光の光子数が光源の光子数全体に占める割合は64-76%である。
一般的に、上記植物は室内で培養され、ハウス栽培の形態を使用することができる。
好ましくは、前記光源中の波長帯域が700-760nmの光子数は、波長帯域が620-760nmの光子数の3-38%を占める。
好ましくは、前記波長帯域が620-760nmの光のピーク波長は、好ましくは650-700nm又は730-740nmである。
【0012】
さらに好ましくは、前記波長帯域が620-760nmの光のピーク波長は、好ましくは650nm、660nm、680nm、695nm、735nmのうちの1つ又は2つ又は3つの組み合わせである。
好ましくは、波長帯域が620-760nmの光はLED光源を用いて実現される。
好ましくは、650-700nm又は730-740nm範囲内のピーク波長に対応する光の半値幅は35nm未満である。
【0013】
好ましくは、前記光源はさらに波長帯域が400-499nmの光を含み、波長帯域が620-760nmの光子総数と前記波長帯域が400-499nmの光子総数の比は4~7:1である。
好ましくは、前記波長帯域が400-499nmの光のピーク波長は、好ましくは430-460nmである。
【0014】
さらに好ましくは、前記波長帯域が400-499nmの光のピーク波長は、好ましくは435nm、440nm、450nm、460nmのうちの1つ、又はそのうちの任意の2つ又は3つの組み合わせである。
好ましくは430~460nm範囲内のピーク波長に対応する光の半値幅は35nm未満である。
【0015】
好ましくは、前記光源はさらに波長帯域が500-599nmの光を含み、波長帯域が620-760nmの光の光子総数と波長帯域が500-599nmの光の光子総数の比は3~8:1である。
好ましくは、前記植物はトマト、キュウリ、ピーマン、レタス、稲、小麦、綿花、トウモロコシのうちの少なくとも一種から選択される。
【0016】
好ましくは、前記方法は具体的に播種及び成長管理を含み、前記播種は従来技術を用い、前記成長管理とは発芽後の植物に必要な管理であり、例えば施肥、灌水、光源及び環境条件の設定を指す。
好ましくは、前記植物は薬用材料、麻類植物であってもよい。
トマト(学名:Lycopersicon esculentum Mill.)はシソ目、ナス科、トマト属の一年生又は多年生草本植物である。
キュウリ(学名:Cucumis sativus L.)はウリ科の一年生つる性草本植物である。
【0017】
ピーマン(学名:Capsicum annuum var.grossum)はパプリカとも呼ばれ、台湾の言葉では大筒仔とも呼ばれるものであり、ナス科トウガラシ属トウガラシの変種であり、中国大陸の南北各地に分布し、「非人為的導入品種栽培」タイプの植物に属する。
レタス(学名:Lactuca sativa Linn.)はキク科であり、一年生又は二年生草本に属する。
水稲は草本イネ属の一種であり、穀類に属し、イネ属の中で糧食とされる最も主要で最も歴史ある種類であり、陸稲とは区別される。
【0018】
小麦は小麦系植物の総称で、単子葉植物であり、世界各地で広く栽培されているイネ科植物であり、小麦の頴果は人類の主食の一つであり、製粉後にパン、中華まんじゅう、ビスケット、麺等の食品を製造することができ、発酵させることでビール、アルコール、白酒(ウォッカなど)、バイオマス燃料を製造することができる。
綿花はアオイ科(Malvaceae)ワタ属(Gossypium)植物の種子繊維であり、亜熱帯原産である。
トウモロコシ(ラテン名:Zea mays L.)はイネ科トウモロコシ属の一年生草本植物である。
好ましくは、前記方法はさらに成長環境条件を含み、環境温度は昼間が21~24℃、夜間が18~20℃、湿度が60~80%である。
好ましくは、前記植物の栽培基質は土壌であってもよく、栄養液であってもよい。
【0019】
栄養液を用いて栽培する場合、幼苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、植物の違いに応じて異なる栄養液を用い、例えばレタスの栄養液にはホグランド栄養液を用いる。栄養液のECは1.6~1.8、pHは5.5~7.5、栄養液の温度は18~22℃、溶存酸素量は5~6mg/Lとする。
【0020】
好ましくは、前記方法はさらに播種と催芽を含む。例えばレタスの播種及び催芽の方法は以下のとおりである。粒がふっくらしたレタス種子を選択し、50~55℃の温水に入れて15~20min浸漬してから、25~30℃の清水に入れて7~8h浸漬する。浸漬した種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の液面はスポンジの下表面と面一になるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に22~25℃の催芽ボックスに入れて催芽を行い、湿度を70~80%に保持する。水は12時間毎に種子に噴霧する。
【発明の効果】
【0021】
本発明は上記技術的解決手段を採用することにより、以下の有益な効果を有する。
1. 本発明が採用する光源の配合比率及び光源の組み合わせ方式は、従来の蛍光灯、HPSなどの光源に比べて、植物の収量を大幅に向上させることができる。
【0022】
2. 本発明の光源の配合比率の解決手段は従来のLEDランプ光源の配合比率の解決手段に比べて、選択される光源の波長帯域がより正確であり、他の植物の成長パラメータへの影響が小さく、植物の成長を促進する過程でより指向性及び安定性を有し、正確な光の波長帯域、ピーク波長及び光量子が占める割合の正確な組み合わせ及び配合比率を採用することで、植物の成長効果をより正確に制御して、植物の成長を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】はLEDランプ1のピーク波長の概略図である。
図2】はLEDランプ2のピーク波長の概略図である。
図3】はLEDランプ3のピーク波長の概略図である。
図4】はLEDランプ4のピーク波長の概略図である。
図5】はLEDランプ5のピーク波長の概略図である。
図6】はLEDランプ6のピーク波長の概略図である。
図7】はLEDランプ7のピーク波長の概略図である。
図8】はLEDランプ8のピーク波長の概略図である。
図9】はLEDランプ9のピーク波長の概略図である。
図10】はLEDランプ10のピーク波長の概略図である。
図11】はLEDランプ11のピーク波長の概略図である。
図12】はLEDランプ12のピーク波長の概略図である。
図13】はLEDランプ13のピーク波長の概略図である。
図14】はLEDランプ14のピーク波長の概略図である。
図15】はLEDランプ15のピーク波長の概略図である。
図16】はLEDランプ16のピーク波長の概略図である。
図17】はLEDランプ17のピーク波長の概略図である。
図18】はLEDランプ18のピーク波長の概略図である。
図19】はLEDランプ19のピーク波長の概略図である。
図20】はLEDランプ20のピーク波長の概略図である。
図21】はLEDランプ21のピーク波長の概略図である。
図22】はLEDランプ22のピーク波長の概略図である。
図23】はLEDランプ23のピーク波長の概略図である。
【0024】
図24】はLEDランプ24のピーク波長の概略図である。
図25】はLEDランプ25のピーク波長の概略図である。
図26】はLEDランプ26のピーク波長の概略図である。
図27】はLEDランプ27のピーク波長の概略図である。
図28】はLEDランプ28のピーク波長の概略図である。
図29】はLEDランプ29のピーク波長の概略図である。
図30】はLEDランプ30のピーク波長の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
技術的解決手段の技術的内容、構造の特徴、実現する目的及び効果について詳細に説明するために、以下に具体的な実施例を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
表1 材料及びメーカー
【0027】
1.葉菜類野菜については以下のとおりである。粒がふっくらしたグリーンリーフレタス種子を選択し、50℃の温水に入れて10min浸漬してから、30℃の清水に入れて8h浸漬する。浸漬した種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の液面はスポンジの下表面と面一になるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に25℃の催芽ボックスに入れて催芽を行い、湿度を80%に保持する。水は12時間毎に種子に噴霧し、レタス苗が一本あたり4~5葉になるまで成長したなら、レタス苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは1.8、pHは6.0-7.0、栄養液の温度は22℃、溶存酸素量は6mg/Lとする。周囲温度条件は、昼間23℃、夜間18℃である。光源は蛍光灯を対照(CK)とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は250μmol/m・s、光周期は9hであり、20d栽培する。上記栽培方法に従ってレタスを培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られた単株の新鮮重量を秤量し、平均重量を得て,且つ状態を評価した。実験結果は表2に示すとおりである。
【0028】
表2
試験データから、実施例の光源手段による収率は従来の蛍光ランプより少なくとも18.8%向上し、且つ状態が良好であることが分かる。
【0029】
2.根菜類野菜については以下のとおりである。粒がふっくらしたラディッシュ種子を選択し、種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の液面はスポンジの下表面と面一になるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に25℃の催芽ボックスに入れて催芽を行い、湿度を80%に保持する。白い芽が出たらLEDランプ下に移して、育苗処理を行い、苗が一本あたり2葉になるまで成長したなら、ラディッシュ苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは1.8、pHは6.0-7.0、栄養液の温度は22℃、溶存酸素量は6mg/Lとする。周囲温度条件は、昼間23℃、夜間18℃である。光源は蛍光灯を対照(CK)とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は250μmol/m・s、光周期は12hであり、18d栽培する。上記栽培方法に従ってラディッシュを培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られた単株の新鮮重量を秤量した。実験結果は表3に示すとおりである。
【0030】
表3
試験データから、実施例の光源手段による収率は従来の蛍光ランプより少なくとも36.8%向上したことが分かる。
【0031】
3.大麻草の栽培管理は以下のとおりである。発根状況が良好なF品種の挿し木苗を基質又はロックウールに移植し、1平方メートルあたり4-8株であり、人工光源を用い、光強度は300μmol/ms、光照射時間は18hとして、T=24-26℃及びT=RH70%である。植物が高さ約20cmになった時に上部を摘んで、側枝の成長を促し、側枝を2週間成長させた後に再び上部を摘んで処理し、より多くの枝を得る。栄養成長期が終了した後に一週間の花成処理を行い、雌雄の花を選別して、雄花を除去し、雌性植物を引き続き培養する。光源はHPSを対照として、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は750μmol/m・s、光周期は12hとして、100d栽培する。上記栽培方法に従って大麻草を培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られた大麻草のTHCの総含有量を得た。実験結果は表4に示すとおりである。
【0032】
表4
試験データから、実施例の光源手段によりTHCの総含有量は従来の高圧ナトリウムランプより少なくとも22.7%向上したことが分かる。
【0033】
4.キュウリの栽培管理は以下のとおりである。粒がふっくらした83-16いぼなしキュウリ種子を選択し、55℃の温水に入れて10min浸漬してから、30℃の清水に入れて8h浸漬する。ガーゼに包んで、30℃の恒温ボックスに入れて催芽を行い、白い芽が出たら、種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の液面はスポンジの下表面と面一になるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に通常の育苗ランプのもとで照射処理を行う。キュウリ苗が一本あたり4~5葉になるまで成長したなら、キュウリ苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、定植密度は8株/m2として、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは2.2、pHは6.0-7.0、栄養液の温度は22℃、溶存酸素量は6mg/Lとする。周囲温度条件は、昼間28℃、夜間18℃である。光源はHPSを対照とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は400μmol/m・s、光周期は12hであり、50d栽培する。上記栽培方法に従ってキュウリを培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られたキュウリの単位面積当たりの収量を得る。実験結果は表5に示すとおりである。
【0034】
表5
試験データから、実施例の光源手段によりキュウリの収量は従来の高圧ナトリウムランプより少なくとも22.6%向上したことが分かる。
【0035】
5.ピーマンの栽培管理は以下のとおりである。粒がふっくらした金華星ピーマン種子を選択し、55℃の温水に入れて10min浸漬してから、30℃の清水に入れて8h浸漬する。ガーゼに包んで、30℃の恒温ボックスに入れて催芽を行い、白い芽が出たら、種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の液面はスポンジの下表面と面一になるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に通常の育苗ランプのもとで照射処理を行う。ピーマン苗が一本あたり6~7葉になるまで成長したなら、ピーマン苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、定植密度は8株/m2として、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは2.2、pHは6.0-7.0、栄養液の温度は22℃、溶存酸素量は6mg/Lとする。周囲温度条件は、昼間26℃、夜間18℃である。光源は蛍光灯を対照とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は400μmol/m・s、光周期は12hであり、120d栽培する。上記栽培方法に従ってピーマンを培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られたピーマンの単位面積当たりの収量を得る。実験結果は表6に示すとおりである。
【0036】
表6
試験データから、実施例の光源手段によりピーマンの収量は従来の蛍光灯より少なくとも18.1%向上したことが分かる。
【0037】
6.小麦の栽培管理は以下のとおりである。粒がふっくらした農第212小麦種子を選択して、清水に浸漬し、十分に浸漬してからそれに種子の春化処理を行い、温度は4℃で、期間は15dである。春化処理後の種子を30cm×30cmのトレイに播種し、栽培基質は泥炭:バーミキュライト=2V:1Vである。基質に乾燥が見られたら灌水し、乾燥していなければ灌水する必要がない。約二週間に一度複合肥料を注入し、濃度は800-1000倍である。出穂時にリン酸二水素カリウムを噴霧して、葉面に追肥し、その他の管理はいずれも通常の管理を行う。周囲温度条件は昼間25℃、夜間18℃である。光源はHPSを対照とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は500μmol/m・s、光周期は12hであり、100d栽培する。上記栽培方法に従って小麦を培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られた小麦の百粒重を得る。実験結果は表7に示すとおりである。
【0038】
表7
試験データから、実施例の光源手段により小麦の百粒重は従来の高圧ナトリウムランプより少なくとも34.6%向上したことが分かる。
【0039】
7.トウモロコシの栽培管理は以下のとおりである。トウモロコシ種子をガーゼで包み、清水に浸漬し、催芽温度は30℃~35℃であり、期間中は毎日一度清水を交換する。泥炭土:バーミキュライト=2:1で攪拌し、32穴育苗トレイに入れる。白い芽が出たら、各穴に1粒入れて、播種深さは約2cmとし、覆土し、清水を栽培土に浸透させて、鮮度保持フィルムを被せ、出芽後に鮮度保持フィルムを剥がす。苗が一本に2枚の葉になったときに30cm×30cmの栄養袋に移し、栽培基質は泥炭:バーミキュライト=2V:1Vである。鉢植えを使用することで、水分が多すぎて根腐れすることを防止し、乾燥していたら灌水し、乾燥していなければ灌水しない。節間伸長開始期に節間伸長肥料を施用し、約二週間に一回800~1000倍の液体複合肥料を施用する。周囲温度条件は昼間25℃、夜間18℃である。光源はHPSを対照とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は500μmol/m・s、光周期は12hであり、100d栽培する。上記栽培方法に従ってトウモロコシを培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られたトウモロコシの収量を得る。実験結果は表8に示すとおりである。
【0040】
表8
試験データから、実施例の光源手段により小麦の百粒重は従来の高圧ナトリウムランプより少なくとも11.5%向上したことが分かる。
【0041】
8.水稲は以下のとおりである。水稲種子をガーゼで包み、清水に浸漬し、温度35℃で催芽し、期間中は毎日一回清水を交換する。泥炭土:バーミキュライト=2:1で攪拌して、72穴育苗トレイに入れる。白い芽が出たら、各穴に1粒入れて、1.5cmで浅播きして、覆土し、清水を栽培土に浸透させ、鮮度保持フィルムを被せて、育苗灯の下に置き,発芽後に鮮度保持フィルムを剥がす。育苗光の照射周期は12h/d、光強度は250~300μmol/m2・sであり、自社製の栄養液200倍液、又は800~1000倍液複合肥料を用い、10dごとに一回施肥する。周囲昼夜温度は25/21℃であり、水稲苗の出芽を待ち45d後に栽培ポットに移植してから、水稲栽培ランプの下で栽培し、20~25dに一回施肥し、そのうち分げつ期には1000倍の窒素液肥を2回追加し、開花登熟期には10dに一回施肥し、穂の変色成熟期には施肥せず、周囲の昼夜温度は25~28℃/21℃である。光源はHPSを対照とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は450μmol/m・s、光周期は12hであり、100d栽培する。上記栽培方法に従って水稲を培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られた水稲の千粒重及び稔実率を得る。実験結果は表9に示すとおりである。
【0042】
表9
【0043】
試験データから、実施例の光源手段により水稲の千粒重は従来の高圧ナトリウムランプより少なくとも11.1向上し、稔実率は少なくとも4.2%向上したことが分かる。
【0044】
9.金線蓮については以下のとおりである。金線蓮苗を組織培養瓶から取り出して、清水で基質をきれいに洗浄し、洗浄過程で茎と根が整っていることを確認し、きれいに洗浄した後に濃度0. 1%の過マンガン酸カリウム溶液に入れて5min浸漬して、消毒滅菌を行い、滅菌後の苗を無菌ポットに入れて使用に備える。金線蓮の葉の表面の過マンガン酸カリウムが蒸発した後、泥炭土:バーミキュライト:川砂=1:1:1で配合された混合基質(基質は高圧滅菌済み)に植え付けて、滅菌水の代わりに特定の栄養液で攪拌し、土壌の湿度は80%とする。 基質を25cm×25cm×25cmの栽培ポットに分配する。株の間隔を一定の2cmとして金線蓮苗を植え付けた後、人工光環境に移して栽培する。光源は蛍光灯を対照とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は60±5Mmol/m・s、光周期は14h/dであり、120d栽培する。上記栽培方法に従って金線蓮を培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られた金線蓮の新鮮重量と乾燥重量を得る。実験結果は表10に示すとおりである。
【0045】
表10
試験データから、実施例の光源手段により金線蓮の新鮮重量と乾燥重量は従来の蛍光灯より少なくとも30.6%、25.2%向上したことが分かる。
【0046】
10. セッコクについては以下のとおりである。セッコク苗を組織培養瓶から取り出して、清水で基質をきれいに洗浄し、洗浄過程で茎と根が整っていることを確認し、きれいに洗浄した後に濃度1000倍のクロロタロニルに入れて消毒滅菌を行い、滅菌後の苗を無菌ポットに入れて使用に備える。セッコク苗に生気が出て白い根が出たら、松の樹皮の基質に植え付けて、基質は事前に清水に1日浸漬しておく。株の間隔を一定の3cmとしてセッコク苗を植え付けた後、栽培ポットを人工光環境に移して栽培し、移植2週間後に葉面に肥料を噴霧して葉が黄変するのを防ぐ。栽培過程全体で、15dに一回特定の栄養液を噴霧し、基質の湿度は70%に保持し、栽培温度は昼夜温度28/21℃とする。光源は蛍光灯を対照とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は60±5Mmol/m・s、光周期は16h/dであり、120d栽培する。上記栽培方法に従ってセッコクを培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られたセッコクの新鮮重量と乾燥重量を得る。実験結果は表11に示すとおりである。
【0047】
表11
試験データから、実施例の光源手段によりセッコクの新鮮重量と乾燥重量は従来の蛍光灯より少なくとも11.7%、11.1%向上したことが分かる。
【0048】
11.サンショクスミレについては以下のとおりである。粒がふっくらしたサンショクスミレ種子を選択し、4h浸漬してから、種子を事前に湿潤させた育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の液面はスポンジの下表面と面一になるようにして、播種が完了したら24℃の催芽ボックスに入れて催芽し、湿度は70%に保持して、24hごとに一回水を噴霧する。サンショクスミレ苗が一本あたり4~5葉になるまで成長したなら、サンショクスミレ苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは1.6、pHは6.0として、栄養液の温度は20℃、溶存酸素量は5mg/Lとする。周囲温度条件は、昼間23℃、夜間18℃である。光源は蛍光灯を対照とし、2つの対照例及び2つの実施例のスペクトルを設定し、光強度は300μmol/m・s、光周期は12hであり、25d栽培する。上記栽培方法に従ってサンショクスミレを培養し、光源パラメータを各実施例及び対照例に使用し、各実施例及び対照例で得られたサンショクスミレの開花数を得る。実験結果は表12に示すとおりである。
【0049】
表12
試験データから、実施例の光源手段によりサンショクスミレの開花数は従来の蛍光灯より少なくとも18.1%向上したことが分かる。
【0050】
上記各実施例を説明したが、当業者は基本的な創造的概念を把握した後に、これらの実施例に対してさらに変更及び修正を行うことができ、従って以上の記述は本発明の実施例に過ぎず、且つ本発明の特許保護範囲を限定するものではなく、本発明の明細書の内容を利用してなされる等価構造又は等価フロー変換、又は他の関連する技術分野における直接又は間接的な運用は、いずれも本発明の特許保護範囲に含まれる。

図1
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図4
図5
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【国際調査報告】