(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】フィコシアニンを精製するための方法
(51)【国際特許分類】
C12P 21/02 20060101AFI20220222BHJP
C12P 1/00 20060101ALI20220222BHJP
C07K 14/195 20060101ALI20220222BHJP
A23L 5/46 20160101ALI20220222BHJP
C12N 9/26 20060101ALN20220222BHJP
【FI】
C12P21/02 A
C12P1/00 A
C07K14/195
A23L5/46
C12N9/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540082
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(85)【翻訳文提出日】2021-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2020050547
(87)【国際公開番号】W WO2020144330
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513127711
【氏名又は名称】フェルメンタル
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】カニャク、オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】アタネ、アクセル
(72)【発明者】
【氏名】デモル、ジュリアン
【テーマコード(参考)】
4B018
4B050
4B064
4H045
【Fターム(参考)】
4B018MA08
4B018MB05
4B018MC01
4B018MF14
4B050DD02
4B050LL02
4B064AG01
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4B064CA21
4B064CB07
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4B064DA10
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA70
4H045CA11
4H045EA01
4H045FA72
(57)【要約】
本発明は、グリコーゲンの酵素的分解を含む、微細藻類発酵によって産生される、特にGaldieria sulphurariaによって産生されるフィコシアニンを精製するための新規な方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィコシアニンおよびグリコーゲンを含む溶液からフィコシアニンを精製するための方法であって、(i)6未満のpHおよび40℃未満の反応温度で、グリコーゲンを分解するための適切な酵素を用いて、グリコーゲンを酵素的に分解する工程と、(ii)グリコーゲン分解産物からフィコシアニンを分離する工程とを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記温度が30℃未満であり、および/または前記pHが5以下であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酵素が、α1-4グルコシダーゼ活性またはポリガラクツロナーゼ活性を有することを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記酵素がペクチナーゼであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記酵素が、α1-4グルコシダーゼ活性またはポリガラクツロナーゼ活性を有する前記酵素に加えて、α1-6グルコシダーゼ活性を有する酵素を含む酵素混合物であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
α1-6グルコシダーゼ活性を有する前記酵素が、プルラナーゼであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素混合物が、ペクチナーゼおよびプルラナーゼを含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記酵素が、α1-4グルコシダーゼ活性またはポリガラクツロナーゼ活性およびα1-6グルコシダーゼ活性を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記酵素がグルコアミラーゼであることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
フィコシアニンおよびグリコーゲンを含む前記溶液が、フィコシアニン産生微生物バイオマスの細胞溶解の後に得られた粗製懸濁物であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
フィコシアニンおよびグリコーゲンを含む前記溶液が、フィコシアニン産生微生物バイオマスの細胞溶解の後に得られた粗製懸濁物自体の濾過後に得られた粗製溶液であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
微生物起源のフィコシアニンを生産するための方法であって、
(a)30g/Lよりも多い乾物および乾物基準で少なくとも4%のフィコシアニンを含む発酵マストを生産するための培養条件下で、フィコシアニン産生微生物を培養する工程、
(b)産生されたフィコシアニンおよびグリコーゲンを放出させるために細胞溶解し、粗製懸濁物を得る工程、
(c)前記粗製懸濁物を分離し、フィコシアニンおよびグリコーゲンを含む粗製溶液を回収する工程、および次いで、場合により
(d)前記粗製溶液からフィコシアニンを単離する工程、次いで、場合により
(e)単離されたフィコシアニンを精製する工程
を含み、前記グリコーゲンの酵素的溶解の工程が、6未満のpHおよび40℃未満の反応温度で、グリコーゲンを分解するための適切な酵素を用いて実施され、前記酵素的溶解が、(b)で得られた前記粗製懸濁物および/または(c)で得られた前記粗製溶液に対して実施されることを特徴とする、方法。
【請求項13】
前記温度が30℃未満であり、および/または前記pHが5以下であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記酵素が、α1-4グルコシダーゼ活性またはポリガラクツロナーゼ活性を有することを特徴とする、請求項12または13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記酵素がペクチナーゼであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記酵素が、α1-4グルコシダーゼ活性またはポリガラクツロナーゼ活性を有する前記酵素に加えて、α1-6グルコシダーゼ活性を有する酵素を含む酵素混合物であることを特徴とする、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
α1-6グルコシダーゼ活性を有する前記酵素が、プルラナーゼであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記酵素混合物が、ペクチナーゼおよびプルラナーゼを含むことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記酵素が、α1-4グルコシダーゼ活性またはポリガラクツロナーゼ活性およびα1-6グルコシダーゼ活性を有することを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記酵素がグルコアミラーゼであることを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
フィコシアニンおよびグリコーゲンを含む前記溶液が、(b)で得られた粗製懸濁物であることを特徴とする、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記酵素的溶解が、(c)で得られた前記粗製溶液に対して実施されることを特徴とする、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記フィコシアニンが、Arthrospira、Spirulina、Synechococcus、Cyanidioschyzon、CyanidiumおよびGaldieria属の種から選択される微生物、より具体的にはGaldieria sulphurariaによって産生される、微生物起源のフィコシアニンであることを特徴とする、請求項12~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の方法によって得られた、単離されたフィコシアニン。
【請求項25】
微量の、アルファ1-4および/または1-6グルコシダーゼ活性を有する酵素を含むことを特徴とする、請求項24に記載の単離されたフィコシアニン。
【請求項26】
グリコーゲンの酵素的溶解の産物であるグルコースオリゴマーを含むことを特徴とする、請求項24または25のいずれか一項に記載の単離されたフィコシアニン。
【請求項27】
フィコシアニンおよびグリコーゲンを含むフィコシアニン抽出物であって、グリコーゲンのフィコシアニンに対する乾燥重量比が6未満であることを特徴とし、さらに微量の、アルファ1-4および/または1-6グルコシダーゼ活性を有する酵素、および/またはグリコーゲンの酵素的溶解の産物であるグルコースオリゴマーを含むことを特徴とする、抽出物。
【請求項28】
グリコーゲンのフィコシアニンに対する乾燥重量比が4未満であることを特徴とする、請求項27に記載の抽出物。
【請求項29】
グリコーゲンのフィコシアニンに対する乾燥重量比が3未満であることを特徴とする、請求項27に記載の抽出物。
【請求項30】
グリコーゲンのフィコシアニンに対する乾燥重量比が2.5未満であることを特徴とする、請求項27に記載の抽出物。
【請求項31】
グリコーゲンのフィコシアニンに対する乾燥重量比が1未満であることを特徴とする、請求項27に記載の抽出物。
【請求項32】
請求項24~26のいずれか一項に記載の単離されたフィコシアニンまたは請求項27~31のいずれか一項に記載の抽出物の食品着色料としての使用。
【請求項33】
請求項24~26のいずれか一項に記載の単離されたフィコシアニンまたは請求項27~31のいずれか一項に記載の抽出物を含むことを特徴とする食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリコーゲンの酵素的分解を含む、微細藻類発酵によって産生される、特にGaldieria sulphurariaによって産生されるフィコシアニンを精製するための新規な方法に関する。
【背景技術】
【0002】
硫酸アンモニウム沈殿による、Galdieria sulphurariaおよびSpirulinaから抽出されたフィコビリンタンパク質の精製は、文献(Moonら、2015;Cruz de Jesusら、2006)に既に記載されているが、大量の硫酸アンモニウムを必要とし、硫酸アンモニウムおよび上清を再処理する際に深刻な問題を引き起こすため、産業的規模で適用することは非常に困難である。
【0003】
一定の純度レベルを得るための他の開示された精製方法、例えば、クロマトグラフィー法は、実施するのが非常に高価である。
【0004】
フィコシアニン抽出方法は、一般に、上清中にフィコシアニンを保持するために、微細藻類発酵に由来する水性粗製抽出物中に存在するフィコシアニン以外の有機物を沈殿させることにあり、この有機物は、フィコシアニンを沈殿させる前に濾過される。しかしながら、一部の有機化合物、特に、複雑な多糖、例えば、グリコーゲンは、この沈殿に対して非感受性のままである。
【0005】
産業的なフィコシアニン精製方法において、水を除去して、フィコシアニンを濃縮するために、使用されるフィルターのカットオフ閾値よりも小さい小分子(タンパク質、イオン、有機酸など)を除去して、可能な限り最も純粋なフィコシアニンを得るために、濾過(限外濾過)工程が使用され得る。しかしながら、フィルターのカットオフ閾値がグリコーゲンのサイズよりも小さい場合、後者は除去されず、残物(retentate)の粘度を増加させ、濾過の実行およびその最適なパラメーターの維持を制限する。グリコーゲンの濃度依存的粘度効果が、Galdieria sulphuraria由来の精製されたグリコーゲンを使用して実証されている(Martinez-Garciaら、2017)。
【0006】
また、得られた精製されたフィコシアニンは、高レベルのこれらの糖を保持し、これにより、精製された産物の特性、特に、着色力が変わることがあり、同じ視覚的効果のために、より多くの量のフィコシアニンが必要となる。これらの残留多糖は、フィコシアニン製造コストを増大させるフィラーとして作用し、例えば、糖含有量の低い食料の調製における、得られたフィコシアニンの商業的使用を制限し得る。残留多糖の存在は、糖含有量の低い食品の調製のための産物の使用を制限し得るため、これらの糖の除去のためのさらなるコストをもたらす。
【0007】
グリコーゲンは、糖分解の通常の条件からフィコシアニンを保護することが目的である場合、除去が困難な複雑な糖である。グリコーゲンは、α(1-6)結合によって分岐したα(1-4)グルコシド鎖からなる分岐したポリグルコシドである。
【0008】
細胞溶解のための酵素の使用は、微生物培養物からフィコシアニンを抽出するための方法において公知である(CN106749633、CN102433015およびCN1117973)。細胞壁を破壊してフィコシアニンを放出させるこの細胞溶解工程、およびその後の培地中に放出されたフィコシアニンの抽出は、フィコシアニンと共に放出され、フィコシアニンと共に抽出されるグリコーゲンに対して顕著な作用を有さない。
【0009】
グリコーゲンの酵素的分解を実行することは可能である。しかしながら、この多糖は、それを分解できる酵素に対して部分的に耐性なポリマーである。非常に多数のα1-6グルコシド分岐結合のため、β-アミラーゼ(α1-4グルコシダーゼ)などの酵素の使用は、Martinez-Garciaらによって示されるように、不適切である。著者らは、グリコーゲンに対する膵α-アミラーゼ(α1-4グルコシダーゼ)の比較的限定的な活性を示している。消化のレベルを示す還元糖測定値は、低いままであり、迅速に飽和する。グリコーゲンを脱分岐させるための、α1-6グルコシダーゼ活性を有する酵素(イソアミラーゼ、プルラナーゼ)の使用は、Martinez-GarciaらまたはShimonagaらの研究によって示されるとおり、可能である。しかしながら、また、消化は、長い消化時間(24~48時間)の後にグルコースポリマーを放出することにより、不完全である。
【0010】
先行技術において報告されるこれらのグリコーゲン消化実験は、使用される酵素がフィコシアニンの完全性に影響を与え、したがって、その着色および抗酸化剤特性を変えるにもかかわらず、フィコシアニン保護との課題を統合的に解決するには至らなかった。
【0011】
本発明の目的は、フィコシアニンの特性を保護しつつ、最終産物中の残留糖含有量、特に、残留グリコーゲン含有量を低減させることによって、質的観点ならびに産業的および経済的観点の双方から、バイオマスから抽出されたフィコシアニンを精製するための方法を改善することである。
【発明の概要】
【0012】
本発明による方法は、存在するフィコシアニンを実質的に分解しない温度およびpH条件下で、グリコーゲンを分解するための適切な酵素、即ち、6未満のpHおよび40℃未満の反応温度で活性な酵素、例えば、グルコアミラーゼ、ペクチナーゼおよびプルラナーゼならびにそれらの混合物を用いて、グリコーゲン含有量を低減させるためにフィコシアニン溶液の酵素的処理を実施することにある。
【0013】
本発明による方法は、Galdieria sulphurariaによって産生される酸耐性フィコビリンタンパク質を精製するために特に適切であり、酵素的反応は、6未満のpH、有利には約4のpHで実施される。
【0014】
本発明はまた、6未満、有利には4未満、好ましくは3未満、より優先的には2.5未満、さらにより優先的には1未満のグリコーゲン/フィコシアニン比(乾燥重量による)を有するフィコシアニン抽出物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】異なる酵素濃度におけるpH=4での消化についての経時的なフィコシアニン喪失曲線(%)を示す。
【
図2】異なる酵素濃度におけるpH=7での消化についての経時的なフィコシアニン喪失曲線(%)を示す。
【
図3】異なる酵素濃度におけるpH=4での消化についての経時的なグリコーゲン消化後のグルコース放出曲線を示す。
【
図4】異なる酵素濃度におけるpH=7での消化についての経時的なグリコーゲン消化後のグルコース放出曲線を示す。
【
図5】酵素的消化ありおよびなしのフィコシアニン抽出物(C-PC)の濾過についての、時間の関数としての透過流束における変化を示す。
【
図6】異なる酵素についてのpH=4でのグリコーゲン消化後の曲線を示す。
【
図7】異なる酵素についてのpH=7でのグリコーゲン消化後の曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、フィコシアニンおよびグリコーゲンを含む溶液からフィコシアニンを精製するための方法であって、存在するフィコシアニンを実質的に分解しない温度およびpH条件下で、グリコーゲンを分解するための適切な酵素を用いて、グリコーゲンを酵素的に分解する工程と、グリコーゲン分解産物からフィコシアニンを分離する工程とを含む方法に関する。
【0017】
本発明による方法は、微生物を培養すること、次いで、産生されたバイオマスを回収し、フィコシアニンを抽出すること、およびこのバイオマスからフィコシアニンを回収することを含む、とりわけ産業的フィコシアニン製造方法という観点において、グリコーゲンをも産生するフィコシアニン産生微生物の培養物から抽出されたフィコシアニン溶液を精製するために特に適切である。
【0018】
この方法は、高レベルのグリコーゲンを産生する微生物によって産生されたフィコシアニンのために、特に、総乾物基準で10%よりも多くのグリコーゲンを含むバイオマスからフィコシアニンを抽出および精製するために、特に適切である。
【0019】
フィコシアニン産生微生物、特に、Cyanidiales目の藻類(または微細藻類)は周知である。Cyanidiales目は、CyanidiaceaeまたはGaldieriaceae科を含み、それら自身は、Cyanidioschyzon、CyanidiumまたはGaldieria属に下位分類され、これらには、他の種の中でも、Cyanidioschyzon merolae 10D、Cyanidioschyzon merolae DBV201、Cyanidium caldarium、Cyanidium daedalum、Cyanidium maximum、Cyanidium partitum、Cyanidium rumpens、Galdieria daedala、Galdieria maxima、Galdieria partitaおよびGaldieria sulphurariaが属する。特に、Galdieria sulphuraria(Cyanidium caldariumとしても公知)株UTEX 2919が挙げられる。
【0020】
公知のフィコシアニン産生体、例えば、spirulinaの一般名の下に産業的に培養されるArthrospira属の糸状性シアノバクテリアも挙げられる。
【0021】
高いグリコーゲン含有量を伴ってフィコシアニンを産生する微生物は、特に、上述の微生物、特に、Arthrospira、Spirulina、Synechococcus、Cyanidioschyzon、CyanidiumおよびGaldieria属の種、より具体的には、Galdieria sulphurariaの中から、同定されている。
【0022】
グリコーゲンは、実際、種々の生物(細菌、酵母、動物細胞など)に広く存在する多糖である。α1-6結合によって分岐されたα1-4結合によるグルコースポリマーの構造が共通する場合、差異は、分岐のパーセンテージおよび分布に由来する。特に、「グリコーゲン」は、本発明においては、既に述べたフィコシアニン産生生物中に存在するグルコースポリマーを意味すると理解され、その独特の特徴は、Martinez-Garciaらによる研究によって例示されるように、10未満のグルコース単位の、大多数の分岐サイズである。
【0023】
フィコシアニン産生微生物を培養するための産業的方法は、当業者に周知である。特に、出願WO2017/093345、WO2017/050917およびWO2018/178334が挙げられる。
【0024】
バイオマスからのフィコシアニンの回収もまた、当業者に公知である。特に、出願WO2018/178334が挙げられる。これは、微生物の細胞区画において産生されたフィコシアニンを放出するために、機械的または酵素的細胞溶解のいずれかの工程を通常必要とする。この細胞溶解は、一般に、通常の分離方法、特に、濾過、特に、精密濾過、または遠心分離とその後の濾過、より具体的には精密濾過によって分離することができる懸濁物(粗製懸濁物と呼ばれる)中の有機物を含むフィコシアニン溶液を生成する。次いで、通常の沈殿および乾燥方法によってフィコシアニンを得ることができる純化された溶液を得るために、通常の限外濾過方法によって低分子量有機残渣を除去するためにさらに精製され得る、粗製フィコシアニン溶液が得られる。特に、セラミックメンブレンまたは有機メンブレン、例えば、ポリエーテルスルホンまたはポリスルホン中空繊維、特に、Repligen社によって提案されるものでのタンジェンシャル濾過が挙げられる。これらのフィルターの閾値は、標的フィコシアニンよりも高いまたは低い分子量の分子を分離するために選択され得る。
【0025】
次いで、得られたフィコシアニンは、できるだけ多くの低分子量有機残渣を除去するために、特に、透析濾過工程によって精製され得る。
【0026】
本発明による酵素的処理は、粗製懸濁物および粗製溶液の双方に対して実施され得る。
【0027】
本発明による方法は、酸耐性フィコシアニン、特に、出願WO2017/050918に記載されるフィコシアニンの溶液を精製するために特に適切である。
【0028】
特に、本発明による方法は、Galdieria sulphurariaによって産生される酸耐性フィコシアニンを精製するために、より具体的には、Galdieria sulphurariaの発酵槽培養によってこれらフィコシアニンを産生するための産業的方法において、使用される。
【0029】
酵素的反応を実施するための好ましい条件は、7未満のpH、および60℃未満の、好ましくは50℃未満の、さらにはより優先的には30℃未満の反応温度である。
【0030】
有利には、グリコーゲンの酵素的溶解は、5以下、好ましくは約4.5のpHで実施される。
【0031】
優先的に、酵素的反応は、室温で実施される。この室温は、温帯における使用、または温帯地帯に対応する温度、即ち、18~28℃の範囲、より一般には、20℃~25℃の範囲の温度を有する室内における使用の定義に対応する。
【0032】
これらの温度およびpH条件は、酵素的反応の間にフィコシアニンを保護するために特に適切である。
【0033】
酸性pH条件下および室温で活性な酵素は、当業者に知られている。しかしながら、フィコシアニンを保護するためおよびフィコシアニンの産生を促進するためのグリコーゲンを消化するための条件は、知られていない。
【0034】
驚くべきことに、α1-4ガラクトシズロニック(galactosiduronic)活性を有することが知られている酵素が、フィコシアニン精製に適合するpHおよび温度条件下で、α1-4グルコシダーゼ(またはアルファ-グルコシダーゼ)活性をも有することが見出された。
【0035】
これは、特に、ペクチンを分解することが知られているペクチナーゼ、特に、Aspergillusなどの糸状性真菌から抽出されたペクチナーゼ、より具体的には、Aspergillus aculeatusから抽出されたペクチナーゼ、例えば、Novozymes社から名称Pectinex(登録商標)の下で販売されている酵素について当てはまる。
【0036】
これらの酵素の作用は、グリコーゲン断片を通過させながらフィコシアニンが保持されるのを可能にする条件下での限外濾過によって次いで除去され得るグリコシド鎖のサイズを減少させる。
【0037】
本発明者らは、これらの酵素的溶解条件が、ポリグルコシド鎖および少数のグルコースモノマーを放出すること、したがって、他の微生物、特に、ヒトまたは動物にとって病原性の生物による汚染を回避するために、特に適切であることを見出した。、このことは、得られるフィコシアニンが食品着色料として使用される場合に必須である。
【0038】
特定の実施形態によれば、グリコーゲンの酵素的溶解は、α1-4グルコシダーゼまたはポリガラクツロナーゼ活性に加えて、α1-6グルコシダーゼ活性を用いても達成することができる。
【0039】
次いで、本発明の方法において使用される酵素は、酵素の混合物、すなわちα1-4グルコシダーゼ活性を有する第1の酵素またはポリガラクツロナーゼおよびα1-6グルコシダーゼ活性を有する第2の酵素であり得る。
【0040】
上述したpHおよび温度条件下で活性なα1-6グルコシダーゼもまた、当業者に公知である。特に、これらは、プルランのα1-6グリコシド結合を加水分解することが知られている、特に、デンプン分岐を除去することが知られている、プルラナーゼである。
【0041】
これらは、一般に、細菌から、特にBacillus属から抽出された酵素である。US6,074,854、US5,817,498およびWO2009/075682は、Bacillus deramificansまたはBacillus acidopullulyticusから抽出されたプルラナーゼを記載している。市販のプルラナーゼは、とりわけ、名称「Promozyme D2」(Novozymes)、「Novozym 26062」(Novozymes)および「Optimax L 1000」(DuPont-Genencor)の下でも公知である。プルラナーゼ/アルファ-アミラーゼ混合物は、先行技術に記載されているが、とりわけデンプンからグルコースシロップを生産するためのものであることに留意すべきである(US2017/159090)。
【0042】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、酵素は、α1-4グルコシダーゼ活性およびα1-6グルコシダーゼ活性の双方を有する。
【0043】
これは、特に、グルコアミラーゼについて当てはまる。これらはまた、微生物、特に、酵母または真菌、例えば、S.diastaticusまたはA.nigerから抽出される酵素である。多数のグルコアミラーゼが先行技術から公知であり、文献に記載され、特に、WO2019/036721などの特許出願に記載されている。これらは、一般に、飲食用のアルコール(ビール、蒸留酒)の生産のため、またはバイオエタノールの生産のためのバイオマスの発酵のための発酵方法において使用される。これらはまた、製パン添加物または食品サプリメントとして使用される。グルコアミラーゼは、とりわけ名称「Amylase AG XXL」(Novozymes)または「Panzym(登録商標)AG XXL」(Eaton)の下で市販されていることが知られている。
【0044】
有利には、本発明による方法において使用される酵素は、食品産業における使用のために認可された酵素である。
【0045】
グリコーゲン溶解工程において使用される最適な酵素含有量は、上記温度およびpH条件下で使用される酵素の活性に従って、当業者によって決定され得る。
【0046】
酵素濃度は、一般に、0.0001%と5%との間、優先的には0.0025%と1%との間、より優先的には0.005%と0.5%との間、さらにより優先的には0.01%と0.25%との間であり、ここでパーセンテージは、粗製懸濁物または粗製懸濁物の総体積に対する酵素溶液の体積として表現される。
【0047】
酵素溶液は、一般に、100~20,000単位/mLの範囲の酵素濃度を有し、酵素活性は、製造者によって同定されているように、一般に、これらの酵素に因る。
【0048】
α1-6グルコシダーゼの使用は、使用されるα1-4グルコシダーゼまたはポリガラクツロナーゼの量を減少させる。総酵素濃度(α1-4グルクロニダーゼ+α1-6グルコシダーゼ)は、一般に、0.0001%と5%との間、優先的には0.0025%と1%との間、より優先的には0.005%と0.5%との間、さらにより優先的には0.01%と0.25%との間であり、ここでパーセンテージは、粗製懸濁物または粗製懸濁物の総体積に対する酵素溶液の体積として表現される。
【0049】
α1-4グルコシダーゼまたはポリガラクツロナーゼを単独で、またはα1-6グルコシダーゼと、もしくはα1-4グルコシダーゼ活性およびα1-6グルコシダーゼ活性を有する酵素と混合して用いた場合、反応は、有利には、48時間未満、好ましくは24時間未満、より優先的には5時間~12時間実施される。
【0050】
本発明による方法について、より具体的には、フィコシアニンを単離するためのタンジェンシャル濾過による単離の工程について、グリコーゲンのグルコースモノマーへの完全な消化を得る必要はない。多糖の部分的消化および濾過カットオフ閾値未満のサイズのオリゴマーへのリダクションが、懸濁物またはフィコシアニン溶液からグリコーゲンを除去するために十分である。
【0051】
当業者は、初期グリコーゲン含有量、使用される酵素の量、および産生されたフィコシアニンに求められる純度の関数として、グリコーゲンの量を最良に低減させる適切な時間を決定する方法を知っているであろう。
【0052】
酵素的消化によるグリコーゲンのリダクションの実行は、この多糖を分解することができる微生物の使用が関連し得るか、またはそれによって置き換えられ得る。当業者は、粗製抽出物中に、グリコーゲンを消化することが可能な酵素、より具体的には、既に説明した酵素を産生および分泌するこれらの微生物の能力を活用する方法を知っているであろう。当業者は、グリコーゲン、または多糖の分解から生じる産物を代謝するこれらの微生物の能力を選択および活用する方法を知っているであろう。有利には、当業者は、特に、抗微生物活性を有する物質の合成によって、望ましくないまたは病原性の微生物の成長を制限するこれらの微生物の能力を活用する方法を知っているであろう。
【0053】
ex vivoまたはin vivoでグリコーゲンの分解を実施するための好ましい条件は、7未満のpH、および50℃未満の、好ましくは40℃未満の、さらにより優先的には37℃未満の反応温度である。
【0054】
有利には、ex vivoまたはin vivoでのグリコーゲンの分解は、5以下、好ましくは約4.5または4のpHで実施される。
【0055】
多糖の成長および分解というそれらの独特の特徴に起因して、乳酸細菌が特に適切であると考えられる。これらのうち、Lactobacillus、Pediococcus、Tetragenococcus、Carnobacterium、Vagococcus、Leuconostoc、Weissella、Oenococcus、Atopobium、Streptococcus、Enterococcus、Lactococcus、Aerococcus、Alloiococcus、MelissococcusまたはBifidobacterium属に属する細菌が挙げられる。
【0056】
本発明はまた、6未満、有利には4未満、好ましくは3未満、より優先的には2.5未満、さらにより優先的には1未満のグリコーゲン/フィコシアニン比(乾燥重量による)を有するフィコシアニン抽出物に関する。
【0057】
第1の実施形態によれば、このフィコシアニン抽出物は、酵素的溶解後に得られた粗製フィコシアニン懸濁物である。
【0058】
この処理された粗製懸濁物は、「酵素的に処理された粗製懸濁物」とも呼ばれ、懸濁物中に、細胞溶解から生じる不溶物と共に、特に、細胞溶解後に放出されたフィコシアニン、グリコーゲンの酵素的溶解の産物であるグルコースオリゴマー、および残留グリコーゲンを含む。
【0059】
本発明の第2の実施形態によれば、フィコシアニン抽出物は、粗製懸濁物の分離およびグリコーゲンの酵素的溶解後に得られた粗製フィコシアニン溶液であり、この溶解は、粗製懸濁物の分離の前もしくは後、または分離(酵素的に処理された粗製懸濁物の分離および/または粗製溶液に対する酵素的反応の実施)の前および後に実施されている。
【0060】
この粗製溶液は、特に、細胞溶解後に放出されたフィコシアニン、グリコーゲンの酵素的溶解の産物であるグルコースオリゴマー、および残留グリコーゲンを含む。この処理された粗製溶液は、「酵素的に処理されたフィコシアニン粗製溶液」とも呼ばれ、一般に、0.1~10g/Lのフィコシアニン、より優先的には1~5g/Lのフィコシアニンを含む。
【0061】
グリコーゲンのフィコシアニンに対する乾燥重量比は、有利には3未満、好ましくは2.5未満である。
【0062】
本発明による酵素的に処理された粗製溶液は、フィコシアニンの完全性を実質的に配慮する条件下で実施される、当該技術の通常の方法に従って、水の一部分を除去することによって、場合により濃縮されていてもよい。この場合、濃縮された酵素的に処理された粗製溶液のフィコシアニン含有量は、有利には、10~50g/Lである。
【0063】
別の実施形態によれば、フィコシアニン抽出物は、上記方法に従って酵素的に処理された粗製溶液からの抽出後に単離されたフィコシアニンである。
【0064】
単離されたフィコシアニンについて、グリコーゲンのフィコシアニンに対する乾燥重量比は、有利には、2未満、好ましくは1未満である。
【0065】
別の実施形態によれば、フィコシアニン抽出物は、上記方法に従って、特に、透析濾過によって、単離された抽出物の精製後に得られた精製されたフィコシアニンである。
【0066】
精製されたフィコシアニンについて、グリコーゲンのフィコシアニンに対する乾燥重量比は、有利には、1未満、好ましくは0.1未満である。
【0067】
単離されたフィコシアニンおよび精製されたフィコシアニンはいずれも、依然として、グリコーゲンの酵素的溶解の産物であるグルコースオリゴマーを微量含み得る。
【0068】
得られたフィコシアニンは、90~400の、優先的には少なくとも120の、より優先的には少なくとも150のE10着色力を有する。
【0069】
酵素的に処理された粗製溶液について、E10着色力は、有利には、90~110である。
【0070】
単離されたフィコシアニンについて、E10着色力は、有利には、150~210である。
【0071】
精製されたフィコシアニンについて、着色力は、有利には、210~400である。
【0072】
本発明はまた、微生物起源のフィコシアニンを生産するための方法であって、
(a)30g/Lよりも多い乾物および乾物基準で少なくとも4%のフィコシアニンを含む発酵マストを生産するための培養条件下で、フィコシアニン産生微生物を培養する工程、
(b)産生されたフィコシアニンおよびグリコーゲンを放出させるために細胞溶解し、上で定義した粗製懸濁物を得る工程、
(c)粗製懸濁物を分離し、フィコシアニンおよびグリコーゲンを含む粗製溶液を回収する工程、および次いで、場合により
(d)粗製溶液からフィコシアニンを単離する工程、次いで、場合により
(e)単離されたフィコシアニンを精製する工程
を含み、グリコーゲンの酵素的溶解の工程が、上で定義した条件下で、上で定義した酵素を用いて、または微生物による分解によって実施され、前記酵素的溶解が、粗製懸濁物および/または粗製溶液に対して実施されることを特徴とする、方法に関する。
【0073】
有利には、得られたフィコシアニンは、50%未満のグリコーゲンを含むフィコシアニンである。
【0074】
培養方法は当業者に周知であり、特に、特許出願WO2017/050917、WO2017/093345およびWO2018/178334に記載されている。
【0075】
これらにより、100g/Lよりも多くの乾物になり得る、30g/Lよりも多い乾物の発酵マストを得ることが可能になる。
【0076】
少なくとも4%のフィコシアニン含有量は、発酵条件および培養される株に依存して、10%よりも多くまで到達し得る。
【0077】
当業者は、自身の産業的フィコシアニン産生目的に従って、培養条件を決定する方法を知っているであろう。
【0078】
特に、通常の濾過方法、例えば、精密濾過、または遠心分離とその後の濾過、特に、精密濾過による分離工程(c)もまた公知であり、先行技術に記載されている。
【0079】
本発明はまた、得られたフィコシアニンの着色料としての、特に、食品着色料としての使用に関する。本発明はまた、本発明による低グリコーゲン含有量のフィコシアニンを含む固体または液体の食品、特に、飲料に関する。
【0080】
着色料として使用されるフィコシアニンは、上で定義した、酵素的に処理された粗製溶液、単離されたフィコシアニンまたは精製されたフィコシアニンの形態であり得る。
【実施例】
【0081】
実施例1 - 酵素的溶解の前および後のC-PC濃度のモニタリング
粗製抽出物のフィコシアニン濃度のモニタリングを、異なる量の酵素「Pectinex」を用いて、pH4およびpH7で実施する。Galdieria sulphuraria由来の粗製フィコシアニン抽出物は、出願WO2018/178334に記載の方法に従って産生する。このモニタリングのために、酵素および粗製フィコシアニン抽出物を、0.22μmフィルターで濾過する。消化は室温で実施する。各動力学的ポイントについて、YSI 2700 Biochemical Analyzerを用いた、酵素の変性(95℃、5分間)後のグルコース測定と並行して、フィコシアニン濃度の決定のために有用な吸光度の読み取りを測定する。
【0082】
【0083】
これらの結果は、消化されたグリコーゲンの量が、pHおよび酵素濃度の異なる条件間で変動することを示している。過剰な酵素は、フィコシアニンの分解をもたらし得る。
【0084】
しかし、本発明者らは、pH=4および0.05%「Pectinex」での24時間未満の消化後に、フィコシアニン分解を実質的に制限しつつ、顕著なグリコーゲン溶解が得られることを理解できている。
【0085】
実施例2 - 粗製フィコシアニン溶液中でのグリコーゲン消化の速度のモニタリング
粗製溶液中でのグリコーゲン消化速度のモニタリングを、異なる酵素:アルファアミラーゼ(Novozymes製Ban 480L)、ポリガラクツロナーゼ(Novozymes製Pectinex Ultra SP-L)およびグルコアミラーゼ(Novozymes製Amylase AG XXL)を用いて、pH4およびpH7で実施する。
【0086】
Galdieria sulphuraria由来の粗製フィコシアニン溶液を、出願WO2018/178334に記載の方法に従って産生する。このモニタリングのために、酵素および粗製フィコシアニン溶液を、0.22μmフィルターで濾過する。消化は室温で実施する。各動力学的ポイントについて、グルコース測定を、YSI 2700 Biochemistry Analyzerを用いて、酵素の変性(95℃、5分間)後に実施する。グリコーゲン消化のパーセンテージは、グルコース濃度の、多糖の完全な加水分解後のグルコース濃度に対する比である。
【0087】
結果は、
図6(pH=4)および
図7(pH=7)に示される。
【0088】
実施例3 - 酵素的溶解ありまたはなしの、精製された産物中のグリコーゲン含有量
未処理の、または0.25%(v/v)のα1-6グルコシダーゼで12時間消化し、次いで、0.1%(v/v)のα1-4ポリガラクツロナーゼで2時間消化した、粗製フィコシアニン溶液を、最終透析濾過工程で、70kDaの多孔度を有する中空繊維メンブレンで濾過する。
【0089】
各濾過および/または濾過工程の最後に実施される種々の測定は、グリコーゲンの濃度が、PCと比較して無視できない濃度に到達するまで、残物中で有意に増加することを示している。したがって、このグリコーゲンの全てまたは一部を除去し、最終産物の着色力を薄くすることを回避することが必要であり、E10着色力は、90と400との間であった。
【0090】
E10カラー値(10% E618nm)は、水溶液中に粉末を溶解させた後に618nmで測定される色濃度を示す。
【0091】
プロトコール:
0.25グラムのサンプルを測定し、それを、pH6.0に調節した100mLのクエン酸緩衝溶液中に溶解させる。次いで、この溶液もまた、クエン酸緩衝液で10倍希釈し、618nmにおける吸光度を1cm厚のキュベットを使用して測定する。E10カラー値(10% E618nm)=吸光度(618nm)×100/0.25グラム。
【0092】
【0093】
実施例4 - 酵素的溶解ありまたはなしの膜間圧力差
特許出願WO2018/178334に記載の方法に従って産生されたGaldieria sulphuraria由来の粗製フィコシアニン抽出物を、0.05μm PES中空繊維メンブレンで清澄化する。以下の結果は、250mLの同じ体積の粗製抽出物の、「Pectinex」による消化(0.05%、5.5時間、室温、pH=4)ありまたはなしの、濾過パラメーターモニタリングを示す。
【0094】
結果は
図5に示される。これらは、粗製抽出物の精密濾過に対するグリコーゲン消化の影響を実証している。所与の体積を濾過するために、膜間フローにおける増加に起因して、消化されたサンプルに必要な時間が、未消化サンプルに必要な時間の約2分の1であることが理解できる。
【0095】
参考文献
・Cruz de Jesus et al., Int J Food Nutr Sci (2016) 3(3): 1-0
・Martinez-Garcia et al., Int J Biol Macromol. (2016) 89:12-8
・Martinez-Garcia et al., Carbohydrate Polymers (2017) 169: 75-82
・Moon et al., Korean Journal of Chemical Engineering (2014) 31, 490-495
・Shimonaga et al., Marine Biotechnology (2007) 9, 192-202.
・Shimonaga et al., Plant and Cell Physiology (2008) 49, 103-116.
・CN 106749633, CN102433015 and CN1117973
・US 6,074,854, US 5,817,498, US 2017/159090
・WO 2009/075682, WO 2017/050917, WO 2017/050918, WO 2017/093345, WO 2018/178334, WO 2019/036721
【国際調査報告】