(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】連続式カーペットマットの製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 27/02 20060101AFI20220222BHJP
D06H 7/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
A47G27/02 101A
A47G27/02 Z
D06H7/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540089
(86)(22)【出願日】2019-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 CN2019077970
(87)【国際公開番号】W WO2020172916
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】201910151325.2
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595084276
【氏名又は名称】聖州企業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊明舜
【テーマコード(参考)】
3B120
3B154
【Fターム(参考)】
3B120AA14
3B120BA03
3B120BA17
3B120CA12
3B120CA13
3B120DB01
3B120DB02
3B120DB04
3B120EB30
3B154AB34
3B154BA05
3B154BA19
3B154BA47
3B154BB39
3B154BB47
3B154BB54
3B154BB77
3B154BC16
3B154BD14
(57)【要約】
カーペットを提供するステップと、バッファを行うステップと、糊付けを行うステップと、乾燥を行うステップと、打ち抜き・裁断を行うステップとを含む連続式カーペットマットの製造方法である。この方法を実施することにより、生産ラインで速度の異なる生産ステップを組み合わせ、シャットダウンせずに連続して生産を行い、生産プロセスの一貫化を図ることができる。メンテナンス及び操作が簡単である。速度の異なる各生産ステップを組み合わせ調整することができる。生産ステップのいずれかで、一時的にシャットダウンするか又は一時的に故障の排除を必要とするときにも、他の生産ラインで生産を継続することができ、シャットダウンを全く必要としない。生産中の中間製品の生産ラインを途中で中断し、その工程を分割し、又はそれを生産ラインから外す必要がない。生産ラインが途切れないことを確保でき、人手、製造工数、機械コスト、材料コスト及び全体的な製造コストがより効果的に節約され、製造効率が大幅に上昇し、生産能力及び産業競争力が向上する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーペット製造機により作製するカーペットを提供するステップと、
前記カーペットを第1のバッファ装置に搬入する、バッファを行うステップと、
前記第1のバッファ装置から前記カーペットを糊付機に案内し、前記カーペットの一方の面に接着剤を結合して、糊付けされたカーペットを形成する、糊付けを行うステップと、
前記糊付けされたカーペットを案内して乾燥機を通過させ、連続するカーペットマットを形成する、乾燥を行うステップと、
自動裁断機に前記カーペットマットを搬入し、裁断を行って複数のフロアマットを送り出す、打ち抜き・裁断を行うステップと、
を含むことを特徴とする連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項2】
前記カーペット製造機は、タフト機又はニードルパンチ機であり、前記カーペットは、タフトカーペット又はニードルパンチカーペットであることを特徴とする請求項1に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項3】
前記カーペット製造機は、タフト機であり、タフトカーペットを作製する際、パイル糸保管棚によって少なくとも1種類のパイル糸を前記タフト機に送り込み、
前記パイル糸は、合成繊維又は合成綿であることを特徴とする請求項2に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項4】
塗布することにより、前記接着剤が前記カーペットの一方の面に均一に結合されることを特徴とする請求項1に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項5】
前記複数のフロアマットの形状又は大きさが、前記自動裁断機に予め設定されることを特徴とする請求項1に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項6】
前記乾燥を行うステップと前記打ち抜き・裁断を行うステップとの間に、第2段階のバッファを行うステップをさらに有し、前記カーペットマットを、まず第2のバッファ装置に搬入した後、前記第2のバッファ装置から前記自動裁断機に搬出することを特徴とする請求項1に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項7】
前記第2段階のバッファを行うステップと前記打ち抜き・裁断を行うステップとの間に、複合化するステップをさらに有し、前記第2のバッファ装置から貼合機に前記カーペットマットを搬入し、前記カーペットマットに基布を結合してから、前記自動裁断機に搬出することを特徴とする請求項6に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項8】
前記複合化するステップと前記打ち抜き・裁断を行うステップとの間に、第3段階のバッファを行うステップをさらに有し、前記基布が結合された前記カーペットマットを、まず前記貼合機から第3のバッファ装置に搬入した後、前記第3のバッファ装置から前記自動裁断機に搬出することを特徴とする請求項7に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項9】
前記第1のバッファ装置、前記第2のバッファ装置又は前記第3のバッファ装置は、ストッカースタンドであることを特徴とする請求項1、6、7又は8に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項10】
前記カーペットが、先入れ先出し方式により、前記第1のバッファ装置に出し入れされ、
前記カーペットマットが、先入れ先出し方式により、前記第2のバッファ装置に出し入れされ、
前記基布が結合された前記カーペットマットが、先入れ先出し方式により、前記第3のバッファ装置に出し入れされることを特徴とする請求項1、6、7又は8に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【請求項11】
前記打ち抜き・裁断を行うステップの後に、製品を搬送し廃材を細断するステップをさらに有し、複数のフロアマットに裁断して送り出し、裁断により生じた廃材を細断し送り出すことを特徴とする請求項1、6、7又は8に記載の連続式カーペットマットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペットの製造技術分野に関し、特に連続式カーペットマットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカーペットマットの大部分は、カーペット原反を生産する工程、カーペット原反を糊付け・乾燥する工程、カーペット原反を打ち抜き・裁断する工程といった工程に分割して生産され、生産される製品はいずれも、生産ラインが途中で中断され、又は別の場所に保管された後、個別に、人手又は機械の方法によって搬送されるか又は継ぎ合わされて次の段階に供されている。このような従来のマットの製造、又はカーペットマットの製造方法では、甚大な空間が必要とされるだけでなく、極めて膨大な人手及び工数が費やされる。また、各工程を切り替える手順においては、1ロールあたり約20~30メートルのカーペットロールの先端又は尾端を縫合しつなぎ合わせて初めて生産が可能となり、縫合箇所はいずれも材料ロスである上、各ロールを種々の異なるサイズの裁断片であるマットに打ち抜いたときにその尾端に生じる大量の残材ロスを他に再利用することもできず、カーペットのコストがさらに増大する。
【0003】
このため、新たな連続式のカーペットマットの製造方法を発明し創出することができれば、速度の異なる各生産ステップを組み合わせ調整できるだけでなく、生産ステップのいずれかでシャットダウンするか、又は故障の排除を必要とするときにも、生産ラインのシャットダウンを必要とせずに生産を継続することができ、生産中の中間製品の生産ラインを途中で中断し、その工程を分割し、又はそれを生産ラインから外す必要もなく、製造効率が大幅に上昇するほか、生産が途切れず、カーペット原反を種々の異なるサイズの裁断片であるマットに打ち抜いたときに生じる大量の残材ロス及びコストが大幅に低減され、人手、製造工数、機械コスト、材料コスト及び製造コストが効果的に節約されることから、関連産業の生産技術の面で、及び産業競争力を向上させるにあたり、重要な創造的思考及び進歩・ブレークスルーの方向性となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、連続式カーペットマットの製造方法を提供することにあり、この方法により、人手、製造工数、機械コスト、材料コスト及び全体的な製造コストをより効果的に節約することができ、製造効率が大幅に上昇し、生産能力及び産業競争力が向上する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、カーペットを提供するステップと、バッファを行うステップと、糊付けを行うステップと、乾燥を行うステップと、打ち抜き・裁断を行うステップとを含む連続式カーペットマットの製造方法を提供することにある。本発明を実施することにより、生産ラインで生産プロセスの一貫性を達成することができ、従来の生産プロセスの半分以下の人手で簡単にメンテナンス及び操作を行うことができる。速度の異なる各生産ステップを組み合わせ調整することができ、生産ステップのいずれかで、一時的にシャットダウンするか又は一時的に故障の排除を必要とするときには、バッファ装置のストックを利用することができ、生産ラインのシャットダウンを必要とせずに生産を継続することができる。バッファ装置により速度の異なる生産ステップを組み合わせることで、生産ラインをシャットダウンせずに連続して生産を行うことができ、生産中の中間製品の生産ラインを途中で中断し、その工程を分割し、又はそれを生産ラインから外す必要がなく、製造効率が大幅に上昇し、生産能力が向上する。このように、生産ラインが途切れないことを確保できるだけでなく、人手、製造工数、機械コスト、材料コスト及び製造コストがより効果的に節約される。
【0006】
本発明の目的は、カーペット製造機により作製するカーペットを提供するステップと、カーペットを第1のバッファ装置に搬入する、バッファを行うステップと、第1のバッファ装置からカーペットを糊付機に案内し、カーペットの一方の面に接着剤を結合して、糊付けされたカーペットを形成する、糊付けを行うステップと、糊付けされたカーペットを案内して乾燥機を通過させ、連続するカーペットマットを形成する、乾燥を行うステップと、自動裁断機にカーペットマットを搬入し、裁断を行って複数のフロアマットを送り出す、打ち抜き・裁断を行うステップと、を含む連続式カーペットマットの製造方法を提供することにある。
【0007】
一実施例において、上記カーペット製造機は、タフト機又はニードルパンチ機であり、カーペットは、タフトカーペット(Tufted Carpet)又はニードルパンチカーペット(Needle Punched Carpet)である。
【0008】
一実施例において、上記カーペット製造機は、タフト機であり、タフトカーペットを作製する際、パイル糸保管棚により少なくとも1種類のパイル糸をタフト機に送り込み、パイル糸は、合成繊維又は合成綿である。
【0009】
一実施例において、塗布することにより、上記接着剤がカーペットの一方の面に均一に結合される。
【0010】
一実施例において、上記複数のフロアマットの形状又は大きさが、自動裁断機に予め設定される。
【0011】
一実施例において、上記乾燥を行うステップと打ち抜き・裁断を行うステップとの間に、第2段階のバッファを行うステップをさらに有し、カーペットマットを、まず第2のバッファ装置に搬入した後、第2のバッファ装置から自動裁断機に搬出する。
【0012】
一実施例において、上記第2段階のバッファを行うステップと打ち抜き・裁断を行うステップとの間に、複合化するステップをさらに有し、第2のバッファ装置から貼合機にカーペットマットを搬入し、カーペットマットに基布を結合してから、自動裁断機に搬出する。
【0013】
一実施例において、上記複合化するステップと打ち抜き・裁断を行うステップとの間に、第3段階のバッファを行うステップをさらに有し、基布が結合されたカーペットマットを、まず貼合機から第3のバッファ装置に搬入した後、第3のバッファ装置から自動裁断機に搬出する。
【0014】
一実施例において、上記第1のバッファ装置、第2のバッファ装置又は第3のバッファ装置は、ストッカースタンド(保管台)である。
【0015】
一実施例において、上記カーペットが、先入れ先出し方式により、第1のバッファ装置に出し入れされ、カーペットマットが、先入れ先出し方式により、第2のバッファ装置に出し入れされ、基布が結合されたカーペットマットが、先入れ先出し方式により、第3のバッファ装置に出し入れされる。
【0016】
一実施例において、上記打ち抜き・裁断を行うステップの後に、製品を搬送し廃材を細断するステップをさらに有し、複数のフロアマットに裁断して送り出し、裁断により生じた廃材を細断し送り出す。
【発明の効果】
【0017】
本発明を実施することにより、少なくとも以下に挙げる効果が得られる。
【0018】
1.バッファ装置により速度の異なる生産ステップを組み合わせることで、カーペットマットの生産プロセスを一貫化できるとともにシャットダウンせずに連続して生産を行うことができ、生産中の中間製品の生産ラインを途中で中断し、その工程を分割し、又はそれを生産ラインから外す必要もなく、製造効率が大幅に上昇し、生産能力が向上する。
【0019】
2.生産ラインにおける速度の異なる各生産ステップを組み合わせ調整することができ、生産ステップのいずれかで、一時的にシャットダウンするか又は一時的に故障の排除を必要とするときには、バッファ装置のストックを利用することができ、生産ラインで生産を継続することができるとともに、乾燥機内のカーペットの連続乾燥時間が長すぎるために損傷するロスを確実に避けることができる。
【0020】
3.生産プロセスに一貫性があり、従来の生産プロセスの半分以下の人手で簡単にメンテナンス及び操作を行うことができる上、各製造機器の正常な運転を監視するよう人手を配置すればよい。また、左右2本の生産ラインを同時に立ち上げ、その間に通路を残して、1組の人手で2本の同一の生産ラインを同時に監視することもできる。
【0021】
4.生産ラインが途切れないことを確保でき、カーペットロールをマットに裁断する際に、先端及び尾端の残材と型クリアランスのロスのコストが大幅に低減されるとともに、人手、製造工数、機械コスト、材料コスト及び製造コストがより効果的に節約され、産業競争力が大幅に高まる。
【0022】
5.タフト機でタフトカーペットを生産する際、使用されるパイル糸の継ぎ合わせロスが1500~2000メートルあたり1回生じるにすぎない。ニードルパンチ機でニードルパンチカーペットを生産する際、合成綿が途切れず供給され、ましてや作製されるカーペットには、カーペットロールの継ぎ合わせ及び打ち抜き・裁断の残材ロスが全くない。
【0023】
当業者が、本発明の技術内容を理解しそれを踏まえて実施するとともに、本明細書で開示する内容、請求項及び図面に基づき、本発明に関する目的及び利点を容易に理解できるように、具体的な実施形態において本発明の詳しい特徴及び利点を詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施例に係る連続式カーペットマットの製造方法のフローチャートである。
【
図2A】本発明の第1の実施例に係る連続式カーペットマットの製造方法の生産ラインの概略図である。
【
図2B】本発明の第2の実施例に係る連続式カーペットマットの製造方法の生産ラインの概略図である。
【
図3A】本発明の実施例に係る第2段階のバッファを行うステップをさらに有する連続式カーペットマットの製造方法のフローチャートである。
【
図3B】本発明の第3の実施例に係る連続式カーペットマットの製造方法の生産ラインの概略図である。
【
図4A】本発明の実施例に係る第2段階のバッファを行うステップ及び複合化するステップをさらに有する連続式カーペットマットの製造方法のフローチャートである。
【
図4B】本発明の第4の実施例に係る連続式カーペットマットの製造方法の生産ラインの概略図である。
【
図5A】本発明の実施例に係る第2段階のバッファを行うステップ、複合化するステップ及び第3段階のバッファを行うステップをさらに有する連続式カーペットマットの製造方法のフローチャートである。
【
図5B】本発明の第5の実施例に係る連続式カーペットマットの製造方法の生産ラインの概略図である。
【
図6】
図1の実施例に示す製造方法において、製品を搬送し廃材を細断するステップをさらに有する連続式カーペットマットの製造方法のフローチャートである。
【
図7】
図3Aの実施例に示す製造方法において、製品を搬送し廃材を細断するステップをさらに有する連続式カーペットマットの製造方法のフローチャートである。
【
図8】
図4Aの実施例に示す製造方法において、製品を搬送し廃材を細断するステップをさらに有する連続式カーペットマットの製造方法のフローチャートである。
【
図9】
図5Aの実施例に示す製造方法において、製品を搬送し廃材を細断するステップをさらに有する連続式カーペットマットの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の説明をより詳しく完全なものとするため、以下、本発明の実施態様及び具体的な実施例について例示的に述べるが、本発明の具体的な実施例を実施又は使用する形態はこれらに限定されない。以下に開示する各実施例は、さらなる記載又は説明がなくとも、有益な場合には互いに組み合わせ又は置き換えることも、一実施例に他の実施例を加えることもできる。読者が以下の実施例を十分理解できるように、以下の説明では、多数の特定の詳細について詳述するが、かかる特定の詳細がない場合も、本発明の実施例を実践できる。
【0026】
図1は、カーペットを提供するステップ(ステップS10)と、バッファを行うステップ(ステップS20)と、糊付けを行うステップ(ステップS30)と、乾燥を行うステップ(ステップS40)と、打ち抜き・裁断を行うステップ(ステップS50)とを含む連続式カーペットマットの製造方法S100の実施例を示したものである。
【0027】
図1及び
図2Aは、カーペット製造機20によりカーペット21を作製する、カーペットの提供(ステップS10)を示したものである。カーペット製造機20は、タフト機又はニードルパンチ機であってよく、タフト機により作製されるカーペット21は、タフトカーペット(Tufted Carpet)であり、ニードルパンチ機により作製されるカーペット21は、ニードルパンチカーペット(Needle Punched Carpet)である。
【0028】
図2Bに示すように、タフト機でタフトカーペットを作製する際、パイル糸保管棚10によって少なくとも1種類のパイル糸11をカーペット製造機20に送り込んで、カーペット製造機20によってカーペット21を作製してよい。カーペット21を作製するパイル糸11は、単一種類のパイル糸11又は2種類以上の異なるパイル糸11であってよく、用途に応じて決定してよい。一般的に、カーペット21を作製するパイル糸11は、合成繊維又は合成綿であってよい。
【0029】
カーペット製造機20がニードルパンチ機であり、作製されるカーペット21がニードルパンチカーペットである場合、ニードルパンチ機で合成綿に直接針を刺すことにより合成綿を一層嵩高にし、同重量の合成綿に針を刺した後の厚みが2倍以上にまで達し、カーペット21の弾力性及び柔らかさが増す。
【0030】
カーペット製造機20の作製頻度又は速度については、主に、カーペット21の厚み・重量、或いはカーペット21が必要とする毛丈及びゲージにより決定され、カーペット21の毛丈が長いほど、又はゲージが大きいほど、カーペット21全体が重くなり、作製速度も遅くなる。
【0031】
さらに
図1、
図2A及び
図2Bに示すように、バッファを行う際には(ステップS20)、カーペット製造機20で作製されたカーペット21を第1のバッファ装置30に搬入してバッファを行う。前述した第1のバッファ装置30は、ストッカースタンドであってよい。
【0032】
第1のバッファ装置30又はストッカースタンドの大きさは、収納可能なカーペット21の総量又は総長さに応じて決定してよく、生産ラインの実際の状況に照らして決定してよく、例えば、35メートル、20メートル、15メートル、ひいては100メートル、50メートル又は10メートルを収納可能な第1のバッファ装置30又はストッカースタンドを選択してよく、完全に必要に応じて決定される。
【0033】
第1のバッファ装置30若しくはストッカースタンドにカーペット21を搬入又は搬出する方法については、先入れ先出し方式により、第1のバッファ装置30に出し入れすることを選択してよく、つまり、第1のバッファ装置30に最初に搬入されるカーペット21の一端が第1のバッファ装置30から最初に搬出される。
【0034】
また、
図1~
図2Bに示すように、糊付けを行う際には(ステップS30)、第1のバッファ装置30からカーペット21を搬出して糊付機40に案内し、糊付機40によりカーペット21の下面に接着剤を結合して、糊付けされたカーペット41を形成する。
【0035】
カーペット21に接着剤を結合する方法については、糊付機40で塗布することにより、カーペット21の下面に接着剤を均一に結合するというものであってよい。一般的に、接着剤の材質は接着性のりである。
【0036】
さらに、
図1~
図2Bに示すように、乾燥を行う際には(ステップS40)、糊付けされたカーペット41を案内して乾燥機50を通過させ、連続するカーペットマット51を形成して、乾燥機50から搬出する。
【0037】
接着剤が結合されたカーペット21が乾燥機50を通過して乾燥された後に形成されるカーペットマット51は、裁断又は加工がされておらず、一方の面がカーペットであり一方の面が接着剤である連続的なマットである。
【0038】
乾燥を行う段階(ステップS40)の作製速度、つまり乾燥機50の速度は、一般的に、糊付けされたカーペット41の全般的な材料のニーズに応じて決定され、生産ラインでは、一定の速度で連続的に乾燥及び作製を行わなければならず、ましてや停止してはならず、そうしないと、連続乾燥時間が長すぎるために乾燥中の接着剤が結合されたカーペット21の中間製品(糊付けされたカーペット41)が損傷し、材料のロスが生じる。
【0039】
ここで、本発明特有の技術手段であるバッファを行う(ステップS20)ことの重要性が分かる。乾燥を行う段階(ステップS40)では、一定の速度で連続的に乾燥及び作製が行われ、停止してはならない。カーペット製造機20の作製速度は、カーペット21の厚み・重量により決定されるため、乾燥機50の速度と異なる。
【0040】
バッファを行う段階(ステップS20)である第1のバッファ装置30又はストッカースタンドによるバッファを経ることで、速度の異なる乾燥を行う段階(ステップS40)とカーペットを提供する段階(ステップS10)のバランスをとることができ、これによって、乾燥機50、ひいては生産ライン全体の連続稼働が可能となり、カーペット製造機20が一時的にシャットダウンしても、第1のバッファ装置30又はストッカースタンド内に、生産ラインを継続して動作させるに足る十分な材料(カーペット21)がある。
【0041】
同様に、
図1~
図2Bに示すように、打ち抜き・裁断を行う際には(ステップS50)、乾燥機50で作製されたカーペットマット51を自動裁断機60に搬入し、裁断を行って複数のフロアマット61を送り出す。
【0042】
フロアマット61の形状又は大きさ、ひいてはその模様は、完全に生産ニーズに応じて決定され、自動裁断機60に予め設定するか又は記憶させてよい。
【0043】
次に、
図3A及び
図3Bに示す実施例を参照すると、連続式カーペットマットの製造方法S100は、第2段階のバッファを行うステップ(ステップS45)をさらに含んでよい。第2段階のバッファ(ステップS45)は、乾燥を行うステップ(ステップS40)と打ち抜き・裁断を行うステップ(ステップS50)との間に設けられ、カーペットマット51を、まず第2のバッファ装置70に搬入した後、第2のバッファ装置70から自動裁断機60に搬出する。
【0044】
第2のバッファ装置70は、ストッカースタンドであってもよく、先入れ先出し方式により、カーペットマット51が第2のバッファ装置70に出し入れされてよい。第2のバッファ装置70の大きさは、収納可能なカーペットマット51の総量又は総長さに応じて決定してよく、同じく生産ラインの実際の状況に照らして決定してよい。
【0045】
図4A及び
図4Bに示すように、
図3A及び
図3Bに示す連続式カーペットマットの製造方法の実施例において、第2段階のバッファ(ステップS45)と打ち抜き・裁断(ステップS60)との間に、複合化するステップ(ステップS47)をさらに設けてよい。
【0046】
複合化するステップ(ステップS47)は、第2のバッファ装置70から貼合機80にカーペットマット51を搬入し、貼合機80によって貼り合わせようとする1つ以上のマット材料を、リードスクリュー押出機又は固定剤によりカーペットマット51に複合し、冷却又乾固させた後、自動裁断機60に搬出する。
【0047】
続いて、
図5A及び
図5Bに示すように、
図4A及び
図4Bに示す連続式カーペットマットの製造方法の実施例において、複合化(ステップS47)と打ち抜き・裁断(ステップS50)との間に、第3段階のバッファを行うステップ(ステップS48)をさらに設けてよい。
【0048】
第3段階のバッファを行う際には(ステップS48)、基布が結合されたカーペットマット51を、まず貼合機80から第3のバッファ装置90に搬入した後、第3のバッファ装置90から自動裁断機60に搬出する。
【0049】
第3のバッファ装置90も同様にストッカースタンドであってよく、先入れ先出し方式により、基布が結合されたカーペットマット51が、第3のバッファ装置90に搬入及び搬出されてよい。第3のバッファ装置90の大きさは、収納可能な基布が結合されたカーペットマット51の総量又は総長さに応じて決定してよく、同じく生産ラインの実際の状況に照らして決定してよい。
【0050】
このように、バッファを行う段階(ステップS20)を行う第1のバッファ装置30を設けるとともに、第2段階のバッファ(ステップS45)を行う第2のバッファ装置70又は第3段階のバッファ(ステップS48)を行う第3のバッファ装置90を設けて運転することにより、実施例における生産ライン全体の速度の調整は、より一層柔軟なものになる。
【0051】
そして、前述した連続式カーペットマットの製造方法の様々な実施例の最後となるが、
図6~
図9に示すように、打ち抜き・裁断を行うステップ(ステップS50)の後に、製品を搬送し廃材を細断するステップ(ステップS60)をさらに設けて、複数のフロアマットに裁断して送り出し、裁断により生じた廃材を細断し送り出してよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明の実施例の様々な連続式カーペットマットの製造方法では、バッファを行う(ステップS20)、第2段階のバッファを行う(ステップS45)又は第3段階のバッファを行う(ステップS48)ことにより、即ち、第1のバッファ装置30、第1のバッファ装置30及び第2のバッファ装置70、又は第1のバッファ装置30及び第2のバッファ装置70及び第3のバッファ装置90が設けられている。これにより、生産ラインで速度の異なる生産ステップを組み合わせ、シャットダウンせずに連続して生産を行い、生産の一貫化を図ることができる。メンテナンス及び操作が簡単である。速度の異なる各生産ステップを組み合わせ調整することができる。生産ステップのいずれかで、一時的にシャットダウンするか又は一時的に故障の排除を必要とするときにも、生産ラインで生産を継続することができ、シャットダウンを全く必要としない。生産中の中間製品の生産ラインを途中で中断し、その工程を分割し、又はそれを生産ラインから外す必要がない。タフト機でタフトカーペットを生産する際、使用されるパイル糸の継ぎ合わせロスが1500~2000メートルあたり1回生じるにすぎず、ニードルパンチ機でニードルパンチカーペットを生産する際、合成綿が途切れず供給され、ましてや作製されるカーペットには、カーペットロールの継ぎ合わせ及び打ち抜き・裁断の残材ロスが全くない。こうして生産ラインが途切れないことを確保できるとともに、人手、製造工数、機械コスト、材料コスト及び全体的な製造コストがより効果的に節約され、製造効率が大幅に上昇し、生産能力及び産業競争力が向上する。
【0053】
上記の各実施例は、本発明の特徴を説明するためのものにすぎず、当業者が本発明の内容を理解しそれを踏まえて実施できるようにすることを目的としており、本発明の請求範囲を限定するものではない。したがって、本発明の趣旨から逸脱せずになされた他の均等な改変又は変更も、本願の請求項が限定する範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
S100 連続式カーペットマットの製造方法
S10 カーペットを提供する
S20 バッファを行う
S30 糊付けを行う
S40 乾燥を行う
S45 第2段階のバッファを行う
S47 複合化する
S48 第3段階のバッファを行う
S50 打ち抜き・裁断を行う
S60 製品を搬送し廃材を細断する
10 パイル糸保管棚
11 パイル糸
20 カーペット製造機
21 カーペット
30 第1のバッファ装置
40 糊付機
41 糊付けされたカーペット
50 乾燥機
51 カーペットマット
60 自動裁断機
61 フロアマット
70 第2のバッファ装置
80 貼合機
90 第3のバッファ装置
【国際調査報告】