(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発システム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/38 20180101AFI20220222BHJP
G06F 3/0481 20220101ALI20220222BHJP
【FI】
G06F8/38
G06F3/0481
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540148
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020012652
(87)【国際公開番号】W WO2020146444
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521301987
【氏名又は名称】ディスティ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダーノ,クリストファー ピー.
(72)【発明者】
【氏名】バン デュイン,クリストファー ジー.
(72)【発明者】
【氏名】バンデルウェイド,スコット エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジルー,ネイサン
【テーマコード(参考)】
5B376
5E555
【Fターム(参考)】
5B376BC05
5B376BC14
5B376BC42
5E555AA79
5E555BA02
5E555BA73
5E555BA83
5E555BB02
5E555BC18
5E555CA24
5E555CB45
5E555CC11
5E555DA01
5E555DB53
5E555DC09
5E555DC39
5E555EA08
5E555FA00
(57)【要約】
クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のための方法は、対応するセーフティクリティカルな指定と共にセーフティクリティカルな要件の少なくとも1つのセットを記憶する工程と、他のオブジェクトと共にユーザインタフェースに展開するためにセーフティクリティカルな指定に従ってオブジェクトを指定する工程とを含む。本方法はエンドユーザに応答してユーザインタフェースを展開するための要求を実行する工程、すなわちユーザインタフェースを指定されたオブジェクトを含むセーフティクリティカルなレイヤーおよび他のオブジェクトを含む非セーフティクリティカルなレイヤーに自動的に分解し、オブジェクトのセーフティクリティカルな指定のセーフティクリティカルな要件のセットに従ってセーフティクリティカルなレイヤーを構築し、非セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、かつセーフティクリティカルなレイヤーおよび非セーフティクリティカルなレイヤーをオーバーレイビューとしてユーザインタフェースに展開する工程をさらに含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のための方法であって、
セーフティクリティカルな要件の少なくとも1つのセットおよびセーフティクリティカルな要件の各セットのための対応するセーフティクリティカルな指定を記憶する工程と、
他のオブジェクトと共にユーザインタフェースに展開するために前記対応するセーフティクリティカルな指定のうちの1つに従ってオブジェクトを指定する工程と、
エンドユーザに応答して前記ユーザインタフェースを構築および展開するための要求を実行する工程、すなわち
スクリプトを自動的に実行して、前記ユーザインタフェースを前記オブジェクトのうちの前記指定されたものを含む前記ユーザインタフェースのためのセーフティクリティカルなレイヤーと前記他のオブジェクトを含む前記ユーザインタフェースのための非セーフティクリティカルなレイヤーとに分解し、
前記オブジェクトの前記対応するセーフティクリティカルな指定の前記セーフティクリティカルな要件のセットに従って前記セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、
前記非セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、
前記セーフティクリティカルなレイヤーおよび前記非セーフティクリティカルなレイヤーをオーバーレイビューとして前記ユーザインタフェースに展開する工程と
を含む方法。
【請求項2】
異なるオブジェクトを異なるセーフティクリティカルな指定に従って指定し、その事前生成スクリプトにより前記ユーザインタフェースを前記異なるセーフティクリティカルな指定のために異なるセーフティクリティカルなレイヤーに分解し、前記異なるセーフティクリティカルなレイヤーをセーフティクリティカルな要件の異なるセットに従って構築し、かつ前記異なるセーフティクリティカルなレイヤーを前記オーバーレイビューに展開する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記セーフティクリティカルなレイヤーおよび前記非セーフティクリティカルなレイヤーを前記ユーザインタフェース内の別個の複合ビューとして前記ユーザインタフェースにさらに展開する工程をさらに含み、ここでは前記非セーフティクリティカルなレイヤーは前記セーフティクリティカルなレイヤーの下にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記セーフティクリティカルな要件のセットは、前記セーフティクリティカルなオブジェクトの構築のための最小実行時間処理速度を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ユーザインタフェースにおいて前記オーバーレイビューを編集する工程と、
最終的なユーザインタフェース設計が完成するまで、前記ユーザインタフェースを構築および展開するための前記要求への前記応答を繰り返す工程と
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のために構成されたデータ処理システムであって、
それぞれがメモリおよび少なくとも1つのプロセッサを備えた1つ以上のコンピュータを備えるホストコンピューティングシステムと、
前記ホストコンピューティングシステムのメモリにおいて実行されるユーザインタフェース開発アプリケーションと、
前記ユーザインタフェース開発アプリケーションに結合されたクリティカリティ混在開発モジュールであって、セーフティクリティカルな要件の少なくとも1つのセットおよびセーフティクリティカルな要件の各セットのための対応するセーフティクリティカルな指定を記憶し、他のオブジェクトと共にユーザインタフェースに展開するために前記対応するセーフティクリティカルな指定のうちの1つに従ってオブジェクトを指定し、かつエンドユーザに応答して前記ユーザインタフェースを構築および展開するための要求を実行するため、すなわちスクリプトを自動的に実行して前記ユーザインタフェースを前記オブジェクトのうちの前記指定されたものを含む前記ユーザインタフェースのためのセーフティクリティカルなレイヤーと前記他のオブジェクトを含む前記ユーザインタフェースのための非セーフティクリティカルなレイヤーとに分解し、前記オブジェクトの前記対応するセーフティクリティカルな指定の前記セーフティクリティカルな要件のセットに従って前記セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、前記非セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、かつ前記セーフティクリティカルなレイヤーおよび前記非セーフティクリティカルなレイヤーをオーバーレイビューとして前記ユーザインタフェースに展開するために有効化されるプログラムコードを含むモジュールと
を備えるシステム。
【請求項7】
異なるオブジェクトを異なるセーフティクリティカルな指定に従って指定し、その事前生成スクリプトにより前記ユーザインタフェースを前記異なるセーフティクリティカルな指定のために異なるセーフティクリティカルなレイヤーに分解し、前記異なるセーフティクリティカルなレイヤーをセーフティクリティカルな要件の異なるセットに従って構築し、かつ前記異なるセーフティクリティカルなレイヤーを前記オーバーレイビューに展開する、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記プログラムコードは、前記セーフティクリティカルなレイヤーおよび前記非セーフティクリティカルなレイヤーを前記ユーザインタフェース内の別個の複合ビューとして前記ユーザインタフェースにさらに展開するためにさらに有効化され、ここでは前記非セーフティクリティカルなレイヤーは前記セーフティクリティカルなレイヤーの下にある、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記セーフティクリティカルな要件のセットは、前記セーフティクリティカルなオブジェクトの構築のための最小実行時間処理速度を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記プログラムコードは、前記ユーザインタフェースにおいて前記オーバーレイビューを編集し、かつ最終的なユーザインタフェース設計が完成するまで前記ユーザインタフェースを構築および展開するための前記要求への前記応答を繰り返すためにさらに有効化される、請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のためのコンピュータプログラム製品であって、それと共に具体化されるプログラム命令を有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含み、前記プログラム命令は装置に、
セーフティクリティカルな要件の少なくとも1つのセットおよびセーフティクリティカルな要件の各セットのための対応するセーフティクリティカルな指定を記憶する工程と、
他のオブジェクトと共にユーザインタフェースに展開するために前記対応するセーフティクリティカルな指定のうちの1つに従ってオブジェクトを指定する工程と、
エンドユーザに応答して前記ユーザインタフェースを構築および展開するための要求を実行する工程、すなわち
スクリプトを自動的に実行して、前記ユーザインタフェースを前記オブジェクトのうちの前記指定されたものを含む前記ユーザインタフェースのためのセーフティクリティカルなレイヤーと前記他のオブジェクトを含む前記ユーザインタフェースのための非セーフティクリティカルなレイヤーとに分解し、
前記オブジェクトの前記対応するセーフティクリティカルな指定の前記セーフティクリティカルな要件のセットに従って前記セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、
前記非セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、
前記セーフティクリティカルなレイヤーおよび前記非セーフティクリティカルなレイヤーをオーバーレイビューとして前記ユーザインタフェースに展開する工程と
を含む方法を行わせるために前記装置によって実行可能であるコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
異なるオブジェクトを異なるセーフティクリティカルな指定に従って指定し、その事前生成スクリプトにより前記ユーザインタフェースを前記異なるセーフティクリティカルな指定のために異なるセーフティクリティカルなレイヤーに分解し、前記異なるセーフティクリティカルなレイヤーをセーフティクリティカルな要件の異なるセットに従って構築し、かつ前記異なるセーフティクリティカルなレイヤーを前記オーバーレイビューに展開する、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記方法は、
前記セーフティクリティカルなレイヤーおよび前記非セーフティクリティカルなレイヤーを前記ユーザインタフェース内の別個の複合ビューとして前記ユーザインタフェースにおいてさらに展開する工程
をさらに含み、ここでは前記非セーフティクリティカルなレイヤーは前記セーフティクリティカルなレイヤーの下にある、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
前記セーフティクリティカルな要件のセットは、前記セーフティクリティカルなオブジェクトの構築のための最小実行時間処理速度を含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
前記ユーザインタフェースにおいて前記オーバーレイビューを編集する工程と、
最終的なユーザインタフェース設計が完成するまで、前記ユーザインタフェースを構築および展開するための前記要求への前記応答を繰り返す工程と
をさらに含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年1月10日に出願された米国仮出願第62/790,508号の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ユーザインタフェース開発システムに関し、より詳細にはセーフティクリティカルなコンテンツを含むユーザインタフェース開発システムに関する。
【背景技術】
【0003】
数多くの業界標準は、ソフトウェアツールおよびシステムの開発に関連してセーフティクリティカルなサポートを定めている。業界標準としては、IEC61508(電気/電子システム)、ISO26262(道路車両)、IEC62304(医療装置)、EN50128(鉄道システム)、DO-178B/CまたはED-12B/C(アビオニクスシステム)が挙げられる。従ってセーフティクリティカルなコンテンツは、セーフティクリティカルな標準の要件を満たした後にセーフティクリティカルなコンテンツを展開することができるようにするために、処理能力、バックアップシステム、故障解析などの形態でソフトウェアツールおよびシステムからのさらなるサポートを必要とする。
【0004】
DiSTI’s GL Studio(登録商標)は、ターゲットハードウェアに準拠したユーザインタフェースの容易な作成を可能にする。GL Studio(登録商標)を使用して、デジタルの自動車コックピット機器、HUD、コントロールおよびクラスターならびに完全没入型HMIコックピット環境を迅速かつ容易に提供することができる。DiSTI’s GL Studio(登録商標)は、非セーフティクリティカルなコンポーネントを設計する場合に、組み込みシステム向けユーザインタフェース設計から高性能かつ高品質なビューを提供する。別にDiSTI’s GL Studio(登録商標)は、セーフティクリティカルなユーザインタフェース設計のためにセーフティクリティカルなコンテンツサポートを提供する。
【0005】
顧客は今では、非セーフティクリティカルなコンポーネントとセーフティクリティカルなコンポーネントの両方を同じシステム内で開発することを必要としている。しかしセーフティクリティカルなコンテンツと非セーフティクリティカルなコンテンツとを含むシステムを開発するためのプロセスは極めて厄介である。現在のところエンドユーザは、セーフティクリティカルなコンテンツを非セーフティクリティカルなコンテンツとは別に設計するか、非セーフティクリティカルなコンテンツをセーフティクリティカルな要件に従って設計しなければならず、これは、エンドユーザがDiSTI’s GL Studio(登録商標)によって提供されている高性能かつ高品質なビジュアルの多くを使用するのを妨げている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態は、セーフティクリティカルなコンテンツを含むユーザインタフェース開発システムに関する当該技術分野の欠点に対処し、クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のための新規かつ非自明な方法、システムおよびコンピュータプログラム製品を提供する。本発明の一実施形態では、クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のための方法は、セーフティクリティカルな要件の少なくとも1つのセットおよびセーフティクリティカルな要件の各セットのための対応するセーフティクリティカルな指定を記憶する工程と、他のオブジェクトと共にユーザインタフェースに展開するために対応するセーフティクリティカルな指定のうちの1つに従ってオブジェクトを指定する工程とを含む。本方法は、エンドユーザに応答してユーザインタフェースを構築および展開するための要求を実行する工程、すなわちスクリプトを自動的に実行してユーザインタフェースをオブジェクトのうちの指定されたものを含むユーザインタフェースのためのセーフティクリティカルなレイヤーと他のオブジェクトを含むユーザインタフェースのための非セーフティクリティカルなレイヤーとに分解し、オブジェクトの対応するセーフティクリティカルな指定のセーフティクリティカルな要件のセットに従ってセーフティクリティカルなレイヤーを構築し、非セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、かつセーフティクリティカルなレイヤーおよび非セーフティクリティカルなレイヤーをオーバーレイビューとしてユーザインタフェースに展開する工程をさらに含む。
【0007】
本実施形態の一態様では、異なるオブジェクトに異なるセーフティクリティカルな指定を与え、その事前生成スクリプトによりユーザインタフェースを異なるセーフティクリティカルな指定のために異なるセーフティクリティカルなレイヤーに分解し、異なるセーフティクリティカルなレイヤーをセーフティクリティカルな要件のセットに従って構築し、かつ異なるセーフティクリティカルなレイヤーをオーバーレイビューに展開する。本実施形態の別の態様では、本方法は、セーフティクリティカルなレイヤーおよび非セーフティクリティカルなレイヤーをユーザインタフェース内の別個の複合ビューとしてユーザインタフェースに展開する工程をさらに含み、ここでは非セーフティクリティカルなレイヤーはセーフティクリティカルなレイヤーの下にある。本実施形態のさらに別の態様では、セーフティクリティカルな要件のセットは、セーフティクリティカルなオブジェクトの構築のための最小実行時間処理速度の向上を含む。本実施形態のさらになお別の態様では、本方法は、ユーザインタフェースにおいてオーバーレイビューを編集する工程と、最終的なユーザインタフェース設計が完成するまで、ユーザインタフェースを構築および展開するための要求への応答を繰り返す工程とをさらに含む。
【0008】
本発明の別の実施形態では、データ処理システムをクリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のために構成してもよい。本システムは、それぞれがメモリおよび少なくとも1つのプロセッサを備えた1つ以上のコンピュータと、ホストコンピューティングシステムのメモリにおいて実行されるユーザインタフェース開発アプリケーションとを備えるホストコンピューティングシステムを含む。クリティカリティ混在開発モジュールをユーザインタフェース開発アプリケーションに結合し、当該モジュールは、セーフティクリティカルな要件の少なくとも1つのセットおよびセーフティクリティカルな要件の各セットのための対応するセーフティクリティカルな指定を記憶し、かつ他のオブジェクトと共にユーザインタフェースに展開するために対応するセーフティクリティカルな指定のうちの1つに従ってオブジェクトを指定するために有効化されるプログラムコードを含む。このプログラムコードはさらに、エンドユーザに応答してユーザインタフェースを構築および展開するための要求を実行するため、すなわちスクリプトを自動的に実行してユーザインタフェースをオブジェクトのうちの指定されたものを含むユーザインタフェースのためのセーフティクリティカルなレイヤーと他のオブジェクトを含むユーザインタフェースのための非セーフティクリティカルなレイヤーとに分解し、オブジェクトの対応するセーフティクリティカルな指定のセーフティクリティカルな要件のセットに従ってセーフティクリティカルなレイヤーを構築し、非セーフティクリティカルなレイヤーを構築し、かつセーフティクリティカルなレイヤーおよび非セーフティクリティカルなレイヤーをオーバーレイビューとしてユーザインタフェースに展開するために有効化される。
【0009】
本発明のさらなる態様は以下の説明に一部が記載されており、一部はその説明から明らかになるか、あるいは本発明の実施により学習することができる。本発明の態様は、添付の特許請求の範囲に示されている要素および組み合わせにより実現および達成されるであろう。当然のことながら、上記一般的な説明および以下の詳細な説明はどちらも単に例示的かつ説明的なものであり、特許請求されているものとして本発明を限定するものではない。
【0010】
本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成している添付の図面は本発明の実施形態を例示しており、かつ本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。本明細書に例示されている実施形態は現在のところ好ましいものであるが、当然のことながら本発明は図示されている正確な構成および手段に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のためのプロセスの絵で表された図である。
【
図2】クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発に適したデータ処理システムの概略図である。
【
図3】クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のためのプロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態は、エンドユーザがユーザインタフェース設計の単一のビューに他のオブジェクトと共に展開するためにオブジェクトをセーフティクリティカルなものとして指定するのを可能にすることにより、クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発を提供する。エンドユーザがユーザインタフェースの単一のビューにおいてセーフティクリティカルなオブジェクトおよび非セーフティクリティカルなオブジェクトを設計するのを可能にすることで、エンドユーザはターゲットハードウェアにインストールしたら、どのようにしてオブジェクトの全てがユーザインタフェースにおいて実行および対話するかをより効率的に視覚化することができる。エンドユーザがユーザインタフェースを構築および展開する場合、ユーザインタフェースの単一のビューを、指定されたセーフティクリティカルなオブジェクトを含むセーフティクリティカルなレイヤーと、非セーフティクリティカルなオブジェクトを含む主要レイヤーすなわち非セーフティクリティカルなレイヤーとに分解する。セーフティクリティカルなレイヤーをセーフティクリティカルな要件に従って優先して構築し、かつセーフティクリティカルな要件を必要とせずに構築される主要レイヤーにオーバーレイして展開する。次いでエンドユーザは、ユーザインタフェース設計をターゲットハードウェアにインストールする前に、オーバーレイされたセーフティクリティカルなレイヤーおよび主要レイヤーの単一のビューを編集することにより当該プロセスを繰り返してもよい。このようにして、エンドユーザは設計プロセス全体を通してユーザインタフェース設計の単一のビューにおいてセーフティクリティカルなコンポーネントおよび非セーフティクリティカルなコンポーネントの全てを設計することができるため、ユーザインタフェース設計システムの効率は最適化される。
【0013】
さらなる図では、
図1はクリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のためのプロセスを絵により示す。
図1に示すように、エンドユーザ110はユーザインタフェース設計アプリケーション140において新しいプロジェクトを開始し、クリティカリティ混在ロジックまたはパッケージ130を設計プロジェクトに追加する。開発中に、ユーザインタフェース開発者またはエンドユーザ110は、セーフティクリティカルなコンポーネントおよび非セーフティクリティカルなコンポーネントの両方を含む統合されたユーザインタフェースを開発する。開発者は所望の見た目を有するユーザインタフェースを開発するために、コンポーネントのそれぞれの位置決め、サイズ変更などをしてもよい。特にユーザインタフェース設計アプリケーション140から分かるように、ユーザは、ユーザインタフェース設計の単一のビューの中のどのオブジェクトを別個のセーフティクリティカルな要件120を必要とするセーフティクリティカルなものとして指定するかを定めることができる。エンドユーザはユーザインタフェース設計140の単一のビューにおいて、異なるセーフティクリティカルな要件を有する異なるセーフティクリティカルな指定の下で異なるオブジェクトを指定することができる。
【0014】
セーフティクリティカルな要件120は、IEC61508(電気/電子システム)、ISO26262(道路車両)、IEC62304(医療装置)、EN50128(鉄道システム)、DO-178B/CまたはED-12B/C(アビオニクスシステム)などのセーフティクリティカルな標準に基づいている。セーフティクリティカルな要件は、異なるセーフティクリティカルな標準の最小実行時間処理速度、バックアップシステム、故障解析などの処理能力の要件をサポートするために、ユーザインタフェース設計ツールにさらなるサポートを提供するパッケージの形態で記憶されていてもよい。
【0015】
コンポーネントを所望どおりに位置決めしたら、本システムはユーザインタフェースの設計を構築および展開してもよく、1つ以上の適当なアプリケーションを生成、コンパイル、リンクおよび実行して、ユーザインタフェースの機能モデルを実演する。
図1から分かるように、ユーザがユーザインタフェース設計アプリケーション140を構築および展開する場合、クリティカリティ混在ロジック130は設計140の単一のビューを別個のレイヤー150に分解する。別個のレイヤー150は、セーフティクリティカルなレイヤーおよび非セーフティクリティカルなレイヤーすなわち主要レイヤーを含む。セーフティクリティカルなレイヤーは、ユーザインタフェース設計140においてセーフティクリティカルなものとして指定されたオブジェクトの全てを含む。あるいは、クリティカリティ混在ロジック130はユーザインタフェース設計140を複数のセーフティクリティカルなレイヤーに分解してもよく、ここでは各セーフティクリティカルなレイヤーを、異なるセーフティクリティカルな要件を有する異なるオブジェクトの異なるセーフティクリティカルな指定に基づいて分解する。
【0016】
次いでセーフティクリティカルなレイヤーを、150に示されているオブジェクトのセーフティクリティカルな指定のセーフティクリティカルな要件120に従って優先して構築する。非セーフティクリティカルなレイヤーはセーフティクリティカルな要件に関係なく構築し、従って150に示されているより高品質かつ高性能なビジュアルを含むことができる。非セーフティクリティカルなレイヤーをセーフティクリティカルなレイヤーの後に構築するために、セーフティクリティカルなレイヤーを優先してもよい。次いでセーフティクリティカルなレイヤーおよび非セーフティクリティカルなレイヤーをオーバーレイしてセーフティクリティカルなレイヤーおよび非セーフティクリティカルなレイヤーの単一のオーバーレイされたビュー160を表示する。次いでエンドユーザが設計プロセスを繰り返し、かつどのようにしてセーフティクリティカルなオブジェクトおよび非セーフティクリティカルなオブジェクトが対話するかを効率的に決定することができるように、単一のオーバーレイされたビュー160をUI設計アプリケーションにおいてエンドユーザに表示する。
【0017】
開発者またはエンドユーザ110は、ユーザインタフェースの最終的な設計が作成されるまで変化および修正により再構築および試験を繰り返す。その段階で、本システムは当該インタフェースを自動車、飛行機またはあらゆる他のシステムまたは車両などのターゲットハードウェアに展開することができる。さらにエンドユーザは、UI設計アプリケーションにおいて分解されたセーフティクリティカルなレイヤーおよび非セーフティクリティカルなレイヤーを別個の複合ビューとして見るための要求を実行して、これらのレイヤーを別々に作業してもよい。さらにエンドユーザは、これらのユーザインタフェース設計アプリケーション160を構築し、かつユーザインタフェースの設計の容易性のためにデスクトップ型PC(Windows(登録商標)およびLinux(登録商標)のような)および直接に組み込まれるターゲットシステムの両方に展開して、どのようにしてユーザインタフェースを実際の組み込まれたターゲットシステム上で実行させるかを決定してもよい。
【0018】
図1に示されているプロセスは、コンピュータデータ処理システムに実装されていてもよい。さらなる図では、
図2は、クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発に適したデータ処理システムを概略的に示す。本システムはネットワーク210を介してサーバ220と通信し、本システムは、本システム内に配置された少なくとも1つのプロセッサ280およびメモリ270および固定記憶装置260を備える。本システムは、自動車、飛行機またはあらゆる他のシステムまたは車両などのターゲットシステム240、あるいはユーザインタフェース設計および開発アプリケーション220の異なるエンドユーザのために、デスクトップ型PC、ラップトップまたはモバイルデバイスなどの異なる装置250に展開するために、ユーザインタフェースを開発および設計するためのユーザインタフェース開発アプリケーション220を備える。
【0019】
重要なことに、クリティカリティ混在開発モジュール300はユーザインタフェース設計アプリケーション220に結合させてもよい。クリティカリティ混在開発モジュール300は、セーフティクリティカルな要件のセットおよびセーフティクリティカルな要件の各セットのための対応するセーフティクリティカルな指定を固定記憶装置260に記憶する。装置250またはターゲットシステム240のエンドユーザは、装置250またはターゲットシステム240上に展開するためにユーザインタフェースを開発し、かつ他のオブジェクトと共にユーザインタフェースに展開するために対応するセーフティクリティカルな指定のうちの1つに従ってオブジェクトを指定する。エンドユーザがユーザインタフェースを構築および展開する場合、クリティカリティ混在開発モジュール300は、ユーザインタフェースをオブジェクトのうちの指定されたものを含むユーザインタフェースのためのセーフティクリティカルなレイヤーと他のオブジェクトを含むユーザインタフェースのための非セーフティクリティカルなレイヤーとに分解する。次いでクリティカリティ混在開発モジュール300は、オブジェクトの対応するセーフティクリティカルな指定のセーフティクリティカルな要件のセットに従ってセーフティクリティカルなレイヤーを優先して構築し、かつセーフティクリティカルな要件に関係なく非セーフティクリティカルなレイヤーを構築する。各レイヤーが構築されるので、これらのレイヤーは、最終的な設計が作成され、かつターゲットシステム240上に展開されるまでエンドユーザが当該プロセスを繰り返すことができるように、装置250またはターゲットシステム240において単一のオーバーレイされたビューとして展開される。
【0020】
クリティカリティ混在開発モジュール300の動作のさらになおさらなる図では、
図3は、クリティカリティ混在ユーザインタフェース開発のための例示的なプロセスを示すフローチャートである。ブロック310で開始して、異なるセーフティクリティカルな要件および対応するセーフティクリティカルな指定を記憶する。ブロック320では、エンドユーザは、ユーザインタフェース設計の単一のビューにおいてユーザインタフェース設計を設計および編集する。ブロック330では、エンドユーザはユーザインタフェース設計において他のオブジェクトと共に展開するために、対応するセーフティクリティカルな指定のうちの1つによりセーフティクリティカルであるユーザインタフェース設計内のオブジェクトを選択する。ブロック340では、エンドユーザはユーザインタフェース設計を構築および展開する。ブロック350では、ユーザインタフェース設計においてセーフティクリティカルなオブジェクトであるか否かを決定する。セーフティクリティカルなオブジェクトが存在しない場合、ブロック360では、エンドユーザがその設計を編集し、かつブロック420においてその設計が完成するまで当該プロセスを繰り返すことができるように、ユーザインタフェースを単一の主要レイヤーとして構築および展開する。
【0021】
ユーザインタフェース設計においてセーフティクリティカルなオブジェクトが存在する場合、ブロック370では、セーフティクリティカルなオブジェクトを主要レイヤーから除去し、かつブロック380では、ユーザインタフェース設計の単一のビューを主要レイヤーとセーフティクリティカルなレイヤーとに分解する。ブロック390では、セーフティクリティカルなレイヤーのオブジェクトのセーフティクリティカルな指定のセーフティクリティカルな要件に従って、セーフティクリティカルなレイヤーを優先して構築する。異なるセーフティクリティカルな指定により異なるオブジェクトに基づく複数のセーフティクリティカルなレイヤーが存在してもよい。ブロック400では、セーフティクリティカルなレイヤーのセーフティクリティカルな要件に関係なく主要レイヤーを構築する。ブロック410では、ブロック420において最終的な設計が完成するまでエンドユーザがユーザインタフェース設計を編集し、かつ当該プロセスを繰り返すことができるように、セーフティクリティカルなレイヤーと主要レイヤーの単一のオーバーレイビューをエンドユーザに表示する。
【0022】
本発明は、システム、方法、コンピュータプログラム製品またはそれらの任意の組み合わせの中に具体化されていてもよい。コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有する1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行装置により使用するための命令を保持および記憶することができる有形装置であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は例えば、限定されるものではないが、電子記憶装置、磁気記憶装置、光学記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置または上記の好適な組み合わせであってもよい。
【0023】
本明細書に記載されているコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれの計算/処理装置に、あるいはネットワークを介して外部コンピュータまたは外部記憶装置にダウンロードすることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、独立型ソフトウェアパッケージとして完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上であって部分的にリモートコンピュータ上で、あるいは完全にリモートコンピュータまたはサーバ上で実行されてもよい。本発明の態様は、本発明の実施形態に係る方法のフローチャート図および/またはブロック図、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品を参照しながら本明細書に説明されている。当然のことながらフローチャート図および/またはブロック図の各ブロックならびにフローチャート図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータ可読プログラム命令によって実行することができる。
【0024】
これらのコンピュータ可読プログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに与えて、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令がフローチャートおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックに指定されている機能/動作を実行するための手段を生成するようなマシンを作り出す。またコンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置および/または他の装置に特定の方法で機能するように指示することができるこれらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されていてもよく、従って、命令がその中に記憶されているコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックに指定されている機能/動作の態様を実行する命令を含む製品を含む。
【0025】
またコンピュータ可読プログラム命令をコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他の装置にロードして一連の動作工程をコンピュータ、他のプログラム可能な装置または他の装置上で実行して、コンピュータ、他のプログラム可能な装置または他の装置上で実行される命令がフローチャートおよび/またはブロック図の1つのブロックまたは複数のブロックに指定されている機能/動作を実行するようなコンピュータ実装プロセスを生成してもよい。
【0026】
図の中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態に係るシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能および動作を示す。この点に関して、フローチャートまたはブロック図の中の各ブロックは、指定されている論理機能を実行するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメントまたは命令の一部を表してもよい。いくつかの他の実装形態では、ブロックに記載されている機能を図に記載されている順序以外で行われることがある。例えば、連続で示されている2つのブロックは実際には実質的に同時に実行されてもよく、あるいはそれらのブロックは関わっている機能に応じて、時には逆の順序で実行されることがある。なお、ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロックならびにブロック図および/またはフローチャート図の中のブロックの組み合わせは、指定されている機能または動作を行うか、あるいは専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを行う専用ハードウェアをベースとするシステムによって実行することができる。
【0027】
最後に、本明細書で使用される用語は単に特定の実施形態について説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。本明細書で使用される単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(前記)(the)」は、文脈が明らかにそうでないことを示していない限り複数形も含むことが意図されている。「~を含む(備える)(include)」および/または「~を含む(備える)(including)」という用語は、本明細書で使用されている場合、記載されている特徴、整数、工程、動作、要素および/またはコンポーネントの存在を明記しているが、その1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、コンポーネントおよび/またはグループの存在または追加を排除するものではないことがさらに理解されるであろう。
【0028】
以下の特許請求の範囲の中の全ての機能的表現の(means or step plus function)要素の対応する構造、材料、動作および均等物は、具体的に特許請求されているものとして他の特許請求されている要素との組み合わせで機能を行うためのあらゆる構造、材料または動作を含むことが意図されている。本発明の説明は例示および説明のために提供されており、網羅的であることまたは開示されている形態の発明に限定されることは意図されていない。本発明の範囲および趣旨から逸脱しない多くの修正および変形は当業者には明らかであろう。本実施形態は、本発明の原理および実用的な用途を最も良く説明するため、および考えられる特定の使用に合わせられたものとして様々な修正を含む様々な実施形態について本発明を他の当業者が理解できるようにするために選択および説明された。
【0029】
従って、本出願の発明について詳細に、かつその実施形態を参照しながら説明してきたが、以下のとおり添付の特許請求の範囲に定められている本発明の範囲から逸脱することなく修正および変形が可能であることは明らかであろう。
【国際調査報告】