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特表2022-516795局所的に制御されたねじ山高さを伴う短縮された締結具
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】局所的に制御されたねじ山高さを伴う短縮された締結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 33/02 20060101AFI20220222BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
F16B33/02 Z
F16B35/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540173
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-09
(86)【国際出願番号】 US2019066147
(87)【国際公開番号】W WO2020146089
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】16/245,856
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511015641
【氏名又は名称】マスリード インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ガーバー, マイケル エー.
(57)【要約】
オス型交差防止型螺合締結具は、略丸みを帯びた軸部を備え、軸部は、先導端と、トルク端と、軸部の円周の周囲の複数のオス型ねじ山とを有し、複数のオス型ねじ山は、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、標準ねじ山輪郭を有する、標準ねじ山であって、標準ねじ山の幅およびねじ山角度は、対応するメス型ねじ山との係合を可能にし、標準ねじ山の大径は、下側大径限界と上側大径限界との間にある、標準ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、対応するメス型ねじ山との係合を可能にする、標準ねじ山の幅およびねじ山角度に類似する、幅およびねじ山角度を伴う、遷移ねじ山輪郭を有する、遷移ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、オス型交差防止型ねじ山締結具とメス型締結具の整合を助長するように構成される、交差防止型ねじ山輪郭および外径を有する、交差防止型ねじ山と、先導ねじ山とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス型交差防止型螺合締結具であって、
略丸みを帯びた軸部を備え、
前記軸部は、先導端と、トルク端と、前記軸部の円周の周囲の複数のオス型ねじ山とを有し、
前記複数のオス型ねじ山は、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、標準ねじ山輪郭を有する、標準ねじ山であって、前記標準ねじ山の幅およびねじ山角度は、対応するメス型ねじ山との係合を可能にし、前記標準ねじ山の大径は、下側大径限界と上側大径限界との間にある、標準ねじ山と、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、対応するメス型ねじ山との係合を可能にする、前記標準ねじ山の幅およびねじ山角度に類似する、幅およびねじ山角度を伴う、遷移ねじ山輪郭を有する、遷移ねじ山と、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、前記オス型交差防止型ねじ山締結具とメス型締結具の整合を助長するように構成されている、交差防止型ねじ山輪郭および外径を有する、交差防止型ねじ山と、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、先導ねじ山輪郭を有する、先導ねじ山と
を備え、
前記遷移ねじ山輪郭は、前記標準ねじ山の前記下側大径限界から前記交差防止型ねじ山の前記外径に遷移する、高さを有する、交差防止型螺合締結具。
【請求項2】
前記標準ねじ山は、少なくとも2巻(720度)、前記軸部の周囲に巻回する、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項3】
前記遷移ねじ山は、約5/8巻未満(225度)、前記軸部の周囲に巻回する、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項4】
前記交差防止型ねじ山は、1巻(360度)~2巻(720度)、前記軸部の周囲に巻回する、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項5】
前記先導ねじ山は、1/2巻(180度)~2巻(720度)、前記軸部の周囲に巻回する、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項6】
前記標準ねじ山は、約60度のねじ山角度を備え、前記遷移ねじ山は、谷部から頂部まで約60度のねじ山角度を備える、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項7】
前記遷移ねじ山輪郭は、前記高さが前記標準ねじ山の前記下側大径限界から前記交差防止型ねじ山の前記外径へと遷移するにつれて広くなる、頂部を有する、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項8】
前記交差防止型ねじ山の前記外径は、前記標準ねじ山のピッチ径とほぼ同一であり、前記交差防止型ねじ山輪郭は、谷部における曲線からほぼ前記外径まで延在する、曲線によって画定された形状を備える、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項9】
前記標準ねじ山、前記遷移ねじ山、前記交差防止型ねじ山、および前記先導ねじ山は、前記軸部の周囲の連続ねじ山螺旋を備える、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項10】
前記軸部の前記先導端における食付き点をさらに備える、請求項1に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項11】
前記食付き点は、可変外径および長さを備え、前記可変外径は、前記軸部の前記先導端に近接して最大であり、前記軸部の前記先導端から遠位の前記食付き点の端部に向かってより小さくなる、請求項10に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項12】
オス型交差防止型螺合締結具であって、
略丸みを帯びた軸部を備え、
前記軸部は、先導端と、トルク端と、前記軸部の円周の周囲の複数のオス型ねじ山とを有し、
前記複数のオス型ねじ山は、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、谷部、平坦頂部、および前記谷部から前記頂部までの平坦斜面によって画定されている、標準ねじ山輪郭と、約60度のねじ山角度とを有する、標準ねじ山であって、前記標準ねじ山の大径は、下側大径限界と上側大径限界との間にある、標準ねじ山と、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、谷部、平坦頂部、および前記谷部から前記頂部までの平坦斜面によって画定されている、遷移ねじ山輪郭と、約60度のねじ山角度とを備える、前記標準ねじ山と連続螺旋を形成する遷移ねじ山と、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、前記オス型交差防止型ねじ山締結具のメス型締結具との整合を助長するように構成されている、交差防止型ねじ山輪郭および外径を有する、前記遷移ねじ山と連続螺旋を形成する交差防止型ねじ山と、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、先導ねじ山輪郭を有する、前記交差防止型ねじ山と連続螺旋を形成する先導ねじ山と
を備え、
前記遷移ねじ山輪郭が前記標準ねじ山輪郭から前記交差防止型ねじ山輪郭に遷移するにつれて、前記遷移ねじ山輪郭の頂部は、広くなり、前記遷移ねじ山輪郭の高さは、短くなる、交差防止型螺合締結具。
【請求項13】
前記遷移ねじ山は、約5/8巻未満(225度)、前記軸部の周囲に巻回する、請求項12に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項14】
前記交差防止型ねじ山の前記外径は、前記標準ねじ山のピッチ径とほぼ同一であり、前記交差防止型ねじ山輪郭は、前記谷部における曲線からほぼ前記外径まで延在する、曲線によって画定された形状を備える、請求項12に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項15】
前記標準ねじ山、前記遷移ねじ山、前記交差防止型ねじ山、および前記先導ねじ山は、前記軸部の周囲の連続ねじ山螺旋を備える、請求項12に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項16】
前記軸部の前記先導端における食付き点をさらに備える、請求項12に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項17】
前記食付き点は、可変外径および長さを備え、前記可変外径は、前記軸部の前記先導端に近接して最大であり、前記軸部の前記先導端から遠位の前記食付き点の端部に向かってより小さくなる、請求項16に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項18】
オス型交差防止型螺合締結具であって、
略丸みを帯びた軸部を備え、
前記軸部は、先導端と、トルク端と、前記軸部の円周の周囲の複数のオス型ねじ山とを有し、
前記複数のオス型ねじ山は、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、最小径における谷部、大径における平坦頂部、および前記谷部から前記頂部までの平坦斜面によって画定されている、標準ねじ山輪郭を有し、あるピッチ径における幅と、約60度のねじ山角度とを有する、標準ねじ山であって、前記標準ねじ山の前記大径は、下側大径限界と上側大径限界との間にある、標準ねじ山と、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、谷部、平坦頂部、および前記谷部から前記頂部までの平坦斜面によって画定されている、遷移ねじ山輪郭と、約60度のねじ山角度と、前記標準ねじ山輪郭の前記下側大径限界以下の高さとを備える、前記標準ねじ山と連続螺旋を形成する遷移ねじ山であって、前記遷移ねじ山は、約5/8巻未満(225度)、前記軸部の周囲に巻回する、遷移ねじ山と、
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、前記標準ねじ山の前記ピッチ径とほぼ同一である外径を備える交差防止型ねじ山輪郭を有する、前記遷移ねじ山と連続螺旋を形成する交差防止型ねじ山と
を備え、
前記交差防止型ねじ山輪郭は、谷部における曲線からほぼ前記外径まで延在する、曲線によって画定された形状を備える、交差防止型螺合締結具。
【請求項19】
前記軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、先導ねじ山輪郭を有する、前記交差防止型ねじ山と連続螺旋を形成する先導ねじ山をさらに備える、請求項18に記載の交差防止型螺合締結具。
【請求項20】
前記軸部の前記先導端における食付き点をさらに備える、請求項18に記載の交差防止型螺合締結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本開示は、概して、ねじおよびボルト等のねじ山付き締結具の分野に関し、より具体的には、ねじ山螺旋の先導端における遷移ねじ山に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
米国特許第5,836,731号は、その全体として本明細書に組み込まれる、交差防止型ねじ山締結具を開示する。図1は、ねじ山螺旋が、螺旋が、螺旋の全長にわたって標準ねじ山輪郭ではなく、4つの順次輪郭を備えるという点で、大部分の締結具ねじ山と異なる、公知の交差防止型ねじ山締結具の側面図を示す。これらの4つのねじ山輪郭は、(i)螺旋巻の大部分のための締結具の軸部の周囲に巻着される、標準ISOタイプねじ山輪郭10(そのような巻の数は、所望の機能ねじ山長を達成するための要求に応じて判定される)と、(ii)標準ねじ山輪郭に隣接する、遷移ねじ山輪郭20と、(iii)米国特許第5,836,731号に説明されるような半径方向外形と、螺旋の約1周の完全な巻の長さとを有する、交差防止型ねじ山輪郭30と、(iv)螺旋の1/8巻~数巻の長さを有し、ねじ山螺旋をメス型ねじ山と噛合させるように食い付かせるように機能する、先導ねじ山輪郭40とを含む(締結具ヘッドから先導端の順序で列挙される)。米国特許第9,644,664号(その全体として本明細書に組み込まれる)は、改良された誤螺合防止型性能を締結具に与える、先導ねじ山40のための輪郭を説明する。米国特許第6,561,741号(その全体として本明細書に組み込まれる)は、改良された食付き性能を与え、締結具を整合させる、先導ねじ山40のための輪郭を説明する。先導ねじ山輪郭40はまた、他の準理想的外形を有し得る。交差防止型ねじ山および誤螺合防止型締結具は、一般に、商標名MAThread(登録商標)およびMATpoint(登録商標)下で販売されている。
【0003】
遷移ねじ山輪郭20は、2つの主要機能、すなわち、(i)標準ISOタイプねじ山輪郭10と交差防止型ねじ山輪郭30との間の平滑に混成された遷移を形成することと、(ii)螺合の間、メス型ねじ山に干渉しない、またはそれと過度に接触しないこととを有する。これらの機能は両方とも、非構造的であって、完全高さの標準ねじ山を要求しない。
【0004】
第1の機能を実施するために、遷移ねじ山輪郭20は、標準ISOタイプねじ山輪郭10と平滑に混成する、一端と、交差防止型ねじ山輪郭30の半径方向外形と平滑に混成する、他端とを有する。交差防止型ねじ山輪郭30の高さは、標準ISOタイプねじ山輪郭10の高さの約半分である。遷移ねじ山輪郭20は、これらのねじ山高さの間に平滑遷移を提供しなければならない。
【0005】
第2の機能を実施するために、遷移ねじ山輪郭20は、その長さにわたって、高さを減少させる。図2は、締結具軸部14の縦方向中心軸に沿って得られた、締結具の2つの隣接するねじ山の断面図を示す。ねじ山は、標準部品を有する。例えば、標準ISOタイプねじ山輪郭10は、谷部11と、斜面12と、頂部13とを有し、斜面12のねじ山角度は、約60度である。斜面12は、平坦であって、谷部11から頂部13まで延在する。標準ISOタイプねじ山輪郭10は、標準ねじ山大径16を有する、最高ねじ山である。交差防止型ねじ山輪郭30は、高さ62に差異が存在するように、交差防止型ねじ山外径36を有し、高さが約半分である。遷移ねじ山輪郭20は、それらが先導ねじ山輪郭40および交差防止型ねじ山輪郭30と係合するにつれて、メス型締結具のメス型ねじ山に干渉せずに、遷移するはずである。
【0006】
図3A-3Hは、締結具軸部14の周囲に巻着するにつれた、遷移ねじ山輪郭20を通して得られた、一連の順次断面図を提供する。直線61は、これらの図では、遷移ねじ山輪郭20の上部を横断して延在し、ねじ山螺旋が軸部14の周囲に巻着するにつれた、高さの一定低減を図示する。遷移ねじ山輪郭20は、ISOタイプ標準ねじ山輪郭10(図3A参照)および交差防止型ねじ山外形30(図3H参照)の混成または融合である。遷移ねじ山輪郭20の標準部分21が、高さを減少させるにつれて、交差防止型部分22のますます多くが、突出し、斜面12を谷部11に形成する。遷移ねじ山輪郭20は、最初に、若干より短い標準ねじ山外形(図3B参照)として現れ、斜面12は、同一角度にあって、頂部13の幅は、標準ISOタイプ標準ねじ山輪郭11と同一である。外形の差異は、下方に偏移され、したがって、ねじ山は、より短くなり、谷部11間の幅は、より狭くなる。図3Dでは、ねじ山の標準部分21は、なおもさらに下方に偏移され、したがって、遷移ねじ山輪郭20は、さらにより短くなる。また、標準部分21が下方に偏移された状態では、交差防止型部分22は、谷部11に隣接して斜面から膨隆する。図3Eでは、標準部分21は、なおもさらに下方に偏移され、したがって、遷移ねじ山輪郭20は、さらにより短くなり、交差防止型部分22は、谷部11に隣接して斜面12のさらにより多くを形成する。図3Fでは、交差防止型部分22は、優勢となり、標準部分21は、遷移ねじ山輪郭20の上部に先端を形成する。図3Fでは、遷移ねじ山輪郭20は、図3Gに示されるものに類似するが、交差防止型部分22の上部において突出する、標準部分21の先端は、さらにより短くかつより狭くなる。重要なこととして、図3B-3Gに示されるように、標準部分21の上部における頂部13は、同一幅を維持し、標準部分21の斜面12は、同一斜面角度を維持する。
【0007】
図4A-4Hは、締結具軸部14の周囲に巻着するにつれた、別の公知の遷移ねじ山輪郭20を通して得られた、一連の順次断面図を提供する。標準部分21を下方に偏移させるのではなく、本遷移ねじ山輪郭20は、標準部分21の斜面12の斜面角度を広げる。遷移ねじ山輪郭20は、最初に、若干より短い標準ねじ山外形(図4B参照)として現れ、頂部13の幅は、標準ISOタイプ標準ねじ山輪郭11と同一であるが、斜面12は、谷部11まで延在するように、若干より広く角度付けられる。図4C-4Eでは、遷移ねじ山輪郭20は、頂部13の幅を同一に維持し、斜面12をより広く角度付け、谷部11まで延在させることによって、短縮される。図4Fでは、遷移ねじ山輪郭20の高さは、交差防止型部分22が、膨隆し、斜面を谷部11に形成し、標準部分21の斜面12が、広げられ、交差防止型部分22の輪郭の中に混成するように、短縮されるように継続する。図4Gでは、交差防止型部分22が、優勢となり、小隆起のみが、頂部13を上部に有し、非常に広い斜面12が、交差防止型部分22の輪郭の中に混成する。
【0008】
本遷移を遂行することが公知の遷移ねじ山輪郭20は、図3B-3Gに図示される重畳された輪郭と図4B-4Gに示されるより平滑に混成された輪郭との間で変動している。これらの輪郭間の任意の形状が、遷移機能を遂行するために適正である。
【0009】
遷移ねじ山輪郭の第2の機能、すなわち、使用の間、メス型ねじ山に干渉しないことは、その長さに沿った任意の場所において、オス型交差防止型ねじ山締結具のカム作用の間、メス型締結具の内部メス型ねじ山に対して干渉する、および/またはそれを塞ぎ得るほど高くならない、ねじ山高さで充足され得る。完全ねじ山高さから交差防止型ねじ山まで螺旋の周囲を進行するにつれた、本質的に線形率における高さ減少は、満足の行くものとなっている。例えば、M8×1.25 6gのメートル遷移ねじ山は、螺旋回転度あたり約0.0015mmの一定高さ低減率と併用されている。図3A-3Hおよび4A-4Hでは、直線61は、遷移ねじ山輪郭20の上部を横断して延在し、ねじ山螺旋が軸部14の周囲に巻着するにつれた、高さの一定低減を図示する。1/4巻(90度)~1巻と1/4巻(450度)の長さを有する、遷移ねじ山輪郭20が、利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,836,731号公報
【特許文献2】米国特許第9,644,664号公報
【特許文献3】米国特許第6,561,741号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(要約)
したがって、改良された交差防止型ねじ山締結具の必要性が存在する。
【0012】
本発明の側面によると、オス型交差防止型螺合締結具であって、略丸みを帯びた軸部を備え、軸部は、先導端と、トルク端と、軸部の円周の周囲の複数のオス型ねじ山とを有し、複数のオス型ねじ山は、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、標準ねじ山輪郭を有する、標準ねじ山であって、標準ねじ山の幅およびねじ山角度は、対応するメス型ねじ山との係合を可能にし、標準ねじ山の大径は、下側大径限界と上側大径限界との間にある、標準ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、対応するメス型ねじ山との係合を可能にする、標準ねじ山の幅およびねじ山角度に類似する、幅およびねじ山角度を伴う、遷移ねじ山輪郭を有する、遷移ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、オス型交差防止型ねじ山締結具とメス型締結具の整合を助長するように構成される、交差防止型ねじ山輪郭および外径を有する、交差防止型ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、先導ねじ山輪郭を有する、先導ねじ山とを備え、遷移ねじ山輪郭は、標準ねじ山の下側大径限界から交差防止型ねじ山の外径に遷移する、高さを有する、オス型交差防止型螺合締結具が、提供される。
【0013】
本発明の別の側面は、オス型交差防止型螺合締結具であって、略丸みを帯びた軸部を備え、軸部は、先導端と、トルク端と、軸部の円周の周囲の複数のオス型ねじ山とを有し、複数のオス型ねじ山は、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、谷部、平坦頂部、および谷部から頂部までの平坦斜面によって画定される、標準ねじ山輪郭と、約60度のねじ山角度とを有する、標準ねじ山であって、標準ねじ山の大径は、下側大径限界と上側大径限界との間にある、標準ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、谷部、平坦頂部、および谷部から頂部までの平坦斜面によって画定される、遷移ねじ山輪郭と、約60度のねじ山角度とを備える、標準ねじ山と連続螺旋を形成する遷移ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、オス型交差防止型ねじ山締結具のメス型締結具との整合を助長するように構成される、交差防止型ねじ山輪郭および外径を有する、遷移ねじ山と連続螺旋を形成する交差防止型ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、先導ねじ山輪郭を有する、交差防止型ねじ山と連続螺旋を形成する先導ねじ山とを備え、遷移ねじ山輪郭が標準ねじ山輪郭から交差防止型ねじ山輪郭に遷移するにつれて、遷移ねじ山輪郭の頂部は、広くなり、遷移ねじ山輪郭の高さは、短くなる、オス型交差防止型螺合締結具を提供する。
【0014】
本発明のさらに別の側面によると、オス型交差防止型螺合締結具であって、略丸みを帯びた軸部を備え、軸部は、先導端と、トルク端と、軸部の円周の周囲の複数のオス型ねじ山とを有し、複数のオス型ねじ山は、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、最小径における谷部、大径における平坦頂部、および谷部から頂部までの平坦斜面によって画定される、標準ねじ山輪郭を有し、あるピッチ径における幅と、約60度のねじ山角度とを有する、標準ねじ山であって、標準ねじ山の大径は、下側大径限界と上側大径限界との間にある、標準ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、谷部、平坦頂部、および谷部から頂部までの平坦斜面によって画定される、遷移ねじ山輪郭と、約60度のねじ山角度と、標準ねじ山輪郭の下側大径限界以下の高さとを備える、標準ねじ山と連続螺旋を形成する遷移ねじ山であって、遷移ねじ山は、約5/8巻未満(225度)、軸部の周囲に巻回する、遷移ねじ山と、軸部の円周の少なくとも一部の周囲にあり、標準ねじ山のピッチ径とほぼ同一である外径を備える交差防止型ねじ山輪郭を有する、遷移ねじ山と連続螺旋を形成する交差防止型ねじ山とを備え、交差防止型ねじ山輪郭は、谷部における曲線からほぼ外径まで延在する、曲線によって画定された形状を備える、オス型交差防止型螺合締結具が、提供される。
【0015】
本開示のより完全な理解は、付随の図面と関連して検討される以下の説明を参照することによって得られ得る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、先行技術において公知の、オス型交差防止型ねじ山締結具の側面図を図示する。
図2図2は、図1に示される、オス型交差防止型ねじ山締結具の標準ねじ山および交差防止型ねじ山の断面側面図を図示する。
図3図3A-3Hは、標準ねじ山から交差防止型ねじ山まで締結具軸部の周囲に巻着するにつれた、遷移ねじ山輪郭を通して得られた、一連の順次断面図を提供する。
図4図4A-4Hは、標準ねじ山から交差防止型ねじ山まで締結具軸部の周囲に巻着するにつれた、遷移ねじ山輪郭を通して得られた、一連の順次断面図を提供する。
図5図5は、ねじ山圧延ダイと、ダイ内で圧延されている交差防止型ねじ山締結具との断面側面図を図示する。
図6図6は、ねじ山圧延ダイ内のねじ山圧延溝を切断するためのカッタツールの断面側面図を示す。
図7図7Aは、ねじ山圧延ダイの溝内で圧延されている、ISOタイプ標準ねじ山輪郭の断面側面図である。図7Bは、ねじ山圧延ダイの溝内で圧延されている、遷移ねじ山輪郭の断面側面図である。
図8図8Aおよび8Bは、それぞれ、長遷移ねじ山を有する、従来のオス型交差防止型ねじ山締結具の端面図および側面図を示す。
図9図9は、本発明の遷移ねじ山輪郭の断面側面図を図示する。
図10図10は、ダイの3つの隣接する溝内で圧延され、上側大径限界における大径を有する、標準ねじ山を形成している、締結具の3つのねじ山の断面側面図を示す。
図11図11Aおよび11Bは、本発明のオス型交差防止型ねじ山締結具の端面図および側面図を示す。
図12図12Aおよび12Bは、本発明のオス型交差防止型ねじ山締結具の端面図および側面図を示す。
図13図13A-13Dは、図13Eに示される断面において得られた、遷移ねじ山の断面側面図である。図13Eは、遷移ねじ山輪郭において切り取られた、オス型締結具の端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示は、種々の修正および代替形態を被り得るが、その具体的例示的実施形態が、図面に示され、本明細書に詳細に説明される。しかしながら、具体的例示的実施形態の本明細書における説明は、本開示を本明細書に開示される特定の形態に限定することを意図するものではなく、対照的に、本開示は、添付の請求項によって定義されるような全ての修正および均等物を網羅することを理解されたい。
【0018】
(詳細な説明)
本開示の教示によると、ねじ山係合および交差防止型ねじ山機能性を維持しながら、より短い締結具が、可能性として考えられる。
【0019】
本発明の側面は、交差防止型螺合締結具上のねじ山螺旋の遷移ねじ山輪郭の以前は「固定されていた」長さであったものに対処する。本発明の側面は、完全交差防止型ねじ山機能性を維持しながら、交差防止型螺合締結具上のねじ山螺旋の遷移ねじ山輪郭の長さを低減させる方法を含む。
【0020】
遷移ねじ山輪郭の長さは、高さ遷移が、理想的には、ねじ山螺旋の周囲における計算された進行長において達成され得るため、以前は、「固定」と見なされていた。実践では、遷移ねじ山輪郭の長さは、今日の生産および製造方法を使用して、その理想的長さを達成することが不可能であるため、計算される理想的ものより長くなる。本変則は、2つの現在の状況、すなわち、1)ねじ山圧延ダイ自体の使用が、その独自の構築公差を有していなければならないことと、2)ねじ山高さ公差を可能にしなければならない、プロセスの使用とに起因する。
【0021】
これらの限界のため、遷移ねじ山輪郭をねじ山螺旋上に形成するために実際に利用される、ねじ山圧延ダイ内の溝は、所望の長さの螺旋ランプを締結具上に形成するために必要なものより長くかつより深くなければならない。ダイ内の本余剰溝長さは、余剰「空間」をダイ内に要求し、空間は、ねじ山圧延の間、ダイが圧延する、遷移ねじ山輪郭の必要高さ変化を遂行するために利用されないため、無駄である。本質的に、ダイ内の実際に所望されるものより長い線形遷移は、したがって、締結具螺旋上に形成される、より長い螺旋遷移をもたらす。
【0022】
交差防止型ねじ山締結具ねじ山圧延ダイは、標準ねじ山フライス加工カッタを利用して、ねじ山圧延ダイの表面を横断して一連の線形溝を切断することによって形成され得る。各個々のカッタが、規定された点に到達すると、その切断表面は、カッタがダイ表面を横断して直線経路において進行を継続するにつれて、一定率で、ワークピース(ダイ)から引き出される。ダイ表面上で示された方法で切断される、溝は、有限長にわたって、一定深度で線形であって、次いで、上方に角度付けられ、ダイから外に出る。カッタを引き出すことによって示された方法で溝の底部に形成される、角度は、ダイが圧延するであろう、締結具ねじ山螺旋内に形成されるべき遷移ねじ山輪郭のための所望の成長率に合致する。遷移ねじ山輪郭の成長率は、図3A-3Hおよび4A-4Hに図示されるねじ山区分の上部を横断して描かれる、線61として示される。ダイ溝の底部における理想的線形角度は、締結具上で圧延されるとき、長さが螺旋の約3/4巻(270度)の遷移ねじ山輪郭を生産する。
【0023】
遷移ねじ山輪郭を形成する、ダイ内の溝の角度付けられた部分は、ねじ山圧延ダイ自体の公差およびねじ山高さ公差のため、実際は、遷移ねじ山輪郭の計算される理想的長さより長くかつより深くなければならない。より長くかつより深い溝をダイ内で用いると、溝は、ねじ山ピークをその最深点に形成するとき、金属で完全に充填されず、溝は、ダイ内のランプの全長にわたって、標準完全ねじ山より狭くなる。これらの要因は、標準ねじ山の斜面と同一幅および充満度でねじ山斜面を有していない、遷移ねじ山輪郭に寄与する。特に、ダイの溝内のランプの全長にわたって、そのダイ輪郭によって締結具上で圧延される、遷移ねじ山輪郭螺旋は、標準メス型ねじ山の斜面に係合することが技術的に不可能である。所望の高さ変化は、螺旋の所望の3/4巻(270度)において遂行され得るが、遷移ねじ山輪郭は、完全高さねじ山としてのその長さを越えて、但し、完全標準ねじ山と比較して、より狭い斜面を伴って、ある距離にわたって継続する。したがって、遷移的ねじ山の主要目的が、ISOタイプ標準ねじ山高さから交差防止型ねじ山高さへの下方遷移を達成することであるため、遷移ねじ山輪郭は、高さの変化を達成するために必要とされない、その長さのある部分を有することになる。
【0024】
ここで図面を参照すると、例示的実施形態の詳細が、図式的に図示される。同様の要素図面では、同様の番号によって表されるであろう。
【0025】
図5は、ねじ山圧延ダイ60および交差防止型ねじ山締結具50の断面側面図を図示する。断面は、ねじ山圧延ダイ60内のねじ山圧延溝63の中心を辿って得られている。ダイ60とそれが圧延する締結具ねじ山螺旋との間の合致を図示するために、交差防止型ねじ山締結具50は、線形ダイ溝および通常湾曲されるねじ山螺旋ピークの両方が、そのダイに伴って圧延される、締結具上に実際に見られる湾曲螺旋ではなく、線形ランプとして現れるように、そのねじ山螺旋が「直線化」された状態で示される。ねじ山圧延溝63は、一定深度区分64と、ランプ区分65とを有する。ねじ山圧延溝63は、遷移点66において、一定深度区分64からランプ区分65に遷移し、ランプ区分65は、切断される交差防止型ねじ山外形とのその交点における、終点(図示せず)で終端する。ねじ山圧延溝63の一定深度区分64は、ISOタイプ標準ねじ山輪郭10を交差防止型螺合締結具50内に形成する。ねじ山圧延溝63のランプ区分65は、遷移ねじ山輪郭20を交差防止型螺合締結具50内に形成する。ランプ区分65の長さは、締結具ピークが標準ねじ山最大高さ16を達成している点をはるかに越えて延在する。ねじ山圧延溝63の本無駄な長さ68は、圧延の間、金属で充填されず、間隙69を残すため、「無駄」である。したがって、無駄な長さ68は、過度に充填されたねじ山を形成するための公差空間を提供する以外のいかなる目的も遂行しない。
【0026】
図6は、ダイ60内のねじ山圧延溝63を切断するためのカッタツール70の断面側面図を示す。カッタツール70が、図5に示されるように、ダイ60のねじ山圧延溝63内の一定深度区分64を切断するために使用されるために、より短い点72を有するであろう、公称上成形されるねじ山を切断するように設計されるカッタと比較して、より長い点71を有していなければならない。さらに、切断ツール70が、徐々に挿入され、ランプ区分65を切断するとき、カッタツール70は、薄すぎて、一定深度区分64を切断するとき、その切断がダイ内の最大深度に到達するまで、完全幅のISOタイプ標準ねじ山輪郭10を形成するために十分な幅で、ダイ60内の溝63を切断することができない。したがって、溝63のランプ区分65全体は、カッタ71では、狭すぎて、完全幅のISOタイプ標準ねじ山輪郭10を形成することができない状態で切断される。
【0027】
図7Aは、ダイ60によって圧延されている、ISOタイプ標準ねじ山輪郭10の断面側面図である。図7Bは、ダイ60によって圧延されている、遷移ねじ山輪郭20の断面側面図である。例証のために、標準ねじ山外形17は、図7Bでは、ダイ上に重畳される。比較的に、ダイ60の遷移面積内に形成される、遷移ねじ山輪郭20の標準部分21は、斜面を横断して、標準ねじ山外形17より狭い。事実上、これは、遷移ねじ山がそのピーク高さまで成長するために留保される、ダイ占有面積の長さが、そのピーク高さ16が、実際には、標準ねじ山ピークの許容可能高さ範囲内にあったが、狭すぎるため、完全ねじ山として機能しない、遷移ねじ山の離散部分を圧延させることによって、無駄にされていることを意味する。したがって、遷移ねじ山輪郭の実際のランプと、先行技術の製造手段のためだけにある、ねじ山が完全高さおよび幅を達成する点との間には、ダイ60の遷移区分によって圧延される、ねじ山螺旋の長さが存在する。その遷移的ダイ溝長は、ねじ山ピークが、溝の第1の部分において、必要高さを達成し、標準ねじ山の最小高さ要件を満たし、遷移的溝形態の最後の区分のみが、最小必要高さを上回り、狭すぎて、完全ねじ山とみなされない、遷移ねじ山輪郭を形成するため、遷移ねじ山漸増のために必要であるわけではない。
【0028】
図8Aおよび8Bは、それぞれ、長遷移ねじ山輪郭20を有する、従来のオス型交差防止型ねじ山締結具50の端面図および側面図を示す。螺旋のISOタイプ標準ねじ山輪郭10は、遷移ねじ山輪郭20が開始する、第1の変化点23まで、完全幅および高さである。螺旋の遷移ねじ山輪郭20は、第1の区分24を、第1の変化点23と、ねじ山の外形が、完全標準ねじ山のために要求される最小値を上回る高さであるが、狭すぎて、完全標準ねじ山として機能することができない、幅を有する、第2の変化点25との間に有する。第2の変化点25では、遷移ねじ山輪郭20の高さは、平均標準ねじ山高さまで低減される。第2の区分26では、螺旋外形は、高さが低減され、点27において、最小標準ねじ山高さに到達するが、依然として、狭すぎて、完全標準ねじ山として機能することができない。第3の変化点27から、遷移ねじ山輪郭20は、高さがより低くなり始める。第3の区分28全体を通して、遷移ねじ山輪郭20の高さおよび幅は、第4の変化点29に到達するまで、一定に低減される。第4の変化点29は、遷移ねじ山輪郭20の端部および交差防止型ねじ山輪郭30の開始をマークする。着目すべきこととして、交差防止型ねじ山輪郭30の交差防止型部分22は、遷移ねじ山輪郭20が、第1の区分24を含む、その全長にわたって、薄すぎて、完全標準ねじ山の機能を実施することができないことを実証する。本発明に先立って、交差防止型ねじ山締結具は、本長さの遷移ねじ山輪郭20を有しており、螺旋の「狭すぎる」第1の区分24を含んでいた。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によると、遷移ねじ山輪郭20の本「狭すぎる」長さは、排除され、より短い交差防止型ねじ山締結具を生産し得る。最短の可能性として考えられる完全に機能する、すなわち、最小コストで、最短で、最軽量で、かつ最もパッケージ化可能である、交差防止型ねじ山締結具を提供するために、遷移ねじ山輪郭20の本「狭すぎる」長さは、排除され得る。本発明による、交差防止型ねじ山締結具の設計は、役に立たない「狭すぎる」区分を伴わずに、最小容認可能ピーク高さへの漸増を達成するために実際に必要な遷移ねじ山長さを限定する方法を提供することに基礎を置き得る。本発明のいくつかの実施形態は、ねじ山機能に悪影響を及ぼさずに、遷移ねじ山の長さを低減させることを可能にする、交差防止型ねじ山締結具の螺旋の一部上での使用のための新規輪郭を含む。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態は、交差防止型螺合締結具のための新規遷移ねじ山輪郭を提供し、したがって、余剰の非機能的螺旋長が、ねじ山螺旋のその区分から排除されることを可能にする。そのような改良は、図8Aおよび8Bに示される螺旋の遷移ねじ山輪郭20の第1および第2の区分24および26を再構成することによって得られ得る。
【0031】
遷移的螺旋のこれらの2つの区分は、本明細書では、螺旋の各長さを完全標準幅ねじ山輪郭に再形成することによって再構成される。完全幅螺旋区分は、新規の可変であるが、より精密に制御されたピーク高さを具備することになる。特に、ピーク高さは、完全に、標準ねじ山の容認可能ピーク高さ値の範囲内である。本発明の側面によると、ピーク高さ値は、2つの区分、すなわち、第1および第2の区分24および26の組み合わせられた螺旋長さにわたって、第2の区分26が新しいより短い遷移ねじ山の開始の中に混成する、第2の変化点25における、最小容認可能標準ねじ山外形高さまで、制御された様式において慎重に低減される。
【0032】
螺旋のこれらの区分を再構成することによって、ねじ山は、第1および第2の区分24および26の組み合わせられた長さが、既存の標準ねじ山螺旋に追加され、螺旋のより短い区分が遷移的機能のためだけに留保された状態で、より長い標準輪郭構造ねじ山螺旋をもたらし得るように、事実上、「標準ねじ山」になる。これは、事実上、より短い締結具が同一機能を遂行することを可能にする。
【0033】
利用される本発明の側面によると、本明細書に説明される交差防止型ねじ山締結具は、以前の遷移ねじ山の下降率の機能を維持しながら、以前の理想的ねじ山より約1/4巻(90度)短い、遷移ねじ山長さをもたらし得る。締結具の非構造的螺旋長のわずかな低減さえ、締結具の機能において大利点を提供し得る。したがって、本発明の種々の側面は、改良された交差防止型ねじ山機能性を伴う、より短い、より軽量で、より低コストの、よりパッケージ化可能な締結具を提供し得る。
【0034】
図9を参照すると、本発明の遷移ねじ山輪郭120の断面側面図が、示される。遷移ねじ山輪郭120は、標準ねじ山大径116の可能性として考えられる高さより有意に短い、ねじ山高さ118を有する。標準ねじ山大径116は、標準ねじ山要件を満たすために適正な平均位置において、ダイを完全に充填することによって形成され得る。より比較的に短いねじ山高さ118を有する、遷移ねじ山輪郭120は、高さを除き、標準ねじ山の全ての特性を維持する。遷移ねじ山輪郭120のねじ山高さ118は、より精密に制御されるため、ねじ山は、同一の有意な公差範囲内に維持される必要はなく、その完全幅および斜面角度を維持し、締結特性を提供しながら、局所化されたピーク高さをより有用な高さまで下げるようにより短くされてもよい。本より比較的に短いねじ山高さ118は、螺旋の遷移ねじ山輪郭120が、より低い高さにおいて開始することを可能にし得る。
【0035】
ねじ山ピーク高さにおける本非常に局所化された慎重な低減は、唯一局所化されると仮定して、標準ねじ山螺旋の残りが完全高さおよび完全公差のままの状態で、依然として、製造業者に、その製造業者のプロセスおよび/または顧客要件によって要求され得るように、遷移的ねじ山の別の目的で利用される区分を除き、全ての区分において、標準ねじ山ピーク高さを変動させるための自由度を与えるであろう。
【0036】
本発明の側面によると、標準タイプの交差防止型ねじ山圧延ダイは、ダイ溝内に、常時優先的に完全に充填される、低減された深度区分を具備し得る。図10は、上側大径限界115における大径を有する、標準ねじ山を形成するために、ダイ160の3つの隣接する溝内で圧延されている、締結具150の3つのねじ山の断面側面図である。第1の溝では、締結具のねじ山材料は、より短く、より制限的溝の中に押圧され、より制限された形状を有し、下側大径限界116における高さを有する、ねじ山外形へと溝を完全に充填する。第2の溝では、締結具のねじ山材料は、完全深度溝の中に押圧され、平均大径限界114まで溝を部分的に充填する。第3の溝では、締結具のねじ山材料は、完全深度溝の中に押圧され、最大許容可能高さを有する、上側大径限界115まで、溝を充填する。ねじ山圧延プロセスの間、金属流は、螺旋の離散区分内に制限され、残りの完全ねじ山螺旋長が、その許容可能高さ範囲内、すなわち、下側大径限界116と上側大径限界115との間で、可変程度まで充填不足であって、圧延プロセスまたは構造的ねじ山の機能にいかようにも影響を及ぼさずに、大径を有する、標準ねじ山の完全ねじ山高さのための個々の製造業者の要件を満たすことを可能にする。より薄い外形の別の目的で利用される区分のそのような優先的充填は、隣接する完全標準ねじ山螺旋が、そのピークを下側大径限界116に伴って製造されるときでも生じ得る。
【0037】
遷移ねじ山に隣接する面積内のねじ山高さの慎重に局所化された低減を提供する、本発明の側面は、交差防止型ねじ山締結具のピークに到達するために必要な「ランプ」を短縮させ、事実上、より短い遷移ねじ山を提供し低減された長さの交差防止型ねじ山締結具を可能にし得る。上記に議論されるタイプのオス型交差防止型螺合締結具上のねじ山螺旋の一部は、輪郭が付けられ、交差防止型ねじ山締結具の螺旋の事実上の長さを短縮させてもよい。螺旋の遷移区分は、長さがねじ山螺旋の1巻(360度)を超えなくてもよく、締結具のヘッドから最遠位の標準巻上の点において、締結具螺旋の標準巻の端部から開始してもよく、交差防止型ねじ山で終了してもよい。
【0038】
本発明の側面による、遷移ねじ山輪郭は、その最高点が螺旋の完全高さの標準ねじ山と混成されるように、輪郭が付けられ得る。そこから、螺旋の遷移ねじ山輪郭区分は、締結具軸部の周囲に巻回するにつれて、その最短点まで、規定された率で高さが低減され得る。遷移ねじ山輪郭は、標準ねじ山螺旋の公称完全高さ大径が最初に高さを減少させる点から開始し、螺旋の約1/4巻(90度)を通して混成し、標準ねじ山に類似する斜面を維持しながら、ねじ山の高さを低減させ続ける。ピーク高さの低減の間、遷移ねじ山輪郭は、斜面幅およびねじ山角度を標準ねじ山外形と一貫して維持するが、常時、下側大径限界116として定義される、完全標準ねじ山のための容認可能な最小値にほぼ等しい高さである。
【0039】
螺旋の完全標準ねじ山区分は、それによって、機能的に同等のねじ山の類似長が得られ得、螺旋の遷移区分は、それによって、同等量だけ長さが低減され得る。オス型交差防止型螺合締結具は、遷移ねじ山の先導端に隣接する、適切な交差防止型螺合特徴、ならびに適切な先導ねじ山および締結具の点上の適切な案内特徴を有し得る。本構造はまた、その機能を改良するために、他のタイプの締結具、ならびにより短い、すなわち、準理想的長さの遷移ねじ山を有する、交差防止型螺合締結具上でも利用され得ることが予期される。
【0040】
図11Aおよび11Bを参照すると、本発明のオス型交差防止型ねじ山締結具の端面図および側面図が、示される。螺旋のISOタイプ標準ねじ山輪郭110は、完全標準ねじ山幅および高さを第1の変化点123まで有する。第1の変化点123では、螺旋ねじ山は、平均標準ねじ山高さおよび完全標準ねじ山斜面幅ならびに60度のねじ山角度を有する。(図10における115参照)。本斜面幅およびピーク高さは、第1の区分124全体にわたって、第2の変化点125まで維持される。第2の変化点125から第3の変化点127までの第2の区分126にわたって、螺旋外形は、好ましい率で、第3の変化点127における標準ねじ山高さ(最小容認可能)のための平均大径限界114(図10における114参照)まで、高さ118が一定に低減される。第2の区分126全体を通して、斜面の斜面幅は、その標準締結具外形として維持される。図11Bに示されるように、ねじ山の頂部は、第2の区分126全体を通して、第2の変化点125から第3の変化点127までより広く成長する。また、図11Bに示されるように、ねじ山の平坦斜面は、第2の区分126全体を通して、第2の変化点125から第3の変化点127まで、谷部に維持される。
【0041】
図11Aおよび11Bをさらに参照すると、第3の区分128は、第3の変化点127から第4の変化点129まで延在する。第3の変化点127では、ねじ山輪郭は、その最小高さまで低減され、標準斜面幅に維持されている、標準ねじ山110のものである。遷移ねじ山輪郭120は、第3の変化点127における本外形から開始し、第4の変化点129における交差防止型ねじ山外形をとるまで遷移する。遷移ねじ山輪郭120は、第3の変化点127から開始し、約5/8巻(225度)にわたって、軸部14の周囲に巻回するように、第4の変化点129で終了し得る。
【0042】
図12Aおよび12Bは、オス型交差防止型ねじ山締結具の端面図および側面図を示す。本実施形態では、締結具ねじ山は、最大材料条件を有し、ねじ山ピークが、ピッチ線に対してその最高値にあって、そのようなピークを形成する、ダイ内の溝が、完全に材料で満杯になるであろうことを意味する。本実施形態と図11Aおよび11Bに図示されるものとの間の着目すべき差異は、完全ねじ山高さが、より高い標準ねじ山高さ(図10における115参照)ではなく、螺旋ねじ山内の第1の変化点123における制限された下側最大認可可能高さ(図10における116参照)にあることである。制限された最大材料条件では、ピークは、螺合ダイ溝内の最大許容可能高さに流動することが予期されるであろう。ねじ山ピークは、代わりに、予期される流動高さより短くなるように慎重に制御され、本制御された高さは、完全斜面幅を維持しながら、一定の好ましい率で、平均高さピークまで落下する。ねじ山公差および製造における本差異は、第1の区分124を通して、一定高さではなく、第3の区分128全体を通して、遷移螺旋区分の一定成長をもたらす(図11A参照)。高さの本変動は、極限大径を利用する締結具内の本高さまでの金属の「自由流動」を実証する。
【0043】
図面(図11A-11Bおよび12A-12B)の比較から分かるように、事実上の完全標準ねじ山の長さは、締結具螺旋の全長が維持されたまま、第1の区分124および第2の区分126を完全幅ねじ山であるように再構成することによって、増加される。
【0044】
図13Eは、遷移ねじ山輪郭において切り取られた、オス型締結具の端面図であって、図13A-13Dは、図13Eに示される区分において得られた、遷移ねじ山の断面側面図である。遷移ねじ山輪郭120は、ピークの高さを標準ねじ山のための最大許容可能値から最小許容可能値まで徐々に低減させながら、標準ねじ山の外形と同じ幅の幅を有する。図13A-13Dに示されるように、遷移ねじ山輪郭120の幅は、一定のままであって、標準ねじ山の外形と同じ幅である。図13Dに示されるように、遷移ねじ山輪郭120は、上側大径限界115と同じ高さにその高さ118がある。図10における115を参照されたい。図13Cに示されるように、遷移ねじ山輪郭120は、より短く、標準ねじ山115のための最大許容可能値ほど高くない、高さ118を有する。図13Bに示されるように、遷移ねじ山輪郭120は、より短く、依然として、標準ねじ山のための平均大径限界114ほど低くはない、高さ118を有する。図10における114を参照されたい。図13Aに示されるように、遷移ねじ山輪郭120は、下側大径限界116として定義される、完全標準ねじ山のための最小容認可能値にほぼ等しい、高さ118を有する。図10における116を参照されたい。
【0045】
遷移ねじ山輪郭120は、標準ねじ山と同一幅の斜面を有するため、螺旋のISOタイプ標準ねじ山部分の長さは、短縮され得る。特に、第1の変化点123から第3の変化点127までの遷移ねじ山輪郭120の長さだけ、短縮され得る。遷移ねじ山輪郭120の本部分は、以前は機能的に不必要とされた区分に取って代わり、ここでは、標準ねじ山と見なされ、使用可能長さを標準ねじ山螺旋に追加することを可能にする。したがって、付加的完全ねじ山が、締結される継合部設計において利用されてもよい、または代替として、締結具の全長は、追加される低外形標準ねじ山の量だけ標準ねじ山を短縮させることによって、低減され、したがって、重量およびコストを低減させてもよい。
【0046】
本発明の遷移ねじ山輪郭120は、締結具未加工材の低減された直径区分を圧延ダイに慎重に提供し、金属の自由流動を可能にし、所望の形状を達成するために、圧延の間、ねじ山圧延ダイの特定の局所化された区分を金属で充填不足にさせることによって、オス型交差防止型ねじ山締結具のねじ山螺旋の一部として製造されてもよい。代替として、遷移ねじ山輪郭120は、螺旋のいくつかの局所的面積において、より低い高さまで機械加工されてもよい。いずれかの方法は、螺旋の完全幅の低減された高さ区分を作成してもよい。
【0047】
本開示の実施形態は、本開示の例示的実施形態を参照して、描写、説明、および定義されているが、そのような参照は、本開示に関する限界を含意するものではなく、そのような限定が、推測されるものでもない。開示される主題は、当業者および本開示の利点を有する者に想起されるであろうように、形態および機能において、膨大な修正、改変、および均等物が可能である。本開示の描写および説明される実施形態は、実施例にすぎず、本開示の範囲の包括ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
【国際調査報告】