(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】エネルギー貯蔵装置におけるエネルギー貯蔵セル用ホルダ構造体
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20220224BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20220224BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20220224BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20220224BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220224BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220224BHJP
H01M 10/658 20140101ALI20220224BHJP
H01M 10/6562 20140101ALI20220224BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20220224BHJP
H01M 50/227 20210101ALI20220224BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20220224BHJP
H01M 50/231 20210101ALI20220224BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M50/293
H01M50/588
H01M50/591 101
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/658
H01M10/6562
H01M50/224
H01M50/227
H01M50/204 401F
H01M50/242
H01M50/231
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021524422
(86)(22)【出願日】2019-10-31
(85)【翻訳文提出日】2021-06-29
(86)【国際出願番号】 IN2019050802
(87)【国際公開番号】W WO2020089937
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】201841041562
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521190819
【氏名又は名称】ティーブイエス モーター カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TVS MOTOR COMPANY LIMITED
【住所又は居所原語表記】‘Jayalakshmi Estates’, No.29 (Old No.8), Haddows Road, 600 006 Chennai, India
(74)【代理人】
【識別番号】100103975
【氏名又は名称】山本 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ビナイ チャンドラカント,ハーン
(72)【発明者】
【氏名】サブラモニアム,チタムバラム
(72)【発明者】
【氏名】ガーグ,マニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】サントッシュ バガワット,ガヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ブイ エス クマー,ガンダヴァラプ
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031CC01
5H031EE01
5H031EE03
5H031EE04
5H031HH08
5H031KK02
5H040AA07
5H040AA28
5H040AA37
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY06
5H040DD03
5H040DD04
5H040LL01
5H040LL04
5H040LL06
5H040NN01
5H043AA04
5H043BA19
5H043CA03
5H043CA05
5H043FA04
5H043LA02F
5H043LA21F
(57)【要約】
本発明は、複数のエネルギー貯蔵セル(204)と、上記複数のエネルギー貯蔵セル(204)のうちの1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)を収容可能な少なくとも1つのホルダ構造体(205)とを含むエネルギー貯蔵装置(200)に関する。本発明によれば、少なくとも1つのホルダ構造体(205)は、少なくとも1つの剛性フレーム部材(205a)にオーバーモールドされた少なくとも1つの非剛性部材(205b)を含み、少なくとも1つの非剛性部材は、1以上のエネルギー貯蔵セル(204)の少なくとも一部を受け入れるように寸法決めされた1以上の収容部(400)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエネルギー貯蔵セル(204)と、
上記複数のエネルギー貯蔵セル(204)のうちの1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)を収容可能な少なくとも1つのホルダ構造体(205)とを含み、
上記少なくとも1つのホルダ構造体(205)は、少なくとも1つの剛性フレーム部材(205a)にオーバーモールドされた少なくとも1つの非剛性部材(205b)を含み、上記少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、上記1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)の少なくとも一部を受け入れるための1以上の収容部(400)を含む、エネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項2】
上記複数のエネルギー貯蔵セル(204)は、1以上の配列で、上記1以上の収容部(400)内に固定されたリチウムイオン電池を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項3】
上記1以上の収容部(400)は、上記複数のエネルギー貯蔵セル(204)のうちの上記1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)の寸法よりもわずかに大きい直径を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項4】
上記少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、上記少なくとも1つの剛性フレーム部材(205a)にオーバーモールドされ且つゴムを含む可撓性樹脂材料から形成され、上記剛性フレーム部材(205a)は、上記少なくとも1つのホルダ構造体(205)の上記非剛性部材(205b)の少なくとも1つの側壁(401R)、(401L)、(402R)、(402L)を形成している、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項5】
上記少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、熱伝導性、電気絶縁性及び難燃性のゴムから形成されている、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項6】
上記少なくとも1つの剛性フレーム部材(205a)は、熱伝導性金属から形成された、請求項1または請求項5に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項7】
その内部に収容された上記複数のエネルギー貯蔵セル(204)を備える上記少なくとも1つのホルダ構造体(205)が、外側ケーシング(102)内に収容されている、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項8】
上記複数のエネルギー貯蔵セル(204)同士が、1以上の相互接続プレート(202)、(203)を介して互いに電気的に接続されている、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項9】
上記少なくとも1つの非剛性部材(205b)の少なくとも一部分に一体的に形成され、上記複数のエネルギー貯蔵セルを上記固定位置に許容公差内に保持するように構成された上記1以上の収容部(400)を有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項10】
上記1以上の収容部(400)は、少なくとも一部分に形成された1以上のスリット(400a)、(400b)を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項11】
上記1以上のスリット(400a)、(400b)は、上記複数のエネルギー貯蔵セル(204)の充電および放電中における、上記1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)の少なくとも1つの方向に沿ったサイズ超過に適応するように構成された、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項12】
上記少なくとも1つのホルダ構造体(205)は、1以上の締結具を介して上記外側ケーシング(102)と直接接触するように構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項13】
上記少なくとも1つのホルダ構造体(205)は、少なくとも1つの熱伝導性部材を介して上記外側ケーシング(102)と直接接触するように構成される、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項14】
ゴムの形態の上記少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、0.5mm~2.0mmの所定範囲の厚みを有する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵装置(200)。
【請求項15】
少なくとも1つの剛性部材(205a)にオーバーモールドされた少なくとも1つの非剛性部材(205b)を含み、
上記少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、その中に上記1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)の少なくとも一部を受け入れる1以上の収容部(400)を含む、ホルダ構成体(205)。
【請求項16】
上記少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、熱伝導性、電気絶縁性、および難燃性のゴムから形成された、請求項15に記載のホルダ構造体(205)。
【請求項17】
上記少なくとも1つの剛性フレーム部材(205a)は、熱伝導性金属から形成された、請求項15に記載のホルダ構造体(205)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本主題は、エネルギー貯蔵装置に関する。より詳細には、本主題は、エネルギー貯蔵装置内の複数のエネルギー貯蔵セル用ホルダ構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉛蓄電池は内燃機関用スタータモータの有用な動力源である。しかし、エネルギー密度が低く、熱を適切に放散できないため、電気自動車の動力源としては実用的ではない。特に、鉛蓄電池を用いた電気自動車は、充電が必要となるまでの距離が短く、有害物質を含んでいる。また、鉛蓄電池を用いた電気自動車は加速が遅く、深放電への耐性が劣り、たかだか約2万マイル程度の電池寿命となっている。従って、再充電可能であり、軽量であり且つエネルギー密度が高いリチウムイオン電池を含むエネルギー貯蔵パックが、自動車用途及び種々の商業的電子装置において普及しつつある。しかし、リチウムイオン電池を備えたエネルギー貯蔵パックを最適な動作温度で収容し作動させることは、電池が長期間に亘って充電を維持するために非常に重要である。
【0003】
公知の電池パックは、直列又は並列接続のいずれか、又は直列接続と並列接続との組み合わせによって互いに電気的に接続された複数のエネルギー貯蔵セルで構成される電池ユニットを含む。典型的には、電池パックは、優れた熱伝導性を示す材料からなる1以上のホルダ構造体を含む。そのような電池パック用のホルダ構造体は、1以上のエネルギー貯蔵セルを保持するように構成されている。しかしながら、電池パックの作動中、自動車に電力を供給するため、電池に電流が流れる。電池から電流が流れると、電池パック内で熱が発生する。また、電池パックを充電している間、この充電プロセス中に熱が同様に電池パック内に蓄積される。電池の充電中と同様に電池の放電中にも熱が発生して温度上昇をもたらし、電池の平均寿命や性能に深刻な影響を及ぼす。したがって、安全温度限界の逸脱、製造プロセスに起因したセルの短絡、過充電、または車両衝突による外部衝撃のいずれかが原因となって、1以上のエネルギー貯蔵セルが熱暴走し、この熱暴走によって放出されたエネルギーによって、隣接するエネルギー貯蔵セルの熱暴走が引き起こされ、この連鎖反応は、電池パックを破壊し、車両の乗客を大きな物理的危険に晒す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
添付の図面を参照して、詳細な説明を記載する。特徴や構成要素などを参照するために、図面全体に亘って同じ番号を使用する。
【0005】
【
図1】
図1は、本発明の一実施態様による、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パックの斜視図である。
【0006】
【
図2】
図2は、本発明の一実施態様による、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パックの分解図である。
【0007】
【
図3】
図3は、本発明の一実施態様による、少なくとも1つのホルダ構造体を含む少なくとも1つのエネルギー貯蔵パックの分解図である。
【0008】
【
図4】
図4は、本発明の一実施態様による、
図3の少なくとも1つのエネルギー貯蔵パックの少なくとも1つのホルダ構造体の斜視図である。
【0009】
【
図5】
図5は、本発明の一実施態様による、
図4の少なくとも1つのエネルギー貯蔵パックの少なくとも1つのホルダ構造体および複数のエネルギー貯蔵セルの分解図である。
【0010】
【
図6】
図6は、本発明の一実施態様による、複数のエネルギー貯蔵セルを内部に収容した状態の少なくとも1つのホルダ構造体の斜視図である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
既存のエネルギー貯蔵装置は、その中に1以上のエネルギー貯蔵セルを保持するように構成された少なくとも1つのホルダ構造体を含む。典型的には、少なくとも1つのホルダ構造体は、高導電率の金属形態の剛性部材で構成される。このようなエネルギー貯蔵装置では、フィンの形態の冷却構造体が少なくとも1つのホルダ構造体の側壁の少なくとも一部に形成される。したがって、複数のエネルギー貯蔵セルの充電および放電プロセス中に生成される熱は、冷却構造体を通して効果的に放散される。しかしながら、少なくとも1つのホルダ構造体は金属、好ましくはアルミニウムから構成され、金属と1以上のエネルギー貯蔵セルとが直接接触しているので、複数のエネルギー貯蔵セルの充電および放電プロセス中に発生した熱が、セルと、相互接続プレートを含む電気部品との間の電気的短絡を引き起し、その結果、互いに隣接するセルの加熱により連鎖反応を生じ、エネルギー貯蔵装置の損傷に至る。
【0012】
エネルギー貯蔵装置における複数のエネルギー貯蔵セルの公知の構成では、セルの周囲に存在する空気が熱の断熱材として作用し、したがって、複数のセルからエネルギー貯蔵パックの外側ケーシング構造体への熱伝達が阻害され、エネルギー貯蔵装置全体の冷却が困難になる。このような構成では、適切な冷却機構がないため、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置の充電および放電中に発生する大量の熱が原因となって、複数のエネルギー貯蔵セルのうちの1以上のエネルギー貯蔵セルの寿命および性能が低下する。さらに、1以上のエネルギー貯蔵装置の温度が50℃以上である場合、エネルギー貯蔵セルの放電後の即時再充電を行うことができない。さらに、エネルギー貯蔵装置内の複数のエネルギー貯蔵セルの構成において、特に電気的短絡がエネルギー貯蔵パック内で生じると、エネルギー貯蔵装置内の空気が原因となってパック内において火災の伝播が生じ、その結果、エネルギー貯蔵装置全体の損傷に至る。
【0013】
エネルギー貯蔵装置における複数のエネルギー貯蔵セルを支持するための別の公知の構造体では、リチウムイオン電池セルを含む1以上のエネルギー貯蔵セル同士が溶接によって1以上の相互接続プレートにより電気的に接続される。しかしながら、従来のホルダ構造体の構成では、1以上のエネルギー貯蔵セルは、ホルダ構造体内に確実に配設されておらず、したがって、エネルギー貯蔵セルを電気的に接続している溶接部分においてずれを生じ、これが原因となってエネルギー貯蔵装置の機能不全をもたらす。
【0014】
上記の目的に鑑み、上述の問題の全てを克服するために、本発明は、熱ランウェイを緩和し、エネルギー貯蔵装置を損傷から保護し、またエネルギー貯蔵装置の1以上のエネルギー貯蔵セルを冷却するための効果的な冷却機構を提供する、エネルギー貯蔵装置用の少なくとも1つのホルダ構造体の改良された構成を提供する。より詳細には、これに限定されるものでは無いが、本発明は、複数のエネルギー貯蔵セルを含むエネルギー貯蔵装置における熱暴走事象を軽減するための、エネルギー貯蔵装置における少なくとも1つの新規で改良されたホルダ構造体に関する。一実施態様によれば、本発明は、複数のエネルギー貯蔵セルの充電および放電中であっても、複数のエネルギー貯蔵セルを所定位置に許容公差内に保持可能な少なくとも1つのホルダ構造体に関する改良を概説する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、複数のエネルギー貯蔵セルと、複数のエネルギー貯蔵セルのうちの1以上のエネルギー貯蔵セルを収容可能な少なくとも1つのホルダ構造体とを含む、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置に関する。本発明の一実施態様によれば、少なくとも1つのホルダ構造体は、少なくとも1つの剛性フレーム構造体にオーバーモールドされた少なくとも1つの非剛性部材を含む。一実施態様では、少なくとも1つの非剛性部材は、1以上のエネルギー貯蔵セルの少なくとも一部を収容可能に形成された1以上の収容部を含む。複数のエネルギー貯蔵セルは、直列および並列などの1以上の配列で1以上の収容部に固定されたリチウムイオン電池を含む。
【0016】
一実施態様によれば、少なくとも1つのホルダ構造体は、少なくとも1つの剛性フレーム部材と、少なくとも1つの非剛性部材とを含む。一実施態様では、少なくとも1つの非剛性部材は、ゴムの形態の可撓性樹脂材料によって形成される。一実施態様によると、少なくとも1つの非剛性部材は、使用時に、1以上のエネルギー貯蔵セルを保持可能な1以上の収容部を含む。1以上のエネルギー貯蔵セルは、少なくとも1つのホルダ構造体の1以上の収容部に固定され、したがって、1以上のエネルギー貯蔵セルと少なくとも1つの剛性フレーム部材との直接接触が防止される。一実施態様によると、少なくとも1つのホルダ構造体において、少なくとも1つの剛性フレーム部材と複数のエネルギー貯蔵セルとの直接接触を防止することで、少なくとも非剛性部材と1以上のエネルギー貯蔵セルとを熱的に良好に接触させることができ、効果的な冷却機構を提供し、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置全体の長寿命化を図ることができる。さらに、一実施態様によれば、ゴムの形態の少なくとも1つの非剛性部材は、より良好な振動吸収特性を有し、それによって、1以上の収容部に固定された状態において、複数のエネルギー貯蔵セルを振動から保護する。本発明の一実施態様では、少なくとも1つの非剛性部材は、熱伝導性、電気的に絶縁性、および難燃性のゴムで形成されている。さらに、本発明の一実施態様によれば、少なくとも1つの剛性フレーム部材にオーバーモールドされている、少なくとも1つの非剛性部材は、難燃性ゴム材料であり、したがって、火災が起きたときに炎の伝播を防止する。さらに、ゴム材料の少なくとも1つのホルダ構造体における少なくとも1つの非剛性部材は、1以上の収容部を含む。一実施態様では、1以上の収容部間に1以上のスリットが形成されている。1以上のスリットを形成することによって、少なくとも1つのエネルギー装置の加熱および冷却プロセスにおける熱膨張、収縮または振動のそれぞれに起因して生じる、1以上のエネルギー貯蔵セルの少なくとも1方向に沿ったサイズ超過に対応可能に構成されている。さらに、1以上のスリットによって、収容部の製造時に生じる何らかの欠陥に起因して生じる1以上の収容部の不均一な寸法を有する少なくとも1つのホルダ構造体内に1以上のエネルギー貯蔵セルを収容可能に構成されている。一実施態様によれば、少なくとも1つのホルダ構造体は、1以上の締結具を介して外側ケーシングと直接接触するように構成される。本発明の別の実施態様では、少なくとも1つのホルダ構造体は、少なくとも1つの熱伝導性部材を介して外側ケーシングと直接接触するように構成されている。さらに、一実施態様によれば、複数のエネルギー貯蔵セルのうちの1以上のエネルギー貯蔵セルによって発生した熱は、金属で構成された少なくとも1つの剛性フレーム部材に伝導される。少なくとも1つの剛性フレーム部材は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パックの外側ケーシングと直接接触しているので、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パックの周りを流れる空気によって冷却される。より具体的には、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パックの外側ケーシング内に収容された状態の少なくとも1つのホルダ構造体の改良された構成によれば、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック内の空気の存在を最小限に抑えるように構成されており、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置内の火災のリスクを低減する。
【0017】
本発明の一実施態様によれば、少なくとも1つのホルダ構造体の改良された構成は、少なくとも1つの非剛性部材を含み、非剛性部材は、剛性フレーム部材上にオーバーモールドされたゴム材料などの可撓性樹脂を含む。本発明の一実施態様では、少なくとも1つの非剛性部材は、熱伝導性であるが電気的に絶縁性で難燃性であるゴムの形態の可撓性樹脂を含む。したがって、0.5~2mmの範囲の所定厚みとされたゴムの形態の可撓性樹脂は、少なくとも1つの剛性フレーム部材にオーバーモールドされているので、1以上のエネルギー貯蔵セルが、少なくとも1つの金属製の剛性部材と直接接触することが防止され、それによって、1以上のエネルギー貯蔵セル間の電気的短絡のリスクが最小限に抑えられていると共に、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置の損傷が最小限に抑えられている。したがって、本発明の一実施態様は、エネルギー貯蔵装置用の少なくとも1つのホルダ構造体の改良された構成を提供する。このホルダ構造体の改良された構成によれば、1以上のエネルギー貯蔵セルの充電および放電の際の発熱時において、金属製の剛性フレーム部材との直接接触に起因して生じた過電圧又は過電流を有する1以上のエネルギー貯蔵セルの過熱を取り除くことができるので、熱暴走事象の拡大を低減することができる。一実施態様では、少なくとも1つの剛性フレーム部材は、アルミニウム金属で構成され、非剛性部材は、ゴムを含む可撓性樹脂で作られる。
【0018】
さらに、本発明の一実施態様によれば、少なくとも1つのホルダ構造体の少なくとも1つの非剛性部材は、1以上のエネルギー貯蔵装置を保持するように構成されている。したがって、1以上のエネルギー貯蔵セルは、少なくとも1つの非剛性部材の1以上の収容部内の所定位置に固定されており、1以上の相互接続プレートを複数のエネルギー貯蔵セルに正確に且つ容易に溶接することができる。
【0019】
一実施態様によれば、ゴムなどの少なくとも1つの非剛性部材は、複数のエネルギー貯蔵セルのうちの1以上のエネルギー貯蔵セルが、金属を含む少なくとも1つの剛性フレーム部材と直接接触することを防止し、それによって、1以上のエネルギー貯蔵セルの充電および放電中に発生する熱に起因して、セル間の熱ランウェイおよび短絡が生じるのを低減する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の種々の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して以下に詳細に記載される。図面において、同様の参照番号は、概して、同一の、機能的に類似した、および/または構造的に類似した要素を示す。要素が最初に現れる図面は、対応する参照番号の左端の数字によって示される。添付の図面を参照すると、いくつかの図を通して同じまたは類似の要素を識別するために同じ参照番号が使用される。なお、図面は、参照番号の向きの方向から見たものである。
【0021】
図1は、本発明の一実施態様による、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック(100)の斜視図である。一実施態様では、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック(100)は、内部に1以上のエネルギー貯蔵装置(200)(
図2に示す)を収容する外側ケーシング構造体(102)を含む。少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック(100)用の外側ケーシング構造体(102)は、一対の左右のカバー部材(101L)(101R)を含む。
【0022】
図2は、本発明の一実施態様による、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック(100)の分解図である。一実施態様では、外側ケーシング構造体(102)は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置(200)を収容可能に構成されている。外側ケーシング構造体(102)は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック(100)の少なくとも1つの開放部(102c)、(102d)を被覆する一対の左右のカバー部材(101L)(101R)を含む。一実施態様では、外側ケーシングは、少なくとも1つの仕切り部材(103)を介して1以上のチャンバ(102a)、(102b)に分割され、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置(200)を直列状に配した状態に収容する。本発明の別の実施態様では、外側ケーシング構造体(102)は、その内部が並列配列にて1以上のチャンバ(102a)、(102b)に分割されている。
【0023】
図3は、本発明の一実施態様による、少なくとも1つのホルダ構造体(205)を含むエネルギー貯蔵パック(100)の分解図である。本発明の一実施態様によれば、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック(100)の少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置(200)は、複数のエネルギー貯蔵セル(204)と、複数のエネルギー貯蔵セル(204)のうちの1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)(
図5に示す)を収容可能な少なくとも1つのホルダ構造体(205)とを含む。一実施態様では、少なくとも1つのホルダ構造体(205)は、少なくとも1つの剛性フレーム部材(205a)にオーバーモールドされた少なくとも1つの非剛性部材(205b)を含む。一実施態様では、複数のエネルギー貯蔵セル(204)は、1以上の相互接続プレート(202)、(203)を介して互いに電気的に接続されている。一実施態様によれば、1以上の相互接続プレート(202)、(203)は、複数のエネルギー貯蔵セル(204)を互いに電気的に接続していると共に、上部ホルダ部材(201a)および下部ホルダ部材(201b)を介して電池管理システム(BMS)(図示せず)に電気的に接続している。一実施態様では、複数のエネルギー貯蔵セル(204)の少なくとも上部は、上部ホルダ部材(201a)および下部ホルダ(201b)上の1以上の相互接続プレート(202)、(203)を介して電気的に接続されており、複数のエネルギー貯蔵セルと少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置(200)の電池管理システム(BMS)(図示せず)とを電気的に接続している。
【0024】
図4は、本発明の一実施態様による、
図3のエネルギー貯蔵パック(100)の少なくとも1つのホルダ構造体(205)の斜視図である。本発明の一実施態様では、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置(200)の少なくとも1つのホルダ構造体(205)は、複数のエネルギー貯蔵セル(204)のうちの1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)(
図5に示す)を保持可能に構成されている。一実施態様によれば、少なくとも1つのホルダ構造体(205)は、少なくとも1つの剛性フレーム部材(205a)にオーバーモールドされた少なくとも1つの非剛性部材(205b)を含む。一実施態様では、少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、1以上のエネルギー貯蔵セル(204)の少なくとも一部を受け入れ可能に寸法決めされた1以上の収容部(400)を有している。一実施態様によれば、1以上の収容部(400)には、その一部分に1以上のスリット(400a)、(400b)が形成されている。より具体的には、一実施態様によれば、1以上のスリット(400a)、(400b)によって、複数のエネルギー貯蔵セル(204)の充電および放電プロセス中におけるエネルギー貯蔵セルの長さに沿ったサイズ超過に適応できるように構成されている。さらに、一実施態様では、複数のエネルギー貯蔵セル(204)は、1以上の配列で1以上の収容部(400)内に固定されたリチウムイオン電池を含む。1以上の収容部(400)は、複数のエネルギー貯蔵セル(204)の1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)の寸法よりもわずかに大きい直径を有している。さらに
図4では、一実施態様によると、少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、ゴムを含む可撓性樹脂材料から形成されている。剛性部材(205a)が、少なくとも1つのホルダ構造体(205b)の非剛性部材(205b)の少なくとも1つの側壁(401R)、(401L)、(402R)、(402L)を形成するように、少なくとも1つの非剛性部材が、少なくとも1つの剛性フレーム部材にオーバーモールドされている。
【0025】
図5は、本発明の一実施態様による、
図4のエネルギー貯蔵パック(100)の少なくとも1つのホルダ構造体(205)および複数のエネルギー貯蔵セル(204)の分解図である。一実施態様によれば、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置(200)(
図2に示す)は、少なくとも1つの剛性フレーム部材(205a)と、少なくとも1つの非剛性フレーム部材(205b)とを含む。一実施態様では、少なくとも1つのホルダ構造体(205)の少なくとも1つの非剛性部材(205b)は、その少なくとも一部に形成された1以上の収容部(400)を有する。一実施態様では、1以上の収容部(400)は、複数のエネルギー貯蔵セル(204)のうちの1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)の寸法よりもわずかに大きい直径を有しており、1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック(100)の少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置(200)の少なくとも1つのホルダ構造体(205)に固定されている。
【0026】
図6は、本発明の一実施態様による、複数のエネルギー貯蔵セル(204)が収容された少なくとも1つのホルダ構造体(205)の斜視図である。一実施態様によれば、複数のエネルギー貯蔵セル(204)は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置(200)(
図2に示す)の少なくとも1つのホルダ構造体(205)内の所定の位置に固定されている。本発明の一実施態様では、複数のエネルギー貯蔵セル(204)のうちの1以上のエネルギー貯蔵セル(204a)は、直列および並列配列を含む1以上の配列にて配置されている。
【0027】
有利には、少なくとも1つのエネルギー装置用の少なくとも1つのホルダ構造体の改良された構成によれば、少なくとも1つのエネルギー貯蔵の複数のエネルギー貯蔵セルの熱的なバランスをとり、エネルギー貯蔵セルの寿命、効率、および電力を最大化する方法を提供する。さらに、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置用の少なくとも1つのホルダ構造体の改良された構成は、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置を能動的および受動的の両方で冷却して、少なくとも1つのエネルギー貯蔵パック内において過熱が拡大するのを抑制することを助ける。さらに、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置用の少なくとも1つのホルダ構造体を有利に提供し、このホルダ構造体は、金属フレーム部材にオーバーモールドされた熱伝導性ゴムで形成された少なくとも1つの非剛性部材を含み、それによって、1以上のエネルギー貯蔵セルの温度を所定の動作温度範囲内に維持し、少なくとも1つのエネルギー貯蔵装置の再充電を連続的に且つ改良されたパフォーマンスでもって行なうことができる。
【0028】
本発明の範囲から逸脱することなく、改良例および変更例を本明細書に組み入れることができる。
【国際調査報告】