(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ラボウェア及び細胞培養プロセスにおけるラボウェアのハンドリングシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
C12M1/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021526789
(86)(22)【出願日】2018-11-16
(85)【翻訳文提出日】2021-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2018081644
(87)【国際公開番号】W WO2020098958
(87)【国際公開日】2020-05-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521208088
【氏名又は名称】アイキシンノ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】ギリガン、パトリック・クレメンテ
(72)【発明者】
【氏名】テオ、ケネス・ビー・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ブルリナリア、デイヴィッド・アンソニー
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029BB01
4B029DG10
4B029GA03
(57)【要約】
本発明は、以下から選択される2つ、3つ又はそれ以上の異なるコンポーネントを含む、細胞培養プロセスのためのラボウェアセットの使用に関する:規則的に配置された1又は複数の処理ウェルを含むプレート116;複数のピペットチップを規則的に配置して保持するのに適したプレート324;複数のバイアル321を規則的な配置で個別に保持する又は保持するのに適したコンパートメントを含むプレート320;2以上の実質的に長方形のウェルが規則的に配置されたプレート116;溶液又は細胞培養培地の大量供給のための蓋付きボトル326、327;2つ以上のコンパートメントが規則的に配置された、試薬ボトルを保持するための1つ以上のコンパートメントを有するプレート322;シングルウェルを有するプレート301;箔でシールされ又は蓋で覆われている試薬を保持する1つ以上の貯蔵ウェルを含むプレート116;2つ、3つ又はそれ以上のコンポーネントのすべてが均一なフットプリントをもつ。さらに本発明は、ラボウェアを操作するためのロボットハンドリング装置に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学ラボラトリーシステムにおける細胞培養プロセス用のラボウェアセットの使用であって、前記ラボウェアセットが、
規則的な配置で1又は複数の処理ウェルを含むプレート(116)と、
複数のピペットチップを規則的な配置で保持するのに適した、又は保持するプレート(324)と、
規則的な配置で複数のバイアル(321)を個別に保持することができる、又は個別に保持することができる区画を有するプレート(320)と、
規則的な配置の2つ以上の実質的に長方形のウェルを含むプレート(116)と、
溶液又は細胞培養培地を大量に供給するための蓋付きボトル(326、327)と、
試薬ボトルを保持するための1又は複数の区画を有し、2つ又はそれ以上の区画が規則的に配置されているプレート(322)と、
シングルウェルを有するプレート(301)と、
前記溶液又は細胞培養培地を保持する1又は複数の貯蔵ウェルを有し、箔によりシールされかつ/又は蓋により覆われたプレート(116)と、から選択された2つ、3つ、又はそれ以上の異なるコンポーネントを含み、
前記2つ、3つ、又はそれ以上の異なるコンポーネントが均一なフットプリントを有するラボウェアセットの使用。
【請求項2】
前記セットのプレートが、液体ハンドリングロボット(340)を有するプロセスモジュールの作業デッキ(330)の作業デッキプレートスロット(110)内に配置される、請求項1に記載のラボウェアセットの使用。
【請求項3】
前記セットの少なくとも1つのプレート(116、301、320、322、324) の複数の複製が、共通の保管モジュール(100)内に保管され、前記保管モジュール(100)は、移送インターフェース(130、134)を有し、前記保管モジュール(100)とプロセスモジュール(120)との間でプレート(116、301、320、322、324)を移送するために前記プロセスモジュール(120)の移送インターフェースと連係する、前出請求項の1つに記載のラボウェアセットの使用。
【請求項4】
プレートが、細胞接着のために処理された表面を具備する細胞培養プレート(116)であり、前記プレートはシングルウェルプレート、又は少なくとも60cm
2の成長領域を有する、前出請求項の1つに記載のラボウェアセットの使用。
【請求項5】
1つのプレート(301)が、液体培地のリザーバーとして使用される、前出請求項の1つに記載のラボウェアセットの使用。
【請求項6】
前記フットプリントが、幅85.5+/-1mm、長さ127.8+/-lmmのマイクロプレートのフットプリントである、前出請求項の1つに記載のラボウェアセットの使用。
【請求項7】
次のコンポーネントの少なくとも1つがプロセスモジュール(120)で同時に使用される、前出請求項の1つに記載のラボウェアセットの使用。
液体を搭載するプレート又はボトル、細胞培養物を搭載するプレート、及びピペットチップを搭載するプレート。
【請求項8】
前記コンポーネントの1又は複数又はすべてが、そこに保管されている前記コンポーネント又は試薬を識別するための手段、特にRFIDタグ又はバーコードを含む、前出請求項の1つに記載のラボウェアセットの使用。
【請求項9】
前記プレートが、側壁、端面、又は底面に1又は複数の窪み(374)又は突起(372)をさらに有する、前出請求項の1つに記載のラボウェアセットの使用。
【請求項10】
1又は複数の窪み(374)及び/又は突起(372)が、鏡像又は点対称の配置で設けられる、前出請求項の1つに記載のラボウェアセットの使用。
【請求項11】
生物学ラボラトリーシステムの細胞培養プロセスにおいて、プレートの形態のラボウェアを操作するためのロボットハンドリング装置の使用であって、前記ロボットハンドリング装置が、
互いに向かって水平方向に移動可能な少なくとも2つの平行なフィンガー(168)、又はプレート若しくはグリッパープレート(260)などの水平ハンドリング手段を具備するエンドエフェクタ(162、376、406)を有し、
前記フィンガー(168)又はグリッパープレート(260)が、前記プレートの窪み又は突起と適合する1又は複数の突起(372)又は窪み(374)を有する、ロボットハンドリング装置の使用。
【請求項12】
前記適合する窪み(374)及び突起(372)が、ラボウェアをアーム又はハンドリング手段(260)に位置合わせするためにテーパー付けされている、請求項11に記載のロボットハンドリング装置の使用。
【請求項13】
前記窪み(374)及び突起(372)が、円錐形又は角錐形である、請求項11又は12に記載のロボットハンドリング装置の使用。
【請求項14】
前記ハンドリング手段が、前記ラボウェアの長さの少なくとも半分に延びるフィンガー(168)又はプレート(260)を有し、かつ/又は、ハンドリング位置にあるときにラボウェアに向かって上方に延びる位置決め手段をさらに有し、
前記位置決め手段(262)は、トレイにより形成されているグリッパープレート(260)上でラボウェアを配向させるような形状となっている、請求項11~13のいずれかに記載のロボットハンドリング装置の使用。
【請求項15】
特にRFIDリーダー又は近接センサーの形態の検出手段をさらに有する、請求項11~14のいずれかに記載のロボットハンドリング装置の使用。
【請求項16】
前出請求項のいずれかによって特徴付けられるラボウェアセット又はロボットハンドリング装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物学ラボラトリーシステムにおける細胞培養プロセスで使用する一連のラボウェア及びロボットハンドリングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動化された生物学ラボラトリーシステムは、特許文献1に開示されている。
【0003】
生物学ラボラトリーシステムにおいて、複数のマイクロプレートを自動充填する機械が特許文献2に開示されている。
【0004】
化学又は生物学の自動試料分析器が、特許文献3に開示されている。
【0005】
自動化学分析用の試料ラックの移送装置が、特許文献4に開示されている。
【0006】
特許文献5は、2又はそれ以上の細胞培養装置の間で生物学的連係を容易とするシステムを示している。流体収集装置は、流体装置の出力ポート又は入力ポートに係合するチップを有する。複数の流体装置がカルーセル上に格納される。
【0007】
特許文献6は、クローズシステムの培養コンテナを収容するためのインキュベーターを含む細胞培養装置を示している。
【0008】
特許文献7は、細胞培養物及びラボウェアを保管するための保管装置と、マイクロプレート及びラボウェアを取り扱うための三次元移動可能なロボットアームとを有する自動細胞培養オペレーターを示している。
【0009】
特許文献8は、自動メンテナンスのためにマイクロプレートを移送する移送手段を備えた自動培養システムを開示している。
【0010】
特許文献9は、マイクロ細胞培養物のメンテナンスのための自動ロボットシステムを開示している。
【0011】
その他のマイクロ流体細胞培養システムは、特許文献10、11又は12から知られている。
【0012】
細胞培養は、高度な技術を必要とするが、手間がかかり煩雑であるため、人件費がかさむ。さらに、ワークフローが難しく、複雑で、何週間もかかることもあるため、再現性が低いこともある。そこで、細胞培養の自動化が試みられている。
【0013】
細胞は、インキュベーター内のプラスチック器具(フラスコ、丸皿、ボトル、マルチウェルプレート)内で培養される。細胞を通過させるための通常の手順は:冷蔵庫に保管されている培地、PBS、トリプシン(冷蔵庫内に保管)を予熱すること、冷凍庫に保管されているウシ胎児血清(FBS)などの添加物や成長要因などの特別な添加物を除霜すること;新しいプラスチック器具(新しいプレート、血清ピペット、ピペットチップ)を用意すること;インキュベーターからフローフードに細胞を移すこと(すなわち、無菌状態であるが、インキュベーターから出ている時間を最小限とすることが望ましい);顕微鏡下で細胞をチェックすること;細胞をPBSで洗浄すること;細胞をトリプシンで取り除いて懸濁し、一定分量を取り、そして顕微鏡の計数スライドで細胞濃度をカウントすること;適切な量の細胞、及び任意の培地を追加すること;そして、細胞をインキュベーターに戻すこと、を含む。大量の液体の移送は、血清ピペットで行われ、少量のものは使い捨てのピペットチップを有するマイクロピペットで行われる。
【0014】
細胞生物学を自動化する既存のシステムがある。これらのシステムは、一般的には一緒に稼動させるように設計されていない、様々なベンダーの提供する様々な形式による様々な実験設備部品(液体ハンドラー、自動インキュベーター、冷蔵庫など)を組み合わせて構成されている。これらは、多くの場合、テーブルやその他のマシンのベッドに装置をボルトで固定して組み立てられる。その後、3Dロボットアームと一体化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】中国特許第104777321号明細書
【特許文献2】米国特許第6,360,792号明細書
【特許文献3】米国特許第7,670,553号明細書
【特許文献4】特開平1-1189561号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2016/0145555号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2018/0044624号明細書
【特許文献7】米国特許第7,883,887号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第 2016/0201022 号明細書
【特許文献9】米国特許第8,652,829号明細書
【特許文献10】米国特許第9,388,374号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2017/0145366号明細書
【特許文献12】米国特許第9,057,715号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、生物学ラボラトリーシステムのプロセスモジュールで使用する、長時間の全自動作業が可能なラボウェアを提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、ラボウェアを取り扱うためのロボット装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、特許請求の範囲に記載された発明によって達成され、各請求項は基本的に上記考案された目的の独立した解決策を示している。
【0019】
本発明は、以下から選択される2つ以上の異なるコンポーネントを含む、細胞培養用のラボウェアセットを提供する:規則的な配置の1又は複数の処理ウェルを有するプレート;複数のピペットチップを規則正しく保持又は保持するのに適したプレート;規則的な配置で複数のバイアルを個別に保持する、又は個別に保持するのに適した区画を有するプレート;規則的な配置の2つ以上の実質的に長方形のウェルを有するプレート;試薬のバルク供給用の蓋付きボトル;試薬ボトルを保持するための1又は複数の区画を有し2つ以上の区画は規則的な配置であるプレート;シングルウェルを有するプレート;箔でシールされかつ/又は蓋で覆われた、試薬を保持する1又は複数の貯蔵ウェルを有するプレート;2つ、3つ、又はそれ以上のコンポーネントのすべてが均一なフットプリントを有する。
試薬ボトルを保持するための区画は、プレートの幅方向において区画に対して区画やウェルが隣接して配置されないように、好ましくはプレートの幅全体に亘っている。試薬を保持する1又は複数の貯蔵ウェルを有するプレートは、シールされているか、又は蓋を有する。2つ以上のコンポーネントのすべてが、実質的に同じ最大幅を有し、前記幅に直交する方向の最大長さを超えないようにできる。
本発明は、特に、上述のプレートから選択された3つ以上の異なるコンポーネントからなる生物学ラボラトリーシステムにおける細胞培養プロセスのためのラボウェアセットの使用を含む。コンポーネントの数は、4個、5個、6個、7個、8個又はそれ以上である。この結果、すべてが同じインターフェイスと互換性のあるラボウェアセットが得られる。これにより、自動化システムの複雑さが大幅に軽減され、互換性のあるラボウェアのみをシステムで使用できることを確保するので、システムで使用するときに許容度の低いラボウェアが問題を引き起こす可能性が低くなる。
処理ウェルを具備するプレートは、その外形寸法(すなわちフットプリント)とウェルの位置によって規定される。好ましくは、1個のウェル、6個のウェル、12個のウェル、24個のウェル、48個のウェル、96個のウェル、384個のウェル、及び1536個のウェルを備えたプレートがある。他のウェル個数も可能である。ピペット又はピペットチップボックスを保持するプレートは、多くの場合、96個のチップを保持する。しかしながら、他の構成も可能である。異なるサイズのチップのために、異なるサイズのボックスを用いることができる。バイアルは通常0.2~2mlの液体を保持し、クライオバイアルとすることができる。他のサイズのバイアルが知られている。
ボトルを保持する区画を具備するプレートは、幅方向に2つの区画が互いに隣り合って配置され、かつトレイの長さ方向に2つ又は3つの区画が隣り合って配置されることができるので、4本又は6本のボトルを2×2又は2×3の配列で収納しかつ移動することができる。ボトルを保持する区画を具備するプレートは、幅方向に2つ以上の区画が隣り合って配置されることができる。このような区画を複数列設けることができる。しかしながら、このような列は必ずしもプレートの全長に沿っている必要はない。その替わりに、幾つかの区画は、別の貯蔵容器を使用せずに試薬を直接収容するか、又は反応を行うために用いられる、貯蔵用又は反応用のウェルとして機能するように予備とされるか、又は実際に構成されることができる。
ラボウェアには、プレートやトレイに収容されないボトルが含まれる場合がある。このようなボトルは、前記最大幅を有するか又は部分的に有しかつ前記最大長を超えない、円形断面又は実質的に長方形断面を有することができる。シールされた貯蔵ウェルは、ウェルの上縁又はプレート全体の上縁に又は近傍に取り付けられた箔により気密又は少なくとも液密方式でシールすることができる。その箔は、プラスチック製のディスポーザブルピペットチップが挿通できるような破断強度や切れ目などの特徴を有することができる。
好ましくは、2つ以上のコンポーネントのうち1つ以上が、個々のコンポーネントの最大幅を規定する部分よりも幅が狭い部分を有し、その場合、幅が狭い部分は、最大幅を規定する部分の上方又は下方に位置している。これにより、ラボウェアを保持又は処理する方法を自由に変えることができる。狭い部分は、コンポーネントの両側壁に対称的に施された狭小化により形成することができる。好ましくは、狭い部分は、コンポーネントの側壁に沿って延びるチャネルにより形成される。これにより、ラボウェアのフットプリントを変えずに、ラボウェアの保持やハンドリングが可能になる。好ましくは、前記狭い部分は、側壁の全長に沿って延在するか、又は、側壁の長さ方向の反対側の端部から互いに向かって延在しかつ側壁に沿って十分には延びていない2つの狭い部分により形成されている。このような配置により、1つのラボウェアに対して2つの保持手段又はハンドリング手段を同時に使用することができる。このことは、ハンドリング装置間の受け渡したり、又は、ラボウェアのアイテムを、同じ把持インターフェースを使用する保管ラックのプレートホルダーに移したりする際に有用である。
好ましくは、2つ以上のコンポーネントのうち1つ以上が、個々のコンポーネントの最大幅を規定する部分よりも幅が狭い部分を含み、その場合、幅が狭い部分は、最大幅を規定する部分の上方又は下方に位置している。幅方向に狭い部分は、側壁に設けられた溝とすることができる。それに替えて、幅の狭い部分を側壁に配置することによって、最大幅を規定する側壁の部分が、側壁の残りの部分から突出したレール又はガイドレールを形成するようにしてもよい。
好ましくは、コンポーネントの長手方向の端部の一方又は両方におけるコンポーネントの幅が、最大幅よりも小さくかつコンポーネントの長手方向の前面からの距離が増すにつれて最大幅に向かって徐々に大きくなるように、コンポーネントの側壁又は両側壁の一方又は両方の2つの短縁の一方又は両方の一部又は全部が構成されている。その短縁の一部又は全部は、短縁の面取り又は丸みとすることができる。この縁の変更は、コンポーネントを開口部内、例えばラボモジュールに出入りさせるドア内の中央に配置するのに十分である必要がある。その変更は、縁の高さ全体に適用されてもよい。代替的又は追加的に、その変更は、変更がない場合にコンポーネントの最大幅を規定する縁の一部にのみ適用することができる。
特に、最大幅よりも狭い側壁部分を有するコンポーネントの場合、縁の変更がその狭い部分には適用されないことがある。さらに、代替的又は追加的に、縁の変更をその狭い部分に適用することができ、例えば、狭い部分を下って移動することを意図された把持装置に対してコンポーネントを中央合わせすることを支援する。縁の変更がその狭い部分にのみ適用される構造もまた、例えば、側壁の最大幅部分において縁の変更が不要である構成で使用するために想定される。例えば、コンポーネントが通過するラボモジュールの開口部の縁の面取りなどにより、所望されるコンポーネントの中央合わせの効果が他の方法で達成されるからである。
好ましくは、ラボウェアは、側壁、底面、又は端面に、1又は複数の窪み又は突起をさらに有する。好ましくは、1又は複数の窪み及び/又は突起が、鏡像又は点対称の配置でコンポーネントの側壁に設けられており、かつ/又は、1又は複数の窪み及び/又は突起が、鏡像又は点対称の配置でコンポーネントの端壁に設けられている。好ましくは、前記窪みの幅及び/又は高さは、コンポーネントへの窪みの侵入深さが増すにつれて減少し、又は、前記突起の幅及び/又は高さは、その突起を有する表面からの距離が増すにつれて減少する。窪み又は突起は、円錐形、角錐形、半球形、その他の先細りの断面形状を有する。
【0020】
好ましくは、ラボウェアの2つ以上の異なるコンポーネント少なくとも1つが前記プレートであり、前記プレートは、前記プレートの幅方向に互いに隣り合い配置された6つ以上のバイアルを個々に保持する又は個々に保持するために適切な区画を有する;前記プレートは、試薬ボトルを保持するための区画を有し、2つ以上の前記区画が前記プレートの幅方向に互いに隣り合い配置されている;前記プレートが、試薬ボトルを保持するための区画を有し、前記プレートの幅全体に亘っていることにより、区画に対して隣り合うさらなる区画又はウェルが前記プレートの幅方向に配置されない;その場合、前記区画の底部が、ボトル又はバイアルの底面におけるマッチング係合手段と係合したときに、区画内での鉛直軸を中心とするボトル又はバイアルの回転を阻止するように構成された係合手段を有する。
その係合手段は、区画の底部表面に設けられた多角形、例えば、三角形、四角形、五角形、六角形の突起とすることができる。区画内で使用されるバイアルやボトルは、突起を受け入れるための多角形の窪みを有することができ、その窪みは突起に対して実質的に回転しないようなサイズとなっている。好ましくは、ラボウェアは、その底面に係合手段を具備する1又は複数のボトル及び/又はバイアルをさらに含み、前記係合手段は、前記区画の底部にある前記係合手段と係合するのに適している。
好ましくは、ラボウェアは、非円形の断面を有し、最大サイズが前記ボトル又はバイアルを保持するための区画の最小内寸よりも大きい1又は複数のボトル及び/又はバイアルをさらに含む。好ましくは、前記コンポーネントの1又は複数又はすべてが、そこに保管されている前記コンポーネント又は試薬を識別するための手段を含む。識別手段は、一次元又は二次元のバーコード、RFIDタグ、又は触手が係合するためのレリーフ構造とすることができる。
さらなる実施形態では、細胞培養プロセスにおいてラボウェアを操作するためのロボット装置が提供され、前記ロボット装置は、互いに離間して配置された少なくとも2つの細長いグリッパーフィンガーを有し、そのグリッパーフィンガーは、取り扱われるラボウェア上の適合する突起及び窪みに係合するための突起又は窪みを有する。これにより、ラボウェアの把持が強化され、把持時に窪みと突起がラボウェアの位置を合わせるため、正しい位置合わせが保証される。
好ましくは、上述したようなロボット装置及びラボウェアを含むシステムが提供される。ロボット装置は電気的に駆動することができる。1つのモジュールがプロセスモジュールであるモジュールセットを有するシステムは、制御装置を有することができ、その制御装置は、ロボットハンドリング装置を制御するためのコンピュータ及び回転する保管装置のための駆動装置とすることができる。
好ましくは、ラボウェアと、互いに前記最大距離だけ離間した又はラボウェアに対してはより狭い部分の幅だけ離間した少なくとも2つの細長いグリッパーフィンガーを具備するロボット装置と、を有するシステムが提供される。
好ましくは、ロボット装置及びラボウェアを有するシステムが提供され、ロボット装置は、ラボウェアに設けられた識別手段を読み取るのに適した読み取り装置をさらに含む。 好ましくは、前記グリッパーフィンガーが、前記間隔よりも大きい間隔と前記間隔との間で移動可能であるロボット装置又はシステムが提供される。
好ましくは、ラボウェアを有し、かつラボウェアをその中に保管する保管モジュールをさらに有するシステムが提供され、保管モジュールはラボウェアにアクセスするためのドアを有し、そのドアの高さはラボウェアの高さよりも大きい。これにより、ラボウェアがインターフェースを通過できる。ドアの高さはモジュールによって異なり、例えば、冷蔵庫はボトルを収納するためにドアを高くすることができる。ディープウェルプレートの場合のドアの高さは4cm、ボトルの場合のドアの高さは8cm、ピペットボックスの場合のドアの高さは10cmとすべきである。しかしながら、他の高さも可能である。例えば鉛直に開くドアを使用する場合、ドアは必要に応じてその高さまで開くことができる。
さらなる実施形態では、生物学ラボラトリーシステムで使用するためのボトルが提供される。その場合:ボトルが、50~500mlの容量と、マイクロプレートの実質的に長方形のフットプリントとを有することによって、ボトルがスロットに保管され、グリッパーで取り扱われ、それぞれマイクロプレートを保管及び/又は処理するように構成されることができる。長方形が使用されるが、ボトルは丸い隅部を有することができる。さらに、ボトルは、2つの平行な側面と湾曲した前面又は背面を有することができる。
さらなる実施形態では、好ましくは生物学ラボラトリーシステムでボトルを取り扱うために、グリッパープレート又はトレイが提供される。そのトレイは、SLASマイクロプレートのフットプリントに対応するフットプリントを有し、さらに20~100mlのボトルを保持するように構成された窪みを有することによって、ボトルをスロット内に保管し、グリッパーで取扱い、SLASマイクロプレートを保管及び/又は処理するように構成できる。
【0021】
好ましくは、ロボットハンドリング手段は、少なくともラボウェアの第1の側面と第2の側面との間に延びるグリッパープレートを有する。これにより、ラボウェアが着座するプレートが提供される。したがって、窪みと突起が、プレートとラボウェアの側面との間に鉛直方向に延在している。好ましくは、グリッパープレートは、ハンドリング位置にあるときにラボウェアに向かって上向きに延びる位置決め手段をさらに含み、その位置決め手段は、グリッパープレート上でラボウェアを配向させるような形状となっている。これにより、ラボウェアがプレート上でスライドしないようにするために、ラボウェアが着座するフレームとして作用する突起がさらに提供される。
好ましくは、位置決め手段はテーパー付けされ又は傾斜している。窪み及び突起と同様に、これにより、ラボウェアを正しい位置に向けるための位置合わせ手段がさらに提供される。好ましくは、位置決め手段は、ハンドリング位置にあるとき、ラボウェアの第1及び/又は第2の側面の外縁に沿って延びる。
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の図面を参照して、純粋に例として、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、モジュールの実施形態の概略平面図を示す。
【
図2】
図2は、モジュールのシステムへと形成された
図1のモジュールの概略平面図を示す。
【
図4A】
図4Aは、モジュール間のインターフェースの概略平面図を示す。
【
図4B】
図4Bは、モジュール間のインターフェースの概略平面図を示す。
【
図4C】
図4Cは、モジュール間のインターフェースの概略平面図を示す。
【
図5】
図5は、モジュールのプレートスロット、プレート及びグリッパーの概略側断面図を示す。
【
図7A】
図7Aは、モジュール間のインターフェースのさらなる実施形態の概略平面図を示す。
【
図7B】
図7Bは、モジュール間のインターフェースのさらなる実施形態の概略平面図を示す。
【
図8】
図8は、モジュール間のインターフェースのさらなる実施形態の概略平面図を示す。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、鉛直方向に積層された2つのモジュールの概略側断面図を示す。
【
図10】
図10は、鉛直方向及び水平方向に配置されたモジュールの概略側面図を示す。
【
図15A】
図15Aは、保管モジュール及びプロセスモジュールの概略側断面図を示す。
【
図16】
図16は、プロセスモジュール及びエアハンドラーの概略側面図を示す。
【
図17】
図17は、プレート及びプレートスロットの概略側面図を示す。
【
図18】
図18は、検知手段を具備するモジュール間のインターフェースの概略平面図を示す。
【
図19】
図19は、モジュール間のプレート移送ステップの概略平面図を示す。
【
図20】
図20は、モジュール間のプレート移送ステップの概略平面図を示す。
【
図21】
図21は、一実施形態によるハンドリング装置及びプレートの概略平面及び側面図を示す。
【
図22】
図22は、
図21のハンドリング装置及びプレートスロット及びさらなるハンドリング装置の概略平面図を示す。
【
図23】
図23は、
図21のハンドリング装置及びプレートスロット及びさらなるハンドリング装置の概略平面図を示す。
【
図24】
図24は、
図21のハンドリング装置で使用するためのラボウェアの概略平面及び側面図を示す。
【
図26】
図26は、一実施形態によるハンドリング装置の概略的平面及び側面図を示す。
【
図27】
図27は、キャップ及び蓋で取り扱うためのインターフェースを具備するラボウェアの概略平面及び側面図を示す。
【
図28A】
図28Aは、一実施形態による中央ロボットハンドラーを具備するモジュールのシステムの概略平面図を示す。
【
図28B】
図28Bは、一実施形態による中央ロボットハンドラーを具備する鉛直方向に積層されたモジュールのシステムの概略側面図を示す。
【
図30】
図30は、モジュールのロボットハンドリング装置及びラックの概略的な拡大側面図を示す。
【
図31A】
図31Aは、一実施形態による回転可能なロボットハンドリング装置の概略側面図を示す。
【
図31B】
図31Bは、一実施形態による回転可能なロボットハンドリング装置の概略側面図を示す。
【
図32】
図32は、一実施形態によるマガジンラック及びモジュールを具備するロボットハンドリング装置の概略側面図を示す。
【
図33】
図33は、一実施形態によるモジュールのシステム及びレール上のロボット装置の概略平面図を示す。
【
図34】
図34は、一実施形態による、鉛直方向に積層されたモジュールにおけるモジュール間のプレートを移送するステップの概略平面図を示す。
【
図36】
図36は、液体培地を収容するためのシングルウェルプレートを示す。
【
図37】
図37は、液体培地を収容するためのシングルウェルプレートを示す。
【
図38】
図38は、シール要素311と接続された2つの隣接するモジュールを示す。
【
図39】
図39は、シール要素311と接続された2つの隣接するモジュールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図15A及び
図15Bを参照すると、本明細書に記載のモジュールのいずれかとすることができる、さらなるモジュール100に接続されたプロセスモジュール120が示されている。
プロセスモジュール120は、回転要素108すなわちターンテーブルを有する。しかしながら、プロセスモジュール120内でターンテーブル108が、単一表面でありかつ様々な鉛直ラック210を有しない場合もある。その替わりに、ターンテーブル108の頂面が、作業デッキ330又は少なくとも作業デッキ330の一部を形成する。ターンテーブル作業デッキは、ラボウェア用の多数のスロットを有すると共に、プロセスモジュール内で機能モジュール(例えば液体ハンドリングロボット)と位置合わせされ、かつ別のモジュールからターンテーブル作業デッキ上にプレートが水平に移送されるインターフェースと位置合わせされることができる。したがって、ターンテーブル作業デッキは、プレートをモジュール内に移送し、かつ複数の機能要素間で移送するための非常にコンパクトで統合された、シンプルな手段として機能する。
【0024】
プロセスモジュール120内には、液体ハンドリングロボット340が設けられている。液体ハンドラー340は、ターンテーブル108の上方に配置されている。図示の実施形態では、液体ハンドラー340は、
図15A及び
図15Bに示されるように作業デッキ330の上方の全領域を占めていない。
図15Bに示すように、ターンテーブル108は、5つのプレートスロット110が液体ハンドラー340の下方に位置するように回転させられる。液体ハンドラーは、その下方に配置されたプレートスロット110の各々に対して、又は、必要に応じて選択された個数に対して液体放出点を有するように構成できる。液体ハンドラーの実際の大きさは、システム99の必要な機能に応じて変わり得る。所与の実施形態では作業デッキ330のすべてのプレートスロット110にアクセスするために位置付けされる。
【0025】
上述した通り、プロセスモジュール120内のターンテーブル108ひいては回転作業デッキ330は、細胞培養プレート116や、ピペットチップ及び培地ボトルなどの消耗品を入れたプレートなど、様々なアイテムを保持することができる放射状に配置されたプレートスロット110を有する。汎用的な細胞培養システムでは、8個のスロットで十分かもしれないが、プレートスロット110の総数は、必要に応じて変更可能であり、例えば、プレートスロット110が互いに隣接する2つ以上のプレートを保持するように適応可能である。
【0026】
図15Bは、ターンテーブル108をその中で回転させられるように、プロセスモジュール120のプレートスロット110に配置された顕微鏡を示している。顕微鏡は、プレートの下方にレンズを有し(プレートの底面を通して細胞を観察するため)、そして例えばプレートの上方に高出力LEDアレイなどの光源を有する。顕微鏡342でプレート116を走査することを所望された作業デッキ330内の任意の位置は、したがって、プレート116の底面を顕微鏡レンズに曝すように、切欠きを有していなければならない。それに替えて、プレートを、回転する作業デッキからハンドリング手段で持ち上げて、顕微鏡に移すこともできる。顕微鏡は、x及びyの方向に移動又は走査することによって、プレート116全体を観察又は走査することができる。ターンテーブル108は、顕微鏡342が常に同じ位置に留まるように、顕微鏡342にインデックスを付けることで、下方にあるプレートや収容物の高品質な検査を確実に行うことができる。図示においては、顕微鏡342は、プレート116がインキュベーター124に出入りするために移送される位置に配置されている。これにより、プロセスモジュール120のターンテーブル108を回転させることなく、プレート116を顕微鏡342の下方にあるプレートスロット110に移送したり、プレートスロット110から移送したりすることができる。その結果、ターンテーブル作業デッキ330上で行われる他のプロセスが中断されない。他の実施形態も可能であり、例えば、顕微鏡342が、作業デッキ330の別のスロットに配置されることもあり得る。
【0027】
顕微鏡342は、一般的に、細胞の状態(コンフルエントなど)をモニタリングするために用いられ、それにより細胞の成長速度を知り、次にいつ継代する必要があるか、又はどこに別のプロセスを開始するのに十分な細胞があるかを知る。別の実施形態では、顕微鏡342はさらに、(pH標識として機能する色素を担持する)培地のpHを検出でき、かつ/又は、(培地を酸性に(より黄色)にして曇らせる)粗大な微生物汚染を検出できる。
【0028】
別の実施形態では、顕微鏡342がターンテーブル108に割り出しされるか、又は、顕微鏡342が必要なプレート116又はプレートスロット110の面積より大きい面積を見るように配置され、この視野の外側の特徴を無視するようにプログラムされるか、又はプレート116における位置ずれを補償するためにこれらを使用する。
【0029】
任意のデキャッパーロボット344が示されており、ターンテーブル108が関係位置に回転させられたときにプレートスロット110の上方となる位置に設けられている。デキャッパー344は、バイアル321及びボトル323をデキャップする。デキャップする必要があるバイアル321及びボトル323は、そのプレートスロット110がターンテーブル108によりデキャッパー344の下方のデキャップ位置に回転させられる。その後、ターンテーブル108は、デキャップされたプレートスロット110を、液体ハンドラー340(例えばピペットロボット)のために必要となる位置まで回転させることができる。
【0030】
任意のデリッダーステーション346も示されており、例えば細胞培養プレートであるプレート116の蓋外しをするために設けられている。当技術分野では、ピペットチップボックスやピペットチップスタックなどの消耗品、又は、マイクロプレートリザーバーなどのプレート類は、液体ハンドラーのデッキ上に収容されている。ここで説明されるシステムでは、人間が研究室で利用するであろう広範囲の消耗品に、プロセスモジュールがランダムにアクセスできるようにすることが望まれている。このために、プロセスモジュールは、自動インキュベーター、自動冷蔵庫、及び自動プラスチック器具保管庫と連係させられることによって、必要に応じて消耗品又は細胞培養プレートをプロセスモジュールに対しフレキシブルに出し入れできるようにされている。これを可能とするためには、ピペットチップボックス及びマイクロプレートリザーバーの蓋を開け閉めできるシステムが望ましい。当技術分野では、ピペットチップボックスの蓋は人間の使用に適応されており、ボックスに蝶番で取り付けられかつやや柔軟であり、通常、ポリプロピレンなどのポリマー製である。マイクロプレートリザーバーに蓋がある場合もまた、やや柔軟なポリマーの蓋を有する。ピペットチップボックス又はその他のラボウェア(マイクロプレートリザーバーなど)も、デリッダーで扱えるような蓋がついていれば、デリッダーで蓋外しすることができる。このような蓋は、細胞培養プレート用のものとして当技術分野で知られており、一般的に、ポリカーボネートなどの材料で作製され、剛性を要求される。それらの蓋は、当技術分野で知られているように、光沢があればさらに有利である。デリッダー346は、ターンテーブル108を回転させることにより、蓋を取り外す必要のあるプレートを載せたプレートスロット110の1つの上方に配置することができる。
【0031】
したがって、
図15Bに示されるように、例示的なプロセスモジュール120は、1つの顕微鏡342、1つのデリッダー346、及び1つのデキャッパー344を有し、すべてが作業デッキ330上に設置されるように構成できる。システムの必要性に応じて他の構成も可能である。例えば、2つ以上の顕微鏡342が必要な場合、又は、デキャッパー344を必要としない構成も有り得る。
【0032】
一例として、作業デッキ330は、プレートスロット110内に細胞培養プレート116を保持し、バイアル320(例えば試薬又は成長因子を含むバイアル)及びボトル322(例えば細胞培養液又はトリプシンを含むボトル)を具備するラック、2つの異なるサイズのピペットチップを具備するピペットチップボックス324を保持する。作業デッキ330は、液体ハンドラー340が液体の受け渡しを行う間、静止していてもよいし、様々な皿や他の消耗品を様々なタイミングで液体ハンドラー340に簡便に提示するように回転してもよい。さらに、顕微鏡342、デリッダー346又はデキャッパー344の下方位置に、細胞培養プレート116などの別のアイテムがあってもよい。顕微鏡342、デリッダー346及びデキャッパー344のための機構が作業デッキ330上のプレートスロット110の上方に配置されているとすると、ほとんどの場合、これは、液体ハンドラー340がそれらのプレートスロット110内のアイテムに到達することを妨げるであろう。顕微鏡342、デリッダー346又はデキャッパー344の下方のプレートスロット110内にあるアイテムは、作業デッキ330を回転させることによって、必要なときに液体ハンドラー340に対して露出させることができる。
【0033】
作業デッキ330用のターンテーブル108は、SLAS(Society for Laboratory Automation and Screening)マイクロプレートフットプリントを具備する細胞培養プレート116のための8個の放射状に配置されたプレートスロット110を有し、例えば直径80cm未満の小型のものとすることができる。これにより、プロセスモジュール120、又は同様の大きさのターンテーブルを具備する他のモジュール100をコンパクトとし、かつ、実験室のクリーンルームのドアなどのドアを簡単に通過させることができる。これにより、モジュールを工場で組み立てた後に現場で組み合わせることができるので、システム99の設置が一般的に簡便、迅速かつ経済的となる。
【0034】
図15Bに示すインキュベーター124のカルーセル108のような、ラックシステム210を具備するカルーセル108は、プロセスモジュール120の作業デッキ330に近接して配置でき、それによって、細胞培養プレート116などのラボウェア300を、単純な水平移動によってインキュベーター124のカルーセル108のプレートスロット110から作業デッキ330のプレートスロット110に移送することができる。プレート116を移送するためのロボット装置160は、インキュベーター124内に設けることができる。
【0035】
ロボットグラバー160を具備する外部固形廃棄物リセプタクル348が、プロセスモジュール120と連係して設けられている。プロセスモジュール120からの固形廃棄物(例えば、使用済みの細胞培養プレート、空のピペットチップボックス、空のボトル)を、固形廃棄物リセプタクル348に移送することができる。固形廃棄物リセプタクル348は、モジュール100のサイズである必要はなく、より小さい容量を有することができ、おそらくはその内容物を袋に空けて実験室の外に運ぶ必要がある。パイプ片により形成されたシール手段311は、モジュール100、120を気密に接続する。シール手段311は、2つのモジュール100、120を強固に接続するために用いることができる。
【0036】
図16は、プロセスモジュール124を通過する空気の流れの概略図である。エアハンドラー350が設けられている。これは、床面積を節約するためにプロセスモジュール124の上に配置されている。しかしながら、エアハンドラー350は、所与のシステム99において適切な他の位置に設置することができる。エアハンドラーは、清浄空気352をプロセスモジュール124に供給し、清浄空気352がプロセスモジュール124を横切って(すなわち水平に)排気に送られ、そこで排気354はエアハンドラー350に戻される。
【0037】
好ましくは、HEPAフィルターで濾過された空気がプロセスモジュール124に吹き込まれ通過する。水平方向に空気を送ると、開いた細胞培養プレート116又は試薬のバイアルやボトル内への粒子の落下を最小限に抑えることができる。微粒子を低減し、システム99からの排気を低減させる方法として、HEPAフィルターを介してHEPA空気をシステム99に再循環させることができる。レンチウィルスを扱うシステムにおけるように、室内に空気を排出したくない処理工程では、空気の再循環が好ましい場合がある。所与のシステムにおいては、空気を再循環させないことが好ましい場合もある。
【0038】
一実施形態では、プロセスモジュール124がさらに、関係する表面を照射するように配置された過酸化水素蒸気、オゾン、エチレンオキシド、又は、UV LEDなどのUVライトなどの、定期的な滅菌のための何らかの手段をさらに有する。
【0039】
図17は、プレートスロット110の2つのバージョンを示している。一方のバージョンでは、プレート116又は他のラボウェア300が、チャネル又はトラフ156内に載置され、そのチャネル156は、スロット側面部152とスロット側面部152に通常垂直である底面部154とにより形成されている。上述したように、プレート116又は他のラボウェア300は、プレート116又は他のラボウェア300自体の幅よりも広いフットプリント360を有する。これは、グラバー164がトラフ156内にスライド可能とするために使用することができる。しかしながら、
図17の右側のプレートスロット110に示されたチャネル156では、スロット側面部152が、チャネル156の底面部におけるより広い部分と、チャネル156の開口における狭い部分とを有する。この状況でのトラフの幅は、フットプリント360が狭い部分よりも広くなるように(しかし広い部分の間に嵌まることができるように)ようになっており、その場合、プレート116はプレートスロット110内で鉛直方向に対し拘束されている。これにより、ラボウェア300の位置合わせが可能となり、ラボウェアの落下や紛失を防ぐことができる。
【0040】
このような構成は、例えば、プロセスモジュール120の作業デッキ330上の場所で特に用いることができる。グラバー164ひいてはグリッパーフィンガー168が、スロット110内のプレート116の側面を下方に延びていない場合には、グリッパーフィンガーを収容するために、チャネル壁の追加の溝(例えば
図5)、又は、ラボウェアの溝370(
図19A)のいずれかを必要とする。あるいは、ロボットハンドリング装置160が必要とされる。これは、プレート116の前面を取り扱うグリッパーによって、又はプレート116がプレートスロット110に押し込まれたり押し出されたりすることによって実現できる。
【0041】
面取り362が、チャネル156の開口におけるスロット側面部152の上縁に設けられる。これらの面取り362は、プレートスロット110内に配置されるプレート116を鉛直方向の位置から位置合わせすることを支援できる。チャネル156に様々な幅を提供する面取り362及びスロット側面部152などの上記の特徴は、側面部の溝166などの
図5の特徴と組み合わせることができる。
【0042】
図18を参照すると、プレートスロット110の端部には、係合手段362が設けられている。係合手段362は、プレート116がスロット110内に存在することを示すために、プレート116の配置によって作動するか、又は他の方法でトリガーされる。一実施形態では、係合手段362は、プレート116が存在するときにプレートスロット110の壁内に後退した状態になるバネである。これにより、近接スイッチ又は圧力スイッチが作動し、プレートがプレートスロット110内に存在すること、又は適切に配置されていることを制御システムに知らせる。
【0043】
それに替えて、係合手段362は、ラボウェア300に係合する凹部、押圧フィット、又はバネであってもよい。係合手段362は、手段362がラボウェア300によって最初に係合されたときにフィードバック(例えば、グリッパー164を駆動するモーターによって読み取られる)を提供し、ラボウェア300がプレートスロット110に完全に係合されたときにさらなるフィードバックを提供することができる。スロット110内のプレート116の位置に応じたこのような信号の発生は、インピーダンスストリップなどの様々な手段によって、又は、係合手段362との接触によりトリガーされるプレート116の前端及び後端に配置された近接センサーによって行うことができる。それに替えて、プレート116の前端から後端までの形状にばらつきがあると、係合手段362にかかる力が異なり得る。例えば、プレートは前部でより狭くすることができ、したがって、係合手段362は、係合手段362をより大きく後退させるプレート116のより広い部分よりも後退が小さい。このことはプレート116の一貫した位置合わせを必要とし、したがって、対応する係合手段362をプレートスロット110の入口部に設けることができる。
【0044】
図19及びサブ
図A、B、Cを参照して、サンプルプロセスを説明する。ここでは、細胞培養プレート116内の栄養培地の交換について説明する。
【0045】
細胞が成長している間、栄養培地を入れた細胞培養プレート116は、インキュベーター124の中にある。老廃物が溜まっていたり、栄養分が不足していたりするため、培地を交換する必要がある。
図19Aでは、プレート116は、ピペットチップ324及び新しい培地(これは、ディープウェルプレート364に入っていてもよいし、その替わりにアダプターラック内のボトルに入っていてもよいし、マイクロプレートフットプリントを有するボトルに入っていてもよい)と共に作業デッキ330に移される。細胞を有する関連プレート116は、ロボット装置160によってカルーセル108内のプレートホテル/ラック210のプレートスロット110から取り出される。ロボット装置160が鉛直方向に移動し、カルーセル108が回転することで、正しいプレート116をロボット装置160に提示し、ロボット装置160はプレート116をプレートスロット110から取り出す。次に、ロボット装置160は、鉛直方向に移動して、回転する作業デッキ330のスロットと位置合わせされているインキュベーター324のドア130と位置合わせされる。カルーセル108/回転作業デッキ330が回転して、回転デッキ330のターゲットプレートスロット110(すなわち、プレート116が移される場所)をインキュベーター324のドア130と位置合わせし、そして、ロボット装置160がプレート116を回転作業デッキ330のターゲットプレートスロット110に水平に移送する。プレート116は、例えば、回転作業デッキ330をデリッダーステーション346と位置合わせするまで回転させることにより蓋外しされる。そして、位置合わせしたデリッダーステーション346は、蓋を取り外して保管する。
【0046】
ピペットチップ324、及び(ディープウェルプレート364内の)細胞培養液は、同様の方法で、ロボット装置160の鉛直方向の移動、カルーセル108の回転、及び作業デッキ330上の関連するターゲットプレートスロット110の関連する保管庫122のドア130との位置合わせによって、その別の保管庫122から回転する作業デッキ330上のターゲットプレートスロット110に移される。
図19Bでは、すべての必要な材料、すなわち、プレート116と培地とチップがプロセスモジュール120にある。
【0047】
液体ハンドリングロボット340は、新しい使い捨ての無菌ピペットチップ324をピックアップする。使い捨てのピペットチップは、培地や細胞が、微生物や前回のピペッティングステップによる余計な化学物質で汚染されるのを防ぐために使用される。液体ハンドラーは、プレートから使用済みの培地を吸引し、廃棄物として処理する。その後、ピペットチップ324は廃棄され、新しいピペットチップ324がピックアップされる。次に、液体ハンドラー340は、リザーバー(例えば、ディープウェルプレート)から新鮮な培地を吸引し、細胞のあるプレートに培地を分注する。プレートは、シングルウェルプレートでも、マルチウェルプレートでもよいが、その場合、ピペットはウェルの列に分注し、すべてのウェルが新鮮な培地で満たされるまでこの操作を繰り返す。新鮮な培地を入れたプレート116に再び蓋をする:回転する作業デッキ330を、プレート116がそのプレート116から取り外された蓋を収容しているデリッダー346と位置合わせするまで回転させ、デリッダー346がプレート116に再び蓋をし、そのプレート116をインキュベーター124に戻す。それ以上必要とされない場合は、培地とピペットチップは保管庫122に戻される。
【0048】
図19Cは、プレート116とピペットチップ324とディープウェルプレート364をシステム99の元の位置に戻した状態を示している。
【0049】
図20A、B、Cを参照して、さらに例示的なサンプルプロセスを説明する。細胞は通常、例えば80%コンフルエントになった時点で継代する。この例のプロセスでは、以下のものが回転する作業デッキ330に移される。
1.通常、コンフルエントに近い状態の細胞が入っているプレート116
2.1mlのピペットチップ324のボックス。チップは、好ましくは、ワイドボアチップであってもよい。
3.PBS(リン酸緩衝生理食塩水)+EDTA(又は同等の試薬)を含むディープウェルプレート364
4.トリプシン(又は同等の試薬)を含むディープウェルプレート364
5.新鮮な培地を入れたディープウェルプレート364
6.細胞を移すための2枚の新しいプレート116
【0050】
材料の初期位置を
図20Aに示す。液体は、任意に、プレート116をインキュベーター124に適当な期間移すことによって、予熱されてもよい。これは、これまで説明してきたように、プレート116を保管庫122から回転作業デッキ330に移し、その後、回転作業デッキ330からインキュベーター124に移すことによって実現され得る。
【0051】
図20Bでは、必要な材料が回転する作業デッキ330上にあり、関連するプレート116の蓋が外されると、液体ハンドリングヘッド340が、新しいピペットチップ324をピックアップし、通過しようとしているプレート116から古い培地を吸引する。培地は、液体廃棄部366に廃棄される。
【0052】
残留した培地(血清を含む)は、その後、洗浄される。液体ハンドラー340は、新しいピペットチップをピックアップし、PBSを吸引し、プレート116のウェルにピペッティングする。その後、PBSを除去して廃棄する。このすすぎを繰り返すことで、残留する培地や血清の量をさらに減らすことができる。
【0053】
次に、トリプシンが加えられる。
図20Bでは、多数のプレートが対角線上に配向されたデリッダー装置346の下方にあることに注目されたい。デリッダー装置346は、回転する作業デッキ330に固定されていないので、デッキが回転しても、デキャッパー344とデリッダー346は、位置が固定されたままである。また、対角線上の位置は、ピペッティングヘッドにとって不便な場合がある。したがって、この例では、回転式作業デッキ330を回転させて、プレート116を便利な向きや位置で提示することができるようになっている。
【0054】
液体ハンドラー340が新しいピペットチップをピックアップした後、作業デッキ330を回転させることによって、液体ハンドラー340が関連するプレートに必要な(通常は最小限の)量のトリプシンを吸引する。作業デッキ330を再び回転させることによって、細胞の入ったプレート116を、ピペッティングヘッドがピペッティングしやすい位置に戻し、プレートのウェルにトリプシンを添加する。その後、プレートを数分間インキュベートし、トリプシンが細胞を剥離させる。いくつかの方法では、プレートを室温でインキュベートするが、これは回転する作業デッキ330に置いておくことで実現できる。他の方法では、細胞を剥離している間、プレートを37℃でインキュベートする - これは、プレートをインキュベーター124に戻すことで実現できる。トリプシンによるインキュベーション時間の選択には様々な方法を用いることができ、例えば、所定の細胞株を用いた過去の結果に基づいてインキュベーション時間を予測することができる。それに替えて、自動化された顕微鏡を使って、細胞の剥離をモニタリングすることもできる。
【0055】
細胞が十分に剥離されると、液体ハンドラー340は、トリプシンをクエンチするために、(トリプシンについて上述したように、作業デッキ330を必要に応じて回転させて)、典型的には血清を含む培地を添加する。それに替えて、血清でのクエンチングを必要としない、当該分野で知られている修飾トリプシンや類似の試薬もある。液体ハンドラーは、新しいピペットチップをピックアップし、必要な量の培地を吸引し、剥離した細胞を収容しているウェルにピペッティングする。剥離した細胞は、ワイドボアピペットチップなどを用いて、上下に優しくピペッティングして混ぜるなどして、再び懸濁させる(細胞へのシアストレスを軽減するため)。
【0056】
その後、必要な数の細胞を2枚の新鮮なプレート116に移し、例えば20%のコンフルエントである、新たに播種したプレートの目標コンフルエントを達成する。
【0057】
移される細胞混合物の量を決定するには、様々な方法を用いることができる。例えば、自動化されたセルカウンターで細胞をカウントしてもよいし、継代直前のコンフルエントに基づいて細胞数を推定してもよい。いずれにしても、ピペッティングヘッドは、必要な量の細胞懸濁液(必要な数の細胞を含む)を吸引し、新鮮なプレートに細胞を播種する。新しいプレートのウェルには、必要に応じて新しい培地を補充し、ウェル当たりの培地の量を適正にする。その後、播種したばかりのプレートに再び蓋をして、インキュベーターに戻す。古いプレートは廃棄され、培地、PBS、トリプシンは、
図20Cに示すように、関連するカルーセル108のプレートホテルの保管場所に戻すことができる。
【0058】
簡単に説明したハンドリング方針においては、必要なすべての材料(新鮮なプレート、PBS、トリプシン、培地、ピペットチップ)は、プロセスの最初に、回転する作業デッキ330にすべてロードされる。他の動きのシーケンスも可能である。例えば、予熱された液体は、必要なときだけ作業デッキ330にロードされてもよい。
【0059】
上述した通り、より完全で統合されたワークフローを処理する自動化装置が求められている。現状では、自動化システムでは扱いの困難な、古くからある人間に最適化された多様なラボウェアを扱う装置を作る必要がある。ここで提供されるのは、SLASマイクロプレートフットプリントに準拠したラボウェアのみを実質的に使用して、複雑な細胞培養ワークフローのエンドツーエンドの自動化を実現し、それによりワークフローを自動化装置で容易に扱えるフォーマットに適合させることができるラボウェアセット及びその使用方法である。また、ロボットハンドラー、ラック、スロットなど、ラボウェアセットを扱うための普遍的なフォーマットと、このフォーマットに準拠した保管庫も提供される。
【0060】
上述したように、マイクロプレートフットプリント116と互換性のあるフットプリントを有するラボウェアは、グラバーアーム164によって、より詳細にはグリッパーフィンガー168によって掴まれることになる。したがって、1つのロボット装置160がすべての保管モジュール(すなわち、冷蔵庫128、冷凍庫126、プラスチック器具及び室温試薬122など)にアクセスするために、プレート116の規格化されたフォームが使用される。マイクロプレート又はマイクロタイタープレート116は、細胞培養プロセスでよく使用される。
【0061】
本明細書では、「マイクロプレート」及び「プレート」という用語は、「SBS/SLASマイクロプレートフットプリントを備えたラボウェア」を意味する意図で、互換的に使用されており、マイクロプレート、マイクロプレートリザーバー、シングルウェル細胞培養プレート、マルチウェル細胞培養プレート、マイクロタイタープレート、ボトル、ピペットチップボックス、バイアル及び/又はボトル用アダプターラックを含むラボウェアのセットから構成されており、それらはすべて同じ底面フットプリントを使用しているため、同じロボット装置ハンドラー160によってモジュール100内で操作することができる。さらに、これらのラボウェアはすべて、マイクロプレート底面のフットプリントを有することができ、互換性がある。
【0062】
図13Aを参照すると、ラック310に並べられたラボウェア300のセットが設けられている。ラック310は、2つの鉛直スタンド314の間でラック310の内部領域に若干に延びて配置されたラックレール312を有する鉛直スタンド314として配置されている。これらのラックレール312は内部領域の一部にしか延びていないので、レール312上にプレート116を置く場合、プレート116(又はラボウェア)の一部のみと相互作用し、かつラックスタンド314を横切って延びていないので高さを制限することもない。グリッパーフィンガー164は、ラックレール312の上を掴む際に、プレート116及び他のラボウェア300と依然として相互作用することができる。これについては、以下に
図13Bを参照して詳細に説明する。
【0063】
図13Aでは、ラック310のレール312にマイクロプレート116(又はそれに類するもの)が着座した状態が示されている。また、レール312上に設置されたバイアルプレート320も示されている。しかし、本実施形態では、バイアルプレート320のバイアル321は、その上に配置された次のレール312の高さを超えて延びている。レール312は、プレート116又はバイアルプレート320のフットプリントがレール312上に配置されるのに十分な距離を超えて、ラック310の内部領域に入り込んでいないので、バイアル321は、次のレール312の高さを超えて延びることができる。
【0064】
鉛直スタンド314は、各カラムが横に並んでラック310の列を形成できるように配置することができ、レール312は鉛直スタンド314の両側面から延びている。これにより、各鉛直スタンド314は、さらなるラック310におけるラック310の一部を形成することができるため、コンパクトなラック310を実現することができる。この配置では、ロボット装置160は、単一の水平方向の次元での、すなわちラック310に向って及びラック310から離れる移動だけでなく、隣接するラック310にアクセスするために第2の水平方向の次元での、左及び右へのしたがってz軸及びy軸にも移動できる必要がある。カルーセル108にラック210が配置されている場合、複数のラックが放射状に配置されているため、2つのラック210に対して1つの鉛直スタンド314を使用することはできない。
【0065】
ボトルトレイ322が、
図13Aに示されており、マイクロプレート116のフットプリントには、多数のボトル323を保持するのに適したトレイが設けられている。バイアルプレート320と同様に、ボトル323は、その上のレール312の高さを超えて延びるように示されている。これが可能なのは、レール312がマイクロプレートフットプリントを保持する距離だけ、ラック310の内部領域に延びており、したがって高さを制限するものではないためである。ピペットチップトレイ324も示されており、他の例と同様に、マイクロプレート116のフットプリントが、多数のピペットを保持することができるピペットラックを有する一方で、レール312間の高さがピペットチップトレイ324の高さよりも短いラック310に収容され得る。
【0066】
大型ボトル326、327の2つの例を
図13Aに示す。大型ボトル326、327は、プレート116又はトレイ322、324と同じフットプリントになるように製造されている。そのため、他のラボウェア330の場合のように、ボトルがマイクロタイターフットプリントラックの上に置かれることはない。ボトル326の基部には、ボトル326、327がラックのレールによって吊り下げられるように、レール312間の幅よりも大きく、ラック310の隣接する鉛直スタンド314間の幅よりも小さい幅を有する延長部328が設けられている。そして、2本のレール312間の幅よりも細いボトルが、延長部328から延びている。また、レール312に吊り下げられるように、ラック310のレール312間に到達する上方の延長部329を有するボトル327も設けられている。しかしながら、上方の延長部329は、ボトル327が延長部329から両方向(すなわち、上下方向)に延びるようにボトルの中間の高さに配置されている。そのため、ボトル329は、より高い位置にあるレール312の上に置かれ、下方に吊り下げられながらも上方に延在することができる。これは、ラック310の高さに対して上方に延びる基部に延長部328を有するボトル326と対照的である。これにより、ボトル326をラック310の最下段のレール312に配置し、その上のレール312を通過させることができる。
【0067】
延長部328、329及び/又はボトル326、327は、水平方向に円形の断面を持つ形状、すなわち、上から見たときに円の輪郭を形成する形状にすることができる。これにより、従来の形状のボトルであっても、レール312に保持することができる。あるいは、延長部328、329がレール312の長さに沿って延びる平らな側面を有することによって、ボトル326、327を吊るすためのより大きな支持面積を設けることもできる。ボトルは、円形又は同様の平らな側面を持つ形状にすることができ、その場合(上部から見たときに)より長方形の形状のボトルは、スペースをより効率的に使用することができ、そして細胞培養作業でよく使用される。
【0068】
これにより汎用性の高いラックソリューションが提供されることによって、多様なラボウェアのために特別なサイズのプレートスロット110を用意する必要はなく、その替わりプレートスロット110は、多くの種類のラボウェアを収容することができる普遍的なものとなっている。さらに、いくつかの実施形態では、プレートスロット110は、特定の高さの収容物に対して特別なサイズである必要はなく、その替わりに、レール312の組がプレートスロット110ひいてはラック210、310の高さに入り込まないので、プレートスロット110はレール312の組よりも高いラボウェア300のアイテムを許容することができる。
【0069】
上述したラック210、310は、カルーセル108上に位置している。場合によっては、ラック210がカルーセル108から完全に取り外され、新しいラック210、310にロードすることができる。これにより、新しいプラスチック器具300やプレート116のセットを予めラックにロードしておき、交換することができる。ラック210、310へのアクセスは、ユーザーがアクセス可能なドアを介して行うことができる。ドアの高さは、モジュール100に取り外されたり置かれたりするラック210、310の高さと同じにする必要があるだろう。モジュールの汚染や環境の変化を避けるために、ラック210、310の交換をロードロックと組み合わせて行うことができる。場合によっては、ラック210、310の交換のためにアクセスできるのは、プラスチック器具の保管や室温での保管に使われるモジュール100だけである。
【0070】
カルーセル108は、各モジュール100について単数形で説明された。しかしながら、複数の回転円盤を設けて、ラック210、310を保持するカルーセルを形成することも可能である。例えば、下段のターンテーブルと上段のターンテーブルには、ラック210、310が間に着座するためのスペースを設けることができる。いくつかの実施形態では、プレートスロット110の列は、同じモジュール100内で独立して回転する独立したカルーセル108上に着座している。
【0071】
研究者が大量の細胞を培養する場合、大量のフラスコを使うことになる。一方、プレートは、複数の培養や実験を並行して行うためにユーザーがマルチウェルプレートを必要とする場合に使用される。シングルウェルプレートは、T75フラスコと同様に大きな液面面積、例えば77cm2の液面面積を有するものを設けることができる。シングルウェルプレートは、人間が使うには不便で普通ではないが、ロボット装置160は使うことができる。これにより、自動化されたシステムでの機械的なハンドリングが簡単になる。
【0072】
図13Bは、
図13Aに示したようなラボウェア300のセットを示している。しかしながら、グリッパーフィンガー168が、様々なラボウェア300と相互作用していることが示されている。プレート116の場合、グリッパーフィンガー168は、プレート116(レール312上に載っているフットプリントを除く)の各側面を把持している。把持されるのがプレートの側面であることから、グリッパーフィンガー168がプレート116の上(又は下)の領域に侵入することはない。これにより、プレートや収容物の高さが制限されることはなく、高さに関する唯一の制限は、ラボウェア300が置かれる予定のラック310(又はモジュール100)の高さ、又は、ラボウェア300が通過する予定のインターフェース134の高さとすることができる。
【0073】
バイアルプレート320、ボトルトレイ322、ピペットチップトレイ324、及び大型ボトル326では、グリッパーフィンガー168はすべて、レール312上に着座するフットプリントの上でラボウェア300を把持する。注目すべきは、ラック310上に置かれたとき、鉛直スタンド314とプレート116又はラボウェア300の他の部分の側面との間に、グリッパーフィンガー168が収まることができる十分なスペースがあることである。これは、ラボウェア300のフットプリント(大型ボトル326、327の場合は延長部328、329)が、ラボウェア300の側面間の幅よりも広いからである。大型ボトル327の場合、延長部329がレール312に載っているため、グリッパーフィンガーは、延長部329よりも低い位置でボトル327を替わりに掴むことができる。
【0074】
上述したシステムは、細胞培養プレート116、(一般にボトル323、326、327に入っている)液体培地、例えば2mlバイアル321に入っている(成長因子などの)液体添加物、(細胞から採取したサンプルを保管するための)サンプルプレート116、(ピペットチップボックス324に入っている)ピペットチップなどを扱う。これらの異なる対象物は、ロボット装置160を使用して、同じシステム99で異なるように処理することができる。これにより、長時間の操作にも耐えうる自律性の高度な自動細胞培養システム99が実現される。
【0075】
図3A及び
図3Bに戻って参照すると、プロセスモジュール120が示されており、ここでは、様々なラボウェア300が、上述の説明によるカルーセル108の作業デッキ上に示されている。注目すべきは、プレートスロット110が、カルーセル108の作業デッキ上にあるものなどのように、システム99全体で同じサイズ及び構成であるため、バイアル321、ボトル323、326、327及びピペットチップボックス324を含むすべてのラボウェア(例えばプラスチック器具)300が、同じグリッパーフィンガー168で取り扱われ、同じ種類のラック210、310及びカルーセル108に収容され、そして回転する作業デッキ上の同じ種類のドック110に着座しているということである。
【0076】
バイアルには通常、0.2~2mlの液体が入っている。それらはスクリューキャップされることが多いが、他の方法も可能である。バイアルは、0.2~2mlのクライオバイアルを使用することができる。
【0077】
ピペットチップは、大量のスペースを占めるため、そしてシステム99がそのような大量のピペットチップを使用するため、一般的に省スペースのスタック(マガジン)に保管されることがある。しかしながら、10ul、100ul、1mlのチップなど、さまざまな種類のチップが用意されていることが有利である。さらに、他のチップ、例えば100ulや1mlのワイドボアチップや、それらのチップのエアゾール耐性バージョンを有することが有利な場合もある。もし、複数のチップボックス324がデッキに予めロードされていたり、ボックス用のマガジンがあったりすると、このフレキシビリティのために多数のスロット110やマガジンが必要となるであろう。そのためには、大型の、又は複雑なデッキが必要になるかもしれない。したがって、1つのボックス324でチップを扱うことは、限られたスペースを大量に使用するように見えるが、実際には、仕組みを単純化することでフレキシビリティを高めかつダウンタイムを低減できるので、システム99の良好な稼働率を実現している。また、必要に応じてチップを交換するための人手も少なくて済む。これらの実施形態のバリエーションは、システム99の要件に応じて採用することができる。
【0078】
図14は、異なる機能のための異なるトレイ又はプレート116の平面図を示しており、例えば、左側にはボトル323のための4つの領域が画定されているボトルトレイ322が示されており、右側にはバイアル321のための48のスロットが設けられているバイアルプレート320が示されている。しかしながら、中央のトレイ325には、ボトルやバイアルを1つのトレイ325に収容できるように、スロットやエリアの組み合わせが示されている。システム99の要求に応じて、トレイ325のための様々な組み合わせを提供することができる。
【0079】
様々なラボウェア300は、バーコード、RFID、NFCチップなどのコンピュータ読み取り可能な手段を有し、トレイやプレートの種類や構成をシステム上に記録することができる。トレイ又はプレートを選択する際にこれを検出するために、ロボット装置160に読み取り装置を存在させることができる。
【0080】
細胞培養プレートには、通常10~15mlの培地が必要である。この培地は、100~500mlのボトルから15~20mlの血清ピペットでピペッティングして使用するのが一般的である。血清用ピペットは、もともと手動で使用するために設計されたもので、通常はポリカーボネートなどのポリマー製で剛性の高く、その内径は、本体の長さの中央部が最も広く、そして先端部で狭くなっており、そして空気圧をかけて液体を吸引又は吐出する機構に接続する端部も狭くなっている。このため、従来はボトルや血清ピペットを扱う自動化システムが必要で、複雑で故障しやすいロボットになりがちであった。一方、従来のピペッティングロボットは、成熟度が高く信頼性も高いが、一般的にヘッドは1mlまでしか扱えず、10~15mlの培地を移送するためには、長いピペッティングステップが必要である。ピペッティングロボットは一般的にピストンを有し、空気の入れ替えで動作することが多い。使い捨てのピペットチップが用いられており、それらは、ある程度準拠していて、ピペットの「コーン」の外側にシール状態で取り付けられるように、一般的にポリプロピレンなどのポリマー製である。ピペットチップは、ピペットコーンに装着する部分の内径が大幅に大きくなっている。
【0081】
また、ボトル323、326、327の代わりに、ディープウェルプレート116を培地保存容器として使用することができることに留意されたい。本システムではディープウェルプレートを使用することができ、自動化されたロボットシステム99でのハンドリングが容易になる。さらに、ディープウェルプレート116は、(出荷時に液体が漏れるのを防ぐために)フィルムで封止することができ、このフィルムはピペットによって破られることができる。それに替えて、プレートの蓋が密閉されていたり、ガスケットがあったりする場合もある。2mlのウェルを持つ96ウェルプレートには、ボトルと同様に192mlの培地を収容することができ、スペースを有効に活用することができる。ディープウェルプレートは、ボトルとは異なり、トラフリザーバーと同様に、マルチチャネルピペットヘッドにアクセス可能である。1mlのピペットを具備する8チャネルピペットヘッドは、ディープウェルプレートから一度に8mlのピペッティングができるので、シングルウェルプレートに最大16mlの培地を充填する場合、2回のピペッティングステップで済む。マルチチャネルピペットヘッドを使用してプレートに培地を充填することは、一見非効率的に見えるが、ディープウェルプレートを大容量の液体リザーバーとして使用し、マルチチャネルピペットでピペッティングすることで、自動化システムの機械的な複雑さを大幅に軽減し、スペース効率が良く、フレキシビリティがあるため、システムの占有率(すなわち効率的な使用)を高めることができる。シングルウェルプレートは、T75フラスコの替わりにロボットが使用できるようになっている。T75フラスコは培養面積が75cm2と大きく、細胞のストックを維持するのに有用であるが、人間が好んで使用するものであり、ロボットには不向きである。一方、シングルウェルプレートは存在するが、人間が使うには使いづらく、簡単に傾いて培地をこぼしてしまうため、ほとんど使われていない。しかしながら、シングルウェルプレートは、ロボットに適しており、75cm2以上の培養面積を有することができる。自動化されたシステムでは、プレートの高さを15mm以下、又は10mm以下にすることで、保存密度を高めることができることがさらに有利である。通常これは、プレートを傾けることで液体がこぼれやすくなるため、人間が使用するには不利な条件となる。
【0082】
システムを使用する例では、ユーザーが、システム99が必要とする液体をシステムにロードする。その液体は、ボトル326、327からディープウェルプレートに(例えば、自動液体ハンドラー又はディスペンサーによって)移されてもよいし、又は、上述したようにサプライヤによってディープウェルプレートに供給されてあったものでもよい。ユーザーは、培地、PBS(リン酸緩衝生理食塩水:Phosphate Buffered Saline)、及びトリプシンを含むディープウェルプレートを、例えばシステム99の冷蔵庫128のカルーセル108内のラック210、310にロードすることができる。システム99が細胞を継代する準備ができると、冷蔵庫128内のロボット装置160は、冷蔵庫128内のラック210、310から培地、PBS、トリプシンを取り出し、インキュベーター124内の空のラック210、310に渡して5分間温める。5分後、システムは、1mlのピペットチップ324のボックスと、少なくとも1枚の新鮮な細胞培養プレート116を作業デッキ108に移す。プラスチック器具保管庫122のロボット装置160は、カルーセル108のスロット110からチップボックス324を取り出し、プラスチック器具保管庫122のドア130に位置合わせするように回転させた作業デッキ108のスロット110上に渡し、そこでチップボックス324を渡すと共に、同様の方法で新鮮な組織培養プレート116を渡すようになっている。次に、作業デッキ108が回転して、PBS、培地、トリプシンを受け取るスロット110をインキュベーター124のドア130に位置合わせし、インキュベーター124内のロボット装置160が(ディープウェルプレート116に入っている)それらの液体を、ターンテーブル108の適切なスロット110に渡す。その後、ロボット装置160は、継代する必要のある細胞を入れたプレート116を渡す。
【0083】
図21を参照すると、ロボット装置160の改良されたインターフェース、特にハンドラー又はグリッパーフィンガー168と、プレート116又は他の互換性のあるラボウェア300との間のインターフェースが示されている。
【0084】
一般的にインターフェースは、ハンドラーとラボウェアの「ドック&キー」機能の組み合わせで構成されている。その特徴は、例えば斜角付けされたり、円錐形とされたりすることで、ラボウェアをピックアップする際にハンドラーの上に位置合わせし、数ミリのずれも補正できるようになっている。ハンドリングインターフェースにより、ラボウェアをより確実に保持することができる。この機能により、システムは、ハンドリングインターフェースを備えていない、サイズが正しくないラボウェアを検出し、拒否することができる。
【0085】
図21Aでは、その側壁を通って延在する溝370を具備するフットプリント360を有するプレート116が示されている。特に、溝370は、フットプリント360の端部を起点として、プレート116の長さに沿って延びている。いくつかの実施形態では、溝370の長さはプレート116の長さの半分を超えず、さらにその長さはグリッパーフィンガー168の長さと同じ(又はそれよりも長い)である。溝370は、フットプリント360の上面と下面で閉じられている。しかしながら、溝370は、開放側に最も近いフットプリント360の側壁を開放して、チャネルを形成することができる。対向する(すなわち、プレート116の幅方向に亘る)端部にも、溝370が設けられている。2つの溝370は、一対のグリッパーフィンガー168が溝370に沿ってスライドしてプレート116を扱うことができるようなサイズになっている。プレート116以外のラボウェア300は、好ましくは、プレート116と同様又は同一のフットプリントを有する。したがって、溝370は、すべてのラボウェア300に設けることができる。
【0086】
溝370の上面及び下面は、グリッパーフィンガー168に対するプレート116の鉛直方向の移動を制限する。その結果、グリッパーフィンガー168は、プレート116を扱うために水平方向の力に依存しなければならないだけでなく、プレートもまた鉛直方向に対し拘束される。そのため、プレート116を落としてしまう可能性が低くなる。プレート116の反対側の端部から同等の一対の溝370を設けることができ、それによってロボット装置160に関連するグリッパーフィンガー168がプレート116を両側から扱い、プレート116を互いに受け渡しできるようになる。
【0087】
それに替えて、溝370は側面で囲まれていたり、下面で開いていたりすることもある。また、異なる形状の溝370を設けることも可能であり、例えば、断面が正方形や円形であることも可能である。グリッパーフィンガー168が溝370に位置合わせする替わりに、ラボウェア300のフランジがグリッパーフィンガー168又はラック210の斜角付けされたた溝に位置合わせするように、この特徴を逆にすることができる。
【0088】
図21Bでは、円錐形又は角錐形の突起372を有する一組のグリッパーフィンガー168と、同等の円錐形又は角錐形の窪み374を有するプレート116が示されている。円錐形の突起372は、プレート116の側面に対向して把持するグリッパーフィンガー168の面に配置されている。対応する円錐形又は角錐形の窪み374は、グリッパーフィンガー168に対向するプレート116の外縁部に設けられている。操作時には、グリッパーフィンガー168が、プレート116の指定された長さに沿って延在し、プレート116に向かって閉じることにより、プレート116を把持する。この指定された長さは、窪み374と突起372とが位置合わせするような長さである。プレート116とグリッパーフィンガー168との間の少量のずれは、円錐形又は角錐形の突起372が窪み374内に移動して、グリッパーフィンガー168と正しく位置合わせするようにプレート116を移動させることにより、自動的に修正される。
【0089】
対応する円錐形又は角錐形の突起372及び円錐形又は角錐形の窪み374は、プレート116の他方の側のグリッパーフィンガー168に設けられている。なお、突起372と窪み374は、水平方向に並んでいなくてもよい。突起と窪みの高さを2種類にすることで、例えばプレートの向きを間違えずに処理することができる。さらに、突起372と窪み374がプレート116の幅方向に水平に並んでいない場合、プレート116は窪みを中心に回転することができない。
図21Bでは、グリッパーフィンガー168の端部にて片側に配置された2つの突起372と窪み374が設けられており、すなわち、一方はグリッパーフィンガー168の端部に向かって配置され、他方はプレート116の端部の開始点に配置されている。他方の側には、もう一方のグリッパーフィンガー168の突起372と窪み374の間に水平に配置された単一の突起372と窪み374がある。円錐形又は角錐形の形状は位置合わせを可能にし、また、プレート116を保持するために必要なグリッパーフィンガー168の内向きの力だけでなく、ロボット装置160によりプレートが落とされる可能性を低減するために、円錐形又は角錐形の形状により提供される鉛直成分があることでも、把持を支援する。
【0090】
円錐形や角錐形ではなく、他の形状を用いることも可能である。例えば、半円状の突起372や窪み374などが考えられる。また、所望に応じて、任意の数の突起372及び窪み374を設けることも可能である。例えば、両方のグリッパーフィンガー168に突起372及び窪み374がなくてもよい。
【0091】
図21Cを参照すると、
図21Bと同様の突起372及び窪み374の配置が示されている。しかし、追加の窪み374は、一方の側から接近したときにグリッパーフィンガー168が到達できないプレート116の側面に設けられている。さらに、窪み374は水平方向と鉛直方向の両方で鏡像になっている。すなわち、窪み374は、プレート116のいずれかの側から、突起372を有するロボット装置160によりプレートがピックアップ可能な位置にある。これにより、このような窪みを有するプレート116又は他のラボウェア300を2台のロボット装置160で同時に扱うことができ、また、ロボット装置160又はモジュール100の間で受け渡すことができる。
【0092】
図23は、一対のロボット装置160の間のそのような受け渡しを示している。ここでは、2組のグリッパーフィンガー168がプレート116に同時に係合して、プレート116の確実な制御が終始維持される受け渡しを提供することができる。
【0093】
図22を参照すると、ラボウェア300のためのドックすなわちプレートスロット110は、ロボット装置160がプレートスロット110に受け渡しできるように、窪み374と相互作用するように設けられている。ここでは、プレートスロット110において、突起372を設ける替わりに、プレート116がプレートスロット110に配置されたときに、フィードバック手段378がプレート116の窪み374内に延在して、プレート116がプレートスロット110に完全に配置されたことをフィードバックする位置にフィードバック手段378が設けられている。
【0094】
プレートスロット110のフィードバック手段378は、i)ラボウェア300がプレートスロット110に係合し始めたとき、ii)ラボウェア300が完全に係合したこと、そしてiii)ラボウェア300が正しい向きにありかつ正しいハンドリングインターフェースを搭載していたこと、などの機械的フィードバックを提供することができる。フィードバック手段は、先に
図18を参照して説明したものと同様の方法で行うことができ、すなわち、フィードバック手段378が窪み374内にあるときに接触がトリガーされる。それに替えて、フィードバックは、プレート116によって押し下げられたとき、及び、窪み374内にあるときに、フィードバック手段378内のスプリング又は他の弾性手段の押し下げに基づいて行うことができる。
【0095】
フィードバックは、操作が逆になったとき、すなわちロボット装置160がプレートスロット110からラボウェア300を取り除いているときには逆になる。作業デッキ330上又はラック210内のプレートスロット110の各々が、これらの特徴を有することができる。一実施形態では、これらの特徴の1つ又は複数又はすべてが、
図18を参照して説明した係合手段362と組み合わされる。
【0096】
図21Cのプレート116とグリッパーフィンガー168は、プレート116の各側面に単一の突起372と窪み374を有する。しかしながら、追加の窪み374が、プレートの前面及び後面116にそれぞれ設けられている。さらに、2つのグリッパーフィンガー168の間を垂直に延びてそれらを結合する、グラバー162のビーム376に突起372が設けられている。このような突起372及び窪み374は、プレート116の位置合わせをさらに提供する。前述したように、ビーム376又はグリッパーフィンガー168に設けられた突起372及び窪み374の両方の数又は形状は、上述したものに限定されない。一実施形態では、プレート116のそれぞれの端面の中心から外れた位置に窪みが設けられており、正しい方法で配置されたプレート116のハンドリングを制限している。
【0097】
図21Dを参照すると、ここでは、突起372及び窪み374が、プレート116のフットプリント360上に配置されていることが示されている。このことは、これらの突起372及び窪み374が、プレート116又はラボウェア300の内部容量に侵入しないことをさらに強化するものであり、これらは、ハンドリングを支援するより広いフットプリント360面積を有する。例えば、
図13A及び13Bを参照して上述した規格化されたフットプリント360であれば、突起372及び窪み374は、上述したすべてのラボウェア300と互換性がある。
【0098】
2種類の特徴部である、溝370と、突起372及び窪み374とを、1つのインターフェース又はプレート116で組み合わせることができる。
【0099】
突起372と窪み374の円錐嵌合は、プレート116がグリッパーフィンガー168と数ミリずれていても、自己位置合わせする傾向がある。また、上述した両方の嵌合特徴部(溝370又は円錐372、374)は、ラボウェア300がグリッパーフィンガー168から、滑ったり、鉛直に落下したりすることを防止することによって、グリッパーフィンガー168がプレートをより確実かつ信頼性をもって保持することを可能にする。
図21B及び
図21Cの3つの窪み374により、プレート116の向きを独自に指定することができる。突起372と窪み374は、プレートを3次元的にグリッパーフィンガー168に位置合わせする。これは、プレートが正しい向きに正しく得られたという情報をフィードバックするために使用することができる。
【0100】
溝370と窪み374の両方により、グリッパーフィンガー168は、ラボウェア300が正しいハンドリングインターフェースを搭載するか否かを判断することができる。これにより、システムは、インターフェースを搭載していないラボウェア300を除外することができ、ひいては、システム99は、正しくないサイズのラボウェア300を除外することができる。その結果、システムの信頼性が高まり、許容度の低いサードパーティ製のトレイを除外することができる。これを利用して、部分的に閉じたシステムを構築し、システム99の信頼性をより簡単にコントロールすることができる。
【0101】
溝370と突起372及び窪み374とを搭載するプレートは、依然としてマイクロプレート(SLASプレート)のフットプリントに準拠することができる。
【0102】
上述したように、
図21A~Dのインターフェースは、ラボウェア300に使用することができ、厳密にはプレート116のみではない。
図24を参照すると、突起372及び窪み374が設けられたボトルトレイ322が示されている。特に、ボトルトレイ322は、窪み374を有しており、これらがボトルトレイ322のフットプリント360に配置されていることが確認できる。したがって、このことは、あらゆる種類のラボウェア300に適応することができる。
【0103】
図25を参照すると、プレート16の幅を有する大型のボトル326が提供されている。それは、突起372と窪み374の円錐嵌合を提供し、ボトル自体は、ボトルの本体に窪み374を有する。これにより、ボトル326が着座するためのトレイを使用することなく、グリッパーフィンガー168がボトル326の側面を把持することができる。一実施形態では、ボトル326は、それを所定の位置に保持するための突起372を有するラック210に保持される。
【0104】
バイアルやピペット用のトレイ、プレート、ボックスも、溝370や円錐嵌合インターフェースにより機能するように適応されており、同様に想定されている。
【0105】
これまでは一対のグリッパーフィンガーについて説明してきたが、他の実施形態では、プレートをピックするための追加の手段を使用することができる一方、オプションとして上述の突起や窪みを使用することができる。
図26を参照すると、規格のマイクロプレートフットプリント360を有するプレート116が設けられている。プレート116は、上述したようにラボウェア300であり得る。動的又は受動的なグリッパーフィンガーの替わりに、ロボットハンドラーが、プレート116を操作して移動させるためにプレート116の下に延在する受動的なハンドリングプレート260を有するエンドエフェクタを有していてもよい。ハンドリングプレート260は、幅方向からプレート116に近づくように、プレート116の幅方向に延在するように示されている。しかしながら、他の実施形態も想定される。ハンドリングプレート260は、プレート116のフットプリント360がその上に配置されたときにそれに向かってハンドリングプレート260から上向きに延びる突起372を有する。プレート116には、そのフットプリント360に、窪み374と突起372が対応するように設けられている。
【0106】
また、ハンドリングプレート260は、プレート116がハンドリングプレート260上に配置されたときに、プレート116の位置合わせを可能にする位置合わせ手段262を有している。これらの位置合わせ手段262は、ハンドリングプレート260上のプレート116の好ましい位置に沿って延びており、ハンドリングプレート260上に配置されたときにプレート116が正しい位置にスライドすることを促すように、傾斜又はテーパーが付けられている。
【0107】
突起372と窪み374は、プレート116の中心線に対して偏心して配置されていることが示されている。しかしながら、グリッパーフィンガーについて述べたように、様々な構成が可能である。例えば、プレート116は、異なる方向から近づくハンドリングプレート260がプレート116をピックアップできるように、複数の窪み374を有することができる。また、突起372及び窪み374を逆にすることもできる。また、追加の突起372及び窪み374を設けることもできる。
【0108】
ハンドリングプレート260のハンドリング幅はプレート116よりも小さいので、ハンドリングプレート260を使用することで、ハンドリング幅を考慮する必要なく、インターフェース134、ラック210、プレートスロット110の幅をプレート116の幅又は長さに最小化することができる。ハンドリングプレート260もまた、プレート搭載作業の安定性を高めるための強固な基盤となる。
【0109】
図27を参照すると、ボトルやバイアルに内蔵されているデキャッパーのインターフェースが示されている。蓋380を備えたボトル326が提供される。蓋380は、蓋380の上面にキャッピングインターフェース382を有する。キャッピングインターフェース382は、対応する形状の突起がキャッピングインターフェース382とインターフェースできる(すなわち内側にある)ような、六角形の形状を有する窪みである。このインターフェースは、蓋380を回転させると雄型の突起が回転し、その逆にもなるような回転ロックを提供する。この突起をデキャッパー344に使用することで、インターフェース382を持たない従来の蓋の把持やねじ外しよりも信頼性の高いデキャッピングやキャッピングを行うことができる。
【0110】
キャッピングインターフェース382には、複数の形状やインターフェースを用いることができる。さらに、デキャッパーは雌型のインターフェースを有し、ボトルは雄型のインターフェースを有することができるが、これは通常の自動嵌合キャッピングプロセスによるものがより一般的である。
【0111】
バイアル321もまた、バイアルのキャッピングインターフェース386が形成されるように、上面に窪みのある蓋384を有している。ボトル蓋380と同様に、バイアルのキャッピングインターフェース386は、上から見たときに六角形の形状を有することが示されている。これにより、対応する形状の突起がバイアル蓋384と回転可能にロックされ、信頼性の高いキャッピング又はデキャッピングプロセスを生じることができる。
【0112】
ボトル326と同様に、キャッピングインターフェース386の様々な形状が使用され得る。例えば、別の多角形形状を使用して回転ロックを行うことができる。
【0113】
ボトル326は、底面インターフェース388を有しており、ここでは、キャッピングインターフェース382のものと同様のくぼみが設けられ、ボトルの底面からボトル326の本体へと延びている。底面インターフェース388は、下側から見ると六角形の形状をしている。これにより、対応する六角形の突起が底面の窪みの中に収まり、回転可能にロックされる。バイアル321も同様に、ボトル326の底面インターフェース388と同じバイアル底面インターフェース390を有している。これらの底面インターフェース388、390により、ボトル326又はバイアル321を下側から回転可能に保持することができる。これにより、脱着機344を下側に取り付けるように構成したり、ボトルやバイアルの蓋のデキャッピング作業がボトルやバイアル自体の回転につながらないように、プレートの突起でボトルが回転しないように拘束することができる。
【0114】
また、下側のインターフェースは、ボトル326やバイアル321を位置合わせするための特定の突起を備えたトレイに載せることにより、システム99内を移動する際のボトル326やバイアル321の転倒や落下を防止するために使用することができる。これにより、ボトル326やバイアル321がトレイやプレート上に正しく配置され、様々なロボットハンドリング装置がそれらと相互に作用することも可能になる。
【0115】
必要に応じて、上側と下側のインターフェースを組み合わせて使用することができる。上側と下側に用意されたインターフェースは、同じである必要はありません。しかしながら、インターフェースの同一性は、統一された操作のために役立つ可能性がある。バイアル321とボトル326は、同じ形状のインターフェースを有することができるので、同じピッキング又はデキャッピングロボット344上で、同じグリッパーによって取り扱うことができるようになっている。
【0116】
蓋380、384の窪みが、キャップの奥よりも狭い口を有するアンダーカットインターフェース390など、キャッピングインターフェース382、386にさらなる変更を加えることができる。これにより、蓋380、384がボトル326又はバイアル321から取り外されると、突起が遠位端で拡大するといった、付加的な鉛直方向のロックを有するインターフェースが可能となる。これにより、ピッキング又はデキャッピングロボット344のグリッパーによって、蓋380、384が落とされるリスクを低減することができる。
【0117】
上部又は下部のインターフェース382、386、388、390は、面取り又は斜角付けされており、デキャッパー又はピッカーのグリッパーがインターフェースに近づく際に位置合わせするようになっている。これにより、トレイやプレート、又はプレートスロット110自体のトレイやプレートなど、バイアル321又はボトル326の位置決めにおける多少の誤差を許容することができる。これは、マシンやロボットの誤差にも役立つ。また、これらの特徴により、正しいインターフェースを有していないラボウェア300はマシンで使用できないため、サードパーティ製や公差の劣ったラボウェア300は拒否され、より信頼性の高い自動化を実現することができる。
【0118】
図1は、本発明の一実施形態による保管モジュール100を示す。 保管モジュール100は、4つの側面104を有する箱を形成する外殻又はハウジング102を有する。これらの側面104は、正方形のフットプリントを具備する保管モジュール100を形成するように、すべて同じ長さであり得る。モジュールの性質と内部のカルーセル機能 (後に詳述する) のために、等しい長さの側面104が好ましいが、いくつかの実施形態では、側面104の長さを変えて、長方形又は他の多角形のモジュール100とすることができる。4つ以上の側面104を有することもさらに可能である。
【0119】
各側面104の長さ106は、70cm~80cmとすることができる。特に、各保管モジュール100の側面104の長さ106は、少なくとも2次元において80cm以下とするべきである。これにより、モジュール100のシステム99全体がコンパクトになり、これは有利である。なぜなら、これらのシステムは、床面積が高価な実験室又はクリーンルームに設置され、そしてこれによりモジュール100がドアを通り抜けることができるからである。これにより、保管モジュール100の出荷の困難さとコストも削減される。
【0120】
外郭シェル102の内部には、カルーセル108が設けられており、カルーセル108は、保管モジュール100のフットプリントを占める円形のプレートである。カルーセル108は、その半径に沿って(すなわち放射状に)配置されたトレイスロット又はプレートスロット110を有する。カルーセル108の中心は開いており、センターウェル112がある。プレートスロット110は、それらの縁がすべてセンターウェル112に面するように配置される。図において、センターウェル112は、8つのトレイ縁114を有し、したがって八角形の形状である。いくつかの実施形態では、センターウェル112が、プレートスロット110の数に等しい数の辺を有する多角形であるように、平坦なトレイ縁114を有する。しかしながら、いくつかの実施形態では、円形の縁を有するセンターウェル112を使用することができ、トレイ縁114が円形のセンターウェル112の周囲を形成する。
【0121】
プレートスロット110は、プレート、トレイ、又はラボウェアを保持するように指定された位置である。プレート又はトレイは、プロセスプレート、細胞培養プレート、マイクロタイター若しくはマイクロプレート、他のラボウェア若しくは容器を保持するプレート、又はラボウェア自体とすることができる。プレートスロットとプレートの詳細については後述する。
【0122】
カルーセル108は、モジュール100の床に置かれるか、床から持ち上げることができる。
【0123】
モジュール100は、外殻102が立方体(すなわち、立方体形状)を形成するような高さを有する。保管モジュール100の高さは、長さ106と等しい必要はない。しかしながら、高さは、出入りするドアの高さを超えないことが好ましく、輸送及び組立てを容易にするために、理想的には出入りするドアよりも低いことが望ましい。
【0124】
鉛直方向の配置(以下で詳細に説明する
図9A及び
図9Bを参照)では、プレートスロット110は鉛直方向に積み重ねられるので、プロセスプレート又は他のラボウェアをラック210に鉛直方向に積み重ねることができる。したがって、各プレートスロット110は、その上にプレートスロットを有し、プレートスロット110のラック210を形成する。プレートスロット110の設計は、カルーセル108上に直接置かれるものから、カルーセル108の上方に高く(又は下方に)置かれるものまで、異なっていてもよい。これについては後に詳述する。
【0125】
ラック210は、保管モジュール100の高さ204を通して延在することができる。 カルーセル108が上昇している場合、その高さよりも下に延在することもできる。外殻又はハウジング102内の空間は、内部に清浄な空気を有することができ、各モジュール100の要件に応じて、互いにロック可能な複数のモジュール100を組み立てることによって構築される。したがって、内部は気密にシールされているので、追加の高価なシュラウドや、大型で高価なクリーンエアキャビネットに保管モジュール100を設置する必要はない。
【0126】
図2は、モジュール式システム99を形成するためのモジュール式配置におけるいくつかの保管モジュール100を示している。特に、左端にインキュベーターモジュール124、中央にプロセスモジュール120、そして右端にプラスチック器具保管モジュール122が示されている。これらのモジュールは指標であり、制限するものではない。ただし、示されているように、各モジュール100は同じ形式を用いており、例えば、各々がカルーセル108を有し、その中又は上に形成されたプレートスロット110をそれぞれ有する。
【0127】
冷凍庫(126;
図3A)などの他のモジュール100を想定することができる。多くの実験、及び培養に必要な培地には、成長因子などの試薬が含まれており、1日又は2日以上保存する場合は凍結する必要がある。これにより、試薬を基本培地に混合することにより、毎日又は2日おきに培地を調製するシステム99が得られ、その場合、試薬の一部はシステム内に凍結保存される。したがって、冷凍庫モジュール126を設けることができ、システム99は凍結試薬を保管し、必要に応じてそれらを取り出して解凍することができる。システムの別のモジュール100は、冷蔵庫(128;
図3A)である。多くの試薬、特に細胞培養培地は冷蔵庫に保管されており、冷凍庫モジュールのみに頼ると、試薬を繰り返し凍結融解するのは煩雑で、有害でさえある。
【0128】
図2に示すように、細胞培養に使用されるモジュール式システム99のこの例では、プロセスモジュール120、及び一連の保管庫、すなわち細胞培養のためのインキュベーター124及び右側のモジュールのようなプラスチック器具保管庫122が提供される。上述したように、他のモジュールは、培地を保管するための冷蔵庫、例えば成長因子や試料などを保管するための冷凍庫、及び室温試薬保管庫を含むことができる。マイクロプレートフットプリントを備えたスロットに適合するように設計されたラボウェア300のセットを受容するように構成されたスロット110が設けられる。そのセット300は、トレイ、ボトル若しくはバイアル用のアダプターラック、ボックス、ボトル又は皿を含むことができる。これについては、
図13A及び
図13Bを参照して以下でより詳細に説明する。プレートスロット110には、プレート116(例えば、細胞培養プレート、アダプター ラック、又はラボウェア) を配置できる。プレート116は、試薬又は細胞培養物を保持できるバイアル又は容器を搭載することができる。プレート116は、例えばプレート116がインキュベーター124からプロセスモジュール120に渡されるように、モジュール100間で移送され得る。移送は、モジュール100の特定のインターフェース 134で行われる。
【0129】
保管モジュール100は、モジュール100がプレート116(又は他のプラスチック器具)を提示又は受け渡しできるインターフェース134を有する。インターフェース134は、隣接するモジュール100上のインターフェース134と位置合わせして、プレート116を1つのモジュールから別のモジュールに移すことを可能にする。これにより、例えば、バイアルを保持するプレート116をインキュベーター124からプロセスモジュール120に移すことができる。インターフェース134は、モジュール100へのアクセスを閉じるためのドア130を有することができる。これらのドアは、鉛直方向又は水平方向に開くことができ、引き戸にすることができ、複数のパネルを有することも単一のドア 130とすることもできる。ドアは、モジュール100の要件に応じて変えてもよい。例えば、いくつかのドアは、耐圧性又は断熱性である。これらのインターフェース134は、同じ平面に(例えば、ロボットのハンドリングを大幅に簡素化するために水平面内に)あることができる。それに替えて、一部のインターフェースは鉛直方向又はその変形とすることもできる。保管モジュール100は、床面積を節約するために鉛直方向に積み重ねることができる。これにより、モジュール間にギャップ又はスペースを必要とせず、したがってトレイ116又は他のアイテムを間で移送するためのさらなる処理機能の必要性なしに、モジュール100を一緒に積み重ねることによるシステム99の構築が可能になる。それはまた、より多くのモジュール100を積み重ねることにより、システム99をアップグレードして、より多くの機能又はより多くの容量を追加することを可能にする。鉛直方向に積み重ねられたモジュールは、
図9Aを参照して詳細に説明される。それらは、グリッパーの通路を形成するシール要素311を使用して接続されている。
【0130】
上述のように、モジュール100はインターフェース134と一緒に接合され、いくつかの実施形態では、これらのインターフェースは、シール要素311及び/又はドアによって気密にシールされる。それによって、モジュール100を「接続」することにより、清浄な空気を含む完全なシステム99を構築することができ、清浄な空気空間を含む高価でかさばるハウジングを必要としない。したがって、インターフェース134は、プレート116を外郭シェル102又はハウジングの外側の外部空間に通過させる替わりに、隣接するモジュール100へのアクセスを提供するのみである。これを確実に維持するために、ドア130があれば、それらも互いに気密にシールされる。これには、ハンドリングが簡単になるという利点もある。
【0131】
図2は、ロボット装置160も示している。ロボット装置160は、モジュール100のセンターウェル112に配置されている。ロボット装置は、プレートスロット110からプレート116を保持できるグラバー162を有する。ロボット装置160はまた、グラバー162の伸張及び後退の作動を可能にするためにグラバー162に接続されるロボットアーム164を有する。ロボットアーム164は伸縮自在である。グラバー162は、プレートスロット110(又はスロット110のラック210)を保持するプレート116に到達し、プレートがスロット110又はラック210から引き出されてスロット110又はラック210に配置されるようにプレート116を拘束することができる。ロボット装置160はまた、プレートがロボット装置160の作動によって隣接するモジュール100に渡されるように、インターフェース134を介してプレート116を通過又は移送するためにも使用される。
図2は、同じ場所にグラバー162及びドア130を備えた類似のロボット装置160を有する2つのモジュール100(例えば、インキュベーター124及びプラスチック器具保管庫122)を示す。すべてのモジュール100がロボット装置160を有する必要はなく、いくつかのモジュール100は、プレート116を通過させ又は移送するために、隣接モジュールからのロボット装置160に依存することができる。特に、プロセスモジュール120は、ロボット装置160なしで示されている。
【0132】
モジュール100のセンターウェル112内のロボット装置160は、ロボットアーム又はコンベヤーベルトなどの中間装置なしで、プレート116を別のモジュール100内のプレートスロット110に渡すことができる。これは、中間装置をなくすことにより、より単純なシステム99を提供する。 また、中間装置に必要なスペースをなくすことで、システム99をよりコンパクトにし、位置合わせと公差積み上げの問題を低減し、二重ハンドリングを減らし、追加の外部シュラウドや清浄空気ハウジングを必要としないコンパクトなシステムの構築を容易にする。
【0133】
センターウェル112内のロボット装置160は、非常に限られた動きの自由度を有することができる。それは、2つの自由度のみを有することができる。つまり、ウェル112内の鉛直方向と、ドア130若しくはインターフェース134を通るか又はスロット110内への水平方向である。カルーセル108は、ロボット装置160がラック210のすべてにアクセスできるように、回転するように構成することができる。したがって、ロボット装置160は、インターフェース134の方向に水平に(かつ直線的に)、及び鉛直方向に向かって移動するように制限される。それに替えて、いくつかの実施形態では、ロボット装置160を回転させることができ、カルーセル108を拘束することができる。あるいは、両方の組み合わせがある。ロボット装置100は、ロボットアーム164を延ばす替わりに、レール内を走行するか又はレール内を走行するグラバー162を有するなど、さらに制限を受けることができる。これにより、ロボット装置160が位置合わせを損なう可能性が少なくなる。モジュール式システム99は、再利用されるコードを備えたモジュール式ソフトウェアも可能にする。これは、例えば3Dロボットアームが到達する自動ドア130とカルーセル108とを備えたインキュベーター124を有する替わりに、プレート116(及び他のオブジェクト)を他のモジュール100に自律的に提供するという意味で、保管モジュール100を「自己完結型自動販売機」にすることによって部分的に達成される。
【0134】
図3A及びBは、いくつかのモジュール100を含むさらなるシステム99の平面図を示す。複数のモジュール100は水平に配置され、中央のプロセスモジュール120とインターフェースする、インキュベーター124、冷蔵庫128、冷凍庫126、及びプラスチック器具保管庫122から構築された一例の完全なシステム99を提供する。プロセスモジュールを除く各モジュールが、センターウェル112にロボット装置160を備えているので、「外部」の拘束されていない3Dロボットアームは必要ない。すべてのモジュール100は、プレート116が隣接するドア130又はインターフェース134を通過できるようにインターフェースする。プロセスモジュール120は、複数のモジュール100(インキュベータ124、冷蔵庫128、冷凍庫126、及びプラスチック器具保管庫122)の各側面にアクセスできるように中央に配置される。伸長するロボットアーム164が(回転できないように)固定されている場合、プレート116がプロセスモジュール120に出入りできるように、ロボットアーム164はプロセスモジュール120のドアに向けられている。ロボット装置160を作動させるためのプロセッサユニット、動力手段、又はマシンユニットなどの追加機能を提供するために、サービスモジュール138を追加することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、モジュール100が外部からアクセス可能でありかつ別のモジュール100に接続されていないドアを有する専用の「ロードロック」があってもよい。このロードロックは、日常的に人間がアクセスできる。これにより、ユーザーはプレートスロット110又はラック210と相互操作して、システム99内で消耗品、細胞又は試料を含むプレートなどを交換することができる。ロードロックは、モジュール100の内部の汚染又は環境状態の変化を避けるために、いつでもモジュール100の外部又は内部に開くだけのプレートスロット110とすることができる。これにより、ユーザーがロードロックにアクセスしたときに、回転又は操作する機械へのアクセスが防止されるため、怪我のリスクを生じることなく、システム99が動作し続けることができる。いくつかの実施形態では、ロードロックは、さらなるアクセス可能なドアにアクセスするため、又はロボットハンドラーがロードロック内に置かれた内容物にアクセスできるように回転可能とすることができる。
【0136】
図3Bは、
図3Aと同じモジュール100を備えたシステムを示している。すなわちインキュベーター124、冷蔵庫128、冷凍庫126、プラスチック器具保管庫122である。しかしながら、冷凍庫126は、プロセスモジュール120に接続された冷蔵庫モジュール128に接続されている。これは、冷凍庫126が冷蔵庫128を介してアクセスされることを意味し、冷凍庫126内の霜付きと温度サイクルを低減させる。冷蔵モジュールについては説明した。しかしながら、湿度、温度、又はガス濃度の変化など、モジュール100間のさらなる環境変化が想定される。各モジュール100の環境を制御するために、自動化された、又はユーザーが制御する制御手段が提供される。
【0137】
プロセスモジュール120は、任意であるが、プレート116を移送するためのロボット装置160を含まないことも有り得る。しかしながら、自動化細胞培養システム99用のプロセスモジュール120内に、他のロボット操作を設けることができる。プロセスモジュール120には、少なくとも1つのカルーセルとインターフェースする回転作業デッキ、すなわち「ターンテーブル作業デッキ」108を具備する液体ハンドラーを設けることができる。作業デッキのスロットには、適切に配置されたカルーセル108からの単純な(水平方向に直線的な)移送、及びターンテーブル作業デッキとカルーセル108の回転によって、マイクロプレート116又は互換性のあるラボウェアを配置できる。プロセスモジュール120には、顕微鏡、他のハンドリングモジュール(バイアルデキャッパー、バイアルピッカー、プレートデリッダー)、又は他の機能を設けることもできる。これらについては、
図15A及び15Bを参照して以下に説明する。
【0138】
プレート116は、マイクロタイタープレート若しくはマイクロプレート、又は類似のフットプリントを有する他のラボウェアである。これらのプレートは、SLAS(Society for Laboratory Automation and Screening) 規格に準拠している。この規格では、幅85.48mm、長さ127.76mmのマイクロプレートが必要である。ただし、これの変更及び修正は可能である。
【0139】
さらなるチューブピッキングロボット装置を冷蔵庫128又は冷凍庫126に設けることができ、それにより例えば、ラック210内の他のチューブの温度サイクルを最小限に抑えながら、ラック210から冷凍されたチューブをピッキングすることができる。ピッキングロボットは、冷蔵庫128又は冷凍庫126のラック210内で無駄になったスペースに組み込むことができる。
【0140】
操作中、1つ又は複数のソース保管プレート116が、例えば冷凍庫126の棚又はラック210から取り出され、そのプレート116からターゲットプレート116に所望のチューブが取り出される。ソースプレート116は保管棚210に戻され、ピッキングされたチューブを搭載したターゲットプレート116は、解凍及び/又は加温されるインキュベーター124に移される。目標温度に到達するのに十分な時間が経過すると、チューブを具備するプレート116が作業デッキに移される。プロセスは、逆に、未使用の試薬を入れたチューブを冷凍庫保管庫126に戻す。ボトル又はバイアルは、インキュベーター124に移すことにより、解凍又は事前加温することができる。さらに、作業デッキのスペースを節約するために、インキュベーター124のラック210内のスロット110にデリッダーを組み込むことができる。
【0141】
インキュベーター124用の高効率粒子状空気(HEPA)フィルターを設けることができ、インキュベーター124内の空気がフィルターを通して再循環されることで、インキュベーター124内の粒子状物質を減少させる。HEPAエアフィルターには該当しないが、(通過する空気から)0.3μm以上の粒子を99.97%除去するエアフィルターも設けることができる。
【0142】
図4A及び
図4Bを参照すると、隣接するモジュール100の2つの回転カルーセル108間のインターフェース134の平面図が示されている。
図4Bは、境界面を通過する6ウェル組織培養プレート116を示す。モジュール100間にはインターフェース134が設けられている。両方のモジュール100は回転カルーセル108を有する。各回転カルーセル108の一部(すなわち、プレート116のための1つのスロット)のみが示されている。1つのモジュール100は、ラック210(プレートホテルとも呼ばれる)を具備するカルーセル108を備えたインキュベーター124とすることができる。インターフェースで行われる主な操作は、2つのモジュール100間でプレート116を移動することである。
いくつかの実施形態では、これらのプレートは、細胞培養プレート116(例えば、6ウェル細胞培養プレート116が示されている)、又は他の互換性のあるラボウェアなど、SLASサイズ規格に概ね適合する。モジュール間には自動ドア130(図示せず)が設けられている。一部のモジュールは、インターフェース134にドア130を必要としない。しかしながら、例えば、モジュール100間の環境が異なる場合、ドア130が設けられる。2つのモジュール100は、接続手段又は固定具(ボルト)132によりインターフェース134において固定又はロックされている。固定具132はインターフェース134の近くにあり、公差積み上げを最小化する。モジュール100の外郭シェルすなわちハウジング102間の衝突なしにプレート116がモジュール100間を通過できることを確保するために、固定具132は、モジュール100が所定の位置に位置合わせ及び保持又はロックされることを確実にする。モジュール100を互いに結合でき、又は他の特徴部若しくはモジュール100に結合できるように、追加の固定具132を提供することもできる。したがって、インターフェース134は、プレート116を受け渡すために、プレート116の位置が拘束される制御された場所を提供する。接続手段又は固定具132は、プレート116が受け渡される場所の近くにある。
いくつかの実施形態では、固定具132は、インターフェース134の端からインターフェース134の幅の半分以下である。これにより「公差積み上げ」が低減される。公差積み上げがあると、固定具や製造のばらつき又は動作中の動きによって、位置合わせすることが重要な部品の位置合わせに影響を与える可能性がある。特に、固定具132がインターフェース134又はその近くに配置されるため、モジュール間の位置合わせのばらつきが減少する。接続手段132は、ボルト又は他の任意の手段とすることができ、それは2つの隣接するモジュール100のハウジングを拘束又は押圧してそれらを互いに堅固に保持する。
いくつか実施形態では、接続手段132が位置合わせできるように、モジュールを位置合わせするためのインターロックリップ又は他の割り出し手段が設けられる。カルーセル108は、例えばピン140とスロット142の手段により、インターフェース134に対して割り出しされる。ピン140は、モジュール100の壁に設けられている。位置合わせスロット142はカルーセル108に設けられ、そこで、カルーセル108がプレート116を受け取るか又は保持することができる。カルーセル108上の2つのプレートスロット110間でのプレート116(又は他の互換性のあるラボウェア)の移送が1つのプレートスロット110から別のカルーセル108上の隣接するプレートスロット110への単純な直線移動によって達成できるように、カルーセル108上のプレートスロット110は、カルーセル108をインターフェース134に対して割り出しすることによって、互いに位置合わせすることができる。ピン140は、位置合わせスロット142が常に拘束されないように移動することができる。
その替わりに、カルーセル108を移送位置に移動するときに位置合わせを行うことができ、他の時には自由に回転することができる。ピン140及びスロット142が図示されているが、電子的又は機械的な他の位置合わせ手段を設けることができる。例えば、ピン140がカルーセル108内に位置するように、スロットとピンの位置を入れ替えることができる。あるいは、カルーセル108のモーターを割出しして、所定の割出し位置で停止することができる。
図4Bに、1つのプレートスロット110から別のプレートスロット110へインターフェース134を通過するように、モジュール100間を通過するプレート116が示されている。プレート116は、ロボット装置160によって指示された向きに通過することができる。
【0143】
この動きは、ロボット装置160によって駆動される。カルーセル108が回転し、そしてロボット装置160が鉛直方向に移動し、次にロボット装置160が、2つの拘束された軸に沿って高度に拘束された動きの組合せにより、プレート116をカルーセルラック210内の任意の位置からインターフェース134に移送する。つまり ラック内の適切なレベルへの鉛直移動、プレート160を取り出すための水平移動、カルーセル108の作業デッキ(すなわち、プレートスロット110)の高さまでの鉛直移動、及びカルーセル108上のプレートスロット110にプレート116を配置するための水平移動である。より具体的には、ロボット装置160は、隣接するモジュール100のセンターウェル114の2つの中心軸を結ぶ線に沿った方向に水平に移動する。隣接するモジュール間のインターフェース/ドア130、134は、隣接するモジュール100のセンターウェル114の2つの中心軸を結ぶ線上が幅方向の中心となるように、各モジュールの側壁に配置される。ロボット装置160は、プレート116をもう一方のカルーセル108のスロット110に直接移動するのに十分な水平移動を行うことができる。隣りのモジュール100内にロボット装置160が存在することも有り得るので、すべてのロボット装置160がこの程度の水平移動を必要とするわけではない。そのような状況では、ロボット装置160は、隣りのモジュール100内のロボット装置160に受け渡すことができる。
【0144】
図4Aは、移送中にプレート116が正確に位置合わせされることを確実にするためのさらなる位置合わせ機構144を示す。インターフェース134に対向するカルーセル108のプレートスロット110の端にある面取り144は、たとえそれが数ミリメートルの位置ずれであったとしても、入ってくるラボウェア116を捕捉して位置合わせする働きをする。これは、プレート116が面取り144と衝突し、面取り144がプレートスロット110に向かって傾斜し、したがってプレート116がスライドしてプレートスロット110に向かって位置合わせするときに生じる。それに替えて、位置合わせ機構146は、インターフェース134自体に、例えば開口部又はドア130に存在することができる。このような場合、ドア130又はモジュール間のインターフェース134に面取り146を設けることができ、面取り146は、いずれかのモジュール100のプレートスロット110に向かって傾斜するように成形される。これを
図4Bに示す。このような配置では、移送中に位置合わせから外れたプレート116は、面取り146と衝突し、再びプレートスロット110と位置合わせするように向けられる。
【0145】
図8は、面取り146がモジュール100の内部に向いたインターフェース134の表面に配置されている、インターフェースの代替的実施形態を示す。したがって、面取りは、モジュール100の中心からの距離が増すにつれてインターフェース134の口の幅を狭める。これにより、インターフェース134の口に入るプレート116及び/又はグラバー164の位置合わせが可能になる。図示しないが、いくつかの実施形態では、プレート116が、プレートスロット110、インターフェース134、グラバー164、又は、プレート116と相互作用する可能性のある他の任意の特徴部に入るときに、プレート116の位置合わせを可能にする面取りを有することができる。プレート116のこのような位置合わせ機能は、さらにモジュール100又はシステム99を通過するプラスチック器具の位置合わせを可能にする。これらの面取り位置の組合せをモジュール100に設けることができる。
【0146】
図4Cを参照すると、プレートスロット110の1又は複数の縁に面取り144を設ける替わりに、又はそれに加えて、インターフェース134の壁に凹部148を設けることができる。凹部148は、インターフェース134の側面からインターフェース134の中心に向かって延びる形状を有する。凹部は、プレート116のための空間すなわち開口部150(モジュール100間のインターフェース134によって画定される空間)がプレート116の幅のそれに近くなるように成形することができる。これにより、プレート116の側面が、通過時にインターフェース134の壁と面一になることが確保される。このような凹部は両方のモジュール100上に存在することができ、それによってプレート116が凹部148内で位置合わせさせられる拡張領域が存在する。凹部は、位置合わせされていないプレート116がインターフェース134を通過するように位置合わせされるまで、凹部148の面を横切ってスライドするような形状となっている。場合によっては、プレート116を操作するグラバー164が、プレート116の幅よりも広い場合がある。このような場合、凹部148などの任意の位置合わせ手段は、グラバー164を収容するように、したがってグラバー164の外幅と等しいか又はそれよりわずかに大きいように構成されている。他の場合には、グラバー164の移動をガイド又はサポートするレール又はスロットが設けられることがある。いくつかの例では、プレート116及びグラバー164の幅よりもインターフェース134を狭くし、かつグラバー164が延びるインターフェースにスロットを設けることによって、スロットを構築することができる。カルーセルの面取り144、インターフェースの面取り146、及びインターフェースの凹部148の組合せを設けることができる。これらはすべて、移動するプラスチック器具とプレート116、及び/又はグラバー164を動的に位置合わせするように機能する。
【0147】
異なるモジュール100の明確な境界を設けるために図にはスペースが示されているが、インターフェース134は、それらが互いに面一になるように隣接することができる。さらに、上述したように、いくつかの実施形態では、インターフェース134は気密にシールされる。自動化細胞培養システム99内のモジュール100の少なくともいくつかは、HEPA濾過された清浄な空気を有する。インターフェース134をシールすることにより、濾過されていない空気の侵入が防止される。シールすることは、モジュール100間に隙間がないようにすること、及び/又はインターフェース134若しくはドア130の周りにシールを配置することによって達成することができる。モジュール100の縁同士の間にシールを設けることもできる。
【0148】
開口部150(モジュール100間のインターフェース134内)及びカルーセル108内のプレートスロット110は、プレート116(例えば、マイクロプレート)に密接して配置され、密着して適合することができる。それによって、開口部150及びプレートスロット110は、プレート116及び/又はロボット装置160のグラバー164がスライド又は走行する実質的に連続した「レース」又は「チャネル」を共に形成し、それにより、ラボウェアの位置は常に制限されているため、ラボウェアの落下、紛失、位置ずれの可能性が大幅に減少する。
【0149】
特に、
図5を参照すると、プレートスロット110の底面部154から延びるスロット側面部152を有するプレートスロット110が示されている。プレート116は、プレートスロット110の底面部154上でスロット側面部152間に位置する。スロット側面部は、プレート116の横方向の動きを制限する。プレート116の移動方向におけるプレートスロット110の端部とは反対側のプレートスロット110の端部は、さらに、例えば、スロット側面部152間に部分的又は完全に延びるバックプレート又はエンドストップにより閉鎖されることができ、プレート116の後方移動を防止する。スロット側面部152には、グリッパー溝166が存在する。これはスロット側面部152の長さに沿って延びる溝166である。グリッパー溝166は、プレート116が存在するときに、グラバー162のグリッパーフィンガー168がグリッパー溝166に沿って移動できるような形状である。マイクロプレート116が示されており、その場合、グラバー164すなわちグリッパーフィンガー168がプレート116のいずれかの側を囲むことによってプレート116を掴む。これにより、ロボット装置160は、必要に応じてプレート116をピックアップして動かすことができる。いくつかの実施形態では、グリッパー溝166が、スロット側面部152の長さに沿って部分的にのみ延在する。対応する溝166が反対側の縁から延在することができ、それにより、グリッパーフィンガー168がプレートをいずれの側からも掴むことができるようにする。グラブ機構の他の例を設けることができる。例えば、グリッパーフィンガー168がプレートスロット110の底面154の替わりにプレート自体116に適合するように溝を設けてもよいし、グリッパーフィンガー168がプレート本体に入るようにプレート116自体に溝を設けてもよい。
【0150】
図5に示すマイクロプレート116は、その側面部の幅よりも広い底面部を有する。この形状に対応するために、プレートスロット110のスロット側面部152は、グリッパー溝166の上方及び下方で様々な幅を有することができる。
【0151】
図6は、インターフェース134の側面断面図を示しており、下の図は、インターフェース134を通過するプレート116を例示的に示している。上述したように、カルーセル108のプレートスロット110は、スロット側面部152により形成された窪みを有することで、プレート116又は他のラボウェア、及び/又はロボット装置160のグラバー164が、チャネル156又はトラフ又はレース又はレール内を走行する。このようにして、プレート116及びグラバー164は高度に制限され、移送が非常に信頼できるものとなる。カルーセル108内のスロット110を具備するモジュール100間、又は2つのカルーセル108間のインターフェース134に形成されたこの実質的に連続的なチャネル156は、チャネル156の床としてプレートスロット110の底面部154を使用する。プレート116又はその他のラボウェア、及び/又はグラバー164は、このチャネル156内をスライドする。チャネル156は、プレート116/ラボウェア及びグラバー164を物理的に拘束することで、ラボウェアの落下や紛失の可能性を大幅に減らし、システムをよりシンプルに、より信頼性が高く、プログラムをより容易にすることができる。
【0152】
図7A及び
図7Bは、カルーセル108のプレートスロット110内のプレート116が、インターフェース134を介して隣りのプレートスロット110に移動する準備ができている状態を示している。グリッパーフィンガー168を有するグラバー164を具備するロボット装置160が、インターフェース134を介してプレート116を移送する様子が示されている。ロボットアーム162は、グラバー164を動かすために作動する。インターフェース134の幅は、プレート及びグラバー164が確実に適合し、物理的に拘束されて位置合わせできることを確実にするために、グリッパーフィンガー168の幅に近いものとされている。
【0153】
図8は、カルーセルに基づかないインターフェース134の代替的実施形態を示しており、モジュール100上のプレートスロット110はコンベヤーベルト170である。このコンベヤー170は、インターフェース134を通って、又はインターフェース134に向かってプレートを通過させることができる。ロボット装置160は、コンベヤー170に対しプレート116を送達又は回収するために依然として存在し得る。上述のように、面取り146も示されているが、面取りは、モジュール100の内部に面するインターフェース134の表面に配置されている。
【0154】
モジュール100は、さらなるフレキシビリティのために鉛直方向に配置することができる。
図9A及び
図9Bは、そのように配置されたモジュール100を有するシステム99を示す。この配置により、システム99のどこにモジュール100を配置できるかに関してより自由度が高くなるので、システム99の配置が容易になる。例えば、プラスチック製のラボウェア保管庫122又はインキュベーター124をより高く積み重ねることによって、システム99により多くの容量を追加することが容易になる。モジュール100を鉛直方向に積み重ねることにより、システム99が占める床面積を少なくすることができる。
【0155】
上述したように、2つのモジュール100は、鉛直方向に積み重ねて配置されるように設けられる。モジュール間には、
図4A~
図4Cに示される水平方向に配置されたモジュール100間のインターフェース134に非常に類似している鉛直インターフェース234がある。鉛直インターフェース234は、任意であるが、ロボット装置160が鉛直方向に移動できるドア230又は開口部231を有する。モジュール100は、ドア230又は開口部231の周りに接続手段又は固定点232を有し、鉛直に積み重ねられたモジュール100が互いに確実に拘束されるようにする。固定点232は、開口部231又はドア230の近くに配置され、
図4A~
図4Cの接続手段132を参照して説明したように、公差積み上げを低減する。気密シール手段311は、2つの隣接するモジュールのインターフェース134、234の間に配置することができる。
【0156】
図9A及び
図9Bは、複数の鉛直方向に積み重ねられたプレートスロット110が配置されたプレートラック210を示す。したがって、プレートスロット110が層状に形成されることにより、ラック210が形成される。
図9Aには2つのラック210が示されているが、ラック210は、
図1に示されているカルーセル108の周りのプレートスロット110上に配置されている。簡単にするために、カルーセル108は
図9A又は
図9Bには示されていない。しかしながら、プレートラック210は、ロボット装置160がラック210の各列にアクセスできるように、カルーセル108の回転軸を中心に回転する。ロボット装置160は、水平方向及び鉛直方向にのみ動けるように回転可能に固定されている。したがって、ロボット装置160の背後にあるプレートスロット110にアクセスするために、ラック210(したがってカルーセル108)は、必要なプレートスロット110がロボット装置に対向するように回転させられる。次に、ロボット装置の鉛直及び水平移動を実行して、プレートスロット110にアクセスすることができる。いくつかの代替構成では、プレートスロット110の層がその下方のプレートスロット110から独立して回転するように、ラック210がサブグループで回転することができる。あるいは、ロボット装置160が回転することができ、ラック210は静止して保持される。
【0157】
前の議論から理解されるように、モジュール100には水平インターフェース134が存在する。この水平インターフェース134は、現在のモジュール100のプレートスロット110及び隣接モジュール100の必要なプレートスロット110と同じ高さであるラック210内の高さに形成される。水平インターフェース134の高さ及び回転位置に位置するこれらのプレートスロット110は、移送スロットである。移送スロットは、モジュール100のインターフェース134と位置合わせできるように、カルーセル108上で回転可能である。隣接するモジュール100には、対応する移送スロットが存在する。いくつかの実施形態では、インターフェース134と水平に整列するラック210上の任意のプレートスロット110が、移送スロットとして機能することができ、これは、ラック210上で鉛直方向で整列するプレートスロット110を含むことができる。
【0158】
使用時には、保管モジュール100(インキュベーター124、冷蔵庫128、冷凍庫126、プラスチック器具保管庫122、ロードロックなど)からプレートを受け渡すために、カルーセル108を回転させて水平方向のインターフェース134のドアの割り出しを行い、ラック210の「移送スロット」をモジュール100のインターフェース134の位置と一致させる。移送スロットは空でもよいし、移送されるプレート116が入っていてもよい。さらに、受け取りモジュール100がインターフェース134の位置に割り出しされ、受け取り移送スロットが引き渡し移送スロット及びインターフェース134に位置合わせされ、ドアが存在する場合にはそれが開かれ、したがって、移送スロット、ドア又はインターフェース134、及び受け取り移送スロットからなる連続した空間又はチャネルを形成する。移送スロットがプレート116を含む場合、グラバー164が移送スロット内に水平に移動し、プレート116に係合し、次に同じ軸に沿って、プレート116が受け取り移送スロット内に位置するまでドア又はインターフェース(
図7の134)を通ってさらに移動する。次に、グラバー164はプレート116を解放し、それ自身のセンターウェル112に後退する。いくつかの実施形態では、水平列の任意のスロットを移送スロットとして使用できる。いくつかの実施形態では、その水平列のスロットをバッファ(以下で説明)として使用できる。
【0159】
いくつかの実施形態では、インターフェース134は、マイクロプレートなどの細胞培養プレート116を通過するのに十分な高さを有する。しかしながら、他の実施形態では、インターフェース134の高さは、より高いラボウェア300をモジュール100との間で移送できるようにするためにより大きい。その高さは、プレート116に応じて必要な高さまで開くドア300によって指定することができる。このような場合、インターフェース134は、マイクロプレートの高さよりも鉛直方向に大きく延在することができる。より具体的には、いくつかの実施形態において、ドア130が、特定のモジュール100においてより高くなり得る。例えば、冷蔵庫は、ボトルを収容するためにより高いドア130を有することができる。ドア130又はインターフェース134の高さは、ディープウェルプレートの移送を可能にする4cm、ボトルの移送を可能にする8cm、及びピペットボックスの移送を可能にする10cmとなるであろう。
【0160】
ロボット装置160は、センターウェル112に配置され、プレート116又は他のラボウェアを、別の鉛直方向に配置されたモジュール100内のラック210上のプレートスロット110へ、又はプレートスロット110から移送することができる。ロボットハンドリング装置160が完全に鉛直方向に移動してラック210上のすべてのプレートスロット110にアクセスできるように、ラック210の高さを適切に延ばす鉛直レール172が設けられる。ロボット装置160のグラバー162は、係合装置174によってレール172に接続されている。係合装置174は、ランナー176によってレール172に取り付けられる。ランナー176は、係合装置174のいずれかの端部に鉛直に配置されている。係合装置174は、ランナー176を作動させることによって、ロボット装置160を鉛直レール172に沿って鉛直方向に移動させる。作動手段はモーターとすることができる。グラバー162は、係合装置174に取り付けられ、係合装置174に沿って鉛直方向に移動する。これにより、グラバー162は、ラック210の高さに亘ってすべてのプレートスロット110に到達でき、係合装置174の高さに制限されない。グラバー162の鉛直移動は、係合装置174内にあるモーター又はサーボ機構を介して行うことができる。
【0161】
1つのモジュール100から別のモジュール100に移行する場合、別のモジュール100のレール172に移行する必要がある。これを達成するために、ランナー176が、ロボット装置160が移行しているモジュール100のレールから外れ、したがって、ロボット装置は、係合装置174の対向する鉛直側でランナー176により保持される。次に、
図9Bに示すように、係合解除されたランナー176は、ロボット装置160がまだ係合しているランナー176からの継続的な鉛直移動によって移行しつつあるモジュール100のレール172と係合する。鉛直移動を続けると、他のランナー176が解放され、別のモジュール100のレール172と再び係合する。したがって、ロボット装置160は、少なくとも1つのランナー176がレール172と係合する少なくとも1つのモジュール100内に常に保持されかつ拘束される。
【0162】
各モジュール100は、それ自体のロボット装置160を有することができ、それに替えて、両方のモジュール100の操作を実行する単一のロボット装置を設けることができる。複数のロボット装置160が設けられる場合、それらは互いに衝突しないように拘束される。いくつかの実施形態では、ロボット装置160は、異なる水平面で動く。それに加えて、又は代替として、それらは異なるレール172又は他の搬送手段上で動作する。共有レール172が複数のロボット装置160に使用される場合、モジュール100のすべてのプレートスロット110へのアクセスを可能にするために、装置間でプレート116を受け渡す必要がある。
【0163】
特定の構成について説明してきたが、ロボット装置160を移行させる他の手段も可能である。例えば、複数のランナー176、又はモジュール100が常にレールに係合することを確実にするために、モジュール100間のインターフェース234にまたがるような高さを有する単一のランナーを使用することができる。複数のレールを設けることにより、ロボット装置160が複数の点で拘束されることで、より良好な位置合わせと、プレート116の重量による垂れ下がりの低減を確保することができる。それに替えて、レール172を省略し、その替わりに一点に固定され、装置を鉛直に運ぶためのレール又は他の手段によって案内されない鉛直に延びるロボットアームを使用することができる。
【0164】
したがって、ロボット装置160は、他のモジュール100内の位置合わせ及び/又は割出しの機構(例えば、レール172、棚の面取り、スロット及びピン機構、割り出しモーター)と係合することができる。移送は下方向又は上方向とすることができるが、両方とする必要はない。
【0165】
前述のように、ラック210は、回転するようにカルーセル108上に配置され、ロボット装置は1つの平面内での水平移動に拘束される。したがって、1つの面での鉛直移動と1つの面での水平移動によって、ロボット装置はラック210内のすべてのプレート116にアクセスできる。
【0166】
図10は、多数のモジュール100が鉛直及び水平に積み重ねられた配置で設けられるシステムの概略図を示す。この構成では、システム99に冷凍庫モジュール126が設けられる。冷凍庫モジュール126は、プレート116を掴むことができるロボット装置160を有する。ロボット装置160は、本明細書に記載のロボット装置のいずれかとすることができる。バイアルピッカーを設けることもできる(
図15Bを参照してさらに詳細に説明する)。冷凍庫モジュール126は、その水平側で冷蔵庫モジュール128及びプラスチック器具保管庫122に水平に接続されている。ロボット装置160は、これらの鉛直方向に接続されたモジュール間でプレート116(又は他のプラスチック器具)を移送することができる。冷蔵庫モジュール128もまた、ロボット装置160を有する。ロボット装置160は、本明細書に記載のロボット装置のいずれかとすることができる。インキュベーターモジュール124は、冷蔵庫モジュール128の上に鉛直方向に積み重ねられる。このインキュベーターモジュール124及び冷蔵庫モジュール128は、ロボット装置160の鉛直移動によってプレート116(又は他のプラスチック器具)をそれらの間で移送できるようなインターフェースを有する。インキュベーター124もまた、プレートを掴むためのロボット装置160を有する。ロボット装置160は、本明細書に記載のロボット装置のいずれかとすることができる。インキュベーター124には、任意にプレートデリッダーを設けることができる。
プロセスモジュール120は、インキュベーターモジュール124に対して水平に配置される。したがって、プロセスモジュール120は、冷凍庫モジュール126上に鉛直方向に積み重ねられる。しかし、プロセスモジュール120と冷凍庫モジュール126との間にインターフェースはない。プロセスモジュール120は、顕微鏡、バイアルデキャッパー、及び液体ハンドラーを有することができる。それは、ターンテーブル/カルーセル108も有する。しかしながら、この例では、プレート116を取り扱うためのロボット装置160はプロセスモジュール120に設けられていない。その替わりに、プレート116がカルーセル108上に置かれ、モジュール内の他の装置が操作を実行する。インキュベーター124及びプロセスモジュール120は、インキュベーターのロボット装置160がプレート116をインキュベーターからプロセスモジュール120のカルーセル108上に渡せるようにインターフェースする。プロセスモジュールは、プラスチック器具保管庫122に水平に接続され、インターフェースされる。プラスチック器具保管庫122は、室温で試薬を収容することもできる。冷凍庫126及びプロセスモジュール120が両方ともプラスチック器具保管庫122に水平に接続されているので、プラスチック器具保管庫122は、システム99内の他のモジュール100と比較して2倍の高さのモジュールである。例えば、モジュールは約70cm
3の立方体になる。ただし、2倍の高さのモジュールの高さは約1.4mである。同じ効果を得るために、同じ仕様の2つのモジュールすなわち2つのプラスチック器具保管庫122を鉛直方向に積み重ねることもできる。しかしながら、このような配置は、単一モジュール100では必要な機能に対して十分な大きさが得られそうにないロボット装置や密閉インターフェースのコストを削減することができる。
図10のプラスチック器具保管庫122は、プレートを掴むロボット装置160を有し、プロセスモジュール120と冷凍庫126の両方にプレート116(又は他のプラスチック器具)を受け渡しすることができる。
【0167】
以上の説明から明らかなように、モジュール100は、モジュールの積み重ねが可能となるように、互いに互換性のあるインターフェース形式を有する。これは特に、モジュールの構造が立方体で、モジュールが大きくなるとその立方体の整数倍になる場合に該当する。特に、別の保管庫122の上に積み重ねることにより、プラスチック器具保管庫122の容量を増やすことができる。プラスチック器具保管庫122の容量は、場合によっては制限される可能性がある。したがって、この配置により、モジュール性を維持したまま、例えば週末や休日などに再ストックすることなく長期間にわたってシステム99を自律的に稼働させることができる。いくつかの実施形態では、システム99は、少なくとも150~200枚の細胞培養プレートを培養する能力を有する。
【0168】
そのためにはさらに、約100枚のプレートに相当する容量の冷蔵庫128を用意して、無人で稼動できるだけの十分な培地や他の液体を保管する必要がある。具体的には、各プレートに2日毎に平均10mlの培地が必要な場合、200プレートには1日あたり1,000mlの培地が必要である。ディープウェルプレートは約192mlの液体を保持するため、3日間の培地の供給には16プレート(すなわち3×1,000ml/192 ml)が必要であり、ディープウェルプレートは細胞培養プレートの少なくとも2倍の高さが必要である。よって培地だけでもプレートスロットで32スロット相当が必要である。PBS、トリプシンなどはさらに40スロット以上必要である。プラスチック器具保管庫122は、ピペットチップボックスを収容するするかどうかに応じて、約400個の細胞培養プレートに相当する容量を必要とする場合がある。
【0169】
したがって、このような多数のプレートを処理すると、システム99のロボット装置にかなりの負荷がかかる。液体ハンドラー340(以下で詳細に説明する)は、そのキャパシティに近い状態で動作することができる。このことは、サイクル時間を最小化することを必要とする場合があり、それによりプレートの移送時間(プロセスモジュール120への出入り)を最小化する必要がある場合がある。プロセスモジュール120がロード又はアンロードをされている間は、液体ハンドラー340が動作できない場合があるため、ロボット装置160は、液体ハンドリングロボット340と順次動作することができる。例えば、ロボット装置160がプラスチック器具保管庫122とプロセスモジュール120との間でアイテムを移送していた場合、このことは有効なシステム性能を低減させるボトルネックになり得る。
【0170】
さらに、プレートの移送が厄介な問題になる可能性がある。具体的には、プレート116をプロセスモジュール120に出入りさせるロボット装置160は、プレートがプロセスモジュールに入る方向とプロセスモジュールから出る方向の2つの異なる方向でロボット装置160を「通過」するという意味で、2つの方向のトラフィックを有する。このような双方向のトラフィックは、特に利用率の高いロボット装置160では、効率的に処理することが難しくなり、ロボット装置160がボトルネックになる可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、システム99は「バッファリング」を使用する。すなわち、隣接するモジュール100へのラボウェアの出入りのために、一時的に使用されるプレートスロット110を設けることである。このプレートスロット110はバッファーと呼ばれている。さらに、バッファーからプロセスモジュールへのプレートの移動は、短い動きで高速に行われる。さらに、トラフィックは本質的に非常にシンプルである。
【0171】
インターフェース134と水平方向で同じレベルにあるラック210のレベル上、すなわち移送スロット上で、モジュール100は、「パススルー」スロットとして機能する少なくとも1つの移送スロット又はスペースを有する。その場合、ロボット装置160は、パススルースロットにプレート116を通し、インターフェース134を通り、別のモジュール100に渡すことができる。インターフェース134と同じレベルにあるすべての移送スロットがパススルースロットである場合、それらはバッファリングを提供するためのバッファーとして使用することができる。
【0172】
図11A及び
図11Bを参照すると、プロセスモジュール120のターンテーブルの半分にロードするステップである。プロセスモジュール120とインターフェースするモジュール100(例えば、インキュベーター124)のバッファスロット1~3(
図11Aでは211、212、213を参照)にプレート又は他のラボウェアを配置することができる。モジュール100のロボット装置160は、モジュール100の任意のスロット110からプレート116をピックアップし、適切なバッファスロット211、212、213に配置することができる(前述したように、いくつかの実施形態では、これは、ロボット装置160の単一平面における鉛直方向及び半径方向の動きと、カルーセル108の回転との組合せを介して行われる)。
図11Bを参照すると、プレート116は、プレートがプロセスモジュールのターンテーブル/カルーセル108上の所望の位置に置かれる結果となるような順序で配置することができる。このバッファリングは、プロセスモジュール120が作動している(例えば、液体のハンドリングを行っている)間に行うことができる。
【0173】
プロセスモジュール120にロードするステップを考慮すると、保管モジュール100のカルーセル108が回転して、例えばバッファー/移送スロット1 211をプロセスモジュール120へのインターフェース134に合わせる。プロセスモジュール120のカルーセル108が回転することで、移送スロットをインターフェース134に位置合わせすることができる。次に、保管モジュール100のロボット装置160は、第1のプレート116を移送スロットから、必要に応じて開かれるドア130を有してもよいインターフェース134を介して、プロセスモジュール120のカルーセル108の移送スロットに押し込む。そして、ロボット装置160は、保管モジュール100のカルーセル108のセンターウェル112に後退する。その後、モジュール100のカルーセル108が回転して、次に移送されるラボウェアを搭載する次の移送スロットであるバッファスロット2 212をインターフェース134に位置合わせする。同時に、プロセスモジュール120のカルーセル108が回転して、次の移送スロットをインターフェース134に位置合わせする。次に、ロボット装置160は、第2のプレートを、移送スロットから、インターフェース134を介して、プロセスモジュールのカルーセル108の移送スロットに押し込み、その後、モジュール100のカルーセル108のセンターウェル112まで後退する。この操作をもう一回繰り返して、残りのプレートを移送する。この例では、プロセスモジュール120及び保管モジュール100の各々のカルーセル108が、カルーセル108上の次のプレートスロット110に回転して、次の操作を開始することができる。したがって、水平面上に8つのプレートスロット110を具備するカルーセル108の場合、カルーセル108は全回転の1/8だけ回転すればよいことになる。これにより、移動時間が短縮され、その結果、移送操作の間の時間が短縮される。
【0174】
前述の例では、単一のモジュール100がプロセスモジュール120にプレートを供給することを説明しているが、より多くのモジュールが同時にプロセスモジュール120に供給することができる。いくつかの実施形態では、これらのモジュールは、一般的に、プロセスモジュール120の反対側にある。これにより、プロセスモジュール120のカルーセル108の各半分が同時に充填(又は空に)されることになり、プロセスモジュール120への最も効率的な移送が可能となる。
【0175】
図12A~
図12Fに示す実施形態では、2つのモジュール100は、インキュベーター124とプラスチック器具保管庫122となる。これらの2つのモジュール100は、最も多くのアイテムをプロセスモジュール120に送る。
図12Aは、プレート116の流れを標示用の矢印を用いて示している。さらに、プロセスモジュール120のアンロードとロードは、典型的には、一時停止せずに連続して行われる。典型的には、各モジュール100は、約4枚のプレートをそのバッファー、すなわち移送スロットにロードし、プロセスモジュール120に移送する準備をする。
図12Bは、モジュール100がバッファリングされ、プロセスモジュール120がプレート116で満杯になっている開始位置を示している。例えば図示のように、プロセスモジュール120のカルーセル108が8枚のプレートを保持しており、モジュール100のカルーセル108が8つのバッファー位置を持っている場合、2つのモジュール100の結合された容量は、移送スロットに8枚までのプレート116をバッファリングすることができる。
図12Cは、プレート116の第1の移送を示している。使用時には、一方のモジュール100がこの合計枚数の半分以上をバッファリングし、他方のモジュール100がシステム99の要件に応じて合計枚数の残りをバッファリングすることができる。同様に、各モジュール100は、通常、そのバッファーの4つの移送スロットを空にしておき、プロセスモジュール120からアイテムを受け取る準備をする。上記と同様に、プレート116は、隣接するスロットにおいて必要とされるように移送スロット層上に編成することができるので、一連の1/8回転のみが必要とされ、これは、すべてのカルーセル108が1つのスロットを回転させる
図12Dに示されている。プロセスモジュール120の全体的なアンロードは、
図12Eに示されており、モジュール100には、プロセスモジュール120からアンロードされたプレートと、ロードされるべきプレートとが混在している。次に、
図12Fは、プロセスモジュール120にロードする第1のステップを示す。
【0176】
図10に示すようなより大きなシステム99を考えると、プレート116は、他のモジュール100から、プロセスモジュール120とインターフェースするモジュール100にバッファリングすることができる。例えば、培地は通常、冷蔵庫128に保存されるが、インキュベーター124で事前に温められる。冷凍品は、必要に応じて、冷蔵庫128、プラスチック器具保管庫122、又はインキュベーター124でバッファリングされてもよい。したがって、システム99は、プロセスモジュール120が稼動している間に、プレート116を1つのモジュール100から別のモジュール100に移すことができる。例えば、プロセスモジュール120がサイクル時間を最小化するように稼動している間に、冷蔵庫128がインキュベーター124に対して移送することができる。この例(図示せず)では、移送中の温度障害を最小限にするために、冷蔵庫128はプラスチック器具保管庫122に、プラスチック器具保管庫122はインキュベーター124に接続されている。同様に、他の箇所で述べたように、冷凍庫126が冷蔵庫128とインターフェースし、かつ、システム99が冷蔵庫128を介して冷凍庫126にアクセスし、冷凍庫126内の温度障害を最小限にすることが有利である。
【0177】
プレートスロット110は、
図11Aから
図12Fにおいて、センターウェル112に対向するより広い縁を有するものとして示されている。プレートスロット110の向きは、最高の効率を得るために必要に応じて変更することができる。
【0178】
鉛直方向に積み重ねられたモジュール100はまた、モジュール100の外側に人間がアクセスできるドアを配置することができ、このドアを介してシステム99が再ストックされ、例えば、便利な高さに新鮮なラボウェアが置かれる。このような外側のドアは、例えば、プラスチック器具保管庫122や冷蔵庫128に配置することができる。それに替えて、日常的に人が立ち入ることのできるドアを備えた唯一のモジュール100である専用のロードロックがあってもよく、このロードロックを介して、ユーザーは、消耗品、細胞入りプレート、又は試料をシステム99と交換することができる。
【0179】
また、モジュールを鉛直方向に積み重ねることで、インキュベーター124のドア(インターフェースドア130、230又は人間がアクセスするための外側のドア)を壁の低い位置に配置することができ、ドアを開けたときに温かく湿ったCO2リッチな空気が流出するのを最小限に抑えることができる。また、冷蔵庫128と冷凍庫126をシステム99内の低い位置に配置することができ、これはドア(インターフェースドア130、230又は人間がアクセスするための外側のドア)を側面の高い位置に配置することを意味し、ドアが開かれたときにそれらの保管庫126、128から流れ出る冷気を最小限に抑えることができる。
【0180】
モジュールとインターフェースの革新性を示す他の可能な実施形態は、カルーセルと使用されることに限定されるものではなく、例えば、従来のロボットアームやガントリーロボットなどと併用することができる。
【0181】
図28Aを参照すると、4つのモジュール100の中央部400にロボット装置160がある。アーム160は、中心軸を中心に回転し、グラバー162は、プレート116をモジュール100に出し入れできるように並進移動し、ロボット装置160は、中心軸に沿って鉛直方向に移動する。モジュールの1つは、保管庫122とすることができる。保管庫122は、任意に、フルハイトの鉛直方向ドア402を有することにより、ロボット装置160が内部ラック210内の任意のレベルにアクセスできるようにする。その他のドアもフルハイトのドア402とすることができる。モジュール100のカルーセル108は、必要なプレートスロット110にアクセスできるように回転する。カルーセル108の回転、及びロボット装置160の鉛直方向の移動により、ロボット装置がモジュール100の任意のプレートスロット110にアクセスできるようになる。したがって、ロボット装置110の動き(軸を中心に回転、軸に沿って移動、モジュール100に出入りする並進)と、カルーセル108の回転又はプロセスモジュール124内の作業デッキカルーセル108の回転との組み合わせにより、ロボット装置160は、システム99内の任意の場所で任意のプレート116を移送することができる。これは、動きがシンプルでプログラムしやすく、ハードウェア的にもシンプルで信頼性が高いというメリットがある。
【0182】
グラバー162は、機械的又は光学的に(例えば、マシンビジョン又は光学センサ若しくは磁気センサを使用して)、ドア402又はインターフェース130に割り出し又は位置合わせすることができる。インターフェース130は、既に説明したように、面取りなどの特徴、又はピン及びスロットの特徴などの特徴部を含む、機械的位置合わせの特徴部を有することができる。グラバー162、又はグラバー162の手首は、面取りなどの位置合わせ機能と位置合わせできるように、ある程度のコンプライアンスを有することができる。ロボット装置160は、グラバー162がドア402を通過する際に(例えばドア402上の)面取りが通常は接触しないように位置合わせできるが、グラバー162は、位置合わせを誤ると面取りにしか接触しない。 面取りとの接触により、動的又は機械的に位置ずれを修正することができる。面取りは、グラバー162を水平面、若しくは鉛直面、又はその両方で修正することができる。面取りとの接触は、ロボット装置160の位置合わせを修正するために使用できるフィードバックをさらに提供することができる。
【0183】
図28Bは、モジュール100間のセンター400に配置されたロボット装置160の側面図を示す。ここでは、鉛直方向に積み重ねられたモジュール100が設けられている。ロボット装置160は、ドア402又はインターフェース130を通してすべてのモジュール100に到達できるように、鉛直方向の動きをすることができる。ラック210又は作業デッキ330が配置されたカルーセル108は、ロボット装置160が必要なプレートスロット110にアクセスできるように回転することができる。
【0184】
図30を参照すると、モジュール100のラック210と相互作用するロボット装置160の拡大図が示されている。ここで、グラバー162は、関連するラボウェア300を掴むためにモジュール内に延びることができるような大きさである。
【0185】
例えば
図28において前述したシステム99は、既に述べたように、規格化されたインターフェースを有することができる。システム99は、既に説明したように、回転作業デッキ330を有することができる。システム99は、規格化されたラボウェア300のセットを有することができ、すべてのラボウェア300を同じ方法で取り扱うことができる。システム99は、SLASマイクロプレート116の形式で、説明された完全なラボウェア300のセットのみを使用して、システム99によって自律的に実行される複雑なワークフローを可能にする、既に説明した方法を使用することができる。これらの機能はすべて、単独で又は組み合わせて使用して、モジュール100のセンター400内の単一のロボット装置160による簡単で信頼性の高いハンドリングを可能にすることができる。これらの機能を組み合わせて使用することで、システムは、30,000を超える、又は60,000を超えるプレート移送又は移動イベントの平均故障間隔を実現できる。「平均故障間隔」は、故障と故障の間のプレート移送又は移動の数の算術平均を意味し、1つの故障は、人間が問題を修正できるまでシステムを停止させるエラーのことである。
【0186】
それに替えて、6軸アームなど、よりフレキシブルなロボットアームを使用することも可能である。マシンビジョンを使用してシステムを強化し、信頼性を高めることができる。システム99は、水平方向の1レベルに配置できる。ロボット装置160はレール上を走ることができ、レールはドア402又はインターフェース130に割り出しされる。
【0187】
図29A及び
図29Bを参照すると、ロボット装置160は、ここでもロボット装置160を取り囲むモジュールを具備して中心400に配置することができる。しかしながら、ロボット装置160は、やはりセンター400に配置されたターンテーブル404をポップするアーム406とすることができる。アーム406は、モジュール100のプレートスロット110とターンテーブル404との間でプレート116を水平に移送することができる。アーム406はさらに、他のモジュール100にアクセスするために、中心軸を中心に回転することができる。アームは中心軸に沿って鉛直方向に移動する。ターンテーブル404も上下に移動し、回転する。ロボット装置160を支持し、位置合わせを維持したり、ドア又はインターフェースに接続又は割り出しをしたりするために、鉛直レール408があってもよい。
【0188】
図29A及び
図29Bの実施形態において、ターンテーブル404は、一時的な保管又はマガジンとして機能することができ、プレート116は、そこからプロセスモジュール124内のカルーセル108に移すことができる。
【0189】
ここで、
図31A及び
図31Bを参照すると、ターンテーブル404は、プロセスモジュール124に渡されてもよい。さらに2つのターンテーブル404があってもよく、1つは作業が行われているプロセスモジュール124にあり、2つ目は1つ目の作業中にロードすることができる。その後、ターンテーブル404を交換することができる。
【0190】
図32は、鉛直ラックであるマガジン410を備えたロボット装置160を示している。ロボット装置160は、次のワークフローのためにプレート116及び他のラボウェア300をマガジン410に集め、次にそれらをマガジン410からプロセスモジュール124に移す。これにより、ロボット装置160が様々なモジュール100とプロセスモジュール124との間を一度に1つのアイテムと共に移動する際の遅延が回避される。ロボット装置160は、2つのマガジン410をさらに有することができる。それは、プロセスモジュール124にロードされる次のアイテムを、1つのマガジン410にロードすることができる。次に、プロセスモジュール124から第2マガジン410にアンロードし、プロセスモジュール124に第1マガジン410から再ロードし、次に第2マガジン410から関連モジュール100にアンロードする。
【0191】
図33を参照すると、モジュール100は、2つの向かい合う列に配置することができる。それらは、レール412又はガントリーなどの同様の固定トラック上でそれらの間を移動するロボット装置160によってアクセスすることができる。ロボット装置160は、例えば、モジュール100上のドア402又はインターフェース130に機械的又は光学的に割り出しすることができ、ロボット装置160は、固定されたレール上で、又はドア402若しくはインターフェース130に移動することができる。
【0192】
図33のロボット装置160では、重いロボット装置160や、移動距離が長くしたがって長いレール412や、移動速度が速いことの1又は複数を回避することが望ましい場合がある。なぜなら、許容範囲から逸脱することに対してシステムが脆弱になる可能性があるからである。ロボットは本質的には非常に正確なものであるが、ロボットをモジュールに固定したり位置合わせをしたりするための機構や固定具が撓んだり、歪んだり、ずれたりして、位置がずれてしまうことがある。
【0193】
モジュール100は、カルーセル108の使用に限定される必要はなく、替わりに、長方形に配置されたラック210を備えたモジュール100を使用し、ラック210へのアクセスは、バイアルレール又は回転ラックシステムとすることができる。長方形に配置されたラックは、カルーセル108よりもスペース効率が良く、密度も高い。
【0194】
したがって、既述のシステム99は、モジュール100の外側に配置されるロボット装置160を使用することができる。これは、先に述べた簡略化されたハンドリング(制限された軸に沿った動き、水平方向の移動、固定されたインターフェース、単一のプラスチック器具ハンドリングフォーマットなど)によって実用化されている。ロボット装置160は、モジュール100上のインターフェース130にインターフェースすることができ、例えば、グラバー162は、ドア402に割り出しするか、又はドア402に位置合わせすることができる。ロボット装置160は、レール412上を走行することができ、レール412はインターフェース130に固定されている。モジュール100は、固定されたインターフェース形式を有することができる。
【0195】
図34を参照すると、図を左から右に見たときの動作シーケンスが示されている。プレートスロット110を具備するラック210を有するモジュール100が設けられている。モジュール100上に鉛直方向に積み重ねられているのは、プロセスモジュール124である。ロボット装置160は、
図9A及び
図9Bを参照して前述したように、レール172上でモジュール100間を移動する。しかしながら、プロセスモジュール124のスペースは、液体ハンドラー、デキャッピングマシンなどによって占有されているため、プロセスモジュール124はラック210を有しない。したがって、プロセスモジュール124は、作業デッキ330を具備するカルーセル108を有する。ラボウェア300及びプレート116を作業デッキ330に送達するために、ロボット装置160が部分的に通過できるように、既に説明したセンターウェル112と同様に作業デッキ330の中央部分は占有されていない。連続した図に示されているように、ロボットハンドラー160は、プロセスモジュール124を部分的に通過し、プレート116を作業デッキ330上のターゲットプレートスロット110に渡すことができる。したがって、プレート116とラボウェア300の鉛直方向の送達が可能となる。これにより、プレート116の移動のためにプロセスモジュール124に必要なスペースを減らすことができる。また、鉛直移動に必要なレール172がない場合もあるためである。
【0196】
上記の例では、回転機能(プレートホテル付きカルーセルなど)として実装されたモジュールを示しているが、当業者であれば、説明した機能や原理が他の種類のモジュールや移送にも適用できることを理解するであろう。
【0197】
図35は、
図1に開示されているものと同様の代替装置を示している。
【0198】
作業デッキプレートスロット110は、作業デッキ330の上側と下側に開口する窓111を有する。窓111は、例えば細胞培養プレート116などのプレートを作業デッキプレートスロット110から持ち上げるためのグリッパー(図示せず)のアームのために使用される。グリッパーは、プレートの下側の窪みに嵌合する突起を備えたトレイを有することができる。
【0199】
図35は、ハウジング102又は回転可能な作業デッキ330に対して異なる位置に配置された第1の移送インターフェース133及び第2の移送インターフェース134をさらに示す。第1の移送インターフェース133は、第1の保管モジュール(
図35には示されていないが、上で説明されている)と連係することができる。第2の移送インターフェース134は、第2の保管モジュール(
図35には示されていないが、上に開示されている)と連係することができる。保管モジュールの一方は、上に開示したように細胞培養プレート116を保管することができる。他方の保管モジュールは、上記のラボウェア又は上記の細胞培養プレートに適用するための液体培地を保管することができる。
【0200】
図36、
図37は、長方形の底部302を有するシングルウェルプレート301を示す。シングルウェルプレート301は、上記のマイクロプレートフットプリント(幅85.5±1mm、長さ127.8±1mm)を有する。
【0201】
シングルウェルプレート301は、上縁304を具備する4つの壁303を有する。箔(プラスチック箔)が縁304にシールされ、壁303によって囲まれたウェル307の上部開口を覆う。箔305と縁304との接続は、ヒートシール接続である。プレート301は、液体培地を供給者から生物学ラボラトリーシステムに輸送するために使用することができる。プレート301の密閉された開口部は、蓋309で覆うことができる。
【0202】
箔305は、液体ハンドラー340のピペットの先端によって破られ、ウェル307内に収容された液体を吸引することができる。
【0203】
図38、
図39は、1つのモジュール100と別のモジュール120との間で移動するプレートの通路を形成するシール要素311を示している。ここで、一方のモジュール100は保管モジュールであり、他方のモジュール120はプロセスモジュール又は保管モジュール100でもあり得る。フレーム315と、フレーム315の間に位置するシーリング要素311とによって形成される開口部150の高さは、示されているものよりも大きくすることができる。インターフェース134の高さは、インターフェース134を通してマイクロプレートを移動させるのにちょうど十分である。インターフェース134は、モジュール100に保管されているボトル又は最も高い器具の高さよりも大きい均一な高さを有することができる。
【0204】
これらすべての機能が組み合わされることで、ラボウェアのハンドリングがよりシンプルで信頼性の高いものになり、ソフトウェアの作成やデバッグがより速く簡単になり、システムのソフトウェアが安定する。これは、不安定なソフトウェアが、妨げの大きな要因の一つとなっている現状とは対照的である。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学ラボラトリーシステム
による細胞培養プロセス用のラボウェアセットの
システムであって、前記ラボウェアセットが、
規則的な配置で1又は複数の処理ウェルを含むプレート(116)と、
複数のピペットチップを規則的な配置で保持するのに適した、又は保持するプレート(324)と、
規則的な配置で複数のバイアル(321)を個別に保持することができる、又は個別に保持することができる区画を有するプレート(320)と、
規則的な配置の2つ以上の実質的に長方形のウェルを含むプレート(116)と、
溶液又は細胞培養培地を大量に供給するための蓋付きボトル(326、327)と、
試薬ボトルを保持するための1又は複数の区画を有し、2つ又はそれ以上の区画が規則的に配置されているプレート(322)と、
シングルウェルを有するプレート(301)と、
前記溶液又は細胞培養培地を保持する1又は複数の貯蔵ウェルを有し、箔によりシールされかつ/又は蓋により覆われたプレート(116)と、から選択された2つ、3つ、又はそれ以上の異なるコンポーネントを含み、
前記2つ、3つ、又はそれ以上の異なるコンポーネントが
、幅85.5+/-1mm、長さ127.8+/-lmmのマイクロプレートの均一なフットプリントを有
し、かつ
液体を搭載するプレート又はボトル、細胞培養物を搭載するプレート、及びピペットチップを搭載するプレートのコンポーネントのうち少なくとも1つがプロセスモジュール(120)で同時に使用される、システム。
【請求項2】
前記セットのプレートが、液体ハンドリングロボット(340)を有する
前記プロセスモジュールの作業デッキ(330)の作業デッキプレートスロット(110)内に配置される、請求項1に記載の
システム。
【請求項3】
前記プレートから選択された異なるコンポーネントの数が4個、5個、6個、7個、又は8個であり、
前記選択されたコンポーネントが、少なくとも液体を搭載するプレート又はボトル、細胞培養物を搭載するプレート、及びピペットチップを搭載するプレートを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、モジュール(100)を有し、前記モジュール(100)が、前記プレート(116、301、320、324)を保管するためのプレートスロット(110)を具備するラック(210)を有する、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記ラック(210)がカルーセル(108)上に載置され、前記カルーセル(108)の中心が開いておりかつセンターウェル(112)を形成し、前記プレートスロット(110)は、それらの縁がすべて前記センターウェル(112)に向くように配置されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
保持するプレートに到達できるグラバー(162)を具備するロボットアーム(164)を有するロボット装置(160)が、前記センターウェル(112)に配置されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記カルーセル(108)が回転可能であり、かつ前記ロボット装置(160)が移送インターフェース(134)の方に向きかつ水平移動するように拘束され、それによりモジュール間のプレート(116、301、320、324)の移送が可能となる、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記セットの少なくとも1つのプレート(116、301、320、322、324) の複数の複製が、共通の保管モジュール(100)内に保管され、前記保管モジュール(100)は、移送インターフェース(130、134)を有し、前記保管モジュール(100)と
前記プロセスモジュール(120)との間でプレート(116、301、320、322、324)を移送するために前記プロセスモジュール(120)の移送インターフェースと連係する、
請求項1~7のいずれかに記載のシステム。
【請求項9】
プレートが、細胞接着のために処理された表面を具備する細胞培養プレート(116)であり、前記プレートはシングルウェルプレート、又は少なくとも60cm
2の成長領域を有する
、請求項1~8のいずれかに記載のシステム。
【請求項10】
1つのプレート(301)が、液体培地のリザーバーとして使用される、
請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
前記コンポーネントの1又は複数又はすべてが、そこに保管されている前記コンポーネント又は試薬を識別するための手段、特にRFIDタグ又はバーコードを含む、
請求項1~10のいずれかに記載のシステム。
【請求項12】
前記プレートが、側壁、端面、又は底面に1又は複数の窪み(374)又は突起(372)をさらに有し、その場合、1又は複数の窪み(374)及び/又は突起(372)が、鏡像又は点対称の配置で設けられる、
請求項1~11のいずれかに記載のシステム。
【請求項13】
前記ロボット装置が、
互いに向かって水平方向に移動可能な少なくとも2つの平行なフィンガー(168)、又はプレート若しくはグリッパープレート(260)などの水平ハンドリング手段を具備するエンドエフェクタ(162、376、406)を有し、
前記フィンガー(168)又はグリッパープレート(260)が、前記プレートの窪み又は突起と適合する1又は複数の突起(372)又は窪み(374)を有し、
前記窪み(374)及び突起(372)が、円錐形又は角錐形である、
請求項5~12のいずれかに記載のシステム。
【請求項14】
前記ハンドリング手段が、前記ラボウェアの長さの少なくとも半分に延びるフィンガー(168)又はプレート(260)を有し、かつ/又は、ハンドリング位置にあるときにラボウェアに向かって上方に延びる位置決め手段をさらに有し、
前記位置決め手段(262)は、トレイにより形成されているグリッパープレート(260)上でラボウェアを配向させるような形状となっている、
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
特にRFIDリーダー又は近接センサーの形態の検出手段をさらに有する、
請求項13又は14に記載のシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
細胞生物学を自動化する既存のシステムがある。これらのシステムは、一般的には一緒に稼動させるように設計されていない、様々なベンダーの提供する様々な形式による様々な実験設備部品(液体ハンドラー、自動インキュベーター、冷蔵庫など)を組み合わせて構成されている。これらは、多くの場合、テーブルやその他のマシンのベッドに装置をボルトで固定して組み立てられる。その後、3Dロボットアームと一体化される。
特許文献13は、プレートスロットが放射状に配置されたカルーセルを含む細胞培養用の保管装置を開示しており、カルーセルの各レベルはプレートスロットにアクセスするためのドアを有する。
特許文献14には、環状の棚板からなる保管室を規定するハウジングを有する保管ユニットが開示されている。
モジュール式化学分析装置は、特許文献15に開示されている。
ターンテーブルを備えたプロセスモジュールと複数の保管モジュールで構成される自動生化学分析装置が、特許文献16に開示されている。
ラバーを備えた分析装置は、特許文献17に開示されている。
特許文献18は、自動診断分析装置を開示している。
特許文献19は、2つの保管モジュールを備えた極低温保管システムを開示している。
特許文献20は、モジュール式のサンプル保管庫を開示している。
特許文献21は、マイクロウェルプレートをスタックから移動させるための自動マイクロウェルプレートハンドリング装置を開示している。
特許文献22は、ロボットが配置されるセンターウェルを有する円筒形ラックを備えた自動保管装置を開示している。
特許文献23は、他のラボウェア用のボトルを運ぶための担体を開示している。
特許文献24は、生物学的細胞培養のための液体ハンドリングシステムを開示している。
特許文献25は、突起物を有するグリッパーアームを備えたロボットハンドリング装置を開示している。
特許文献26は、ロボットハンドリング装置を有するインキュベーターを開示している。
特許文献27は、ボトルを開けるためのロボットハンドリング装置を開示している。
特許文献28は、ピペット装置を用いて細胞を培養する装置を開示している。
特許文献29は、ロボットシステムを開示している。
特許文献30は、ボトルのデキャップ装置を開示している。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
【特許文献1】中国特許第104777321号明細書
【特許文献2】米国特許第6,360,792号明細書
【特許文献3】米国特許第7,670,553号明細書
【特許文献4】特開平1-1189561号公報
【特許文献5】米国特許出願公開第2016/0145555号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2018/0044624号明細書
【特許文献7】米国特許第7,883,887号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第 2016/0201022 号明細書
【特許文献9】米国特許第8,652,829号明細書
【特許文献10】米国特許第9,388,374号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2017/0145366号明細書
【特許文献12】米国特許第9,057,715号明細書
【特許文献13】国際公開第03/008103号明細書
【特許文献14】国際公開第 93/03891号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第2 068 155号明細書
【特許文献16】米国特許第6,146,592号明細書
【特許文献17】欧州特許出願公開第 3 229 028号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2014/0273242号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2018/0202908号明細書
【特許文献20】国際公開第2011/047710号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2007/0059205 号明細書
【特許文献22】欧州特許第1 573 340 号明細書
【特許文献23】欧州特許出願公開第1 900 806号明細書
【特許文献24】欧州特許出願公開第2 733 196号明細書
【特許文献25】特開2009-291869号公報
【特許文献26】特開2004-166558 号公報
【特許文献27】米国特許出願公開第2017/036833 号明細書
【特許文献28】欧州特許出願公開第 3 078 736 号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2005/0058574 号明細書
【特許文献30】国際公開第2016/130964 号明細書
【国際調査報告】