(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ジェット定量バルブ
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20220224BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534303
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(85)【翻訳文提出日】2021-08-06
(86)【国際出願番号】 EP2019086921
(87)【国際公開番号】W WO2020136167
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】102018133606.3
(32)【優先日】2018-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521258360
【氏名又は名称】パーフェクドス ゲゼルシャフト ビュルガリッヒェン レヒツ
(74)【代理人】
【識別番号】100064012
【氏名又は名称】浜田 治雄
(72)【発明者】
【氏名】フリードル,ペーター
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA36
4F042AB00
4F042BA12
4F042CB08
(57)【要約】
この発明は、定量バルブ(1)のノズル排出路(9)から液体を射出するための定量バルブ(1)に関する。前記定量バルブ(1)が基礎部材(2)とその基礎部材(2)内で可動式であるバルブ付勢要素とそのバルブ付勢要素と結合されたまたはバルブ付勢要素によって付勢可能なバルブ閉鎖要素とを備え、前記バルブ閉鎖要素は配量チャンバ(6)内においてノズルシール座(8)から持ち上げられた開放位置とノズルシール座(8)に接合した閉鎖位置の間で動作可能である。さらに定量バルブ(1)を気圧式に制御するための切換バルブ(10)を備え、それによって定量バルブ(1)の作用空間(11)を選択的に気抜きするかまたは圧媒を充填することができる。前記切換バルブ(10)を2個の切換状態と少なくとも5個の接続端(A、B、C、D、E;A’、B’、C’、D’、E’)を備える方向バルブとして構成するとともに、前記切換バルブ(10)の第1の切換状態において定量バルブ(1)の作用空間(11)が切換バルブ(10)の少なくとも2個の気抜きされた接続端あるいは少なくとも2個の圧媒が付加された接続端のいずれかと同時に結合され、一方切換バルブ(10)の第2の切換状態においては定量バルブ(1)の作用空間(11)が切換バルブ(10)の1個の圧媒が付加された接続端あるいは1個の気抜きされた接続端のいずれかと結合されるような方式で接続する。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量バルブ(1)のノズル排出路(9)から液体を射出するため、特に所与の表面に液体を計量して非接触式に塗付するために、
前記定量バルブ(1)が基礎部材(2)とその基礎部材(2)内で可動式であるバルブ付勢要素とそのバルブ付勢要素と結合されたまたはバルブ付勢要素によって付勢可能なバルブ閉鎖要素とを備え、
前記バルブ閉鎖要素は配量チャンバ(6)内においてノズルシール座(8)から持ち上げられた開放位置とノズルシール座(8)に接合した閉鎖位置の間で動作可能でそれにより開放位置から閉鎖位置への移行に際して定量バルブ(1)のノズル排出路(9)から液体を排出するように作用し、
さらに定量バルブ(1)を気圧式に制御するための切換バルブ(10)を備えてなり、それによって定量バルブ(1)の作用空間(11)を選択的に気抜きするかまたは圧媒を充填することができる定量バルブ(1)であり、
切換バルブ(10)を2個の切換状態と少なくとも5個の接続端(A、B、C、D、E;A’、B’、C’、D’、E’)を備える方向バルブとして構成するとともに、前記切換バルブ(10)の第1の切換状態において定量バルブ(1)の作用空間(11)が切換バルブ(10)の少なくとも2個の気抜きされた接続端あるいは少なくとも2個の圧媒が付加された接続端のいずれかと同時に結合され、一方切換バルブ(10)の第2の切換状態においては定量バルブ(1)の作用空間(11)が切換バルブ(10)の1個の圧媒が付加された接続端あるいは1個の気抜きされた接続端のいずれかと結合されるような方式で接続することを特徴とする定量バルブ。
【請求項2】
切換バルブ(10)が5/2方向バルブであることを特徴とする請求項1記載の定量バルブ(1)。
【請求項3】
バルブ付勢要素が本体(2)内で直線的に摺動可能なピストン(3)であるとともにバルブ閉鎖要素はバルブプランジャ(4)であることを特徴とする請求項1または2記載の定量バルブ(1)。
【請求項4】
配量チャンバ(6)が液体供給路(7)を介して液体貯蔵器と結合されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の定量バルブ(1)。
【請求項5】
バルブ閉鎖要素がそのバルブ閉鎖要素あるいはバルブ付勢要素に係合するバネ(5)を使用して開放位置に予荷重され、また切換バルブ(10)の合計5個の接続端(A、B、C、D、E)のうち前記切換バルブ(10)の第1および第2の接続端(B、D)が相互に結合されて共同で1個の圧媒供給源(12)に接続され、
前記切換バルブ(10)の第3と第4の接続端(A、C)は定量バルブ(1)の作用空間(11)に結合され、
さらに前記切換バルブ(10)の第5の接続端(E)が気抜き部(13)に接続される、
ことを特徴とする請求項2記載の定量バルブ(1)。
【請求項6】
バルブ閉鎖要素がそのバルブ閉鎖要素あるいはバルブ付勢要素に係合するバネ(5)を使用して閉鎖位置に予荷重され、また切換バルブ(10)の合計5個の接続端(A’、B’、C’、D’、E’)のうち前記切換バルブ(10)の第1および第2の接続端(A’、D’)が相互に結合されて共同で1個の気抜き部(13)に接続され、
前記切換バルブ(10)の第3と第4の接続端(B’、E’)は定量バルブ(1)の作用空間(11)に結合され、
さらに前記切換バルブの第5の接続端(C’)が圧媒供給源(12)に接続される、
ことを特徴とする請求項2記載の定量バルブ(1)。
【請求項7】
作用空間(11)の空気注入および/または気抜きのために作用する接続路(14、15、16)の断面積を変更、特に縮小することができるようにする少なくとも1個の調節要素(26、27)を設けることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の定量バルブ(1)。
【請求項8】
切換バルブ(10)と定量バルブ(1)の間にアダプタ部材(25)を設け、前記切換バルブ(10)の2個の接続端を前記定量バルブ(1)の作用空間(11)と流体通流式に結合するよう作用する接続路(14、15、16)を前記アダプタ部材内に形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の定量バルブ(1)。
【請求項9】
アダプタ部材(25)内あるいはアダプタ部材(25)上に少なくとも1個の調節要素(26、27)を配置することを特徴とする請求項7および8記載の定量バルブ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、定量バルブのノズル排出路から液体を射出するため、特に所与の表面に液体を計量して非接触式に塗付するための定量バルブに係り、その際前記定量バルブが基礎部材とその基礎部材内で可動式であるバルブ付勢要素とそのバルブ付勢要素と結合されたまたはバルブ付勢要素によって付勢可能なバルブ閉鎖要素とを備えてなる。その際バルブ閉鎖要素は、配量チャンバ内においてノズルシール座から持ち上げられた開放位置とノズルシール座に接合した閉鎖位置との間で動作可能であり、それにより開放位置から閉鎖位置への移行に際して定量バルブのノズル排出路から液体を排出するように作用する。さらに定量バルブを気圧式に制御するための切換バルブを備え、それによって定量バルブの作用空間を選択的に気抜きするかまたは圧媒を充填することができる。
【背景技術】
【0002】
この種の定量バルブはしばしば「ジェット定量バルブ」あるいは「マイクロ定量バルブ」と呼称され、例えば特許文献1等により従来の技術において長く知られており、所与の面上に最小限の分量(例えばナノリットルあるいはマイクロリットルの領域)の液体を精密に塗付するように機能し、特に工業生産プロセスにおいて広範な適法可能性を有する。
【0003】
その種の定量バルブを使用して塗付される液体は基本的に任意の液体とすることができ、特に高粘度の液体(例えば接着剤、潤滑剤等)とすることもできる。
【0004】
定量バルブの配量チャンバが射出する液体の貯蔵器を形成するか、または独立した一般的に圧力付加する液体貯蔵器と流体通流式に結合されるとともにノズル排出路を備え、そのノズル排出路は閉鎖位置状態において存在するバルブ閉鎖要素によって閉鎖され、バルブ閉鎖要素がノズルシール座から持ち上げられた際に開放される。本質的な配量工程は、先に閉鎖位置状態から開放位置状態に持ち上げられたバルブ閉鎖要素がそのバルブ閉鎖要素とノズル排出路との間に存在する液体と共にノズルシール座の方向に強く加速されそれによって液体の滴が開放されたノズル排出路の末端に向かって押し出されることによって実行される。
【0005】
ここで定量バルブの稼働に際してバルブ閉鎖要素がまず閉鎖位置状態から開放位置状態に移行、すなわちノズルシール座から所与の適宜なストローク分持ち上げられると、(持ち上げ動作の速度と液体の粘度に応じて)ノズル排出路から配量チャンバ内への一定の液体逆流が発生するが、この逆吸引効果はノズルシール座からバルブプランジャへの距離が大きくなる程低下する。それと同時あるいはその後に、液体貯蔵器あるいはそれ以外の配量チャンバからバルブプランジャの下方の空間ならびにノズル排出路内に液体が追加流入することができ、そのことは一般的に液体貯蔵器内に存在する液体に適宜な圧力を付加することによって促進される。
【0006】
水あるいはアルコール等の低粘度の媒体は、バルブプランジャを持ち上げた際に比較的高速でノズル排出路内に進入し、短い遅延時間で既にノズル排出路の末端から流出することができる。エポキシあるいはシリコンベースの接着剤等の高粘度の媒体は、比較的に遅速にノズル排出路を填塞させる。
【0007】
ノズル排出路の開放端から既に流出する液体がノズル排出口の縁部上で液体の射出が偏向されるような方式で排出領域の表面張力状況を変化させ、それが配量および射出工程の精度に悪影響を与えるため、定量バルブの稼働に際して過度に長いバルブ開放を可能な限り回避する必要がある。
【0008】
定量バルブの閉鎖に際してはバルブ閉鎖要素がノズルシール座の方向に推進され、その際配量チャンバ内に存在する液体は基本的に配量チャンバ内に押し込められる(あるいは独立した液体貯蔵器の方向に流れる)こととノズル排出路の方向に流れることのいずれも可能である。しかしながら、閉鎖工程において常に狭くなるバルブ閉鎖要素とノズルシール座の間の距離が液体貯蔵器方向への媒体の逆流を徐々に妨害し、従って閉鎖工程の終局においてノズル排出路を通じた流路が液体に対して最小の流体抵抗をもたらし、その結果加速された媒体が最終的にノズル排出路内に推進される。
【0009】
閉鎖工程の終局、すなわちバルブ閉鎖要素がノズルシール座に接合して閉鎖位置状態に到達した際に、先に推進された液注がさらに所与の動作方向に継続される。バルブ閉鎖要素が閉鎖位置状態にある際に液体貯蔵器あるいはノズルシール座の上方にある配量チャンバの部分からノズル排出路内に急に全く液体が追加流入できなくなるため、ノズル排出路を介して定量バルブから流出する液体流が側方に収縮して最終的に破断され、それが液滴破断と呼ばれる。その後液滴は、液体を塗付すべき表面の所要の位置に到達するまで動作方向に向かってさらに飛翔する。
【0010】
その際注意すべきことは、配量すべき液体の表面張力が所定の工程を妨害する可能性がある点であり、そのため例えば射出速度が不十分である場合液滴が破断されず、液体がノズル排出路内に反射されてそこで配量されなかった残渣として(特にノズル排出路出口領域に)滞留する可能性がある。それによってさらに後続する液滴も妨害される。
【0011】
この問題とさらに配量する液体の粘度が増すに従ってノズル排出路を介する流体抵抗も増加するという事実のため、一般的に可能な限り迅速かつ強力なバルブ閉鎖要素の閉鎖動作が要求される。しばしば要望されるナノリットル領域の極少量の配量のためにノズル排出路の寸法を極めて小さく設定することが考えられ、それによって可能な限り高速な閉鎖動作の要求が益々高まる。
【0012】
定量バルブの稼働に際して必要である閉鎖位置と開放位置の間のバルブ閉鎖要素の動作は本願発明の枠内において切換バルブの補助を利用した気圧式に制御され、それによって定量バルブの本体内に適宜に配置された作用空間を選択的に気抜きするかまたは圧媒を充填することができる。その際定量バルブの(バルブ付勢要素によって付勢されるかあるいは付勢要素と一体型に形成された)バルブ閉鎖要素が一般的にバネによって開放位置あるいは閉鎖位置に予荷重され、それによってバルブ閉鎖要素は(バネ荷重方向と、作用空間が空気注入された際にバルブ付勢要素に作用する応力の方向に応じて)作用空間の気抜きあるいは空気注入によって閉鎖位置と開放位置の間で移動させることができる。
【0013】
この種の本願発明に係る定量バルブのバルブ閉鎖要素は通常バルブ付勢要素と固定的に結合されるかまたは一体的に形成されるが、独立したバルブ付勢要素によってバルブ閉鎖要素を付勢する変更型のジェット定量バルブも存在する。その場合バルブ付勢要素とバルブ閉鎖要素は個別の部品として構成され、機能位置状態において相互に離間する。バルブ付勢要素を機能位置から閉鎖位置に推進するために、まずバルブ付勢要素のみをバルブ閉鎖要素の方向に推進してバルブ閉鎖要素と接触させ、それによってバルブ閉鎖要素を接触によって発生した衝撃伝導によって弾性的に閉鎖位置方向に推進する(特許文献2参照)。
【0014】
従来の技術においては気圧式に制御されるジェット定量バルブ用の切換バルブとして必要とされる機能性を考慮しながら電磁バルブの形式の3/2方向バルブが主に使用されており、それは3個の接続端(圧媒接続端、気抜き接続端、および定量バルブの作用空間への接続を形成するための作用接続端)と(作用空間と接続された作用接続端を選択的に空気注入および気抜きするための)2個の異なった切換位置を備えることを特徴とする。
【0015】
電気気圧式に駆動されるバルブにおいて可能な最大の閉鎖速度は切換あるいは電磁バルブの狭い断面積によって制限される。極めて大きな断面積を有する電磁バルブは原理的な条件から大きな切換時間を有し、そのため最小限の配量には適さず、特に高粘度の液体を配量して射出する必要がある場合には適さない。そのため益々高まる産業的な要件から、電気気圧式に駆動されるジェット定量バルブは頻繁に限界に達する。
【0016】
高価な圧電動作式の定量バルブは技術的な要件を満たすが、その種の切換バルブの原理的に制限された通常50ないし200μmである小さな動作ストロークのためシステムの製造および稼働に関する全てのプロセスが複雑化し、従って高い総プロセスコストにつながる。
【0017】
さらに、特許文献3に係る先行技術において、同種の定量バルブを気圧式に制御するために並列接続された複数の(いずれも電磁バルブとして構成された)切換バルブを使用し、複数のバルブを並列接続することによって切換工程のために利用可能な圧媒の流量を増加させるか、および/または個々の電磁バルブの可変タイミングによって改善されたバルブ動作性の調節可能性を達成し得るようにすることが提案されている。しかしながら、この解決方式は比較的大きな構造空間を有することが難点である。加えて複数の切換バルブを使用することは、特に複数の個別バルブを同期的に制御する必要があるため装置的に高コストになることが知られている。
【0018】
さらに、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、および特許文献9等の文献から既に、同種の定量バルブにおいて切換バルブとして5/2方向バルブを使用して多様な切換方式で稼働させ得ることも知られている。これは、具体的な所与の5/2方向バルブの切換に関して本願発明とは大幅に異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】欧州特許第1029626号(B1)明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2143503号(A1)明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第2813293号(A1)明細書
【特許文献4】ドイツ国特許出願公開第102004031854号(A1)明細書
【特許文献5】ドイツ国特許第102015000630号(B3)明細書
【特許文献6】国際公開第2013/066687号(A1)パンフレット
【特許文献7】国際公開第2013/157940号(A1)パンフレット
【特許文献8】国際公開第2015/036096号(A1)パンフレット
【特許文献9】ドイツ民主共和国特許第252869号(A1)明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
上述の観点から本発明の目的は、可能な限り単純に構成されていてかつ極めて小さな構造寸法でありながら特に極少量の高粘度の液体の非接触のジェット配量に良好に適した切換特性を有する、冒頭に述べた種類の定量バルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記の課題は請求項1に係る定量バルブによって解決され、前記定量バルブは冒頭に述べた特徴に加えて、切換バルブを2個の切換状態と少なくとも5個の接続端を備える方向バルブとして構成するとともに、前記切換バルブの第1の切換状態において定量バルブの作用空間が切換バルブの少なくとも2個の気抜きされた接続端あるいは少なくとも2個の圧媒が付加された接続端のいずれかと同時に結合され、一方切換バルブの第2の切換状態においては定量バルブの作用空間が切換バルブの1個の圧媒が付加された接続端あるいは1個の気抜きされた接続端のいずれかと結合されるような方式で接続する。
【0022】
従って本発明に係る定量バルブにおいて、極めて好適な方式において定量バルブを閉鎖するために使用される切換バルブの第1の切換状態において定量バルブの作用空間が切換バルブの少なくとも2個の空気注入された接続端あるいは少なくとも2個の気抜きされた接続端と同時に流体通流式に結合され、それによって極めて高速かつ強力な閉鎖工程を実現することができ、そのことが特に高粘度の液体のジェット配量に際して有利になる。
【0023】
さらに本発明によれば、通常定量バルブの開放のために使用される切換バルブの第2の切換状態において作用空間が切換バルブの(丁度)1個の空気注入されたあるいは気抜きされた接続端と結合され、それによって(閉鎖工程と比べて)緩やかに実行される開放工程が実現可能になる。このことも、比較的緩やかな開放工程のため開放工程中におけるノズル排出路を介しての液体中への気泡の吸引を効果的に防止し得ることから、特に接着剤等の高粘度の液体の射出を配量するために有効である。
【0024】
従って本発明の枠内において、高粘度の液体を所与の表面上に配量して塗付するために極めて良好に適した切換特性を簡便な方式で達成することができるが、本発明に係るバルブ構成は添付図面に示された実施例を参照しながら詳細に後述するようにさらに別の利点も有する。
【0025】
本発明において使用される切換バルブは2個の切換状態のみを提供すれば良いので、唯1個の切換バルブ付勢要素のみで実現することができ、そのため装置的および接続技術的なコストが低く抑えられる。
【0026】
本発明の枠内において使用される切換バルブは、丁度5個の接続端と2個の切換状態を有する5/2方向バルブとすることが極めて好適である。加えてその種の5/2方向バルブは、極めて小型の構造形態と適宜なバルブ動作性を有するものが市販で入手可能である。
【0027】
本発明の枠内においてさらに、定量バルブのバルブ付勢要素が本体内で直線的に摺動可能なピストンであるとともにバルブ閉鎖要素はバルブプランジャであり、それによって機械的に単純な定量バルブの構成形態が実現可能になる。
【0028】
さらに、本発明に係る定量バルブの配量チャンバが液体供給路を介して(好適には圧力付勢された)液体貯蔵器と結合されることが好適である。
【0029】
さらに切換バルブとして5/2方向バルブを使用する本発明に係るバルブの第1の好適な変更構成の枠内において、バルブ閉鎖要素(あるいはバルブプランジャ)がそのバルブ閉鎖要素(あるいはバルブプランジャ)あるいはバルブ付勢要素(あるいはピストン)に係合するバネを使用して開放位置に予荷重され、また切換バルブの合計5個の接続端のうち第1および第2の接続端が相互に結合されて共同で1個の圧媒供給源に接続され、切換バルブの第3と第4の接続端は定量バルブの作用空間に結合され、さらに切換バルブの第5の接続端が気抜き部に接続されるように構成する。
【0030】
切換バルブとして5/2方向バルブを使用する本発明に係るバルブのさらに別の第2の好適な変更構成の枠内において、バルブ閉鎖要素(あるいはバルブプランジャ)がそのバルブ閉鎖要素(あるいはバルブプランジャ)あるいはバルブ付勢要素(あるいはピストン)に係合するバネを使用して閉鎖位置に予荷重され、また切換バルブの合計5個の接続端のうち第1および第2の接続端が相互に結合されて共同で1個の気抜き部に接続され、切換バルブの第3と第4の接続端は定量バルブの作用空間に結合され、さらに切換バルブの第5の接続端が圧媒供給源に接続されるよう構成する。
【0031】
さらに本発明の枠内において、作用空間の空気注入および/または気抜きのために作用する接続路の断面積を変更、特に縮小することができる少なくとも1個の調節要素を備えれば極めて好適であることが明らかである。それによって本発明に係るバルブの切換特性を極めて簡便な方式で多様な(配量すべき)液体の材料特性に適応させることができるが、そのことについては図面の詳細な説明を参照しながら詳細に後述される。
【0032】
さらに、切換バルブと定量バルブの間にアダプタ部材を設け、そのアダプタ部材内に切換バルブの2個の接続端を定量バルブの作用空間と流体通流式に結合するよう作用する接続路を形成することが好適である。
【0033】
さらに補完的に、アダプタ部材内あるいはアダプタ部材上(外)に少なくとも1個の調節要素を配置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1a】切換バルブが第1の切換状態にある、本発明に係る定量バルブの第1の実施例を示した概略説明図である。
【
図1b】切換バルブが第2の切換状態にある、
図1aの定量バルブを示した説明図である。
【
図2】本発明の第1の実施例の詳細を示した別の(部分)拡大図である。
【
図3a】切換バルブが第1の切換状態にある、本発明に係る定量バルブの第2の実施例を示した概略説明図である。
【
図3b】切換バルブが第2の切換状態にある、
図3aの定量バルブを示した説明図である。
【
図4】本発明の第2の実施例の詳細を示した別の(部分)拡大図である。
【
図5】本発明の第3の実施例を示した部分説明図である。
【
図6】本発明に係る定量バルブを従来の技術によって知られている解決方式と比較した切換特性の定性分析を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、複数の実施例について添付図面を参照しながら詳細に記述する。
図1aおよび
図1bに(部分概略的に)示された本発明に係る定量バルブ1の第1の実施例は、本体2とその本体2内で直線的に摺動可能なピストン3(=バルブ付勢要素)とピストン3の下端部によって形成されたジェットニードルの方式のバルブプランジャ4(=バルブ閉鎖要素)を含み、その際ピストン3(それと共にバルブプランジャ4)が本体2上に支承されたバネ5によって、本実施例の場合、
図1aに示された定量バルブ1が開放された位置に予荷重される。
【0036】
定量バルブ1はさらに配量チャンバ6を備え、その配量チャンバが側方に接続された液体供給路7を介して図示されていない液体貯蔵器と結合され、その液体貯蔵器内には定量バルブ1を使用して所与の表面に塗付すべき液体が圧力を付加して貯蔵されるが、その液体は特に接着剤等の高粘度の液体とすることができる。
【0037】
その際バルブプランジャ4は配量チャンバ6内においてノズルシール座8から持ち上げられた開放位置(
図1a参照)とノズルシール座8に接合する閉鎖位置(
図1b参照)との間で移動可能であり、それによって開放位置から閉鎖位置への移行に際して定量バルブのノズル排出路からの液体の射出を実行する。
【0038】
さらに定量バルブ1を気圧式に制御するために電磁バルブとして形成された切換バルブ10が設けられ、それが5/2方向バルブとして構成され、またその切換バルブによって定量バルブ1の作用空間11を選択的に気抜きするかあるいは圧媒を付加することができる。
【0039】
図1aおよび
図1bに示された定量バルブ1のバルブプランジャ4がバネ5によって開放位置に予荷重された第1の実施例において、切換バルブ10の合計5個の接続端A、B、C、D、Eのうち第1および第2の接続端B、Dが接続路14を介して相互に結合されるとともに共同で圧媒供給源12に接続される。切換バルブ10の第3および第4の接続端A、Cは接続路15、16を介して定量バルブ1の作用空間11に結合され、さらに切換バルブの第5の接続端Eは気抜き部13に接続される。
【0040】
図1aに示された切換バルブ10の切換状態において定量バルブ1の作用空間11が個別の接続路15を介して切換バルブ10の気抜きされた接続端Aと結合され、一方作用空間11に通じる第2の接続路16は図示された切換バルブ10の切換状態において遮断された(すなわち空気注入も気抜きもされない)接続端Cに接続される。従ってこの切換状態は、この場合ピストン基底部17の上方に位置する作用空間11の「単純作用して」気抜きのために機能し、従って定量バルブ1のバルブプランジャ4がバネ5によって開放位置に推進される。
【0041】
図1bに示された切換バルブ10の切換状態において、定量バルブ1の作用空間11が同時に2本の接続路15、16を介して切換バルブ10のいずれも空気注入された接続端AおよびCと結合される。従ってこの切換状態はピストン基底部17の上方に位置する作用空間11に「二重作用して」空気注入するように機能し、従って定量バルブ1のバルブプランジャ4がバネ5の圧力に対抗して強力に閉鎖位置に移動し、それによって(冒頭に述べたように)配量チャンバ6とその配量チャンバと結合された液体貯蔵器内に存在する液体の滴がノズル排出路9を介して吐出される。
【0042】
図2には、本発明の第1の実施例に係る定量バルブ1の一部と切換バルブ10の一部を介した詳細(部分)断面図が示されている。
【0043】
その際切換バルブ10として使用される5/2方向バルブは、両側矢印Pの方向に直線摺動可能で磁力によって付勢可能なバルブピストン18を備えた高機動性電磁バルブとして形成され、その際バルブピストン18を変位させるために設けられるコイルは明瞭性の観点からここでは図示されていない。
【0044】
図2に示された切換バルブ10の切換状態は、作用空間11に通じる両方の接続路15、16が両方同時に空気注入される(すなわち圧媒供給源12と流体通流結合にある)
図1bの切換状態に相当する。
【0045】
切換バルブ10はバルブピストン18と結合された2個のバルブ体19、20を備え、それらはバルブピストン18が両側矢印Pに従って変位した際に2個の(バルブの変位性を上方および下方で制限する)シール縁部21、22あるいは23、24の間で摺動可能である。
【0046】
両方のバルブ体19、20がいずれも各バルブ体19、20の下方に存在するシール縁22あるいは24に接合する図示された切換状態において、接続路14を介して切換バルブ10の2個の接続端B、Dに同時に接続された圧媒供給源12が切り換えバルブの別の2個の接続端A、Cと流体通流式に結合され、それらの接続端A、Cはさらに2本の接続路15、16を介して定量バルブ1の作用空間11と結合される。従ってその際に定量バルブ1の作用空間11内に生成される圧力が、ピストン3をそれの末端に形成されたバルブプランジャ4と共にそのバルブプランジャ4が液滴の吐出を伴いながら
図2には図示されてないノズルシール座8に接合するまで矢印Rの方向に推進する。
【0047】
ここで切換バルブ10のバルブピストン18が
図2に示された切換状態から切換バルブ10の両方のバルブ体19、20がいずれも各バルブ体19、20の上方に位置するシール縁21あるいは23に接合するまで上方に向かって電磁式に動作すると、切換バルブ10の
図2において最上にある接続端Cが遮断され(すなわち空気注入も気抜きもされない)、気抜き部13と結合された接続路16のみを介して定量バルブの作用空間11が気抜きされる。
【0048】
図1a、
図1bおよび
図2に示された接続路14、15、16は、場合によって例えば特定の液体の材料特性に対して定量バルブの切換特性を最適化するために、(特に各接続路の断面積に関して)異なった寸法設定にすることもできる。さらに、空気注入あるいは気抜き工程とそれに従って定量バルブの閉鎖および開放速度を異なった液体ならびに材料特性に的確に適合させ得るようにするために、必要に応じて個々の接続路あるいは接続路断面の領域に適宜に変位可能な調節要素を設けることもできる。
【0049】
図3a、
図3bおよび
図4には、本発明に係る定量バルブ1の第2の実施例が示されているが、第1の実施例に使用されたものと同等な構成要素は同じ参照符号を付して示されている。
【0050】
ここで
図3a、
図3bおよび
図4に示された定量バルブ1のバルブプランジャ4は、勿論第1の実施例と異なってピストン3に上方から応力を付加するバネ5によって閉鎖位置に予荷重される。また、定量バルブ1の作用空間11はこの場合ピストン基底部17の上側ではなく下側に存在する。加えて、この場合切換バルブ10の合計5個の接続端A’、B’、C’、D’、E’のうち第1および第2の接続端A’、D’が接続路14を介して相互に結合されるとともに共同で気抜き部13に接続される。切換バルブ10の第3および第4の接続端B’、E’は接続路15、16を介して定量バルブ1の作用空間11に結合され、他方切換バルブ10の第5の接続端C’は圧媒供給源12に接続される。
【0051】
図3aに示された切換バルブ10の切換状態において、定量バルブ1の作用空間11は同時に2本の接続路15、16を介して切換バルブ10のいずれも空気注入された接続端B’およびE’と結合される。従ってこの切換状態はピストン基底部17の下方に位置する作用空間11を「二重作用して」気抜きするよう機能し、従って定量バルブ1のバルブプランジャ4は(バルブプランジャが先に開放位置に存在した場合)バネ5の応力によって強力に閉鎖位置に移行することができる。
【0052】
図3bに示された切換バルブ10の切換状態において定量バルブ1の作用空間11が個別の接続路15を介して切換バルブ10の空気注入された接続端B’と結合され、一方作用空間11に通じる第2の接続路16は図示された切換バルブ10の切換状態において遮断された(すなわち空気注入も気抜きもされない)接続端E’に接続される。従ってこの切換状態は、この場合ピストン基底部17の下方に位置する作用空間11に「単純作用して」空気注入するように機能し、従って定量バルブ1のバルブプランジャ4がバネ5の圧力に対抗して強力に
図3bに示された開放位置に移行する。
【0053】
図4には、本発明の第2の実施例に係る定量バルブ1の一部と切換バルブ10の一部を介した詳細(部分)断面図が示されている。
【0054】
その際切換バルブ10として使用される5/2方向バルブも、両側矢印Pの方向に直線摺動可能で磁力によって付勢可能なバルブピストン18を備えた高機動性電磁バルブとして形成され、その際バルブピストン18を変位させるために設けられるコイルは明瞭性の観点からここでは図示されていない。
【0055】
図4に示された切換バルブ10の切換状態は
図3aの切換状態に相当し、それによれば作用空間11に通じる両方の接続路15、16が両方同時に気抜きされる(すなわち気抜き部13と流体通流式に結合される)。
【0056】
ここでも切換バルブ10がバルブピストン18と結合された2個のバルブ体19、20を備え、それらはバルブピストン18が両側矢印Pに従って変位した際に2個の(バルブの変位性を上方および下方で制限する)シール縁部21、22あるいは23、24の間で摺動可能である。
【0057】
両方のバルブ体19、20がいずれも各バルブ体19、20の下方に存在するシール縁22あるいは24に接合する図示された切換状態において、接続路14を介して切換バルブ10の2個の接続端A’、D’に同時に接続された気抜き部13が切り換えバルブの別の2個の接続端E’、B’と流体通流式に結合され、それらの接続端E’、B’はさらに2本の接続路15、16を介して定量バルブ1の作用空間11と結合される。従ってその際に定量バルブ1の作用空間11内で実行される気抜きが、(定量バルブが先に開放位置にあった場合)ピストン3をそれの末端に形成されたバルブプランジャ4と共にそのバルブプランジャ4が液滴の吐出を伴いながら
図4には図示されてないノズルシール座8に接合するまで矢印Rの方向に推進されることを促進する。
【0058】
ここで切換バルブ10のバルブピストン18が
図4に示された切換状態から切換バルブ10の両方のバルブ体19、20がいずれも各バルブ体19、20の上方に位置するシール縁21あるいは23に接合するまで上方に向かって電磁式に動作すると、切換バルブ10の
図4において最上にある接続端E’が遮断され(すなわち空気注入も気抜きもされない)、圧媒供給源12と結合された接続路15のみを介して定量バルブの作用空間11が空気注入され、それによって定量バルブ1がバネ5の圧力に対抗して開放位置に移行する。
【0059】
図5には切換バルブ10を備えた本発明に係る定量バルブ1の第3の実施例が(部分図によって)示されているが、定量バルブ1と切換バルブ10の構成に関しては
図4の第2の実施例と同様である。他方、第3の実施例において異なった特徴としては、全ての接続路14、15、16ならびに圧力液あるいは圧力空気供給源12および気抜き部13のための接続端が切換バルブ10と定量バルブ1の間に配置されたアダプタ部材25内に設けられ、追加的に前記アダプタ部材内に2個の(いずれも両側矢印Lに従って直線的に摺動可能な)調節要素26、27が設けられ、それらの調節要素によって接続路15および16の断面積を個別に変更することが可能になり、そのことによってバルブ動作性に影響を与えて例えば多様な液体の異なった材料特性にバルブ動作性を適応させることができる。
【0060】
例えば、(UV)接着剤のジェット配量に際して図示された実施例に係る作用空間11の空気注入のために機能する接続路15の断面積を
図5の下側の調節要素を使用して削減し、それによって極めて緩やかあるいは抑制された定量バルブの開放ストロークを実現すれば極めて有効であることが明らかである。このことによって、定量バルブの開放に際して接着剤中に閉じ込められた気泡を不用意に「引き出す」危険性が低下する。
【0061】
さらに、
図5に示された本発明の実施例おいて、気抜き部13を切換バルブ10の2個の接続端と結合する接続路14内にも適宜な調節要素を設けることができる。そこで実行される断面積の削減によって、例えば中粘性あるいは低粘性の液体を塗付するために定量バルブ1を使用する場合に、定量バルブ1の閉鎖動作を抑制あるいは減速することができる。
【0062】
念のために記述すると、図示された全ての変更例において本発明に係る定量バルブの構成に基づいて相互に独立した空気注入および気抜き路が存在するため、当然
図1a、
図1b、
図2あるいは
図3a、
図3b、
図4に係る実施例においても接続路の断面積に影響を与えるための適宜な調節要素を設けることができる。
【0063】
加えて重要な点は、例えば
図5に例として示されているアダプタ部材25とそれに付属する5/2方向バルブとして形成された切換バルブ10を使用して、既存のジェット定量バルブを本発明に係る原理によって気圧式に制御されるように改造することもできる。
【0064】
さらに
図6には、本発明に係る定量バルブの切換特性が、3/2方向バルブあるいは並列接続された複数の電磁バルブが使用される先行技術に係る定量バルブと比較して定性的に示されている。
【0065】
異なったバルブ種に対応する曲線が定量バルブのピストンストロークの時間変化を示し、その際ピークストロークは特定のバルブ構成に従って変動し例えば500μmのレベルであり得る。
【0066】
周知の3/2方向バルブを使用した場合に比べて本発明に係る定量バルブのピストンストロークの変化は(閉鎖動作のために実行される作用空間と切換バルブの2個の空気注入あるいは気抜きされた接続端との接続のため)顕著に急角度に降下する閉鎖傾斜部28を有し、それは並列接続された電磁バルブによって達成し得るものと同様で、また特に極少量の高粘度の液体のジェット配量に際して必要とされる極めて高速に実行される閉鎖工程に相当する。
【0067】
同時に本発明によれば、開放動作のために実行される作用空間と切換バルブの1個の空気注入されたあるいは気抜きされた接続端のみとの接続によって他方で比較的平坦な開放傾斜部29を達成可能であり、そのことも前述したように(ノズル排出路を介した空気吸引が有効に防止されることから)高粘度の液体のジェット配量のために極めて好適であることが明らかである。
【0068】
さらに
図6中に示されている(矩形)電気信号は切換バルブを制御するために提供される電気信号(24Vの振幅とバルブ動作性に適応する例えば2ないし3msの点入幅を有する)を表す。
【国際調査報告】