(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイシステム、方法、データキャリア、処理システム及び車両
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20220224BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20220224BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/16 C
G06T1/00 330A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535973
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(85)【翻訳文提出日】2021-06-18
(86)【国際出願番号】 EP2019051229
(87)【国際公開番号】W WO2020147962
(87)【国際公開日】2020-07-23
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サリアスラン, ムハメット クサト
【テーマコード(参考)】
2F129
5B057
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH14
5B057AA16
5B057CA08
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5H181LL08
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】車両用ヘッドアップディスプレイシステム(100)が、運転者に見えない道路の一部に関する情報を識別して表示するためのヘッドアップディスプレイシステムおよびヘッドアップディスプレイシステムを含む方法について説明する。運転者の視野にあり、道路コースに関する情報を透明な平面(105)に投影するように構成されたプロジェクタ(104)及び前記透明な平面(105)と、プロセッサ(103)と、を含み、前記プロセッサ(103)は、カメラ(101)によって提供された車両の前方の道路の画像を分析し、前記カメラ(101)の入力に基づいて前記道路コースを決定するように構成され、前記道路を含む地図上の前記車両の位置に関するナビゲーション情報を分析し、当該ナビゲーション情報はナビゲーションシステム(102)によって提供され、当該ナビゲーションシステム(102)の前記入力に基づいて前記道路コースを決定し、前記カメラ(101)の前記入力によって決定された前記道路コースと、前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースとを照合し、前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースのうち、前記カメラ(101)によって撮影されていない部分を決定し、前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの部分に関するグラフィック情報(306)を算出し、前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの部分に関する、前記算出されたグラフィック情報(306)を、前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの端部から前記プロジェクタ(104)を介して投影することにより、前方の前記道路の見えない部分に関するグラフィック情報(306)を前記透明な平面(105)に提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ヘッドアップディスプレイシステム(100)であって、
車両用ヘッドアップディスプレイシステム(100)は、運転者の視野にあり、道路コースに関する情報を透明な平面(105)に投影するように構成されたプロジェクタ(104)及び前記透明な平面(105)と、プロセッサ(103)と、を含み、
前記プロセッサ(103)は、
カメラ(101)によって提供された車両の前方の道路の画像を分析し、前記カメラ(101)の入力に基づいて前記道路コースを決定するように構成され、
前記道路を含む地図上の前記車両の位置に関するナビゲーション情報を分析し、当該ナビゲーション情報はナビゲーションシステム(102)によって提供され、当該ナビゲーションシステム(102)の前記入力に基づいて前記道路コースを決定し、
前記カメラ(101)の前記入力によって決定された前記道路コースと、前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースとを照合し、
前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースのうち、前記カメラ(101)によって撮影されていない部分を決定し、
前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの部分に関するグラフィック情報(306)を算出し、
前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの部分に関する、前記算出されたグラフィック情報(306)を、前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの端部から前記プロジェクタ(104)を介して投影することにより、前方の前記道路の見えない部分に関するグラフィック情報(306)を前記透明な平面(105)に提供する、車両用ヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項2】
前記カメラ(101)の前記入力によって決定された前記道路コース、及び前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースは、前記道路の路側帯、前記車両が使用する前記道路の車線(304)、及び/又は前記道路の中央分離帯(303)に関する情報を含む、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項3】
投影された前記グラフィック情報(306)は、前記道路の道端を示す連続的もしくは非連続的な線、又は前記道路もしくは前記道路の車線(304)を示す帯の形態である、請求項2に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項4】
投影された前記グラフィック情報(306)は、前記運転者の視野で見える色とは異なる色である、請求項1乃至3のいずれか一に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項5】
前記プロセッサ(103)は、さらに前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路の部分に危険要因が含まれていると判断し、前記運転者に警報を提供する、請求項1乃至4のいずれか一に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項6】
前記危険要因は、鋭くまたは急な曲がり角、信号機、及び/又は前記道路の狭小化である、請求項5に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項7】
前記警報は、可視的、触覚的または音響的な警報である、請求項5又は6に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項8】
前記警報は、所定の色及び/又は投影された前記グラフィック情報(306)の点滅によって示される、請求項5乃至7のいずれか一に記載の用ヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項9】
前記システム(100)は、車両の前方の道路の画像を撮影するように構成された前記カメラ(101)をさらに備える、請求項1乃至8のいずれか一に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項10】
前記システム(100)は、前記ナビゲーションシステム(102)をさらに備える、請求項1乃至9のいずれか一に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一に記載の前記ヘッドディスプレイシステム(100)を用いて、前記運転者の視野に前方の前記道路の見えない部分のグラフィック情報(306)を提供するためにコンピュータで実施される方法であって、
カメラ(101)によって提供された車両の前方の道路の画像を分析し、前記道路コースを決定し、
前記道路を含む地図上の前記車両の前記位置に関し、ナビゲーションシステム(102)によって提供されるナビゲーション情報を分析し、前記道路コースを決定し、
前記カメラ(101)の前記入力によって決定された前記道路コースと、前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースと、を照合し、
前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースのうち、前記カメラ(101)によって撮影されていない部分を決定し、
前記カメラ(101)で撮影されていない前記道路の先の部分と、前記カメラ(101)で撮影されていない前記道路の先の部分を起点としたものに関するヘッドアップディスプレイのグラフィック情報(306)を算出し、
前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの部分に関する、前記算出されたグラフィック情報(306)を、前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの端部から前記プロジェクタ(104)を介して投影することにより、前方の道路の見えない部分に関する前記グラフィック情報(306)を前記透明な平面(105)に提供する方法。
【請求項12】
処理システム(100)のための命令を含むデータキャリアであって、前記処理システム(100)によって実行されると、コンピュータに、請求項11に記載のコンピュータで実施される方法を実行させるデータキャリア。
【請求項13】
請求項12に記載の前記データキャリアを含む処理システム(100)。
【請求項14】
前記処理システム(100)は、Application-Specific Integrated Circuit(ASIC)、Field-Programmable Gate Arrays(FPGA)、または汎用コンピュータである、請求項13に記載の処理システム(100)。
【請求項15】
請求項1乃至10のいずれか一に記載の前記ヘッドアップディスプレイシステム(100)または請求項13または14に記載の処理システム(100)を含む車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に見えない道路の一部に関する情報を識別して表示するためのヘッドアップディスプレイシステム100およびヘッドアップディスプレイシステム100を含む方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
目に見える形で指示を出す現在のナビゲーションシステムは、通常、別のパネルを介して情報を表示するか、ヘッドアップディスプレイを使用する。ヘッドアップディスプレイに表示される情報は、通常、かなり限定されたものであり、運転者にナビゲーション情報を提供するための単純なアイコン、簡潔なテキスト情報、及び/又は矢印で構成されている。ナビゲーションシステム100の別パネルに表示されるナビゲーション情報を見ると、運転者は少なくとも一瞬は前方の道路状況から注意をそらすことになり、危険な状況に陥る可能性がある。したがって、潜在的に危険な状況、及び/又は正確な今後の道路コースについて、改善された方法で運転者に通知されることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本開示の目的は、先行技術の欠点を克服する改良されたシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
その目的は、添付された特許請求の範囲で定義されたものによって解決される。
【0005】
車両用ヘッドアップディスプレイシステム100が開示されており、車両用ヘッドアップディスプレイシステム100は、運転者の視野にあり、道路のコースに関する情報を透明な平面105に投影するように構成されたプロジェクタ104及び透明な平面105と、プロセッサ103と、を含み、
プロセッサ103は、
カメラ101によって提供された車両の前方の道路の画像を分析し、カメラ101の入力に基づいて道路コースを決定するように構成され、
道路を含む地図上の車両の位置に関するナビゲーション情報を分析し、当該ナビゲーション情報はナビゲーションシステム102によって提供され、当該ナビゲーションシステム102の入力に基づいて道路コースを決定し、
カメラ101の入力によって決定された道路コースと、ナビゲーションシステム102の入力によって決定された道路コースとを照合し、
ナビゲーションシステム102の入力によって決定された道路コースのうち、カメラ101によって撮影されていない部分を決定し、
カメラ101によって撮影されていない前方の道路コースの部分に関するグラフィック情報306を算出し、
算出されたカメラ101によって撮影されていない前方の道路コースの部分に関するグラフィック情報306を、カメラ101によって撮影されていない前方の道路コースの端部からプロジェクタ104を介して投影することにより、前方の道路の見えない部分に関するグラフィック情報306を透明な平面105に提供する。
【0006】
カメラ101の入力に基づいて決定された道路コースや、ナビゲーションシステム102の入力に基づいて決定された道路コースは、道路の路側帯、車両が使用する道路の車線304、及び/又は道路の中央分離帯303に関する情報を構成してもよい。
【0007】
投影されたグラフィック情報306は、道路の道端を示す連続的または非連続的な線の形態であってもよいし、道路または道路の車線304を示す帯の形態であってもよい。
【0008】
投影されたグラフィック情報306は、運転者の視野で見える色とは異なる色であってもよい。
【0009】
プロセッサ103は、カメラ101によって撮影されていない前方の道路の部分に危険要因が含まれていると判断し、運転者に警報を提供するようにさらに構成されてもよい。
【0010】
危険要因は、鋭くまたは急な曲がり角、信号機、及び/又は道路の狭小化であってもよい。
【0011】
警報は、可視的、触覚的または音響的な警報であってもよい。
【0012】
警報は、所定の色及び/又は投影されたグラフィック情報306の点滅によって示されてもよい。
【0013】
システム100は、車両の前方の道路の画像を撮影するように構成されたカメラ101をさらに備えてもよい。
【0014】
システム100は、道路レーン304を構成する地図上の車両の位置を決定するように構成されたナビゲーションシステム102をさらに備えてもよい。
【0015】
また、上述のヘッドディスプレイシステム100を用いて、運転者の視野に前方の道路の見えない部分に関するグラフィック情報306を提供するためのコンピュータで実施される方法も開示されており、
当該方法は、
カメラ101によって提供された画像であって車両の前方の道路の画像を分析し、道路コースを決定し、
道路を含む地図上の車両の位置に関し、ナビゲーションシステム102によって提供されるナビゲーション情報を分析し、道路コースを決定し、
カメラ101の入力で決定された道路コースと、ナビゲーションシステム102の入力で決定された道路コースの道筋を照合し、
ナビゲーションシステム102の入力で決定された道路コースのうち、カメラ101で撮影されていない部分を決定し、
カメラ101で撮影されていない道路の先の部分と、カメラ101で撮影されていない道路の先の部分を起点とした道筋に関するグラフィック情報306を算出し、
前方の道路のコースのうち、カメラ101で撮影されていない部分に関して算出されたグラフィック情報306を、カメラ101で撮影されていない前方の道路の端から順に、プロジェクタ104を介して透明な平面105に投影する。
【0016】
また、処理システム100のための命令を含むデータキャリアも開示されており、この命令は、処理システム100によって実行されると、コンピュータに、コンピュータで実行される上述の方法を実行させる。
【0017】
また、上述のデータキャリアを含む処理システム100も開示されている。
【0018】
処理システム100は、Application-Specific Integrated Circuit(ASIC)、Field-Programmable Gate Arrays(FPGA)、または汎用コンピュータであってもよい。
【0019】
また、上述したヘッドアップディスプレイシステム100または処理システム100も開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本開示に記載されているヘッドディスプレイシステム100を示す。
【
図2】
図2は、本開示に記載の方法を説明する図である。
【
図3】
図3は、本開示のシステム100を使用しない場合において、前方の道路の全コースのうち一部を妨げる障害物305を含む道路のコース上のドライバーの視野を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示のシステム100を使用しない場合において、前方の道路の全コースのうち一部を妨げる障害物305を含む道路のコース上のドライバーの視野を示す図である。システム100は、道路の見えない部分のグラフィック情報306をドライバーに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に示されているような車両のためのシステム100が開示されている。
図3は、
図1のシステム100を使用していない状態で、フロントガラス越しに見た車両の運転者の視野を示す図である。
【0022】
図4は、
図1のシステム100を使用した状態で、フロントガラス越しに見た車両の運転者の視野を示す図である。システム100は、運転者の視野に投影されるグラフィック情報306を計算することにより、運転者の視点からは見えない道路やトラックの一部を、すなわち運転者の視野で、例えば、車両のフロントガラスに組み込まれた、またはフロントガラスの前に配置された運転者の視野の透明な平面105に投影することにより、視覚化するという利点を有する。
【0023】
システム100は、ヘッドアップディスプレイシステム100またはヘッドアップディスプレイシステム100に統合されたシステム100であると考えることができる。プロセッサ103によるシステム100は、カメラ101によって受信され、提供された入力を分析する。入力は、カメラ101による少なくとも1つの画像である。カメラ101は、車両が走行している方向、すなわち通常は車の前進方向に見える視野の画像を撮影することができるが、カメラ101が車の前進方向と逆の方向に少なくとも1つの画像を撮影することもできる。入力は、少なくとも1つの画像または(連続した)一連の画像で構成することができる。一連の画像をキャプチャすることで、計算されたグラフィック情報306を継続的に更新することができる。自車の前方の道路の少なくとも1つの画像を分析した後のプロセッサ103は、カメラ101に見える道路コースを特定し、ドライバーに見える道路の部分を特定する。
【0024】
カメラ101が受信した画像に対して物体認識分析を行い、道路の存在とコースを判断することができる。例えば、プロセッサ103は、道路とその周囲との間の色の遷移、道路の左側及び/又は右側のガイドポスト、車線、及び/又は中央線、によって道路を検出するように構成されてもよい。
【0025】
カメラ101は、車両と前方の道路との間の距離、すなわち三次元空間における道路のコースに関する情報を提供するために、レーザー探知測距(LIDAR)及び/又は無線探知測距(RADAR)システム100に置き換えられてもよく、補完されてもよい。また、カメラ101は、車両と前方の道路との間の距離、すなわち3次元空間における道路のコースに関する情報を提供するために、車両の前方の道路の3次元画像を決定するためのステレオカメラ101で構成されてもよい。車両と道路との距離の知識に基づいて、道路コースの3次元表現を決定することができる。
【0026】
好ましくは同時に、システム100は、地図上の車両の位置に関するナビゲーション情報も受け取るように構成される。電子メモリに格納され、道路またはトラックのコース上の2次元または3次元形式の少なくとも位置データからなる地図は、ナビゲーションシステム100に格納された道路コースの情報を提供し、車両がどの道路を走行しているか、この道路がどのコースを有しているかを特定することができる。
【0027】
システム100は、さらにカメラ101-入力から決定された道路コースを、ナビゲーションシステム100の入力から決定された道路コースとマッチングさせるように構成される。可視対象を位置データと一致させることは、拡張現実の分野では既知の技術であり、このタスクを達成するために任意の適切なアルゴリズムを使用することができる。例えば、このタスクでは、両方の入力が、分析された画像の空間参照システム100、ナビゲーションシステム100によって提供される空間参照システム100、又は第3の参照システム100などの同じ空間参照システム100に変換される。ナビゲーション入力は、3次元空間データの形で既に提供されているか、システム100によって3次元空間データの形に変換されている。
【0028】
システム100はさらに、ナビゲーションシステム100の入力から決定された道路コースのうち、カメラ101で撮影されていない部分を決定するように構成されている。これは、カメラ101やドライバーにとって見えない道路の部分である。カーブの手前にある木、丘、山、建物、トンネルなどの物体に遮られて見えない場合がある。また、車両が丘の上に近づいているため、道路の一部が見えない場合もある。
【0029】
システム100はさらに、ナビゲーションシステム100の入力から決定された道路コースのうち、カメラ101によって撮影されていない部分を、透明な平面105に投影することができるシステム100のグラフィック情報306を計算するように構成される(
図4参照)。言い換えれば、システム100は(プロセッサ103を介して)、カメラ101の視野の透明な平面105に投影することができ、ドライバーに見えない道路コースの表示を計算するように構成されている。このようにして、ドライバーの視野には、可視の道路に並ぶ道路の見えない部分の描写が重ねて表示される。
【0030】
道路コースの見えない部分のグラフィック情報は、可視の道路と前方の見えない道路の描写をシームレスに、またはほぼシームレスに接続することができる。また、道路の見えない部分の限られた部分のみが表示されるように、すなわち、現実の道路の部分の長さに対応する長さが、10km、5km、3km、2km、1km、500m、200m未満になるように、システムを構成することもできる。
【0031】
カメラ101の入力から決定された道路コースおよびナビゲーションシステム102からの道路コースは、道路の路側帯、車両が使用する道路の車線304、及び/又は道路の中央分離帯303の情報を含むことができる。したがって、目に見えない道路の前方の描写は、これらの情報を含むこともできる。
【0032】
したがって、投影されたグラフィック情報306は、道路の道端を示す連続的または非連続的な線、または道路を示す帯、または道路の車線304の形とすることができる。
【0033】
投影されたグラフィック情報306は、運転者の視野で見える色とは異なる色であってもよい。このようにすることで、運転者が周囲に対して道路の見えない部分を識別することが容易になる。しかし、重ね合わせられたグラフィカル情報306によって運転者が道路から気を取られることを避けるために、グラフィカル情報306が道路と同じまたはほぼ同じ色及び/又はテクスチャで提供されることも考慮されている。
【0034】
プロセッサ103は、カメラ101によって撮影されていない前方の道路の部分に危険要因が含まれていると判断し、ドライバーに警報を提供するようにさらに構成することができる。
【0035】
危険要因は、急な曲がり角、信号機、または、道路の狭小化などである。システム100は、ナビゲーションシステム102から提供されたデータ入力によって、危険要因を特定してもよい。例えば、システム100は、曲がり角度が100°、90°、80°以下のような所定の値を下回る場合や、可視道路の幅と比較して見えない道路の幅が可視道路の幅の90%、80%、70%以下のような所定の値を下回る場合に、鋭利または急激な関係(terming)または狭窄と判断するように構成されていてもよい。
【0036】
警報は、可視的、触覚的、または音響的な警報であってもよい。
【0037】
特に、警報は、投影されたグラフィック情報306の色及び/又は点滅によって示すことができる。例えば、投影されたグラフィック情報306は、通常は黄色や青などのデフォルト色であり、赤などの警報色に切り替わり、追加的または代替的に点滅を開始してもよい。
【0038】
システム100は、カメラ101及び/又は車両の前方の道路の画像をキャプチャするように構成されたLIDARまたはRADARのような任意の他の形態の画像キャプチャデバイスをさらに含んでもよい。
【0039】
システム100は、道路レーン304を構成する地図上の車両の位置を決定するように構成されたナビゲーションシステム102をさらに備えてもよい。
【0040】
また、(
図2に示す)方法、特に、上述のヘッドディスプレイシステム100を用いて、運転者の視野にある前方の道路の見えない部分に関するグラフィック情報306を提供するためのコンピュータで実施される方法が開示されており、
当該方法は、
カメラ101によって提供される車両前方の道路の画像を分析S1して、カメラ101ベースの道路のコースを決定し、
道路を構成する地図上の車両の位置に関し、ナビゲーションシステム102によって提供されるナビゲーション情報を分析S2して、ナビゲーションシステム102ベースの道路のコースを決定し、
カメラ101ベースの道路のコースと、ナビゲーションシステム102ベースの道路のコースと、を照合S3し、
ナビゲーションシステム102ベースの道路のコースのうち、カメラ101が撮影していない前方の部分を決定S4し、
前方の道路のコースのうち、カメラ101で撮影されていない部分で、カメラ101で撮影されていない前方の道路の端を起点として、ヘッドアップディスプレイ用のグラフィック情報306を算出S5し、
算出されたグラフィック情報306を、カメラ101で撮影されていない前方の道路の端を起点として、プロジェクタ104を介して、カメラ101で撮影されていない前方の道路のコースの一部に投影S6する。
【0041】
また、処理システム100のための命令を含むデータキャリアも開示されており、この命令は、処理システム100によって実行されると、コンピュータに上述の方法を実行させる。
【0042】
システム100は、上述のデータキャリアを構成する処理システムに実装されてもよい。
【0043】
処理システム100は、特に限定されるものではなく、Application-Specific Integrated Circuit(ASIC)、Field-Programmable Gate Array(FPGA)、または汎用コンピュータであってもよい。
【0044】
また、上述のシステム100または上述の処理システム100を搭載した車両も開示されている。
【0045】
このように、ヘッドアップディスプレイシステムおよびヘッドアップディスプレイシステムを含む方法は、運転者に見えない道路の一部に関する情報を特定して表示するために記載されており、車両用ヘッドアップディスプレイシステム100は、
運転者の視野にあり、道路のコースに関する情報を透明な平面105に投影するように構成されたプロジェクタ104及び透明な平面105と、プロセッサ103と、を含み、
プロセッサ103は、
車両前方の道路の画像をカメラ101で分析し、カメラ101の入力に基づいて道路コースを決定するように構成され、
道路を構成する地図上の車両の位置に関するナビゲーション情報を分析し、
当該ナビゲーション情報はナビゲーションシステム102によって提供され、
当該ナビゲーションシステム102の入力に基づいて道路コースを決定し、
カメラ101の入力によって決定された道路コースと、ナビゲーションシステム102の入力によって決定された道路コースとを照合し、
ナビゲーションシステム102の入力によって決定された道路コースのうち、カメラ101によって撮影されていない部分を決定し、
カメラ101によって撮影されていない前方の道路コースの部分に関するグラフィック情報306を算出し、
算出されたカメラ101によって撮影されていない前方の道路コースの部分に関するグラフィック情報306を、カメラ101によって撮影されていない前方の道路コースの端部からプロジェクタ104を介して投影することにより、前方の道路の見えない部分に関するグラフィック情報306を透明な平面105に提供する。
【符号の説明】
【0046】
100 (ヘッドアップディスプレイ)システム
101 カメラ
102 ナビゲーションシステム
103 プロセッサ
104 プロジェクタ
105 透明な平面
301 道路の左側
302 道路の右側
303 中央分離帯
304 車線
305 障害物
306 グラフィック情報
S1-S6 方法ステップ
【手続補正書】
【提出日】2021-06-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
目に見える形で指示を出す現在のナビゲーションシステムは、通常、別のパネルを介して情報を表示するか、ヘッドアップディスプレイを使用する。ヘッドアップディスプレイに表示される情報は、通常、かなり限定されたものであり、運転者にナビゲーション情報を提供するための単純なアイコン、簡潔なテキスト情報、及び/又は矢印で構成されている。ナビゲーションシステム100の別パネルに表示されるナビゲーション情報を見ると、運転者は少なくとも一瞬は前方の道路状況から注意をそらすことになり、危険な状況に陥る可能性がある。したがって、潜在的に危険な状況、及び/又は正確な今後の道路コースについて、改善された方法で運転者に通知されることが望ましい。
文献独国特許出願公開第102004048347号明細書は、自動車の運転支援装置を開示している。この装置は、ナビゲーション装置と、撮像センサーと、画像再生装置と、コントローラとを備え、少なくともナビゲーション装置、撮像センサー及び画像再生装置がコントローラに接続されている。制御装置は、撮像センサーで記録された画像を処理して車道と道路の軌跡を認識し、ナビゲーション装置に提供された道路地図データから、撮像センサーの視野外にある少なくとも後続の道路の軌跡を判断し、両情報を統合して画像再生装置に位置精度の高い表示を行うことで、道路の軌跡の予測を行う。前記表示は、運転者に見える交通・運転状況の景色に、位置的にも視点的にも正確に重ねて表示することができる。
文献米国特許出願公開第2016/003636号明細書は、現在の走行車線の第1の境界線、第2の境界線、および中心線を決定する車線マーキングマネージャを含むシステムを開示している。また、このシステムは、第1の境界線に第1の信頼度を、第2の境界線に第2の信頼度を、中心線に第3の信頼度を割り当てる信頼度決定器を含む。さらに、システムは、第1の信頼度、第2の信頼度、および第3の信頼度に少なくとも部分的に基づいて、第1の境界線、第2の境界線、および中心線の表現を出力するユーザインターフェースを含む。
文献米国特許出願公開第2018/089899号明細書は、事前に生成された世界の3Dモデルを活用して、シーンのARビュー、例えば、動いている車両の前にある世界のARビューに対する3Dグラフィックスコンテンツのレンダリングを向上させるARシステムを開示している。ARシステムは、事前に生成された3Dモデルを活用することで、様々な技術を用いてシステムのレンダリング能力を向上させている。ARシステムは、事前に生成された3Dデータ(例えば、3Dタイル)をリモートソース(例えば、クラウドベースのストレージ)から取得し、この事前に生成された3Dデータ(例えば、3Dメッシュ、テクスチャ、およびその他のジオメトリ情報の組み合わせ)を使用して、ローカルデータ(例えば、車両センサーによって収集されたデータの点群)を補強し、ローカルデータから得られるよりもはるかに多くのシーンに関する情報(シーンのオクルージョンまたは遠方の領域に関する情報を含む)を決定する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ヘッドアップディスプレイシステム(100)であって、
車両用ヘッドアップディスプレイシステム(100)は、運転者の視野にあり、道路コースに関する情報を透明な平面(105)に投影するように構成されたプロジェクタ(104)及び前記透明な平面(105)と、プロセッサ(103)と、を含み、
前記プロセッサ(103)は、
カメラ(101)によって提供された車両の前方の道路の画像を分析し、前記カメラ(101)の入力に基づいて前記道路コースを決定するように構成され、
前記道路を含む地図上の前記車両の位置に関するナビゲーション情報を分析し、当該ナビゲーション情報はナビゲーションシステム(102)によって提供され、当該ナビゲーションシステム(102)の前記入力に基づいて前記道路コースを決定し、
前記カメラ(101)の前記入力によって決定された前記道路コースと、前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースとを照合し、
前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースのうち、前記カメラ(101)によって撮影されていない部分を決定し、
前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの部分に関するグラフィック情報(306)を算出し、
前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの部分に関する、前記算出されたグラフィック情報(306)を、前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの端部から前記プロジェクタ(104)を介して投影することにより、前方の前記道路の見えない部分に関するグラフィック情報(306)を前記透明な平面(105)に提供
し、
前記プロセッサ(103)は、さらに前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路の部分に危険要因が含まれていると判断し、前記運転者に警報を提供することを特徴とする、車両用ヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項2】
前記カメラ(101)の前記入力によって決定された前記道路コース、及び前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースは、前記道路の路側帯、前記車両が使用する前記道路の車線(304)、及び/又は前記道路の中央分離帯(303)に関する情報を含む、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項3】
投影された前記グラフィック情報(306)は、前記道路の道端を示す連続的もしくは非連続的な線、又は前記道路もしくは前記道路の車線(304)を示す帯の形態である、請求項2に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項4】
投影された前記グラフィック情報(306)は、前記運転者の視野で見える色とは異なる色である、請求項1乃至3のいずれか一に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項5】
前記危険要因は、鋭くまたは急な曲がり角、信号機、及び/又は前記道路の狭小化である、請求項
1に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項6】
前記警報は、可視的、触覚的または音響的な警報である、請求項
1又は5に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項7】
前記警報は、所定の色及び/又は投影された前記グラフィック情報(306)の点滅によって示される、請求項
1乃至6のいずれか一に記載の用ヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項8】
前記システム(100)は、車両の前方の道路の画像を撮影するように構成された前記カメラ(101)をさらに備える、請求項1乃至
7のいずれか一に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項9】
前記システム(100)は、前記ナビゲーションシステム(102)をさらに備える、請求項1乃至
8のいずれか一に記載のヘッドアップディスプレイシステム(100)。
【請求項10】
請求項1乃至
9のいずれか一に記載の前記ヘッドディスプレイシステム(100)を用いて、前記運転者の視野に前方の前記道路の見えない部分のグラフィック情報(306)を提供するためにコンピュータで実施される方法であって、
カメラ(101)によって提供された車両の前方の道路の画像を分析し、前記道路コースを決定し、
前記道路を含む地図上の前記車両の前記位置に関し、ナビゲーションシステム(102)によって提供されるナビゲーション情報を分析し、前記道路コースを決定し、
前記カメラ(101)の前記入力によって決定された前記道路コースと、前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースと、を照合し、
前記ナビゲーションシステム(102)の前記入力によって決定された前記道路コースのうち、前記カメラ(101)によって撮影されていない部分を決定し、
前記カメラ(101)で撮影されていない前記道路の先の部分と、前記カメラ(101)で撮影されていない前記道路の先の部分を起点としたものに関するヘッドアップディスプレイのグラフィック情報(306)を算出し、
前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの部分に関する、前記算出されたグラフィック情報(306)を、前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路コースの端部から前記プロジェクタ(104)を介して投影することにより、前方の道路の見えない部分に関する前記グラフィック情報(306)を前記透明な平面(105)に提供し、
前記カメラ(101)によって撮影されていない前方の前記道路の部分に危険要因が含まれていると判断し、
危険要素があると判断された場合に前記運転者に警報を提供する方法。
【請求項11】
処理システム(100)のための命令を含むデータキャリアであって、前記処理システム(100)によって実行されると、コンピュータに、請求項
10に記載のコンピュータで実施される方法を実行させるデータキャリア。
【請求項12】
請求項
11に記載の前記データキャリアを含む処理システム(100)。
【請求項13】
前記処理システム(100)は、Application-Specific Integrated Circuit(ASIC)、Field-Programmable Gate Arrays(FPGA)、または汎用コンピュータである、請求項
12に記載の処理システム(100)。
【請求項14】
請求項1乃至
9のいずれか一に記載の前記ヘッドアップディスプレイシステム(100)または請求項
12または13に記載の処理システム(100)を含む車両。
【国際調査報告】