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特表2022-516904放射線保護装置およびそのための材料
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】放射線保護装置およびそのための材料
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20220224BHJP
   G21F 1/12 20060101ALI20220224BHJP
   G21F 1/10 20060101ALI20220224BHJP
   G21F 1/08 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
G21F3/00 L
G21F1/12
G21F1/10
G21F1/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538751
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 US2019069154
(87)【国際公開番号】W WO2020142556
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/787,636
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518161329
【氏名又は名称】ラディアクション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】イファット, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】バール, ヨッシ
(72)【発明者】
【氏名】ベルソン, アミール
(72)【発明者】
【氏名】レッター, マイケル
(57)【要約】
本発明は、放射線減衰/遮蔽を提供するための堅い構造およびその複合材料に関する。いくつかの実施形態は、タイルの複数の位置付け可能な放射線遮蔽スタックを含む放射線遮蔽装置に関連する。スタックは、続いて、連続した構成に隣接して配置される。タイル位置付け機構は、スタック(後退)位置と拡張位置との間でのスタック内でのタイルの移動を可能にする。拡張位置において、複数の放射線遮蔽スタックの各々のタイルは、その対応する対向側部マージンにおいて後続の隣接するタイルスタックのタイルに少なくとも部分的に重なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線遮蔽装置であって、前記装置は、
タイルの複数の位置付け可能な放射線遮蔽スタックであって、前記スタックは、続いて、スタックの連続した構成に隣接して配置されている、スタックと、
スタックまたは後退位置と拡張位置との間でのスタック内での前記タイルの移動を可能にするように構成されたタイル位置付け機構と
を備え、
前記後退位置および前記拡張位置の両方において、前記複数の放射線遮蔽スタックの各々のタイルは、それらの対応する対向および隣接側部マージンにおいて、後続の隣接するタイルスタックのタイルに少なくとも部分的に重なっている、装置。
【請求項2】
前記タイルおよびそれらの対応する対向側部マージンは、平坦ではない、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記平坦ではない対応する対向側部マージンは、ジグザグまたはV字形外形を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記平坦ではない対応する対向側部マージンは、波形またはS字形外形を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記タイルのスタックは、各面が少なくとも1つのタイルスタックを含む2つ以上の面と、コーナータイルスタックとを有する構造を形成し、前記コーナータイルスタックは、それらの2つの隣接する面を接続する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
コーナータイルスタックは、2つの隣接する面の間の少なくとも約90°角度のエリアを覆う、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記タイル位置付け機構は、レールとスライド要素とを含み、スタック内の隣接するタイルの前記レールの長さに沿って1つのタイルの前記スライド要素のスライドを可能にするように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
スタック内の前記レールおよびスライド要素は、入れ子構造形態に配置され、それによって、スタック内のタイルのコンパクトな構造を提供する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
スタック内のタイルは、前記タイルのレールと連続的に隣接するタイルのそれぞれのスライド要素とを前記タイルの中に収容するための陥凹を含む、請求項7に記載の装置。
【請求項10】
それらのスタックのスタックされて隣接するタイルの前記陥凹は、1つのタイルの前記陥凹が、その連続的に隣接するタイルの前記陥凹に対して対応して配置され、それによって、スタック内のタイルのコンパクトな構造を提供するように、配置されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
各タイルは、凹状またはV字形外形を伴う第1の側部マージンと、凸状または逆のV字形外形を伴う反対側の第2の側部マージンとを備え、後続の隣接するタイルスタックのタイルは、1つのスタック内の前記タイルの前記凹状またはV字形外形が前記後続の隣接するタイルスタック内の前記タイルの前記凸状または逆のV字形外形に重なるように、配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記タイルは、少なくとも1つの炭素繊維層と、接合材料と、少なくとも1つの放射線減衰材料とを備えている複合材料から製造されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記接合材料は、熱硬化性樹脂、ポリエステル、ビニルエステル、ポリアミド、またはそれらの組み合わせを備えている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を備えている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記放射線減衰材料は、タングステン、鉛、ビスマス、アンチモン、バリウム、およびタンタル、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される金属を備えている、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記複合材料は、アラミド、アルミニウム、超高分子量ポリエチレン、およびガラス繊維、およびそれらの組み合わせから成る群から選択される材料をさらに備えている、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記複合材料は、複数の炭素繊維層と、接合材料と放射線減衰材料の粒子との混合物とを備えている、請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記放射線減衰材料は、箔またはフィルム様構造を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項19】
前記放射線減衰材料は、前記接合材料内に混合される粉末を含み、前記混合物は、前記繊維のうちの少なくとも1つの上に適用される、請求項12に記載の装置。
【請求項20】
前記タイルは、放射線減衰材料と混合された熱可塑性材料から製造されている、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、その内容全体が参照することによって本明細書に組み込まれる2019年1月2日に出願された仮特許出願第US62/787,636号(代理人整理番号46125-706.101)の利益を主張する。
(発明の分野)
【0002】
本発明は、放射線減衰/遮蔽を提供する堅い構造およびその複合材料に関する。
本発明のいくつかの実施形態は、放射線遮蔽装置に関連し、放射線遮蔽装置は、
タイルの複数の位置付け可能な放射線遮蔽スタックであって、スタックは、スタックの連続した構成において続いて、隣接して配置される、スタック;および、スタックまたは後退位置と拡張位置との間でスタック内のタイルの移動を可能にするように構成されたタイル位置付け機構を備え、拡張位置では、複数の放射線遮蔽スタックの各々のタイルは、その対応する対向側部マージンにおいて後続の隣接するタイルスタックのタイルに部分的に重なる。
【背景技術】
【0003】
X線機器は、医療設定における診断ツールとしてのものを含む種々の用途およびシステムで日常的に使用される。結果として、X線システムを動作させる医療提供者および技術職員は、放射線の累積線量にさらされ得、そのようなX線暴露によって害を及ぼされ得る。したがって、医用画像の分野および技術では、そのような累積放射線暴露を防止または少なくとも最小化し、健康上の危険性を低減させるための改良された機器設計、材料、および方法論の継続的必要性が存在する。X線遮蔽機器は、迷放射線からの暴露を規定レベルを下回るまで低減させるためのこの努力の一部である。
【0004】
本発明の分野および技術内の例示的教示が、以下の開示において本発明の出願者によって提供される:第US8,439,564号および第8,113,713号、および第WO2017/083437号(本明細書に完全に記載された場合のように参照することによって組み込まれる)。
【0005】
本分野内の追加の開示は、第US6,325,538号(特許文献1)、第US8,460,777号、第US7,897,949号、第US5,525,408号、第US5,099,134号、第US2003/174802号、第US2017/278585号、第JP6391149号、第CN205959627U号、および第CN103045983号(本明細書に完全に記載された場合のように参照することによって組み込まれる)を含む。
【0006】
例示的放射線遮蔽装置は、以下の開示:米国特許出願第2018/0168525号および第2018/0249972号に説明され、本明細書に完全に記載された場合のように参照することによって組み込まれる。
放射線遮蔽機器に関連付けられる課題の中に、好ましくは、低重量であるが堅く、十分な放射線遮蔽/遮断特性を有する材料を使用して、可能な限り完全な遮蔽を維持するための要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6,325,538号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、放射線遮蔽タイルの隣接するスタックを含む放射線遮蔽装置に関し、放射線遮蔽タイルの隣接するスタックは、装置の外側のエリアの放射線遮蔽のために拡張されることができるか、または、散乱放射線への暴露を少なくとも軽減し得る。そのような遮蔽は、X線放射システム(例えば、蛍光透視システムのCアーム)とともに、その近くで作業する職員および技術者への放射線暴露を限定すること/低減させることを意図している。
【0009】
本発明は、タイル位置付け機構を伴うタイルのスタックを有する装置を提供し、タイル位置付け機構は、後退スタック位置と拡張位置との間でタイルを移動させることを可能にする。タイルは、タイルが後退位置にあるときにコンパクトな収縮配置を提供し、タイルが拡張位置にあるときに放射線の漏出を最小化する独特の構造を有する。タイルは、放射線漏出を軽減するための独特の構造を伴う側部マージンを含む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、装置は、
X線システムの放射線源または放射線検出器に動作可能に接続可能な支持ベースを含む少なくとも1つの放射線シールドアセンブリと、
タイルの複数の位置付け可能な放射線遮蔽スタックであって、スタックは、続いて、スタックの連続した構成に隣接して配置される、スタックと、
スタックまたは後退位置と拡張位置との間でスタック内のタイルの移動を可能にするように構成されたタイル位置付け機構であって、拡張位置では、複数の放射線遮蔽スタックの各々のタイルは、その対応する対向側部マージンにおいて後続の隣接するタイルスタックのタイルに少なくとも部分的に重なる、タイル位置付け機構と
を含み得る。
【0011】
タイルは、複合放射線遮蔽材料を含み得る。この複合材料は、装置が低重量であるが堅ことを可能にし、依然として、放射線遮蔽を提供する。本明細書に開示される複合材料を含む構造は、その実装に応じて、材料成分の種々の組み合わせ、種々の層、および/または層の組み合わせ、および/または層の順列で、および平坦または非平坦として、構成され得る。
【0012】
平坦ではない構成の特定の例は、放射線漏出を軽減するために特に有用であり得るタイルの一方または両方の側部マージンにある。そのような側部マージンの構成は、V字形部分、波形構成、および/またはジグザグパターン、またはそれらの組み合わせを含み得る。そのような構成(例えば、波形およびジグザグ)は、追加の線形空間を使用/要求することなく、隣接するタイルの側部マージンの増加した表面積の安定した重複を可能にし、放射線が潜在的に漏出するためのより蛇行性の経路を提供し、それによって、放射線漏出の可能性および/または量を低減させる。V字形またはジグザグ(および波の頂点/谷)の縁(隆起の頂点)は、タイルスタックの拡張方向と平行な軸A1を画定する。すなわち、縁(隆起の頂点)は、タイルスタックの移動の方向と平行である。
【0013】
本発明の利点は、(a)特に、放射線シールドの角における放射線漏出を低減させることを含み得る放射線暴露の低減(すなわち、より包括的な放射線シールドを提供すること)と、(b)隣接する放射線遮蔽タイルまたはタイルスタックセグメント(すなわち、タイルのスタック)の重複を改良し、それによって、放射線漏出を軽減することと、(c)放射線シールドの改良された強度および/または安定性を提供することとを含み得る。そのような重複の改良された構成またはパターンの例は、上記に記述される、すなわち、波形、V字形、およびジグザグである。再度、タイルの縁辺縁の特定の形状、または、タイルが遮蔽構造の面を形成するか、またはその角を含むかどうかにかかわらず、重複側部マージンにおけるV字形またはジグザグの縁(隆起の頂点)および/または波の頂点/谷は、タイルスタックの拡張方向と平行な軸A1を画定する。
【0014】
したがって、本発明の側面は、
タイルの複数の位置付け可能な放射線遮蔽スタックであって、スタックは、続いて、スタックの連続した構成に隣接して配置される、スタックと、
スタックまたは後退位置と拡張位置との間でスタック内のタイルの移動を可能にするように構成されたタイル位置付け機構であって、拡張位置では、複数の放射線遮蔽スタックの各々のタイルは、その対応する対向側部マージンにおいて後続の隣接するタイルスタックのタイルに少なくとも部分的に重なる、タイル位置付け機構と
を備えている放射線遮蔽装置に関連する。
【0015】
1つ以上の実施形態において、タイルおよび対応する対向側部マージンは、平坦ではない。
【0016】
1つ以上の実施形態において、平坦ではない対応する対向側部マージンは、ジグザグまたはV字形外形を有する。
【0017】
1つ以上の実施形態において、平坦ではない対応する対向側部マージンは、波形またはS字形外形を有する。
【0018】
1つ以上の実施形態において、タイルのスタックは、各面が少なくとも1つのタイルスタックを含む2つ以上の面と、その2つの隣接する面を接続するコーナータイルスタックとを有する構造を形成する。
【0019】
1つ以上の実施形態において、タイルのスタックは、各面が少なくとも1つのタイルスタックを含む少なくとも3つの面と、その2つの隣接する面を接続するコーナータイルスタックとを有する構造を形成する。
【0020】
1つ以上の実施形態において、タイルのスタックは、各面が少なくとも1つのタイルスタックを含む4つの面と、その2つの隣接する面を接続する4つのコーナータイルスタックとを有する構造を形成する。
【0021】
1つ以上の実施形態において、コーナータイルスタックは、2つの隣接する面の間の少なくとも約90°角度のエリアを覆う。
【0022】
1つ以上の実施形態において、タイル位置付け機構は、レールとスライド要素とを含み、スタック内の隣接する(上側または下側)タイルのレールの長さに沿って1つのタイルのスライド要素のスライドを可能にするように構成される。
【0023】
1つ以上の実施形態において、スタック内のレールおよびスライド要素は、段階的構造形態に配置され、それによって、スタック内のタイルのコンパクトな構造を提供する。
【0024】
1つ以上の実施形態において、スタック内のレールおよびスライド要素は、入れ子構造形態に配置され、それによって、スタック内のタイルのコンパクトな構造を提供する。
【0025】
1つ以上の実施形態において、スタック内のタイルは、タイルのレールおよび連続的に隣接するタイルのそれぞれのスライド要素をその中に収容するための陥凹を含む。
【0026】
1つ以上の実施形態において、スタックのスタックされて隣接するタイルの陥凹は、1つのタイルの1つの陥凹が、第2の隣接するタイルの第2の陥凹を少なくとも部分的に収容し、それによって、スタック内のタイルのコンパクトな構造を提供するように、1つのタイルの陥凹が、その連続的に隣接するタイルの陥凹に対して対応して配置されるように配置される。
【0027】
1つ以上の実施形態において、各タイルは、凹状またはV字形外形を伴う第1の側部マージンと、凸状または逆のV字形外形を伴う反対側の第2の側部マージンとを備え、後続の隣接するタイルスタックのタイルは、1つのスタック内のタイルの凹状またはV字形外形が、後続の隣接するタイルスタック内のタイルの凸状または逆のV字形外形に重なるように、配置される。
【0028】
タイルの材料および構造は、炭素繊維および接合材料の1つ以上の層と、放射線減衰材料の1つ以上の層とを含み得る。いくつかの設計では、本明細書に開示されるタイルは、接合材料と1つ以上の放射線減衰材料との混合物内に組み込まれた炭素繊維の1つ以上の層を含む。いくつかの設計では、本明細書に開示されるタイルは、放射線減衰材料およびポリマー混合物の1つ以上の層を含む。本明細書に開示される材料から取得される構造は、堅く、低重量であり、平坦または非平坦であり、放射線遮蔽特性を保有することができる。
【0029】
本発明の側面は、放射線減衰複合材料を備えている剛/半剛構造に関連し、複合材料は、1つ以上のポリマーおよび1つ以上の放射線減衰材料の混合物を備え、取得された構造は、単層構造である。
【0030】
1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料は、1つ以上のポリマー内に実質的に均質に分散させられる粉末として提供される。
【0031】
本発明のさらなる側面は、放射線減衰複合材料に関連し、複合材料は、1つ以上の炭素繊維層と、接合材料と、1つ以上の炭素繊維層の上および/または間に適用される放射線減衰材料とを備えている。
【0032】
本発明のその上さらなる側面は、炭素繊維および接合材料の1つ以上の層と、炭素繊維層のうちの1つ以上のものの上および/または間に適用される放射線減衰材料とを備えている放射線減衰複合材料に関連する。
【0033】
本発明のその上さらなる側面は、炭素繊維の1つ以上の層と、炭素繊維の1つ以上の層の上および/または間に適用され、それに少なくとも部分的に接着するように構成された接合材料と、1つ以上の炭素繊維層の上および/または間に適用される放射線減衰材料とを備えている放射線減衰複合材料に関連する。
【0034】
本発明のその上さらなる側面は、本明細書に開示される放射線減衰複合材料から取得される構造に関連する。本発明のその上さらなる側面は、本明細書に開示される放射線減衰構造から取得される放射線遮蔽装置に関連する。
【0035】
1つ以上の実施形態において、本明細書に開示される構造は、接合材料を含む。1つ以上の実施形態において、本明細書に開示される構造は、接合材料を含まない。
【0036】
1つ以上の実施形態において、接合材料は、ポリマーである。
【0037】
1つ以上の実施形態において、接合材料は、熱硬化性樹脂、ポリエステル、ビニルエステル、ナイロン、およびそれらの組み合わせから選択される。1つ以上の実施形態において、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である。1つ以上の実施形態において、本明細書に開示される構造は、熱硬化性樹脂、ポリエステル、ビニルエステル、ナイロン、およびそれらの組み合わせから選択される接合材料を含まない。1つ以上の実施形態において、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である。1つ以上の実施形態において、本明細書に開示される構造は、熱硬化性樹脂を含まない。
【0038】
1つ以上の実施形態において、本明細書に開示される構造は、炭素繊維を含まない。
【0039】
1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料は、金属である。1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料は、タングステン、鉛、ビスマス、アンチモン、バリウム、およびタンタル、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される金属である。
【0040】
1つ以上の実施形態において、複合材料は、アラミド(例えば、商標名Kevlar、Nomex、Technora、およびTwaronによって公知であり得るポリパラフェニレンテレフタルアミド等)、アルミニウム、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ガラス繊維、およびそれらの組み合わせから選択される材料をさらに含む。
【0041】
1つ以上の実施形態において、接合材料および放射線減衰材料は、放射線減衰材料および接合材料の粒子状物質を備えている液体または半固体の実質的に均質な混合物として提供される。
【0042】
1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料は、箔の形態を有する。
【0043】
1つ以上の実施形態において、複合材料は、炭素繊維および接合材料の1つ以上の層と、放射線減衰材料の1つ以上の層とを備えている層状構造として配置される。
【0044】
1つ以上の実施形態において、複合材料は、0.1mmの厚さを有する鉛箔の減衰能力と同等以上である放射線減衰能力を有する。
【0045】
1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料の層は、0.1mmの厚さを有する鉛箔の減衰能力と同等以上である放射線減衰能力を有する。
【0046】
1つ以上の実施形態において、炭素繊維の層は、少なくとも約0.05mmの厚さを有する。
【0047】
1つ以上の実施形態において、炭素繊維は、層状構造の外側表面を画定する。1つ以上の実施形態において、炭素繊維の少なくとも2つの隣接する層が、放射線減衰材料によって互いに間隔を置かれ、または分離される。1つ以上の実施形態において、複合材料は、炭素繊維の第1および第2の層と、放射線減衰材料の第3の層と、炭素繊維の第3および第4の層とを備えている。1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料層は、炭素繊維層の間に配置される。
【0048】
1つ以上の実施形態において、複合材料は、実質的に均質な組成物が適用される炭素繊維の1つ以上の層を備えている。
【0049】
1つ以上の実施形態において、実質的に均質な組成物は、15重量%~95重量%の放射線減衰材料および接合材料を備えている。1つ以上の実施形態において、実質的に均質な組成物は、15重量%~60重量%の放射線減衰材料および接合材料を備えている。1つ以上の実施形態において、実質的に均質な組成物は、15重量%~80重量%の放射線減衰材料および接合材料を備えている。
【0050】
1つ以上の実施形態において、複合材料は、実質的に均質な組成物が適用される炭素繊維の4つの層を備えている。
【0051】
1つ以上の実施形態において、(例えば、加熱による、高い圧力を加えることによる、または周囲環境における単純な乾燥による)硬化に続いて、堅い低重量の放射線減衰製品が、少なくとも約0.3mmの厚さを有して取得される。
【0052】
1つ以上の実施形態において、複合材料は、2つ以上のタイプの放射線減衰材料を備えている。
【0053】
その上さらなる側面において、本発明は、本明細書に説明されるような放射線減衰複合材料によって生産される堅い構造を提供する。1つ以上の実施形態において、構造は、放射線遮蔽特性を有する。1つ以上の実施形態において、構造は、堅いタイルである。1つ以上の実施形態において、構造は、平坦ではない堅い構造である。1つ以上の実施形態において、構造は、曲線状である。1つ以上の実施形態において、タイルは、スライド機構に適応するための1つ以上の曲線を含む。1つ以上の実施形態において、スライド機構は、レールを含む。1つ以上の実施形態において、レールは、線形である。1つ以上の実施形態において、スライド機構は、スライド機構に沿ってスライドし得るスライド要素と、レールとを含む。1つ以上の実施形態において、スライド機構は、摩擦レギュレータ要素、または軸受要素(例えば、玉軸受)、または同様のものを含む。
【0054】
その上さらなる側面において、本発明は、接合材料と、1つ以上の放射線減衰材料の粒子状物質とを備えている実質的に均質な放射線減衰組成を提供する。
【0055】
1つ以上の実施形態において、接合材料は、熱硬化性樹脂、ポリエステル、ビニルエステル、ナイロン、およびそれらの組み合わせから選択される。1つ以上の実施形態において、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂である。1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料は、タングステン、鉛、ビスマス、アンチモン、バリウム、タンタル、およびそれらの組み合わせから選択される金属である。
【0056】
別様に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術または/および科学用語は、本発明が関連する当業者によって一般的に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に説明されるものに類似する、またはそれと同等である方法および材料が、本発明の実施形態の実践または試験で使用されることができるが、例示的方法または/および材料が、下で説明される。対立の場合、定義を含む本特許明細書が、優先するであろう。加えて、材料、方法、および例は、例証的にすぎず、必ずしも限定的であることを意図していない。
(参照による組み込み)
【0057】
本明細書に述べられる全ての出版物、特許、および特許出願は、各個々の出版物、特許、または特許出願が、参照することによって本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
本発明の新規の特徴が、添付の請求項に詳細に記載される。本発明の特徴および利点のさらなる理解が、本発明の原理が利用される、例証的実施形態を記載する以下の詳細な説明、および付随する図面を参照することによって、取得されるであろう。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態は、付随する図面を参照して、一例のみとして本明細書に説明される。ここで具体的に図面を詳細に参照すると、示される詳細が、一例として、本発明の実施形態の例証的議論の目的のために示されることが強調される。この点に関して、図面と得られる説明は、本発明の実施形態が実践され得る方法を当業者に明確にする。
【0060】
図面では、
【0061】
図1図1は、従来技術の放射線遮蔽装置を含むX線システムの一部、主に、その例示的Cアームの斜視図である。
【0062】
図2図2は、本発明の実施形態による、放射線保護/遮蔽装置の一部の斜視図である。
【0063】
図3図3は、そのための拡張・後退またはタイル位置付け機構を有する後退位置における装置の放射線遮断タイルの2つの後続の隣接するスタックの斜視図である。
【0064】
図4図4は、そのための拡張・後退またはタイル位置付け機構を有する拡張位置における装置の放射線遮断タイルの2つの後続の隣接するスタックの斜視図である。
【0065】
図5図5は、後退位置における本明細書の装置の3つの放射線遮断タイルのスタックの上面図である。
【0066】
図6図6は、図5の斜視図である。
【0067】
図7図7は、各々が後退位置における本明細書の装置の4つの放射線遮断タイルを有するスタックおよび後続の隣接するコーナースタックの上面図である。
【0068】
図8図8は、各々がジグザグ外形を有する側部マージンを伴う放射線遮断タイルを有するスタックおよび後続の隣接するスタックの上面図である。
【0069】
図9図9は、各々がS字外形を有する側部マージンを伴う放射線遮断タイルを有するスタックおよび後続の隣接するスタックの上面図である。
【0070】
図10図10は、外部炭素繊維層と、接合材料、第1の放射線減衰材料、および第2の放射線減衰材料を備えている実質的に均質な組成物の中間層とを備えている複合材料を図式的に図示する。
【0071】
図11図11は、接合材料、第1の放射線減衰材料、および/または第2の放射線減衰材料を備えている実質的に均質な組成物と組み込まれる炭素繊維の1つの層を備えている例示的複合材料を図式的に図示する。
【0072】
図12図12は、各々が接合材料、第1の放射線減衰材料、および/または第2の放射線減衰材料を備えている実質的に均質な組成物と組み込まれる炭素繊維の2つの層を備えている例示的複合材料を図式的に図示する。
【0073】
図13図13は、第1の放射線減衰材料および第2の放射線減衰材料を伴うサンドイッチ構造を作製する3つの炭素繊維層を備えている例示的複合材料を図式的に図示する。
【0074】
図14図14A-14Bは、本発明のいくつかの実施形態による、各2つの層が放射線減衰材料の中間層によって間隔を置かれる炭素繊維および接合材料の4つの層を備えている複合材料(図14B)から製造される例示的タイル構造(図14A)を図式的に図示する。
【0075】
図15図15は、各4つの層が、放射線減衰材料の中間層によって間隔を置かれる炭素繊維および接合材料の8つの層を備えている例示的複合材料を図式的に図示する。
【0076】
図16図16は、各2つの層が第1の放射線減衰材料の層と第2の放射線減衰材料の層とを有する二重中間層によって間隔を置かれる炭素繊維および接合材料の4つの層を備えている例示的複合材料を図式的に図示する。
【0077】
図17図17は、炭素繊維の4つの層と接合材料とを備えている例示的複合材料を図式的に図示し、各2つの層は、第1の放射線減衰材料の層と第2の放射線減衰材料の層とそれらの間の炭素繊維の層とを有する三重中間層によって間隔を置かれている。
【0078】
図18図18は、炭素繊維の4つの層と接合材料とを備えている例示的複合材料を図式的に図示し、各2つの層は、第1の放射線減衰材料の層と、第2の放射線減衰材料の層と、その間のスペーサ層とを含む三重中間層によって間隔を置かれる。
【0079】
図19図19A-19Bは、X線撮像システムから放出される放射線を遮断する放射線遮蔽装置内の遮蔽要素として使用される例示的曲線状タイル構造(図19A);および、炭素繊維および接合材料の2つの層と放射線減衰材料の中間層とを有する複合材料から製造されるタイル(図19B)を図式的に図示する。
【0080】
図20図20A-20Bは、放射線減衰材料およびポリマー材料の単一層組成物を有する複合材料(図20B)から製造される例示的曲線状タイル構造(図20A)を図式的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0081】
例証を簡単かつ明確にするために、図に示される要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。例えば、要素のうちのいくつかの寸法は、明確にするために互いに対して誇張されている。さらに、適切と見なされる場合、参照番号は、対応する要素を示すために図の間で繰り返されている。
【0082】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態は、一例のみとして提供されることが当業者に明白であろう。多数の変形例、変更、および代用が、ここで、本発明から逸脱することなく当業者に想起されるであろう。本明細書に説明される本発明の実施形態の種々の代替物が、本発明を実践する際に採用され得ることを理解されたい。以下の請求項は、本発明の範囲を定義し、これらの請求項およびそれらの均等物の範囲内の方法および構造は、それによって網羅されることが、意図される。
【0083】
本発明は、本明細書に説明される特定の方法論、デバイス、アイテム、または製品等が、当業者が認識するであろうように変動し得るので、これらに限定されないことを理解されたい。本明細書で使用される用語が特定の実施形態を説明する目的のみのために使用され、本発明の範囲を限定することを意図していないことも理解されたい。以下の例示的実施形態は、説明および理解を容易にするために、放射線遮蔽装置およびその一部との関連で説明され得る。しかしながら、本発明は、具体的に説明される製品および方法に限定されず、本発明の全体的範囲から逸脱することなく、種々の用途に適合され得る。本明細書に開示される全ての範囲は、終点を含む。用語「または」の使用は、具体的文脈が別様に示さない限り、「および/または」を意味すると解釈されるものとする。
【0084】
本発明は、放射線/X線源および/または画像増強器を包囲し、それによって、散乱放射線への暴露から周辺を保護するように、放射線放出システム(例えば、X線システム)の中に組み込まれ得る放射線遮蔽装置およびデバイスに関連する。
【0085】
用語「X線」およびその派生語は、用語「放射線」およびその派生語と同義的に使用され得る;しかしながら、大部分は、用語「X線」が、本発明の範囲を限定する意図なく、理解の容易性および読みやすさのために使用されるであろう。
【0086】
本発明の特徴は、放射線遮蔽装置の連続したシールドを形成することにおいて有用な放射線不透過性タイル(またはこれらのタイルを保持するセグメント)に関連する。本明細書に開示されるタイルから形成される放射線遮蔽装置は、蛍光透視撮像手技中にX線システムによって放出される散乱放射線への暴露からの周辺の保護を提供することにおいて有用である。
【0087】
本発明の放射線遮蔽装置/デバイスは、放射線遮断タイルの連続的に配置されたスタックのアセンブリを含む。各スタックは、複数のタイルを含む。スタック/セグメントは、複数のタイルを有する拡張可能かつ収縮可能なタイルスタックを形成するように、互いに連続的に配置され、互いに移動可能に接続され(それに関連付けられ)、各2つの隣接するスタックおよびそれらのタイルは、部分的に重複し、連続した放射線シールドを形成する。
【0088】
本明細書に開示されるタイルは、その側部マージンにおいて(またはその中に含まれる)、複数のタイルを有するセグメント/スタックを形成するための延長部を含み、1つのスタックのタイルの延長部(または側部マージン)は、隣接するスタックのタイルの延長部(側部マージン)に幾何学的に合致し(対応し)、それに少なくとも部分的に重複し、それによって、連続した放射線シールドを形成するように、配置される。
【0089】
タイルスタックのタイル(特に、セグメント)は、展開可能である。換言すると、タイルは、コンパクトな/後退位置で互いに平行に配置され(例えば、図3参照)、展開され、拡張された放射線不透過性障壁を形成することができる(例えば、図4参照)。タイルスタックは、拡張位置から後退可能でもあり、展開されたタイルは、随意に、スライド機構を介して、互いの上に戻るようにスライドし、コンパクトな/後退位置に戻る。
【0090】
1つ以上の実施形態において、タイルは、フレームがない、または周辺フレームを含まない。後退位置にあるとき、コンパクトな軽量セグメントスタックが、形成される。
【0091】
セグメントは、連続的に配置され、タイル/セグメントスタックのアセンブリの角に配置され、X線撮像の領域に及ぶ形状を形成するコーナータイルを有するコーナーセグメントを含む。放射線遮蔽アセンブリは、少なくとも2つの面、少なくとも3つの面、少なくとも4つの面、または少なくとも5つの面を含み得る。コーナータイルを伴うコーナーセグメントは、遮蔽装置のアセンブリ内の隣接する面のタイルセグメント間の少なくとも約90°角度エリアに及び、それによって、角エリア全体を覆い得る。コーナータイルを伴うコーナーセグメントは、遮蔽装置のアセンブリ内の隣接する面のタイルスタックの間の少なくとも約90°~約120°角度エリアに及び、それによって、角エリア全体を覆い得る。コーナータイルを伴うコーナーセグメントは、例示的正方形/長方形様アセンブリ内の約90角度エリアに及び、それによって、遮蔽装置のアセンブリ内の隣接する面のタイルスタックの間の角エリア全体を覆い得る。コーナータイルを伴うコーナーセグメントは、例示的五角形様アセンブリ内の約108°角度エリアに及び、それによって、遮蔽装置のアセンブリ内の隣接する面のタイルスタックの間の角エリア全体を覆い得る。コーナータイルを伴うコーナーセグメントは、例示的六角形様アセンブリ内の約120°角度エリアに及び、それによって、遮蔽装置のアセンブリ内の隣接する面のタイルスタックの間の角エリア全体を覆い得る。
【0092】
図1は、従来技術の放射線遮蔽装置を図式的に図示する。装置は、患者のX線画像を実施するためのX線システムの典型的Cアーム20と併せて示される。X線システムは、放射源22と、Cアーム20の対向端上に搭載される放射線検出器24とを含む。装置は、放射線不透過性または放射線減衰/遮断シールドを含み、放射線不透過性または放射線減衰/遮断シールドは、支持ベース30を有する少なくとも1つの放射線シールドアセンブリ28(例えば、図示されるように、患者の上方および下方にある)を含み、支持ベース30は、放射源22に動作可能に接続可能であり、および/または放射線検出器24に接続され、それらは、Cアーム20の反対端上に搭載されている。
【0093】
放射線シールドアセンブリ28は、複数の放射線シールドスタック32を含み、複数の放射線シールドスタック32は、複数のスタックタイル(図2に示されるタイル134等)を含む。これらの放射線シールドスタック32は、支持ベース30に対して連続的に位置付けられ、それによって、連続した構成で放射線不透過性スクリーン放射線減衰/遮断シールドを形成する。
【0094】
シールドアセンブリ28は、患者の身体領域の周辺に及ぶための自由端38を有する。放射線シールドスタック32およびそのタイル134は、選択された長さまで伸び、または収縮し、患者またはX線台等の物体に近接してそれぞれの自由端38を位置付けるように制御可能である。
【0095】
使用時、放射線源22および放射線検出器24は、患者、特に、患者の特定の部分の反対側に位置付けられる。放射線源22は、放射線検出器24に向かって患者の特定の部分を通過するX線ビームを放出し、放射線検出器24は、X線放射への暴露を記録し、画像またはビデオフィードをコンピュータおよび/またはディスプレイに送信する。
【0096】
図2は、X線システム等に動作可能に接続可能である放射線保護装置の一部を構成する本発明の例示的放射線シールドアセンブリ128を図式的に図示する。放射線シールドアセンブリ128は、放射線源22および/または放射線検出器24に接続可能である支持ベース130に動作可能に接続される。
【0097】
アセンブリ128は、放射線シールドスタック132(タイルのスタック)を含み、放射線シールドスタック132は、支持ベース130から連続的に配置されるように動作可能に延び、それによって、X線手技中に撮像エリアに及ぶために構成される連続した放射線不透過性障壁を形成する。放射線シールドスタック132は、選択された長さまで拡張および後退するように、個別かつ能動的に制御可能であり得、換言すると、スタック132のそれぞれのタイル134は、拡張および後退位置(部分的または完全後退/拡張位置を含む)まで移動可能である。タイル134は、それぞれのスタックセグメントを構成する、またはその一部であると見なされることができ、したがって、用語「スタックセグメント」、「スタックタイル」、および「タイル」、およびそれらの派生語は、本明細書および請求項の全体を通して同義的に使用され得る。アセンブリ128は、患者を包囲することを支援し、散乱放射線への暴露を限定することに役立つように、例えば、自由端に旋回可能に取り付けられたスタック132の自由端138におけるフラップ136も含み得る。スタック132は、図2に図示されるように、最も内側のタイル134を介して支持ベース130に取り付けられることができる。代替として、スタック132は、最も外側のタイル134を介して支持ベース130に取り付けられることができる。さらに、最も外側のタイル134の自由端138が、支持ベース146およびブラケット147を介してフラップ136に接続される。
【0098】
図3および4の各々は、後退および拡張位置におけるスタックタイル134を示し、拡張および後退は、後退・拡張またはタイル位置付け機構140を使用して実施されることができる。後退構成(図3)では、タイル134は、互いに平行に配置され、スタックされたコンパクトな構造を形成する。タイル位置付け機構140は、図示されるように線形であり得る1つ以上のレール142と、それぞれのレール142に沿ってスライドするように構成されるスライド要素144とを含み得る。各タイル134は、少なくとも1つのレール142と、少なくとも1つのスライド要素144とを含む。随意に、各タイル134は、2つのレール142と、2つのスライド要素144とを含む。図4から分かり得るように、コンパクトな後退させられた形態を可能にするために、一方のタイル134aのレール142aは、他方のタイル134bのレール142bにオフセットして配置される。同様に、コンパクトな後退させられた形態を可能にするために、一方のタイル134aのスライド要素144aは、他方のタイル134bのスライド要素(図示せず)にオフセットして配置される。すなわち、取得されたタイル位置付け機構140は、コンパクトなスタック構造を促進する段階的構造を提示する。
【0099】
タイル位置付け機構140は、示されていない摩擦レギュレータ要素、または軸受要素(例えば、玉軸受)等を含み得、例えば、単に、所望の位置まで押し引きすること、または示されていないハンドクランク(ラックアンドピニオンデバイスまたは滑車機構を含み得る)を含むことによって、手動動作のために構成され得る。代替として、または加えて、タイル位置付け機構140は、モータ、例えば、電気モータを含む電動機構、または示されていない空気圧または油圧機構をさらに含み得る。
【0100】
図3および4はまた、タイル134がタイル側部マージン148を有することも図示する。側部マージン148は、効率的な放射線保護を提供するために重要であり、好ましくは、例えば、図示されるように、1つ以上の略V字形またはL字形隆起を有する平坦ではない構成を有する。しかしながら、他のそのような構成、例えば、波形またはS字形構成(図9に示される)も、効率的である。図3は、スタックされ隣接した側部マージン148が、各スタック132内で次のものにどのように対応し、スタックの両側において、スタック132間においてもどのように対応しているかも図示する。図4も、近隣の隣接するスタック132の近隣のタイル134の側部マージン148がどのように対応し、スタックされて隣接するタイル間でどのように対応しているかも図示する。示されるように、各タイル134は、タイル134の第1の側部マージンにおける凹面様構造148a(図3)と、タイル134の第2の反対側の側部マージンにおける凸面様構造148bとを含む。そのような凹面・凸面構造は、実質的に安定したシールドを構成し、スタック132内のタイル134は、展開されたときに互いに保持し、スタックおよび/またはタイルのうちの任意のもののどんな分離も伴わずに、安定した連続した放射線減衰構造/障壁を維持する。
【0101】
したがって、1つのスタック132のタイル134が、タイル134の対向する/近隣の側部(側部マージン148)が、隣接するスタックのタイルの側部(側部マージン)に少なくとも部分的に重なるように、配置および配列されることを理解されたい。同様に、タイル134は、その底および上端が、図4に図示されるように、同じスタックの他の垂直に(スタックされて)配置された隣接するタイルの上および底端に重なるように、配置および配列される。底端と上端との間のそのような重複は、タイル位置付け機構140の要素の重複によって形成されることができる。結果として、最小限の放射線漏出を伴う隣接閉鎖および保護シールドが、中に散乱するX線放射から保護するために提供される。
【0102】
図5は、タイル位置付け機構140のレール142およびスライド要素144を示し、それらは、タイル134の1つ以上のくぼみまたは陥凹150内に、特に、各スタック132の1つ以上のスタック可能に隣接するタイル134に対応する陥凹によって形成された空間または空隙内に配置および収容されている。用語「スタック可能に」は、タイルが後退位置にあるとき、タイル134が同じスタック132の後続のタイルの上方(または下方)にあるものである状況を指す。くぼみ/陥凹150の構成の結果として、隣接するスタック可能なタイル134(例えば、タイル134aおよびタイル134b)は、レール142nおよびスライド要素144nを収容するように、対応して構成されている。そのような対応する構成は、図示されるように、後続のタイル134によって遂行され得、すなわち、タイル134bは、タイル134aの後続であり、タイル134bは、タイル134aの陥凹150aより狭い陥凹150bを有し、陥凹150bは、より狭いトレイがより大きい/広いトレイ内に収まるように、陥凹150a内に収まる。特定の設計では、陥凹150bの幅は、陥凹150aの幅の約3分の2であり、陥凹150cの幅は、陥凹150aの幅の約3分の1および陥凹150bの幅の約半分である。
【0103】
図6は、空間の節約のために重要であるタイル134のコンパクトな入れ子性質をさらに強調する図5の斜視図である。タイル134は、2つのレール142および2つのそれぞれの対応するスライド要素144を伴って図示されるが、しかしながら、変更すべきところは変更して、タイル位置付け機構140は、異なる数のそのようなレールおよびスライド要素、例えば、1つ、または3つ、またはそれを上回るものを含み得ることに留意されたい。
【0104】
レール142nは、タイル134aに接続され、スライド要素144nは、タイル134bに接続される。したがって、スタック132の最も外側のタイル134(タイル134aとして図示される)が、支持ベース146に取り付けられ(図3および4)、後続の隣接する内側のタイル(タイル134b)が、スライド要素144nによって、レール142n上でスライドする。配置は、変更すべきところは変更して、逆も同様であり得、最も内側のタイル134は、支持ベース146に接続され、後続の隣接する外側のタイルは、そのスライド要素144によって、レール142上でスライドすることを理解されたい。
【0105】
図7は、コーナースタック132pを図示する後退位置における4つの放射線遮断タイル134の2つのスタック132の上面図である。コーナースタック132pは、曲線状であるか、または、有効角形成を生産するための曲がりをその中に有する。コーナースタック132pの両側における側部マージン148は、前述で説明されたそれと同じタイル重複を提供する。したがって、スタック132は、例えば、略正方形の外形を有する連続した放射線保護シールドを形成することができるが、他の外形を有するシールド構造も、生産されることができる。コーナースタック132pは、スタック132のアセンブリの構造の2つの面のスタックの間に位置する約90°エリアに及ぶ/を覆う。例えば、放射線シールドアセンブリが、略長方形または正方形様構造を含むとき、コーナースタック132pは、隣接する面のスタックの間の約90°エリア全体を覆う。
【0106】
図8は、近隣の隣接するスタック1032の近隣のタイル1034の側部マージン1048が少なくとも部分的に重なるように、ジグザグ側部マージン外形1048を図示する後退位置における各スタック1032内の3つの放射線遮断タイル1034の2つのスタック1032の上面図である。
【0107】
図9は、近隣の隣接するスタック1132の近隣のタイル1134の側部マージン1148が少なくとも部分的に重なるように、S字形側部マージン外形1148を図示する後退位置における各スタック1032内に3つの放射線遮断タイル1134の2つのスタック1132の上面図である。
【0108】
上記のように、医療提供者および技術職員を保護するために、X線ベースの撮像システムに関連付けられる手技において散乱放射線から周辺を可能な限り遮断する必要性、または散乱放射線を最小化する必要性が存在する。この目的のために、本明細書に説明されるタイルは、図1-9を参照して上で説明されるような構造特徴を有する。これらのタイルは、図10-20を参照して下で説明されるような複合材料から製造されることができる。
【0109】
タイルは、堅いが低重量の放射線減衰材料から製造され得る。好適な材料は、織物(例えば、炭素繊維)と、接合材料(例えば、エポキシ、樹脂)と、1つ以上の放射線減衰材料(例えば、タングステン)とを備えている複合材料を含み得る。さらに好適な材料は、1つ以上のポリマーと、1つ以上の放射線減衰材料(例えば、タングステン)とを備えている複合材料を含み得る。
【0110】
そのような複合材料から取得されるタイル構造は、図1-9を参照して本明細書に開示されるような遮蔽装置において有用である。それにもかかわらず、本発明は、放射線減衰、堅いこと、および低重量の性質が要求される航空宇宙等の種々の追加の分野において有用であり得る他の構造もさらに想定する。
【0111】
本明細書に開示されるタイルまたは他の物品は、1つ以上の熱可塑性材料と、放射線遮断材料のうちの1つ以上とを備えている、単層複合材料から構築され得る。
【0112】
代替として、随意に、または加えて、タイルまたは他の物品(例えば、積層構造)は、繊維の複数の層(例えば、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)の層)と、放射線遮断材料の1つ以上の層とを含む層状構造から構築され得る。例えば、放射線遮断材料は、粉末として、または可撓性フィルムとして供給され得る。随意に、樹脂が、粉末を不動化するために、および/または構造を剛にするために、および/または層を接着するために含まれる。構造は、炭素繊維の外層と、中間の放射線遮断材料の1つ以上の層と(「サンドイッチ」構造)とを含み得る。代替として、タイル構造/他の物品は、炭素繊維の外層と、中間の放射線遮断材料および炭素繊維の1つ以上の層の任意の組み合わせとを含み得る。
【0113】
随意に、炭素繊維は、(例えば、加熱によって、および/または高い圧力を加えることによって、および/または室温における乾燥によって)所望のサイズおよび/または形状に切断され、および/または最終形態に硬質化させられる。
【0114】
随意に、本明細書に開示される複合材料は、放射線減衰材料およびポリマー(例えば、熱可塑性材料)の本明細書に開示される混合物の液体または柔軟未加工材料を金型の中に注入し、冷却して混合物を凝固させ、それによって、堅い構造を取得することによって、形成される。
【0115】
例えば、本明細書に説明される材料は、所望のサイズおよび形状の放射線遮蔽タイルを形成するために使用され得る。
【0116】
最も一般的に使用される放射線減衰材料は、高い密度および原子番号を有する重金属である。したがって、放射線減衰デバイス内にそれらの材料を組み込むことは、当然ながら、結果として生じた物品の重量に影響を及ぼす。
【0117】
接合ポリマーを用いて脱退させられた炭素繊維から、または熱可塑性材料から製造される構造は、剛性および引張強度を提供し、放射線減衰材料は、放射線への暴露を遮断する、またはそれを最小化する。
【0118】
取得された製品/タイルは、さらに有利なこととして比較的に薄くあり得、約0.3mm以上、および、随意に、それを以下の厚さを有する。
【0119】
種々の繊維/織物タイプが、想定される。例えば、繊維は、炭素繊維であり得る。代替として、繊維は、ガラス繊維、アラミド繊維、ホウ素繊維、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0120】
繊維は、可撓性シートまたは可撓性織物の形態であり得る。繊維の厚さは、変動し得、例えば、繊維は、0.05mm以上の厚さを有し得る。例えば、0.1mm以上、または0.125mm以上。
【0121】
種々の熱可塑性材料が、想定される。陽限定的例は、熱可塑性エラストマを含む。
【0122】
本明細書で使用される場合、用語「放射線保護材料」、「放射線減衰材料」、およびそれらの派生語は、放射線への暴露を遮断すること、減衰させること、または少なくとも最小化することが可能な材料を指す。1つ以上の実装では、この用語は、金属または金属合金を含む。放射線減衰材料の非限定的例は、アンチモン、ビスマス、ヨウ素、タングステン、スズ、タンタル、エルビウム、バリウム、鉛、およびそれらの任意の組み合わせを含む。随意に、放射線減衰材料は、粉末として提供される。粉末は、0.1mm以下の(例えば、数ミクロン)平均サイズを有する粒子状物質を含み得る。随意に、放射線減衰材料は、ポリマー等の別の材料と混合され、放射線減衰材料・ポリマー複合材料(例えば、タングステン・ポリマー、鉛・ポリマー、ビスマス・ポリマー、バリウム・ポリマー、および放射線遮断材料とのポリマーの任意の組み合わせ)を形成する。
【0123】
随意に、放射線減衰材料は、薄いシートとして、または層として提供される。随意に、シートまたは層は、ポリマーまたはゴム等の追加の材料を含む。シートまたは層は、可撓性であり得る。シートまたは層は、追加の材料を含むことも、含まないこともある。
【0124】
本明細書で使用される用語「接合材料」およびその派生語は、炭素繊維と組み合わせられたとき、接着剤としての機能を果たし、構造の剛性および強度に寄与する材料を指す。随意に、接合材料は、加熱時、または加圧されたとき、または野外で乾燥されたとき、凝固する。随意に、接合材料は、層が少なくとも部分的に互いに接着することを可能にする糊剤/接合様特性を有する。接合材料は、随意に、繊維に接着し、随意に、少なくとも部分的にそれと統合される。接合材料は、ポリマー、例えば、熱硬化性材料(例えば、ポリアミド)であり得る。接合材料は、熱硬化樹脂であり得る。一例として、熱硬化性樹脂は、ポリエステル、エポキシ、フェノール系、ビニルエステル、ポリウレタン、シリコーン、ポリアミド、およびポリアミドイミドを含み得る。
【0125】
本発明の側面において、放射線減衰材料と、接合材料とを備えている組成物が提供される。組成物は、随意に、接合材料の液体または半固体形態と、その中に分散させられた放射線減衰材料とを含む。放射線減衰材料は、接合材料内に分散させられ、混入され、および/または分配され得る。随意に、放射線減衰材料は、0.1mm以下の直径を有する粒子として、接合材料内に分散させられる。
【0126】
例示的実施形態において、本明細書に開示されるタイル構造または物品は、非層状構造として、代替として、多層構造として製造される。炭素布または炭素織物、および/または放射線減衰材料、および/または接合材料の複数の層が、使用され得る。例示的実施形態において、タイル/物品は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの層から製造される。
【0127】
本明細書で使用される用語「多層」は、用語「複数の層」および「層状」と同義的であり、2つ以上の層を指す。
【0128】
例示的実施形態において、本明細書に開示されるタイル構造/物品は、層状または多層繊維構造として製造される。複数の炭素繊維が、使用され得る。例示的実施形態において、物品は、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つの炭素繊維層から製造される。随意に、炭素繊維は、一方または両方の外部層である。そのような構成は、外側炭素繊維層が物品のための強度、剛性、および/または構造設計を提供するため、有利であり得る。
【0129】
1つ以上の実施形態において、接合材料は、炭素繊維層上に適用され、接着剤特性を可能にし、随意に、炭素繊維の強度を増加させる。
【0130】
随意に、炭素繊維層のうちの少なくとも2つが、放射線減衰材料の層によって間隔を置かれる。
【0131】
放射線減衰材料は、層(例えば、シート)として本明細書に開示される物品内に配置され得る。代替として、または加えて、放射線減衰材料は、接合材料と混合され、炭素繊維に組み込まれ、または適用され得る。故に、物品または構造は、多層であり、接合材料の実質的に均質な組成物および1つ以上の放射線減衰材料が適用される1つ以上の炭素繊維層を含む。
【0132】
層状または多層構造の非限定的例は、放射線減衰材料の中間層を伴う炭素繊維の2つの層を含む。層状または多層構造のその上さらなる例は、放射線減衰材料の中間層を伴う炭素繊維の4つの層を含む。
【0133】
層状または多層構造の別の非限定的例は、接合材料と放射線減衰材料との混合物を用いて合体させられた炭素繊維の2つの層を含む。
【0134】
非層状構造の別の非限定的例は、熱弾力的な材料、および随意に粉末の形態の1つ以上の放射線減衰材料のうちの1つ以上を含む。
【0135】
図10は、実質的に均質な組成物102が適用される第1および第2の炭素繊維層101を有する例示的層状炭素繊維複合材料/構造100を図示する。組成物102は、接合材料103(例えば、エポキシ樹脂)と、第1の放射線減衰材料104と、第2の放射線減衰材料105とを含む。第1の放射線減衰材料104および第2の放射線減衰材料105は、2つの異なる材料であり得るか、または異なる形態(例えば、粉末およびシート)を提示する同じ材料であり得るか、または同じ形態を有する同じ材料であり得る。第1の放射線減衰材料104および第2の放射線減衰材料105の各々は、タングステン、鉛、ビスマス、バリウム、アンチモン、およびタンタル、または他の放射線減衰材料から選択され得る。組成物102は、各炭素繊維層の1つ、2つ、または全ての側面上に適用され得る。結果として生じる製品は、多層であり、有利なこととして、低重量であり、実質的に堅く、放射線を減衰させることが可能である。
【0136】
図11は、接合材料(例えば、エポキシ樹脂)と、1つ以上の放射線減衰材料とを含む組成物202によってその両方の細長い側面上に組み込まれた、1つの炭素繊維層201を有するさらなる例示的構造または複合材料200を図式的に図示する。
【0137】
図12は、さらなる例示的複合材料/構造300を図式的に図示し、例示的複合材料/構造300は、複合材料200に類似するが、2つの炭素繊維層301を有し、2つの炭素繊維層301の各々は、接合材料(例えば、エポキシ樹脂)と1つ以上の放射線減衰材料とを有する組成物302によって、その両方の細長い側面上で包囲される。
【0138】
図13は、さらなる例示的層状複合材料/構造400を図式的に図示する。ここでは、第1の放射線減衰層404および第2の放射線減衰層405の層は、シート様形態を有し、随意に、金属箔またはゴムシートであり得る。放射線減衰層404および405は、2つの炭素繊維層401が放射線減衰層の各々を包囲するように適用される。全体で、構造400は、5つの層、すなわち、3つの炭素繊維層401と、2つの放射線減衰層404および405とを有する。構造400は、2つの異なる放射線減衰層404および405を含むように示されるが、2つの放射線減衰層が同一である類似構造も、本明細書で想定される。接合材料(図10の接合材料103等)が、層間の強度および接着性を促進するために、層の各々の間に適用され得る。随意に、接合材料103(図示せず)は、接合材料を用いて繊維を硬質化または接着させるために、炭素繊維層201の全ての側面上に適用され得る。
【0139】
図14A-14Bは、別の例示的複合材料500(図14B)、および複合材料から製造されるタイル534(図14A)を示す。複合材料500は、放射線減衰材料中間層502の両側に2つの外側炭素繊維層501を含む。樹脂(図示せず)等の接合材料が、強度および接着を促進するために、炭素繊維層間に提供され得る。随意に、接合材料が、炭素繊維層501の全ての側面上に適用され得る。随意に、中間層502は、金属箔または可撓性シート(例えば、ゴムを加えた放射線減衰材料)の形態の放射線減衰材料を含む。結果として生じた多層物品は、0.1mmPbの最小値と少なくとも同等の放射線減衰特性を提供することができる。タイル534は、図14Bに描写されるように、層状構造から組み立てられる。タイル534は、図14Bに示されるような層状構造を図示するが、本明細書に説明され、図に描写されるような代替構造または複合材料が、想定され、タイル534を参照して適用可能であることに留意されたい。タイル534は、X線撮像システム(例えば、図2に示される)から放出される放射線を遮断する放射線遮蔽装置内の遮蔽要素(タイル)として使用される、堅い平坦でない/曲線状構造であり得る。タイル534の1つ以上の陥凹550は、線形レール542および/または他の軸受手段、または同様のもの(図示せず)を収容するように構成されている。タイル534は、糊剤を介して、またはねじ留めすることによって、または他の留め手段によって、スライド機構、軸受手段、摩擦レール、センサのうちの1つ以上のものを保持するように、および/または追加のタイルを取り付けるように構築される。
【0140】
図15は、8つの炭素繊維シートまたは層601と、金属箔または可撓性ゴムシート、または放射線減衰粉末および樹脂の混合物であり得る放射線減衰材料中間層602とを含む多層複合材料/構造600を示す。図10の接合材料103等の接合材料が、強度および接着を促進するために、層の各々の間に適用され得る。随意に、接合材料が、炭素繊維層601の全ての側面上に適用され、それによって、繊維を接合し得る。随意に、接合材料(例えば、エポキシ樹脂)と、1つ以上の放射線減衰材料とを含む組成物が、炭素繊維層601のうちの1つ以上のものの上に適用され得る。
【0141】
図16は、4つの炭素繊維層701と、その中間の2つの放射線減衰層、すなわち、第1の放射線減衰材料を有する層704と、第2の放射線減衰材料を有する層705とを含む複合材料/構造700を示す。図10の接合材料103等の接合材料が、強度および接着を促進するために、層の各々の間に適用され得る。随意に、接合材料が炭素繊維層701の全ての側面上に適用され、それによって、繊維を接合し得る。随意に、接合材料(例えば、エポキシ樹脂)と1つ以上の放射線減衰材料とを含む組成物が、炭素繊維層701のうちの1つ以上のものの上に適用され得る。
【0142】
図17は、全体として7つの層を有する多層複合材料/構造800を示す。4つの炭素繊維層801は、2つの層が、炭素繊維層801を挟む放射線減衰材料802の2つの層によって形成される三重中間層サブ構造によって間隔を置かれるように、配置される。図10の接合材料103等の接合材料が、強度および接着を促進するために、層の各々の間に適用され得る。随意に、接合材料が、炭素繊維層801の全ての側面上に適用され、それによって、繊維を接合し得る。随意に、接合材料(例えば、エポキシ樹脂)と1つ以上の放射線減衰材料とを含む組成物が、炭素繊維層801のうちの1つ以上のものの上に適用され得る。
【0143】
図18は、全体として7つの層を有する多層複合材料/構造900を示す。4つの炭素繊維層901は、2つの層が、第1の放射線減衰材料904の層と、第2の放射線減衰材料905の層と、中間の非放射線減衰スペーサ層906とを含む、三重中間層によって間隔を置かれるように、配置される。スペーサ層906は、発泡体(例えば、ポリウレタンフォーム)、または任意の他の非放射線減衰材料、または非炭素繊維材料から作製され得る。スペーサ層906は、構造900の強度および剛性に寄与する。図10の接合材料103等の接合材料が、強度および接着を促進するために、層の各々の間に適用され得る。随意に、接合材料が、炭素繊維層901の全ての側面上に適用され、それによって、繊維を接合し得る。随意に、接合材料(例えば、エポキシ樹脂)と1つ以上の放射線減衰材料とを含む組成物が、炭素繊維層901のうちの1つ以上のものの上に適用され得る。
【0144】
図19A-19Bは、別の例示的複合材料1000(図19B)および複合材料から製造されるタイル1034(図19A)を示す。三重層状複合材料1000は、放射線減衰材料層1002の中央を挟む、2つの炭素繊維層1001を含む。樹脂(図示せず)等の接合材料が、強度および接着を促進するために、層の間に提供され得る。随意に、接合材料が、炭素繊維層1001の全ての側面上に適用され得る。随意に、中間層1002は、金属箔または可撓性シート(例えば、ゴムを加えた放射線減衰材料)の形態の放射線減衰材料を含む。タイル1034は、X線撮像システム(例えば、図2に示される)から放出される放射線を遮断する、放射線遮蔽装置内の遮蔽要素(タイル)として使用され得る曲線を有する堅い平坦ではない構造である。タイル1034の1つ以上の陥凹1050は、線形レール1042および/または他の軸受手段、または同様のもの(図示せず)を収容するように構成されている。
【0145】
図20A-20Bは、ポリマー(例えば、熱可塑性エラストマ)1102と混合された放射線減衰材料を備えている複合材料/構造1100(図20B)から製造された例示的単一層タイル構造1134(図20A)を図示する。結果として生じる製品は、単一/単層であり、有利なこととして、低重量、実質的に堅いこと、かつ放射線不透過性である。タイル構造1134は、線形レール1142を含み得るスライド機構を収納するための1つ以上の陥凹1150を備えている、平坦ではない曲線状構造である。タイル構造1134は、糊剤を介して、またはねじ留めすることによって、または他の機械的手段によって、スライド機構/軸受手段/センサ/のうちの1つ以上のものを保持する/追加のタイルを取り付けるように構築される。
【0146】
図1-7に提示されるタイル134、図8に提示されるタイル1034、および図9に提示されるタイル1134等の本明細書のタイルのうちのいずれかは、図10-20に示される複合材料等の本明細書に開示される材料のうちのいずれかを組み込み得ることに留意されたい。図示されるように、本発明のタイルは、複数の層から生産され得る。代替として、単一層タイルが、想定される。タイルは、放射線遮蔽装置(例えば、図2に示される)、例えば、Cアームデバイスと統合され得る装置、またはその上に据え付けられ得る装置の一部を構成し得る。本明細書に説明されるように、タイルは、放射線遮蔽特性を要求するが、堅く、軽量で、かつ比較的に薄くあるべきである。
【0147】
随意に、タイルは、(a)箔またはフィルム(例えば、放射線減衰材料の箔および放射線減衰材料を有する可撓性フィルムポリマー)の形態の放射線減衰材料の1つ以上の層と合体される、または接合材料(例えば、樹脂、エポキシ)によって接合される複数の繊維層(例えば、炭素繊維)、(b)接合材料(例えば、樹脂、エポキシ)と(例えば、粉末の形態の)減衰材料の粒子との混合物内に配置され/埋め込まれ、および/またはそれによって接合された複数の繊維層(例えば、炭素繊維)、(c)放射線減衰材料と混合されたポリマーを含む層の任意の組み合わせから作製されることができる。
【0148】
随意に、取得されたタイル製品の厚さは、約0.1mm~約5mmである。例えば、約0.5mm~約5mm、約1mm~約5mm、約1.5mm~約5mm、約0.1mm~約4mm、約0.1mm~約3.5mm、約0.1mm~約3mm、約0.1mm~約2.5mm、約0.1mm~約2mm、約0.1mm~約1.5mm、約0.1mm~約1mm、またはその間の任意の厚さである。
【0149】
随意に、タイルは、約2g/cc~約15g/ccの密度を有する。例えば、約2g/cc~約12g/cc、約2g/cc~約10g/cc、約2g/cc~約8g/cc、約2g/cc~約6g/cc、約2g/cc~約4g/cc、約4g/cc~約15g/cc、約6g/cc~約15g/cc、約8g/cc~約15g/cc、約10g/cc~約15g/cc、またはその間の任意の密度値である。
【0150】
随意に、タイルは、互いに平行にスタックされる2つ以上のタイルの間の相対移動を可能にする形状において、平坦ではない、または曲線状である。動的な移動するタイルを達成するために、各タイルは、1つ以上のレール/スライド/軸受を含み得る。1つ以上のレール/スライド/軸受は、タイル内の1つ以上の陥凹(凹状部分)内に配置され得る。例えば、各タイルは、各々が専用陥凹内に配置される2つのレールを含み得る。随意に、各タイルは、10cm幅あたり1つのレールを含む(例えば、約32cmの幅を有するタイルに関して、3つのレールが、それぞれのタイル陥凹内に組み込まれることができる)。
【0151】
随意に、タイルは、互いに対してタイルの相対移動を可能にするためのタイル位置付け機構を用いて合体させられることができ、縦方向の動的放射線減衰障壁を形成する。種々のスライド機構が、想定され、適用可能である。スライド機構の非限定的例は、線形レール、摩擦レール、線形軸受を伴うスライド機構、ローラを伴うスライド機構、スライドガイドストリップを伴うスライド機構を含む。
【0152】
有利なこととして、取得されたタイルは、放射線減衰特性を提供し、安定性および剛性を可能にする堅さである。さらに有利なこととして、取得されたタイルは、十分に軽量であり、したがって、効率的に動的であり、後退および展開され、それによって、空間を遮蔽し得るスリーブ等の細長い構造として提供されたとき、互いに対してスライドすることが可能である。さらに有利な特性は、タイル構造に関連付けられており、タイル構造は、長期安定性、外力に対する抵抗を達成するために、かつ効率的なスライド性質を可能にするために十分な堅さを依然として提示しながら、厚さにおいて最小限である。
【0153】
本発明のさらに別の側面は、堅い低重量放射線減衰構造を生産する方法であって、方法は、1つ以上の炭素繊維織物を提供することと、1つ以上の層の上および/または間に接合材料を適用することと、1つ以上の層の上および/または間に放射線減衰材料を適用または提供することとを含む、方法に関連する。
【0154】
1つ以上の実施形態において、方法は、炭素繊維を硬化し、それによって、堅いこと放射線減衰構造を生産することを含む。
【0155】
1つ以上の実施形態において、方法は、接合材料および放射線減衰材料を混合し、放射線減衰材料の粒子状物質と、接合材料とを備えている液体または半固体の実質的に均質な混合物を生産することを含む。
【0156】
1つ以上の実施形態において、方法は、炭素繊維の1つ以上の層上に混合物の層を適用することをさらに含む。
【0157】
1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料は、箔またはフィルム様形態である。1つ以上の実施形態において、放射線減衰材料は、粉末形態である。
【0158】
上記に照らして、本発明の側面は、本明細書の上記の開示による、放射線減衰複合材料に関連する。
【0159】
本発明の別の側面は、本明細書の上記の開示による、実質的に均質な放射線減衰組成物に関連する。
【0160】
本発明のさらに別の側面は、本明細書の上記の開示による、複合材料を有する堅いタイル構造に関連する。
【0161】
本発明のさらに別の側面は、本明細書の上記の開示による、複合材料を有する堅い平坦ではない構造に関連する。
【0162】
本発明のさらに別の側面は、本明細書の上記の開示による、堅いタイル構造を含む、医療放射線遮蔽装置に関連する。
【0163】
以下の用語、すなわち「includes(~を含む)」、「including(~を含む)」、「has(~を有する)」、「having(~を有する)」、「comprises(~を備えている)」、および「comprising(~を備えている)」、およびそれらの言語学的均等物の各々は、本明細書で使用されるように、「including, but not limited to(限定ではないが、~を含む)」を意味し、記述された構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、またはステップを規定するものとして解釈されるべきであり、1つ以上の追加の構成要素、特徴、特性、パラメータ、整数、ステップ、またはそれらの群の追加を除外しない。
【0164】
本明細書で使用されるような用語「consisting essentially of(本質的に~から成る)」は、請求項の範囲が、規定要素、および請求されるデバイスおよび材料の基本的および新規特性に著しく影響を及ぼさないものに限定されることを意味する。
【0165】
語句「consisting of」および「consists of」(~から成る)の各々は、本明細書で使用されるように、「including and limited to(限定ではないが、~を含む)」を意味する。
【0166】
本明細書で使用されるような用語「方法」は、限定ではないが、開示される発明の当業者に公知であるか、または当業者によって、公知のステップ、手順、様式、手段、または/および技法から容易に開発されるかのいずれかである、それらのステップ、手順、様式、手段、または/および技法を含む、所与のタスクを遂行するためのステップ、手順、様式、手段、または/および技法を指す。
【0167】
本開示の全体を通して、パラメータ、特徴、特性、物体、または寸法の数値は、数値範囲形式の観点から記述または説明され得る。そのような数値範囲形式は、本明細書で使用されるように、本発明のいくつかの例示的実施形態の実装を図示し、本発明の例示的実施形態の範囲を確固として限定しない。故に、記述または説明される数値範囲はまた、その記述または説明される数値範囲内の全ての可能な部分範囲および個々の数値(数値は、完全数、整数、または分数として表され得る)も指し、包含する。例えば、記述または説明される数値範囲「1~6」はまた、「1~3」、「1~4」、「1~5」、「2~4」、「2~6」、「3~6」等の全ての可能な部分範囲、および「1~6」の記述または説明される数値範囲内の「1」、「1.3」、「2」、「2.8」、「3」、「3.5」、「4」、「4.6」、「5」、「5.2」、「6」等の個々の数値等も指し、包含する。これは、記述または説明される数値範囲の数値範疇、程度、またはサイズにかかわらず、適用される。
【0168】
さらに、数値範囲を記述または説明するために、語句「約第1の数値~約第2の数値の間の範囲内」は、語句「約第1の数値~約第2の数値の範囲内」と同等と見なされ、それと同じものを意味し、したがって、2つの同等の意味の語句は、同義的に使用され得る。
【0169】
用語「約」は、いくつかの実施形態において、記述される数値の±30%を指す。さらなる実施形態において、本用語は、記述される数値の±20%を指す。その上さらなる実施形態において、本用語は、記述される数値の±10%を指す。
【0170】
明確にするために、複数の別個の実施形態の文脈または形式で例証的に説明および提示される、本発明のある側面、特性、および特徴も、単一の実施形態の文脈または形式で、任意の好適な組み合わせまたは副次的組み合わせにおいて例証的に説明および提示され得ることを完全に理解されたい。逆に、単一の実施形態の文脈または形式で、組み合わせまたは副次的組み合わせにおいて例証的に説明および提示される、本発明の種々の側面、特性、および特徴も、複数の別個の実施形態の文脈または形式で例証的に説明および提示され得る。
【0171】
本発明は、その具体的実施形態と併せて説明されたが、多くの代替物、修正、および変形例が、当業者に明白であろうことが明確である。故に、これは、添付の請求項の精神および広義の範囲内に該当する、全てのそのような代替物、修正、および変形例を包含することを意図している。
【0172】
本明細書に述べられる全ての出版物、特許、および特許出願は、各個々の出版物、特許、または特許出願が、参照することによって本明細書に組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる。加えて、本願内の任意の参考文献の引用または識別は、そのような参考文献が本発明に従来技術として利用可能であるという承認として解釈されるものとしない。節の見出しが使用される限りにおいて、それらは、必ずしも限定的と解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A-14B】
図15
図16
図17
図18
図19A-19B】
図20A-20B】
【国際調査報告】