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特表2022-516963脈管系閉塞物を除去するための装置、システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】脈管系閉塞物を除去するための装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
A61B17/22 528
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539875
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(85)【翻訳文提出日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 US2020012528
(87)【国際公開番号】W WO2020146343
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】16/736,279
(32)【優先日】2020-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/789,584
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521207081
【氏名又は名称】プログレッシブ ニューロ アイエヌシー
(74)【代理人】
【識別番号】100128347
【弁理士】
【氏名又は名称】西内 盛二
(72)【発明者】
【氏名】フォルマー, ブレット エレン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE22
4C160MM33
(57)【要約】
閉塞物除去装置、システム及び/又は方法を提供する。一つの実施形態では、除去ツールは、デリバリーツールの遠位端に配置され、そして少なくとも部分的に閉塞物を脈管系の内面から分離させるように構成される。拡張可能部材も前記デリバリーツールに結合されている。拡張可能部材は、自由であるか又は摺動可能にデリバリーツールに結合される近位端を有する。前記拡張可能部材の近位端は、前記拡張可能部材の遠位端に向かって反転又は摺動するように構成されることで、前記拡張可能部材は前記閉塞物と前記除去ツールの少なくとも一部を取り囲むことができ、これにより、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される。
【選択図】 図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈管系内に挿入されるように構成されるガイドカテーテルと、
前記ガイドカテーテル内に挿入されて前記脈管系中の閉塞物付近に配置されるように構成される遠位端を有するデリバリーツールと、
前記デリバリーツールの前記遠位端に配置される、少なくとも部分的に前記閉塞物を前記脈管系の内面から分離させるように構成される除去ツールと、
前記デリバリーツールに結合される拡張可能部材とを含み、
前記拡張可能部材は、自由であるか又は摺動可能に前記デリバリーツールに結合される近位端を有し、前記拡張可能部材の前記近位端は、前記拡張可能部材の遠位端に向かって反転又は摺動するように構成されることで、前記拡張可能部材に前記閉塞物と前記除去ツールの少なくとも一部を取り囲ませることができ、これにより、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、閉塞物除去システム。
【請求項2】
前記除去ツールは、少なくとも部分的に前記閉塞物を取り囲むように構成される錐状又は傘状の部分を含む、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項3】
前記拡張可能部材の前記遠位端は固定的又は摺動可能に前記デリバリーツールに結合される、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項4】
前記拡張可能部材の前記近位端は、
摺動可能に前記デリバリーツールに結合され、
前記除去ツールと前記閉塞物を前記脈管系から取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記拡張可能部材の前記遠位端に向かって摺動するように構成され、
前記拡張可能部材の中間部分は、前記拡張可能部材の前記遠位端と前記除去ツールの少なくとも一部との上に折り畳まれるように構成され、
これにより、
前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻すにつれて、前記拡張可能部材の前記近位端が前記拡張可能部材の前記遠位端に向かって摺動する際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項5】
前記拡張可能部材の前記近位端は自由であり、反転して前記拡張可能部材の前記遠位端と前記除去ツールの少なくとも一部とを覆うように構成されることで、前記除去ツールと前記閉塞物を前記脈管系から取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項6】
前記デリバリーツールを前記ガイドカテーテル内に挿入して前記脈管系中に導く際に前記除去ツールと前記拡張可能部材を包むように構成される中間カテーテルをさらに含む、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項7】
前記中間カテーテルは、さらに、前記除去ツールと前記拡張可能部材を露出させることで、前記除去ツールにより少なくとも部分的に前記閉塞物を前記脈管系の内面から分離させることを可能にするように構成される、請求項6に記載の閉塞物除去システム。
【請求項8】
前記デリバリーツールは、ガイドワイヤ又はチューブのうちの少なくとも一つを含む、請求項1に記載の閉塞物除去システム。
【請求項9】
デリバリーツールの遠位端に配置される、少なくとも部分的に閉塞物を脈管系の内面から分離させるように構成される除去ツールと、
前記デリバリーツールに結合される拡張可能部材とを含み、
前記拡張可能部材は、自由であるか又は摺動可能に前記デリバリーツールに結合される近位端を有し、前記拡張可能部材の前記近位端は、前記拡張可能部材の遠位端に向かって反転又は摺動するように構成されることで、前記拡張可能部材に前記閉塞物と前記除去ツールの少なくとも一部を取り囲ませることができ、これにより、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、閉塞物除去装置。
【請求項10】
前記除去ツールは、少なくとも部分的に前記閉塞物を取り囲むように構成される錐状又は傘状の部分を含む、請求項9に記載の閉塞物除去装置。
【請求項11】
前記拡張可能部材の前記遠位端は、固定的又は摺動可能に前記デリバリーツールに結合される、請求項9に記載の閉塞物除去装置。
【請求項12】
前記拡張可能部材の前記近位端は、
摺動可能に前記デリバリーツールに結合され、
前記除去ツールと前記閉塞物を前記脈管系から取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記拡張可能部材の遠位端に向かって摺動するように構成され、
前記拡張可能部材の中間部分は、前記拡張可能部材の前記遠位端と前記除去ツールの少なくとも一部との上に折り畳まれるように構成され、
これにより、
前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻すにつれて、前記拡張可能部材の前記近位端が前記拡張可能部材の前記遠位端に向かって摺動する際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、請求項9に記載の閉塞物除去装置。
【請求項13】
前記拡張可能部材の前記近位端は自由であり、反転して前記拡張可能部材の前記遠位端と前記除去ツールの少なくとも一部とを覆うように構成されることで、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、請求項9に記載の閉塞物除去装置。
【請求項14】
脈管系から閉塞物を除去するための方法であって、
前記方法は、
ガイドカテーテルを前記脈管系内に挿入することと、
デリバリーツールを前記ガイドカテーテルに通して延伸することで、前記デリバリーツールの遠位端を前記脈管系中の前記閉塞物付近に配置することと、
前記デリバリーツールの前記遠位端に配置される、少なくとも部分的に前記閉塞物を前記脈管系の内面から分離させるように構成される除去ツールにより、前記脈管系中の前記閉塞物の少なくとも一部を除去することと、
前記デリバリーツールに結合される拡張可能部材により前記除去ツールの少なくとも一部を取り囲むことと、を含み、
前記拡張可能部材は、自由であるか又は摺動可能に前記デリバリーツールに結合される近位端を有し、前記拡張可能部材の前記近位端は、前記拡張可能部材の前記遠位端に向かって反転又は摺動するように構成されることで、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、方法。
【請求項15】
前記除去ツールは、少なくとも部分的に前記閉塞物を取り囲むように構成される錐状又は傘状の部分を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記拡張可能部材の前記遠位端は、固定的又は摺動可能に前記デリバリーツールに結合される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記拡張可能部材の前記近位端は、
摺動可能に前記デリバリーツールに結合され、
前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記拡張可能部材の前記遠位端に向かって摺動するように構成され、
前記拡張可能部材の中間部分は、前記拡張可能部材の前記遠位端と前記除去ツールの少なくとも一部との上に折り畳まれるように構成され、
これにより、
前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻すにつれて、前記拡張可能部材の前記近位端が前記拡張可能部材の前記遠位端に向かって摺動する際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記拡張可能部材の前記近位端は自由であり、反転して前記拡張可能部材の前記遠位端と前記除去ツールの少なくとも一部とを覆うように構成されることで、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記デリバリーツールを前記ガイドカテーテル内に挿入して前記脈管系中に導く際に、中間カテーテルにより前記除去ツールと前記拡張可能部材を包むことをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記除去ツールと前記拡張可能部材を前記中間カテーテルから露出させることで、前記除去ツールにより少なくとも部分的に前記閉塞物を前記脈管系の前記内面から分離させることを可能にすることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年1月8日に提出された「APPARATUS,SYSTEM,and METHOD FOR VASCULATURE OBSTRUCTION REMOVAL」という米国仮出願第62/789,584号の優先権を主張しており、その内容の全てを援用によりここに組み込む。本願は、また、2020年1月7日に提出された「APPARATUS,SYSTEM,AND METHOD FOR VASCULATURE OBSTRUCTION REMOVAL」という米国非仮出願第16/736,279号の優先権を主張しており、その内容の全てを援用によりここに組み込む。
【0002】
本発明は概して医療装置に関し、具体的には、脈管閉塞物を除去するための医療装置に関する。
【背景技術】
【0003】
閉塞物除去システム/装置は、閉塞物を除去システムの部材に収容することで操作されるが、場合によっては、閉塞物が変位する可能性がある。閉塞物の変位は、潜在的合併症(例えば卒中や心臓発作)のリスクを顕著に増加させる。そこで、閉塞物を安全に固定して人体から除去することは望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、閉塞物除去システムを開示する。一つ又は複数の実施形態では、閉塞物除去システムは、脈管系内に挿入されるように構成されるガイドカテーテルと、ガイドカテーテル内に挿入され脈管系中の閉塞物付近に配置されるように構成される遠位端を有するデリバリーツールとを備える。閉塞物除去システムは、デリバリーツールの遠位端に配置される除去ツールをさらに含む。除去ツールは、少なくとも部分的に閉塞物を脈管系の内面から分離させるように構成される。また、拡張可能部材もデリバリーツールに結合されている。拡張可能部材は、自由であるか又は摺動可能にデリバリーツールに結合される近位端を有する。前記拡張可能部材の近位端は、その遠位端に向かって反転又は摺動するように構成され、これにより、前記拡張可能部材に前記閉塞物と前記除去ツールの少なくとも一部を取り囲ませることができ、これにより、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される。
【0005】
より一般的には、閉塞物除去装置を開示する。一つ又は複数の実施形態では、閉塞物除去装置は、デリバリーツールの遠位端に配置される、且つ少なくとも部分的に閉塞物を脈管系の内面から分離させるように構成される除去ツールを備える。前記閉塞物除去装置は、デリバリーツールに結合される拡張可能部材をさらに備える。前記拡張可能部材は、自由であるか又は摺動可能にデリバリーツールに結合される近位端を有する。前記拡張可能部材の近位端は、前記拡張可能部材の遠位端に向かって反転又は摺動するように構成されることで、前記拡張可能部材に前記閉塞物と前記除去ツールの少なくとも一部を取り囲ませることができこれにより、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される。
【0006】
また、脈管系から閉塞物を除去するための方法をさらに開示する。一つ又は複数の実施形態では、前記方法は、
ガイドカテーテルを脈管系内に挿入する工程と、
前記ガイドカテーテルにデリバリーツールを通すことで、前記デリバリーツールの遠位端を前記脈管系中の前記閉塞物付近に配置する工程と、
前記デリバリーツールの前記遠位端に配置される、且つ少なくとも部分的に前記閉塞物を前記脈管系の内面から分離させるように構成される除去ツールにより、前記脈管系中の前記閉塞物の少なくとも一部を除去する工程と、
前記デリバリーツールに結合された拡張可能部材により、前記閉塞物と前記除去ツールの少なくとも一部を取り囲み、ただし、前記拡張可能部材は、自由であるか又は摺動可能に前記デリバリーツールに結合される近位端を有し、前記近位端は、前記拡張可能部材の遠位端に向かって反転又は摺動するように構成されることで、前記脈管系から前記除去ツールと前記閉塞物を取り出すように前記デリバリーツールを前記脈管系から引き戻す際に、前記閉塞物が前記拡張可能部材と前記除去ツールとの間に捕捉される工程と、を含む。
【0007】
以上の本発明の概要は、単に具体的な実施形態と図面において十分に記述される態様に対する紹介として提供されるものに過ぎない。上記の本発明の概要は、必須の特徴を記述するものと見なすべからず、各請求項の保護範囲を特定することに用いられるべきでもない。また、以上の本発明の概要及び以下の具体的な実施形態は、いずれも例示的かつ説明的なものにすぎず、必ずしも本願の保護しようとする主旨を制限するわけではないと理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下、図面を参照して詳細を記述する。明細書と図面における異なる実例中に使用される同一の符号は、類似した又は同一のものを表してもよい。以下の詳述と図面には本開示の様々な実施形態や実施例(「実施例」)が開示されている。図面は、必ず実際の比例に従って描かれるものではない。一般には、請求項において特に限定されていない限り、開示される工程の操作を任意の手順で実行してもよい。
【0009】
図1A】本発明の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムのガイドカテーテルの断面側面図である。
【0010】
図1B】本発明の一つ又は複数の実施形態によるガイドカテーテルに通して配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、閉塞物除去装置は、除去ツールとデリバリーツールに付けられた拡張可能部材とを備え、中間カテーテルによりデリバリーツールをガイドカテーテルに通して挿入する。
【0011】
図1C】本発明の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、閉塞物除去装置を露出させるように中間カテーテルを引き戻す(及び/又は、デリバリーツールを前に押す)ことで、閉塞物除去装置は除去ツールにより閉塞物と当接可能になり、少なくとも部分的に閉塞物を脈管系の内面から分離させる。
【0012】
図1D】本開示の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、拡張可能部材の近位端は、拡張可能部材の遠位端に向かって摺動し、拡張可能部材の中間部分は、拡張可能部材の遠位端と除去ツールの少なくとも一部との上に折り畳まれることで、脈管系から除去ツールと閉塞物を取り出すように脈管系からデリバリーツールを引き戻す際に、閉塞物が拡張可能部材と除去ツールとの間に捕捉される。
【0013】
図1D-1】本開示の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、拡張可能部材の近位端は拡張可能部材の遠位端に向かって摺動し、拡張可能部材の中間部分は、拡張可能部材の遠位端と除去ツールの少なくとも一部との上に折り畳まれることで、脈管系から除去ツールと閉塞物を取り出すように脈管系からデリバリーツールを引き戻す際に、閉塞物が拡張可能部材と除去ツールとの間に捕捉され、ここで、拡張可能部材と脈管系の内面との間の摩擦により拡張可能部材が反転され及び/又はその自体の上に折り畳まれる。
【0014】
図1D-2】本発明の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、拡張可能部材の近位端は拡張可能部材の遠位端に向かって摺動し、拡張可能部材の中間部分は、拡張可能部材の遠位端と除去ツールの少なくとも一部との上に折り畳まれることで、脈管系から除去ツールと閉塞物を取り出すように脈管系からデリバリーツールを引き戻す際に、閉塞物が拡張可能部材と除去ツールとの間に捕捉され、ここで、中間カテーテルは、拡張可能部材を押して反転させ及び/又はその自体の上に折り畳むために用いられる。
【0015】
図1E】本開示の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、拡張可能部材の中間部分は、拡張可能部材の遠位端と除去ツールの少なくとも一部との上に折り畳まれることで、閉塞物が拡張可能部材と除去ツールとの間に捕捉される。
【0016】
図1F】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置と中間カテーテルの断面側面図であり、ここで、脈管系から閉塞物を除去するように閉塞物除去装置と中間カテーテルをガイドカテーテルに通して引き戻している。
【0017】
図2A】本発明の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムのガイドカテーテルの断面側面図である。
【0018】
図2B】本発明の一つ又は複数の実施形態によるガイドカテーテルにより配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、閉塞物除去装置は、除去ツールとデリバリーツールに付けられた拡張可能部材とを含み、中間カテーテルによりデリバリーツールをガイドカテーテルに通して挿入する。
【0019】
図2C】本発明の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、閉塞物除去装置を露出させるように中間カテーテルを引き戻す(及び/又は、デリバリーツールを前に押す)ことで、閉塞物除去装置は除去ツールにより閉塞物と当接可能になり、少なくとも部分的に閉塞物を脈管系の内面から分離させる。
【0020】
図2D】本開示の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、拡張可能部材の近位端は反転して拡張可能部材の遠位端と除去ツールの少なくとも一部とを覆うことで、脈管系から除去ツールと閉塞物を取り出すように脈管系からデリバリーツールを引き戻す際に、閉塞物が拡張可能部材と除去ツールとの間に捕捉される。
【0021】
図2E】本開示の一つ又は複数の実施形態による脈管系内に配置された閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、ただし、拡張可能部材の近位端は、反転して拡張可能部材の遠位端と除去ツールの少なくとも一部とを覆うことで、閉塞物が拡張可能部材と除去ツールとの間に捕捉される。
【0022】
図2F】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置と中間カテーテルの断面側面図であり、ここで、脈管系から閉塞物を除去するように、閉塞物除去装置と中間カテーテルをガイドカテーテルに通して引き戻している。
【0023】
図3A】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、この閉塞物除去システムは、配置済み(拡張)形態にある受動式除去ツールを含む。
【0024】
図3B】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、この閉塞物除去システムは配置済み(拡張)形態にある、内部フレームにより強化された受動式除去ツールを含む。
【0025】
図4A】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、この閉塞物除去システムは未配置(折畳み)形態にある能動式除去ツールを含む。
【0026】
図4B】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、この閉塞物除去システムは配置済み(拡張)形態にある能動式除去ツールを含む。
【0027】
図4C】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、この閉塞物除去システムは配置済み(拡張)形態にある、内部フレームにより強化された能動式除去ツールを含む。
【0028】
図5A】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、この閉塞物除去システムは未配置(折畳み)形態にある能動式除去ツールを含む。
【0029】
図5B】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、この閉塞物除去システムは配置済み(拡張)形態にある能動式除去ツールを含む。
【0030】
図5C】本発明の一つ又は複数の実施形態による閉塞物除去システムの閉塞物除去装置の断面側面図であり、この閉塞物除去システムは配置済み(拡張)形態にある、内部フレームにより強化された能動式除去ツールを含む。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面に示される本発明の対象を詳細に参照する。概して図1A図5Cを参照すれば、閉塞物除去システムが示されており、特に、閉塞物の除去に伴うリスクを低減するために拡張可能部材を有する除去ツールを選択的に脈管系中に配置するように構造された閉塞物除去システムが示されている。拡張可能部材は、閉塞物が除去ツールから離脱して潜在的な危険のより高い領域へ移動すること(例えば、完全閉塞を招くこと、重要な脈管系の一部を閉塞すること等)を防止するために用いられる。この場合、医師はリスクの高い閉塞物であるかどうかを判断した上で、拡張可能部材を有する除去ツールを選択的に使用してもよい。
【0032】
図1A図1Fには閉塞物除去システム100の一つ又は複数の実施形態が示されている。図1Aに示されるように、閉塞物除去システム100は、脈管系102に閉塞物101付近の位置まで挿入されるように構成されるガイドカテーテル104(例えば、任意の適宜なガイドカテーテル、吸引カテーテル又は他の任意の適宜なチューブ)を備える。図1Bに示されるように、閉塞物除去システム100は、除去ツール110と、ガイドカテーテル104に通されて挿入されるように構成される拡張可能部材112とを有する閉塞物除去装置をさらに備える。例えば、除去ツール110と拡張可能部材112は、ガイドカテーテル104に通されて挿入されるように構成されるデリバリーツール108の遠位端(又はその付近)に結合又は形成されてもよい。一つの実施形態では、デリバリーツール108はガイドワイヤ又はチューブであってもよい。この場合、除去ツール110は、ガイドワイヤ又はチューブの遠位端に固定されてもよく、拡張可能部材112は、除去ツール110付近の位置に固定されてもよく、摺動可能にガイドワイヤ又はチューブに結合されてもよい。
【0033】
一つの実施形態では、閉塞物除去装置(即ち、デリバリーツール108における除去ツール110と拡張可能部材112)は、挿入過程中に少なくとも部分的に中間カテーテル106(例えば、任意適宜な中間カテーテル、マイクロカテーテル又は他の任意の適宜なチューブ)内に収容されてもよい。中間カテーテル106は、除去ツール110と拡張可能部材112を収容してガイドカテーテル104内部での拡張を防止するために用いられる。これにより一つ又は複数の利点をもたらすことができ、前記利点としては、例えば、除去ツール110/拡張可能部材112とガイドカテーテル104との間の摩擦を低減すること、ガイドカテーテル104の遠位開口から除去ツール110と拡張可能部材112を挿入可能になること、及び、除去ツール110/拡張可能部材112が閉塞物101に当接するのが早すぎることを防止することが挙げられるが、これらに限られない。
【0034】
図1Bには脈管系102内の閉塞物101付近に配置された閉塞物除去装置が示されている。デリバリーツール108(例えば、ガイドワイヤ及び/又はチューブ)は、ガイドカテーテル104内に挿入されて脈管系102中の閉塞物101付近に配置されるように構成される。例えば、端部に取り付けられた除去ツール110と拡張可能部材112を持つデリバリーツール108は、中間カテーテル106によりガイドカテーテル104に通されて挿入されてもよく、これにより、除去ツール110と拡張可能部材112の挿入過程中にこれらを収容する/包む。
【0035】
また、図1Cに示されるように、中間カテーテル106は、除去ツール110と拡張可能部材112をそれから露出させて、除去ツール110を脈管系102中の閉塞物101に当接させるように構成されてもよい。例えば、脈管系102内における所望の位置に到達した場合、中間カテーテル106を引き戻す(及び/又は、デリバリーツール108を中間カテーテル106に対して前に押す)ことで除去ツール110と拡張可能部材112を露出し、除去ツール110は閉塞物101に当接可能になる。
【0036】
除去ツール110は、少なくとも部分的に閉塞物101を脈管系102の内面(例えば脈管壁)から分離させるように構成される。一つの実施形態では、除去ツール110は、少なくとも部分的に閉塞物101を取り囲むように構成される錐状又は傘状の部分(例えば、錐状及び/又は傘状の網目状構造又はメッシュ)を有する。他の実施形態では、除去ツール110は、少なくとも部分的に閉塞物101を囲むように構成される、異なる形状の網目状構造又はメッシュ(例えば、半円形又は円柱形構造等)を有する。
【0037】
デリバリーツール108がチューブ内に配置されるガイドワイヤを含む実施形態では、除去ツール110の遠位端は、ガイドワイヤに付けられてもよいし、除去ツールの別の(中間)部分はチューブに付けられてもよく、これにより、ガイドワイヤをチューブとは独立して(例えば、チューブに対して)移動することにより除去ツール110を傘の様に拡張したり収縮したりすることができる。追加的又は代替的には、除去ツール110は形状記憶合金及び/又は超弾性合金(例えば、ニチノール)で形成されてもよく、これにより、除去ツール110は露出すると自動的に拡張することができる。例えば、除去ツール110は、閉塞物101を通過するように導かれ、露出した後に引き戻されることで、閉塞物101を脈管系102の内面から掻き取る/掘り出すことができる。
【0038】
拡張可能部材112は、固定的又は摺動可能にデリバリーツール108に結合される遠位端114と、摺動可能にデリバリーツール108に結合される近位端116とを有する。拡張可能部材112は、その配置過程中に遠位端114が除去ツール110と近位端116との間に位置するように配置されてもよい。
【0039】
図1Dに示されるように、デリバリーツール108を引き戻す(例えば、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106中に引き戻す)際に、拡張可能部材112の近位端116は、拡張可能部材112の遠位端114に向かって摺動するように構成されてもよく、これにより、拡張可能部材112に、閉塞物101と除去ツール110の少なくとも一部を取り囲ませて、閉塞物101を拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉することができる。一つの実施形態では、脈管系102から除去ツール110と閉塞物101を取り出すように脈管系102からデリバリーツール108を引き戻すことで、拡張可能部材112の近位端116を拡張可能部材112の遠位端114に向かって摺動させる場合、拡張可能部材112の中間部分118は、拡張可能部材112の遠位端114と除去ツール110の少なくとも一部との上に折り畳まれるように構成される。これにより、閉塞物101が拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉される。例えば、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106によりデリバリーツール108を引き戻す場合、拡張可能部材112の中間部分118と、脈管系102の内面(例えば、図1D-1に示されるとおりである)、ガイドカテーテル104又は中間カテーテル106との間に発生する摩擦により、拡張可能部材112の中間部分を除去ツール110の上に折り畳むことが可能になり、閉塞物101を拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉することができる。追加的又は代替的には、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106によりデリバリーツール108を引き戻す際に、脈管系102中の流体による抵抗で拡張可能部材112の中間部分を除去ツール110の上に折り畳ませることができ、閉塞物101を拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉することができる。また、図1D-2に示されるように、一部の実施形態では、中間カテーテル106(又はガイドカテーテル104)は、拡張可能部材112を押して反転させ及び/又はその自体の上に折り畳むために用いられる。
【0040】
図1Eには、脈管系102から除去ツール110と閉塞物101を取り出すように脈管系102からデリバリーツール108を引き戻す際に拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉される閉塞物101が示されている。例えば、デリバリーツール108は、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106中に引き戻されることができ、これにより拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉された閉塞物101を脈管系102から除去することができる。
【0041】
図1Fに示されるように、デリバリーツール108と、拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉された閉塞物101とを含む中間カテーテル106は、ガイドカテーテル104に通されて引き戻されることができ、これにより脈管系102から閉塞物101を除去することができる。図1Fに示されるように、(除去ツール110と拡張可能部材112を備える)閉塞物除去装置と閉塞物101とを持つデリバリーツール108は、中間カテーテル106により引き戻されることができる。あるいは、拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉された閉塞物101を持つデリバリーツール108は、直接に(中間カテーテル106を使用せずに)ガイドカテーテル104に通されて引き戻されてもよい。
【0042】
図2A図2Fには、閉塞物除去システム100の別の一つの実施形態が示されており、この実施形態において、拡張可能部材112は、デリバリーツール108に結合される遠位端114と、自由に移動できるように構成される近位端116とを有する。例えば、拡張可能部材112は、固定的又は摺動可能にデリバリーツール108に結合される一端と、自由端/開口端となる他端とを有する錐状/傘状網又は網目状構造を含んでもよい。
【0043】
図2B図2Cに示されるように、閉塞物除去装置(即ち、デリバリーツール108における除去ツール110と拡張可能部材112)が導かれて脈管系102に通されて閉塞物101に到達した時に、拡張可能部材112は、その近位端116が除去ツール110から遠く離れるような向きに配置されてもよい。そして、図2Dに示されるように、拡張可能部材112の近位端116は、デリバリーツール108を引き戻す(例えば、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106中に引き戻す)際に、拡張可能部材112の遠位端114に向かって反転するように構成されてもよく、これにより、拡張可能部材112に閉塞物101と除去ツール110の少なくとも一部を取り囲ませて閉塞物101を拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉することができる。一つの実施形態では、拡張可能部材112の近位端116は、脈管系102から除去ツール110と閉塞物101を取り出すようにデリバリーツール108を脈管系102から引き戻す際に、反転して拡張可能部材112の遠位端114と除去ツール110の少なくとも一部とを覆うように構成される。例えば、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106によりデリバリーツール108を引き戻す際に、拡張可能部材112の近位端(即ち、自由端)116と、脈管系102、ガイドカテーテル104又は中間カテーテル106の内面との間に発生する摩擦により、拡張可能部材112は反転して除去ツール110を覆うことが可能になり、閉塞物101が拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉される。追加的又は代替的には、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106によりデリバリーツール108を引き戻す際に、脈管系102中の流体による抵抗により、拡張可能部材112は反転して除去ツール110を覆うことが可能になり、閉塞物101が拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉される。
【0044】
図2Eには、脈管系102から除去ツール110と閉塞物101を取り出すように脈管系102からデリバリーツール108を引き戻す場合における拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉された閉塞物101が示されている。例えば、デリバリーツール108は、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106中に引き戻されることで、拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉された閉塞物101を脈管系102から除去することができる。
【0045】
図2Fに示されるように、デリバリーツール108と、拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉された閉塞物101とを包む中間カテーテル106は、ガイドカテーテル104に通されて引き戻されることで、脈管系102から閉塞物101を除去することができる。図2Fに示されるように、(除去ツール110と拡張可能部材112を含む)閉塞物除去装置と閉塞物101とを持つデリバリーツール108は、中間カテーテル106により引き戻されることができる。あるいは、拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉された閉塞物101を持つデリバリーツール108は、直接に(中間カテーテル106を使用せずに)ガイドカテーテル104に通されて引き戻されてもよい。
【0046】
また、図3A図5Cにおいて、除去ツール110の様々な実施形態が示されている。図3A図5Cに示される除去ツール110の実施形態は、図1A図2Fに示される又は本明細書に記載の閉塞物除去システム100の実施形態のいずれかと併用してもよい。
【0047】
一つの実施形態では、図3A図3Bに示されるように、閉塞物除去装置は、受動式除去ツール110を含んでもよい。この場合、除去ツール110は、中間カテーテル106から離れて配置される(例えば、露出される)時に拡張するように構成されてもよい。除去ツール110は、デリバリーツール108(例えば、デリバリーチューブやワイヤ)の遠位端に固定される遠位端109(例えば、先端コイル)と、固定的又は摺動可能にデリバリーツール108の別の部分に結合される近位端111とを有することで、デリバリーツール108における閉塞物付着領域120を除去ツール110の近位端111と拡張可能部材112の遠位端114との間に限定することができる。一部の実施形態では、除去ツール110及び/又は拡張可能部材112の端部は、デリバリーツール108に結合されるマーカバンドを含む。
【0048】
図4A図4Cには、能動式除去ツール110を備える閉塞物除去装置の実施形態が示されている。この場合、除去ツール110は、選択的に拡張する又は折り畳むことができる。例えば、除去ツール110は、デリバリーツール108の両部分(例えば、デリバリーワイヤ108Aとデリバリーチューブ108B)を互いに相対駆動させることで拡張したり収縮したりすることができる。除去ツール110は、遠位端109(例えば末端コイル)と近位端111を有しでもよく、ここで、遠位端109がデリバリーワイヤ108Aの遠位端に固定され、近位端111が直接に、又はそれと拡張可能部材112の遠位端114との間にある閉塞物付着領域120を介して、デリバリーチューブ108Bの遠位端に固定される(図面に示されるとおりである)。
【0049】
一つの実施形態では、拡張可能部材112は、デリバリーチューブ108Bに結合されることで、閉塞物付着領域120を除去ツール110の近位端111と拡張可能部材112の遠位端114との間に限定することができる。閉塞物付着領域120は、除去ツール110と拡張可能部材112を接続するためのワイヤメッシュ部分を有してもよい。一部の実施形態では、拡張可能部材112と除去ツール110は、それぞれ連続ワイヤメッシュ構造の一部分であってもよい。
【0050】
除去ツール110及び/又は拡張可能部材112の端部は、デリバリーワイヤ108Aとデリバリーチューブ108Bの対応する部分に結合されるマーカバンドを含んでもよい。図4A図4Bのそれぞれに示されるように、除去ツール110は、デリバリーワイヤ108Aを押してデリバリーチューブ108Bに通す(あるいは、デリバリーチューブ108Bを引いてデリバリーワイヤ108Aの遠位端から離す)ことで収縮され、そしてデリバリーワイヤ108Aを引いてデリバリーチューブ108Bに通す(あるいは、デリバリーチューブ108Bをデリバリーワイヤ108Aの遠位端へ押す)ことで拡張されることができる。
【0051】
図5A図5Cには、能動式除去ツール110と能動式拡張可能部材112とを含む閉塞物除去装置の一つの実施形態が示されている。この場合、除去ツール110と拡張可能部材112は、選択的に拡張したり収縮したりすることができる。例えば、除去ツール110は、デリバリーツール108の両部分(例えば、デリバリーワイヤ108Aとデリバリーチューブ108B)を互いに相対駆動させることで拡張したり収縮したりすることができる。除去ツール110は、遠位端109(例えば、末端コイル)と近位端111を有してもよく、ここで、遠位端109がデリバリーワイヤ108Aの遠位端に固定され、近位端111がそれと拡張可能部材112の遠位端114との間にある閉塞物付着領域120を介して拡張可能部材112の遠位端114に接続される。閉塞物付着領域120は、除去ツール110と拡張可能部材112を接続するためのワイヤメッシュ部分を含んでもよい。一部の実施形態では、拡張可能部材112と除去ツール110は、それぞれ連続ワイヤメッシュ構造の一部分であってもよい。
【0052】
除去ツール110及び/又は拡張可能部材112の端部は、デリバリーワイヤ108Aとデリバリーチューブ108Bにおける対応する部分に結合されるマーカバンドを含んでもよい。図5A図5Cに示されるように、拡張可能部材112の近位端116は、デリバリーチューブ108Bの遠位端に結合されることで、デリバリーワイヤ108Aに対して後ろへデリバリーチューブ108Bを引く(あるいは、デリバリーチューブ108Bに対して前へデリバリーワイヤ108Aを押す)と、除去ツール110と拡張可能部材112を収縮させることができる一方、デリバリーチューブ108Bに対して後ろへデリバリーワイヤ108Aを引く(あるいは、デリバリーワイヤ108Aに対して前へデリバリーチューブ108Bを押す)と、除去ツール110と拡張可能部材112を拡張させることができる。
【0053】
図3B図4C及び図5Cに示されるように、一部の実施形態では、除去ツール110は、支持フレーム122(例えば、一つ又は複数の剛性又は半剛性構造)を有してもよく、除去ツール110が配置済み(即ち、拡張)形態である場合、支持フレーム122により除去ツール110に対して構造補強の作用を発揮しうる。支持フレーム122は、除去ツール110が折畳み状態である場合に折り畳まれる(例えば、デリバリーツール108に向かって折り畳まれる)ように構成されてもよい。追加的又は代替的には、除去ツール110は、不均一なワイヤメッシュを含んでもよい。例えば、除去ツール110の構造としては、除去ツール110の遠位端109に厚くて、強固な、及び/又は緻密なワイヤメッシュを含むことで除去ツール110の配置/拡張時に強固な錐状/漏斗状構造を提供するとともに、除去ツール110の近位端111に薄くて、弱くて、及び/又は緻密度の低いワイヤメッシュを含むことで除去ツール110に可とう性を持たせてより容易に拡張/収縮させることができる。
【0054】
図1A図5Cに示される実施形態又はその組合せでは、拡張可能部材112は、収縮/押し潰し状態と拡張状態との間に変換可能のように構成されてもよい。拡張可能部材112は、任意の適宜な手段で収縮状態と拡張状態との間に変換できるように構成されてもよく、前記手段として、例えば、拡張可能部材112を露出させて拡張可能にし、また拡張可能部材112を包んで/再度に包んでその収縮を誘導することが挙げられるが、この手段に限られない。
【0055】
拡張可能部材112は、拡張状態において、除去ツール110及び/又は閉塞物101の少なくとも一部を取り囲むことができる。また、収縮状態において、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106により(拡張可能部材112と除去ツール110を含む)閉塞物除去装置を挿入する又は引き戻すことに適する。例えば、拡張可能部材112が除去ツール110及び/又は閉塞物101の少なくとも一部を取り囲んだ押し潰し/収縮状態である場合、拡張可能部材112を除去ツール110と共にガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106により引き戻すことで脈管系102から閉塞物101を除去することができる。
【0056】
拡張可能部材112により除去ツール110及び/又は閉塞物101の少なくとも一部を取り囲むことによる利点としては、例えば、断面積の縮小、脈管壁での摩擦の低減、ガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106の開口に引っ掛かる可能性の低減、及び、閉塞物が変位する可能性の低減などが挙げられるが、これらに限られない。
【0057】
概して本明細書に開示される閉塞物除去システム100の実施形態を参照すれば分かるように、拡張可能部材112は、任意数の手段で第一形態と第二形態との間に、又は収縮状態と拡張状態との間に変換されるように構成されてもよく、前記手段として、例えば、拡張可能部材112を露出させること(例えば、中間カテーテル106を引き戻すか、又は拡張可能部材112をガイドカテーテル104に通すことにより実現可能である。)、拡張可能部材112に付けられるロック部材(例えば、ワイヤ、フック等)から離脱すること、形状記憶合金(例えば、ニチノール)を使用すること等が挙げられるが、これらに限られない。上記から、拡張可能部材が拡張状態である場合に、脈管系102の断面の大部分を占めることができると考えられる。
【0058】
一つの実施形態では、拡張可能部材112、除去ツール110及び閉塞物101は、ガイドカテーテル104中に引き戻されて脈管系102から取り出される。一部の実施形態では、拡張可能部材112、除去ツール110及び閉塞物101は、さらに中間カテーテル106中に引き戻されてもよい。拡張可能部材112は、閉塞物101の少なくとも一部を取り囲むことによりその変位を防止することができるだけでなく、閉塞物101をガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106中に収納するように圧縮すること(例えば、引っ張り、締付、巻き取り等の手段により実現可能である。)にも寄与可能である。
【0059】
拡張可能部材112により除去ツール110及び/又は閉塞物101の少なくとも一部を取り囲むことによって様々な機能を果たすことができ、例えば、除去ツール110が(例えば、脈管系102の内面/脈管壁、又はガイドカテーテル104の開口に)引っ掛かる可能性を低減すること、閉塞物101をガイドカテーテル104及び/又は中間カテーテル106により取り出し得るように閉塞物101の外形を小さくすること、及び/又は、閉塞物101を固定して閉塞物101が除去ツール110から変位するのを防止することなどの機能が挙げられるが、これらに限られない。
【0060】
一つの実施形態では、除去ツール110及び/又は拡張可能部材112は、ワイヤメッシュを含んでもよい。このようなワイヤメッシュは、可とう性材料(例えば、ニチノール、コバルトクロム、ポリマーメッシュ(例えばPETやナイロン)等)で製造されたワイヤを含んでもよく、ただし、前記ワイヤ(例えば16~288本又はそれ以上の本数のワイヤ)が一定の直径(例えば、0.0005インチ~0.0050インチ)を有し、そして、閉塞物101及び/又は除去ツール110に当接するのに適する若干の材料特性(例えば強度、血液との摩擦係数、塑性変形耐性等)を有する。ワイヤメッシュは、単層又は多層のものであってもよい。また、ワイヤメッシュは、様々なワイヤ群(例えば、大きい直径を有する支持ワイヤ、脈管壁に当接するワイヤ、閉塞物又は閉塞物除去装置の一部に当接するワイヤ、放射線不透過性又はX線不透過性ワイヤ等)を含んでもよい。
【0061】
任意数の開示されている部材は、非侵襲的イメージング技術(例えば、X線、CTスキャン等)による結像に適する。例えば、ガイドカテーテル104、中間カテーテル106、デリバリーツール108、除去ツール110、拡張可能部材112及び/又は如何なる付加部品も、人体に導入するのに適する放射線不透過性又はX線不透過性材料(例えば、チタン、タングステン、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム、DFTワイヤー(Drawn Filled Tube)等)を含んでもよい。一部の実施形態では、除去ツール110と拡張可能部材112は、いずれも放射線不透過性又はX線不透過性材料(例えば、DFTワイヤー)から形成された同一のワイヤメッシュ構造の一部分である。
【0062】
なお、閉塞物除去システム100に含まれる任意数の部材は、任意の適宜な手段で接続してもよく、例えば、溶接、接着剤、機械的締付け、しまり嵌め等が挙げられるが、これらに限られないことは理解されたい。例えば、デリバリーツール108はこのような手段で除去ツール110及び/又は拡張可能部材112に付けられてもよい。代替的又は追加的には、二つ又はそれ以上の部材は、それぞれ同一の構造(例えば、同一の金型又は印刷物)の一部分であってもよい。
【0063】
閉塞物除去システム100における一つ又は複数の装置は、異なる手順で配置されてもよいと考えられる。手順を決める要因としては、脈管系の特性(例えば、脈管系の寸法、脈管系の幾何形状、脈管系の分岐状況、脈管系の壁の強度等)、血圧、血流方向、操作の継続時間(即ち、患者の安全から見ると、操作時間を低減する必要があるか)、閉塞物の寸法又は閉塞物除去装置のスペックなどが挙げられるが、これらに限られない。
【0064】
概して図1A図5Cを参照すればわかるように、脈管系102から閉塞物を除去する方法は、
ガイドカテーテル104を患者の脈管系102に挿入して閉塞物101付近の位置まで配置する工程と、
端部に取り付けられた除去ツール110を有するデリバリーツール108をガイドカテーテル104に通して延伸することで、(中間カテーテル106を使用して/使用せずに)デリバリーツール108の遠位端を脈管系102中の閉塞物101付近に配置する工程と、
除去ツール110により少なくとも部分的に閉塞物101を脈管系102の内面から分離させることで、脈管系102中の閉塞物101の少なくとも一部を除去する工程と、
拡張可能部材112により閉塞物101と除去ツール110の少なくとも一部を取り囲み、ただし、拡張可能部材112の近位端116が拡張可能部材112の遠位端114に向かって反転又は摺動するように構成されることで、脈管系102から除去ツール110と閉塞物101を取り出すようにデリバリーツール108を脈管系102から引き戻す際に、閉塞物101が拡張可能部材112と除去ツール110との間に捕捉される工程と
を含んでもよいが、これらの工程に限られない。
【0065】
なお、本明細書に開示される方法の実施形態は、本明細書に記述した一つ又は複数の工程を含んでもよい。また、これらの工程は、任意の所望の手順で実行してもよく、また、一部の実施形態では、二つ又はそれ以上の工程は、同時に実行してもよい。本明細書に開示した二つ又はそれ以上の工程は、一つの工程として組み合わせて実施してもよく、また、一部の実施形態では、一つ又は複数の工程は、二つ又はそれ以上のサブ工程として実行してもよい。また、本明細書に開示した一つ又は複数の工程に加え、又は、本明細書に開示した一つ又は複数の工程の代わりに、他の工程又はサブ工程を実行してもよい。
【0066】
なお、本開示に使用された用語は、制限のために使用されるものではない。例えば、本明細書に使用された「閉塞物」とは、任意の脈管閉塞物を指してもよく、例えば、血餅、プラーク(例えば脂肪、コレステロール等)、内部構造/増殖物、異物等が挙げられるが、これらに限られない。
【0067】
以上で、図面に示される実施形態を参照しながら本発明を説明したが、請求項に記載の本発明の範囲から逸脱せずに、本明細書に記載の構成を等価物で置換してもよい。本明細書に示されて説明した要素は単に本発明の実施形態を実現し得る設備や部材の例示に過ぎず、そして、本発明の範囲から逸脱せずに、他の設備や部材で置換してもよい。また、特許請求の範囲において特に説明していない限り、本明細書に記載された如何なる寸法、度数及び/又は数値域は、非制限的な例示と見なされるべきである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1D-1】
図1D-2】
図1E
図1F
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
【国際調査報告】