(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法および装置
(51)【国際特許分類】
C08J 9/04 20060101AFI20220224BHJP
B29C 48/385 20190101ALI20220224BHJP
B29C 48/92 20190101ALI20220224BHJP
B29C 48/515 20190101ALI20220224BHJP
B29C 48/295 20190101ALI20220224BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20220224BHJP
B29C 44/36 20060101ALI20220224BHJP
B29C 44/60 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
C08J9/04 CFD
B29C48/385
B29C48/92
B29C48/515
B29C48/295
B29C44/00 E
B29C44/36
B29C44/60
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539896
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 CN2019096553
(87)【国際公開番号】W WO2020143208
(87)【国際公開日】2020-07-16
(31)【優先権主張番号】201910016587.8
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521286237
【氏名又は名称】恒天生物基材料工程技術(寧波)有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHTC BIO-BASED MATERIAL ENGINEERING & TECHNOLOGY (NINGBO) CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.339 binhai 4th road, Hangzhou bay new area, Ningbo City, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】宋 亜男
(72)【発明者】
【氏名】王 楽軍
(72)【発明者】
【氏名】黄 偉偉
(72)【発明者】
【氏名】鄭 宗強
(72)【発明者】
【氏名】劉 怡寧
【テーマコード(参考)】
4F074
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA68
4F074AB01
4F074AB05
4F074AD10
4F074AG11
4F074AG20
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4F074BA57
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4F074CA22
4F074DA02
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4F074DA33
4F207AA24A
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4F214AB02
4F214AG20
4F214UA11
4F214UB02
4F214UF01
4F214UF04
4F214UG07
4F214UG22
(57)【要約】
ポリ乳酸溶融体の準備、原料供給、および二次押出処理を含むポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法が提供される。二次押出処理では、第一段二軸スクリュー押出機の出口圧力は15~17MPaであり、ポリ乳酸重合溶融体の供給速度は250kg/h、発泡助剤の供給速度は7.5-10kg/h、発泡ガスの供給速度は2.8-7.5L/hである。本発明の方法によれば、水冷造粒、繰り返しの乾燥冷却、昇温溶融混練等が必要ではないため、発泡性に対する影響が回避され、材料の発泡性が保証されるとともに製品の品質が確保され、エネルギ消費が3分の1以上節約され、得られた製品の発泡倍率が3-25倍で調整可能で、結晶化度が40.3-48.5%、引張強さが8.7-19.6MPa、見かけ密度が0.05-0.4g/cm
3である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸溶融体の準備、原料供給、および二次押出処理を含むことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項2】
前記ポリ乳酸溶融体の準備で得られるポリ乳酸溶融体は、重量平均分子量Mwが18-22.1万、分子量分布が1.21-1.24である請求項1に記載のことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項3】
前記二次押出処理は、第1次押出処理を含み、
前記第1次押出処理において、第一段二軸スクリュー押出機のアスペクト比は≧30/1であり、主供給口から押出ヘッドまでの温度は245-195℃に設定され、押出機の主供給口からヘッドまで徐々に低くなる請求項1に記載のことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項4】
前記ポリ乳酸重合溶融体の供給速度と発泡助剤の供給速度との比は25-35:1である請求項1に記載のことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項5】
前記第1次押出処理において、発泡助剤の供給口は主供給口からスクリューシリンダの長さの2/3離れ、ヘッドからスクリューシリンダの長さの1/3離れる請求項1に記載のことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項6】
前記二次押出処理は、第2次押出処理を含み、
前記第2次押出処理において、第二段単軸スクリュー押出機のアスペクト比は≧30/1であり、温度範囲は180-128℃である請求項1に記載のことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項7】
前記第1次押出処理で使用される発泡ガスはアルカン類、ハロゲン化アルケン類、二酸化炭素、窒素ガス、アルゴンガス、フレオンのうちのいずれか1種である請求項1に記載のことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項8】
前記ポリ乳酸溶融体の準備では、ラクチド:オクチル酸第一錫:イソオクチルアルコール:2-エチルオクタン酸の質量比は7500:1:10-15:0.1である請求項1に記載のことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項9】
前記原料供給では、
発泡助剤は、ポリ乳酸重量の0.5-10%であり、
前記発泡助剤は、鎖延長剤、核剤および潤滑剤を含み、
前記鎖延長剤は、発泡助剤の総量の8-17wt%であり、
前記核剤は、発泡助剤の総量の50-83%であり、
前記潤滑剤は、発泡助剤の総量の8-17wt%である請求項1に記載のことを特徴とする、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法。
【請求項10】
ポリ乳酸重合装置と、第一段二軸スクリュー押出機と、第二段単軸スクリュー押出機と含むポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する装置であって、
前記ポリ乳酸重合装置は前記第一段二軸スクリュー押出機に接続され、前記第一段二軸スクリュー押出機は前記第二段単軸スクリュー押出機に接続され、
前記第一段二軸スクリュー押出機には、原料供給方向に沿って順に主供給口、側供給口およびガス注入口が設けられ、前記ガス注入口は前記第一段二軸スクリュー押出機の後半に位置し、
前記側供給口と前記ガス注入口との間に密封ネジが設けられ、
前記第一段二軸スクリュー押出機と前記第二段単軸スクリュー押出機とは接続バックルにより接続され、前記第一段二軸スクリュー押出機と前記第二段単軸スクリュー押出機との間に濾過網が設けられ、
前記ポリ乳酸重合装置と前記第一段二軸スクリュー押出機とは溶融体管路により連通し、
前記ポリ乳酸重合装置と前記溶融体管路戸の間にフィードポンプがさらに接続され、
前記溶融体管路は前記主供給口により前記第一段二軸スクリュー押出機の内部に連通し、
前記第二段単軸スクリュー押出機の末端はスタティックミキサーによりヘッドに接続されることを特徴とする、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法および装置に関し、高分子材料応用の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、速達と持ち帰り産業の爆発的な成長は、人々の生活に多くの利便性を追加しただけでなく、ますます多くの包装問題をもたらした。フードデリバリープラットフォーム「ウーラマ」が発表した中国のフードデリバリーに関するビッグデータは、中国市場のユーザー数が6億人に達したことを示している。2016年には、毎週少なくとも4億個の持ち帰りが中国の街路や路地を飛び回り、少なくとも4億個の使い捨て包装箱と4億個のビニール袋が生産され、4億個の使い捨て食器が廃棄された。持ち帰り用ゴミの処理方法今日の社会で緊急に解決しなければならない問題となっている。
【0003】
ポリ乳酸は、再生可能な資源に由来する完全に生分解性の材料であり、理想的な安全で環境に優しい包装材料である。従来のポリ乳酸材料は結晶化に時間がかかり、一般的なブリスターや射出成形では結晶化が不十分で、耐熱温度は50~60℃に過ぎない。さらに、ポリ乳酸自体の価格が通常のプラスチックの2~3倍であり、一般消費者が受け入れにくいため、市場を開拓するのが難しい。発泡によりポリ乳酸製品の重量を減らすことは、コストパフォーマンスを向上させるための重要な方法である。発泡ポリ乳酸材は、既存のPS発泡材や紙パルプ材などの代替品として使用されており、幅広い市場空間を持っている。
【0004】
従来の重合で得られたポリ乳酸樹脂は直接発泡できないため、発泡性ポリ乳酸材料を得るために、重合で得られたポリ乳酸溶融物は、冷却および造粒、結晶化および乾燥し、次に溶融促進剤、核剤および他の補助剤と二軸押出機を介して溶融および混合する必要がある。ポリ乳酸発泡製品を得るには、発泡性ポリ乳酸材料を再度乾燥させ、押出発泡製造ラインのスクリューで溶融および可塑化し、発泡ガスと混合してから、ダイによって押出および発泡させる必要がある。ポリ乳酸は、重合の完了から発泡製品の製造まで、造粒-結晶化乾燥-冷却-除湿乾燥-溶融混合-造粒-乾燥-冷却-除湿乾燥-溶融混合-発泡等の繰り返し昇温、混練および降温のプロセスを行う必要がある。ポリ乳酸は、湿気や熱による分解性が低く、樹脂の乾燥が不十分で、高温・高せん断環境では、分子量や粘度が低下しやすく、黄色くもろくなりやすい。特に発泡工程では、乾燥が不完全な場合、泡の破損や表面の粗さなどの問題が発生しやすくなる。さらん、加熱と冷却、ペレット化、混合を繰り返すと、多くのエネルギ消費と製造コストの増加も引き起こす。これらの工程は従来の製造プロセスに不可欠であるため、ポリ乳酸製品のコスト削減は限られており、市場の発展が制限される。
【0005】
特許CN106751611Aにはポリ乳酸専用の発泡樹脂の製造方法が開示されている。この方法は、通常のプラスチック改質方法であり、従来のポリ乳酸樹脂を用いて処方改質することにより発泡ポリ乳酸樹脂を得るが、ポリ乳酸発泡プロセスを含まない。これに対し、本発明の方法はポリ乳酸溶融体から発泡製品を直接製造する方法であり、ポリ乳酸樹脂改質-発泡製品生産の全工程を含み、従来のプロセスを統合して短縮したものである。
【0006】
特許CN1600814Aにはポリ乳酸の発泡方法およびその発泡体が開示されている。CN106751611Aと同様に、ポリ乳酸専用の発泡樹脂の製造方法が開示されている。ポリ乳酸と助剤を混合して発泡前駆体を形成する。使用されるポリ乳酸、脂肪族-芳香族ポリエステルの共重合体は一般的に溶融混合されたポリマー粒子であり、つまり、ポリ乳酸の切片改質プロセスを用い、ポリ乳酸の昇温熔融、降温冷却等の過程を含む。この特許には発泡プロセスが簡単に紹介されたが、従来のポリ乳酸樹脂を切片して改質した後造粒し、さらに押出発泡する従来のプロセスに過ぎず、発泡プロセスが詳しく開示されておらず、詳しいプロセスパラメータが言及されていない。
【0007】
特許CN103819885Bにはポリ乳酸発泡材料およびその製造方法が開示されている。ポリ乳酸を切片改質した後、発泡する方法である。使用される改質助剤の一つは非分解性ポリオレフィンポリマーであり、得られたポリ乳酸発泡材料は部分的にしか分解せず、完全に分解することはなく、本当の意味で環境にやさしい材料ではない。
【0008】
特許CN1900389Aには、ポリ乳酸重合溶融体から繊維製品を直接製造する方法が開示されている。どうように管路輸送によりポリ乳酸溶融体を紡績箱の供給口に直接輸送し、その後直接紡績して繊維製品を得る。これに対し、本発明のポリ乳酸発泡製品の生産困難性がより高く、ポリ乳酸溶融体に対する強度、粘度等の要求がより高いが、ポリ乳酸溶融体が管路内で長時間高温輸送されることにより、粘度がやや低下する減少があり、ポリ乳酸溶融体の直接紡績と異なり、ポリ乳酸材料から比較的安定的な発泡製品を得るために、核剤、潤滑剤等の成分を添加する必要がある。本発明では、ポリ乳酸溶融体の直接輸送と二軸スクリュー押出機とを組み合わせることにより、溶融体の直接輸送だけでなく、樹脂の改質も含まれる。助剤はオンラインで溶融体に添加することで、溶融体の強度がさらに向上し、ポリ乳酸溶融体の発泡性が保証される。以上より、従来のポリ乳酸から発泡体を製造する特許方法は、いずれもポリ乳酸樹脂切片を使用し、乾燥、改質造粒、再度乾燥、冷却、乾燥、または改質後そのまま押出/注射/釜圧発泡を行い、ポリ乳酸を複数回の昇温および溶融混練する必要があり、工程が複雑で、コストが高い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記欠点および不足を克服するために、プロセスを効果的に減少させ、加工設備およびエネルギ消耗を節約できるポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法および装置を提供し、以下の発明目的を達成する。
(1)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法において、ポリ乳酸重合溶融体は、水冷で粒子を切ること、繰り返し乾燥冷却、昇温溶融混練等が必要ではないため、乾燥、高温せん断の発泡性に対する影響が回避され、材料の発泡性が保証されるとともに、ポリ乳酸発泡製品の品質が確保される。
(2)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法によれば、工程が少なく、水冷で粒子を切ること、結晶化乾燥、二軸スクリューによる造粒等の設備の使用およびこれらの過程に必要なエネルギ消耗が節約され、計算するとエネルギ消費が3分の1以上節約され、1トンあたり約3,000元の処理コストを節約でき、ポリ乳酸発泡製品のコストが大幅に削減される。
(3)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法によれば、工程が節約され、ポリ乳酸の粘度があまり低下せず、材料が黄変して脆くなりにくく、得られる発泡製品の発泡孔が均一で、開孔率が低い。
(4)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法により得られるポリ乳酸発泡体は、表面が滑らかで、発泡倍率が調整可能で、発泡孔のサイズが小さい。
(5)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法により得られるポリ乳酸発泡体は、結晶化度が高く、引張強さが高い。
(6)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法により得られるポリ乳酸発泡体は、見かけ密度が低く、5-15秒のベイクおよび真空成形を受けて得られる発泡体製品の耐熱性が≧80℃である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術的手段を採用する。
本発明によれば、ポリ乳酸溶融体の準備、原料供給および二次押出処理を含むポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法が提供される。
【0011】
以下は本発明の技術的手段に対するさらなる最適化である。
上記ポリ乳酸溶融体の準備で得られたポリ乳酸溶融体は、重量平均分子量Mwが18.0-22.1万、分子量分布が1.21-1.24である。
【0012】
上記ポリ乳酸溶融体の準備では、ラクチド:オクチル酸第一錫:イソオクチルアルコール:2-エチルオクタン酸の質量比は7500:1:10-15:0.1である。
【0013】
上記ポリ乳酸溶融体の準備では、重合反応温度は235℃である。
【0014】
上記二次押出処理は、第1次押出処理を含む。上記第1次押出処理において、第一段二軸スクリュー押出機のアスペクト比は≧30/1であり、主供給口から押出ヘッドへの温度は245-195℃に設定され、第一段二軸スクリュー押出機の出口圧力は15~17MPaに設定される。
【0015】
上記第1次押出処理において、上記ポリ乳酸重合溶融体の供給速度と発泡助剤の供給速度との比は25-35:1である。
【0016】
上記ポリ乳酸重合溶融体の供給速度は250kg/h、発泡助剤の供給速度は7.5-10kg/h、発泡ガスの供給速度は2.8-7.5L/hである。
【0017】
上記第1次押出処理において、発泡助剤の供給口は主供給口5からスクリューシリンダの長さの2/3離れ、ヘッドからスクリューシリンダの長さの1/3離れる。
【0018】
上記二次押出処理は、第2次押出処理を含み、
上記第2次押出処理において、第二段単軸スクリュー押出機のアスペクト比は≧30/1、初期温度範囲は180-128℃、第二段単軸スクリュー押出機の出口圧力は6~8MPaである。
【0019】
上記第1次押出処理で使用される発泡ガスはR22、二酸化炭素およびブタンのうちのいずれか1種である。
【0020】
上記ポリ乳酸溶融体の準備において、ポリ乳酸溶融体のメルトフローインデックスは2.0-10.0g/10min(190℃,2.16kg)である。
【0021】
上記原料供給では、発泡助剤はポリ乳酸重量の0.5-10%であり、
上記発泡助剤は鎖延長剤、核剤および潤滑剤を含み、
鎖延長剤は発泡助剤の総量の8-17wt%であり、
核剤は発泡助剤の総量の50-83%であり、
潤滑剤は発泡助剤総量の8-17wt%である。
【0022】
上記原料供給では、発泡助剤はポリ乳酸重量の0.5-10%であり、
上記発泡助剤は、鎖延長剤、核剤および潤滑剤を含み、
鎖延長剤は発泡助剤の総量の16.7wt%であり、
核剤は発泡助剤の総量の66.7%であり、
潤滑剤は発泡助剤の総量の16.6wt%である。
【0023】
本発明によれば、ポリ乳酸重合装置と、第一段二軸スクリュー押出機と、第二段単軸スクリュー押出機と含むポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する装置であって、
上記ポリ乳酸重合装置は上記第一段二軸スクリュー押出機に接続され、上記第一段二軸スクリュー押出機は上記第二段単軸スクリュー押出機に接続され、
上記第一段二軸スクリュー押出機には、原料供給方向に沿って順に主供給口、側供給口およびガス注入口が設けられ、上記ガス注入口は上記第一段二軸スクリュー押出機の後半に位置し、
上記側供給口と上記ガス注入口との間に密封ネジが設けられ、
上記第一段二軸スクリュー押出機と上記第二段単軸スクリュー押出機とは接続バックルにより接続され、上記第一段二軸スクリュー押出機と上記第二段単軸スクリュー押出機との間に濾過網が設けられ、
上記ポリ乳酸重合装置と上記第一段二軸スクリュー押出機とは溶融体管路により連通し、
上記ポリ乳酸重合装置と上記溶融体管路戸の間にフィードポンプがさらに接続され、
上記溶融体管路は上記主供給口により上記第一段二軸スクリュー押出機の内部に連通し、
上記第二段単軸スクリュー押出機の末端はスタティックミキサーによりヘッドに接続される装置が提供される。
【0024】
ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法において、ポリ乳酸重合反応装置の排出ポンプの排出口と押出発泡装置とを保温ジャケットが設けられた溶融体管路により直接接続し、または溶融体計量ポンプにより接続し、重合装置から排出された完全に重合したポリ乳酸溶融体を溶融体管路または溶融体計量ポンプを通して押出発泡装置の第一段二軸スクリュー押出機に連続的に導入し、ポリ乳酸溶融体発泡の特性を改善するための助剤をこの二軸スクリュー押出機の側供給口から押出機シリンダに導入し、ポリ乳酸溶融体と混合し、高圧発泡ガスを第一段二軸スクリュー押出機の後半に設けられた注入口から注入し、ポリ乳酸/助剤のプレミックスと混合し、混合した溶融体-発泡ガス混合物を押出発泡装置の第二段単軸スクリュー押出機に連続的に導入し、単軸スクリュー押出機中で混合して降温した後、ヘッドから押出して発泡し、ポリ乳酸発泡製品を得る。
【0025】
本発明に記載の排出ポンプから排出されるポリ乳酸溶融体は、その温度範囲が190~250℃、メルトフローインデックスの範囲が2~10g/10min(190℃,2.16kg)である。
【0026】
本発明に記載のポリ乳酸は、乳酸繰り返し単位を含むホモポリマーまたは共重合体である。繰り返し単位は、L-光学異性体および/またはD-光学異性体であってもよい。
【0027】
本発明に記載の排出口からポリ乳酸押出発泡装置の供給口までの直線距離は≦200mである。接続された溶融体管路に保温ジャケットが設けられる。保温ジャケット内に溶融体管路内のポリ乳酸溶融体を保温するための伝熱媒体を循環して導入する。管路内の溶融体圧力は≧0.5MPaである。溶融体の輸送圧力をより安定にするために、ポリ乳酸押出発泡装置の供給口の前に溶融体計量ポンプが設けられてもよい。
【0028】
本発明に記載のポリ乳酸押出発泡装置の数は少なくとも1セット以上であり、その構造はタンデム式の二段押出発泡装置である。第一段は二軸スクリュー押出機であり、第二段は単軸スクリュー押出機である。第一段押出機ヘッドから排出される溶融体は濾過網により濾過された後そのまま第二段押出機に輸送される。濾過網のメッシュ数は40-100メッシュである。
【0029】
本発明に記載の押出発泡装置の第一段二軸スクリュー押出機は、そのアスペクト比が≧30であり、側供給口およびガス注入口が設けられ、その温度設定範囲が170-250℃である。本発明に記載の押出発泡装置の第二段単軸スクリュー押出機は、アスペクト比が≧30であり、その初期温度設定値が180℃であり、ヘッドからガスを運んでいる溶融体が流出するときに、徐々に降温し、最終温度範囲は110-170℃であり、押出機の供給端からヘッドまで温度が徐々に減少する傾向にある。
【0030】
本発明に記載のポリ乳酸溶融体の発泡特性を改善する助剤は、鎖延長剤、核剤、発泡孔安定剤、潤滑剤のうちの1種または複数種を含むが、これらに限定されない。上記鎖延長剤は、エポキシ重合型鎖延長剤、オキサゾリン型鎖延長剤、イソシアネート型鎖延長剤または無水マレイン酸型鎖延長剤であってもよいが、エポキシ重合型鎖延長剤が好ましい。核剤は無機核剤および有機核剤であってもよく、無機核剤には滑石粉、炭酸カルシウム、二酸化チタン、モンモリロナイトがあり、有機核剤にはクエン酸、クエン酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムがある。発泡孔安定剤にはグリセリルモノステアレート、滑石粉がある。潤滑剤には脂肪酸エステル類、アミド類、ステアリン酸塩等のポリ乳酸加工においてよく使用される潤滑剤がある。発泡助剤の総添加量はポリ乳酸重量の0.5-10%であり、鎖延長剤は0.3-3%、核剤は0.3-3%、発泡孔安定剤は0-3%、潤滑剤は0-5%である。
【0031】
本発明に記載の発泡ガスはアルカン類、ハロゲン化アルケン類、二酸化炭素、窒素ガス、アルゴンガス等の発泡ガスのうちの1種または複数種の混合物を含むが、これらに限定されない。好ましくはブタン、フレオンおよび二酸化炭素のうちの1種または2種の混合物である。発泡ガスの注入量はポリ乳酸と発泡助剤の総重量の1%-10%である。
【0032】
本発明に記載のポリ乳酸発泡製品は、ポリ乳酸発泡シート材、ポリ乳酸発泡粒子、ポリ乳酸発泡異形材を含むが、これらに限定されない。第二段単軸スクリュー押出機の押出ダイの形状に依存する。シート材ダイまたは環状ダイを用いて得られるのはポリ乳酸発泡シート材である。環状ダイを用いてポリ乳酸マイクロセルラー発泡シート材を得るのが好適である。ストリップ状ダイを用いる場合、熱間カットヘッドによりポリ乳酸発泡粒子を得ることができる。異形ダイを用いると、ポリ乳酸発泡異形材を得ることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
(1)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法において、ポリ乳酸重合溶融体は、水冷で粒子を切ること、繰り返し乾燥冷却、昇温溶融混練等が必要ではないため、乾燥、高温せん断の発泡性に対する影響が回避され、材料の発泡性が保証されるとともに、ポリ乳酸発泡製品の品質が確保される。
(2)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法によれば、工程が少なく、水冷で粒子を切ること、結晶化乾燥、二軸スクリューによる造粒等の設備の使用およびこれらの過程に必要なエネルギ消耗が節約され、計算するとエネルギ消費が3分の1以上節約され、1トンあたり約3,000元の処理コストを節約でき、ポリ乳酸発泡製品のコストが大幅に削減される。
(3)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法によれば、工程が節約され、ポリ乳酸の粘度があまり低下せず、材料が黄変して脆くなりにくく、得られる発泡製品の発泡孔が均一で、開孔率が低い。
(4)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法により得られるポリ乳酸発泡体は、表面が滑らかで、発泡孔が均一で、発泡倍率が3-25倍で調整可能で、発泡孔のサイズが≦1mm、開孔率が<10%である。
(5)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法により得られるポリ乳酸発泡体は、結晶化度が40.3-48.5%、引張強さが8.7-19.6MPaである。
(6)本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法により得られるポリ乳酸発泡体は、見かけ密度が0.05-0.4g/cm3であり、5-15秒のベイクおよび真空成形を受けて得られる発泡体製品の耐熱性が≧80℃である。
【0034】
以下、図面を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明に列挙される従来技術のポリ乳酸重合溶融体から発泡製品を製造するフローチャートである。
【
図2】本発明の方法に記載のポリ乳酸重合溶融体から発泡製品を製造するフローチャートである。
【
図3】本発明の方法に記載のポリ乳酸重合装置およびポリ乳酸押出発泡装置の接続模式図である。
【
図4】本発明の第一段二軸スクリュー押出機と第二段単軸スクリュー押出機との接続箇所の拡大図である。
【
図6】本発明の第一段二軸スクリュー押出機のセグメントの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の具体的な実施例は本発明をより良く理解するためのものであり、本発明を制限するものではない。以下の実施例における実験方法は、特に指定のない限り、全て従来の方法である。以下の実施例で使用される材料は、特に指定のない限り、全て従来の材料である。以下の実施例における試験は、特に指定のない限り、いずれも3回繰り返して平均値を結果として求める。以下、実施例により本発明をさらに説明する。
【0037】
<実施例1>ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法
図3-6に示すように、本発明のポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法は、以下のステップを含む。
ステップ1:ポリ乳酸溶融体の準備
主原料であるラクチドを加熱して溶融させた後、触媒であるオクチル酸第一錫、開始剤であるイソオクチルアルコールと混合し、重合反応を開始させた。ラクチド:オクチル酸第一錫:イソオクチルアルコールの質量比は7500:1:13、重合反応温度は235℃であった。重合反応終了後、鎖停止剤である2-エチルオクタン酸を加えて反応を停止させた。ラクチドと停止剤との質量比は75000:1であった。その後、脱揮してモノマーを除去し、メルトフローインデックスは約3.7g/10min(190℃,2.16kg)のポリ乳酸溶融体を得た。重量平均分子量Mwは約20.5万、分子量分布は1.21であった。
【0038】
ステップ2:原料供給
装置1の後面に接続されたフィードポンプ2により、245℃に保温した状態でポリ乳酸溶融体を約1.8MPaの圧力で第一段二軸スクリュー押出機4の主供給口5に連続的に投入した。フィードポンプ2の輸送速度は250kg/hであった。発泡助剤を7.5kg/hの速度で側供給口6から第一段二軸スクリュー押出機4に投入した。
発泡助剤において、
鎖延長剤はBASF(Joncryl ADR 4370)であり、発泡助剤総量の16.7wt%であり、
核剤は2000メッシュの滑石粉であり、発泡助剤総量の66.7%であり、
潤滑剤はステアリン酸亜鉛であり、発泡助剤総量の16.6wt%であった。
【0039】
ステップ3:二次押出処理
A、第1次押出処理:
第一段二軸スクリュー押出機のアスペクト比は40/1、主供給口5から押出ヘッドまでの温度は245℃,240℃,235℃,230℃,225℃,220℃,215℃,210℃,205℃,195℃に設定された。
発泡ガスR22(クロロジフルオロメタン)の注入位置は、第一段二軸スクリュー押出機の主供給口5とヘッドとの間であり、具体的には、主供給口5からスクリューシリンダ長さの2/3離れた位置であって、ヘッドからスクリューシリンダ長さの1/3離れた位置であった。
【0040】
発泡ガスR22を7.5L/hの速度、20MPaの圧力で第一段二軸スクリュー押出機4に注入した。第一段二軸スクリュー押出機4の出口圧力が15~17MPa前後に維持され、第一段単軸スクリュー押出機4の出口圧力が6~8MPa前後に維持されるように第二段単軸スクリュー押出機9の回転速度を調整した。
【0041】
B、第2次押出処理:
第二段単軸スクリュー押出機のアスペクト比は40/1、初期温度は180℃,180℃,180℃,180℃,180℃,180℃,180℃,180℃に設定された。
第一段二軸スクリュー押出機の出口圧力が15~17MPa前後、第二段単軸スクリュー押出機の出口圧力が6~8MPa前後に維持されるように第二段単軸スクリュー押出機回転速度を調整した。
ヘッドの形状は、環状ダイであり、ダイからポリ乳酸溶融体が気流を挟んで流出した場合、第二段単軸スクリュー押出機の温度を徐々に低減させ、約30minかけて温度を170℃,160℃,150℃,140℃,135℃,132℃,132℃,132℃に低減させた。
表面が滑らかで、気孔が緻密なポリ乳酸発泡材料が得られた。
【0042】
特性評価:試験結果を表2に示す。
【0043】
分析天秤を用い、中国国家標準GB1033-86に従って発泡製品の見かけ密度を測定した。
ULTRAFOAM 1000(米国Quantachrome Instruments社)を用いて発泡サンプルの開孔率を測定した。
発泡孔サイズは、顕微鏡により発泡シート材の断面を観察し、サイズを測定し、100個の発泡孔を計測して得られた平均直径である。
シート材の引張強さは、ユニバーサル試験機を用いて中国国家標準GB/T 6344-2008に従って測定した。
シート材は、同様の正負圧ブリスタープロセスによりトレイ製品を作成し、異なる温度の水でその耐熱性を測定した。
【0044】
異なるプロセスの材料特性に対する影響を測定するために、第二段単軸スクリュー押出機の押出口から一部の溶融体を取り、中国国家標準GB/T 3682-2000に従ってメルトフローインデックスMIを測定した。
【0045】
<実施例2-3>ポリ乳酸重合溶融体からポリ乳酸発泡製品を直接製造する方法
実施例2-3において、原料および助剤における各組成の割合、温度およびヘッド圧力のパラメータが実施例1と異なる以外、実施例1と同様の発泡プロセスにより実施した。プロセス条件を表1に示す。結果を表2に示す。
【0046】
【0047】
<比較例1-2>
市販品の発泡グレードのポリ乳酸樹脂A(ポリ乳酸96%、発泡助剤4%、メルトフローインデックス3.5g/min(190℃、2.16kg、Mw:20.7万、分子量分布1.43)、水分含有量>1000ppm)を購入した。このようなポリ乳酸樹脂は、96%の純粋なポリ乳酸樹脂粒と4%の他の助剤とを溶融混練することにより得られたものであり、購入される前に、重合、造粒、乾燥、再度昇温溶融、造粒および乾燥等がなされた。
【0048】
ポリ乳酸の発泡過程に対する乾燥の度合いの影響を検討するために、2つの条件で比較例を実施した。
【0049】
<比較例1>未乾燥のポリ乳酸樹脂Aを用いて発泡した。
<比較例2>乾燥後のポリ乳酸樹脂Aを用いて発泡した。
【0050】
比較例1の実施過程
本発明に記載のポリ乳酸重合溶融体の輸送管路および供給口を閉じ、購入されたポリ乳酸樹脂Aを乾燥させずそのまま供給口5から投入速度250kg/hで第一段押出機4に投入し、第一段押出機4の温度を実施例1と同様に設定し、供給口5からヘッドまでそれぞれ245℃,240℃,235℃,230℃,225℃,220℃,215℃,210℃,205℃,195℃であった。発泡ガスはR22を採用し、注入速度は7.5L/hであった。第二段単軸スクリュー押出機9のアスペクト比を40/1、初期温度を180℃,180℃,180℃,180℃,180℃,180℃,180℃,180℃に設定した。第一段二軸スクリュー押出機4の出口圧力が15~17MPa前後、第二段二軸スクリュー押出機9の出口圧力が6~8MPa前後に維持されるように、第二段二軸スクリュー押出機9の回転速度を調整した。ヘッド形状は環状ダイであり、ダイからポリ乳酸溶融体がガスを挟んで流出した場合、第二段二軸スクリュー押出機9の温度を徐々に低減させ、約30minかけて温度を170℃,160℃,150℃,140℃,135℃,132℃,132℃,132℃に低減させた。発泡シート材が得られたが、プロセスは安定的ではなく、シート材の表面が破裂し、または穴ができた。
【0051】
比較例2において、ポリ乳酸樹脂Aを80℃で4h除湿乾燥(露点-80℃)した後、供給口6に投入した以外、比較例1と同じ条件で発泡シート材を作製した。結果を表2に示す。
【0052】
【0053】
表2から分かるように、本発明の方法で得られたポリ乳酸発泡体は、適応性および安定性が良好で、厚さおよび倍率が異なる発泡製品を得ることができる。
そのうち、二酸化炭素発泡により得られたポリ乳酸発泡製品は、倍率が比較的低く、厚さが薄いが、発泡孔が緻密で、表面が滑らかで、強度が高かった。R22発泡により得られた製品は、発泡孔サイズが比較的大きく、開孔率が比較的高く、強度が低いが、厚さが高く、倍率が高かった。ブタン発泡製品は折衷である。フレオンR22発泡により得られたシート材は、倍率が高く、発泡孔壁が比較的薄く、結晶化度が速いため、製品の耐熱性が良好であった。倍率が低いほど、発泡孔壁が厚く、材料の結晶化速度が遅く、結晶化度が低く、耐熱性が悪くなるため、二酸化炭素発泡材料の耐熱温度は比較的低かった。
【0054】
実施例1-3において、ポリ乳酸溶融体が第一段二軸スクリュー押出機中で鎖延長改質され、第二段単軸スクリュー押出機中で混練されたが、メルトフローインデックスが大きく低下しなかった。表1に示されるMI試験結果から分かるように、材料の分子量の減少が小さく、熱劣化の程度が高くなく、材料は良好な強度および発泡性能を保持できた。
【0055】
比較例1-2で採用されるポリ乳酸樹脂Aは改質されたポリ乳酸であり、助剤の添加比率が相対的高く、二軸スクリューにより混練されたため、分子量分布は広くなった。比較例1では、未乾燥のポリ乳酸樹脂Aを用いて発泡し、水分含有量が高いため、プロセスが安定的ではなく、得られたシート材表面の鮫皮状シワが顕著で、穴ができる場合もあり、材料表面の開孔率が高く、発泡孔が破裂してシワが形成された。比較例2で使用されるポリ乳酸樹脂Aは、乾燥されたが、繰り返して昇温溶融混練されたため、発泡プロセスが実施例1と同じであるが、材料の発泡倍率および強度はいずれも低く、材料の発泡孔サイズが大きく、開孔率が高く、色がやや黄変し、これはある程度の熱劣化が発生したことを示している。比較例1-2で使用されるポリ乳酸樹脂Aは、初期MIが実施例に近いが、第一段二軸スクリュー押出機および第二段単軸スクリュー押出機により可塑化混練された後、メルトフローインデックスMIの増大比率が高く、特に比較例1では、水分の存在により材料の湿熱劣化がより顕著であり、発泡が安定的ではなく、材料特性が悪かった。
【0056】
本発明の方法で得られたポリ乳酸発泡体は、倍率が高く、発泡孔サイズが小さく、開孔率が低く、材料の強度が高く、耐熱性が良好で、生産プロセスにおいて造粒、結晶化、乾燥、改質造粒、再度結晶化乾燥の過程が省力されるため、コスト削減は1トンあたり3,000元に達する。
【0057】
<実施例4>ポリ乳酸重合溶融体から発泡体を直接製造する装置
以下、本発明のポリ乳酸発泡製品の製造装置を詳しく説明する。
図3-6に示されるように、本発明のポリ乳酸重合溶融体から発泡体を直接製造する装置は、ポリ乳酸重合装置1、第一段二軸スクリュー押出機4および第二段単軸スクリュー押出機9を含む。第一段二軸スクリュー押出機4は、主にポリ乳酸溶融体と発泡助剤の均一混練、および発泡ガスとの初期混合に使用される。第二段単軸スクリュー押出機9は、主に于ポリ乳酸/発泡助剤混合体と発泡ガスの混合および冷却に使用され、温度を発泡に適切な範囲に降温する。第一段二軸スクリュー押出機4および第二段単軸スクリュー押出機9は互いに直交して設けられてもよい。第一段二軸スクリュー押出機4は同方向回転二軸スクリュー押出機であり、アスペクト比が≧30である。第一段二軸スクリュー押出機4のスクリューシリンダの供給端の側面に開口し、溶融体輸送管路3に接続される。スクリューシリンダの供給口の上端開口は側供給口6であり、発泡助剤の添加に使用される。発泡助剤は側供給口6に取り付けられた原料供給装置により投入することができる。主供給口5からスクリューシリンダ総長の2/3~3/4離れた位置に発泡ガスを注入するためのガス注入口7が設けられる。
【0058】
側供給口6とガス注入口7との間に密封ネジが設けられ、局所の溶融体圧力により高圧ガスを混合セグメントにブロックし、注入されたガスが投入口(主供給口5、側供給口6)から逸脱することを防止する。他の部分、例えば、シリンダの加熱および保温制御等は通常の押出機と同様である。
【0059】
第二段単軸スクリュー押出機9は、ETスクリュー構造または多条ネジスロット構造を採用する。これによって、より高い溶融体冷却効果が得られる。上記ポリ乳酸重合装置1と第一段二軸スクリュー押出機4は溶融体管路3により連通し、上記第一段二軸スクリュー押出機4と第二段単軸スクリュー押出機9との間に濾過網8が設けられる。具体的には、
図2に示すように、第一段単軸スクリュー押出機4と第二段単軸スクリュー押出機9は
図4に示される装置により接続される。
【0060】
図4において、第一段二軸スクリュー押出機4のスクリューシリンダ21は、接続バックル22により液圧網交換システム24が取り付けられた保温ステンレス連結管23に接続される。保温ステンレス連結管23の他端は第二段単軸スクリュー押出機9の供給口に接続バックル25により接続される。液圧網交換システム24のピストンロッド27は、2つの通流孔29、210を有するモジュールを上下移動可能なように駆動できる。通流孔29、210に濾過網8が配置されてもよい。液圧網交換システムにより生産過程における濾過網の交換が実現される。
【0061】
上記ポリ乳酸重合装置1と上記溶融体管路3との間にフィードポンプ2がさらに接続される。
上記第一段二軸スクリュー押出機4には、原料供給方向に沿って順に主供給口5、側供給口6およびガス注入口7が設けられる。
図6は、第一段二軸スクリュー押出機4のセグメント化模式図である。同図から主供給口5、側供給口6およびガス注入口7の位置関係が分かり、すなわち、第一段二軸スクリュー押出機4のスクリューシリンダの供給端から排出端まで10個のセグメントに均一に分けられる。第10のセグメントは排出口に接続され、主供給口5は第1のセグメントに設けられ、側供給口6(シリンダの側面または上面に開口し、主供給口5と区別するために、側供給口6と呼ぶ)は第2のセグメントに設けられ、ガス注入口7は第8または9のセグメントに設けられる。ポリ乳酸溶融体は、第1のセグメントから第一段二軸スクリュー押出機4のシリンダのチャンバ内に入り、チャンバが満たされた後、発泡助剤は側供給口6からシリンダのチャンバに入ってポリ乳酸溶融体と混合し、溶融体が二軸スクリューにより混練されて第7または8のセグメントに輸送された時にほぼ均一に混合される。このときに、発泡ガスをガス注入口7から注入し、さらに溶融体と混合する。側供給口6は、主供給口5の後ろに設けられなければならず、ガス注入口7は、側供給口6の後ろに設けられなければならず、かつ第一段二軸スクリュー押出機4の後半に位置しなければならない。
【0062】
上記溶融体管路3は、上記主供給口5により上記第一段二軸スクリュー押出機4の内部に連通し、上記第二段単軸スクリュー押出機9の末端のスタティックミキサー12に連通し、スタティックミキサー12はヘッド10に連通し、上記ヘッド10は発泡製品を押出するものである。ヘッド10は、市販されているポリスチレン押出発泡用ヘッドであってもよい。ヘッド10は交換可能であり、可以是調整可能なダイギャップチューブフィルムヘッド、多孔質ストリップヘッド、板材ヘッド等であってもよい。
【0063】
さらに、上記溶融体管路3に保温ジャケットが設けられる。上記保温ジャケット内に伝熱媒体が循環して溶融体管路3内のポリ乳酸溶融体を保温する。
【0064】
図5は溶融体管路3の構造模式図であり、外層の保温ジャケットは隔離スリーブ31である。隔離スリーブ31の隔離スリーブチャンバ32内に熱い熱伝達油を導入することができる。熱伝達油は、管路38により隔離スリーブチャンバ32に導入され、管路37から導出される。例えば、熱伝達油タンク39は、蒸気により持続的に加熱されることにより、ポリ乳酸溶融体と同じ温度に保持し、保温作用を奏することができる。また、隔離スリーブ31の外層に保温材料がさらに包まれることにより、より良好な保温効果が達成される。管路は、複数のセグメントが接続バックル36により接続されたものであってもよい。
【0065】
さらに、上記溶融体管路3は、フィードポンプ2の出口から第一段二軸スクリュー押出機4の主供給口5までの直線距離は≦200mであり、管路距離が適切で、エネルギ消費が最も少ない。
【0066】
さらに、上記第一段二軸スクリュー押出機4は二軸スクリュー押出機である。上記第一段二軸スクリュー押出機4はアスペクト比が≧30であり、混錬効果が最も高い。上記第二段単軸スクリュー押出機9は単軸スクリュー押出機である。上記第二段単軸スクリュー押出機9のアスペクト比は≧30である。上記ポリ乳酸重合装置1には、少なくとも1本の溶融体管路3が接続されることにより、複数の通路を設けることができ、発泡製品の生産効率を大幅に向上できる。
【0067】
さらに、上記側供給口6から投入される物質は、鎖延長剤、溶融体強化剤、発泡保護剤、核剤、化学発泡剤のうちの1種または複数種を含む。
【0068】
さらに、上記ガス注入口7から注入される物質は、アルカン類、ハロゲン化オレフィン類、二酸化炭素、窒素ガス、アルゴンガス等の発泡ガスのうちの1種または複数の混合物を含む。
【0069】
本発に記載の発泡製品11は、ポリ乳酸発泡シート材、ポリ乳酸発泡粒子、ポリ乳酸発泡管材、ポリ乳酸発泡異形材を含むが、これらに限定されない。
【0070】
本発明のポリ乳酸発泡製品の製造装置の動作過程は、以下の通りである。ポリ乳酸溶融体はポリ乳酸重合装置1中で重合した後、脱揮処理され、フィードポンプ2に導入され、フィードポンプ2により伝熱媒体で保温された溶融体管路3に導入され、さらにポリ乳酸押出発泡装置の第一段二軸スクリュー押出機4の主供給口5に輸送され、鎖延長剤、発泡保護剤および核剤を事前に均一に混合された混合物が、溶融体の供給速度に適合した速度で側供給口6から第一段二軸スクリュー押出機4に添加され、ポリ乳酸溶融体と混合して均質化し、ガス注入口7から高圧発泡ガスを二軸スクリューに注入し、溶融体と混合し、初期混合された溶融体-ガス混合物を濾過網8により濾過した後第二段単軸スクリュー押出機9に輸送され、第二段単軸スクリュー押出機9によりさらに可塑化して混合して降温した後、スタティックミキサー12により溶融体を均質化した後ヘッド10により押出し、発泡成形することによりポリ酸発泡製品11が得られる。
【0071】
本発明の第一段二軸スクリュー押出機の主な作用は、ポリ乳酸溶融体と発泡助剤とを均一に混合し、さらに発泡ガスと初期混合することである。第二段単軸スクリュー押出機の主な作用は、溶融体混合物と発泡ガスとを均一に混合することである。ポリ乳酸重合生産ラインとポリ乳酸発泡生産ラインとが直接接続され、ポリ乳酸溶融体が押出発泡装置に直接流入する。ポリ乳酸切片の改質および発泡はオンラインで完成する。
【0072】
特に明記しない限り、本発明で使用される百分率は重量百分率であり、本発明に記載の比率はいずれも質量比である。
【0073】
以上、本発明の実施例を説明した。当業者は、本発明の原理および思想から逸脱することなく、これらの実施例に対して様々な変更、修正、および置換を行うことができることを理解することができる。本発明の範囲は、添付する特許請求の範囲およびその同等物によって定義される。
【符号の説明】
【0074】
1 ポリ乳酸重合装置、
2 フィードポンプ、
3 溶融体管路、
4 第一段二軸スクリュー押出機、
5 主供給口、
6 側供給口、
7 ガス注入口、
8 濾過網、
9 第二段単軸スクリュー押出機、
10 ヘッド、
11 ポリ酸発泡製品、
12 スタティックミキサー、
21 スクリューシリンダ、
22 接続バックル、
23 保温ステンレス連結管、
24 液圧網交換システム、
25 接続バックル、
26 第二段単軸スクリュー押出機スクリューシリンダ、
27 ピストンロッド、
29 通流孔、
210 通流孔
31 隔離スリーブ、
32 隔離スリーブチャンバ、
33 ポリ乳酸溶融体管路、
34 保温材料、
35 ポリ乳酸溶融体管路チャンバ、
36 接続バックル、
37 管路、
38 管路、
39 熱伝達油タンク。
【国際調査報告】