(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】金属酵素阻害剤化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 235/30 20060101AFI20220224BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20220224BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220224BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20220224BHJP
A61P 5/42 20060101ALI20220224BHJP
A61P 5/38 20060101ALI20220224BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20220224BHJP
A61P 9/08 20060101ALI20220224BHJP
A61P 3/12 20060101ALI20220224BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220224BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220224BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220224BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220224BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220224BHJP
A61P 5/50 20060101ALI20220224BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20220224BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20220224BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20220224BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20220224BHJP
A61K 31/437 20060101ALI20220224BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20220224BHJP
C12N 9/99 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
C07D235/30 B CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P9/00
A61P5/00
A61P29/00
A61P31/00
A61P15/08
A61P3/00
A61P27/02
A61P25/00
A61P13/00
A61P1/00
A61P9/12
A61P5/42
A61P5/38
A61P11/00
A61P9/04
A61P9/08
A61P3/12
A61P7/00
A61P13/12
A61P9/10
A61P9/10 103
A61P43/00 105
A61P9/10 101
A61P1/16
A61P3/10
A61P5/50
A61P21/04
A61P43/00 121
A61K31/4184
A61P25/20
C07D471/04 107K
A61K31/437
C07D471/04 107Z
C07D519/00 311
C07D471/04 107E
C12N9/99
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539921
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(85)【翻訳文提出日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 US2020012786
(87)【国際公開番号】W WO2020146532
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509066019
【氏名又は名称】フェーズバイオ ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】スパークス,スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】イエーツ,クリストファー,エム.
【テーマコード(参考)】
4C065
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C065AA04
4C065AA05
4C065BB06
4C065CC01
4C065DD03
4C065EE02
4C065HH01
4C065HH03
4C065HH08
4C065JJ01
4C065JJ02
4C065KK01
4C065KK09
4C065LL01
4C065PP04
4C065PP09
4C065PP18
4C065QQ04
4C065QQ05
4C072MM02
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC39
4C086CB05
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA58
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA37
4C086ZA40
4C086ZA42
4C086ZA45
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA94
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB31
4C086ZC03
4C086ZC08
4C086ZC20
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC75
(57)【要約】
金属酵素調節活性を有する化合物及びこの種の金属酵素が介する疾患、障害、又はその症状を治療する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
(式中:
W、X、Y、及びZは、それぞれ独立して、N又はCR
1であり;
Q、T、U、及びVは、それぞれ独立して、N又はCR
2であり;
Aは、N又はCR
3であり;
但し、W、X、Y、及びZのうち2つ以下がNであり;及びQ、T、U、及びVのうち2つ以下がNであり;
R
1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、(CR
eR
f)
nNR
aR
b、(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
d、(CR
eR
f)
nNR
cCO
2R
d、CO
2R
e、COR
f、又は(CR
eR
f)
nOR
fであり;R
1はいずれも、1~3個の独立した置換基R
7で任意選択的に置換されていてもよく;
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、(CR
eR
f)
nNR
aR
b、(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
d、(CR
eR
f)
nNR
cCO
2R
d、N(S(O
2)R
d)
2、CO
2R
e、COR
f、又は(CR
eR
f)
nOR
fであり;R
2はいずれも、1~3個の独立した置換基R
7で任意選択的に置換されていてもよく;
R
3は、水素、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、又はシクロアルキルであり;
R
4は、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、又はヘテロアルキルであり;
nは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;
R
7は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、カルボキシル、アリール、1~3個の独立したハロゲンで置換されたアリール、-(CR
eR
f)
nC(O)NR
aR
b、-S(O)
2R
d、-CO
2R
e、又はNR
aR
bであり;
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシアルキル、C(O)OC
1~6アルキル、C(O)OH、C(O)C
1~6アルキル、S(O
2)C
1~6アルキル、S(O
2)アリール、S(O
2)ヘテロアリール、窒素原子に結合している場合は窒素保護基、又は酸素原子に結合している場合は酸素保護基であるか;あるいは、R
a及びR
bは、これらが結合している原子と一緒になってヘテロシクロアルキル環を形成し;あるいは、R
e及びR
fは、これらが結合している原子と一緒になってシクロアルキル環を形成し;あるいは、R
c及びR
dは、これらが結合している原子と一緒になってヘテロシクロアルキル環を形成する)又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物であって、式I-a:
【化2】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物であって、式I-b:
【化3】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物であって、式I-c:
【化4】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物であって、式I-d:
【化5】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物であって、式I-e:
【化6】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物であって、式I-f:
【化7】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物であって、式I-g:
【化8】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物であって、式I-h:
【化9】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物であって、式I-i:
【化10】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物であって、式I-j:
【化11】
の化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
R
1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、又はハロアルコキシである、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
R
1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノである、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
少なくとも1個のR
1は、ハロゲン又はシアノである、請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、(CR
eR
f)
nNR
aR
b、(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
d、(CR
eR
f)
nNR
cCO
2R
d、CO
2R
e、COR
f、又は(CR
eR
f)
nOR
fである、請求項1~14のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
d、又はCO
2R
eである、請求項1~15のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項17】
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
dである、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロアルキル、又はNHS(O
2)R
dであり;R
dはアルキルである、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項19】
少なくとも1個のR
2は、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
dである、請求項1~17のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項20】
R
4は、アルキル又はシクロアルキルである、請求項1~10若しくは12~20のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項21】
R
4は、C
1~4アルキル又はC
3~5シクロアルキルである、請求項1~10若しくは12~20のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項22】
R
4は、エチル又はシクロプロピルである、請求項1~10若しくは12~20のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項23】
AはNである、請求項1若しくは12~22のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項24】
W、X、Y、及びZのうち、Nは1種以下である、請求項1、2、若しくは12~23のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項25】
W、X、Y、及びZは、それぞれCR
1である、請求項1、2、若しくは12~23のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項26】
ZはNである、請求項1~3、6~8、若しくは12~24のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項27】
ZはCR
1である、請求項1~3、6~8、若しくは12~24のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項28】
Q、T、U、及びVのうち、Nは1種以下である、請求項1~5若しくは12~27のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項29】
Q、T、U、及びVは、それぞれCR
2である、請求項1若しくは12~27のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項30】
T及びUは、それぞれCR
2である、請求項1~5若しくは12~27のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項31】
TはNであり、UはCR
2である、請求項1~5若しくは12~28のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項32】
UはNであり、TはCR
2である、請求項1~5若しくは12~28のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項33】
R
1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり、R
4はシクロプロピルである、請求項1~32のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項34】
R
1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり、
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
dであり、
R
4はシクロプロピルである、請求項1~17若しくは20~32のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項35】
R
1は、それぞれ独立して、水素又はシアノであり、
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
dであり、
R
4はシクロプロピルである、請求項1~13、15、16、若しくは20~32のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項36】
R
1は、それぞれ独立して、水素又はハロゲンであり、
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
dであり、
R
4はシクロプロピルである、請求項1~13、15、16、若しくは20~32のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項37】
R
1は、それぞれ独立して、ハロゲンであり、
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
dであり、
R
4は、シクロプロピルである、請求項1~16若しくは20~32のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項38】
R
1は、それぞれ独立して、水素、クロロ、フルオロ、又はシアノであり、
R
2は、それぞれ独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチルメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O
2)CH
3であり、
R
4はシクロプロピルである、請求項1~17若しくは20~32のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項39】
R
1は、それぞれ独立して、水素又はシアノであり、
R
2は、それぞれ独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチルメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O
2)CH
3であり、
R
4はシクロプロピルである、請求項1~13、15~17、若しくは20~32のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項40】
R
1は、それぞれ独立して、水素、クロロ、又はフルオロであり、
R
2は、それぞれ独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチルメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O
2)CH
3であり、
R
4はシクロプロピルである、請求項1~13、15~17、若しくは20~32のいずれか一項に記載の化合物又はその医薬的に許容される塩。
【請求項41】
請求項1に記載の化合物であって、
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-1,2-ビベンゾ[d]イミダゾール(1);
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-1,2-ビベンゾ[d]イミダゾール(2);
1’-シクロプロピル-4,5,6’-トリフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(3);
1’-シクロプロピル-5,6,6’-トリフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(4);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5,6-ジメトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(5);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボニトリル(6);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボニトリル(7);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-メチル-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(8);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-メチル-1’H-12’-ビベンゾ[d]イミダゾール(9);
1’-シクロプロピル-5-エチル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(10);
1’-シクロプロピル-6-エチル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(11);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-メトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(12);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-メトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(13);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-4-メチル-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(14);
1’-シクロプロピル-5,6,6’,7’-テトラフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(15);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(16);
1’-シクロプロピル-5,5’,6,6’-テトラフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(17);
1’-シクロプロピル-5,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(18);
1’-シクロプロピル-6,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(19);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(20);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(21);
1’-エチル-5,6-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(22);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボニトリル(23);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボニトリル(24);
1’-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(25);
6’-クロロ-1’-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(26);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-(トリフルオロメトキシ)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(27);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-(トリフルオロメトキシ)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(28);
5-クロロ-3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(29);
N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)-N-(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド(30);
N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(31);
3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(32);
N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(33);
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(34);
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(35);
3-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(36);
3-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(37);
3-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(38);
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(39);
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-(ジフルオロメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(40);
3-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-(ジフルオロメチル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(41);
1-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(42);
1-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(43);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボン酸(Ex.44);
N-(1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(45);
N-(1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(46);
N-(6’-シアノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(47);
N-(6’-シアノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(48);
1’-シクロプロピル-5-(ジフルオロメトキシ)-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(49);
1’-シクロプロピル-6-(ジフルオロメトキシ)-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(50);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボン酸(51);
1’-シクロプロピル-5-(ジフルオロメトキシ)-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(52);
1’-シクロプロピル-6-(ジフルオロメトキシ)-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(53);
である化合物、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項42】
金属酵素活性を阻害する方法であって、請求項1~41のいずれか一項に記載の化合物を金属酵素と接触させることを含む、方法。
【請求項43】
前記接触はin vivoである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記接触はin vitroである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記金属酵素は、鉄、亜鉛、ヘム鉄、マンガン、マグネシウム、鉄硫黄クラスター、ニッケル、モリブデン、又は銅である金属原子を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
前記金属酵素は、シトクロムP450ファミリー、シクロオキシゲナーゼ、及び一酸化窒素合成酵素から選択される酵素クラスのメンバーである、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記金属酵素は、アルドステロン合成酵素(CYP11B2)である、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記金属酵素は、アロマターゼ(CYP19)、シクロオキシゲナーゼファミリーのメンバー、ラノステロールデメチラーゼ(CYP51)、一酸化窒素合成酵素ファミリーのメンバー、トロンボキサン合成酵素(CYP5a)、ヨウ化物ペルオキシダーゼ、17-αヒドロキシラーゼ/17,20-リアーゼ(CYP17)、シトクロムP450 2A6(CYP2A6)、ヘム酸素添加酵素、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ、レチノイン酸ヒドロキシラーゼ(CYP26)、ビタミンDヒドロキシラーゼ(CYP24)、ステロール27-ヒドロキシラーゼ(CYP27)、シトクロムP450 3A5(CYP3A5)、コレステロール24-ヒドロキシラーゼ(CYP46)、シトクロムP450 4F2(CYP4F2)、ミエロペルオキシダーゼ、及び11-β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)である、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
前記化合物を、ヒト対象に投与することをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
対象の金属酵素活性を調節する方法であって、前記対象を、金属酵素活性を調節するのに充分な量及び条件で請求項1の化合物と接触させることを含む、方法。
【請求項51】
障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象であって、前記障害又は疾患の治療が必要であると判断された前記対象を治療する方法であって、それを必要とする前記対象に、有効量の請求項1の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項52】
金属酵素が関連する障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象を治療する方法であって、前記対象に、有効量の請求項1の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項53】
金属酵素が関連する障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象であって、金属酵素が関連する障害又は疾患の治療が必要であると判断された前記対象を治療する方法であって、それを必要とする前記対象に、有効量の請求項1の化合物を、前記対象の前記障害又は疾患が治療されるように投与することを含む、方法。
【請求項54】
金属酵素が介する障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象であって、金属酵素が介する障害又は疾患の治療が必要であると判断された前記対象を治療する方法であって、それを必要とする前記対象に、有効量の請求項1の化合物を、前記対象の金属酵素活性が調節(例えば、下方制御、阻害)されるように投与することを含む、方法。
【請求項55】
前記障害又は疾患は、アロマターゼ(CYP19)、シクロオキシゲナーゼファミリーのメンバー、ラノステロールデメチラーゼ(CYP51)、一酸化窒素合成酵素ファミリーのメンバー、トロンボキサン合成酵素(CYP5a)、ヨウ化物ペルオキシダーゼ、17-αヒドロキシラーゼ/17,20-リアーゼ(CYP17)、シトクロムP4502A6(CYP2A6)、ヘム酸素添加酵素、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ、レチノイン酸ヒドロキシラーゼ(CYP26)、ビタミンDヒドロキシラーゼ(CYP24)、ステロール27-ヒドロキシラーゼ(CYP27)、シトクロムP450 3A5(CYP3A5)、コレステロール24-ヒドロキシラーゼ(CYP46)、シトクロムP450 4F2(CYP4F2)、ミエロペルオキシダーゼ、又は11-β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)を介する、請求項51~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記障害又は疾患は、がん、心血管疾患、内分泌疾患、炎症性疾患、感染性疾患、婦人科疾患、代謝性疾患、眼科疾患、中枢神経系(CNS)疾患、泌尿器疾患、又は消化器疾患である、請求項51~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記障害又は疾患は、高血圧症、治療抵抗性高血圧症、原発性又は二次性のアルドステロン症及び副腎過形成症に関連する病的状態、肺動脈性高血圧症、心不全、拡張機能障害、左室拡張機能障害、拡張期心不全、収縮不全、収縮期心不全、低カリウム血症、腎不全、慢性腎不全、再狭窄、腎症、心筋梗塞後、冠動脈疾患、線維症、コラーゲン形成の増加を特徴とする疾患、高血圧後の線維症及び基質再構築、内皮細胞機能障害後の線維症及び基質再構築、心血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、心房細動、腎機能不全、肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、血管疾患、網膜症、神経障害、インスリン異常症、内皮細胞機能障害、心筋線維症、血管線維症、心筋壊死病変、血管炎、心筋梗塞、左室肥大、血管壁肥大、内膜肥厚、動脈の類線維素壊死、腎疾患、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糸球体腎炎、腎炎症候群、多発性嚢胞腎疾患、糖尿病、代謝異常症候群、インスリン抵抗性、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、筋ジストロフィー、肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患、腎障害、糖尿病性腎障害、又は脳卒中である、請求項51~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
請求項1~41のいずれか一項に記載の化合物と、医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項59】
追加の治療剤を更に含む、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項60】
抗がん剤、抗真菌剤、心血管系薬剤、抗炎症剤、化学療法剤、抗血管新生剤、細胞傷害性薬剤、抗増殖剤、代謝性疾患治療剤、眼科疾患治療剤、中枢神経系(CNS)疾患治療剤、泌尿器疾患治療剤、又は消化器疾患治療剤である追加の治療剤を更に含む、請求項58に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記対象はヒト以外の動物である、請求項51に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき2019年1月8日に出願された米国仮特許出願第62/789,832号の優先権を主張するものである。その全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
アルドステロンは副腎から分泌されるステロイドホルモンであり、鉱質コルチコイド受容体(MR)に結合してそれを活性化させる。腎臓の遠位尿細管及び集合管の主細胞においてMRが活性化されると、ナトリウム及び水が貯留されると共にカリウムが排出され、その結果として血漿量が増加し、血圧(BP)が上昇する。循環血液中のアルドステロンの測定値が過度に高くなることは、原発性アルドステロン症(PA)と呼ばれ、これは、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)によるアルドステロン産生の調節異常によって発生する。PAは副腎腺腫を持つ患者で最初に確認され、最近では、肥満に伴い有病率が増加するという証拠が示されている。PAは二次性高血圧の原因としてよく見られ、クラスの異なる3種類の降圧剤(利尿剤を含む)を同時に使用しているにも拘わらず血圧が目標値まで下がらない状態と定義される治療抵抗性高血圧症(RHTN)の患者のPAの有病率は14~21%の範囲にある。最近の研究では、アルドステロン過剰、RHTN、及びアルドステロンによって媒介される体液貯留により悪化する閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の間に関連性があることが示されている。
【0003】
幾つかの重篤な病態においては、血漿量の有意な増加が認められていなくても、アルドステロンが局所的に過剰産生していることが確認されている。慢性うっ血性心不全(CHF)の患者では、機能不全心臓組織のアルドステロン濃度が末梢血漿中の濃度よりも高い。腎疾患の動物モデルでは、アルドステロンの腎皮質における局所産生が疾患の進行に寄与していると考えられている。これらのどちらの状態においても、局所的アルドステロン濃度の上昇が、炎症の原因となる活性酸素種発生及び内皮機能不全や、線維症の原因となるコラーゲン沈着の上方制御を伴う細胞成長及び増殖の刺激を含む、MR依存性及びMR非依存性の両方の機序を介する有害作用に寄与している。
【0004】
アルドステロンがMRに結合する作用を遮断するために、スピロノラクトンやエプレレノン等のMRの拮抗剤が広く使用されている。これらの薬剤をアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及び利尿剤と併用することにより、心不全又は心筋梗塞の患者の罹患率及び死亡率が有意に低下されることが実証された(RALES試験及びEPHESUS試験)。両薬剤には高カリウム血症等の副作用が見られ、非選択的なスピロノラクトンは、プロゲステロン受容体及びアンドロゲン受容体を非選択的に調節することによって女性化乳房も誘発する。更に、MR拮抗作用の結果としてレニン及びアルドステロンが上昇するため、アルドステロンのMR非依存性(非ゲノム)作用は悪化する。
【0005】
MR拮抗剤とは異なり、アルドステロン生合成の鍵酵素であるCYP11B2(アルドステロン合成酵素)の阻害は、MR非依存性の炎症及び線維形成状態の活性化を引き起こすアルドステロンの有害な蓄積を起こすことなく、MRの拮抗に有益な効果をもたらすはずである。CYP11B2は、11-デオキシコルチコステロンをアルドステロンに変換する、ミトコンドリア内のシトクロムP450酵素である。CYP11B2を選択的に阻害することは、アルドステロン関連疾患の有望な治療である。
【0006】
非常に相同性の高い金属酵素であるCYP11B1(11-β-ステロイド-ヒドロキシラーゼ)は、11-デオキシコルチゾールから主要な糖質コルチコイドであるコルチゾールへの生成を触媒する。CYP11B2及びCYP1IB1の相同性の高さ(93%)を考えると、選択的CYP11B2阻害剤を開発することはかなりの難題であった。阻害剤であるオシロドスタット(Osilodrostat)(LCI-699)が高血圧症治療用のCYP11B2阻害剤として開発されたが、CYP1IB1を強力に阻害することから治療は断念された。本明細書においては、CYP11B1によるコルチゾール産生を阻害することなく、CYP11B2によるアルドステロンの産生を阻害する選択的化合物を記載する。
【0007】
生物は、特定の金属を取り込み、それを細胞内の貯蔵部位に運搬し、最終的に使用部位に運搬する厳密に制御された過程を発達させてきた。生体系内における亜鉛や鉄等の金属の最も重要な機能の1つが、金属酵素に活性を発現させることにある。金属酵素は、金属イオンを酵素の活性部位に結合させ、その金属を触媒過程の一部として利用する酵素である。特徴付けされている酵素全体の3分の1を超える酵素が金属酵素である。
【0008】
金属酵素の機能は、酵素の活性部位に存在する金属イオンの有無に大きく依存する。活性部位の金属イオンに結合して不活性化させる薬剤が酵素の活性を劇的に低下させることはよく知られている。自然界でも、酵素活性が望まれない期間に特定の金属酵素の活性を低下させるために、これと同じ方法が利用されている。例えば、タンパク質TIMP(組織メタロプロテアーゼ阻害剤)は、様々なマトリックスメタロプロテアーゼ酵素の活性部位の亜鉛イオンに結合することによって酵素活性を抑える。医薬品業界は、治療薬の設計にこれと同じ戦略を利用してきた。例えば、アゾール系抗真菌剤であるフコナゾール及びボリコナゾールは、標的酵素であるラノステロールデメチラーゼの活性部位に存在するヘム鉄に結合する1-(1,2,4-トリアゾール)基を含んでおり、それによって酵素を不活性化する。他の例としては、最も多く発表されているマトリックスメタロプロテアーゼ及びヒストンデアセチラーゼの阻害剤に組み込まれている、亜鉛結合性のヒドロキサム酸基が挙げられる。他の例は、最も多く発表されているアンジオテンシン変換酵素阻害剤に組み込まれている、亜鉛結合性のカルボン酸基である。
【0009】
臨床的に安全で有効な金属酵素阻害剤の設計においては、具体的な標的及び臨床的適応に最も適した金属結合性基を使用することが重要である。結合の弱い金属結合性基を利用すると、効力が最適に至らない(suboptimal)可能性がある。他方、結合が非常に強い金属結合性基を利用すると、関連金属酵素に対する標的酵素の選択性が最適に至らない可能性がある。選択性が準至適である場合、こうした標的外の金属酵素を意図せず阻害してしまうことにより臨床毒性が発生する可能性がある。
【0010】
この種の臨床毒性の一例が、現在入手可能なフルコナゾールやボリコナゾール等のアゾール系抗真菌剤によって、CYP2C9、CYP2C19、及びCYP3A4等のヒトの薬物代謝酵素が意図せず阻害されてしまうことである。この標的外の阻害の主な原因は、現在利用されている1-(1,2,4-トリアゾール)がCYP2C9、CYP2C19、及びCYP3A4の活性部位の鉄に無差別に結合することあると考えられている。他の例として挙げられるのが、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤の多くの臨床試験で観察されている関節痛である。この毒性は、ヒドロキサム酸基が標的外の活性部位の亜鉛に無差別に結合することによって標的外の金属酵素が阻害されることに関連があると考えられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、効力及び選択性をより良好なバランスで示すことができる金属結合性基の探索は依然として重要な目標のままであり、これは、疾患、障害、及びその症状の治療及び予防において現在のアンメットニーズに対処する治療剤及び方法を実現するために有効であろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の簡単な概要
本発明は、化合物(例えば、本明細書に記載(delineate)されているもののいずれか)、金属酵素の活性を調節する方法、並びに疾患、障害、又はその症状を治療する方法を対象とする。この方法は本明細書における化合物を含むことができる。
【0013】
好ましい可変要素の選択に関し、以下に述べる本発明の実施形態は、単独で採用することもできるし、又は本発明の1つ若しくは複数の実施形態若しくは好ましい可変要素の選択と組み合わせて、それぞれの組合せが本明細書に明示的に列挙されているかの如く採用することもできることが理解される。
【0014】
一態様においては、式Iの化合物:
【化1】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、若しくはプロドラッグが提供され、式中:
W、X、Y、及びZは、それぞれ独立して、N又はCR
1であり;
Q、T、U、及びVは、それぞれ独立して、N又はCR
2であり;
Aは、N又はCR
3であり;
但し、W、X、Y、及びZのうち2つ以下がNであり;及びQ、T、U、及びVのうち2つ以下がNであり;
R
1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、(CR
eR
f)
nNR
aR
b、(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
d、(CR
eR
f)
nNR
cCO
2R
d、CO
2R
e、COR
f、又は(CR
eR
f)
nOR
fであり;R
1はいずれも、1~3個の独立した置換基R
7で任意選択的に置換されていてもよく;
R
2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、(CR
eR
f)
nNR
aR
b、(CR
eR
f)
nNR
cS(O
2)R
d、(CR
eR
f)
nNR
cCO
2R
d、N(S(O
2)R
d)
2、CO
2R
e、COR
f、又は(CR
eR
f)
nOR
fであり;R
2はいずれも、1~3個の独立した置換基R
7で任意選択的に置換されていてもよく;
R
3は、水素、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、又はシクロアルキルであり;
R
4は、水素、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、又はヘテロアルキルであり;
nは、それぞれ独立して、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10であり;
R
7は、それぞれ独立して、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、カルボキシル、アリール、1~3個の独立したハロゲンで置換されたアリール、-(CR
eR
f)
nC(O)NR
aR
b、-S(O)
2R
d、-CO
2R
e、又はNR
aR
bであり;
R
a、R
b、R
c、R
d、R
e、及びR
fは、それぞれ独立して、水素、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシアルキル、C(O)OC
1~6アルキル、C(O)OH、C(O)C
1~6アルキル、S(O
2)C
1~6アルキル、S(O
2)アリール、S(O
2)ヘテロアリール、窒素保護基(窒素原子に結合している場合)、又は酸素保護基(酸素原子に結合している場合)であるか;あるいは、R
a及びR
bは、これらが結合している原子と一緒になってヘテロシクロアルキル環を形成し;あるいは、R
e及びR
fは、これらが結合している原子と一緒になってシクロアルキル環を形成し;あるいは、R
c及びR
dは、これらが結合している原子と一緒になってヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0015】
特定の実施形態において、W、X、Y、及びZのうち、Nは1種以下である。
【0016】
特定の実施形態において、W、X、Y、及びZは、それぞれCR1である。
【0017】
特定の実施形態において、W及びYは、それぞれCR1である。
【0018】
特定の実施形態において、ZはNである。特定の実施形態において、ZはCR1である。
【0019】
特定の実施形態において、XはNである。特定の実施形態において、XはCR1である。
【0020】
特定の実施形態において、W、X、及びYは、それぞれCR1であり;ZはNである。
【0021】
特定の実施形態において、Q、T、U、及びVのうち、Nは1種以下である。
【0022】
特定の実施形態において、Q、T、U、及びVのうち、少なくとも1種はNである。
【0023】
特定の実施形態において、Q、T、U、及びVは、それぞれCR2である。
【0024】
特定の実施形態において、Q及びVは、それぞれCR2である。
【0025】
特定の実施形態において、T及びUは、それぞれCR2である。
【0026】
特定の実施形態において、TはNであり;UはCR2である。特定の実施形態において、UはNであり;TはCR2である。
【0027】
特定の実施形態において、T及びUの一方はNであり、他方はCR2である。
【0028】
特定の実施形態において、Q及びVは、それぞれCR2であり、T及びUの一方はNであり、他方はCR2である。
【0029】
特定の実施形態において、TはNである。
【0030】
特定の実施形態において、UはNである。
【0031】
特定の実施形態において、Q、U、及びVは、それぞれCR2であり;TはNである。
【0032】
特定の実施形態において、Q、T、及びVは、それぞれCR2であり;UはNである。
【0033】
特定の実施形態において、W、X、Y、及びZは、それぞれCR1であり;Q及びVは、それぞれCR2であり;T及びUの一方はNであり、他方はCR2である。特定の実施形態において、W、X、Y、及びZは、それぞれCR1であり;Q、U、及びVは、それぞれCR2であり;TはNである。特定の実施形態において、W、X、Y、及びZは、それぞれCR1であり;Q、T、及びVは、それぞれCR2であり;UはNである。
【0034】
特定の実施形態において、W、X、及びYは、それぞれCR1であり;ZはNであり;Q及びVは、それぞれCR2であり;T及びUの一方はNであり、他方はCR2である。特定の実施形態において、W及びYは、それぞれCR1であり;ZはNであり;Q、U、及びVは、それぞれCR2であり;TはNである。特定の実施形態において、W、X、及びYは、それぞれCR1であり;ZはNであり;Q、T、及びVは、それぞれCR2であり;UはNである。
【0035】
特定の実施形態において、W、X、Y、及びZは、それぞれCR1であり;Q、T、U、及びVは、それぞれCR2である。
【0036】
特定の実施形態において、AはCR3であり、R3は水素、C1~4アルキル、又はC3~5シクロアルキルである。
【0037】
特定の実施形態において、AはNである。
【0038】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、又はハロアルコキシである。
【0039】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノである。
【0040】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、フルオロ、クロロ、又はシアノである。
【0041】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素又はシアノである。特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素又はハロゲンである。特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素又はクロロである。特定の実施形態において、R1はそれぞれ独立して、水素又はフルオロである。
【0042】
特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はハロゲン又はシアノである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はフルオロ、クロロ、又はシアノである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はクロロ又はシアノである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はフルオロ又はシアノである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はハロゲンである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はフルオロ又はクロロである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はフルオロである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はクロロである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR1はシアノである。
【0043】
特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、シクロアルキル、シクロアルコキシ、(CReRf)nNRaRb、(CReRf)nNRcS(O2)Rd、(CReRf)nNRcCO2Rd、CO2Re、CORf、又は(CReRf)nORfである。
【0044】
特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、(CReRf)nNRcS(O2)Rd、又はCO2Reである。
【0045】
特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdである。
【0046】
特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、ハロアルキル、又はNHS(O2)Rdであり;Rdはアルキルである。
【0047】
特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~3アルコキシ、シアノ、C1~3アルキル、N(S(O2)C1~3アルキル)2、NHS(O2)C1~3アルキル、CO2H、C1~3ハロアルキル、又はC1~3ハロアルコキシである。特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、C1~3アルコキシ、シアノ、C1~3アルキル、NHS(O2)C1~3アルキル、C1~3ハロアルキル、又はC1~3ハロアルコキシである。特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、NHS(O2)C1~3アルキル、又はC1~3ハロアルキルである。
【0048】
特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、フルオロ、C1~3アルコキシ、シアノ、C1~3アルキル、NHS(O2)Me、N(S(O2)Me)2、CO2H、C1~3ハロアルキル、又はC1~3ハロアルコキシである。特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、フルオロ、C1~3アルコキシ、シアノ、C1~3アルキル、NHS(O2)Me、C1~3ハロアルキル、又はC1~3ハロアルコキシである。特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、NHS(O2)Me、又はC1~3ハロアルキルである。
【0049】
特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、フルオロ、メトキシ、シアノ、メチル、エチル、NHS(O2)Me、N(S(O2)Me)2、CO2H、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はジフルオロメトキシである。特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、フルオロ、メトキシ、シアノ、メチル、エチル、NHS(O2)Me、CO2H、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、又はジフルオロメトキシである。特定の実施形態において、R2は、それぞれ独立して、水素、NHS(O2)Me、又はジフルオロメチルである。
【0050】
特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、水素、ハロゲン、シアノ、C1~3アルキル、C1~3ハロアルキル、C1~3アルコキシ、C1~3ハロアルコキシ、又はNHS(O2)C1~3アルキルである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、ハロゲン、シアノ、C1~3アルキル、C1~3ハロアルキル、C1~3アルコキシ、C1~3ハロアルコキシ、又はNHS(O2)C1~3アルキルである。
【0051】
特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、水素、フルオロ、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O2)Meである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、フルオロ、シアノ、メチル、エチル、メトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O2)Meである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、水素、フルオロ、シアノ、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O2)Meである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、フルオロ、シアノ、エチル、メトキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O2)Meである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、水素、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O2)Meである。特定の実施形態において、少なくとも1個のR2は、ジフルオロメトキシ又はNHS(O2)Meである。
【0052】
特定の実施形態において、R3は、水素、シアノ、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、又はシクロアルキルである。特定の実施形態において、R3は、水素、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、又はシクロアルキルである。特定の実施形態において、R3は、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、又はシクロアルキルである。特定の実施形態において、R3は、アルキル、ハロアルキル、又はシクロアルキルである。特定の実施形態において、R3は、アルキル又はシクロアルキルである。特定の実施形態において、R3はアルキルである。特定の実施形態において、R3は、アルキル又はシクロアルキルである。特定の実施形態において、R3は、C1~3アルキル又はC3~5シクロアルキルである。
【0053】
特定の実施形態において、R4は、アルキル又はシクロアルキルである。特定の実施形態において、R4はC1~4アルキル又はC3~5シクロアルキルである。特定の実施形態において、R4は、エチル又はシクロプロピルである。
【0054】
特定の実施形態において、R4はC1~4アルキルである。特定の実施形態において、R4はC3~5シクロアルキルである。特定の実施形態において、R4はシクロペンチルである。特定の実施形態において、R4はシクロブチルである。特定の実施形態において、R4はシクロプロピルである。
【0055】
特定の実施形態において、R4はC1~4アルキルである。特定の実施形態において、R4はメチルである。特定の実施形態において、R4はエチルである。特定の実施形態において、R4はn-プロピルである。特定の実施形態において、R4はi-プロピルである。特定の実施形態において、R4はn-ブチルである。特定の実施形態において、R4はi-ブチルである。特定の実施形態において、R4はt-ブチルである。
【0056】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0057】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0058】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素又はハロゲンであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4は、シクロプロピルである。
【0059】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、ハロゲンであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0060】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、クロロ、フルオロ、又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチルメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O2)CH3であり;R4はシクロプロピルである。
【0061】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチルメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O2)CH3であり;R4はシクロプロピルである。
【0062】
特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、クロロ、又はフルオロであり;R2は、それぞれ独立して、水素、クロロ、フルオロ、シアノ、メチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチルメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、又はNHS(O2)CH3であり;R4はシクロプロピルである。
【0063】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-aの化合物:
【化2】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、若しくはプロドラッグであり、R
4、W、X、Y、Z、T、U、及びVは本明細書に定義した通りである。
【0064】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-bの化合物:
【化3】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、若しくはプロドラッグであり、R
1、R
2、R
4、Z、T、及びUは本明細書に定義した通りである。
【0065】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-cの化合物:
【化4】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、若しくはプロドラッグであり、R
1、R
4、T、及びUは本明細書に定義した通りである。
【0066】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-dの化合物:
【化5】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、又はプロドラッグであり、R
1、R
4、T、及びUは本明細書に定義した通りである。
【0067】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-eの化合物:
【化6】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、又はプロドラッグであり、R
1、R
2、R
4、及びZは本明細書に定義した通りである。
【0068】
式I-eの化合物の特定の実施形態において、Zは、CR1又はNであり;R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0069】
式I-eの化合物の特定の実施形態において、ZはCR1であり;R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、水素又はハロアルキルであり;R4はシクロプロピルである。
【0070】
式I-eの化合物の特定の実施形態において、ZはNであり;R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、水素又はハロアルキルであり;R4はシクロプロピルである。
【0071】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-fの化合物:
【化7】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、又はプロドラッグであり、R
1、R
2、R
4、及びZは本明細書に定義した通りである。
【0072】
式I-fの化合物の特定の実施形態において、Zは、CR1又はNであり;R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0073】
式I-fの化合物の特定の実施形態において、ZはCR1であり;R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、水素、又はハロアルキルであり;R4はシクロプロピルである。
【0074】
式I-fの化合物の特定の実施形態において、ZはNであり;R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、水素又はハロアルキルであり;R4はシクロプロピルである。
【0075】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-gの化合物:
【化8】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、又はプロドラッグであり、R
1、R
2、R
4、及びZは本明細書に定義した通りである。
【0076】
式I-gの化合物の特定の実施形態において、Zは、CR1又はNであり;R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0077】
式I-gの化合物の特定の実施形態において、ZはCR1であり;R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0078】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-hの化合物:
【化9】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、若しくはプロドラッグであり、R
1、R
2、及びR
4は本明細書に定義した通りである。
【0079】
式I-hの化合物の特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0080】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-iの化合物:
【化10】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、又はプロドラッグであり、R
1、R
2、及びR
4は本明細書に定義した通りである。
【0081】
式I-iの化合物の特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdであり;R4はシクロプロピルである。
【0082】
特定の実施形態において、式Iの化合物は、式I-jの化合物:
【化11】
又はその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、又はそのプロドラッグであり、R
1及びR
2は本明細書に定義した通りである。
【0083】
式I-jの化合物の特定の実施形態において、R1は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、又はシアノであり;R2は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、シアノ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、又は(CReRf)nNRcS(O2)Rdである。
【0084】
特定の実施形態において、式Iの化合物は次に示す化合物からなる群から選択される化合物である:
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-1,2-ビベンゾ[d]イミダゾール(1);
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-1,2-ビベンゾ[d]イミダゾール(2);
1’-シクロプロピル-4,5,6’-トリフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(3);
1’-シクロプロピル-5,6,6’-トリフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(4);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5,6-ジメトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(5);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボニトリル(6);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボニトリル(7);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-メチル-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(8);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-メチル-1’H-1 2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(9);
1’-シクロプロピル-5-エチル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(10);
1’-シクロプロピル-6-エチル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(11);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-メトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(12);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-メトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(13);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-4-メチル-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(14);
1’-シクロプロピル-5,6,6’,7’-テトラフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(15);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(16);
1’-シクロプロピル-5,5’,6,6’-テトラフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(17);
1’-シクロプロピル-5,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(18);
1’-シクロプロピル-6,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(19);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(20);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(21);
1’-エチル-5,6-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(22);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボニトリル(23);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボニトリル(24);
1’-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(25);
6’-クロロ-1’-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(26);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-(トリフルオロメトキシ)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(27);
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-(トリフルオロメトキシ)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(28);
5-クロロ-3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(29);
N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)-N-(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド(30);
N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(31);
3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(32);
N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(33);
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(34);
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(35);
3-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(36);
3-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(37);
3-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(38);
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(39);
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-(ジフルオロメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(40);
3-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-(ジフルオロメチル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(41);
1-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(42);
1-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(43);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボン酸(Ex.44);
N-(1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(45);
N-(1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(46);
N-(6’-シアノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(47);
N-(6’-シアノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(48);
1’-シクロプロピル-5-(ジフルオロメトキシ)-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(49);
1’-シクロプロピル-6-(ジフルオロメトキシ)-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(50);
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボン酸(51);
1’-シクロプロピル-5-(ジフルオロメトキシ)-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(52);
1’-シクロプロピル-6-(ジフルオロメトキシ)-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(53);並びにその医薬的に許容される塩、共結晶、互変異性体、立体異性体、溶媒和物、水和物、多形、同位体濃縮された誘導体、及びプロドラッグ。
【0085】
一態様において、式Iの化合物は、アルドステロン合成酵素(CYP11B2)を阻害する(又は阻害すると判断された)化合物である。
【0086】
本明細書における化合物は、次に示す種類の1種又は複数種の化学的相互作用又は結合:シグマ結合、共有結合、配位-共有結合、イオン結合、パイ結合、デルタ結合、又は逆供与相互作用、を金属と共に形成することにより、金属酵素の少なくとも一部との親和性を得ることが確認されている化合物を含む。この化合物は、金属とのより弱い相互作用、例えば、ファンデルワールス相互作用、カチオン-π相互作用、アニオン-π相互作用、双極子-双極子相互作用、イオン-双極子相互作用を介して親和性を得ることもできる。一態様において、化合物は、ピリミジン部分を介して金属と結合的に相互作用することが確認されている。
【0087】
金属-リガンドの結合相互作用を評価するための方法は当該技術分野において知られており、例えば、“Principles of Bioinorganic Chemistry”by Lippard and Berg, University Science Books, (1994);“Mechanisms of Inorganic Reactions”by Basolo and Pearson John Wiley & Sons Inc; 2nd edition (September 1967);“Biological Inorganic Chemistry”by Ivano Bertini, Harry Gray, Ed Stiefel, Joan Valentine, University Science Books (2007);Xue et al.“Nature Chemical Biology”, vol. 4, no. 2, 107-109 (2008)等の参考文献に例示されている。
【0088】
他の態様においては、式Iの化合物及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0089】
他の態様においては、対象の金属酵素活性を調節する方法であって、対象を金属酵素の活性を調節するのに充分な量及び条件下で式Iの化合物と接触させることを含む、方法を提供する。
【0090】
他の態様においては、障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象であって、該障害又は疾患の治療が必要であると判断された対象を治療する方法であって、それを必要とする上記対象に、有効量の式Iの化合物又は医薬組成物を、上記対象の上記障害が治療されるように投与することを含む、方法を提供する。
【0091】
他の態様において、対象はヒト以外の動物である。
【0092】
他の態様においては、金属酵素が関連する障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象を治療する方法であって、対象に有効量の式Iの化合物又は医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0093】
他の態様においては、金属酵素が関連する障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象であって、金属酵素が関連する障害又は疾患の治療が必要であると判断された対象を治療する方法であって、それを必要とする上記対象に、有効量の式Iの化合物又は医薬組成物を、上記対象の上記障害が治療されるように投与することを含む、方法を提供する。
【0094】
他の態様においては、金属酵素を介する障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象であって、金属酵素を介する障害又は疾患の治療が必要であると判断された対象を治療する方法であって、それを必要とする上記対象に、有効量の式Iの化合物又は医薬組成物を、上記対象の金属酵素活性が調節(例えば、下方制御、阻害)されるように投与することを含む、方法を提供する。
【0095】
本明細書における方法は、疾患又は障害が、アロマターゼ(CYP19)、シクロオキシゲナーゼファミリーのメンバー、ラノステロールデメチラーゼ(CYP51)、一酸化窒素合成酵素ファミリーのメンバー、トロンボキサン合成酵素(CYP5a)、ヨウ化物ペルオキシダーゼ、17-αヒドロキシラーゼ/17,20-リアーゼ(CYP17)、シトクロムP450 2A6(CYP2A6)、ヘム酸素添加酵素、インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ、レチノイン酸ヒドロキシラーゼ(CYP26)、ビタミンDヒドロキシラーゼ(CYP24)、ステロール27-ヒドロキシラーゼ(CYP27)、シトクロムP450 3A5(CYP3A5)、コレステロール24-ヒドロキシラーゼ(CYP46)、シトクロムP450 4F2(CYP4F2)、ミエロペルオキシダーゼ、又は11-β-ヒドロキシラーゼ(CYP11B1)のいずれかを介する、方法を包含する。
【0096】
本明細書における方法は、疾患又は障害が、がん、心血管疾患、炎症性疾患、感染性疾患、代謝性疾患、眼科疾患、中枢神経系(CNS)疾患、泌尿器疾患、又は消化器疾患である方法を包含する。
【0097】
本明細書における方法は、疾患又は障害が、高血圧症、治療抵抗性高血圧症、原発性又は二次性のアルドステロン症及び副腎過形成症に関連する病的状態、肺動脈性高血圧症、心不全、拡張機能障害、左室拡張機能障害、拡張期心不全、収縮不全、収縮期心不全、低カリウム血症、腎不全、慢性腎不全、再狭窄、腎症、心筋梗塞後、冠動脈疾患、線維症、コラーゲン形成の増加を特徴とする疾患、高血圧後の線維症及び基質再構築、内皮細胞機能障害後の線維症及び基質再構築、心血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、心房細動、腎機能不全、肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、血管疾患、網膜症、神経障害、インスリン異常症、内皮細胞機能障害、心筋線維症、血管線維症、心筋壊死病変(myocardial necrotic lesion)、血管炎、心筋梗塞、左室肥大、血管壁肥大、内膜肥厚、動脈の類線維素壊死、腎疾患、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糸球体腎炎、腎炎症候群、多発性嚢胞腎疾患、糖尿病、代謝異常症候群、インスリン抵抗性、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、筋ジストロフィー、肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患、腎障害、糖尿病性腎障害、又は脳卒中である方法を包含する。
【0098】
本明細書に記載する方法は、対象がここに述べた特定の治療を必要とすると判断されている方法を包含する。この種の治療を必要とする対象の判断は、対象又は医療専門家が判定することができ、主観的(例えば、意見)であっても客観的(例えば、試験又は診断方法により測定可能)であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0099】
詳細な説明
定義
本発明をより容易に理解することができるように、便宜上、まず特定の用語をここに定義する。
【0100】
本明細書において使用される、障害を「治療(すること)(treating)」という語は、障害及び/又は該障害を引き起こす可能性のある状態を予防する(preventing)、回復させる(ameliorating)、緩和する(mitigating)、及び/又は管理する(managing)ことを包含する。「治療(すること)(treating)」及び「治療(treatment)」という語は、疾患及び/又はそれに付随する症状を軽減する(alleviating)又は和らげる(abating)方法を指す。本開示によれば、「治療(すること)(treating)」という語は、障害を予防する(preventing)、障害を妨害する(blocking)、障害を抑制する(inhibiting)、障害を減弱する(attenuating)、障害から保護する(protecting)、障害を調節する(modulating)、障害の作用を反転させる(reversing)、及び、例えば、障害の有害な作用の発生を低減する(reducing)ことを包含する。
【0101】
本明細書において使用される「抑制(すること)(inhibiting)」という語は、進行を防止する(preventing)、低減する(reducing)、及び停止させる(halting)ことを包含する。後述するが、「酵素阻害」(例えば、金属酵素阻害)とは区別されることに留意されたい。
【0102】
「調節する(modulate)」という語は、本開示の化合物への曝露に応答して酵素の活性が上昇又は低下することを指す。
【0103】
「単離された(isolated)」、「精製された(purified)」、又は「生物学的に純粋な(biologically pure)」という語は、その自然の状態において見られる通常随伴する成分を、実質的に又は本質的に含まない物質を指す。純度及び均質性は、通常、ポリアクリルアミドゲル電気泳動や高速液体クロマトグラフィー等の分析化学的技法を用いて決定される。特に、実施形態において、化合物の純度は、少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも99%である。
【0104】
「投与(administration)」又は「投与(すること)(administering)」という語には、化合物がその意図された機能を果たすように、それを対象に導入する経路が含まれる。使用可能な投与経路の例としては、注射(皮下、静脈内、非経口、腹腔内、髄腔内)、局所、経口、吸入、直腸内、及び経皮経路が挙げられる。
【0105】
「有効量」という語は、所望の結果を達成することを目的として、必要な投与量で必要な期間に亘り投与される、有効な量を包含する。化合物の有効量は、対象の病状、年齢、及び体重等の因子、並びに化合物が対象において所望の反応を誘発できる能力に応じて変化し得る。投与計画は、最適な治療反応が得られるように調整することができる。有効量とは、阻害剤化合物の任意の毒性又は有害作用(例えば、副作用)が治療上の有益な作用を上回る量でもある。
【0106】
本明細書において使用される「全身投与(systemic administration)」、「全身に投与する(administered systemically)」、「末梢投与(peripheral administration)」、及び「末梢に投与する(administered peripherally)」という句は、化合物、薬物、又は他の物質が、患者の体内に入るように、つまり、代謝及び他の類似の過程に入るように、投与することを意味する。
【0107】
「治療有効量」という語は、治療すべき状態又は障害の1つ又は複数の症状の発生を予防するか又はある程度軽減するのに充分な投与される化合物の量を指す。
【0108】
化合物の治療有効量(即ち、有効投与量(effective dosage))は、約0.005μg/kg体重~約200mg/kg体重、好ましくは約0.01mg/kg~約200mg/kg体重、より好ましくは約0.015mg/kg体重~約30mg/kg体重の範囲とすることができる。他の実施形態において、治療有効量は、約1.0pM~約10μMの範囲とすることができる。対象を有効に治療するために必要な投与量は、これらに限定されるものではないが、対象の疾患若しくは障害の重症度、以前の治療、全体的な健康及び/又は年齢、並びに存在する疾患等の特定の因子によって影響され得ることを当業者は理解するであろう。更に、治療有効量の化合物を用いる対象の治療は、単回の治療を含むことができ、或いは、好ましくは、一連の治療を含むことができる。一例として、対象は、約0.005μg/kg体重~約200mg/kg体重の範囲の化合物で、1日1回、約1~10週間、好ましくは2~8週間、より好ましくは約3~7週間、一層好ましくは約4、5、又は6週間に亘り治療される。他の例において、対象が慢性的な状態にあるか又は病気(illness)の状況下では、数年間に亘り毎日治療を行うこともできる。治療に使用される化合物の有効投与量は、特定の治療を行う期間中に増量又は減量できることも理解されるであろう。
【0109】
「キラル」という語は、鏡像の相手と重ね合わせることができない性質を有する分子を指し、一方、「アキラル」という語は、その鏡像の相手と重ね合わせることができる分子を指す。
【0110】
「ジアステレオマー」という語は、2個以上の不斉中心を有し、それらの分子が互いに鏡像ではない立体異性体を指す。
【0111】
「エナンチオマー」という語は、ある化合物の互いに重ね合わせることができない鏡像である2種の立体異性体を指す。2種のエナンチオマーの等モル混合物は「ラセミ混合物」又は「ラセミ体」と呼ばれる。
【0112】
「異性体」又は「立体異性体」という語は、化学的な構成は同一であるが、原子又は基の空間内の配置が異なる化合物を指す。
【0113】
「プロドラッグ」という語は、in vivoで代謝することができる部分を有する化合物を包含する。一般に、プロドラッグは、エステラーゼ又は他の機序によりin vivoで代謝されて活性薬物になる。プロドラッグの例及びその使用は当該技術分野において良く知られている(例えば、Berge et al. (1977)“Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci. 66: 1-19参照)。プロドラッグは、化合物を最終的に単離及び精製する際にその場で調製することもできるし、又は別個に、その遊離酸形態にある精製された化合物若しくは水酸基を好適なエステル化剤と反応させることにより調製することもできる。
【0114】
水酸基は、カルボン酸で処理することによりエステルに変換することができる。プロドラッグ部分の例としては、置換及び無置換の分岐又は非分岐の低級アルキルエステル部分(例えば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ-低級アルキル-アミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール-低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、置換された(例えば、メチル、ハロ、又はメトキシ置換基で)アリール及びアリール-低級アルキルエステル、アミド、低級-アルキルアミド、ジ-低級アルキルアミド、並びにヒドロキシアミドが挙げられる。好ましいプロドラッグ部分は、プロピオン酸エステル及びアシルエステルである。in vivoで他の機序を介して活性形態に変換されるプロドラッグも包含される。複数の態様における本開示の化合物は、本明細書におけるいずれかの式で表されるプロドラッグである。
【0115】
「対象」という語は、哺乳動物等の動物を指し、これらに限定されるものではないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、及びこれに類するものが挙げられる。特定の実施形態において、対象はヒトである。
【0116】
特許請求の範囲を含む本出願において使用する「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、「1つ又は複数の」を意味する。したがって、例えば、「試料(a sample)」は、文脈上そうでない(例えば、複数の試料(a plurality of samples))ことが明らかでない限り、複数の試料も包含し、他も同様である。
【0117】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含む(comprising)」という単語は、文脈上そうでないことが求められる場合を除いて、非排他的な意味で使用する。
【0118】
本明細書においてある値を参照する際に使用される「約」という語は、規定された量からの変動を包含することを意味し、そのような変動は、開示された方法を実施するため又は開示された組成物を用いるために適切であれば、幾つかの実施形態においては±20%、幾つかの実施形態においては±10%、幾つかの実施形態においては±5%、幾つかの実施形態においては±1%、幾つかの実施形態においては±0.5%、幾つかの実施形態においては±0.1%の変動を包含する。
【0119】
本明細書において「阻害剤」という単語を使用する場合、これは金属酵素を阻害する活性を示す分子を意味する。本明細書における「阻害する」とは、金属酵素の活性を、阻害剤の非存在下における金属酵素の活性と比較して低下させることを意味する。
【0120】
幾つかの実施形態において、「阻害する」という語は、金属酵素活性を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%低下させることを意味する。他の実施形態において、阻害は、金属酵素活性を約5%~約25%、約25%~約50%、約50%~約75%、又は約75%~100%低下させることを意味する。幾つかの実施形態において、阻害は、金属酵素活性を約95%~100%低下させる、例えば、活性を95%、96%、97%、98%、99%、又は100%低下させることを意味する。このような低下は、当業者が認識することができるであろう様々な技法を用いて測定することができる。個々の活性を測定するための具体的な試験を後に説明する。
【0121】
更に本開示の化合物は、両方の幾何学的配置のオレフィンを包含し:「Z」は「シス」(同じ側)配置と呼ばれる配置を指し、「E」は「トランス」(反対側)配置と呼ばれる配置を指す。不斉中心の命名法に関する「d」及び「l」配置という語は、IUPAC勧告により規定されたものである。ジアステレオマー、ラセミ体、エピマー、及びエナンチオマーという用語の使用に関しては、製剤の立体化学を説明する通常の文脈で使用することとする。
【0122】
本明細書において使用される「アルキル」という語は、1~12個の炭素原子を有する直鎖又は分岐の炭化水素基を指す。「低級アルキル」という語は、C1~C6アルキル鎖を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチル、及びn-ペンチルが挙げられる。アルキル基は、任意選択的に、1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0123】
「ハロアルキル」という語は、1つ又は複数のハロ置換基で置換されたアルキル基を指す。ハロアルキル基の例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ブロモメチル、クロロメチル、及び2,2,2-トリフルオロエチルが挙げられる。
【0124】
「アルケニル」という語は、2~12個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐鎖であってもよい不飽和炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0125】
「アリールアルケニル」という語は、2~12個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含み、アルケニル単位のsp2混成している1つ又は複数の炭素がアリール部分に結合している、直鎖又は分岐鎖であってもよい不飽和炭化水素鎖を指す。アルケニル基は、任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0126】
「アルキニル」という語は、2~12個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐鎖であってもよい不飽和炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0127】
「アリールアルキニル」という語は、2~12個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含み、アルキニル単位のsp混成している1つ又は複数の炭素がアリール部分に結合している、直鎖又は分岐鎖であってもよい不飽和炭化水素鎖を指す。アルキニル基は、任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0128】
アルケニル基及びアルキニル基のsp2又はsp炭素は、それぞれ、任意選択的にアルケニル又はアルキニル基の結合点となっていてもよい。
【0129】
「アルコキシ」という語は、-O-アルキル置換基を指す。
【0130】
本明細書において使用される「ハロゲン」、「hal」、又は「ハロ」という語は、-F、-Cl、-Br、又は-Iを意味する。
【0131】
「アルキルチオ」という語は、-S-アルキル置換基を指す。
【0132】
「アルコキシアルキル」という語は、-アルキル-O-アルキル置換基を指す。
【0133】
「ハロアルコキシ」という語は、1つ又は複数のハロ置換基で置換されている-O-アルキルを指す。ハロアルコキシ基の例としては、トリフルオロメトキシ及び2,2,2-トリフルオロエトキシが挙げられる。
【0134】
「ハロアルコキシアルキル」という語は、アルキル’が1つ又は複数のハロ置換基で置換されている-アルキル-O-アルキル’を指す。
【0135】
「ハロアルキルアミノカルボニル」という語は、アルキルが1つ又は複数のハロ置換基で置換されている-C(O)-アミノ-アルキルを指す。
【0136】
「ハロアルキルチオ」という語は、1つ又は複数のハロ置換基で置換されている-S-アルキルを指す。ハロアルキルチオ基の例としては、トリフルオロメチルチオ及び2,2,2-トリフルオロエチルチオが挙げられる。
【0137】
「ハロアルキルカルボニル」という語は、1つ又は複数のハロ置換基で置換されている-C(O)-アルキルを指す。ハロアルキルカルボニル基の例としては、トリフルオロアセチルが挙げられる。
【0138】
「シクロアルキル」という語は、少なくとも1個の飽和環を有するか又は少なくとも1個の非芳香族環を有し、非芳香族環はある程度の不飽和を有していてもよい、3~8員の単環式又は7~14員の二環式環系炭化水素を指す。
【0139】
シクロアルキル基は任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。一実施形態において、シクロアルキル基の各環の0、1、2、3、又は4個の原子が置換基で置換されていてもよい。シクロアルキル基の代表的な例として、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロブチル、シクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、及びこれらに類するものが挙げられる。
【0140】
「シクロアルコキシ」という語は、-O-シクロアルキル置換基を指す。
【0141】
「シクロアルコキシアルキル」という語は、-アルキル-O-シクロアルキル置換基を指す。
【0142】
「シクロアルキルアルコキシ」という語は、-O-アルキル-シクロアルキル置換基を指す。
【0143】
「シクロアルキルアミノカルボニル」という語は、-C(O)-NH-シクロアルキル置換基を指す。
【0144】
「アリール」という語は、炭化水素の単環式、二環式、又は三環式芳香族環系を指す。アリール基は任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。一実施形態において、アリール基の各環の0、1、2、3、4、5、又は6個の原子が置換基で置換されていてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、及びこれに類するものが挙げられる。
【0145】
「アリールオキシ」という語は、-O-アリール置換基を指す。
【0146】
「アリールアルコキシ」という語は、-O-アルキル-アリール置換基を指す。
【0147】
「アリールアルキルチオ」という語は、-S-アルキル-アリール置換基を指す。
【0148】
「アリールチオアルキル」という語は、-アルキル-S-アリール置換基を指す。
【0149】
「アリールアルキルアミノカルボニル」という語は、-C(O)-アミノ-アルキル-アリール置換基を指す。
【0150】
「アリールアルキルスルホニル」という語は、-S(O)2-アルキル-アリール置換基を指す。
【0151】
「アリールアルキルスルフィニル」という語は、-S(O)-アルキル-アリール置換基を指す。
【0152】
「アリールオキシアルキル」という語は、-アルキル-O-アリール置換基を指す。
【0153】
「アルキルアリール」という語は、-アリール-アルキル置換基を指す。
【0154】
「アリールアルキル」という語は、-アルキル-アリール置換基を指す。
【0155】
「ヘテロアリール」という語は、単環式の場合は1~4個の環内ヘテロ原子、二環式の場合は1~6個のヘテロ原子、又は三環式の場合は1~9個のヘテロ原子を有する、芳香族5~8員単環式、8~12員二環式、又は11~14員三環式環系を指し、上記ヘテロ原子は、O、N、又はSから選択され、残りの環内原子は炭素(別段の指定がない限り、適切な水素原子を有する)である。ヘテロアリール基は、任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。一実施形態において、ヘテロアリール基の各環の0、1、2、3、又は4個の原子が置換基で置換されていてもよい。ヘテロアリール基としては、ピリジル、フラニル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、キノリニル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソキノリニル、インダゾリル、及びこれに類するものが挙げられる。
【0156】
「ヘテロアリールアルキル」という語は、-アルキル-ヘテロアリール置換基を指す。
【0157】
「ヘテロアリールオキシ」という語は、-O-ヘテロアリール置換基を指す。
【0158】
「ヘテロアリールアルコキシ」という語は、-O-アルキル-ヘテロアリール置換基を指す。
【0159】
「ヘテロアリールオキシアルキル」という語は、-アルキル-O-ヘテロアリール置換基を指す。
【0160】
「含窒素ヘテロアリール」という語は、単環式の場合は1~4個の環内窒素ヘテロ原子、二環式の場合は1~6個の環内窒素ヘテロ原子、又は三環式の場合は1~9個の環内窒素ヘテロ原子を有するヘテロアリール基を指す。
【0161】
「ヘテロシクロアルキル」という語は、単環式の場合は1~3個のヘテロ原子、二環式の場合は1~6個のヘテロ原子、又は三環式の場合は1~9個のヘテロ原子を含む、非芳香族の3~8員単環式、7~12員二環式、又は10~14員三環式環系を指し、上記ヘテロ原子は、O、N、S、B、P、又はSiから選択され、非芳香族環系は完全に飽和している。ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。一実施形態において、ヘテロシクロアルキル基の各環の0、1、2、3、又は4個の原子が置換基で置換されていてもよい。代表的なヘテロシクロアルキル基としては、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、チイレニル(thiirenyl)、及びこれに類するものが挙げられる。
【0162】
「ヘテロシクロアルキルアルキル」という語は、-アルキル-ヘテロシクロアルキル置換基を指す。
【0163】
「アルキルアミノ」という語は、1個又は2個のアルキル基で更に置換されたアミノ置換基を指す。「アミノアルキル」という語は、1個又は複数個のアミノ基で更に置換されたアルキル置換基を指す。「ヒドロキシアルキル」又は「ヒドロキシルアルキル」という語は、1個又は複数個のヒドロキシル基で更に置換されたアルキル置換基を指す。アルキルアミノ、アミノアルキル、メルカプトアルキル、ヒドロキシアルキル、メルカプトアルコキシ、スルホニルアルキル、スルホニルアリール、アルキルカルボニル、及びアルキルカルボニルアルキルのアルキル部又はアリール部は、任意選択的に1つ又は複数の置換基で置換されていてもよい。
【0164】
本明細書の方法に有用な酸及び塩基は当該技術分野において知られている。酸触媒は任意の酸性化学物質であり、無機(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、三塩化アルミニウム)又は有機(例えば、カンファースルホン酸、p-トルエンスルホン酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウム)の性質を有するものとすることができる。酸は触媒量でも化学量論量でも、化学反応を促進するのに有用である。塩基は任意の塩基性化学物質であり、無機(例えば、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム)又は有機(例えば、トリエチルアミン、ピリジン)の性質を有するものとすることができる。塩基は触媒量でも化学量論量でも、化学反応を促進するのに有用である。
【0165】
アルキル化剤は、対象とする官能基(例えば、アルコールの酸素原子、アミノ基の窒素原子)をアルキル化することが可能な任意の試薬である。アルキル化剤は、本明細書において引用する参考文献を含めて、当該技術分野において知られており、ハロゲン化アルキル(例えば、ヨウ化メチル、臭化又は塩化ベンジル)、硫酸アルキル(例えば、硫酸メチル)、又は当該技術分野において知られている他のアルキル基-脱離基の組合せが挙げられる。脱離基は、反応中(例えば、引き抜き反応、置換反応等)の最中に分子から切り離すことができる任意の安定な化学種であり、本明細書に引用する参考文献を含めて、当該技術分野において知られており、ハライド(例えば、I-、Cl-、Br-、F-)、ヒドロキシ、アルコキシ(例えば、-OMe、-O-t-Bu)、アシルオキシ陰イオン(例えば、-OAc、-OC(O)CF3)、スルホネート(例えば、メシル、トシル)、アセトアミド(例えば、-NHC(O)Me)、カルバメート(例えば、N(Me)C(O)Ot-Bu)、ホスホネート(例えば、-OP(O)(OEt)2)、水、又はアルコール(プロトン性条件)、及びこれらに類するものが挙げられる。
【0166】
特定の実施形態において、任意の基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル等)の置換基は、その基のどの原子上にあってもよく、置換されていてもよい任意の基(例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル等)は、任意選択的に1つ又は複数の置換基(同一であっても異なっていてもよい)で置換されていてもよく、それぞれ水素原子と置き換わっている。好適な置換基の例としては、これらに限定されるものではないが、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、ヒドロキシル、ヒドロキシルアルキル、オキソ(即ち、カルボニル)、カルボキシル、ホルミル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルアルキル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールオキシカルボニル、チオ、メルカプト、メルカプトアルキル、アリールスルホニル、アミノ、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルカルボニル、又はアリールアミノ-置換アリール、アリールアルキルアミノ、アラルキルアミノカルボニル、アミド、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ジアルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アリールスルホニルアミノ、イミノ、カルボキサミド、カルボアミド、カルバミル、チオウレイド、チオシアナト、スルホアミド、スルホニルアルキル、スルホニルアリール、メルカプトアルコキシ、N-ヒドロキシアミジニル、又はN’-アリール、N”-ヒドロキシアミジニルが挙げられる。
【0167】
本開示の化合物は有機合成の技術分野において知られている手段により製造することができる。必要に応じて、競合する副生成物を最小限に抑えるために反応条件を最適化する方法は、当該技術分野において知られている。反応の最適化及びスケールアップは、有利には、高速の並列合成装置及びコンピュータ制御型マイクロリアクターを利用することができる(例えば、Design And Optimization in Organic Synthesis, 2ndEdition, Carlson R, Ed, 2005; Elsevier Science Ltd.; Jahnisch, K et al, Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 2004 43: 406;及びそこに含まれる参考文献)。更なる反応スキーム及び手順は、市販の構造検索可能なデータベースソフトウェア、例えば、SciFinder(登録商標)(米国化学会(American Chemical Society)のCAS部門)及びCrossFire Beilstein(登録商標)(Elsevier MDL)、又はインターネット検索エンジン、例えば、Google(登録商標)若しくは米国特許商標庁テキストデータベース(US Patent and Trademark Office text database)等のキーワードデータベースを使用して当業者が適切なキーワード検索を行うことにより決定することができる。
【0168】
本明細書に示す式で表される化合物の合成方法は、本明細書におけるスキーム及び実施例に記載されているものを含めて、当業者に明らかであることを当業者は理解することができる。更に、所望の化合物を得るために、様々な合成ステップを、代替的な順序(sequence)又は順番(order)で実施することができる。更に、本明細書に列挙した溶媒、温度、反応時間等は例示のみを目的としており、反応条件を変化させることにより、本開示の所望の化合物を製造することができることを当業者は認識するであろう。
【0169】
本明細書における化合物は、特定の結合に対する回転が制限された結合(例えば、炭素-炭素結合)も含むことができ、この制限は、例えば、環又は二重結合の存在に起因する。したがって、本開示にはあらゆるシス/トランス及びE/Z異性体が明示的に包含される。本明細書における化合物はまた、複数の互変異性体形態で表せることもあり、その場合、本開示は、例え単一の互変異性体形態のみを表すことができるとしても、本明細書に記載する化合物のあらゆる互変異性体形態を明示的に包含する。本明細書におけるこの種の化合物のあらゆるこの種の異性体形態が本開示に明示的に包含される。本明細書に記載する化合物のあらゆる結晶形及び多形が本開示に明示的に包含される。本開示の化合物を含む抽出物及び画分も組み込まれる。異性体という語は、立体異性体、エナンチオマー、位置異性体、構造異性体、回転異性体、互変異性体、及び同種のものを包含することを意図している。1つ又は複数の立体中心を含む化合物、例えば、不斉化合物の場合、本開示の方法は、一方の鏡像異性体に富む(enantiomerically enriched)化合物、ラセミ体、又はジアステレオマーの混合物を用いて実施することができる。
【0170】
好ましい鏡像異性体に富む化合物は、鏡像体過剰率が50%以上、より好ましくは、化合物の鏡像体過剰率は60%超、70%超、80%超、90%超、95%超、98%超、若しくは99%超、又はそれを超える。好ましい実施形態において、本開示の不斉化合物の1種のエナンチオマー又はジアステレオマーのみが、細胞又は対象に投与される。
【0171】
治療方法
一態様においては、障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象の治療方法であって、有効量の式Iの化合物又は医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0172】
他の態様においては、障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象であって、金属酵素が介する障害又は疾患の治療が必要であると判断された対象を治療する方法であって、それを必要とする上記対象に、有効量の式Iの化合物又は医薬組成物を、上記対象の上記障害が治療されるように投与することを含む、方法を提供する。
【0173】
一態様においては、対象の細胞の金属酵素活性を調節する方法であって、対象に、金属酵素活性を調節するのに充分な量及び条件下で式Iの化合物を接触させることを含む、方法を提供する。
【0174】
一実施形態においては、調節は阻害である。
【0175】
他の態様においては、金属酵素が介する障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象を治療する方法であって、対象に有効量の式Iの化合物又は医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0176】
他の態様においては、金属酵素が介する障害又は疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象であって、金属酵素が介する障害又は疾患の治療が必要であると判断された対象を治療する方法であって、それを必要とする上記対象に、有効量の式Iの化合物又は医薬組成物を、上記対象の上記障害が治療されるように投与することを含む、方法を提供する。
【0177】
特定の実施形態においては、疾患、障害、又はその症状を治療する方法であって、該障害は、がん、心血管疾患、内分泌疾患、炎症性疾患、感染性疾患、婦人科疾患、代謝性疾患、眼科疾患、中枢神経系(CNS)疾患、泌尿器疾患、又は消化器疾患である、方法を提供する。特定の実施形態において、疾患は、高血圧症、治療抵抗性高血圧症、原発性又は二次性のアルドステロン症及び副腎過形成症に関連する病的状態、肺動脈性高血圧症、心不全、拡張機能障害、左室拡張機能障害、拡張期心不全、収縮不全、収縮期心不全、低カリウム血症、腎不全、慢性腎不全、再狭窄、腎症、心筋梗塞後、冠動脈疾患、線維症、コラーゲン形成の増加を特徴とする疾患、高血圧後の線維症及び基質再構築、内皮細胞機能障害後の線維症及び基質再構築、心血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、心房細動、腎機能不全、肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、血管疾患、網膜症、神経障害、インスリン異常症、内皮細胞機能障害、心筋線維症、血管線維症、心筋壊死病変、血管炎、心筋梗塞、左室肥大、血管壁肥大、内膜肥厚、動脈の類線維素壊死、腎疾患、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糸球体腎炎、腎炎症候群 、多発性嚢胞腎疾患 、糖尿病、代謝異常症候群 、インスリン抵抗性、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、筋ジストロフィー、肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患、腎障害、糖尿病性腎障害、又は脳卒中である。
【0178】
特定の実施形態においては、対象は哺乳動物であり、好ましくは霊長類又はヒトである。
【0179】
他の実施形態においては、上に記載した方法であって、式Iの化合物の有効量が上に記載した通りである、方法を提供する。
【0180】
他の実施形態においては、上に記載した方法であって、式Iの化合物を、静脈内、筋肉内、皮下、脳室内、経口的、又は局所的に投与する、方法を提供する。
【0181】
他の実施形態においては、本明細書に記載する方法であって、式Iの化合物は、標的酵素の活性範囲に対し選択性を示す(例えば、アルドステロン合成酵素(CYP11B2)に対するIC50<1.0μM)。
【0182】
他の実施形態においては、上に記載した方法であって、式Iの化合物を、単独で投与するか又は1種又は複数種の他の治療と併用して投与する、方法を提供する。更なる実施形態において、追加の治療剤は、抗がん剤、抗真菌剤、心血管系薬剤(cardiovascular agent)、抗炎症剤、化学療法剤、抗血管新生剤、細胞傷害性薬剤、抗増殖剤、代謝性疾患治療剤、眼科疾患治療剤(ophthalmologic disease agent)、中枢神経系(CNS)疾患治療剤、泌尿器疾患治療剤、又は消化器疾患治療剤である。
【0183】
特定の実施形態において、追加の治療剤は、高血圧症を治療するための薬剤、原発性アルドステロン症を治療するための薬剤、腎疾患を治療するための薬剤、うっ血性心不全を治療するための薬剤、アテローム性動脈硬化性状態を治療するための薬剤、糖尿病を治療するための薬剤、肥満を治療するための薬剤、又は代謝性疾患を治療するための薬剤である。
【0184】
例示的な追加の治療剤としては、これらに限定されるものではないが、レニン阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)及び中性エンドペプチダーゼ(NEP)の二重阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB)、鉱質コルチコイド受容体拮抗剤(MRA)、中性エンドペプチダーゼ阻害剤(NEP)、ネプリライシン阻害剤、カルシウム拮抗剤、α-アドレナリン遮断薬、β-アドレナリン遮断薬、利尿剤(ループ利尿剤を含む)、カリウムチャネル活性化剤、エンドセリン受容体拮抗剤、エンドセリン1受容体拮抗剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤、血管拡張剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、ナイアシン及びナイアシン受容体作動薬、ニーマン・ピックC1ライク1(NPC1L1)阻害剤、インスリン又はインスリンアナログ、ビグアナイド薬(例えば、メトホルミン)、スルホニル尿素、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)作用薬及び部分作用薬(PPARγ作用薬アゴニスト及び他のPPARリガンドを含む)、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、GLP-1受容体作動薬、並びにナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤が挙げられる。
【0185】
本開示の他の目的は、金属酵素が介する障害又は疾患の治療に使用するための医薬の製造における、本明細書に記載する化合物(例えば、式Iの化合物)の使用にある。本開示の他の目的は、金属酵素が介する障害又は疾患の治療に使用するための、本明細書に記載する化合物(例えば、式Iの化合物)の使用にある。本開示の他の目的は、農業又は農地(agrarian)環境において金属酵素が介する障害又は疾患の治療又は予防に使用するための農業用組成物の製造における、本明細書に記載する化合物(例えば、式Iの化合物)の使用にある。
【0186】
医薬組成物
一態様においては、式Iの化合物及び医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0187】
他の実施形態において、追加の治療剤を更に含む医薬組成物を提供する。更なる実施形態において、追加の治療剤は、抗がん剤、抗真菌剤、心血管系薬剤、抗炎症剤、化学療法剤、抗血管新生剤、細胞傷害性薬剤、抗増殖剤、代謝性疾患治療剤、眼科疾患治療剤、中枢神経系(CNS)疾患治療剤、泌尿器疾患治療剤、又は消化器疾患治療剤である。
【0188】
特定の実施形態において、追加の治療剤は、高血圧症を治療するための薬剤、原発性アルドステロン症を治療するための薬剤、腎疾患を治療するための薬剤、うっ血性心不全を治療するための薬剤、アテローム性動脈硬化状態を治療するための薬剤、糖尿病を治療するための薬剤、肥満を治療するための薬剤、又は代謝性疾患を治療するための薬剤である。
【0189】
例示的な追加の治療剤としては、これらに限定されるものではないが、レニン阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシン変換酵素(ACE)及び中性エンドペプチダーゼ(NEP)の二重阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断剤(ARB)、鉱質コルチコイド受容体拮抗剤(MRA)、中性エンドペプチダーゼ阻害剤(NEP)、ネプリライシン阻害剤、カルシウム拮抗剤、α-アドレナリン遮断薬、β-アドレナリン遮断薬、利尿剤(ループ利尿剤を含む)、カリウムチャネル活性化剤、エンドセリン受容体拮抗剤、エンドセリン1受容体拮抗剤、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激剤、血管拡張剤、HMG-CoA還元酵素阻害剤、ナイアシン及びナイアシン受容体作動薬、ニーマン・ピックC1ライク1(NPC1L1)阻害剤、インスリン又はインスリンアナログ、ビグアナイド薬(例えば、メトホルミン)、スルホニル尿素、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)作用薬及び部分作用薬(PPARγ作用薬アゴニスト及び他のPPARリガンドを含む)、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、GLP-1受容体作動薬、並びにナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害剤が挙げられる。
【0190】
一態様においては、単位剤形(unit dosage form)にある有効量の式Iの化合物を、がん、心血管疾患、内分泌疾患、炎症性疾患、感染性疾患、婦人科疾患、代謝性疾患、眼科疾患、中枢神経系(CNS)疾患、泌尿器疾患、又は消化器疾患等の金属酵素が介する疾患又は障害に罹患しているか又は罹患しやすい対象に化合物を投与するための指示書と一緒に含む、キットを提供する。特定の実施形態においては、障害、疾患、又はその症状は、高血圧症、治療抵抗性高血圧症、原発性又は二次性のアルドステロン症及び副腎過形成症に関連する病的状態、肺動脈性高血圧症、心不全、拡張機能障害、左室拡張機能障害、拡張期心不全、収縮不全、収縮期心不全、低カリウム血症、腎不全、慢性腎不全、再狭窄、腎症、心筋梗塞後、冠動脈疾患、線維症、コラーゲン形成の増加を特徴とする疾患、高血圧後の線維症及び基質再構築、内皮細胞機能障害後の線維症及び基質再構築、心血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、心房細動、腎機能不全、肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、血管疾患、網膜症、神経障害、インスリン異常症、内皮細胞機能障害、心筋線維症、血管線維症、心筋壊死病変、血管炎、心筋梗塞、左室肥大、血管壁肥大、内膜肥厚、動脈の類線維素壊死、腎疾患、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、糸球体腎炎、腎炎症候群、多発性嚢胞腎疾患、糖尿病、代謝異常症候群、インスリン抵抗性、睡眠時無呼吸、閉塞性睡眠時無呼吸、筋ジストロフィー、肝硬変、非アルコール性脂肪肝疾患、腎障害、糖尿病性腎障害、又は脳卒中である。
【0191】
「医薬的に許容される塩」又は「医薬的に許容される担体」という語は、本明細書に記載する化合物に存在する具体的な置換基に応じて、比較的毒性の低い酸又は塩基と一緒に調製された、活性化合物の塩を包含することを意味する。本開示の化合物が比較的酸性度の高い官能基を含む場合は、中性形態にあるそのような化合物を、そのままで又は好適な不活性溶媒中で、充分な量の所望の塩基と接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。医薬的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、若しくはマグネシウム塩、又は類似の塩が挙げられる。本開示の化合物が比較的塩基性度の高い官能基を含む場合は、中性形態にあるそのような化合物を、そのままで又は好適な不活性溶媒中で、充分な量の所望の酸と接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。医薬的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、一水素炭酸、リン酸、一水素リン酸、二水素リン酸、硫酸、一水素硫酸、ヨウ化水素酸、又はリン酸等の無機酸から誘導された塩に加えて、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の比較的毒性の低い有機酸から誘導された塩が挙げられる。アルギン酸塩及びこれに類するアミノ酸の塩及びグルクロン酸又はガラクツノリック(galactunoric)酸及び同種の有機酸の塩(例えば、Berge et al., Journal of Pharmaceutical Science 66:1-19 (1977)参照)も包含される。本開示の特定の特殊な化合物は、化合物が塩基付加塩又は酸付加塩のどちらに変換されることも可能にする塩基性及び酸性官能基の両方を含む。当業者に知られている他の医薬的に許容される担体は本開示に適している。
【0192】
化合物の中性形態は、従来法で塩を塩基又は酸と接触させ、親化合物を単離することによって再生することができる。化合物の親形態と各種塩形態とは、特定の物理的性質、例えば、極性溶媒における溶解性が異なるが、それ以外の点において、塩は、本開示の目的上の化合物の親形態と均等である。
【0193】
塩形態に加えて、本開示は、プロドラッグ形態にある化合物を提供する。本明細書に記載する化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化して本開示の化合物を提供する化合物である。更に、プロドラッグは、ex vivo環境下で化学的又は生化学的方法により本開示の化合物に変換することができる。例えば、プロドラッグを、好適な酵素又は化学試薬と一緒に経皮パッチ型リザーバ内に配することにより、ゆっくりと本開示の化合物に変換することができる。
【0194】
本開示の特定の化合物は、水和形態を含む溶媒和形態のみならず、非溶媒和形態で存在することもできる。一般に、溶媒和形態は非溶媒和形態と均等であり、本開示の範囲に包含されることが意図されている。本開示の特定の化合物は、複数の結晶形態又は非晶質形態で存在することができる。概して、本開示により想定されている使用に関してはあらゆる物理形態が均等であり、本開示の範囲に包含されることが意図されている。
【0195】
本開示はまた、有効量の本明細書に記載する化合物と医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。一実施形態において、式Iの化合物は、医薬的に許容される製剤、例えば、医薬的に許容される製剤を対象に投与してから少なくとも12時間、24時間、36時間、48時間、1週間、2週間、3週間、又は4週間、化合物を対象に持続送達する医薬的に許容される製剤を使用して対象に投与される。
【0196】
本開示の医薬組成物中の活性成分の実際の投与量(dosage level)及び投与の時間経過は、具体的な患者、組成、及び投与方法において、患者に毒性(又は許容できない毒性)を示すことなく、所望の治療応答を達成するのに有効な量の活性成分が得られるように、変化させることができる。
【0197】
使用時には、本開示による少なくとも1種の化合物は、医薬担体中で、静脈内、筋肉内、皮下、若しくは脳室内注射により、又は経口投与若しくは局所適用により、それを必要とする対象に、医薬的有効量で投与される。本開示によれば、本開示の化合物は、単独で又は第2の異なる治療法(therapeutic)と併用して投与することができる。「~と併用して」という語は、一緒に、実質的に同時に、又は順次を意味する。一実施形態において、本開示の化合物は、急性的に投与される。したがって、本開示の化合物は、短期間の治療、例えば、約1日間~約1週間投与することができる。他の実施形態において、本開示の化合物は、長期間に亘り、慢性障害を回復させるために、治療すべき状態に応じて、例えば、約1週間~数か月間等に亘り投与することができる。
【0198】
本明細書において使用される「医薬的有効量」は、健全な医学的判断の範囲内で、治療すべき状態を有意に良い方向に修正するのに充分に高いが、重大な副作用を回避するのに充分低い(妥当なベネフィット/リスク比にある)、本開示の化合物の量を意味する。本開示の化合物の医薬的有効量は、達成すべき具体的な目標、治療すべき患者の年齢及び健康状態、基礎疾患の重症度、治療期間、併用療法の性質、並びに採用する具体的な化合物に応じて変化するであろう。例えば、小児又は新生児に投与される本開示の化合物の治療有効量は、健全な医学的判断に従い、それに見合うように減量されるであろう。したがって本開示の化合物の有効量は、所望の効果をもたらすことになる最小量となる。
【0199】
本開示の明確な実用上の利点は、化合物を都合のよい形で、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、経口、若しくは脳室内注射経路によるか、又はクリーム若しくはゲル等の局所適用により投与できることにある。投与経路に応じて、本開示の化合物を含む活性成分は、本開示化合物を不活性化させる可能性のある酵素、酸、及び他の自然条件の作用から本開示化合物を保護することを目的として、何らかの材料で被覆することが必要となる場合もある。本開示の化合物を非経口投与以外の方法で投与するために、本開示化合物を、不活性化を防ぐための材料で被覆するか又は一緒に投与することができる。
【0200】
化合物は非経口的に又は腹腔内に投与することができる。例えば、グリセロール中、液体ポリエチレングリコール中、及びこれらの混合物中、並びに油中の分散液を製剤化することもできる。
【0201】
医薬担体の役割を果たすことができる物質の幾つかの例としては、糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;デンプン、例えば、コーンスターチ及びバレイショデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、酢酸セルロース;トラガンカント(tragancanth)粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;硫酸カルシウム;植物油、例えば、落花生油、綿実油、ごま油、オリーブ油、コーン油、及びカカオ脂;ポリオール、例えば、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;寒天;アルギン酸;発熱性物質を含まない水;等張生理食塩水;及びリン酸緩衝液;脱脂粉乳;に加えて、医薬製剤に使用される他の適合性を有する非毒性物質、例えば、ビタミンC、エストロゲン、及びエキナセア等である。ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤及び滑沢剤に加えて、着色剤、矯味剤(flavoring)、滑沢剤、賦形剤、打錠助剤(tableting agent)、安定剤、酸化防止剤、及び防腐剤も存在させることができる。可溶化剤、例えば、クレマフォア(cremaphore)及びβ-シクロデキストリン等も本明細書における医薬組成物に使用することができる。
【0202】
本開示の活性化合物(又はそのプロドラッグ)を含む医薬組成物は、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠製造(dragee-making)、研和(levigating)、乳化、カプセル化、封入(entrapping)、又は凍結乾燥プロセスを用いて製造することができる。組成物は、活性化合物を医薬的に使用可能な製剤に加工しやすくする1種又は複数種の生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、又は補助剤を用いて、従来の様式で製剤化することができる。
【0203】
本開示の主題である医薬組成物は、例えば、局所、眼内、経口、頬側、全身、鼻腔、注射、経皮、直腸内、膣内、及びこれに類するものを含む実質的にどのような投与方式にも適した形態、又は吸入若しくは送気(insufflation)による投与に適した形態を取ることができる。
【0204】
局所投与の場合、活性化合物又はプロドラッグは、溶液、ゲル、軟膏、クリーム、懸濁液、及びこれに類するものとして製剤化することができる。
【0205】
全身用製剤としては、注射、例えば、皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、髄腔内注射、又は腹腔内注射により投与するために設計されたものに加えて、経皮投与、経粘膜投与、経口投与、又は経肺投与するために設計されたものが挙げられる。
【0206】
有用な注射用製剤としては、活性化合物の水性又は油性溶媒(vehicle)中の無菌の懸濁液、溶液、又はエマルジョンが挙げられる。組成物は、懸濁剤、安定剤、及び/又は分散剤等の製剤助剤(formulating agent)も含むことができる。注射用製剤は、単位剤形(例えば、アンプル中又は複数回投与用容器中)で提供することもでき、添加された防腐剤を含むことができる。
【0207】
或いは、注射用製剤は、好適な溶媒(これらに限定されるものではないが、発熱性物質を含まない滅菌水、緩衝液、デキストロース溶液等が挙げられる)で使用前に再調製するための粉末形態で提供することもできる。この目的のために、活性化合物を凍結乾燥等の任意の公知の技法で乾燥させ、使用前に再調製することができる。
【0208】
経粘膜投与の場合、透過すべき障壁に適した浸透剤(penetrant)が製剤に使用される。この種の浸透剤は当該技術分野において知られている。
【0209】
経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、医薬的に許容される医薬品添加物(excipient)、例えば:結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶セルロース、又はリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、又はシリカ);崩壊剤(例えば、バレイショデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム);及び/又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)等と一緒に、従来の手段により製剤化された、トローチ剤、錠剤、又はカプセル剤の形態をとることができる。錠剤は、当該技術分野においてよく知られている方法により、例えば、糖又は腸溶性コーティングで被覆することができる。
【0210】
経口投与用液体製剤は、例えば、エリキシル剤、液体製剤、シロップ剤、若しくは懸濁液製剤の形態をとることができ、又は水若しくは好適な溶媒で使用前に調製される乾燥製品として提供することもできる。この種の液体製剤は、医薬的に許容される添加剤、例えば:懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、又は水添食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチン又はアラビアガム);非水性溶媒(例えば、扁桃油、油状エステル、エチルアルコール、又は分留された植物油);及び防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸)と一緒に、従来の手段を用いて製剤化することができる。製剤は更に、適切であれば、緩衝塩、防腐剤、矯味剤、着色剤、甘味剤を含むことができる。
【0211】
経口投与用製剤は、好適には、公知のように、活性化合物又はプロドラッグが制御放出されるように製剤化することができる。
【0212】
頬側投与の場合、組成物は、従来の様式で製剤化された錠剤又はトローチ剤の形態をとることができる。
【0213】
直腸及び経腟投与経路の場合、活性化合物は、カカオ脂又は他のグリセリド等の従来の坐剤基材を含む溶液製剤(停留浣腸の場合)、坐剤、又は軟膏として製剤化することができる。
【0214】
経鼻投与の場合、又は吸入若しくは送気による投与の場合、活性化合物又はプロドラッグは、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、フルオロカーボン、二酸化炭素、又は他の好適な気体を使用する加圧充填物(pressurized pack)又は噴霧器からエアゾールスプレーの形態で好都合に送達することができる。加圧されたエアゾールの場合、投与単位(dosage unit)は、計量された量を送達するための弁を設けることにより決定することができる。吸入器又は送気装置(insufflator)に使用するためのカプセル及びカートリッジ(例えば、ゼラチンから構成されるカプセル及びカートリッジ)は、化合物とラクトースやデンプン等の好適な粉末基剤との混合粉末を収容するように製剤化することができる。
【0215】
市販の経鼻噴霧器を使用する経鼻投与に適した水性懸濁液製剤の具体例は、次に示す成分を含む:活性化合物又はプロドラッグ(0.5~20mg/mL);塩化ベンザルコニウム(0.1~0.2mg/mL);ポリソルベート80(TWEEN(登録商標)80;0.5~5mg/mL);カルボキシメチルセルロースナトリウム又は微結晶セルロース(1~15mg/mL);フェニルエタノール(1~4mg/mL);及びデキストロース(20~50mg/mL)。最終懸濁液製剤のpHは、pH約5~pH約7の範囲に調整することができ、典型的なpHはpH約5.5である。
【0216】
眼内投与の場合、活性化合物又はプロドラッグは、眼内投与に適した溶液製剤、エマルジョン製剤、懸濁液製剤等に製剤化することができる。化合物を眼内に投与するのに適した様々な溶媒が当該技術分野において知られている。非限定的な具体例が、米国特許第6,261,547号;米国特許第6,197,934号;米国特許第6,056,950号;米国特許第5,800,807号;米国特許第5,776,445号;米国特許第5,698,219号;米国特許第5,521,222号;米国特許第5,403,841号;米国特許第5,077,033号;米国特許第4,882,150号;及び米国特許第4,738,851号に記載されており、それぞれの全体を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0217】
活性化合物又はプロドラッグを長期間に亘り送達するために、移植又は筋肉内注射により投与するためのデポー製剤として製剤化することができる。活性成分は、好適な高分子又は疎水性物質と一緒に(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)若しくはイオン交換樹脂と一緒に、又は難溶性誘導体として、例えば、難溶性塩として製剤化することができる。別法として、活性化合物を経皮的に吸収させるように徐放する円形貼付剤(adhesive disc)又はパッチ剤として製造された経皮送達系を使用することもできる。この目的のために、浸透促進剤(permeation enhancer)を使用して活性化合物の経皮浸透を促進することができる。好適な経皮パッチ剤は、例えば、米国特許第5,407,713号;米国特許第5,352,456号;米国特許第5,332,213号;米国特許第5,336,168号;米国特許第5,290,561号;米国特許第5,254,346号;米国特許第5,164,189号;米国特許第5,163,899号;米国特許第5,088,977号;米国特許第5,087,240号;米国特許第5,008,110号;及び米国特許第4,921,475号に記載されており、それぞれの全内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0218】
別法として、他の医薬送達系を採用することもできる。リポソーム及びエマルジョンは、活性化合物又はプロドラッグの送達に使用することができる送達媒体のよく知られている例である。ジメチルスルホキシド(DMSO)等の特定の有機溶媒も使用することができる。
【0219】
医薬組成物は、所望により、活性化合物を含有する1つ又は複数の単位投与形態を含むことができる包装体(pack)又はディスペンサー器具中で提供することができる。包装体は、例えば、金属又は薄層プラスチック、例えばブリスターパックを含むことができる。包装体又はディスペンサー器具には投与のための指示書が添付される場合もある。
【0220】
本開示の活性化合物若しくはプロドラッグ又はその組成物は、一般に、意図された結果を達成するために有効な量、例えば、治療すべき具体的な疾患を治療又は予防するために有効な量で使用されることになる。化合物は、治療効果を達成するために治療的に、又は予防効果を達成するために予防的に投与することができる。治療効果とは、患者がその根底にある障害に依然として悩まされている可能性とは無関係に、感覚又は状態が改善されたと患者が報告するように、治療すべき根底にある障害が根絶若しくは改善(amelioration)されること、及び/又は根底にある障害に付随する1つ若しくは複数の症状が根絶若しくは改善されることを意味する。例えば、アレルギーを患っている患者に化合物を投与することにより、根底にあるアレルギー反応が根絶又は改善された場合のみならず、患者がアレルゲンに曝露された後のアレルギーに付随する症状の重症度が低下するか又は期間が短縮されたと報告した場合も、治療効果が得られている。他の例として、喘息に関連する治療効果としては、喘息発作が発症した後の呼吸の改善、又は喘息が発症する頻度若しくは重症度の低下が挙げられる。治療効果としてはまた、改善を実感するか否かに関わらず、疾患の進行が停止又は緩徐化することも挙げられる。
【0221】
予防的投与の場合、化合物は、上に述べた疾患のうちの1種を発症するリスクのある患者(patient at risk)に投与することができる。疾患を発症するリスクのある患者とは、適切な医療従事者又はグループにより定義された、リスクのある患者と呼ばれる群に患者が当てはまるような特徴を有する患者であり得る。リスクのある患者とはまた、本開示による金属酵素阻害剤を投与することにより治療可能な基礎疾患を発症する可能性のある環境に置かれることがよく(commonly)又は日常的に(routinely)起こり得る患者でもある。換言すれば、リスクのある患者は、疾患又は病気を引き起こす状態によく若しくは日常的に曝されている、又は限られた時間内に急性的に曝された患者の可能性もある。或いは、予防的投与は、根底にある障害を有すると診断された患者の、症状の発現を回避するために行うことも可能である。
【0222】
投与される化合物の量は、例えば、治療すべき具体的な適応症、投与方法(所望の効果が予防的なものであるか又は治療的なものであるかに関わらず)、治療すべき適応症の重症度、並びに患者の年齢及び体重、具体的な活性化合物のバイオアベイラビリティ等の様々な因子に応じて変化することになる。有効用量(effective dosage)の決定は、当業者の能力の範囲内に充分に含まれる。
【0223】
有効用量はまずin vitro試験にて見積もることができる。例えば、動物に使用するための初回用量(initial dosage)は、in vitro試験(例えば、真菌に対するin vitro MIC又はMFC及び実施例項に記載する他のin vitro試験)で測定される、活性化合物の循環血液中又は血清中濃度が、その具体的な化合物のIC50に到達するか又はそれを超えるように配合することができる。具体的な化合物のバイオアベイラビリティを考慮しながら、このような循環血中又は血清中濃度に到達するように用量を算出することは、当業者の能力の範囲に充分に含まれる。指針に関しては、Fingl & Woodbury,“General Principles,”In: Goodman and Gilman’s The Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Chapter 1, pp. 1-46, latest edition, Pagamonon Press及びその中に引用されている参考文献を参照されたい。これらを本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。
【0224】
初回用量は、動物モデル等のin vivoデータから見積もることもできる。上に述べた様々な疾患の治療又は予防における化合物の有効性を試験するのに有用な動物は当該技術分野においてよく知られている。
【0225】
投与量は、通常、約0.0001又は0.001又は0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲内となるが、数ある因子の中でも、化合物の活性、そのバイオアベイラビリティ、投与方法、及び上に述べた様々な因子に応じて、より高く又はより低くなり得る。投与量及び投与間隔は、化合物が治療効果又は予防効果を維持するのに充分な血漿中濃度が得られるように個々に調整することができる。局所投与又は選択的取り込み(selective uptake)、例えば、局所的外用投与(local topical administration)の場合、活性化合物の有効局所濃度は、血漿中濃度と関連しない可能性がある。当業者は過度な実験を行うことなく有効な局所投与量を最適化することができるであろう。
【0226】
化合物は、数ある事項の中でも、治療すべき適応症及び処方医師の判断に応じて、1日1回、1日数回若しくは複数回、又は1日多数回(multiple times)さえ投与することができる。
【0227】
好ましくは、化合物は、実質的な毒性を示すことなく治療効果又は予防効果を示すであろう。化合物の毒性は標準的な薬学的手順を用いて決定することができる。毒性作用を示す用量及び治療(又は予防)効果を示す用量の比は治療指数である。高い治療指数を示す開示化合物が好ましい。
【0228】
本明細書の可変要素の任意の定義における化学基の一覧の記載には、その可変要素の、任意の単一の基としての定義又は列挙した基の組合せとしての定義が含まれる。本明細書における可変要素に関する実施形態の記載には、その実施形態の、任意の単一の実施形態としての定義又は他の任意の実施形態若しくはその一部との組合せとしての定義が含まれる。
【実施例】
【0229】
実施例
本明細書に記載する本発明をより充分に理解することができるように、以下に実施例を説明する。本出願に記載する実施例は本明細書において提供する化合物、医薬組成物、及び方法を説明するために提供するものであって、その範囲をいかなる形でも限定しないと解釈すべきである。
【0230】
一般的な実験手順
本明細書におけるスキーム中の構造内の可変要素の定義は、本明細書に記載する式中の対応する位置の可変要素に相当する。表2に列挙する実施例化合物を、表1に示すHPLC法及びLCMS法にて特性評価した。
【0231】
【0232】
一般的な略語:
ACN アセトニトリル
br ブロード
d 二重線
dd 二重二重線
dba ジベンジリデンアセトン
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
dppf 1,1’-フェロセンジイル-ビス(ジフェニルホスフィン)
h 時間
HRMS 高分解能質量分析
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィー及び質量分析
MS 質量分析
MW マイクロ波
m 多重線
min 分間
mL ミリリットル
m/z 質量電荷比
NMR 核磁気共鳴
ppm 百万分の一部
rt又はRT 室温
s 一重線
t 三重線
TLC 薄層クロマトグラフィー。
【0233】
Int-1の調製
【化12】
N-シクロプロピル-5-フルオロ-2-ニトロアニリン
2,4-ジフルオロ-1-ニトロベンゼン(25g、157.23mmol)にフッ化カリウム(9.12g、157.23mmol)及び炭酸カリウム(21.7g、157.23mmol)を加えた後、シクロプロパンアミン(10.75g、188.68mmol)を室温の不活性雰囲気下に滴下し、反応物を2h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(2×200mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:5%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、N-シクロプロピル-5-フルオロ-2-ニトロアニリン 2(26g、132.65mmol、84%)を黄色固体として得た。
1H NMR (500MHz, CDCl
3): δ 8.20 (dd, J = 9.3, 6.1 Hz, 1H), 6.95 (dd, J = 11.4, 2.7 Hz, 1H), 6.45-6.39 (m, 1H), 2.59-2.53 (m, 1H), 0.97-0.92 (m, 2H), 0.71-0.65 (m, 2H)
【0234】
N1-シクロプロピル-5-フルオロベンゼン-1,2-ジアミン
N-シクロプロピル-5-フルオロ-2-ニトロアニリン(24g、122.45mmol)のメタノール(300mL)溶液を撹拌しながら、10%Pd/C(50%湿潤品、2.4g)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温で水素雰囲気下(風船圧)下に8h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、メタノール(100mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより、N1-シクロプロピル-5-フルオロベンゼン-1,2-ジアミン(18g、108.43mmol、88%)を褐色シロップ状物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 6.52 (dd, J = 11.6, 2.8 Hz, 1H), 6.45 (dd, J = 8.4, 6.0 Hz, 1H), 6.18 (td, J = 8.5, 2.9 Hz, 1H), 5.28 (s, 1H), 4.30 (brs, 2H), 2.36-2.28 (m, 1H), 0.74-0.68 (m, 2H), 0.42-0.37 (m, 2H)
LC-MS: m/z 166.8 [M+H]+, RT=1.64(純度72.46%)
【0235】
1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン
N1-シクロプロピル-5-フルオロベンゼン-1,2-ジアミン(1g、6.02mmol)のTHF(20mL)溶液を撹拌しながら1,1’-カルボニルジイミダゾール(1.46g、9.04mmol)を室温の不活性雰囲気下に加え、反応混合物を16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をEtOAc(60mL)で希釈し、1N HC1(10mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(1g)を黒色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
1H NMR (400MHz, CDCl3): δ 9.75 (brs, 1H), 7.00-6.93 (m, 2H), 6.81-6.74 (m, 1H), 2.92-2.84 (m, 1H), 1.16-1.12 (m, 2H), 1.06-1.01 (m, 2H)
【0236】
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(Int-1)
1-シクロプロピル-6-フルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(1g、粗生成物)のトルエン(30mL)溶液を撹拌しながら臭化ホスホリル(5.97g、20.83mmol)を室温で不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を110℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をCH2Cl2(50mL)及び温水(50mL)で希釈し、30min撹拌した。次いで反応混合物をNa2CO3水溶液でpH約10に塩基性化し、CH2Cl2(2×50mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(600mg、2.35mmol、39%(2工程))を淡黄色シロップ状物として得た。
1H NMR (500MHz, CDCl3): δ 7.60 (dd, J = 8.7, 4.9 Hz, 1H), 7.22 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.00 (td, J = 9.3, 2.6 Hz, 1H), 3.25-3.18 (m, 1H), 1.33-1.28 (m, 2H), 1.18-1.13 (m, 2H)
LC-MS: m/z 254.9 [M+H]+, RT=2.49 (純度95.00%)
【0237】
Int-2の調製
【化13】
N-シクロプロピル-2,3-ジフルオロ-6-ニトロアニリン
1,2,3-トリフルオロ-4-ニトロベンゼン(10g、56.5mmol)のエタノール(200mL)溶液を撹拌しながらシクロプロパンアミン(3.22g、56.5mmol)を室温の不活性雰囲気下に滴下し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、揮発性物質を減圧下に除去することにより粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:10%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、N-シクロプロピル-2,3-ジフルオロ-6-ニトロアニリン(8g、37.38mmol、66%)を淡黄色粘性シロップ状物として得た。
1H NMR (500MHz, DMSO-d
6): δ 7.96-7.91 (m, 1H), 7.75 (brs, 1H), 6.87-6.80 (m, 1H), 3.03-2.97 (m, 1H), 0.78-0.72 (m, 2H), 0.68-0.63 (m, 2H)
【0238】
N1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロベンゼン-1、2-ジアミン
N-シクロプロピル-2,3-ジフルオロ-6-ニトロアニリン(8g、37.38mmol)の酢酸エチル(200mL)溶液を撹拌しながら10%Pd/C(50%湿潤品、2g)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温の水素雰囲気下(風船圧)下に6h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、メタノール(60mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:10%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、N1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロベンゼン-1,2-ジアミン(4.3g、23.37mmol、62%)を褐色粘性シロップ状物として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 6.55-6.46 (m, 1H), 6.32-6.26 (m, 1H), 4.69 (s, 2H), 4.54 (brs, 1H), 2.73-2.65 (m, 1H), 0.58-0.52 (m, 2H), 0.48-0.42 (m, 2H)
LC-MS: m/z 185.0 [M+H]+, RT=2.97 (純度61.14%)
【0239】
1-シクロプロピル-67-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン
N1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロベンゼン-1,2-ジアミン(500mg、2.72mmol)のTHF(10mL)溶液を撹拌しながら1,1’-カルボニルジイミダゾール(660mg、4.08mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えて、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(600mg)を褐色粘性シロップ状物として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 208.9 [M-H]-, RT=2.80 (純度47.16%)及びm/z 208.9 [M-H]-, RT=4.05 (純度33.71%)
【0240】
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(Int-2)
1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1、3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(600mg、粗生成物)のトルエン(10mL)溶液を撹拌しながら臭化ホスホリル(3.29g、11.43mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を飽和NaHCO3でpH約8に反応停止し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:10%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、2-ブロモ-1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾールInt-2(100mg、0.37mmol、13%(2工程))をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (500MHz, DMSO-d6): δ 7.42 (dd, J = 8.8, 3.6 Hz, 1H), 7.32-7.24 (m, 1H), 3.56-3.50 (m, 1H), 1.28-1.16 (m, 4H)
LC-MS: m/z 272.8 [M+H]+, RT=3.30 (純度73.30%)
【0241】
Int-3の調製
【化14】
3-メチル-2-ニトロアニリン
密閉試験管内で1-フルオロ-3-メチル-2-ニトロベンゼン(1g、6.45mmol)のエタノール(10mL)溶液を撹拌しながら、水酸化アンモニウム水溶液(30%、10mL)を0℃で加えた。反応混合物を80℃に加熱し、24h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(40mL)で希釈し、Et
2O(2×40mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、3-メチル-2-ニトロアニリン(1.2g)を淡黄色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 153.0 [M+H]
+, RT=2.15 (純度36.85%)
【0242】
3-メチルベンゼン-1,2-ジアミン
3-メチル-2-ニトロアニリン(1.2g、粗生成物)のメタノール(15mL)溶液を撹拌しながら10%Pd/C(50%湿潤品、150mg)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温の水素雰囲気下(風船圧)下に2h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、メタノール(40mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより、3-メチルベンゼン-1,2-ジアミン(900mg)を褐色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
【0243】
4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(Int-3)
3-メチルベンゼン-1,2-ジアミン(900mg、粗生成物)のギ酸(5mL)溶液を撹拌しながら、不活性雰囲気下で90℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を飽和Na2CO3溶液でpH約8に塩基性化し、EtOAc(2×40mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより、4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-3(120mg、0.91mmol、14%、3工程分の全収率)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400MHz, CD3OD): δ 8.12 (s, 1H), 7.45-7.39 (m, 1H), 7.15 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.05 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 2.57 (s, 3H)
【0244】
Int-4の調製
【化15】
N-シクロプロピル-4,5-ジフルオロ-2-ニトロアニリン
1,2,4-トリフルオロ-5-ニトロベンゼン(500mg、2.82mmol)のフッ化カリウム(164mg、2.82mmol)中混合物に、炭酸カリウム(390mg、2.82mmol)及びシクロプロパンアミン(0.23mL、3.39mmol)を0℃で不活性雰囲気下に滴下した。反応混合物を0℃で30min撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、N-シクロプロピル-4,5-ジフルオロ-2-ニトロアニリン(320mg)を淡黄色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 215.4 [M+H]
+, RT=4.43 (純度69.03%)
【0245】
N1-シクロプロピル-4,5-ジフルオロベンゼン-1,2-ジアミン
N-シクロプロピル-4,5-ジフルオロ-2-ニトロアニリン(300mg、粗生成物)の酢酸エチル(10mL)溶液を撹拌しながら10%Pd/C(50%湿潤品、30mg)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温の水素雰囲気下に(風船圧)4h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、メタノール(15mL)及びEtOAc(10mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより、N1-シクロプロピル-4,5-ジフルオロベンゼン-1,2-ジアミン(100mg)を褐色粘性シロップ状物として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 184.9 [M+H]+, RT=2.12 (純度83.53%)
【0246】
1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン
N1-シクロプロピル-4,5-ジフルオロベンゼン-1,2-ジアミン(500mg、粗生成物)のTHF(10mL)溶液を撹拌しながら1,1’-カルボニルジイミダゾール(430mg、2.64mmol)を室温の不活性雰囲気下に加え、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をEtOAc(60mL)で希釈し、1N HC1(10mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(500mg、粗生成物)を黒色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
【0247】
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(Int-4)
1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(500mg、粗生成物)のトルエン(20mL)溶液を撹拌しながら臭化ホスホリル(2.73g、9.52mmol)を室温で不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱して16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、40℃に加熱し、30min撹拌した。混合物を飽和Na2CO3溶液(30mL)で塩基性化し、CH2Cl2(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:10%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(300mg、1.09mmol、46%(2工程))を褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.13-7.69 (m, 2H), 3.38-3.33 (m, 1H), 1.29-1.21 (m, 2H), 1.11-1.03 (m, 2H)
【0248】
Int-5の調製
スキーム:
【化16】
3-(エチルアミノ)-4-ニトロベンゾニトリル
3-フルオロ-4-ニトロベンゾニトリル(2g、12.05mmol)のCH
2Cl
2(250mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(3.32g、24.09mmol)及びエチルアミン(70%水溶液2.17g、48.19mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温で6h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(60mL)で反応停止し、EtOAc(2×60mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、3-(エチルアミノ)-4-ニトロベンゾニトリル(1.9g)を黄色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
1H NMR (500MHz, DMSO-d
6): δ 8.22-8.10 (m, 2H), 7.58 (brs, 1H), 7.00 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.48-3.38 (m, 2H), 1.21 (t, J = 6.9 Hz, 3H)
LC-MS: m/z 192.1 [M+H]
+, RT=4.10 (純度98.96%)
【0249】
4-アミノ-3-(エチルアミノ)ベンゾニトリル(Int-5)
3-(エチルアミノ)-4-ニトロベンゾニトリル(1.9g、粗生成物)のエタノール(20mL)溶液を撹拌しながら10%Pd/C(50%湿潤品、190mg)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温の水素雰囲気下に(風船圧)5h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、メタノール(50mL)及びEtOAc(30mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより4-アミノ-3-(エチルアミノ)ベンゾニトリル Int-5(1.5g)をオフホワイト色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 161.9 [M+H]+, RT=2.11 (純度60.88%)
【0250】
Int-6の調製
スキーム:
【化17】
3-(シクロプロピルアミノ)-4-ニトロベンゾニトリル
3-フルオロ-4-ニトロベンゾニトリル(1g、6.02mmol)のCH
2Cl
2(5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(1.66g、12.05mmol)及びシクロプロパンアミン(3.33mL、48.19mmol)を室温の不活性雰囲気下に滴下した。反応混合物を室温で4h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×40mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、3-(シクロプロピルアミノ)-4-ニトロベンゾニトリル(900mg)を黄色固体として得た。粗生成物更に精製することなく次のステップに用いた。
1H NMR (400MHz, CDCl
3): δ 8.24 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.07 (brs, 1H), 7.64 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 6.93 (dd, J = 8.7, 1.7 Hz, 1H), 2.62-2.57 (m, 1H), 1.03-0.97 (m, 2H), 0.72-0.67 (m, 2H)
LC-MS: m/z 201.9 [M-H]
-, RT=3.25 (純度99.61%)
【0251】
4-アミノ-3-(シクロプロピルアミノ)ベンゾニトリル(Int-6)
3-(シクロプロピルアミノ)-4-ニトロベンゾニトリル(900mg、粗生成物)のエタノール(10mL)溶液を撹拌しながら10%Pd/C(50%湿潤品、500mg)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温の水素雰囲気下に(風船圧)で5h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(30mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより4-アミノ-3-(シクロプロピルアミノ)ベンゾニトリル Int-6(500mg、2.89mmol、48%(2工程))をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 6.93 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.87 (dd, J = 8.0, 1.9 Hz, 1H), 6.55 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 5.49 (s, 2H), 5.43 (s, 1H), 2.40-2.34 (m, 1H), 0.77-0.71 (m, 2H), 0.42-0.37 (m, 2H)
【0252】
Int-7の調製
【化18】
5-クロロ-N-シクロプロピル-2-ニトロアニリン
4-クロロ-2-フルオロ-1-ニトロベンゼン(1g、5.7mmol)のTHF(20mL)溶液を撹拌しながらトリエチルアミン(2.38mL、17.09mmol)及びシクロプロパンアミン(0.43mL、6.27mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(40mL)で希釈し、EtOAc(2×40mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、5-クロロ-N-シクロプロピル-2-ニトロアニリン(1g、4.72mmol、83%)を黄色固体として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 8.08 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 7.37 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.79 (dd, J = 9.2, 2.3 Hz, 1H), 2.69-2.63 (m, 1H), 0.92-0.86 (m, 2H), 0.68-0.61 (m, 2H)
LC-MS: m/z 213.2 [M+H]
+, RT=4.68 (純度97.21%)
【0253】
5-クロロ-N1-シクロプロピルベンゼン-1,2-ジアミン(Int-7)
5-クロロ-N-シクロプロピル-2-ニトロアニリン(250mg、1.27mmol)のエタノール/水混合物(1:1、10mL)中溶液を撹拌しながら鉄粉(356mg、6.38mmol)及び塩化アンモニウム(341mg、6.38mmol)を室温で加えた。反応混合物を80℃に加熱し、5h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、エタノール(30mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより、5-クロロ-N1-シクロプロピルベンゼン-1,2-ジアミン Int-7(200mg)を褐色シロップ状物として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
1H NMR (500MHz、 DMSO-d6): δ 6.69 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 6.50-6.40 (m, 2H), 5.28 (brs, 1H), 4.64 (brs, 2H), 2.37-2.30 (m, 1H), 0.75-0.69 (m, 2H), 0.42-0.37 (m, 2H)
LC-MS: m/z 182.9 [M+H]+, RT=2.85 (純度86.58%)
【0254】
Int-8の調製
【化19】
6-クロロ-N-シクロプロピル-3-ニトロピリジン-2-アミン(2)(LNB No:SVC-MA1601-094)
2,6-ジクロロ-3-ニトロピリジン(5g、26.04mmol)のトルエン(25mL)溶液を撹拌しながらシクロプロピルアミン(3.7mL、52.08mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を0℃で1h撹拌した。反応混合物を室温まで加温し、2h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(2×50mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:10%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、6-クロロ-N-シクロプロピル-3-ニトロピリジン-2-アミン(4g、18.77mmol、72%)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 8.34 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 6.66 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 3.10-3.05 (m, 1H), 0.97-0.93 (m, 2H), 0.67-0.64 (m, 2H)
【0255】
6-クロロ-N2-シクロプロピルピリジン-2,3-ジアミン(Int-8)
6-クロロ-N-シクロプロピル-3-ニトロピリジン-2-アミン(1g、4.69mmol)のエタノール/水(1:1、10mL)中溶液を撹拌しながら鉄粉(1.3g、23.47mmol)及び塩化アンモニウム(1.2g、23.47mmol)を室温で加えた。反応混合物を80℃で1h加熱した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、6-クロロ-N2-シクロプロピルピリジン-2,3-ジアミン Int-8(700mg、粗生成物)を淡黄色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 183.9 [M+H]+, RT=2.07 (純度58.13%)
【0256】
実施例1
【化20】
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.1)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(150mg、0.59mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら1H-ベンゾ[d]イミダゾール(139mg、1.18mmol)及び炭酸カリウム(243mg、1.76mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-6’ーフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.1(90mg、0.31mmol、52%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (500MHz, DMSO-d
6): δ 8.90 (s, 1H), 7.87-7.82 (m, 2H), 7.77 (dd, J = 8.8, 4.8 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 9.0, 2.6 Hz, 1H), 7.43-7.36 (m, 2H), 7.23-7.17 (m, 1H), 3.73-3.68 (m, 1H), 1.02-0.96 (m, 2H), 0.65-0.61 (m, 2H)
LC-MS: m/z 292.9 [M+H]
+, RT=2.96 (純度99.33%)
HPLC: 99.03%
【0257】
実施例2
【化21】
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.2)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-2(100mg、0.37mmol)のDMSO(2mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(152mg、1.1mmol)及び1H-ベンゾ[d]イミダゾール(87mg、0.73mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(15mL)で希釈し、CH
2Cl
2(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.2(20mg、0.06mmol、17%)を白色固体として得た。
1H NMR (500MHz, DMSO-d
6): δ 8.88 (s, 1H), 7.89-7.82 (m, 2H), 7.58 (dd, J = 8.8, 3.3 Hz, 1H), 7.44-7.35 (m, 3H), 3.94-3.87 (m, 1H), 0.97-0.92 (m, 2H), 0.74-0.70 (m, 2H)
LC-MS: m/z 310.9 [M+H]
+, RT=3.21 (純度97.98%)
HPLC: 92.97%
【0258】
実施例3
【化22】
1’-シクロプロピル-4,5,6’-トリフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.3)
4,5-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(241mg、1.57mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(325mg、2.35mmol)を室温の不活性雰囲気下に加え、15min撹拌した。2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(200mg、0.78mmol)を室温で加え、反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(25mL)で希釈した。析出した固体を濾過し、減圧下に乾燥させることにより、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-4,5,6’-トリフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾールEx.3(120mg、0.36mmol、47%)をオフホワイト色固体として得た。構造を更に2D NMR(NOESY、DQFCOSY)で確認した。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 9.03 (s, 1H), 7.78 (dd, J = 8.8, 4.8 Hz, 1H), 7.73-7.67 (m, 1H), 7.57 (dd, J = 9.0, 2.4 Hz, 1H), 7.53-7.44 (m, 1H), 7.25-7.18 (m, 1H), 3.73-3.65 (m, 1H), 1.04-0.98 (m, 2H), 0.69-0.63 (m, 2H)
LC-MS: m/z 328.9 [M+H]
+, RT=3.31 (純度99.92%)
HPLC: 99.82%
【0259】
実施例4
【化23】
1’-シクロプロピル-5,6,6’-トリフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.4)
5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(241mg、1.57mmol)のDMSO(5mL)溶液に炭酸カリウム(325mg、2.35mmol)を室温で不活性雰囲気下に加え、15min撹拌した。次いで2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(200mg、0.78mmol)を室温で加え、反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(30mL)で希釈した。析出した固体を濾過し、減圧下に乾燥させることにより、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-5,6,6’-トリフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.4(120mg、0.36mmol、47%)を白色固体として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 8.98 (s, 1H), 7.98-7.92 (m, 2H), 7.78 (dd, J = 8.8, 4.9 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 9.0, 2.4 Hz, 1H), 7.23-7.18 (m, 1H), 3.72-3.67 (m, 1H), 1.03-0.97 (m, 2H), 0.69-0.64 (m, 2H)
LC-MS: m/z 328.9 [M+H]
+, RT=3.09 (純度99.22%)
HPLC: 99.79%
【0260】
実施例5
【化24】
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5,6-ジメトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.5)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(100mg、0.39mmol)のDMSO(2mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(164mg、1.18mmol)及び5,6-ジメトキシ1H-ベンゾ[d]イミダゾール(70mg、0.39mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(25mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:40%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5,6-ジメトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.5(100mg、0.28mmol、72%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (500MHz, DMSO-d
6): δ8.64 (s, 1H), 7.77 (dd, J = 8.7, 4.9 Hz, 1H), 7.54 (dd, J = 9.0, 2.3 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 2.6 Hz, 2H), 7.22-7.16 (m, 1H), 3.85 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 3.69-3.65 (m, 1H), 0.99-0.93 (m, 2H), 0.63-0.58 (m, 2H)
LC-MS: m/z 353.0 [M+H]
+, RT=2.13 (純度98.91%)
HPLC: 98.37%
【0261】
実施例6及び実施例7
【化25】
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボニトリル(Ex.6)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボニトリル(Ex.7)
1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(111mg、0.78mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(162mg、1.18mmol)及び2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(100mg、0.39mmol)を室温で不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(25mL)で希釈し、EtOAc(2×25mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH
2Cl
2)で精製した後、分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボニトリル Ex.6(30mg、0.09mmol、24%)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボニトリル Ex.7(30mg、0.09mmol、24%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。2種の構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)解析により確認した。
Ex.6の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 8.96 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.80-7.72 (m, 2H), 7.52 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.19 (td, J = 9.3, 2.1 Hz, 1H), 3.67-3.60 (m, 1H), 1.07-1.00 (m, 2H), 0.72-0.66 (m, 2H)
LC-MS: m/z 317.9 [M+H]
+, RT=2.35 (純度99.53%)
HPLC: 98.79%
Ex.7の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 9.03 (s, 1H), 8.29 (s, 1H), 8.00 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.79-7.73 (m, 2H), 7.51 (dd, J = 8.7, 2.5 Hz, 1H), 7.18 (td, J = 9.3, 2.4 Hz, 1H), 3.69-3.64 (m, 1H), 1.09-1.04 (m, 2H), 0.73-0.68 (m, 2H)
LC-MS: m/z 317.9 [M+H]
+, RT=2.35 (純度98.07%)
HPLC: 97.16%
【0262】
実施例8及び実施例9
【化26】
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-メチル-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.8)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-メチル-1’H-1 2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.9)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(100mg、0.39mmol)及び5-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(103mg、0.78mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(162mg、1.18mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を90℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(25mL)で希釈し、EtOAc(2×25mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH
2Cl
2)により精製した後、分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-メチル-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.8(40mg、0.13mmol、33%)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-メチル-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.9(40mg、0.13mmol、33%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。この2種の構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.8の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 8.69 (s, 1H), 7.72 (dd, J = 8.8, 4.7 Hz, 1H), 7.64-7.60 (m, 2H), 7.50 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.30 (dd, J = 8.3, 0.9 Hz, 1H), 7.21-7.13 (m, 1H), 3.64-3.58 (m, 1H), 2.52 (s, 3H), 1.03-0.98 (m, 2H), 0.68-0.63 (m, 2H)
LC-MS: m/z 306.9 [M+H]
+, RT=2.95 (純度99.99%)
HPLC: 99.46%
Ex.9の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 8.66 (s, 1H), 7.76-7.68 (m, 2H), 7.56-7.49 (m, 2H), 7.28 (dd, J = 8.3, 1.1 Hz, 1H), 7.21-7.14 (m, 1H), 3.64-3.58 (m, 1H), 2.50 (s, 3H), 1.05-0.98 (m, 2H), 0.69-0.63 (m, 2H)
LC-MS: m/z 306.9 [M+H]
+, RT=2.96 (純度99.92%)
HPLC: 99.77%
【0263】
実施例10及び実施例11
【化27】
1’-シクロプロピル-5-エチル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.10)及び1’-シクロプロピル-6-エチル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.11)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(100mg、0.39mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら5-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール塩酸塩 1(143mg、0.78mmol)及び炭酸カリウム(162mg、1.18mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を90℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(25mL)で希釈し、EtOAc(2×25mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH
2Cl
2)で精製した後、分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-5-エチル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.10(30mg、0.09mmol、15%)及び1’-シクロプロピル-6-エチル-6’-フルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.11(30mg、0.09mmol、15%)を、それぞれオフホワイト色固体として得た。2種の構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.10の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 8.70 (s, 1H), 7.72 (dd, J = 8.9, 4.6 Hz, 1H), 7.66-7.63 (m, 2H), 7.50 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 8.0, 1.4 Hz, 1H), 7.21-7.13 (m, 1H), 3.64-3.58 (m, 1H), 2.83 (q, J = 7.5 Hz, 2H), 1.33 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.04-0.98 (m, 2H), 0.70-0.63 (m, 2H)
LC-MS: m/z 320.9 [M+H]
+, RT=3.19 (純度99.96%)
HPLC: 99.86%
Ex.11の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 8.68 (s, 1H), 7.74 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 7.72 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 7.56 (s, 1H), 7.51 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.32 (dd, J = 8.3, 1.3 Hz, 1H), 7.21-7.14 (m, 1H), 3.64-3.58 (m, 1H), 2.80 (q, J = 7.7 Hz, 2H), 1.28 (t, J = 7.6 Hz, 3H), 1.05-0.98 (m, 2H), 0.70- 0.63 (m, 2H)
LC-MS: m/z 321.0 [M+H]
+, RT=3.16 (純度99.97%)
HPLC: 99.83%
【0264】
実施例12及び実施例13
【化28】
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-メトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.12)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-メトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.13)(LNB No:SVC-MA1530-065)
5-メトキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(116mg、0.78mmol)のDMSO(2.5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(162mg、1.18mmol)を室温の不活性雰囲気下に加え、混合物を15min撹拌した。2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(100mg、0.39mmol)を室温で加え、反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:5%MeOH/CH
2Cl
2)で精製した後、分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-メトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.12(20mg、0.06mmol、15%)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-メトキシ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.13(40mg、0.12mmol、30%)をそれぞれ白色固体として得た。この2種の構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.12の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 8.69 (s, 1H), 7.71 (dd, J = 9.0, 4.6 Hz, 1H), 7.67-7.62 (m, 1H), 7.49 (dd, J = 8.8, 2.3 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.20-7.15 (m, 1H), 7.08 (dd, J = 9.0, 2.4 Hz, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.64-3.59 (m, 1H), 1.06-1.00 (m, 2H), 0.69-0.64 (m, 2H)
LC-MS: m/z 323.1 [M+H]
+, RT=2.32 (純度98.58%)
HPLC: 98.16%
Ex.13の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 8.62 (s, 1H), 7.76-7.68 (m, 2H), 7.51 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.21-7.14 (m, 1H), 7.06 (dd, J = 8.9, 2.4 Hz, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.64- 3.59 (m, 1H), 1.06-1.00 (m, 2H), 0.70-0.65 (m, 2H)
LC-MS: m/z 323.0 [M+H]
+, RT=2.29 (純度98.70%)
HPLC: 99.58%
【0265】
実施例14
【化29】
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-4-メチル-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.14)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(120mg、0.47mmol)及び4-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-3(74mg、0.56mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(195mg、1.41mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を110℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:50%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-4-メチル-1’H-1、2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.14(60mg、0.2mmol、41%)を淡黄色固体として得た。構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
1H NMR (500MHz, CD
3OD): δ 8.70 (s, 1H), 7.72 (dd, J = 8.7, 4.8 Hz, 1H), 7.56-7.48 (m, 2H), 7.33 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 7.17 (td, J = 9.3, 2.5 Hz, 1H), 3.64-3.57 (m, 1H), 2.70 (s, 3H), 1.02-0.95 (m, 2H), 0.67-0.62 (m, 2H)
LC-MS: m/z 306.9 [M+H]
+, RT=2.71 (純度98.35%)
HPLC: 98.43%
【0266】
実施例15
【化30】
1’-シクロプロピル-5,6,6’,7’-テトラフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.15)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-2(60mg、0.22mmol)及び5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(41mg、0.26mmol)のDMSO(2mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(91mg、0.66mmol)を室温で不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(15mL)で希釈し、EtOAc(2×15mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:40%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-5,6,6’,7’-テトラフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.15(20mg、0.06mmol、26%)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 8.84 (s, 1H), 7.83 (dd, J = 10.0, 7.1 Hz, 1H), 7.73 (dd, J = 10.3, 7.2 Hz, 1H), 7.55-7.49 (m, 1H), 7.33-7.24 (m, 1H), 3.87-3.80 (m, 1H), 1.09-1.02 (m, 2H), 0.80-0.73 (m, 2H)
LC-MS: m/z 347.0 [M+H]
+, RT=2.65 (純度98.94%)
HPLC: 95.27%
【0267】
実施例16
【化31】
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.16)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(100mg、0.36mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(152mg、1.09mmol)及び1H-ベンゾ[d]イミダゾール(86.5mg、0.73mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃で16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(15mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.16(80mg、0.25mmol、70%)を白色固体として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 8.91 (s, 1H), 7.95-7.70 (m, 4H), 7.47-7.30 (m, 2H), 3.75-3.69 (m, 1H), 1.07-0.91 (m, 2H), 0.69-0.58 (m, 2H)
LC-MS: m/z 310.9 [M+H]
+, RT=2.89 (純度99.83%)
HPLC: 98.92%
【0268】
実施例17
【化32】
1’-シクロプロピル-5,5’,6,6’-テトラフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.17)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(100mg、0.36mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら、5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(113mg、0.73mmol)及び炭酸カリウム(152mg、1.09mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃で16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:3%MeOH/CH
2Cl
2)で精製することにより、1’-シクロプロピル-5,5’,6,6’-テトラフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.17(80mg、0.23mmol、63%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 8.98 (s, 1H), 8.00-7.90 (m, 2H), 7.90-7.82 (m, 2H), 3.72- 3.70 (m, 1H), 1.04-0.95 (m, 2H), 0.73-0.59 (m, 2H)
LC-MS: m/z 347.0 [M+H]
+, RT=3.22 (純度98.67%)
HPLC: 95.00%
【0269】
実施例18及び実施例19
【化33】
1’-シクロプロピル-5,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.18)及び1’-シクロプロピル-6,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.19)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(150mg、0.59mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら、5-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(160mg、1.17mmol)及び炭酸カリウム(244mg、1.76mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃で16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:3%MeOH/CH
2Cl
2)で精製した後、分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-5,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.18(60mg、0.19mmol、33%)及び1’-シクロプロピル-6,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.19(40mg、0.13mmol、22%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。この2種の構造を2D NMR(NOESY、COSY)により確認した。
Ex.18の分析データ
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 8.98 (s, 1H), 7.88 (dd, J = 8.9, 4.8 Hz, 1H), 7.77 (dd, J = 8.8, 4.9 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 9.4, 2.4 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 9.0, 2.4 Hz, 1H), 7.30-7.25 (m, 1H), 7.23-7.17 (m, 1H), 3.73-3.68 (m, 1H), 1.09-0.91 (m, 2H), 0.72-0.51 (m, 2H)
LC-MS: m/z 310.9 [M+H]
+, RT=2.91 (純度99.79%)
HPLC: 99.67%
Ex.19の分析データ
1H NMR (400MHz, DMSO-d
6): δ 8.98 (s, 1H), 7.84 (dd, J = 8.9, 4.8 Hz, 1H), 7.77 (dd, J = 8.8, 4.9 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 9.4, 2.4 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 9.0, 2.4 Hz, 1H), 7.28-7.15 (m, 2H), 3.73-3.67 (m, 1H), 1.05-0.99 (m, 2H), 0.67-0.62 (m, 2H)
LC-MS: m/z 310.9 [M+H]
+, RT=2.93 (純度99.87%)
HPLC: 99.58%
【0270】
実施例20及び実施例21
【化34】
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.20)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.21)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(150mg、0.60mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら、5-(トリフルオロメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(131mg、0.70mmol)及び炭酸カリウム(243mg、1.76mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を90℃で16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(50mL)で希釈し、EtOAc(2×50mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(50mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30%EtOAc/ヘキサン)で精製した後、分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール B-397(40mg、0.11mmol、38%)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール B-421(40mg、0.11mmol、38%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。2種の構造を2D NMR解析(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.20の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 8.91 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.97 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.77-7.70 (m, 2H), 7.52 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.21-7.16 (m, 1H), 3.67-3.60 (m, 1H), 1.07-1.00 (m, 2H), 0.70-0.65 (m, 2H)
LC-MS: m/z 360.9 [M+H]
+, RT=3.34 (純度99.60%)
HPLC: 99.64%
Ex.21の分析データ:
1H NMR (400MHz, CD
3OD): δ 9.01 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.02 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.80-7.71 (m, 2H), 7.52 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.21-7.16 (m, 1H), 3.69-3.63 (m, 1H), 1.13-0.97 (m, 2H), 0.77-0.60 (m, 2H)
LC-MS: m/z 361.0 [M+H]
+, RT=3.32 (純度99.79%)
HPLC: 99.53%
【0271】
実施例22
【化35】
3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル
4-アミノ-3-(エチルアミノ)ベンゾニトリル Int-5(500mg、3.10mmol)のTHF(10mL)溶液を撹拌しながら、1,1’-カルボニルジイミダゾール(750mg、4.05mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:50~60%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(280mg、1.49mmol、50%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 11.39 (brs, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.44 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.12 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.88-3.82 (m, 2H), 1.19 (t, J = 7.2 Hz, 3H)
LC-MS: m/z 188.1 [M+H]
+, RT=2.87 (純度99.10%)
【0272】
2-ブロモ-l-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル
臭化ホスホリル(153mg、0.53mmol)の1,2-ジクロロエタン(5mL)溶液を撹拌しながら、3-エチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(50mg、0.26mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を還流温度に加熱し、36h加熱した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、飽和炭酸ナトリウム溶液を用いてpH約7に中和し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより2-ブロモ-1-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(65mg)をオフホワイト色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 250.2 [M+H]+, RT=3.55 (純度50.03%)
【0273】
1’-エチル-5,6-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(Ex.22)
2-ブロモ-1-エチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(65mg、粗生成物)のDMSO(2mL)溶液を撹拌しながら、5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(48mg、0.31mmol)及び炭酸カリウム(107mg、0.78mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、6h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:50~60%EtOAc/ヘキサン)で精製し、更にCH3CN(2×20mL)でトリチュレートすることにより、1’-エチル-5,6-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル Ex.22(15mg、0.04mmol、18%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.70 (s, 1H), 8.26 (s, 1H), 7.93 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.80-7.70 (m, 2H), 7.66 (dd, J = 9.9, 7.0 Hz, 1H), 4.37-4.31 (m, 2H), 1.37 (t, J = 7.3 Hz, 3H)
LC-MS: m/z 323.9 [M+H]+, RT=2.83 (純度97.05%)
HPLC: 99.02%
【0274】
実施例23及び実施例24
【化36】
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボニトリル(Ex.23)及び1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’ H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボニトリル(Ex.24)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(125mg、0.45mmol)のDMSO(4mL)溶液を撹拌しながら1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(98mg、0.68mmol)及び炭酸カリウム(190mg、1.37mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を90℃に加熱し、16h撹拌した。.出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷水(50mL)で希釈し、EtOAc(2×50mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(50mL)、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH
2Cl
2)で精製した後、分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボニトリル Ex.23(40mg、0.12mmol、26%)及び1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボニトリル Ex.24(40mg、0.12mmol、26%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。この2種の構造を2D NMR解析(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.23の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 9.14 (s, 1H), 8.44 (s, 1H), 8.06 (d, J = 8.41 Hz, 1H), 7.93- 7.81 (m, 3H), 3.74-3.69 (m, 1H), 1.10-0.96 (m, 2H), 0.75-0.61 (m, 2H)
LC-MS: m/z 336.0 [M+H]
+, RT=2.93 (純度98.56%)
HPLC: 98.26%
Ex.24の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 9.17 (s, 1H), 8.40 (s, 1H), 8.04 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.92 (dd, J = 10.9, 7.4 Hz, 1H), 7.87 (dd, J = 10.4, 7.3 Hz, 1H), 7.81 (dd, J = 8.3, 1.6 Hz, 1H), 3.81-3.68 (m, 1H), 1.09-0.93 (m, 2H), 0.74-0.62 (m, 2H)
LC-MS: m/z 335.9 [M+H]
+, RT=2.94 (純度96.57%)
HPLC: 97.57%
【0275】
実施例25
【化37】
3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル
4-アミノ-3-(シクロプロピルアミノ)ベンゾニトリル Int-6(500mg、2.89mmol)のTHF(10mL)溶液を撹拌しながら、1,1’-カルボニルジイミダゾール(702mg、4.33mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30~40%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(200mg、1.00mmol、35%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6): δ 11.29 (brs, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.45 (dd, J = 8.0, 1.3 Hz, 1H), 7.09 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 2.91-2.85 (m, 1H), 1.05-1.00 (m, 2H), 0.92-0.83 (m, 2H)
【0276】
2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル
3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(200mg、1.0mmol)の1,2-ジクロロエタン(4mL)溶液を撹拌しながら、臭化ホスホリル(1.2g、4.02mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、飽和炭酸ナトリウム溶液(30mL)を用いて塩基性化し、CH2Cl2(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(50mg)を白色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 261.8[M+]+, RT=2.52 (純度96.21%)
【0277】
1’-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(Ex.25)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(100mg、0.38mmol)のDMSO(3mL)溶液を撹拌しながら、炭酸カリウム(106mg、0.76mmol)及び5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(59mg、0.38mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30~40%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル Ex.25(20mg、0.06mmol、16%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 8.94 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.96-7.89 (m, 2H), 7.75 (dd, J = 10.2, 7.2 Hz, 1H), 7.71 (dd, J = 8.4, 1.5 Hz, 1H), 3.79-3.73 (m, 1H), 1.23-1.14 (m, 2H), 0.84- 0.71 (m, 2H)
LC-MS: m/z 336.0 [M+H]+, RT=2.96 (純度97.43%)
HPLC: 98.95%
【0278】
実施例26
【化38】
6-クロロ-1-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン
5-クロロ-N
1-シクロプロピルベンゼン-1,2-ジアミン Int-7(200mg、1.09mmol)のTHF(10mL)溶液を撹拌しながら、1,1’-カルボニルジイミダゾール(267mg、1.65mmol)を室温の不活性雰囲気下に加え、混合物を16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を1N HCl溶液(20mL)で酸性化し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより6-クロロ-1-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(150mg)を褐色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 7.15 (s, 1H), 7.04-6.99 (m, 1H), 6.96-6.88 (m, 1H), 2.87- 2.78 (m, 1H), 1.06-0.96 (m, 2H), 0.88-0.74 (m, 2H)
【0279】
2-ブロモ-6-クロロ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
6-クロロ-1-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オン(150mg、粗生成物)のトルエン(10mL)溶液を撹拌しながら、臭化ホスホリル(825mg、2.88)を室温で不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、温水(20mL)を加え、混合物を30min撹拌した。反応混合物をNa2CO3水溶液でpH約10に塩基性化し、CH2Cl2(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:10%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、2-ブロモ-6-クロロ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(80mg、0.30mmol、41%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 7.63 (s, 1H), 7.58 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 8.6, 2.1 Hz, 1H), 3.36-3.30 (m, 1H), 1.27-1.18 (m, 2H), 1.10-1.02 (m, 2H)
【0280】
6’-クロロ-1’-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.26)
2-ブロモ-6-クロロ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(80mg、0.30mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(123mg、0.88mmol)及び5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(92mg、0.59mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより、6’-クロロ-1’-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.26(30mg、0.08mmol、29%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.99 (s, 1H), 7.98-7.96 (m, 2H), 7.79 (s, 1H), 7.77 (d, J = 7.0 Hz, 1H), 7.40-7.34 (m, 1H), 3.74-3.68 (m, 1H), 1.08-0.99 (m, 2H), 0.72-0.62 (m, 2H)
LC-MS: m/z 344.9 [M+H]+, RT=2.71 (純度96.05%)
HPLC: 93.47%
【0281】
実施例27及び実施例28
【化39】
1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-(トリフルオロメトキシ)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.27)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-(トリフルオロメトキシ)-1’-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.28)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6-フルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-1(100mg、0.39mmol)のDMSO(4mL)溶液を撹拌しながら5-(トリフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(80mg、0.40mmol)及び炭酸カリウム(108mg、0.78mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、24h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20~30%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-5-(トリフルオロメトキシ)-1H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.27(20mg、0.05mmol、14%)及び1’-シクロプロピル-6’-フルオロ-6-(トリフルオロメトキシ)-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.28(20mg、0.05mmol、14%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。この2種の構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.27の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 8.88 (s, 1H), 7.87 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 7.78-7.68 (m, 2H), 7.51 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.40 (dd, J = 8.9, 1.4 Hz, 1H), 7.19-7.17 (m, 1H), 3.66-3.61 (m, 1H), 1.07-1.00 (m, 2H), 0.71-0.63 (m, 2H)
LC-MS: m/z 377.0 [M+H]
+, RT=3.36 (純度96.14%)
HPLC: 92.27%
Ex.28の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 8.89 (s, 1H), 7.92 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.81-7.77 (m, 1H), 7.75 (dd, J = 8.9, 4.6 Hz, 1H), 7.51 (dd, J = 8.7, 2.4 Hz, 1H), 7.41-7.37 (m, 1H), 7.21-7.14 (m, 1H), 3.68-3.61 (m, 1H), 1.08-1.04 (m, 2H), 0.74-0.68 (m, 2H)
LC-MS: m/z 377.0 [M+H]
+, RT=3.34 (純度98.88%)
HPLC: 96.61%
【0282】
実施例29
【化40】
5-クロロ-3-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン
6-クロロ-N
2-シクロプロピルピリジン-2,3-ジアミン Int-8(300mg、1.64mmol)のTHF(5mL)溶液を撹拌しながら、1,1’-カルボニルジイミダゾール(398mg、2.46mmol)を室温の不活性雰囲気下に加え、混合物を16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を1N HCl(10mL)で希釈し、EtOAc(2×10mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、5-クロロ-3-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン(200mg、粗生成物)を黒色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
【0283】
2-ブロモ-5-クロロ-3-シクロプロピル-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン
5-クロロ-3-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン(200mg、粗生成物)のトルエン(10mL)溶液を撹拌しながら臭化ホスホリル(1.09g、3.82mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をCH2Cl2(10mL)、温水(10mL)で希釈し、混合物を30min撹拌した。反応混合物をNa2CO3水溶液を用いてpH約10に塩基性化し、CH2Cl2(2×10mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)で洗浄し、r無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:10%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、2-ブロモ-5-クロロ-3-シクロプロピル-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(70mg、0.25mmol、27%(2工程))をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ8.07 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.40-3.32 (m, 1H), 1.26-1.19 (m, 4H)
【0284】
5-クロロ-3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(Ex.29)
2-ブロモ-5-クロロ-3-シクロプロピル-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(70mg、0.25mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら炭酸カリウム(107mg、0.77mmol)及び5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(79mg、0.51mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃で16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより5-クロロ-3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジンEx.29(50mg、0.14mmol、56%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400MHz, DMSO-d6): δ 9.01 (s, 1H), 8.24 (d, J = 9.2 Hz, 1H), 8.03-7.96 (m, 2H), 7.49 (dd, J = 9.0 Hz, 1H), 3.68-3.61 (m, 1H), 1.08-1.01 (m, 2H), 0.82-0.77 (m, 2H)
LC-MS: m/z 345.9 [M+H]+, RT=3.03 (純度99.62%)
HPLC: 99.87%
【0285】
実施例30
【化41】
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール及び1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-6-ニトロ-1’-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-2(200mg、0.73mmol)のDMSO(2mL)溶液を撹拌しながら、5-ニトロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(120mg、0.73mmol)及び炭酸カリウム(305mg、2.21mmol)を室温で不活性雰囲気下に.加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(15mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより粗生成物(約180mg)を得た。
【0286】
この物質を他の回分(粗生成物200mg)と合一し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(80mg、0.22mmol、15%)及び異性体の混合物(180mg)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。純粋な位置異性体(80mg)を次のステップに用いた。最終ステップで構造を確認した。
1H NMR (500 MHz, CDCl3): δ 8.86 (d, J= 2.3 Hz, 1H), 8.59 (s, 1H), 8.39 (dd, J= 9.0, 2.0 Hz, 1H), 7.97 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.56-7.52 (m, 1H), 7.26-7.22 (m, 1H), 3.69-3.65 (m, 1H), 1.19-1.13 (m, 2H), 0.81-0.76 (m, 2H)
LC-MS: m/z 356 [M+H]+, RT=3.14 (純度97.14%)
【0287】
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(80mg、0.22mmol)の酢酸エチル(5mL)溶液を撹拌しながら10%Pd/C(15mg)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温の水素雰囲気下(風船圧)下に6h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、メタノール(30mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより、1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン(60mg、0.18mmol、82%)を褐色固体として得た。
LC-MS: m/z 325.9 [M+H]+, RT=2.38 (純度96.51%)
【0288】
N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)-N-(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド(Ex.30)
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン(60mg、0.18)のCH2Cl2(3mL)溶液を撹拌しながらトリエチルアミン(0.05mL、0.36mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.02mL、0.22mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、30min撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、CH2Cl2(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:EtOAc)で精製することにより、N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)-N-(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド Ex.30(40mg、0.08mmol、54%)をオフホワイト色固体として得た。構造を更に2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.04 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.96 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.59 (dd, J = 8.7, 3.5 Hz, 1H), 7.55 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 7.43-7.37 (m, 1H), 3.95-3.92 (m, 1H), 3.59 (s, 6H), 1.02-0.97 (m, 2H), 0.80-0.78 (m, 2H)
LC-MS: m/z 481.9 [M+H]+, RT=2.85 (純度98.72%)
HPLC: 96.03%
【0289】
実施例31及び実施例33
【化42】
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール及び1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-6-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール
2-ブロモ-1-シクロプロピル-6,7-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-2(200mg、0.73mmol)のDMSO(2mL)溶液を撹拌しながら5-ニトロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(120mg、0.73mmol)及び炭酸カリウム(305mg、2.21mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(15mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、粗生成物(約180mg)を得た。
【0290】
この物質を他の回分(粗生成物200mg)と合一し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(80mg、0.22mmol、15%)及び異性体の混合物(180mg)をそれぞれ白色固体として得た。この混合物を更に精製することなく次のステップに用いた。
【0291】
1’-シクロプロピル-6’、7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン及び1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-アミン
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール及び1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-6-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(180mg、異性体の混合物)の酢酸エチル(12mL)溶液を撹拌しながら10%Pd/C(40mg)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温の水素雰囲気下(風船圧)に6h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、セライト床をメタノール(30mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより、1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン及び1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-アミン(130mg、異性体の混合物)を褐色固体として得た。
【0292】
N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(Ex.31)及びN-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(Ex.33)
1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン(130mg、異性体の混合物)のCH2Cl2(8mL)溶液を撹拌しながらトリエチルアミン(0.11mL、0.5mmol)及びメタンスルホニルクロリド(0.03mL、0.24mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を0℃で30min撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)で希釈し、CH2Cl2(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:50%EtOAc/ヘキサン)で精製した後、キラル分取HPLCで精製することにより、N-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド Ex.31(30mg、0.07mmol、19%)及びN-(1’-シクロプロピル-6’,7’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド Ex.32(30mg、0.07mmol、19%)をそれぞれ淡黄色固体として得た。この2種の構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.31の分析データ:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.70 (brs, 1H), 8.87 (s, 1H), 7.82 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 9.0, 3.8 Hz, 1H), 7.40-7.37 (m, 1H), 7.28 (dd, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 3.90-3.86 (m, 1H), 2.97 (s, 3H), 1.02-0.91 (m, 2H), 0.73-0.71 (m, 2H)
LC-MS: m/z 404.0 [M+H]+, RT=2.57 (純度99.65%)
HPLC: 98.78%
Ex.33の分析データ:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.66 (brs, 1H), 8.83 (s, 1H), 7.78 (d, / = 8.7 Hz, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.56 (dd, J = 8.7, 3.5 Hz, 1H), 7.40-7.35 (m, 1H), 7.26 (dd, J = 8.7, 1.7 Hz, 1H), 3.94- 3.78 (m, 1H), 2.94 (s, 3H), 0.99-0.92 (m, 2H), 0.74-0.72 (m, 2H)
LC-MS: m/z 404.0 [M+H]+, RT=2.51 (純度99.34%)
HPLC: 99.25%
【0293】
実施例32
【化43】
3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(Ex.32)
密閉された試験管内で5-クロロ-3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン Ex.29(100mg、0.28mmol)のDMF(2mL)溶液を撹拌しながら、シアン化亜鉛(34mg、0.28mmol)及びPd(PPh
3)
4(34mg、0.02mmol)を室温で加え、混合物をアルゴンで10min置換した。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物を分取HPLCで精製することにより、3-シクロプロピル-2-(5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル Ex.32(40mg、0.11mmol、41%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6): δ 9.12 (s, 1H), 8.39 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.09 (dd, J = 10.4, 7.0 Hz, 1H), 8.01-7.98 (m, 2H), 3.81-3.71 (m, 1H), 1.18-1.07 (m, 2H), 0.91-0.83 (m, 2H)
LC-MS: m/z 336.9 [M+H]
+, RT=2.87 (純度98.89%)
HPLC: 99.49%
【0294】
実施例34
【化44】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(Ex.34)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(100mg、0.36mmol)のDMSO(1mL)溶液を撹拌しながら、1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(52mg、0.44mmol)及び炭酸カリウム(152mg、1.10mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を90℃で16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×50mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH
2Cl
2)で精製することにより1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン Ex.34(60mg、0.19mmol、52%)を淡黄色固体として得た。構造を更に2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 9.18 (s, 1H), 8.59 (dd, J = 4.8, 1.6 Hz, 1H), 8.31 (dd, J = 8.2, 1.6 Hz, 1H), 7.90-7.84 (m, 2H), 7.46 (dd, J = 8.2, 4.8 Hz, 1H), 3.78-3.55 (m, 1H), 1.10-0.94 (m, 2H), 0.75-0.57 (m, 2H)
LC-MS: m/z 311.9 [M+H]
+, RT=2.37 (純度98.26%)
HPLC: 96.30%
【0295】
実施例35及び実施例36
【化45】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(Ex.35)及び3-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[N]イミダゾール-2-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(Ex.36)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(150mg、0.55mmol)のDMSO(2mL)溶液を撹拌しながら1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(98mg、0.83mmol)及び炭酸カリウム(229mg、1.66mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物を分取HPLCで精製することにより、1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン Ex.35(32mg、0.1mmol、19%)をオフホワイト色固体として、及び3-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジンEx.36(28mg、0.09mmol、16%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
B-510の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 9.12 (s, 1H), 9.91 (s, 1H), 8.53 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.91 (dd, J = 5.6, 0.8 Hz, 1H), 7.72 (dd, J = 10.0, 7.0 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 10.4, 7.3 Hz, 1H), 3.74-3.68 (m, 1H), 1.12-1.06 (m, 2H), 0.75-0.69 (m, 2H)
LC-MS: m/z 311.9 [M+H]
+, RT=2.29 (純度99.86%)
HPLC: 99.93%
B-511の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ 9.22 (s, 1H), 9.08 (s, 1H), 8.55 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 7.91 (dd, J = 5.6, 0.8 Hz, 1H), 7.72 (dd, J = 10.0, 7.0 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 10.4, 7.3 Hz, 1H), 3.74-3.68 (m, 1H), 1.16-1.05 (m, 2H), 0.78-0.71 (m, 2H)
LC-MS: m/z 311.9 [M+H]
+, RT=2.26 (純度99.79%)
HPLC: 99.74%
【0296】
実施例37及び実施例38
【化46】
5-クロロ-3-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン
6-クロロ-N
2-シクロプロピルピリジン-2,3-ジアミン Int-8(300mg、1.64mmol)のTHF(5mL)溶液を撹拌しながら、1,1’-カルボニルジイミダゾール(398mg、2.46mmol)を室温の不活性雰囲気下に加え、混合物を16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を1N HC1(10mL)で反応停止し、EtOAc(2×10mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、5-クロロ-3-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン(200mg、粗生成物)を黒色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
【0297】
2-ブロモ-5-クロロ-3-シクロプロピル-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン
5-クロロ-3-シクロプロピル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-2-オン(200mg、粗生成物)のトルエン(10mL)溶液を撹拌しながら臭化ホスホリル(1.09g、3.82mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱して16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をCH2Cl2(10mL)及び温水(10mL)で希釈し、30min撹拌した。反応混合物をNa2CO3水溶液を用いてpH約10に塩基性化し、CH2Cl2(2×10mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、水(20mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:10%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、2-ブロモ-5-クロロ-3-シクロプロピル-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(70mg、0.25mmol、27%(2工程))をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.07 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.40-3.32 (m, 1H), 1.26-1.19 (m, 4H)
【0298】
5-クロロ-3-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン
2-ブロモ-5-クロロ-3-シクロプロピル-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン(500mg、1.83mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(219mg、1.83mmol)及び炭酸カリウム(761mg、5.51mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:5%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより、5-クロロ-3-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン及び位置異性体(350mg)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.20-9.15 (m, 1H), 9.08 (s, 1H), 8.55 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 8.29-8.23 (m, 1H), 8.00-7.86 (m, 1H), 7.52-7.48 (m, 1H), 3.77-3.67 (m, 1H), 1.09-0.99 (m, 2H), 0.87-0.76 (m, 2H)
【0299】
3-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(Ex.37)及び3-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル(Ex.38)
マイクロ波処理用容器内で5-クロロ-3-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン及び位置異性体(175mg、異性体の混合物)のDMF(2.5mL)溶液を撹拌しながらシアン化亜鉛(132mg、1.13mmol)を室温の不活性雰囲気下に加え、混合物をアルゴンで15min置換した。この反応混合物にPd(PPh3)4(65mg、0.06mmol)を加えた。容器を密閉し、150℃で照射し、1h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:3%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより異性体の混合物(85mg)を淡黄色固体として得た。
【0300】
この物質を他の回分(85mg)と合一し、分取HPLCで精製することにより、3-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル Ex.37(10mg、0.03mmol)及び3-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボニトリル Ex.38(30mg、0.1mmol)を得た。この2種の構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.37の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 9.44 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 9.27 (s, 1H), 8.58 (d, J = 5.6 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 7.93 (dd, J = 5.6, 1.0 Hz, 1H), 7.88 (d, J = 8.2 Hz, 1H), 3.80-3.75 (m, 1H), 1.30-1.23 (m, 2H), 1.00-0.94 (m, 2H)
LC-MS: m/z 301.9 [M+H]+, RT=1.92 (純度95.35%)
HPLC: 98.60%
Ex.38の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 9.12 (m, 2H), 8.57 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 8.28 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 8.14 (dd, J = 5.8, 1.0 Hz, 1H), 7.89 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 3.77-3.72 (m, 1H), 1.23-1.19 (m, 2H), 0.94-0.88 (m, 2H)
LC-MS: m/z 301.9 [M+H]+, RT=1.91 (純度99.31%)
HPLC: 99.25%
【0301】
実施例39
【化47】
6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
6-クロロピリジン-3,4-ジアミン(2g、13.99mmol)にギ酸(20mL)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を120℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を飽和NaHCO
3溶液(100mL)を用いて塩基性化し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(2g)を淡褐色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 151.9 [M-H]
-, RT=6.38 (純度59.98%)
【0302】
6-クロロ-1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(1.5g、5.49mmol)のDMSO(15mL)溶液を撹拌しながら6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(841mg、5.49mmol)及び炭酸カリウム(2.27g、16.48mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(100mL)で希釈し、EtOAc(2×40mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:40~50%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、6-クロロ-1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン及び関連する位置異性体(750mg、異性体の混合物)をオフホワイト色固体として得た。この混合物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 346.4 [M+H]+, RT=3.58 (純度96.38%)
【0303】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸メチル
6-クロロ-1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン及び位置異性体(500mg、混合物)のメタノール(30mL)溶液を撹拌しながら酢酸ナトリウム(356mg、4.35mmol)、dppf(40mg、0.07mmol)を加えた後、Pd(OAc)2(49mg、0.07mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。この反応混合物にCOガスを圧力200psiで通気し、反応物を100℃に加熱して28h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をEtOAc(80mL)で希釈し、水(30mL)で洗浄した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:100%EtOAc)で精製することにより、1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸メチル(170mg、0.46mmol、32%)を淡褐色固体として得た。構造を2D NMR(NOESY、gDQFCOSY)により確認した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.29 (s, 1H), 9.24 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.61 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.99 (dd, J = 10.9, 7.4 Hz, 1H), 7.89 (dd, J = 10.4, 7.3 Hz, 1H), 3.90 (s, 3H), 3.77-3.71 (m, 1H), 1.06-1.00 (m, 2H), 0.74-0.68 (m, 2H)
LC-MS: m/z 370.1 [M+H]+, RT=2.50 (純度96.82%)
【0304】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸(Ex.39)
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸メチル(30mg、0.08mmol)のTHF(0.4mL)及び水(0.3mL)の混合物中溶液を撹拌しながら水酸化バリウム八水和物(51mg、0.16mmol)を室温で加え、混合物を3h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をドライアイスで反応停止した。得られた固体を濾過して濾液を凍結乾燥させることにより、1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボン酸 Ex.39(16mg、0.04mmol、57%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, THF+D2O): δ 9.19 (brs, 1H), 8.92 (s, 1H), 8.56-8.40 (m, 1H), 7.78-7.54 (m, 2H), 3.78-3.76 (m, 1H), 1.05-1.01 (m, 2H), 0.58-0.54 (m, 2H)
LC-MS: m/z 356.2 [M+H]+, RT=1.75 (純度95.96%)
HPLC: 97.81%
【0305】
実施例40
【化48】
6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
6-クロロピリジン-3,4-ジアミン(2g、13.99mmol)にギ酸(20mL)を室温で不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を120℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を飽和NaHCO
3溶液(100mL)を用いて塩基性化し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(2g)を淡褐色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 151.9 [M-H]
-, RT=6.38 (純度59.98%)
【0306】
6-クロロ-1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(2.5g、9.16mmol)のDMSO(25mL)溶液を撹拌しながら6-クロロ-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(1.4g、粗生成物)及び炭酸カリウム(3.79g、27.47mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を90℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(100mL)に注ぎ、EtOAc(2×100mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:1~2%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより、6-クロロ-1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン主異性体(1.2g、3.47mmol)及び2a副生異性体(500mg、1.45mmol)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。
主異性体の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.23 (s, 1H), 9.04 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.94-7.85 (m, 2H), 3.78-3.72 (m, 1H), 1.08-1.02 (m, 2H), 0.77-0.72 (m, 2H)
LC-MS: m/z 345.9 [M+H]+, RT=2.83 (純度97.53%)
副異性体の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.11 (s, 1H), 8.98 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.99 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.95-7.83 (m, 2H), 3.75-3.69 (m, 1H), 1.06-0.99 (m, 2H), 0.76-0.69 (m, 2H)
LC-MS: m/z 345.9 [M+H]+ RT=2.84 (純度76.09%)
【0307】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-ビニル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
密閉した試験管内で6-クロロ-1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(主異性体)(200mg、0.58mmol)の1,4-ジオキサン(4mL)溶液を撹拌しながら4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン(178mg、1.16mmol)及び炭酸カリウム水溶液(2M、0.6mL)を室温で加え、5minアルゴンで置換した。この反応混合物にPd(OAc)2(20mg、0.03mmol)及びX-Phos(41mg、0.09mmol)を加え、混合物を再びアルゴン中で5min脱気した。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)中に注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより、1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-ビニル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(90mg、0.27mmol、46%)を黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 9.19 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 8.41 (s, 1H), 7.72 (d, J = 0.7 Hz, 1H), 7.63 (dd, J = 10.1, 7.3 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 9.4, 6.9 Hz, 1H), 6.93 (dd, J = 17.3, 10.7 Hz, 1H), 6.30 (dd, J = 17.3, 1.2 Hz, 1H), 5.50 (dd, J = 10.7, 1.2 Hz, 1H), 3.46-3.41 (m, 1H), 1.17-1.11 (m, 2H), 0.76-0.70 (m, 2H)
LC-MS: m/z 338.1 [M+H]+, RT=2.70 (96.65% 純度)
【0308】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボアルデヒド
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-ビニル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(60mg、0.18mmol)のtert-ブタノール/アセトン/水(1:1:1、3.6mL)中溶液を撹拌しながら、0℃の不活性雰囲気下に過ヨウ素酸ナトリウム(76mg、0.36mmol)を加え、次いで四酸化オスミウム(1M、トルエン中、1.2mL)を滴下した。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、1h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(20mL)で洗浄した。濾液をEtOAc(2×10mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボアルデヒド(60mg)をオフホワイト色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.14 (s, 1H), 9.36 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 9.33 (s, 1H), 8.48 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.98 (dd, J = 10.9, 7.4 Hz, 1H), 7.88 (dd, J = 10.4, 7.3 Hz, 1H), 3.79-3.71 (m, 1H), 1.06-1.00 (m, 2H), 0.76-0.70 (m, 2H)
LC-MS: m/z 339.9 [M+H]+, RT=2.55 (純度81.70%)
【0309】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-(ジフルオロメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(Ex.40)
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボアルデヒド(60mg、粗生成物)のCH2Cl2(3mL)溶液を撹拌しながら三フッ化ジエチルアミノ硫黄(0.05mL、0.35mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、1h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(20mL)で塩基性化し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20~30%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-(ジフルオロメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン Ex.40(25mg、0.07mmol、39%(2工程))をオフホワイト色固体として得た。構造を更に2DNMR解析(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.27-9.21 (m, 2H), 8.23 (s, 1H), 7.95 (dd, J = 10.8, 7.4 Hz, 1H), 7.88 (dd, J = 10.4, 7.3 Hz, 1H), 7.28-6.95 (m, 1H), 3.77-3.71 (m, 1H), 1.08-1.00 (m, 2H), 0.76-0.68 (m, 2H)
LC-MS: m/z 362.2 [M+H]+, RT=2.36 (純度96.77%)
HPLC: 96.68%
キラルHPLC(純度):100.00%;Rt=12.25min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=85:15);流速:1.0mL/min)
【0310】
実施例41
【化49】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-ビニル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン
密閉試験管内で6-クロロ-1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(副生異性体)(200mg、0.58mmol)の1,4-ジオキサン(5mL)溶液を撹拌しながら4,4,5,5-テトラメチル-2-ビニル-1,3,2-ジオキサボロラン(178mg、1.16mmol)及び炭酸カリウム水溶液(2M、0.6mL)を室温で加え、混合物をアルゴンで5min置換した。Pd(OAc)
2(20mg、0.03mmol)及びX-Phos(41mg、0.09mmol)を加え、混合物をアルゴンで5min脱気した。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(20mL)中に注ぎ、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH
2Cl
2)で精製することにより、1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-ビニル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(120mg、0.35mmol、61%)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ 9.14 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.50 (s, 1H), 7.84 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.61 (dd, J = 10.1, 7.2 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 9.5, 6.9 Hz, 1H), 6.99 (dd, J = 17.3, 10.7 Hz, 1H), 6.26 (dd, J = 17.4, 1.3 Hz, 1H), 5.50 (dd, J = 10.7, 1.2 Hz, 1H), 3.49-3.44 (m, 1H), 1.16-1.10 (m, 2H), 0.78-0.72 (m, 2H)
LC-MS: m/z 338.1 [M+H]
+, RT=2.74 (純度96.95%)
【0311】
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボアルデヒド
1-(1-シクロプロピル-56-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-ビニル-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(120mg、0.36mmol)のtert-ブタノール/アセトン/水(1:1:1、7.2mL)溶液を撹拌しながら、0℃の不活性雰囲気下に、過ヨウ素酸ナトリウム(152mg、0.71mmol)を添加し、次いで四酸化オスミウム(1M、トルエン中、2.4mL)を滴下した。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、1h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAC(10mL)で洗浄した。濾液をEtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮することにより、1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボアルデヒド(120mg)を褐色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 10.15 (s, 1H), 9.41 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 9.32 (s, 1H), 8.42 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.97-7.87 (m, 2H), 3.80-3.75 (m, 1H), 1.06-1.02 (m, 2H), 0.77-0.71 (m, 2H)
LC-MS: m/z 339.9 [M+H]+, RT=2.49 (純度77.00%)
【0312】
3-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-(ジフルオロメチル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(Ex.41)
1-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-6-カルボアルデヒド(120mg、粗生成物)のCH2Cl2(6mL)溶液を撹拌しながら三フッ化ジエチルアミノ硫黄(0.09mL、0.71mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、90min撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(100mL)で塩基性化し、CH2Cl2(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20~30%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、3-(1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)-6-(ジフルオロメチル)-3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン Ex.41(55mg、0.15mmol、43%(2工程))を淡黄色固体として得た。構造を更に2D NMR解析(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ9.33-9.25 (m, 2H), 8.19 (s, 1H), 7.95-7.86 (m, 2H), 7.30-6.96 (m, 1H), 3.80-3.74 (m, 1H), 1.08-1.00 (m, 2H), 0.79-0.70 (m, 2H)
LC-MS: m/z 361.9 [M+H]+, RT=2.78 (純度97.33%)
HPLC: 98.97%
キラルHPLC(純度):100.00%;Rt=20.73min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=85:15);流速:1.0mL/min)
【0313】
実施例42及び実施例43
【化50】
3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル
4-アミノ-3-(シクロプロピルアミノ)ベンゾニトリル Int-6(4g、23.12mmol)のTHF(80mL)溶液を撹拌しながら1,1-カルボニルジイミダゾール(5.62g、34.68mmol)に0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈した。有機抽出液を合一し、1N HC1溶液(20mL)、水(50mL)、及び飽和食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:40%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(3.8g、19.07mmol、83%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 11.30 (s, 1H), 7.54 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 7.08 (dd, 7= 8.1, 0.4 Hz, 1H), 2.89-2.82 (m, 1H), 1.07-0.98 (m, 2H), 0.92-0.84 (m,2H)
LC-MS: m/z 200.2 [M+H]
+, RT=1.73 (純度99.76%)
【0314】
2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル
3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(3.8g、19.09mmol)の1,2-ジクロロエタン(250mL)溶液を撹拌しながら臭化ホスホリル(10.95g、38.19mmol)を少量づつ0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を95℃に加熱し、16h撹拌した。次いで追加の臭化ホスホリル(5.47g、19.09mmol)を0℃で加えた。反応混合物を95℃に加熱し、更に16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(50mL)に注ぎ、飽和NaHCO3溶液を用いてpH約8に塩基性化し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(2.8g、10.68mmol、56%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.18 (dd, J = 1.6, 0.6 Hz, 1H), 7.77 (dd, J = 8.3, 0.6 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 8.3, 1.6 Hz, 1H), 3.45-3.38 (m, 1H), 1.32-1.26 (m, 2H), 1.16-1.12 (m, 2H)
LC-MS: m/z 261.7 [M+H]+, RT=2.52 (純度95.12%)
【0315】
1-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[b]イミダゾール-6-カルボニトリル(Ex.42)及び1-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(Ex.43)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(225mg、0.86mmol)のDMSO(2.5mL)溶液を撹拌しながら37-イミダゾ[4,5-c]ピリジン(102mg、0.86mmol)及び炭酸カリウム(355mg、2.58mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃で16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(50mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:5%MeOH/CH2Cl2)で生成し、次いでキラル分取HPLCで精製することにより、1-シクロプロピル-2-(3H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-3-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル Ex.42(25mg、0.08mmol、10%)及び1-シクロプロピル-2-(1H-イミダゾ[4,5-c]ピリジン-1-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル Ex.43(55mg、0.18mmol、21%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.42の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.32 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 9.23 (s, 1H), 8.55 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.95 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.89 (dd, J = 5.5, 0.9 Hz, 1H), 7.76 (dd, J = 8.4, 1.5 Hz, 1H), 3.88-3.81 (m, 1H), 1.15-1.09 (m, 2H), 0.83-0.77 (m, 2H)
LC-MS: m/z 300.9 [M+H]+, RT=2.13 (純度99.85%)
HPLC: 99.77%
キラルHPLC(純度):95.01%;Rt=10.29min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=75:25);流速:1.0mL/min)
Ex.43の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.16 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 9.12 (s, 1H), 8.55 (d, J = 5.5 Hz, 1H), 8.32 (dd, J = 1.5, 0.6 Hz, 1H), 7.98 (dd, J = 5.6, 1.1 Hz, 1H), 7.94 (dd, J = 8.4, 0.6 Hz, 1H), 7.76 (dd, J = 8.4, 1.6 Hz, 1H), 3.84-3.78 (m, 1H), 1.12-1.06 (m, 2H), 0.79-0.74 (m, 2H)
LC-MS: m/z 300.9 [M+H]+, RT=2.15 (純度99.84%)
HPLC: 99.68%
キラルHPLC(純度):100.00%;Rt=9.10min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5pm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=75:25);流速:1.0mL/min)
【0316】
実施例44及び実施例51
【化51】
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボン酸メチル及び1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボン酸メチル
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(500mg、1.83mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸メチル(323mg、1.83mmol)及び炭酸カリウム(654mg、5.49mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を水(70mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:5%MeOH/CH
2Cl
2)で精製した後、キラル分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボン酸メチル(200mg、0.54mmol、30%)及び1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボン酸メチル(200mg、0.54mmol、30%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボン酸メチルの分析データ:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6): δ 9.07 (s, 1H), 8.40 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 8.06-8.03 (m, 1H), 7.99-7.96 (m, 1H), 7.92-7.84 (m, 2H), 3.91 (s, 3H), 3.75-3.70 (m, 1H), 1.04-0.99 (m, 2H), 0.69-0.65 (m, 2H)
LC-MS: m/z 369.0 [M+H]
+, RT=2.98 (純度99.80%)
HPLC: 99.18%
キラルHPLC(純度):100.00%;R
t=11.09min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=75:25);流速:1.0mL/min)
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボン酸メチルの分析データ:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6): δ 9.15 (s, 1H), 8.49 (s, 1H), 8.02-7.99 (m, 1H), 7.98-7.93 (m, 2H), 7.86 (dd, J = 10.3, 7.3 Hz, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.76-3.71 (m, 1H), 1.04-1.01 (m, 2H), 0.70-0.65 (m, 2H)
LC-MS: m/z 369.0 [M+H]
+, RT=2.97 (純度96.73%)
HPLC: 99.00%
キラルHPLC(純度):100.00%;R
t=6.11min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=75:25);流速:1.0mL/min)
【0317】
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボン酸(Ex.44)
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボン酸メチル(50mg、0.13mmol)をTHF(1mL)及び水(0.5mL)の混合物に溶解した溶液を撹拌しながら水酸化バリウム八水和物(128mg、0.41mmol)を室温で加え、混合物を16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をドライアイスで反応停止した。得られた固体を濾過し、濾液を減圧下に濃縮した。粗生成物をCH2Cl2(2×3mL)、n-ペンタン(2×10mL)でトリチュレートし、凍結乾燥させることにより、1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-カルボン酸 Ex.44(35mg、0.1mmol、73%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.01 (s, 1H), 8.36 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 8.02 (dd, J = 8.6, 1.4 Hz, 1H), 7.92-7.82 (m, 3H), 3.75-3.70 (m, 1H), 1.04-0.98 (m, 2H), 0.69-0.64 (m, 2H)
LC-MS: m/z 355.2 [M+H]+, RT=2.16 (純度98.43%)
HPLC: 98.50%
【0318】
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボン酸(Ex.51)
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボン酸メチル(160mg、0.43mmol)をTHF(3mL)及び水(1.5mL)の混合物に溶解した溶液を撹拌しながら水酸化バリウム八水和物(411mg、1.3mmol)を室温で加え、混合物を24h撹拌した。次いで更なる水酸化バリウム八水和物(411mg、1.3mmol)を室温で加え、更に24h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をドライアイスで反応停止した。反応混合物をセライトパッドで濾過し、セライト床をTHF/水/メタノール(1:1:1、12mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮した。粗生成物を凍結乾燥させ、再び2%MeOH/CH2Cl2(6mL)でトリチュレートすることにより、1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-カルボン酸 Ex.51(28mg、0.08mmol、19%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 13.05 (brs, 1H), 9.13 (s, 1H), 8.48 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 8.01-7.94 (m, 2H), 7.93-7.82 (m, 2H), 3.76-3.71 (m, 1H), 1.07-1.01 (m, 2H), 0.71-0.64 (m, 2H)
LC-MS: m/z 355.2 [M+H]+, RT=2.13 (純度94.55%)
HPLC: 93.56%
【0319】
実施例45及び実施例46
【化52】
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(500mg、1.84mmol)のDMSO(5mL)溶液を撹拌しながら5-ニトロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(451mg、2.77mmol)及び炭酸カリウム(764mg、5.53mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(60mL)に注いだ。得られた固体を濾過した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(620mg、異性体の混合物)を淡黄色固体として得た。混合物を更に精製することなく次のステップに用いた。
【0320】
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-5-ニトロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(100mg、混合物)の酢酸エチル/メタノール(1:1、20mL)混合物中溶液を撹拌しながら10%Pd/C(50%湿潤品、25mg)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温で水素雰囲気下(風船圧)に4h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、セライト床をメタノール(20mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより、1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン及び位置異性体(60mg、異性体の混合物)を褐色シロップ状物として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 326.0 [M+H]+, RT=2.36 (純度88.53%)
【0321】
N-(1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(Ex.46)及びN-(1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(Ex.45)
1’-シクロプロピル-5’,6’-ジフルオロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-アミン及び位置異性体(300mg、粗生成物)のCH2Cl2(30mL)溶液を撹拌しながら、トリエチルアミン(0.13mL、0.92mmol)、次いでメタンスルホニルクロリド(0.06mL、0.74mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加え、0℃で1h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(20mL)で反応停止し、CH2Cl2(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:30%MeOH/CH2Cl2)で精製した後、キラル分取HPLCで精製することにより、Ex.46(42mg、0.1mmol)及びEx.45(31mg、0.08mmol)をそれぞれ淡黄色固体として得た。構造を2D NMR(NOESY、gDQFCOSY)解析により確認した。
Ex.46の分析データ:
1H NMR (500 MHz, DMSO -d6): δ 9.72 (s, 1H), 8.91 (s, 1H), 7.90-7.80 (m, 3H), 7.67 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 8.7, 1.8 Hz, 1H), 3.74-3.69 (m, 1H), 2.99 (s, 3H), 1.06-0.99 (m, 2H), 0.69-0.61 (m, 2H)
LC-MS: m/z 404.0 [M+H]+, RT=2.51 (純度99.13%)
HPLC: 98.74%
キラルHPLC(純度):100.00%;Rt=14.73min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=75:25);流速:1.0mL/min)
Ex.45の分析データ:
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.77 (s, 1H), 8.87 (s, 1H), 7.90-7.83 (m, 2H), 7.79 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.27 (dd, J = 8.7, 1.8 Hz, 1H), 3.73-3.66 (m, 1H), 2.95 (s, 3H), 1.05-0.98 (m, 2H), 0.69-0.65 (m, 2H)
LC-MS: m/z 403.9 [M+H]+, RT=2.46 (純度96.45%)
HPLC: 96.12%
キラルHPLC(純度):100.00%;Rt=7.82min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=75:25);流速:1.0mL/min)
【0322】
実施例47及び実施例48
【化53】
3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル
4-アミノ-3-(シクロプロピルアミノ)ベンゾニトリル Int-6(4g、23.12mmol)のTHF(80mL)溶液を撹拌しながら1,1-カルボニルジイミダゾール(5.62g、34.68mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈した。有機抽出液を合一し、1N HC1溶液(20mL)、水(50mL)、及び飽和食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:40%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(3.8g、19.07mmol、83%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 11.30 (s, 1H), 7.54 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 8.1, 0.4 Hz, 1H), 2.89-2.82 (m, 1H), 1.07-0.98 (m, 2H), 0.92-0.84 (m, 2H)
LC-MS: m/z 200.2 [M+H]
+, RT=1.73 (純度99.76%)
【0323】
2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル
3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(3.8g、19.09mmol)の1,2-ジクロロエタン(250mL)溶液を撹拌しながら臭化ホスホリル(10.95g、38.19mmol)を0℃の不活性雰囲気下に少量づつ加えた。反応混合物を95℃に加熱し、16h撹拌した。次いで更に臭化ホスホリル(5.47g、19.09mmol)を0℃で加えた。反応混合物を95℃に加熱し、更に16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(50mL)中に注ぎ、飽和NaHCO3溶液を用いてpH約8に塩基性化し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(2.8g、10.68mmol、56%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.18 (dd, J = 1.6, 0.6 Hz, 1H), 7.77 (dd, J = 8.3, 0.6 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 8.3, 1.6 Hz, 1H), 3.45-3.38 (m, 1H), 1.32-1.26 (m, 2H), 1.16-1.12 (m, 2H)
LC-MS: m/z 261.7 [M+H]+, RT=2.52 (純度95.12%)
【0324】
1’-シクロプロピル-5-ニトロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル
2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(1g、3.82mmol)のDMSO(10mL)溶液を撹拌しながら5-ニトロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(622mg、3.82mmol)及び炭酸カリウム(1.58g、11.45mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を90℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(30mL)中に注ぎ、EtOAc(2×40mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより、1’-シクロプロピル-5-ニトロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル及び位置異性体(550mg、異性体の混合物)を淡黄色固体として得た。
LC-MS: m/z 345.0 [M+H]+, RT=2.84 (純度85.04%)
【0325】
5-アミノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル
1’-シクロプロピル-5-ニトロ-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(450mg、1.31mmol)を酢酸エチル(80mL)及びメタノール(80mL)の混合物に溶解した溶液を撹拌しながら10%Pd/C(50%湿潤品、112mg)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を室温の水素雰囲気下(風船圧)に2h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOAc(100mL)で洗浄した。濾液を減圧下に濃縮することにより、5-アミノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル及び位置異性体(400mg)を淡褐色固体として得た。粗生成物を更に精製することなく次のステップに用いた。
LC-MS: m/z 315.0 [M+H]+, RT=2.12 (純度58.42%)
【0326】
N-(6’-シアノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド(Ex.47)及びN-(6’-シアノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド(Ex.48)
5-アミノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル及び位置異性体(400mg、粗生成物)のCH2Cl2(10mL)溶液を撹拌しながら、0℃の不活性雰囲気下にトリエチルアミン(0.27mL、1.91mmol)を加え、次いでメタンスルホニルクロリド(0.07mL、0.95mmol)のCH2Cl2(2mL)溶液を滴下し、0℃で30min撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を飽和NaHCO3溶液(30mL)を用いて反応停止し、CH2Cl2(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH2Cl2)で精製した後、キラル分取HPLCで精製することにより、N-(6’-シアノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-5-イル)メタンスルホンアミド Ex.47(110mg、0.28mmol)及びN-(6’-シアノ-1’-シクロプロピル-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6-イル)メタンスルホンアミド Ex.48(50mg、0.13mmol)をそれぞれ黄色固体として得た。構造を2DNMR(NOESY、DQFCOSY)により確認した。
Ex.47の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.73 (brs, 1H), 8.99 (s, 1H), 8.28 (d, J = 1.0 Hz, 1H), 7.95- 7.89 (m, 2H), 7.73 (dd, J = 8.3, 1.4 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 7.31 (dd, J = 8.7, 1.9 Hz, 1H), 3.84-3.77 (m, 1H), 2.99 (s, 3H), 1.14-1.07 (m, 2H), 0.77-0.71 (m, 2H)
LC-MS: m/z 393.0 [M+H]+, RT=2.30 (純度96.63%)
HPLC: 95.50%
キラルHPLC(純度):98.00%;Rt=18.80min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=75:25);流速:1.0mL/min)
Ex.48の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 9.80 (s, 1H), 8.94 (s, 1H), 8.29 (d, J = 0.8 Hz, 1H), 7.93- 7.86 (m, 2H), 7.80 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.74 (dd, J = 8.3, 1.4 Hz, 1H), 7.29 (dd, J = 8.7, 2.0 Hz, 1H), 3.83-3.75 (m, 1H), 2.96 (s, 3H), 1.14-1.07 (m, 2H), 0.79-0.72 (m, 2H)
LC-MS: m/z 393.1 [M+H]+, RT=2.26 (純度99.05%)
HPLC: 97.73%
キラルHPLC(純度):100.00%;Rt=11.19min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEAinn-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=75:25);流速:1.0mL/min)
【0327】
実施例49及び実施例50
【化54】
5-ヒドロキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-カルボン酸tert-ブチル
1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-オール(1g、7.46mmol)の1,4-ジオキサン(30mL)溶液を撹拌しながらエチルジイソプロピルアミン(1.43mL、8.21mmol)及びジ-tert-ブチルジカーボネート(1.88mL、8.21mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を80℃に加熱し、1h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:1%MeOH/CH
2Cl
2)で精製することにより、5-ヒドロキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-カルボン酸tert-ブチル(1g、4.27mmol、57%)を無色シロップ状物として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 9.68-9.37 (m, 1H), 8.54-8.37 (m, 1H), 7.75-7.46 (m, 1H), 7.37-7.02 (m, 1H), 6.91-6.77 (m, 1H), 1.65-1.62 (m, 9H)
LC-MS: m/z 232.9 [M-H]
-, RT=2.31 (純度56.96%)
【0328】
5-(ジフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール
5-ヒドロキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-カルボン酸tert-ブチル(1.2g、5.13mmol)のDMF(48mL)溶液を撹拌しながら2-クロロ-2,2-ジフルオロ酢酸ナトリウム(1.56g、10.26mmol)及び炭酸カリウム(2.12g、15.38mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、20h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(100mL)中に注ぎ、EtOAc(2×40mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH2Cl2)で精製することにより、5-(ジフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(100mg、0.35mmol、11%)を淡褐色半固体として得た。
LC-MS: m/z 184.9 [M+H]+, RT=1.87 (純度53.46%)
【0329】
3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル
4-アミノ-3-(シクロプロピルアミノ)ベンゾニトリル Int-6(4g、23.12mmol)のTHF(80mL)溶液を撹拌しながら1,1’-カルボニルジイミダゾール(5.62g、34.68mmol)を0℃の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物をゆっくりと室温まで加温し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈した。有機抽出液を合一し、1N HC1溶液(20mL)、水(50mL)、及び飽和食塩水(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:40%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(3.8g、19.07mmol、83%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 11.30 (s, 1H), 7.54 (d, J = 1.3 Hz, 1H), 7.45 (dd, J = 8.1, 1.6 Hz, 1H), 7.08 (dd, J = 8.1, 0.4 Hz, 1H), 2.89-2.82 (m, 1H), 1.07-0.98 (m, 2H), 0.92-0.84 (m, 2H)
LC-MS: m/z 200.2 [M+H]+, RT=1.73 (純度99.76%)
【0330】
2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル
3-シクロプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-カルボニトリル(3.8g、19.09mmol)の1,2-ジクロロエタン(250mL)溶液を撹拌しながら臭化ホスホリル(10.95g、38.19mmol)を0℃の不活性雰囲気下に少量づつ加えた。反応混合物を95℃に加熱し、16h撹拌した。次いで追加のホスホリル(5.47g、19.09mmol)を0℃で加えた。反応混合物を95℃に加熱し、更に16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(50mL)中に注ぎ、飽和NaHCO3溶液を用いてpH約8に塩基性化し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:20%EtOAc/ヘキサン)で精製することにより、2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(2.8g、10.68mmol、56%)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ 8.18 (dd, J = 1.6, 0.6 Hz, 1H), 7.77 (dd, J = 8.3, 0.6 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 8.3, 1.6 Hz, 1H), 3.45-3.38 (m, 1H), 1.32-1.26 (m, 2H), 1.16-1.12 (m, 2H)
LC-MS: m/z 261.7 [M+H]+, RT=2.52 (純度95.12%)
【0331】
1’-シクロプロピル-5-(ジフルオロメトキシ)-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(Ex.49)及び1’-シクロプロピル-6-(ジフルオロメトキシ)-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル(Ex.50)
5-(ジフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(150mg、0.57mmol)のDMSO(1.5mL)溶液を撹拌しながら2-ブロモ-1-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボニトリル(105mg、0.57mmol)及び炭酸カリウム(237mg、1.72mmol)を室温で不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)中に注ぎ、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na2SO4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH2Cl2)で精製した後、キラル分取HPLCで精製することにより1’-シクロプロピル-5-(ジフルオロメトキシ)-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル Ex.49(25mg、0.07mmol)及び1’-シクロプロピル-6-(ジフルオロメトキシ)-1’H-[1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール]-6’-カルボニトリル Ex.50(25mg、0.07mmol)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。2種の構造を2D NMR(NOESY、DQFCOSY)解析により確認した。
Ex.49の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ8.54 (s, 1H), 7.98-7.92 (m, 2H), 7.87 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.69 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.65 (dd, J = 8.3, 1.5 Hz, 1H), 7.29 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 6.78-6.39 (m, 1H), 3.58-3.50 (m, 1H), 1.29-1.22 (m, 2H), 0.84-0.78 (m, 2H)
LC-MS: m/z 366.2 [M+H]+, RT=2.42 (純度99.51%)
HPLC: 98.15%
キラルHPLC(純度):100.00%;Rt=12.05min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=80:20);流速:1.0mL/min)
Ex.50の分析データ:
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.51 (s, 1H), 7.96 (dd, J = 1.5, 0.8 Hz, 1H), 7.90-7.89 (m, 1H), 7.88-7.87 (m, 1H), 7.76 (d, J = 2.0 Hz, 1H), 7.65 (dd, J = 8.3, 1.6 Hz, 1H), 7.27-7.23 (m, 1H), 6.78-6.39 (m, 1H), 3.57-3.50 (m, 1H), 1.28-1.22 (m, 2H), 0.84-0.78 (m, 2H)
LC-MS: m/z 366.2 [M+H]+, RT=2.41 (純度99.66%)
HPLC: 99.16%
キラルHPLC(純度):100.00%;Rt=9.80min(Chiralpak IA、250x4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=80:20);流速:1.0mL/min)
【0332】
実施例52及び実施例53
【化55】
1’-シクロプロピル-5-(ジフルオロメトキシ)-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール(Ex.52)及び1’-シクロプロピル-6-(ジフルオロメトキシ)-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[b]イミダゾール(Ex.53)
2-ブロモ-1-シクロプロピル-5,6-ジフルオロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール Int-4(178mg、0.65mmol)のDMSO(2mL)溶液を撹拌しながら5-(ジフルオロメトキシ)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール(120mg、0.65mmol)及び炭酸カリウム(270mg、1.96mmol)を室温の不活性雰囲気下に加えた。反応混合物を100℃に加熱し、16h撹拌した。出発物質が消費されたら(TLCによる)、反応混合物を氷冷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機抽出液を合一し、無水Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:2%MeOH/CH
2Cl
2)で精製した後、キラル分取HPLCで精製することにより、1’-シクロプロピル-5-(ジフルオロメトキシ)-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾール Ex.52(15mg、0.04mmol、6%)及び1’-シクロプロピル-6-(ジフルオロメトキシ)-5’,6’-ジフルオロ-1’H-1,2’-ビベンゾ[d]イミダゾールEx.53(15mg、0.04mmol、6%)をそれぞれオフホワイト色固体として得た。構造を2D NMR(NOESY、COSY)解析により確認した。
Ex.52の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ 8.99 (s, 1H), 7.93-7.81 (m, 3H), 7.66 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.50-7.09 (m, 2H), 3.75-3.69 (m, 1H), 1.06-0.98 (m, 2H), 0.71-0.64 (m, 2H)
LC-MS: m/z 377.0 [M+H]
+, RT=3.16 (純度99.27%)
HPLC: 99.64%
キラルHPLC(純度):100.00%;R
t=9.02min(Chiralpak IA、250×4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=80:20);流速:1.0mL/min)
Ex.53の分析データ:
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6):δ 8.95 (s, 1H), 7.95-7.82 (m, 3H), 7.70 (d, J = 2.3 Hz, 1H), 7.43-7.04 (m, 2H), 3.74-3.69 (m, 1H), 1.05-0.97 (m, 2H), 0.69-0.63 (m, 2H)
LC-MS: m/z 377.0 [M+H]
+, RT=3.13 (純度99.36%)
HPLC: 99.74%
キラルHPLC(純度):99.50%;R
t=10.96min(Chiralpak IA、250x4.6mm、5μm);移動相(A)0.1%DEA/n-ヘキサン(B)DCM:MeOH(50:50)(A:B=80:20);流速:1.0mL/min)
【0333】
実施例54:金属酵素活性
組換えアンドレノドキシン(andrenodoxin)及びアンドレノドキシン還元酵素(andrenodoxin reductase)を組換えヒトCYP11B2又はCYP11B1のいずれかと共に発現するV79-4細胞を既報の方法に従い作製した(LaSala et al 2009 Anal Bioch 394:56-61)。酵素に富むミクロソーム画分を細胞溶解液から調製し、阻害剤のIC50を求めるための酵素源として使用した。基質のKm値を、11-デオキシコルチコステロン(CYP11B2の基質)及び11-デオキシコルチゾール(CYP11B1の基質)に関し、実験で求めた。阻害剤をスクリーニングするための酵素試験には、CYP11B2及びCYP11B1酵素に富むミクロソームを使用し、それぞれの基質のKmで実施した。酵素反応の産物であるアルドステロン(CYP11B2の場合)又はコルチゾール(CYP11B1の場合)をLC-MSで測定した。試験は基質の代謝回転が20%未満となる条件下で実施した。阻害剤のIC50は阻害剤の非存在下又は様々な濃度の阻害剤の存在下における産生物の生成を測定することにより算出した。試験化合物の非存在下において生成する産生物(Pt)を、それぞれのデータの組において活性100%と定義した。酵素の非存在下において生成する産生物(Pb)を、それぞれのデータの組において活性0%と定義した。各阻害剤の存在下における活性の百分率を次式に従い求めた:活性(%)=(P-Pb)/(Pt-Pb)(P=阻害剤の存在下において生成した産生物)。IC50値は、阻害剤を使用していない対照反応に対し、活性を50%低下させる阻害剤の濃度と定義した。
【0334】
【0335】
【0336】
【0337】
【0338】
【0339】
【0340】
【0341】
【0342】
表2の結果は、式Iの化合物がCYP11B2の強力な阻害剤であり、式Iの化合物の多くが、CYP11B1よりもCYP11B2を有意に選択的に阻害することを示している。
【0343】
援用記載
本出願中に引用した全ての参考文献の内容(参考文献(literature reference)、発行された特許、公開された特許出願、及び同時係属中の特許出願を含む)の全体を参照することにより、本明細書に明示的に援用する。
【0344】
均等論
当業者は、本明細書に記載する本発明の具体的な実施形態の多くの均等物を、認識するか、又は定型的な実験を行うのみで確認することができるであろう。そのような均等物は以下の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【国際調査報告】