(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】部分的に塩素化されたクロロメタンから四塩化炭素への光塩素化
(51)【国際特許分類】
C07C 17/10 20060101AFI20220224BHJP
C07C 19/041 20060101ALI20220224BHJP
C07C 19/01 20060101ALI20220224BHJP
C07C 21/04 20060101ALI20220224BHJP
C07C 17/275 20060101ALI20220224BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220224BHJP
【FI】
C07C17/10
C07C19/041
C07C19/01
C07C21/04
C07C17/275
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539987
(86)(22)【出願日】2020-01-10
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020013071
(87)【国際公開番号】W WO2020146722
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518459466
【氏名又は名称】オキシデンタル ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】特許業務法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼラー, ロバート エル ザ サード
(72)【発明者】
【氏名】ホリス,ダレル ジー
(72)【発明者】
【氏名】クレイマー,キース エス
(72)【発明者】
【氏名】カルダーウッド,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】クラウスマイヤー,ロドニー エル
(72)【発明者】
【氏名】ドーキンス,ジョン エル
【テーマコード(参考)】
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AC21
4H006AC30
4H006BA19
4H006BA95
4H006BC31
4H006BD33
4H006BD70
4H006BD84
4H006BE53
4H039CA50
4H039CD10
4H039CF10
(57)【要約】
クロロメタン流を用意することと、クロロメタン流を、塩素および追加の四塩化炭素と合わせて反応混合物を形成することであって、この反応混合物が、少なくとも化学量論レベルの塩素を含むものであることと、この反応混合物に電磁放射線を導入し、反応混合物を、適切な反応条件に供して、生成物である四塩化炭素を形成することと、生成物である四塩化炭素を含む生成物流を収集することとを含む、四塩化炭素を生成する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)クロロホルムと、初期四塩化炭素と、塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種とを含む、クロロメタン流を用意するステップであって、前記クロロメタン流が、約99.0から約100重量%の、前記クロロホルム、前記初期四塩化炭素、ならびに前記塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種を含むステップと、
(ii)前記クロロメタン流を塩素および追加の四塩化炭素と合わせて、反応混合物を形成するステップであって、前記反応混合物が、前記クロロホルムならびに前記塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種に対して少なくとも化学量論レベルの塩素を含むステップと、
(iii)前記反応混合物に電磁放射線を導入し、前記反応混合物を、前記塩素を前記クロロホルムならびに前記塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種と反応させるのに適した条件に供し、それによって生成物である四塩化炭素を形成するステップと、
(iv)ステップ(iii)の後に生成物流を収集するステップであって、前記生成物流が、2,500ppm(重量百万分率)未満の、四塩化炭素以外の塩素化炭化水素を含むステップと
を含む、四塩化炭素を生成する方法。
【請求項2】
前記反応混合物中の、前記クロロホルムと、前記塩化メチルおよび塩化メチレンのうちの少なくとも1種との濃度が、前記反応混合物の重量に対して50,000重量ppm未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(v)前記生成物流をオレフィン、触媒、およびキレート剤と合わせ、それによって前記生成物流中の前記四塩化炭素を前記オレフィンと反応させるステップ
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記オレフィンが、エチレンまたは塩化ビニルを含み、前記触媒が鉄を含み、前記キレート剤がトリブチルホスフェートを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記クロロメタン流が前記塩化メチレンを含み、前記方法が、
(i-a)適切な反応条件下でメタノールを塩化水素と合わせ、それによって初期塩化メチルを形成するステップと、
(i-b)適切な反応条件下で前記初期塩化メチルを塩素と合わせ、それによって前記塩化メチレン、前記クロロホルム、および前記初期四塩化炭素を形成するステップと
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記クロロメタン流が、前記塩化メチルおよび前記塩化メチレンの両方を含み、前記方法が、
(i-a)適切な反応条件下でメタンを塩素と合わせ、それによって前記塩化メチル、前記塩化メチレン、前記クロロホルム、および前記初期四塩化炭素を形成するステップ
をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電磁放射線が、約30nmの帯域に及ぶ波長を有し、前記電磁放射線が発光ダイオードにより供給され、前記方法が、
(i-c)ステップ(ii)の前に前記塩素から鉄を濾過するステップ
をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ステップ(i)が第1の槽から供給され、前記ステップ(ii)および(iii)が第2の槽内で引き起こされ、前記ステップ(v)が第3の槽内で引き起こされ、前記第1の槽、前記第2の槽、および前記第3の槽が、固定されたパイプラインにより連結されている、請求項3または4に記載の方法。
【請求項9】
前記クロロメタン流を塩素と合わせるステップが、前記クロロホルムと、前記塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種との合計に対して少なくとも5%から40%未満のモル過剰率で前記塩素を供給することを含み、前記生成物流が、1000ppm未満のヘキサクロロエタンを含み、前記ステップ(iii)が、前記クロロホルムの99.00%超を消費する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(iv)と(v)との間に、前記生成物流から有機化合物を除去するステップを含まない、請求項3または4に記載の方法。
【請求項11】
前記クロロメタン流が、前記塩化メチルおよび前記塩化メチレンの両方をさらに含み、前記クロロメタン流が、約99.5から約100重量%の前記塩化メチル、前記塩化メチレン、前記クロロホルム、および前記初期四塩化炭素を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(i-a)の後およびステップ(ii)の前に、クロロメタンを分離するステップを含まない、請求項5または6に記載の方法。
【請求項13】
前記生成物流が塩素および塩酸を含み、前記方法が、
(vi)追加の量のクロロメタン流で、前記塩素および塩酸を前記生成物流からスクラビングするステップ
をさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記クロロメタン流を塩素と合わせるステップが、前記反応混合物中の、前記クロロホルムと、前記塩化メチルおよび塩化メチレンのうちの少なくとも1種と、の合計に対して10%のモル過剰率から30%のモル過剰率で、塩素を反応器に導入することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記反応混合物を機械式撹拌器で撹拌するステップを含まない、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月10日に出願された米国仮出願第62/790,934号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明の実施形態は、部分的に塩素化されたクロロメタンから四塩化炭素への光塩素化を含む、塩素化プロセスを対象とする。
【背景技術】
【0003】
四塩化炭素は、多くの重要な市販の化学薬品を合成するための価値ある供給原料である。特に、四塩化炭素は多くの場合、ハイドロフルオロオレフィン(HFO)を生成するのに使用される塩素化プロパンの生成のための基本的な供給原料として機能する。
【0004】
当初はクロロホルムを塩素と反応させることによって形成されたが、ほとんどの商業的プロセスは、メタンを塩素化することによって四塩化炭素を合成している。塩化メチル、塩化メチレン、およびクロロホルムなどの部分的に塩素化されたメタンを塩素化して四塩化炭素にするための工業的方法も提示されてきた。例えば、米国特許第9,169,177号は、部分的に塩素化されたメタンから四塩化炭素を生成するためのプロセスを開示する。四塩化炭素に対するさらに大きな反応選択性を実現するために、この特許は変換率を90%未満で維持することを提示し、それによって、クロロホルムおよび四塩化炭素を含む生成物流が、塩化メチルまたは塩化メチレンの生成がほとんどない状態で生成される。完全には塩素化されていない(例えば、クロロホルム)生成物流中のそれらの塩素化メタンは、さらなる塩素化のために元の反応器にリサイクルされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
四塩化炭素に対する需要が増大しつつあることに鑑み、四塩化炭素の効率的な合成のための工業的プロセスが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つまたは複数の実施形態は、クロロホルムと、初期四塩化炭素と、塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種とを含む、クロロメタン流を用意するステップであって、クロロメタン流が、約99.0から約100重量%の、クロロホルム、初期四塩化炭素、ならびに塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種を含むステップと;クロロメタン流を、塩素および追加の四塩化炭素と合わせて反応混合物を形成するステップであって、反応混合物が、クロロホルム、ならびに塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種、に対して少なくとも化学量論レベルの塩素を含むステップと;反応混合物に電磁放射線を導入し、反応混合物を、塩素をクロロホルム、ならびに塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種と反応させるのに適した条件に供し、それによって生成物である四塩化炭素を形成するステップと;導入するステップの後に生成物流を収集するステップであって、生成物流が2,500ppm(重量百万分率)未満の、四塩化炭素以外の塩素化炭化水素を含むステップと、を含む、四塩化炭素を生成する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の1つまたは複数の実施形態によるプロセスを表すフローチャートである。
【0008】
【
図2】本発明の1つまたは複数の実施形態によるプロセスを表すフローチャートである。
【0009】
【
図3】本発明の実施形態によるプロセスを実行するためのシステムの概略図である。
【0010】
【
図4】本発明の1つまたは複数の実施形態によるプロセスの、フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態は、少なくとも部分的には、部分的に塩素化されたクロロメタンの光塩素化による四塩化炭素を生成するためのプロセスの発見に基づく。本発明の実施形態によれば、反応は、比較的高いレベルの塩素および比較的低いレベルの部分的に塩素化されたクロロメタンを含む四塩化炭素媒体中で行われる。本発明の方法を実施することによって、四塩化炭素に対する実質的な選択性を持って工業的に有用な変換レベルを実現できることが、予期せず見出された。有利には、2つのトリクロロメチルラジカルの二量体化から得られるヘキサクロロエタンの形成を、商業的に許容可能なレベルより下に維持できることが、発見された。その結果、本発明の実施形態により生成された四塩化炭素生成物は、望ましくない重い塩素化有機物を除去するのにコストがかかる精製を必要とすることなく、カラッシュ反応などの後続の合成プロセスで粗製生成物流として直接用いることができる。
プロセス概要
【0012】
本発明の1つまたは複数の実施形態の概要は、塩素化方法11を示す
図1を参照しながら記述することができる。四塩化炭素供給流12’および塩素ガス供給流14’は、四塩化炭素12および塩素ガス14を導入ステップ13に供給し、そこで四塩化炭素12および塩素ガス14が合わされ、それによって四塩化炭素12および塩素ガス14の、初期混合物15とも呼んでもよい混合物15が形成される。次いで四塩化炭素および塩素ガスの初期混合物15を、フリーラジカルステップ17において電磁放射線源18からの電磁放射線18’に供する。フリーラジカル形成ステップ17は、塩素ガス、四塩化炭素、および塩素フリーラジカルの、フリーラジカル混合物19とも呼んでもよい混合物19を形成する。塩素フリーラジカルは、塩化物ラジカルと呼んでもよい。
【0013】
有機化合物含有供給流20’またはクロロホルム供給流20’と呼んでもよいクロロメタン流20’は、クロロホルム20などのクロロメタン20をフリーラジカル混合物19に導入して、反応混合物22を形成する。当技術分野で一般に公知のように、クロロメタンという用語は、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素を包含する。塩化メチル、塩化メチレン、およびクロロホルムはさらに、部分的に塩素化されたクロロメタンまたは部分的に塩素化されたメタンと定義されてもよい。クロロホルムが、目標とするクロロメタンの1つである限り、本発明の態様はクロロホルムに関して記述されてもよく、当業者なら、その他のクロロメタンが本発明のそれらの態様に適用可能となり得ることが理解されよう。
【0014】
クロロメタン20内のクロロホルムなどの部分的に塩素化されたクロロメタンを、所望の生成物である四塩化炭素に変換しかつ反応副生成物である塩酸24を生成する、反応ステップ21が行われる。四塩化炭素、塩素、および塩酸は、反応ステップ21からの中間生成物流28’または粗製生成物流28’であることが明らかにされ得る生成混合物28中に含有される。次いで粗製生成物流28’は、ガス流24’を介して塩素および塩酸24の少なくとも一部を除去することにより、精製流26’を介して四塩化炭素26を濃縮する、不活性ガスを利用し得る例えばガスストリッピングを含み得る、ストリッピングステップ25などの1つまたは複数の追加の処理ステップ25に供されてもよい。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’の少なくとも一部は、粗製生成物流28’から塩素および/または塩酸24を除去するのに、スクラビング媒体(洗浄媒体)としてストリッピングステップ25で利用されてもよい。
【0015】
1つまたは複数の実施形態では、精製された四塩化炭素26の少なくとも一部は、リサイクル流29’を介して元の反応ステップ21にリサイクルされてもよい。精製された四塩化炭素26の少なくとも一部は、その他の場合には、精製された生成物流30’を介して生成物30として回収され得る。上述のように、精製流26’は、有利には、しばしば塩素化有機物の製造における副生成物である重い塩素化有機化合物などの有機物種を除去するのに、通常なら必要となり得る蒸留プロセスを必要とすることなく、後続の化学合成において反応物流として直接使用されてもよい。しかしそれにも関わらず、特定の用途のために生成物流をさらに精製することが望ましいと考えられる。したがって、本発明のある特定の実施形態は、流れ26’をさらに精製する蒸留プロセスを含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態では、精製および/または蒸留プロセスは、流れ26’から四塩化炭素以外の成分を除去する。1つまたは複数の実施形態では、流れ26’をさらに精製する精製および/または蒸留プロセスは、流れ26’から、部分的に塩素化されたクロロメタンのある量を除去することを含む。回収された、部分的に塩素化されたクロロメタンは、クロロメタン流20’の部分などの、プロセスに戻るリサイクル流として利用されてもよい。1つまたは複数の実施形態では、流れ26’をさらに精製する精製および/または蒸留プロセスが、ある量の塩素を流れ26’から除去することを含む。回収された塩素は、塩素ガス供給流14’などの、プロセスに戻るリサイクル流として利用されてもよい。
【0016】
代替のプロセススキームは、塩素化方法31を示す
図2を参照しながら、記述することができる。供給流12’からの四塩化炭素12は、放射線源18からの電磁放射線18’と合わされて、導入ステップ33内で被照射媒体32をもたらす。供給流20’からのクロロホルム20などのクロロメタン20は、供給流14’からの塩素14と合わされて、組合せステップ35内で反応混合物34を形成する。四塩化炭素は、クロロホルム20などのクロロメタン20および塩素14と、このステップ内で任意選択で合わされてもよい。
【0017】
電磁放射線に連続的に供されてもよい被照射媒体32、および反応混合物34は、ステップ37に導入されて反応混合物22を形成することにより、反応ステップ21を引き起こし、そこでクロロホルム、塩化メチル、および塩化メチレン20を四塩化炭素に変換し(即ち、クロロホルムが塩素化される)、塩酸を反応副生成物として生成する。四塩化炭素および塩酸は、反応ステップ21からの中間生成物流28’または粗製生成物流28’であると特定され得る生成混合物28中に含有される。次いで粗製生成物流28’は、ガス流24’を介して塩素および塩酸24の少なくとも一部を除去することにより、精製された流れ26’を介して四塩化炭素26を濃縮する、例えばガスストリッピングを含み得るストリッピングステップ25などの、1つまたは複数の追加の処理ステップ25に供されてもよい。
【0018】
1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素26の少なくとも一部は、元の初期ステップ33および/またはステップ35にリサイクル流29’を介してリサイクルされてもよい。精製された四塩化炭素26の少なくとも一部は、その他の場合には精製された生成物流30’を介して生成物30として回収されてもよい。
図1を参照しながら既に示したように、蒸留などの追加の精製が回避され得る。さらに、その他の実施形態では、蒸留を含むさらなる精製が望まれる可能性がある。
光塩素化を行うためのシステム
【0019】
本発明の方法を行うためのシステムは、塩素化方法を行うためのシステム51を示す
図3を参照しながら、記述することができる。システム51は、入口57、ベント61、ランプ63、撹拌要素65、および生成物出口67を含む、反応槽53を含む。
【0020】
例示的な実施形態によれば、クロロホルム供給流54’と呼んでもよいクロロメタン供給流54’を介する、クロロホルム54などのクロロメタン54は、反応予備混合物が形成されるよう、例えばリサイクル流75’を介して四塩化炭素と合わされる。次いで塩素52は、供給流52’を介して(例えば、インラインスパージャーを介して)、クロロホルムおよび四塩化炭素などのクロロメタンを含有する反応予備混合物と合わされて、流れ77’内に反応混合物を形成する。本明細書の他の箇所で述べるように、鉄およびその他の不純物は、フィルターなどの不純物除去装置または技法により塩素52から除去されてもよい。
図3に示されるように、クロロホルムおよび四塩化炭素は、塩素の導入前に、インライン混合器55などの混合デバイス内で、混合することができまたはそうでない場合には撹拌することができる。図示されていないその他の実施形態では、流れ77’に含有される塩素、クロロホルム、および四塩化炭素を含む混合物も同様に、反応器53への導入前に、インライン混合器などにおいて撹拌することができる。これらの実施形態では、塩素およびクロロメタンは、暗所混合と呼んでもよい光のない状態で、混合されてもよい。次いで供給流77’は、入口57を介して反応器53に導入される。
【0021】
上記にて説明されるように、ランプ63からの電磁放射線は塩素化反応を引き起こし、それによってクロロホルムが四塩化炭素に変換される。得られた四塩化炭素生成物は、粗製生成物流66’とも呼び得る生成物流66’として、出口67を介して反応器53から除去される。生成物流66’は、クロロホルム、塩素、および塩化水素、ならびにその他の副生成物の1種または複数を、比較的低レベルで含んでいてもよい。塩化水素および塩素などの気状副生成物は、ベント61を介して反応器53から除去して、流れ79’を形成することができる。この流れは、塩素および塩酸を廃棄するためにまたはさらに分離して単離するために中和されてもよく、次いでこれをその他の合成化学プロセスで使用してもよく、および/または元のこのプロセス51にリサイクルしてもよい。
【0022】
粗製生成物流66’は、流れ79’と合わせることができるガス流69’を介して塩素および塩化水素などの軽量構成成分を除去することにより粗製生成物流66’を濃縮することができる、脱気タンクを含み得るタンク69を経由することができる。例えばポンプ71を通して、濃縮四塩化炭素を含む粗製生成物流66’を、再循環ループ71’に通し、四塩化炭素供給流75’を介して反応器53に戻すことができる。あるいは、濃縮粗製生成物流をシステムの外に通して、貯蔵することができ、および四塩化炭素生成物流73’を介したさらなる使用を行うことができる。
【0023】
1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素生成物流73’は、例えばポリッシングUV反応器などから供給される、追加の電磁放射線(本明細書では、ランプ63に対して記述される)に供することができ、それによって、生成物流中の任意の残留クロロホルムおよび/またはその他の残留有機物が光塩素化される。1つまたは複数の実施形態では、追加の塩素を、この下流のポリッシング反応器で処理された生成物流に添加することができる。ある特定の実施形態では、ポリッシング反応器は、管状反応器であってもよい。その他の実施形態では、ポリッシング反応器は、CSTRまたは十分混合された反応器であってもよい。1つまたは複数の実施形態では、残留クロロホルムは代わりに、収集されかつ元のプロセス51にリサイクルされてもよい。
【0024】
本発明の特定の実施形態によれば、再循環ループ71’は、粗製生成物流66’をその他のプロセスに直接経由させることができる限り(即ち、流れ66’を73’に直接経由させることができる)、任意選択であることが理解されるべきである。しかしこれらの実施形態では、四塩化炭素の代わりの供給源を、反応媒体に使用しなければならない。
【0025】
したがって、本発明のプロセス(およびシステム)は、反応物が反応器に連続供給されかつ生成物が反応器から連続的に除去される連続プロセスとして、操作できることを、理解すべきである。さらに、四塩化炭素に関するプロセス要件は、システムから誘導される生成物流から満たすことができる(例えば、四塩化炭素生成物流66’は、入力流75’を介して元の反応器53にリサイクルすることができる)。1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素の外部供給源(例えば、四塩化炭素12)が必要とされるシステムの初期起動後、本発明のプロセスは、システムからリサイクルされる(例えば、ループ71’を経てリサイクルされる)四塩化炭素から、システムの操作に関する四塩化炭素要件の90%超、その他の実施形態では95%超、およびその他の実施形態では99%超を、受けることができる。
【0026】
本発明から逸脱することなく、システム51に様々な修正を行うことができることも、理解すべきである。例えば、塩素52およびクロロホルム54は、反応槽53への導入前に、塩素52およびクロロホルム54を予備混合する必要なく、それぞれの供給流を介して反応器53に直接注入できる。特定の実施形態では、クロロホルム供給流54’は、反応器内の液体レベルよりも下で導入することができる(例えば、浸漬管を介して)。これらのまたはその他の実施形態では、塩素供給流52’は同様に、例えばスパージャーを介して、液体レベルよりも下で導入することができる。1つまたは複数の実施形態では、個別の全く異なる供給流を、最初に四塩化炭素と合わせ、次いで反応器53内に直接導入することができる。また、反応器53は、
図3に概略的に示されるように、反応器の底部から上部に材料の流れをもたらすよう構成することができ、または材料の流れは、入力物が反応器の上部で受け取られかつ生成物が反応器の底部から除去されるように、逆にすることができる。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、入口57は、スパージャーまたは浸漬管などの分散デバイスを含んでいてもよく、槽53は、多数の入口(図示せず)を含んでいてもよい。
【0028】
1つまたは複数の実施形態では、槽53は、
図3に示されるように単一ランプを含んでいてもよく、または多数のランプを含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態では、ランプ63は、紫外線ランプ、レーザー、および発光ダイオード(LED)を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態では、ランプは、Hanoviaランプなどの水銀蒸気アークランプを含む。1つまたは複数の実施形態では、ランプ(複数可)(例えば、ランプ63)は、反応器内、または槽53内に含有される反応媒体中に、少なくとも部分的に浸漬されてもよく、または反応媒体中に完全に浸漬されてもよい。その他の実施形態では、図示しないが、ランプは、反応器の内部の外にあってもよく、しかしそれにも関わらず反応器媒体中に所望の電磁放射線が放出されるように、据えられてもよい。
【0029】
一部の実施形態では、ランプ63またはランプ63を収容するアセンブリは、反応物流の1つに導入された鉄不純物から誘導される鉄化合物によって引き起こされると考えられる、鱗屑形成を低減させるため、物理的なワイパーシステムおよび/または化学的拭取りシステムを備えてもよい。これらの不純物は、ランプ63上に、特にプロセスに曝されるその外面に、鱗屑形成をもたらし得る。1つまたは複数の実施形態では、再循環ループは、反応器の出口にある可能性のある鱗屑または鉄化合物などの不純物を収集するための、フィルターおよび/または別の不純物除去技法を含んでいてもよい。
【0030】
また、反応槽53は、加熱/冷却ジャケットなどの温度規制システムを備えていてもよい。1つまたは複数の実施形態では、撹拌要素65は、
図3に示されるような単一の機械式撹拌器を含んでいてもよく、または多数の撹拌デバイスを用いてもよい。上部および底部に取り付けられた混合器を含む様々な混合構成を、使用することができる。1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の機械式撹拌器は、混合動力によって特徴付けることができる。1つまたは複数の実施形態では、1つまたは複数の機械式撹拌器の混合動力は、立方メートル当たり0.02キロワットから立方メートル当たり2.0キロワットであってもよく、その他の実施形態では、立方メートル当たり0.04キロワットから立方メートル当たり1.0キロワットであってもよく、その他の実施形態では、立方メートル当たり0.1キロワットから立方メートル当たり0.4キロワットであってもよい。
【0031】
1つまたは複数の実施形態では、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)は、機械式撹拌器の使用がなくてもよい。これらまたはその他の実施形態では、いくらかの最少量の撹拌であるが所望の反応を実現するのに適切な量の撹拌が、1つもしくは複数の供給流および/または1つもしくは複数の再循環流の導入および/またはHClなどの気状生成物の形をとる生成物形成に単に基づいて、引き起こされてもよい。
【0032】
1つまたは複数の実施形態では、反応器58は、本明細書に記述される所望の光塩素化反応を引き起こす認識できるほどのレベルの電磁放射線に供されない、反応器内の領域である暗所を含むように構成される。暗所は、有利には、塩素がラジカル化される前および/または適切な電磁放射線の存在下で塩素ラジカルがクロロホルムと反応する前に、入力された流れ77’が希釈されかつ反応器53内に含有されるさらに大きい体積の四塩化炭素と十分混合される時間および空間を提供し得る。当業者に理解されるように、暗所は、いくつかのメカニズムを用いることによって創出することができる。例えば、物理的障害物を反応器内に配置し、それによってランプ63から放出される電磁放射線から領域を遮蔽することができる。あるいは、または物理的障害物と組み合わせて、ランプ63と暗所の所望の場所との間に適切な距離を提供することによって暗所を形成することができる。1つまたは複数の実施形態では、入口57は、望ましくは暗所の内部または暗所に隣接して位置付けられてもよい。
【0033】
始動時に、反応器53には最初に四塩化炭素が充填されて、反応が内部で生じる初期媒体を形成することを、理解すべきである。1つまたは複数の実施形態では、反応の任意の時点で塩素よりも過剰なクロロホルムを有することが回避されるように、反応器には反応の開始時にクロロホルムがなくまたは実質的にない。反応が進行中になると、反応器53内の塩素とクロロホルムなどのクロロメタン、したがって同様に四塩化炭素との、本明細書で以下に記述するような適切なバランスを、反応器53内への塩素、クロロホルム、および任意選択で四塩化炭素の入力量を規制することによって維持することができる。
【0034】
このシステムについて、本発明の特定の実施形態を参照しながら記述してきたが、当業者なら、本明細書に記述されるその他のプロセスに順応するよう、過度の計算または実験なしにシステムに適応することができる。
塩素供給流の処理
【0035】
1つまたは複数の実施形態では、塩素ガス供給流は、塩素ガス供給流を導入する前に(例えば、組合せステップ35)、精製技法に供されてもよい。これらの技法の1つまたは複数は、塩素精製ユニットで行ってもよい。1つまたは複数の実施形態では、塩素ガス供給流を導入する前に、塩素ガス供給流に窒素またはその他の不活性媒体、例えばアルゴンを散布することを、含んでいてもよい。これらまたはその他の実施形態では、流れの中の酸素およびその他の成分の溶解度を低減させるため、塩素ガス供給流または従来の液化塩素流を、冷却しおよび/またはベントしてもよい。それによってこれらの溶解度低減成分は、塩素ガス供給流または従来の液化塩素流からベントされてもよい。1つまたは複数の実施形態では、塩素ガス供給流は蒸留されてもよい。この蒸留は、より軽い成分(例えば、酸素)および/またはより重い成分(例えば、鉄、臭素、および塩化ブロミル)を除去することを含む。
【0036】
1つまたは複数の実施形態では、塩素ガス供給流に関する精製技法は、塩素ガス供給流を導入する前に、塩素ガス供給流から濾過などによって、鉄を除去することを含む。鉄を除去することなどの、塩素ガス供給流に関するその他の例示的な精製技法は、封鎖、陽イオン交換、および酸化を含む。
酸素除去ステップ
【0037】
プロセスの構成要素(例えば、反応器および付随する配管)は、操作プロセスから酸素を低減させまたは排除するために、窒素掃引を含んでいてもよい始動操作の一部として酸素でパージされてもよい。酸素パージの1つまたは複数の特定の態様は、一般に当業者に公知であってもよい。
四塩化炭素供給流の特徴
【0038】
1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素供給流(例えば、12’、75’)は実質的に四塩化炭素であり、四塩化炭素以外の認識できる量の構成成分を含まない供給流を指す。1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素供給流(例えば、12’、75’)は、本質的に四塩化炭素からなり、通常なら本発明の実施形態の基本的なおよび新規の特徴に実質的に影響を及ぼすと考えられるその他の構成成分を、含まない組成物を指す。1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素供給流(例えば、12’、75’)は、四塩化炭素からなる。1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素は、工業品グレードの四塩化炭素である。1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素供給流12’、75’は、約99.9から約100重量%の四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素供給流(例えば、12’、75’)は、7000ppm未満、その他の実施形態では6000ppm未満、その他の実施形態では5500ppm未満、その他の実施形態では5000ppm未満、その他の実施形態では2500ppm未満、その他の実施形態では1000ppm未満、その他の実施形態では750ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満、およびその他の実施形態では100ppm未満の、四塩化炭素以外の塩素化有機構成成分を含む。
塩素供給流の特徴
【0039】
1つまたは複数の実施形態では、塩素供給流(例えば、14’、52’)は、実質的に塩素ガスであり、塩素ガス以外の認識できる量の構成成分を含まない供給流を指す。1つまたは複数の実施形態では、塩素ガス供給流(例えば、14’、52’)は、塩素ガスから本質的になり、通常なら本発明の実施形態の基本的なおよび新規の特徴に実質的に影響を及ぼすその他の構成成分を、含まない組成物を指す。1つまたは複数の実施形態では、塩素ガス供給流(例えば、14’、52’)は塩素ガスからなる。1つまたは複数の実施形態では、塩素供給流(例えば、14’、52’)は、約99.5から約100体積%の塩素を含む。1つまたは複数の実施形態では、塩素供給流(例えば、14’、54’)は、5000ppm未満、その他の実施形態では1000ppm未満、その他の実施形態では750ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満、その他の実施形態では250ppm未満、その他の実施形態では100ppm未満、その他の実施形態では50ppm未満、およびその他の実施形態では25ppm未満の、塩素以外の構成成分を含む。
【0040】
1つまたは複数の実施形態では、塩素ガス供給流(例えば、14’、52’)は実質的に酸素を含まず、認識できる量の酸素を含まない供給流を指す。1つまたは複数の実施形態では、塩素供給流(例えば、14’、52’)は、2500ppm未満、その他の実施形態では1000ppm未満、その他の実施形態では750ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満、その他の実施形態では250ppm未満、その他の実施形態では100ppm未満、その他の実施形態では50ppm未満、その他の実施形態では30ppm未満、その他の実施形態では20ppm未満、およびその他の実施形態では15ppm未満の酸素を含む。一般に、塩素ガス供給流中のより低い量の酸素は、より高い塩素化反応速度を可能にする。
【0041】
1つまたは複数の実施形態では、塩素ガス供給流(例えば、14’、52’)は、実質的に鉄を含まず、認識できる量の鉄を含まない供給流を指す。1つまたは複数の実施形態では、塩素供給流(例えば、14’、52’)は、3ppm未満、その他の実施形態では2ppm未満、その他の実施形態では1.5ppm未満、その他の実施形態では1ppm未満、およびその他の実施形態では、0.5ppm未満の鉄を含む。
クロロメタン流の特徴
【0042】
1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は実質的に、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素の1種または複数を含み、これは塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素以外の構成成分の認識できる量を含まない供給流を指す。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素の1種または複数から本質的になり、通常なら本発明の実施形態の基本的な新規の特徴に実質的に影響を及ぼすと考えられるその他の構成成分を、含まない組成物を指す。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素の1種または複数からなる。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、約95.0から約100重量%の塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、約99.0から約100重量%の塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、約99.5から約100重量%の塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は、7,000ppm未満、その他の実施形態では6,000ppm未満、その他の実施形態では5,500ppm未満、その他の実施形態では5,000ppm未満、その他の実施形態では2,500ppm未満、およびその他の実施形態では、1,000ppm未満の、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素以外の塩素化有機成分(例えば、二塩化エチレン、パークロロエチレン)を含む。
【0043】
1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は実質的には、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素の1種または複数を含み、これは塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素以外の構成成分の認識できる量を含まない、供給流を指す。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素の1種または複数から本質的になり、通常なら本発明の実施形態の基本的で新規な特徴に実質的に影響を及ぼすその他の構成成分を、含まない組成物を指す。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素の1種または複数からなる。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、約95.0から約100重量%の塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、約99.0から約100重量%の塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、この流れは、約99.5から約100重量%の塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’および54’は、7,000ppm未満、その他の実施形態では6,000ppm未満、その他の実施形態では5,500ppm未満、その他の実施形態では5,000ppm未満、その他の実施形態では2,500ppm未満、およびその他の実施形態では1,000ppm未満の、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素以外の塩素化有機成分(例えば、二塩化エチレン、パークロロエチレン)を含む。
【0044】
1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は、約40重量%から約80重量%の塩化メチレン、約10重量%から約45重量%のクロロホルム、および約5重量%から約20重量%の四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’および54’は、約50重量%から約70重量%の塩化メチレン、約20重量%から約40重量%のクロロホルム、および約5重量%から約15重量%の四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は、約55重量%から約65重量%の塩化メチレン、約25重量%から約35重量%のクロロホルム、および約7重量%から約13重量%の四塩化炭素を含む。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は、約60重量%の塩化メチレン、約30重量%のクロロホルム、および約10重量%の四塩化炭素を含む。
【0045】
1つまたは複数の実施形態では、クロロホルム供給流20’、54’と呼んでもよいクロロメタン流20’、54’は、実質的にクロロホルムであり、クロロホルム以外の構成成分の認識できる量を含まない供給流を指す。1つまたは複数の実施形態では、クロロホルム供給流20’54’は、本質的にクロロホルムからなり、通常なら本発明の実施形態の基本的で新規な特徴に実質的に影響を及ぼすと考えられるその他の構成成分を含まない組成物を指す。1つまたは複数の実施形態では、クロロホルム供給流20’62は、クロロホルムからなる。1つまたは複数の実施形態では、クロロホルムは、工業品グレードのクロロホルムである。他の実施形態では、フルオロカーボングレードのクロロホルムが用いられる。さらに他の実施形態では、クロロホルムは、クロロメタンの生成などのその他の合成プロセスからの供給流を含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態では、クロロホルム供給流20’、54’は、約99.8から約100重量%のクロロホルムを含む。1つまたは複数の実施形態では、クロロホルム供給流20’、62は、5000ppm未満、その他の実施形態では2500ppm未満、その他の実施形態では2000ppm未満、その他の実施形態では1000ppm未満、その他の実施形態では750ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満の、クロロホルム以外の構成成分を含む。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は、メタンを含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は、1,000ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満、およびその他の実施形態では100ppm未満のメタンを含んでいてもよい。クロロメタン供給流20’、54’がメタンを含まない、または実質的に含まない実施形態は、より低い圧力の利用を可能にしてもよく、したがって、より少ない資本およびエネルギーコストで済む可能性がある。1つまたは複数の実施形態では、プロセスへの全ての供給流は、メタンを含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。
【0047】
1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は、塩化メチルを含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン流20’、54’は、1,000ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満、その他の実施形態では100ppm未満の塩化メチルを含んでいてもよい。1つまたは複数の実施形態では、プロセスへの全ての供給流は、塩化メチルを含まなくてもよく、または実質的に含まなくてもよい。
【0048】
クロロメタン流20’、54’中に存在する任意の四塩化炭素は、個別の四塩化炭素供給流が供給され得る限り、初期四塩化炭素と呼んでもよい。
反応混合物の特徴
【0049】
1つまたは複数の実施形態では、四塩化炭素、塩素、塩化水素、およびクロロホルム(一般に、クロロメタン)を含む反応混合物(例えば、反応混合物22または反応器53の内容物)、ならびに重い塩素化有機物などの残留副生成物は、液相中に四塩化炭素を維持することになる温度および圧力で維持される。当業者なら、本発明のプロセスは液相中で望ましく実行されるので、より高い動作圧力によってより高い動作温度が可能になることが、理解されよう。
【0050】
1つまたは複数の実施形態では、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)は、反応または塩素化ステップ(例えば、反応ステップ21)の間および任意選択で前に、塩素を部分的に塩素化されたクロロメタンと反応させるのに適した条件に供される。
【0051】
1つまたは複数の実施形態では、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)は、反応または塩素化ステップ(例えば、反応ステップ21)の間および任意選択で前に、10℃よりも高い、その他の実施形態では15℃よりも高い、およびその他の実施形態では20℃よりも高い温度で維持される。これらのまたはその他の実施形態では、反応混合物は、反応ステップの前または間の両方で、70℃未満の、その他の実施形態では60℃未満の、およびその他の実施形態では50℃未満の温度で維持される。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物は、反応ステップの前または間の両方で、約10から約70℃の、その他の実施形態では約15から約60℃の、またはその他の実施形態では約20から約50℃の温度で維持される。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)は、比較的高いレベルの塩素、ならびにクロロホルムを、四塩化炭素媒体中に維持するのに十分な温度および圧力で維持される。
【0052】
1つまたは複数の実施形態では、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)が、反応または塩素化ステップ(例えば、ステップ21)の前または間に、0.8気圧よりも大きい、その他の実施形態では0.9気圧よりも大きい、その他の実施形態では0.95気圧よりも大きい圧力下で維持される。これらのまたはその他の実施形態では、反応混合物は、反応ステップの前または間の両方で、15気圧未満、その他の実施形態では10気圧未満、およびその他の実施形態では5気圧未満の圧力下で維持される。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物は、反応ステップの前または間の両方で、約0.8から約15気圧、その他の実施形態では約0.9から約10気圧、またはその他の実施形態では約0.95から約5気圧の圧力下で維持される。
【0053】
1つまたは複数の実施形態では、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)は、反応または塩素化ステップ(例えば、反応ステップ21)の間および任意選択で前に、所与の圧力で反応器内の反応混合物の沸点よりも低い温度で維持される。このことは、反応器の上部にあるかなりの量のより軽い成分の沸騰を回避することを含み得る。
【0054】
1つまたは複数の実施形態では、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)は、反応または塩素化ステップ(例えば、ステップ21)の前または間の両方で、撹拌下で維持される。1つまたは複数の実施形態では、撹拌は、反応が内部で生ずる反応器内の(例えば、反応器53)、乱流を実現するのに十分である。1つまたは複数の実施形態では、撹拌は、4000よりも大きい、その他の実施形態では10,000よりも大きい、その他の実施形態では20,000よりも大きいレイノルズ数によって定量することができる乱流を、実現するのに十分である。1つまたは複数の実施形態では、撹拌は、100,000よりも大きい、その他の実施形態では200,000よりも大きい、その他の実施形態では400,000よりも大きい、およびその他の実施形態では800,000よりも大きいレイノルズ数によって定量することができる乱流を、実現するのに十分である。これらのまたはその他の実施形態では、反応混合物は、反応ステップ(例えば、ステップ21)の前または間の両方で維持され、撹拌されて、約4000から約30,000の、その他の実施形態では約8,000から約28,000の、またはその他の実施形態では約10,000から約26,000のレイノルズ数によって定量できる乱流をもたらす。1つまたは複数の実施形態では、本発明の光塩素化プロセスは、理想的な連続撹拌タンク反応器(CSTR)に近付くよう十分な撹拌による、十分混合された反応器である反応器(例えば、反応器53)内で実行される。本明細書の他の箇所で述べるように、1つまたは複数の実施形態では、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)は、反応または塩素化ステップ(例えば、ステップ21)中に撹拌器を用いた撹拌がない。これらまたはその他の実施形態では、いくらかの最少量であるが所望の反応を実現するのに適した量の撹拌を、1種もしくは複数の供給流および/または1種もしくは複数の再循環流の導入、および/またはHClなどの気状生成物の形をした生成物の形成に単に基づいて、行ってもよい。
【0055】
上記にて示唆されるように、その供給速度がそれにより反応器内のクロロメタンの濃度を規制する反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)へのクロロメタン(例えば、クロロホルム)の導入は、UV光の存在下での、部分的に塩素化されたクロロメタンと四塩化炭素との実質的に瞬時の反応をもたらす量および手法で行われる。反応ステップ(例えば、ステップ21)の直前または間に反応器内の四塩化炭素に混和する、部分的に塩素化されたクロロメタンの希釈および分散は、本発明の有利な結果を得るための臨界パラメーターとなり得ることを、予期せず発見した。
【0056】
1つまたは複数の実施形態では、反応器(例えば、反応器53)へのクロロメタンの供給速度は、反応器内の四塩化炭素と比較することによって定量することができる。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタンの供給速度は、反応器内の四塩化炭素1000ポンド当たり毎時10ポンド超、その他の実施形態では15ポンド超、その他の実施形態では25ポンド超、その他の実施形態では35ポンド超、その他の実施形態では45ポンド超、その他の実施形態では55ポンド超、その他の実施形態では65ポンド超、その他の実施形態では75ポンド超、その他の実施形態では85ポンド超、その他の実施形態では95ポンド超、その他の実施形態では110ポンド超、およびその他の実施形態では120ポンド超である。これらのまたはその他の実施形態では、クロロメタンの供給速度は、反応器内の四塩化炭素1000ポンド当たり毎時1000ポンド未満、その他の実施形態では800ポンド未満、その他の実施形態では650ポンド未満、その他の実施形態では500ポンド未満、その他の実施形態では250ポンド未満、その他の実施形態では200ポンド未満、その他の実施形態では150ポンド未満、その他の実施形態では125ポンド未満、その他の実施形態では100ポンド未満、その他の実施形態では80ポンド未満、その他の実施形態では60ポンド未満、その他の実施形態では40ポンド未満、その他の実施形態では30ポンド未満、およびその他の実施形態では25ポンド未満である。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタンの供給速度は、反応器内の四塩化炭素1000ポンド当たり毎時約10から約1000ポンド、その他の実施形態では約25から約650ポンド、およびその他の実施形態では約55から約200ポンドである。
【0057】
1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン供給流の希釈は、反応混合物(例えば、混合物22または反応器53の内容物)中の部分的に塩素化されたクロロメタンの量に基づいて定量することもできる。例えば、反応混合物中の部分的に塩素化されたクロロメタンの濃度は、四塩化炭素、塩素、塩化水素、および部分的に塩素化されたクロロメタンを含む反応混合物の重量に対する、部分的に塩素化されたクロロメタンの重量に基づいて、定量することができる。当業者なら、これらの量(即ち、反応混合物中の、部分的に塩素化されたクロロメタン)は、反応器流出物(すなわち、出口)中の、部分的に塩素化されたクロロメタンの量を測定することによって決定できることが理解され、この量は、十分撹拌された反応器内部では、反応ゾーンでの部分的に塩素化されたクロロメタンの量と同等であり、この反応ゾーンは、クロロメタンの塩素化が生じる反応媒体中(即ち、反応器内)の場所(即ち、反応混合物が適切な波長の電磁放射線に供される)を指すことが理解されよう。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物中の部分的に塩素化されたクロロメタンの濃度は、反応混合物の全重量に対して、部分的に塩素化されたクロロメタンが5重量%(50,000ppm)未満、その他の実施形態では4重量%未満、その他の実施形態では3重量%未満、その他の実施形態では2重量%未満、およびその他の実施形態では1重量%未満である。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物中の部分的に塩素化されたクロロメタンの濃度は、反応混合物の全重量に対してクロロメタンが5,000ppm(重量で)未満、その他の実施形態では4,000ppm未満、その他の実施形態では3,000ppm未満、およびその他の実施形態では2,000ppm未満である。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物中の部分的に塩素化されたクロロメタンの濃度は、反応混合物の全重量に対して部分的に塩素化されたクロロメタンが1,000ppm(重量で)未満、その他の実施形態では750ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満、およびその他の実施形態では200ppm未満である。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物中の部分的に塩素化されたクロロメタンの濃度は、反応混合物の全重量に対して、部分的に塩素化されたクロロメタンが約1から約5,000ppm、その他の実施形態では約50から約3,000ppm、およびその他の実施形態では約100から約2,000ppmである。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物中の部分的に塩素化されたクロロメタンの濃度は、反応混合物の全重量に対して、部分的に塩素化されたクロロメタンが約1から約50,000ppm、その他の実施形態では約50から約30,000ppm、およびその他の実施形態では約100から約20,000ppmである。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物中の部分的に塩素化されたクロロメタンの濃度は、反応混合物の全重量に対してクロロメタンが約1から約1,000ppm、その他の実施形態では約50から約750ppm、およびその他の実施形態では約100から約500ppmである。
【0058】
上記にて示唆されるように、反応ステップ(例えば、反応ステップ21)中に存在する、または別の言い方をすれば反応混合物中の、塩素の量は、本発明を実施するのに重要なパラメーターと考えられる。1つまたは複数の実施形態では、反応混合物への(例えば、槽53への)塩素の導入は、部分的に塩素化されたクロロメタンに対して少なくとも化学量論量のまたは化学量論的に過剰な塩素との反応をもたらす量でまたは手法で行われる。1つまたは複数の実施形態では、反応媒体(即ち、四塩化炭素)中の塩素の濃度は、反応が行われる温度および圧力での四塩化炭素の塩素に関する飽和レベルにある。1つまたは複数の実施形態では、反応器(例えば、反応器53)での塩素の量は、反応器のヘッドスペース内に認識可能なレベルの塩素を維持するのに十分である。部分的に塩素化されたクロロメタンに対して過剰な塩素が反応器に供給される限り、反応器内の塩素の濃度は、反応器内の温度および圧力に対して飽和レベルに達するまで時間と共に累積され続けるが、再循環ループを経た四塩化炭素の再循環は、反応器内の塩素の量を調節する働きをし得る。
【0059】
例えば、クロロメタン流が実質的にクロロホルムである場合、反応混合物に導入される塩素の量は、塩素と、反応器に供給されるクロロホルムとのモル比に基づいて定量することができる。1つまたは複数の実施形態では、塩素と、例えば反応器53に供給されるクロロホルムとのモル比は、1.00:1.00よりも大きく、その他の実施形態では1.02:1.00よりも大きく、およびその他の実施形態では1.04:1.00よりも大きい。1つまたは複数の実施形態では、塩素とクロロホルムとのモル比は、約1.00:1.00から約1.10:1.00、その他の実施形態では約1.01:1.00から約1.08:1.00、その他の実施形態では約1.02:1.00から約1.06:1.00、その他の実施形態では約1.00:1.00から約1.50:1.00、その他の実施形態では約1.02:1.00から約1.40:1.00、およびその他の実施形態では約1.06:1.00から約1.30:1.00である。
【0060】
当業者なら、上記比はクロロホルムに基づき、必要とされる化学量論量はそれに基づく(即ち、1個の塩素原子またはラジカルは、1個のクロロホルム分子と反応する)ことを理解すべきである。その他の部分的に塩素化されたメタンが反応混合物中にある限り、それらの部分的に塩素化されたメタンから四塩化炭素への変換に必要な塩素の量は、同様の過剰な塩素を維持するように調節されるべきである。
【0061】
1つまたは複数の実施形態では、反応混合物に導入される塩素の量は、反応器に供給される全ての部分的に塩素化されたメタンに対する塩素のモル過剰%に基づいて定量することができる。別の言い方をすれば、過剰な塩素は、部分的に塩素化されたメタンから四塩化炭素を実現するために、任意の所与の部分的に塩素化されたメタンの化学量論要件に対して計算される。1つまたは複数の実施形態では、反応器に供給される全ての部分的に塩素化されたメタンに関し、塩素の量は、少なくとも2%、その他の実施形態では少なくとも5%、その他の実施形態では少なくとも10%、その他の実施形態では少なくとも15%、およびその他の実施形態では少なくとも20%、モル過剰であってもよい。これらのまたはその他の実施形態では、反応器に供給される全ての部分的に塩素化されたメタンに関し、塩素の量は、50%未満、その他の実施形態では40%未満、その他の実施形態では30%未満、およびその他の実施形態では25%未満、モル過剰であってもよい。これらの端点、および本明細書で提供される任意のその他の端点は、任意の適切な範囲を形成するのに利用されてもよい。
【0062】
必要とされるまたは供給される塩素の量が、圧力依存的となり得ることは、当業者に理解されるべきである。即ち、比較的低い圧力では、塩素のより低い溶解度に起因して、比較的高い量の塩素が必要とされまたは供給され得る。同様に、比較的高い圧力では、塩素のより高い溶解度に起因して、比較的低い量の塩素が必要とされまたは供給され得る。
【0063】
当業者なら、必要とされまたは供給される塩素の量は、本明細書に開示される量よりもさらに高くてもよいが、これは一般に、過剰な塩素をリサイクルするための形態大型設備など、追加の運転および/または製造コストが必要になることを理解すべきである。一部の実施形態では、このさらになお過剰な塩素および付随する追加の運転および/または製造コストが望ましいと考えられる。
【0064】
これらまたはその他の実施形態では、本発明のプロセスで用いられる塩素の量は、反応混合物中の塩素の濃度に基づいて定量することができる。当業者なら、これらの量(即ち、反応混合物中の塩素)は、十分撹拌された反応器において、クロロホルムの塩素化が生じる反応媒体中(即ち、反応器内)のその場所を指す反応ゾーンで、塩素の量に等しい反応流出液(即ち、出口)中の塩素の量を測定することによって、決定することができることが理解されよう。1つまたは複数の実施形態では、流出液中の塩素の濃度は、反応混合物の全重量に対して0.01重量%超、その他の実施形態では0.1重量%超、その他の実施形態では0.3重量%超、その他の実施形態では0.6重量%超、その他の実施形態では1.2重量%超、その他の実施形態では1.5重量%超、その他の実施形態では1.8重量%超、およびその他の実施形態では2.0重量%超である。これらのまたはその他の実施形態では、反応器流出液中の塩素の濃度は、所与の温度および圧力で飽和レベルにあり、反応混合物の全重量に対して、その他の実施形態では5重量%未満、その他の実施形態では4.6重量%未満、およびその他の実施形態では4.2重量%未満である。1つまたは複数の実施形態では、反応器流出液中の塩素の濃度は、反応混合物の全重量に対して約0.01重量%から飽和まで、その他の実施形態では約0.1から約5重量%、その他の実施形態では約0.3から約5重量%、その他の実施形態では約1.8から約4.6重量%、およびその他の実施形態では約2.0重量%から約4.2重量%である。塩素とクロロホルムとの上記供給されたモル比、および反応混合物中の上記供給されたクロロホルムの濃度も、それぞれのモル重量および対応する変換を使用することによってその他の適切な濃度の塩素を形成するのに利用され得ることを理解すべきである。
【0065】
1つまたは複数の実施形態では、反応混合物は、0.5ppm未満、その他の実施形態では0.3ppm未満、その他の実施形態では0.2ppm未満、その他の実施形態では0.15ppm未満、およびその他の実施形態では0.1ppm未満の鉄を含む。一般に、より低い量の鉄、特に反応混合物中0.3ppmよりも低い実施形態は、かなりの鱗屑がランプ上に形成されるのを十分に防止し得ると考えられる。
【0066】
1つまたは複数の実施形態では、反応器(例えば、反応器53)は、反応混合物に対して腐食性のある材料の使用を回避する。1つまたは複数の実施形態では、反応器は、鉄をベースにした材料の使用を回避する。1つまたは複数の実施形態では、反応器は、ステンレス鋼の材料の使用を回避する。1つまたは複数の実施形態では、反応器および/またはそのある特定の構成要素(例えば、撹拌要素65)は、Monel(商標)400およびMonel(商標)K500などのニッケル-銅をベースにした合金から作製される。反応器および/または反応器の構成要素に適したその他の材料には、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエテン、ガラス、およびタンタルが含まれる。
電磁放射線の特徴
【0067】
1つまたは複数の実施形態では、本発明を実施するのに用いられる電磁放射線(例えば、ランプ63から発生する)は、約200から約500nm、その他の実施形態では約200から約400nm、その他の実施形態では約280から約380nm、その他の実施形態では約300から約350nm、その他の実施形態では約330から約530nm、およびその他の実施形態では約360から約500nmの波長を含むことによって特徴付けられる。これらおよびその他の実施形態では、電磁放射線は、相対強度に基づく波長分布によって特徴付けられ、電磁放射線の約50から約60%は約280から約435nmの波長を有し、これらまたはその他の実施形態では、電磁放射線の約40から約50%が約300から約380nmの波長を有し、これらまたはその他の実施形態では、電磁放射線の約20から約30%が約330から約370nmの波長を有する。1つまたは複数の実施形態では、電磁放射線は、紫外線を含む。
【0068】
1つまたは複数の実施形態では、本発明を実施するのに用いられる電磁放射線(例えば、ランプ63から発生する)は、約470から約530nmの波長、その他の実施形態では約480から約510nm、その他の実施形態では約490から約500nm、およびその他の実施形態では495nmまたはその近似値の波長を含むことによって特徴付けられる。1つまたは複数の実施形態では、電磁放射線は、相対強度に基づく波長分布によって特徴付けられ、電磁放射線の少なくとも50%、その他の実施形態では少なくとも80%が、495nmまたはその近似値の波長を有する。
【0069】
1つまたは複数の実施形態では、本発明を実施するのに用いられる電磁放射線(例えば、ランプ63から発生)は、約350から約420nmの波長、その他の実施形態では約370から約400nm、その他の実施形態では約380から約390nm、およびその他の実施形態では385nmまたはその近似値の波長を含むことによって特徴付けられる。1つまたは複数の実施形態では、電磁放射線は、相対強度に基づく波長分布によって特徴付けられ、電磁放射線の少なくとも50%、およびその他の実施形態では少なくとも80%が、385nmまたはその近似値の波長を有する。
【0070】
1つまたは複数の実施形態では、本発明を実施するのに用いられる電磁放射線(例えば、ランプ63から発生)は、約330から約400nm、その他の実施形態では約350から約380nm、その他の実施形態では約360から約370nm、およびその他の実施形態では365nmまたはその近似値の波長を含むことによって特徴付けられる。1つまたは複数の実施形態では、電磁放射線は、相対強度に基づく波長分布によって特徴付けられ、電磁放射線の少なくとも50%、およびその他の実施形態では少なくとも80%が、365nmまたはその近似値の波長を有する。
【0071】
1つまたは複数の実施形態では、本発明を実施するのに用いられる電磁放射線(例えば、ランプ63から発生する)は、オゾンの形成を回避する波長分布を含むとして特徴付けられる。当業者に理解されるように、これは、一部の実施形態では、240nmまたはその近似値である、酸素を活性化するのに必要とされる理論的な波長によって、定義され得る。1つまたは複数の実施形態では、電磁放射線は、230nmよりも短い波長、その他の実施形態では240nmよりも短い波長、その他の実施形態では250nmよりも短い波長、その他の実施形態では260nmよりも短い波長を含まない。
【0072】
1つまたは複数の実施形態では、オゾンの形成を回避する波長分布の電磁放射線を用いることは、空気などの有利な酸素添加物含有媒体の、ランプ用の冷却媒体としての使用を可能にする。その他の実施形態では、窒素および水などの酸素添加物を含まない媒体が、ランプ用の冷却媒体として使用される。
【0073】
1つまたは複数の実施形態では、本発明の実施の際に用いられる電磁放射線(例えば、ランプ63から発生する)は、約30nm、その他の実施形態では約20nm、その他の実施形態では約15nm、およびその他の実施形態では約10nmの帯域にわたる波長によって特徴付けられる。
【0074】
1つまたは複数の実施形態では、電磁放射線は、40から約20,000W、その他の実施形態では約75から約18,000W、その他の実施形態では約100から約10,000Wで動作する、1つまたは複数の光生成ランプから供給される。1つまたは複数の実施形態では、電磁放射線は、1つまたは複数の水銀灯から供給される。1つまたは複数の実施形態では、電磁放射線は、1つまたは複数の発光ダイオードから供給される。
生成物流の特徴
【0075】
上記にて論じたように、四塩化炭素粗製生成物流(例えば、流れ28’および66’)は、所望の四塩化炭素生成物、塩素、および塩化水素、ならびに重い塩素化有機物などの残留副生成物を含む。1つまたは複数の実施形態では、これらの生成物流(例えば、28’、66’)は実質的に、四塩化炭素、クロロホルム、塩化水素、および任意選択で塩素であり、四塩化炭素、クロロホルム、塩化水素、および任意選択で塩素以外の、認識できる量の構成成分を含まない生成物流を指す。1つまたは複数の実施形態では、生成物流(例えば、28’、66’)は、四塩化炭素、任意選択でクロロホルム、任意選択で塩化水素、および任意選択で塩素から本質的になり、通常なら本発明の実施形態の基本的なおよび新規の特徴に実質的に影響を及ぼすと考えられるその他の構成成分を含まない組成物を指す。1つまたは複数の実施形態では、生成物流(例えば、28’、66’)は、四塩化炭素、任意選択でクロロホルム、任意選択で塩化水素、および任意選択で塩素からなる。
【0076】
1つまたは複数の実施形態では、生成物流(例えば、28’、66’)は、2500ppm未満、その他の実施形態では1000ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満、その他の実施形態では250ppm未満、およびその他の実施形態では100ppm未満(重量百万分率)の、四塩化炭素以外の塩素化炭化水素(例えば、ヘキサクロロエタン)を含む。
【0077】
1つまたは複数の実施形態では、生成物流(例えば、28’、66’)は、2500ppm未満、その他の実施形態では1000ppm未満、その他の実施形態では750ppm未満、およびその他の実施形態では500ppm未満(重量百万分率)の、四塩化炭素、塩化水素、および塩素以外の構成成分を含む。
【0078】
1つまたは複数の実施形態において、生成物流(例えば、28’、66’)は、有利には、高い反応収率を示す低レベルのクロロホルムによって特徴付けられる。1つまたは複数の実施形態では、クロロホルムに対する反応収率は、90.00%よりも高く、その他の実施形態では92.00%よりも高く、その他の実施形態では95.00%よりも高く、その他の実施形態では97.00%よりも高く、その他の実施形態では98.00%よりも高く、その他の実施形態では99.00%よりも高く、その他の実施形態では99.50%よりも高く、およびその他の実施形態では99.99%よりも高い。特定の実施形態では、クロロホルムに対する収率が100%である。その結果、生成物流28’、66’は、6000ppm未満、その他の実施形態では5500ppm未満、その他の実施形態では5000ppm未満、その他の実施形態では4500ppm未満、その他の実施形態では4000ppm未満、その他の実施形態では3000ppm未満、その他の実施形態では2000ppm未満、その他の実施形態では1000ppm未満、その他の実施形態では500ppm未満、その他の実施形態では250ppm未満、その他の実施形態では100ppm未満、その他の実施形態では50ppm未満、およびその他の実施形態では10ppm未満(重量百万分率)のクロロホルムを含んでいてもよい。
反応メカニズム
【0079】
本明細書で提示されるように、このプロセスの手法および順序は、塩素を含まないラジカルの形成ならびにこれらのラジカルとクロロホルムとの反応を、任意の副反応(例えば、クロロホルムの二量体化)の前に促し、それによって反応の選択性が増すと考えられる。いかなる特定の理論にも拘泥するものではないが、下記の反応が、本発明の1つまたは複数のステップ中に生じると考えられる:
Cl2+hν→2Cl* (1)開始
CHCl3+Cl*→CCl3
*+HCl (2)伝播
CCl3
*+Cl2→CCl4+Cl* (3)伝播
CCl3
*+CCl3
*→C2Cl6 (4)終了
CCl3
*+Cl*→CCl4 (5)終了
Cl*+Cl*→Cl2 (6)終了。
【0080】
反応1~3は、クロロホルムおよび塩素ガスを四塩化炭素およびHCl副生成物に変換する所望の経路である。反応5は、所望の生成物をもたらすが、フリーラジカル連鎖反応の終了という代償をもたらす。反応4は、連鎖を終了させ、2個のトリクロロメチルラジカルの二量体化によるヘキサクロロエタンの形成を含み;この反応は、本発明により実質的に回避される。反応6は、連鎖反応を終了するが、UV光などの開始剤の存在下でフリーラジカルを再び発生させることができる塩素を生成する。
産業上の利用可能性
【0081】
1つまたは複数の実施形態では、光塩素化ステップまたはプロセスからの粗製生成物流(例えば、流れ28’または66’、73’)が、塩素化有機化合物の合成に使用され得る。上述のように、本発明の1つまたは複数の実施形態のプロセスは、ヘキサクロロエタンなどのより重い塩素化有機副生成物を除去するのに、蒸留ステップなどの分離ステップを必要とすることなく、これらの下流合成プロセスで直接使用することができる生成物流を有利に提供する。
【0082】
本明細書の他の箇所で論じられるように、1つまたは複数の実施形態では、粗製生成物流として本発明の実施形態により生成された四塩化炭素は、オレフィンと直接合わせることができ、適切な触媒の存在下で反応させて、塩素化プロパンおよび/または塩素化プロペンを形成することができる。これに関し、米国特許第6,187,978号および第6,313,360号;ならびに米国公開第2019/0284118号;第2012/0310020号;第2009/0216055号;および第2004/0225166号が、参照により本明細書に組み込まれる。この反応を、カラッシュ反応と呼んでもよい。1つまたは複数の実施形態では、粗製四塩化炭素生成物流は、塩化水素および/または塩素を除去するための精製プロセスに供されてもよい。1つまたは複数の実施形態では、粗製四塩化炭素生成物流は、オレフィンと合わせる前に、塩素化有機物からの分離または精製を必要としない。
【0083】
粗製四塩化炭素生成物流をオレフィンと合わせることを含む、実施形態のさらなる記述として、これらの反応で使用される例示的なオレフィンは、エチレンおよび塩化ビニルを含む。当業者なら、その他のオレフィンを同様に使用できることが理解されよう。四塩化炭素とオレフィンとの間の反応は、様々な触媒種を使用することによって触媒することができ、その多くは、反応媒体中で不溶性のまたは部分的にのみ可溶性の化学種でありまたはそのような化学種から誘導される。一般的な触媒または触媒前駆体は、鉄である。当業者なら、本発明の実施形態は、同様に、その他の不溶性または部分的に可溶性の触媒または触媒前駆体まで拡張できることも理解されよう。さらに、当業者なら、これらの不溶性または部分的に可溶性の触媒を、触媒を補完すると考えられる共触媒、リガンド、またはキレート剤と呼んでもよい追加の成分と併せて使用してもよいことを、理解する。例えば、トリブチルホスフェートは、鉄触媒と併せて使用されてきた。当業者なら、本発明をその他の共触媒、リガンド、またはキレート剤の使用まで拡げることができることが理解されよう。
【0084】
光塩素化ステップまたはプロセスからの粗製生成物流が塩素化有機化合物の合成で使用され得る実施形態に加え、1つまたは複数の実施形態では、光塩素化ステップまたはプロセスは、粗製生成物流をクロロメタンステップまたはプロセスから有利に受容してもよい。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタン反応物流(即ち、20’、54’)は、生成物流が任意選択で分離(例えば、蒸留)を受けて、より重い化合物からクロロメタンを分離しかつクロロメタンを塩化水素などのより軽い無機物から分離した後に、クロロメタン生成プロセスからの組成生成物流を含む。有利には、クロロメタン生成プロセスからのこの粗製生成物流は、様々なクロロメタン構成成分(即ち、塩化メチレンから分離する必要のないクロロホルム)の分離を必要とすることなく、光塩素化ステップまたはプロセスに直接供給されてもよい。
【0085】
光塩素化ステップまたはプロセスが粗製生成物流をクロロメタンステップまたはプロセスから受容する、および/または光塩素化ステップまたはプロセスからの粗製生成物流が後続の塩素化有機化合物の合成で使用され得る実施形態は、統合プロセスと呼んでもよい。
図4を特に参照すると、本発明の態様は、塩素化有機物合成ステップ116と呼んでもよい塩素化有機物合成プロセス116と統合された、光塩素化ステップ114と呼んでもよい光塩素化プロセス114と統合された、クロロメタンステップ112と呼んでもよいクロロメタンプロセス112を含む、統合プロセス110を含む。
【0086】
1つまたは複数の実施形態では、クロロメタンプロセス112は、塩素含有供給流および有機化合物含有供給流が反応器に供給されるタイプを含んでいてもよい。クロロメタンプロセス112からの生成物流112’(例えば、クロロメタン流20’、54’)は、光塩素化プロセス114に供給されてもよい。光塩素化プロセス114は、本明細書の他の箇所に記述されるようなプロセスまたはシステムを含むことができる。即ち、クロロメタンプロセス112からの流れ112’は、本明細書に記述される光塩素化プロセスまたはシステム用のクロロメタン流20’、54’としてまたはその一部として提供されてもよい。
【0087】
1つまたは複数の実施形態では、プロセス112は、有機化合物含有供給流がメタノールのみまたは実質的にメタノールのみを含むタイプのものであってもよい。これらの実施形態は一般に、クロロメタンプロセス112において2段階反応を利用する。第1のステップでは、メタノールが、塩化水素とのハロゲン化水素反応などにおいて適切な反応条件下で反応して、塩化メチルを形成する。次いで第2のステップは、塩化メチルを塩素と、熱塩素化などによる適切な反応条件下で反応させて、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素を形成することを含む。
【0088】
その他の実施形態では、プロセス112は、有機化合物含有供給流がメタンのみをまたは実質的にメタンのみを含むタイプのものであってもよい。これらの実施形態は一般に、クロロメタンプロセス112において1段階反応を利用し、適切な反応条件下でメタンを塩素と反応させて、塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および四塩化炭素を形成する。
【0089】
1つまたは複数の実施形態では、流れ112’は、光塩素化プロセス114を形成するよう供給される前に、分離(例えば、蒸留)を受けた生成物流を含んでいてもよい。この分離ステップは、四塩化炭素とより軽い成分(例えば、部分的に塩素化されたクロロメタン)とを、四塩化炭素よりも重い成分から分離することを含んでいてもよい。さらに、この分離ステップは、塩化水素を四塩化炭素および部分的に塩素化されたクロロメタンから分離して、光塩素化プロセス114に供給され得るクロロメタン流をもたらすことを含んでいてもよい。塩化水素流はさらに、分離プロセスで利用されてもよい。
【0090】
光塩素化プロセス114からの生成物流114’は、上記にてさらに記述されるように、後続の合成プロセス116に供給されてもよい。1つまたは複数の実施形態では、流れ114’は、オレフィン添加プロセスに直接供給されてもよい。例えば、粗製流114’中の四塩化炭素は、塩素化プロパンを製造するためにエチレンまたは塩化ビニルなどのオレフィンと合わされてもよい。後続の合成プロセス116は、カラッシュ反応などの様々な合成技法を使用して塩素化アルカンまたはアルケンを形成するのに適した触媒に関わるものなど、任意の適切なプロセスを含んでいてもよい。オレフィン含有流(図示せず)は、後続の合成プロセス116に供給されてもよい。
【0091】
1つまたは複数の実施形態では、流れ114’は、後続の合成プロセス116に供給される前に、塩素が除去されてもよい。有利には、1つまたは複数の実施形態では、流れ114’は、後続の合成プロセス116に流れ114’を導入する前に四塩化炭素を実質的に含む、例えば有機化合物を、流れ114’から除去するのに、その他の分離(例えば、蒸留)を受ける必要がない。上記にて示唆されるように、流れ114’は有利には、認識できる量未満の未反応の部分的に塩素化されたクロロメタンおよび/またはより重い有機化合物を含む。
【0092】
1つまたは複数の実施形態では、クロロメタンプロセス112、光塩素化プロセス114、および後続の合成プロセス116は、同じ化学施設に位置付けられてもよい。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタンプロセス112、光塩素化プロセス114、および後続の合成プロセス116は、連続的に操作され得る。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタンプロセス112、光塩素化プロセス114、および後続の合成プロセス116は、互いに20マイル以内、その他の実施形態では10マイル以内、その他の実施形態では5マイル以内、その他の実施形態では1マイル以内、およびその他の実施形態では0.5マイル以内にあってもよい。1つまたは複数の実施形態では、クロロメタンプロセス112、光塩素化プロセス114、および後続の合成プロセス116は、固定されたパイプラインによって連結されている。これを第1の槽で引き起こされるクロロメタンプロセス112、第2の槽で引き起こされる光塩素化プロセス114、および第3の槽で引き起こされる後続の合成プロセス116と呼んでもよく、第1の槽、第2の槽および第3の槽は、固定されたパイプラインにより連結されている。
特定の実施形態
【0093】
下記の実施形態は、本開示に従い提供される。
【0094】
パラグラフA:クロロホルムと、初期四塩化炭素と、塩化メチルおよび塩化メチレンのうちの少なくとも1種とを含む、クロロメタン流を用意することと;クロロメタン流を、塩素および追加の四塩化炭素と合わせて反応混合物を形成することであって、この反応混合物が、クロロホルムならびに塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種に対して少なくとも化学量論レベルの塩素を含むものであることと;この反応混合物に電磁放射線を導入し、反応混合物を、塩素をクロロホルムならびに塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種と反応させるのに適した条件に供し、それによって生成物である四塩化炭素を形成すること;および導入するステップの後に生成物流を収集することとを含む、方法。
【0095】
パラグラフB:クロロメタン流が、約99.0から約100重量%の、クロロホルム、初期四塩化炭素、ならびに塩化メチルおよび塩化メチレンのうち少なくとも1種を含む、パラグラフAの方法。
【0096】
パラグラフC:生成物流が、2,500ppm(重量百万分率)未満の、四塩化炭素以外の塩素化炭化水素を含む、パラグラフAまたはパラグラフBのいずれかの方法。
【0097】
パラグラフD:反応混合物中の、クロロホルムと塩化メチルおよび塩化メチレンのうちの少なくとも1種との濃度が、反応混合物の重量に対して50,000重量ppm未満である、パラグラフAからパラグラフCまでのいずれかの方法。
【0098】
パラグラフE:生成物流を、オレフィン、触媒、およびキレート剤と合わせ、それによって生成物流中の四塩化炭素をオレフィンと反応させるステップをさらに含む、パラグラフAからパラグラフDまでのいずれかの方法。
【0099】
パラグラフF:オレフィンが、エチレンまたは塩化ビニルを含み、触媒が鉄を含み、キレート剤がトリブチルホスフェートを含む、パラグラフAからパラグラフEまでのいずれかの方法。
【0100】
パラグラフG:クロロメタン流が塩化メチレンを含む、パラグラフAからパラグラフFまでのいずれかの方法。
【0101】
パラグラフH:適切な反応条件下でメタノールを塩化水素と合わせ、それによって初期塩化メチルを形成するステップをさらに含む、パラグラフAからパラグラフGまでのいずれかの方法。
【0102】
パラグラフI:適切な反応条件下で初期塩化メチルを塩素と合わせ、それによって塩化メチレン、クロロホルム、および初期四塩化炭素を形成するステップをさらに含む、パラグラフAからパラグラフHまでのいずれかの方法。
【0103】
パラグラフJ:クロロメタン流が、塩化メチルおよび塩化メチレンの両方を含む、パラグラフAからパラグラフIまでのいずれかの方法。
【0104】
パラグラフK:適切な反応条件下でメタンを塩素と合わせ、それによって塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および初期四塩化炭素を形成するステップをさらに含む、パラグラフAからパラグラフJまでのいずれかの方法。
【0105】
パラグラフL:電磁放射線が、約30nmの帯域に及ぶ波長を有する、パラグラフAからパラグラフKまでのいずれかの方法。
【0106】
パラグラフM:電磁放射線が発光ダイオードにより供給される、パラグラフAからパラグラフLまでのいずれかの方法。
【0107】
パラグラフN:塩素から鉄を濾過するステップをさらに含む、パラグラフAからパラグラフMのいずれかの方法。
【0108】
パラグラフO:クロロメタン流が第1の槽から供給され、クロロメタン流を塩素と合わせるステップと、電磁放射線を導入するステップとが、第2の槽内で引き起こされ、生成物流をオレフィンと合わせるステップが第3の槽内で引き起こされる、パラグラフAからパラグラフNまでのいずれかの方法。
【0109】
パラグラフP:第1の槽、第2の槽、および第3の槽が、固定されたパイプラインにより連結されている、パラグラフAからパラグラフOまでのいずれかの方法。
【0110】
パラグラフQ:クロロメタン流を塩素と合わせるステップが、クロロホルムと、塩化メチルおよび塩化メチレンのうちの少なくとも1種との合計に対して少なくとも5%から40%未満のモル過剰率で塩素を供給することを含む、パラグラフAからパラグラフPまでのいずれかの方法。
【0111】
パラグラフR:生成物流が、1000ppm未満のヘキサクロロエタンを含む、パラグラフAからパラグラフQのいずれかの方法。
【0112】
パラグラフS:クロロメタン流を塩素と合わせるステップが、クロロホルムの99.00%超を消費する、パラグラフAからパラグラフRまでのいずれかの方法。
【0113】
パラグラフT:生成物流をオレフィンと合わせるステップの前に、有機化合物を生成物流から除去するステップを含まない、パラグラフAからパラグラフSまでのいずれかの方法。
【0114】
パラグラフU:クロロメタン流が、約99.5から約100重量%の塩化メチル、塩化メチレン、クロロホルム、および初期四塩化炭素を含む、パラグラフAからパラグラフTまでのいずれかの方法。
【0115】
パラグラフV:クロロメタン流を塩素と合わせるステップの前に、クロロメタンを分離するステップを含まない、パラグラフAからパラグラフUまでのいずれかの方法。
【0116】
パラグラフW:生成物流が塩素および塩酸を含み、方法が、追加の量のクロロメタン流で、塩素および塩酸を生成物流からスクラビングする(洗浄する)ステップをさらに含む、パラグラフAからパラグラフVまでのいずれかの方法。
【0117】
パラグラフX:クロロメタン流を塩素と合わせるステップが、反応混合物中のクロロホルムと、塩化メチルおよび塩化メチレンのうちの少なくとも1種との合計に対して10%のモル過剰率から30%のモル過剰率で、塩素を反応器に導入することを含む、パラグラフAからパラグラフWのいずれかの方法。
【0118】
パラグラフY:方法が、反応混合物を機械式撹拌器で撹拌するステップを含まない、パラグラフAからパラグラフXまでのいずれかの方法。
【0119】
パラグラフZ:塩素供給流が、1000ppm未満の、塩素以外の構成成分を含む、パラグラフAからパラグラフYまでのいずれかの方法。
【0120】
パラグラフAA:反応器および/またはそのある特定の構成要素(例えば、撹拌要素)が、ニッケル-銅をベースにする合金から作製され、および/または鉄をベースにする材料およびステンレス鋼材料の使用を回避する、パラグラフAからパラグラフZまでのいずれかの方法。
【0121】
パラグラフAB:反応器および/またはそのある特定の構成要素(例えば、撹拌要素)が、鉄をベースにする材料の使用を回避する、パラグラフAからパラグラフAAまでのいずれかの方法。
【0122】
パラグラフAC:反応器および/またはそのある特定の構成要素(例えば、撹拌要素)が、ステンレス鋼材料の使用を回避する、パラグラフAからパラグラフABのいずれかの方法。
【0123】
本発明の範囲および精神から逸脱しない様々な修正例および変更例が、当業者に明らかにされよう。本発明は、本明細書に記述される例示的な実施形態に正当に限定されるものではない。
【国際調査報告】