(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】脊髄性筋萎縮症の識別のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6883 20180101AFI20220224BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20220224BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20220224BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220224BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20220224BHJP
【FI】
C12Q1/6883 Z ZNA
C12Q1/6844 Z
C12M1/00 A
C12M1/34 Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540150
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 US2020012773
(87)【国際公開番号】W WO2020146519
(87)【国際公開日】2020-07-16
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521302065
【氏名又は名称】コヨーテ バイオサイエンス ユーエスエー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521302076
【氏名又は名称】デイバー, ロバート
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デイバー, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】シャラー, ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】チン, ジーザス
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B029FA15
4B029GB10
4B063QA08
4B063QA18
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4B063QQ52
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、被験体における脊髄性筋萎縮症(SMA)を識別するか、被験体をSMAのキャリアと識別するためのキット、方法、およびシステムを提供する。本開示は、RNA分子およびDNA分子などの核酸を効率的に増幅するための方法およびシステムを提供する。増幅された核酸産物を、迅速かつ遺伝子状態の検出のための遺伝子マーカーまたはコピー数の検出が可能な良好な感度で検出することができる。さらに、本明細書中に記載の方法およびシステムを、脊髄性筋萎縮症(SMA)の識別、検出、診断、処置、および/または管理、ならびに子孫がSMAに罹患するリスクが高い非罹患個体における遺伝子シグネチャー(単数または複数)の識別において実施することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の核酸試料中の脊髄性筋萎縮症(SMA)に関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別するためのキットであって、
プローブセットであって、
前記被験体の前記核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ;
前記第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ;
前記核酸試料の第2の遺伝子座の前記SMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が前記第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ;および
前記第2の遺伝子座の前記SMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブ
を含む、プローブセット;および
少なくとも90%の正確度で前記SMAに関連する前記遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別するための前記プローブセットの使用説明書
を含む、キット。
【請求項2】
前記SMN1遺伝子の遺伝子異常が2コピーハプロタイプである、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記プローブセットが、対照シグナルを提供するように構成されている第5のプローブをさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項4】
前記対照シグナルが光学的シグナルである、請求項3に記載のキット。
【請求項5】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブが、定量的ポリメラーゼ連鎖反応プローブである、請求項1に記載のキット。
【請求項6】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブが、加水分解プローブである、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記加水分解プローブが、TaqMan(商標)プローブである、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブが、モレキュラービーコンである、請求項1に記載のキット。
【請求項9】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブが、前記第1の遺伝子座および前記第2の遺伝子座で核酸増幅反応を行うためのプライマーである、請求項1に記載のキット。
【請求項10】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブが、異なるシグナルを発するように構成されている、請求項1に記載のキット。
【請求項11】
前記異なるシグナルが異なる光学的シグナルである、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つが、少なくとも1つのロックド核酸を含む、請求項1に記載のキット。
【請求項13】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つが、少なくとも2つのロックド核酸を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つが、少なくとも3つのロックド核酸を含む、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つが、少なくとも4つのロックド核酸を含む、請求項14に記載のキット。
【請求項16】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つが、少なくとも5つのロックド核酸を含む、請求項15に記載のキット。
【請求項17】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも2つの各々が、少なくとも1つのロックド核酸を含む、請求項12に記載のキット。
【請求項18】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも3つの各々が、少なくとも1つのロックド核酸を含む、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブの各々が、少なくとも1つのロックド核酸を含む、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
前記核酸試料が、染色体または前記染色体の誘導体である、請求項1に記載のキット。
【請求項21】
前記説明書が、ユーザーに、(i)単一の容器内に、前記被験体の核酸試料、重合酵素、および前記プローブセットを含む反応混合物を提供すること、(ii)前記単一の容器内の前記反応混合物を、前記第1の遺伝子座および前記第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供すること、(iii)前記複数のアンプリコンを検出すること、および(iv)(c)で検出された前記複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、前記被験体中の前記SMAを少なくとも90%の正確度で識別することを指示する、請求項1に記載のキット。
【請求項22】
前記説明書が、前記ユーザーに、(i)SMN1のコピー数または(ii)前記SMN1遺伝子の前記遺伝子異常を識別して、前記少なくとも90%の正確度でSMAに関連する前記遺伝子シグネチャーを識別することを指示する、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
前記説明書が、前記ユーザーに、(i)SMN1のコピー数および(ii)前記SMN1遺伝子の前記遺伝子異常を識別して、前記少なくとも90%の正確度でSMAに関連する前記遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別することを指示する、請求項22に記載のキット。
【請求項24】
被験体の核酸試料中の脊髄性筋萎縮症(SMA)に関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別する方法であって、
(a)単一の容器内に、前記被験体の前記核酸試料、重合酵素、およびプローブセットを含む反応混合物を提供する工程であって、前記プローブセットがが、(i)前記核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ、(ii)前記第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ、(iii)前記核酸試料の第2の遺伝子座の前記SMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が前記第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ、および(iv)前記第2の遺伝子座の前記SMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブ
を含む、提供する工程;
(b)前記単一の容器内の前記反応混合物を、前記第1の遺伝子座および前記第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供する工程;
(c)前記複数のアンプリコンを検出する工程;および
(d)(c)で検出された前記複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、(i)SMAに関連する前記遺伝子シグネチャー(単数または複数)を少なくとも90%の正確度で識別する工程
を含む、方法。
【請求項25】
前記SMN1遺伝子の前記遺伝子異常が2コピーハプロタイプである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
(d)が、(i)SMN1中のコピー数または(ii)前記SMN1遺伝子の前記遺伝子異常を識別することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
(d)が、(i)SMN1中のコピー数および(ii)前記SMN1遺伝子の前記遺伝子異常を識別することを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
(c)が、前記第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブに対応する複数の強度を測定することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記複数の強度を対照プローブ由来の強度に対して測定する工程をさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
(b)が、前記第1の遺伝子座および前記第2の遺伝子座において前記核酸試料に対してポリメラーゼ連鎖反応を行うことを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記反応混合物が、前記第1の遺伝子座および前記第2の遺伝子座を標的にするプライマーを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記核酸試料が染色体または前記染色体の誘導体である、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記核酸試料を、前記被験体から得、いかなる濾過、抽出、精製も行わずに前記単一の容器内に提供する、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記正確度が少なくとも95%である、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記正確度が少なくとも98%である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記検出する工程が、前記複数のアンプリコンに対応する光学的シグナルを検出することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記光学的シグナルが蛍光シグナルである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
被験体の核酸試料中のSMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別するためのシステムであって、
単一の容器であって、前記被験体の前記核酸試料、重合酵素、およびプローブセットを含む反応混合物であって、前記プローブセットがが、(i)前記核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ、(ii)前記第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ、(iii)前記核酸試料の第2の遺伝子座の前記SMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が前記第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ、および(iv)前記第2の遺伝子座の前記SMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブを含む、反応混合物を含むように構成されている、単一の容器;
前記単一の容器に動作可能に連結された検出器;および
前記単一の容器に動作可能に連結された1またはそれを超えるコンピュータプロセッサであって、前記1またはそれを超えるコンピュータプロセッサが、(i)前記単一の容器内の前記反応混合物を、前記第1の遺伝子座および前記第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供し;(ii)前記複数のアンプリコンを検出するために前記検出器を使用し;(iii)(ii)で検出された前記複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、SMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を少なくとも90%の正確度で識別するように個別または集合的にプログラムされている、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサ
を含む、システム。
【請求項39】
前記SMN1遺伝子の前記遺伝子異常が2コピーハプロタイプである、請求項38に記載のシステム。
【請求項40】
前記1またはそれを超えるコンピュータプロセッサが、(i)SMN1中のコピー数または(ii)前記SMN1遺伝子の前記遺伝子異常を識別するように個別または集合的にプログラムされている、請求項38に記載のシステム。
【請求項41】
前記1またはそれを超えるコンピュータプロセッサが、(i)SMN1中のコピー数および(ii)前記SMN1遺伝子の前記遺伝子異常を識別するように個別または集合的にプログラムされている、請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記検出器が光学的検出器である、請求項38に記載のシステム。
【請求項43】
前記単一の容器との熱伝達における加熱装置をさらに含み、前記1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、前記複数のアンプリコンを生成するために、前記加熱装置が前記反応混合物を1回またはそれを超える加熱冷却サイクルに供するように指示するよう個別または集合的にプログラムされている、請求項38に記載のシステム。
【請求項44】
前記単一の容器との熱伝達における加熱装置をさらに含み、前記1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、前記加熱装置が、前記反応混合物を加熱に供して、前記複数のアンプリコンを生成するように指示するよう個別または集合的にプログラムされている、請求項38に記載のシステム。
【請求項45】
前記加熱が等温加熱である、請求項44に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年1月9日出願の米国仮出願第62/790,430号(この出願は、その全体が本明細書中で参考として援用される)に基づく利益を主張する。
背景
核酸増幅法は、生物試料などの複雑な混合物由来の目的の核酸を選択的に増幅および識別することが可能である。生物試料中の核酸を検出するために、生物試料を、典型的には、生物試料の他の成分ならびに核酸および/または増幅を妨害し得る他の作用因子から核酸を単離するように処理する。生物試料からの目的の核酸の単離後、目的の核酸を、例えば、熱サイクリングベースのアプローチ(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR))などの増幅法を介して増幅することができる。目的の核酸の増幅後、増幅産物を検出し、検出結果をエンドユーザーが解析することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
要旨
本開示は、RNA分子およびDNA分子などの核酸を効率的に増幅するための方法およびシステムを提供する。増幅された核酸産物を、迅速かつ遺伝子状態の検出のための遺伝子マーカーまたはコピー数の検出が可能な良好な感度で検出することができる。さらに、本明細書中に記載の方法およびシステムを、脊髄性筋萎縮症(SMA)の識別、検出、診断、処置、および/または管理、ならびに子孫がSMAに罹患するリスクが高い非罹患個体における遺伝子シグネチャー(単数または複数)の識別において実施することができる。本開示のキット、方法、およびシステムは、SMAの指標となるが、場合によっては、それ自体では診断できないマーカーを識別し得る(例えば、医師は、本開示の方法またはシステムから得られた報告を使用して診断することができる)。SMAは、運動ニューロンの機能喪失に関連する運動障害を引き起こし、全身の筋肉(四肢または呼吸器系が含まれる)に影響を及ぼし得る神経筋障害である。
【0003】
1つの態様では、本開示は、被験体の核酸試料中の脊髄性筋萎縮症(SMA)に関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別する方法であって、(a)単一の容器内に、被験体の核酸試料、重合酵素、およびプローブセットを含む反応混合物を提供する工程であって、前記プローブセットが、(i)核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ、(ii)第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ、(iii)核酸試料の第2の遺伝子座のSMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ、および(iv)第2の遺伝子座のSMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブを含む、提供する工程;(b)単一の容器内の反応混合物を、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供する工程;(c)複数のアンプリコンを検出する工程;および(d)(c)で検出された複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、(i)SMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を少なくとも90%の正確度で識別する工程を含む、方法を提供する。
【0004】
いくつかの実施形態では、方法は、(d)において、(i)SMN1中のコピー数または(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、(d)において、(i)SMN1中のコピー数および(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別することを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、方法は、(c)において、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブに対応する複数の強度を測定することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、複数の強度を対照プローブ由来の強度に対して測定する工程をさらに含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、方法は、(b)において、核酸試料の第1の遺伝子座および第2の遺伝子座に対してポリメラーゼ連鎖反応を行うことを含む。いくつかの実施形態では、反応混合物は、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座を標的にするプライマーを含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、検出する工程は、複数のアンプリコンに対応する光学的シグナルを検出することを含む。いくつかの実施形態では、光学的シグナルは蛍光シグナルである。
【0008】
別の態様では、本開示は、被験体の核酸試料中の脊髄性筋萎縮症(SMA)に関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別するためのシステムであって、(a)被験体の核酸試料、重合酵素、およびプローブセットを含む反応混合物を含むように構成されている単一の容器であって、前記プローブセットが、(i)核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ、(ii)第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ、(iii)核酸試料の第2の遺伝子座のSMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ、および(iv)第2の遺伝子座のSMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブを含む、単一の容器;(b)単一の容器に動作可能に連結された検出器;および(c)単一の容器に動作可能に連結された1またはそれを超えるコンピュータプロセッサであって、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサが、(i)単一の容器内の反応混合物を、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供し;(ii)複数のアンプリコンを検出するための検出器を使用し;(iii)(ii)で検出された複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、SMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を少なくとも90%の正確度で識別するように個別または集合的にプログラムされている、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサを含む、システムを提供する。
【0009】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、(i)SMN1中のコピー数または(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別するように個別または集合的にプログラムされている。いくつかの実施形態では、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、(i)SMN1中のコピー数および(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別するように個別または集合的にプログラムされている。
【0010】
いくつかの実施形態では、検出器は光学的検出器である。
【0011】
いくつかの実施形態では、システムは、単一の容器との熱伝達における加熱装置をさらに含む。いくつかの実施形態では、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、複数のアンプリコンを生成するために、加熱装置が、反応混合物を1回またはそれを超える加熱冷却サイクルに供するように指示するよう個別または集合的にプログラムされている。
【0012】
いくつかの実施形態では、システムは、単一の容器との熱伝達における加熱装置をさらに含み、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、複数のアンプリコンを生成するために、加熱装置が反応混合物を加熱に供するように指示するよう個別または集合的にプログラムされている。
【0013】
いくつかの実施形態では、加熱は等温加熱である。
【0014】
いくつかの実施形態では、核酸試料を被験体から得、いかなる濾過、抽出、精製も行わずに単一の容器内に提供する。
【0015】
いくつかの実施形態では、核酸試料は、染色体または染色体の誘導体である。
【0016】
さらに別の態様では、本開示は、被験体の核酸試料中の脊髄性筋萎縮症(SMA)に関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別するためのキットであって、プローブセットであって、(a)被験体の核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ;(b)第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ;(c)核酸試料の第2の遺伝子座のSMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ;および(d)第2の遺伝子座のSMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブを含むプローブセット;ならびに(e)少なくとも90%の正確度で前記SMAに関連する前記遺伝子シグネチャーを識別するためのプローブセットの使用説明書を含む、キットを提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、説明書は、ユーザーに、(i)単一の容器内に、被験体の核酸試料、重合酵素、およびプローブセットを含む反応混合物を提供すること、(ii)単一の容器内の反応混合物を、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供すること、(iii)複数のアンプリコンを検出すること、および(iv)(c)で検出された複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、被験体中のSMAを少なくとも90%の正確度で識別することを指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、ユーザーに、(i)SMN1のコピー数または(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別して、少なくとも90%の正確度でSMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別することを指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、ユーザーに、(i)SMN1のコピー数および(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別して、少なくとも90%の正確度でSMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を識別することを指示する。
【0018】
いくつかの実施形態では、SMN1遺伝子の遺伝子異常は、2コピーハプロタイプである。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記プローブセットは、対照シグナルを提供するように構成されている第5のプローブをさらに含む。いくつかの実施形態では、対照シグナルは光学的シグナルである。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、定量的ポリメラーゼ連鎖(qPCR)反応プローブである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、加水分解プローブである。いくつかの実施形態では、加水分解プローブは、TaqMan(商標)プローブである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、モレキュラービーコンである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座で核酸増幅反応を行うためのプライマーである。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、異なるシグナルを発するように構成されている。いくつかの実施形態では、異なるシグナルは異なる光学的シグナルである。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのロックド核酸(LNA)を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも3つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも4つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも5つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも6つのロックド核酸を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも2つの各々は、少なくとも1つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも3つの各々は、少なくとも1つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブの各々は、少なくとも1つのロックド核酸を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、正確度は少なくとも95%である。いくつかの実施形態では、正確度は少なくとも98%である。
【0025】
本開示の別の態様は、実行の際に1またはそれを超えるコンピュータプロセッサによって、上記または本明細書中の他の場所に記載の方法のいずれかを実装するマシン実行可能コードを含む非一過性コンピュータ可読媒体を提供する。
【0026】
本開示の別の態様は、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサおよびこれに連結された内部記憶装置を含むシステムを提供する。内部記憶装置は、実行の際に1またはそれを超えるコンピュータプロセッサによって、上記または本明細書中の他の場所に記載の方法のいずれかを実装するマシン実行可能コードを含む。
【0027】
本開示のさらなる態様および利点は、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかとなるであろう。詳細な説明では、本開示の例示的な実施形態のみを表示および記載する。理解されるように、本開示は、他の実施形態および異なる実施形態が可能であり、そのいくつかの詳細は種々の明らかな観点から修正が可能であり、これらは全て本開示を逸脱しない。従って、図面および説明は実質的に例示的なものであり、制限的なものではないと見なされる。
【0028】
参照による援用
本明細書中で言及した全ての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも各々の刊行物、特許、または特許出願が参考として援用されることを具体的かつ個別に示しているのと同じ程度に、本明細書中で参考として援用される。
【0029】
本発明の新規の特徴を、特に添付の特許請求の範囲に記載する。本発明の原理を利用した例示的な実施形態を記載している以下の詳細な説明、および以下の添付の図面(本明細書中で、「図(Figure)」および「図(Fig.)」とも示される)を参照して、本発明の特徴および利点がより深く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本開示のシステムの例を示す概要図である。
【0031】
【
図2】
図2は、SMN1およびSMN2のコピー数を検出し、2コピーハプロタイプを検出するためのアッセイ例の概略図を示す。
【0032】
【
図3-1】
図3A、3B、および3Cは、SMN1遺伝子のコピー数および2コピーハプロタイプを含む、一連の核酸試料を使用した実施例1に記載の核酸増幅反応のモニタリング例の結果を示すグラフである。
【0033】
【
図4】
図4は、核酸試料がSMN1遺伝子を含まない、実施例1に記載の核酸増幅反応例の結果を示すグラフである。
【0034】
【
図5】
図5は、2コピーハプロタイプを含むか欠く試料の一般的なシグナルの2軸チャートを示す。
【0035】
【
図6】
図6は、2コピーハプロタイプを検出するための核酸増幅反応のモニタリング例の結果を示すグラフである。
【0036】
【
図7】
図7は、ユーザーインターフェイスの例を有する電子ディスプレイの例の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の種々の実施形態が本明細書に表示および記載されているが、そのような実施形態は例示のために提供されているに過ぎないことは、当業者には明白であろう。当業者により、本発明から逸脱せずに多数の改変、変更、および置換が起想され得る。本明細書に記載の本発明の実施形態の種々の代替形態を用いることができることが理解されるべきである。
【0038】
本明細書中および特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈によりそうでないことが明確に規定されない限り、複数形を含む。例えば、用途「a cell」には、複数の細胞(その混合物が含まれる)が含まれる。
【0039】
本明細書中で使用される場合、用語「増幅(amplifying)」および「増幅(amplification)」は、互換的に使用され、一般に、核酸の「増幅産物」または「アンプリコン」の1またはそれを超えるコピーの生成を指す。用語「増幅産物」および「アンプリコン」を互換的に使用してよい。用語「DNA増幅」は、一般に、DNA分子または「DNA増幅産物」の1またはそれを超えるコピーの生成を指す。
【0040】
本明細書中で使用される場合、用語「閾値到達サイクル」または「Ct」は、一般に、増幅産物に起因する検出可能なシグナルの増加がサーモサイクリング中にバックグラウンドシグナルを超える統計的に有意なレベルに到達するサイクルを指す。
【0041】
本明細書中で使用される場合、用語「変性(denaturing)」および「変性(denaturation)」は、互換的に使用され、一般に、全体または一部の、二本鎖核酸のヘリックス構造の巻き戻し、いくつかの場合、一本鎖核酸の二次構造の巻き戻しを指す。変性には、病原体の細胞壁(単数または複数)またはウイルスのシェルの不活化、および阻害剤のタンパク質(単数または複数)の不活化が含まれ得る。変性が起こり得る条件には、一般に変性が起こり得る温度を指す「変性温度」および一般に変性が起こるために割り当てられた時間を指す「変性期間」が含まれる。
【0042】
本明細書中で使用される場合、用語「延長」は、一般に、テンプレートに指示される様式でのヌクレオチドの核酸への組み込みを指す。延長は、例えば、ポリメラーゼまたは逆転写酵素などの酵素によって生じ得る。延長が生じ得る条件には、一般に延長が生じ得る温度を指す「延長温度」および一般に延長が起こるために割り当てられた時間を指す「延長時間」が含まれる。
【0043】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」は、一般に、多量体形態の任意の長さのヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチド(dNTP)またはリボヌクレオチド(rNTP)のいずれか)、またはそのアナログを指す。核酸は、あらゆる3次元構造も有してもよく、公知か未知かに関わらず、あらゆる機能を発揮してもよい。核酸の非限定的な例としては、DNA、RNA、遺伝子または遺伝子断片のコードまたは非コード領域、連鎖解析で規定された遺伝子座、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマーが挙げられる。核酸は、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体などのうちの1またはそれを超える改変ヌクレオチドを含んでもよい。ヌクレオチド構造は、改変が存在するならば、核酸構築の前または後に改変されてもよい。核酸のヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断されてもよい。核酸は、レポーター剤とのコンジュゲーションまたは結合などによって、重合後にさらに改変されてもよい。
【0044】
本明細書中で使用される場合、用語「プライマー伸長反応」は、一般に、二本鎖核酸の変性、変性された核酸の一方または両方の鎖へのプライマーの結合、その後のプライマー(単数または複数)の延長を指す。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「反応混合物」は、一般に、核酸増幅(例えば、DNA増幅、RNA増幅)を完了するために使用される試薬を含む組成物を指し、かかる試薬の非限定的な例には、標的RNAまたは標的DNAに特異性を有するプライマーセット、RNAの逆転写から産生されたDNA、DNAポリメラーゼ、逆転写酵素(例えば、RNAの逆転写用)、適切な緩衝液(双性イオン性緩衝液が含まれる)、補因子(例えば、二価および一価のカチオン)、dNTP、および他の酵素(例えば、ウラシル-DNAグルコシラーゼ(UNG))など)が含まれる。いくつかの場合、反応混合物は、1またはそれを超えるレポーター剤も含むことができる。
【0046】
本明細書中で使用される場合、「レポーター剤」は、一般に、検出可能なシグナルを生成する組成物を指し、その有無を使用して増幅産物の存在を検出することができる。
【0047】
本明細書中で使用される場合、用語「標的核酸」は、一般に、ヌクレオチド配列を有し、前述のヌクレオチド配列の存在、量、および/もしくは配列、またはこれらのうちの1またはそれを超える変化を判定されることが望まれる核酸分子の出発集団中の核酸分子を指す。標的核酸は、任意の核酸型(DNA、RNA、およびその類似体が含まれる)であり得る。本明細書中で使用される場合、「標的リボ核酸(RNA)」は、一般に、RNAである標的核酸を指す。本明細書中で使用される場合、「標的デオキシリボ核酸(DNA)」は、一般に、DNAである標的核酸を指す。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「被験体」は、一般に、試験可能または検出可能な遺伝情報を有する実態または媒体を指す。被験体は、ヒトまたは個体であり得る。被験体は、脊椎動物(例えば、哺乳動物など)であり得る。哺乳動物の非限定的な例には、マウス、サル、ヒト、家畜、競技用動物、およびペットが含まれる。被験体の他の例には、食物、植物、土壌、および水が含まれる。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「ロックド核酸」または「LNA」は、一般に、修飾ヌクレオチドの代わりに未修飾ヌクレオチドが使用された核酸のハイブリッド形成の際の熱力学的安定性と比較して、ハイブリッド形成の際の熱力学的安定性がより高いヌクレオチドを含む核酸を指す。ロックド核酸は、核酸をハイブリッド形成に好ましい配座に「ロックする」さらなる結合および原子を含み得る。さらなる結合および原子は、例えば、リボースの2’酸素および4’炭素を架橋するさらなる結合および原子であり得る。
【0050】
本明細書中で使用される場合、用語「プローブ」は、ハイブリッド形成または結合相互作用を介して配列を検出可能な核酸分子を指す。プローブは、ハイブリッド形成または結合相互作用を検出可能なレポーター剤を含み得る。プローブは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100、またはそれを超えるヌクレオチド長であり得る。プローブは、最大で100、90、80、70、60、50、40、30、20、18、16、14、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、またはそれ未満のヌクレオチド長であり得る。
【0051】
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子異常」は、一般に、基準となる健康な個体または野生型の試料のDNA配列と比較した個体の遺伝子または染色体のDNA配列の相違を指す。遺伝子異常は、例えば、染色体の核酸配列の点変異、挿入、欠失、転位、遺伝子重複、または他の変化であり得る。遺伝子異常は、例えば、遺伝子の発現レベルの変化、遺伝子にコードされたポリペプチド配列の変化、遺伝子にコードされたポリペプチド機能の変化、または遺伝子にコードされたポリペプチド機能の喪失を生じ得る。ある遺伝子異常の影響が別の遺伝子異常によって相殺されるような複数の遺伝子異常が生じ得る。例えば、遺伝子欠損が生じる場合があり、この遺伝子欠損は、遺伝子発現が全体としては不変なような異なるコピーまたは類似の遺伝子の遺伝子変異を伴う。遺伝子異常は、例えば、健康に見える個体の染色体内に依然として存在する場合があり、この遺伝子異常は、遺伝子材料が子孫に伝わったときに疾患または障害の形態でより明らかとなる。
【0052】
本明細書中で使用される場合、用語「ハプロタイプ」は、一般に、共に親から遺伝子するか、共に親から伝えられる対立遺伝子群を指す。この対立遺伝子群は、例えば、染色体内で相互に隣接するため、共に伝達される。
【0053】
本明細書中で使用される場合、用語「2コピーハプロタイプ」は、一般に、染色体の同一コピー上に見出されるSMN1遺伝子の少なくとも2つのコピーを含むハプロタイプを指す。この2コピーハプロタイプは、例えば、同一染色体上に2コピーのSMN1遺伝子が生じる遺伝子重複事象、遺伝子挿入、または遺伝子変異の結果であり得る。いくつかの場合、2コピーハプロタイプは、マルチコピーハプロタイプ(例えば、3またはそれを超える)であり得る。
【0054】
本明細書中で使用される場合、用語「キャリア」は、一般に、疾患または障害の原因となるか相関する対立遺伝子または遺伝子の異常を有する個体を指す。個体は、健康で疾患の形質または症状を示さないようである。個体は、対立遺伝子を個体の子孫に伝えることができ、この子孫は疾患または障害の形質または症状を示し得る。2コピーハプロタイプのキャリアは、例えば、健康でSMAの症状を示さないようである。キャリアの子孫は、SMAと相関する遺伝子座を伝達するため、SMAの症状を示し得る。
【0055】
用語「少なくとも」、「~より多い」、または「~またはそれを超える」が2またはそれを超える一連の数値の最初の数値に先行する場合はいつでも、用語「少なくとも」、「~より多い」、または「~より多いか等しい」は、前述の一連の数値の各々の数値に適用される。例えば、1、2、または3またはそれを超える数値は、1またはそれを超える数値、2またはそれを超える数値、または3またはそれを超える数値に等しい。
【0056】
用語「~以下」、「~未満」、「~またはそれ未満」が2またはそれを超える一連の数値の最初の数値に先行する場合はいつでも、用語「~以下」、「~未満」、「~またはそれ未満」は、前述の一連の数値の各々の数値に適用される。例えば、3、2、または1またはそれ未満の数値は、3またはそれ未満の数値、2またはそれ未満の数値、または1またはそれ未満の数値に等しい。
【0057】
被験体(例えば、ヒト)における脊髄性筋萎縮症(SMA)は、SMN1遺伝子に関連する遺伝子欠損によって引き起こされ得る。遺伝子欠損により、SMN1タンパク質が欠損し得る。SMN1遺伝子の変異により非機能性のSMN1遺伝子が生じ、それにより非機能性のSMN1タンパク質が産生され得る。さらに、SMAを有する被験体は、SMN1遺伝子を完全に喪失し得る。SMN1の遺伝子バリアントおよびコピー数の検出は、被験体におけるSMAの識別または被験体がSMAのキャリアであるかどうかの判定に役立ち得る。また、健康に見える被験体は、「サイレント」または(2-0)対立遺伝子によってSMAのキャリアであり得る。被験体は、十分な数のSMN1遺伝子(例えば、各染色体上に1つ)を有し、1つのコピーを子孫に伝え得る。しかしながら、被験体は、ある染色体上に2つのコピーを有し、その他の染色体上に0個のコピーを有する場合もある。この被験体は、遺伝子を子孫に伝える場合、0個のコピーを含む染色体セグメントを伝え、従って、子孫が第2の親に由来する欠損染色体を遺伝する場合に、子孫はSMAを発症し得る。
【0058】
さらに、SMN1遺伝子の存在を検出する場合、SMN1遺伝子をSMN2遺伝子と区別することが困難な場合がある。SMN2遺伝子は、SMN1遺伝子と密接に関連し、配列相同性が高い。例えば、野生型のSMN1およびSMN2遺伝子は、数個のヌクレオチドしか異ならない場合がある。SMN1とSMN2は類似しているので、SMN1とSMN2のコピー数を正確に判定することは困難である。2コピーハプロタイプを示すハプロタイプの検出は、2コピーハプロタイプを有するものと持たないものの配列が類似するので、同様の検出上の困難があり得る。従って、SMN1およびSMN2の両方についての2コピーハプロタイプのキャリアの正確な識別およびコピー数の正確な判定に関心が寄せられている。
【0059】
1つの態様では、本開示は、被験体における脊髄性筋萎縮症(SMA)に関連する遺伝子シグネチャーを識別するか、被験体をSMAのキャリアと識別するためのキットを提供する。キットは、プローブセットを含み得る。前記プローブセットは、被験体の核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ;第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ;核酸試料の第2の遺伝子座のSMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ;および第2の遺伝子座のSMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブを含み得る。キットは、少なくとも90%の正確度で被験体におけるSMAを識別するためのプローブセットの使用説明書を含み得る。前記プローブセットは、凍結乾燥形式であり得る。キットは、プローブセットおよびさらなる試薬(塩、緩衝液、糖、酵素、プライマー、ヌクレオチド、またはこれらの組み合わせを含む)を含み得る。キットは、プローブセットおよびさらなる試薬を含み得、前記プローブセットおよびさらなる試薬は単一の容器内に提供される。前記プローブセットおよびさらなる試薬を共に凍結乾燥させ、単一の容器内に提供することができる。キットは、凍結乾燥させた成分を再水和するための希釈剤を含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態では、説明書は、ユーザーに、(i)単一の容器内に、被験体の核酸試料、重合酵素、およびプローブセットを含む反応混合物を提供すること、(ii)単一の容器内の反応混合物を、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供すること、(iii)複数のアンプリコンを検出すること、および(iv)(c)で検出された複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、被験体中のSMAを少なくとも70%、80%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%の正確度で識別することを指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、ユーザーに、(i)SMN1中のコピー数または(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別し、それにより、被験体中のSMAを少なくとも70%、80%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%の正確度で識別することを指示する。いくつかの実施形態では、説明書は、ユーザーに、(i)SMN1中のコピー数および(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別し、それにより、被験体中のSMAを少なくとも70%、80%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%の正確度で識別することを指示する。
【0061】
1つの態様では、本開示は、被験体における脊髄性筋萎縮症(SMA)に関連する遺伝子シグネチャーを識別するか、被験体をSMAのキャリアと識別するための方法を提供する。方法は、単一の容器内に、被験体の核酸試料、重合酵素、およびプローブセットを含む反応混合物を提供する工程を含む。反応混合物は、凍結乾燥された出発形態であり得る。前記プローブセットは、核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ、第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ、核酸試料の第2の遺伝子座のSMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ、および第2の遺伝子座のSMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブを含み得る。方法は、単一の容器内の反応混合物を、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供する工程および複数のアンプリコンを検出する工程を含み得る。方法は、検出された複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、被験体におけるSMAを少なくとも90%の正確度で識別する工程を含み得る。
【0062】
方法は、核酸試料の第1の遺伝子座および第2の遺伝子座に対してポリメラーゼ連鎖反応を行うことを含み得る。反応混合物は、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座を標的にするプライマーを含み得る。方法は、第3の遺伝子座に対してポリメラーゼ連鎖反応を行う工程を含み得る。対照プローブは、第3の遺伝子座に対してポリメラーゼ反応を行うことによって生成されたアンプリコンに結合し得る。第3の遺伝子座への対照プローブのこの結合は、SMN1またはSMN2中のコピー数識別の正確度を増大させるのに寄与し得る。
【0063】
方法は、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブに対応する複数の強度を測定する工程を含み得る。方法は、対照プローブ由来の強度に対する複数の強度を測定する工程を含み得る。方法は、1、2、3、4、または5つの強度またはそれを超える強度を測定する工程を含み得る。方法は、複数の試料または容器にわたる少なくとも5、10、15、20、30、40、50、またはそれを超える強度を測定する工程を含み得る。方法は、強度を、個別、連続、または個別と連続の両方で測定する工程を含み得る。1つの例において、複数の強度のうちの少なくとも2つの強度を同時に測定する。1つの例において、複数の強度のうちの少なくとも3つの強度を同時に測定する。1つの例において、複数の強度のうちの少なくとも4つの強度を同時に測定する。1つの例において、複数の強度のうちの5つの強度を同時に測定する。いくつかの例では、強度は、各々が光の異なる波長に対応する。いくつかの例では、強度は、同一の波長に対応し得る。強度は、1つの波長または波長範囲に対応し得る。いくつかの場合、強度のある部分はある波長または波長範囲に対応し得、強度の別の部分は別の波長または波長範囲に対応する。
【0064】
方法は、SMN1中のコピー数またはSMN1遺伝子の遺伝子異常を識別する工程を含み得る。方法は、SMN1中のコピー数およびSMN1遺伝子の遺伝子異常を識別する工程を含み得る。方法は、SMN2中のコピー数を識別する工程を含み得る。いくつかの場合、SMN1中のコピー数の識別は、被験体がSMAを有することを識別するのに十分である。他の場合において、SMN1遺伝子の遺伝子異常の識別は、被験体がSMAを有することを識別するのに十分である。他の場合において、SMN1遺伝子の遺伝子異常の識別は、被験体がSMAのキャリアであることを識別するのに十分である。
【0065】
種々の態様では、方法の要素を完了するために必要な時間は、方法の特定の工程に応じて変動し得る。例えば、方法の要素を完了するための時間は、約5分間~約120分間であり得る。他の例では、方法の要素を完了するための時間は、約5分間~約60分間であり得る。他の例では、方法の要素を完了するための時間は、約5分間~約30分間であり得る。他の例では、方法の要素を完了するための時間は、120分間またはそれ未満、90分間またはそれ未満、75分間またはそれ未満、60分間またはそれ未満、45分間またはそれ未満、40分間またはそれ未満、35分間またはそれ未満、30分間またはそれ未満、25分間またはそれ未満、20分間またはそれ未満、15分間またはそれ未満、10分間またはそれ未満、または5分間またはそれ未満であり得る。
【0066】
別の態様では、本開示は、被験体における脊髄性筋萎縮症(SMA)に関連する遺伝子シグネチャーを識別するか、被験体をSMAのキャリアと識別するためのシステムを提供する。システムは、被験体の核酸試料、重合酵素、およびプローブセット(例えば、凍結乾燥形態)を含む反応混合物を含むように構成されている単一の容器を含み得る。前記プローブセットは、核酸試料の第1の遺伝子座のSMN1遺伝子に対して配列特異性を有する第1のプローブ、第1の遺伝子座のSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第2のプローブ、核酸試料の第2の遺伝子座のSMN1またはSMN2遺伝子に対して配列特異性を有する第3のプローブであって、第2の遺伝子座が第1の遺伝子座と異なる、第3のプローブ、および第2の遺伝子座のSMN1遺伝子の遺伝子異常に対して配列特異性を有する第4のプローブを含み得る。システムは、単一の容器に動作可能に連結された検出器を含み得る。システムは、単一の容器に動作可能に連結された1またはそれを超えるコンピュータプロセッサを含み得、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、単一の容器内の反応混合物を、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座に対応する複数のアンプリコンを生成するのに十分な条件に供するように個別または集合的にプログラムされている;システムは、複数のアンプリコンを検出するための検出器を使用して、検出された複数のアンプリコンに少なくとも一部基づいて、被験体におけるSMAを少なくとも90%の正確度で識別することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、検出器は光学的検出器である。光学的検出法には、蛍光測定法およびUV-可視光吸光度が含まれるが、これらに限定されない。分光学的検出法には、質量分析、核磁気共鳴(NMR)分光法、および赤外分光法が含まれるが、これらに限定されない。静電検出法には、ゲルベースの技術(例えば、ゲル電気泳動など)が含まれるが、これに限定されない。電気化学的検出法には、増幅産物の高速液体クロマトグラフィ分離後の増幅産物の電気化学的検出が含まれるが、これに限定されない。例えば、光学的検出器を使用して光の放射を検出する。光は異なる波長の光であり得、光学的検出器を、ある範囲の波長または特定の波長を検出するように設定する。いくつかの場合、光学的検出器は、各波長範囲の強度を検出することができる。各プローブは、光学的検出器がプローブを検出することができるように光学的シグナルを生成することができる。各プローブは、相互に異なる波長を放出する光学的シグナルをさらに生成することができる。光学的検出器は、シグナルを同時に検出し得る。あるいは、またはさらに、光学的検出器は、シグナルを同時に検出し得る。光学的検出器は、異なる波長のシグナルを検出し得る。光学的検出器は、特定の波長または波長範囲のシグナルを検出し得る。
【0068】
システムは、単一の容器との熱伝達における加熱装置をさらに含むことができ、ここで、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、加熱装置が、反応混合物を1回またはそれを超える加熱冷却サイクルに供して、複数のアンプリコンを生成するように指示するように個別または集合的にプログラムされている。システムは、単一の容器との熱伝達における加熱装置をさらに含み、ここで、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、加熱装置が、反応混合物を加熱に供して、複数のアンプリコンを生成するように指示するよう個別または集合的にプログラムされている。加熱装置は、等温加熱を実施し得る。
【0069】
加熱装置を使用して核酸を変性し得る。変性温度は、例えば、分析される特定の核酸試料、核酸試料の標的核酸の特定の供給源(例えば、組織内、無細胞、血漿)、使用される試薬、および/または所望の反応条件に応じて変動し得る。例えば、変性温度は約80℃~約110℃であり得る。いくつかの例では、変性温度は約90℃~約100℃であり得る。いくつかの例では、変性温度は約90℃~約97℃であり得る。いくつかの例では、変性温度は約92℃~約95℃であり得る。さらなる他の例では、変性温度は、約80°、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、または100℃であり得る。
【0070】
変性時間は、例えば、分析される特定の核酸試料、核酸試料の標的核酸の特定の供給源(例えば、組織内、無細胞、血漿)、使用される試薬、および/または所望の反応条件に応じて変動し得る。例えば、変性時間は、300秒間、240秒間、180秒間、120秒間、90秒間、60秒間、55秒間、50秒間、45秒間、40秒間、35秒間、30秒間、25秒間、20秒間、15秒間、10秒間、5秒間、2秒間、または1秒間またはそれ未満であり得る。例えば、変性時間は、120秒間、90秒間、60秒間、55秒間、50秒間、45秒間、40秒間、35秒間、30秒間、25秒間、20秒間、15秒間、10秒間、5秒間、2秒間、または1秒間以下であり得る。
【0071】
加熱装置を使用して、ポリメラーゼによる核酸の延長に適切な温度にし得る。延長温度は、例えば、分析される特定の核酸試料、核酸試料の標的核酸の特定の供給源(例えば、組織内、無細胞、血漿)、使用される試薬、および/または所望の反応条件に応じて変動し得る。例えば、延長温度は約30℃~約80℃であり得る。いくつかの例では、延長温度は約35℃~約72℃であり得る。いくつかの例では、延長温度は約45℃~約65℃であり得る。いくつかの例では、延長温度は約35℃~約65℃であり得る。いくつかの例では、延長温度は約40℃~約60℃であり得る。いくつかの例では、延長温度は約50℃~約60℃であり得る。さらなる他の例では、延長温度は、約35°、36℃、37℃、38℃、39℃、40℃、41℃、42℃、43℃、44℃、45℃、46℃、47℃、48℃、49℃、50℃、51℃、52℃、53℃、54℃、55℃、56℃、57℃、58℃、59℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃、65℃、66℃、67℃、68℃、69℃、70℃、71℃、72℃、73℃、74℃、75℃、76℃、77℃、78℃、79℃、または80℃であり得る。
【0072】
延長時間は、例えば、分析される特定の核酸試料、核酸試料の標的核酸の特定の供給源(例えば、組織内、無細胞、血漿)、使用される試薬、および/または所望の反応条件に応じて変動し得る。例えば、延長時間は、300秒間、240秒間、180秒間、120秒間、90秒間、60秒間、55秒間、50秒間、45秒間、40秒間、35秒間、30秒間、25秒間、20秒間、15秒間、10秒間、5秒間、2秒間、または1秒間またはそれ未満であり得る。例えば、延長時間は、120秒間、90秒間、60秒間、55秒間、50秒間、45秒間、40秒間、35秒間、30秒間、25秒間、20秒間、15秒間、10秒間、5秒間、2秒間、または1秒間以下であり得る。
【0073】
いくつかの実施形態では、ランピング時間(すなわち、加熱装置が一方の温度から他方の温度に移行するのにかかる時間)および/またはランピング速度は、増幅における重要な因子であり得る。例えば、増幅によって標的核酸の存在を示す検出可能な量の増幅産物が生成される温度および時間は、ランピング速度および/またはランピング時間に応じて変動し得る。ランピング速度は、増幅のために使用した温度(単数または複数)および時間(単数または複数)に影響を及ぼし得る。
【0074】
いくつかの場合、ランピング時間および/またはランピング速度は、サイクル間で異なり得る。しかしながら、いくつかの状況において、サイクル間のランピング時間および/またはランピング速度は、同一であり得る。ランピング時間および/またはランピング速度を、処理しようとする試料(単数または複数)に基づいて調整することができる。
【0075】
いくつかの状況において、異なる時間の間のランピング時間を、例えば、試料の性質および反応条件に基づいて決定することができる。正確な温度およびインキュベーション時間を、試料の性質および反応条件に基づいて決定することもできる。いくつかの実施形態では、単一の試料を、各熱サイクルの、例えば、ランピング時間、温度、および/またはインキュベーション時間が異なる複数の熱サイクルを使用して複数回処理する(例えば、増幅条件に供する)ことができる。次いで、特定の試料に最良または最適な熱サイクルを選択することができる。これにより、試験される特定の試料または試料の組み合わせに熱サイクルを合わせた頑強かつ効率的な方法が得られる。
【0076】
いくつかの実施形態では、標的核酸を、プライマー伸長反応の開始前に変性条件に供することができる。複数の一連のプライマー伸長反応の場合、標的核酸を、複数の一連のプライマー伸長反応の実施前に変性条件に供するか、複数の一連のプライマー伸長反応の間に変性条件に供することができる。例えば、標的核酸を、複数の一連のプライマー伸長反応の第1の一連の反応と第2の一連の反応との間に変性条件に供することができる。かかる変性条件の非限定的な例には、変性温度プロフィール(例えば、1またはそれを超える変性温度)および変性剤が含まれる。
【0077】
いくつかの実施形態では、核酸試料を、プライマー伸長反応の実施前に予熱することができる。核酸試料が予熱される温度(例えば、予熱温度)および時間(例えば、予熱時間)は、例えば、分析される特定の核酸に応じて変動し得る。いくつかの例では、核酸試料を、約60分間、50分間、40分間、30分間、25分間、20分間、15分間、10分間、9分間、8分間、7分間、6分間、5分間、4分間、3分間、2分間、1分間、45秒間、30秒間、20秒間、15秒間、10秒間、または5秒間以下加熱することができる。いくつかの例では、核酸試料を、約80℃~約110℃の温度で予熱することができる。いくつかの例では、核酸試料を、約90℃~約100℃の温度で予熱することができる。いくつかの例では、核酸試料を、約90℃~約97℃の温度で予熱することができる。いくつかの例では、核酸試料を、約92℃~約95℃の温度で予熱することができる。さらなる他の例では、核酸を、約80°、81℃、82℃、83℃、84℃、85℃、86℃、87℃、88℃、89℃、90℃、91℃、92℃、93℃、94℃、95℃、96℃、97℃、98℃、99℃、または100℃の温度で予熱することができる。
【0078】
いくつかの実施形態では、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、(i)SMN1中のコピー数または(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別するように個別または集合的にプログラムされている。いくつかの実施形態では、1またはそれを超えるコンピュータプロセッサは、(i)SMN1中のコピー数および(ii)SMN1遺伝子の遺伝子異常を識別するように個別または集合的にプログラムされている。
【0079】
種々の態様では、本明細書中に記載の方法およびシステムは、正確度の高いSMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)に有用である。SMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)識別の正確度は、少なくとも90%であり得る。SMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)識別の正確度は、少なくとも95%であり得る。SMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)識別の正確度は、少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれを超え得る。
【0080】
本開示のキット、方法、およびシステムを使用して、SMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を、少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれを超える感度で識別することができる。本開示のキット、方法、およびシステムを使用して、SMAに関連する遺伝子シグネチャー(単数または複数)を、少なくとも70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、またはそれを超える特異性で識別することができる。
【0081】
種々の態様のいずれかにおいて、被験体におけるSMAに関連する遺伝子シグネチャーを識別する。遺伝子シグネチャーは、1またはそれを超える遺伝子シグネチャーであり得る。いくつかの例では、遺伝子シグネチャーは、(i)SMN1遺伝子および/もしくはSMN2遺伝子のコピー数、ならびに/または(ii)SMN1遺伝子および/もしくはSMN2遺伝子中の遺伝子異常である。いくつかの場合、遺伝子シグネチャーは、SMAを有するか、有すると疑われる個体についてのものであり得る。遺伝子シグネチャーは、個体がSMAを有することを示し得る。いくつかの場合、遺伝子シグネチャーは、SMAを罹患した子孫を持つリスクが高い可能性がある非罹患個体(すなわち、SMAを示さない個体)についてのものであり得る。遺伝子シグネチャーは、個体がSMAを罹患した子孫を持つリスクが高いことを示し得る。
【0082】
種々の態様では、コピー数を識別する。1つの例において、SMN1および/またはSMN2について0、1、2、またはそれを超えるコピー数が識別され得る。別の例では、コピー数の変動(例えば、コピー数の増加または減少)を識別することができる。
【0083】
種々の態様のいずれかにおいて、標的核酸に指向するプライマーセットを利用して、核酸増幅反応を行うことができる。このような場合には、プライマーセットは、標的核酸分子の1またはそれを超える配列を増幅するように特異的に設計されたプライマーセットであり得る。いくつかの実施形態では、増幅プロトコールは、標的核酸分子の1またはそれを超える配列に特異的なレポーター剤(例えば、本明細書中の他所に記載の光学的に活性な種または他のタイプのレポーター剤を含むオリゴヌクレオチドプローブ)の選択をさらに含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、試薬は、本明細書中の他所に記載の核酸増幅のために使用される任意の適切な試薬(例えば、デオキシリボ核酸(DNA)ポリメラーゼ、標的核酸のためのプライマーセット、および(必要に応じて)逆転写酵素など)を含み得る。
【0084】
プライマーセットは、一般に、1またはそれを超えるプライマーを含む。例えば、プライマーセットは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超えるプライマーを含み得る。いくつかの場合、プライマーセットは、異なる増幅産物または異なる核酸増幅反応に指向するプライマーを含み得る。例えば、プライマーセットは、標的核酸の少なくとも一部に相補的な核酸産物の第1の鎖を生成するために使用される第1のプライマーおよび核酸産物の第1の鎖の少なくとも一部に相補的な核酸産物の第2の鎖を生成するために使用される核酸鎖産物に相補的な第2のプライマーを含み得る。
【0085】
必要に応じて、プライマーセットの任意の適切なメンバーを使用することができる。例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超えるプライマーセットを使用することができる。複数のプライマーセットを使用する場合、1またはそれを超えるプライマーセットは、各々が特定の核酸増幅反応または増幅産物に対応し得る。
【0086】
種々の態様では、プライマー伸長反応を利用して、増幅産物を生成する。プライマー伸長反応は、一般に、反応混合物を変性温度で変性時間インキュベートし、反応混合物を延長温度で延長時間インキュベートするサイクルを含む。種々の態様のいずれかにおいて、複数のサイクルのプライマー伸長反応を行うことができる。任意の適切なサイクル数を行ってよい。例えば、サイクル実施数は、約100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、または5サイクル以下であり得る。サイクル実施数は、例えば、検出可能な増幅産物(例えば、核酸試料中の標的DNAの存在を示す検出可能な量のDNA増幅産物)を得るために使用されるサイクル数(例えば、閾値到達サイクル(Ct)値)に依存し得る。例えば、検出可能な増幅産物(例えば、核酸試料中の標的DNAの存在を示す検出可能な量のDNA増幅産物)を得るために使用されるサイクル数は、約100サイクル、75サイクル、70サイクル、65サイクル、60サイクル、55サイクル、50サイクル、40サイクル、35サイクル、30サイクル、25サイクル、20サイクル、15サイクル、10サイクル、または5サイクルまたはそれ未満であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、検出可能な量の増幅可能な産物(例えば、核酸試料中の標的DNAの存在を示す検出可能な量のDNA増幅産物)を、100、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、または5未満の閾値到達サイクル値(Ct)で得ることができる。
【0087】
増幅によって検出可能な量の増幅産物が生成される時間は、核酸試料、実施されるべき特定の核酸増幅反応、および望ましい増幅反応の特定のサイクル数に応じて変動し得る。例えば、標的核酸の増幅により、標的核酸の存在を示す検出可能な量の増幅産物を、120分間またはそれ未満;90分間またはそれ未満;60分間またはそれ未満;50分間またはそれ未満;45分間またはそれ未満;40分間またはそれ未満;35分間またはそれ未満;30分間またはそれ未満;25分間またはそれ未満;20分間またはそれ未満;15分間またはそれ未満;10分間またはそれ未満;または5分間またはそれ未満の時間で生成することができる。
【0088】
いくつかの実施形態では、核酸の増幅により、検出可能な量の増幅DNAを、120分間またはそれ未満;90分間またはそれ未満;60分間またはそれ未満;50分間またはそれ未満;45分間またはそれ未満;40分間またはそれ未満;35分間またはそれ未満;30分間またはそれ未満;25分間またはそれ未満;20分間またはそれ未満;15分間またはそれ未満;10分間またはそれ未満;または5分間またはそれ未満の時間で生成することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、反応混合物を、複数の一連のプライマー伸長反応に供することができる。複数の一連の反応の個別の一連の反応は、例えば、本明細書中の他所に記載の特定の変性および延長条件によって特徴づけられる複数のサイクルの特定のプライマー伸長反応を含み得る。一般に、各々の個別の一連の反応は、複数の一連の反応のうちの少なくとも1つの他の個別の一連の反応と、例えば、変性条件および/または延長条件が異なる。個別の一連の反応は、複数の一連の反応のうちの別の個別の一連の反応のと、例えば、変性温度、変性時間、延長温度、および延長時間のいずれか1つ、2つ、3つ、または4つ全てが異なり得る。さらに、複数の一連の反応は、任意の数の個別の一連の反応(例えば、少なくとも約または約2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれを超える個別の一連の反応など)を含み得る。
【0090】
例えば、複数の一連のプライマー伸長反応は、第1の一連の反応および第2の一連の反応を含み得る。第1の一連の反応は、例えば、10サイクルを超えるプライマー伸長反応を含み得、ここで、第1の一連の反応の各サイクルは、(i)反応混合物の約92℃~約95℃で30秒間以下のインキュベーション、その後の(ii)反応混合物の約35℃~約65℃で約1分間以下のインキュベーションを含む。第2の一連の反応は、例えば、10サイクルを超えるプライマー伸長反応を含み得、ここで、第2の一連の反応の各サイクルは、(i)反応混合物の約92℃~約95℃で30秒間以下のインキュベーション、その後の(ii)反応混合物の約40℃~約60℃で約1分間以下のインキュベーションを含む。この特定の例では、第1および第2の一連の反応は、その延長温度条件が異なる。しかしながら、この例は、使用できる異なる延長および変性条件の任意の組み合わせを制限することを意味しない。
【0091】
複数の一連のプライマー伸長反応を実施することの利点は、比較可能な変性および延長条件下で単一の一連のプライマー伸長反応と比較した場合、複数の一連のアプローチにより、より低い閾値到達サイクル値で生物試料中の標的核酸の存在を示す増幅産物が検出可能な量で生成されることであり得る。複数の一連のプライマー伸長反応を使用すると、比較可能な変性および延長条件下で単一の一連の反応と比較して、かかる閾値到達サイクル値を、少なくとも約または約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%低下させることができる。
【0092】
種々の態様のいずれかにおいて、DNAポリメラーゼを使用する。任意の適切なDNAポリメラーゼ(市販のDNAポリメラーゼが含まれる)を使用することができる。DNAポリメラーゼは、一般に、テンプレートに結合する様式でDNA鎖にヌクレオチドを組み込むことができる酵素を指す。DNAポリメラーゼの非限定的な例には、Taqポリメラーゼ、Tthポリメラーゼ、Tliポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、VENT(登録商標)ポリメラーゼ、DEEPVENT(登録商標)ポリメラーゼ、EX-Taqポリメラーゼ、LA-Taq(商標)ポリメラーゼ、Expand(商標)ポリメラーゼ、Ssoポリメラーゼ、Pocポリメラーゼ、Pabポリメラーゼ、Mthポリメラーゼ、Phoポリメラーゼ、ES4ポリメラーゼ、Truポリメラーゼ、Tacポリメラーゼ、Tneポリメラーゼ、Tmaポリメラーゼ、Tihポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、白金Taqポリメラーゼ、Hi-Fiポリメラーゼ、Tbrポリメラーゼ、Tflポリメラーゼ、PfuTurboポリメラーゼ、Pyrobest(商標)ポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、KODポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Sacポリメラーゼ、クレノウ断片、ならびにこれらのバリアント、改変産物、および誘導体が含まれる。ある特定のHot Startポリメラーゼについて、94℃~95℃で2分間~10分間の変性工程が必要であり得、この工程において、異なるポリメラーゼに基づいて熱プロフィールを変化させることができる。
【0093】
任意の核酸増幅反応型を使用して、標的核酸を増幅し、増幅産物を生成することができる。さらに、核酸の増幅は、線形的、指数関数的、またはその両方であり得る。増幅は、エマルジョンベースまたは非エメルジョンベースであり得る。核酸増幅法の非限定的な例には、逆転写、プライマー伸長、ポリメラーゼ連鎖反応、リガーゼ連鎖反応、ヘリカーゼ依存性増幅、非対称性増幅、ローリングサークル増幅、および多置換増幅(MDA)が含まれる。いくつかの実施形態では、増幅産物はDNAであり得る。DNAが増幅される場合、任意のDNA増幅法を使用することができる。DNA増幅法の非限定的な例には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、PCRの変形形態(例えば、リアルタイムPCR、対立遺伝子特異的PCR、アセンブリPCR、非対称PCR、デジタルPCR、エマルジョンPCR、ダイアルアウトPCR、ヘリカーゼ依存性PCR、ネスティッドPCR、ホットスタートPCR、逆PCR、メチル化特異的PCR、ミニプライマーPCR、マルチプレックスPCR、ネスティッドPCR、重複-伸長PCR、熱非対称性インターレースドPCR、タッチダウンPCR)、およびリガーゼ連鎖反応(LCR)が含まれる。いくつかの場合、DNA増幅は線形である。いくつかの場合、DNA増幅は指数関数的である。
【0094】
種々の態様では、本明細書中に記載の核酸増幅反応を、並行して行うことができる。一般に、並行増幅反応は、同一の反応容器内で同時に生じる増幅反応である。並行核酸増幅反応を、例えば、反応容器内に各核酸増幅反応のために使用される試薬を含めて反応混合物を得ることおよび反応混合物を各核増幅反応のために使用される条件に供することによって行うことができる。任意の適切な数の核酸増幅反応を、並行して行うことができる。いくつかの場合、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれを超える核酸増幅反応を、並行して行う。
【0095】
核酸増幅反応を並行して行うことの利点には、異なるが関連するバイオマーカーの多重試験が含まれ得る。例えば、単一の試料を使用して異なるアッセイを行うことができるように、複数の領域を同時に試験することができる。
【0096】
種々の態様では、増幅産物(例えば、DNA増幅産物、増幅RNA)を検出することができる。使用される特定のタイプの検出方法は、例えば、特定の増幅産物、増幅に使用される反応容器のタイプ、反応混合物中の他の試薬(反応混合物中にレポーター剤が含まれているかどうかは不問であり、レポーター剤を使用する場合、特定のタイプのレポーター剤を使用する)に依存し得る。検出法の非限定的な例には、光学的検出、分光学的検出、静電気的検出、および電気化学的検出が含まれる。
【0097】
種々の態様のいずれかにおいて、アンプリコンの検出は、複数のアンプリコンに対応するシグナルの検出を含み得る。使用される特定のタイプの検出方法は、例えば、特定の増幅産物、増幅に使用される反応容器のタイプ、反応混合物中の他の試薬(反応混合物中にレポーター剤が含まれているかどうかは不問であり、レポーター剤を使用する場合、特定のタイプのレポーター剤を使用する)に依存し得る。検出法の非限定的な例には、光学的検出、分光学的検出、静電気的検出、および電気化学的検出が含まれる。
【0098】
いくつかの実施形態では、核酸増幅を行うために使用される試薬は、その有無によって増幅産物の存在を示す検出可能なシグナルを生じるレポーター剤も含まれ得る。検出可能なシグナルの強度は、増幅産物の量に比例し得る。いくつかの場合、最初に増幅された核酸試料と異なるタイプの核酸の増幅産物が生成される場合、検出可能なシグナルの強度は増幅核酸の量に比例し得る。レポーター剤を使用すると、リアルタイム増幅法(DNA増幅のためのリアルタイムPCRが含まれる)も可能である。
【0099】
レポーター剤を、共有結合性または非共有結合性の相互作用によって核酸(プローブまたは増幅産物が含まれる)と連結することができる。非共有結合性相互作用の非限定的な例には、イオン相互作用、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、水素結合、およびこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの実施形態では、レポーター剤は最初の反応物に結合することができ、レポーター剤レベルの変化を使用して増幅産物を検出することができる。いくつかの実施形態では、レポーター剤は、核酸増幅が進行するにつれて検出可能(または検出不可能)であり得る。いくつかの実施形態では、レポーター剤として使用することができる場合、光学活性色素(例えば、蛍光色素)を使用することができる。色素の非限定的な例には、SYBR green、SYBR blue、DAPI、ヨウ化プロピジウム(propidium iodine)、Hoeste、SYBR gold、臭化エチジウム、アクリジン、プロフラビン、アクリジンオレンジ、アクリフラビン、フルオロクマリン(fluorcoumanin)、エリプチシン、ダウノマイシン、クロロキン、ジスタマイシンD、クロモマイシン、ホミジウム、ミトラマイシン、ルテニウムポリピリジル、アントラマイシン、フェナントリジンおよびアクリジン、臭化エチジウム、ヨウ化プロピジウム、ヨウ化ヘキシジウム、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモ二量体-1および-2、エチジウムモノアジド、およびACMA、Hoechst33258、Hoechst33342、Hoechst34580、DAPI、アクリジンオレンジ、7-AAD、アクチノマイシンD、LDS751、ヒドロキシスチルブアミジン、SYTOX Blue、SYTOX Green、SYTOX Orange、POPO-1、POPO-3、YOYO-1、YOYO-3、TOTO-1、TOTO-3、JOJO-1、LOLO-1、BOBO-1、BOBO-3、PO-PRO-1、PO-PRO-3、BO-PRO-1、BO-PRO-3、TO-PRO-1、TO-PRO-3、TO-PRO-5、JO-PRO-1、LO-PRO-1、YO-PRO-1、YO-PRO-3、PicoGreen、OliGreen、RiboGreen、SYBR Gold、SYBR Green I、SYBR Green II、SYBR DX、SYTO-40、-41、-42、-43、-44、-45(青色)、SYTO-13、-16、-24、-21、-23、-12、-11、-20、-22、-15、-14、-25(緑色)、SYTO-81、-80、-82、-83、-84、-85(橙色)、SYTO-64、-17、-59、-61、-62、-60、-63(赤色)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、テトラメチルローダミンイソチオシアナート(TRITC)、ローダミン、テトラメチルローダミン、R-フィコエリトリン、Cy-2、Cy-3、Cy-3.5、Cy-5、Cy5.5、Cy-7、テキサスレッド、Phar-Red、アロフィコシアニン(APC)、Sybr GreenI、Sybr GreenII、Sybr Gold、CellTracker Green、7-AAD、エチジウムホモ二量体I、エチジウムホモ二量体II、エチジウムホモ二量体III、臭化エチジウム、ウンベリフェロン、エオシン、緑色蛍光タンパク質、エリスロシン、クマリン、メチルクマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、蛍光ランタニド錯体(ユウロピウムおよびテルビウムを含む蛍光ランタニド錯体など)、カルボキシテトラクロロフルオレセイン、5および/または6-カルボキシフルオレセイン(FAM)、5-(または6-)ヨードアセトアミドフルオレセイン、5-{[2(および3)-5-(アセチルメルカプト)-スクシニル]アミノ}フルオレセイン(SAMSA-フルオレセイン)、リサミンローダミンBスルホニルクロリド、5および/または6カルボキシローダミン(ROX)、7-アミノ-メチル-クマリン、7-アミノ-4-メチルクマリン-3-酢酸(AMCA)、BODIPYフルオロフォア、8-メトキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸三ナトリウム塩、3,6-ジスルホナート-4-アミノ-ナフタルイミド、フィコビリタンパク質、アレキサフルオル350、405、430、488、532、546、555、568、594、610、633、635、647、660、680、700、750、および790色素、DyLight350、405、488、550、594、633、650、680、755、および800色素、ATTO390、425、465、488、495、520、532、Rho6G、550、565、Rho3B、Rho11、Rho12、Thio12、Rho101、590、594、Rho13、610、611X、620、Rho14、633、647、647N、655、Oxa12、665、680、700、725、740、または他のフルオロフォアが含まれる。
【0100】
いくつかの場合、シグナルは放射性シグナルであり得る。例えば、レポーター剤は放射性核種である。放射性核種の非限定的な例には、14C、123I、124I、125I、131I、99mTc、35S、または3Hが含まれる。放射性核種は、プローブを検出することができるようにプローブ中の原子を置換することができる。放射性核種はヌクレオチド中の原子であり得、前述のヌクレオチドはアンプリコンに組み込まれている。
【0101】
アンプリコンの検出は、抗体の使用を含み得る。抗体は、特異的配列または化学的部分に結合し得る。化学的部分を、プローブに付着または抱合することができる。
【0102】
アンプリコンの検出は、アンプリコンをサイズによって分離するためのゲル電気泳動の使用を含み得る。アンプリコンのサイズは、特定のアンプリコンと相関し得る。
【0103】
アンプリコンの検出は、複数のアンプリコンに対応する光学的シグナルの検出を含み得る。アンプリコンの検出は、核酸に結合する色素の使用を含み得る。色素は非特異的であり、全ての核酸に結合し得る。いくつかの場合、レポーター剤は、検出可能なシグナルを生成することができる酵素であり得る。検出可能なシグナルを、酵素のその基質または酵素が複数の基質を有する場合の特定の基質との活性によって産生することができる。レポーター剤として使用され得る酵素の非限定的な例には、アルカリホスファターゼ、セイヨウワサビペルオキシダーゼ、I2-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、およびルシフェラーゼが含まれる。酵素を、プローブが検出できるようにプローブに連結し得る。
【0104】
光学的シグナルは蛍光シグナルであり得る。アンプリコンの検出は、蛍光シグナルを含む核酸プローブを含み得る。蛍光色素または酵素を、抗体に抱合することができる。また、酵素は蛍光シグナルを生成し得る。蛍光シグナルを、蛍光活性色素または光学活性色素によって生成することができる。色素の非限定的な例には、本明細書中の他所に記載の色素が含まれる。
【0105】
いくつかの例では、光学的シグナルは、光の波長に対応する。いくつかの例では、各光学的シグナルは、異なる光の波長に対応する。いくつかの例では、光学的シグナルは、同一の波長に対応し得る。光学的シグナルは、1つの波長または波長範囲に対応し得る。いくつかの場合、光学的シグナルの一部はある波長または波長範囲に対応し得、光学的シグナルの別の部分は、別の波長または波長範囲に対応する。
【0106】
種々の態様では、被験体から得た核酸試料を増幅する。いくつかの実施形態では、核酸試料を被験体から得、いかなる濾過、抽出、精製も行わずに単一の容器内に提供する。いくつかの場合、核酸試料を、被験体から直接得る。被験体から直接得た核酸試料は、一般に、さらなる処理のために被験体から核酸試料を回収するために使用された任意の手段を除き、被験体から得た後にさらに処理されていない核酸試料を指す。例えば、被験体の循環系に到達し、(例えば、針を介して)被験体から血液を取り出し、取り出した血液を容器に入れることによって血液を被験体から直接得る。容器は、血液試料がさらなる分析に有用なような試薬(例えば、抗凝固剤)を含み得る。別の例では、スワブを使用して、被験体の口腔咽頭表面上の上皮細胞に到達することができる。被験体から核酸試料を得た後、核酸試料を含むスワブを流体(例えば、緩衝液)と接触させて、スワブから流体を回収することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、核酸試料は、反応容器内に提供されたときに精製されていない。いくつかの実施形態では、核酸試料の核酸は、核酸試料が反応容器に提供されたときに抽出されていない。例えば、核酸試料中のRNAまたはDNAは、核酸試料が反応容器に提供されたときに生体組織または細胞から抽出されない場合がある。さらに、いくつかの実施形態では、核酸試料は、反応容器に提供される前に濃縮されない場合がある。
【0108】
いくつかの実施形態では、核酸試料は、反応容器内で精製されている。核酸試料を、異なる濃度の核酸が得られるように希釈または濃縮することができる。核酸試料中の核酸の濃度は、少なくとも0.1ナノグラム/マイクロリットル(ng/μL)、0.2ng/μL、0.5ng/μL、1ng/μL、2ng/μL、3ng/μL、5ng/μL、10ng/μL、20ng/μL、30ng/μL、40ng/μL、50ng/μL、100ng/μL、1000ng/μL、10000ng/μL、またはそれを超え得る。いくつかの場合、核酸試料中の核酸の濃度は、最大でng/μL、0.2ng/μL、0.5ng/μL、1ng/μL、2ng/μL、3ng/μL、5ng/μL、10ng/μL、20ng/μL、30ng/μL、40ng/μL、50ng/μL、100ng/μL、1000ng/μL、10000ng/μL、またはそれ未満であり得る。
【0109】
核酸試料は、被験体から得た核酸を含む任意の適切な生体物質に由来し得る。核酸試料は、固体物質(例えば、生体組織)であり得るか、流体(例えば、体液)であり得る。一般に、体液には、生物に関連する任意の流体が含まれ得る。核酸試料の非限定的な例には、被験体任意の解剖学的部位(例えば、組織、循環系、骨髄)から得た血液(または血液の成分-例えば、白血球、赤血球、血小板)、被験体の任意の解剖学的部位から得た細胞、皮膚、心臓、肺、腎臓、呼吸、骨髄、糞便、精液、膣液、腫瘍状の組織由来の間質液、乳房、膵臓、脳脊髄液、組織、咽頭スワブ、生検、胎盤液、羊水、肝臓、筋肉、平滑筋、膀胱、胆嚢、結腸、腸、脳、腔液、痰、膿、微生物相(micropiota)、胎便、母乳、前立腺、食道、甲状腺、血清、唾液、尿、胃液および消化液、涙、眼液、汗、粘液、耳垢、油、腺分泌物、脊髄液、毛髪、爪、皮膚細胞、血漿、鼻腔スワブまたは鼻咽頭洗浄液、脊髄液、臍帯血、エンファティックフルイド、ならびに/または他の排出物もしくは体組織が含まれる。
【0110】
核酸試料は、任意の手段によって被験体から得ることができる。被験体から核酸試料を直接得るための手段の非限定的な例には、(例えば、シリンジまたは他の針を介して静脈内または動脈内で)循環系への到達、分泌された生物試料(例えば、糞便、尿、痰、唾液など)の回収、外科的回収(例えば、生検)、塗布(例えば、口内スワブ、口腔咽頭スワブ)、ピペット操作、および呼吸による回収が含まれる。さらに、核酸試料は、所望の生物試料が存在する被験体の任意の解剖学的部分から得ることができる。
【0111】
種々の態様では、細胞または細胞誘導体を溶解することができる。溶解するために、溶解剤を使用することができる。溶解剤が望ましい場合、任意の適切な溶解剤(市販の溶解剤が含まれる)を使用することができる。溶解剤の非限定的な例には、Tris-HCl、EDTA、界面活性剤(例えば、Triton(登録商標) X-100、SDS)、リゾチーム、グルコラーゼ、プロテイナーゼE、ウイルスエンドリシン、エキソリシンチモラーゼ、リチカーゼ、プロテイナーゼK、バクテリオファージ由来のエンドリシンおよびエキソリシン、バクテリオファージPM2由来のエンドリシン、B.subtilisバクテリオファージPBSX由来のエンドリシン、LactobacillusプロファージLj928、Lj965、バクテリオファージ15 Phiadh由来のエンドリシン、Streptococcus pneumoniaeバクテリオファージCp-I由来のエンドリシン、Streptococcus agalactiaeバクテリオファージB30の二機能性ペプチドグリカンリシン、プロファージ細菌由来のエンドリシンおよびエキソリシン、Listeriaバクテリオファージ由来のエンドリシン、ホリン-エンドリシン、細胞20溶解遺伝子、Staphylococcus wameri MファージvarphiWMYのholWMY、Staphylococcus wameri MファージvarphiWMYのIy5WMY、およびこれらの組み合わせが含まれる。いくつかの場合、緩衝液は溶解剤を含むことができる(例えば、溶解緩衝液)。溶解緩衝液の例は、水酸化ナトリウム(NaOH)である。
【0112】
種々の態様では、核酸試料を増幅して増幅産物を生成する。核酸試料は、RNAまたはDNAであり得る。核酸試料がDNAである場合、DNAは、任意のDNA型(本明細書中の他所に記載のDNA型が含まれる)であり得る。DNAはゲノムDNAであり得る。DNAはヒトゲノムDNAであり得る。DNAは、病状と相関するヒトゲノムDNAのセグメントであり得る。
【0113】
種々の態様では、核酸試料は、染色体または染色体の誘導体である。核酸試料(nucleic sample)を、酵素によって処理することができる。処理には、核酸試料の断片化、さらなる配列のライゲーション、他の分子への結合が含まれ得るが、これらに限定されない。処理は、種々の態様の正確度を改善することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、核酸試料は、疾患に関連し得る。疾患は脊髄性筋萎縮症であり得る。いくつかの実施形態では、増幅プロトコールは、増幅産物の存在に基づいて疾患の存在のアッセイを指示することができる。
【0115】
種々の態様のいずれかにおいて、SMN1遺伝子の遺伝子異常は、2コピーハプロタイプである。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、点変異であり得る。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、SMN2への遺伝子変換であり得る。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、SMN1遺伝子の欠失であり得る。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、遺伝子重複であり得る。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、挿入であり得る。遺伝子異常は、SMN1ポリペプチド配列を変化させ得る。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、SMN1ポリペプチドレベルを変化させ得る。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、SMN1ポリペプチドの発現量を変化させ得る。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、SMN1ポリペプチド活性全体を変化させ得る。SMN1遺伝子の遺伝子異常は、別の遺伝子異常として同一染色体上に存在し得る。
【0116】
種々の態様のいずれかにおいて、第1のプローブは、SMN1遺伝子配列に結合し得る。第1のプローブの配列は、SMN1のエクソン7に対する配列相同性を有し得る。第1のプローブの配列は、SMN1のエクソン7内のc.840領域に対する配列相同性を有し得る。第1のプローブの配列は、第2のプローブの配列と1個のヌクレオチドが異なり得る。第1のプローブの配列は、第2のプローブの配列と1、2、3、4、5、10個、またはそれを超えるヌクレオチドが異なり得る。
【0117】
種々の態様のいずれかにおいて、第2のプローブは、SMN2遺伝子配列に結合し得る。第2のプローブの配列は、は、SMN2のエクソン7に対する配列相同性を有し得る。第2のプローブの配列は、SMN2のエクソン7内のc.840領域に対する配列相同性を有し得る。
【0118】
種々の態様のいずれかにおいて、第3のプローブは、SMN1またはSMN2配列に結合する。第3のプローブの配列は、SMN1またはSMN2のエクソン8に対する配列相同性を有し得る。第3のプローブの配列は、ヒト染色体のg.22706_22707領域に対する配列相同性を有し得る。第3のプローブの配列は、第4のプローブの配列と1個のヌクレオチドが異なり得る。第3のプローブの配列は、第4のプローブの配列と2個のヌクレオチドが異なり得る。第3のプローブの配列は、第4のプローブの配列と1、2、3、4、5、10個、またはそれを超えるヌクレオチドが異なり得る。
【0119】
種々の態様のいずれかにおいて、第4の(forth)プローブは、SMN1またはSMN2の配列に結合し得る。第4のプローブの配列は、SMN1またはSMN2のエクソン8に対する配列相同性を有し得る。第4のプローブの配列は、ヒト染色体のg.22706_22707領域に対する配列相同性を有し得る。第4のプローブの配列は、ヒト染色体のg.22706_22707delAT領域に対する配列相同性を有し得る。
【0120】
種々の態様のいずれかにおいて、前記プローブセットは、対照シグナルを提供するように構成されている第5のプローブをさらに含む。第5のプローブは、SMAに関連する遺伝子または配列に対応しない配列に結合し得る。第5のプローブは、第3の遺伝子座に結合し得る。第5のプローブは、RPP30遺伝子に結合し得る。第5のプローブにより、遺伝子コピー数のモニタリングが可能となり得る。第5のプローブを使用して、遺伝子コピー数を計算することができる。第5のプローブを使用して、SMN1のコピー数を計算することができる。第5のプローブを使用して、SMN2のコピー数を計算することができる。第5のプローブを使用して、SMN1のコピー数を計算することができる。第5のプローブを使用して、SMN2のコピー数を計算することができる。第5のプローブを使用して、反応が適切に行われているかをチェックすることができる。第5のプローブを使用して、偽陰性を排除することができる。いくつかの実施形態では、対照シグナルは光学的シグナルである。対照シグナルを使用して、前記プローブセット内の他のプローブのシグナルと比較することができる。対照シグナルの強度の他のプローブ由来のシグナルの強度との比較により、遺伝子内のコピー数を識別可能であり得る。さらに、対照シグナルの強度の他のプローブ由来のシグナルの強度との比較を使用して、適切な反応が起こっていたことを判定することができる。
【0121】
種々の態様のいずれかにおいて、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、定量的ポリメラーゼ連鎖反応プローブである。いくつかの実施形態では、プローブは、増幅産物とハイブリッド形成したときに光学的に活性である。プローブの増幅産物への配列特異的結合に起因して、プローブを使用すると検出の特異性および感度を増大させることができる。プローブを、本明細書中に記載の任意の光学活性レポーター剤(例えば、色素)と連結することができ、プローブは、会合した色素の光学活性を遮断することができるクエンチャーも含み得る。プローブの非限定的な例には、TaqMan(商標)プローブ、LNA標識プローブ、TaqMan Tamara(商標)プローブ、TaqMan MGB(商標)プローブ、またはLionプローブが含まれる。
【0122】
いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、加水分解プローブである。いくつかの場合、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、加水分解プローブであり得る。いくつかの場合、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも2つは、加水分解プローブであり得る。いくつかの場合、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも3つは、加水分解プローブであり得る。いくつかの実施形態では、加水分解プローブはTaqManプローブである。TaqManプローブは、例えば、オリゴヌクレオチドの一端に連結したクエンチャーを含む。オリゴヌクレオチドの他方の末端に、光学活性色素(例えば、蛍光色素など)が存在する。光学活性色素およびクエンチャーは、クエンチャーが色素の光学活性を遮断することができるような十分な近さで存在する。増幅産物とのハイブリッド形成の際に、色素およびクエンチャーは、依然としてクエンチャーが色素の光学活性を遮断することができるような十分な近さで存在する。増幅反応中に、プローブはDNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によって分解され、色素を放出する。色素がもはやクエンチャーが光学活性を遮断するのに十分な近さでなくなった場合に、色素は検出可能なシグナルを発する。
【0123】
種々の態様のいずれかにおいて、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、モレキュラービーコンである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、モレキュラービーコンである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも2つは、モレキュラービーコンである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも3つは、モレキュラービーコンである。モレキュラービーコンは、例えば、ヘアピン配座のオリゴヌクレオチドの一端に連結したクエンチャーを含む。オリゴヌクレオチドの他方の末端に、光学活性色素(例えば、蛍光色素など)が存在する。ヘアピン配置において、光学活性色素およびクエンチャーは、クエンチャーが色素の光学活性を遮断することができるような十分な近さにある。しかしながら、増幅産物とのハイブリッド形成の際に、オリゴヌクレオチドは線状配座と考えられ、増幅産物上の標的配列とハイブリッド形成する。オリゴヌクレオチドが線状になると、光学活性色素およびクエンチャーが分離し、その結果、光学活性が回復し、検出することができる。増幅産物上の標的配列に対するモレキュラービーコンの配列特異性は、検出の特異性および感度を改善することができる。
【0124】
種々の態様のいずれかにおいて、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、第1の遺伝子座および第2の遺伝子座で核酸増幅反応を行うためのプライマーである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、第1の遺伝子座または第2の遺伝子座で核酸増幅反応を行うためのプライマーである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも2つは、第1の遺伝子座または第2の遺伝子座で核酸増幅反応を行うためのプライマーである。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも3つは、第1の遺伝子座または第2の遺伝子座で核酸増幅反応を行うためのプライマーである。
【0125】
種々の態様のいずれかにおいて、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブは、異なるシグナルを発するように構成されている。いくつかの実施形態では、異なるシグナルは異なる光学的シグナルである。いくつかの場合、異なる光学的シグナルは、検出器で区別可能なほど十分に異なる。検出器によるデータを解析する場合、異なる光学的シグナルは識別可能であり、光学的シグナルを生成したプローブを識別することができる。いくつかの場合、プローブの光学的シグナルを、検出器に頼らずに目視によって識別することができる。
【0126】
種々の態様のいずれかにおいて、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも3つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも4つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも5つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも6つのロックド核酸を含む。ロックド核酸は、プローブ内の特異的位置に存在し得る。ロックド核酸の位置により、プローブのその標的に対する親和性が変化する。いくつかの場合、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも1つは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100個、またはそれを超えるロックド核酸を含み得る。いくつかの場合、プローブは、最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、30、40、50、60、70、80、90、100個、またはそれ未満のロックド核酸を含み得る。
【0127】
種々の態様のいずれかにおいて、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも2つの各々は、少なくとも1つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブのうちの少なくとも3つの各々は、少なくとも1つのロックド核酸を含む。いくつかの実施形態では、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブの各々は、少なくとも1つのロックド核酸を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、プローブは、相互に結合部位を競合する。結合を競合すると、プローブの全体的な特異性が増大し得る。プローブは、プローブが増幅産物と実質的に相補的な増幅産物とハイブリッド形成することができる。増幅産物と完全に相補的なプローブは、実質的に相補的なプローブより増幅産物に対する親和性が高い場合がある。少なくとも2つのプローブが、少なくとも2つのプローブと完全に相補的な配列および少なくとも2つのプローブと実質的に相補的な配列を含む増幅産物とハイブリッド形成することが可能である場合、プローブは、完全に相補的な配列を相互に競合し得、それにより、両方のプローブは完全に相補的な配列と結合し、実質的に相補的な配列とは結合しない。
【0129】
いくつかの実施形態では、相互に結合部位を競合するプローブは、バックグラウンドシグナルが減少し、正確度が増大する。例えば、SMN1およびSMN2遺伝子のゲノム配列が類似するので、SMN1の配列に完全に相補的なプローブは、SMN2遺伝子上の類似するが同一でない配列に結合することができる。しかしながら、プローブがSMN2遺伝子と引き合わせられた場合、SMN2配列に完全に相補的なプローブはSMN2配列と結合し、SMN1配列に完全に相補的なプローブのSMN2配列への結合を防止し得る。SMN1配列のコピー数が少ない場合、完全に相補的なSMN1プローブはSMN2配列に結合する傾向があり得る。SMN2配列と親和性がより高い完全に相補的なSMN2プローブが存在する場合、このプローブは、完全に相補的なSMN1プローブとSMN2配列への結合を競合し、それにより、SMN1プローブの加水分解および非特異的シグナルの生成が防止される。SMN2に対するプローブについて同一の効果がある。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのプローブが、相互に結合を競合する。いくつかの実施形態では、少なくとも3つのプローブが、相互に結合を競合する。いくつかの実施形態では、少なくとも4つのプローブが、相互に結合を競合する。いくつかの実施形態では、少なくとも5つのプローブが、相互に結合を競合する。
【0130】
種々の態様のいずれかにおいて、プローブを凍結乾燥させる。第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブを、単一の容器中で共に凍結乾燥させることができる。第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブを、個別に凍結乾燥させることができる。第5のプローブを、第1のプローブ、第2のプローブ、第3のプローブ、および第4のプローブと共に単一の容器内で凍結乾燥させることができる。第5のプローブを個別に凍結乾燥させることもできる。プローブを、個別または共に組み合わせて凍結乾燥させることができる。例えば、いくつかのプローブを他のプローブと共に凍結乾燥させることができ、その他のプローブを個別に凍結乾燥させる。凍結乾燥後、プローブを使用するために再水和することができる。反応の質を確実にするための緩衝液、細菌阻害剤、およびDNA試薬グレードの水を含む希釈剤を用いて再水和することができる。いくつかの場合、プローブを異なる容器内で凍結乾燥させる場合、プローブを再水和し、次いで、単一の容器内で共に混合することができる。プローブを、酵素、ヌクレオチド、緩衝液、塩、糖、プライマー、またはこれらの組み合わせと共に凍結乾燥させることができる。あるいは、酵素、ヌクレオチド、またはプライマーはプローブと共に凍結乾燥させなくてよく、反応前に反応容器に添加する。
【0131】
図2は、SMN1、SMN2のコピー数、および2コピーハプロタイプの存在を検出するために使用されるプローブセット、プライマー、およびアンプリコンの実施形態の例を示す。反応において3つの個別のアンプリコン(対照に対応するアンプリコン、SMN1および/またはSMN2に対応するアンプリコン、2コピーハプロタイプの検出に対応するアンプリコン)を産生する。アンプリコン1は、対照アンプリコンである。このアンプリコンを、全被験体でのコピー数が一定の遺伝子に対するプライマー200および205を用いて作出する。この実施形態では、この遺伝子はRPP30である。このアンプリコンの候補遺伝子は、その喪失によって胚性致死に至る遺伝子を含み得る。アンプリコン2は、SMN1遺伝子およびSMN2遺伝子に対応し得る。PCRプライマー210および215は、相互に同一であるかほぼ同一であるSMN1およびSMN2遺伝子の領域に対応し、PCRでSMN1およびSMN2遺伝子の両方が増幅され、それにより、SMN1およびSMN2とラベルした2つの異なるバージョンのアンプリコン2が得られる。アンプリコン3は、SMN1サイレント対立遺伝子とラベルした2コピーハプロタイプまたはSMN1/SMN2とラベルした野生型SMN1もしくはSMN2対立遺伝子と相関する配列を含む。このアンプリコンを、2コピーハプロタイプと相関する配列に隣接したプライマー220および225によって産生する。プローブRPP30、SMN1プローブ、SMN2プローブ、WT対立遺伝子、およびサイレント対立遺伝子を、反応混合物中に添加する。プローブRPP30は、アンプリコン1のRPP30遺伝子に対して親和性を有し、ベースラインコピー数の検出が可能である。プローブSMN1プローブは、反応中の他のプローブと比較してアンプリコン2のSMN1バージョンに対する親和性が最高である。プローブSMN2プローブは、反応中の他のプローブと比較してアンプリコン2のSMN2バージョンに対する親和性が最高である。アンプリコン2のSMN1およびSMN2バージョンは配列が類似しているが、プローブ220および225は、これらの各アンプリコンバージョンに特異性を示し、SMN1プローブおよびSMN2プローブの両方が存在する場合に交差結合がほとんど無いか全く無い。これをSMN1に全体的に接近しているが直接隣接していないSMN2プローブを用いて図中に示す。SMN1プローブおよびSMN2についても示す。プローブWT対立遺伝子は、アンプリコン3のSMN1/SMN2バージョンに対して親和性を有する。プローブサイレント対立遺伝子は、アンプリコン3のSMN1サイレント対立遺伝子バージョンに対して親和性を有する。アンプリコンSMN1サイレント対立遺伝子およびWT対立遺伝子は配列が類似しているが、WT対立遺伝子プローブおよびSMN1サイレント対立遺伝子プローブは、これらの各アンプリコンバージョンに特異性を示し、WT対立遺伝子プローブおよびSMN1サイレント対立遺伝子プローブの両方が存在する場合に交差結合がほとんど無いか全く無い。各プローブは、異なる色素または他の分子に付着してシグナルを得ることができ、その結果、1つの反応容器内に存在する各プローブを独立して測定することができる。
【0132】
本開示の種々の態様では、容器を使用して反応を行うことができる。1つの例において、反応は、単一の容器内で完了される。反応容器は、増幅反応を行うためのプローブ、プライマー、ヌクレオチド、および酵素を含み得る。生物試料を反応容器に添加して増幅反応を行うことができる。任意の適切な反応容器を使用することができる。いくつかの実施形態では、反応容器は、内面、外面、開口端、および反対側の閉じた端部を含むことができる本体を含む。いくつかの実施形態では、反応容器はキャップを含み得る。キャップは、本体の開口端に接触するように構成することができ、そのため、接触したときに反応容器の開口端が閉じられる。いくつかの場合、キャップは、反応容器と取り外せないように取り付けられており、そのため、キャップは、開閉時に反応容器に付着したままである。いくつかの場合、キャップは取り外し可能であり、そのため、反応容器を開けたときにキャップは反応容器から分離する。いくつかの実施形態では、反応容器をシールすることができ、必要に応じて密封することができる。
【0133】
反応容器は、サイズ、形状、重量、および配置が様々であり得る。いくつかの例では、反応容器は、円柱または楕円柱であり得る。いくつかの実施形態では、反応容器は、矩形、正方形、菱形、円形、楕円形、または三角形であり得る。反応容器は、規則的な形状または不規則な形状であり得る。いくつかの実施形態では、反応容器の閉端部は、先細、丸みを帯びているか、平面を有し得る。反応容器タイプの限定的な例には、管、ウェル、毛細管、カートリッジ、キュベット、遠心管、またはピペットチップが含まれる。任意の適切な材料の反応容器を構築することができ、かかる材料の非限定的な例には、ガラス、金属、プラスチック、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0134】
いくつかの実施形態では、反応容器は、一連の反応容器の一部である。一連の反応容器は、複数の試料の処理を自動化する方法および/または同時に処理する方法に特に有用であり得る。例えば、反応容器は、いくつかのウェルから構成されるマイクロウェルプレートのウェルであり得る。別の例では、反応容器を、サーモサイクラーのサーマルブロックのウェル内に保持することができ、サーマルリサイクルのブロックは、それぞれが試料容器を収容することができる複数のウェルを含む。反応容器から構成されるアレイは、任意の適切な数の反応容器を含むことができる。例えば、アレイは、少なくとも2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、25、35、48、96、144、384、またはそれを超える反応容器を含み得る。また、一連の反応容器の反応容器部分は、流体操作デバイスによって個別に対処することができるため、流体操作デバイスは、反応容器を正確に識別し、適切な流体物質を反応容器に分注することができる。流体操作デバイスは、流体物質の反応容器への自動添加に有用であり得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、増幅産物(例えば、DNA増幅産物)の存在および/または量に関する情報を、受信者に出力することができる。増幅産物に関する情報を、任意の適切な手段を介して出力することができる。いくつかの実施形態では、かかる情報を、受信者に言語で提供することができる。いくつかの実施形態では、かかる情報を、報告書の形態で提供することができる。報告書は多くの望まれる要素を含むことができ、要素の非限定的な例には、被験体に関する情報(例えば、性別、年齢、人種、健康状態など)、生データ、処理済みデータ(例えば、図示(例えば、図、チャート、データ表、データ要約)、決定された閾値到達サイクル値、標的ポリヌクレオチドの開始量の計算値)、標的核酸の存在に関する結論、識別情報、診断情報、予後情報、および疾患情報、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。報告書は、印刷された報告書(例えば、ハードコピー)として提供することができるか、電子報告書として提供することができる。電子報告書を提供する場合を含むいくつかの実施形態では、かかる情報を、電子表示(例えば、電子表示画面)(モニターまたはテレビ、増幅産物を得るために使用されるユニットと動作可能に結合された画面、タブレット型コンピュータ画面、およびモバイルデバイス画面など)を介して出力することができる。印刷された報告書および電子報告書の両方を、それぞれファイルまたはデータベースに格納することができるため、これらの報告書をさらなる報告書と比較するためにアクセス可能である。
【0136】
さらに、報告書を、任意の適切な通信媒体(例えば、ネットワーク接続、無線接続、またはインターネット接続が含まれる)を使用して、ローカルまたは遠隔地の受信者に伝送することができる。いくつかの実施形態では、報告書を、受信者のデバイス(パーソナルコンピュータ、電話、タブレット、または他のデバイスなど)に送信することができる。報告書を、オンラインで閲覧するか、受信者のデバイスに保存するか、印刷することができる。報告書を、情報伝送のための任意の他の適切な手段によって伝送することもでき、前述の手段の非限定的な例には、受信者による受信および/または閲覧のためのハードコピー報告書の郵送が含まれる。
【0137】
さらに、かかる情報を、種々のタイプの受信者に出力することができる。かかる受信者の非限定的な例には、生物試料を提供した被験体、医師、担当医、臨床試験の臨床モニター、看護師、研究者、検査技師、製薬会社、医療会社、バイオ企業、病院、援助団体の代表者、ヘルスケアマネージャー、電子装置(例えば、1またはそれを超えるコンピュータおよび/または1またはそれを超えるコンピュータサーバの記録、例えば、被験体の医療記録)、公衆衛生従事者、他の医療関係者、および他の医療施設が含まれる。
【0138】
種々の態様では、システムは、電子表示画面を含み得る。電子表示画面を使用して、本明細書中に記載の方法の実施に関する情報を表示することができる。電子表示画面を使用して、本明細書中に記載の方法の実施によって得たデータを表示することができる。電子表示画面は、核酸試料を増幅するための増幅プロトコールを実行するためにユーザーが利用可能なグラフ要素を表示するユーザーインターフェイスを有し得る。コンピュータプロセッサ(本明細書中の他所に記載のコンピュータプロセッサを有する任意の適切なデバイスが含まれる)を、電子表示画面に連結し、ユーザーによるグラフ要素の選択の際に増幅プロトコールを実行するようにプログラムすることができる。増幅プロトコールは、核酸試料および核酸増幅を実施するために使用される試薬を含む反応混合物を複数の一連のプライマー伸長反応に供して増幅産物を生成することを含み得る。さらに、一連のプライマー伸長反応の各々は、変性温度および変性時間によって特徴づけられる変性条件下での反応混合物のインキュベーション、その後の延長温度および延長時間によって特徴づけられる延長条件下での反応混合物のインキュベーションの2またはそれを超えるサイクルを含むことができる。個別の一連のプライマー伸長反応は、複数の一連のプライマー伸長反応のうちの少なくとも1つの他の個別の一連の複数のプライマー伸長反応と、変性条件および/または延長条件が異なり得る。
【0139】
いくつかの場合、ユーザーインターフェイスは、グラフィカルユーザーインターフェイスであり得る。さらに、ユーザーインターフェイスは、1またはそれを超えるグラフ要素を含むことができる。グラフ要素は、画像および/または文字情報(写真、アイコン、およびテキストなど)を含むことができる。グラフ要素は、ユーザーインターフェイス上で種々のサイズおよび方向であり得る。さらに、電子表示画面は、任意の適切な電子ディスプレイ(本明細書中の他所に記載の例が含まれる)であり得る。電子表示画面の非限定的な例には、モニター、モバイルデバイス画面、ラップトップコンピュータ画面、テレビ、携帯型ビデオゲームシステム画面、および計算機の画面が含まれる。いくつかの実施形態では、電子表示画面は、タッチスクリーン(例えば、容量性または抵抗性のタッチスクリーン)を含み得るため、電子表示画面のユーザーインターフェイス上に表示されたグラフ要素を、電子表示画面を使用してユーザーがタッチすることによって選択することができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェイスは、複数のグラフ要素を表示する。グラフ要素の各々を、複数の増幅プロトコールのうちの所与の増幅プロトコールと関連付けることができる。複数の増幅プロトコールの各々は、一連のプライマー伸長反応の異なる組み合わせを含み得る。それにも関わらず、いくつかの場合、ユーザーインターフェイスは、同一の増幅プロトコールに関連する複数のグラフ要素を表示し得る。いくつかの場合、グラフ要素の各々を、複数のプローブと関連付けることができる。いくつかの場合、グラフ要素の各々を、複数のプローブのうちの所与のプローブと関連付けることができる。各々が所与のプローブまたはプローブシグナルと関連付けられた複数のグラフ要素を有するユーザーインターフェイスの例を、
図7に示す。
図7に示すように、コンピュータプロセッサと関連付けられた例示的な電子表示画面700は、ユーザーインターフェイス701を含む。ユーザーインターフェイス701は、グラフ要素702、703、および704のディスプレイを含む。グラフ要素の各々を、プローブまたはプローブシグナルと関連付けることができる(例えば、グラフ要素702についての「プローブ1」、グラフ要素703についての「プローブ2」、およびグラフ要素704についての「プローブ3」)。特定のグラフ要素をユーザーが選択すると(例えば、電子表示画面700がユーザーインターフェイスを有するタッチスクリーンを含む場合、ユーザーがタッチすると)、グラフ要素と関連付けられたプローブまたはプローブシグナルに関連する特定のデータをグラフ化し、関連付けられたコンピュータプロセッサによって表示することができる。例えば、ユーザーがグラフ要素703を選択する場合、「プローブ2」に対応するデータをグラフ化し、関連付けられたコンピュータプロセッサによって表示される。3つのグラフ要素のみを
図7の例示的なユーザーインターフェイス701に示す場合、ユーザーインターフェイスは、任意の適切な数のグラフ要素を有し得る。さらに、
図7のユーザーインターフェイス701に示した各グラフ要素がたった1つのプローブまたはプローブシグナルと関連付けられる場合、ユーザーインターフェイスの各グラフ要素を、1またはそれを超えるプローブまたはプローブシグナル(例えば、同一のプローブ配列を含む一連の異なる試料)を関連付けることができるため、関連付けられたコンピュータプロセッサは、グラフ要素とのユーザー対話の際に一連の異なる試料についてのプローブシグナルをグラフ化し、表示する。
【0141】
種々の態様では、システムは、被験体から得た核酸試料中に存在する核酸を増幅するためのユーザー要求を受信する入力モジュールを含み得る。入力モジュールを使用して、本明細書中に記載の方法に関連する工程を実施することもできる。かかるユーザー要求を受信することができる任意の適切なモジュールを使用することができる。入力モジュールは、例えば、1またはそれを超えるプロセッサを含むデバイスを含み得る。プロセッサ(例えば、コンピュータプロセッサ)を含むデバイスの非限定的な例には、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、携帯電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android(登録商標)方式携帯電話)、携帯情報端末(PDA)、ビデオゲーム機器、テレビ、音楽再生デバイス(例えば、Apple(登録商標)iPod(登録商標))、ビデオ再生デバイス、ページャー、および計算機が含まれる。1またはそれを超えるプロセッサを、1またはそれを超えるコントローラ、計算ユニット、および/またはコンピュータシステムの他のユニットと関連付けることができるか、必要に応じてファームウェアに埋め込むことができる。ソフトウェアに埋め込む場合、ルーチン(またはプログラム)を、任意のコンピュータ可読メモリ(RAM、ROM、フラッシュメモリ、磁気ディスク、レーザーディスク(登録商標)、または他の記憶媒体など)に格納することができる。1またはそれを超えるプロセッサは、単一のプロセッサ(例えば、シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサ)であり得る。1またはそれを超えるプロセッサは、複数のプロセッサ(例えば、シングルコアプロセッサまたはマルチコアプロセッサ)であり得る。同様に、このソフトウェアを、任意の送達方法(例えば、通信チャネル(電話回線、インターネット、ローカルイントラネット、無線接続など)または可搬型媒体(コンピュータ可読ディスク、フラッシュドライブなど)が含まれる)によってデバイスに送達させることができる。種々の工程を、種々のブロック、操作、ツール、モジュール、または技術として実装することができ、さらに、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはこれらの任意の組み合わせに実装することができる。ハードウェアに実装する場合、ブロック、操作、技術などのいくつかまたは全てを、例えば、カスタム集積回路(IC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブル・ロジック・アレイ(FPGA)、プログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)などに実装することができる。
【0142】
いくつかの実施形態では、入力モジュールは、標的核酸を増幅するためのユーザー要求を受信するように構成されている。入力モジュールは、ユーザー要求を、直接(例えば、ユーザーによって操作されるキーボード、マウス、またはタッチスクリーンなどの入力デバイスによる)または間接的に(例えば、有線接続または無線接続(インターネットが含まれる)による)受信することができる。入力エレクトロニクスを介して、入力モジュールは、ユーザーの要求を増幅モジュールに提供し得る。いくつかの実施形態では、入力モジュールは、ユーザーが標的核酸を増幅する要求を提供することができるように構成されているユーザーインターフェイス(UI)(グラフィカルユーザーインターフェイス(GUI)など)を含み得る。GUIは、テキスト、グラフ、および/または音声の構成要素を含むことができる。GUIを電子ディスプレイ(コンピュータプロセッサを含むデバイスのディスプレイが含まれる)上に提供することができる。かかるディスプレイは、抵抗性または容量性のタッチスクリーンを含み得る。
【0143】
ユーザーの非限定的な例には、生物試料を得た被験体、医療関係者、臨床関係者(例えば、医師、看護師、検査技師)、検査室の職員(例えば、病因の検査技師、研究者、薬学分野の科学者)、臨床試験の臨床モニター、またはヘルスケア産業関係者が含まれる。
【0144】
種々の態様では、システムは、標的核酸またはその一部に対して核酸増幅反応を実施するための増幅モジュールを含み得る。増幅モジュールは、入力モジュールによって受信したユーザー要求に応答し得る。増幅モジュールは、本明細書中に記載の任意の方法を実施可能であり得、モジュールは、流体操作デバイス、1またはそれを超えるサーモサイクラー、1またはそれを超える反応容器を収容するための手段(例えば、サーモサイクラーのサーマルブロックのウェル)、増幅産物を検出することができる検出器(例えば、光学的検出器、分光学的検出器、電気化学的検出器)、および増幅産物(例えば、DNA増幅産物)の存在および/または量に関する情報(例えば、生データ、処理済みデータ、または本明細書中に記載の任意の他のタイプの情報)を受信者に出力するための手段のうちのいずれかを含み得る。いくつかの場合、増幅モジュールは、本明細書中の他所に記載のコンピュータプロセッサを有するデバイスを含み得、検出によって得た生データを適切なソフトウェアを活用して解析することも可能であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、増幅モジュールは、入力モジュールからの指示を受信するために使用される入力エレクトロニクスを含み得、出力モジュールと通信するために使用される出力エレクトロニクスを含み得る。
【0145】
いくつかの実施形態では、反応容器への材料の提供、核酸の増幅、増幅産物の検出、および情報の出力の1つまたは複数の工程は、増幅モジュールによって自動化され得る。いくつかの実施形態では、自動化は、1またはそれを超える流体ハンドラーおよび関連するソフトウェアの使用を含み得る。いくつかの市販の流体を取り扱うシステムを利用して、かかるプロセスを自動化することができる。かかる流体ハンドラーの非限定的な例には、Perkin-Elmer、Caliper Life Sciences、Tecan、Eppendorf、Apricot Design、およびVelocity 11の液体ハンドラーが含まれる。
【0146】
いくつかの実施形態では、増幅モジュールは、リアルタイム検出装置を含み得る。かかる装置の非限定的な例には、リアルタイムPCRサーモサイクラー、QuantStudio7 FlexリアルタイムPCRシステム、Qiagen Rotogene、Bio Rad CFXシステム、ABI PRISM(登録商標)7000配列検出システム、ABI PRISM(登録商標)7700配列決定システム、Applied Biosystems7300リアルタイムPCRシステム、Applied Biosystems7500リアルタイムPCRシステム、Applied Biosystems7900 HT FastリアルタイムPCRシステム(全てApplied Biosystems);LightCycler(商標)システム(Roche Diagnostics GmbH);Mx3000P(商標)リアルタイムPCRシステム、Mx3005P(商標)リアルタイムPCRシステム、およびMx4000(登録商標)マルチプレックス定量的PCRシステム(Stratagene,La Jolla,Calif.);ならびにSmart Cyclerシステム(Cepheid,)が含まれる。いくつかの実施形態では、増幅モジュールは、例えば、COBAS(登録商標)AmpliPrep/COBAS(登録商標)TaqMan(登録商標)システム(Roche Molecular Systems)、TIGRIS DTSシステム(Hologic Gen-Probe,San Diego,CA)、PANTHERシステム(Hologic Gen-Probe,San Diego,CA)、BD MAX(商標)システム(Becton Dickinson)、GeneXpertシステム(Cepheid/Danaher)、Filmarray(登録商標)(BioFire Diagnostics)システム、iCubateシステム、IDBoxシステム(Luminex)、EncompassMDx(商標)(Rheonix)システム、Liat(商標)Aanlyzer(IQuum)システム、Biocartis’分子診断プラットフォームシステム、Enigma(登録商標)MLシステム(Enigma Diagnostics)、T2Dx(登録商標)システム(T2 Biosystems)、Verigene(登録商標)システム(NanoSphere)、Great Basin診断システム、Unyvero(商標)システム(Curetis)、PanNATシステム(Micronics)、Spartan(商標)RXシステム(Spartan Bioscience)QuantStudio三次元デジタルPCRシステム、またはQX200 Droplet Digital PCRシステムなどの別の自動化装置を含み得る。
【0147】
代替法として、被験体の核酸試料を、本開示のキットおよび方法を用いて処理し、配列決定に供して、被験体がSMAを有するのか、またはSMAのキャリアであるのかを識別することができる。かかる配列決定は、次世代配列決定、超並列アレイ配列決定(例えば、Illumina)、全ゲノム配列決定、標的配列決定(例えば、富化後の超並列アレイ配列決定)、またはナノポアベースの配列決定(例えば、Roche/GeniaまたはOxford Nanopore)であり得る。いくつかの例では、本開示のキットおよびプローブを使用して、配列決定ライブラリーを生成し、このライブラリーをその後に配列決定して配列決定リードを生成し、このリードを解析して、被験体がSMAを有するのか、またはSMAのキャリアであるのかを識別することができる。
【0148】
種々の態様では、出力モジュールは、増幅モジュールに動作可能に接続されている。いくつかの実施形態では、出力モジュールは、入力モジュールについて上記のプロセッサを有するデバイスを含み得る。出力モジュールは、本明細書中に記載の入力デバイスを含み得、そして/または増幅モジュールと通信するための入力エレクトロニクスを含み得る。いくつかの実施形態では、出力モジュールは、電子ディスプレイ、いくつかの場合、UIを含む電子ディスプレイであり得る。いくつかの実施形態では、出力モジュールは、コンピュータネットワーク(例えば、インターネットなど)に動作可能に連結された通信インターフェイスである。いくつかの実施形態では、出力モジュールは、任意の適切な通信媒体(コンピュータネットワーク、無線ネットワーク、ローカルイントラネット、またはインターネットが含まれる)を使用して、情報をローカルまたは遠隔地の受信者に伝送することができる。いくつかの実施形態では、出力モジュールは、増幅モジュールから受信したデータを解析することができる。いくつかの場合、出力モジュールは、報告書を作成し、報告書を受信者に伝送することができる報告書作成プログラムを含む。報告書は、本明細書中の他所に記載の増幅産物の量および/または存在に関する任意の情報を含み得る。いくつかの実施形態では、出力モジュールは、生データなどの形態の増幅モジュールから受信した情報または増幅モジュールに含まれるソフトウェアによって実施されたデータ解析に自動的に応答して情報を伝送することができる。あるいは、出力モジュールは、ユーザーからの指示の受信後に情報を伝送し得る。出力モジュールによって伝送された情報を、電子的に閲覧するか、プリンターで印刷することができる。
【0149】
入力モジュール、増幅モジュール、および出力モジュールのうちの1つまたは複数は、同一のデバイス内に含めることができるか、1またはそれを超える同一の構成要素を含み得る。また、例えば、増幅モジュールは、入力モジュール、出力モジュール、またはその両方を含み得る。他の例では、プロセッサを含むデバイスは、入力モジュールおよび出力モジュールの両方に含めることができる。ユーザーは、デバイスを、標的核酸を増幅するように要求するために使用することができ、増幅産物に関する情報を受信者に伝送するための手段として使用することもできる。いくつかの場合、プロセッサを含むデバイスは、3つ全てのモジュールを含めることができるため、プロセッサを含むデバイスを使用して、増幅モジュールまたは任意の他のモジュールに含まれる機器(例えば、サーモサイクラー、検出器、流体操作デバイス)由来の情報を制御し、情報に対して指示を与え、戻された情報を受信することもできる。
【0150】
本明細書中に記載の方法に従って標的核酸を増幅するためのシステムの例を、
図1に示す。システムは、入力モジュールおよび出力モジュールの両方の一部としての機能を果たし得るコンピュータ101を含む。ユーザーは、核酸増幅のために提供された反応混合物を含む反応容器102を増幅モジュール104内に入れる。増幅モジュールは、サーモサイクラー105および検出器106を含む。入力モジュール107は、反応混合物中の標的核酸を増幅せよというユーザーの要求を受信することができるコンピュータ101および関連付けられた入力デバイス103(例えば、キーボード、マウスなど)を含む。入力モジュール107は、ユーザーの要求を増幅モジュール104に伝達し、サーモサイクラー105内で核酸増幅を開始する。増幅が進行するにつれて、増幅モジュールの検出器106は増幅産物を検出する。増幅産物に関する情報(例えば、検出器によって得た生データ)を検出器106からコンピュータ101に伝送して戻し、このコンピュータは出力モジュール108の構成要素としての機能も果たす。コンピュータ101は増幅モジュール104からの情報を受信し、情報に対して任意のさらなる操作を行い、次いで、処理済み情報を含む報告書を作成する。報告書が作成された時点で、次いで、コンピュータ101は、報告書をその最終受信者109に、コンピュータネットワーク(例えば、イントラネット、インターネット)によるコンピュータネットワーク・インターフェイス110で、プリンター111によるハードコピー形式で、またはコンピュータ101に動作可能に結合された電子ディスプレイ112で伝送する。いくつかの場合、電子ディスプレイ112
【0151】
コンピュータ可読媒体は、多くの形態を取ることができ、有形の(すなわち、非一過性の)記憶媒体、搬送波媒体、または物理的伝送媒体が含まれるが、これらに限定されない。不揮発性記憶媒体には、例えば、光ディスクまたは磁気ディスク、例えば、任意のコンピュータ(単数または複数)内の任意の記憶デバイスが含まれ、例えば、計算工程、処理工程などを実装するために使用することができる。揮発性記憶媒体には、ダイナミックメモリ(コンピュータのメインメモリなど)が含まれる。有形伝送媒体には、同軸ケーブル;銅線および光ファイバ(コンピュータシステム内のバスを含むワイヤが含まれる)が含まれる。搬送波伝送媒体は、電気信号もしくは電磁信号、または音波もしくは光波(高周波(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなど)の形態を取ることができる。従って、コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、以下が含まれる:フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、任意の他の光媒体、パンチカード、紙テープ、ホールパターンを有する任意の他の物理的記憶媒体、RAM、PROMおよびEPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、任意の他のメモリーチップもしくはカートリッジ、データもしくは指示を伝送する搬送波、かかる搬送波を伝送するケーブルもしくはリンク、またはコンピュータがプログラミングコードおよび/もしくはデータを読み取ることができる任意の他の媒体。これらのコンピュータ可読媒体の形態の多くは、実行のためのプロセッサへの1またはそれを超える一連の1またはそれを超える指示の転送に関与し得る。
【実施例】
【0152】
実施例1:ヒト細胞試料中の核酸の増幅および検出
健康な個体および脊髄性筋萎縮症(SMA)を罹患しているかSMAキャリアである疑いのある個体から得た核酸試料から得た結果を比較するために増幅および検出実験を行う。ゲノムDNAを含む核酸試料を、SMAと相関するDNA領域が増幅されるように複数のプローブの存在下で増幅条件に供する。各核酸試料を、被験体から口腔咽頭スワブを介して直接得る。各実験において、負の対照(例えば、ゲノムDNAを含まない試料)も増幅に供する。5マイクロリットルの各試料を、25マイクロリットル(μL)の反応管中で、DNAの増幅および検出のために使用される試薬と組み合わせる。DNA増幅およびqPCRを実施するために使用した試薬を、市販のプレミックス(DNAポリメラーゼ(例えば、HotStarTaq(登録商標)DNAポリメラーゼ))、およびdNTPとして用意する。さらに、反応管は、DNA増幅産物の検出のためのFAM色素を含むTaqMan(商標)プローブも含む。DNA増幅産物を生成するために、各反応混合物を、95℃で5分間、続いて45℃で20分間、続いて95℃で2分間を含む変性および伸長条件、続いて95℃で5秒間および55℃で30秒間を40サイクルのプロトコールに従って、リアルタイムPCRサーモサイクラー内でインキュベートする。増幅産物の検出をインキュベーション中に行う。記録されたFAM色素の蛍光を、サイクル数に対してプロットする。
【0153】
実施例2.キットを使用したSMN1およびSMN2のコピー数ならびに2コピーハプロタイプの検出。
核酸試料を被験体から単離し、定量する。次いで、2.5マイクロリットル(μL)中の2ナノグラム/マイクロリットル(ng/μL)の核酸がアッセイにおける各反応で使用されるように、核酸濃度を正規化する。第1の管を用意し、この管は、凍結乾燥させた産物を含む。管(この実施例では管Aと表す)を短時間遠心分離して、凍結乾燥させた産物を管の底に沈降させた。このキットの例では、凍結乾燥させた産物は、第1の遺伝子座に対応し、コピー数を決定するために使用されるSMN1およびSMN2のプローブ、野生型SMN1/SMN2プローブ、ならびに第2の遺伝子座に対応する2コピーハプロタイププローブ、ならびに第3の遺伝子座に対応するコピー数対照プローブの合計5つのプローブを含む。この実施例で用意した5つのプローブは、表1に示したプローブ配列を有するプローブである。プローブは、表1において「+」で示したロックド核酸(LNA)を含む。「+」に続くヌクレオチドは、ロックド核酸である。また、表は、生成されるアンプリコンおよびアンプリコンとハイブリッド形成する各プローブを示す。アンプリコン1は、対照プローブが結合する対照アンプリコンである。アンプリコン2はコピー数アンプリコンである。コピー数の決定のために使用されるプローブは、アンプリコン2に結合する。アンプリコン3は2コピーハプロタイププローブであり、2コピーハプロタイプの存在の決定のために使用されるプローブはアンプリコン3に結合する。
表1:SMAを検出するために使用されるプローブ
【表1】
【0154】
さらに、この実施例では、凍結乾燥させた産物は、qPCR反応を行うための酵素、ヌクレオチド、およびプライマーを含む。プライマーの配列を表2に示す。表2は、どのアンプリコンがどのプライマーによって生成されるかを示す。
表2:SMAを検出するために標的核酸を増幅させるためのプライマー
【表2】
【0155】
希釈剤を含む第2の管を用意する。第2の管(この実施例では管Bと表す)を5秒間ボルテックスし、次いで、短時間遠心分離して、確実に管の内容物が管の底にあるようにする。1.35ミリリットル(mL)の希釈剤(管B由来)を、凍結乾燥させた産物を含む管(管A)に添加する。凍結乾燥させた産物と共に1.35mLの希釈剤を含む管Aを5秒間ボルテックスし、次いで、短時間遠心分離する。得られたマスターミックス溶液に、qPCR反応のための再水和したプローブおよび試薬を含める。
【0156】
次いで、表3に従って、マスターミックスを反応ウェルに添加する。提供した表に従って、核酸試料またはテンプレート核酸も反応物に添加する。表に示すように、48ウェル中で反応させる場合、ユーザーは、22.5μLのマスターミックスおよび2.5μLの2ng/μL核酸試料をピペットで各ウェルに移すことができる。
表3:qPCR実施のためのマスターミックスおよびテンプレートの体積
【表3】
また、テンプレート核酸は、核酸試料と同時に反応させることが推奨される対照分子であり得る。異なるコピー数のSMN1およびSMN2遺伝子に対応するDNA、ならびに2コピーハプロタイプを含むか含まないDNAを含む対照を、用意するか、そうでなければ入手することができる。可能な対照を以下の表4に示す。さらに、負の対照としての役割を果たすために、テンプレート核酸または核酸試料を含めずに反応させることができる。
表4:対照試料
【表4】
【0157】
PCRを行うために、PCR用のプレートまたは管(単数または複数)を、qPCRサイクラーに配置する。この実施例については、比較Ctを使用してデータが解析されるようにソフトウェアを設定する。標的レポーター蛍光を、プローブに対応するように設定する。この実施例については、FAM、ATTO532、テキサスレッド、ATTO550、およびATTO647を、1つのプローブに対応する各色素と共に使用する。次いで、サーモサイクラーを、表5のサーモサイクリングプロトコールを使用して運転する。
表5:qPCRサーモサイクラープロトコール
【表5】
【0158】
PCRの実施後、実施結果を解析する。ソフトウェアを使用して各蛍光シグナルの閾値およびベースラインを設定する。次いで、処理のためにデータをExcelファイルとしてエクスポートする。次いで、用意されたマクロをエクスポートしたデータに適用し、SMN1およびSMN2のコピー数ならびに2コピーハプロタイプの存在に関するデータを報告する。
【0159】
上記のように、qPCR反応を行い、各プローブから生成したシグナルに関するデータを収集する。ソフトウェアまたはプロセッサは、データを解析し、被験体についてSMAを有するかSMAのキャリアであるかを識別することができる。また、各プローブ由来のシグナルをモニタリングし、グラフにする。
図3Aは、異なるコピー数の2コピーハプロタイプを有する試料に対して実施したアッセイで得られたデータの例を示す。PCRサイクルをx軸上に示し、プローブから得られたシグナルをy軸上に示す。このグラフ中に記録されているプローブシグナルは、2コピーハプロタイプに対応する配列に対して親和性を有する。曲線310は、2コピーハプロタイプを含まない核酸試料の曲線を実証している。従って、サイクル数45でさえもシグナルが低いか全く無い。曲線320は、1コピーの2コピーハプロタイプを含む核酸試料の曲線を実証している。従って、シグナルは、およそサイクル25で増加し始め、サイクル45でおよそ75,000ΔRnのレベルに到達した。曲線330は、2コピーの2コピーハプロタイプを含む核酸試料の曲線を実証している。従って、シグナルはおよそサイクル25で増加し始め、サイクル45でおよそ200,000ΔRnのレベルに到達した。サイクル25と45との間では、2コピーの2コピーハプロタイプを含む試料は1コピーの2コピーハプロタイプのみを含む試料より多くのシグナルを産生し、1コピーの対立遺伝子のみを含む試料は2コピーハプロタイプのコピーを含まない試料より多くのシグナルを産生する。従って、これらの試料中の2コピーハプロタイプ数を判定することが可能である。
【0160】
図3Bは、異なるコピー数のSMN1を含む試料に対して実施したアッセイで得られたデータの例を示す。PCRサイクルをx軸上に示し、プローブから得られたシグナルをy軸上に示す。このグラフ中に記録されているプローブシグナルは、SMN1遺伝子に対して親和性を有する。曲線340は、SMN1遺伝子を含まない核酸試料の曲線を実証している。従って、サイクル数45後でさえもシグナルが低いか全く無い。曲線350は、1つのSMN1遺伝子を含む核酸試料の曲線を実証している。従って、シグナルは、およそサイクル25で増加し始め、サイクル45でおよそ100,000ΔRnのレベルに到達した。曲線360は、2コピーのSMN1遺伝子を含む核酸試料の曲線を実証している。従って、シグナルはおよそサイクル25で増加し始め、サイクル45でおよそ135,000ΔRnのレベルに到達した。曲線370は、3コピーのSMN1遺伝子を含む核酸試料の曲線を実証している。従って、シグナルはおよそサイクル25で増加し始め、サイクル45でおよそ165,000ΔRnのレベルに到達した。サイクル25と45との間では、これらの試料において、より多いコピー数のSMN1を含む試料はより少ないコピー数のSMN1を含む試料より多くのシグナルを産生しする。従って、試料中のSMN1遺伝子数を判定することが可能である。SMN2に対して親和性を有するプローブも、類似のグラフとなり得る。
【0161】
コピー数決定における正確度を増大させるために、シグナルを正規化するための基準として対照プローブをさら使用することができる。
図3Cは、異なるコピー数のSMN1遺伝子および2コピーハプロタイプを含む試料に対して実施したアッセイで得られたデータの例を示す。このグラフ中に記録されているプローブシグナルは、SMN1遺伝子に対して親和性を有する。曲線380は、核酸を含まない核酸試料の曲線を実証している。従って、シグナルが存在しない。曲線390は、種々のコピー数のSMN1遺伝子および2コピーハプロタイプと共に2コピーのRPP30を含む核酸試料の曲線を実証している。実証されるように、RPP30シグナルは、種々のコピー数のSMN1遺伝子および2コピーハプロタイプを含む試料を除いて、全ての曲線が類似している。SMN1またはSMN2に対するプローブによって得られたシグナルを、同一試料のRPP30シグナルを使用して参照して、コピー数を計算することができる。
【0162】
図4は、SMN1遺伝子を持たないが、SMN2遺伝子を有する試料に対して実施したアッセイで得られたデータの例を示す。x軸は、SMN1遺伝子コピー数プローブの一般的なシグナル強度を表す。このグラフ中に記録されているプローブシグナルは、SMN1遺伝子に対して親和性を有する。SMN1とSMN2とが類似するにもかかわらず、SMN1遺伝子コピー数プローブのシグナル強度は、サイクル45で約0~15,000ΔRnのままである。
図3B中のデータと比較して、これは、SMN1遺伝子コピー数プローブが非SMN1標的にほとんど結合しないか全く結合しないことを実証している。
【0163】
データを、SMAおよびSMAキャリアを検出するための対立遺伝子識別プロットを使用して解析することができる。
図5は、使用することができる可能な試料の特異的遺伝子型についてのプロット上の例示的な一般的位置を示す。x軸は、SMN1およびSMN2遺伝子のコピー数プローブと相関する(アンプリコン2の検出と関連する)一般的なシグナル強度を表す。y軸は、2コピーハプロタイプと相関する(アンプリコン3の検出と関連する)一般的なシグナル強度を表す。NTCとラベルした白色の円は、非テンプレート対照である。この対照試料はテンプレートDNAを持たず、従って、SMN1遺伝子コピー数プローブや2コピーハプロタイププローブのいずれについてもシグナルをほとんど生成しないか全く生成しない。野生型とラベルした淡褐色の円は、試料が、例えば、2つのSMN1遺伝子(各染色体上1つ)を含み、2コピーハプロタイプ対立遺伝子のコピーを含まない野生型試料を表す。SMAキャリアではない健康な個体は、この円によって表される。SMN1およびSMN2遺伝子のコピー数プローブ由来のシグナル強度は、非テンプレート対照のシグナル強度より高い。サイレントキャリアとラベルした桃色の円は、SMAのキャリアであり、その子孫がSMAを有し得る個体を表す。この個体は、健康な個体と一致する遺伝子コピー数のSMN1およびSMN2を有し得るが、2コピーハプロタイプも有する。SMN1およびSMN2遺伝子のコピー数由来のシグナル強度は、非テンプレート対照のシグナル強度より高い。また、2コピーハプロタイププローブのシグナル強度は、非テンプレート対照のシグナル強度より高く、2コピーハプロタイプの存在を示す。2サイレント対立遺伝子とラベルした赤色の円は、2コピーの2コピーハプロタイプを有する試料を表す。2コピーハプロタイププローブのシグナル強度は、サイレントキャリアの2コピーハプロタイププローブのシグナル強度より高い。
【0164】
図6は、2コピーハプロタイプを含む試料について記録したデータポイントを示す。x軸は、SMN1およびSMN2遺伝子のコピー数プローブの一般的なシグナル強度を表す。y軸は、2コピーハプロタイププローブの一般的なシグナル強度を表す。取り囲まれて「NTC」とラベルした緑色の点は、非テンプレート対照試料であるが、2コピーハプロタイプまたはSMN1のシグナルを持たない。取り囲まれて「NA10684、NA23687、NA12878」とラベルした赤色の点は、2コピーハプロタイプを持たない試料である。これらの試料は、試料中にSMN1およびSMN2遺伝子が存在するためにNTCよりx軸上のシグナル強度が高いが、2コピーハプロタイププローブ由来のシグナルは低い。取り囲まれて「NA20359」とラベルした緑色の点は、1コピーの2コピーハプロタイプを有する試料である。これらの試料は、試料中にSMN1およびSMN2遺伝子が存在するためにNTCよりx軸およびy軸上のシグナル強度が高く、2コピーハプロタイププローブ由来のシグナルも高い。取り囲まれて「NA20291」とラベルした青色の点は、2コピーの2コピーハプロタイプを有する試料である。これらの試料は、試料中にSMN1およびSMN2遺伝子が存在するためにNTCよりx軸上のシグナル強度が高く、2コピーハプロタイププローブ由来のy軸上のシグナル強度が高い。「NA20291」試料は2コピーの2コピーハプロタイプを含むので、2コピーハプロタイププローブ由来のシグナル強度は、1コピーの2コピーハプロタイプのみを含む「NA20359」試料よりはるかに高い。
【0165】
本発明の好ましい実施形態を本明細書中に示し、指示するが、かかる実施形態をほんの一例として提供していることが当業者に明らかであろう。本発明が、本明細書内に提供された具体例によって制限されることを意図しない。本発明を前述の明細書を参照して記載しているが、本明細書中の実施形態の説明および例示は本発明を制限すると解釈されることを意味しない。当業者であるならば、本発明を逸脱することなく、多数の変形形態、変更形態、および置換形態を思いつくであろう。さらに、本発明の全ての態様が、本明細書中に記載の具体的な描写、配置、または相対的比率に制限されず、種々の条件および変数に依存すると理解されるものとする。本発明の実施において、本明細書中に記載の本発明の実施形態の種々の代替形態を使用することができると理解すべきである。従って、本発明が任意のかかる変更形態、修正形態、変形形態、または均等物も対象とすることが意図される。以下のクレームは、本発明の範囲を定義しており、これらのクレームおよびその均等物の範囲内の方法および構造物がクレームの対象とされることが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2021-10-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
【国際調査報告】