(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】レリーフキャリアを生成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
B41M 1/04 20060101AFI20220224BHJP
【FI】
B41M1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540590
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-07
(86)【国際出願番号】 EP2020050712
(87)【国際公開番号】W WO2020148234
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519435898
【氏名又は名称】ザイコン・プレプレス・ナームローゼ・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Xeikon Prepress N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】バート・ワッタイン
(72)【発明者】
【氏名】エーファ・フロイデンターラー
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・クンツ
【テーマコード(参考)】
2H113
【Fターム(参考)】
2H113AA04
2H113AA05
2H113BA01
2H113BB02
2H113BB05
2H113BB08
2H113DA47
2H113DA53
2H113DA56
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2H113EA06
2H113EA12
2H113FA10
2H113FA43
2H113FA44
2H113FA45
(57)【要約】
固化可能な材料(M)を使用してレリーフキャリアを生成するための装置であって、前記装置は、実質的に円筒状の支持面を提供するように構成された支持構造(100)であって、前記支持表面は、生成される前記レリーフキャリアの一部となることを意図した基板によって、または生成される前記レリーフキャリアの一部となることを意図していない円筒状の支持によって、形成され得る、支持構造(100)と、;固化可能な材料用の容器(200)であって、支持構造の軸(A)に実質的に平行に配置された壁(210)を有する前記容器と、;移動中に前記支持面の後の領域(Z1、Z2)が前記壁に面するように、前記壁に対して前記支持構造を移動させるための移動手段(300)であって、前記移動は、少なくとも軸(A)の周りの回転を含む、移動手段(300)と、;前記支持面と前記壁との間の所定の領域に、前記壁を介して照射を出すための照射手段(400)と、;を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固化可能な材料(M)を使用してレリーフキャリアを生成するための装置であって、前記装置は、
- 実質的に円筒状の支持面を与えるように構成された支持構造(100)であって、前記支持面は、生成される前記レリーフキャリアの一部となることを意図した基板によって、または生成される前記レリーフキャリアの一部となることを意図しない円筒状の支持によって、形成され得る、前記支持構造(100)と、
- 前記固化可能な材料を受け入れるための容器(200)であって、前記容器が前記支持構造の軸(A)に実質的に平行に配置された壁(210)を有し、前記支持面が前記壁の決定された距離(t)にある、前記容器(200)と、
- 前記支持面の後の領域(Z1、Z2)が前記移動中に壁に面するように、前記壁に対して前記支持構造を移動するように構成された移動手段(300)であって、前記移動は少なくとも軸(A)の周りの回転を含む、移動手段(300)と、
- 前記支持面と前記壁との間の所定の領域に前記壁を介して照射を出し、前記支持面で前記固化可能な材料を固化するように構成された照射手段(400)であって、前記壁は、前記照射が壁を介して通過するように構成される、前記照射手段(400)と、を備える、装置。
【請求項2】
前記支持構造(100)は、前記支持面を形成するプレートまたはスリーブの形態の基板を受け入れるように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記支持面に実質的に360°にわたって固化した材料が供給されることを可能にするように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記支持面が完全な円筒を描く、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記支持構造の前記軸(A)の周りに前記支持構造を回転させながら前記軸(A)を前記容器の前記壁に対して平行に移動させるように、前記壁に対して前記支持構造を移動させるように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記移動手段は、前記支持構造の回転度ごとに、前記支持構造が、πに前記支持面の外径(d)を掛けて360で割った値(π*d/360)として計算された値の10%以内の距離にわたって前記壁に対して移行されるように、前記壁に対して前記支持構造を移行および回転させるように構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記移動手段が、前記支持構造を移行させるように、および/または前記容器を移行させるように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記支持構造と同期して前記壁に対して前記照射手段の照射領域を移動するように構成された照射移動手段をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記壁と前記支持構造との間の距離を変更するように構成された調整手段をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記支持面の後の隣接する長手方向ゾーンを照射するように、前記移動手段、前記照射移動手段、および前記照射手段を制御するように構成されたコントローラをさらに備え、前記長手方向ゾーンが前記支持構造の軸に平行に延びる、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラは、固化した材料の1以上の層が前記支持面上に形成されるように、前記移動手段、前記調整手段、および前記照射手段を制御するように構成される、請求項9または10に記載の装置。
【請求項12】
前記支持構造の1回以上の回転中に、固化した材料の少なくとも1つの周層が前記支持面上に形成されて床を形成し、およびその後の1回以上の回転中に、構造化され固化した材料の少なくとも1つの画像化層が前記床上に形成されるように、前記コントローラは、前記移動手段、前記調整手段、および前記照射手段を制御するように構成される、請求項9および10または請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記支持構造の1回以上の回転中に固化した材料の少なくとも1つの構造化層が形成されるように、前記コントローラは、前記移動手段、前記調整手段、および前記照射手段を制御するように構成される、請求項9および10または11に記載の装置。
【請求項14】
前記移動手段は、前記支持構造が回転されている間に、前記壁に対して前記支持構造を前記初期位置から前記終了位置に前方方向に、次に、前記終了位置から前記初期位置へと後方方向に移行させるように構成される、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記壁が前記容器の底壁、好ましくは平らな底壁である、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記壁が、固化した材料への付着を制限するように構成された付着防止コーティングを有する前記容器の内側面に、設けられている、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記壁が電磁放射および/または抑制剤に対して透明である、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記照射手段が、前記支持構造の前記軸に平行な1つ以上の線に配置された1つ以上の照射要素を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記照射手段が、UV照射手段、赤外線照射手段、レーザー手段、走査手段、投影手段、LEDアレイ、液晶ディスプレイ、アクティブマトリックス(O)LEDディスプレイのいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記支持面が前記壁の決定された距離(t)にあり、前記距離が1cmよりも小さく、および/または、移動方向に見たときに所定の照射領域に向かって狭くなるギャップが形成されるように前記支持面および前記壁は形作られる、請求項1~19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
固化可能な材料を使用してレリーフキャリアを生成するための方法であって、
- 実質的に円筒状の支持面を提供する工程であって、前記支持面は、生成される前記レリーフキャリアの一部となることを意図された基板によって、または、生成される前記レリーフキャリアの一部となることを意図されない円筒状の支持によって、形成され得る工程と、
- 実質的に円筒状の前記支持面を、少なくとも部分的に前記容器内の固化可能な材料内に、前記容器の壁の距離で前記壁が実質的に円筒状の前記支持面の前記軸に平行になるように配置する工程と、
- 移動中に前記支持面の後の領域が前記壁に面するように、前記壁に対して前記支持面を移動する工程と、
- 前記支持面と前記壁との間の所定の領域で、前記壁を介した照射によって固化可能な材料を固化する工程と、を含む方法。
【請求項22】
前記支持面に実質的に360°にわたって固化した材料を設けるように、前記移動する工程および前記固化する工程が行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記移動する工程は、前記軸の周りで前記支持面を回転させながら、前記軸を前記壁に平行に移動させることを含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
固化可能な材料が粘性の感光性コーティング材料である、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記支持面が360°にわたって1回以上初期回転する間に、固化した材料の少なくとも1つの周層が前記支持面上に形成されて床を形成し、およびその後の1回以上の回転中に、構造化され固化した材料の少なくとも1つの画像化層が前記床上に形成されて、レリーフ構造を形成する、請求項21~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記支持面の1回以上の初期回転中に、構造化され固化した材料の少なくとも1つの画像化層が前記床上に形成されてレリーフ構造を形成する、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記移動する工程は、前記軸の周りの前記支持面の回転角ごとに、前記軸が、πに前記支持面の外径(d)を掛けて360で割った値(π*d/360)として計算された値の10%以内の距離にわたって前記壁に対して移行されるように、前記壁に対して前記支持面を移行および回転させる工程を含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記移動する工程が、前記支持面を移行させる工程、および/または前記容器を移行させる工程を含む、請求項21~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記固化した材料の層が形成された後、前記壁と前記支持面との間の距離を増加させる工程をさらに含む、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記支持面の後に隣接する長手方向ゾーンが照射されるように、前記移動する工程および前記照射する工程を制御する工程をさらに含む、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記支持面が複数回処理されるように前記移動する工程および前記照射する工程を制御する工程をさらに含む、請求項21~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記制御する工程は、前記支持面が回転しながら、前記支持面を初期位置から終了位置へと前方方向に移動させ、その後、前記支持面を前記終了位置から前記初期位置への逆方向に移動させる、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記照射する工程は、実質的に円筒状の前記支持面の前記軸に平行な1つ以上の線に配置された1つ以上の照射要素を用いて行われる、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
固化可能な材料のDIN 1342による粘度が400mPa*sよりも高い、請求項21~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、
- 生成された前記レリーフキャリアを前記容器から取り外す工程;
- 次の後処理のいずれか1つ以上を実行する工程:固化していない材料の除去、洗浄、後露光、化学薬品による後処理、加熱、研削、少なくとも1つの追加層の追加またはそれらの組み合わせ;
をさらに含む、請求項21~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
形成された前記レリーフキャリアの上にさらなる層を塗布または積層してチャネルを形成する工程をさらに含む、請求項21~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記固化可能な材料が固化される所定の領域が、前記支持面および前記壁によって範囲が定められる、請求項21~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
請求項21~37のいずれか一項に記載の方法によって得られたレリーフキャリア。
【請求項39】
フレキソ印刷版またはスリーブ、凸版印刷版またはスリーブ、タンポ印刷版またはスリーブ、凹版印刷版またはスリーブ、マイクロ流体デバイス、マイクロリアクター、フォレティックセル、フォトニック結晶または光学デバイスとして、請求項21~37のいずれか一項に記載の方法によって得られたレリーフキャリアの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、固化可能な材料を使用して、レリーフプレートまたはスリーブ、より具体的には印刷版または印刷スリーブなどのレリーフキャリアを生成するための装置および方法に関する。特定の実施形態は、印刷用のイメージレリーフプレートまたはスリーブを生成する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキソ印刷または凸版印刷は、大量印刷に一般的に使用される手法である。フレキソ印刷版または凸版印刷版は、紙、段ボール、フィルム、ホイル、ラミネートなどの記録媒体上に画像を生成するために、画像要素が非画像要素の上に突き出ているレリーフプレートである。フレキソ印刷版または凸版印刷版は、通常、十分な柔軟性があり、印刷シリンダーの周りに巻き付けられる。また、円筒状の印刷版またはスリーブを使用することができる。
【0003】
フレキソ印刷版を作製するには、さまざまな方法がある。従来の方法によれば、フレキソ印刷版は、バッキング層および1層以上の光硬化性層を含む多層基板から作られる。これらの光硬化性層は、画像情報を含むマスク層を介した電磁放射への曝露によって、または光への直接かつ選択的な曝露によって、例えば、レリーフプレートを取得するために、プレートをスキャンして画像情報を転送することによって、画像化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
別の既知の方法によれば、印刷版は、積層造形または3D印刷製造方法を使用して製造される。そのような方法では、各層の構築は、材料を固化することによって、例えばUV光放射を使用した光硬化性ポリマー樹脂または溶融堆積によって、層ごとに実行することができる。連続する層は、成長する層構造の上側に付加的に形成することができる。他の改善された方法は、連続液界面印刷法を使用することができる。そのような連続プロセスは、固化可能な材料を固化することができる放射に対して透明である底を有する固化可能な材料のリザーバを使用する。レリーフ構造が構築される基板であるキャリア基板は、最初は固化可能な材料と直接接触している。続いて、重合が起こった後、基板がリザーバの底から離れて移動し、新たな液体材料がギャップを埋める。基板の表面で固化した材料の形成は連続的なプロセスであり、固化した材料は、印刷版の形成が完了するまで、リザーバ内の固化可能な材料と常に接触している。このような連続液界面印刷法は、段階的方法で発生する開裂線の問題を回避することができる。また、従来の方法に比べて、印刷版の作成にかかる時間を短縮することができる。しかしながら、そのような方法を使用する場合、固化した材料が容器の底壁に付着し、形成された構造の破壊につながる可能性がある。また、成長する基板と底壁との間に形成されたギャップへの新鮮な固化可能な材料の供給は、特に固化可能な材料の粘性が高すぎる場合、遅くて困難である可能性がある。これは、製造プロセスの達成可能な速度と結果として得られる印刷版の品質とを制限する。
【0005】
さらに、ほとんどの付加プロセスは平面構成で実行される。印刷用途では、レリーフを載せたプレート(版)を印刷シリンダーに取り付ける必要があり、これにより、曲げによってレリーフ表面に機械的応力がかかる。この機械的応力により、機械的安定性が低下し、印刷長が短くなる可能性がある。
【0006】
本発明の実施形態の目的は、既知の装置および方法よりも高速で信頼性の高い、固化可能な材料を使用してレリーフキャリアを生成するための装置および方法を提供することである。より具体的には、レリーフキャリアまたは構造、特に印刷版または印刷スリーブを、固化可能な材料を使用してより速くより信頼性の高い方法で生成できることが望ましい。さらに、粘性のある固化可能な材料に対して良好に機能する方法および装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、固化可能な材料を使用してレリーフキャリアを生成するための装置が提供される。この装置は、支持構造、容器、移動手段、および照射手段を含む。支持構造は、実質的に円筒状の支持面を提供するように構成され、支持面は、生成されるレリーフキャリアの一部となることが意図される基板によって、またはレリーフキャリアの一部となることが意図されない円筒状の支持によって、形成され得る。換言すれば、支持構造は、基板と共に使用することを意図した支持構造であり得るか、または、その上に基板を配置せずに使用することを意図した支持構造であり得るか、または、基板の有無にかかわらず使用することができる支持構造であり得る。容器は、固化可能な材料を受け入れるように構成されている。容器は、支持構造の軸に実質的に平行に配置された壁を有し、支持面が壁の決定された距離にある。移動手段は、移動中に支持面の後の領域が壁に面するように、壁に対して支持構造を移動するように構成される。移動は、少なくとも支持構造の軸(A)の周りの回転を含む。支持構造は壁に対して移動し、これは、支持構造が移動するか、壁が移動するか、または支持構造と壁の両方が移動することを意味する。照射手段は、支持構造と壁との間の所定の領域において、前記壁を介して照射を出し、支持表面で固化可能な材料を固化するように構成される。壁は、前記照射が壁を通過することを可能にするように構成される。
【0008】
円筒状の支持面、すなわち支持構造上に配置された基板の円筒状の面または支持構造自体の円筒状の面のいずれか、を提供することにより、容器内の固化可能な材料は、基板がプレート上に配置されている既知の解決策と比較して、より容易に照射される所定の領域に到達することができる。実際、支持構造がその軸の周りを回転すると、固化した材料は照射される所定の領域から離れて移動し、新たに固化可能な材料は、その円筒形状のため、固化可能な材料がたくさん存在するすぐ隣接する領域から所定の領域に向かって流れることができる。また、支持構造の回転のため、所定の領域の上流の表面に付着した新たな材料を所定の領域に引き込むことができる。このようにして、粘性のある材料であっても、新たな材料を所定の領域に容易に引き入れて照射することができる。その流れの速度は、移動手段の速度を制限するものではなく、したがって、使用されている固化可能な材料は、良好な結果を達成しながら、従来技術よりも粘性が高くてもよい。支持構造は、実質的に円筒状であり得るか、或いは、支持構造は、中空の円筒またはスリーブなどの円筒状のキャリアを受け入れるように構成され得る。基板は、例えば、支持構造または円筒状のスリーブ若しくはスリーブセクションの周りに配置された、平らな可撓性のプレートもしくはシート若しくはフィルムであってもよい。円筒状のスリーブなどの円筒状のキャリアが使用される場合、支持構造は円筒状であってもよいが、円筒状である必要はない。
【0009】
例示的な実施形態によれば、移動手段は、支持面に実質的に360°にわたって固化した材料を提供することを可能にするように構成される。通常、これは、支持構造がその軸の周りを10°から360°にわたって1回以上回転することを意味する。装置は通常360°にわたって回転することができるが、回転はまた、10°から360°、好ましくは45°から360°、より好ましくは90°から360°、最も好ましくは180°から360°、ほとんどの場合270°から360°より少ない角度にわたって行われ得る。回転は容器の一方の端から開始してもよいが、容器の任意のポイントで部分回転を開始することもできる。このようにして、1つ以上の層を、支持面全体またはその一部にわたって形成することができる。
【0010】
好ましい実施形態では、支持面は完全な円筒を表す。例えば、基板が使用される実施形態では、基板は、完全な円筒を形成するスリーブ状の基板であり得る。好ましい実施形態では、支持構造は、可撓性基板を固定することができるドラムを含む。あるいは、ドラムを基板とともに使用してもよい。他の実施形態では、支持構造は、円筒状の基板がクランプされ回転され得るように、スリーブ状基板の両端に挿入されるように構成された2つの円錐を含み得る。
【0011】
例示的な実施形態によれば、移動手段は、支持構造を軸の周りで回転させながら、支持構造の軸を容器の壁に平行に移動させるように構成される。そのようにして、固化した材料の層が支持面上に形成されているので、支持面は、新たに固化可能な材料の上に多かれ少なかれ「転がされ」得る。照射が行われている所定の領域で見ると、支持構造の回転方向は、好ましくは、容器の壁に対する支持構造の移動方向とは反対である。言い換えれば、支持構造は、層が形成されている支持構造の側面から離れる方向に、容器の壁に対して移動される。
【0012】
さらに発展した実施形態によれば、支持構造の回転角ごとに、πに支持面の外径dを掛けて360で割った値(π*d/360)の20%以内、好ましくは前記値の10%以内の距離にわたって壁に対して支持構造が移行(translate)されるように、移動手段は、壁に対して支持構造を移行させおよび回転するように構成される。言い換えれば、支持構造によって実行される動きは、支持表面が仮想面上を転がるようなものである。このようにして、容器内の固化可能な材料の乱れまたは撹拌が制限され、接着領域が限られているため固化した材料を壁から除去する力が低く、また、剥離が穏やかかつ段階的に起こり、その結果、支持面上の固化層が適切に形成される。増加した直径を補償するために、基板の厚さ(基板が使用される場合)の関数で、および/または支持面上に形成される層の数の関数で、移行速度は調整され得ることに留意されたい。
【0013】
例示的な実施形態によれば、移動手段は、支持構造を移行させるように、および/または容器を移行させるように構成される。より具体的には、容器の壁が支持構造の軸に平行に移動するように、支持構造は容器の壁に平行に移行され得、および/または、容器は移行され得る。支持構造を移行させることの利点は、装置がよりコンパクトになり得ることである。容器を移行させることの利点は、支持構造と照射手段の両方が固定されたままでよいことである。しかしながら、支持構造と照射手段を結合し、それらを容器に対して一緒に移動させることも可能である。そのような実施形態では、装置は、支持構造と同期して壁に対して照射手段の照射領域を移動するように構成された照射移動手段を備えることができる。照射手段はまた、容器の壁と平行に移動され得る。加えて、照射手段の照射領域の移動は、光源によって生成された照射領域を移動することによって、例えば移動するミラー、LEDアレイの選択されたLEDの起動、若しくは移動するビームまたはそれらの組み合わせによって、実行され得る。
【0014】
好ましい実施形態によれば、装置は、壁と支持構造との間の距離を変更するように構成された調整手段をさらに備える。このようにして、最後の層の表面と壁との間に新しいギャップを形成するように、固化した材料の第1層が支持面または前の層上に成長した後、壁と支持構造との間の距離が変更され得る。その上で、第2層が第1層上に成長し得る。これらの手順を繰り返すことで、複数の層を持つレリーフ構造を成長させることができる。
【0015】
例示的な実施形態によれば、装置は、支持面の後の隣接する長手方向ゾーンが照射されるように、移動手段および照射手段を制御するように構成されたコントローラをさらに備える。これらの長手方向ゾーンは、支持構造の軸に平行に延びる。例えば、照射手段は、0.1から20mmの間の幅を有する長手方向ゾーンを照射するように構成され得る。使用されている照射手段の種類に応じて、これは照射要素の1~2000ラインに対応し得る。たとえば、要素の1つのラインがLEDのラインで構成されている場合や、20~100本のレーザーラインが照射領域を形成することができる。これは単なる例であり、本発明の実施形態では、他の幅および異なる数のラインも使用できることに留意されたい。
【0016】
好ましくは、支持構造(移行および/または回転)ならびに照射手段の移動は、照射手段が連続的かつ選択的に照射されている間に支持構造が連続的に移動されるという意味で、多かれ少なかれ連続的なプロセスである。しかしながら、移動および照射が段階的に行われるように、移動手段および照射手段を制御するように構成されたコントローラを提供することも可能である。これらの段階のセグメントまたは領域は、部分的に重複しているか、または互いに隣接し得る。
【0017】
典型的な実施形態では、コントローラは、固化した材料の1つ以上の層が支持面上に形成されるように、移動手段、調整手段、および照射手段を制御するように構成される。好ましくは、前記1つ以上の層の少なくとも1つの層は、90°を超え、より好ましくは180°を超え、最も好ましくは実質的に360°をカバーする。換言すれば、好ましくは、1つ以上の層が、支持面の大部分に形成される。
【0018】
より好ましくは、支持構造の1回以上の回転、例えば360°にわたる回転中に、固化した材料の少なくとも1つの周層(full layer)が支持面上に形成し床を形成し、その後の1回以上の回転中に、例えばその後の360°にわたる回転中に、構造化された固化した材料の少なくとも1つの画像層が床上に形成されるように、コントローラは、移動手段、調整手段、および照射手段を制御するように構成される。換言すれば、支持面上に1つ以上の層を形成することによって、レリーフ構造を形成することができる。そのような方法は、良好な画質で、改善された速度でレリーフ構造を生成することを可能にする。基板なしで作業する場合は、最初に床が形成される。ただし、基板を使用する場合は、床を省略することもできる。
【0019】
好ましい実施形態によれば、コントローラは、支持構造の最大360°にわたる1回以上の回転中に、固化した材料の少なくとも1つの構造化層が形成されるように、移動手段、調整手段、および照射手段を制御するように構成される。この動きを繰り返すことで、三次元レリーフが実現される。
【0020】
好ましい実施形態によれば、移動手段は、支持構造が回転している間に、壁に対して支持構造を初期位置から終了位置に前方方向に移行させ、次に、終了位置から初期位置に戻し後方方向に移行させるように構成される。支持構造を容器の壁からさらに遠ざけて動かし、支持構造を回転の有無にかかわらず後方に動かし、前方方向に次の層の形成を繰り返すことも可能である。後方方向への移動中は、照射を停止または継続し得る。支持構造を後方方向に動かしながら照射を続ける場合、支持構造が後方方向に動かされているときに支持構造も回転する。支持構造が前方方向および後方方向の両方に移動するときに照射することにより、さらなる時間の節約を達成することができる。構造が支持面の一部の領域に構築されなければならない場合、回転および露光はそれらの領域に制限され得、一方、露光なしの回転中に、回転速度は増加され得、時間および/またはエネルギーを節約するために光源はオフにされ得る。
【0021】
例示的な実施形態によれば、壁は、容器の底壁、好ましくは平らな底壁である。このような容器はシンプルで頑丈であり、支持構造の軸との良好な位置合わせを可能にする。しかしながら、湾曲した壁、例えば支持構造の軸に平行に配置された円筒状のセクションを備えた底壁部分を備えた容器を含むことも可能である。可能な実施形態では、容器の底壁は、支持構造の下向きに湾曲した円筒状のセクションに面する上向きに湾曲した円筒状のセクションを有し、この支持構造の軸は、底壁の円筒状のセクションの軸に平行である。そのような反対の円筒状のセクションを使用することによって(
図3の実施形態も参照)、新たな固化可能な材料は、照射される領域に向かって容易に流れることができる。照射手段は、支持構造と底壁との間のギャップが最小である領域が照射されるように、円筒状の底壁セクションの下の中央に配置されることが好ましい。別の可能な実施形態によれば、容器は、支持構造の軸に平行な軸を有する円筒または部分円筒として形成することができ、ここで、容器の軸および支持構造の軸は、互いに離れて配置され、円筒状の容器の直径は、完全に構築された構造(任意の基板と構築された層を備えた支持構造)の直径よりも大きい。閉じた円筒を使用すると、システムにほこりが入らないようにし、容器からの揮発性物質の蒸発を防ぐのを有利にすることができる。開いた円筒または部分円筒として形成された容器により、任意の基板の装填と生成されたレリーフキャリアの取り出しが容易になる。照射手段は、支持構造と容器との間のギャップが最小である領域を照射するように配置されている(
図4の実施形態も参照)。容器内の固化可能な材料の乱れを制限するために、支持構造と容器の両方を同じ方向に、例えば多かれ少なかれ同じ速度で、回転させることができる。また、そのような実施形態では、支持面上の固化した材料は、容器の底壁から徐々に除去することができ、一方、新たに固化可能な材料は、照射される領域に向かって流れる。この設定では、容器内の固化可能な材料の量を大幅に減らすことができる。
【0022】
可能な実施形態では、壁は、固化した材料への付着を制限するように構成された付着防止層を備えた容器内側の表面に設けられる。これにより、支持構造が移動するときに、容器の壁からの固化した層の緩みがさらに改善される。そのような層は、好ましくは、表面エネルギーが低いフィルムまたはコーティング、例えば、テフロン(登録商標)またはシリコーンまたは有機シリコーンなどのフッ素またはケイ素含有材料である。
【0023】
別の実施形態では、壁および/または壁の一部は、電磁放射および/または阻害剤に対して透明である。電磁放射に対する透明性は壁の重要な特性であり、照射に使用される波長範囲において、典型的には50%を超え、好ましくは60%を超え、より好ましくは70%を超え、最も好ましくは80%を超える。電磁波は、例えば、次のいずれかであり得る:広帯域電磁波、狭帯域電磁波、単色電磁波、例えばランプでの大面積電磁波、例えばレーザーによって照射される選択的電磁波、ドラムの軸方向の全長またはドラムの軸方向の長さの一部に沿って放出される波、連続またはパルス電磁波、高若しくは低エネルギー電磁波、UVからIRの電磁波。電磁波の波長は、200から20000nmの範囲、好ましくは250から15000nmの範囲、より好ましくは300から11000nmの範囲、最も好ましくは350から11000nmの範囲であり得る。電磁放射の総電力は、化学反応を引き起こすのに十分な低い値から、材料の急速な加熱を引き起こす高い値までの範囲であり得、例えば、0.1mWから2000W、好ましくは1mWから1000W、より好ましくは5mWから7500W、最も好ましくは1Wから200Wの範囲である。
【0024】
阻害剤の透明性は、層または膜によって達成することができ、これにより、固化反応の阻害剤がそれらを通して拡散し、壁面に近接した固化を防ぐことができる。このようにして、壁への付着が防止され、固化した材料を持ち上げる際の力が減少する。最も一般的に使用される固化反応の1つは、酸素によって阻害されるラジカル重合および/または架橋である。したがって、酸素の拡散係数が高い層または多孔質層を使用して、固化層を容器の壁から緩める際の力を低減することができる。高い酸素拡散係数を有するそのような層は、例えば、シリコーン、フッ素化ポリマー、LD-PE、天然および人工ゴムである。
【0025】
好ましい実施形態では、照射手段は、円筒の軸に平行な1以上のラインに配置された1つ以上の照射要素を含む。通常、10以上のラインが設けられ得る。照射手段は、以下のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含み得る:UV照射手段(例えば、複数のUV LED)、LEDアレイ、赤外線照射手段、レーザー手段、走査手段、投射手段、液晶ディスプレイ、アクティブマトリックス(O)LEDディスプレイ。投射手段は、例えば、放射ビームを支持面に投射する複数のデジタルマイクロミラーを含み得る。液晶ディスプレイを使用する場合、支持構造が移動している間に、液晶ディスプレイの1つのラインずつをスイッチオンにすることができる。より一般的には、小さな細長いゾーンのみを照射することができる照射手段が設けられ得るか、または支持構造が移動される距離をカバーする広いゾーンを照射することができる照射手段が設けられ得る(例えば、液晶ディスプレイ)。後者の場合、照射手段を動かす必要がない。
【0026】
画像情報を移行するために、線形照射領域の小さな増加の強度を変更またはスイッチオフにすることができるように、照射手段を制御できることが好ましい。これを達成するためのいくつかの方法があり、それらは採用された照射手段に大きく依存する。LEDアレイの場合、単一のLEDの強度を制御またはスイッチオフにすることができる。ディスプレイのような光源の場合、単一のピクセルを制御またはスイッチオフにすることができる。可動マイクロミラーを採用する投射システムの場合、選択された領域のみを照射するようにミラーを制御することができる。走査型レーザービームの場合、レーザーを制御またはスイッチオフにすることができる。移動手段および調整手段を制御するコントローラが、移動および速度だけでなく、強度、ビーム形状並びに/または照射の直径および位置に関しても照射手段を制御し得ることも明らかである。
【0027】
好ましくは、支持面と壁との間の決定された距離は、1cmよりも小さい。より好ましくは、支持面および壁は、移動方向に見て、所定の照射領域に向かって狭くなるギャップが形成されるように形作られる。好ましくは、所定の照射領域は、固化した材料が、適切な層を得るために支持面から壁まで延びるようなものである。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、固化可能な材料を使用してレリーフキャリアを生成するための方法、より好ましくは印刷版または印刷スリーブを生成するための方法が提供される。この方法は、
実質的に円筒状の支持面を与える工程であって、支持面は、生成されるレリーフキャリアの一部となることを意図された基板によって、または生成されるレリーフキャリアの一部となることを意図されない円筒状の支持によって形成され得る工程と、
実質的に円筒状の前記支持面を、容器内の固化可能な材料内に少なくとも部分的に、容器の壁の距離で、壁が実質的に円筒状の支持面の軸に平行になるように配置する工程と、
移動中に支持面の後続の領域が壁に面するように、壁に対して前記支持面を移動する工程と、
支持面と壁との間の所定の領域において、壁を介した照射によって固化可能な材料を固化させる工程と、を含む。
【0029】
この方法の好ましい実施形態は、同封の特許請求の範囲に開示されている。装置に関連して上に述べた技術的価値は、必要な変更を加えてこの方法に適用される。また、装置の特徴を方法の特徴と組み合わせることができ、その逆も可能である。
【0030】
例示的な実施形態によれば、追加の層が、形成され構造化された固化した材料上に塗布/積層され得る。形成されたレリーフ構造の上に追加の層を塗布することにより、単離および/または接続されたチャネルおよび空間を含むデバイスを作成することができる。追加の層は、形成されたチャネルに沈まないように十分に硬くしてもよく、或いは、追加の層は、柔軟な層を使用してもよく、また、例えば流体またはガスを使用してチャネルを充填することにより、チャネルに沈まないように注意する場合がある。任意選択で、チャネルは他の材料および流体で満たされ得る。そのようなデバイスは、マイクロ流体デバイスとして(例えば、マイクロ分析またはハイスループットスクリーニングのために)、マイクロリアクターとして、光学デバイスとして(例えば、WO2004/015491に記載されるようなフォレティックセルとして)、光制御要素として(例えば、WO2003/062900に記載されている)またはフォトニック結晶として使用され得る。追加の層は、後処理工程で塗布され得る。上記のデバイスは、硬く設計されていても、弾性的に設計されていてもよい。柔軟なデバイスは、特にそれらが人体でおよび/または人体内で、および/または布地でおよび/または衣服で使用される場合に好ましい。
【0031】
好ましい実施形態では、固化可能な材料は、粘性のある感光性コーティング材料である。DIN 1342-2に準拠した粘度は、400mPa・sより高く、より好ましくは500mPa・sより高く、さらにより好ましくは700mPa・sより高く、最も好ましくは1000mPa・sより高くてもよい。本発明の実施形態で使用することができる固化可能な材料の例は、重合および/または架橋をもたらす化学反応により固化または硬化する粘性感光性組成物である。そのような反応は、ラジカル、カチオン性またはアニオン性の重合および架橋であり得る。架橋の他の手段は、縮合または付加反応、例えばエステル、エーテル、ウレタンまたはアミドの形成である。そのような組成物は、電磁放射によって引き起こされる、開始剤および/または触媒を含み得る。そのような開始剤または触媒は、ラジカル、酸または塩基を形成する1つ以上の成分を有する光開始剤システムであり得、これは次に、重合または架橋をもたらす反応を開始または触媒する。必要な官能基は、低分子量モノマー、オリゴマー、またはポリマーに結合させることができる。さらに、組成物は、結合剤、充填剤、着色剤、安定剤、界面活性剤、抑制剤、調整剤および他の添加剤などの追加の成分を含み得、これらは、固化反応で使用される官能基を有していてもよく有しなくてもよい。使用される成分に応じて、固化および後処理が終了した後、柔軟および/または剛性の材料を得ることができる。
【0032】
この方法は、1つの固化可能な材料の使用に限定されない。容器内の固化可能な材料を変更するか、または容器を、異なる固化可能な材料を含む少なくとも別のものと交換することによって、異なる材料で作られた層を作製することが可能である。このようにして、少なくとも2つの異なる材料を使用した多層レリーフを得ることができる。各層は、色、それらの機械的、化学的または物理的特性が異なり得る。
【0033】
基板が使用される本発明の実施形態では、基板は、例えば、平らで柔軟なプレート若しくはシート若しくはフィルムまたは円筒状のスリーブまたはスリーブセクションであり得る。適当なスリーブは、例えば、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリウレタン、またはエポキシ樹脂の層を含み得、これらの層は、通常、織布または不織布の繊維または繊維マットで補強されている。繊維は、ポリマー繊維(ポリエステル、ポリアミド、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエチレン、ポリプロピレン製)、ガラス繊維または炭素繊維から選択され得る。好ましくは、ガラス繊維が使用される。適当な寸法的に安定した支持層、例えば柔軟なプレート、フィルム若しくはシートは、通常、50~1000マイクロメートルの厚さである。支持層の材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリウレタンまたはポリカーボネートなどのポリエステルなどのプラスチックを含み得る。特に適しているのは、100から200マイクロメートルの厚さを有するPETフィルムである。
【0034】
好ましくは、固化可能な材料が固化される所定の領域は、固化した層の適切な描写を得るために、支持面および壁によって範囲が定められる。
【0035】
別の態様によれば、本発明は、好ましくは上記に開示された実施形態のいずれか1つに従って製造されたレリーフキャリアまたはレリーフ構造の使用に関し、それらの、フレキソ印刷版またはスリーブ、凸版印刷版またはスリーブ、タンポン印刷版またはスリーブ、凹版印刷版またはスリーブ、マイクロ流体デバイス、マイクロリアクター、フォレティックセル、フォトニック結晶および光学デバイスとしての使用である。
【0036】
本発明の別の態様によれば、ベース層およびレリーフ層を有するレリーフキャリアが提供される。レリーフ層は、固化した材料の段付きプロファイルとして形成され、段付きプロファイルの段の高さは、0.5ミリメートルよりも小さく、好ましくは300マイクロメートルよりも小さい。
【0037】
このようなレリーフキャリアには、レリーフ領域が安定して設けられ、下部よりも上部が狭くなるという利点がある。また、段を使用することにより、正確で良好に位置合わせされたレリーフ構造を得ることができる。
【0038】
構築されるレリーフ層の全体の高さまたは厚さは、0.1μmから10000μmの範囲、好ましくは1μmから7000μmの範囲、より好ましくは100μmから5000μmの範囲、最も好ましくは100μmから3000μmの範囲であり得る。
【0039】
好ましくは、段付きプロファイルは、複数のレリーフ領域を含み、少なくとも1つのレリーフ領域は、上方ランディング(upper landing)と、ベース層と上方ランディングとの間の少なくとも1つの一続きの段と、を有する。レリーフキャリアを印刷目的で使用する場合、上方ランディングは印刷する画像を正確に定義することができるが、段は印刷中のレリーフ領域の十分な安定性と柔軟性を保証することができる。方法および装置の実施形態に関連して上記で説明したように、円筒状の支持面上に複数の円筒状の層を形成することによってレリーフ層を構築し得るので、上方ランディングは曲面を有し得る。
【0040】
段を作製する層を湾曲した形で塗布および固化することにより、支持構造上にあるので、円筒状に取り付けられたときに、レリーフキャリアの表面層に機械的応力がかからない。これは、平面的に製造され、次に例えば印刷用の円筒に取り付けるために曲げられる従来技術のレリーフ構造に対する追加の利点である。
【0041】
例示的な実施形態によれば、上方ランディングは、少なくとも1つの一続きの段によって実質的に囲まれている。これにより、レリーフ領域の安定性がさらに向上する。しかしながら、他の実施形態では、上方ランディングのすべての端ではなく、上方ランディングの特定の端に一続きの段を設けることで十分であり得る。場合によっては、ランディングの片側だけに段があるか、すべての側に段がなくても十分であり得る。例えば、段は、支持構造の軸方向に垂直な端に段を設けない一方で、支持構造の軸方向に延びる端に平行に設けられ得る。これらの段は、後の塗布によって安定化が必要とされる一方向またはいくつかの方向にレリーフ構造を機械的に安定化するために使用され得る。
【0042】
好ましくは、各一続きの段は、少なくとも2つの段、好ましくは少なくとも3つの段、より好ましくは少なくとも5つの段を含む。各段は、固化した材料の1つまたは複数の層を含み得る、すなわち、各段は、照射手段の1つまたは複数のパスを介して成長し得ることに留意されたい。一続きの段の隣接する段についての段の寸法および/または形状は、同じであっても異なっていてもよい。任意に、レリーフキャリアが印刷に使用されることを意図されている場合、段の寸法および/または形状は、印刷される画像に基づいて決定され得る。
【0043】
段の幅は、すべての段で同じであってもよく、或いは、段の幅は、基板に近い段の幅がランディングに近い段の幅よりも大きくなるように、またはその逆になるように、異なっていてもよい。下から上へ、または上から下への段の幅は、線形、多項式、対数、または指数関数的に変化する可能性がある。段の幅は、1μmから5000μmの範囲、好ましくは10μmから3000μmの範囲、より好ましくは10μmから1000μmの範囲、最も好ましくは10μmから500μmの範囲であり得る。
【0044】
例示的な実施形態によれば、レリーフキャリアは、円筒状のベース層を備えたレリーフスリーブである。しかしながら、他の実施形態では、レリーフキャリアは、レリーフシリンダセグメントまたは可撓性レリーフプレートであり得る。好ましくは、段付きプロファイルは、レリーフキャリアの外面の20°超にわたって、好ましくは90°超にわたって、より好ましくは180°超にわたって、さらにより好ましくは270°超にわたって、そして最も好ましくは実質的に360°超にわたって設けられる。このようにして、キャリアが最適に使用され得る。レリーフキャリアを印刷に使用する場合、当業者は、レリーフ領域つまり段付きプロファイルが印刷される画像に依存し、非印刷領域に対応するレリーフキャリアの特定の領域が任意のレリーフ構造の空であり得ることを理解する。
【0045】
好ましくは、レリーフキャリアは、20mmよりも小さく、好ましくは10mmよりも小さく、より好ましくは7mmよりも小さい最大厚さを有する。このようにして、レリーフキャリアは、剛性が高すぎないようにしながら、十分に安定させることができる。
【0046】
ベース層上に構築されたレリーフ層の全体の高さまたは厚さは、0.1μmから10000μmの範囲、好ましくは1μmから7000μmの範囲、より好ましくは100μmから5000μmの範囲、最も好ましくは100μmから3000μmの範囲であり得る。
【0047】
好ましくは、段付きプロファイルの段は、レリーフ領域が形成された円筒状の支持面の半径方向から20°以内、好ましくは半径方向から10°以内に向けられたライザー壁(riser wall)によって範囲が定められる。さらにより好ましくは、段付きプロファイルの段は、実質的に半径方向に向けられた壁によって範囲が定められる。レリーフキャリアは円筒状であってもよく、その場合、半径方向は円筒状の半径方向に対応することに留意されたい。或いは、レリーフキャリアは、円筒面に取り付けられた可撓性プレートであり、半径方向は、円筒面の半径方向に対応する。
【0048】
本発明のさらに別の態様によれば、固化可能な材料を使用してレリーフキャリアを生成するための方法、より好ましくは画像データに基づいて印刷版または印刷スリーブを生成するための方法が提供される。この方法は:
実質的に円筒状の支持面を提供する工程であって、支持面は、生成されるレリーフキャリアの一部となることを意図された基板によって、または生成されるレリーフキャリアの一部となることが意図されていない円筒状の支持によって形成され得る工程と;
画像データに基づいて、複数のレリーフ領域を含む段付き構造を決定する工程と;
前記支持面上に段付き構造を得るために、実質的に円筒状の支持面上に固化可能な材料の複数の層を塗布する工程と、を含む。
【0049】
好ましくは、段付き構造は、少なくとも1つのレリーフ領域が上方ランディングと、ベース層と上方ランディングとの間に少なくとも1つの一続きの段と、を有するように決定される。ベース層は、基板および/または固化した材料の1つ以上の層に対応し得る。基板を使用する場合、固化した材料の1つ以上の層は任意である。基板を使用しない場合、ベース層は固化した材料の1つ以上の層によって形成され得る。
【0050】
段付きプロファイルを備えたレリーフキャリアについて以下に示す好ましい特徴はまた、決定された段付き構造に存在し得る。より具体的には、画像データに基づいて、レリーフ領域の段の、数および/または寸法および/または形状を決定することができる。
【0051】
さらに、方法の実施形態に関連して上記で定義された任意の方法の工程を、最後の態様による方法において使用し得る。
【0052】
添付の図面は、本発明のデバイスの現在好ましい非限定的な例示的な実施形態を説明するために使用される。本発明の特徴および目的の上記および他の利点は、添付の図面と併せて読むと、以下の詳細な説明からより明らかになり、本発明はよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】
図1A、1Bおよび1Cは、支持構造および照射手段が移動されている一方、容器が固定される方法の第1の例示的な実施形態を示す。
【
図2】
図2A、2B、2Cおよび2Dは、容器が移行されている一方、支持構造が回転されるだけである方法の第2の例示的な実施形態を示す。
【
図3】
図3は、基板または円筒状のキャリア上に固化した材料を配置するための装置の第3の例示的な実施形態を示す。
【
図4】
図4は、基板または円筒状のキャリア上に固化した材料を配置するための装置の第4の例示的な実施形態を示す。
【
図5】
図5は、固化した材料を基板上にまたは円筒状のキャリア上に配置するための装置の例示的な実施形態の概略斜視図を示す。
【
図6】
図6は、生成されたレリーフキャリアの例示的な実施形態の概略断面図である。
【
図7】
図7は、
図6のレリーフキャリアのレリーフ領域のより詳細な概略断面図である。
【
図8】
図8A、8B、8Cは、それぞれ、レリーフ領域の例示的な実施形態の上面図、
図8Aの線B-Bに沿った断面、および
図8Aの線C-Cに沿った断面を示す。
【
図9】
図9A、9B、9Cは、それぞれ、レリーフ領域の例示的な実施形態の上面図、
図9Aの線B-Bに沿った断面、および
図9Aの線C-Cに沿った断面を示す。
【
図10】
図10Aおよび10Bは、それぞれ、レリーフ領域の例示的な実施形態の上面図および
図10Aの線B-Bに沿った断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1Aは、円筒状の支持面S上に固化可能な材料Mを配置するための装置を概略的に示す。装置は、基板を固定することができるドラム100の形態の支持構造を備える。別の実施形態では、円筒状のドラム100自体が、基板を使用せずに、レリーフキャリアが構築される支持面を形成する。装置はさらに、固化可能な材料Mを含む容器200と、容器200の底壁210に対して平行にドラム100を移動させるように構成された移動手段(図示せず)と、ドラム100と底壁210の間の距離tを調整するように構成された調整手段(図示せず)と、照射手段400と、を備える。容器200は、底壁210と側壁220とを有する。底壁210は、ドラム100の軸Aに対して平行に配置されている。ドラム100は、支持面Sが底壁210の決定された距離tにあるように容器内に配置されている。照射手段400は、ドラム100と底壁210との間の所定の領域で底壁210を介して照射を出して、その領域の支持面Sに付着するようにその領域の固化可能な材料を固化するように構成されることを留意する。底壁210は、照射が底壁210を通過することを可能にするように構成される。距離tを調整するための調整手段(図示せず)は、容器200を垂直方向および/またはドラム100を垂直方向に動かすように構成され得る。容器200が動かされる場合、照射手段も同様に調整されなければならない可能性がある。
【0055】
以下の図の説明において、支持面Sを参照する場合、これは、ドラム100上に配置された平坦な基板またはスリーブの表面であり得るか、またはこれは、ドラム100自体の表面であり得る。さらに別の実施形態では、支持構造はドラムではなく、円筒状の支持面を有さないが、円筒状の基板に適した取り付けシステムである。例えば、取り付けシステムは、2つのコーン(cone)を含み得る。
【0056】
移動手段(図示せず)は、ドラム100を底壁210に平行な前方方向Fに移行させ、ドラム100をその軸Aを中心に回転方向Rに回転させるように構成される。
図1Aは、容器200の右側の初期位置におけるドラム100を示す。
図1Bは、容器200のほぼ中央の中間位置を示している。
図1Aの初期位置で照射されている支持面S上の点Pは、
図1Bの位置でのドラム100の上部に位置している。
図1Bはさらに、固化した材料の層Lが実質的に180°にわたって支持面S上に形成されたことを示している。ドラム100はさらに回転され、容器200の左側に向かって前方方向Fに移行される(
図1Cを参照)。
図1Cに示される位置は、ドラム100の終了位置に対応する。この位置では、固化した材料の周層Lが支持面S上に形成されており、支持面の大部分にわたって、例えば実質的に360°にわたって、延在し得る。ここで、ドラム100を反対の回転方向Rに回転させながら、ドラム100を後方方向Bに移動させることにより、支持面S上の周層L上に第2の層を形成することができる。
図1A~1Cの実施形態では、照射手段400はドラム100と同期して移動する。しかし、
図1Aの初期位置と
図1Cの終了位置との間の距離Dpに沿って延びる照射手段を提供することも可能である。そのような実施形態では、照射手段400のラインのスイッチオンは、ドラム100の移行運動と同期させることができる。
【0057】
可能な実施形態では、前方/後方方向F/Bで10°から360°にわたって支持表面の1つ以上の初期回転中に、固化した材料の少なくとも1つの周層が支持表面S上に形成されて、床を形成し得る。前方/後方方向F/Bで10°から360°にわたる1回以上の後続の回転中に、固化した材料の少なくとも1つの構造化層が床上に形成されて、レリーフ構造を形成し得る。
【0058】
好ましい実施形態では、初期位置と終了位置との間の距離Dpは、ドラム100の円周にほぼ等しく、すなわち、Dp=π*dである。ここで、dは、基板(存在する場合)と存在する場合は追加された層とを含むドラム100全体の外径であり得る。言い換えれば、ドラム100は、
図1Aに示される初期位置から
図1Cに示される終了位置まで、底壁210の距離tで仮想平面上を転がされる。好ましくは、ドラム100の回転速度および前方/後方方向F/Bの移行速度の両方が一定であり、軸Aの周りをドラム100が1度回転するごとに、軸Aがπ*d/360の10%以内の距離にわたって底壁210に対して移行される。
【0059】
当業者は、ドラム100および照射手段400を前方/後方方向F/Bに移行させる代わりに、容器200を前方/後方方向B/Fに移行させることも可能であることを理解している。
【0060】
図2A、2B、2Cおよび2Dは、容器200内に配置されたドラム100を含む装置の第2の例示的な実施形態を示す。照射手段400は、
図1A~1Cの実施形態との関連する上記と同様の方法で、容器200の底壁210を通して照射を出す。
図2A~2Dの実施形態では、容器200は、
図2Aに示される初期位置と
図2Bに示される終了位置との間で移動される。この実施形態では、ドラム100は、初期位置と終了位置との間で360°にわたって回転するのではなく、
図2Bに示すように、より小さな角度αにわたって回転する。点Pが、
図2Aの最初の位置から
図2Bの2番目の位置へ、角度αにわたって移動したことに注意する。容器200が初期位置から終了位置まで前方方向Fに移行している間、ドラム100は回転方向Rに回転し、照射手段400はドラム100と底壁210との間の所定の領域を照射する。このようにして、固化した材料の層Lが支持面S上に形成される。この層Lは、
図2Bに示される終了位置で角度αにわたって延びる。次に、容器200は、
図2Bの終了位置から初期位置まで後方方向Bに移動される(
図2Cを参照)。ここで、容器200は再び前方方向Fに移行され、ドラム100は回転方向Rに回転され、支持面Sのさらなるセグメントが固化された材料で覆われる(2*αに等しい角度にわたって伸びる
図2Dの層Lを参照)。
図2A~2Cの実施形態では、容器200の後方移動中に照射は行われない。
【0061】
当業者は、
図2A~2Dの実施形態において容器200を移動する代わりに、ドラム100および照射手段400を前方/後方方向F/Bに移動させることも可能であることを理解する。
【0062】
図3および4は、固化した材料を支持面上に配置するための装置の2つのさらなる例示的な実施形態を示し、同じ参照番号は、同じまたは類似の構成要素を指す。
図3の実施形態では、装置は、基板を固定することができるドラム100と、固化可能な材料Mを含む容器200と、ドラム100を回転させるように構成された移動手段(図示せず)と、ドラム100と容器200の底壁210との間の距離を調整するように構成された調整手段(図示せず)と、照射手段400と、を備える。容器200は、底壁210および側壁220を有する。底壁210は、上向きに湾曲した壁部分、ここでは支持構造の軸Aに平行に配置された円筒状のセクションを有する底壁部分215を有し、円筒状のセクション215と支持面Sとの間にギャップが生じるようになっている。好ましくは、照射手段400は、円筒状のセクションの軸A”とドラムの軸Aの間にあり、ギャップが最小である、領域を照射するように配置される。上向きに湾曲した円筒状のセクション215は、支持面Sの下向きに湾曲した円筒状のセクションに面している。そのような反対の円筒状のセクション215、100を使用することにより、新たに固化可能な材料が照射される領域に向かって容易に流れることができる。照射手段400は、好ましくは、ドラム100と底壁210との間の最小距離を有する領域が照射されるように、円筒状の底壁セクション215の下の中央に配置される。
【0063】
図4の実施形態では、容器200は、支持構造、ここではドラム100の軸Aに平行な軸A’を有する円筒または部分円筒として形成される。しかしながら、支持構造はまた、容器200の軸A’に平行である軸Aを有する円筒状のキャリアをクランプするクランプ構造を含むことができる。容器200およびドラム100の軸A、A’は、互いに距離を置いて配置され、円筒状の容器200の直径は、完全に構築された構造(ドラム100、任意の基板、構築された層)の直径よりも大きい。容器200は、システムをほこりのない状態に保ち、容器200からの揮発性物質の蒸発を回避するのに有利にすることができる閉じた円筒(点線で示される)であり得る。しかし、容器200は、任意の基板の装填と生成されたレリーフキャリアの取り出しを容易にする、開口、又は部分的な円筒としても形成され得る。照射手段400は、ドラム100と容器200との間のギャップが最も小さい領域を照射するように構成されている。この構成では、容器内の固化可能な材料の量を大幅に減らすことができる。ドラム100および容器200の両方を回転させることができる(矢印RおよびR’を参照)。例えば、容器内の固化可能な材料の乱れを制限するために、ドラム100および容器200を同じ方向に回転させることができる。しかしながら、他の目的のために、容器200を反対方向に回転させることも想定され得る。さらに他の実施形態では、容器200は静止していてもよい。さらに別の実施形態では、照射手段が容器の周りの軌道上を移動している間、ドラム100および/または容器は、露光中に静止していてもよい。容器の周りに配置されたLEDアレイのセットを使用すると、LEDのスイッチのオンとオフを切り替えることで照射領域を移動することもできる。後続の工程では、ドラムを回転させてドラムのさらなる領域を固化可能な材料と接触させ、続いて照射手段を動かすことによってドラムが露光される。
【0064】
図3および4の実施形態では、支持面S上の固化した材料は、容器200の底壁から徐々に移され得、一方、新たに固化可能な材料は、照射される領域に向かって流れる。
【0065】
図5は、固化した材料を支持面上に配置するための装置を概略的に示している。この装置は、容器200と、ドラム100と、移動手段300と、照射手段400と、調整手段600と、コントローラ500とを備える。コントローラ500は、
図5の点線で示されるように、移動手段300と、照射手段400と、調整手段600とを制御するように構成される。照射手段400は、照射手段がドラム100の軸Aの移行と同期して移動するように、移動手段300と結合され得る。
図5に示す実施形態において、ドラム100は、ベアリングブロックに配置されたシャフトを備えている。移動手段は、ドラム100の軸Aに垂直で、容器200の底壁210に平行な方向に延びるガイド手段に沿ってベアリングブロックを移動するように構成される。調整手段600は、ドラム100と容器200の底壁210との間の距離を調整するように構成される。調整手段は、ドラム100の軸Aを垂直に移動するように、および/または容器200を移動するように構成され得る。容器200が垂直に移動される場合、これは、照射領域がそれに応じて調整されるように、照射手段400の調整と組み合わせる。
【0066】
図6は、ベース層1100とレリーフ層1200とを有するレリーフキャリア1000の断面図である。レリーフ層1200は、固化した材料の段付きプロファイルとして形成される。段付きプロファイルは、複数のレリーフ領域1250、1250’、1250’’、1250’’’で構成される。好ましくは、ベース層1100は、円筒状のベース層である。円筒状のベース層1100は、レリーフスリーブが形成されるように全周をサブスクライブすることができ、またはそれは360°未満にわたって延び得る。ベース層1100は、基板が使用される実施形態において、少なくとも部分的に基板と対応し得る。基板が使用されない他の実施形態では、ベース層1100は、固化可能な材料を使用して形成される層であり得る。段付きプロファイルは、レリーフキャリア1000の外面の10°超にわたって、好ましくは90°超にわたって、より好ましくは180°超にわたって、さらにより好ましくは270°超にわたって、そして最も好ましくは実質的に360°にわたって設けられ得る。
【0067】
図7は、1つのレリーフ領域1250を詳細に示している。レリーフ領域1250は、上方ランディング1251と、ベース層1100と上方ランディング1251との間の少なくとも1つの一続きの段1252と、を有する。上方ランディング1251は湾曲した面、例えば円筒状のベース層1100と同心円状の円筒状の面であり得る。各一続きの段1252は、複数の段、好ましくは少なくとも3つの段、より好ましくは少なくとも5つの段を含み得る。図示の例では、簡単にするために、一続きの段は3つの段1252のみを含むが、当業者は、はるかに多くの段が設けられ得ることを理解する。一続きの段1252は、
図7に示されるように、ベース層1100から上方ランディングまでずっと延びることができる。しかし、
図6に示されるように、隣接するレリーフ領域1250’、1250’’、1250’’’が互いに近くに位置する場合、レリーフ領域1250’’の一続きの段は、ベース層1100まで完全に延在することはできず、隣接するレリーフ領域1250’、1250’’’の一続きの段と併合し得る。
【0068】
一つの段は、照射手段の1回の通過中に構築された単一の層Lに対応し得るが、照射手段の連続した通過中に構築された複数の層Lにも対応し得る。
図7はさらに、段1252のいくつかの寸法を示している。好ましくは、段付きプロファイルの段1252の高さhsは、0.5ミリメートルよりも小さく、より好ましくは300マイクロメートルよりも小さい。高さhsは、200マイクロメートルよりも小さくてもよく、または、100マイクロメートルよりも小さくてもよい。ベース層1100は、例えば、0.5から3mmの間である厚さhbを有し得る。レリーフキャリア1000は、10mmよりも小さい、好ましくは7mmよりも小さい最大厚さhtを有し得る。段付きプロファイルの段1252は、ライザー壁1253、1253’によって範囲が定められている。ライザー壁1253’は、半径方向Rから20°未満、好ましくは半径方向Rから10°未満の角度αに配向されている。好ましくは、ライザー壁1253は、実質的に半径方向に配向されている。段1252の幅w1、w2は、例えば一続きの段の望ましい「急勾配」に応じて変化し得る。例えば、2つの隣接するレリーフ領域1250を互いに近くに配置しなければならない場合、上方の段の幅w2は比較的小さく、一方、1つ以上の下方の段は、幅w2よりも大きい幅w1を有し得る。
【0069】
可能な実施形態では、上方ランディング1251は、少なくとも1つの一続きの段によって実質的に囲まれている。
図8A、8B、8Cの実施形態では、上方ランディング1251は実質的に多角形の形状を有し、多角形の上方ランディング1251の各端で一続きの段1252、1252’が提供される(
図8Bに示されている線B-Bに沿った断面および
図8Cに示されている線C-Cに沿った断面も参照)。線C-Cの方向は、支持構造の軸方向Aに対応し得る。図示の例では、上方ランディング1251の形状は長方形であるが、当業者は、上方ランディング1251が任意の形状、例えば印刷する必要のある画像によって任意の形状を有し得ることを理解する。
【0070】
別の可能な実施形態では、上方ランディング1251は、少なくとも1つの一続きの段によって完全に囲まれていない。
図9A、9B、9Cの実施形態では、上方ランディング1251は実質的に多角形の形状を有し、多角形の上方ランディング1251の反対側に2つの一続きの段1252が設けられている(
図9Bに示される線B-Bに沿った断面も参照)。線C-Cの方向は、支持構造の軸方向Aに対応し得る。図示の例では、上方ランディング1251の形状は長方形であるが、当業者は、上方ランディング1251が任意の形状、例えば印刷する必要のある画像によって任意の形状を有し得ることを理解する。
【0071】
さらに別の可能な実施形態では、上方ランディング1251は円形または丸みを帯びている。
図10Aおよび10Bの実施形態では、上方ランディング1251は実質的に円形の形状を有し、上方ランディング1251の周りに円形の一続きの段1252が設けられている(
図10Bに示される線B-Bに沿った断面も参照)。当然に、上方ランディングおよびその周囲の段の他の規則的または不規則な形状が可能であり、それにより、一般に、異なる層の輪郭はランディングの形状に類似しているが、それらも異なってもよい。
【0072】
湾曲した形態の層の塗布および固化によって、レリーフキャリアの表層は、平面構成で製造され、円筒に取り付けるために曲げられる従来技術のレリーフ構造と比較して機械的に応力が加えられない。
【0073】
さらに、レリーフ領域に段を設けることにより、レリーフ領域1250には追加の安定性が与えられる。これは、小さな上方ランディング1251を備えたレリーフ領域1250に特に有用であり得る。より高度な実施形態では、段付きプロファイルは、印刷される画像の機能において決定され、並びに、段の数および/またはサイズおよび/または形状は、印刷される画像の機能においてに調整され得る。例えば、大きなレリーフ領域の場合、より少ない段が設けられ得るが、小さなレリーフ領域の場合、より多くの段が設けられ得る。
【0074】
当業者は、上記の様々な方法の工程がプログラムされたコンピュータによって実行され得ることを容易に認識するであろう。本明細書において、いくつかの実施形態はまた、プログラム記憶デバイス、例えば、機械またはコンピュータで読み取り可能であり、機械実行可能またはコンピュータ実行可能の命令プログラムをエンコードするデジタルデータ記憶媒体をカバーすることを意図し、前記命令は、上記の方法のいくつかまたは全ての工程を実行する。実施形態はまた、上記の方法の前記工程を実行するようにプログラムされたコンピュータをカバーすることを意図している。
【0075】
「コントローラ」とラベル付けされた機能ブロックを含む、図に示されているさまざまな要素の機能は、専用ハードウェアだけでなく、適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することができるハードウェアの使用を介して提供され得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサ、単一の共有プロセッサ、または複数の個別のプロセッサによって提供され得、それらのいくつかは共有され得る。
【0076】
本発明の原理は特定の実施形態に関連して上に述べられているが、この説明は単に例としてなされており、添付の特許請求の範囲によって決定される保護の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【国際調査報告】