(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】液体媒体から熱を回収する装置および方法
(51)【国際特許分類】
F28D 1/06 20060101AFI20220224BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20220224BHJP
【FI】
F28D1/06 A
F28D1/047 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540818
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2020050685
(87)【国際公開番号】W WO2020148230
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】102019200324.9
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521309215
【氏名又は名称】レフィンクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドレクセル,フェリックス コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】ポルスター,イェレミアス
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103BB43
3L103CC06
3L103DD05
(57)【要約】
本発明は液体媒体(G)から熱を回収する装置(1)及び方法に関する。互いに少なくとも部分的に熱的に隔離され、それぞれ液体媒体(G)を収容する少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)を有する熱交換器(2)を備える。熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)はそれぞれ、その内部にある液体媒体(G)の温度を測定する温度センサーを有する。熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のうちの少なくとも1つを貫通してのび、飲料水及び/又は温水を送給する少なくとも1本の管路(4、4.1)と、液体媒体(G)を送給するための供給管路(6)と、液体媒体(G)を供給管路(6)から熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)に選択的に供給する複数の制御可能なフラップ(15.1、15.2、15.3、15.4、15.5)と、供給管路(6)内の液体媒体(G)の温度を測定する少なくとも1つの温度センサーを備える。フラップ(15.1、15.2、15.3、15.4、15.5)は、液体媒体(G)が供給管路(6)から、熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のうちの目下の温度が供給管路(6)内の液体媒体(G)よりも最も低い熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)に供給されるように、制御されまたは調節される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体媒体(G)から熱を回収する装置(1)であって、
互いに少なくとも部分的に熱的に隔離され、それぞれ前記液体媒体(G)を収容する少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)を有する熱交換器(2)を備え、前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)はそれぞれ、その内部にある前記液体媒体(G)の温度を測定する温度センサーを有し、さらに、
前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のうちの少なくとも1つを貫通してのび、飲料水および/または温水を送給する少なくとも1本の管路(4、4.1)と、
前記液体媒体(G)を送給するための供給管路(6)と、
前記液体媒体(G)を前記供給管路(6)から前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)に選択的に供給する分配部(20)と、
前記供給管路(6)内の前記液体媒体(G)の温度を測定する少なくとも1つの温度センサーと、を備え、
前記分配部(20)は、前記液体媒体(G)が前記供給管路(6)から、前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のうちの目下の温度が前記供給管路(6)内の前記液体媒体(G)よりも最も低い前記熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)に供給されるように、制御されまたは調節されるものであることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のそれぞれが、セル結合部(13)および/または前記液体媒体(G)の流れを妨げる構造体(19)によって、1つのまたはそれぞれ隣り合う前記熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)と接続されていることによって、前記液体媒体(G)は隣り合う前記熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)に供給されることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)は上下に重なり合って配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1本の管路(4、4.1)は、少なくとも前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)を貫通する螺旋管(4)として形成されていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項5】
前記少なくとも1本の管路(4、4.1)は、前記熱交換器(2)の下流側に、流量を制御するための電気的に制御および/または調節され得る閉止弁を有していることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1本の管路(4、4.1)における前記閉止弁の上流側に、圧力低下を検出し得る圧力計が備えられていることを特徴とする請求項5に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記液体媒体(G)のバイパス管路(8)が備えられ、前記液体媒体(G)は、前記供給管路(6)内の前記液体媒体(G)の温度が目下の前記熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)内の前記液体媒体(G)のどの温度よりも低いとき、前記バイパス管路(8)を通って前記熱交換器(2)を迂回して下水道(10)に流れることを特徴とする請求項1~請求項6のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項8】
少なくとも1本の管路(4、4.1)は複数の部分からなり、前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のうちの1つを通過した後、その上面において始まりおよび/または終わり、前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のそれぞれの取り外し可能な蓋(14)に接続されていることを特徴とする請求項1~請求項7のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項9】
前記熱交換器(2)および/または前記螺旋管(4)は、プラスチックから形成され、または、前記液体媒体(G)と接触するためのプラスチック表面を有していることを特徴とする請求項1~請求項8のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項10】
前記分配部(20)は、複数の制御可能なフラップ(15.1、15.2、15.3、15.4、15.5)を有し、または、前記分配部(20)は、
前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のそれぞれに対する分岐管(7.1、7.2、7.3、7.4)が設けられた外管(21)と、
前記外管(21)内において駆動源によって回転可能に配置された内管(22)と、を有し、前記内管(22)の外径がほぼ前記外管(21)の内径に対応し、前記内管(22)は、長さ方向に同じ高さで、前記分岐管(7.1、7.2、7.3、7.4)のそれぞれに対する各1つの開口(23.1、23.2、23.3、23.4)を有し、前記開口(23.1、23.2、23.3、23.4)は、前記内管(22)の回転によって、それぞれ前記分岐管(7.1、7.2、7.3、7.4)のそれぞれと整合する角度位置に調節可能とされ、前記内管(22)の各回転位置において、せいぜい1つの前記開口(23.1、23.2、23.3、23.4)が関係する前記分岐管(7.1、7.2、7.3、7.4)と整合するようになっていることを特徴とする請求項1~請求項9のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項11】
前記セル結合部(13)が、別の制御可能なフラップおよび/またはサイフォン(16.1、16.2、16.3)を有し、前記サイフォン(16.1、16.2、16.3)は、前記液体媒体(G)を、互いに結合された前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3)のうちの各上側の前記熱交換器セルの出口、特に底で取込んだ後、少なくとも、前記互いに結合された前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3)のうちの前記各上側の熱交換器セルの上端の高さまで送給し、最終的に、前記互いに結合された前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3)のうちの各下側の前記熱交換器セルまで送給することを特徴とする請求項1~請求項10のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項12】
前記サイフォン(16.1、16.2、16.3)の頂点に換気弁(17.1、17.2、17.3)が備えられていることを特徴とする請求項11に記載の装置(1)。
【請求項13】
前記サイフォン(16.1、16.2、16.3)が前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3)のうちの最上位の熱交換器セルの上端までのびていることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の装置(1)。
【請求項14】
別の管路(4.1)が加熱装置の返送管路として備えられ、前記別の管路(4.1)は前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)を下から上に向けて貫通するとともに、前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)間および最上位の前記熱交換器セル(3.1)の上方のそれぞれにおいて接続管(12)を介して供給管路(11)に接続され、前記接続管(12)内には制御可能なフラップが備えられていることによって、前記供給管路(11)内の流れが所定の温度に維持され得ることを特徴とする請求項1~請求項13のいずれかに記載の装置(1)。
【請求項15】
フラップ(15.1、15.2、15.3、15.4、15.5)を制御しおよび/または調節することによって、前記液体媒体(G)を前記供給管路(6)から前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)に供給し、前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)の目下の温度を少なくとも前記供給管路(6)内の前記液体媒体(G)の温度よりも低くすることを特徴とする請求項1~請求項14のいずれかに記載の装置(1)を動作させる方法。
【請求項16】
前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)を互いに上下に重なり合うように配置し、最も低温の前記液体媒体(G)を最下位の前記熱交換器セル(3.4)に貯え、最も高温の前記液体媒体(G)を最上位の前記熱交換器セル(3.1)に貯えることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)を、それぞれ別のフラップを備えたセル結合部(13)を介して、1つのまたはそれぞれ隣り合う前記熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)と接続し、前記液体媒体(G)を前記隣り合う熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)のうちの1つに供給し、充填すべき前記熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)が既に前記液体媒体(G)で満たされているときは、必要な場所を提供すべく、最寄りの前記セル結合部(13)の別の前記フラップを開放し、供給すべき前記液体媒体(G)を下位の前記熱交換器セル(3.1、3.2、3.3、3.4)または前記下水道(10)に送給することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記液体媒体(G)が中水であることを特徴とする請求項15~請求項17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
飲料水および/または温水を前記管路(4)を通って前記熱交換器(2)を下から上に向けて送給することを特徴とする請求項15~請求項18のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体媒体から熱を回収する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物および工場施設内においては、大量の汚れた下水が大抵は高い温度レベルで発生する。そして、この汚れた下水の熱は大抵は当該建物および工場施設内では利用されない。
【0003】
EP 0174554 B1には、汚れた下水から熱を移すための熱交換器が記載されている。この熱交換器は、下水を貯えるために使用される容器を備え、容器はフィルターを備えた入口、出口、および好ましくは選択的に開く泥出口を有している。熱交換器は、さらに、容器内に配置された複数の交換器エレメントを備え、交換器エレメント内をヒートキャリア、特に用水またはヒートポンプまたは冷却装置の熱媒体が流れるようになっており、交換エレメントに直立する交換板が設けられ、容器の下部には、洗浄ガス、好ましくは空気を板表面にあてるための注入装置が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、液体媒体から熱を回収するためのより改良された装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、本発明によれば、添付の特許請求の範囲の請求項1に記載された構成を有する装置、および同特許請求の範囲の請求項15に記載された構成を有する方法によって解決される。
【0007】
本発明の好ましい実施態様が同特許請求の範囲の各従属項に記載されている。
【0008】
本発明による液体媒体から熱を回収する装置は、
互いに少なくとも部分的に熱的に隔離され、それぞれ前記液体媒体を収容する少なくとも2つの熱交換器セルを有する熱交換器を備え、前記少なくとも2つの熱交換器セルはそれぞれ、その内部にある前記液体媒体の温度を測定する温度センサーを有し、さらに、
前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの少なくとも1つを貫通してのび、飲料水および/または温水を送給する少なくとも1本の管路と、
前記液体媒体を送給するための供給管路と、前記液体媒体を前記供給管路から前記少なくとも2つの熱交換器セルに選択的に供給する分配部と、
前記供給管路内の前記液体媒体の温度を測定する少なくとも1つの温度センサーと、を備え、
前記分配部は、前記液体媒体が前記供給管路から、前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの目下の温度が前記供給管路内の前記液体媒体よりも最も低い前記熱交換器セルに供給されるように、制御されまたは調節されるものであることを特徴とする。
【0009】
本発明の1実施例によれば、前記少なくとも2つの熱交換器セルのそれぞれが、セル結合部および/または前記液体媒体の流れを妨げる構造体によって、1つのまたはそれぞれ隣り合う前記熱交換器セルと接続されていることによって、前記液体媒体は隣り合う前記熱交換器セルに供給される。
【0010】
前記少なくとも2つの熱交換器セルはそれぞれ、例えば、前記液体媒体が前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの1つに供給されるときに、別の制御可能なフラップを隣り合う前記熱交換器セルのうちの1つまたは下水道に対して開放するために、液体の液面レベルを測定するためのフロートを有し得る。
【0011】
本発明の1実施例によれば、前記少なくとも2つの熱交換器セルは特に、前記熱交換器内の前記液体媒体の温度が上から下に向かって低くなるように、上下に重なり合って配置されている。この層状の構成は重力に適応し得る。特に、前記液体媒体のための送給装置、例えばポンプは必要とされない。
【0012】
本発明の1実施例によれば、前記少なくとも1本の管路は、少なくとも前記少なくとも2つの熱交換器セルを貫通する螺旋管として形成されている。特に、それぞれが螺旋管、例えば、2本または3本またはそれ以上の螺旋管の形態を有する複数の前記管路が備えられ得る。
【0013】
本発明の1実施例によれば、前記少なくとも1本の管路は、前記熱交換器の下流側に、流量を制御するための電気的に制御および/または調節され得る閉止弁を有している。例えば、前記管路は閉鎖され、管路内の流れが遮断され得る。
【0014】
本発明の1実施例によれば、前記少なくとも1本の管路における前記閉止弁の上流側、特に、前記熱交換器の上流側に、圧力低下を検出し得る圧力計が備えられている。前記閉止弁が閉じられたときの圧力低下は、前記管路における漏れを示す。
【0015】
本発明の1実施例によれば、前記液体媒体のバイパス管路が備えられ、前記液体媒体は、前記供給管路内の前記液体媒体の温度が目下の前記熱交換器セル内の前記液体媒体のどの温度よりも低いとき、前記バイパス管路を通って前記熱交換器を迂回して下水道に流れる。
【0016】
本発明の1実施例によれば、前記熱交換器における前記入口の前に前記液体媒体をろ過するための粗いフィルターが備えられる。それによって、前記液体媒体、例えば中水から汚染物が除去される。粗いフィルターは、熱交換器に接続する分岐の下流側に配置され、バイパス管を流れる前記液体媒体は、粗いフィルターを通過することはない。
【0017】
本発明の1実施例によれば、フラップの制御および/または調節、および前記温度センサーによる温度の検出のための制御部が備えられる。前記制御部は、また、前記少なくとも2つの熱交換器セル内の前記液体媒体の液面レベルを各フロートによって検出し得る。前記フラップが閉じられているにもかかわらず、前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの1つにおける前記液体媒体の液面レベルが上昇したとき、前記制御部は前記管路に漏れが発生していると判定する。
【0018】
本発明の1実施例によれば、少なくとも1本の管路は複数の部分からなり、前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの1つを通過した後、その上面において始まりおよび/または終わり、前記少なくとも2つの熱交換器セルのそれぞれの取り外し可能な蓋に接続されている。
【0019】
本発明の1実施例によれば、前記管路の前記複数の部分の端および前記セル結合部がネジ山を有している。
【0020】
本発明の1実施例によれば、前記熱交換器および/または前記管路は、プラスチックから形成され、または、前記液体媒体と接触するためのプラスチック表面を有している。前記熱交換器および/または前記管路は金属、例えばステンレス鋼から形成され得る。特に、管路は金属、例えばステンレス鋼から形成され、外面および/または内面にプラスチックの被覆加工がなされ得る。
【0021】
本発明の1実施例によれば、前記分配部は、複数の制御可能なフラップを有している。
別の実施例によれば、前記分配部は、
前記少なくとも2つの熱交換器セルのそれぞれに対する分岐管が設けられた外管と、
前記外管内において駆動源によって回転可能に配置された内管と、を有し、
前記内管の外径がほぼ前記外管の内径に対応し、前記内管は、長さ方向に同じ高さで、前記分岐管のそれぞれに対する各1つの開口を有し、前記開口は、前記内管の回転によって、それぞれ前記分岐管のそれぞれと整合する角度位置に調節可能とされ、前記内管の各回転位置において、せいぜい1つの前記開口が関係する前記分岐管と整合するようになっている。
【0022】
本発明の1実施例によれば、前記セル結合部が、別の制御可能なフラップおよび/またはサイフォンを有し、前記サイフォンは、前記液体媒体を、互いに結合された前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの各上側の前記熱交換器セルの出口、特に底で取込んだ後、少なくとも、前記互いに結合された前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの前記各上側の熱交換器セルの上端の高さまで送給し、最終的に、前記互いに結合された前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの各下側の前記熱交換器セルまで送給する。
【0023】
本発明の1実施例によれば、前記サイフォンの頂点に換気弁が備えられている。
【0024】
本発明の1実施例によれば、前記サイフォンが前記少なくとも2つの熱交換器セルのうちの最上位の熱交換器セルの上端までのびている。
【0025】
本発明の1実施例によれば、別の管路が加熱装置の返送管路として備えられ、前記別の管路は前記少なくとも2つの熱交換器セルを下から上に向けて貫通するとともに、前記少なくとも2つの熱交換器セル間および最上位の前記熱交換器セルの上方のそれぞれにおいて接続管を介して供給管路に接続され、前記接続管内には制御可能なフラップが備えられていることによって、前記供給管路内の流れが所定の温度に維持され得る。
【0026】
本発明による上記装置を動作させる方法によれば、フラップを制御しおよび/または調節することによって、前記液体媒体を前記供給管路から前記少なくとも2つの熱交換器セルに供給し、前記少なくとも2つの熱交換器セルの目下の温度を少なくとも前記供給管路内の前記液体媒体の温度よりも低くする。
【0027】
本発明の1実施例によれば、前記少なくとも2つの熱交換器セルを互いに上下に重なり合うように配置し、最も低温の前記液体媒体を最下位の前記熱交換器セルに貯え、最も高温の前記液体媒体を最上位の前記熱交換器セルに貯える。
【0028】
本発明の1実施例によれば、前記少なくとも2つの熱交換器セルを、それぞれ別のフラップを備えたセル結合部を介して、1つのまたはそれぞれ隣り合う前記熱交換器セルと接続し、前記液体媒体を前記隣り合う熱交換器セルのうちの1つに供給し、充填すべき前記熱交換器セルが既に前記液体媒体で満たされているときは、必要な場所を提供すべく、最寄りの前記セル結合部の別の前記フラップを開放し、供給すべき前記液体媒体を下位の前記熱交換器セルまたは前記下水道に送給する。
【0029】
本発明の1実施例によれば、前記液体媒体が中水(雑用水)である。
【0030】
本発明の1実施例によれば、飲料水および/または温水を前記管路を通って前記熱交換器を下から上に向けて送給する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の1実施例による、中水から熱を回収する装置の概略図である。
【
図2】中水から熱を回収する装置の別の概略図である。
【
図3】本発明の1実施例による中水から熱を回収する装置の拡大概略図である。
【
図4】本発明の1実施例による、複数の熱交換器セルを備えた装置の概略図であり、図中、隣り合う熱交換器セルのセル結合部はそれぞれサイフォンを有している。
【
図5】本発明の別の実施例による、複数の熱交換器セルを備えた装置の概略図であり、図中、隣り合う交換機セルのセル結合部はそれぞれサイフォンを有している。
【
図6】本発明の1実施例による、上下に重なり合って配置された複数の熱交換器セルを備えた装置の概略図であり、図中、隣り合う熱交換器セル間にそれぞれ中水の流れを妨げる構造体が設けられている。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施例をより詳細に説明する。
なお、すべての添付図面において、互いに対応する構成要素には同一の参照番号が付されている。
【0033】
図1および
図2は、本発明の1実施例による、中水(雑用水)から熱を回収する装置1の概略図である。
【0034】
装置1は、熱交換器2における中水を利用した、飲料水の加熱および選択的に低温加熱システムに使用される温水の加熱に適している。熱交換器2は、互いに熱的に隔離された複数の加熱ゾーン、すなわち互いに接続され、それぞれタンクの形態を有する複数の熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4を備えている。この実施例では、4つの熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4が備えられている。
少なくとも1本の管路4、特に螺旋管4、例えば、少なくとも2本の螺旋管4、4.1または1本の二重螺旋管が、4つの熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4を貫通してのびている。管路4は、飲料水、または温水加熱装置または低温加熱装置の温水を送給する。2本の螺旋管4、4.1が備えられる場合、一方の螺旋管4が飲料水を送給する、他方の螺旋管4.1は温水を送給する。2本の螺旋管4、4.1は、1つまたは2つ以上の熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4、あるいはすべての熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4を貫通してのびている。
装置1は中水供給管路6に接続され、中水供給管路6は建物またはシステム内に生じた中水Gを送給する。第1の分岐管7.1は中水の温度を測定するための温度センサーと、制御可能なフラップ15.1を有し、それによって、中水Gの温度が予め決定された第1の温度以上の温度のときは、中水Gは装置1の中水捕集部9に送給されるが、中水Gの温度が予め決定された第1の温度よりも低い温度のときは、中水Gはバイパス管路8を通じて装置1を迂回して送給される。
【0035】
中水捕集部9において、中水Gは、まず、粗いフィルター5を通過することによって浄化される。粗いフィルター5の下流側には、複数の分岐管7.2~7.4、例えば、第2の分岐7.2、第3の分岐管7.3および第4の分岐管7.4が設けられている。第2の分岐管7.2は、中水Gの温度を測定するための温度センサーと、制御可能なフラップ15.2を有し、それによって、中水Gの温度が予め決定された第2の温度以上のとき、中水Gは熱交換器セル3.1に送給され、特に専ら送給される。1実施例によれば、中水Gの温度が予め決定された第2の温度よりも低いとき、中水Gは熱交換器セル3.1に送給されない。
第3の分岐管7.3は、中水Gの温度を測定するための温度センサーと、制御可能なフラップ15.3を有し、それによって、中水Gの温度が予め決定された第3の温度以上のとき、中水Gは熱交換器セル3.2に送給され、特に専ら送給される。1実施例によれば、中水Gの温度が予め決定された第3の温度よりも低いとき、中水Gは熱交換器セル3.2に送給されない。
第4の分岐管7.4は、中水Gの温度を測定するための温度センサーと、制御可能なフラップ15.4を有し、それによって、中水Gの温度が予め決定された第4の温度以上のとき、中水Gは熱交換器セル3.3に送給され、特に専ら送給される。1実施例によれば、中水Gの温度が予め決定された第4の温度よりも低いとき、中水Gは熱交換器セル3.3に送給されない。
第2~第4の分岐管7.2、7.3、7.4のフラップ15.2、15.3、15.4が閉じられているとき、中水Gが熱交換器セル3.4に送給される。熱交換器セル3.4に対する供給管路において、別の制御可能なフラップ15.5が設けられ、それによって、中水Gの温度が予め決定された第5の温度以上のとき、中水Gは熱交換器セル3.4に送給され、特に専ら送給され、中水Gの温度が第5の温度よりも低いときは、フラップ15.5は閉じられる。
特に、第2~第4の分岐管7.2、7.3、7.4および熱交換器セル3.4に対する供給管路のフラップ15.2、15.3、15.4、15.5は、それらのフラップ15.2、15.3、15.4、15.5のいずれか1つだけが開かれ、またはそれらのフラップ15.2、15.3、15.4、15.5のすべてが閉じられるように制御される。
1実施例によれば、第2の予め決定された温度は第3の予め決定された温度よりも高く、第3の予め決定された温度は第4の予め決定された温度よりも高い。
熱交換器セル3.1~3.4は、特に、上下に重なり合うように配置され、熱交換器2内の中水Gの温度が上から下に向けて低下するようになっている。
【0036】
分岐管7.2、7.3、7.4毎に温度センサーを配置する代わりに、単一の温度センサーを中水捕集部9に設けて、分岐管7.2、7.3、7.4および熱交換器セル3.4に対する供給管路のフラップ15.2、15.3、15.4、15.5を制御することもできる。同様に、単一の温度センサーを、第1の分岐管7.1内または第1の分岐管7.1の上流側に設けて、分岐管7.1、7.2、7.3、7.4および熱交換器セル3.4に対する供給管路のフラップ15.2、15.3、15.4、15.5を制御することもできる。
1実施例によれば、フラップ15.2、15.3、15.4、15.5は、電気的に、例えば(図示されない)制御部によって制御される。制御部は、中水捕集部9内の中水Gの温度を熱交換器セル3.1~3.4内の温度と比較して、中水捕集部9からの中水Gを、その目下の温度が少なくとも中水捕集部9の中水Gの温度よりも低い熱交換器セル3.1~3.4に送給するように構成されている。この目的のために、各熱交換器セル3.1~3.4は温度センサーを備えている。
【0037】
熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4はそれぞれ、別の制御可能なフラップを備えたセル結合部13を介して、1つのまたはそれぞれ隣り合う熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4と接続されている。特に、最も温度が低い中水Gは最下位の熱交換器セル3.4に貯えられ、最も温度が高い中水Gは最上位の熱交換器セル3.1に貯えられる。熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4はそれぞれ、セル結合部13からその下位にある熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4または下水道10に向かう方向に温度勾配を有している。
【0038】
熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4はそれぞれ、例えば、熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4のうちの1つの中水Gが送給されるとき、隣接する熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4のうちの1つまたは下水道10に対して別の制御可能なフラップを開くために、中水Gの水面レベルを測定するためのフロートを有している。制御部は、また、それらのフロートによって熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4内の中水Gの水面レベルを検出する。フラップ15.2、15.3、15.4、15.5が閉じられているにもかかわらず、熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4のうちの1つの水面レベルが増大しているとき、管路4、4.1に漏れが生じているものと判定される。
【0039】
特にそれぞれ螺旋管4、4.1の形態を有する複数本の管路、例えば、2本、3本またはそれ以上の螺旋管が備えられる。飲料水および/または温水は、螺旋管4内を、例えば下から上向きに流れる。
【0040】
熱交換器2の全体または一部を流れた後、流量が、飲料水管路および/または温水管路内の電気的に制御され得る閉止弁によって制御され、また、この閉止弁によって流れが遮断される。そして、予め加熱された飲料水は(図示されない)バッファー貯水部に送給され、1または2以上の加熱装置によって所望の最終温度まで加熱される。
【0041】
1実施例によれば、最下位の熱交換器セル3.4内の螺旋管4.2はヒートポンプ用に使用され、中水から熱を十分に吸収し、選択的にその熱によってバッファー貯水部を加熱する。
【0042】
本発明の装置1の目的は、中水Gから、飲料水を加熱し、必要に応じて、特に、例えば床暖房システムのような低温加熱システムに使用される温水を加熱するための熱を回収することにある。その前提は、汚水が、2パイプ下水道システムによって下水と中水に正確に分離されていることである。中水は汚物を含んでいない下水を意味するのに対し、汚水は汚物を含み得る。
捕集される中水Gの温度が少なくとも1つの温度センサーによって測定され、熱交換器2の各熱交換器セル3.1~3.4内の中水Gの目下の温度と比較される。捕集される中水Gの温度が各熱交換器セル3.1~3.4の温度の目下の温度よりも低いとき、中水Gはバイパス管路8を通って下水道10に送給される。
【0043】
しかしながら、捕集される中水Gの温度が熱交換器セル3.1~3.4のうちの1つの最低温度以上であるときは、中水Gは粗いフィルター5を通過した後、フラップ15.2、15.3、15.4、15.5を通って熱交換器セル3.1~3.4のうちの1つに送給される。この場合、供給すべき中水Gの最初に測定された温度によって、当該中水Gが送給される熱交換器セル3.1~3.4が決定される。該当する熱交換器セル3.1~3.4が既に中水Gで満たされている場合は、必要な場所を提供すべく、最寄りのセル結合部13の別のフラップが開かれ、供給すべき中水Gは下位の熱交換器セル3.1~3.4または下水道10に送給される。
【0044】
螺旋管4は、熱交換器セル3.1~3.4の内部構造から分離されている。各熱交換器セル3.1~3.4は、中水Gが供給される供給口、例えば側面供給開口を有している。例えば熱交換器セル3.1~3.4の中央であって、熱交換器セル3.1~3.4間に設けられ、別の制御可能なフラップを備えたセル結合部13を通って、中水Gは、電気的な制御によって、熱交換器セル3.1~3.4のうちの1つから下位の熱交換器セル3.1~3.4または下水道10に送給される。
【0045】
熱交換器セル3.1~3.4を通る螺旋管4、4.1、4.2は、各熱交換器セル3.1~3.4の上部において始まりおよび/または終わり、それぞれ取り外し可能な蓋14に接続されている。
図3は、螺旋管4が各熱交換器セル3.1、3.2の上部、例えば蓋14において始まりおよび終わるように構成された装置の実施例を示す拡大概略図である。
図3には示されていないが、熱交換器セル3.3、3.4もまたこれと同様の構成を有している。それによって、堆積物の掃除の問題が解決され得る。螺旋管4およびセル結合部13の端部は、各熱交換器セル3.1~3.4と接続するためのネジ山を有している。それによって、熱交換器セル3.1~3.4は1つのユニットとして互いに結合され得る。結合される熱交換器セル3.1~3.4の個数は、供給すべき中水Gに適合せしめられてる。
各熱交換器セル3.1~3.4は温度センサーを有し、これらの温度センサーによって、各熱交換器セル3.1~3.4内に貯えられた中水Gの温度が測定される。新たに供給される中水Gは、制御部によって制御および/または調節されるフラップ15.2、15.3、15.4、15.5によって送給される。制御部は、供給される中水Gの温度を熱交換器セル3.1~3.4内の中水Gの温度と比較する。中水Gは、少なくとも当該中水Gよりも温度が低い熱交換器セル3.1~3.4内に貯えられる。
該当する熱交換器セル3.1~3.4が既に中水Gで満たされている場合には、当該熱交換器セル3.1~3.4のセル結合部13の別のフラップが、すべての中水Gが供給されるまで下位の熱交換器セル3.1~3.4に対して開かれる。この別のフラップの制御は制御部によって行われる。最下位の熱交換器セル3.4の別のフラップは中水Gを下水道10に導く。最も温度が高い中水Gは最上位の熱交換器セル3.1に貯えられ、中水Gの温度が低下するにつれてより下位の熱交換器セル3.2~3.4に貯えられる。
飲料水および/または温水は、各熱交換器セル3.1~3.4のタンク内の螺旋管を通って、最下位の熱交換器セル3.4から最上位の熱交換器セル3.1に向けて流れる。この場合、飲料水の供給圧が利用される。中水タンクの下流側の飲料水管路および/または温水管路に、電気的に制御可能な弁が備えられ、この弁によって中水Gの流量が、熱吸収量が最大となるように、あるいは熱回路内の流れが所望の温度になるように制御される。
さらに、この弁の上流側に圧力計が配置されている。弁が閉じられているにもかかわらず、飲料水管路および/または温水管路内の圧力が低下する場合、関係する螺旋管4に漏れが生じていると判定される。こうして、飲料水管路および/または温水管路内への中水Gの侵入を検知するための保護機能が実現される。予め加熱された飲料水はバッファータンクに送給され、バッファータンク内において1または2以上の技術的装置によって所望の最終温度まで加熱される。
【0046】
互いに結合された熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4は断熱材によって隔離されている。
【0047】
装置1の設置場所として、建物の内部、または好ましくは外部が選択され、中水Gは装置1の傾きによって妨げられることなく送給され、よって、ポンプは配置されない。
【0048】
建物の外側において、熱交換器2は地面のタンク内に熱的に隔離されて配置される。こうして、装置1は、地下の貯蔵室がない、または僅かな設置スペースしかない建物に対しても適合し得る。
【0049】
熱交換器2および/または螺旋管4はプラスチックから形成され得る。こうして、装置1は中水G中の強烈な流動に対してより適合し得る。熱交換器2および/または螺旋管4はまた金属、例えばステンレス鋼から形成され得る。
特に、管路4は、例えば金属、特にステンレス鋼から形成され、外側および/または内側表面がプラスチックで被覆されている。
【0050】
装置1は、特別の変更を加えることなく、冷却装置からの排熱を利用するために使用され得る。この場合、冷却装置からの排熱は、中水Gの代わりに、冷却液、例えば水によって吸収されて熱交換器2に送給される。この場合、冷却液の温度は平均して40℃を超え、そのため、前と同様に、飲料水加熱装置および加熱装置、特に低温加熱装置用に使用され得る。この場合、排熱を吸収し、放出する水は、1つの循環管路内に保持され、汚染されることがなく、それによって、汚染および下水道との接続の結果として生じるメンテナンス費用の負担から逃れることができる。
【0051】
装置1は中水および冷却水中のエネルギーの大部分の利用を可能にする。それによって、エネルギーコストが著しく削減され得る。
【0052】
装置1は種々の加熱装置に接続され得る。例えば、地面掘削を伴うヒートポンプ装置に接続された場合、約85%のコスト削減が可能になる。
【0053】
装置1は僅かな運転コストだけを生じさせる。なぜなら、ポンプを備えていないためにその駆動電流が不要となるからである。
【0054】
装置1は、再生システム、つまり再生可能システムであり、現在の省エネ法の要求に合致している。それによって、建物の外装のコストを削減することができる。例えば、熱的隔離は僅かしか必要とされず、三重ガラスは全く不要である。なぜなら、装置1によって、エネルギーが大幅に節約され、それらの対策がもはや全く必要とされないからである。
【0055】
エネルギー回収によって、装置は合理的な時間内に収益を上げ得る。
【0056】
本発明の方法は、新たな冷却方式、すなわち、冷却装置からの排熱の取り出しと同時にそれに貯えられたエネルギーの使用の方法を提供する。
【0057】
1実施例によれば、中水Gの代わりに、別の加熱された液体、例えば冷却装置、発電所または工業施設の冷却液が使用される。
【0058】
1実施例によれば、飲料水用の螺旋管4は、すべての熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4を下から上向きに貫通してのびる。最下位の熱交換器セル3.4において、螺旋管4はヒートポンプの熱回収のために備えられる。その上位にある熱交換器セル3.1、3.2、3.3において、飲料水用の螺旋管4は、加熱装置、特に低温加熱装置、例えば床暖房システムのため、または返送管路の温度上昇のための熱を回収するために備えられる。
低温加熱装置に対して、別の管路4.1が備えられ、この管路4.1は、返送管路として、熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4を下から上に向けて貫通してのびている。管路4.1は、熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4間および最上位の熱交換器セル3.1の上方のそれぞれにおいて接続管12を介して供給管路11に接続されている。接続管12内には制御可能なフラップが備えられ、それによって供給管路11内の流れが所定の温度に維持され得る。接続管12内のフラップもまた、制御部によって制御および/または調節される。
【0059】
1実施例によれば、最上位の熱交換器セル3.1に対する所定温度は40℃であり、その下位の熱交換器セル3.2に対する所定温度は35℃であり、その下位の熱交換器セル3.3に対する所定温度は30℃であり、最下位の熱交換器セル3.4に対する所定温度は20℃である。
【0060】
図4は、複数の熱交換器セル3.1、3.2、3.3を備えた装置1の実施例を示した図である。この実施例では、隣り合う熱交換器セル3.1、3.2、3.3のセル結合部13がそれぞれサイフォン16.1、16.2を有し、サイフォン16.1、16.2は、互いに接続された熱交換器セル3.1、3.2、3.3のうちの各上側の熱交換器セルの出口、特に底において中水Gを取り込んだ後、当該熱交換器セル3.1、3.2、3.3の上端の高さまで送給し、最終的に、互いに接続されたその下側の熱交換器セル3.1、3.2、3.3に送給する。サイフォン16.1、16.2の頂点には、換気別17.1、17.2が備えられている。
【0061】
図5は、複数の熱交換器セル3.1、3.2、3.3を備えた装置1の実施例を示した図である。この実施例では、隣り合う熱交換器セル3.1、3.2、3.3のセル結合部13がそれぞれサイフォン16.1、16.2を有し、サイフォン16.1、16.2は、互いに接続された熱交換器セル3.1、3.2、3.3のうちの各上側の熱交換器セルの底において中水Gを取り込んだ後、最上位の熱交換器セルの上端の高さまで送給し、最終的に、互いに接続されたその下側の熱交換器セル3.1、3.2、3.3に送給する。サイフォン16.1、16.2の頂点には、換気別17.1、17.2が備えられている。さらに、最下位の熱交換器セル3.3の排水管18がまた、最上位の熱交換器セル3.1の上端の高さまでのび、排水管18の頂点に換気弁17.3が備えられている。
【0062】
図6は、互いに上下に重なり合って配置された複数の熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4を備えた装置1の実施例を示した図である。この実施例では、隣り合う熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4間に、それぞれ、中水Gの流れを妨げる構造体19が備えられている。管路4は図示されていない。流れを妨げる構造体19は、例えば、好ましくは
図7に示されるように、多孔性のプラスチック板として形成されている。複数の熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4は、それぞれ別々の容器として、または単一の容器の各部分として形成されている。
【0063】
多かれ少なかれ
図4~
図6に示したように接続された複数の熱交換器セル3.1~3.4が備えられる。
【0064】
図4、5および6に示した実施例では、別の制御可能なフラップを備えたセル結合部13が省略され得る。
【0065】
図8は、中水Gに対する別の分配部20を示した図である。分配部20は、一端が閉じた外管21を有し、外管21は、例えば、外管21の長さ方向に配置された複数の分岐管7.1、7.2、7.3、7.4を備えている。
外管21内には、内管22が回転可能に配置され、内管22の外径がほぼ外管21の内径に対応している。内管22は、長さ方向に同じ高さで、分岐管7.1、7.2、7.3、7.4のそれぞれに対する各1つの開口23.1、23.2、23.3、23.4を有し、開口23.1、23.2、23.3、23.4は、内管22の回転によって、それぞれ分岐管7.1、7.2、7.3、7.4のそれぞれと整合し、中水Gが内管22から開口23.1、23.2、23.3、23.4を通って分岐管7.1、7.2、7.3、7.4内に流れる角度位置に調節可能になっている。特に、開口23.1、23.2、23.3、23.4は、内管22の周方向において、内管22の各回転位置において、せいぜい1つの開口23.1、23.2、23.3、23.4が関係する分岐管7.1、7.2、7.3、7.4と整合するように分布(配置)せしめられている。
内管22を回転させるために、電気的なサーボモータ24が備えられ、サーボモータ24は、中水捕集部9内および各熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4内の中水Gの温度に基づいて、各分岐管7.1、7.2、7.3,7.4が開放されるように制御される。
【0066】
別の実施例によれば、中水Gは管路4、特に管路4.1内を送給される。それによって、管路4が分岐管7.1、7.2、7.3,7.4に接続され、加熱すべき媒体が熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4の容器内に存在する逆転した使用が可能となる。管路4は、管路4が各熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4の体積の大部分、例えば熱交換器セル3.1、3.2、3.3、3.4の体積の1/2またはそれ以上を占めるように形成される。
【符号の説明】
【0067】
1 装置
2 熱交換器
3.1、3.2、3.3、3.4 熱交換器セル
4、4.1、4.2 管路、螺旋管
5 粗いフィルター
6 中水供給管路
7.1 第1の分岐管
7.2 第2の分岐管
7.3 第3の分岐管
7.4 第4の文意管
8 バイパス管路
9 中水捕集部
10 下水道
11 供給管路
12 接続管
13 セル結合部
14 蓋
15.1~15.5 フラップ
16.1~16.3 サイフォン
17.1~17.3 換気弁
18 排水管
19 妨げる構造体
20 分配部
21 外管
22 内管
23.1~23.4 開口
24 サーボモータ
G 中水、液体媒体
【国際調査報告】