(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-04
(54)【発明の名称】安全性が向上したタワークレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 23/06 20060101AFI20220225BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20220225BHJP
E04G 21/16 20060101ALI20220225BHJP
B66C 23/52 20060101ALI20220225BHJP
B63B 27/10 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
B66C23/06 Z
E04H12/00 A
E04G21/16
B66C23/52
B63B27/10 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523968
(86)(22)【出願日】2018-10-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 KR2018012949
(87)【国際公開番号】W WO2020091090
(87)【国際公開日】2020-05-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0129796
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521186317
【氏名又は名称】オム、ブ ソプ
【氏名又は名称原語表記】UM,Boosup
【住所又は居所原語表記】207-502 98,Hagui-ro,Dongan-gu Anyang-si Gyeonggi-do 14043,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】オム、ブ ソプ
【テーマコード(参考)】
2E174
3F205
【Fターム(参考)】
2E174CA03
2E174CA13
3F205AA10
3F205AA13
3F205CA03
3F205DA01
(57)【要約】
本発明は、安全性が向上したタワークレーンに関し、ジブが、長手方向に沿って伸縮されるように備えられてタワークレーンの作業半径や引き上げ物の重量に応じて長さを調節できるように備えられ、キャットヘッドが、垂直方向に伸縮されるように備えられ、ジブの長さの伸縮時に連動しながら、ジブにかかった荷重を支持する。また、移動式バランスウェイトは、カウンタージブの下部に水平方向にスライド移動するように設置され、ジブが伸ばされてジブの長さが増加されればマストから遠ざかるように外側に移動し、ジブが収縮されてジブの長さが減少されればマスト側に移動して、ジブの長さに応じてタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取る。そして、移動案内部は、カウンタージブと移動式バランスウェイトとの間に設置され、移動式バランスウェイトが水平方向に移動することを案内する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面または船上に垂直に設置されるマスト(1);
マスト(1)の中でも最上のマストの上面に設置されるカウンタージブ(2);
最上のマスト(1)とカウンタージブ(2)との間に設置され、カウンタージブが旋回することを案内する旋回部(4);
一端がカウンタージブ(2)上のジブ回転軸(12)に上下方向に回転するように設置され、長手方向に沿って伸縮されるように備えられてタワークレーンの作業半径を調節するジブ(6);
下端がカウンタージブ(2)に固定されて垂直方向に伸縮されるように備えられ、ジブ(6)の長さの伸縮時に連動しながら、ジブ(6)にかかった荷重を支持するキャットヘッド(8);
一端がカウンタージブ(2)に設置され、他端がジブ(6)に設置されて、ジブがジブ回転軸(12)を中心に上下方向に回転するようにする引き込みシリンダ(10);
カウンタージブ(2)上に設置され、上下回動したジブ(6)を支持する引き込み電動機(14);
一端が引き込み電動機(14)に巻き取られてキャットヘッド(8)の端部を経由し、他端がジブ(6)の端部に繋がれ、引き込みシリンダ(10)とともにジブ(6)の上下回動を案内して上下回動したジブ(6)を支持する引き込みタイバー(16);
カウンタージブ(2)に設置され、フック(22)を昇降させるホイスト電動機(18);
一端がホイスト電動機(18)に巻き取られてジブ(6)の端部を経由し、他端がフック(22)に繋がれ、ホイスト電動機(18)の駆動時にフック(22)を昇降させるホイストワイヤ(20);
一端がカウンタージブ(2)に固定され、他端がキャットヘッド(8)に固定されて、ジブ(6)に作用する荷重を分散支持させる第1タイバー(24);
カウンタージブ(2)の上部に設置され、ジブ(6)に作用する荷重を分散支持させる固定式バランスウェイト(26);
カウンタージブ(2)の下部に水平方向にスライド移動するように設置され、ジブ(6)が伸ばされてジブの長さが増加されれば、マストから遠ざかるように外側に移動し、ジブ(6)が収縮されてジブの長さが減少されれば、マスト(1)側に移動して、ジブ(6)の長さによってタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取る移動式バランスウェイト(28);
カウンタージブ(2)と移動式バランスウェイト(28)との間に設置され、移動式バランスウェイト(28)が水平方向に移動することを案内する移動案内部(30);
マスト(1)に設置され、旋回部(4)と連動して旋回部(4)とともに回転し、ジブ(6)に作用する荷重を分散支持する補助旋回部(42);
一端が旋回部(4)に固定され、他端が補助旋回部(42)に固定されて、カウンタージブ(2)に作用する荷重が補助旋回部(42)を通じてマストに分散支持されるようにする第2タイバー(44);及び
一端がキャットヘッド(8)に締結され、他端がジブ(6)に締結され、タワークレーンの駆動時にキャットヘッド(8)及びジブ(6)から分離させ、タワークレーンの設置や解体時キャットヘッド(8)及びジブ(6)に締結させて安全上の事故を防止する設置解体安全ワイヤ(46)を含んでなり;
ジブ(6)及びキャットヘッド(8)は、作業半径や引き上げる重量物の重量や風速によって長さが伸縮されながら作業環境に合うように長さが調節され、強風の際に最大限収縮されて強風の影響を最小化し;
移動式バランスウェイト(28)は、ジブ(6)の伸縮時に連動しながらジブ(6)の長さによってタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取り;
引き込みタイバー(16)、第1タイバー(24)、第2タイバー(44)によって、ジブ(6)の端部に作用する荷重がキャットヘッド(8)、カウンタージブ(2)、補助旋回部(42)、マスト(1)に分散支持されるので、安全上の事故を防止するように備えられることを特徴とする、安全性が向上したタワークレーン。
【請求項2】
移動案内部(30)は、
移動式バランスウェイト(28)が安着され、カウンタージブ(2)の側面に沿って移動して移動式バランスウェイト(28)を水平方向に移動させるハンガー(32);
ハンガー(32)の上端部に結合されてカウンタージブ(2)の上面に安着され、ハンガー(32)及び移動式バランスウェイト(28)を水平方向に移動させる移動ローラー(34);
ハンガー(32)に設置され、移動式バランスウェイト(28)とともに移動するピニオン駆動モーター(36);
ピニオン駆動モーター(36)に結合され、ピニオン駆動モーター(36)から回転動力が伝達されるピニオン(38);及び
移動式バランスウェイト(28)の移動方向に沿ってカウンタージブ(2)の側面に固定されており、ピニオン(38)が噛合しており、ピニオン駆動モーター(36)の駆動時ラック(40)に沿ってハンガー(32)及び移動式バランスウェイト(28)を水平移動させるラック(40)からなることを特徴とする、請求項1に記載の安全性が向上したタワークレーン。
【請求項3】
ポンプ車(48)のコンクリート移送管(50)と繋がれた後、前記マスト(1)に沿って設置される垂直移送管(52)と、
ジブの長手方向に沿って設置される水平移送管(54)と、
垂直移送管(52)と水平移送管(54)との間を連結するT型管(56)と、
垂直移送管(52)の上端外径及びT型管(56)の下端内径との間に取り付けられ、ジブ(6)の左右旋回運動に連動して水平移送管(54)の左右旋回運動を可能にする滑り軸受(58)と、
T型管(56)の上端と水平移送管(54)との間に繋がれ、ジブ(6)の上下傾斜運動に連動して水平移送管(54)の上下傾斜運動を可能にするボール管継手(60)と、
垂直移送管(52)の長手方向区間の中で所望の位置に分岐されて組み立てられる複数の第1分配移送管(72)と、
水平移送管(54)の長手方向区間の中で所望の位置に分岐されて組み立てられる複数の第2分配移送管(74)と、
第1分配移送管(72)及び第2分配移送管(74)の末端部にボール管継手(60)を介在して繋がれる最終吐出管(76)と、をさらに備え、
ボール管継手(140)は、コネクタ管(141)と外接半球体(142)とが一体化された固定管(143)と、コネクタ管(141)と内接半球体(144)とが一体化された流動管(145)とで構成され、固定管(143)の外接半球体(143)内に流動管(145)の内接半球体(144)が上下左右の角度調節可能に挿入締結されることを特徴とする、請求項1に記載の安全性が向上したタワークレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タワークレーンに関し、より詳しくは、ジブ及びキャットヘッドが長手方向に沿って伸縮されるように備えられてタワークレーンの作業半径や引き上げ物の重量に応じて長さを調節することができ、ジブの伸縮時に連動しながらジブの長さに応じてタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取るので、タワークレーンの転覆を防止することができ、ジブの端部に作用する荷重がキャットヘッド、カウンタージブ、補助旋回部、およびマストに分散支持され、キャットヘッドとジブとが互いに繋がれるのでタワークレーンの設置や解体時にキャットヘッドやジブが崩壊することを防止する、安全性が向上したタワークレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、タワークレーンは、ビル、または野積場などの建設現場で体積が大きくて重量の貨物を引き上げて運ぶのに使われる建設重装備であって、貨物を引き上げて一定の高さまで垂直移動させるホイストと、垂直に引き上げられた貨物を所定の位置に水平移動させるトロリー(trolley)とによって巻き上げ装置が構成される。
【0003】
そして、前述のホイストとトロリーにはワイヤロープがそれぞれ繋がれ、これらのワイヤロープは、駆動モーターに繋がれる巻取ドラム(winch)の正・逆回転によって巻取ドラムに巻き取られたり繰り出されたりしながらホイストとトロリーを駆動させる。
【0004】
このようなタワークレーンは、地面に垂直に取り付けられるマストと、マストの上端に旋回可能に取り付けられる片持ち梁状のジブと、ジブの反対側に固定されるカウンタージブと、マストの上端に取り付けられてジブ及びカウンタージブを支持する上部塔と、一端がジブの前方に固定され、他端が上部塔側に固定されてジブを支持するジブ用サスペンションと、を備える。
【0005】
また、ウインチに巻線されるワイヤによって貨物を垂直に引き上げるホイストと、垂直に引き上げられた貨物をワイヤによって所定の位置に移動させるトロリーと、一端がカウンタージブに固定され、他端が上部塔に固定されてカウンタージブを支持するカウンタージブ用サスペンションと、カウンタージブの端部に設置されて貨物の引き上げによるジブの重心移動に対するバランス取りをするカウンターウェイトと、を備える。
【0006】
また、ホイストを駆動させる駆動モーター及びウインチなどの駆動部と、マストを時計回りまたは反時計回りに旋回させる駆動部とをマストの上端に取り付け、カウンタージブの端部に重量のカウンターウェイトを設置する。
【0007】
このような従来のタワークレーンは、運転室がマストの上端に取り付けられることによって、風圧または悪天候などの外部環境要因またはあらかじめ設定された荷重を超えて引き上げる作業などによってタワークレーンが転覆する場合、数十メートルの高空で作業するオペレーターの命を奪ってしまう安全上の事故が発生することができるという問題点を有する。
【0008】
一方、タワークレーンは、一般的に重い物を吊り上げて上下または水平方向に移動させる起重機の一種であって、陸上建設現場だけではなく、海洋構造物の建造にも使われている。
【0009】
海洋構造物の建造時、タワークレーンは、浮遊式構造物の船体に搭載されたまま重量物を移送させることができる。この場合、タワークレーンの重量及び重量物の移動によって過度な荷重が船体の一部の地点に集中することができ、これによって船体に構造的な損傷が生じるおそれがある。
【0010】
また、タワークレーンの安定した運転のためには、タワークレーンの平衡維持が切に求められるが、海上では、風、波浪、または潮流などの影響で船体の揺れが頻繁に発生し、このような船体の揺れによってタワークレーンの平衡が維持され難いという問題点がある。そして、タワークレーンの平衡が維持できない場合、タワークレーが転覆する深刻な事故が発生することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題点を解決するためのもので、その的は、ジブ及びキャットヘッドが長手方向に沿って伸縮されるように備えられ、タワークレーンの作業半径や引き上げ物の重量に応じて長さを調節できるようにした、安全性が向上したタワークレーンを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、ジブの伸縮時に連動しながらジブの長さに応じてタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取るので、タワークレーンの転覆を防止するようにした、安全性が向上したタワークレーンを提供することにある。
【0013】
本発明の別の目的は、ジブの端部に作用する荷重がキャットヘッド、カウンタージブ、補助旋回部、およびマストに分散支持されるようにした、安全性が向上したタワークレーンを提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、キャットヘッドとジブとが互いに繋がれるので、タワークレーンの設置や解体時キャットヘッドやジブが崩壊することを防止するようにした、安全性が向上したタワークレーンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するための本発明の安全性が向上したタワークレーンは、地面または船上に垂直に設置されるマスト;マストの中で最上のマストの上面に設置されるカウンタージブ;最上のマストとカウンタージブとの間に設置されてカウンタージブが旋回することを案内する旋回部;一端がカウンタージブ上のジブ回転軸に上下方向に回転するように設置され、長手方向に沿って伸縮されるように備えられてタワークレーンの作業半径を調節するジブ;下端がカウンタージブに固定されて垂直方向に伸縮されるように備えられ、ジブの長さの伸縮時に連動しながら、ジブにかかった荷重を支持するキャットヘッド;一端がカウンタージブに設置され、他端がジブに設置されてジブがジブ回転軸を中心に上下方向に回転するようにする引き込みシリンダ;カウンタージブ上に設置されて上下回動したジブを支持する引き込み電動機;一端が引き込み電動機に巻き取られてキャットヘッドの端部を経由し、他端がジブの端部に繋がれて引き込みシリンダと共にジブの上下回動を案内して上下回動したジブを支持する引き込みタイバー;カウンタージブに設置されてフックを昇降させるホイスト電動機;一端がホイスト電動機に巻き取られてジブの端部を経由し、他端がフックに繋がれてホイスト電動機の駆動時フックを昇降させるホイストワイヤ;一端がカウンタージブに固定され、他端がキャットヘッドに固定されて、ジブに作用する荷重を分散支持させる第1タイバー;カウンタージブの上部に設置され、ジブに作用する荷重を分散支持させる固定式バランスウェイト;カウンタージブの下部に水平方向にスライド移動するように設置されてジブが伸ばされてジブの長さが増加されれば、マストから遠ざかるように外側に移動し、ジブが収縮されてジブの長さが減少されれば、マスト側に移動して、ジブの長さに応じてタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取る移動式バランスウェイト;カウンタージブと移動式バランスウェイトとの間に設置されて移動式バランスウェイトが水平方向に移動することを案内する移動案内部;マストに設置され、旋回部と連動して旋回部とともに回転し、ジブに作用する荷重を分散支持する補助旋回部;一端が旋回部に固定され、他端が補助旋回部に固定されて、カウンタージブに作用する荷重が補助旋回部を通じてマストに分散支持されるようにする第2タイバー;及び一端がキャットヘッドに締結され、他端がジブに締結されてタワークレーンの駆動時にキャットヘッド及びジブから分離させ、タワークレーンの設置や解体時にキャットヘッド及びジブに締結させて安全上の事故を防止する設置解体安全ワイヤ;を含んでなり;ジブ及びキャットヘッドは、作業半径や引き上げる重量物の重量や風速に応じて長さが伸縮されながら作業環境に合うように長さが調節され、強風の際に最大限収縮されて強風の影響を最小化し;移動式バランスウェイトは、ジブの伸縮時に連動しながらジブの長さに応じてタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取り;引き込みタイバー、第1タイバー、第2タイバーによって、ジブの端部に作用する荷重がキャットヘッド、カウンタージブ、補助旋回部、およびマストに分散支持されるので、安全上の事故を防止するように備えられる。
【0016】
本発明の安全性が向上したタワークレーンの他の特徴は、ポンプ車のコンクリート移送管と繋がれた後、前記マストとカウントジブに沿って設置される垂直移送管と、ジブの長手方向に沿って設置される水平移送管と、垂直移送管と水平移送管との間を連結するT型管と、垂直移送管の上端外径及びT型管の下端内径との間に取り付けられ、ジブの左右旋回運動に連動して水平移送管の左右旋回運動を可能にする滑り軸受と、T型管の上端と水平移送管との間に繋がれ、ジブの上下傾斜運動に連動して水平移送管の上下傾斜運動を可能にするボール管継手と、垂直移送管の長手方向区間の中で所望の位置に分岐されて組み立てられる複数の第1分配移送管と、水平移送管の長手方向区間の中で所望の位置に分岐されて組み立てられる複数の第2分配移送管と、第1分配移送管及び第2分配移送管の末端部にボール管継手を介在して繋がれる最終吐出管と、をさらに備える。
【0017】
本発明の安全性が向上したタワークレーンのまた他の特徴は、移動案内部は、移動式バランスウェイトが安着され、カウンタージブの側面に沿って移動して移動式バランスウェイトを水平方向に移動させるハンガー;ハンガーの上端部に結合されてカウンタージブの上面に安着され、ハンガー及び移動式バランスウェイトを水平方向に移動させる移動ローラー;ハンガーに設置され、移動式バランスウェイトと共に移動するピニオン駆動モーター;ピニオン駆動モーターに結合され、ピニオン駆動モーターから回転動力が伝達されるピニオン;及び移動式バランスウェイトの移動方向に沿ってカウンタージブの側面に固定されており、ピニオンが噛合しており、ピニオン駆動モーターの駆動時にラックに沿ってハンガー及び移動式バランスウェイトを水平移動させるラック;からなる。
【発明の効果】
【0018】
前述した本発明は、ジブが長手方向に沿って伸縮されるように備えられてタワークレーンの作業半径や引き上げ物の重量に応じて長さを調節するように備えられ、キャットヘッドが垂直方向に伸縮されるように備えられ、ジブの長さの伸縮時に連動しながら、ジブにかかった荷重を支持する。したがって、ジブ及びキャットヘッドは、作業半径や引き上げる重量物の重量に応じて長さを伸縮させることができるので、作業環境に合うようにジブ及びキャットヘッドの長さを調節することができ、限界風速を超える時、その長さを最小に収縮させて強風の影響を最小化することができる。
【0019】
また、移動式バランスウェイトは、カウンタージブの下部に水平方向にスライド移動するように設置され、ジブが伸ばされてジブの長さが増加されればマストから遠ざかるように外側に移動し、ジブが収縮されてジブの長さが減少されればマスト側に移動して、ジブの長さに応じてタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取る。そして移動案内部は、カウンタージブと移動式バランスウェイトとの間に設置されて、移動式バランスウェイトが水平方向に移動することを案内する。したがって、ジブの伸縮時に連動しながらジブの長さに応じてタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取るので、タワークレーンの転覆を防止するようになる。
【0020】
そして、本発明の引き込みタイバーは、一端が引き込み電動機に巻き取られてキャットヘッドの端部を経由し、他端がジブの端部に繋がれ、引き込みシリンダとともにジブの上下回動を案内して上下回動したジブを支持する。第1タイバーは、一端がカウンタージブに固定され、他端がキャットヘッドに固定されて、ジブに作用する荷重を分散支持させる。第2タイバーは、一端が旋回部に固定され、他端が補助旋回部に固定されて、カウンタージブに作用する荷重が補助旋回部を通じてマストに分散支持されるようにする。このように引き込みタイバー、第1タイバー、および第2タイバーによって、ジブの端部に作用する荷重がキャットヘッド、カウンタージブ、補助旋回部、およびマストに分散支持されるので、安全上の事故が防止される。
【0021】
また、設置解体安全ワイヤは、一端がキャットヘッドに締結され、他端がジブに締結され、タワークレーンの駆動時キャットヘッド及びジブから分離させ、タワークレーンの設置や解体時にキャットヘッド及びジブに締結させる。したがって、設置解体安全ワイヤによってキャットヘッドとジブが互いに繋がれるので、タワークレーンの設置や解体時キャットヘッドやジブが崩壊することを幾分防止することができ、これによって安全上の事故を防止させることができる。
【0022】
このような本発明は、ジブ及びキャットヘッドは長さ調節が可能に備えられ、移動式バランスウェイトがジブの上下角度変化に応じて水平方向位置が調節されるように備えられるので、作業半径が変更されたり、引き上げる重量物の重量が変更されたりすると、ジブ及びキャットヘッドが長さ調節されて移動式バランスウェイトが移動しながらタワークレーンの重心を合わせるようになり、これによって安全上の事故が防止される。また、風速が基準値を超えるとき、ジブ及びキャットヘッドの長さを最小化させて強風による転覆事故を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の安全性の向上したタワークレーンが地上に設置される状態を示す概略的正面図である。
【
図2】本発明の移動案内部を示す概略的側面図である。
【
図4】
図1の他の実施例を示す概略的正面図である。
【
図5】本発明の安全性の向上したタワークレーンが船上に設置される状態を示す概略的正面図である。
【
図6】
図5の他の実施例を示す概略略的正面図である。
【
図7】本発明の安全性が向上したタワークレーンにコンクリート配送システムが設置された状態を示す概略的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明を十分に理解するために、本発明の好適な実施例を添付図面を参照して説明する。本発明の実施例は様々な形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に詳述する実施例に限定されるものと解釈されてはならない。本実施例は、当業分野における通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面での要素の形状などは、より明確な説明を強調するために誇張して表現されることができる。各図面において、同一の部材は、同じ符号に付して図示したことがあることに留意されたい。本発明の要旨を不要に不明確にするおそれがあると判断された公知の機能及び構成に関する詳細な記述は、省略する。
【0025】
図1は本発明の安全性が向上したタワークレーンの構成を示す概略的正面図であり、
図2は本発明の移動案内部を示す概略的側面図であり、
図3は
図2の概略的平面図であり、
図5は本発明の安全性の向上したタワークレーンが船上に設置された状態を示す正面図である。
【0026】
このような本発明のタワークレーンは、マスト1、カウンタージブ2、旋回部4、ジブ6、キャットヘッド8、引き込みシリンダ10、引き込み電動機14、引き込みタイバー16、ホイスト電動機18、ホイストワイヤ20、第1タイバー24、固定式バランスウェイト26、移動式バランスウェイト28、移動案内部30、補助旋回部42、および第2タイバー44を含んでなる。
マスト1は、設置するタワークレーンの高さに合うように一つまたは一つ以上の単位マスト1が垂直に設置され、地面または船上に設置される。
カウンタージブ2は、マスト1の中で最上のマスト1の上面に設置される。
【0027】
旋回部4は、最上のマスト1とカウンタージブと2の間に設置され、カウンタージブ2が旋回することを案内する。このような旋回部4は、カウンタージブ2を回転させる構成であれば如何なる構成であっても良い。旋回部4の一実施例として、マストに固定設置されるリングギヤと、リングギヤに噛合する外接ギヤーと、外接ギヤーに繋がれてカウンタージブ2に設置され、外接ギヤーに回転動力を伝達する旋回電動機とからなることができる。このような旋回部4は、旋回電動機の駆動時外接ギヤーがリングギヤの周縁に沿って回転しながらカウンタージブ2を回転させる。
【0028】
ジブ6は、一端がカウンタージブ2上のジブ回転軸12に上下方向に回転するように設置され、長手方向に沿って伸縮されるように備えられてタワークレーンの作業半径を調節する。
【0029】
このようなジブ6は、長い行程のジブ6を作るために多段チューブ型のロッド(rod)を有するテレスコープ型(telescoping type)ジブ6である。
【0030】
したがって、本発明のジブ6は、カウンタージブ2上でジブ回転軸12を中心に上下方向に回動することができ、旋回部4の駆動時カウンタージブ2とともに水平方向に回転し、ジブ6の長手方向に沿って伸縮されるように備えられる。
このようなテレスコープ型ジブ6は、それぞれの単位ジブ6の断面が四角形であってもよく、円形やひし形であってもよい。
【0031】
このようなテレスコープ型ジブ6の伸縮構造は、油圧式、チェーン式、ラックギヤ式を適用してもよく、多段の単位ジブ6をその長手方向に沿って折り畳むか伸ばすことができる構造であれば如何なる構造であってもよい。
【0032】
キャットヘッド8は、下端がカウンタージブ2に固定されて垂直方向に伸縮されるように備えられ、ジブ6の長さが伸縮される時に連動しながら、ジブ6にかかった荷重を支持する。
【0033】
このようなキャットヘッド8は、長い行程のキャットヘッド8を作るために多段チューブ型のロッド(rod)を有するテレスコープ型(telescoping type)キャットヘッド8である。
【0034】
したがって、本発明のキャットヘッド8は、旋回部4の駆動時カウンタージブ2とともに水平方向に回転し、キャットヘッド8の長手方向に沿って伸縮されるように備えられる。
このようなテレスコープ型キャットヘッド8は、それぞれの単位キャットヘッド8の断面が四角形であってもよく、円形やひし形であってもよい。
【0035】
このようなテレスコープ型キャットヘッド8の伸縮構造は、油圧式、チェーン式、ラックギヤ式を適用してもよく、多段の単位キャットヘッド8をその長手方向に沿って折り畳むか伸ばすことができる構造であれば如何なる構造であっても良い。
引き込みシリンダ10は、一端がカウンタージブ2に設置され、他端がジブ6に設置されてジブ6がジブ回転軸12を中心に上下方向に回転するようにする。
このような引き込みシリンダ10は、ジブ6の重量や長さに合うように一つが設置されてもよく、二つが設置されてもよい。
【0036】
ジブ6の長さが長くないか重い重量ではない場合、カウンタージブ2とジブ6との間に一つのみが設置されることもできる。ジブ6の長さが比較的長いか重い重量である場合、カウンタージブ2とジブ6との間に2つの引き込みシリンダ10が設置されることもできる。
引き込み電動機14は、カウンタージブ2上に設置され、上下回動したジブ6を支持する。
【0037】
引き込みタイバー16は、一端が引き込み電動機14に巻き取られ、キャットヘッド8の端部を経由し、他端がジブ6の端部に繋がれて引き込みシリンダ10とともにジブ6の上下回動を案内して上下回動したジブ6を支持する。
ホイスト電動機18は、カウンタージブ2に設置されてフック22を昇降させる。
【0038】
ホイストワイヤ20は、一端がホイスト電動機18に巻き取られてジブ6の端部を経由し、他端がフック22に繋がれてホイスト電動機18の駆動時にフック22を昇降させる。
第1タイバー24は、一端がカウンタージブ2に固定され、他端がキャットヘッド8に固定されて、ジブ6に作用する荷重を分散支持させる。
固定式バランスウェイト26は、カウンタージブ2の上部に設置され、ジブ6に作用する荷重を分散支持させる。
【0039】
移動式バランスウェイト28は、カウンタージブ2の下部に水平方向にスライド移動するように設置され、ジブ6が伸ばされてジブ6の長さが増加されればマスト1から遠ざかるように外側に移動し、ジブ6が収縮されてジブ6の長さが減少されればマスト1側に移動して、ジブ6の長さによってタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取る。
移動案内部30は、カウンタージブ2と移動式バランスウェイト28との間に設置され、移動式バランスウェイト28が水平方向に移動することを案内する。
【0040】
このような移動案内部30は、移動式バランスウェイト28が安着され、カウンタージブ2の側面に沿って移動して移動式バランスウェイト28を水平方向に移動させるハンガー32と、ハンガー32の上端部に結合されてカウンタージブ2の上面に安着され、ハンガー32及び移動式バランスウェイト28を水平方向に移動させる移動ローラー34と、ハンガー32に設置されて移動式バランスウェイト28とともに移動するピニオン駆動モーター36と、ピニオン駆動モーター36に結合され、ピニオン駆動モーター36から回転動力が伝達されるピニオン38と、移動式バランスウェイト28の移動方向に沿ってカウンタージブ2の側面に固定されており、ピニオン38が噛合しており、ピニオン駆動モーター36の駆動時ハンガー32及び移動式バランスウェイト28を水平移動させるラック40と、から構成される。
一方、移動案内部30は、前述のように、ラック40とピニオン38とからなる構造であってもよいが、油圧式やワイヤ方式であってもよい。
【0041】
移動案内部30が油圧式で構成されている場合、シリンダのピストンロッドが前進または後進する時、移動式バランスウェイト28がレールに沿って水平方向に移動するように設置することができ、移動案内部30がワイヤ式で構成されている場合、モーターを回転させて移動式バランスウェイト28に繋がれたワイヤを一側に引っ張るか反対側に引っ張る場合、移動式バランスウェイト28がレールに沿って移動するように設置してもよい。
補助旋回部42は、マスト1に設置され、旋回部4と連動して旋回部4とともに回転して、ジブ6に作用する荷重を分散支持する。
【0042】
このような補助旋回部42は、マスト1に設置されて回転板79に繋がれてカウンタージブ2が旋回する際に、回転板79もカウンタージブ2とともに回転するように案内する。このような補助旋回部42は、回転板79を回転させる構成であれば如何なる構成のものであっても構わない。補助旋回部42の一実施例として、マスト1に固定設置されるリングギヤと、リングギヤに噛合する外接ギヤーと、外接ギヤーに繋がれて回転板79に設置され、外接ギヤーに回転動力を伝達する旋回電動機とからなることができる。このような補助旋回部42は、旋回電動機の駆動時、外接ギヤーがリングギヤの周縁に沿って回転しながら、回転板79を回転させる。
したがって、カウンタージブ2の回動時、回転板79がこれと共に回転するようにするので第2タイバーがねじれないようにする。
【0043】
また、回転板79にも、固定式バランスウェイト26および移動式バランスウェイト28と同一の作用効果を有するように補助固定式バランスウェイト78および補助移動式バランスウェイト80が設置されることができる。
【0044】
補助固定式バランスウェイト78は、カウンタージブ2の上部に設置され、ジブ6に作用する荷重を分散支持させる。補助移動式バランスウェイト80は、カウンタージブ2の下部に水平方向にスライド移動するように設置され、ジブ6が伸ばされてジブ6の長さが増加されればマスト1から遠ざかるように外側に移動し、ジブ6が収縮されてジブ6の長さが減少されればマスト1側に移動し、ジブ6の長さによってタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取る。
【0045】
図示していないが、回転板79と補助移動式バランスウェイト80との間に設置され、補助移動式バランスウェイト80が水平方向に移動することを案内するように補助移動案内部が設置されることができる。このような補助移動案内部は上述した移動案内部30と同じ構造であってもよく、移動式バランスウェイト28の移動時に補助移動式バランスウェイト80が連動するように案内することができる。
【0046】
第2タイバー44は、一端が旋回部4に固定され、他端が補助旋回部42に固定されて、カウンタージブ2に作用する荷重が補助旋回部42を通じてマスト1に分散支持されるようにする。
【0047】
設置解体安全ワイヤ46は、一端がキャットヘッド8に締結され、他端がジブ6に締結されてタワークレーンの駆動時、キャットヘッド8及びジブ6から分離させ、タワークレーンの設置や解体時にキャットヘッド8及びジブ6に締結させて安全上の事故を防止する。
【0048】
このようなジブ6及びキャットヘッド8は、作業半径や引き上げる重量物の重量や風速によって長さが伸縮されながら作業環境に合うように長さが調節され、強風時、最大限収縮されながら強風の影響を最小化する。また、移動式バランスウェイト28は、ジブ6の伸縮時に連動しながらジブ6の長さによってタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取る。引き込みタイバー16、第1タイバー24、および第2タイバー44によって、ジブ6の端部に作用する荷重がキャットヘッド8、カウンタージブ2、補助旋回部42、およびマスト1に分散支持されるので、安全上の事故を防止するように備えられる。
このような本発明は、次のような長所がある。
【0049】
第一、本発明は、ジブ6が長手方向に沿って伸縮されるように備えられ、タワークレーンの作業半径や引き上げ物の重量に応じて長さを調節することができ、キャットヘッド8が垂直方向に伸縮されるように備えられ、ジブ6の長さが伸縮される時に連動しながら、ジブ6にかかった荷重を支持する。
【0050】
したがって、ジブ6及びキャットヘッド8は、作業半径や引き上げる重量物の重量に応じて長さを伸縮させることができるので、作業環境に合うようにジブ6及びキャットヘッド8の長さを調節することができ、限界風速を超える時、その長さを最小に収縮させて強風の影響を最小化することができる。
【0051】
第二、移動式バランスウェイト28は、カウンタージブ2の下部に水平方向にスライド移動するように設置され、ジブ6が伸ばされてジブ6の長さが増加されればマスト1から遠ざかるように外側に移動し、ジブ6が収縮されてジブ6の長さが減少されればマスト1側に移動して、ジブ6の長さによってタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取る。
【0052】
そして移動案内部30は、カウンタージブ2と移動式バランスウェイト28との間に設置され、移動式バランスウェイト28が水平方向に移動することを案内する。
【0053】
したがって、ジブ6の伸縮時に連動しながらジブ6の長さによってタワークレーンの重心が調節されるようにしてバランスを取るので、タワークレーンの転覆を防止する。
【0054】
第三、本発明の引き込みタイバー16は、一端が引き込み電動機14に巻き取られてキャットヘッド8の端部を経由し、他端がジブ6の端部に繋がれて引き込みシリンダ10とともにジブ6の上下回動を案内し、上下回動したジブ6を支持する。第1タイバー24は、一端がカウンタージブ2に固定され、他端がキャットヘッド8に固定されて、ジブ6に作用する荷重を分散支持させる。第2タイバー44は、一端が旋回部4に固定され、他端が回転板79及び補助旋回部42に固定されて、カウンタージブ2に作用する荷重を補助旋回部42を通じてマストに分散支持させる。
【0055】
このように引き込みタイバー16、第1タイバー24、および第2タイバー44によって、ジブ6の端部に作用する荷重がキャットヘッド8、カウンタージブ2、回転板79、補助旋回部42、およびマスト1に分散支持されるので、安全上の事故が防止される。
【0056】
第四、設置解体安全ワイヤ46は、一端がキャットヘッド8に締結され、他端がジブ6に締結されて、タワークレーンの駆動時キャットヘッド8及びジブ6から分離させ、タワークレーンの設置や解体時キャットヘッド8及びジブ6に締結させる。
【0057】
したがって、設置解体安全ワイヤ46によってキャットヘッド8とジブ6とが互いに繋がれるので、タワークレーンの設置や解体時キャットヘッド8やジブ6が崩壊することをあるくらい防止することができ、これによって安全上の事故を防止することができる。
【0058】
それゆえ、本発明は、ジブ6及びキャットヘッド8は長さ調節が可能に備えられ、移動式バランスウェイト28がジブの上下角度変化に応じて水平方向位置が調節されるように備えられるので、作業半径が変更されるか引き上げる重量物の重量が変更される場合、ジブ6及びキャットヘッド8の長さが調節されて移動式バランスウェイト28が移動しながらタワークレーンの重心を合わせるようになり、これによって安全上の事故が防止される。
また、風速が基準値を超えるとき、ジブ6及びキャットヘッド8の長さを最小化させて強風による転覆事故を未然に防止することができる。
【0059】
図4は本発明の安全性の向上したタワークレーンが地上に設置される状態を示す他の実施例であり、
図6は本発明の安全性の向上したタワークレーンが船上に設置される状態を示す他の実施例である。
【0060】
このような本発明の安全性の向上したタワークレーンは、マスト1、カウンタージブ2、旋回部4、ジブ6、引き込みシリンダ10、引き込み電動機14、引き込みタイバー16、ホイスト電動機18、ホイストワイヤ20、第1タイバー24、固定式バランスウェイト26、移動式バランスウェイト28、移動案内部30、補助旋回部42、および第2タイバー44を含んでなる。このような構成及び作用、効果は、
図1及び
図5と同様なので、これについての説明は省略する。
【0061】
図4及び
図6のタワークレーンはキャットヘッド8’が、テレスコープ型ではなく、一つの柱状に構成されている点にその特徴がある。それ以外の残りの構成及び作用効果は
図1及び
図5と同様なので、これについての重複説明は省略する。
【0062】
図7は本発明の安全性が向上したタワークレーンにコンクリート配送システムが設置された状態を示す概略的正面図である。このような本発明の安全性の向上したタワークレーンは、
図1及び
図5のタワークレーンにコンクリート配送システムが構成されている点にその特徴があり、残りの構成及び作用効果は
図1及び
図5と同様なので、これについての説明は省略する。
【0063】
本発明のマスト1にはその長手方向に沿って垂直移送管52が設置され、ジブ6にはその長手方向に沿って水平移送管54が配設され、垂直移送管52はコンクリート移送管50によってポンプ車48に繋がれる。
【0064】
ポンプ車48、コンクリート移送管50、及び垂直移送管52を通じて垂直圧送されたコンクリートを再び水平移送管54を通じて水平方向に圧送させるために、垂直移送管52と水平移送管54はT型管56を介在して互いに繋がれる。
【0065】
このように垂直移送管52および水平移送管54を、T型管56を介在して連結する場合、水平移送管54は左右旋回及び上下傾斜運動をするジブ6に配設された状態なので、水平移送管54も、ジブ6とともに左右旋回及び上下傾斜運動が可能ではなければならない。
【0066】
すなわち、タワークレーンのジブ6は、重い資材などを吊り上げて所望の位置に旋回する運動だけでなく、資材の積み下ろし及び積載位置の調整などのために上下方向の角度調節のための傾斜運動をするようになる。
【0067】
したがって、ジブ6に配設された水平移送管54も、ジブ6とともに左右旋回及び上下傾斜運動が可能ではなければならない。また、ジブ6はテレスコープ型方式で多段構造を取るので、水平移送管54もジブ6の長さの変化に連動するように長さ調節が可能に備えられる。
このために、水平移送管54も、複数個の単位連結管がテレスコープ型方式で多段に結合された構造を有することができる。
【0068】
一方、垂直移送管52の上端外径をT型管56の下端内径に挿入装着するとき、垂直移送管52の上端外径とT型管56の下端内径との間に滑り軸受58を取り付けることにより、T型管56を含めてT型管56と繋がれる水平移送管54の左右旋回運動を保障することができる。
【0069】
また、T型管56と水平移送管54との連結部、すなわちT型管56の上端と水平移送管54の内側端とをボール管継手60を介在して連結し、ジブ6の上下傾斜運動時に水平移送管54もボール管継手60を中心に上下傾斜運動をするようにすることで、水平移送管54の上下傾斜運動を保障することができる。
【0070】
このとき、ボール管継手60は、コネクタ管62と外接半球体64とが一体化された固定管66と、コネクタ管62と内接半球体68とが一体化された流動管70とで構成され、固定管66の外接半球体64内に流動管70の内接半球体68が上下左右の角度調節可能に挿入締結される。
【0071】
したがって、固定管66の外接半球体64内に流動管70の内接半球体68が上下左右の角度調節可能に挿入締結された状態で、エルボ管75の上端に固定管66のコネクタ管62を圧入締結し、水平移送管54の内側端に流動管70のコネクタ管62を圧入締結される。
【0072】
これによって、ジブ6の上下傾斜運動の際に水平移送管54と繋がれたボール管継手60の流動管70が固定管66に対して上下に傾斜運動ができるようになるので、水平移送管54の上下傾斜運動を保障することができる。
【0073】
一方、垂直移送管52の長手方向区間の中で所望の位置に複数の第1分配移送管72が分岐されて組み立てられ、また、水平移送管54の長手方向区間の中で所望の位置に複数の第2分配移送管74が分岐されて組み立てられる。
【0074】
このように垂直移送管52及び水平移送管54にそれぞれ複数の第1分配移送管72及び第2分配移送管74をさらに連結して、ポンプ車48からのコンクリートを高層建物における低層を含めた中層並びに高層など所望する打設場所に容易に分配することができる。
【0075】
例えば、高層建物の10階及び15階に同時にコンクリートを圧送させようとする場合には、ポンプ車48からタワークレーンのマスト1に沿って配設された垂直移送管52へコンクリートを圧送させた後、垂直移送管52から10階及び15階側に分岐された第1分配移送管72を通じて高層建物の10階及び15階にコンクリートを同時に圧送させて供給することができる。
【0076】
好ましくは、複数の第1分配移送管72及び第2分配移送管74の末端部にエルボ管75及びボール管継手60を連続して連結し、ボール管継手60を介在して最終吐出管76を連結し、最終吐出管76にはバルブ手段を取り付けて、コンクリート吐出時のみにバルブ手段を開けて所望の打設場所にだけコンクリートを圧送させるようにする。
【0077】
すなわち、高層建物の10階及び15階に同時にコンクリートを圧送させようとする場合には、垂直移送管52から10階及び15階側へ分岐された第1分配移送管72または最終吐出管76のバルブ手段のみを開け、それ以外の第1分配移送管72または最終吐出管76のバルブ手段は閉めることで、高層建物の10階及び15階にだけコンクリートを同時に圧送させて供給することができる。
【0078】
また、高層建物における広い面積の同一階をコンクリート打設する場合、同一階の一方側領域を含めた他方側領域に同時にコンクリートを圧送させることが作業効率及び作業時間を短縮させることができるので、このために垂直移送管52からタワークレーンのジブ6に配設された水平移送管54にコンクリートが伝達された後、水平移送管54から分岐された第2分配移送管74を通じて同一階の一方側領域を含めた他方側領域に同時にコンクリートを圧送させて供給することができる。
【0079】
一方、垂直移送管52の上端部にはタワークレーンのジブ6の反対側に取り付けられたカウンタージブ2側に管がさらに延長され、その末端部にもエルボ管75及びボール管継手60を介在して最終吐出管76が繋がれることにより、同一階の一方側領域の反対側領域まで延長管を通じてコンクリートを圧送させて供給することができる。
【0080】
ここで、第1分配移送管72及び第2分配移送管74の末端部、そして延長管の末端部にボール管継手60を介在して最終吐出管76が繋がれるところ、この時のボール管継手60は、前述のようにコネクタ管62と外接半球体64とが一体化された固定管66と、コネクタ管62と内接半球体68とが一体化された流動管70とで構成されたものをそのまま使うことができる。
【0081】
このように第1及び第2分配移送管110、120の末端部、そして水平延長管124の末端部にボール管継手140を介在して最終吐出管150を連結させた理由は、オペレーターがコンクリートの最終吐出方向を調節することができるようにするためである。
【0082】
より詳しくは、最終吐出管76を介して所望の打設場所にコンクリートが吐出されるところ、この時ずっと同じ方向にコンクリートが吐出されないようにオペレーターが最終吐出管76を取って色々な方向に向けるようにする時、ボール管継手60のジョイント運動に基づいて最終吐出管76の吐出方向を調節しやすくすることができる。
【0083】
一方、垂直移送管52と第1分配移送管72、そして水平移送管54と第2分配移送管74は、同士間のしっかりとした締結力を維持するようにフランジ継手締付をすることが好ましい。
【0084】
なお、ジブ回転軸12の表面には、金属表面の腐食現象を防ぐために腐食防止塗布層が塗布されることができる。この腐食防止塗布層の塗布材料は、メルトカブトトリアゾール20重量%、石油スルホネート15重量%、メルカプトベンゾチアゾール10重量%、ハフニウム15重量%、硫化モリブデン(MoS2)10重量%、酸化アルミニウム30重量%で構成され、コーティングの厚さは8μmで形成することができる。
メルトカブトトリアゾール、石油スルホネート、およびメルカプトベンゾチアゾールは、腐食防止及び変色防止などの役割をする。
ハフニウムは、耐腐食性のある転移金属原素であって優れた防水性、耐食性などを持たせる役割をする。
硫化モリブデンは、コーティング被膜の表面に摺動性および潤滑性などを付与する役割をする。
酸化アルミニウムは、耐火度及び化学的安定性などを目的で添加される。
【0085】
前記構成成分の割合及びコーティング厚さを前記のように数値限定した理由は、本発明者が数回に亘っての試験結果を通じて分析した結果、前記の割合で最適の腐食防止効果を示した。
また、ジブ6の表面には、汚染物質の付着防止及び除去を効果的に達成するように汚染防止塗布用組成物からなる汚染防止塗布層が塗布できる。
【0086】
前記汚染防止塗布用組成物は、アルキルポリグルコシド及びアミノアルキルスルホベタインが1:0.01~1:2のモル比で含まれており、アルキルポリグルコシドとアミノアルキルスルホベタインアルキレートの総含量は、全体水溶液に対して1~10重量%である。
【0087】
前記アルキルポリグルコシド及びアミノアルキルスルホベタインは、モル比して1:0.01~1:2が好ましいところ、モル比が前記範囲を外れる場合には、基材の塗布性が低下するか、塗布後の表面の水分吸着が増加して塗布膜が除去されるという問題点がある。
【0088】
前記アルキルポリグルコシド及びアミノアルキルスルホベタインは、全体組成物水溶液に対して1~10重量%が好ましいところ、1重量%未満であれば基材の塗布性が低下する問題点があり、10重量%を超えると塗布膜厚さの増加による結晶析出が発生しやすい。
【0089】
一方、本汚染防止塗布用組成物をジブ6上に塗布する方法としては、スプレー法によって塗布することが好ましい。また、前記ジブ6上の最終塗布膜の厚さは、500~2000Åが好ましく、より好ましくは1000~2000Åである。
【0090】
前記塗布膜の厚さが500Å未満であれば、高温熱処理の場合に劣化する問題点があり、2000Åを超えると、塗布表面の結晶析出が発生しやすいという短所がある。
【0091】
また、本汚染防止塗布用組成物は、アルキルポリグルコシド0.1モル及びアミノアルキルスルホベタイン0.05モルを、蒸溜水1000mlに添加した後撹拌して製造されることができる。
【0092】
そして、設置解体安全ワイヤ46の周縁には機能性オイルが混合された芳香剤物質がコーティングされることができ、これによって設置解体安全ワイヤ46を殺菌処理して、オペレーターのストレスを緩和する効果を有する。
【0093】
前記芳香剤物質には機能性オイルが混合でき、その混合の割合は、芳香剤物質95~97重量%に機能性オイル3~5重量%が混合され、機能性オイルは、ミモザアカシア油(Acacia dealbata oil)50重量%、およびカノコソウ油(Valeriana fauriei oil)50重量%からなる。
【0094】
ここで、機能性オイルは、芳香剤物質に対して3~5重量%が混合されることが好ましい。機能性オイルの混合割合が3重量%未満であれば、その効果が微々たるものであり、機能性オイルの混合割合が3~5重量%を超えると、その機能が大きく向上しないものの、製造コストは大幅に増加する。
【0095】
ミモザアカシア油(Acacia dealbata oil)の主な化学成分は、パルミチンアルデヒド(palmic aldehyde)、エナント酸(enanthic acid)等であり、香が良く、殺菌、抗うつ作用、ストレス緩和作用などに優れた効果がある。
【0096】
カノコソウ油(Valeriana fauriei oil)の主な化学成分は、ボルニルアセテート(bornyl acetate)、ピネン(pinene)等であり、血圧降下作用とともに心を鎮めて落ち着ける作用をするので、不安、緊張緩和などに作用効果に優れる。
【0097】
このような機能性オイルが設置解体安全ワイヤ46にコーティングされるので、設置解体安全ワイヤ46を殺菌処理することができるだけでなく、オペレーターの疲れ回復に役立つ。
【0098】
また、水平移送管54と垂直移送管52との継ぎ目箇所には、ゴム材のパッキング(図示せず)が挿入されるところ、このパッキングの原料含量比は、ゴム60重量%、カーボンブラック33~36重量%、酸化防止剤2~5重量%、促進剤である硫黄1~3重量%を混合する。
【0099】
カーボンブラックは、耐磨耗性を増大させるものであるからこれを添加するが、含有量が33重量%未満であれば、弾性と耐磨耗性が減少し、36重量%を超えると、主な成分であるゴムの含量が相対的に少なくなって弾性力の劣るおそれがあるので、33~36重量%を混合する。
【0100】
酸化防止剤は、3C(N-PHENYL-N’-ISOPROPYL-P-PHENYLENEDIAMINE)またはRD(POLYMERIZED 2,2,4-TRIMETHYL-1,2-DIHYDROQUINOLINE)を選択して2~5重量%を添加するものであり、2重量%未満であれば、製品が酸化されやすく、あまりにも多く添加して5重量%を超えると、主な成分であるゴムの含量が相対的に少なくなって弾性力が劣るおそれがあるので、かつ酸化防止剤の価格が高いから2~5重量%が適正である。
【0101】
促進剤である硫黄は、1~3重量%を混合する。1重量%未満であれば、成形時加熱工程で加硫作用効果が微々たるので、1重量%以上を添加する。3重量%を超えると、主な成分であるゴムの含量が相対的に少なくなって弾性力が劣る恐れがあるので、1~3重量%が適正である。
【0102】
したがって、本発明は、多くの方向に弾性を有する合成ゴムで補強されるので、パッキングの弾性、靭性及び剛性が増大されるので耐久性が向上し、それに伴いパッキングの寿命が増大される。
【0103】
そして、ピニオン駆動モーター36の外面には、温度によって色が変化する変色部が塗布できる。この変色部は、所定の温度以上になったら、色が変わる二つの以上の温度変色物質がピニオン駆動モーター36のケース表面に塗布されて温度変化に応じて二つ以上の区間に分離することで、段階的な温度変化を判断することができ、変色部上には、変色部が損傷することを防止するための保護膜層が塗布される。
【0104】
ここで、変色部は、それぞれ40℃以上及び60℃以上の変色温度を有する温度変色物質を塗布して形成できる。変色部は、ピニオン駆動モーター36のケース温度によって色が変化して塗料の温度変化を感知するためのものである。
【0105】
このような変色部は、所定の温度以上になったら色が変わる温度変色物質がピニオン駆動モーター36のケース表面に塗布されることで形成できる。また、温度変色物質は、一般的に1~10μmのマイクロカプセル構造で構成されており、マイクロカプセル内に電子供与体と電子受容体の温度による結合及び分離現象によって有色及び透明色を現わすようにすることができる。
【0106】
また、温度変色物質は、色の変化が早く、40℃、60℃、70℃、80℃などの多様な変色温度を有することができ、これらの変色温度は、多くの方法で容易に調整できる。このような温度変色物質は、有機化合物の分子再配列、原子団の空間再配置などの原理による種々の温度変色物質が用いられることができる。
【0107】
このために、変色部は、相異なる変色温度を有する二つ以上の温度変色物質を塗布して温度変化に応じて二つ以上の区間に分離するように形成されることが好ましい。この温度変色層は、相対的に低温の変色温度を有する温度変色物質と、相対的に高温の変色温度を有する温度変色物質とを用いることが好ましく、より好ましくは、40℃以上及び60℃以上の変色温度を有する温度変色物質を用いて変色部を形成することができる。
【0108】
これにより、ピニオン駆動モーター36の温度変化を段階的に確認することができて塗料の温度変化を感知することができ、これによってピニオン駆動モーター36を最適の状態で駆動することができ、過熱によるピニオン駆動モーター36の損傷を未然に防止することができる。
【0109】
また、保護膜層は、変色部上に塗布されて外部の衝撃によって変色部が損傷することを防止し、変色部の変色有無を容易に確認するとともに、温度変色物質が熱に弱いことを考慮して断熱効果を有する透明塗布材を用いることが好ましい。
【0110】
以上で説明した本発明のタワークレーンの実施例は例示的なものに過ぎず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、これから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるということがよく分かる。したがって、本発明は、前記の詳細な説明で言及される形態にだけ限定されるものではないことをよく理解できるだろう。そこで、本発明の真正な技術的保護範囲は、添付された特許請求の範囲の技術的思想によって決まるべきである。また、本発明は、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の精神とその範囲内に属するすべての変形物と均等物及び代替物を含むものと理解されるべきである。
【国際調査報告】