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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-04
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01K 25/10 20060101AFI20220225BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20220225BHJP
   F01K 9/00 20060101ALI20220225BHJP
   B01D 45/12 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
F01K25/10 D
F01K25/10 R
F01D25/00 P
F01K9/00 F
B01D45/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021540484
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 GB2019053605
(87)【国際公開番号】W WO2020148515
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】1900493.6
(32)【優先日】2019-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518045524
【氏名又は名称】ガス エクスパンション モーターズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピアース,アラン
(72)【発明者】
【氏名】フュー,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】ウインター,ナタリー
【テーマコード(参考)】
3G081
4D031
【Fターム(参考)】
3G081BB03
4D031AC00
4D031BB04
4D031EA01
(57)【要約】
外部から加熱された熱力学エンジンは、閉じた作動流体回路を有する。エンジンは、そのための供給口に供給される、気化した作動流体(22)から仕事量を抽出するための熱力学的膨脹機(21)を有する。膨脹機の下流側には、膨脹機から排出される膨張した気化作動流体を凝縮するための凝縮機(26)がある。凝縮機の下流側には液体タンク(28)があり、液体タンクの下流側には、凝縮した作動流体(38)を送り出すためのポンプ手段(29)が配置される。さらに、ポンプから送られる作動流体を加熱して、少なくとも部分的に気化させ、加熱された作動流体を膨脹機に供給する加熱手段(50)がある。加熱手段は、ポンプで送られる作動流体のための少なくとも1つの入口と、作動流体が膨脹機に供給される少なくとも1つの出口を有する。エンジンは、作動流体で動作するように適合および配置されており、作動流体自体は少なくとも2つの異なる沸点の構成流体を含む。ポンプ手段は、液体タンクから加熱手段に、所定の比率で異なる沸点の構成流体を液体として送り出すように適合されており、これにより、使用時に、作動流体が少なくとも部分的に帰化した状態で膨脹機に供給されると、高沸点液体の上記および/または液体が膨脹機内でエネルギを低沸点構成流体の上記に放出し、膨脹機内で仕事量を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じた作動流体回路を有する外部加熱式熱力学エンジンであって、当該エンジンは、
・作動流体のための供給口に供給される気化した前記作動流体から仕事量を抽出するための熱力学的膨脹機と、
・前記膨脹機の下流側に設けられ、前記膨脹機から排出される膨張した前記作動流体を凝縮するための凝縮機と、
・前記凝縮機の下流側に設けられる液体タンクと、
・前記液体タンクの下流側に設けられ、前記液体タンクから凝縮された前記作動流体を送出するためのポンプ手段と、
・前記ポンプ手段から送られる前記作動流体を加熱して少なくとも部分的に気化させ、加熱された前記作動流体を前記膨脹機に供給する加熱手段であって、
・前記加熱手段は、前記作動流体が送り込まれる少なくとも1つの入口、および、前記作動流体が前記膨脹機に供給される少なくとも1つの出口を有する、加熱手段と、
を備え、
・前記エンジンは、少なくとも2つの異なる沸点の構成流体を含む前記作動流体で動作するように適合して配置されており、
・前記ポンプ手段は、前記液体タンクから前記加熱手段に、異なる沸点の前記構成流体の両方を所定の比率で液体として送り込むように適合され、
これにより、使用時に、前記作動流体が少なくとも部分的に気化した状態で前記膨脹機に供給され、
・高沸点の液体の蒸気および/または液体は、前記膨脹機で低沸点の前記構成流体の蒸気にエネルギを放出し、前記膨脹機内で前記仕事量を生成する、
エンジン。
【請求項2】
前記ポンプ手段は、単一のポンプであって、当該ポンプは、
・前記液体タンクからの単一の出口から引き出すように、および、
・前記加熱手段への単一の入口に送り出すように、
配置され、当該配置は、異なる沸点の前記構成流体が、液体として混和していて、エンジン内の構成比率に比例して前記所定の比率で前記加熱手段に送り出されるように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記ポンプ手段は、単一のポンプであって、当該ポンプは、
・前記加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、および、
・前記液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの前記液体タンクから、引き出すようにするが、
・前記2つの出口または前記2つの出口から前記ポンプへのラインはそれぞれスロットルを有し、当該スロットルは、異なる沸点の前記構成流体が前記所定の比率に比例して液体として送られるようになっている、ように、
配置される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項4】
前記ポンプ手段は、2室型ポンプ、または一対のポンプであって、当該ポンプは、
・前記加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、および、
・前記液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの前記液体タンクから、引き出すようにするが、
・前記2つの出口または前記2つの出口から前記ポンプへのライン、あるいは前記ポンプから前記入口へのライン、あるいは前記入口が2つある場合には各入口は、それぞれスロットルを有し、当該スロットルは、異なる沸点の前記構成流体が前記所定の比率に比例して液体として送られるようになっている、ように、
配置される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項5】
前記スロットルは前記所定の比率を固定するために固定される、請求項3または4に記載のエンジン。
【請求項6】
前記スロットルは前記所定の比率を調整するために調整可能である、請求項3または4に記載のエンジン。
【請求項7】
前記ポンプ手段は、2室型ポンプ、または一対のポンプであって、当該ポンプは、
・前記加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、
・前記液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの前記液体タンクから引き出すように、および、
・前記所定の比率に比例して容積式で送り出すように、
配置される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項8】
前記閉じた作動流体回路は、高沸点流体が、前記凝縮機を通過して、当該高沸点流体および前記凝縮機からの低沸点流体用の単一の前記液体タンクに至るように構成され、前記ポンプが前記2つの出口のそれぞれを介して前記液体タンクから異なる沸点の前記構成流体を液体として引き出すことができるように、前記2つの出口が単一の前記液体タンクの異なる高さに配置される、請求項3~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項9】
・前記閉じた作動流体回路において、前記凝縮機の上流側に設けられる分離機であって、好ましくはサイクロン式分離機と、
・低沸点構成流体の凝縮した液体を受ける第1の液体タンクと、
・高沸点構成流体の分離した液体を受ける第2の液体タンクと、
を含み、
・前記第1および第2の液体タンクは、それぞれの液体用の前記2つの出口を有する、請求項3~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項10】
・前記閉じた作動流体回路において、前記凝縮機の上流側に設けられる分離機であって、好ましくはサイクロン式分離機と、
・低沸点構成流体の凝縮した液体および高沸点構成流体の分離した液体を受ける単一の液体タンクと、
を含み、前記2つの出口のそれぞれを介して前記液体タンクから異なる沸点の前記構成流体をポンプで引き出すことができるように、前記2つの出口が単一の前記液体タンクの異なる高さに配置される、請求項3~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項11】
・前記加熱手段は、単一の入口から前記膨脹機への単一の出口への1つのセクションを有し、
・前記加熱手段は、2つの前記構成流体を同じ温度および圧力に加熱し、これにより低沸点構成流体が、前記膨脹機の前記供給口への出力時に、少なくとも部分的にまたはすべてが蒸気状態であって、高沸点構成流体が、前記供給口への出力時に、すべてまたは部分的に気化されるか、または完全に液体であるように適合される、請求項1~10のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項12】
・前記加熱手段が2つのセクションを有し、1つのセクションは、前記膨脹機への前記供給口に出力するために一方の加熱手段の前記入口にポンプで送り出される一方の前記構成流体用であり、もう1つのセクションは、前記膨脹機への前記供給口に出力するために別の加熱手段の前記入口にポンプで送り出される他方の前記構成流体用であり、
・前記加熱手段は、2つの前記構成流体を異なる温度で加熱し、これにより2つの前記構成流体が、前記加熱手段から実質的に同じ圧力で出力されるときに少なくとも部分的に気化されて、前記膨脹機への前記供給口に供給されるように適合される、請求項4~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項13】
前記加熱手段の2つのセクションが、第1セクションから第2セクションに渡される共通の外部循環加熱媒体を使用するための直列の熱交換器であり、前記第1セクションは、高沸点構成流体を受け入れて第1温度に加熱するように配置され、前記第2セクションは、低沸点構成流体を受け入れて前記第1温度より低温度の第2温度に加熱するように配置される、請求項8に記載のエンジン。
【請求項14】
・前記加熱手段が2つのセクションを有し、1つのセクションは、前記膨脹機への前記供給口に出力するために一方の前記加熱手段の前記入口にポンプで送り出される一方の前記構成流体用であり、もう1つのセクションは、前記膨脹機への別の前記供給口に出力するために別の前記加熱手段の前記入口にポンプで送り出されるもう一方の前記構成流体用であり、
・前記加熱手段は、2つの前記構成流体を異なる温度および圧力に加熱し、これにより少なくとも低沸点構成流体は、前記加熱手段から前記膨脹機の高圧端への前記供給口に出力されるときに、少なくとも部分的に気化され、高沸点構成流体は、前記膨脹機への中間圧力供給口で蒸気または液体となるように適合される、請求項4~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項15】
前記膨脹機から前記凝縮機に通過する前記作動流体と、前記凝縮機から前記加熱手段に通過する前記作動流体との間に、再生機として機能する熱交換器を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱力学エンジン、特に、閉じた作動流体回路を有する加熱式の熱力学エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
有機ランキンサイクルエンジンは、
・そのための供給口に供給される気化した有機作動流体から仕事量を抽出するための熱力学的膨脹機と、
・前記膨脹機の下流側に設けられ、前記膨脹機から排出される膨張した気化作動流体を凝縮させる凝縮機と、
・前記凝縮機の下流側に設けられる液体タンクと、
・前記液体タンクの下流側に設けられ、凝縮された作動流体を送り出すためのポンプと、
・前記ポンプから送られる作動流体を気化させ、帰化した作動流体を前記膨脹機に供給するための加熱器であって、
・作動流体が送られる入口、および、作動流体が前記膨脹機に供給される出口を有する、加熱器と、を備える。
【0003】
英国特許No.GB2528522Bには、以下のように記載されている。
・第2流体と混合される作動流体を膨張させるための熱力学的膨脹機と、
・前記作動流体から前記第2流体を分離するために前記膨脹機の排気口に接続される分離機と、
・前記第2流体を、
・気化させるための加熱器と、そこから
・気化領域
を通過させるための手段と、
・前記作動流体をガス状から揮発性の液体状に凝縮するための凝縮機と、
・凝縮された前記作動流体を液体状にして前記気化領域に送り、再加熱された前記第2流体と接触させて前記作動流体を揮発させ、前記膨脹機内での膨脹を生成するための仕事量を行わせるための手段と、
を備える熱力学エンジン。
【0004】
米国特許出願第2012/279,220号の要旨は以下のとおりである。
熱から仕事量を生成する方法(400,1100)および装置(500,1200)は、加圧された第1作動流体(F1)の流れを第1蒸気の状態に加熱するように構成されたボイラ(510)を含む。圧縮機(502)は、第2作動流体(F2)を第2蒸気の状態に圧縮する。混合室(504)は、第1および第2蒸気を受け取り、第1蒸気から第2蒸気に熱エネルギを直接伝達する。第1蒸気から第2蒸気に伝達される熱エネルギは、通常、第1の作動流体の気化潜熱の少なくとも一部を含む。膨脹機(506)は、混合室から受け取る第1および第2蒸気の混合物を膨張させるように配置されており、これにより、伝達動作の後またはその間に有用な仕事量を行う。当該プロセスは、閉じられていて再循環可能であり、したがって、従来のサイクルアプローチでは通常使用されない熱エネルギをリサイクルすることができる。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、改良された熱力学エンジンを提供することである。
【0006】
本発明によれば、閉じた作動流体回路を有する外部加熱式熱力学エンジンが提供され、当該エンジンは、
・作動流体のための供給口に供給される気化した前記作動流体から仕事量を抽出するための熱力学的膨脹機と、
・前記膨脹機の下流側に設けられ、前記膨脹機から排出される膨張した前記作動流体を凝縮するための凝縮機と、
・前記凝縮機の下流側に設けられる液体タンクと、
・前記液体タンクの下流側に設けられ、前記液体タンクから凝縮された前記作動流体を送出するためのポンプ手段と、
・前記ポンプ手段から送られる前記作動流体を外部の熱で加熱して少なくとも部分的に気化させ、加熱された前記作動流体を前記膨脹機に供給する加熱手段であって、
・前記加熱手段は、前記作動流体が送り込まれる少なくとも1つの入口、および、前記作動流体が前記膨脹機に供給される少なくとも1つの出口を有する、加熱手段と、
を備え、
・前記エンジンは、少なくとも2つの異なる沸点の構成流体を含む前記作動流体で動作するように適合して配置されており、
・前記ポンプ手段は、前記液体タンクから前記加熱手段に、異なる沸点の前記構成流体の両方を所定の比率で液体として送り込むように適合され、
これにより、使用時に、前記作動流体が少なくとも部分的に気化した状態で前記膨脹機に供給され、
・高沸点の液体の蒸気および/または液体は、前記膨脹機で低沸点の前記構成流体の蒸気にエネルギを放出し、前記膨脹機内で前記仕事量を生成する。
【0007】
通常、エンジンの動作において、第1の低沸点構成流体は、膨脹機への供給時および排気時の両方において、出願人のGB2528522Bのように、高沸点構成流体によるものではなく、加熱手段での加熱により完全に気化される。第2の高沸点構成流体は、膨張への供給時には液体であるかまたは気化されており、膨脹機からの排出時には液体である。膨脹機を通過する間に、第2流体は、第1流体が膨張により冷却される際にその温度を維持する結果相変化なしで、あるいは第2流体が蒸気から液体に相変化することで、第1流体に熱エネルギを伝達する。この後者のメカニズム、すなわち凝縮潜熱の放出は、実質的に一定の温度で多くの熱エネルギを第1作動流体成分に放出する可能性があり、有機ランキンサイクルエンジンの効率を著しく向上させる。なお、本出願時点では、効率向上を定量化する実験はまだできていない。
【0008】
異なる沸点の構成流体用のエンジンでは、当該構成流体は、液体として混和していて、エンジン内の構成比率に比例して所定の比率で加熱手段に送り出され、ポンプは、
・液体タンクからの単一の出口から引き出すように、および、
・加熱手段への単一の入口に送り出すように、
配置される単一のポンプとすることができる。
【0009】
液体として混じり合わない異なる沸点の構成流体用のエンジンでは、ポンプは、
・加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、および、
・液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの液体タンクから、
・前記2つの出口または前記2つの出口からポンプへのラインはそれぞれスロットルを有し、当該スロットルは、異なる沸点の構成流体が所定の比率に比例して液体として送られるようになっている、
ようにして引き出すように、
配置される単一のポンプとすることができる。
【0010】
また、液体として混じり合わない異なる沸点の構成流体用の別のエンジンでは、ポンプは、
・加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、および、
・液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの液体タンクから、
・前記2つの出口または前記2つの出口からポンプへのライン、あるいはポンプから前記入口へのライン、あるいは前記入口が2つある場合には各入口は、それぞれスロットルを有し、当該スロットルは、異なる沸点の構成流体が所定の比率に比例して液体として送られるようになっている、
ようにして引き出すように、
配置される2室型ポンプ、または一対のポンプとすることができる。
【0011】
このようなエンジンでは、スロットルは所定の比率を固定するために固定されることができ;または、スロットルは所定の比率を調整するために調整可能とすることもできる。
【0012】
液体として混じり合わない異なる沸点の構成流体用のさらに別のエンジンでは、ポンプは、
・加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、
・液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの液体タンクから引き出すように、および、
・所定の比率に比例して容積式で送り出すように、
配置される2室型ポンプ、または一対のポンプとすることができる。
【0013】
これらのエンジンでは、液体として混じり合わない異なる沸点の構成流体は、低沸点の構成流体だけを凝縮させながら、一緒に凝縮機を通過することができる。これらの構成流体は、両流体の液体用の2つの出口を有する単一のタンクを通される。これらの構成流体は混じり合わないので、液体タンクの中ではそれらの密度に応じて別々の層を形成する。2つの出口は液体タンクの異なる高さに配置されるので、ポンプは、それぞれの出口を介して、タンクから異なる沸点の構成流体を引き出すことができる。
【0014】
凝縮機の上流側に、分離機を設けることができる。一般的には、これはサイクロン式分離機である。この分離機は、高沸点の構成流体を、液体として、蒸気状態の低沸点の流体から分離する。分離された液体用の別の液体タンクを設けることができる。2つのそれぞれの液体タンクは、これらのエンジンの例では、2つの出口を有する。
【0015】
分離された液体と凝縮された液体とを同じタンクに別々に通し、分離機のないエンジンのように、それらの密度に応じて異なる高さの2つの出口を介して取り出すことも想定される。
【0016】
通常、一般的なアルカンまたは冷媒といった第1の低沸点流体は、一般的に水といった高沸点の第2の液体としての流体よりも、液体としての密度が小さくなる。このため、低沸点の液体は、通常、高沸点の液体の上に浮かんでいて、第1液体用に上層の出口が設けられ、第2液体用に下層の出口が設けられる。しかしながら、例えば、低沸点液体が冷媒である場合は、低沸点の液体の方が密度の高い場合がある。この場合、液体とそれらの出口は逆になる。
【0017】
加熱手段は、単一の入口から膨脹機への単一の出力までの1つのセクションを有することができ、加熱手段は、2つの構成流体を同じ温度および圧力に加熱するように適合されており、これにより、高沸点構成流体は、膨脹機への供給口への出力時に、少なくとも部分的に、またはすべてが、蒸気状態であり、低沸点構成流体は、供給口への出力時に、部分的に、または完全に、液体である。
【0018】
別な方法として、加熱手段は2つのセクションを有することができ、1つのセクションは、膨脹機への供給口に出力するために一方の加熱手段の入口にポンプで送り出される一方の構成流体用であり、もう1つのセクションは、膨脹機への供給口に出力するために別の加熱手段の入口にポンプで送り出される他方の構成流体用であり、加熱手段は2つの格子流体を異なる温度に加熱するように適合されており、それによって、加熱手段から実施的に同じ圧力で出力されるときに、それらは少なくとも部分的に気化されて、膨脹機への供給口に供給される。好都合なことに、この代替案では、加熱手段の2つのセクションは、第1セクションから第2セクションに渡される共通の外部循環加熱媒体を使用するための直列の熱交換器であり、第1セクションは、高沸点構成流体を受け入れて第1温度に加熱するように配置され、第2セクションは、低沸点構成流体を受け入れて第1温度より低温度の第2温度に加熱するように配置される。
【0019】
また、加熱手段は、
・2つのセクションを有し、1つのセクションは、膨脹機への供給口に出力するために一方の加熱手段の入口にポンプで送り出される一方の構成流体用であり、もう1つのセクションは、膨脹機への別の供給口に出力するために別の加熱手段の入口にポンプで送り出されるもう一方の構成流体用とし、
・2つの構成流体を異なる温度および圧力に加熱するように適合され、これにより、少なくとも低沸点構成流体は、加熱手段から膨脹機の高圧端への供給口に出力されるときに、少なくとも部分的に気化され、高沸点構成流体は、膨脹機への中間圧力供給口で蒸気または液体とする、
ことができることが想定される。
【0020】
好ましい実施形態では、膨脹機から凝縮機に通過する作動流体と、凝縮機から加熱手段に通過する作動流体との間に、再生機として機能する熱交換器が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の理解を助けるために、その具体的な実施形態について、例を挙げて、添付の図面を参照しながら説明する。
図1】先行の有機ランキンサイクルエンジンの線図である。
図2】本発明の熱力学エンジンの同様の図である。
図3】本発明の別の熱力学エンジンの線図である。
図4図3のエンジンの第1変形例を示す図である。
図5図3のエンジンの第2変形例を示す図である。
図6】同様に、本発明の第3の熱力学エンジンの図である。
図7】本発明の第4のエンジンの概略図である。
図8図4のエンジンの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1を参照すると、先行の有機ランキンサイクルエンジンは、閉じたサイクルで、
・そのための供給口3に供給される気化した有機作動流体2から仕事量を抽出し、排気装置4からまだ蒸気5として排出する、熱力学的膨脹機1と、
・膨脹機の下流側に設けられ、膨脹機から排出される膨張して気化した作動流体を凝縮水7として凝縮させる空冷式凝縮機6と、
・凝縮機の下流側に設けられる液体タンク8と、
・液体タンクの下流側に設けられ、そこから凝縮した作動流体7を汲み上げるためのポンプ9と、
・ポンプから送られる作動流体を気化させ、気化した作動流体2を膨脹機に供給するための加熱器10であって、
・加熱器は、作動流体が送り込まれる入口11、および、作動流体が膨脹機に供給される出口12を有している、
加熱器と、
・加熱器の上流側に設けられ、ポンプで送られる液体作動流体に、排気流5からの熱を伝達する再生機13と、
を有する。
【0023】
通常は、加熱器は、外部から加熱された加熱媒体15が、有機作動流体と対向して循環する熱交換器14である。有機ランキンサイクルエンジンが知られている限りにおいて、これ以上の詳細な説明はしない。
【0024】
図2について、図2に示すエンジンは、図1のエンジンと基本的に同様の機械式エンジンである。本発明では、作動流体が単一のアルカンでも他の単一の有機液体でもないという点で異なる。それは、混和性のある液体の混合物であり、典型的には、メタノールと水の混合物である。これらの液体は、異なる沸点を有しており、メタノールが65℃、水が100℃である。
【0025】
内燃機関(図示せず)の排気によって加熱された空気流等、100℃を超える外部加熱媒体35の加熱器30への供給により、気化した供給物22は、メタノール蒸気と、水および水蒸気の混合物とで構成されることが予想される。蒸気と液体(液滴状)との水の正確な今後状態は、供給物が加熱される温度に依存する。膨脹機21に供給されると、メタノール蒸気は膨張して冷え、仕事量を放出する。水蒸気も同様である。水蒸気は、100℃まで冷却されるとすぐに、あるいは局所的な圧力が大気圧よりもかなり高い場合にはそれ以上の温度になると、凝縮する傾向がある。その際、水蒸気は凝縮の潜熱を放出する。この放出はメタノール蒸気に向けられ、凝縮する水蒸気がない場合のように温度が急速に下がらないようにその温度を維持する。このようにして、メタノール蒸気のエネルギが維持され、より多くの仕事量が生成されることができる。
【0026】
内燃機関の冷却システム等の外部加熱媒体が100℃の領域にある場合、気化した供給物22は、メタノール蒸気と小さな水滴とで構成されることが予想される。これらは、水が存在しない場合と同様に、メタノール蒸気の温度が急速に下がらないように維持する働きをする。この効果は、前段落の場合だけでなく、すべての水蒸気が凝縮した場合にも存在する。
【0027】
これらの効果は、本発明によれば、作動流体が膨脹機21を通過する際に生じる。
【0028】
膨脹機からの排気25は、メタノール36と水滴37とで構成される。凝縮機26では、メタノール蒸気が凝縮し、そこからの流れで結合されたメタノールと水との液滴38は損なわれるが、図2では説明のために水とエタノールの別々の液滴を示している。これらはタンク28に凝縮液27として集まる。ポンプ29は、エンジン内の水とエタノールの割合で凝縮液を汲み上げる。通常、1:10のオーダになる。5%から15%の水と残りのメタノールが、エンジン内で十分に機能することが期待される。通常の沸点が78℃のエタノールと水のように、混和性のある液体の混合物も有用である期待されることができる。
【0029】
次に図3を見ると、ここに示されるエンジンも似ているが、互いに関連する2つの違いがある。作動流体は、90%のペンタンと10%の水で構成されている。これらは混じり合わないので、液体タンク48の中で別々の層56,57を形成する。ポンプ49は、液体タンクの2つの出口58,59から吸引する単一のポンプである。混じり合わない2つの層の出口からの相対的な流れは、出口のスロットルによって決定される。これらは、アパーチャプレートのような固定スロットルでも、バルブ581,591のような調整可能なスロットルでもよい。これらは、ペンタンと水とを、エンジン内の液量比と同様に、10:1の割合で吸引するように設定される。
【0030】
2つの液体は、一緒に加熱器50に供給される。ペンタンの沸点は、メタノールよりもかなり低く、36℃である。そのため、加熱器から膨脹機41への供給時に、水を液体として維持するのに十分な圧力を掛けることが期待できるが、ただし、供給温度が100℃を大幅に超えている場合は、ペンタンの圧力にもかかわらず、水が気化するのに十分な過熱状態になることがある。
【0031】
本発明の効果、すなわち、潜熱放出の有無にかかわらず、水からの熱伝達によって低沸点ペンタンを活動的に維持することは、図2の実施形態の方法により膨脹機内で起こる。
【0032】
図4の変形例では、単一のポンプ49が、ペンタンおよび水それぞれのための2つのポンプ491,492に置き換えられている。対応するスロットル582,592は、液体タンク側のポンプの上流側に示されているが、下流側に同様に設置されることもできる。加熱器への流入口51は、2つのこのような流入口511,512に置き換えられている。同様に、ポンプは、2つのポンプと1つの流入口51にそれぞれ接続されたYピースに送出することができる。
【0033】
図3および図4のポンプは可変容量であり、その吐出量はスロットルで制御される。図5に示すように、共通のモータ495によって駆動されるポンプ493,494は、それらの容量に比例して吐出量が増加する容積型ポンプである。これらのポンプは、その吐出量がその変位に比例するようにするためのスロットルを必要としない。
【0034】
図6に目を向けると、2つの正置換チャンバ69を備えた単一のポンプを有する実施形態が示されており、部品701,702を備えた2つの部分からなる加熱器70を備えている。これらの部品は、単一の加熱媒体流75で直列に供給される。これは、高温の部品701に入り、作動流体の高沸点成分、例えば水を加熱して出て、単一の供給口63を介して膨脹機61に供給される。これは、その後、加熱媒体の入力温度に近い温度まで加熱される。部品701からの流れ751は、温度が低下して第2部品に入り、より低い沸点の成分、例えばペンタンを、そのやや低下した温度まで加熱する。この成分も、単一の供給口63に供給される。
【0035】
このようにして、作動流体の2つの成分を異なる温度に加熱するが、膨脹機に一緒に入るときには同じ圧力にすることで、高沸点成分は気化して圧力がかからず液体のままであるが、低沸点成分はまだ気化している。膨脹機では、高沸点成分が膨張して有用な仕事量を与え、同時に有用な仕事量を供給しながら低沸点成分を加熱することができる。高沸点成分が冷却されて凝縮すると、低沸点成分にエネルギが与えられ、上述したように、本発明にしたがって、仕事量を生成することができる。
【0036】
図7の実施形態は、同じ加熱媒体流で並列に供給される2つの部品901,902があるという点で再び異なる。したがって、2つの作動流体成分は同じ温度に加熱される。沸点の低い方は、基本的に沸点以上の大きな温度差で加熱されるため、沸点の高い方よりも圧力が高くなる。この圧力の高い成分は、膨脹機の高圧供給口83.に供給される。第2の低圧成分は、膨脹機の中間点831に供給され、ここで高圧成分が、対応する低圧まで膨張する。ここで導入された低沸点成分は、上述の方法で、膨脹して熱を伝達する。
【0037】
本発明は、上述した実施形態の詳細に限定されることを意図するものではない。例えば、図8に示すように、図4のエンジンの変形例では、膨脹機412の下流側かつ凝縮機462の上流側に、高沸点成分液572を分離するための分離機59が設けられている。これは、分離機の出口592を介して別のタンク482に直接渡され、それゆえ、ポンプ494によって別のタンクの出口5911から加熱器にポンプで戻すことができる。この配置により、凝縮機で除去するために必要な熱量が減少する。好都合なことに、分離機はサイクロン分離機である。低沸点成分液562は、ポンプ493によって出口5811を介してポンピングするために、凝縮機462から凝縮液タンク481に渡される。
【0038】
尚、凝縮機からの2液の流れを受ける液体タンクは、その中で液体を分離させるという意味で、それ自体がセパレータとなっている。
【0039】
上で述べていない点としては、図2および図3の実施形態では、両方の流体が同じダクトで一緒に加熱器を通過するが、他の実施形態では別々のダクトが示されている。これは、図6および図7の実施形態では必要であるが、図4および図5のエンジンでは必ずしもそうではなく、それぞれの加熱器に単一の加熱ダクトが可能である。
【0040】
加熱器は、液体や気体の流れ以外の方法で熱を供給してもよい。例えば、内燃機関の排気口に挟み込むようにして、伝導によって直接加熱することができる。また、排気ガスに近づけることで、放射によって直接加熱することができる。また、太陽エネルギ等の他の廃熱源をエンジンの動力源としてりようすることもできる。
【0041】
作動流体の成分は様々なものとすることができる。例えば、混和性のある水とメタノールまたはエタノールを、それぞれの常圧沸点が36℃および97℃であるペンタンとイソプロピルアルコールに置き換えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2021-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉じた作動流体回路を有する外部加熱式熱力学エンジンであって、当該エンジンは、
・作動流体のための供給口に供給される気化した前記作動流体から仕事量を抽出するための熱力学的膨脹機と、
・前記膨脹機の下流側に設けられ、前記膨脹機から排出される膨張した前記作動流体を凝縮するための凝縮機と、
・前記凝縮機の下流側に設けられる液体タンクと、
・前記液体タンクの下流側に設けられ、前記液体タンクから凝縮された前記作動流体を送出するためのポンプ手段と、
・前記ポンプ手段から送られる前記作動流体を加熱して少なくとも部分的に気化させ、加熱された前記作動流体を前記膨脹機に供給する加熱手段であって、
・前記加熱手段は、前記作動流体が送り込まれる少なくとも1つの入口、および、前記作動流体が前記膨脹機に供給される少なくとも1つの出口を有する、加熱手段と、
を備え、
・前記エンジンは、少なくとも2つの異なる沸点の構成流体を含む前記作動流体で動作するように適合して配置されており、
・前記ポンプ手段は、前記液体タンクから前記加熱手段に、異なる沸点の前記構成流体の両方を所定の比率で液体として送り込むように適合され、
・使用時に、異なる沸点の前記構成流体の相対的な沸点は以下のように構成される、
・前記作動流体が前記膨脹機に供給されるときに少なくとも部分的に気化した状態であり、
・高沸点の液体の蒸気および/または液体は、前記膨脹機で低沸点の前記構成流体の蒸気に潜熱エネルギを放出し、前記膨脹機内で前記仕事量を生成し、および、
・前記高沸点の液体は前記熱力学的膨脹機の排気から出るときに液体である、
エンジン。
【請求項2】
前記ポンプ手段は、単一のポンプであって、当該ポンプは、
・前記液体タンクからの単一の出口から引き出すように、および、
・前記加熱手段への単一の入口に送り出すように、
配置され、当該配置は、異なる沸点の前記構成流体が、液体として混和していて、エンジン内の構成比率に比例して前記所定の比率で前記加熱手段に送り出されるように構成される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記ポンプ手段は、単一のポンプであって、当該ポンプは、
・前記加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、および、
・前記液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの前記液体タンクから、引き出すようにするが、
・前記2つの出口または前記2つの出口から前記ポンプへのラインはそれぞれスロットルを有し、当該スロットルは、異なる沸点の前記構成流体が前記所定の比率に比例して液体として送られるようになっている、ように、
配置される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項4】
前記ポンプ手段は、2室型ポンプ、または一対のポンプであって、当該ポンプは、
・前記加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、および、
・前記液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの前記液体タンクから、引き出すようにするが、
・前記2つの出口または前記2つの出口から前記ポンプへのライン、あるいは前記ポンプから前記入口へのライン、あるいは前記入口が2つある場合には各入口は、それぞれスロットルを有し、当該スロットルは、異なる沸点の前記構成流体が前記所定の比率に比例して液体として送られるようになっている、ように、
配置される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項5】
前記スロットルは前記所定の比率を固定するために固定される、請求項3または4に記載のエンジン。
【請求項6】
前記スロットルは前記所定の比率を調整するために調整可能である、請求項3または4に記載のエンジン。
【請求項7】
前記ポンプ手段は、2室型ポンプ、または一対のポンプであって、当該ポンプは、
・前記加熱手段への1つ以上の入口に送り出すように、
・前記液体タンクからの2つの出口から、または2つのそれぞれの前記液体タンクから引き出すように、および、
・前記所定の比率に比例して容積式で送り出すように、
配置される、請求項1に記載のエンジン。
【請求項8】
前記閉じた作動流体回路は、高沸点流体が、前記凝縮機を通過して、当該高沸点流体および前記凝縮機からの低沸点流体用の単一の前記液体タンクに至るように構成され、前記ポンプが前記2つの出口のそれぞれを介して前記液体タンクから異なる沸点の前記構成流体を液体として引き出すことができるように、前記2つの出口が単一の前記液体タンクの異なる高さに配置される、請求項3~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項9】
・前記閉じた作動流体回路において、前記凝縮機の上流側に設けられる分離機であって、好ましくはサイクロン式分離機と、
・低沸点構成流体の凝縮した液体を受ける第1の液体タンクと、
・高沸点構成流体の分離した液体を受ける第2の液体タンクと、
を含み、
・前記第1および第2の液体タンクは、それぞれの液体用の前記2つの出口を有する、請求項3~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項10】
・前記閉じた作動流体回路において、前記凝縮機の上流側に設けられる分離機であって、好ましくはサイクロン式分離機と、
・低沸点構成流体の凝縮した液体および高沸点構成流体の分離した液体を受ける単一の液体タンクと、
を含み、前記2つの出口のそれぞれを介して前記液体タンクから異なる沸点の前記構成流体をポンプで引き出すことができるように、前記2つの出口が単一の前記液体タンクの異なる高さに配置される、請求項3~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項11】
・前記加熱手段は、単一の入口から前記膨脹機への単一の出口への1つのセクションを有し、
・前記加熱手段は、2つの前記構成流体を同じ温度および圧力に加熱し、これにより低沸点構成流体が、前記膨脹機の前記供給口への出力時に、少なくとも部分的にまたはすべてが蒸気状態であって、高沸点構成流体が、前記供給口への出力時に、すべてまたは部分的に気化されるか、または完全に液体であるように適合される、請求項1~10のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項12】
・前記加熱手段が2つのセクションを有し、1つのセクションは、前記膨脹機への前記供給口に出力するために一方の加熱手段の前記入口にポンプで送り出される一方の前記構成流体用であり、もう1つのセクションは、前記膨脹機への前記供給口に出力するために別の加熱手段の前記入口にポンプで送り出される他方の前記構成流体用であり、
・前記加熱手段は、2つの前記構成流体を異なる温度で加熱し、これにより2つの前記構成流体が、前記加熱手段から実質的に同じ圧力で出力されるときに少なくとも部分的に気化されて、前記膨脹機への前記供給口に供給されるように適合される、請求項4~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項13】
前記加熱手段の2つのセクションが、第1セクションから第2セクションに渡される共通の外部循環加熱媒体を使用するための直列の熱交換器であり、前記第1セクションは、高沸点構成流体を受け入れて第1温度に加熱するように配置され、前記第2セクションは、低沸点構成流体を受け入れて前記第1温度より低温度の第2温度に加熱するように配置される、請求項8に記載のエンジン。
【請求項14】
・前記加熱手段が2つのセクションを有し、1つのセクションは、前記膨脹機への前記供給口に出力するために一方の前記加熱手段の前記入口にポンプで送り出される一方の前記構成流体用であり、もう1つのセクションは、前記膨脹機への別の前記供給口に出力するために別の前記加熱手段の前記入口にポンプで送り出されるもう一方の前記構成流体用であり、
・前記加熱手段は、2つの前記構成流体を異なる温度および圧力に加熱し、これにより少なくとも低沸点構成流体は、前記加熱手段から前記膨脹機の高圧端への前記供給口に出力されるときに、少なくとも部分的に気化され、高沸点構成流体は、前記膨脹機への中間圧力供給口で蒸気または液体となるように適合される、請求項4~7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項15】
前記膨脹機から前記凝縮機に通過する前記作動流体と、前記凝縮機から前記加熱手段に通過する前記作動流体との間に、再生機として機能する熱交換器を含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項16】
閉じた作動流体回路を有する外部加熱式熱力学エンジンを動作させる方法であって、当該エンジンは、
・作動流体のための供給口に供給される気化した前記作動流体から仕事量を抽出するための熱力学的膨脹機と、
・前記膨脹機の下流側に設けられ、前記膨脹機から排出される膨張した前記作動流体を凝縮するための凝縮機と、
・前記凝縮機の下流側に設けられる液体タンクと、
・前記液体タンクの下流側に設けられ、前記液体タンクから凝縮された前記作動流体を送出するためのポンプ手段と、
・前記ポンプ手段から送られる前記作動流体を加熱して少なくとも部分的に気化させ、加熱された前記作動流体を前記膨脹機に供給する加熱手段であって、
・前記加熱手段は、前記作動流体が送り込まれる少なくとも1つの入口、および、前記作動流体が前記膨脹機に供給される少なくとも1つの出口を有する、加熱手段と、
を備え、
・前記エンジンは、少なくとも2つの異なる沸点の構成流体を含む前記作動流体で動作するように適合して配置されており、
・前記ポンプ手段は、前記液体タンクから前記加熱手段に、異なる沸点の前記構成流体の両方を所定の比率で液体として送り込むように適合され、
前記方法は、以下の動作ステップを含む、
・前記作動流体が少なくとも部分的に気化した状態で前記膨脹機に供給され、
・高沸点の液体の蒸気および/または液体は、前記膨脹機で低沸点の前記構成流体の蒸気に潜熱エネルギを放出し、前記膨脹機内で前記仕事量を生成するようにされ、および、
・前記高沸点の液体は前記熱力学的膨脹機の排気から出るときに液体であるようにする、
方法。
【国際調査報告】