(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-04
(54)【発明の名称】ローリングシャッタイメージャを使用する医療用撮像のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/06 20060101AFI20220225BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20220225BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20220225BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220225BHJP
H04N 5/243 20060101ALI20220225BHJP
【FI】
A61B1/06 611
A61B1/00 511
A61B1/06 613
A61B1/045 630
H04N5/225 300
H04N5/225 500
H04N5/225 600
H04N5/243
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541534
(86)(22)【出願日】2020-01-16
(85)【翻訳文提出日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 US2020013912
(87)【国際公開番号】W WO2020150494
(87)【国際公開日】2020-07-23
(32)【優先日】2019-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】595148888
【氏名又は名称】ストライカー コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Stryker Corporation
【住所又は居所原語表記】2825 Airview Boulevard Kalamazoo MI 49002 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ラーソン, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】シェン, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フェインゴールド, ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ラメシュ, アジャイ
【テーマコード(参考)】
4C161
5C122
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161FF02
4C161MM04
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5C122HB01
(57)【要約】
電子ローリングシャッタイメージャを使用して被検者の組織を撮像する方法は、最初の行から最後の行までローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットすることと、最初の行から最後の行まで画素行で蓄積された電荷を順次読み出すことであって、最初の行は最後の行をリセットした後に読み出すことと、垂直ブランキング期間よりも長く持続する照明期間に、被検者の組織を照明光で照明することであって、垂直ブランキング期間は最後の行のリセットから最初の行の読み出しまでの期間であることと、画素行で蓄積された電荷の読出値から画像フレームを生成することであって、画素行で蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値は、画像フレームを生成するために除去または置換されることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ローリングシャッタイメージャを使用して被検者の組織を撮像する方法であって、前記方法は、
最初の行から最後の行まで前記ローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットすることと、
前記最初の行から前記最後の行まで前記画素行で蓄積された電荷を順次読み出すことであって、前記最初の行は前記最後の行をリセットした後に読み出されることと、
垂直ブランキング期間よりも長く持続する照明期間に、前記被検者の前記組織を照明光で照明することであって、前記垂直ブランキング期間は、前記最後の行の前記リセットから前記最初の行の前記読み出しまでの前記期間であることと、
前記画素行で蓄積された電荷の前記読出値から画像フレームを生成することであって、画素行で蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、前記画像フレームを生成するために除去または置換されることと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記照明期間は、前記最後の行の前記リセットの前に開始することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照明期間は、前記最初の行の前記読み出しの後に終了することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記照明期間は、少なくとも前記垂直ブランキング期間が開始するときに開始することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記照明期間は、少なくとも前記垂直ブランキング期間が終了するときに終了することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも前記最初の画素行に蓄積された電荷の読出値が、前記画像フレームを生成するために除去または置換されることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも前記最後の画素行に蓄積された電荷の読出値が、前記画像フレームを生成するために除去または置換されることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
画素行に蓄積された電荷の前記少なくとも1つの読出値が、前記画像フレームを生成するために少なくとも1つの所定値によって置換されることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法。
【請求項9】
画素行に蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、前記画像フレームを生成するためにクロッピングによって除去されることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記被検者の前記組織が可視光で照明され、前記方法は、少なくとも後続の垂直ブランキング期間中に、蛍光励起光で前記被検者の前記組織を照明することと、前記蛍光励起光に応じて前記被検者の前記組織から発光される光に基づいて蛍光画像フレームを生成することと、をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記蛍光画像フレームを生成する前に、前記被検者に蛍光造影剤を投与することをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記照明期間中に同時に蛍光励起光および可視照明光で前記被検者の前記組織を照明することを含むことを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
照明光で前記被検者の前記組織を照明することが、前記照明光をパルス化することを含むことを特徴とする請求項1乃至12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前のフレーム中に前記画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、前記パルス化された照明光のパルス幅を制御することを含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記照明光が、少なくとも1つのLEDによって生成されることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ローリングシャッタイメージャが、内視鏡イメージャの一部であることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ローリングシャッタイメージャが、メカニカルシャッタを含み、前記メカニカルシャッタは、前記照明期間が開始する前から前記照明期間が終了する後まで、少なくとも部分的に開いたままであることを特徴とする請求項1乃至16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記メカニカルシャッタを動作させることによって、前記ローリングシャッタイメージャで受光される光の量を低減することをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前のフレーム中に前記画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、前記ローリングシャッタイメージャのゲインを調整することをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至18の何れか1項に記載の方法。
【請求項20】
被検者の組織を撮像するためのシステムであって、前記システムは、
照明源と、
電子ローリングシャッタイメージャを含む撮像装置と、を含み、前記撮像装置は、
最初の行から最後の行まで前記ローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットし、
前記最初の行から前記最後の行まで前記画素行で蓄積された電荷を順次読み出し、ここで、前記最初の行は前記最後の行をリセットした後に読み出され、
垂直ブランキング期間よりも長く持続する照明期間に、前記被検者の前記組織を照明するように前記照明源を制御し、ここで、前記垂直ブランキング期間は、前記最後の行の前記リセットから前記最初の行の前記読み出しまでの期間であり、
前記画素行で蓄積された電荷の前記読出値から画像フレームを生成し、ここで、画素行で蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、前記画像フレームを生成するために除去または置換される、
ように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項21】
前記撮像装置は、前記ローリングシャッタイメージャを含む撮像ヘッドに接続されたカメラ制御ユニットを含むことを特徴とする請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記照明源は、パルス幅変調照明のために構成され、前記カメラ制御ユニットは、前記照明源を制御するためのパルス幅変調波形を生成することを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記撮像装置は、前記最後の行の前記リセットの前に前記照明期間が開始するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項20乃至22の何れか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記撮像装置は、前記最初の行の前記読み出しの後に前記照明期間が終了するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項20乃至23の何れか1項に記載のシステム。
【請求項25】
前記撮像装置は、少なくとも前記垂直ブランキング期間が開始するときに前記照明期間が開始するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項20乃至24の何れか1項に記載のシステム。
【請求項26】
前記撮像装置は、少なくとも前記垂直ブランキング期間が終了したときに前記照明期間が終了するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項20乃至25の何れか1項に記載のシステム。
【請求項27】
前記撮像装置は、少なくとも前記最初の画素行に蓄積された電荷の読出値が、前記画像フレームを生成するために除去または置換され、前記画像フレームを生成するように構成されることを特徴とする請求項20乃至26の何れか1項に記載のシステム。
【請求項28】
前記撮像装置は、少なくとも前記最後の画素行に蓄積された電荷の読取値が、前記画像フレームを生成するために除去または置換され、前記画像フレームを生成するように構成されることを特徴とする請求項20乃至27の何れか1項に記載のシステム。
【請求項29】
前記撮像装置は、画素行に蓄積された電荷の前記少なくとも1つの読出値が、前記画像フレームを生成するために少なくとも1つの所定値によって置換され、前記画像フレームを生成するように構成されることを特徴とする請求項20乃至28の何れか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記撮像装置は、画素行に蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、前記画像フレームを生成するためにクロッピングによって除去され、前記画像フレームを生成するように構成されることを特徴とする請求項20乃至29の何れか1項に記載のシステム。
【請求項31】
前記撮像装置は、前記垂直ブランキング期間中に前記被検者の前記組織を可視光で照明し、少なくとも後続の垂直ブランキング期間中に前記被検者の前記組織を蛍光励起光で照明し、前記蛍光励起光に応じて前記被検者の前記組織から発光される光に基づいて蛍光画像フレームを生成するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項20乃至30の何れか1項に記載のシステム。
【請求項32】
前記撮像装置は、前記照明期間中に同時に蛍光励起光および可視照明光で前記被検者の前記組織を照明するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項31に記載のシステム。
【請求項33】
前記照明源が、前記照明光をパルス化するように構成されることを特徴とする請求項20乃至32の何れか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記撮像装置は、前のフレーム中に前記画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、前記パルス化された照明光のパルス幅を制御するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記照明源が、少なくとも1つのLEDを含むことを特徴とする請求項20乃至34の何れか1項に記載のシステム。
【請求項36】
前記撮像装置が、内視鏡イメージャを含むことを特徴とする請求項20乃至35の何れか1項に記載のシステム。
【請求項37】
前記ローリングシャッタイメージャが、メカニカルシャッタを含み、前記撮像装置が、前記メカニカルシャッタが前記照明期間が開始する前から前記照明期間が終了する後まで、少なくとも部分的に開いたままであるように、前記メカニカルシャッタを制御するように構成されることを特徴とする請求項20乃至36の何れか1項に記載のシステム。
【請求項38】
前記撮像装置が、前記メカニカルシャッタを動作させることによって、前記ローリングシャッタイメージャで受光される光の量を低減するように構成されることを特徴とする請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記撮像装置は、前のフレーム中に前記画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、前記ローリングシャッタイメージャのゲインを調整するように構成されることを特徴とする請求項20乃至38の何れか1項に記載のシステム。
【請求項40】
電子ローリングシャッタイメージャを使用して被検者の組織を撮像する方法であって、前記方法は、
最初の行から最後の行まで前記ローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットすることであって、前記最初の行から前記最後の行までの前記順次リセットは第1量の時間、持続することと、
前記ローリングシャッタイメージャの前記最後の行がリセットされると開始し、少なくとも前記第1量の時間、持続する照明期間にわたって、前記被検者の前記組織を照明光で照明することと、
前記被検者の前記組織が前記照明光で照明されている間、前記被検者の前記組織から受光する光に基づいて、少なくとも前記照明期間にわたって、前記画素行に電荷を蓄積することと、
前記照明期間が終了すると、前記最初の行から前記最後の行まで前記画素行に蓄積された電荷を順次読み出すことと、
前記画素行に蓄積された電荷の前記読出値から画像フレームを生成することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項41】
照明光で前記被検者の前記組織を照明することが、前記照明光をパルス化することを含むことを特徴とする請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前のフレーム中に前記画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、前記パルス化された照明光のパルス幅を制御することをさらに含むことを特徴とする請求項40または41に記載の方法。
【請求項43】
各画素行が、前記照明期間にわたって電荷を蓄積することを特徴とする請求項40乃至42の何れか1項に記載の方法。
【請求項44】
各画素行が、前記第1量の時間の少なくとも2倍の間、電荷を蓄積することを特徴とする請求項40乃至43の何れか1項に記載の方法。
【請求項45】
前記照明光が、少なくとも1つのLEDによって生成されることを特徴とする請求項40乃至44の何れか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記ローリングシャッタイメージャが、内視鏡イメージャの一部であることを特徴とする請求項40乃至45の何れか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記ローリングシャッタイメージャが、メカニカルシャッタを含み、前記メカニカルシャッタは、前記照明が開始する前から前記照明期間が終了する後まで、少なくとも部分的に開いたままであることを特徴とする請求項40乃至46の何れか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記メカニカルシャッタを動作させることによって、前記ローリングシャッタイメージャで受光される光の量を低減することをさらに含むことを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前のフレーム中に前記画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、前記ローリングシャッタイメージャのゲインを調整することをさらに含むことを特徴とする請求項40乃至48の何れか1項に記載の方法。
【請求項50】
被検者の組織を撮像するためのシステムであって、前記システムは、
照明源と、
電子ローリングシャッタイメージャを含む撮像装置と、を含み、前記撮像装置は、
最初の行から最後の行まで前記ローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットし、ここで、前記最初の行から前記最後の行までの前記順次リセットは第1量の時間、持続し、
前記ローリングシャッタイメージャの前記最後の行がリセットされると開始し、少なくとも前記第1量の時間、持続する照明期間にわたって、前記被検者の前記組織を照明光で照明するように前記照明源を制御し、
前記被検者の前記組織が前記照明光で照明されている間、前記被検者の前記組織から受光する光に基づいて、少なくとも前記照明期間にわたって、前記画素行に電荷を蓄積し、
前記照明期間が終了すると、前記最初の行から前記最後の行まで前記画素行に蓄積された電荷を順次読み出し、
前記画素行に蓄積された電荷の前記読出値から画像フレームを生成する、
ように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項51】
前記撮像装置は、前記ローリングシャッタイメージャを含む撮像ヘッドに接続されたカメラ制御ユニットを含むことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記照明源は、パルス幅変調照明のために構成され、前記カメラ制御ユニットは、前記照明源を制御するためのパルス幅変調波形を生成することを特徴とする請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
前記撮像装置は、パルス化された照明光で前記被検者の前記組織を照明するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項50乃至52の何れか1項に記載のシステム。
【請求項54】
前記撮像装置は、前のフレーム中に前記画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、前記パルス化された照明光のパルス幅を制御するように、前記照明源を制御するように構成されることを特徴とする請求項50乃至53の何れか1項に記載のシステム。
【請求項55】
前記撮像装置は、各画素行が前記照明期間にわたって電荷を蓄積するように構成されることを特徴とする請求項50乃至54の何れか1項に記載のシステム。
【請求項56】
前記撮像装置は、各画素行が前記第1量の時間の少なくとも2倍の間、電荷を蓄積するように構成されることを特徴とする請求項50乃至55の何れか1項に記載のシステム。
【請求項57】
前記照明源が、少なくとも1つのLEDを含むことを特徴とする請求項50乃至56の何れか1項に記載のシステム。
【請求項58】
前記撮像装置が、内視鏡イメージャを含むことを特徴とする請求項50乃至57の何れか1項に記載のシステム。
【請求項59】
前記ローリングシャッタイメージャが、メカニカルシャッタを含み、前記撮像装置が、前記メカニカルシャッタが前記照明が開始する前から前記照明期間が終了する後まで、少なくとも部分的に開いたままであるように、前記メカニカルシャッタを制御するように構成されることを特徴とする請求項50乃至58の何れか1項に記載のシステム。
【請求項60】
前記撮像装置が、前記メカニカルシャッタを動作させることによって、前記ローリングシャッタイメージャで受光される光の量を低減するように構成されることを特徴とする請求項59に記載のシステム。
【請求項61】
前記撮像装置は、前のフレーム中に前記画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、前記ローリングシャッタイメージャのゲインを調整するように構成されることを特徴とする請求項50乃至60の何れか1項に記載のシステム。
【請求項62】
請求項1乃至19の何れか1項に記載の方法または請求項40乃至49の何れか1項に記載の方法を実行させるためのコンピュータ実行可能なプログラムコードが埋め込まれた非一時的有形コンピュータ可読媒体。
【請求項63】
プログラマブルコンピュータによって実装された場合に、コンピュータに請求項1乃至19の何れか1項に記載の方法または請求項40乃至49の何れか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータ実装可能命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項64】
被検者の組織の時系列画像を処理するためのキットであって、請求項20乃至39の何れか1項に記載のシステム、請求項50乃至61の何れか1項に記載のシステムまたは請求項62に記載の非一時的有形コンピュータ可読媒体と、造影剤と、を含むキット。
【請求項65】
前記造影剤が、蛍光造影剤であることを特徴とする請求項64に記載のキット。
【請求項66】
組織撮像のために、請求項1乃至19の何れか1項に記載の方法または請求項40乃至49の何れか1項に記載の方法、請求項20乃至39の何れか1項に記載のシステムまたは請求項50乃至61の何れか1項に記載のシステム、または、請求項64または65に記載のキットに使用される蛍光造影剤。
【請求項67】
組織撮像が、血流撮像中の組織の撮像、組織潅流撮像、リンパ撮像、または、それらの組合せを含むことを特徴とする請求項66に記載の蛍光造影剤。
【請求項68】
血流撮像、組織潅流撮像、および/または、リンパ撮像が、侵襲医療処置中、最小侵襲医療処置、または、非侵襲医療処置中の血流撮像、組織潅流撮像、および/または、リンパ撮像を含むことを特徴とする請求項67に記載の蛍光造影剤。
【請求項69】
前記侵襲医療処置が、心臓関連医療処置または再建医療処置を含むことを特徴とする請求項68に記載の蛍光造影剤。
【請求項70】
前記心臓関連医療処置が、心臓冠動脈バイパス移植(CABG)処置を含むことを特徴とする請求項69に記載の蛍光造影剤。
【請求項71】
前記CABG処置が、オンポンプまたはオフポンプであることを特徴とする請求項70に記載の蛍光造影剤。
【請求項72】
前記非侵襲医療処置が、創傷ケア処置を含むことを特徴とする請求項68に記載の蛍光造影剤。
【請求項73】
前記リンパ撮像が、リンパ節の識別、リンパ節ドレナージ、リンパ系マッピング、または、それらの組合せを含むことを特徴とする請求項67乃至72の何れか1項に記載の蛍光造影剤。
【請求項74】
前記リンパ撮像が、女性生殖系に関連することを特徴とする請求項67乃至73の何れか1項に記載の蛍光造影剤。
【請求項75】
リンパ撮像のための、請求項1乃至19の何れか1項に記載の方法または請求項40乃至49の何れか1項に記載の方法、請求項20乃至39の何れか1項に記載のシステムまたは請求項50乃至61の何れか1項に記載のシステム、または、請求項64または65のキットの使用。
【請求項76】
血流撮像、組織潅流撮像、または、それらの組み合わせのための、請求項1乃至19の何れか1項に記載の方法または請求項40乃至49の何れか1項に記載の方法、請求項20乃至39の何れか1項に記載のシステムまたは請求項50乃至61の何れか1項に記載のシステム、または、請求項64または65のキットの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2019年1月17日に出願された米国仮出願第62/793,790号の利益を主張する。
【0002】
本開示は一般に、医療用撮像に関し、より詳細には、医療用撮像の生成に関する。
【背景技術】
【0003】
医療システム、器具またはツールは、種々の目的のために、手術前、手術中、または、手術後に利用される。これらの医療ツールのいくつかは、一般に内視鏡処置と呼ばれるものに使用されうる。例えば、医療分野における内視鏡検査は、従来の完全侵襲手術を使用せずに患者の身体の内部特徴を見ることを可能にする。内視鏡撮像診断システムは外科医が手術部位を見ることができるように内視鏡を取り入れており、内視鏡ツールはその部位の非侵襲的な手術を可能にしている。内視鏡は、内視鏡によって受信された画像を処理するためのカメラシステムと共に使用可能でありうる。内視鏡カメラシステムは、典型的にはカメラのイメージセンサから受け取った入力画像データを処理し、表示のために画像データを出力するカメラ制御ユニット(CCU)に接続されたカメラヘッドを含む。CCUは、撮像されたシーンに提供される照明光を生成する照明装置を制御しうる。
【0004】
電荷結合デバイス(CCD)センサおよび相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサを含む種々のイメージセンサが、内視鏡撮像システムに使用されうる。CCDの構成は、一般に、CMOSセンサの構成よりも複雑であり、CMOSセンサは、マイクロプロセッサやチップセットなどの関連技術に使用される大容量ウェーハ製造施設に組み込まれうり、その結果、同様の性能のために、CMOSセンサは、しばしばCCDよりも低コストである。低コストに加えて、CMOSイメージャを作製するために使用される共通の作製プロセスは、CMOS画素アレイを、クロックドライバ、デジタルロジック、アナログ/デジタルコンバータおよび他の適切なエレクトロニクスなどの他の電子デバイスと単一の回路上に集積させることを可能にする。CMOSイメージャのために可能なコンパクトな構造は、また、スペース要件を低減し、電力消費を低減しうる。
【0005】
CMOSベースイメージャは、電子ローリングシャッタを利用して、センサアレイ内の画素の露出をしうる。電子ローリングシャッタでは、順番に、画素行がクリアされ、露光され、読み出される。積分の間、画素行は、光エネルギに曝され、各画素は、画素に衝突する光の量および波長に対応する電荷を生成する。行は順番に駆動されて読み出されるため、最初の行が積分されてから最後の行が積分されるまで経過時間がある。最初の行が積分され始めてから後の行が積分され始めるまでの経過時間のために、電子ローリングシャッタを備えたCMOSイメージャは、ぼけまたは他のローリングシャッタ効果を有するビデオ画像をキャプチャしうる。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態によると、撮像システムおよび方法は、電子ローリングシャッタイメージャを使用し、ローリングシャッタ効果を伴わずに、ローリングシャッタイメージャのコストおよび性能上の利点を提供することができる電子ローリングシャッタイメージャにおいて、被検者のターゲット組織などのターゲット物体に提供される座標照明を使用して、グローバルシャッタ効果を生成する。いくつかの実施形態によると、照明は、1つのフレーム期間において撮像センサの最後の行のリセットと、当該フレーム期間において撮像センサの最初の行の読み出しと、の間の期間に提供され、結果として、グローバルシャッタ型効果をもたらす。照明期間は、この期間を超えて延長し、感度を高めるためにセンサの露光時間を増加させる。画像フレームを生成する際に、ローリングシャッタ効果を含みうる行からの読み出しが、除去されうり、また、置換されうる。照明光は、イメージャの露光ニーズによりパルス化されうる。
【0007】
いくつかの実施形態によると、各行が公称フレームレートの2フレーム分の積分を行うように、読み出し/リセット時間ごとにスキップすることによって、延長されたグローバルシャッタ期間が生成される。これは生成された画像のフレームレートを減少させうるが、感度を増加させ、より低い照明量を可能にしうる。照明光は、イメージャの露光ニーズによりパルス化されうる。
【0008】
いくつかの実施形態によると、電子ローリングシャッタイメージャを使用して被検者の組織を撮像する方法は、最初の行から最後の行までローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットすることと、最初の行から最後の行まで画素行で蓄積された電荷を順次読み出すことであって、最初の行は最後の行をリセットした後に読み出されることと、垂直ブランキング期間よりも長く持続する照明期間に、被検者の組織を照明光で照明することであって、垂直ブランキング期間は最後の行のリセットから最初の行の読み出しまでの期間であることと、画素行で蓄積された電荷の読出値から画像フレームを生成することであって、画素行で蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、画像フレームを生成するために除去または置換されることと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態によると、被検者の組織の撮像のためなどの電子ローリングシャッタイメージャを動作させる方法は、最初の行から最後の行までローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットすることと、最初の行から最後の行まで画素行で蓄積された電荷を順次読み出すことであって、最初の行は最後の行をリセットした後に読み出されることと、垂直ブランキング期間よりも長く持続する照明期間に、被検者の組織を照明光で照明することであって、垂直ブランキング期間は最後の行のリセットから最初の行の読み出しまでの期間であることと、画素行で蓄積された電荷の読出値から画像フレームを生成することであって、画素行で蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、画像フレームを生成するために除去または置換されることと、を含む。
【0010】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明期間は、最後の行のリセットの前に開始しうる。
【0011】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明期間は、最初の行の読み出しの後に終了しうる。
【0012】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明期間は、少なくとも垂直ブランキング期間が開始するときに開始しうる。
【0013】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明期間は、少なくとも垂直ブランキング期間が終了するときに終了しうる。
【0014】
これらの実施形態の何れかにおいて、少なくとも最初の画素行に蓄積された電荷の読出値が、画像フレームを生成するために除去または置換されうる。
【0015】
これらの実施形態の何れがにおいて、少なくとも最後の画素行に蓄積された電荷の読出値が、画像フレームを生成するために除去または置換されうる。
【0016】
これらの実施形態の何れかにおいて、画素行で蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、画像フレームを生成するために、少なくとも1つの所定値によって置換されうる。
【0017】
これらの実施形態の何れかにおいて、画素行に蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、画像フレームを生成するためにクロッピングによって除去されうる。
【0018】
これらの実施形態の何れかにおいて、被検者の組織は、可視光で照明されうり、方法は、少なくとも後続の垂直ブランキング期間中に、蛍光励起光で被検者の組織を照明することと、蛍光励起光に応じて被検者の組織から発光される光に基づいて蛍光画像フレームを生成することと、をさらに含みうる。
【0019】
これらの実施形態の何れかにおいて、方法は、蛍光画像フレームを生成する前に、被検者に蛍光造影剤を投与することをさらに含みうる。したがって、蛍光造影剤は、本方法を実施する際に予め投与されうる。
【0020】
これらの実施形態の何れかにおいて、方法は、照明期間中に同時に蛍光励起光および可視照明光で被験者の組織を照明することを含みうる。
【0021】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明光で被検者の組織を照明することは、照明光をパルス化することを含みうる。
【0022】
これらの実施形態の何れかにおいて、方法は、前のフレーム中に画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、パルス化された照明光のパルス幅を制御することを含みうる。
【0023】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明光は、少なくとも1つのLEDによって生成されうる。
【0024】
これらの実施形態の何れかにおいて、ローリングシャッタイメージャは、内視鏡イメージャの一部でありうる。被験者の組織を撮像する方法または電子ローリングシャッタを動作させる方法は、そのような内視鏡イメージャを管腔内に挿入するステップを除外してもよい。
【0025】
これらの実施形態の何れかにおいて、ローリングシャッタイメージャは、メカニカルシャッタを含みうり、メカニカルシャッタは、照明期間が開始する前から照明期間が終了する後まで、少なくとも部分的に開いたままでありうる。
【0026】
これらの実施形態の何れかにおいて、方法は、メカニカルシャッタを動作させることによって、ローリングシャッタイメージャで受光される光の量を低減することをさらに含みうる。
【0027】
これらの実施形態の何れかにおいて、方法は、前のフレーム中に画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、ローリングシャッタイメージャのゲインを調整することをさらに含みうる。
【0028】
いくつかの実施形態によると、被検者の組織を撮像するためのシステムは、照明源と、電子ローリングシャッタイメージャを含む撮像装置と、を含みうり、撮像装置は、最初の行から最後の行までローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットし、最初の行から最後の行まで画素行で蓄積された電荷を順次読み出し、ここで、最後の行をリセットした後に最初の行が読み出され、垂直ブランキング期間よりも長く持続する照明期間に、被検者の組織を照明するように照明源を制御し、ここで、垂直ブランキング期間は、最後の行のリセットから最初の行の読み出しまでの期間であり、画素行で蓄積された電荷の読出値から画像フレームを生成し、ここで、画素行で蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、画像フレームを生成するために除去または置換される、ように構成される。
【0029】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、ローリングシャッタイメージャを含む撮像ヘッドに接続されたカメラ制御ユニットを含みうる。
【0030】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明源は、パルス幅変調照明のために構成されうり、カメラ制御ユニットは、照明源を制御するためのパルス幅変調波形を生成する。
【0031】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、最後の行のリセットの前に照明期間が開始するように、照明源を制御するように構成されうる。
【0032】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、最初の行の読み出しの後に照明期間が終了するように、照明源を制御するように構成されうる。
【0033】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、少なくとも垂直ブランキング期間が開始するときに照明期間が開始するように、照明源を制御するように構成されうる。
【0034】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、少なくとも垂直ブランキング期間が終了したときに照明期間が終了するように、照明源を制御するように構成されうる。
【0035】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、少なくとも最初の画素行に蓄積された電荷の読出値が、画像フレームを生成するために除去または置換され、画像フレームを生成するように構成されうる。
【0036】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、少なくとも最後の画素行に蓄積された電荷の読取値が、画像フレームを生成するために除去または置換され、画像フレームを生成するように構成されうる。
【0037】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、画素行に蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、画像フレームを生成するために少なくとも1つの所定値によって置換され、画像フレームを生成するように構成されうる。
【0038】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、画素行に蓄積された電荷の少なくとも1つの読出値が、画像フレームを生成するためにクロッピングによって除去され、画像フレームを生成するように構成されうる。
【0039】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、垂直ブランキング期間中に被検者の組織を可視光で照明し、少なくとも後続の垂直ブランキング期間中に被検者の組織を蛍光励起光で照明し、蛍光励起光に応じて被検者の組織から発光される光に基づいて蛍光画像フレームを生成するように、照明源を制御するように構成されうる。
【0040】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、照明期間中に同時に蛍光励起光および可視照明光で被検者の組織を照明するように照明源を制御するように構成されうる。
【0041】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明源は、照明光をパルス化するように構成されうる。
【0042】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、前のフレーム中に画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、パルス化された照明光のパルス幅を制御するように、照明源を制御するように構成されうる。
【0043】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明源は、少なくとも1つのLEDを含みうる。
【0044】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、内視鏡イメージャを含みうる。
【0045】
これらの実施形態の何れかにおいて、ローリングシャッタイメージャは、メカニカルシャッタを含みうり、撮像装置は、照明期間が開始する前から照明期間が終了する後まで、メカニカルシャッタが少なくとも部分的に開いたままであるように、メカニカルシャッタを制御するように構成されうる。
【0046】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、メカニカルシャッタを動作させることによって、ローリングシャッタイメージャで受光される光の量を低減するように構成されうる。
【0047】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、前のフレーム中に画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、ローリングシャッタイメージャのゲインを調整するように構成されうる。
【0048】
いくつかの実施形態によると、電子ローリングシャッタイメージャを使用して被検者の組織を撮像する方法は、最初の行から最後の行までローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットすることであって、最初の行から最後の行までの順次リセットは第1量の時間、持続することと、ローリングシャッタイメージャの最後の行がリセットされると開始し、少なくとも第1量の時間、持続する照明期間にわたって、被検者の組織を照明光で照明することと、被検者の組織が照明光で照明されている間、被検者の組織から受光する光に基づいて、少なくとも照明期間にわたって、画素行に電荷を蓄積することと、照明期間が終了すると、最初の行から最後の行まで画素行に蓄積された電荷を順次読み出すことと、画素行に蓄積された電荷の読出値から画像フレームを生成することと、を含む。
【0049】
いくつかの実施形態によると、被検者の組織の撮像のためなどの電子ローリングシャッタイメージャを動作させる方法は、最初の行から最後の行までローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットすることであって、最初の行から最後の行までの順次リセットは第1量の時間、持続することと、ローリングシャッタイメージャの最後の行がリセットされると開始し、少なくとも第1量の時間、持続する照明期間にわたって、被検者の組織を照明光で照明することと、被検者の組織が照明光で照明されている間、被検者の組織から受光する光に基づいて、少なくとも照明期間にわたって、画素行に電荷を蓄積することと、照明期間が終了すると、最初の行から最後の行まで画素行に蓄積された電荷を順次読み出すことと、画素行に蓄積された電荷の読出値から画像フレームを生成することと、を含む。
【0050】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明光で被検者の組織を照明することは、照明光をパルス化することを含みうる。
【0051】
これらの実施形態の何れかにおいて、方法は、前のフレーム中に画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、パルス化された照明光のパルス幅を制御することをさらに含みうる。
【0052】
これらの実施形態の何れかにおいて、各画素行は、照明期間にわたって電荷を蓄積しうる。
【0053】
これらの実施形態の何れかにおいて、各画素行は、第1量の時間の少なくとも2倍の間、電荷を蓄積しうる。
【0054】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明光は、少なくとも1つのLEDによって生成されうる。
【0055】
これらの実施形態の何れかにおいて、ローリングシャッタイメージャは、内視鏡イメージャの一部でありうる。被験者の組織を撮像する方法または電子ローリングシャッタを動作させる方法は、そのような内視鏡イメージャを管腔内に挿入するステップを除外してもよい。
【0056】
これらの実施形態の何れかにおいて、ローリングシャッタイメージャは、メカニカルシャッタを含みうり、メカニカルシャッタは、照明が開始する前から照明期間が終了する後まで、少なくとも部分的に開いたままでありうる。
【0057】
これらの実施形態の何れかにおいて、方法は、メカニカルシャッタを動作させることによって、ローリングシャッタイメージャで受光される光の量を低減することをさらに含みうる。
【0058】
これらの実施形態の何れかにおいて、方法は、前のフレーム中に画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、ローリングシャッタイメージャのゲインを調整することをさらに含みうる。
【0059】
いくつかの実施形態によると、被検者の組織を撮像するためのシステムは、照明源と、電子ローリングシャッタイメージャとを含む撮像装置と、を含み、撮像装置は、最初の行から最後の行まで電子ローリングシャッタイメージャの画素行を順次リセットし、ここで、最初の行から最後の行までの順次リセットは第1量の時間、持続することと、ローリングシャッタイメージャの最後の行がリセットされると開始し、少なくとも第1量の時間、持続する照明期間にわたって、被検者の組織を照明光で照明するように照明源を制御し、被検者の組織が照明光で照明されている間、被検者の組織から受光する光に基づいて、少なくとも照明期間にわたって、画素行に電荷を蓄積し、照明期間が終了すると、最初の行から最後の行まで画素行に蓄積された電荷を順次読み出し、画素行に蓄積された電荷の読出値から画像フレームを生成する、ように構成される。
【0060】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、ローリングシャッタイメージャを含む撮像ヘッドに接続されたカメラ制御ユニットを含みうる。
【0061】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明源は、パルス幅変調照明のために構成されうり、カメラ制御ユニットは、照明源を制御するためのパルス幅変調波形を生成する。
【0062】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、パルス化された照明光で被検者の組織を照明するように、照明源を制御するように構成されうる。
【0063】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、前のフレーム中に画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、パルス化された照明光のパルス幅を制御するように、照明源を制御するように構成されうる。
【0064】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、各画素行が照明期間にわたって電荷を蓄積するように構成されうる。
【0065】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、各画素行が第1量の時間の少なくとも2倍の間、電荷を蓄積するように構成されうる。
【0066】
これらの実施形態の何れかにおいて、照明源は、少なくとも1つのLEDを含みうる。
【0067】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、内視鏡イメージャを含みうる。
【0068】
これらの実施形態の何れかにおいて、ローリングシャッタイメージャは、メカニカルシャッタを含みうり、撮像装置は、照明が開始する前から照明期間が終了する後まで、少なくとも部分的に開いたままであるように、メカニカルシャッタを制御するように構成されうる。
【0069】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、メカニカルシャッタを動作させることによって、ローリングシャッタイメージャで受光される光の量を低減するように構成されうる。
【0070】
これらの実施形態の何れかにおいて、撮像装置は、前のフレーム中に画素行に蓄積された電荷の読出値に基づいて、ローリングシャッタイメージャのゲインを調整するように構成されうる。
【0071】
いくつかの実施形態によると、非一時的有形コンピュータ可読媒体が、上述の方法の何れかを実行するために、そこに埋め込まれたコンピュータ実行可能プログラムコードを有しうる。
【0072】
いくつかの実施形態によると、コンピュータプログラム製品は、プログラマブルコンピュータによって実装された場合に、コンピュータに上述の方法の何れかを実行させるコンピュータ実装可能命令を含みうる。
【0073】
いくつかの実施形態によると、被験者の組織の時系列画像を処理するためのキットは、上述のシステムまたは上述の非一時的有形コンピュータ可読媒体の何れかと、造影剤と、を含む。
【0074】
これらの実施形態の何れかにおいて、造影剤は蛍光造影剤でありうる。
【0075】
いくつかの実施形態によると、蛍光造影剤は、組織を撮像するために、上述のシステムの何れか、上述の方法の何れか、または、上述のキットの何れかにおいて使用するためのものである。
【0076】
これらの実施形態の何れかにおいて、組織撮像は、血流撮像中の組織の撮像、組織潅流撮像、リンパ撮像、または、それらの組合せを含みうる。
【0077】
これらの実施形態の何れかにおいて、血流撮像、組織潅流撮像、および/または、リンパ撮像は、侵襲医療処置中、最小侵襲医療処置、または、非侵襲医療処置中の血流撮像、組織潅流撮像、および/または、リンパ撮像を含みうる。
【0078】
これらの実施形態の何れかにおいて、侵襲医療処置は、心臓関連医療処置または再建医療処置を含みうる。
【0079】
これらの実施形態の何れかにおいて、心臓関連医療処置は、心臓冠動脈バイパス移植(CABG)処置を含みうる。
【0080】
これらの実施形態の何れかにおいて、CABG処置は、オンポンプまたはオフポンプでありうる。
【0081】
これらの実施形態の何れかにおいて、非侵襲医療処置は、創傷ケア処置を含みうる。
【0082】
これらの実施形態の何れかにおいて、リンパ撮像は、リンパ節の識別、リンパ節ドレナージ、リンパ系マッピング、またはそれらの組合せを含みうる。
【0083】
これらの実施形態の何れかにおいて、リンパ撮像は、女性生殖系に関連しうる。
【0084】
いくつかの実施形態によると、上述のシステムの何れか、上述の方法の何れか、上述のキットの何れか、または、上述の蛍光剤の何れかが、リンパ撮像のために使用される。
【0085】
いくつかの実施形態によると、上述のシステムの何れか、上述の方法の何れか、上述のキットの何れか、または、上述の蛍光剤の何れかが、血流撮像、組織潅流撮像、または、それらの組合せのために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0086】
本発明は、添付の図面を参照して、単に例として説明される。
【0087】
【
図1】
図1は、いくつかの実施形態による内視鏡カメラシステムの図である。
【0088】
【
図2】
図2は、いくつかの実施形態による、
図1の内視鏡カメラシステムの一部と、撮像のためのターゲット物体と、の図である。
【0089】
【
図3】
図3は、いくつかの実施形態による内視鏡カメラシステムのブロック図である。
【0090】
【
図4】
図4は、1つの実施形態による、白色光および蛍光画像フレームを交互に生成するための方法のフロー図である。
【0091】
【
図5】
図5は、1つの実施形態による、白色光および蛍光画像フレームを交互に生成するための、撮像センサの画素行のリセットおよび読み出しと、照明装置の照明と、の例示的な相対的なタイミングを示す図である。
【0092】
【
図6】
図6は、1つの実施形態による、積分時間を長くすることによって感度を高めた画像フレームを生成するための方法のフロー図である。
【0093】
【
図7】
図7は、1つの実施形態による、増加した感度を有する画像フレームを生成するための撮像センサの画素行のリセットおよび読み出しと、照明装置の照明と、の例示的な相対的なタイミングを示す図である。
【0094】
【
図8】
図8は、いくつかの実施形態による、パルス幅変調照明光を生成するために使用されうる例示的な照明装置の構成要素を示すブロック図である。
【0095】
【
図9】
図9は、いくつかの実施形態による、3つの撮像センサを有するイメージャの概略図である。
【0096】
【
図10】
図10は、いくつかの実施形態による、例示的な蛍光撮像システムの実例となる描写である。
【0097】
【
図11】
図11は、いくつかの実施形態による、蛍光撮像システムの例示的な照明モジュールの実例となる描写である。
【0098】
【
図12】
図12は、いくつかの実施形態による、蛍光撮像システムの例示的なカメラモジュールである。
【発明を実施するための形態】
【0099】
ここで、本発明の様々な形態や変形例の実装および実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。種々のデバイス、システム、方法、プロセッサ、キット、および、造影剤が、本明細書に記載される。デバイス、システム、方法、プロセッサ、キット、および、造影剤の少なくとも2つの変形例が記載されるが、他の変形例は記載される態様のすべてまたはいくつかの組み合わせを有する任意で適切な様式で組み合わされた、本明細書に記載されるデバイス、システム、方法、プロセッサ、キット、および、造影剤の態様を含みうる。例は添付の図面を参照して以下により完全に記載される、しかしながら、それらは、異なる形態で具現化されうり、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例は、本開示が完全かつ完全になるように提供され、例示的な実装を当業者に完全に伝えることになる。
【0100】
本明細書に記載されるのは、限定されたローリングシャッタ効果を有する時系列の画像を生成する、ローリングシャッタイメージャおよび制御された照明を使用した医療用撮像のための、例示的なデバイス、システム、および、方法である。より一般的には、限定されたローリングシャッタ効果を有する時系列の画像を生成する、医療用撮像などローリングシャッタイメージャおよび制御された照明を動作させるための、例示的なデバイス、システム、および、方法が記載される。システム、デバイス、および、方法は、内視鏡撮像処置などにおいて、被験者の組織を撮像するために使用されうる。撮像は、術前、術中、術後、および、診断用の撮像セッション中および処置中に実施されうる。撮像方法それ自体は、体内の管腔内への内視鏡イメージャの挿入を除外してもよい。撮像方法それ自体は、任意の侵襲性外科的ステップを除外してもよい。
【0101】
撮像システムは、ターゲットシーン(例えば、患者のターゲット組織)への照明が、撮像センサの画素のための長い積分時間を有するグローバルシャッタ型効果を生成するように制御されるモードを含みうる。撮像センサは、所与のフレームレートに従って駆動されうるが、可能なフレーム期間ごとにセンサの画素行を読み出す代わりに、行が1つおきのフレーム期間ごとに読み出され、センサの画素をより長い期間で積分することを可能にする。この結果、実質的にすべての行が、同時にシーンに露光することができる積分期間が比較的長くなる。照明光は、この「グローバルシャッタ」期間中に提供され、それによって、結果として画像フレームは、ローリングシャッタ効果を実質的に受けない。
【0102】
撮像システムは、延長された垂直ブランキング期間中に照明光が提供される、可視光画像フレームおよび蛍光画像フレームを交互に生成するためのモードを含みうる。このモードは、例えば、蛍光オーバーレイを有する白色光画像を生成するために使用されうる。当技術分野で知られているように、ローリングシャッタイメージャの動作における垂直ブランキング期間は、センサの最後の行がリセットされたときからセンサの最初の行が読み出されるときまでの期間である。垂直ブランキング期間中、全ての行が同時に積分される。種々の実施形態は、垂直ブランキング期間中に照明光を提供することによって、グローバルシャッタ型効果を達成する。しかしながら、垂直ブランキング期間は比較的短いため、いくつかの実施形態によれば、照明光は、イメージャの感度を高めるために、垂直ブランキング期間よりも長い期間、提供される。これは、センサの行の一部に対してローリングシャッタ効果をもたらしうり、1つ以上の影響を受けた行を除去または置換することによって、ユーザに対するこれらの影響の視認性が最小化されうる。
【0103】
上述のような種々の例では、照明光が、シーンに正しい量の照明を提供するためにパルス幅変調を使用して調整されうる。撮像システムは、撮像センサが最適に露光されるように光量を制御してもよいし、1つ以上前のフレームのセンサでの強度に基づいて制御してもよい。
【0104】
以下の記載で使用されている単数形の「a」、「an」、「the」は、文脈が明確に示す場合を除き、複数形も含むことが意図されていることを理解されたい。また、本明細書で用いられる場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目の1つまたは複数の任意の組み合わせを指し、包含していることを理解されたい。本明細書で用いられる場合、「includes」、「including」、「comprises」および/または「comprising」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/または、ユニットの存在を特定するものであり、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、ユニット、および/または、それらのグループの存在または追加を排除するものではないことを、さらに理解されたい。
【0105】
本開示の特定の態様は、アルゴリズムの形態で本明細書に記載されるプロセスステップおよび命令を含む。本開示のプロセスステップおよび命令は、ソフトウェア、ファームウェア、または、ハードウェアで具現化することができ、ソフトウェアで具現化する場合、様々なオペレーティングシステムによって使用される異なるプラットフォーム上に存在し、操作できるようにダウンロードできることに注意されたい。以下の議論から明らかなように、記載全体を通して、「処理する」、「計算する」、「計算する」、「決定する」、「表示する」、「生成する」などの用語を利用する議論は、コンピュータシステムのメモリやレジスタなどの情報記憶装置、送信装置、表示装置の中で物理(電子)量として表されるデータを操作し、変換する、コンピュータシステムや同様の電子計算装置の動作やプロセスを指すことを理解されたい。
【0106】
いくつかの実施形態における本開示は、また、本明細書の動作を実行するためのデバイスに関する。このデバイスは、要求される目的のために特別に構成されうり、または、コンピュータに記憶されたコンピュータプログラムによって選択的に駆動または再構成される汎用コンピュータを含みうる。そのようなコンピュータプログラムは、フロッピーディスク、USBフラッシュドライブ、外付けハードドライブ、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気または光カード、特定用途向け集積回路(ASIC)などの任意のタイプのディスク、または、電子命令を格納するのに適した任意のタイプの媒体などの、非一時的でコンピュータ可読な記憶媒体に格納され、それぞれがコンピュータシステムバスに結合されうる。さらに、本明細書で言及されているコンピュータは、単一のプロセッサを含んでいてもよいし、演算能力を高めるために複数のプロセッサデザインを採用したアーキテクチャであってもよい。
【0107】
本明細書に記載される方法、デバイス、および、システムは、任意の特定のコンピュータまたは他の装置に本質的に関連しない。種々の汎用システムが、本明細書の教示に従ったプログラムと共に使用されてもよいし、または、要求される方法のステップを実行するために、より特別な装置を構成することが便利であることが示されてもよい。種々のこれらのシステムに対して要求される構造は、下記から明らかとなる。加えて、本発明は、任意の特定のプログラミング言語を参照して記載されていない。本明細書に記載されている本発明の教示を実施するために、種々のプログラミング言語が使用されうることを理解されたい。
【0108】
図1は、内視鏡処置において利用されうるスコープアセンブリ11を含む、内視鏡撮像システム10の例を示す。スコープアセンブリ11は、カメラヘッド16の遠位端に位置する結合器13によってカメラヘッド16に結合された内視鏡またはスコープ12を包含している。光は、光ファイバケーブルなどの光ガイド26を介して光源14によってスコープに供給される。カメラヘッド16は、電気ケーブル15によってカメラ制御ユニット(CCU)18に結合されている。CCU18は、光源14に接続され通信する。カメラ16の動作は、CCU18によって部分的に制御される。ケーブル15は、カメラヘッド16からビデオ画像および/または静止画像データをCCU18に伝達し、カメラヘッド16とCCU18との間で種々の制御信号を双方向に伝達しうる。
【0109】
後述するように、1つの撮像モードから別のモードへの切り替えを含みうるシステム10の様々な機能をユーザが手動で制御できるように、カメラヘッド16には、制御またはスイッチアレンジメント17が提供されていてもよい。音声コマンドは、施術者が装着するヘッドセット27に取り付けられ、音声制御ユニット23に結合されたマイク25に入力することができる。タッチスクリーンユーザインターフェースまたはPDAを有するタブレットなどのハンドヘルド制御デバイス29が、さらなる制御インタフェースとして音声制御ユニット23に結合されていてもよい。図示された実施形態において、レコーダ31およびプリンタ33もまた、CCU18に結合されている。画像キャプチャデバイスおよびアーカイブデバイスなどの追加のデバイスが、システム10に含まれていてもよく、CCU18に結合されていてもよい。カメラヘッド16によって取得され、CCU18によって処理されたビデオ画像データは、画像に変換され、この画像は、モニタ20上に表示されてもよく、レコーダ31によって記録されてもよく、および/または、静止画像を生成するために使用されてもよく、静止画像のハードコピーが、プリンタ33によって生成されてもよい。
【0110】
図2は、患者の手術部位などの物体1を照明し、光を受光するために使用される内視鏡システム10の一部の例を示す。物体1は、例えば、患者に蛍光造影剤を投与した結果として、蛍光マーカー2を含みうる。蛍光マーカー2は、例えば、インドシアニングリーン(ICG)を含みうる。
【0111】
光源14は、ターゲット物体1の可視(例えば、白色光)画像を生成するために、可視照明光(赤色光、緑色光、および、青色光の任意の組み合わせなど)を生成することができ、また、蛍光画像を生成するために、ターゲット物体内の蛍光マーカー2を励起するための蛍光励起照明光を生成することもできる。照明光は、光パイプ24上に光を合焦する光学レンズシステム22を通して伝送される。光パイプ24は、均質な光を生成しうり、次いで、光ファイバ光ガイド26に伝送される。光ガイド26は、複数の光ファイバを含みうり、内視鏡12の一部であるライトポスト28に接続される。内視鏡12は、照明経路12’および光学チャネル経路12’’を含む。
【0112】
内視鏡12は、ターゲット物体1内の蛍光マーカー2によって発光される蛍光発光光(例えば、830nmから870nmの波長範囲)の一部または全部(好ましくは、少なくとも80%)を通過させ、ターゲット物体1によって反射される可視照明光などの可視光(例えば、400nmから700nmの波長範囲)の一部または全部(好ましくは、少なくとも80%)を通過させるが、ターゲット物体1内の蛍光マーカー2からの蛍光発光を励起するために使用される蛍光励起光(例えば、808nmの波長を有する赤外光)の実質的に全部をブロックするノッチフィルタ131を含みうる。ノッチフィルタ131は、OD5以上の光学密度を有しうる。いくつかの実施形態において、ノッチフィルタ131が、結合器13に位置していてもよい。
【0113】
図3は、いくつかの実施形態による、患者のターゲット組織などのターゲット物体の画像(例えば、静止画および/またはビデオ)を生成するための、電子ローリングシャッタイメージャ302を使用する例示的な撮像システム300を概略的に示す。システム300は、例えば、
図1の内視鏡撮像システム10に使用されうる。イメージャ302は、画素行308および画素列310に配置された画素305のアレイを有するCMOSセンサ304を含む。イメージャ302は、CMOSセンサ304によって生成される信号を制御する制御コンポーネント306を含みうる。制御コンポーネントの例は、センサ304の各画素に入射する光を示すマルチビット信号を生成するためのゲイン回路、1つ以上のアナログ/デジタル変換器、バッファとして働き、センサ304に駆動電力を供給する1つ以上のラインドライバ、行回路、および、タイミング回路を含む。タイミング回路は、バイアス回路、クロック/タイミング生成回路、および/または、発振器などの構成要素を含みうる。行回路は、画素行308をアドレス指定すること、画素列310をアドレス指定すること、画素行308上の電荷をリセットすること、画素305の露光を可能にすること、信号を復号すること、信号を増幅すること、アナログ-デジタル信号変換すること、タイミングを適用すること、読出信号およびリセット信号を適用すること、および、他の適切なプロセスまたはタスクなどの、1つ以上の処理および/または動作タスクを可能にしうる。イメージャ302は、また、例えば、イメージセンサ304の露光を制御するため、および/または、イメージセンサ304で受光される光の量を制御するために使用されうるメカニカルシャッタ312を含みうる。
【0114】
1つ以上の制御コンポーネントは、センサ304が集積されているのと同じ集積回路に集積されていてもよいし、個別の構成要素であってもよい。イメージャ302は、システム10のカメラヘッド16などの撮像ヘッドに組み込まれうる。
【0115】
行回路およびタイミング回路のような1つ以上の制御コンポーネント306が、システム10のカメラ制御ユニット18などの撮像コントローラ320に電気的に接続されうる。撮像コントローラ320は、1つ以上のプロセッサ322およびメモリ324を含みうる。撮像コントローラ320は、イメージャの行の読み出しを受け取り、読み出しタイミングおよびメカニカルシャッタ動作を含む他のイメージャの動作を制御しうる。撮像コントローラ320は、イメージャ302からの行および/または列の読み出しからのビデオフレームなどの画像フレームを生成しうる。生成されたフレームは、外科医などのユーザに表示するために表示部350に提供されうる。
【0116】
この例におけるシステム300は、ターゲットシーンを照明するための光源330を含む。光源330は、撮像コントローラ320によって制御される。撮像コントローラ320は、光源330によって提供される照明のタイプ(例えば、白色光、蛍光励起光、または、その両方)、光源330によって提供される照明の強度、および/または、ローリングシャッタ動作と同期した照明のオン/オフ時間を決定しうる。光源330は、第1波長の光を生成するための第1光発生器332と、第2波長の光を生成するための第2光発生器334と、を含みうる。例えば、いくつかの実施形態において、第1光発生器332が、複数の個別の光発生コンポーネント(例えば、異なる色の複数のLED)を含みうる白色光発生器であり、第2光発生器334が、レーザダイオードなどの蛍光励起光発生器である。
【0117】
光源330は、光発生器の光出力を制御するコントローラ336を含む。コントローラ336は、光源330によって提供される光の強度を調整するための光発生器のパルス幅変調を提供するように構成されうり、露出過剰および露出不足を管理するために使用することができる。いくつかの実施形態において、各光発生器の公称電流および/または電圧は一定のままであり、光強度は、パルス幅制御信号に従って光発生器(例えば、LED)をオンおよびオフに切り替えることによって調整される。いくつか実施形態において、PWM制御信号が、撮像コントローラ336によって提供される。この制御信号は、光発生器の所望のパルス幅変調動作に対応する波形とすることができる。
【0118】
撮像コントローラ320は、光源330に要求される照明強度を決定するように構成されうり、光源330に通信されるPWM信号を生成しうる。いくつかの実施形態において、センサ304で受光された光の量および積分時間に応じて、光源は、ターゲットシーンでの照明光の強度を変えるために、異なるレートでパルス化されうる。撮像コントローラ320は、現在のフレームおよび/または1つ以上前のフレームにおいてセンサ304で受光された光の量に基づいて、後続のフレームで要求される照明光強度を決定しうる。いくつかの実施形態において、撮像コントローラ320は、光源330のPWMを介して(画素における光の量を増加/減少させるため)、メカニカルシャッタ312の動作を介して(画素における光の量を増加/減少させるため)、および/または、ゲインの変化を介して(受光に対する画素の感度を増加/減少させるため)、画素の強度を制御することができる。いくつかの実施形態において、撮像コントローラ320が、主に、シャッタを開いたまま(または、少なくともシャッタを動作させず)、ゲインレベルを維持しながら画素の強度を制御するために、照明源のPWMを主に使用する。コントローラ320は、光強度が最大または最小であり、さらなる調整が必要な場合に、シャッタ312を動作させ、および/または、ゲインを修正しうる。
【0119】
可視光画像および蛍光光画像を生成するための方法
図4は、1つの実施形態による、白色光および蛍光光画像フレームの時系列を生成するための例示的な方法400を示す。方法400は、
図3のシステム300などの撮像システムによって行われうる。ステップ402では、
図3のイメージャ302などの電子ローリングシャッタイメージャの画素行が、周知のローリングシャッタイメージャの動作に従って、最初の行(例えば、上行または下行)から最後の行(例えば、下行または上行)まで順次リセットされる。
【0120】
ステップ404では、ステップ402におけるリセット以降に各画素行に蓄積された電荷が、最初の行から最後の行まで順番に読み出される。最初の行の読み出しは、ステップ402の最後の行のリセット以降に、ある期間が経過するまで開始されない。この期間は垂直ブランキング期間と呼ばれうり、撮像センサの実質的にすべての行が同時に電荷を蓄積している(すなわち、積分している)期間である。この同時積分期間は、以下にさらに記載するように、グローバルシャッタ効果を生成するために利用することができる。
【0121】
ステップ406では、被検者のターゲット組織は、照明期間の間、照明装置からの照明光で照明される。照明期間は、垂直ブランキング期間(最後の行がリセットされてから最初の行が読み出されるまでの時間)よりも長く、垂直ブランキング期間の大部分またはすべてにまたがりうる。照明期間は、ステップ402において、少なくとも最後の画素行のリセットの前に、同時に、または、後に開始することができる。これらの実施形態のいずれかにおいて、照明期間は、ステップ402において、少なくとも最初の画素行の読み出しの前に、同時に、または、後に終了することができる。
【0122】
任意で、照明光は、白色光(または、任意の他の可視光スペクトル)画像フレームを生成するために、白色光(または、任意の他の可視光スペクトル)でありうる。代わりに、または、追加して、照明光は、蛍光画像フレームを生成するために、赤外光などの蛍光励起光でありうる。
【0123】
照明期間の長さは、所与の用途に応じて所望の撮像感度に基づいて選択されうる。照明光のレベルが比較的高い用途では、照明期間は照明光のレベルが比較的低い用途よりも短くてもよい。一般に、照明期間が長くなるほど、歪みうる行の数が多くなり、したがって、除去または所定の値で置き換える必要がある行の数が多くなる。従って、照明期間の長さの選択は、感度と視野との間のバランスを要求されうる。
【0124】
ステップ408では、画素行に蓄積された電荷の読出値から画像フレームが生成される。ステップ406における照明期間は、垂直ブランキング期間を超えて延長されるため、各フレームの撮影中に、すべての行が同じ時間、照明光によるターゲット組織からの光で露光されるわけではない。例えば、最後から2番目の行のリセット時(すなわち、最後の行のリセット前)に照明期間が開始される実施形態では、最後の行は、前の行よりも短い期間の照明に起因するターゲット組織から受光された光を積分する。これは、各フレームの撮影期間内の照明期間よりも短い期間の照明光に起因して受光された光を積分する1または複数の行における視覚的アーチファクト原因になりうる。その結果、延長された照明期間によって影響を受ける1つ以上の行、すなわち、照明期間がそれぞれの行のリセットの前に開始し、および/または、それぞれの行の読み取りの後に終了する行が除去または置換され、画像フレームは生成されうる。1つ以上の影響を受ける行は、1つ以上の所定の値で置換されうる。画像フレームは、所与の行内の各画素値が所定の値である1つまたは複数の行を含みうる。表示されるとき、画像フレームは、例えば、上部および/または下部に1つ以上の黒い線を伴って現れうる。いくつかの実施形態において、影響を受けた行をクロッピングすることなどによって、影響を受けた1つ以上の行が除去される。したがって、生成された画像フレームは、撮像センサからの画素データに含まれるよりも少ない行を含みうる。
【0125】
任意で、方法は、白色光(または、任意の他の可視光スペクトル)画像フレームおよび蛍光画像フレームの交互の生成をさらに含みうる。上記のステップ406では、照明光は白色光でありうり、ステップ408で生成された画像フレームは白色光画像フレームでありうる。後続のフレームの撮影期間は、蛍光画像フレームを生成するために使用されうる。したがって、後続のフレームの撮影期間において、白色光照明は、延長された垂直ブランキング期間にわたってオフのままである。白色光がオフの状態で、照明装置は、(例えば、組織内の蛍光剤および/または組織の自己蛍光に起因する)ターゲット組織からの蛍光発光の原因になるように、赤外光などの蛍光励起光を生成する。ターゲット組織からの蛍光発光は、画素行によって受光され、画素行の読み出しは、蛍光画像フレームを生成するために使用される。
【0126】
後続のフレームは、白色光フレームを撮影するために使用されうり、そのように、白色光照明は、次の垂直ブランキング期間にまたがる白色光照明期間にわたって提供されうる。この照明期間は、現在の蛍光画像撮影のための少なくともいくつかの行、例えば、最下部の行の積分期間に及びうり、したがって、上述のように、影響を受けた行が、置換または除去されうる。
【0127】
同様に、前の白色光フレームからの照明期間(例えば、上のステップ406)は、蛍光画像フレームの撮影中に、画素の少なくとも1行の積分期間内に及びうる。これは、影響を受ける1または複数の行に歪みを生じさせる原因になり、したがって、上述したように、影響を受ける1または複数の行は、除去されてもよいし、または、関連する画素データが1つ以上の所定の値に置換されてもよい。
【0128】
蛍光画像の撮影期間中の蛍光励起照明は、白色光照明期間に関して上述したように、フレームの垂直ブランキング期間にまたがる照明期間にわたって提供されうる。蛍光励起照明期間は、白色光照明期間と同じであってもよく、すなわち、同じ持続時間、同じ相対開始時間および/または同じ相対終了時間であってもよく、または、異なっていてもよい。
【0129】
蛍光励起光は、撮像の継続期間にわたって連続的に提供されてもよい。これは、組織が比較的短い延長された垂直ブランキング期間にわたるのではなく、画素の積分期間の持続時間にわたり蛍光を発光することになるため、組織からの蛍光発光に対する感度を増加させうる。連続した蛍光発光は、画素行の少なくともいくつかについて、前後の白色光フレームの撮影と重複することになるが(ローリングシャッタのため)、組織からの蛍光発光の強度は、反射された白色光の強度よりも十分に低く、その結果、白色光フレームの撮影中の画素の読み出しへの蛍光発光の寄与は無視できる可能性があるため、白色光画像フレームは、顕著に影響を受けない可能性がある。
【0130】
いくつかの実施形態によると、イメージャは、メカニカルシャッタを含みうり、メカニカルシャッタは、少なくとも照明期間中において、センサでの光の調整のために、開いたままにしておいてもよいし、そうでなければ使用しなくてもよい。イメージャにおける光強度の制御は、代わりに、照明光のパルス化を介して制御されてもよい。
【0131】
図5は、1つの実施形態による、白色光および蛍光画像フレームを交互に生成するための、撮像センサの画素行のリセットおよび読み出しと、照明装置の照明と、の例示的な相対的なタイミングを示す図である。撮像センサはN行を含み、最初の4行および最後の3行のリセットおよび読み出しが示されている。白色光画像フレームの撮影期間502と、それに続く蛍光画像フレームの撮影期間503と、が示されている。
【0132】
時間504において、最初の行506が読み出され、リセットされ、白色光画像フレームの積分期間510が開始される。各行は、最後の行508が時間505で読み出されリセットされるまで、連続して読み出されリセットされる。最初の行の読み出し/リセットから最後の行の読み出し/リセットまでの期間は、読出時間512(本明細書ではリセット時間とも呼ばれる)である。
【0133】
時間514において、最初の行506が読み出され(およびリセットされ)、最初の行506の積分期間510中に最初の行の画素で受光される光の量に関する最初の行506の画素についての強度値が提供される。最初の行506の読み出しは、最後の行508のリセットの後に行われる。各行は、時間534において最後の行508が読み出される(およびリセットされる)まで、連続して読み出される(およびリセットされる)。各行は、
図5の行の下に示されているように、同じ量の積分時間516を有する。
【0134】
最後の行508のリセットと最初の行506の読み出しとの間の時間の期間が、垂直ブランキング期間517である。垂直ブランキング期間517中、白色光照明が照明装置によって提供される。例示的な照明制御信号518が、
図5の下部に示されている。照明期間520は、時間522で開始し、時間524で終了し、すなわち、照明装置は、図示された時間フレームにおいて、この照明期間520外において照明を提供していない。図から分かるように、示された実施形態において、白色光照明の開始時間522は、最後の行508のリセットの前であり、照明期間520の終了時間524は、最初の行506の読出時間514の後である。この延長された照明期間(実際の垂直ブランキング期間は延長されないが、本明細書では延長された垂直ブランキング期間とも呼ばれる)は、単に照明期間520が垂直ブランキング期間517だけに制限されている場合よりも、電荷を蓄積するために、中間の画素行により多くの時間を提供する。
【0135】
蛍光光フレームは、上述したように、白色光フレームとほぼ同じ方法で撮影される。
図5の図示において、蛍光フレームの撮影期間503に対する最初の行のリセットは、簡略化のために、白色光画像フレームの撮影期間502に対する最初の行の読み出し時間514と同じものとして描かれている。蛍光フレームの場合、白色光制御信号518はローのままであり、蛍光励起光信号526がハイになり、照明装置に蛍光励起光を発光させる。蛍光励起光の発光期間528は、垂直ブランキング期間517にまたがり、時間530に始まり、時間532で終わる。
【0136】
白色光フレームの撮影期間502の照明期間520は、蛍光画像フレームの撮影期間503の少なくとも最初の行506の積分期間と重なるため、蛍光フレームの最初の行の読み出しは、最初の行506に関する組織の部分の蛍光応答に関して正確ではない。したがって、少なくとも最初の行506の読み出しは、ゼロなどの所定の値で置換される、または、画像フレームが、少なくとも最初の行を省略することによって生成される。さらに、後続の画像フレームは、蛍光画像フレームの撮影期間503の最後の行508の読み出し536の前に始まる白色光の照明期間520を有する別の白色光の画像フレームになるため、最後の行508の読み出し536もまた、正確ではなくなり、したがって、蛍光画像フレームを生成する際に置換または除去されることになる。
【0137】
蛍光画像フレームのための照明期間528は、白色光画像フレームのための照明期間520と同じ長さ、相対的開始時間、および/または、相対的終了時間とすることができる。代わりに、照明期間528が、反射された白色光に対する組織の蛍光応答を画像化するために要求される相対感度に従って、照明期間520とは異なることができる。いくつかの実施形態において、蛍光励起が常に提供され、これは上述のように、組織からの蛍光発光の比較的低い強度(および、本明細書で論じられるような蛍光励起光のフィルタリング)のため、白色光画像の撮影に顕著に影響を及ぼさない場合がある。
【0138】
以上のプロセスを繰り返すことによって、白色光画像フレームと蛍光画像フレームとが交互に生成される。白色光画像フレームおよび蛍光画像フレームは、ディスプレイ上に別々に表示されてもよいし、また、例えば、白色光画像フレームの上に蛍光画像フレームを重ね合わせて表示されてもよい。白色光フレームおよび蛍光フレームは、それぞれ、イメージャのフレームレートの半分で生成されうる。
【0139】
種々の実施形態によれば、延長された垂直ブランキング期間は、所望の感度と所望の視野とのバランスに応じて選択されうる。種々の実施形態によれば、延長された垂直ブランキング期間は、垂直ブランキング期間の長さの2倍未満、垂直ブランキング期間の3倍未満、垂直ブランキング期間の4倍未満、垂直ブランキング期間の5倍未満、または、垂直ブランキング期間の10倍未満でありうる。種々の実施形態によれば、延長された垂直ブランキング期間は、垂直ブランキング期間の長さの少なくとも2倍、垂直ブランキング期間の少なくとも3倍、垂直ブランキング期間の少なくとも4倍、垂直ブランキング期間の少なくとも5倍、または、垂直ブランキング期間の少なくとも10倍でありうる。種々の実施形態において、延長された垂直ブランキング照明期間の長さは、例えば、撮像センサでの強度の測定に基づいて動的に調節されうる。例えば、照明光の量が、前のフレームの撮像センサにおいて比較的高い光強度をもたらす場合、照明期間は、後続の撮像フレームにおいて短縮されうる。これは、照明光強度の調整の代わり、または、加えて行われうる。
【0140】
任意で、延長された垂直ブランキング照明期間によって生成されるアーチファクトに起因して除去または置換される画素データの行の相対数は、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、2%未満、1%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、または、0.0001%未満でありうる。いくつかの実施形態において、1つのタイプの撮像フレーム(例えば、蛍光撮像フレーム)の画素データの行は、除去または置換されるが、別のタイプの撮像フレーム(例えば、白色光撮像フレーム)の画素データの行は、除去または置換されない。これは、例えば、蛍光フレームおよび白色光フレームが、異なるディスプレイ上に表示される場合、または、同じディスプレイ上に並べて表示される場合に有用でありうる。
【0141】
感度を高めた画像フレームを生成する方法
図6は、2つのフレーム相当の積分時間を利用することによって、感度を高めた画像フレームを生成するための例示的な方法600を提供する。方法600は、システム300のローリングシャッタイメージャ302などのローリングシャッタイメージャと、システム300の光源330などの光源と、を有する、
図3の撮像システム300などの撮像システムによって行われうる。
【0142】
ステップ602では、ローリングシャッタイメージャの画素行が周知のローリングシャッタイメージャの動作に従って、最初の行から最後の行まで順次リセットされる。このリセット(読み出し)期間は、本明細書でリセットまたは読み出し期間と呼ばれる時間の量である。ステップ604では、ローリングシャッタイメージャの最後の行がリセットされると開始する照明期間にわたって、被検者のターゲット組織に照明装置からの照明光が照明される。照明期間が持続する時間量は、少なくともリセット/読み出し期間が持続する時間量である。
【0143】
ステップ606では、被検者の組織が照明光で照明されている間に、被検者の組織から受光される光に基づいて、少なくとも照明期間にわたってイメージャの画素行に電荷が蓄積される。ステップ608では、蓄積された電荷が最初の行から最後の行まで順次読み出される。実質的に最初の行が読み出される時点で、照明期間は終了し、組織は、もはや照明光で照明されない。したがって、組織は、最後の行のリセットと、それに続く最初の行の読み出しと、の間の期間に照明される。このように、イメージャの行のそれぞれは、同じ期間の時間、同じ時間の期間において同時の組織を照明した結果である、被検者の組織からの光を受光し、ローリングシャッタイメージャにおいてグローバルシャッタ効果を効果的に生成する。このグローバルシャッタ期間の時間は、方法400に関して上述した垂直ブランキング期間と同様であるが、少なくとも読み出し期間の長さ持続するため、著しく長くなる。
【0144】
任意で、このグローバルシャッタ期間は、イメージャが実行可能な他のすべての読み出し/リセットステップをスキップして、各行を2フレーム期間にわたって積分することによって作成される。これは、最大画像生成フレームレートの減少をもたらすが、ローリングシャッタ効果を導入することなくイメージャの感度を増加させる。換言すると、イメージャは、ある特定の公称フレームレート(すなわち、すべてのラインをリセット/読み出しするのに要する時間は、公称フレームレートを達成する能力を提供する)を生成することができるように駆動されるが、画像生成フレームレートが公称フレームレートの半分になるように、1つおきのフレーム読み出し/リセット動作がスキップされる。各行が、ターゲット組織からの光で露光されている間に積分している量(露光期間)は、垂直ブランキング期間の2倍に、すべてのラインをリセット/読み出しするのに要する時間の量を加えたものに等しくすることができる。いくつかの実施形態において、垂直ブランキング期間は、露光期間の長さが、単にすべてのラインをリセット/読み出しするのに要する時間の量であるように、排除されてもよい。
【0145】
ステップ610では、画素行に蓄積された電荷の読出値から画像フレームが生成される。方法400の延長された照明期間とは異なり、方法600における照明期間は、前後のフレームと重複しない。したがって、画像フレームを生成する際に、行を除去または置換する必要はない。
【0146】
イメージャは、メカニカルシャッタを含みうり、メカニカルシャッタは、少なくとも照明期間中において、センサでの光の調整のために、開いたままにしておいてもよいし、そうでなければ使用しなくてもよい。イメージャにおける光強度の制御は、代わりに、照明光のパルス化を介して制御されてもよい。
【0147】
図7は、1つの実施形態による、増加した感度を有する画像フレームを生成するための撮像センサの画素行のリセットおよび読み出しと、照明装置の照明と、の例示的な相対的なタイミングを示す図である。撮像センサはN行を含み、最初の4行および最後の3行のリセットおよび読み出しが示されている。画像フレームキャプチャ期間702、および、後続の画像フレームキャプチャ期間703の一番最初が示されている。
【0148】
時間704において、最初の行706が読み出され、リセットされ、画像フレームの積分期間710が開始される。各行は、最後の行708が時間705で読み出されリセットされるまで、連続して読み出されリセットされる。最初の行の読み出し/リセットから最後の行の読み出し/リセットまでの期間は、読出時間712(本明細書ではリセット時間とも呼ばれる)である。
【0149】
時刻711において、リセット期間および垂直ブランキング期間717が完了し、したがって、撮像装置は、別のリセット/読み出し動作が可能である。しかしながら、各行の積分期間がより長くなるように、このステップはスキップされる。この読み出し/リセット能力は、破線713によって示される。時間714において、最初の行706が読み出され(およびリセットされ)、最初の行706の積分期間710中に最初の行の画素で受光される光の量に関する最初の行706の画素についての強度値が提供される。最初の行706の読み出しは、最後の行508のリセットの(比較的)かなり後に行われる。各行は、時間734において最後の行708が読み出される(およびリセットされる)まで、連続して読み出される(およびリセットされる)。各行は、同じ量の積分時間716を有する。時刻714での読み出し/リセットをスキップするのに起因して、各行の積分期間は、実質的に2倍になりうる。
【0150】
図示の例では、最後の行708のリセットと最初の行706の読み出しとの間の時間の期間が、読み出し時間に垂直ブランキング期間717の2倍を加えたものに等しい。この間、イメージャの実質的に全ての行が同時に露光され、ローリングシャッタ効果が防止されるように照明光が提供されることができるグローバルシャッタウィンドウを効果的に生成する。例示的な実施形態において、照明光が、このグローバルシャッタウィンドウの全体の間で提供される。例示的な照明制御信号718が、
図7の下部に示されている。照明期間720の開始時間722は、最後の行708の読み出し/リセット時間705と同じでありうる。照明期間720の終了時間724は、最初の行706の読み出し/リセット時間714と同じでありうる。照明装置は、この照明ウィンドウの外ではオフである。照明期間は、グローバルシャッタ期間よりも短くすることができ、すなわち、最後の行の読み出しの後のある時点で開始することができ、および/または、最初の行の読み出しの前に終了することができる。
【0151】
いくつかの実施形態によれば、イメージャは、任意の適切なフレームレートで構成されうる。例示的なフレームレートは、少なくとも30fps、少なくとも60fps、少なくとも120fps、少なくとも240fpsを含む。グローバルシャッタウィンドウ時間および/または延長された垂直ブランキング時間は、一般に、イメージャのフレームレート能力に関連し、それによって、より速いフレームレートは、より短いグローバルシャッタウィンドウ時間および/またはより短い延長された垂直ブランキング時間に関連するであろう。
【0152】
パルス幅変調照明のための照明装置
図3の撮像システム300のような撮像システムは、上述のように、照明装置の照明光源をパルス化することによって、ターゲット物体(例えば、ターゲット組織)に提供される照明光の量を調整するように構成されてもよい。照明光の量は、撮像センサで受光される反射光(または、蛍光発光光)の量が制御されることができるように調整されうる。パルス幅変調(PWM)は、撮像フレーム毎など、イメージャで受け取られる光の量が迅速に調節できるように、ターゲット物体で受光する光の量を迅速に変化させることを可能にする。いくつかの実施形態において、光源のPWMが、メカニカルシャッタなどの撮像センサにおける光強度を調整する他の手段を置き換えることができる。いくつかの実施形態において、光源のPWMが、センサで光を調整するための一次機構を提供しうり、メカニカルシャッタが、光源の調整が不十分である場合に、二次機構を提供しうる。イメージャはまた、画像フレームの生成中の照明装置のPWM調整に加えて、ゲイン調整に依存してもよい。
【0153】
図8は、1つの実施形態による、パルス幅変調照明光を生成するために使用されうる例示的な照明装置800の構成要素を示すブロック図である。照明装置800は、白色光だけでなく赤外光などの蛍光励起光を生成するように構成されうる。照明装置800は、レーザダイオード830と、第1LED832と、第2LED834と、第3LED836と、を含む。レーザダイオード830は、蛍光励起光を提供するためのものでありうり、3つのLEDは、赤色光、緑色光、青色光、および、それらの任意の組合せ(例えば、白色光)などの可視光を提供するためのものでありうる。レーザダイオード830は、レーザダイオードドライバ838によって駆動される。第1LED832は第1LEDドライバ840によって駆動され、第2LED834は第2LEDドライバ842によって駆動され、第3LED836は第3LEDドライバ844によって駆動される。
【0154】
いくつかの実施形態において、レーザダイオード830は、約805nmから約810nmの範囲の波長を有する光を発光する赤外ダイオードである。いくつかの実施形態において、レーザダイオードは、約808nmの波長を有する光を発光する。好ましくは、第1LED832は、青色波長スペクトルの光を発光し、第2LED834は、緑色波長スペクトルの光を発光し、第3LED836は、赤色波長スペクトルの光を発光する。
【0155】
レーザダイオード830の前は、第1ダイクロイックフィルタ850であり、第1LED832の前は、第2ダイクロイックフィルタ852であり、第2LED834および第3LED836の両方の前は、第3ダイクロイックフィルタ854である。ダイクロイックフィルタ850、852、854は、それぞれ、特定の光を反射し、他の光の通過を可能にするように設計される。第1ダイクロイックフィルタ850は、レーザダイオード830からのレーザ光を反射しながら、3つのLED832、834、836すべてからの光(例えば、青色、緑色、赤色波長スペクトルの光)の通過を可能にする。第2ダイクロイックフィルタ852は、第1のLED832からの光を反射しながら、第2、第3LED834、836からの光の通過を可能にする。第3ダイクロイックフィルタ854は、第2のLED834からの光を反射しながら、第3LED836からの光の通過を可能にする。
【0156】
第1光学レンズ866が、第2ダイクロイックフィルタ852から受光する光を集光し、第1ダイクロイックフィルタ850を通過させるために、第1ダイクロイックフィルタ850と第2ダイクロイックフィルタ852との間に位置する。第2光学レンズ868が、第3ダイクロイックフィルタ854から受光する光を集光し、第2ダイクロイックフィルタ852を通過させるために、第2ダイクロイックフィルタ852と第3ダイクロイックフィルタ854との間に位置する。第3光学レンズ870が、第1ダイクロイックフィルタ850から受光する光を集光するために提供されうる。光は、光ファイバ光パイプなどの光伝送線880を介して照明装置800によって供給されうる。
【0157】
制御ライン810を介して、例えば、カメラ制御ユニットから受け取られうる種々のモードおよび制御信号により照明源を駆動および調整するためのコントローラ864が提供される。種々の実施形態による、例示的な照明モードは、レーザダイオード830がオフであり、第1LED832がオンであり、第2LED834がオンであり、第3LED836がオンである可視白色光モードを含むことができる。このモードは、例えば、上述した
図6の方法600において使用することができる。
【0158】
別の例示的な照明モードは、例えば、
図4の方法400においてなど、白色光および蛍光光画像フレームを交互に生成する際に使用することができる、交互の赤外励起光および白色光モードである。このモードでは、第1LED832、第2LED834および第3LED836は周期的に同時にオンし、レーザダイオード830は全ての時間または周期的にオンする。
【0159】
照明装置800およびイメージャの両方における白色光モードから白色光に加えて蛍光光照明モードへなどのモードからのモードへの切り替えは、カメラヘッドボタン、CCUタッチスクリーン、光源タッチスクリーン、無線コントローラタッチスクリーン、音声制御、足踏みペダル、または、任意の他の適切な機構の使用によって達成することができる。
【0160】
コントローラ864は、照明装置800内の個々の光源のパルス化を制御するように構成されてもよい。コントローラ864は、所望のパルス幅変調により、ドライバに光源を駆動および非駆動させるパルス制御信号を照明源ドライバに供給しうる。いくつかの実施形態において、コントローラ864は、制御ライン810を介して、カメラ制御システムなどの外部制御システムからPWM信号を受け取り、PWM信号を使用して光源をパルス化する。換言すると、光源の所望のPWMに対応する波形が、制御ライン810を介して照明装置800に供給されうり、このPWM波形は、PWM信号のソフトウェアベースの処理なしに、コントローラを介してドライバに供給されうる。他の実施形態において、コントローラ864が、外部制御システムから制御信号を受信し、受信した制御信号に従って、独自のPWM信号を生成する。例えば、CCUなどの外部コントローラは、相対強度制御パラメータを提供しうり、コントローラ864は、強度制御パラメータに従って、PWM信号を生成してもよい。
【0161】
例示的なイメージャ
図9は、3つの撮像センサを含む、例示的なローリングシャッタイメージャ916を示す。撮像装置916は、
図1のシステム10のカメラヘッド16として、または、システム300のイメージャ302として使用されうる。光は、経路988を介してイメージャに到達する。撮像装置916は、図示されていない他の構成要素のうち、トリクロイックプリズム990を含む。トリクロイックプリズム990は、第1ガラスプリズム992、第2ガラスプリズム994、第3ガラスプリズム996を含む。第1ガラスプリズム992と第2ガラスプリズム994との間は、第1ガラスプリズム992の外側にコーティングされた形態でありうる第1プリズムフィルタ998である。第1プリズムフィルタ998は、青色光を反射するが、赤色光、緑色光、赤外光などの他の光を透過する。第2ガラスプリズム994と第3ガラスプリズム996との間は、第2ガラスプリズム994にコーティングされた形態でありうる第2プリズムフィルタ900である。第2プリズムフィルタ900は、赤色光および赤外光を反射するが、緑色光などの他の波長の光の透過を可能にする。したがって、青色光は経路902に沿って透過され、赤色光および赤外線光は経路904に沿って透過され、緑色光は経路906に沿って透過される。
【0162】
第1カラーセンサ908は、第1ガラスプリズム992に隣接し、好ましくは固定して取り付けられる。第2カラーセンサ910は、第2ガラスプリズム994に隣接し、好ましくは固定して取り付けられる。第3カラーセンサ912は、第3ガラスプリズム996に隣接し、好ましくは固定して取り付けられる。第1カラーセンサ908は、青色波長スペクトルの光を検出することができ、第2カラーセンサ910は、赤色および赤外波長スペクトルの光を検出することができ、第3カラーセンサ912は、緑色波長スペクトルの光を検出することができる。カラーセンサ908、910、912は、光を受光し、光を電子信号に変換するCMOSイメージャなどのローリングシャッタイメージャであり、電子信号は、順々に、プロセッサ(例えば、システム10のCCU18)に送信され、システム10のモニタ20などのディスプレイに提供される画像のアナログ信号またはデジタル信号に処理される。
【0163】
任意で、撮像システムは、蛍光撮像システムである。
図10は、蛍光撮像システム1010の概略例である。蛍光撮像システム1010は、被験者の組織内(例えば、血液中、尿中、リンパ液中、髄液中、または、他の体液または組織)に蛍光造影剤1014からの蛍光発光を誘起するために被験者の組織を照明する光源1012、蛍光発光から時系列、および/または、被験者時系列の蛍光画像を生成するように配された画像取得アセンブリ1016、および、本明細書に記載の方法の変形の何れかによる、生成された時系列/被験者時系列の蛍光画像を処理するように配されたプロセッサアセンブリ1018を含む。プロセッサアセンブリ1018は、その上に命令を有するメモリ1068と、メモリ1068上の命令を実行して時系列、および/または、被験者時系列の蛍光画像を処理するように配されたプロセッサモジュール1062と、未処理および/または処理済みの、時系列および/または被験者時系列の蛍光画像を格納するためのデータ格納モジュール1064と、を含みうる。いくつかの変形例において、メモリ1068およびデータ格納モジュール1064は、同一の記憶媒体に具現化されうり、一方、他の変形例において、メモリ1068およびデータ格納モジュール1064は、異なる記憶媒体に具現化されうる。システム1010は、撮像データ処理ハブに、時系列/被験者時系列の蛍光画像または他の入力データの一部または全部、空間マップ、被写体空間マップ、および/または、組織数値(quantifier)のような、画像および他のデータを送信するための通信モジュール1066をさらに含みうる。
【0164】
いくつかの変形例において、光源1012は、例えば、照明モジュール1020を含む。照明モジュール1020は、蛍光造影剤1014を励起するための適切な強度および適切な波長を有する励起光を生成するように配された蛍光励起源を含みうる。
図11に示されるように、照明モジュール1020は、被験者の組織内の蛍光造影剤(不図示)を励起するための励起光を提供するように配されたレーザダイオード1022(例えば、1つ以上のファイバ結合ダイオードレーザを含みうる)を含みうる。種々の実施形態で使用されうる励起光の他の光源の例は、組織内の蛍光造影剤を励起させるのに十分な強度および適切な波長を有する、1つ以上のLED、アークランプ、または、他の照明技術を含む。例えば、蛍光造影剤が近赤外励起および発光特性を有する蛍光色素である、血液中の蛍光造影剤の励起は、ドイツのDILASダイオードレーザ社の、1つ以上の793nmの、伝導冷却された、単一バーの、ファイバ結合レーザダイオードモジュールを使用して行われうる。
【0165】
いくつかの変形例において、光源1012から出力された光は、関心のある組織エリアを照明するために使用される出力を形成および誘導するための1つ以上の光学素子を介して投影されうる。光学素子は、画像取得アセンブリ1016の実質的に全視野にわたってフラットフィールドを確保するように、1つ以上のレンズ、光ガイド、および/または、回折素子を含みうる。蛍光励起源は、蛍光造影剤1014(例えば、インドシアニングリーン(ICG)など)の吸収極大に近い波長で発光するように選択されうる。例えば、
図11に示されるように、レーザダイオード1022からの出力1024は、1つ以上の集束レンズ1026を通過し、次いで、例えば、米国のニューポートコーポレーション社から一般に入手可能である光パイプなどの均質化光パイプ1028を通過しうる。最後に、光は、例えば、米国のニューポートコーポレーション社から、また入手可能な粉砕ガラス回折素子などの光学回折素子1032(すなわち、1つ以上の光学ディフューザ)を通過しうる。レーザダイオード1022への電力は、例えば、米国のルミナパワー社から入手可能なもののような大電流レーザドライバによって供給されうる。レーザは、任意に、画像取得プロセス中にパルスモードで動作させてもよい。固体フォトダイオード1030のような光学センサは、照明モジュール1020に組み込まれうり、種々の光学素子からの散乱反射または拡散反射を介して照明モジュール1020によって生成された照明強度をサンプリングしうる。いくつかの変形例では、追加の照明源が、関心領域の上でモジュールを整列および位置決めする際のガイダンスを提供するために使用されうる。
【0166】
再び
図10を参照すると、いくつかの変形例において、画像取得アセンブリ1016は、蛍光造影剤1014からの蛍光発光から時系列、および/または、被験者時系列の蛍光画像を取得するように構成された蛍光撮像システム1010の構成要素でありうる。画像取得アセンブリ1016は、カメラモジュール1040を含みうる。
図12に示されるように、カメラモジュール1040は、撮像光学系(例えば、1046a、1046b、1048および1050)のシステムを用いて、蛍光発光を収集してイメージセンサアセンブリ1044上に集束させることによって、組織内の蛍光造影剤からの蛍光発光1042の画像を取得しうる。撮像センサアセンブリ1044は、少なくとも1つの2D固体イメージセンサを含みうる。固体イメージセンサは、電荷結合素子(CCD)、CMOSセンサ、CIDまたは同様の2Dセンサ技術でありうる。撮像センサアセンブリ1044によって変換された光信号から生じる電荷は、カメラモジュール1040内の適切な読出電子機器および増幅電子機器によって、デジタルおよびアナログ映像信号の両方を含む電気映像信号に変換される。
【0167】
蛍光撮像システムの例示的な変形例によれば、光源は、約800nm+/-10nmの励起波長を提供してもよく、画像取得アセンブリは、例えばICG蛍光撮像のために、NIR互換光学系を用いて>820nmの発光波長を使用する。例示的な実施形態において、NIR互換光学系は、GigE規格インタフェースを有するCCDモノクロ撮像センサと、光学フォーマットおよびマウントフォーマット(例えば、C/CSマウント)に関してセンサと互換性があるレンズと、を含みうる。
【0168】
いくつかの変形例において、プロセッサモジュール1062は、例えば、タブレット、ラップトップ、デスクトップ、ネットワークコンピュータ、または、専用スタンドアロンマイクロプロセッサなどの任意のコンピュータまたはコンピューティング手段を含む。例えば、プロセッサモジュール1062は、1つ以上の中央処理装置(CPU)を含みうる。例示的な実施形態において、プロセッサモジュール1062は、4つのCPUを有するクワッドコアの2.5GHzプロセッサであり、各CPUは、64ビットマイクロプロセッサ(例えば、INTEL Core i3、i5またはi7として、または、AMD Core FXシリーズとして市販されている)のようなマイクロプロセッサである。しかしながら、他の実施形態において、プロセッサモジュール1062は、任意の適切な数のCPUおよび/または他の適切なクロック速度を有する任意の適切なプロセッサでありうる。
【0169】
プロセッサモジュール1062のための入力は、例えば、
図12に示されるカメラモジュール1040の撮像センサ1044から、
図11の照明モジュール1020の固体フォトダイオード1030から、および/または、フットスイッチやリモートコントロールのような任意の外部制御ハードウェアから取得されうる。出力は、レーザダイオードドライバおよび光学アライメントエイドに提供される。
図10に示されるように、いくつかの変形例において、プロセッサアセンブリ1018は、取得したデータの記録および処理を可能にするために、例えば、内部メモリ(例えば、ハードディスクまたはフラッシュメモリ)のような有形の非一時的コンピュータ可読媒体に、時系列/被験者時系列の画像、または、それらを示すデータ、または、他の入力データを保存する機能を有するデータ保存モジュール1064を有しうる。いくつかの変形例において、プロセッサモジュール1062は、種々の要素の制御を可能にし、照明およびセンサシャッタの正確なタイミングを保証するための内部クロックを有しうる。いくつかの変形例において、プロセッサモジュール1062は、ユーザ入力およびグラフィック表示も提供しうる。蛍光撮像システムは、任意に、時系列の蛍光画像を取得しているとき、または、記録後に再生するときに送信するための、有線または無線ネットワーク接続や映像出力接続のような通信ユニット1066を備えて構成されうる。通信ユニット1066は、追加的または代替的に、空間マップ、被写体空間マップ、および/または、組織数値のような処理済みデータを送信しうる。
【0170】
図10~12に記載される例示的なシステムの動作において、被験者は、関心領域(例えば、ターゲット組織領域)が光源1012および取得アセンブリ1016の下方に位置するように、光源1012の照明モジュール1020が関心領域の実質的な全体にわたって実質的に均一な照明のフィールドを生成するように、蛍光撮像システム1010に対して相対的に配置される。いくつかの変形例において、蛍光造影剤1014を被験者に投与する前に、または、蛍光造影剤が関心領域に到達する前に、バックグラウンド除去の目的で関心領域の画像が取得されうる。蛍光画像/被験者蛍光画像を取得するために、蛍光撮像システム1010のオペレータは、遠隔スイッチまたはフットコントロールを押すことによって、または、プロセッサアセンブリ1018に接続されたキーボード(不図示)を介して、時系列/被験者時系列の蛍光画像の取得を開始しうる。その結果、光源1012がオンになり、プロセッサアセンブリ1018は、画像取得アセンブリ1016によって提供された蛍光画像データ/被験者蛍光画像データの記録を開始する。本実施形態のパルスモードで動作する場合、カメラモジュール1040の撮像センサ1044は、照明モジュール1020のダイオードレーザ822によって生成されたレーザパルスに続く蛍光発光を収集するように同期される。このようにして、最大の蛍光発光強度が記録され、信号対ノイズ比が最適化される。この実施形態において、蛍光造影剤1014は被検者に投与され、動脈流を介して関心領域に送られる。時系列/非検体時系列の蛍光画像の取得は、例えば、蛍光造影剤1014の投与直後に開始され、蛍光造影剤の浸入中、実質的に関心領域全体からの時系列の蛍光画像が取得される。関心領域からの蛍光発光は、カメラモジュール1040の収集光学系によって収集される。残留する周辺光および反射された励起光は、カメラモジュール1040の後続の光学素子(例えば、フィルタでありうる
図12の光学素子1050)によって減衰され、その結果、他の光源からの光による干渉を最小限にして、撮像センサアセンブリ1044によって蛍光発光が取得されうる。
【0171】
いくつかの変形例において、時系列/被験者時系列の蛍光画像の取得または生成に続いて、プロセッサアセンブリ1018(例えば、プロセッサモジュール1062または他のプロセッサ)は、次いで、メモリ1068に格納された命令を実行し、撮像データ処理システム(例えば、システム100のハブ102)への送信前に撮像データを処理するように開始されうる。システム1010は、接続1066を介して、空間マップ/被写体空間マップおび/またはそれらから導出される任意の臨床的相関または診断、あるいはその両方を、例えばグレースケールまたは着色画像として合成表示フィードでユーザに表示するため、および/または、その後の使用のために格納すべく、送信しうる。
【0172】
コンピュータプログラムプロダクト、または、コンピュータ実行可能(読み取り可能)プログラムコードが埋め込まれた有形の非一時的コンピュータ可読媒体は、命令を実行する際に、本明細書に記載の1つ以上の方法を実行させるための命令を、1つ以上のプロセッサに提供することができる。プログラムコードは、任意の適切なプログラミング言語で書かれ、例えば、書き込み不可能な記憶媒体(例えば、ROM、CD-ROMディスクなどのような読み取り専用メモリデバイス)に永続的に格納された情報、書き込み可能な記憶媒体(例えば、ハードドライブなど)に変更可能に格納された情報、ローカルエリアネットワーク、インターネットのような公衆ネットワークのような通信媒体を介してプロセッサに伝達された情報、または、電子命令の格納に適した任意のタイプの媒体を含むが、これに限られるものではなく、多くの形態でプロセッサに配信されることができる。本明細書に記載された方法の種々の実施形態を実装するコンピュータ可読命令を運ぶ場合、そのようなコンピュータ可読媒体は、種々の実施形態の例を示す。種々の実施形態において、有形の非一時的コンピュータ可読媒体は、すべてのコンピュータ可読媒体を含み、本発明の範囲は、媒体が有形及び非一時的の両方であるコンピュータ可読媒体に限定される。
【0173】
キットは、本明細書に記載されたシステムの任意の部分と、例えば、ICGのような蛍光色素または任意の適切な蛍光造影剤のような蛍光造影剤を含みうる。さらなる態様において、キットは、コンピュータ実行可能(読み取り可能)プログラムコードが埋め込まれた有形の非一時的コンピュータ可読媒体であって、命令を実行する際に、本明細書に記載された、組織の特性評価および/または臨床データの予測のための1つ以上の方法を実行させるための命令を、1つ以上のプロセッサに提供することができるコンピュータ可読媒体を含みうる。キットは、構成要素の少なくともいくつかの使用のための命令(例えば、蛍光造影剤を使用するため、命令が埋め込まれたコンピュータ実行可能(可読)なプログラムコードをインストールするためなど)を含みうる。さらに別の態様において、本明細書に記載された方法およびシステムで使用するための、例えば、蛍光色素のような蛍光造影剤が提供される。さらなる変形例において、キットは、本明細書に記載されたシステムの任意の部分または全体、および、例えば、ICGのような蛍光色素、または、任意の他の適切な蛍光剤、または、蛍光剤の組み合せのような蛍光剤を含みうる。
【0174】
撮像データの生成に使用する造影剤の例
いくつかの実施形態によると、蛍光医療用撮像アプリケーションにおいて、造影剤は、例えば、ICG色素のような蛍光造影剤である。ICGのような蛍光造影剤は、本明細書に記載されている方法を実行する前に、被検者に事前投与されうる。ICGは、被験者に投与された場合、血液タンパク質と結合し、血液と共に組織内を循環する。蛍光造影剤(例えば、ICG)は、ボーラスが血管系を循環し、微小血管系を通過するように、撮像に適した濃度で、ボーラス注入(例えば、静脈または動脈へ)として被験者に投与されうる。複数の蛍光造影剤が使用される他の実施形態において、そのような薬剤は、例えば、単回ボーラスで同時に投与されてもよいし、または、個別のボーラスで順次投与されてもよい。蛍光造影剤は、本明細書に記載されている方法を実行する前に、被検者に事前投与されうる。いくつかの実施形態において、蛍光造影剤は、カテーテルによって投与されうる。特定の実施形態において、蛍光造影剤は、蛍光造影剤から生じる信号強度の測定を行う前の1時間未満に投与されうる。例えば、蛍光造影剤は、測定を行う前の30分未満に被検者に投与されうる。さらに他の実施形態において、蛍光造影剤は、測定を行う少なくとも30秒前に投与されうる。さらに他の実施形態において、蛍光造影剤は、測定の実施と同時に投与されうる。
【0175】
いくつかの実施形態によると、蛍光造影剤は、血液中の所望の循環濃度を達成するために、種々の濃度で投与されうる。例えば、蛍光造影剤がICGである実施形態において、血液中で約5μM~約10μMの循環濃度を達成するために、約2.5mg/mLの濃度で投与されうる。種々の実施形態において、蛍光造影剤の投与のための上限濃度は、蛍光造影剤が循環血液中で臨床的に毒性を持つようになる濃度であり、下限濃度は、蛍光造影剤を検出するために、血液と共に循環する蛍光造影剤から生じる信号強度データを取得するための機器限界である。種々の他の実施形態において、蛍光造影剤の投与の上限濃度は、蛍光造影剤が自己消光する濃度である。例えば、ICGの循環濃度は、約2μM~約10mMの範囲でありうる。したがって、1つの態様において、方法は、種々の実施形態による信号強度データを処理する前に、造影剤(例えば、蛍光造影剤)を被験者に投与するステップと、信号強度データ(例えば、映像)の取得と、を含む。別の態様において、方法は、造影剤を被検者に投与する任意のステップを除外する。
【0176】
いくつかの実施形態によれば、蛍光画像データを生成するための蛍光撮像アプリケーションでの使用に適した蛍光造影剤は、血液と共に循環し(例えば、血液中のリポタンパク質または血清血漿等の血液成分と共に循環可能な蛍光色素)、組織の血管系(すなわち、大血管および微小血管系)を通過することができる造影剤であり、造影剤が適切な光エネルギ(例えば、励起光エネルギまたは吸収光エネルギ)に曝されたときに信号強度が生じる造影剤である。種々の実施形態において、蛍光造影剤は、蛍光色素、その類似体、その誘導体、または、これらの組み合せを含む。蛍光色素は、任意の非毒性の蛍光色素を含む。特定の実施形態において、蛍光色素は、近赤外スペクトルの蛍光を最適に放出する。特定の実施形態において、蛍光色素は、トリカルボシアニン色素である、または、トリカルボシアニン色素を含む。特定の実施形態において、蛍光色素は、ICG、メチレンブルーまたはそれらの組み合わせである、または、ICG、メチレンブルーまたはそれらの組み合わせを含む。他の実施形態において、蛍光色素は、各色素に適切な励起光波長を使用して励起可能な、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、オルトフタルアルデヒド、フルオレサミン、ローズベンガル、トリパンブルー、フルオロゴールドまたはその組み合わせである、または、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、オルトフタルアルデヒド、フルオレサミン、ローズベンガル、トリパンブルー、フルオロゴールド、または、それらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、蛍光色素の類似体または誘導体が使用されうる。例えば、蛍光色素類似体または誘導体は、化学的に改良されているが、適切な波長の光エネルギにさらされた場合に蛍光を発する能力を保持している蛍光色素を含む。
【0177】
種々の実施形態において、蛍光造影剤は、凍結乾燥粉末、凍結乾燥固体または液体として提供されうる。特定の実施形態において、蛍光造影剤は、滅菌シリンジで滅菌流体を投与することによって、適切な濃度に再構成できるバイアル(例えば、滅菌バイアル)で提供され得る。再構成は、任意の適切なキャリアまたは希釈剤を使用して行われうる。例えば、蛍光造影剤は、投与直前に水性希釈剤で再構成されうる。種々の実施形態において、蛍光造影剤を溶液中に維持する任意の希釈剤またはキャリアが使用されうる。一例として、ICGは、水で再構成されうる。いくつかの実施形態において、蛍光造影剤がいったん再構成されると、追加の希釈剤やキャリアと混合されうる。いくつかの実施形態において、蛍光造影剤は、例えば、溶解性、安定性、撮像特性、または、それらの組み合せを高めるために、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、合成ポリマー、または、糖のような別の分子に結合されうる。Tris、HCl、NaOH、リン酸緩衝液、および/または、HEPESを含む追加の緩衝剤が任意に添加されうる。
【0178】
蛍光造影剤の詳細を上述したが、当業者であれば、光学撮像モダリティに応じて、本明細書に記載されるシステム、方法、および、技術に関連して他の造影剤が使用されうることを理解するだろう。そのような蛍光剤は、体液(例えば、リンパ液、髄液)または体組織に投与されうる。
【0179】
いくつかの変形例において、本明細書に記載された方法、システムおよびキットと組み合わせて使用される蛍光造影剤は、侵襲外科的処置、低侵襲性外科的処置、非侵襲外科的処置、または、それらの組み合わせの前、間または後に実行されうる、血流撮像、組織灌流撮像、リンパ撮像、または、それらの組み合わせに使用されうる。被験者の組織を撮像する方法、または、電子ローリングシャッタイメージャを動作させる方法は、それ自体、任意の侵襲外科的ステップを除外してもよい。血流撮像、組織灌流撮像、リンパ撮像、または、それらの組み合わせの方法は、それ自体、任意の侵襲外科的ステップを除外してもよい。血流および組織灌流を伴う侵襲外科的処置の例は、心臓関連の外科的処置(例えば、オンポンプまたはオフポンプのCABG)や再建外科的処置を含む。非侵襲または低侵襲処置の例は、創傷(例えば、褥瘡などの慢性創傷)の治療および/または管理を含む。これに関連して、例えば、創傷の寸法(例えば、直径、面積)の変化、または、創傷および/または創傷周囲の組織灌流の変化など、創傷の経時的な変化が、方法およびシステムの適用によって経時的に追跡されうる。リンパ撮像の例は、1つ以上のリンパ節の識別、リンパ節ドレナージ、リンパ系マッピング、または、それらの組み合わせを含む。いくつかの変形例において、そのようなリンパ系撮像は、女性生殖系(例えば、子宮、子宮頸部、外陰部)に関連しうる。
【0180】
心臓への適用に関する変形例では、造影剤(例えば、ICG単独または他の造影剤との組み合わせ)は、例えば、中心静脈回路、バイパスポンプおよび/または心筋保護回路を通して静脈内に注入して、冠状血管系、微小血管系および/または移植片を流動および/または灌流させてもよい。ICGは、冠動脈中のICGの最終濃度が、約2.5mg(すなわち、2.5mg/mlの1ml)を中心回路またはバイパスポンプに注入した場合と略同一かそれ以下になるように、希釈されたICG/血液/生理食塩水として移植された血管の下方に投与されうる。ICGは、例えば、25mgの固体を、製造業者によってICGと共に提供されうる滅菌水性溶媒10mlに溶解することによって調製されうる。1ミリリットルのICG溶液が、500mlの滅菌生理食塩水と混合(例えば、1mlのICGを500mlの生理食塩水バッグに注入する)されうる。希釈されたICG/生理食塩水の30ミリリットルが、中心動脈回路またはバイパスポンプから無菌的に得られた被験者の血液10mlに添加されうる。血中のICGは、血漿蛋白質と結合し、血管外への漏出を防ぐ働きをする。ICGと血液の混合は、標準的な滅菌技術を用いて、滅菌の術野内で行うことができる。各移植片に対して、10mlのICG/生理食塩水/血液の混合液が投与されうる。ICGは、ニードルを使用して移植片の壁面を通して注入することによって投与するのではなく、移植片の(開放した)近位端に取り付けられたシリンジを使って投与することができる。移植片が採取される場合、生理食塩水で満たされたシリンジを取り付け、移植片の遠位端を封鎖し、移植片の下方に生理食塩水を注入することで、移植片を加圧し、第1の吻合を実施する前に(漏出、側枝等に関して)導管の完全性を評価することができるように、外科医は日常的に移植片の近位端にアダプタを取り付ける。他の変形例において、心臓撮像に関連して本明細書に記載された方法、投与量、またはそれらの組合せは、任意の血管および/または組織灌流撮像アプリケーションにおいて使用されうる。
【0181】
リンパ系マッピングは、リンパ系を介して広がる癌(例えば、乳癌、胃癌、婦人科癌)に対する効果的な外科的病期分類の重要な部分である。特定の節流域から複数の節を切除すると、急性または慢性のリンパ浮腫、知覚障害、および/または、血清腫形成を含深刻な合併症を引き起こしうるが、実際には、センチネルリンパ節の転移が陰性であれば、周囲のリンパ節も陰性である可能性が最も高い。例えば、乳癌手術では、腫瘍排出リンパ節(LN)の識別が、リンパ系を介して広がる癌の病期分類の重要なステップになっている。LNマッピングは、生検または切除のいずれかに係るLNの識別のための色素および/または放射性トレーサの使用、および、その後の転移の病理学的評価を含む。外科的病期分類時のリンパ節切除の目標は、癌が局所的に広がるリスクが高いLNを識別して切除することである。センチネルリンパ節(SLN)マッピングは、乳癌の治療における有効な外科的戦略として浮上している。一般に、転移(腋窩LNへの癌の広がり)が認められる場合、SLNに位置すべきであるという概念に基づいており、SLNは当技術分野では最初のLNまたは原発腫瘍から癌細胞が最も広がる可能性が高い節群と定義されている。SLNが転移に対し陰性である場合、周囲の二次及び三次LNも陰性であるはずである。SLNマッピングの主な利点は、従来の部分的または完全なリンパ節切除を受ける被験者の数を減少させ、その結果、リンパ浮腫やリンパ嚢胞等の付随する病的状態に苦しむ被験者の数を減少させることである。
【0182】
SLNマッピングの現在の標準的な治療は、原発腫瘍からのリンパドレナージ経路を識別するトレーサの注入を含む。使用されるトレーサは、ガンマプローブを用いた術中局在化のための放射性同位元素(例えば、テクネチウム-99またはTc-99m)でありうる。放射性トレーサ技術(シンチグラフィとして知られる)は、放射性同位元素を利用できる病院に限られており、核医学の医師の関与が必要であり、リアルタイムの視覚的ガイダンスは得られない。有色色素であるイソスルファンブルーも使用されているが、この色素は皮膚及び脂肪組織を通して見ることができない。また、青色染色の結果、乳房の刺青が数カ月続き、皮下注射で皮膚壊死が生じうり、まれにアナフィラキシーを伴うアレルギ反応も報告されている。重篤なアナフィラキシー反応は、イソスルファンブルーの注射後に生じている(患者の約2%)。その症状は、呼吸困難、ショック、血管浮腫、蕁麻疹および掻痒を含む。反応は、気管支喘息の既往歴がある被験者や、トリフェニルメタン色素に対するアレルギまたは薬物反応がある被験者に起こりやすい。イソスルファンブルーは、パルスオキシメトリによる酸素飽和度の測定や、ガス分析器によるメトヘモグロビンの測定を妨害することが知られている。イソスルファンブルーを使用すると、一過性または長期間の(刺青のような)青色の着色が生じる可能性がある。
【0183】
対照的に、SLNの視覚化、マッピングに使用するための様々な実施形態に係る蛍光撮像は、術中にLNおよび/または求心性リンパ管の直接的なリアルタイムの視覚的識別を容易にし、皮膚及び脂肪組織、血流の組織化、組織灌流またはそれらの組み合わせを通じた、リアルタイムで高解像度の光学的誘導を容易にする。
【0184】
いくつかの変形例において、蛍光撮像中のリンパ節の可視化、分類、または、その両方は、1つ以上の造影剤の撮像に基づいてもよく、これはさらに、ガンマプローブ(例えば、テクネチウムTc-99mは無色透明の水溶液であり、標準的なケアとして典型的に乳輪周囲領域に注入される)、別の従来使用されている着色造影剤(イソスルファンブルー)、および/または、例えば、組織学等の他の評価を用いて、視覚化および/または分類に基づいてもよい。被験者の乳房には、例えば、(比較のために)約1%イソスルファンブルーを2回注入し、約2.5mg/mlの濃度を有するICG溶液を2回注入されうる。イソスルファンブルーの注入は、ICGの注入に先行して行われてもよいし、または、その逆でもよい。例えば、TBシリンジ及び30Gニードルを用いて、麻酔下の被験者に、乳房の乳輪周囲領域に0.4ml(各部位に0.2ml)のイソスルファンブルーを注入することができる。被験者は、右乳房については12時および9時の位置、左乳房については12時および3時の位置に注入されうる。各乳房へのイソスルファンブルーの皮内注入の総用量は、約4.0mg(0.4mlの1%溶液:10mg/ml)でよい。別の例示的な変形例において、被験者は、最初にICG注入を受け、続いてイソスルファンブルーを受けてもよい(比較のため)。ICGの25mgバイアル1本は、ICG投与の直前に2.5mg/mlの溶液を得るために、10mlの注入用滅菌水で再構成されうる。TBシリンジと30Gニードルを用いて、例えば被験者は、乳房の乳輪周囲領域にICGを約0.1ml(各部位0.05ml)が注入され得る(右乳房については12時および9時の位置、左乳房については12時および3時の位置に注入が実施されうる)。各乳房へのイソスルファンブルーの皮内注入の総用量は、乳房あたり約0.25mg(2.5mg/ml溶液0.1ml)でよい。ICGは、例えば、注入あたり5~10秒の速度で注入されうる。ICGを皮内に注入すると、ICGのタンパク質結合特性により、ICGがリンパに速やかに取り込まれ、導管を通ってLNに移動する。いくつかの変形例において、ICGは、5%以下のヨウ化ナトリウムと25mgのICGを含む、滅菌された凍結乾燥粉末の形で提供されうる。ICGは、ICGを再構成するために使用される、注射用滅菌水からなる水性溶媒と共にパッケージされうる。いくつかの変形例において、乳癌センチネルリンパマッピングにおけるICG投与量(mg)は、投与経路に応じて、約0.5mgから約10mgの範囲でありうる。いくつかの変形例において、ICG投与量は、約0.6mgから約0.75mg、約0.75mgから約5mg、約5mgから約10mgでありうる。投与経路は、例えば、皮下、皮内(例えば、乳輪周囲へ)、乳輪下、腫瘍に重なる皮膚、腫瘍に最も近い乳輪内への皮内、乳輪内への皮下、腫瘍の上の皮内、乳房全体の乳輪周囲、または、それらの組み合わせでありうる。注入は、視覚化および/または分類の前でありうる。NIR蛍光陽性LN(例えば、ICGを使用)は、例えば、白黒NIR蛍光画像、および/または、フルまたは部分的なカラー(白色光)画像、フルまたは部分的に非飽和の白色光画像、強化されたカラー画像、オーバーレイ(例えば、任意の他の画像と蛍光)、様々な色、様々な非飽和レベル、または、関心がある特定の特徴を強調/視覚化するための様々な範囲の色を有しうる合成画像(例えば、他の画像に蛍光が組み込まれる)、として表されうる。さらなる視覚化および/または他の分析(例えば、定量化)のために、画像の処理がさらに実行されうる。乳癌患者におけるSLN生検のための米国乳腺外科学会(ASBrS:American Society of Breast Surgeons)の診療ガイドラインに従って、ICG及びSLNを単独で、またはガンマプローブ(Tc-99m)と組み合わせて、様々な実施形態に係る蛍光撮像システム及び方法を使用して、リンパ節及びリンパ管が(例えば、手術中に、リアルタイムで)視覚化されうる。LNの蛍光撮像は、腋窩のLNに至るリンパ管をたどって注入部位から始めることができる。LNの視覚画像が識別されると、皮膚を切開してLNマッピング及びLNの特定が行われ、ICGで視覚化されたノードが特定されるまでLNマッピングが実施されうる。LNマッピングの方法は、それ自体、任意の外科的ステップを除外しうる。比較のために、イソスルファンブルーを用いたマッピングは、「青色」の節が識別されるまで実行されうる。ICG単独または別の撮像技術(例えば、イソスルファンブルー、および/または、Tc-99m)と組み合わせて識別されたLNは、切除されるようにラベリングされうる。被験者は、様々なステージの乳癌(例えば、IA、IB、IIA)を有しうる。
【0185】
いくつかの変形例において、例えば、婦人科癌(例えば、子宮、子宮内膜、外陰および子宮頸部の悪性腫瘍)において、ICGは、リンパ節、リンパ管、またはそれらの組合せの視覚化のために、細胞間に投与されうる。細胞間に注入すると、ICGの蛋白質結合特性により、リンパ液に速やかに取り込まれ、導管を通ってSLNに移動する。ICGは、25mgのICG(例えば、25mg/バイアル)と5.0%以下のヨウ化ナトリウムを含む滅菌された凍結乾燥粉末の形で注入のために提供されうる。次いで、ICGは、使用前に市販の注入用水(滅菌)で再構成されうる。1つの実施形態によると、25mgのICGを含むバイアルを20mlの注入用水で再構成されうり、結果として1.25mg/mlの溶液を得られる。この1.25mg/ml溶液がトータルで4ml被験者に注入され(4×1ml注入)、被験者あたりのICGの総投与量を5mgとする。また、1%イソスルファンブルー10mg/mlの1ml溶液(比較目的のため)を子宮頸部に4回注入し、総投与量を40mgとすることもできる。注入は、手術室において被験者が麻酔状態にある間に行われうる。いくつかの変形例において、婦人科癌のセンチネルリンパ節の検出および/またはマッピングにおけるICGの投与量(mg)は、投与経路に応じて約0.1mgから約5mgの範囲でありうる。いくつかの変形例において、ICG用量は、約0.1mgから約0.75mg、約0.75mgから約1.5mg、約1.5mgから約2.5mg、約2.5mgから約5mgでありうる。投与経路は、例えば、子宮頸部注入、外陰部周囲注入、子宮鏡検査下子宮内膜注入、または、それらの組み合わせでありうる。LNを切除する際にマッピング手順を妨害するイソスルファンブルーまたはICGの流出を最小限に抑えるために、マッピングは半骨盤上で行われうり、イソスルファンブルーおよびICGの両方を用いたマッピングは、任意のLNの切除の前に行われうる。臨床ステージIの子宮内膜癌に対するLNマッピングは、子宮腫瘍に関するNCCNガイドライン、子宮内膜癌の外科的病期分類のためのSLNアルゴリズムに従って行われうり、臨床ステージIの子宮頸癌のSLNマッピングは、子宮頸部腫瘍に関するNCCNガイドライン、早期子宮頸癌の外科的/SLNマッピングアルゴリズムに従って行われうる。したがって、LNの識別は、ICG蛍光撮像単独、または、比色色素(イソスルファンブルー)および/または放射性追跡子との組合せまたは同時投与に基づいてもよい。
【0186】
リンパ節の視覚化は、定性的および/または定量的でありうる。このような視覚化は、例えば、リンパ節の検出、検出率、リンパ節の解剖学的分布を含みうる。様々な実施形態によるリンパ節の視覚化は、単独で、または、他の変数(例えば、バイタルサイン、身長、体重、人口統計、外科的予測因子、関連する病歴及び基礎状態、組織学的視覚化および/または評価、Tc-99m視覚化及び/または評価、併用薬)と組み合わせて使用されうる。フォローアップ訪問は、退院日およびその以降の日(例えば、1ヶ月)に行われうる。
【0187】
リンパ液は高レベルの蛋白質を含むため、ICGは、リンパ系に入ると、内因性蛋白質に結合しうる。本明細書に記載された方法及びシステムに従って使用される場合、リンパマッピングのための蛍光撮像(例えば、ICG撮像)は、以下の例示的な利点を提供する:NIRが有意な自家蛍光を生成しないため、高い信号対背景比(または腫瘍対背景比)、リンパマッピングのためのリアルタイム視覚化特徴、組織定義(即ち、構造的な視覚化)、血管系に入った後の迅速な排泄及び除去、ならびに、非イオン化放射線の回避。さらに、NIR撮像は、可視光(1~3mmの組織)よりも優れた、組織への浸透性(約5~10mmの組織)を有する。また、例えば、ICGの使用は、傍大動脈節を覆う腹膜を通しての視覚化を容易にする。組織蛍光は、NIR光では長期間観察できるが、可視光では観察することができず、結果的に病理学的評価やLNの処理に影響を及ぼさない。また、蛍光は、リンパ節の青色染色(イソスルファンブルー)よりも術中に検出しやすい。他の変形例において、リンパ管撮像に関連して本明細書に記載された方法、投与量、またはそれらの組合せは、任意の血管および/または組織灌流撮像アプリケーションにおいて使用されうる。
【0188】
組織灌流は、酸素及び栄養素が供給され、灌流される組織の毛細血管床から老廃物が除去される、単位組織体積あたりの血液の微小循環流に関連する。組織灌流は血管内の血流に関係するが、それとは異なるものである。定量化された血管を通る血流は、流れを定義する文言(すなわち、体積/時間)、または、速度を定義する文言(すなわち、距離/時間)で表されうる。組織血液灌流は、組織体積内の細動脈、毛細血管、または細静脈等の、微小血管系を通る血液の動きを定義する。定量化された組織血液灌流は、組織体積を通る血流、即ち、血液体積/時間/組織体積(または組織質量)の血流で表されうる。灌流は、より大きな直径の非栄養血管ではなく、血液と組織の間の代謝物の交換に関連する血管を含む栄養血管(例えば、毛細血管として知られる微小血管)に関連する。いくつかの実施形態において、対象組織の定量化は、速度、サイズ、体積、時間、距離/時間、および/または、体積/時間、および/または、前述のパラメータまたは量のうちの任意の1つ以上に関連する変化量などの、対象組織に関連するパラメータまたは量を計算または決定することを含みうる。しかしながら、より太い直径の血管を通る血液の動きと比較して、個々の毛細血管を通る血液の動きは、主に血管運動に起因する非常に不規則なものであり、血管緊張の自発的振動は、赤血球の動きの脈動として現れる。いくつかの実施形態において、システムおよび方法に関連して本明細書に記載された血流及び組織灌流撮像は、腫瘍組織を撮像し、そのような組織を他の組織から区別するために使用されうる。
【0189】
前述の開示は、説明の目的で、特定の実施形態を参照して開示された。しかしながら、上記の例示的な議論は、網羅的であることや、本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上述の教示に鑑みて、多くの修正および変形が可能である。実施形態は、技術の原理とそれらの実用的な応用を最もよく説明するために選択され、開示されたものである。これによって、当業者であれば、考えられる特定の用途に適した様々な変更を加えて、本技術および種々の実施形態を最良に利用することができる。本明細書では、明確かつ簡潔に説明するために、特徴を同一または別々の実施形態の一部として説明しているが、本発明の範囲には、説明した特徴のすべてまたは一部の組み合わせを有する実施形態が含まれることが理解されるであろう。
【0190】
本開示および例示は、添付の図面を参照して十分に記載されたが、種々の変更および修正が当業者には明らかになることに留意されたい。そのような変更および修正は、特許請求の範囲によって定義される開示および例示の範囲内に含まれるものとして理解されるべきである最後に、本出願において参照された特許および刊行物の開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】