(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(54)【発明の名称】ひも締め装置及びひもを備える製品
(51)【国際特許分類】
B65H 75/38 20060101AFI20220228BHJP
A44B 99/00 20100101ALI20220228BHJP
A43C 11/00 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
B65H75/38 Q
A44B99/00 611N
A43C11/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020538730
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(85)【翻訳文提出日】2020-07-07
(86)【国際出願番号】 CN2019128505
(87)【国際公開番号】W WO2021120266
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201911311853.6
(32)【優先日】2019-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520249550
【氏名又は名称】シェンチェン フィットゴー テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】フー、カイヤン
【テーマコード(参考)】
3F068
4F050
【Fターム(参考)】
3F068AA11
3F068CA02
3F068DA01
3F068FA03
4F050MA06
4F050MA28
(57)【要約】
【課題】ひも締め装置、及びひもを備える製品を提供する。
【解決手段】ひも締め装置は、回動部材と、ひもを巻くためのひも巻き部材とを有し、前記回動部材に移動可能な可動部材が少なくとも1つ設置され、前記可動部材が、前記回動部材がひも締め方向に沿って回動するとき、前記ひも巻き部材と結合するように構成され、前記可動部材が前記ひも巻き部材と結合する場合、前記回動部材、前記可動部材及び前記ひも巻き部材の三者が同期回動可能に接続される。該ひも締め装置は、構成が簡単で、操作されやすく、ユーザがひもを締めるとき、片手でひも締め方向に沿って回動部材を回動させるだけで操作を完成させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動部材と、ひもを巻くためのひも巻き部材とを有し、
前記回動部材に移動可能な可動部材が少なくとも1つ設置され、
前記可動部材は、前記回動部材がひも締め方向に沿って回動するとき、前記ひも巻き部材と結合するように構成され、
前記可動部材が前記ひも巻き部材と結合する場合、前記回動部材、前記可動部材及び前記ひも巻き部材の三者が同期回動可能に接続される
ことを特徴とするひも締め装置。
【請求項2】
前記可動部材は、噛合歯を備え、前記ひも巻き部材に、前記噛合歯に対応するリングギアが設置されることを特徴とする請求項1に記載のひも締め装置。
【請求項3】
前記回動部材にスライド溝が設けられ、前記可動部材に挿着部が設けられ、
前記挿着部が前記スライド溝内に挿入されてスライド可能に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のひも締め装置。
【請求項4】
前記回動部材に、前記可動部材を、前記回動部材の径方向に沿って移動するように駆動するための押し出し部が設けられ、
前記可動部材は、前記押し出し部と協働する押出用面を有し、
前記押し出し部は、押出構造を備え、前記押出構造が、前記回動部材が前記ひも締め方向に沿って回動するとき、前記押出用面を押圧して前記可動部材と前記ひも巻き部材との結合を実現するように構成され、
前記押出構造は、前記回動部材の中心軸に設けられ、
前記押出構造は、前記可動部材と一対一で対応する押圧部を備え、前記押圧部が前記押出用面を押圧するように構成され、
前記押し出し部は、押戻し構造をさらに備え、前記可動部材が、前記押出用面との反対側に設けられる押戻し用面を有し、
前記押戻し構造は、前記回動部材が前記ひも締め方向の反対方向に沿って回動するとき、前記押戻し用面を押圧して前記可動部材と前記ひも巻き部材との分離を実現するように構成され、
前記押戻し構造は、前記可動部材と一対一で対応する押戻しブロックを備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のひも締め装置。
【請求項5】
前記ひも巻き部材は、固定部材内に回動可能に設置され、前記回動部材は、前記固定部材に環装して回動可能に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載のひも締め装置。
【請求項6】
前記固定部材に、前記回動部材を、前記ひも締め方向に沿って回動しかできないように制限するための回動制限部材が設置され、
前記回動制限部材が、ラチェットを備え、前記回動部材に、前記ラチェットに対応するディテントが設けられ、
前記回動部材が、回転キャップと、前記回転キャップ内に回動可能に設置される回転盤とを備える
ことを特徴とする請求項5に記載のひも締め装置。
【請求項7】
前記回転キャップに、前記回転盤を、前記ひも締め方向に沿って回動するように駆動するための駆動部が設けられ、
前記駆動部は、円弧状溝を備え、前記回転盤に、前記円弧状溝と同軸に設けられるとともに一対一で対応する突起が設けられ、
前記突起が前記円弧状溝内に挿入され、前記円弧状溝の端部が前記突起に当接することにより、前記回転盤を前記回転キャップと同期に回動させ、
前記円弧状溝が、複数設けられるとともに、前記回転キャップの中心軸に対して環状にアレイ型に配置される
ことを特徴とする請求項6に記載のひも締め装置。
【請求項8】
前記回転キャップに、前記回転盤と係合するための係合部が設けられることを特徴とする請求項6に記載のひも締め装置。
【請求項9】
前記係合部は、弾性を有する係合フックを備え、前記回転盤に前記係合フックと係合する係合溝が設けられ、
前記係合フックが、複数設けられるとともに、前記回転キャップの中心軸に対して環状にアレイ型に配置される
ことを特徴とする請求項8に記載のひも締め装置。
【請求項10】
ひもと、請求項1~9のいずれか1項に記載のひも締め装置とを有することを特徴とするひもを備える用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関係出願の相互参照]
本出願は、2019年12月18日に中国専利局に提出された、出願番号が201911311853.6であり、名称が「ひも締め装置及びひもを備える製品」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容が、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、ひも結びの技術分野に属し、殊に、ひも締め装置、及びひもを備える製品に関する。
【背景技術】
【0003】
通常、靴、衣服及び医療用ガード用品等の製品にひもが設けられ、ユーザがひもの緊緩を調節することによって締めたり緩めたりする目的を達することができる。
【0004】
従来、ひもの緊緩の調節、特にひもを締めることは、両手を使わなければならない。例えば、靴ひもを結びとき、両手でひもの両端をそれぞれ引っ張ることによって靴ひもを締める。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願は、従来技術における欠陥を克服して、従来技術におけるひも締め操作が煩雑である問題を解決するためのひも締め装置、及びひもを備える製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するため、本出願に係るひも締め装置は、回動部材と、ひもを巻くためのひも巻き部材とを有し、
前記回動部材に移動可能な可動部材が少なくとも1つ設置され、
前記可動部材は、前記回動部材がひも締め方向に沿って回動するとき、前記ひも巻き部材と結合するように構成され、
前記可動部材が前記ひも巻き部材と結合する場合、前記回動部材、前記可動部材及び前記ひも巻き部材の三者が同期回動可能に接続される。
【0007】
上記の技術案の更なる改良として、前記可動部材は、噛合歯を備え、前記ひも巻き部材に、前記噛合歯に対応するリングギアが設置される。
【0008】
上記の技術案の更なる改良として、前記回動部材にスライド溝が設けられ、前記可動部材に挿着部が設けられ、
前記挿着部が前記スライド溝内に挿入されてスライド可能に接続される。
【0009】
上記の技術案の更なる改良として、前記回動部材に、前記可動部材を、前記回動部材の径方向に沿って移動するように駆動するための押し出し部が設けられ、
前記可動部材は、前記押し出し部と協働する押出用面を有し、
前記押し出し部は、押出構造を備え、前記押出構造が、前記回動部材が前記ひも締め方向に沿って回動するとき、前記押出用面を押圧して前記可動部材と前記ひも巻き部材との結合を実現するように構成され、
前記押出構造は、前記回動部材の中心軸に設けられ、
前記押出構造は、前記可動部材と一対一で対応する押圧部を備え、前記押圧部が前記押出用面を押圧するように構成され、
前記押し出し部は、押戻し構造をさらに備え、前記可動部材が、前記押出用面との反対側に設けられる押戻し用面を有し、
前記押戻し構造は、前記回動部材が前記ひも締め方向の反対方向に沿って回動するとき、前記押戻し用面を押圧して前記可動部材と前記ひも巻き部材との分離を実現するように構成され、
前記押戻し構造は、前記可動部材と一対一で対応する押戻しブロックを備える。
【0010】
上記の技術案の更なる改良として、前記ひも巻き部材は、固定部材内に回動可能に設置され、前記回動部材は、前記固定部材に環装して回動可能に接続される。
【0011】
上記の技術案の更なる改良として、前記固定部材に、前記回動部材を、前記ひも締め方向に沿って回動しかできないように制限するための回動制限部材が設置され、
前記回動制限部材が、ラチェットを備え、前記回動部材に、前記ラチェットに対応するディテントが設けられ、
前記回動部材が、回転キャップと、前記回転キャップ内に回動可能に設置される回転盤とを備える。
【0012】
上記の技術案の更なる改良として、前記回転キャップに、前記回転盤を、前記ひも締め方向に沿って回動するように駆動するための駆動部が設けられ、
前記駆動部は、円弧状溝を備え、前記回転盤に、前記円弧状溝と同軸に設けられるとともに一対一で対応する突起が設けられ、
前記突起が前記円弧状溝内に挿入され、前記円弧状溝の端部が前記突起に当接することにより、前記回転盤を前記回転キャップと同期に回動させ、
前記円弧状溝が、複数設けられるとともに、前記回転キャップの中心軸に対して環状にアレイ型に配置される。
【0013】
上記の技術案の更なる改良として、前記回転キャップに、前記回転盤と係合するための係合部が設けられる。
【0014】
上記の技術案の更なる改良として、前記係合部は、弾性を有する係合フックを備え、前記回転盤に前記係合フックと係合する係合溝が設けられ、
前記係合フックが、複数設けられるとともに、前記回転キャップの中心軸に対して環状にアレイ型に配置される。
【0015】
本出願は、ひもと、上記のひも締め装置とを有する、ひもを備える用品をさらに提供する。
【発明の効果】
【0016】
本出願は、下記の有益な効果を有する。本出願に係るひも締め装置は、回動部材とひも巻き部材とを有し、ユーザがひも締め方向に沿って回動部材を回動させるとき、可動部材とひも巻き部材とが結合される。このとき、回動部材、可動部材及びひも巻き部材の三者は同期回動可能に接続される。したがって、ひも締め方向に沿って回動部材を回動させるとき、ひも巻き部材もひも締め方向に沿って回動するので、ひもの締め操作を完成させることができる。
【0017】
該ひも締め装置は、構成が簡単で、操作されやすく、ユーザがひもを締めるとき、片手でひも締め方向に沿って回動部材を回動させるだけで操作を完成させることができる。
【0018】
以下、本出願における実施例の技術案をより明瞭に説明するため、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。説明する図面は、本出願の一部の実施例を示すものに過ぎず、範囲を限定するものではない。当業者は、発明能力を用いなくても、これらの図面に基づいてその他の関連図面を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図4】結合される可動部材とひも巻き部材を示す模式図である。
【
図11】押出構造の押圧部が可動部材に作用しない場合の状況を示す模式図である。
【
図12】押出構造の押圧部が可動部材に作用する場合の状況を示す模式図である。
【
図13】押戻し構造が可動部材に作用する場合の状況を示す模式図である。
【
図14】ひも巻き部材とひもの接続を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願における実施例を詳細に説明する。前記実施例は、図面に例示され、その内、同様又は類似の符号が、同様又は類似の素子或いは同様又は類似の機能を備える素子を表す。図面を参照しながら説明される下記の実施例は、本出願を説明するための例示的なものであり、本出願を限定するものではない。
【0021】
本出願の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」及び「周方向」等の用語で表される方位又は位置関係は、図面に基づくものであり、本出願を便宜及び簡略に説明するためのものに過ぎず、該当装置又は素子が、必ず定められた方向を有したり、定められた方向に構成されたり、操作されたり、することを明示又は暗示するものではないため、本出願を限定するものではないと理解すべきである。
【0022】
また、用語「第1」及び「第2」は、説明するためのものに過ぎず、相対重要性を明示又は暗示したり、技術的特徴の数を暗示したりするものではない。このため、「第1」及び「第2」により限定される特徴は、1つ又は複数の該特徴を含むことを明示又は暗示することができる。本出願の説明において、別途の具体的な限定がない限り、「複数」は、2つ以上を意味する。
【0023】
本出願の説明において、明確な定義や限定がない限り、「取付」、「連係」、「接続」、「固定」などの用語を、広義的に理解すべきである。例えば、固定接続でもよいし、取外し可能な接続でもよいし、一体的な接続でもよい。そして、機械的な接続でもよいし、電気的な接続でもよい。また、直接に接続してもよいし、中間物を介して間接に接続してもよいし、2つの素子の内部が連通し又は2つの素子が相互に作用してもよい。当業者は、本出願における上記用語の具体的な意味を、具体的な状況に応じて理解することが可能である。
【0024】
本出願では、明確な規定や限定がない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」に位置するとは、第1の特徴と第2の特徴が直接接触してもよく、第1の特徴と第2の特徴が中間物を介して間接的に接触してもよい。そして、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」又は「上面」に位置することは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上に位置することを示してもよく、又は第1の特徴の高さが第2の特徴の高さより高いことだけを示してもよい。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」又は「下面」に位置することは、第1の特徴が第2の特徴の真下及び斜め下に位置することを示してもよく、又は第1の特徴の高さが第2の特徴の高さより小さいことだけを示してもよい。
【0025】
実施例1
図1に示すように、本実施例によるひも締め装置は、回動部材1と、ひもを巻くためのひも巻き部材2とを有する。回動部材1に移動可能な可動部材3が少なくとも1つ設置される。可動部材3は、回動部材1がひも締め方向に沿って回動するとき、ひも巻き部材2と結合するように構成される。可動部材3がひも巻き部材2と結合する場合、回動部材1、可動部材3及びひも巻き部材2の三者が同期回動可能に接続される。
【0026】
ユーザがひも締め方向に沿って回動部材1を所定の角度回動させたとき、可動部材3がひも巻き部材2と結合され、回動部材1、可動部材3及びひも巻き部材2の三者が同期回動可能に接続される。したがって、ひも締め方向に沿って回動部材1を回動させるとき、ひも巻き部材2もひも締め方向に沿って回動するようになり、これによって、ひもの締め操作を完成させる。
【0027】
本実施例では、生産コスト及び安定性等などの面を考慮すれば、可動部材3を2つ設置する。可動部材3は、回動部材1の旋回軸の軸線に対して環状にアレイ型に配置されることが可能である。
【0028】
実際の生産では、必要に応じて可動部材3の数を設定することが可能であり、例えば、1つ、3つ又は4つ等であってもよい。
【0029】
図2及び
図3に示すように、可動部材3は、噛合歯4を備え、ひも巻き部材2に、噛合歯4に対応するリングギア5が設置される。ひも巻き部材2に設置されるリングギアは、内歯ギヤであってもよい。
【0030】
図4に示すように、可動部材3とひも巻き部材2とが結合される場合、噛合歯4とリングギア5とが噛合状態に保たれ、このようにして、可動部材3とひも巻き部材2とは同期回動可能に接続される。
【0031】
図1に示すように、本実施例において、ひも締め装置は、回動部材1及びひも巻き部材2以外、固定部材6と、固定部材6に設置される縫合部材7とをさらに有する。縫合部材7と固定部材6とは、係合又は接着等の方式により固定接続される。
【0032】
図6に示すように、固定部材6の底部に挿入脚29と位置決め脚30とが設けられる。
【0033】
図8に示すように、縫合部材7は、全体として円形に形成され、プラスチック等材料で製造することができる。固定部材6との接続を容易にするため、縫合部材7に、挿入脚29に対応する挿入孔31と、位置決め脚30に対応する位置決め溝32が設けられる。取り付けるとき、挿入脚29を挿入孔31に挿入するとともに位置決め脚30を位置決め溝32に挿入する。
【0034】
図7に示すように、ひも巻き部材2は、回動可能に固定部材6の内部に設置され、回動部材1が、固定部材6に環装されて回動可能に接続される。回動部材1及び縫合部材7は、それぞれ固定部材6の頂部及び底部に設置される。
図7では縫合部材7が示されていない。
【0035】
図3と
図5に示すように、ひもの取り付けを容易にするため、固定部材6にひも通し孔8が設けられ、ひも巻き部材2にひも通し孔8に対応するひも進入孔9が設けられる。ひも進入孔9は、ひも巻き部材2のひも溝10内に設けられる。
【0036】
図14に示すように、ひもの端部を、ひも通し孔8とひも進入孔9を順に経由してひも巻き部材2の内部まで通し、ひも巻き部材2の底部の開口から外にはみ出させ、そして、太くさせることによりひも進入孔9から脱出させないように、ひもの端部を結ぶ。ひもを巻く場合、ひも巻き部材2を固定部材6に対して回動させる。これによって、ひもがひも巻き部材2の外壁におけるひも溝10に巻かれ、ひもが締められる。
【0037】
縫合部材7は、接着剤による接着、又は針、線による縫合等の方式により、ひも締め装置を、靴、バッグ及び医療用ガード用品等のひもを備える用品に取り付けるためのものである。
【0038】
簡単に理解するため、以下、ひも締め装置の部材、部品を説明する。
【0039】
図9と
図10に示すように、本実施例において、回動部材1は、回転キャップ11と、回転キャップ11内に回動可能に設置される回転盤12を備え、回転盤12が、所定の角度範囲内で、回転キャップ11に対して回動可能である。回転キャップ11は、ひも締め方向に沿って所定角度で回動したあと、回転盤12に当接するため、その後、回転盤12と回転キャップ11とが同期回動するようになる。
【0040】
図7に示すように、回転キャップ11は、固定部材6に環装される。回転キャップ11に弾性のスナップフィット13が設置され、固定部材6の頂部にリング状のフランジ14が設置されることが可能である。スナップフィット13をフランジ14に係合させることにより、回転キャップ11と固定部材6との組立を実現する。
【0041】
図2に示すように、可動部材3は、第1接続部15と第2接続部16とを備え、噛合歯4が第1接続部15に設けられる。噛合歯4と第2接続部16は、それぞれ第1接続部15の反対する両側に設けられる。
【0042】
可動部材3に、挿着部17が設けられてもよく、挿着部17が第1接続部15の底部に設けられる。
【0043】
第2接続部16は、押出用面18と押戻し用面19との2つの反対する面を有する。押出用面18は、第2接続部16において噛合歯4から離間するとともに噛合歯4との反対側の面であり、押戻し用面19は、第2接続部16において噛合歯4に近隣するとともに噛合歯4に向かう面である。
【0044】
本実施例では、可動部材3は、プラスチック又は金属で製造でき、第1接続部15と第2接続部16とが一体に形成される構造である。
【0045】
図10に示すように、可動部材3とひも巻き部材2との可動接続を実現するため、回動部材1の回転盤12にスライド溝28が設置される。
【0046】
可動部材3の挿着部17は、スライド溝28内に挿入されてスライド可能に接続される。スライド溝と可動部材3とは一対一で対応する。
【0047】
本実施例では、スライド溝28は、2つ設けられ、可動部材3と一対一で対応する。
【0048】
回転盤12の中部に、2つのスライド溝28の間に位置する中心貫通孔が設けられる。
図10に示すように、中心貫通孔は、両側のスライド溝28と連通する。
【0049】
本実施例では、可動部材3は、回動部材1の径方向に沿って移動可能である。
【0050】
可動部材3を移動させて、可動部材3とひも巻き部材2との結合及び分離を実現するため、本実施例では、回動部材1の回転キャップ11に、可動部材3を、回動部材1の径方向に沿って移動させるように駆動するための押し出し部が設けられる。ひも締め方向の沿って回転キャップ11を回動させるとき、押し出し部と可動部材3の押出用面18とが協働し、可動部材3とひも巻き部材2との結合を実現する。ひも締め方向の反対方向に沿って回転キャップ11を回動させるとき、押し出し部と可動部材3の押戻し用面19とが協働し、可動部材3とひも巻き部材2との分離を実現する。
【0051】
図9に示すように、押し出し部は、押出構造20を含む。回転キャップ11がひも締め方向に沿って回動するとき、押出構造20は、可動部材3とひも巻き部材2との結合を実現するように、押出用面18を押圧する。
【0052】
押出構造20は、回動部材1の中心軸に設けられることが可能である。回転盤12が回転キャップ11に取り付けられているとき、押出構造20が回転盤12の中心貫通孔内に挿入される。
【0053】
本実施例では、押出構造20は、可動部材3と一対一で対応し且つ押出用面18を押圧するように構成される押圧部33を備える。押圧部33を一体的なものとみなすとき、押出構造20では、押圧部33が押出構造20の中心から最も離れている部分である。
【0054】
図11と
図12において、図面における反時計回りの方向はひも締め方向である。
【0055】
反時計回りの方向に沿って回動部材1を回動させるとき、押圧部33の端面は、押出用面18と密接したまま、可動部材3の噛合歯4とリングギア5とが噛合するまで可動部材3を移動させる。噛合歯4がリングギア5と噛合したあと、リングギア5に制限されるため、可動部材3がそれ以上に移動できなくなり、押出構造20、可動部材3及びリングギア5の三者が相対的に静止した状態になる。
【0056】
本実施例では、可動部材3の数及び製造コスト等の要素を考慮して、押出構造20の横断面が平行四辺形に形成される。このようにして、押出構造20は、可動部材3とそれぞれ一対一で対応する対向の2つの側面を有するようになる。
【0057】
押出用面18と押圧部33の端面との密接性を確保するため、押出用面18を平坦面に形成させる。
【0058】
図11と
図12に示すように、ひも締め方向において、押出用面18と回動部材1の中心軸との距離が徐々に大きくなる。また、押出用面18に対応するように、ひも締め方向において、押圧部33の端面と旋回部材の中心軸との距離が徐々に小さくなる。したがって、押出構造20の横断面が、直角を有しない平行四辺形となる。
図11に示すように、押出構造20の横断面の最下方の角が鋭角である。
【0059】
このようにして、押圧部33の端面と押出用面18との密接に寄与できる。また、押圧部33の端面と押出用面18とが密接したあと、ひも締め方向に沿って回転キャップ11をこれ以上回動させると、押圧部33の端面と押出用面18とが、分離しないようにますますきつく密接する。
【0060】
なお、実際の製造では、可動部材3の数が変わる場合、押出構造20の形状も対応に調整する必要がある。
【0061】
図9に示すように、押し出し部は、押戻し構造21をさらに備え、可動部材3は、押出用面18との反対側に設けられる押戻し用面19をさらに有する。回動部材1の回転キャップ11がひも締め方向と反対する方向に沿って回動するとき、押戻し構造21が押戻し用面19を押圧して可動部材3とひも巻き部材2との分離を実現する。
【0062】
押戻し構造21は、可動部材3とが一対一で対応する押戻しブロックを含む。
【0063】
図13に示すように、可動部材3とひも巻き部材2とを分離するとき、押戻しブロックの内側が可動部材3の押戻し用面19を押圧して、可動部材3を移動させる。押戻しブロックと可動部材3とをより順調に接触させるため、押戻しブロックの内側に円弧ガイド面が設けられ、対応に押戻し用面19が円弧面に形成される。
【0064】
ユーザがひもを緩めるとき、ひも締め方向の反対方向に沿って回転キャップ11を回動させて、押圧部33と押出用面18とを分離することによって、可動部材3とひも巻き部材2との分離を実現する。この場合、ユーザがひもを引いてひも巻き部材2を逆回転させればひもを緩めることができる。
【0065】
図5に示すように、固定部材6に、回動部材1をひも締め方向に沿って回動しかできないように制限するための回動制限部材22が設置される。
【0066】
図5と
図10に示すように、回動制限部材22は、ラチェットで構成され、回動部材1の回転盤12に、ラチェットに対応するディテント23が設けられる。ディテント23は弾性を有するものである。このようにして、回転キャップ11を逆回動させようとするとき、回転盤12と固定部材6とは相対的に回動しない。
【0067】
ひもを締めるため、ひも締め方向に沿って回転キャップ11を回動させるとき、回転盤12を回転キャップ11の回動と同期に移動させる必要がある。回転盤12の回動時だけ、回転盤12にスライド可能に設置される可動部材3を回動させることができ、これによって、ひも巻き部材2の回動を実現する。
【0068】
回転キャップ11に、回転盤12を、ひも締め方向に沿って回動するように駆動する駆動部24が設けられる。
【0069】
図9と
図10に示すように、駆動部24は、円弧状溝を備え、回転盤12に、円弧状溝と同軸に設置されるとともに一対一で対応する突起25が設けられる。突起25が円弧状溝内に挿入され、円弧状溝の端部が突起25に当接することにより、回転盤12と回転キャップ11が同期して回動する。
【0070】
回転キャップ11を回動させ、突起25が円弧状溝の端部まで移動したとき、円弧状溝の端部が突起25に当接し、よって、回転キャップ11が突起25を押したまま回動し、回転盤12と回転キャップ11との同期回動が実現される。
【0071】
円弧状溝は、複数設けられるとともに、回転キャップ11の中心軸に対して環状にアレイ型に配置される。このようにして、回転盤12に対する回転キャップ11の駆動力は、安定でバランスがよりよくなり、単独の突起25にかかる力が過大になったことに起因した断裂が避けられる。
【0072】
通常の使用では、移動又は振動に起因した回転キャップ11と回転盤12との間の緩みの発生を避けるため、回転キャップ11に、回転盤12と係合するための係合部26が設けられる。
【0073】
外力がない場合、係合部26により、押圧部33の端面と押出用面18との密接が保たれる。回転キャップ11を反対方向に回動させる場合だけ、回転キャップ11の係合部26と回転盤12とが分離される。
【0074】
図9と
図10に示すように、本実施例では、係合部26は、弾性を有する係合フックを備え、回転盤12に係合フックと係合する係合溝27が設けられる。係合フックは、複数設けられるとともに、回転キャップ11の中心軸に対して環状にアレイ型に配置される。
【0075】
回転キャップ11がひも締め方向に沿って回動する場合だけ、係合フックが係合溝27の入口から係合溝27内に挿入されて係合するように構成されるため、係合溝27を加工するとき、係合溝27の入口の向きを注意しなければならない。
【0076】
回転キャップ11の内部の空間を抑え、容易に加工できるため、係合フックと押戻しブロックとを一体に成形することができる。
【0077】
本実施例では、ひもと上記のひも締め装置とを有する、ひもを備える用品をさらに提供する。
【0078】
ひもを備える用品は、靴、バッグ及び医療用ガード用品等を含む。
【0079】
本明細書の説明では、「一実施例」、「一部の実施例」、「例」、「具体的な例」又は「一部の例」等を参照する表現は、該実施例又は例を用いて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本出願における少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記の用語に対する例示的な表現が必ずしも同様な実施例又は例を指しているとは限らない。そして、説明する具体的な特徴、構造、材料又は特性は、任意の1つ又は複数の実施例又は例において適切に結合されることができる。また、矛盾がない限り、当業者は、本明細書に説明する異なる実施例又は例、或いは異なる実施例又は例の特徴を結合したり組み合わせたりすることができる。
【0080】
上記のように本出願における実施例を示し、説明したが、上記の実施例は、例示的なものであり、本出願を限定するものではない。当業者は、本出願の範囲内で、上記の実施例に対して変化、変更、置換及び変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0081】
1 回動部材、2 ひも巻き部材、3 可動部材、4 噛合歯、5 リングギア、6 固定部材、7 縫合部材、8 ひも通し孔、9 ひも進入孔、10 ひも溝、11 回転キャップ、12 回転盤、13 スナップフィット、14 フランジ、15 第1接続部、16 第2接続部、17 挿着部、18 押出用面、19 押戻し用面、20 押出構造、21 押戻し構造、22 回動制限部材、23 ディテント、24 駆動部、25 突起、26 係合部、27 係合溝、28 スライド溝、29 挿入脚、30 位置決め脚、31 挿入孔、32 位置決め溝、33 押圧部。
【国際調査報告】