(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(54)【発明の名称】鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
E01B 29/06 20060101AFI20220228BHJP
B66F 9/18 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
E01B29/06
B66F9/18 V
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021523478
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 FI2019050855
(87)【国際公開番号】W WO2020115358
(87)【国際公開日】2020-06-11
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521176640
【氏名又は名称】カリオン ライデ オーユー
【氏名又は名称原語表記】KALLION RAIDE OY
【住所又は居所原語表記】c/o Mika Koivisto Liusketie 2 D 57 00710 Helsinki Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】コイヴィスト ミカ
【テーマコード(参考)】
2D057
3F333
【Fターム(参考)】
2D057BA03
2D057BA18
2D057BA33
3F333AA02
3F333AE21
(57)【要約】
鉄道建設のために枕木(102、318A、318B、318C)をバラスト道床(320)上に敷設するための装置(100、300)が開示される。本装置は、移動機構(106)を有する本体(104、302)と、本体の第1の側に配置されたフォークリフト(108)であって、少なくとも一組の枕木をバラスト道床の上方に持ち上げて保持するように作動可能なフォークリフトと、本体に移動可能に結合された一対の枢動アーム(110)であって、枢動アームの各々はグリッパ(112)を備え、一対の枢動アームのグリッパは、一組の枕木をフォークリフトから捕捉して、この一組の枕木を本体の第1の側から第1の側とは反対側の本体の第2の側に向けて移動するように作動可能である、一対の枢動アーム(110)とを備える。更に本装置は、本体の第2の側に装着されたクレードル構成(114、304)を備える。移動機構は、本装置を移動させるように作動可能である。一対の細長い固定支持部材が、一対の枢動アームのグリッパによって本体の第1の側から本体の第2の側に向けて移動された一組の枕木をその上に支持するように作用することができ、一対の可動支持部材は、一組の枕木を一度に1本ずつ一対の細長い固定支持部材から順次解放するための、一対の細長い固定支持部材に対する往復運動を行うように動作可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道建設のために枕木(102、318A、318B、318C)をバラスト道床(320)上に敷設するための装置(100、300)であって、
・ 移動機構(106)を有する本体(104、302)であって、前記移動機構は前記装置を移動させるように作動可能である、本体(104、302)と、
・ 前記本体の第1の側に配置されたフォークリフト(108)であって、少なくとも一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げて保持するように作動可能なフォークリフト(108)と、
・ 前記本体に移動可能に結合された一対の枢動アーム(110)であって、前記枢動アームの各々がグリッパ(112)を備え、前記一対の枢動アームの前記グリッパは、一組の枕木を前記フォークリフトから捕捉して、前記一組の枕木を前記本体の前記第1の側から前記第1の側とは反対側の前記本体の第2の側に向けて移動するように作動可能である、一対の枢動アーム(110)と、
を備えた装置(100、300)において、
・ 前記本体の前記第2の側に装着されクレードル構成(114、304)であって、
前記クレードル構成は、
・ 前記本体の前記第2の側から延在する一対の、互いから離して配置された、細長い固定支持部材(204、306)と、
・ 一対の可動支持部材(202、308)であって、前記可動支持部材の各々は、閉状態および解放状態に達するように作動可能な複数のばね仕掛け要素(330A、330B、330C)を備え、前記一対の可動支持部材(202、308)は前進段階中に解放された枕木(102、318A、318B、318C)を受け止めるための延出板(408)を含む、一対の可動支持部材(202、308)と、
を備え、
・ 前記一対の細長い固定支持部材は、前記一対の枢動アームの前記グリッパによって前記本体の第1の側から前記本体の第2の側に向けて移動された前記一組の枕木をその上に支持するように作用することができ、
・ 前記一対の可動支持部材は、前記一対の細長い固定支持部材から前記一組の枕木を一度に1本ずつ順次解放するために、前記一対の細長い固定支持部材に対して往復運動を行うように動作可能である、
ことを特徴とする装置(100、300)。
【請求項2】
前記一対の可動支持部材(202、308)の前記往復運動の前記前進段階中、前記一対の細長い固定支持部材(204、306)によって支持されている枕木(102、318A、318B、318C)が前記一対の可動支持部材によって解放され、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の後退段階中、前記一対の可動支持部材は前記本体(104、302)に向かって後退する、請求項1に記載の装置(100、300)。
【請求項3】
前記複数のばね仕掛け要素(308A、308B、308C)の各々は、中空体(312)と、前記中空体に枢動可能に結合されたプッシャアーム(314)と、前記中空体および前記プッシャアームの各々に結合されたばね(316)とを備え、
・ 前記ばねが縮んで前記プッシャアームが前記中空体に向けて枢動式に下げられると、前記ばね仕掛け要素は前記閉状態に達し、
・ 前記ばねが伸びて前記プッシャアームが前記中空体から離れる方向に枢動式に上げられると、前記ばね仕掛け要素は前記解放状態に達する、
請求項1または2に記載の装置(100、300)。
【請求項4】
前記一対の可動支持部材(202、308)の前記往復運動の前記前進段階中、細長い固定支持部材(204、306)によって支持されている前記枕木(102、318A、318B、318C)の解放を可能にするために、前記ばね仕掛け要素(330A、330B、330C)のうちの少なくとも一対を前記解放状態に到達させると共に、残りのばね仕掛け要素を前記閉状態に留まらせ、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記後退段階中、前記一組の枕木のうちの残りの少なくとも1本の枕木の解放を可能にするために、前記閉状態にある前記残りのばね仕掛け要素のうちの別の一対を前記解放状態に到達させる、請求項3に記載の装置(100、300)。
【請求項5】
前記移動機構(106)は、複数の駆動輪または無限軌道構成のうちの少なくとも一方を備える、請求項1~4の何れか一項に記載の装置(100、300)。
【請求項6】
前記一対の枢動アーム(110)の各々は、前記本体(104、302)の中間部分に移動可能に結合された第1の端部と、前記グリッパ(112)が装着された第2の端部とを含む、請求項1~5の何れか一項に記載の装置(100、300)。
【請求項7】
前記往復運動を前記一対の可動支持部材にもたらすために、前記一対の可動支持部材(202、308)の各々に作動的に結合された少なくとも1つのアクチュエータ(118、310)を更に備える、請求項1~6の何れか一項に記載の装置(100、300)。
【請求項8】
前記少なくとも1つのアクチュエータ(118、310)は液圧式アクチュエータである、請求項7に記載の装置(100、300)。
【請求項9】
前記フォークリフト(108)は、前記一対の細長い固定支持部材(204、306)上に支持されている前記一組の枕木のうちの最後の枕木が解放される前に、前記一対の枢動アーム(110)の前記グリッパ(112)によって受け止められる別の一組の枕木(102、318A、318B、318C)を前記バラスト道床(320)の上方に持ち上げるように作動可能である、請求項1~8の何れか一項に記載の装置(100、300)。
【請求項10】
前記移動機構(106)は、第1の時間にわたって前記装置を第1の設定速度で移動させるように構成され、前記往復運動は設定頻度を有する、請求項1~9の何れか一項に記載の装置(100、300)。
【請求項11】
前記移動機構(106)は、第1の時間にわたって前記装置を移動させ、第2の時間にわたって前記装置を静止位置に維持するように構成され、前記往復運動は、前記第2の時間の間に行われるように構成される、請求項1~10の何れか一項に記載の装置(100、300)。
【請求項12】
前記一組の枕木のうちの連続する各枕木(102、318A、318B、318C)を前記一対の細長い固定支持部材(204、306)から解放する際の解放間の距離を変えるために、前記装置を移動させる前記第1の時間が前記移動機構(106)を介して変更される、請求項11に記載の装置(100、300)。
【請求項13】
鉄道建設のために枕木(102、318A、318B、318C)をバラスト道床(320)上に敷設するための装置(100、300)の作動方法であって、前記装置は、移動機構(106)を有する本体(104、302)と、前記本体の第1の側に配置されたフォークリフト(108)であって、少なくとも一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げて保持するように作動可能なフォークリフトと、前記本体に移動可能に結合された一対の枢動アーム(110)であって、前記枢動アームの各々がグリッパ(112)を備える、一対の枢動アーム(110)と、前記本体の前記第2の側に装着されたクレードル構成(114、304)であって、前記クレードル構成は、前記本体の前記第2の側から延在する一対の、互いから離して配置された、細長い固定支持部材(204、306)と、一対の可動支持部材(202、308)とを備え、前記可動支持部材の各々は、閉状態および解放状態に達するように作動可能な複数のばね仕掛け要素(330A、330B、330C)を備え、前記一対の可動支持部材は、前進段階中に解放された枕木(102、318A、318B、318C)を受け止めるための延出板(408)を含む、クレードル構成(114、304)とを備え、
前記方法は、
・ 前記一組の枕木を前記一対の枢動アームの前記グリッパによって前記フォークリフトから捕捉して前記一組の枕木を前記本体の第1の側から前記第1の側とは反対側の前記本体の第2の側に向けて移動させることと、
・ 前記装置を移動させるために、前記移動機構を作動させることと、
・ 前記一対の前記枢動アームの前記グリッパによって前記本体の前記第1の側から前記本体の前記第2の側に向けて移動された前記一組の枕木を前記一対の細長い固定支持部材上に支持することと、
・ 前記一組の枕木を一度に1本ずつ前記一対の細長い固定支持部材から順次解放するために、前記一対の細長い固定支持部材に対する前記一対の可動支持部材の往復運動をもたらすことと、
を含む方法。
【請求項14】
前記方法は、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記前進段階中、前記一対の細長い固定支持部材によって支持されている枕木を前記一対の可動支持部材によって解放することと、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の後退段階中、前記一対の可動支持部材を前記本体に向けて後退させることと、を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には鉄道に関し、より具体的には鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置および方法に関する。
【背景】
【0002】
近年、移動は人間の生涯のかなりの部分を占めている。現代の交通事情を考えると、道路車両、鉄道、航空路、等々など何れの輸送手段によっても、移動は極めて厄介であり、時間がかかる。上記のうち、鉄道は、最も好適な移動手段である。特に、長距離の場合はそうであり、道路車両による移動が膨大な交通量に遭遇する場合もそうである。ただし、遠隔地域および広域における移動経路としての鉄道線路の新設は、道路、飛行経路、等々の新設に比べ、はるかに困難である。
【0003】
従来、鉄道建設は、バラスト道床上への枕木(すなわち、レール、タイ)の敷設および/または設置を採用している。このような敷設および/または設置工程は、重い枕木を個々に持ち上げ、それらの各々をバラスト道床上に載置するために、多大な肉体労働の投入を必要としている。特に、枕木の敷設および/または設置は、対応する線路上を走行する列車の適正且つ安全な運行を保証するために、枕木間が等距離になるように行う必要がある。したがって、敷設および/または設置作業の工程は、各枕木を敷設するための精確な位置の決定、対応する線路の予定位置に対する各枕木の位置の調整、各枕木の相互に平行な敷設、等々など、枕木の正しい載置を保証するために、手動介入を常時必要としている。更に、枕木の伝統的な敷設および/または設置工程は、肉体労働とそれに伴う他のコストとの故に、高額になり得るばかりでなく、多大な時間を必要とし得る。
【0004】
特許文献1は、道路車輪が設けられたシャシーと、このシャシーに沿って延在する二重チェーンストレージコンベアと、シャシーの後部にある傾斜式重力コンベアとを備えた枕木敷設機を開示している。重力コンベアからの枕木の下降移動は、重力コンベアの上方に支持されている無端チェーンから突出する当接アームによって制御されている。重力コンベアとストレージコンベアとの断続的な同期動作は、線路に沿って転動する車輪によって生成される信号への応答としてもたらされる。特許文献2は、複数の枕木を一列に載置する装置を提示している。この装置は、ローラ上を移動可能なフレームを含んでおり、そのベルトにプロットに沿って配置された折り歯が取り付けられ、枕木および往復枕木機構にストップが設けられている。ラインの性能を向上させ、装置の金属容量を減らすために、ローラフレームはアセンブリライン内でレール足裏の上面に装着されており、アセンブリラインのレール頭部に取り付けられているスピナーが段付き板として設計されている。
【0005】
近年、技術の出現と共に、鉄道線路施工用の新しい機械が複数開発されている。これら機械は、枕木の敷設および/または設置行程を自動または半自動的な方法で可能にする。ただし、このような設置工程は、所望の作業を行うために、いくつかの機械を必要とする。更に、このような手法でも、必要とされる目的のためにそれと分かるほどの効率および/または柔軟性では実施されていない。
【0006】
したがって、上記に鑑み、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するために使用されている従来の機械および手法に伴う上記の諸欠点を克服する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】英国特許第2274130号
【特許文献2】ソビエト連邦特許第388078号
【摘要】
【0008】
本開示は、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置を提供しようとするものである。本開示は、更に、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置の作動方法を更に提供しようとするものである。
【0009】
本開示は、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための従来の機械および手法に伴う既存の問題に対して解決策を提供しようとするものである。本開示の一目的は、従来技術において直面していた諸問題を少なくとも部分的に克服する解決策を提供し、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するために必要とされる時間、手間、および肉体労働を減らすための装置および方法を提供することである。
【0010】
1つの態様において、本開示の一実施形態は、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置を提供する。前記装置は、
・ 移動機構を有する本体であって、前記移動機構は前記装置を移動させるように作動可能である、本体と、
・ 前記本体の第1の側に配置されたフォークリフトであって、少なくとも一組の枕木をバラスト道床の上方に持ち上げて保持するように作動可能なフォークリフトと、
・ 前記本体に移動可能に結合された一対の枢動アームであって、前記枢動アームの各々がグリッパを備え、前記一対の枢動アームの前記グリッパは一組の枕木を前記フォークリフトから捕捉し、前記一組の枕木を前記本体の前記第1の側から前記第1の側とは反対側の前記本体の第2の側に移動させるように作動可能である、一対の枢動アームと、
を備え、
・ 前記本体の前記第2の側に装着されたクレードル構成であって、前記クレードル構成は、
・ 前記本体の前記第2の側から延在する一対の、互いから離して配置された、細長い固定支持部材と、
・ 一対の可動支持部材であって、前記一対の可動支持部材の各々は、閉状態と解放状態とに達するように作動可能な複数のばね仕掛け要素を備え、前記一対の可動支持部材は、前進段階中に解放された枕木を受け止めるための延出板を含む、一対の可動支持部材と、
を備え、
・ 前記一対の細長い固定支持部材は、前記一対の前記枢動アームの前記グリッパによって前記本体の前記第1の側から前記本体の前記第2の側に向けて移動された前記一組の枕木をその上に支持するように作用することができ、
・ 前記一対の可動支持部材は、前記一組の枕木を一度に1本ずつ前記一対の細長い固定支持部材から順次解放するために、前記一対の細長い固定支持部材に対して往復運動を行うように動作可能である。
【0011】
別の態様において、本開示の一実施形態は、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置の作動方法を提供する。前記装置は、移動機構を有する本体と、前記本体の第1の側に配置されたフォークリフトであって、少なくとも一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げて保持するように作動可能なフォークリフトと、前記本体に移動可能に結合された一対の枢動アームであって、前記枢動アームの各々がグリッパを備えた一対の枢動アームと、前記本体の前記第2の側に装着されたクレードル構成であって、前記クレードル構成は、前記本体の前記第2の側から延在する一対の、互いから離して配置された、細長い固定支持部材と、一対の可動支持部材とを備え、前記可動支持部材の各々は閉状態と解放状態とに達するように作動可能なばね仕掛け要素を複数備え、前記一対の可動支持部材は前進段階中に解放された枕木を受け止めるための延出板を含む、クレードル構成と、を備える。
【0012】
前記方法は、
・ 前記一対の枢動アームの前記グリッパによって前記フォークリフトから一組の枕木を捕捉して前記一組の枕木を前記本体の前記第1の側から前記第1の側とは反対側の前記本体の第2の側に向けて移動させることと、
・ 前記装置を移動させるために前記移動機構を作動させることと、
・ 前記一対の枢動アームの前記グリッパによって前記本体の前記第1の側から前記本体の前記第2の側に向けて移動された前記一組の枕木を前記一対の細長い固定支持部材上に支持することと、
・ 前記一組の枕木を一度に1本ずつ前記一対の細長い固定支持部材から順次解放するために、前記一対の細長い固定支持部材に対して前記一対の可動支持部材に往復運動をもたらすことと、
を含む。
【0013】
本開示の複数の実施形態は、従来技術における上記の諸問題をほぼ排除し、または少なくとも部分的に対処し、時間効率がよく、安価で、必要な手動介入が最小限の操作を可能にする。
【0014】
本開示の更なる態様、利点、特徴、および目的は、図面および添付の特許請求の範囲と併せて解釈される例示的実施形態の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0015】
本開示の諸特徴は、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな組み合わせで組み合わされ得ることを理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
上記の摘要、ならびに例示的実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読まれるとより深く理解される。本開示を説明するために、本開示の例示的構造が図面に示されている。ただし、本開示は、本願明細書に開示されている特定の方法および手段に限定されない。更に、当業者は、図面が同じ縮尺ではないことを理解されるであろう。できる限り、同様の要素は、同一の数字によって示されている。
【0017】
次に、以下の線図を参照して、本開示の複数の実施形態を単なる例として説明する。
【0018】
【
図1】本開示の一実施形態による、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置の側面図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、(
図1に示されているような)装置の上面図である。
【
図3A】本開示の一例示的実施形態による、動作中の(
図1に示されているような)装置の概略図である。
【
図3B】本開示の一例示的実施形態による、動作中の(
図1に示されているような)装置の概略図である。
【
図3C】本開示の一例示的実施形態による、動作中の(
図1に示されているような)装置の概略図である。
【
図3D】本開示の一例示的実施形態による、動作中の(
図1に示されているような)装置の概略図である。
【
図4A】本開示の別の例示的実施形態による、動作中の装置の概略図である。
【
図4B】本開示の別の例示的実施形態による、動作中の装置の概略図である。
【
図4C】本開示の別の例示的実施形態による、動作中の装置の概略図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための方法ステップの説明図である。
【0019】
添付の図面において、下線付き数字は、その上に位置付けられているアイテム、または下線付き数字が隣接しているアイテム、を表すために使用されている。非下線付き数字は、非下線付き数字をアイテムにリンクしている線によって識別されるアイテムに関する。数字に下線が付いておらず、矢印が対応付けられている場合、その非下線付き数字は、その矢印が指している一般的なアイテムを識別するために使用されている。
【実施形態の詳細な説明】
【0020】
以下の詳細な説明は、本開示の複数の実施形態と、これら実施形態を実現可能な方法とを説明している。本開示の一部の実施の形態が開示されているが、当業者は本開示を実行または実施するための他の実施形態も可能であることを認識されるであろう。
【0021】
1つの態様において、本開示の一実施形態は、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置を提供する。前記装置は、
・ 移動機構を有する本体であって、前記移動機構は前記装置を移動させるように作動可能である、本体と、
・ 前記本体の第1の側に配置されたフォークリフトであって、少なくとも一組の枕木をバラスト道床の上方に持ち上げて保持するように作動可能なフォークリフトと、
・ 前記本体に移動可能に結合された一対の枢動アームであって、前記枢動アームの各々がグリッパを備え、前記一対の枢動アームの前記グリッパは、一組の枕木を前記フォークリフトから捕捉して前記一組の枕木を前記本体の前記第1の側から前記第1の側とは反対側の前記本体の第2の側に向けて移動する、一対の枢動アームと、
を備え、
・ 前記本体の前記第2の側に装着されたクレードル構成であって、前記クレードル構成は、
・ 前記本体の前記第2の側から延在する一対の、互いから離して配置された、細長い固定支持部材と、
・ 一対の可動支持部材であって、前記一対の可動支持部材の各々は、閉状態および解放状態に達するように作動可能な複数のばね仕掛け要素を備え、前記一対の可動支持部材は、前進段階中に解放された枕木を受け止めるための延出板を含む、一対の可動支持部材と、
を備え、
・ 前記一対の細長い固定支持部材は、前記一対の枢動アームの前記グリッパによって前記本体の前記第1の側から前記本体の前記第2の側に向けて移動された前記一組の枕木をその上に支持するように作用することができ、
・ 前記一対の可動支持部材は、前記一組の枕木を一度に1本ずつ前記一対の細長い固定支持部材から順次解放するために、前記一対の細長い固定支持部材に対して往復運動を行うように動作可能である。
【0022】
別の態様において、本開示の一実施形態は、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置の作動方法を提供する。前記装置は、移動機構を有する本体と、前記本体の第1の側に配置されたフォークリフトであって、少なくとも一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げて保持するように作動可能なフォークリフトと、前記本体に移動可能に結合された一対の枢動アームであって、前記枢動アームの各々がグリッパを備えた、一対の枢動アームと、前記本体の前記第2の側に装着されたクレードル構成であって、前記クレードル構成は、前記本体の前記第2の側から延在する一対の、互いから離して配置された、細長い固定支持部材と、一対の可動支持部材とを備え、前記可動支持部材の各々は閉状態と解放状態とに達するように作動可能なばね仕掛け要素を複数備え、前記一対の可動支持部材は前進段階中に解放された枕木を受け止めるための延出板を含む、クレードル構成とを備える。
【0023】
前記方法は、
・ 前記一対の枢動アームの前記グリッパによって一組の枕木を前記フォークリフトから捕捉して前記一組の枕木を前記本体の前記第1の側から前記第1の側とは反対側の前記本体の第2の側に向けて移動させることと、
・ 前記装置を移動させるために前記移動機構を作動させることと、
・ 前記一対の枢動アームの前記グリッパによって前記本体の前記第1の側から前記本体の前記第2の側に向けて移動された前記一組の枕木を前記一対の細長い固定支持部材上に支持することと、
・ 前記一組の枕木を一度に1本ずつ前記一対の細長い固定支持部材から順次解放するために、前記一対の細長い固定支持部材に対して前記一対の可動支持部材の往復運動をもたらすことと、
を含む。
【0024】
本開示は、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置を提供する。更に、本開示は、上記装置を使用して鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための方法を提供する。前記装置は、複数の枕木が互いから所定の距離になると、枕木を自動的に解放する。したがって、前記装置が必要とする手動介入は皆無か極めて僅かであるので、複数の作業員によって行われていた複数の枕木を持ち上げて互いから等距離に載置する手間が省かれる。前記装置は、複数の枕木をそれぞれの意図された場所に運ぶためのキャリッジ機構、前記複数の枕木を持ち上げるためのクレーン、等々など、枕木を敷設するための複数の機械の必要性を排除する。したがって、前記複数の機械の各々を操作するための作業員の必要性が減り、ひいては手動介入が減り、労務費の低減を保証するので、前記装置を使用した枕木の敷設は安価である。更に、肉体労働者による枕木の敷設は、枕木の不正確な載置を招き得るので、対応する線路上を走行する列車の適正且つ安全な運行を妨げ得る。前記装置および前記方法は、前記枕木が互いから等距離に敷設されるように、前記枕木の正確な載置を可能にするので、対応する鉄道線路上を走行する列車の安全で、適正な、且つ時間効率の良い運行を保証する。
【0025】
前記装置は、移動機構を有する本体を備える。前記本体は、前記装置の1つ以上の電子および/または機械構成要素など、前記装置の1つ以上の構成要素を収容するための筐体として実現可能である。例えば、前記本体によって囲まれた前記1つ以上の構成要素は、前記移動機構の作動を可能にするための駆動系を備えることができる。
【0026】
前記移動機構は、移動用の機構、すなわち、バラスト道床上での前記装置の移動を可能にするための複数の構成要素、を備える。例えば、前記移動機構は、(上記のように)前記駆動系を使用して駆動される車輪構成を備えることができる。一実施形態において、前記移動機構は、複数の駆動輪または無限軌道構成のどちらか一方を備える。例えば、前記移動機構は、前記装置の前記本体の左側および右側の各々に少なくとも2つの車輪を備える。各側の前記車輪は、無限軌道によって周囲が囲まれる。このような無限軌道は、鋼材、ステンレス鋼材、合成ゴム材、その他を使用して製作可能である。
【0027】
更に、前記装置は、前記本体の第1の側に配置されたフォークリフトを備える。前記フォークリフトは、少なくとも一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げて保持するように作動可能である。前記一組の枕木は、組単位に配置された複数の枕木を含む。各組は特定数の枕木を含む。更に、前記バラスト道床上へのこのような複数組の枕木の載置は、前記装置の作動開始前に、前記バラスト道床上での前記装置の移動経路において可能である。前記装置は前記バラスト道床上に載置された前記複数組の枕木の近傍を移動するので、前記複数組の枕木から少なくとも一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げて前記少なくとも一組の枕木を保持(支持など)するために、前記フォークリフトを作動可能であることを理解されるであろう。更に、前記フォークリフトは、少なくとも一組の枕木を持ち上げて、施工対象の線路に対して横方向に移動させるように配置可能である。更に、前記フォークリフトの複数のフォークが前記少なくとも一組の枕木の底部から持ち上げることができるように、前記少なくとも一組の枕木と前記バラスト道床との間に支持パレットを存在させてもよい。
【0028】
前記装置は、前記本体に移動可能に結合された一対の枢動アームを備える。前記一対の枢動アームの各々がグリッパを備える。一般に、前記枢動アームは、前記本体の中間部分に結合される。前記一対の枢動アームは、例えば、前記本体の前記中間部分に枢動可能に結合でき、前記一対の枢動アームの各々は、前記装置の前記本体の左側および右側の各々にそれぞれ結合される。一実施形態において、前記一対の枢動アームの各々は、前記本体の前記中間部分に移動可能に結合された第1の端部と、前記グリッパが装着された第2の端部とを含む。前記一対の枢動アームは、前記一対の枢動アームの各々の自由端など、その第1の端部に装着された前記グリッパを備え、前記一対の枢動アームの別の端部(または第2の端部)は、前記本体の前記中間部分に枢動可能に結合される。前記一対の枢動アームの前記グリッパは、一組の枕木を前記フォークリフトから捕捉して、前記一組の枕木を前記本体の前記第1の側から前記第1の側とは反対側の前記本体の第2の側に向けて移動するために、作動可能である。前記一対の枢動アームの前記グリッパは、前記一組の枕木を前記グリッパによって前記フォークリフトから持ち上げることができる幅と抗張力とを伴う。一例において、各グリッパは、L字状構成要素をその下端に備える。このような例において、前記グリッパは、前記L字状構成要素のショートアームを前記一組の枕木の下に滑り込ませ、その後に前記一組の枕木を鉛直に持ち上げることによって、前記一組の枕木を前記フォークリフトから捕捉するように作動可能である。その後、前記一対の枢動アームは、前記本体の前記中間部分を中心に枢動するように作動可能である。これにより、前記一組の枕木を前記本体の前記第1の側(前記本体の前部など)から前記第1の側とは反対側の前記本体の前記第2の側(前記本体の後部など)に向けて移動させる。
【0029】
更に、前記装置は、前記本体の前記第2の側(前記本体の後部など)に装着されたクレードル構成を備える。前記クレードル構成は、前記本体の前記第2の側から延在する一対の、互いから離して配置された、細長い固定支持部材を備える。前記一対の細長い固定支持部材は、前記本体の前記第2の側の下端側に配置された水平部材として実現可能である。更に、前記一対の細長い固定支持部材の各々は、互いに対向配置される。例えば、前記細長い固定支持部材の一方は、前記本体の前記第2の側(前記本体の後部など)の左側に配置され、別の細長い固定支持部材は、前記本体の前記第2の側の右側に配置される。更に、前記細長い固定支持部材は、互いから離して配置される。例えば、前記細長い固定支持部材は、或る距離だけ互いから離される。この距離は、前記枕木がそれぞれの端部で支持されるように、前記枕木の長さより僅かに短くすることができる。
【0030】
前記クレードル構成は、一対の可動支持部材を備える。前記可動支持部材の各々は、閉状態または解放状態に達するように作動可能な複数のばね仕掛け要素を備える。前記一対の可動支持部材は、前記可動支持部材の各々の水平姿勢が前記一対の細長い固定支持部材の各々の水平姿勢にほぼ対応するように、配置される。ただし、前記一対の可動支持部材は、前記一対の細長い固定支持部材と前記一対の可動支持部材との間の相対移動を可能にするために、前記一対の細長い固定支持部材と前記一対の可動支持部材との間に鉛直方向に間隙が形成されるように配置される。更に、このような間隙は、前記枕木がその上に載置される前記一対の細長い固定支持部材の平面が(以下に詳細に説明するように、前記複数のばね仕掛け要素の各々がその閉状態であるとき)前記クレードル構成上に支持されている前記一組の枕木の下面に隣接する前記可動支持部材の平面とほぼ共面であるように形成され得る。更に、各可動支持部材は、前記複数のばね仕掛け要素が前記複数のばね仕掛け要素と同じ鉛直高さを有する一対の平坦要素の間に直線状に配置されるように、前記複数のばね仕掛け要素を備える。更に、各ばね仕掛け要素は、前記閉状態および前記解放状態の両方に達するように、作動可能である。
【0031】
1つの実施形態において、前記複数のばね仕掛け要素の各々は、中空体と、前記中空体に枢動可能に結合されたプッシャアームと、前記中空体および前記プッシャアームの各々に結合されたばねとを備える。前記ばね仕掛け要素は、前記枕木を移動させ、それらを前記バラスト道床上に載置するために、前記ばね仕掛け要素に加えられた押圧力を前記枕木に伝達する。更に、前記複数のばね仕掛け要素の前記各々は、その天頂部が開口し、内部が中空の、立方体などの前記中空体を備える。更に、前記中空体の幅は、前記一組の枕木のうちの各枕木の幅に相当し得る。前記ばね仕掛け要素は、一般に、前記中空体の後端と前記ばねとに枢動可能に結合された前記プッシャアームを備える。前記ばねは、前記中空体の内部の中間部分と前記プッシャアームの下面の対応領域とに取り付け可能である。前記ばねが縮んで前記プッシャアームが前記中空体に向けて枢動式に下げられると、前記ばね仕掛け要素は前記閉状態に達する。1本の枕木が対応するばね仕掛け要素上に載置されたときに前記ばねによって加えられるばね力が前記枕木の重量に釣り合う(または、ほぼ相当する)ように、前記複数のばね仕掛け要素の各々のばねにばね定数が対応付けられる。このような場合、前記ばねが縮むと、前記プッシャアームが前記ばね仕掛け要素の前記中空体内に完全に収容されるように前記プッシャアームは枢動式に下げられ、前記ばね仕掛け要素は閉状態に達する。更に、前記ばねが伸びて前記プッシャアームが前記中空体から離れる方向に枢動式に上げられると、前記ばね仕掛け要素は前記解放状態に達する。前記ばねのばね定数は、前記枕木が前記プッシャアーム上に載置されたときに前記ばねの圧縮を可能にするので、前記プッシャアームが前記プッシャアーム上に載置されていないとき、前記ばねの前記ばね力は前記枕木の重量に釣り合わない(または打ち消されない)ことを理解されるであろう。したがって、前記ばねが伸びると、前記プッシャアームは前記中空体の前記ハウジングから離れる方向に枢動式に押し上げられるので、前記ばね仕掛け要素は前記解放状態に達する。1つの実施形態において、前記ばね仕掛け要素が水平面に載置され、前記ばね仕掛け要素を前記解放状態に到達させたときの前記中空体に対する前記プッシャアームの角度は、30°~60°の範囲内である。例えば、このような角度は、30、35、40、45、または50度から40、45、50、55、または60度までとすることができる。
【0032】
前記一対の可動支持部材は、前記一対の枢動アームの前記グリッパによって前記本体の前記第1の側から前記本体の前記第2の側に向けて移動された前記一組の枕木をその上に支持するように作用しうる。前記鉛直方向の間隙は前記一対の細長い固定支持部材と前記一対の可動支持部材との間に形成されるので、前記一組の枕木は前記一対の細長い固定支持部材上にのみ支持されることを理解されるであろう。したがって、前記枕木と前記一対の可動支持部材との間の相対移動が可能である。
【0033】
前記移動機構は、例えば第1の時間にわたって、前記装置の移動を可能にするために、および第2の時間にわたって前記装置を静止位置に維持するために、作動可能である。確かに、一実施形態によると、前記移動機構は第1の時間にわたって前記装置を第1の設定速度で移動させるように構成され、前記往復運動は設定頻度を有する。別の実施形態によると、前記移動機構は、第1の時間にわたって前記装置を移動させ、第2の時間にわたって前記装置を静止位置に維持するように構成され、前記往復運動は前記第2の時間の間に行われるように構成される。
【0034】
前記移動機構を介して前記装置を移動させ、その後の第2の時間にわたって前記装置を静止位置に維持すると、前記複数の枕木を互いから固定距離に載置できることが確かに分かっている。前記装置が前記第2の時間にわって前記静止位置に維持されているときに前記枕木は載置され、その後、別の枕木を載置する必要がある位置に前記装置を移動させる。前記装置のこのような移動は、前記第1の時間に対応する。前記装置の前記移動とその後の前記装置の前記静止位置での維持は、前記少なくとも一組の枕木のうちの全ての枕木が載置されるまで行われる。一実施形態において、前記一組の枕木のうちの連続する各枕木を前記一対の細長い固定支持部材から解放する際の解放間の距離を変えるために、前記装置を移動させる第1の時間は前記移動機構を介して変更される。例えば、連続する枕木を載置する際の載置位置間の距離を変える必要がある場合は、前記移動機構が前記装置を移動させる前記第1の時間を変更できる。
【0035】
前記一対の可動支持部材は、前記一組の枕木を一度に1本ずつ前記一対の細長い固定支持部材から順次解放するために、前記一対の細長い固定支持部材に対して往復運動を行うように動作可能である。例えば、1本の枕木が解放されるのは、前記一対の可動支持部材の連続する各往復運動の後に前記装置が静止位置に維持されているときである。各枕木は、順番に解放される。前記一対の可動支持部材は、前記可動支持部材の両方が前記装置の前記本体に向けて同時に移動(前記往復運動の後退段階とも呼称)するように、または前記一対の細長い固定支持部材の前記遠位端に向けて同時に移動(前記往復運動の前進段階とも呼称)するように、往復運動を行うように動作可能である。更に、連続する各往復運動(または、前記往復運動の後退段階とこれに対応する前進段階とから成る1サイクル)の完了後、前記一組の枕木のうちの1本の枕木が前記一対の細長い固定支持部材から解放されていることになる。これは、前記一対の細長い固定支持部材上に支持されている全ての枕木が前記クレードル構成から解放されるまで続く。更に、前記枕木が前記クレードル構成から解放されるのは、前記装置が前記静止位置に維持されているときである。
【0036】
別の実施形態において、前記装置は、第1の設定速度で移動するように構成される。前記往復運動の頻度(すなわち、枕木が1分当たりに解放される回数)を構成できる。2本の枕木間の距離は、前記第1の設定速度と前記頻度との関数である。一例として、前記装置が1分当たり10メートルの速度で移動し、前記往復運動の頻度が1分当たり20回であると、各枕木が互いから50cmの等距離で地面に載置されることになる。一代替実施形態において、前記枕木間の距離を制御するために、前記往復運動を始動する前に、前の枕木からの距離が測定される。更に、前記装置は、速度計または距離監視手段(レーザ、カメラ、等々など)を備えることができる。
【0037】
一実施形態において、前記装置は、前記往復運動を前記一対の可動支持部材にもたらすために、前記一対の可動支持部材の各々に作動的に結合された少なくとも1つのアクチュエータを更に備える。このようなアクチュエータは、前記一対の細長い固定支持部材に対する前記一対の可動支持部材の各々の前記往復運動の前記後退段階と前記前進段階とをそれぞれ可能にするための引張力と押圧力とをもたらす。1つの実施形態において、前記少なくとも1つのアクチュエータは液圧式アクチュエータである。あるいは、前記少なくとも1つのアクチュエータは空気圧式アクチュエータ(例えば、速度制御弁が設けられた空気圧式アクチュエータ)である。
【0038】
一実施形態によると、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前進段階中、前記一対の細長い固定支持部材によって(一般にその遠位端で)支持されている1本の枕木が前記一対の可動支持部材によって前記バラスト道床上に直接解放される。これは、前記可動支持部材の単純な押圧力によって実現される。
【0039】
前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前進段階中、前記一対の細長い固定支持部材によって(例えば、その遠位端で)支持されている1本の枕木が前記一対の可動支持部材によって前記可動支持部材の延出板上に解放され、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の後退段階中、前記一対の可動支持部材は前記本体に向かって後退するので、前記枕木は前記バラスト道床上に解放される。実は、前記一対の可動支持部材は、前記前進段階中に解放された枕木を受け止めるための延出板を備える。上記のように、前記一対の可動支持部材は、前記一対の細長い固定支持部材に対して往復運動を行うように動作可能である。更に、前記一対の細長い固定支持部材上に支持されている前記一組の枕木(前記本体から最も遠い細長い固定支持部材上に支持されている1本の枕木など)が押され、前記往復運動の前記前進段階中の前記一対の可動支持部材の移動によって、前記一対の細長い固定支持部材の前記遠位端に支持されている枕木がそこから押し出される。前記一組の枕木のうちの各枕木が解放されるとき、前記一組の枕木は前記一対の細長い固定支持部材の前記遠位端に近付くことを理解されるであろう。したがって、前記一組の枕木のうちの全ての枕木が前記細長い固定支持部材から解放されるまで、連続する各往復運動中に前記一対の可動支持部材が更なる距離を移動するように、前記一対の可動支持部材の前記往復運動が調整される。更に、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記後退段階中、前記可動支持部材は、連続する往復運動を行うために、前記装置の前記本体に向かって後退する(または前記一対の可動支持部材が「初期状態に戻る」)ために、作動可能である。
【0040】
1つの実施形態において、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記前進段階中、前記一対の細長い固定支持部材の前記遠位端に支持されている前記枕木の解放を可能にするために、前記ばね仕掛け要素のうちの少なくとも一対が前記解放状態に達することができ、残りのばね仕掛け要素は前記閉状態に留まる。前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記後退段階中、前記一組の枕木のうちの残りの少なくとも1本の枕木の解放を可能にするために、前記閉状態にある前記残りのばね仕掛け要素のうちの別の一対が前記解放状態に達することができる。前記装置の前記本体に最も近いばね仕掛け要素が常に解放状態に維持されるように、前記一組の枕木は前記一対の細長い固定支持部材上に配置可能である。したがって、各可動支持部材上の前記複数のばね仕掛け要素の数は、前記少なくとも一組の枕木のうちの枕木の数より多いことになる。更に、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記前進段階中、前記本体に最も近いばね仕掛け要素は、前記一対の細長い固定支持部材の前記遠位端にある枕木がそこから解放されるまで、前記少なくとも1つのアクチュエータによって加えられた押圧力を前記一対の細長い固定支持部材上に支持されている前記一組の枕木に伝達するように、「押圧要素」として働く。その後、前記一対の可動支持部材は、前記往復運動の前記後退段階を行う。この段階において、前記一対の可動支持部材は、前記装置の前記本体に向かって後退する。前記一対の可動支持部材と前記一対の細長い固定支持部材との間に形成された前記鉛直方向の間隙の故に、前記一対の可動支持部材は、前記往復運動の前記後退段階中、前記一対の細長い固定支持部材上の前記一組の枕木の位置を乱さずに、前記本体に向かって移動できることを理解されるであろう。
【0041】
その後、前記一対の可動支持部材がその初期位置(または、前記装置の前記本体に最も近い位置)に達すると、前記一組の枕木は、各枕木の幅に対応する距離だけ前記一対の細長い固定支持部材上を移動されているので、前記本体に最も近いばね仕掛け要素に隣接するばね仕掛け要素は、その位置に対応する枕木を有さないことになる。その後、前記ばね仕掛け要素は前記解放状態に達することができる。したがって、前記対応するばね仕掛け要素は、前記押圧要素として働く。前記一対の可動支持部材のこのような往復運動は、全てのばね仕掛け要素が前記解放状態に達するまで、繰り返されることを理解されるであろう。全てのばね仕掛け要素の前記解放状態へのこのような到達は、前記一対の細長い固定支持部材上に支持されている前記一組の枕木のうちの全ての枕木の解放に対応する。更に、前記細長い固定支持部材と前記可動支持部材とを備えた前記クレードル構成は、前記バラスト道床に対する高度が低いように製作される。したがって、前記枕木は前記低い高度から解放されるので、前記枕木が前記バラスト道床に接触した後の前記枕木の望ましくない移動が大幅に抑えられる。
【0042】
1つの実施形態において、前記フォークリフトは、前記一対の枢動アームの前記グリッパによって受け止められる別の一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げるように作動可能である。これは、前記一対の細長い固定支持部材上に支持されている前記一組の枕木のうちの最後の枕木が解放されるまで続く。前記一組の枕木のうちの最後の枕木が前記クレードル構成から解放されるや否や、別の一組の枕木をその上に載置する必要があることを理解されるであろう。このような場合、前記フォークリフトは、前記一組の枕木のうちの最後の枕木が解放される前に別の一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げるように作動可能である。したがって、前記一対の枢動アームは、前記別の一組の枕木を前記装置の前記本体の前記第1の側から前記第2の側に移動させるように作動可能である。その後、前記最後の枕木の解放後、前記一対の可動支持部材が前記往復運動の前記後退段階を完了するや否や、前記一対の枢動アームの前記グリッパは、前記一組の枕木を前記一対の細長い固定支持部材上に載置するように作動可能である。前記別の一組の枕木が前記一対の細長い固定支持部材上に載置されると、それぞれのばね仕掛け要素は、その解放状態から前記閉状態に達するように作動可能であることを理解されるであろう。ただし、上記のように、前記装置の前記本体に最も近い前記ばね仕掛け要素は、常に解放状態に維持されている。
【0043】
本開示は、更に、上記のように、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための装置の作動方法に関する。上で開示したさまざまな実施形態および変形例は、本方法にも準用される。
【0044】
一実施形態において、本方法は、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前進段階中、前記一対の細長い固定支持部材の遠位端に支持されている1本の枕木を前記一対の可動支持部材によって解放することと、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記後退段階中、前記一対の可動支持部材を前記本体に向けて後退させることと、を含む。
【0045】
1つの実施形態によると、本方法は、前記一対の細長い固定支持部材の前記遠位端に支持されている前記枕木の解放を可能にするために、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記前進段階中、少なくとも一対のばね仕掛け要素を前記解放状態に到達させ、それと同時に残りのばね仕掛け要素を前記閉状態に維持することと、前記一組の枕木のうちの残りの少なくとも1本の枕木の解放を可能にするために、前記一対の可動支持部材の前記往復運動の前記後退段階中、前記閉状態にある前記残りのばね仕掛け要素のうちの別の一対を前記解放状態に到達させることと、を含む。
【0046】
一実施形態において、前記装置は、前記一対の可動支持部材の各々に作動的に結合された少なくとも1つのアクチュエータを更に備える。この場合、本方法は、前記往復運動を前記一対の可動支持部材にもたらすために、前記アクチュエータを作動させることを含む。
【0047】
1つの実施形態において、前記フォークリフトは、前記一対の細長い固定支持部材上に支持されている前記一組の枕木のうちの最後の枕木が解放される前に、前記一対の枢動アームの前記グリッパによって受け止められる別の一組の枕木を前記バラスト道床の上方に持ち上げるために、作動される。
【0048】
1つの実施形態によると、本方法は、前記一組の枕木のうちの連続する各枕木を前記一対の細長い固定支持部材から解放する際の解放間の距離を変えるために、前記移動機構を介して前記装置を移動させるときの第1の時間を変更することを更に含む。
【図面の詳細な説明】
【0049】
図1を参照すると、本開示の一実施形態による、鉄道建設のために枕木102をバラスト道床上に敷設するための装置100の側面図が示されている。装置100は、移動機構106を有する本体104と、本体104の第1の側に配置されたフォークリフト108とを備える。装置100は、本体に移動可能に結合された一対の枢動アーム110を更に備える。この一対の枢動アーム110の各アームがグリッパ112を備える。更に、装置100は、本体の第2の側に装着されたクレードル構成114を備える。更に、装置100は、2つのアクチュエータ118を備える。
【0050】
図2を参照すると、本開示の一実施形態による、
図1の装置100の上面図が示されている。装置100は、本体104とクレードル構成114とを備える。クレードル構成114は、本体の第2の側から延在する一対の、互いから離して配置された、細長い固定支持部材204を備える。更に、クレードル構成114は、一対の可動支持部材202を備える。これら可動支持部材の各々は、複数のばね仕掛け要素を備える。更に、本装置は、2つのアクチュエータ118を備える。
【0051】
図3A~
図3Dを参照すると、本開示の一実施形態による、鉄道建設のために枕木318A~Cをバラスト道床320上に敷設するための(
図1および
図2の装置100と同様の)装置300の動作中の概略図が示されている。装置300は、(
図1および
図2の本体104と同様の)本体302と、(
図1および
図2のクレードル構成114と同様の)クレードル構成304とを備える。クレードル構成304は、(
図2の一対の細長い固定支持部材204と同様の)一対の細長い固定支持部材306と、(
図2の一対の可動支持部材202と同様の)一対の可動支持部材308とを備える。図示のように、一対の可動支持部材308は、アクチュエータ310に作動的に結合されている。更に、可動支持部材308の各々は、複数のばね仕掛け要素330A~Cを備える。複数のばね仕掛け要素330A~Cの各々は、中空体312と、プッシャアーム314と、ばね316と、枢動点317としての軸線とを含む。
【0052】
図3Aを参照すると、3本の枕木318A~Cが一対の細長い固定支持部材306上に支持されている。更に、3本の枕木318A、318B、および318Cが一対の細長い固定支持部材306上に載置されると、ばね仕掛け要素330A~Cは閉状態に達する。更に、複数のばね仕掛け要素330A~Cのうちの、何れの枕木318A~Cも支持していない(且つ装置300の本体302に最も近い)1つのばね仕掛け要素330Cが常に解放状態に維持されている。
【0053】
次に
図3Bを参照すると、一対の可動支持部材308の往復運動の前進段階が示されている。この段階において、一対の可動支持部材308は、3本の枕木318A~Cを一対の細長い固定支持部材306の遠位端に向けて移動させる。図示のように、枕木318Aは、一対の細長い固定支持部材306から解放される。更に、複数のばね仕掛け要素330A~Cに対応する枕木318Bおよび318Cの位置は、ばね仕掛け要素330Aおよび330Bを閉状態に留まらせている。
【0054】
次に
図3Cを参照すると、一対の可動支持部材308の往復運動の後退段階が示されている。図示のように、枕木318Bおよび318Cの何れの位置にも対応していないばね仕掛け要素330Cは、解放状態に達する。
【0055】
次に
図3Dを参照すると、一対の可動支持部材308のその後の往復運動の前進段階が示されている。枕木318Bが一対の細長い固定支持部材306から解放され、その後、鉄道建設のためにバラスト道床上に敷設されるための傾斜姿勢になるように、枕木318B~Cは一対の細長い固定支持部材306の遠位端に向けて押されている。装置300を速度vで右側に移動させ、且つ頻度fで往復運動させるために、地面に対して
図3A、
図3B、
図3C、および
図3Dにおける装置300の位置が取られていることに注目されたい。したがって、実際の問題として、枕木318A、318B、および318Cは、互いからの設定距離d=v/fで分散されることになる。
【0056】
図4A、
図4B、および
図4Cを参照すると、可動支持部材308が延出板408を備える一実施形態が示されている。前進段階中に可動支持部材308が移動されると、延出板408は、
図4Bに示されているように、突出する。枕木318は固定支持部材306から解放され、延出板408の上に落下する。
図4Cを参照すると、可動支持部材308がその後退段階にあるので、延出板408は枕木318Aの下から引き抜かれ、枕木318Aをバラスト道床320上に載置する。
【0057】
図5を参照すると、本開示の一実施形態による、鉄道建設のために枕木をバラスト道床上に敷設するための方法500のステップが示されている。ステップ502において、一組の枕木を本体の第1の側から第1の側とは反対側の本体の第2の側に向けて移動するために、この一組の枕木が一対の枢動アームのグリッパによってフォークリフトから捕捉される。ステップ504において、第1の時間にわたって装置を移動させ、第2の時間にわたって装置を静止位置に維持するために、移動機構が作動される。ステップ506において、一対の枢動アームのグリッパによって本体の第1の側から本体の第2の側に向けて移動された一組の枕木は、一対の可動支持部材上に支持される。ステップ508において、一対の可動支持部材の連続する各往復運動の後、装置が静止位置に維持されているとき、一組の枕木うちの各枕木を一対の細長い固定支持部材から順次解放するために、一対の細長い固定支持部材に対する一対の可動支持部材の往復運動がもたらされる。
【0058】
ステップ502~508は単なる例示であり、添付の特許請求の範囲を逸脱せずに、1つ以上のステップが追加された、または1つ以上のステップが削除された、または1つ以上のステップが異なる順序で設けられた、他の代替案を提供することもできる。例えば、本方法は、一対の可動支持部材の往復運動の前進段階中に、一対の細長い固定支持部材の遠位端に支持されている枕木を一対の可動支持部材によって解放することと、一対の可動支持部材の往復運動の後退段階中に、一対の可動支持部材を本体に向けて後退させることと、を含む。別の例において、複数のばね仕掛け要素の各々は、中空体と、中空体に枢動可能に結合されたプッシャアームと、中空体およびプッシャアームの各々に結合されたばねとを備える。この場合、本方法は、ばねが縮んでプッシャアームが中空体に向けて枢動式に下げられたときに、ばね仕掛け要素を閉状態に到達させることと、ばねが伸びてプッシャアームが中空体から離れる方向に枢動式に上げられときに、ばね仕掛け要素を解放状態に到達させることと、を含む。更に別の例において、本方法は、一対の可動支持部材の往復運動の前進段階中、一対の細長い固定支持部材の遠位端に支持されている枕木の解放を可能にし、同時に、残りのばね仕掛け要素を閉状態に維持するために、少なくとも一対のばね仕掛け要素を解放状態に到達させることと、一対の可動支持部材の往復運動の後退段階中、一組の枕木のうちの残りの少なくとも1本の枕木の解放を可能にするために、閉状態にある残りのばね仕掛け要素のうちの別の一対を解放状態に到達させることと、を含む。
【0059】
1つの例において、本装置は、一対の可動支持部材の各々に作動的に結合された少なくとも1つのアクチュエータを更に備える。この場合、本方法は、一対の可動支持部材に往復運動をもたらすためにアクチュエータを作動させることを含む。別の例において、一対の細長い固定支持部材上に支持されている一組の枕木のうちの最後の枕木が解放される前に、一対の枢動アームのグリッパによって受け止められる別の一組の枕木をバラスト道床の上方に持ち上げるために、フォークリフトが作動される。更に別の例において、本方法は、一組の枕木のうちの連続する各枕木を一対の細長い固定支持部材から解放する際の解放間の距離を変えるために、装置が移動機構によって移動されるときの第1の時間を変更することを更に含む。
【0060】
添付の特許請求の範囲によって規定されている本開示の範囲から逸脱することなく、上記の本開示の複数の実施形態に対する変更が可能である。本開示を説明および特許請求するために使用されている「を含む(including)」、「を備えた(comprising)」、「を組み込んだ(incorporating)」、「を有する(have)」、「である(is)」などの表現は、非排他的に解釈されるものとする。すなわち、明示的に記載されていないアイテム、構成要素、または要素も存在し得る。単数形への言及は、複数形にも関連すると解釈されるものとする。
【国際調査報告】