(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(54)【発明の名称】作業方向に加工物を保持するための流体作動式把持装置および方法
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20220228BHJP
【FI】
B23Q3/06 303B
B23Q3/06 303G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538979
(86)(22)【出願日】2019-12-05
(85)【翻訳文提出日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 US2019064574
(87)【国際公開番号】W WO2020142158
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】アギラール,アレハンドロ
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016CA01
3C016CB07
3C016CB12
3C016CB13
3C016CC01
3C016CE02
(57)【要約】
湾曲側壁を有する加工物を作業方向に保持するための流体作動式把持装置、および加工物を把持し、保持する関連方法が提供される。各々が、シリンダ内に配置されたアクチュエータロッドおよび可動ピストンを備えた3つの流体作動式アクチュエータが、加工物の周囲の周りに等間隔にあり、単一の加圧流体源から流体を受け入れる。流体(例えば、油圧または空気圧)回路が、力均等原理にしたがって、アクチュエータを把持装置の閉鎖ストローク中に伸ばす。各アクチュエータは、アクチュエータに枢動可能に結合され、厳密に二点で加工物の表面に接触するように作られたエンドエフェクタを備える。加工物の端面に接触するように作られたバックストップが、回転継手と結合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物を作業方向に保持するための把持装置において、
前記加工物の周囲の周りに等間隔にある流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータであって、各アクチュエータは、延長チャンバと引込みチャンバを有するシリンダ内で動くように配置された可動ピストンと結合されたアクチュエータロッドを備え、単一の加圧流体源に結合されるように作られている、アクチュエータ、
(i)前記把持装置の閉鎖ストローク中に各アクチュエータの前記延長チャンバに加圧流体を供給し、(ii)各アクチュエータの前記延長チャンバから加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止し、(iii)前記加工物が前記把持装置により保持されている間に、各アクチュエータの前記延長チャンバ内に同じ流体圧力を維持し、(iv)前記把持装置の開放ストローク中に各アクチュエータの前記延長チャンバから加圧流体を解放し、(v)前記把持装置の前記開放ストローク中に各アクチュエータの前記引込みチャンバに加圧流体を供給する:ように構成された流体回路、および
それぞれ、前記第1、前記第2、および前記第3のアクチュエータの前記アクチュエータロッドと枢動可能に結合された第1、第2、および第3のエンドエフェクタであって、各エンドエフェクタは、厳密に二点で前記加工物の表面と接触するように作られている、エンドエフェクタ、
を備えた把持装置。
【請求項2】
各エンドエフェクタは、前記厳密に二点の内の第1の点で前記加工物の表面と接触するように作られた第1の曲面を画成し、該厳密に二点の内の第2の点で該加工物の表面と接触するように作られた第2の曲面を画成する分岐先端部分を備える、請求項1記載の把持装置。
【請求項3】
各エンドエフェクタは、三自由度回転継手を備える、請求項1記載の把持装置。
【請求項4】
構造取付リングをさらに備え、前記第1、前記第2、および前記第3の流体作動式アクチュエータが該構造取付リングに取り付けられ、該構造取付リングの開口内にまたはそれに隣接して、バックストップの少なくとも一部が中心に配置されている、請求項1記載の把持装置。
【請求項5】
加工物の周囲の周りに等間隔にある、流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータを備え、それぞれ、該第1、該第2、および該第3のアクチュエータのアクチュエータロッドに結合された第1、第2、および第3のエンドエフェクタを備えた把持装置を利用して、加工物を作業方向に把持し、保持する方法であって、
各アクチュエータが、(i)延長チャンバおよび引込みチャンバを有するシリンダ、および(ii)該シリンダ内で動くように配置された可動ピストンに結合されたアクチュエータロッドを備え、前記方法は、
前記把持装置の閉鎖ストローク中に、単一の加圧流体源から前記第1、前記第2、および前記第3のアクチュエータの各々の前記延長チャンバに加圧流体を供給しつつ、各延長チャンバから該加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止して、(i)前記第1のエンドエフェクタを第1の対の点のみで前記加工物の表面と接触させ、(ii)前記第2のエンドエフェクタを第2の対の点のみで該加工物の表面と接触させ、(iii)前記第3のエンドエフェクタを第3の対の点のみで加工物の表面と接触させる工程、
前記加工物が前記把持装置で保持されている間に、各アクチュエータの前記延長チャンバ内の加圧流体に同じ圧力を維持する工程、
前記把持装置の開放ストローク中に各アクチュエータの前記延長チャンバから加圧流体を解放する工程、および
前記把持装置の前記開放ストローク中に各アクチュエータの前記引込みチャンバに加圧流体を供給する工程、
を有してなる方法。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容がここに全て引用される、2019年1月4日に出願された米国仮特許出願第62/788437号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本開示は、広く、加工物を把持し、保持するための方法および装置に関し、より詳しくは、製造または加工操作中に、湾曲した側壁を有する加工物に1つ以上の操作を行うのに有用であろうような、加工物を作業方向に把持し保持するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
液体燃料(例えば、ディーゼルまたはガソリン)の燃焼により生じる排ガスは、壁流式粒子フィルタなどの粒子フィルタおよび/または触媒コンバータ基体によって、効果的に処理することができる。粒子フィルタおよび触媒材料の基体は、多孔質かつ軽量であり得、粒子フィルタにおけるように、多数の通路を塞ぐ複数の栓を備えることがあるハニカム構造の形態で提供されることのある、セラミック材料から都合よく製造することができる。
【0004】
各々が円柱形状を有する、2つの異なるサイズの代表的なハニカム体10、20が
図1に示されている。各ハニカム体10、20は、それらの間に延在する円柱壁16、26に対して垂直に配置された2つの端面12、14、22、24を有する。各端面12、14、22、24は、ハニカム体10、20の内部を通って延在する多数の流路18、28を露出し、選択的な流路18、28に施栓が施される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な成形加工物、特に、薄壁および/または多孔質壁構造を有するものを収容できる把持装置および方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
加工物(例えば、ハニカム体など)を作業方向に保持するための流体作動式把持装置、およびそのような装置を使用して加工物を把持し、保持する関連方法が、ここに開示されている。各々が、シリンダ内に配置された可動ピストンと結合したアクチュエータロッドを備えた、流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータが、加工物の周囲の周りに等間隔にあり、単一の加圧流体源に結合されるように作られている。力均等原理(the force equalization principle)にしたがって、アクチュエータを伸ばす(すなわち、把持装置の閉鎖ストローク中に)ために、流体回路(例えば、空気圧または油圧回路)が設けられている。これらのアクチュエータは同じ加圧流体源に結合されているので、延長に対して最小の抵抗を経験するアクチュエータのみが動く。1つのアクチュエータの端部(例えば、エンドエフェクタ)が加工物と接触した際に、さらなる動きに対する抵抗が増し、次いで、別のアクチュエータが、その端部が加工物と接触するまで動き、全てのアクチュエータが加工物と接触し、3つのアクチュエータ全てにおいて圧力が等しくなるまで、この過程が継続する。そのような過程は、把持装置が作動された後に、加工物の初期位置を維持する。さらに、各アクチュエータの端部は、アクチュエータロッドと枢動可能に結合され(必要に応じて、三自由度(three-degree-of-freedom)回転継手を使用して)、厳密に二点で加工物の表面と接触するように作られたエンドエフェクタを備える。そのような特徴は、加工物を過剰に拘束するのを避け、それによって、把持を行いながら、加工物の向き(例えば、円柱形ハニカム体の回転軸の相対的アライメントなどの、加工物の軸の相対的アライメント)を維持することができる。特定の実施の形態において、加工物の過剰拘束は、バックストップを三自由度回転式バックストップ継手に結合して、加工物の端面と接触するように作られたバックストップを設けることによって、さらに避けられるであろう。
【0007】
1つの態様において、本開示は、加工物を作業方向に保持するための把持装置に関する。この把持装置は、加工物の周囲の周りに等間隔にある流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータを備え、各アクチュエータは、延長チャンバと引込みチャンバを有するシリンダ内で動くように配置された可動ピストンと結合されたアクチュエータロッドを備え、単一の加圧流体源に結合されるように作られている。この把持装置は、(i)把持装置の閉鎖ストローク中に各アクチュエータの延長チャンバに加圧流体を供給し、(ii)各アクチュエータの延長チャンバから加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止し、(iii)加工物が把持装置により保持されている間に、各アクチュエータの延長チャンバ内に同じ流体圧力を維持し、(iv)把持装置の開放ストローク中に各アクチュエータの延長チャンバから加圧流体を解放し、(v)把持装置の開放ストローク中に各アクチュエータの引込みチャンバに加圧流体を供給する:ように構成された流体回路をさらに備える。それに加え、その把持装置は、それぞれ、第1、第2、および第3のアクチュエータのアクチュエータロッドと枢動可能に結合された第1、第2、および第3のエンドエフェクタを備え、各エンドエフェクタは、厳密に二点で加工物の表面と接触するように作られている。
【0008】
特定の実施の形態において、その加工物は、少なくとも1つの湾曲側壁および第1の端面を有し、前記把持装置は、第1の端面と接触するように作られたバックストップをさらに備え、そのバックストップは、三自由度回転式バックストップ継手と結合されている。特定の実施の形態において、この三自由度回転式バックストップ継手は、玉継手を含むことがある。
【0009】
特定の実施の形態において、各エンドエフェクタは、厳密に二点の内の第1の点で加工物の表面と接触するように作られた第1の曲面を画成し、厳密に二点の内の第2の点で加工物の表面と接触するように作られた第2の曲面を画成する分岐先端部分を備える。特定の実施の形態において、第1の曲面の曲率の軸は、第2の曲面の曲率の軸から120度離れて配置されている。特定の実施の形態において、各エンドエフェクタは、三自由度回転継手を備える。
【0010】
特定の実施の形態において、流体回路は、第1のアクチュエータの延長チャンバから加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止するように作られた第1の逆止弁;第2のアクチュエータの延長チャンバから加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止するように作られた第2の逆止弁;および第3のアクチュエータの延長チャンバから加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止するように作られた第3の逆止弁を備える。
【0011】
特定の実施の形態において、流体回路は、把持装置の開放ストローク中に、加圧流体に第1の逆止弁を迂回させ、第1のアクチュエータの引込みチャンバから、加圧流体戻り管に向かってまたは流体出口に向かって流すように配置された第1のバイパス弁;把持装置の開放ストローク中に、加圧流体に第2の逆止弁を迂回させ、第2のアクチュエータの引込みチャンバから、加圧流体戻り管に向かってまたは流体出口に向かって流すように配置された第2のバイパス弁;および把持装置の開放ストローク中に、加圧流体に第3の逆止弁を迂回させ、第3のアクチュエータの引込みチャンバから、加圧流体戻り管に向かってまたは流体出口に向かって流すように配置された第3のバイパス弁を備える。特定の実施の形態において、第1のバイパス弁は、第1のアクチュエータの延長チャンバを(i)第1の逆止弁、もしくは(ii)加圧流体戻り管または流体出口のいずれかに選択的に結合させるように配置された3ポート、二位置、三方弁を備え;第2のバイパス弁は、第2のアクチュエータの延長チャンバを(i)第2の逆止弁、もしくは(ii)加圧流体戻り管または流体出口のいずれかに選択的に結合させるように配置された3ポート、二位置、三方弁を備え;第3のバイパス弁は、第3のアクチュエータの延長チャンバを(i)第3の逆止弁、もしくは(ii)加圧流体戻り管または流体出口のいずれかに選択的に結合させるように配置された3ポート、二位置、三方弁を備える。
【0012】
特定の実施の形態において、前記把持装置は構造取付リングをさらに備え、第1、第2、および第3の流体作動式アクチュエータがその構造取付リングに取り付けられ、バックストップの少なくとも一部は、構造取付リングの開口内にまたはそれに隣接して中心に配置されている。特定の実施の形態において、各アクチュエータのアクチュエータロッドは、実質的に水平面で移動するように作られている。
【0013】
特定の実施の形態において、前記把持装置は、加圧流体源により流体回路に供給される選択された圧力を維持するように作られた調節可能な圧力調整器をさらに備え、それによって、加圧流体源により供給される選択された圧力の調節が、第1、第2、および第3のエンドエフェクタにより加工物に印加される把持力を調節するように構成されている。
【0014】
特定の実施の形態において、前記流体回路は油圧回路を含み、前記加圧流体は液体を含む。特定の実施の形態において、前記流体回路は空気圧回路を含み、前記加圧流体は気体(例えば、圧縮空気)を含む。特定の実施の形態において、加工物は、実質的に円柱形状を有する。
【0015】
特定の実施の形態において、前記流体回路は、加圧流体源と、第1、第2、および第3のアクチュエータとの間に配置された5ポート、二位置、四方弁を含む。
【0016】
別の態様において、本開示は、加工物の周囲の周りに等間隔にある、流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータを備え、それぞれ、第1、第2、および第3のアクチュエータのアクチュエータロッドに結合された第1、第2、および第3のエンドエフェクタを備えた把持装置を利用して、加工物を作業方向に把持し、保持する方法であって、各アクチュエータが、(i)延長チャンバおよび引込みチャンバを有するシリンダ、および(ii)そのシリンダ内で動くように配置された可動ピストンに結合されたアクチュエータロッドを備える、方法に関する。この方法は、把持装置の閉鎖ストローク中に、単一の加圧流体源から第1、第2、および第3のアクチュエータの各々の延長チャンバに加圧流体を供給しつつ、各延長チャンバから加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止して、(i)第1のエンドエフェクタを第1の対の点のみで加工物の表面と接触させ、(ii)第2のエンドエフェクタを第2の対の点のみで加工物の表面と接触させ、(iii)第3のエンドエフェクタを第3の対の点のみで加工物の表面と接触させる工程を含む。この方法は、加工物が把持装置で保持されている間に、各アクチュエータの延長チャンバ内の加圧流体に同じ圧力を維持する工程をさらに含む。この方法は、把持装置の開放ストローク中に各アクチュエータの延長チャンバから加圧流体を解放する工程を追加に含む。この方法は、把持装置の開放ストローク中に各アクチュエータの引込みチャンバに加圧流体を供給する工程をさらに含む。
【0017】
特定の実施の形態において、前記方法は、加工物の上下移動を、加工物の端面と接触するように作られたバックストップで制限する工程をさらに含み、そのバックストップが三自由度回転式バックストップ継手を含む。
【0018】
特定の実施の形態において、前記方法は、単一の加圧流体源から第1、第2、および第3のアクチュエータの各々の延長チャンバに加圧流体を供給する工程の前に、把持装置の少なくとも一部を降下させて、把持装置の枢動可能に取り付けられたバックストップと、加工物の上面との間に接触を確立する工程をさらに含む。
【0019】
特定の実施の形態において、前記方法は、加圧流体源により流体回路に供給される圧力を維持するように作られた調節可能な圧力調整器の出力圧力を調節し、それによって、加圧流体源により供給される選択された圧力の調節が、第1、第2、および第3のエンドエフェクタにより加工物に印加される把持力を調節するように働く工程をさらに含む。
【0020】
特定の実施の形態において、前記加工物は、実質的に円柱形状を有する。
【0021】
別の態様において、先の態様または実施の形態もしくはここに開示された他の特徴のいずれか2つ以上が、追加の利点のために組み合わされることがある。
【0022】
追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、当業者に容易に明白となるであろう。先の一般的な説明、以下の詳細な説明、および添付図面は、例示に過ぎず、請求項の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することが意図されていることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
添付図面は、さらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施の形態を示し、説明と共に、様々な実施の形態の原理および作動を説明する働きをする。図示された、または記載された実施の形態のいずれかに関連する特徴および属性は、本開示に基づいて、図示される、記載される、または認識される他の実施の形態に適用されることがある。
【
図1】各々が、その端面の間に延在する平行な流路を有する円柱形ハニカム構造を有する、2つの異なるサイズのハニカム体の斜視図
【
図2A】各々が、エンドエフェクタを有し、円柱形加工物を間に受け入れるように作られた流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータを備え、アクチュエータの上に枢動可能なバックストップが配置され、アクチュエータを構造取付リングが支持している、本開示の1つの実施の形態による把持装置の一部の底面図
【
図2B】
図2Aに示された切断線2B-2Bに沿ってとられた、
図2Aの把持装置の一部の側面断面図
【
図3】2つの接点で円柱形加工物と接触するように配置された、
図2Aおよび2Bに示されたアクチュエータのエンドエフェクタの斜視図
【
図4A】可視表面に沿って輪郭線が設けられている、
図2A、2B、および3に示されたアクチュエータのエンドエフェクタの上面図
【
図4B】
図4Aに示された切断線4B-4Bに沿ってとられた、
図4Aのエンドエフェクタの一部の断面図
【
図5A】本開示の1つの実施の形態による、圧力源、弁、および流体作動式の第1から第3のアクチュエータの間の配線を示す流体回路であって、加工物を作業方向に保持するための把持装置の一部として、
図2A~2Bに示されたようなアクチュエータおよびエンドエフェクタと協働するように構成された流体回路の図
【
図5B】加圧流体が加圧流体源から各アクチュエータの延長チャンバに供給され、アクチュエータの延長チャンバから加圧流体源に向かう加圧流体の逆流が阻止されている、把持装置の閉鎖ストローク中の
図5Aの図
【
図5C】加圧流体が各アクチュエータの延長チャンバから解放され、加圧流体が各アクチュエータの引込みチャンバに供給されている、把持装置の開放ストローク中の
図5Aの図
【
図6】円柱形加工物を間に受け入れるように作られた関連するエンドエフェクタを有する、流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータを示し、アクチュエータの上に配置された枢動可能なバックストップを示し、アクチュエータを支持する構造取付リングを示す、
図2Aおよび2Bに示されたような把持装置の少なくとも一部の斜視図
【
図7】
図6の把持装置の一部の中に配置された円柱形加工物の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0024】
下記に述べられる実施の形態は、当業者がその実施の形態を実施できるようにするのに必要な情報を提示し、実施の形態を実施する最良の態様を示す。添付図面を踏まえて以下の説明を読んだときに、当業者は、本開示の概念を理解し、ここに具体的に触れていないこれらの概念の用途を認識するであろう。これらの概念および用途は、本開示の範囲および付随の特許請求の範囲に入ることを理解すべきである。
【0025】
様々な要素を記載するために、第1、第2などの用語がここに使用されることがあるが、これらの要素は、これらの用語により限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためだけに使用されている。本開示の範囲から逸脱せずに、例えば、第1の要素は第2の要素と称することができ、同様に、第2の要素は第1の要素と称することができるであろう。ここに用いられているように、「および/または」という用語は、関連して列挙された項目のいずれかおよび1つ以上の全ての組合せを含む。
【0026】
添付図面に示されるような、ある要素または領域の、別の要素または領域との関係を記載するために、「下」または「上」または「上側」または「下側」または「水平」または「垂直」などの相対語がここに使用されることがある。これらの用語と先に述べられた用語は、図面に示された方向に加え、デバイスの異なる方向を包含することが意図されていることが理解されよう。
【0027】
ここに使用される専門用語は、具体的な実施の形態を記載する目的のためだけであり、本開示の限定を意図していない。ここに用いられているように、名詞は、文脈が明らかにそうではないと示していない限り、単数だけでなく複数の対象を含むことが意図されている。「含む」、「含んでいる」、「含有する」および/または「含有している」という用語は、ここに使用されている場合、述べられた特徴、整数、工程、操作、要素、および/または構成要素を明記するものであるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成要素、および/またはその群の存在または追加を除外するものではないことがさらに理解されよう。
【0028】
特に明記のない限り、ここに使用される全ての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。ここに使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈においてその意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、ここに明白に定義されていない限り、理想的なまたは過剰に形式上の意味に解釈されないことがさらに理解されよう。
【0029】
加工物(例えば、ハニカム体など)を作業方向に保持するための流体作動式把持装置、およびそのような装置を使用して加工物を把持し、保持する関連方法がここに開示されている。各々が、シリンダ内に配置された可動ピストンと結合されたアクチュエータロッドを備えた、流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータは、加工物の周囲の周りに等間隔にあり、単一の加圧流体源に結合されるように作られている。力均等原理にしたがってアクチュエータが伸びる(すなわち、把持装置の閉鎖ストローク中)ように、流体回路(例えば、空気圧または油圧回路)が設けられている。その流体回路は、アクチュエータを引っ込ませる(すなわち、把持装置の開放ストローク中)ようにも働く。各アクチュエータは、延長チャンバおよび引込みチャンバを備え、したがって、複動シリンダを具体化することがある。各アクチュエータの端部は、三自由度回転継手を有し、厳密に二点で加工物の表面と接触する(それにより、運動接触として機能する)ように作られたエンドエフェクタを備える。これにより、加工物を過剰に拘束することが避けられ、それによって、把持が行われている間に、加工物の向き(例えば、加工物の軸の相対的アライメント)を維持することができる。特定の実施の形態において、加工物を過剰に拘束することは、加工物の端面と接触するように作られ、三自由度(3DOF)回転式バックストップ継手に結合されたバックストップを設けることによって、さらに避けられるであろう。この把持装置は、特別な工具を必要とせずに、様々なサイズ(例えば、直径)の加工物を容易に収容する。
【0030】
図2Aおよび2Bは、1つの実施の形態による把持装置30の一部を示し、
図2Aは、底面図を与え、
図2Bは、
図2Aの切断線2B-2Bに沿ってとられた側面断面図を与えている。把持装置30は、互いから120度離れて配置され、中間に配置された取付ブラケット54A~54Cを使用して構造取付リング50により支持された(例えば、そこから吊られた)流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータ32A~32Cを備えている。図から分かるように、アクチュエータ32A~32Cは、実質的に水平面に配置されている。
図2Aを参照すると、各アクチュエータ32A~32Cは、シリンダ38A~38Cを備え、構造取付リング50により画成された円形開口52の中心に半径方向内側に向いている。各アクチュエータ32A~32Cは、加えて、継手48A~48Cおよび分岐先端部分46A~46Cを有するエンドエフェクタ44A~44Cを備えている。特定の実施の形態において、継手48A~48Cは、単一面に対する枢動移動を可能にする枢動継手を具体化することがある。特定の実施の形態において、継手48A~48Cは、複数面に対する枢動移動を可能にする3DOF継手(例えば、玉継手)を具体化することがある。加工物受入面62を有するバックストップ60が、構造取付リング50の開口52内に中心に配置されている。
図2Bに示されるように、バックストップ60は、上側支持要素(図示せず)に対して複数面の枢動移動を可能にする関連する三自由度(3DOF)回転式バックストップ継手64を有する。図から分かるように、3DOF回転式バックストップ継手64は、玉継手を含んでも、または各々が異なる面の枢動移動を可能にする、多数の枢動継手を備えてもよい。
【0031】
第1のアクチュエータ32Aの内側部分が示されている
図2Bを引き続き参照すると、第1のアクチュエータ32Aは、ピストン34Aおよびそのピストン34Aに結合されたアクチュエータロッド36Aを備え、そのピストン34Aは、シリンダ38A内を動くように作られている。シリンダ38Aは、延長チャンバ40Aおよび引込みチャンバ42Aを備え、それによって、複動シリンダを具体化している。延長チャンバ40Aの加圧により、アクチュエータロッド36Aがシリンダ38Aに対して外側に伸び、引込みチャンバ42Aの加圧により、アクチュエータロッド36Aがシリンダ38A中に引っ込む。
図2Aおよび2Bにおいて、各アクチュエータ32A~32Cは、引っ込んだ位置で示されている。
図2Bを引き続き参照すると、延長チャンバ40Aおよび引込みチャンバ42Aは、流体回路(
図4A~4Cに関して以後記載されるような)を通じて加圧流体(例えば、液体または気体)により選択的に加圧されることがある。第2および第3のアクチュエータ32B、32Cは、第1のアクチュエータ32Aと同じであり、第1のアクチュエータ32Aに関して示され、記載された要素に対応する要素を備えるであろうことを認識すべきである。
【0032】
図3は、2つの単一接点68A-1、68A-2で円柱形加工物20(ハニカム体を具体化しているであろう)と接触して配置された
図2Aおよび2Bに示されたようなエンドエフェクタ44Aの斜視図である。エンドエフェクタ44Aは、各々が、凸曲率を有し、単一接点68A-1、68A-2で円柱形加工物20の円柱壁26(その端面22、24の間に延在する)と接触するように作られている、第1と第2の湾曲接触面66A-1、66A-2を画成する分岐先端部分46Aを備え、よって、エンドエフェクタ44Aは、全体として、厳密に2つの接点68A-1、68A-2で円柱形加工物20と接触するように作られている。エンドエフェクタ44Aは、アクチュエータロッドまたはロッド延長構造(図示されていない)を中に挿入できる中央開口72Aを画成する軸体部分70Aをさらに備える。軸体部分70Aは、エンドエフェクタ44Aを枢動継手48Aと結合させるピンまたは他の構造(図示せず)を受け入れられる垂直ボア74Aをさらに備える。特定の実施の形態において、エンドエフェクタ44Aは、関連するアクチュエータロッド(図示せず)に対して単一(例えば、水平)面で枢動するように作られることがある。特定の実施の形態において、エンドエフェクタ44Aは、それらの間に、単一の3DOF回転継手(例えば、玉継手)または複数の連続して配置された二自由度(2DOF)継手を設けることなどによって、関連するアクチュエータロッドに対して複数面に沿って枢動するように作られることがある。円柱形加工物を厳密に二点で3つのエンドエフェクタ(エンドエフェクタ44Aなど)の各々と接触させ、関連するアクチュエータロッドに枢動可能に結合されたエンドエフェクタを設けることによって、その加工物は過剰には拘束されず、それによって、把持を行いながら、加工物の向きを維持することができる。
【0033】
図4Aは、輪郭線が可視表面に沿って設けられている、
図2A、2B、および3に示されたような、エンドエフェクタ44Aの上面図である。エンドエフェクタ44Aは、各々が凸曲率を有する、第1と第2の湾曲接触面66A-1、66A-2を画成する分岐先端部分46Aを備える。図から分かるように、第1と第2の湾曲接触面66A-1、66A-2は、互いから120度離れて配置されている。エンドエフェクタ44Aは、エンドエフェクタ44Aとアクチュエータロッド(図示せず)との間で単一または複数面に沿った枢動運動を可能にする枢動継手(図示せず)(例えば、2DOFまたは3DOF継手)にエンドエフェクタ44Aを結合させるためのピンまたは他の構造(図示せず)を受け入れるように配置された垂直ボア74Aを備えた軸体部分70Aを備える。
図4Bは、
図4Aに示された切断線4B-4Bに沿ってとられた、エンドエフェクタ44Aの分岐先端部分46Aの一部の断面図であり、湾曲接触面66A-1の曲率を示す。図から分かるように、湾曲接触面66A-1の曲率半径Rは、分岐先端部分46Aの本体厚を超えることがある。特定の実施の形態において、そのエンドエフェクタは、その側壁表面に損傷を与えずに、加工物(例えば、完全な固化の前または後のいずれかの、セラミックハニカム体)の把持を促進するのに十分な範囲の摩擦係数、表面仕上げ、ジュロメータ特性を有する高分子材料(例えば、ポリエチレン、ポリウレタン、ABS、ポリイミド、シリコーンなど)から製造されることがある。
【0034】
図5Aは、本開示の1つの実施の形態による、加圧流体源82、弁84、86A~86C、88A~88C、流体ライン90、および流体作動式の第1から第3のアクチュエータ32A~32Cの間の配線を示す流体回路80であって、加工物を作業方向に保持するための把持装置の一部として、
図2A~2Bに示されたような構成部材と協働するように構成された流体回路80の図である。各アクチュエータ32A~32Cは、それらに結合されたアクチュエータロッド36A~36Cを有するピストン34A~34Cを備え、ピストン34A~34Cは、シリンダ38A~38C内で動くように作られている。各シリンダ38A~38Cは、ピストン34A~34Cの延長(すなわち、把持装置の閉鎖ストローク中)および引込み(すなわち、把持装置の開放ストローク中)の両方のためにピストン34A~34Cの流体制御動作を可能にするための延長チャンバ40A~40Cおよび引込みチャンバ42A~42Cを備えた、複動シリンダを具体化している。圧力進入弁84は、加圧流体源82に結合されており、出口または排出管(図示せず)と結合されることがある。特定の実施の形態において、圧力進入弁84は、5ポート、二位置、四方弁を備えることがあるが、特定の実施の形態において、他のタイプおよび/または組合せの弁が使用されることがある。圧力進入弁84の下流には、選択的に、(i)各シリンダ38A~38Cの延長チャンバ40A~40C中に加圧ガスを入らせる、および(ii)各シリンダ38A~38Cの引込みチャンバ42A~42C中に加圧ガスを入らせるために、第1から第3のアクチュエータ特定弁86A~86Cが並列に設けられている。特定の実施の形態において、各アクチュエータ特定弁86A~86Cは、3ポート、二位置、三元流体パイロット弁を備えるが、さらなる実施の形態において、他のタイプおよび/または組合せの弁が使用されることがある。各シリンダ38A~38Cの延長チャンバ40A~40Cは、あるシリンダ38A~38Cから別のシリンダ38A~38Cへの加圧流体の流れを阻止する関連逆止弁88A~88Cを有する。逆止弁88A~88Cは、把持装置の閉鎖ストローク中に圧力を平衡化させ、これは、次に、全てのアクチュエータ32A~32Cのエンドエフェクタ(図示せず)を加工物の表面と接触させ、同じ圧力レベルを各シリンダ38A~38Cの延長チャンバ40A~40C内に達成させる。逆流を起こさないことにより、逆止弁88A~88Cは、延長チャンバの圧力が維持され、それによって、加工物をピストン内に保持し続けることを確実にする。逆止弁88A~88Cは、加圧流体の逆流を起こさないので、アクチュエータ32A~32Cを引込み位置に動かすために、流体脱出経路のための代わりの経路が設けられる。これは、アクチュエータ特定弁86A~86Cにより設けられる。何故ならば、引込みチャンバ42A~42Cが加圧されると、アクチュエータ特定弁86A~86Cが始動され、加圧流体を引込みチャンバ42A~42Cから排出させるからである。
【0035】
図5Bおよび5Cは、1つの実施の形態による把持装置の、それぞれ、閉鎖ストローク中および開放ストローク中の
図5Aの流体回路80を示す。そのような図面は、ハニカム体の選択された流路を塞ぐための垂直パテ施栓機などの施栓装置と共に把持装置が使用される場合に用いられることのある準備工程の議論の後で、下記に説明される。例えば、ハニカム体の製造中、内部流路を有するハニカム構造を備えた押出円柱セラミック体は、選択された流路を施栓するために使用されるピストン駆動式垂直パテ施栓機によって、さらに加工されることがある。そのような過程において、垂直パテ施栓機のピストン表面に対するハニカム体の面アライメントは、ハニカム体の内部流路に挿入される栓のより均一な深さを可能にするのに役立つ。施栓材料または栓がハニカム体の端面に挿入された後、そのような栓は、必要に応じて、高温への加熱により支援されて、適所で乾燥されることがある。垂直パテ施栓機のピストン表面に対してハニカム体の適切な面アライメントを行うことは、ハニカム体は円柱側壁で把持されなければならず(ハニカム体の少なくとも1つの端面は露出されなければならず、把持には利用できず)、ハニカム体を、把持過程で変わらない作業方向に維持することが都合よいので、かなりの負担となり得る。この把持の課題は、異なるサイズ(例えば、直径)および/または形状のハニカム体に作業する必要性により、さらに複雑になり得る。
【0036】
特定の実施の形態において、ハニカム体は、プレスピストンの上部に位置付けられ、その上で芯だしされることがある。次に、ここに記載されたような把持装置の少なくとも一部を、把持装置のスイベル回転可能な(例えば、3DOF回転可能な)バックストップがハニカム体の上面と接触し、どのような反動にも耐え、ハニカム体が滑るのを防ぐように、それらの間に十分な接触力が及ぼされるまで、降下させることができる。その後、
図5Aに記載されたような流体回路の弁を作動させて、ハニカム体を適所で把持させることがあり、アクチュエータは、エンドエフェクタをハニカム体の湾曲側壁と接触させるように伸ばされている。
【0037】
図5Bは、把持装置の閉鎖ストローク中の
図5Aの流体回路80を示す。図から分かるように、加圧流体が、加圧流体源82から圧力進入弁84および逆止弁88A~88Cを通って、アクチュエータ特定弁86A~86Cに流れる。このアクチュエータ特定弁86A~86Cは、加圧流体を各シリンダ38A~38Cの延長チャンバ40A~40C中に入らせるように作られている。延長チャンバ40A~40C中の加圧流体の存在は、アクチュエータロッド36A~36Cに関連するエンドエフェクタ(図示せず)が加工物の外面に向かって平行移動される把持装置の閉鎖ストロークにしたがって、ピストン34A~34Cおよび関連するアクチュエータロッド36A~36Cを延長チャンバ40A~40Cから引込みチャンバ42A~42Cに向かって(
図5Bに示された白抜きの矢印により示されるように)動かす。同じ加圧流体源82と並列に結合されたアクチュエータ32A~32Cにより、延長に対して最小の抵抗を経験しているアクチュエータ32A~32Cのみが動き、逆止弁88A~88Cにより、加圧流体の逆流が防がれる。1つのアクチュエータの端部(例えば、アクチュエータロッド36A~36Cと結合したエンドエフェクタ)が加工物と接触した際に、さらなる動きに対するアクチュエータの抵抗が増し、次いで、別のアクチュエータが、その端部が加工物と接触するまで動き、3つのアクチュエータ32A~32C全てのエンドエフェクタが加工物と接触し、その圧力が3つのアクチュエータ32A~32C全ての延長チャンバ40A~40C内で等しくなるまで、この過程が継続する。そのような状況において、3つのアクチュエータ32A~32Cにより加工物の湾曲した外面に等しい力が印加され、延長チャンバ40A~40C中に流体圧力が維持される限り、そのような力が維持される。特に、アクチュエータ32A~32Cにより印加される力は、延長チャンバ40A~40Cに供給される流体圧力と正比例し、よって、印加される力は、加圧流体源82により供給される流体の圧力を単に変えることによって、調節することができる。特定の実施の形態において、加圧流体源82は、流体回路80を組み込んだ把持装置により把持された加工物上にアクチュエータ32A~32Cにより印加される力の調節を促進するための調節可能な調整器を備えることがある。
【0038】
図5Cは、把持装置の開放ストローク中の
図5Aの流体回路80を示す。圧力進入弁84は、各シリンダ38A~38Cの引込みチャンバ42A~42Cに加圧流体を供給する位置に動かされる。これと同時に、加圧流体は、アクチュエータ特定弁86A~86Cに供給されて、パイロット操作(piloting)により弁の位置を変え、それによって、延長チャンバ40A~40C内に収容された加圧流体を、アクチュエータ特定弁86A~86Cに通して排出させることができる。引込みチャンバ42A~42Cを加圧すると同時に、延長チャンバ40A~40Cを減圧することによって、各ピストン34A~34Cは、
図5Cに示された白抜きの矢印により示されるように、引込みチャンバ42A~42Cから延長チャンバ40A~40Cに向かう方向に動かされる。
【0039】
図6は、円柱形加工物を間に受け入れるように作られた関連するエンドエフェクタ44A~44Cを有する、流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータ32A~32Cを示し、アクチュエータ32A~32Cの上に配置されたスイベル回転可能なバックストップ60を示し、アクチュエータ32A~32Cを支持する構造取付リング50を示す、
図2Aおよび2Bに示されたような把持装置の少なくとも一部の斜視図である。構造取付リング50は開口54を画成し、バックストップ60の少なくとも一部(加工物受入面62を有する)は、開口54内にまたはそれに隣接して中心に配置されている。アクチュエータ32A~32Cは、加工物の周囲の周りに等間隔に(互いから120度離れて)配置され、取付ブラケット54A~54Cを有する構造取付リング50により支持されている(そこから吊られている)。各アクチュエータ32A~32Cは、シリンダ38A~38Cの延長および引込みチャンバに加圧流体を供給するための流体ライン90を受け入れるシリンダ38A~38Cを備えている。各アクチュエータ32A~32Cは、継手48A~48Cにより関連するエンドエフェクタ44A~44Cに結合されており、この継手は、特定の実施の形態において、玉継手を含むことがある。構造取付リング50の支持構造は、垂直パテ施栓機(図示せず)を利用してGPF施栓過程中に有用であろうような、構造取付リング50(例えば、アクチュエータ32A~32Cのエンドエフェクタ44A~44Cの間に加工物が把持されて)の垂直位置を変えるために回転させられるネジ式ライザー94を備えることがある。
【0040】
図7は、
図6の把持装置の一部の中に配置された円柱形加工物(すなわち、ハニカム体)20の斜視図である。ハニカム体20は、互いに反対の端面22、24の間に延在する円柱壁を有する。図から分かるように、ハニカム体20は、端面22、24に付けられた取り外し可能なマスク96-1、96-2を有する。特定の実施の形態において、マスク96-1、96-2は、その中に画成された多数の孔を有することがあり、それによって、施栓材料が、その孔を通じてハニカム体20の選択された流路中に供給され、垂直パテ施栓機(図示せず)を使用して所定の深さで所定位置に圧入される施栓工程の一部として使用されることがある。図から分かるように、ハニカム体20の上側端面24は、構造取付リング50の開口52内に位置付けられたバックストップ60の加工物受入面62に対して配置されている。ハニカム体20は、継手48A~48Cによりアクチュエータ32A~32Cのアクチュエータロッド36A~36Cに結合されたエンドエフェクタ44A~44Cにより横方向に把持されるように位置付けられており、これらのアクチュエータは、ブラケット54を使用して構造取付リング50により支持されている。流体ライン90は、加圧流体をアクチュエータ32A~32Cに供給するために設けられ、ネジ式ライザー94は、構造取付リングの垂直位置を調節できるように設けられている。
図7に示された装置の操作は、この中に先に概説された工程にしたがって進行する。
【0041】
ここに開示された特定の実施の形態は、円柱側壁と境界する互いに反対の円形端面を有する加工物に使用するのに特に有用であるが、ここに開示された把持装置は、1つ以上の湾曲側壁を有する加工物、円柱側壁と境界する少なくとも1つの半球または非平面端面を有する加工物、円柱側壁と境界する1つ以上の楕円端面を有する加工物、実質的に多角形端面(例えば、6、7、8、9、10、11、12またはそれより多い辺を有する、必要に応じて、丸みを帯びた角を有する)および同じまたは類似の形状の側壁を有する加工物など、他の形状の加工物に使用してもよいことを理解すべきである。それに加え、ここに開示された特定の実施の形態は、流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータおよび関連するエンドエフェクタを備えた把持装置の使用に関するが、特定の実施の形態において、追加のアクチュエータ(例えば、第4、第5、第6など)および関連するエンドエフェクタが設けられてもよいことを認識すべきである。この点に関して、特定の実施の形態において、少なくとも3つのアクチュエータおよび関連するエンドエフェクタが設けられることがある。
【0042】
ここに開示された1つ以上の実施の形態により実現されるであろう技術的利点としては、特に、加工物を作業方向に維持しながらの、湾曲(例えば、円柱)側壁を有する加工物を自動的に把持する向上した能力;調節せずに、異なるサイズ(例えば、直径)の加工物を自動的に把持する向上した能力;湾曲側壁を有する加工物の側壁に対して印加される把持力を調節する上での改善された容易さ;GPF施栓実験を行う向上した速度と容易さ;GPF製造の増加したスループット;およびGPF実験と製造のための減少した必要労働量が挙げられる。
【0043】
当業者には、本発明の精神または範囲から逸脱せずに、他の改変および変更を行えることが認識されるであろう。本発明の精神および実体を含む開示された実施の形態の改変、組合せ、部分的組合せ、および変種が、当業者に想起されるであろうから、本発明は、付随の特許請求の範囲およびその等価物に全てを含むと考えるべきである。
【0044】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0045】
実施形態1
加工物を作業方向に保持するための把持装置において、
前記加工物の周囲の周りに等間隔にある流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータであって、各アクチュエータは、延長チャンバと引込みチャンバを有するシリンダ内で動くように配置された可動ピストンと結合されたアクチュエータロッドを備え、単一の加圧流体源に結合されるように作られている、アクチュエータ、
(i)前記把持装置の閉鎖ストローク中に各アクチュエータの前記延長チャンバに加圧流体を供給し、(ii)各アクチュエータの前記延長チャンバから加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止し、(iii)前記加工物が前記把持装置により保持されている間に、各アクチュエータの前記延長チャンバ内に同じ流体圧力を維持し、(iv)前記把持装置の開放ストローク中に各アクチュエータの前記延長チャンバから加圧流体を解放し、(v)前記把持装置の前記開放ストローク中に各アクチュエータの前記引込みチャンバに加圧流体を供給する:ように構成された流体回路、および
それぞれ、前記第1、前記第2、および前記第3のアクチュエータの前記アクチュエータロッドと枢動可能に結合された第1、第2、および第3のエンドエフェクタであって、各エンドエフェクタは、厳密に二点で前記加工物の表面と接触するように作られている、エンドエフェクタ、
を備えた把持装置。
【0046】
実施形態2
前記加工物は、少なくとも1つの湾曲側壁および第1の端面を有し、前記把持装置は、該第1の端面と接触するように作られたバックストップをさらに備え、該バックストップは、三自由度回転式バックストップ継手と結合されている、実施形態1に記載の把持装置。
【0047】
実施形態3
前記三自由度回転式バックストップ継手は、玉継手を含む、実施形態1に記載の把持装置。
【0048】
実施形態4
各エンドエフェクタは、前記厳密に二点の内の第1の点で前記加工物の表面と接触するように作られた第1の曲面を画成し、該厳密に二点の内の第2の点で該加工物の表面と接触するように作られた第2の曲面を画成する分岐先端部分を備える、実施形態1に記載の把持装置。
【0049】
実施形態5
前記第1の曲面の曲率の軸は、前記第2の曲面の曲率の軸から120度離れて配置されている、実施形態4に記載の把持装置。
【0050】
実施形態6
各エンドエフェクタは、三自由度回転継手を備える、実施形態1に記載の把持装置。
【0051】
実施形態7
前記流体回路は、
前記第1のアクチュエータの前記延長チャンバから前記加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止するように作られた第1の逆止弁、
前記第2のアクチュエータの前記延長チャンバから前記加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止するように作られた第2の逆止弁、および
前記第3のアクチュエータの前記延長チャンバから前記加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止するように作られた第3の逆止弁、
を備える、実施形態1に記載の把持装置。
【0052】
実施形態8
前記流体回路は、
前記把持装置の前記開放ストローク中に、加圧流体に前記第1の逆止弁を迂回させ、前記第1のアクチュエータの前記引込みチャンバから、加圧流体戻り管に向かってまたは流体出口に向かって流すように配置された第1のバイパス弁、
前記把持装置の前記開放ストローク中に、加圧流体に前記第2の逆止弁を迂回させ、前記第2のアクチュエータの前記引込みチャンバから、加圧流体戻り管に向かってまたは流体出口に向かって流すように配置された第2のバイパス弁、および
前記把持装置の前記開放ストローク中に、加圧流体に前記第3の逆止弁を迂回させ、前記第3のアクチュエータの前記引込みチャンバから、加圧流体戻り管に向かってまたは流体出口に向かって流すように配置された第3のバイパス弁、
を備える、実施形態7に記載の把持装置。
【0053】
実施形態9
前記第1のバイパス弁は、前記第1のアクチュエータの前記延長チャンバを(i)前記第1の逆止弁、もしくは(ii)加圧流体戻り管または流体出口のいずれかに選択的に結合させるように配置された3ポート、二位置、三方弁を備え、
前記第2のバイパス弁は、前記第2のアクチュエータの前記延長チャンバを(i)前記第2の逆止弁、もしくは(ii)加圧流体戻り管または流体出口のいずれかに選択的に結合させるように配置された3ポート、二位置、三方弁を備え、
前記第3のバイパス弁は、前記第3のアクチュエータの前記延長チャンバを(i)前記第3の逆止弁、もしくは(ii)加圧流体戻り管または流体出口のいずれかに選択的に結合させるように配置された3ポート、二位置、三方弁を備える、実施形態8に記載の把持装置。
【0054】
実施形態10
構造取付リングをさらに備え、前記第1、前記第2、および前記第3の流体作動式アクチュエータが該構造取付リングに取り付けられ、前記バックストップの少なくとも一部が、該構造取付リングの開口内にまたはそれに隣接して中心に配置されている、実施形態2に記載の把持装置。
【0055】
実施形態11
各アクチュエータの前記アクチュエータロッドが、実質的に水平面で移動するように作られている、実施形態1に記載の把持装置。
【0056】
実施形態12
前記加圧流体源により前記流体回路に供給される選択された圧力を維持するように作られた調節可能な圧力調整器をさらに備え、それによって、該加圧流体源により供給される該選択された圧力の調節が、前記第1、前記第2、および前記第3のエンドエフェクタにより前記加工物に印加される把持力を調節するように構成されている、実施形態1に記載の把持装置。
【0057】
実施形態13
前記加圧流体が液体を含む、実施形態1に記載の把持装置。
【0058】
実施形態14
前記加圧流体が気体を含む、実施形態1に記載の把持装置。
【0059】
実施形態15
前記流体回路が、前記加圧流体源と、前記第1、前記第2、および前記第3のアクチュエータとの間に配置された5ポート、二位置、四方弁を含む、実施形態1に記載の把持装置。
【0060】
実施形態16
前記加工物が、実質的に円柱形状を有する、実施形態1に記載の把持装置。
【0061】
実施形態17
加工物の周囲の周りに等間隔にある、流体作動式の第1、第2、および第3のアクチュエータを備え、それぞれ、該第1、該第2、および該第3のアクチュエータのアクチュエータロッドに結合された第1、第2、および第3のエンドエフェクタを備えた把持装置を利用して、加工物を作業方向に把持し、保持する方法であって、
各アクチュエータが、(i)延長チャンバおよび引込みチャンバを有するシリンダ、および(ii)該シリンダ内で動くように配置された可動ピストンに結合されたアクチュエータロッドを備え、前記方法は、
前記把持装置の閉鎖ストローク中に、単一の加圧流体源から前記第1、前記第2、および前記第3のアクチュエータの各々の前記延長チャンバに加圧流体を供給しつつ、各延長チャンバから該加圧流体源に向かう加圧流体の逆流を阻止して、(i)前記第1のエンドエフェクタを第1の対の点のみで前記加工物の表面と接触させ、(ii)前記第2のエンドエフェクタを第2の対の点のみで該加工物の表面と接触させ、(iii)前記第3のエンドエフェクタを第3の対の点のみで加工物の表面と接触させる工程、
前記加工物が前記把持装置で保持されている間に、各アクチュエータの前記延長チャンバ内の加圧流体に同じ圧力を維持する工程、
前記把持装置の開放ストローク中に各アクチュエータの前記延長チャンバから加圧流体を解放する工程、および
前記把持装置の前記開放ストローク中に各アクチュエータの前記引込みチャンバに加圧流体を供給する工程、
を有してなる方法。
【0062】
実施形態18
前記加工物の上下移動を、該加工物の端面と接触するように作られたバックストップで制限する工程をさらに含み、該バックストップが三自由度回転式バックストップ継手を含む、実施形態17に記載の方法。
【0063】
実施形態19
前記単一の加圧流体源から前記第1、前記第2、および前記第3のアクチュエータの各々の前記延長チャンバに加圧流体を供給する工程の前に、前記把持装置の少なくとも一部を降下させて、該把持装置の枢動可能に取り付けられたバックストップと、前記加工物の上面との間に接触を確立する工程をさらに含む、実施形態17に記載の方法。
【0064】
実施形態20
前記加圧流体源により前記流体回路に供給される圧力を維持するように作られた調節可能な圧力調整器の出力圧力を調節し、それによって、該加圧流体源により供給される選択された圧力の調節が、前記第1、前記第2、および前記第3のエンドエフェクタにより前記加工物に印加される把持力を調節するように働く工程をさらに含む、実施形態17に記載の方法。
【符号の説明】
【0065】
10、20 ハニカム体
12、14、22、24 端面
16、20 円柱壁
18、28 流路
30 把持装置
32A~32C アクチュエータ
36A~36C アクチュエータロッド
38A~38C シリンダ
40A~40C 延長チャンバ
42A~42C 引込みチャンバ
46A~46C 分岐先端部分
48A~48C 継手
50 取付リング
54A~54C 取付ブラケット
60 バックストップ
62 加工物受入面
64 バックストップ継手
66A-1、66A-2 湾曲接触面
68A-1、68A-2 単一接点
70A 軸体部分
72A 中央開口
74A 垂直ボア
80 流体回路
82 加圧流体源
84、86A~86C、88A~88C 弁
90 流体ライン
96-1、96-2 マスク
【国際調査報告】