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特表2022-517208ガス状伝達物質を生成するための電気化学ガス状伝達物質生成組成物及びバイメタル電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-07
(54)【発明の名称】ガス状伝達物質を生成するための電気化学ガス状伝達物質生成組成物及びバイメタル電池
(51)【国際特許分類】
   A61L 15/18 20060101AFI20220228BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 50/00 20060101ALI20220228BHJP
   A61L 15/20 20060101ALI20220228BHJP
   A61L 15/26 20060101ALI20220228BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20220228BHJP
   A61L 15/44 20060101ALI20220228BHJP
   A61L 15/24 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 47/08 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 47/18 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20220228BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20220228BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20220228BHJP
   A61M 35/00 20060101ALI20220228BHJP
   H01M 6/32 20060101ALI20220228BHJP
【FI】
A61L15/18 100
A61K33/00
A61K50/00 100
A61L15/20 100
A61L15/26 100
A61L15/28 100
A61L15/44 100
A61L15/24 100
A61K47/08
A61K47/10
A61K47/18
A61K47/32
A61K9/70
A61P1/02
A61P17/02
A61P17/10
A61P31/12
A61P31/04
A61M35/00 Z
H01M6/32 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021539644
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2020013291
(87)【国際公開番号】W WO2020154121
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】62/791,317
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
3.PLURONIC
(71)【出願人】
【識別番号】519290220
【氏名又は名称】ノクサノ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィリー、アラン
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル、ステバン
(72)【発明者】
【氏名】アダムズ、ジェイコブ、ロバート
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
4C086
4C267
5H025
【Fターム(参考)】
4C076AA71
4C076DD26Z
4C076DD38
4C076DD40
4C076DD49
4C076DD50
4C076EE09
4C081AA02
4C081AA12
4C081BB06
4C081CA052
4C081CA062
4C081CA082
4C081CA102
4C081CA182
4C081CA282
4C081CD012
4C081CD022
4C081CD092
4C081CE02
4C081CF21
4C081DC11
4C084AA17
4C084AA27
4C084MA63
4C084NA03
4C084NA13
4C084NA15
4C084ZA891
4C084ZB331
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA15
4C086HA17
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA13
4C086NA15
4C086ZA67
4C086ZA89
4C086ZB33
4C086ZB35
4C267AA71
4C267CC06
4C267DD10
4C267EE08
4C267GG16
4C267GG41
5H025AA02
5H025AA11
5H025CC38
(57)【要約】
実施形態による治療用のドレッシングは、ガス状伝達物質塩を還元するように構成された有機電気化学メディエーターと、還元時にガス状伝達物質へと変わるガス状伝達物質塩とを含む組成物;組成物を含有するように適合された担体;及び組成物に電流を供給するバイメタル電池を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用のドレッシングであって、
ガス状伝達物質塩を還元するように構成された有機電気化学メディエーターと、
還元時にガス状伝達物質へと変わるガス状伝達物質塩と
を含む組成物、
該組成物を含有するように適合された担体、及び
該組成物に電流を供給するバイメタル電池
を含む、上記治療用のドレッシング。
【請求項2】
ガス状伝達物質塩が、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、及び亜硫酸塩、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項3】
ガス状伝達物質塩が亜硝酸塩であり、亜硝酸塩が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの亜硝酸塩、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の治療用のドレッシング。
【請求項4】
ガス状伝達物質塩が亜硫酸塩であり、亜硫酸塩が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの亜硫酸塩、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項2に記載の治療用のドレッシング。
【請求項5】
電気化学メディエーターが、約-0.1V~約-2.0Vの還元電位を有する、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項6】
電気化学メディエーターが、約-0.5V~約-1.7Vの還元電位を有する、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項7】
電気化学メディエーターが、約-0.75V~約-1.5Vの還元電位を有する、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項8】
電気化学メディエーターが、ベンゾフェノン、キノン、及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項9】
電気化学メディエーターが、
酸化還元部分と、
アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸、ホスファートアルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2-エチル-2-オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン-N-オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、及びエチレンイミン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性部分と
を含む、請求項8に記載の治療用のドレッシング。
【請求項10】
電気化学メディエーターが、フルオレセイン、キサントン、チオキサントン及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項11】
電気化学メディエーターが、
酸化還元部分と、
アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸、ホスファートアルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2-エチル-2-オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン-N-オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、及びエチレンイミン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性部分と
を含む、請求項10に記載の治療用のドレッシング。
【請求項12】
ガス状伝達物質塩が、電子移動を介して一酸化窒素に変わる亜硝酸塩又は硝酸塩を含む、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項13】
ガス状伝達物質塩が、式:
A[NO2]
を有する
亜硝酸塩を含み、式中、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、及びアリールアンモニウムのカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される、請求項12に記載の治療用のドレッシング。
【請求項14】
硝酸塩又は亜硝酸塩が、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、及び亜鉛のカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなるカチオンを有する、請求項12に記載の治療用のドレッシング。
【請求項15】
ガス状伝達物質塩が、電子移動を介して硫化水素に変わる亜硫酸塩、硫酸塩又はチオ硫酸塩を含む、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項16】
ガス状伝達物質塩が、式:
[SO
を有する
亜硫酸塩を含み、式中、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、及びアリールアンモニウムのカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される、請求項15に記載の治療用のドレッシング。
【請求項17】
亜硫酸塩、硫酸塩、又はチオ硫酸塩が、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、及び亜鉛のカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択されるカチオンを有する、請求項15に記載の治療用のドレッシング。
【請求項18】
電気化学メディエーターが水溶性ケトン又はその誘導体である、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項19】
電気化学メディエーターが、
酸化還元部分と、
アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸、ホスファートアルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2-エチル-2-オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン-N-オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、及びエチレンイミン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性部分と
を含む、請求項18に記載の治療用のドレッシング。
【請求項20】
バイメタル電池がアノードをさらに含み、アノードが、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、及び銅、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項21】
アノードが亜鉛又はアルミニウムである、請求項20に記載の治療用のドレッシング。
【請求項22】
バイメタル電池がカソードをさらに含み、カソードが炭素、銀、金、及び白金、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項23】
カソードが炭素又は銀である、請求項22に記載の治療用のドレッシング。
【請求項24】
バイメタル電池がカソードをさらに含み、カソードがグラファイトである、請求項1に記載の治療用のドレッシング。
【請求項25】
ガス状伝達物質の調製方法であって、請求項1に記載の組成物を約-0.1V~約-2.0Vの還元電位に曝露することを含む、上記方法。
【請求項26】
創傷を治療する方法であって、
創傷を請求項1に記載の組成物と接触させること、及び
該組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、上記方法。
【請求項27】
尋常性ざ瘡を治療する方法であって、
尋常性ざ瘡を請求項1に記載の組成物と接触させること、及び
該組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、上記方法。
【請求項28】
皮膚潰瘍を治療する方法であって、
皮膚潰瘍を請求項1に記載の組成物と接触させること、及び
該組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、上記方法。
【請求項29】
ウイルスを治療する方法であって、
ウイルスを請求項1に記載の組成物と接触させること、及び
組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、上記方法。
【請求項30】
バイオフィルムを表面から除去する方法であって、
バイオフィルムを請求項1に記載の組成物と接触させること、及び
該組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、上記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、1つ以上の有機電気化学メディエーターを含んで、ガルバニ電池を利用することによって、1つ以上のガス状伝達物質、特に一酸化窒素及び硫化水素を生成する組成物に関する。本開示はまた、特許請求される組成物からガス状伝達物質を生成するためのバイメタル電池に関する。本開示はまた、ガルバニ電池を組み込んだ治療用のドレッシング、方法、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去20年間、生物学的プロセスにおけるガス状伝達物質、特に血圧の正常な生理学的制御、外来性病原体のマクロファージ破壊、虚血性再灌流傷害、出血性ショック、血小板凝集及び神経伝達を含むいくつかの生体調節プロセスに関与している一酸化窒素(NO)及び硫化水素(HS)の重要性が認識されてきた。最近の研究は、ガス状伝達物質が広範囲の抗菌活性及び抗ウイルス活性を有し、薬剤耐性細菌に対する従来の抗生物質の代替物として使用され得ることをさらに実証している。さらに、ガス状伝達物質を使用して炎症を緩和し、創傷治癒を促進することもできる。しかしながら、周囲温度及び大気圧で、生理学的環境での半減期が短いガスとして、制御され標的化された方法でガス状伝達物質を送達することは、比較的困難であると立証されている。
【0003】
制御され標的化された方法で一酸化窒素を送達するための1つの試みは、湿気又は温度の上昇で分解して一酸化窒素を放出するようにポリマーを改質することであり、BASFの米国特許出願公開第13975930号並びにNovan Inc.の米国特許第20140134321号及び米国特許第20140171395号に記載されたアプローチである。これらのポリマーによって、固体から一酸化窒素を送達することができるが、放出プロファイルの制御は限定されている。
【0004】
制御され標的化された方法で一酸化窒素を送達するための別の試みは、Edixomedによる国際公開第2014/188175A号に記載されているように、亜硝酸塩の酸触媒分解によるものである。このアプローチもまた、固体製剤から一酸化窒素を送達するが、放出プロファイルの制御は限定されている。
【0005】
制御され標的化された方法で一酸化窒素を送達するさらなる試みは、米国特許第9480785号に記載されているような、亜硝酸塩の一酸化窒素への電気化学的還元によるものである。一酸化窒素の電気化学的生成は、銅触媒を使用して達成され、放出プロファイルの制御を可能にする。このアプローチは、本明細書に記載の実施形態と同様に、亜硝酸塩の一酸化窒素への電気化学的還元を利用する。米国特許第9480785号とは対照的に、本実施形態は、金属触媒とは異なり、開放創に適合する有機メディエーターを使用する。
【0006】
一酸化窒素の適用は、制御かつ標的化された送達方法又は材料が存在しないため、比較的制限されてきた。したがって、これらの種を時間的に、空間的に標的化された方法で送達することができるガス状伝達物質送達システムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの実施形態は、治療用のドレッシングであって、ガス状伝達物質塩を還元するように構成された有機電気化学メディエーターと、還元時にガス状伝達物質へと変わるガス状伝達物質塩とを含む組成物;組成物を含有するように適合された担体;及び組成物に電流を供給するバイメタル電池を含む治療用のドレッシングに関する。他の実施形態は、バイメタル電池、ガス状伝達物質の調製方法、ガス状伝達物質を使用する治療方法、及びガス状伝達物質を使用する他の方法に関する。
【0008】
この概要は、特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を限定する助けとして使用されることも意図していない。本出願のさらなる実施形態、形態、特徴、及び態様は、説明及び本明細書と共に提供される図から明らかになるものとする。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本開示の前述及び他の態様を、本明細書で提供される説明及び方法論に関してより詳細に説明する。本発明は、異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全に完成するように、かつ本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。
【0010】
Willeyらの米国特許第10,342,706号明細書は、本開示に関連する主題を含むことができ、そのような特許の主題は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0011】
本明細書で使用される用語は、いくつかの実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。ガス状伝達物質塩という用語は、本実施形態で使用される場合にガス状伝達物質を生成する塩を指す。実施形態及び添付の特許請求の範囲の説明で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数形も含むことが意図される。また、本明細書で使用される場合、「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1つ又は複数のありとあらゆる可能な組み合わせを指し、包含する。さらに、化合物の量、用量、時間、温度などの測定可能な値を指すときに本明細書で使用される「約」という用語は、指定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%、又はさらには0.1%の変動を包含することを意味する。「含む(comprises)」及び/又は「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではないことがさらに理解されよう。他に定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語を含むすべての用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される場合、「バイメタル」及び「ガルバニック」という用語は交換可能である。
【0012】
本実施形態は、電気化学メディエーター及び亜硝酸塩、硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、チオ硫酸塩又は硫酸塩を含む、電気化学的に媒介される組成物に関する。さらに、本実施形態はまた、標的部位をガス状伝達物質生成組成物に曝露することによって1つ以上の健康上の利益を対象に提供する方法に関する。いくつかの実施形態では、ガス状伝達物質の放出の量及び速度は、製剤、及び/又はバイメタル電池装置によって印加される電圧を調整することによって調節される。
【0013】
2つの金属又は半金属を電解質に浸漬すると、それらはガルバニック腐食を起こす。腐食速度は、電解質、ガルバニック(電気化学)系列上の位置、及び電解質にさらされるアノード及びカソードの相対面積によって決定される。差を電圧電位の差として測定することができる。より腐食する金属は、腐食が少ない金属よりも低い(すなわち、陰性が強い)電極電位を有し、上述のように機能する電解質デバイス(ガルバニ電池)内のアノード(電子又はアニオン誘引物質)として機能するであろう。ガルバニック反応は、電池の基礎となる原理である。一般的な使用法では、「バッテリー」という用語は単一のガルバニ電池を含むようになっているが、バッテリーは、正確には複数のボルタ電池からなる。各電池は、金属カチオンを含有する導電性電解質によって直列に接続された2つの半電池からなる。1つの半電池は、電解質及び負極を含み、その電極にアニオン(負に帯電したイオン)が移動する。他方の半電池は、電解質及び正極を含み、そこにカチオン(正に帯電したイオン)が移動する。複数の電池をバッテリー内で互いに接続すると、電気装置又は電気分解に十分な安定した電流が提供される。電解質中の(ガルバニック系列からの)2つの異種材料に基づくガルバニ電池は、一般に、用途のために十分に安定した電流を提供しない。驚くべきことに、ガルバニ電池は、本明細書に記載のガス状伝達物質の生成に十分な電流を提供することが見出された。ガルバニック系列の2つの部材が本開示のガス状伝達物質塩溶液に浸漬されると、電位が生成され、電流が流れる。この電流によって、ガス状伝達物質塩からガス状伝達物質が生成される。さらに、ガルバニック系列から異なる電位ギャップを有する材料を選択し、電解質濃度を変化させることによって、ガス状伝達物質の生成速度を制御できることが分かった。
【0014】
本開示はまた、治療システム、包帯、及び有機電気化学メディエーターと、還元時にガス状伝達物質(特に一酸化窒素又は硫化水素)を生成するガス状伝達物質生成塩と、ガルバニック系列から選択されるアノード及びカソードとを含むドレッシングを提供し、ガルバニック系列は、有機電気化学メディエーターを介してガス状伝達物質生成塩を還元するのに必要な還元電位を提供するように選択される。したがって、本開示は、ガス状伝達物質システムを直接的又は間接的に還元するために使用される還元システムを含み、それには、ドレッシング及び包帯システムに有利かつ便利に適用及び組み込まれ得るものが含まれ、本明細書に記載されるものによって例示されるような、ガルバニック反応を制御する電気的接続の継続時間を変化させるか、そうでなければガルバニック反応を中断又は終了させるように適合されたものが含まれる。
【0015】
いくつかの実施形態では、ガス状伝達物質の放出の量及び速度は、有機電気化学メディエーターに、したがってガス状伝達物質生成塩に影響を与えるガス状伝達物質生成電流を変化させるために、1つ以上のガルバニ電池構成要素の配合を調整することによって調節される。
【0016】
電子供与体、ガス状伝達物質塩及びガルバニック還元電流源の相対濃度は、所望のガス状伝達物質の生成及びその生成の持続時間に応じて、所望のガス状伝達物質の生成及びその生成の持続時間に従ってガス状伝達物質生成組成物が経時的に曝露される電流の量及び持続時間を考慮して、任意の所与の光触媒性組成物について決定することができることが理解されよう。
【0017】
ガルバニ電池のガルバニック作用、及びそれによる結果であるガス状伝達物質生成は、そのような配置に適用可能な電気化学的原理に関する技術分野で知られている任意の1つ以上の技術又は方法、例えば、ガス状伝達物質生成組成物に対するガルバニ電池の量、濃度、及び/又は物理的配置を変えることによって、変化させることができる。したがって、本開示のシステム、ドレッシング、包帯は、所与のシステム、ドレッシング、又は包帯内でガス状伝達物質生成電流を変化させることができるように、任意の配置を組み込むことができる。そのような配置の例は、経時的に連続してガス状伝達物質生成組成物と電気的接触させられる、ガルバニック強度が比較等しい個々の電池対の列を含むガルバニ電池を使用し、ガルバニ電池の電圧が経時的にリフレッシュされるような形態であり得る。別の例として、結果として生じるガス状伝達物質生成の経時的な増加が望まれる場合、ガルバニック強度が増加する個々の電池対の列を、経時的に連続してガス状伝達物質生成組成物と電気的に接触させて、ガス状伝達物質の生成速度を経時的に増加させる。これは、経時的に連続してガス状伝達物質生成組成物と電気的に接触するように適応させるための、開放可能な層が設けられる包帯、ドレッシング又は他の治療システム内に個々の区画層を設けることによって行うことができる。別の実施形態では、包帯又はドレッシングなどの治療システムは、キットで、又はそれ以外では2つ以上の容器もしくは層状(layerable)包帯もしくはドレッシング構成要素ともに提供され得、例えば、包帯又はドレッシングによって保持されたガス状伝達物質生成組成物と電気的に接触して配置され、その後、後続のそのような層状(layerable)包帯又はドレッシング構成要素の1つのために除去されて、ガス状伝達物質生成の変化が望まれる所望の治療スケジュールにわたって、継続的な量のガス状伝達物質生成電流を提供することができる。
【0018】
電気化学メディエーター
電気化学メディエーターは、有機酸化還元部分と可溶化部分とからなる。一実施形態では、酸化還元部分は、電極において、いくつかの実施形態では約-0.1V~約-2.0V、いくつかの実施形態では約-0.5V~約-1.7V、いくつかの実施形態では約-0.75V~約-1.5Vの電位で還元される有機部分である。還元すると、酸化還元メディエーターは水溶液中に拡散し、電子移動を介してガス状伝達物質生成塩を還元する一電子還元種を形成する。ガス状伝達物質生成塩を還元するために、メディエーターは、その還元状態において、塩のガス状伝達物質への還元に必要な電位よりも負に大きい還元電位を有するべきである。
【0019】
本実施形態の電気化学メディエーターの酸化還元部分は、水溶性ケトン、ベンゾフェノン、キノン、フルオレセイン、キサントン、チオキサントンからなる群から選択される。
【0020】
本実施形態の電気化学メディエーターは、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸、及びリン酸基などの極性官能基を組み込むことができ、これらは、イオン化するか、又は水との比較的強い分子間引力(水素結合)が可能である。いくつかの実施形態では、酸性基及び塩基性基が有用である。本明細書で使用される場合、「水溶性部分」という用語は、水に引き付けられ、水に溶解して均質な溶液を形成する部分を指す。一実施形態では、水溶性部分は、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸及びリン酸基からなる群から選択される。別の実施形態では、親水性部分は、水溶性オリゴマー、水溶性ポリマー及び水溶性コポリマーからなる群から選択される。一実施形態では、親水性部分は、カルボン酸及びスルホン酸から選択され得る。別の実施形態では、親水性基は、アルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2-エチル-2-オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン-N-オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。一実施形態では、親水性部分は、アルキレンオキシドオリゴマーポリマー、アルキレンオキシドオリゴマーコポリマー、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリルアミド、セルロース、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0021】
本明細書で使用される場合、「酸化還元部分」という用語は、電極で還元されて、次にガス状伝達物質塩を還元するラジカルアニオンを形成することができる有機部分を指す。
【0022】
電気化学組成物
本実施形態は、上記でさらに詳細に説明したような電気化学メディエーター、及びガス状伝達物質塩を含む電気化学組成物に関する。
【0023】
電気化学組成物は、水溶液、エマルジョン、固体、ゲル、ヒドロゲルであってもよく、又はフィルムなどの材料に組み込まれていてもよい。
【0024】
一実施形態では、電気化学組成物は、電気化学メディエーター、ガス状伝達物質塩、水及び超吸収性ヒドロゲルを含む。このようにして形成されたゲル組成物は、バイメタルドレッシングと共に創傷に直接適用されてもよく、パウチドレッシングに含有された組成物と共に創傷に適用されてもよい。バイメタル電池は、パウチドレッシングに組み込まれてもよく、又は分離してパウチドレッシングに適用されてもよいことが理解されよう。
【0025】
別の実施形態では、電気化学組成物の個々の成分は、組成物、及びフィルムなどの材料の両方に組み込まれてもよい。一実施形態では、電気化学メディエーターはフィルムに含まれていてもよく、亜硝酸塩は組成物に含まれていてもよい。この実施形態では、電気化学メディエーターを含むフィルムを表面に適用してもよく、ガス状伝達物質塩を含む組成物を別々に適用してもよいことが理解されよう。
【0026】
しかしながら、電気化学メディエーターが水性組成物中にある場合、組成物は、組成物の0.1重量%~99重量%の水を含み得る。したがって、電気化学メディエーターは濃縮形態又は希釈形態であり得ることが理解されよう。水の一部は、エタノール、グリコール、グリコールエーテル、グリセリン、水溶性アセタート、エーテル、及びアルコールなどの別の溶媒で置き換えられてもよいことがさらに考えられる。
【0027】
上記のように、本実施形態は、電気化学メディエーター及びガス状伝達物質塩を含む電気化学組成物に関する。そのような実施形態では、電気化学メディエーターが電極で還元され、次いで還元された形態でガス状伝達物質塩と反応してガス状伝達物質を生成することが理解されよう。ガス状伝達物質塩は、電極での電子移動後に電気化学メディエーターと反応すると、ガス状伝達物質に変換され得ることも理解されよう。電気化学メディエーターは、電極による活性化がないとガス状伝達物質塩と実質的に非反応性であり、ガス状伝達物質塩は、実質的に電極によって直接還元されないことが理解されよう。
【0028】
本実施形態では、電極での電気化学メディエーターへの電子移動により、反応が進行してガス状伝達物質が生成される。いくつかの実施形態では、ガス状伝達物質は、血圧、外来病原体のマクロファージ破壊、及び神経伝達を制御し、広域スペクトルの抗菌活性を提供し、炎症を緩和し、創傷治癒を促進するように作用し得る。
【0029】
ガス状伝達物質塩
本実施形態の電気化学組成物は、ガス状伝達物質塩を含む。本実施形態の電気化学組成物に使用される場合、ガス状伝達物質塩は、還元によってガス状伝達物質に変換される。
【0030】
いくつかの実施形態では、ガス状伝達物質塩は、式:
A[NO
を有する亜硝酸塩又は硝酸塩であり、式中、xは2又は3であり、Aは一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。mは、カチオンの電荷を平衡させて中性の亜硝酸塩又は硝酸塩を得るのに必要なアニオンの数を表す。
【0032】
他の実施形態では、ガス状伝達物質塩は、式:
A[SxOy]m
を有する硫酸塩、亜硫酸塩、又はチオ硫酸塩であり、式中、Aは、一価カチオン、二価カチオン及び三価カチオンからなる群から選択される。
【0033】
いくつかの実施形態では、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アリールアンモニウム、及びそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、Aは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム及びそれらの混合物からなる群から選択される。xは、1又は2、yは、3又は4、mは、カチオンの電荷を平衡させて中性の硫酸塩、亜硫酸塩、又はチオ硫酸塩を得るのに必要なアニオンの数を表す。
【0034】
バイメタル電池装置
本明細書に記載の組成物からガス状伝達物質を生成するためには、組成物に電圧を印加しなければならない。印加される電圧は、ガス状伝達物質生成組成物中の電気化学メディエーターの還元電位より大きくなければならない。装置の形態は、所望の用途に合わせて調整してもよいが、装置は、以下の要素を含むことができる。
・組成物と接触し、前記組成物との間で電子を伝達するバイメタル電極(すなわち、異なる金属から形成された2つの電極)。電極は、ガルバニック系列の2つの異なる材料から選択される。いくつかの実施形態では、電極は可撓性である。
・非導電性基材は、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリエステルフィルム並びに不織布、セルロース基材、例えば綿、キトサン及びコラーゲンを含むがこれらに限定されない。
【0035】
当業者は、ガルバニック系列が、飽和カロメル電極(SCE)などの標準電極に対してカソード材料とアノード材料とに分けられることを理解するであろう。ガルバニック系列から異なる電位を有する2つの材料を選択し、導電性塩溶液中に配置すると、2つの材料間に電位が発生する。バイメタル電池装置は、2つの材料間の電位差がメディエーターの還元電位よりも大きくなるようにガルバニック系列から選択された電極を備える。本実施形態に適したアノード材料としては、マグネシウム亜鉛、ベリリウム、アルミニウム、スズ、及び銅が挙げられるが、これらに限定されない。本実施形態に適したカソード材料には、炭素、金、銀、白金、及びニッケルが含まれるが、これらに限定されない。理解されるように、本開示のバイメタル電池装置に組み込むことができる材料は、マグネシウム、亜鉛、ベリリウム、アルミニウム合金、カドミウム、軟鋼、鋳鉄、低合金鋼、オーステナイト系鋳鉄、アルミニウム青銅、ネーバル黄銅、黄銅、赤黄銅、スズ、銅、50/50鉛スズはんだ、アドミラルティ黄銅、アルミニウム黄銅、マンガン青銅、ケイ素青銅、ステンレス鋼、ニッケル銀、90/10銅ニッケル、80/20銅ニッケル、ステンレス鋼、70/30銅ニッケル、ニッケルアルミニウム青銅、ニッケルクロム合金、ニッケル、銀、ニッケル鉄クロム合金、チタン、金、白金、及びグラファイトである。
【0036】
電極で「酸化還元部分」を還元して、次にガス状伝達物質塩を還元することができるラジカルアニオンを形成するのに十分な還元電位を提供するように、ガルバニック系列を選択できることが理解されよう。
【0037】
任意選択の添加剤
本実施形態の電気化学組成物はまた、追加の補助添加剤を含有してもよい。これらの追加の成分の正確な性質及びその組み込みのレベルは、組成物の物理的形態、及びそれが使用される目的である、洗浄、消毒、又は健康上の利益の正確な性質に依存する。以下に記載する補助添加剤のいくつかは電気化学的特性を有することが理解されるであろうが、そのような添加剤は上記成分を置き換えないことがさらに理解されるであろう。
【0038】
局所用組成物
いくつかの実施形態によれば、局所用組成物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、局所用組成物は、ヒドロゲルの形態である。本明細書で使用される「ヒドロゲル」は、ゲルマトリックス及び水を含む親水性ゲルを指す。いくつかの実施形態では、局所用組成物は、少なくとも1つの多価アルコール、少なくとも1つの増粘剤、及び水を含む。
【0039】
本実施形態の組成物中に存在し得る例示的な多価アルコールとしては、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、n-メチルジエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ソルビトール、アラビトール、エリスリトール、HSH、イソマルト、ラクチトールマルチトール、マンニトール、キシリトール、トレイトール、リビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、イノシトール、ボレミトール、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示の組成物はグリセロールを含む。
【0040】
多価アルコールは、本実施形態の組成物中に、組成物の約1重量%~約30重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定されないが、組成物の約1重量%~約20重量%又は約5重量%~約15重量%の量で存在してもよい。特定の実施形態では、多価アルコールは、本開示の組成物中に、組成物の約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、又は20重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。
【0041】
本実施形態の組成物中に存在し得る例示的な増粘剤には、カルボキシポリメチレン;ポリアクリル酸ポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリアクリラートポリマー、架橋ポリアクリラートポリマー、架橋ポリアクリル酸、及びそれらの混合物;セルロースエーテル、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びそれらの混合物などのヒドロキシアルキルセルロースポリマー;メタクリラート;ポリビニルピロリドン;架橋ポリビニルピロリドン;ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー;ポリビニルアルコール;ポリエチレンオキシド;ポリエチレングリコール;ポリビニルアルキルエーテル-マレイン酸コポリマー;カルボキシビニルポリマー;多糖類;ガム、例えばアルギン酸ナトリウム、カラギーナン、キサンタンガム、アカシアガム、アラビアガム、グアーガム、プルラン、寒天、キチン、キトサン、ペクチン、カラヤガム、ゼイン、ホルデイン、グリアジン、ローカストビーンガム、トラガカンタ、及びそれらの混合物;タンパク質、例えばコラーゲン、乳清タンパク質分離物、カゼイン、乳タンパク質、大豆タンパク質、ゼラチン、及びそれらの混合物;デンプン、例えばマルトデキストリン、アミロース、高アミロースデンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、米デンプン、タピオカデンプン、エンドウ豆デンプン、サツマイモデンプン、大麦デンプン、小麦デンプン、ワキシーコーンデンプン、改質デンプン(例えば、ヒドロキシプロピル化高アミロースデンプン)、デキストリン、レバン、エルシナン、グルテン、及びそれらの混合物;ベントナイト;ステアリン酸カルシウム;イナゴマメ;コロイダル二酸化ケイ素;デキストリン;ヒプロメロース;ポリカルボフィル;カオリン;サポナイト;ソルビタンエステル;スクロース;ゴマ油;トラガカント;アルギン酸カリウム;ポビドン;デンプングリコール酸ナトリウム;リン脂質;及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態では、組成物は、カルボキシポリメチレン、例えば、限定されないが、Carbopol(登録商標)の商品名でLubrizol Corporation(Wickliffe,Ohio)から市販されているものを含む。本実施形態の組成物中に存在し得る例示的なCarbopol(登録商標)ポリマーとしては、限定されないが、Carbopol(登録商標)974P NFポリマー、例えば、タイプA、タイプB及び/又はタイプCホモポリマー;Carbopol(登録商標)Ultrez 10、20、21 NFポリマー;Carbopol(登録商標)971P NFポリマー;Carpobol(登録商標)980Pポリマー、Carbopol(登録商標)ETD 2020 NFポリマー、Carbopol(登録商標)71G NFポリマー、Carbopol(登録商標)981P NFポリマー、Carbopol(登録商標)970P NFポリマー、Carbopol(登録商標)981 P NFポリマー、Carbopol(登録商標)5984P NFポリマー、Carbopol(登録商標)934P NFポリマー、Carbopol(登録商標)940P NFポリマー、Carbopol(登録商標)941P NFポリマー、Carbopol(登録商標)13242 NFポリマー、Carbopol(登録商標)AA-1 USP NFポリマー、Carbopol(登録商標)TR1 NFポリマー、Carbopol(登録商標)TR2 NFポリマー、Lubrizol Aqua CCポリマー及びSF-2ポリマー、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0043】
増粘剤は、本実施形態の組成物中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、同じであっても異なっていてもよい少なくとも2つの増粘剤を含む。いくつかの実施形態では、第1の増粘剤は、本開示の組成物中に、組成物の約0.01重量%~約5重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定されないが、組成物の約0.05重量%~約3重量%又は約0.1重量%~約1.5重量%の量で存在してもよい。特定の実施形態では、第1の増粘剤は、本開示の組成物中に、組成物の約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.5重量%、2重量%、2.5重量%、3重量%、3.5重量%、4重量%、4.5重量%、又は5重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。
【0044】
水は、本実施形態の組成物中に、組成物の約0.1重量%~約99重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定されないが、組成物の約75重量%~約95重量%又は約80重量%~約90重量%の量で存在し得る。特定の実施形態では、水は、本開示の組成物中に、組成物の約70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、又は99重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。
【0045】
いくつかの実施形態では、組成物は、組成物の約1重量%~約30重量%の量で存在する少なくとも1つの多価アルコール、組成物の約0.1重量%~約5重量%の量で存在する少なくとも1つの増粘剤、及び組成物の約70重量%~約99重量%の量で存在する水を含む。組成物は、ヒドロゲルの形態であり得る。特定の実施形態では、増粘剤はカルボキシポリメチレンであり得る。
【0046】
本実施形態の組成物は、防腐剤を含み得る。防腐剤は、本実施形態の組成物中に、組成物の約0.01重量%~約1重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定されないが、組成物の約0.05重量%~約1重量%又は約0.1重量%~約1重量%の量で存在し得る。特定の実施形態では、防腐剤は、本開示の組成物中に、組成物の約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、又は1重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で存在する。本実施形態の組成物中に存在し得る例示的な防腐剤には、限定されないが、ソルビン酸、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、メチルクロロイソチアゾリノン、メチルイソチアゾリノン、ジアゾリジニル尿素、クロロブタノール、トリクロサン、ベンゼトニウムクロリド、p-ヒドロキシベンゾアート、クロルヘキシジン、ジグルコナート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、アルコール、ベンザルコニウムクロリド、ホウ酸、ブロノポール、ブチルパラベン、ブチレン酢酸カルシウム、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、二酸化炭素、カチオン、及びベントナイト、セトリミド、セチルピリジニウムクロリド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロオキシレノール、クエン酸一水和物、クレゾール、ジメチルエーテル、エチルパラベン、グリセリン、ヘキシジン、イミド尿素、イソプロピルアルコール、乳酸、モノチオグリセロール、ペンテチン酸、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安息香酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、プロピレングリコール、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、キシリトール、二酸化硫黄、二酸化炭素、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0047】
本実施形態の組成物は、中和剤を含み得る。中和剤は、本実施形態の組成物中に、pH約3~約8、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定されないが、約4~約7又は約6~約7を有する組成物を提供するのに十分な量で存在し得る。いくつかの実施形態では、中和剤は、組成物のpHを調整する。特定の実施形態では、中和剤は、組成物が約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、もしくは8、又はその中の任意の範囲及び/もしくは個々の値のpHを有するのに十分な量で組成物中に存在する。本実施形態の組成物中に存在し得る例示的な中和剤は、限定されないが、塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの混合物;酸、例えば塩酸、クエン酸、酢酸、及びそれらの混合物;炭酸ナトリウム;トロラミン;トロメタミン;アミノメチルプロパノール;トリイソプロパノールアミン;アミノメチルプロパノール;テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン;EDTAテトラナトリウム;suttocide A;及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0048】
本実施形態の組成物は、緩衝化されなくても、又はされてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は緩衝されていなくてもよい。他の実施形態では、組成物は緩衝されてもよい。本開示の組成物中に存在し得る例示的な緩衝剤としては、限定されないが、酢酸/アセタート緩衝剤;塩酸/シトラート緩衝剤;シトロホスファート緩衝剤;ホスファート緩衝剤;クエン酸/シトラート緩衝剤;乳酸緩衝剤;酒石酸緩衝剤;リンゴ酸緩衝液;グリシン/HCl緩衝剤;生理食塩水緩衝剤、例えばホスファート緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、トリスHCl、NaCl、Tween緩衝生理食塩水(TNT)、ホスファート緩衝生理食塩水、Triton X-100(PBT)及びそれらの混合物;カコジラート緩衝剤;バルビタール緩衝剤;トリス緩衝液;及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0049】
特定の実施形態では、本実施形態の組成物は、緩衝剤を含み得る。例示的な緩衝剤には、クエン酸、酢酸、乳酸、ホウ酸、コハク酸、リンゴ酸、及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。緩衝剤は、本実施形態の組成物中に、組成物の約0.01重量%~約2重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定されないが、組成物の約0.05重量%~約1重量%、約0.1重量%~約0.5重量%、又は約0.1重量%~約2重量%の量で存在し得る。特定の実施形態では、緩衝剤は、組成物の約0.01重量%、0.02重量%、0.03重量%、0.04重量%、0.05重量%、0.06重量%、0.07重量%、0.08重量%、0.09重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.4重量%、0.5重量%、0.6重量%、0.7重量%、0.8重量%、0.9重量%、1重量%、1.1重量%、1.2重量%、1.3重量%、1.4重量%、1.5重量%、1.6重量%、1.7重量%、1.8重量%、1.9重量%、又は2重量%、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の量で組成物中に存在する。
【0050】
いくつかの実施形態では、緩衝剤は、組成物がpH約3~約8、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定されないが約4~約7又は約6~約7を有するのに十分な量で組成物中に存在する。特定の実施形態では、緩衝剤は、組成物が約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、もしくは8、又はその中の任意の範囲及び/もしくは個々の値のpHを有するのに十分な量で組成物中に存在する。
【0051】
本実施形態の組成物は、抗菌性であり得る。いくつかの実施形態では、組成物は、組成物に抗菌活性を提供するのに十分な量で存在する防腐剤を含む。特定の実施形態では、組成物は、組成物の約1重量%~約30重量%の量で存在する少なくとも1つの多価アルコール、組成物の約0.1重量%~約5重量%の量で存在する少なくとも1つの増粘剤、組成物の約70重量%~約99重量%の量で存在する水、及び組成物の約0.01重量%~約1重量%の量の少なくとも1つの防腐剤を含む。組成物は、約3~約8又は約6~約8の範囲のpHを有するように緩衝されてもよい。
【0052】
本実施形態の組成物は、約5,000cP~約25,000cPの範囲、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値、例えば、限定されないが、約5,000cP~約20,000cP又は約7,000cP~約15,000cPの粘度を有し得る。特定の実施形態では、組成物は、約5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、10,500、11,000、11,500、12,000、12,500、13,000、13,500、14,000、14,500、15,000、15,500、16,000、16,500、17,000、17,500、18,000、18,500、19,000、19,500、20,000、20,500、21,000、21,500、22,000、22,500、23,000、23,500、24,000、24,500、又は25,000cP、又はその中の任意の範囲及び/又は個々の値の粘度を有し得る。
【0053】
本実施形態の組成物は、医薬品有効成分(API)を含み得る。任意の適切なAPI又はAPIの組み合わせが、本実施形態の組成物に含まれ得る。APIの例には、抗菌剤、抗アクネ剤、抗炎症剤、鎮痛剤、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、消毒剤、免疫抑制剤、止血剤、血管拡張剤、創傷治癒剤、抗バイオフィルム剤、及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。例示的なAPIには、国際出願公開第2013/006608号に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。あるいは、本実施形態の組成物は、APIを含まなくてもよい。
【0054】
医薬組成物
本実施形態は、局所投与され得る医薬組成物を提供する。本実施形態の医薬組成物は、疎水性基剤及び両親媒性化合物を含み得るか、それらから本質的になり得るか、又はそれらからなり得る。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、水分活性化APIをさらに含む。本実施形態の医薬組成物は、軟膏、膏薬、クリームなどを含み得る。
【0055】
本明細書で使用される「疎水性基剤」は、天然及び/又は合成の脂肪、ワックス、油などを指す。任意の適切な疎水性基剤が、本実施形態の医薬組成物において使用され得る。特定の実施形態では、医薬組成物は、2つ以上の疎水性基剤、例えば、限定されないが、2、3、4、5、又はそれ以上の疎水性基剤を含む。例示的な疎水性基剤には、これらに限定されないが、分岐及び非分岐炭化水素、分岐及び非分岐炭化水素ワックス、ワセリン、炭化水素ゲル、液体パラフィン、白色ワセリン、ペトロラタム、微結晶ワックス、カンデリラワックス、カルナウバワックス、ラノリン(ウールワックス)、ウールワックスアルコール、エスパルトグラスワックス、コルクワックス、グアルマワックス、米糠ワックス、サトウキビワックス、ベリーワックス、オーリクリー(ouricury)ワックス、大豆ワックス、ホホバオイル、尾腺グリース(uropygial grease)、セレシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、植物油、動物油、カルナウバワックス、ミツロウ、カカオバター、硬質脂肪、鉱油、植物油、アボカドオイル、ボラージオイル、カノーラオイル、ヒマシ油、カモミールオイル、ココナッツオイル、コーン油、綿実油、菜種油、イブニングプリムローズオイル、サフラワーオイル、ヒマワリ油、大豆油、スイートアーモンド、パームオイル、パームカーネルオイル、ゴボウ種子油、ゴマ油、ルリジサ種子油、アブラナ油、メンヘーデン油、牛脚油、ラブダナム油、ギニアアブラヤシ油、アーモンドオイル、パインオイル、オリーブオイル、ピーナッツオイル、小麦胚芽油、グレープシードオイル、アザミ油、ラード、獣脂、パームオレイン、イリペバター、シアバター、ココアバター、コクムバター、サルバター、レシチン、木蝋(japan wax)ラノリン、部分水素化植物油、疎水性ポリマー、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0056】
いくつかの実施形態では、疎水性基剤は、疎水性ポリマーを含み得る。任意の適切な疎水性ポリマーが、本実施形態の医薬組成物において使用され得る。例示的な疎水性ポリマーには、炭化水素ポリマー及び/又はコポリマー、芳香族ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカーボナート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ-L-ラクチド、ポリ-DL-グリコリド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、ポリイミド及びポリ酢酸ビニルが含まれるが、これらに限定されない。本開示のいくつかの実施形態では、本開示の医薬組成物は、1つ以上の炭化水素ポリマー及び/又はコポリマーを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の炭化水素ポリマー及び/又はコポリマー、例えば、限定されないが、Calumet Specialty Products Partners(Indianapolis,Ind.)からVersagel(登録商標)の商標で市販されているもの、及び/又はCroda International Plc(East Yorkshire、英国)からCrodabase SQの商品名で市販されているものを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーは、医薬組成物中の増粘剤及び/又はゲル化剤として作用し得る。具体的には、疎水性ポリマーは、粘弾性物質として作用することができ、組成物を適用部位に、その中に分散した任意の化合物(例えば、APIなど)と共に保持することができる。疎水性ポリマーは、本開示の医薬組成物中に、約30重量%~約60重量%又はその中の任意の範囲、例えば、限定されないが、約35重量%~約55重量%又は約40重量%~約50重量%の濃度で存在してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、疎水性基剤は、1つ以上の植物油及び/又は鉱油を含む。任意の適切な油が、本実施形態の医薬組成物において使用され得る。例示的な鉱油には、軽質鉱油、白色鉱油、パラフィン油、ナフテン油、芳香油、及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。油(例えば、植物油及び/又は鉱油)は、本実施形態の医薬組成物中に、約1重量%~約30重量%又はその中の任意の範囲、例えば、限定されないが、約5重量%~約20重量%又は約5重量%~約15重量%の濃度で存在してもよい。
【0059】
いくつかの実施形態では、限定されないが、油(例えば、植物油及び/又は鉱油)などの疎水性基剤を使用して、医薬組成物の粘度及び/又は拡散性を調整することができる。例えば、軽質鉱物などの低粘度疎水性基剤を使用して、高粘度疎水性基剤を含む医薬組成物などの医薬組成物を薄める(すなわち、粘度を下げる)ことができる。これは、本実施形態の医薬組成物の広域にわたる適用を可能にすることができ、その中に分散した任意の化合物(例えば、APIなど)を適用部位に維持するのに役立ち得る。特定の実施形態では、疎水性基剤は、鉱油及び疎水性ポリマーを含む。
【0060】
疎水性基剤は、本実施形態の医薬組成物中に、約35重量%~約90重量%又はその中の任意の範囲、例えば、限定されないが、約40重量%~約80重量%又は約50重量%~約70重量%の濃度で存在してもよい。特定の実施形態では、疎水性基剤は、医薬組成物中に約45重量%~約55重量%の濃度で存在する。
【0061】
本明細書で使用される「両親媒性化合物」は、親水特性及び疎水特性を含む化合物を指す。両親媒性化合物は、それぞれが親水及び/又は疎水特性を提供し得る、2つ以上の化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、両親媒性化合物は、親水特性及び疎水特性を有する1つの化合物を含む。いくつかの実施形態では、両親媒性化合物は、蒸気状の水分を実質的に吸収することなく、水分を吸収し得る。水分の吸収により、本実施形態の医薬組成物中の水分活性化APIは、水分との接触時に活性化され得るが、蒸気状水分との接触時には活性化され得ない。本明細書で使用される「実質的に吸収する」(及びその文法的変形)は、吸収される蒸気状水分の量が両親媒性化合物の2重量%を超えることを意味する。したがって、本実施形態の両親媒性化合物は、両親媒性化合物の約2重量%、1.5重量%、1重量%、0.5重量%、0.25重量%未満、又はその中の任意の範囲の蒸気状水分を吸収する。いくつかの実施形態では、両親媒性化合物は、医薬組成物が蒸気状水分を実質的に吸収するのを防止及び/又は最小化することができ、それにより、本開示の医薬組成物中に存在し得る水分は、約2%未満である。いくつかの実施形態では、両親媒性化合物は、水蒸気を約2重量%未満又は約1重量%未満吸収する。これにより、医薬組成物の水蒸気吸収を最小化及び/又は防止することができ、したがって、本実施形態の医薬組成物中に存在し得る水は、約2重量%未満又は約1重量%未満である。ある特定の実施形態では、両親媒性化合物は、約0.5重量%未満の水蒸気を吸収し、したがって、医薬組成物は、約0.5重量%未満の水を含み得る。
【0062】
本明細書で使用される「水分」は、体液、例えば、限定されないが、血液、汗、粘液、唾液、皮脂、涙、滲出液、及び/又は膣分泌物;水;脱酸素水;生理食塩水;酸性又はアルカリ性の緩衝液;及び/又はそれらの任意の組み合わせを指すが、これらに限定されない。本明細書で使用される「蒸気状水分」は、気相の水分を指す。例えば、蒸気状水分には水蒸気が含まれるが、これに限定されない。したがって、いくつかの実施形態では、両親媒性化合物は水蒸気の吸収を防止及び/又は最小化することができ、それにより、APIが水分活性化医薬成分を含む場合、医薬組成物中のAPIは蒸気状水分(例えば、水蒸気)によって活性化されない。対照的に、両親媒性化合物は、本実施形態の医薬組成物が水分(例えば、水、体液など)と接触した場合、水分を吸収し、かつ/又は吸収させ、それによってAPIが水分活性化APIを含む場合にAPIを活性化し得る。
【0063】
両親媒性化合物は、12~20又はその中の任意の範囲、例えば限定されないが、15~20又は18~20の親水性-親油性バランス(HLB)値を有し得る。特定の実施形態では、両親媒性化合物は、19のHLB値を含む。
【0064】
例示的な両親媒性化合物には、脂肪酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。1つ以上の脂肪酸エステル、例えば2、3、4又はそれ以上の脂肪酸エステルが、本実施形態の医薬組成物中に存在し得る。例示的な脂肪酸エステルには、これらに限定されないが、C6-C22アルキル及び/又はアルケニル脂肪酸エステル、例えば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、リノール酸エチル、イソ酪酸プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、及びオレイン酸オレイル;エーテルエステル、例えば、エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステル;多価アルコールエステル、例えば、エチレングリコールモノ脂肪酸及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ脂肪酸及びジ脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール(6-2000)脂肪酸モノエステル及び/又はジエステル、例えばPEG-6-ラウラート、PEG-6-ステアラート、PEG-8-ジラウラート、PEG-8-ジステアラートなど;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、例えば、PEG-20-ラウリン酸グリセリル、PEG-20-ステアリン酸グリセリル、及びPEG-20-オレイン酸グリセリル;プロピレングリコールモノ脂肪酸及びジ脂肪酸エステル;ポリプロピレングリコール2000モノオレアート;ポリプロピレングリコール2000モノステアラート;エトキシル化プロピレングリコールモノステアラート;グリセリルモノ脂肪酸及びジ脂肪酸エステル;ポリグリセロール脂肪酸エステル、例えば、ラウリン酸ポリグリセリル-10など;エトキシル化グリセリルモノステアラート;1,3-ブチレングリコールモノステアラート;1,3-ブチレングリコールジステアラート;ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル;ソルビタントリオレアート及びソルビタンモノラウラートを含むソルビタン脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、例えば、PEG-6ソルビタンモノオレアート;ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウラートを含むポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;スクロース脂肪酸エステル、例えば、サッカロースモノパルミタート及びサッカロースモノステアラート;ワックスエステル、例えば、蜜蝋、鯨蝋、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル及びベヘン酸アラキジル;ポリエチレングリコールアルキルエーテル、例えば、PEG-10オレイルエーテル又はPEG-9セチルエーテル;ポリエチレングリコールアルキルフェノール、例えば、PEG-10-100ノニルフェノール;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えば、ポロキサマー188;ステロールエステル、例えば、コレステロール脂肪酸エステル、及びそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0065】
脂肪酸エステルは、ポリエチレングリコール(PEG)グリセリドを含み得る。PEGグリセリドのポリエチレングリコール部分は、両親媒性化合物の親水特性を提供することができ、限定されないが、PEG 5~1000又はその中の任意の範囲、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。PEGグリセリドのグリセリド部分は、両親媒性化合物の疎水特性を提供することができ、限定されないが、天然及び/又は水素化油、例えば、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、植物油(例えば、コーン油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、パームカーネルオイル、アンズカーネルオイル、アーモンドオイルなど)、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。例示的なポリエチレングリコール(PEG)グリセリドには、PEG-20ヒマシ油、PEG-20水素化ヒマシ油、PEG-20コーングリセリド、PEG-20アーモンドグリセリド;PEG-23トリオレアート、PEG-40パームカーネルオイル、PEG-8カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリド、ラウロイルマクロゴール-32グリセリド、ステアロイルマクロゴールグリセリド、トコフェリルPEG-1000スクシナート、及びそれらの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本開示のいくつかの実施形態では、脂肪酸エステルは、PEG 5-30(すなわち、PEG 5、6、7、8、9、10など)及びカプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む。いくつかの実施形態では、医薬組成物は、PEG-5-カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG-6-カプリル酸/カプリン酸グリセリド、PEG-7-カプリル酸/カプリン酸グリセリド、及び/又はPEG-8-カプリル酸/カプリン酸グリセリドを含む。特定の実施形態では、医薬組成物は、1つ以上の脂肪酸エステル、例えば、限定されないが、Sasol(Hamburg、ドイツ)からSOFTIGEN(登録商標)の商標で市販されているものを含む。
【0066】
両親媒性化合物は、本実施形態の医薬組成物中に、約1重量%~約30重量%又はその中の任意の範囲、例えば、限定されないが、約2重量%~約20重量%又は約5重量%~約15重量%の濃度で存在してもよい。ある特定の実施形態では、両親媒性化合物は、医薬組成物中に約10重量%の濃度で存在する。
【0067】
本実施形態の医薬組成物は、1つ以上の賦形剤をさらに含み得る。医薬組成物に使用するための賦形剤は当技術分野で周知であり、例は、Handbook of Pharmaceutical Excipients(Rowe,R.C.et al.、APhA Publications;5th ed.、2005)に見出すことができる。賦形剤の部類には、皮膚軟化剤、保湿剤、共溶媒、pH調整剤、撥水剤、消泡剤、界面活性剤、可溶化剤、湿潤剤、浸透促進剤、酸化防止剤、及び/又は溶媒が含まれ得るが、これらに限定されない。賦形剤は、本実施形態の医薬組成物中に任意の適切な濃度で存在し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は共溶媒をさらに含み得る。共溶媒は、本実施形態の医薬組成物中に、約1重量%~約30重量%又はその中の任意の範囲、例えば、限定されないが、約2重量%~約20重量%又は約5重量%~約15重量%の濃度で存在してもよい。特定の実施形態では、共溶媒は、医薬組成物中に約10重量%~約15重量%の濃度で存在する。
【0069】
例示的な共溶媒としては、脂肪酸エステル、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、共溶媒は中性油を含み得る。特定の実施形態では、共溶媒は、カプリル酸及び/又はカプリン酸トリグリセリド、例えば、限定されないが、MIGLYOL(登録商標)の商標でSasol(Hamburg、ドイツ)から市販されているものを含む。
【0070】
本実施形態の医薬組成物は、湿潤剤を含み得る。任意の適切な湿潤剤又は湿潤剤の組み合わせを使用してもよい。湿潤剤共溶媒は、本実施形態の医薬組成物中に、約1重量%~約25重量%又はその中の任意の範囲、例えば、限定されないが、約2重量%~約20重量%又は約5重量%~約15重量%の濃度で存在してもよい。特定の実施形態では、湿潤剤は、約10重量%~約15重量%の濃度で医薬組成物中に存在する。
【0071】
例示的な湿潤剤としては、これらに限定されないが、グリコール、例えば多価アルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びメトキシポリエチレングリコール;グリセロール、例えばプロピレングリコール、グリセロール、イソプロパノール、エタノール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、エトキシジグリコール又はそれらの混合物;糖ポリオール、例えばソルビトール、キシリトール及びマルチトール;ポリオール、例えばポリデキストロース;ジメチルイソソルビド;キラヤ;尿素;及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、湿潤剤は、アルキレングリコール、例えば、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、及びそれらの任意の組み合わせを含む。
【0072】
口腔ケア組成物
電気化学組成物は、口腔の粘膜組織、口腔の歯肉組織、歯の表面、又はそれらの任意の組み合わせに局所的に適用される口腔ケア組成物であり得る。そのような口腔ケア活性物質が対処する口腔状態の例には、歯の外観及び構造の変化、ホワイトニング、ステイン漂白、ステイン除去、歯垢除去、歯石除去、窩洞予防及び治療、歯肉の炎症及び/又は出血、粘膜創傷、病変、潰瘍、アフタ性潰瘍、単純ヘルペス及び歯の膿瘍、口の悪臭、歯牙酸蝕症、歯肉炎、及び/又は歯周病が含まれるが、これらに限定されない。経口状態は、国際公開第02/02096A2号にさらに記載されている。
【0073】
電気化学組成物は、1つ以上の口腔ケア活性物質を含み得る。口腔ケア活性物質は、口腔の全体的な健康、具体的には口腔ケア活性物質が接触する口腔表面の状態に変化をもたらす、口腔内での使用に安全であると一般に認識されている任意の材料であり得る。
【0074】
単一の口腔ケア製品は、それぞれが1つ以上の口腔ケア添加剤を含む複数の電気化学組成物を含み得ることも企図される。電気化学組成物における使用に適したいくつかの口腔ケア添加剤は、以下でより詳細に論じられる。
【0075】
電気化学組成物は、1つ以上のゲル化剤を含み得、それは、電気化学組成物を複数の歯に接着するための接着剤としても作用し得る。ゲル化剤の濃度は、電気化学組成物の約2、4、6、8、10、15、20、30、40、50、60重量%を超えてもよく、又は電気化学組成物の約80、70、60、50、40、30、もしくは20重量%未満でもよい。
【0076】
本実施形態において有用な適切なゲル化剤及び/又は接着剤は、米国特許第6,649,147号;6,780,401号;2004/0102554号;2005/0089819号;2003/0152528号;6,419,906号;及び2005/0100515号に記載されている。ゲル化剤又は接着剤のいくつかは、シリコーン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリ(アルキルビニルエーテル-マレイン酸)コポリマー(PVM/MAコポリマー)、例えば、Gantrez AN 119、AN 139及びS-97、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポロキサマー407(Pluronic)、ポリ(ビニルピロリドン-酢酸ビニル)コポリマー(PVP/VAコポリマー)、例えば、Luviskol VA及びPlasdone S PVP/VA、ポリビニルピロリドン(PVP、例えばK-15~K-120)、ポリクオタニウム-11(Gafquat 755 N)、ポリクオタニウム-39(Merquat plus 3330)、カルボマー又はカルボキシポリメチレン(Carbopol)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、及びアルギン酸ナトリウムなどのアルギン酸塩、カラヤガム、キサンタンガム、グアーガム、アラビアガム、トラガカントガムなどの天然ガム、及びそれらの混合物を含み得る。
【0077】
グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及び他の食用多価アルコールを含む湿潤剤又は可塑剤が電気化学組成物に含まれてもよい。湿潤剤は、電気化学組成物の約10重量%~約95重量%、又は約50重量%~約80重量%で存在していてもよい。電気化学組成物はまた、香味剤、甘味剤、乳白剤、及び着色剤を含むことができる。
【0078】
本実施形態の電気化学組成物は、非電気化学的抗歯石剤を含んでもよい。デンタルケア製品での使用が知られている抗歯石活性物質には、ホスファートが含まれる。ホスファートには、ピロホスファート、ポリホスファート、ポリホスファート及びそれらの混合物が含まれる。ピロホスファートは、デンタルケア製品での使用が最もよく知られている。ピロホスファートイオンは、ピロリン酸塩に由来する歯に送達される。本発明の組成物に有用なピロリン酸塩には、ジアルカリ金属ピロリン酸塩、テトラ-アルカリ金属ピロリン酸塩、及びそれらの混合物が含まれる。ピロリン酸二水素二ナトリウム(Na)、ピロリン酸四ナトリウム(Na)、及びピロリン酸四カリウム(K)は、それらの非水和形態及び水和形態である。一実施形態では、電気化学組成物は、電気化学組成物の約0.5重量%~約5重量%のピロホスファートを含む。別の実施形態では、電気化学組成物は、電気化学組成物の約0.5重量%~約3重量%のピロホスファートを含む。
【0079】
ピロホスファートは、Kirk&Othmer、Encyclopedia of Chemical Technology、Third Edition、Volume 17、Wiley-Interscience Publishers(1982)にさらに詳細に記載されており、Kirk&Othmerに組み込まれたすべての参考文献を含め、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。追加の抗歯石活性物質には、1986年5月20日にParran&Sakkabに発行された米国特許第4,590,066号に開示されているピロホスファート又はポリホスファート;1969年2月25日にShedlovskyに発行された米国特許第3,429,963号及び1981年12月8日にChangに発行された米国特許第4,304,766号に開示されているものなどのポリアクリラート及び他のポリカルボキシラート;及び1987年4月28日にBenedict&Sunbergに発行された米国特許第4,661,341号;1989年7月11日にBenedict,Bush&Sunbergに発行された米国特許第4,846,650号に開示されているものなどのコハク酸ポリエポキシ;1937年2月15日付けの英国特許第490,384号に開示されているエチレンジアミン四酢酸;1972年7月18日にWidder&Brinerに発行された米国特許第3,678,154号に開示されているニトリロ三酢酸及び関連化合物;1973年6月5日にFrancisに発行された米国特許第3,737,533号、1976年10月26日にPloger、Schmidt-Dunker&Gloxhuberに発行された米国特許第3,988,443号、及び1989年10月31日にDegenhardt&Kozikowskiに発行された米国特許第4,877,603に開示されるポリホスホナートが挙げられ、これらの特許はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。抗歯石ホスファートには、ピロリン酸カリウム及びピロリン酸ナトリウム;トリポリリン酸ナトリウム;ジホスホナート、例えばエタン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホナート、1-アザシクロヘプタン-1,1-ジホスホナート、及び直鎖アルキルジホスホナート;直鎖カルボン酸;及びクエン酸亜鉛ナトリウムが含まれる。
【0080】
ピロリン酸塩の代わりに、又はピロリン酸塩と組み合わせて使用され得る活性物質は、合成アニオン性ポリマーなどの既知の材料を含み、例えば、Gaffarらの米国特許第4,627,977号に記載されているポリアクリラート及び無水マレイン酸又は酸とメチルビニルエーテルとのコポリマー(例えば、Gantrez)、並びに、例えば、ポリアミノプロパンスルホン酸(AMPS)、クエン酸亜鉛三水和物、ポリホスファート(例えば、トリポリホスファート;ヘキサメタホスファート)、ジホスホナート(例えば、EHDP;AHP)、ポリペプチド(例えば、ポリアスパラギン酸及びポリグルタミン酸)、及びそれらの混合物が含まれる。他の抗歯石活性物質としては、ヘキサメタリン酸ナトリウムが挙げられる。
【0081】
本実施形態の電気化学組成物はまた、非電気化学的う蝕予防剤を含んでもよい。フッ化物イオン源は、う蝕予防活性物質として口腔ケア組成物に使用することがよく知られている。フッ化物イオンは、限定されないが、練り歯磨きを含む、この目的のための多くの口腔ケア組成物中に含有される。このような練り歯磨きを開示している特許として、Paderらの米国特許第3,538,230号、1970年11月3日;Paderの米国特許第3,689,637号、1972年9月5日、;Colodneyらの米国特許第3,711,604号、1973年1月16日;Harrisonの米国特許第3,911,104号、1975年10月7日;Robertsらの米国特許第3,935,306号、1976年1月27日;及びWasonの米国特許第4,040,858号、1977年8月9日、が挙げられる。
【0082】
フッ化物イオンの歯のエナメル質への塗布は、虫歯から歯を保護するのに役立つ。多種多様なフッ化物イオン生成材料を、即座の本電気化学組成物における可溶性フッ化物の供給源として使用することができる。適切なフッ化物イオン生成材料の例は、米国特許第3,535,421号及び米国特許第3,678,154に見出される。本明細書で使用するためのフッ化物イオン源としては、フッ化第一スズ、モノフルオロホスファート、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム及びフッ化アンモニウムが挙げられる。いくつかの実施形態では、即座の本電気化学組成物は、水溶液中の約50ppm~10,000ppm、又は約100~3000ppmのフッ化物イオンを提供し、それは口腔内で使用される材料のストリップと共に使用されると、歯の表面に接触する。他のう蝕予防活性物質としては、キシリトールが挙げられる。
【0083】
本開示の電気化学組成物は、非電気化学的抗菌剤を含んでもよい。非電気化学的抗菌剤には、これらに限定されないが、一般にトリクロサンと呼ばれ、The Merck Index、11th ed.(1989)、pp.1529(エントリー番号9573)、米国特許第3,506,720号、及び欧州特許出願第0,251,591号に記載されている5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)-フェノール;限定されないが、米国特許第4,994,262号に開示されているもの、米国特許第4,990,329号、第5,110,583号及び第4,716,035号に開示されている置換モノペルタール酸及びその塩及びエステルを含む、フタル酸及びその塩;モノペルオキシフタル酸マグネシウム、クロルヘキシジン(Merck Index、no.2090)、アレクシジン(Merck Index、no.222);ヘキセチジン(Merck Index、no.4624);サンギナリン(Merck Index、no.8320);塩化ベンザルコニウム(Merck Index、no.1066);サリチルアニリド(Merck Index、no.8299);ドミフェンブロミド(Merck Index、no.3411);セチルピリジニウムクロリド(CPC)(Merck Index、no.2024);テトラデシルピリジニウムクロリド(TPC);N-テトラデシル-4-エチルピリジニウムクロリド(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール、オクタピノール、及びその他のピペリジノ誘導体;ナイアシン調製物;亜鉛/スズイオン活性物質;抗生物質、例えばオーグメンチン、アモキシシリン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン及びメトロニダゾール;並びに上記の類似体及び塩;チモール、ゲラニオール、カルバクロール、シトラル、ヒノキチオール、ユーカリプトール、カテコール(4-アリルカテコールを含む)を含む精油、金属又は金属イオン(例えば、銀、銅、亜鉛など)及びそれらの混合物;サリチル酸メチル;クロライト及びクロライトの金属塩及び上記のすべての混合物が含まれ得る。
【0084】
本実施形態の電気化学組成物は、非電気化学的抗炎症剤又は非電気化学的抗感受性剤を含み得る。抗炎症剤には、非ステロイド系抗炎症活性物質又はNSAID、例えばケトロラック、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、アスピリン、ケトプロフェン、ピロキシカム及びメクロフェナム酸(限定されないが、米国特許第5,626,838号に開示されているものを含む)が含まれ得るが、これらに限定されない。抗感受性剤には、硝酸カリウム、クローブ油(オイゲノール)、及び他の草本又は香味活性物質/薬剤が含まれ得る。
【0085】
栄養素は、口腔の状態を改善することができ、電気化学組成物に含めることができる。本実施形態の電気化学組成物は、鉱物、ビタミン、経口栄養補助食品、経腸栄養補助食品、及びそれらの混合物を含む非電気化学的栄養補助剤を含んでもよい。
【0086】
本実施形態の電気化学組成物に含まれ得る鉱物としては、カルシウム、リン、フッ化物、亜鉛、マンガン、カリウム及びそれらの混合物が挙げられる。これらの鉱物は、参照により本明細書に組み込まれる、Drug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service)、Wolters Kluer Company、St.Louis、Mo.、1997年版権所有、10-17頁に開示されている。
【0087】
ビタミンは、鉱物と共に含まれ得るか、又は別々に使用され得る。ビタミンとしては、ビタミンC及びD、チアミン、リボフラビン、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、葉酸、ニコチンアミド、ピリドキシン、シアノコバラミン、パラ-アミノ安息香酸、バイオフラボノイド、及びそれらの混合物が挙げられる。このようなビタミンは、参照により本明細書に組み込まれる、Drug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service)、Wolters Kluer Company、St.Louis、Mo.、1997年版権所有、3-10頁に開示されている。
【0088】
経口栄養補助食品は、参照により本明細書に組み込まれる、Drug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service)、Wolters Kluer Company、St.Louis、MO、1997年版権所有、54-54e頁に開示されるように、アミノ酸、脂肪動員性物質(lipotropic)、魚油、及びそれらの混合物を含む。アミノ酸には、L-トリプトファン、L-リジン、メチオニン、トレオニン、レボカミジン又はL-カルニチン及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。脂肪動員性物質(lipotropic)としては、限定されないが、コリン、イノシトール、ベタイン、リノール酸、リノレン酸、及びそれらの混合物が挙げられる。魚油は、多量のオメガ-3(N-3)多価不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸及びドコサヘキサエン酸を含有する。
【0089】
追加の栄養補助食品には、参照により本明細書に組み込まれるDrug Facts and Comparisons(loose leaf drug information service)、Wolters Kluer Company、St.Louis,Mo、1997年版権所有、55~57頁に開示されている、タンパク質製品、グルコースポリマー、コーン油、ベニバナ油、中鎖トリグリセリドが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
pH調整剤
アルカリ性材料
アルカリ性材料は、本実施形態による組成物のpHを調整し、かつ/又はpHを維持するために存在し得る。アルカリ性材料の量は、組成物の約0.001重量%~約20重量%、約0.01重量%~約10重量%、又は約0.05重量%~約3重量%である。
【0091】
アルカリ性材料の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び/又は水酸化リチウム、及び/又は酸化ナトリウム及び/又は酸化カリウムなどのアルカリ金属酸化物、又はそれらの混合物である。
【0092】
酸性材料
本実施形態の電気化学組成物は、酸を含んでもよい。当業者に公知の任意の酸を本明細書で使用することができる。典型的には、本明細書の組成物は、組成物全体の最大約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3重量%の酸を含み得る。
【0093】
適切な酸は、モノカルボン酸及びポリカルボン酸又はそれらの混合物;過カルボン酸又はその混合物;置換カルボン酸又はその混合物;及びそれらの混合物からなる群から選択される。本明細書で有用なカルボン酸には、C1-6直鎖又は少なくとも約3個の炭素含有環状酸が含まれる。カルボン酸の直鎖又は環状炭素含有鎖は、ヒドロキシル、エステル、エーテル、約1~約6個、約1~約4個の炭素原子を有する脂肪族基、及びそれらの混合物からなる群から選択される置換基で置換されていてもよい。
【0094】
適切なモノカルボン酸及びポリカルボン酸は、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、酒石酸、ギ酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、プロピオン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0095】
適切な過カルボン酸は、過酢酸、過炭酸、過ホウ酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0096】
適切な置換カルボン酸は、アミノ酸又はその混合物;ハロゲン化カルボン酸又はその混合物;及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0097】
適切な酸は、JBL、T&L、又はSigmaから市販されている。乳酸は、Sigma及びPuracから市販されている。
【0098】
使用方法
本実施形態はさらに、組成物を使用して消毒及び健康上の利益を提供する方法に関する。
【0099】
本実施形態はさらに、治療を必要とする創傷を本実施形態の組成物と接触させること、及び組成物を電流に曝露することを含む、創傷を治療するための方法に関する。
【0100】
本実施形態は、表面を消毒する方法をさらに包含し、この方法は、表面を本実施形態の組成物と接触させる工程、及び組成物を電流に曝露する工程を含む。
【0101】
本実施形態は、表面からバイオフィルムを除去する方法をさらに包含し、この方法は、バイオフィルムを本実施形態の組成物と接触させる工程、及び組成物を電流に曝露する工程を含む。
【0102】
本実施形態はさらに、歯又は義歯(口腔の内側又は外側)を含む口腔を治療又は洗浄する方法であって、治療又は洗浄を必要とする口腔(歯又は義歯を含む)を電気化学組成物と接触させる工程、及び組成物を電流に曝露する工程を含む方法に関する。
【0103】
包装
本実施形態の電気化学組成物は、使用のための電気化学組成物を送達するために、任意の適切なパッケージに包装することができる。一実施形態では、パッケージは、ポリエチレンテレフタラート、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又はそれらの組み合わせから構成されてもよい。さらに、組成物がキャップの開口部を通ってボトルから出るように、パッケージの上部のキャップを通して投与量を詰めることができる。一実施形態では、キャップの開口部はまた、投薬を容易にするのに役立つふるいを含んでもよい。
【0104】
別の実施形態では、パッケージは、複数の区画、2つの区画を含んでもよく、第1の区画に第1の組成物があり、第2の区画に第2の組成物がある。電気化学メディエーター及び亜硝酸塩は、第1及び第2の区画のいずれか又は両方に含まれてもよいことが理解されよう。一実施形態では、第1の組成物は電気化学メディエーターを含んでもよく、第2の組成物は亜硝酸塩を含んでもよい。
【0105】
本開示の他の場所で説明及び提供される態様及び実施形態に加えて、以下の非限定的な実施形態のリストも企図される。
【0106】
1.治療用のドレッシングであって、
ガス状伝達物質塩を還元するように構成された有機電気化学メディエーターと、
還元時にガス状伝達物質へと変わるガス状伝達物質塩とを含む組成物、
組成物を含有するように適合された担体、及び
組成物に電流を供給するバイメタル電池を含む治療用のドレッシング。
【0107】
2.ガス状伝達物質塩が、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、及び亜硫酸塩、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1に記載の治療用のドレッシング。
【0108】
3.ガス状伝達物質塩が亜硝酸塩であり、亜硝酸塩が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの亜硝酸塩、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1又は条項2に記載の治療用のドレッシング。
【0109】
4.ガス状伝達物質塩が亜硫酸塩であり、亜硫酸塩が、ナトリウム、カリウム、カルシウム、及びマグネシウムの亜硫酸塩、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1又は2に記載の治療用のドレッシング。
【0110】
5.電気化学メディエーターが約-0.1V~約-2.0Vの還元電位を有する、条項1~4のいずれか一項に記載の治療用のドレッシング。
【0111】
6.電気化学メディエーターが約-0.5V~約-1.7Vの還元電位を有する、条項1~5のいずれか一項に記載の治療用のドレッシング。
【0112】
7.電気化学メディエーターが約-0.75V~約-1.5Vの還元電位を有する、条項1~6のいずれか一項に記載の治療用のドレッシング。
【0113】
8.電気化学メディエーターが、ベンゾフェノン、キノン、及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1~7のいずれか一項に記載の治療用のドレッシング。
【0114】
9.電気化学メディエーターが、酸化還元部分と、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸、ホスファートアルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2-エチル-2-オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン-N-オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、及びエチレンイミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性部分とを含む、条項1~8のいずれか一項に記載の治療用のドレッシング。
【0115】
10.電気化学メディエーターが、フルオレセイン、キサントン、チオキサントン及びそれらの誘導体、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1~7のいずれか一項に記載の治療用のドレッシング。
【0116】
11.電気化学メディエーターが、酸化還元部分と、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸、ホスファートアルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2-エチル-2-オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン-N-オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、及びエチレンイミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性部分とを含む、条項1又は条項10に記載の治療用のドレッシング。
【0117】
12.ガス状伝達物質塩が、電子移動を介して一酸化窒素に変わる亜硝酸塩又は硝酸塩を含む、条項1に記載の治療用のドレッシング。
【0118】
13.ガス状伝達物質塩が、式:
A[NO2]
を有する亜硝酸塩を含み、式中、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、及びアリールアンモニウムのカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される、条項1又は条項12に記載の治療用のドレッシング。
【0119】
14.硝酸塩又は亜硝酸塩が、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、及び亜鉛のカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなるカチオンを有する、条項1又は12に記載の治療用のドレッシング。
【0120】
15.ガス状伝達物質塩が、電子移動を介して硫化水素に変わる亜硫酸塩、硫酸塩又はチオ硫酸塩を含む、条項1に記載の治療用のドレッシング。
【0121】
16.ガス状伝達物質塩が、式:
[SO
を有する亜硫酸塩を含み、式中、Aが、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、及びアリールアンモニウムのカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される、条項1又は条項15に記載の治療用のドレッシング。
【0122】
17.亜硫酸塩、硫酸塩、又はチオ硫酸塩が、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、及び亜鉛のカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択されるカチオンを有する、条項1又は条項15に記載の治療用のドレッシング。
【0123】
18.電気化学メディエーターが水溶性ケトン又はその誘導体である、条項1に記載の治療用のドレッシング。
【0124】
19.電気化学メディエーターが、酸化還元部分と、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸、ホスファートアルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2-エチル-2-オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン-N-オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性部分とを含む、条項1又は条項18に記載の治療用のドレッシング。
【0125】
20.バイメタル電池がアノードをさらに含み、アノードが、マグネシウム、亜鉛、アルミニウム、及び銅、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1に記載の治療用のドレッシング。
【0126】
21.アノードが亜鉛又はアルミニウムである、条項20に記載の治療用のドレッシング。
【0127】
22.バイメタル電池がカソードをさらに含み、カソードが炭素、銀、金、及び白金、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項1に記載の治療用のドレッシング。
【0128】
23.カソードが炭素又は銀である、条項22に記載の治療用のドレッシング。
【0129】
24.バイメタル電池がカソードをさらに含み、カソードがグラファイト又は炭素である、条項1に記載の治療用のドレッシング。
【0130】
25.ガス状伝達物質の調製方法であって、条項1~24のいずれか一項に記載の組成物を約-0.1V~約-2.0Vの還元電位に曝露する工程を含む方法。
【0131】
26.創傷を治療する方法であって、
創傷を条項1~24のいずれか一項に記載の組成物と接触させること;及び
組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、方法。
【0132】
27.尋常性ざ瘡を治療する方法であって、
尋常性ざ瘡を条項1~24のいずれか一項に記載の組成物と接触させること;及び
組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、方法。
【0133】
28.皮膚潰瘍を治療する方法であって、
皮膚潰瘍を条項1~24のいずれか一項に記載の組成物と接触させること;及び
組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、方法。
【0134】
29.ウイルスを治療する方法であって、
ウイルスを条項1~24のいずれか一項に記載の組成物と接触させること;及び
組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、方法。
【0135】
30.バイオフィルムを表面から除去する方法であって、
バイオフィルムを条項1~24のいずれか一項に記載の組成物と接触させること;及び
組成物をバイメタル電池からの電圧に曝露することを含む、方法。
【0136】
31.有機電気化学メディエーターと;
還元時にガス状伝達物質に変わるガス状伝達物質塩
とを含む組成物であって、
ガルバニック系列から選択されるアノード及びカソードと接触している組成物。
【0137】
32.ガス状伝達物質塩が、硝酸塩、亜硝酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、及び亜硫酸塩からなる群から選択される、条項31に記載の組成物。
【0138】
33.電気化学メディエーターが約-0.1V~約-2.0Vの還元電位を有する、条項31又は条項32に記載の組成物。
【0139】
34.電気化学メディエーターが約-0.5V~約-1.7Vの還元電位を有する、条項31~33のいずれか一項に記載の組成物。
【0140】
35.電気化学メディエーターが約-0.75V~約-1.5Vの還元電位を有する、条項31~34のいずれか一項に記載の組成物。
【0141】
36.電気化学メディエーターが水溶性ケトン、ベンゾフェノン、及びキノンからなる群から選択される、条項31~35のいずれか一項に記載の組成物。
【0142】
37.電気化学メディエーターがフルオレセイン、キサントン及びチオキサントンからなる群から選択される、条項31~35のいずれか一項に記載の組成物。
【0143】
38.条項31~35のいずれか一項に記載の組成物であって、
有機電気化学メディエーターが、酸化還元部分と水溶性部分とを有する水溶性有機電気化学メディエーターであり、
ガス状伝達物質塩が、電子移動を介して一酸化窒素に変わる亜硝酸塩又は硝酸塩である、組成物。
【0144】
39.条項31~35のいずれか一項に記載の組成物であって、
有機電気化学メディエーターが、酸化還元部分と水溶性部分とを有する水溶性有機電気化学メディエーターであり、
ガス状伝達物質塩が、電子移動を介して硫化水素に変わる亜硫酸塩、硫酸塩又はチオ硫酸塩である、組成物。
【0145】
40.ガス状伝達物質塩が、式:
A[NO2]
を有する亜硝酸塩であり、式中、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、及びアリールアンモニウム、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される、条項31又は条項38に記載の組成物。
【0146】
41.カチオンAが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムのカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される、条項31に記載の組成物。
【0147】
42.ガス状伝達物質塩が、式:
[SO
を有する亜硫酸塩であり、式中、Aは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキルアンモニウム、及びアリールアンモニウム、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される、条項31又は条項39に記載の組成物。
【0148】
43.カチオンAが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムのカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択される、条項42に記載の組成物。
【0149】
44.硝酸塩又は亜硝酸塩が、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、及び亜鉛、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択されるカチオンを有する、条項38に記載の組成物。
【0150】
45.硫酸塩、チオ硫酸塩又は亜硫酸塩が、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、及び亜鉛のカチオン、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される一価カチオン、二価カチオン、及び三価カチオンからなる群から選択されるカチオンを有する、条項39に記載の組成物。
【0151】
46.電気化学メディエーターが、酸化還元部分と、アルコール、アミン、アミド、カルボン酸、スルホン酸、ホスファートアルキレンオキシドオリゴマー、アルキレンオキシドポリマー、アルキレンオキシドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、2-エチル-2-オキサゾリン、ヒドロキシエチルメタクリラート、ビニルピリジン-N-オキシド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、マレイン酸、リジン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、及びエチレンイミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される親水性部分とを含む、条項37に記載の組成物。
【0152】
47.酸化還元部分が、ケトン部分、ベンゾフェノン部分、及びキノン部分、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、条項38に記載の組成物。
【0153】
48.治療用のドレッシングであって、
条項31~47のいずれか一項に記載の組成物;
組成物を収容するように適合された担体;及び
組成物と電気的に接触する、ガルバニック系列から選択される2つの異種電極を含む、治療用のドレッシング。
【0154】
49.条項48に記載のドレッシングを含む包帯。
【0155】
50.包帯であって、
ドレッシングであって、
有機電気化学メディエーター;及び
ガス状伝達物質に変わるガス状伝達物質塩を含むドレッシング;及び
ガルバニック系列から選択され、ドレッシングに電流を印加できるように、それによってガス状伝達物質塩をガス状伝達物質に変換するように配置されたアノード及びカソードを含む、包帯。
【0156】
51.アノード及びカソードの少なくとも一方が、ドレッシングと電気的に接触する第1の位置から、ドレッシングと電気的に接触しない第2の位置に移動可能である、条項50に記載の包帯。
【0157】
52.アノード及びカソードの少なくとも一方とドレッシングとの間に配置された、少なくとも1つの取り外し可能な絶縁体又はスペーサ材料をさらに含むことにより、それを取り外してアノード及びカソードの少なくとも一方をドレッシングと電気的に接触させる、条項50に記載の包帯。
【0158】
インジゴカルミン漂白試験方法
本実施形態から生成されるガス状伝達物質の生成は、インジゴカルミン漂白方法を使用して評価することができる。
【0159】
電気化学メディエーターの溶液を、漂白指示薬として2ppmのインジゴカルミンを含有する1%ガス状伝達物質塩水溶液中で調製する。UV/Visスペクトルを記録する。溶液は、ガルバニック系列から選択される2cm×2cmの2つの電極を含む電池に入れる。10分後にUV/Visスペクトルを記録する。約610nmでのインジゴカルミン可視吸収ピークの強度の減少を使用して、活性化剤の有効性を決定する。インジゴカルミン吸収ピーク強度が、ガス状伝達物質塩を含有しない対照溶液よりも減少した場合、本開示の活性化剤は適切であると考えられる。
【0160】
溶液一酸化窒素試験方法
本実施形態から生成される一酸化窒素は、以下の方法を用いて評価することができる。
【0161】
電気化学メディエーターの溶液は、75/25v/vの水/イソプロピルアルコール中に、上記のように1%の亜硝酸塩又は硝酸塩、及び10ppmの1,2-ジアミノアントラキノンを含有するように調製する。UV/Visスペクトルを記録する。
【0162】
溶液は、前述のようにガルバニック系列から選択された電極を含む電池に入れる。10分後にUV/Visスペクトルを記録する。540nmでの1,2-ジアミノアントラキノン可視吸収ピークの強度の減少を使用して、活性化剤の有効性を決定する。本実施形態の活性化剤及びバイメタル電極は、吸収ピーク強度が対照よりも減少する場合、適切であると考えられる。
【0163】
ゲル状一酸化窒素試験方法
DAQゼラチン
一酸化窒素が製剤から界面を越えて基材へ移動することを、1,2-ジアミノアントラキノンを含有するゲルを用いて実証する。ゼラチン(10% w/v)を約90°Cで水に溶解する。熱いゼラチン溶液を50mlずつに分け、直径14cmのペトリ皿に注ぎ、ペトリ皿中の熱いゼラチンに5mlの1,2-ジアミノアントラキノン(イソプロピルアルコール中400ppm w/v)を加え、撹拌して分散させる。ゼラチンを30℃未満に冷却して、「DAQゼラチン」を形成する。
【0164】
超吸収性ヒドロゲルドレッシング
ガーゼドレッシング材料を3つの端で封止して袋を形成する。2gの架橋ポリアクリル酸ナトリウム(9003-04-7,Sigma Aldrich)をガーゼ袋に入れ、4つ目の端を封止する。
【0165】
バイメタル電池ヒドロゲルドレッシング
ガーゼドレッシング材料を3つの端で封止して袋を形成する。2gの架橋ポリアクリル酸ナトリウム(9003-04-7,Sigma Aldrich)を、ガルバニック系列から選択される電極と共にガーゼ袋に入れる。ドレッシングの4つ目の端を封止する。
【0166】
バイメタル電池ドレッシング
ガルバニック系列から選択される電極は、市販の接着性ドレッシングの表面に取り付けられる。
【実施例
【0167】

例1
一酸化窒素生成組成物
局所用一酸化窒素生成組成物を表1に従って調製する。
【表1】
【0168】
調合物は、上記のようにバイメタル系列から選択された電極を含む電池に入れる。10分後にUV/Visスペクトルを記録する。540nmでの1,2-ジアミノアントラキノン可視吸収ピークの強度の低下は、一酸化窒素が形成されていることを示す。
【0169】
例2
ガス状伝達物質調合物
水性調合物を表2に従って調製する。
【表2】
【0170】
例3
バイメタル電池ヒドロゲルドレッシングの評価1
炭素及びアルミニウム電極を含有するバイメタル電池ヒドロゲルドレッシングを50mLの調合物Aに入れた。調合物をドレッシングに吸収させ(2~3分間)、DAQゼラチンペトリ皿にドレッシングを置いた。DAQの赤色の消失は、一酸化窒素が生成され、それがドレッシング/基材を横切って移動していることを示した。
【0171】
例4
バイメタル電池ヒドロゲルドレッシングの評価2
炭素及び亜鉛電極を含有するバイメタル電池ヒドロゲルドレッシングを50mLの調合物Cに入れた。調合物をドレッシングに吸収させ(2~3分間)、DAQゼラチンペトリ皿にドレッシングを置いた。DAQの赤色の消失は、一酸化窒素が生成され、それがドレッシング/基材を横切って移動していることを示した。
【0172】
例5
バイメタル電池ヒドロゲルドレッシングの評価3
炭素及びアルミニウム電極を含有するバイメタル電池ヒドロゲルドレッシングを50mLの調合物Bに入れた。調合物をドレッシングに吸収させ(2~3分間)、DAQゼラチンペトリ皿にドレッシングを置いた。DAQの赤色の消失は、一酸化窒素が生成され、それがドレッシング/基材を横切って移動していることを示した。
【0173】
例6
バイメタル電池ドレッシングの評価1
超吸収性ヒドロゲルドレッシングを50mLの調合物Bに入れた。調合物をドレッシングに吸収させ(2~3分間)、DAQゼラチンペトリ皿にドレッシングを置いた。炭素及びアルミニウム電極を有するバイメタル電池ドレッシングを、ヒドロゲルドレッシングの上に置いた。DAQの赤色の消失は、一酸化窒素が生成され、それがドレッシング/基材を横切って移動していることを示した。
【0174】
例7
バイメタル電池ドレッシングの評価2
記載された超吸収性ヒドロゲルドレッシングを50mLの調合物Aに入れた。調合物をドレッシングに吸収させ(2~3分間)、DAQゼラチンペトリ皿にドレッシングを置いた。炭素及び亜鉛電極を有するバイメタル電池ドレッシングを、ヒドロゲルドレッシングの上に置いた。DAQの赤色の消失は、一酸化窒素が生成され、それがドレッシング/基材を横切って移動していることを示した。
【0175】
本実施形態から生成される硫化水素は、以下の方法を用いて評価することができる。
【0176】
硫化水素試験方法
上記のように、1%の亜硫酸塩、硫酸塩又はチオ硫酸塩を含む電気化学メディエーターの溶液を調製する。
【0177】
溶液は、上記のようにバイメタル系列から選択された電極を含む電池に入れる。10分間の電気分解後、例えば酢酸鉛紙を使用して、溶液を硫化水素について試験する。本実施形態の活性剤は、硫化水素の試験が陽性である場合に適切であると見なされる。
【0178】
例8
硫化水素生成組成物
局所用硫化水素生成組成物を表3に従って調製する。
【表3】
【0179】
上記のようにバイメタル系列から選択された電極を含む電池に調合物を入れ、酢酸鉛紙を使用して硫化水素の発生が示された。
【0180】
例9
バイメタル電池ヒドロゲルドレッシングの評価1
炭素及びアルミニウム電極を含有するバイメタル電池ヒドロゲルドレッシングを50mLの調合物Dに入れた。調合物をドレッシングに吸収させた(2~3分間)。ドレッシングの表面での硫化水素の発生は、酢酸鉛紙を用いて確認する。
【0181】
例10
バイメタル電池ドレッシングの評価1
超吸収性ヒドロゲルドレッシングを50mLの調合物Eに入れた。調合物をドレッシングに吸収させた(2~3分間)。炭素及び亜鉛電極を有するバイメタル電池ドレッシングを、ヒドロゲルドレッシングの上に置いた。ドレッシングの表面での硫化水素の発生は、酢酸鉛紙を用いて確認する。
【0182】
例11
一酸化窒素を生成する炭素/アルミニウムガルバニックドレッシング
ガーゼドレッシング片を半分に折り曲げ、開いている2つの端を熱活性化接着剤で封止した。得られたドレッシングに、2gの架橋ポリアクリル酸ナトリウム(supersorber)、5cm×2cmの炭素布、及び5cm×2cmのアルミニウム箔を入れる。残りの開いている端を、熱活性化接着剤を使用して封止する。得られたドレッシングを、2%亜硝酸ナトリウム及び100ppmのベンゾフェノンテトラカルボン酸を含む35mLのガス状伝達物質溶液に入れた。ドレッシングは一酸化窒素を生成した。
【0183】
例12
硫化水素を生成する炭素/アルミニウムガルバニックドレッシング
ガーゼドレッシング片を半分に折り曲げ、開いている2つの端を熱活性化接着剤で封止した。得られたドレッシングに、2gの架橋ポリアクリル酸ナトリウム(supersorber)、5cm×2cmの炭素布、及び5cm×2cmのアルミニウム箔を入れる。残りの開いている端を、熱活性化接着剤を使用して封止する。得られたドレッシングを、2%亜硫酸ナトリウム及び100ppmのベンゾフェノンテトラカルボン酸を含む35mLのガス状伝達物質溶液に入れた。ドレッシングは硫化水素を生成した。
【0184】
例13
一酸化窒素を生成する炭素/亜鉛ガルバニックドレッシング
ガーゼドレッシング片を半分に折り曲げ、開いている2つの端を熱活性化接着剤で封止した。得られたドレッシングに、2gの架橋ポリアクリル酸ナトリウム(supersorber)、5cm×2cmの炭素布、及び5cm×2cmの亜鉛箔を入れる。残りの開いている端を、熱活性化接着剤を使用して封止する。得られたドレッシングを、2%亜硝酸ナトリウム及び100ppmのベンゾフェノンテトラカルボン酸を含む35mLのガス状伝達物質溶液に入れた。ドレッシングは一酸化窒素を生成した。
【0185】
例14
硫化水素を生成する炭素/亜鉛ガルバニックドレッシング
ガーゼドレッシング片を半分に折り曲げ、開いている2つの端を熱活性化接着剤で封止した。得られたドレッシングに、2gの架橋ポリアクリル酸ナトリウム(supersorber)、5cm×2cmの炭素布、及び5cm×2cmの亜鉛箔を入れる。残りの開いている端を、熱活性化接着剤を使用して封止する。得られたドレッシングを、2%亜硫酸ナトリウム及び100ppmのベンゾフェノンテトラカルボン酸を含む35mLのガス状伝達物質溶液に入れた。ドレッシングは硫化水素を生成した。
【0186】
本明細書を通して与えられるすべての最大値制限は、より低いすべての数値制限を、あたかもそのようなより低い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含むことを理解されたい。本明細書を通して与えられるすべての最小値制限は、より高いすべての数値制限を、あたかもそのようなより高い数値制限が本明細書に明示的に記載されているかのように含む。本明細書を通して与えられるすべての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るすべてのより狭い数値範囲を、あたかもそのようなより狭い数値範囲がすべて本明細書に明示的に記載されたかのように含む。
【0187】
いかなる文献の引用も、それが本明細書に開示又は特許請求される任意の発明に関して先行技術であること、又はそれが単独で、又は任意の他の1つもしくは複数の参考文献と組み合わせて、そのような発明を教示、示唆、又は開示することを認めるものではない。さらに、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する限りにおいて、本文書においてその用語に割り当てられた意味又は定義が優先されるものとする。
【国際調査報告】